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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04694 20160101AFI20240308BHJP
   H01M 8/04492 20160101ALI20240308BHJP
   H01M 8/0612 20160101ALI20240308BHJP
   H01M 8/04225 20160101ALI20240308BHJP
   H01M 8/04302 20160101ALI20240308BHJP
   H01M 8/04313 20160101ALI20240308BHJP
【FI】
H01M8/04694
H01M8/04492
H01M8/0612
H01M8/04225
H01M8/04302
H01M8/04313
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020172125
(22)【出願日】2020-10-12
(65)【公開番号】P2022063737
(43)【公開日】2022-04-22
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安部 翔太
(72)【発明者】
【氏名】中島 信一
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-207060(JP,A)
【文献】特開2007-335332(JP,A)
【文献】特開2010-238467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04694
H01M 8/04492
H01M 8/0612
H01M 8/04225
H01M 8/04302
H01M 8/04313
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
改質水を蒸発させて水蒸気を生成する気化器と、
前記水蒸気及び原燃料ガスの混合ガスを燃料ガスに改質する改質器と、
前記燃料ガス及び酸化剤ガスの電気化学反応により発電する燃料電池と、
イオン交換樹脂を有し、前記気化器に前記改質水を供給する改質水供給部と、
前記イオン交換樹脂の乾燥度に関する値を検出する乾燥度センサと、
前記燃料電池が発電を停止し前記改質水供給部が水抜きされた状態から、前記改質水供給部への水張りを含む前記燃料電池の発電起動指令を受けた場合に、前記乾燥度センサによって検出された値が閾値以下であるときには、エラーを報知する制御を行う制御部と、
を備える燃料電池システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記乾燥度センサによって検出された値が閾値以下である場合に、エラーを報知すると共に、前記燃料電池の発電起動を不可とする制御を行う、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記イオン交換樹脂が交換されるまで前記燃料電池の発電起動を不可とする制御を行う、
請求項2に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばエネファーム(登録商標)と称される燃料電池システムは、発電モジュールを有する。一般に、発電モジュールは、改質水を蒸発させて水蒸気を生成する気化器と、水蒸気及び原燃料ガスの混合ガスを燃料ガスに改質する改質器と、燃料ガス及び酸化剤ガスの電気化学反応により発電する燃料電池とを備える。気化器には、改質水供給部から改質水が供給される。改質水供給部は、気化器に供給する改質水を浄化するためのイオン交換樹脂を有する。
【0003】
イオン交換樹脂は、消耗品であり、定期的な交換が必要とされる。そこで、燃料電池システムの設置年数が規定年数に達した場合に、イオン交換樹脂の交換を促す報知を行う燃料電池システムが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-107215号公報
