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  • 特許-車両走行システムおよび車両 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】車両走行システムおよび車両
(51)【国際特許分類】
   B60L 58/18 20190101AFI20240308BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240308BHJP
   B60L 7/14 20060101ALI20240308BHJP
   B60L 58/13 20190101ALI20240308BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240308BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20240308BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240308BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20240308BHJP
【FI】
B60L58/18
B60L50/60
B60L7/14
B60L58/13
H01M10/48 P
H01M10/44 Q
H02J7/00 B
H02J7/00 302C
H02J7/00 303C
H02J7/02 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020203620
(22)【出願日】2020-12-08
(65)【公開番号】P2022090983
(43)【公開日】2022-06-20
【審査請求日】2022-01-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(72)【発明者】
【氏名】杉原 敦史
(72)【発明者】
【氏名】増岡 志寿香
(72)【発明者】
【氏名】長野 幸大
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-059161(JP,A)
【文献】特開2004-171864(JP,A)
【文献】特開2010-123503(JP,A)
【文献】特許第5321742(JP,B1)
【文献】特開2016-215947(JP,A)
【文献】特開2017-163652(JP,A)
【文献】国際公開第2012/046271(WO,A1)
【文献】特開2005-160125(JP,A)
【文献】特開2012-234697(JP,A)
【文献】特開2019-180111(JP,A)
【文献】特開2017-118775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 10/42 - 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電池と、
第2電池と、
前記第1電池と前記第2電池とにリレーを介してそれぞれ接続された走行用モータ・ジェネレータと、
前記第1電池と前記第2電池とにリレーを介してそれぞれ接続され、かつ、外部電源に接続される受電ユニットと、
制御装置と
を備え、
前記第1電池は、5C以上の電流値での充電および放電が許容されるように構成されており、
前記第2電池は、前記第1電池よりも高容量の電池であり、
前記制御装置は、
前記受電ユニットが外部電源に接続されたか否かを判定し、
前記受電ユニットが外部電源に接続されたと判定された場合に、前記第1電池の充電状態が予め定められたSOCよりも低いか否かを判定し、
前記受電ユニットが外部電源に接続されたと判定された場合に、前記第1電池の充電状態が予め定められたSOCよりも低いときには、前記第2電池の充電状態に関わらず、前記第2電池よりも優先して前記受電ユニットを通じて前記外部電源から前記第1電池に充電し、かつ、前記第1電池の充電状態が予め定められたSOC以上であるときには、前記受電ユニットを通じて前記外部電源から前記第2電池に充電し、
前記受電ユニットが外部電源から切り離されており、かつ、前記第1電池と前記第2電池とが共に前記走行用モータ・ジェネレータから切り離されているときには、前記第1電池の充電状態が予め定められたSOCよりも低いときに、前記第2電池から前記第1電池に充電が行なわれ、かつ、前記第1電池の充電状態が予め定められたSOCよりも高いときに、前記第1電池から前記第2電池に充電が行なわれ、前記走行用モータ・ジェネレータから要求される出力値が予め定められた出力値以上であるときに、前記第1電池から優先的に出力され、かつ、前記走行用モータ・ジェネレータから回生電力が出力された際に、前記第1電池に優先的に充電されるように構成された、
車両走行システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記受電ユニットを通じて前記外部電源から前記第1電池に充電する際の電流値が、前記受電ユニットを通じて前記外部電源から前記第2電池に充電する際の電流値よりも高くなるように構成された、請求項1に記載された車両走行システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記走行用モータ・ジェネレータから回生電力が出力された際に、前記第1電池の充電状態が予め定められたSOCよりも低いときには前記第1電池に入力し、前記第1電池の充電状態が予め定められたSOC以上であるときには前記第2電池に入力するように構成されている、請求項1または2に記載された車両走行システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記走行用モータ・ジェネレータから要求される出力値が予め定められた出力値よりも低く、かつ、前記第2電池の充電状態が予め定められたSOC以上のときに、前記走行用モータ・ジェネレータが第2電池に接続され、さらに、
前記走行用モータ・ジェネレータから要求される出力値が予め定められた出力値よりも低く、かつ、前記第2電池の充電状態が予め定められたSOCよりも低いときに、前記走行用モータ・ジェネレータが前記第1電池に接続されるように構成された、
請求項1からまでの何れか一項に記載された車両走行システム。
【請求項5】
前記第1電池は、前記第2電池よりも軽く、かつ、小型である、請求項1からまでの何れか一項に記載された、車両走行システム。
【請求項6】
前記走行用モータ・ジェネレータと前記第2電池との電流経路に、走行用モータ・ジェネレータから第2電池へ向かう電流を一定以下に制限するように定電流ダイオードが組み込まれている、請求項1からまでの何れか一項に記載された、車両走行システム。
【請求項7】
請求項1からまでの何れか一項に記載された車両走行システムが搭載された車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両走行システムおよび車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2012-234697号公報には、電池システムが開示されている。同公報で開示された電池システムは、充放電を行う第1組電池および第2組電池と、ダイオードとを有している。第1組電池は、第2組電池よりも大きな電流で充放電が可能である。第2組電池は、第1組電池よりも蓄電容量が大きい。第1組電池および第2組電池は、並列接続されているとともに、負荷と接続されている。ダイオードは、第2組電池と直列接続されるとともに、第2組電池とともに第1組電池と並列接続されている。ダイオードは、第2組電池から負荷への放電電流を許容するが、負荷から第2組電池に過大な電流が流れるのを阻止する。第2組電池には、充電器を接続することができる。充電器は、外部電源からの電力を第2組電池に入力させることができる。
【0003】
この電池システムでは、ダイオードが設けられることによって、第2組電池は、負荷へは放電だけが許容される。放電によって第2組電池のSOC(State Of Charge、充電状態)が低下したときには、充電器を用いて、第2組電池を充電することができる。第1組電池および第2組電池は、並列接続されているため、第2組電池を充電すれば、第2組電池から第1組電池に充電電流を流すことができ、第1組電池の充電を行うこともできる。かかる構成によれば、第2組電池に過大な電流が流れるのを阻止することができる。また、第2組電池に蓄えられた電気エネルギを効率良く利用することができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-234697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、高出力型の電池と高容量型の電池が搭載された車両について、さらに効率良く電池