【文献】特開2012-212660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、燃料電池システムは、現場に設置され、試運転が行われた後、実運転が開始されるまで長期間保管される場合がある。燃料電池システムの保管時には、燃料電池が発電していなくても、複数の補機が通電される場合がある。このとき、ガス漏れを検知するガスセンサも一緒に通電されると、ガスセンサが徐々に劣化する。このため、燃料電池システムの保管時にガスセンサが通電されたままであると、ガスセンサの寿命が短くなる虞がある。
【0006】
そこで、燃料電池システムへの電源供給を停止し、燃料電池システムを水抜きした状態で長期間保管する運用が考えられる。
【0007】
しかしながら、イオン交換樹脂を有する改質水供給部が水抜きされると、イオン交換樹脂が乾燥する。イオン交換樹脂は、乾燥により劣化が加速する傾向にある。したがって、燃料電池システムを水抜きした状態で長期間保管した場合でも、イオン交換樹脂の劣化を考慮して、燃料電池システムを適切に継続運転できるようにすることが望まれる。
【0008】
本発明は、イオン交換樹脂の劣化を考慮して、適切に継続運転できる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の燃料電池システムは、改質水を蒸発させて水蒸気を生成する気化器と、前記水蒸気及び原燃料ガスの混合ガスを燃料ガスに改質する改質器と、前記燃料ガス及び酸化剤ガスの電気化学反応により発電する燃料電池と、イオン交換樹脂を有し、前記気化器に前記改質水を供給する改質水供給部と、前記イオン交換樹脂の乾燥度に関する値を検出する乾燥度センサと、前記燃料電池が発電を停止し前記改質水供給部が水抜きされた状態から、前記改質水供給部への水張りを含む前記燃料電池の発電起動指令を受けた場合に、前記乾燥度センサによって検出された値が閾値以下であるときには、エラーを報知する制御を行う制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の燃料電池システムによれば、制御装置は、燃料電池が発電を停止し改質水供給部が水抜きされた状態から、改質水供給部への水張りを含む燃料電池の発電起動指令を受けた場合に、乾燥度センサによって検出された値が閾値以下であるときには、エラーを報知する制御を行う。したがって、燃料電池システムを水抜きした状態で長期間保管した場合でも、イオン交換樹脂を交換することにより、又は交換せずに発電起動した場合でも早めにイオン交換樹脂を交換することにより、イオン交換樹脂の劣化を考慮して、燃料電池システムを適切に継続運転できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る燃料電池システムの全体構成の概略を示すブロック図である。
図2図1に示される制御装置及びリモコンの接続構成を示すブロック図である。
図3図1に示される制御装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池システム10の全体構成の概略を示すブロック図である。本発明の一実施形態に係る燃料電池システム10は、例えばエネファーム(登録商標)と称される発電システムであり、燃料電池ユニット12と、リモートコントローラ120とを備える。
【0014】
通常、燃料電池ユニット12は、ユーザの建物の外に設置され、リモートコントローラ120は、ユーザの建物の中に設置される。以降、リモートコントローラ120をリモコン120と略称する。
【0015】
燃料電池ユニット12は、原燃料ガス供給装置20と、酸化剤ガス供給装置30と、改質水供給装置40と、発電モジュール50と、排熱回収装置60と、貯湯タンク70とを備える。
【0016】
原燃料ガス供給装置20は、発電モジュール50に原燃料ガスを供給する装置である。原燃料ガスは、例えば、都市ガスやLPガス等である。原燃料ガス供給装置20は、原燃料ガス供給管21と、ガス弁22と、脱硫器23と、圧力センサ24と、流量センサ25と、原燃料ガスポンプ26とを備える。
【0017】
原燃料ガス供給管21は、発電モジュール50の気化器52に接続されている。原燃料ガス供給管21には、ガス弁22、脱硫器23、圧力センサ24、流量センサ25及び原燃料ガスポンプ26が設けられている。
【0018】
ガス弁22は、例えば電磁弁であり、原燃料ガス供給管21を開通する開弁状態と、原燃料ガス供給管21を閉止する閉弁状態とを取り得る構成である。脱硫器23は、原燃料ガス供給管21を流れる原燃料ガスに含まれる硫黄分を除去し、圧力センサ24は、原燃料ガス供給管21内の原燃料ガスの圧力を検出する。流量センサ25は、原燃料ガス供給管21を流れる原燃料ガスの流量を検出し、原燃料ガスポンプ26は、原燃料ガス供給管21を通じて原燃料ガスを気化器52へ供給する。
【0019】
酸化剤ガス供給装置30は、発電モジュール50に酸化剤ガスを供給する装置である。酸化剤ガス供給装置30は、酸化剤ガス供給管31と、エアフィルタ32と、流量センサ33と、ブロワ34とを備える。
【0020】
エアフィルタ32は、後述する燃料電池ユニット12の筐体80に形成された酸化剤ガス取入口81に設けられている。酸化剤ガス供給管31は、酸化剤ガス取入口81と後述する発電モジュール50の燃料電池54とを接続している。酸化剤ガス供給管31には、流量センサ33及びブロワ34が設けられている。
【0021】
流量センサ33は、酸化剤ガス供給管31を流れる酸化剤ガスの流量を検出し、ブロワ34は、酸化剤ガス供給管31を通じて酸化剤ガスを燃料電池54へ供給する。
【0022】
改質水供給装置40は、「改質水供給部」の一例であり、後述する発電モジュール50の気化器52に改質水を供給する装置である。改質水供給装置40は、改質水供給管41と、改質水タンク42と、イオン交換樹脂43と、改質水ポンプ44と、改質水水抜き栓45と、乾燥度センサ46とを備える。改質水供給管41は、改質水タンク42と後述する発電モジュール50の気化器52とを接続している。改質水供給管41には、イオン交換樹脂43及び改質水ポンプ44が設けられている。
【0023】
改質水タンク42には、後述する排熱回収装置60の熱交換器63で凝縮された凝縮水が改質水として貯留される。イオン交換樹脂43は、改質水供給管41を流れる改質水の不純物を除去し、改質水ポンプ44は、改質水供給管41を通じて改質水を気化器52に供給する。
【0024】
改質水水抜き栓45は、一例として、改質水タンク42とイオン交換樹脂43との間に設けられている。改質水水抜き栓45は、例えば、電磁弁である。改質水水抜き栓45が開栓されると、改質水供給管41、改質水タンク42、イオン交換樹脂43及び改質水ポンプ44の内部の水が改質水水抜き栓45から排出され、改質水供給装置40が水抜きされる。
【0025】
乾燥度センサ46は、イオン交換樹脂43の乾燥度に関する値を検出する。乾燥度センサ46は、イオン交換樹脂43の乾燥度に関する値を検出し得るものであればどのようなものでもよい。乾燥度センサ46には、例えば、水分センサや電導度センタ等が用いられる。乾燥度センサ46に水分センサが用いられた場合、イオン交換樹脂43の乾燥度に関する値は、例えば、水分量であり、乾燥度センサ46に電導度センサが用いられた場合、イオン交換樹脂43の乾燥度に関する値は、例えば、導電率である。
【0026】
発電モジュール50は、モジュールケース51と、気化器52と、改質器53と、燃料電池54(燃料電池セルスタック)とを備える。気化器52、改質器53及び燃料電池54は、断熱材によって形成されたモジュールケース51に収容されている。
【0027】
気化器52は、改質水及び原燃料ガスの供給を受け、この改質水及び原燃料ガスを加熱し、改質水を蒸発させて水蒸気を生成すると共に原燃料ガスを予熱する。改質器53は、気化器52から水蒸気及び予熱された原燃料ガスの供給を受け、水蒸気及び原燃料ガスの混合ガスを燃料ガスに改質する。
【0028】
燃料電池54は、改質器53から燃料ガスの供給を受けると共に、酸化剤ガス供給装置30から酸化剤ガスの供給を受け、燃料ガス及び酸化剤ガスの電気化学反応により発電する。また、燃料電池54は、発電に伴い発熱する。
【0029】
排熱回収装置60は、燃料電池54の発電に伴って発生する熱を回収する装置であり、往路管61と、復路管62と、熱交換器63と、循環ポンプ64とを備える。熱交換器63と貯湯タンク70は、往路管61及び復路管62によって接続されており、往路管61には、循環ポンプ64が設けられている。
【0030】
貯湯タンク70に供給された水は、往路管61を通じて熱交換器63に供給され、熱交換器63では、燃料電池54から排出された排気ガスにより水が加熱されて湯が生成される。この湯は、復路管62を通じて貯湯タンク70に供給される。貯湯タンク70に供給された湯は、貯湯タンク70に貯留され、貯湯タンク70に貯留された湯は、給湯に利用される。燃料電池54から熱交換器63に供給された排気ガスは、筐体80の外部に排出される。
【0031】
燃料電池ユニット12は、上記構成に加え、筐体80を備える。上述の原燃料ガス供給装置20、酸化剤ガス供給装置30、改質水供給装置40、発電モジュール50、排熱回収装置60及び貯湯タンク70は、筐体80に収容されている。筐体80には、換気口82が設けられており、この換気口82には、換気フィルタ83が設けられている。
【0032】
また、燃料電池ユニット12は、ガスセンサ90と、外気温センサ91と、操作基板92と、表示パネル93と、パワーコンディショナ94と、電源基板95と、制御装置100とを備える。ガスセンサ90、外気温センサ91、操作基板92、表示パネル93及びパワーコンディショナ94は、制御装置100と電気的に接続されている。また、リモコン120及び制御装置100は、熱源機200と通信可能に接続されている。
【0033】
ガスセンサ90は、例えば、筐体80の内部に設けられている。このガスセンサ90は、原燃料ガスの漏れを検知する。すなわち、ガスセンサ90は、原燃料ガスを検知した場合には、ガス検知信号を出力する構成とされている。
【0034】
外気温センサ91は、外気温を検出し、外気温に応じた信号を出力する。操作基板92は、制御装置100と有線又は無線により通信可能に接続されており、操作者の操作に応じた操作信号を制御装置100に出力する。表示パネル93は、制御装置100から出力された表示信号に応じた表示を行う。
【0035】
パワーコンディショナ94は、燃料電池54の出力端子と商用電源110から負荷111への交流電力ライン112との間に接続されている。以降、パワーコンディショナ94をパワコン94と略称する。パワコン94は、燃料電池54からの直流電力を交流電力に変換し商用電源110からの交流電力に付加する。
【0036】
電源基板95は、パワコン94から分岐した直流電力ライン113に接続されている。この電源基板95は、上述のガス弁22、圧力センサ24、流量センサ25、原燃料ガスポンプ26、流量センサ33、ブロワ34、改質水ポンプ44及び循環ポンプ64等の複数の補機や制御装置100等に直流電力を供給する。
【0037】
上述のガス弁22、圧力センサ24、流量センサ25、原燃料ガスポンプ26、流量センサ33、ブロワ34、改質水ポンプ44、乾燥度センサ46及び循環ポンプ64は、制御装置100に電気的に接続されている。制御装置100は、ガス弁22、原燃料ガスポンプ26、ブロワ34、改質水ポンプ44及び循環ポンプ64等の複数の補機を制御することにより、燃料電池システム10全体の動作を制御する。
【0038】
図2は、図1に示される制御装置100及びリモコン120の接続構成を示すブロック図である。制御装置100は、「制御部」の一例であり、コンピュータによって構成されている。この制御装置100は、ハードウェア構成として、プロセッサ101と、メモリ102とを有する。プロセッサ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等によって構成される。メモリ102は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びストレージ等によって構成される。
【0039】
ROMは、各種プログラム及び各種データを格納する。RAMは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラムや各種データを格納する。
【0040】
ROM又はストレージには、燃料電池システム10全体の動作を制御するためのプログラム103が格納されている。プロセッサ101は、プログラム103を読み出し、RAMを作業領域としてプログラム103を実行する。
【0041】
リモコン120は、制御装置100と通信可能に接続されている。このリモコン120は、ハードウェア構成として、プロセッサ121と、メモリ122と、表示器124とを有する。プロセッサ121は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等によって構成される。メモリ122は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びストレージ等によって構成される。
【0042】
表示器124は、例えば、タッチパネルである。ROM又はストレージには、表示器124の入力情報を制御装置に出力したり表示器124の表示を制御したりするためのプログラム123が格納されている。燃料電池システム10の全体構成の概略は以上の通りである。
【0043】
ところで、上記構成の燃料電池システム10は、現場に設置され、試運転が行われた後、実運転が開始されるまで長期間保管される場合がある。燃料電池システム10の保管時には、燃料電池54が発電していなくても、複数の補機が通電される場合がある。このとき、ガス漏れを検知するガスセンサ90も一緒に通電されると、ガスセンサ90が徐々に劣化する。このため、燃料電池システム10の保管時にガスセンサ90が通電されたままであると、ガスセンサ90の寿命が短くなる虞がある。
【0044】
そこで、燃料電池システム10への電源供給を停止し、燃料電池システム10を水抜きした状態で長期間保管する運用が考えられる。
【0045】
しかしながら、イオン交換樹脂43を有する改質水供給装置40が水抜きされると、イオン交換樹脂43が乾燥する。イオン交換樹脂43は、乾燥により劣化が加速する傾向にある。したがって、燃料電池システム10を水抜きした状態で長期間保管した場合でも、イオン交換樹脂43の劣化を考慮して、燃料電池システム10を適切に継続運転できるようにすることが望まれる。そこで、本実施形態に係る燃料電池システム10は、例えば、次のように動作する。
【0046】
以下、本実施形態に係る燃料電池システム10の動作例について説明する。
【0047】
図3は、図1に示される制御装置100の処理の流れの一例を示すフローチャートである。燃料電池54が発電を停止し改質水供給装置40が水抜きされた状態から、改質水供給装置40への水張りを含む燃料電池54の発電起動指令がリモコン120に入力され、制御装置100が発電起動指令を受けると、制御装置100は、図3に示されるステップS1~ステップS7を実行する。
【0048】
ステップS1では、制御装置100が、乾燥度センサ46によって検出されたイオン交換樹脂43の乾燥度に関する値を取得する。このイオン交換樹脂43の乾燥度に関する値は、改質水供給装置40への水張りを含む燃料電池54の発電起動指令を制御装置100が受けた直後に、乾燥度センサ46で検出された値である。乾燥度センサ46は、イオン交換樹脂43の乾燥度に関する値を常時検出していてもよく、発電起動指令を制御装置100が受けた場合に、制御装置100によって起動されることでイオン交換樹脂43の乾燥度に関する値を検出してもよい。
【0049】
ステップS2では、制御装置100が、乾燥度センサ46によって検出された値が閾値以下であるか否かを判断する。閾値は、イオン交換樹脂43が乾燥して使用不可であるとして予め定められた規定値である。乾燥度センサ46によって検出された値が閾値を上回っている場合(ステップS2:No)、制御装置100はステップS7に移行し、乾燥度センサ46によって検出された値が閾値以下である場合(ステップS2:Yes)、制御装置100はステップS3に移行する。
【0050】
ステップS3では、制御装置100が、エラーを報知する制御を行う。具体的には、制御装置100は、イオン交換樹脂43の破化をリモコン120に表示させる制御を行う。これにより、作業員等にイオン交換樹脂43の破化を知らせることができる。
【0051】
このステップS3において、制御装置100は、エラーを報知する制御を行うと共に、燃料電池54の発電起動を不可とする制御を行い、後述するステップS4でイオン交換樹脂43が交換されるまで燃料電池54の発電起動を不可とする制御を行う。つまり、制御装置100は、エラー発報を即時エラーとし、イオン交換樹脂43の交換を実施しないと、燃料電池54の発電起動を受け付けない制御を行う。
【0052】
ステップS4では、制御装置100が、イオン交換樹脂43が交換済みであるか否かを判断する。このとき、制御装置100は、例えば、リモコン120にイオン交換樹脂43が交換済みである旨が入力されたか否かに基づいて、イオン交換樹脂43が交換済みであるか否かを判断する。イオン交換樹脂43が交換済みでない場合(ステップS4:No)、制御装置100はステップS5に移行する。
【0053】
ステップS5では、制御装置100が、イオン交換樹脂43の交換が必要である旨のメッセージをリモコン120に表示させる制御を行う。これにより、作業員等にイオン交換樹脂43の交換が必要であることを知らせることができる。
【0054】
制御装置100は、リモコン120にイオン交換樹脂43が交換済みである旨が入力されるまで、イオン交換樹脂43の破化をリモコン120に表示させる。そして、イオン交換樹脂43が交換され、イオン交換樹脂43が交換済みである旨がリモコン120に入力されると、制御装置100はステップS6に移行する。
【0055】
ステップS6では、制御装置100が、エラーを解除する制御を行う。具体的には、制御装置100は、リモコン120に表示されていたイオン交換樹脂43の破化の表示及びイオン交換樹脂43の交換が必要である旨のメッセージの表示を停止させる制御を行う。その後、制御装置100はステップS7に移行する。
【0056】
ステップS7では、制御装置100が、改質水供給装置40への水張りを含む燃料電池54の発電起動を実行する制御を行う。
【0057】
このように、本実施形態に係る燃料電池システム10において、制御装置100は、燃料電池54が発電を停止し改質水供給装置40が水抜きされた状態から、改質水供給装置40への水張りを含む燃料電池54の発電起動指令を受けた場合に、乾燥度センサ46によって検出された値が閾値以下である場合には、エラーを報知する制御を行う。したがって、燃料電池システム10を水抜きした状態で長期間保管した場合でも、イオン交換樹脂43を交換することにより、イオン交換樹脂43の劣化を考慮して、燃料電池システム10を適切に継続運転できる。
【0058】
また、制御装置100は、乾燥度センサ46によって検出された値が閾値以下である場合に、エラーを報知すると共に、燃料電池54の発電起動を不可とする制御を行う。したがって、乾燥したイオン交換樹脂43を用いて燃料電池システム10の運転が継続されることを防止できる。
【0059】
また、制御装置100は、イオン交換樹脂43が交換されるまで燃料電池54の発電起動を不可とする制御を行う。したがって、燃料電池54の発電起動前にイオン交換樹脂43の交換を促すことができる。
【0060】
なお、上述のステップS5において、制御装置100は、エラーを報知する制御を行うと共に、改質水供給装置40への水張りを含む燃料電池54の発電起動を実行してもよい。つまり、制御装置100は、エラー発報をあくまでもお知らせ表示とし、燃料電池54の発電起動を最低1回許容してもよい。この場合には、例えば、イオン交換樹脂43を交換しなくても、リモコン120にイオン交換樹脂43が交換済みである旨が入力されることで、エラーを解除できる。
【0061】
このようにイオン交換樹脂43を交換せずに発電起動した場合でも早めにイオン交換樹脂43を交換することにより、イオン交換樹脂43の劣化を考慮して、燃料電池システム10を適切に継続運転できる。
【0062】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
10…燃料電池システム、12…燃料電池ユニット、20…原燃料ガス供給装置、21…原燃料ガス供給管、22…ガス弁、23…脱硫器、24…圧力センサ、25…流量センサ、26…原燃料ガスポンプ、30…酸化剤ガス供給装置、31…酸化剤ガス供給管、32…エアフィルタ、33…流量センサ、34…ブロワ、40…改質水供給装置(改質水供給部の一例)、41…改質水供給管、42…改質水タンク、43…イオン交換樹脂、44…改質水ポンプ、45…改質水水抜き栓、46…乾燥度センサ、50…発電モジュール、51…モジュールケース、52…気化器、53…改質器、54…燃料電池、60…排熱回収装置、61…往路管、62…復路管、63…熱交換器、64…循環ポンプ、70…貯湯タンク、80…筐体、81…酸化剤ガス取入口、82…換気口、83…換気フィルタ、90…ガスセンサ、91…外気温センサ、92…操作基板、93…表示パネル、94…パワーコンディショナ(パワコン)、95…電源基板、100…制御装置(制御部の一例)、101…プロセッサ、102…メモリ、103…プログラム、110…商用電源、111…負荷、112…交流電力ライン、113…直流電力ライン、120…リモートコントローラ(リモコン)、121…プロセッサ、122…メモリ、123…プログラム、124…表示器、200…熱源機
図1
図2
図3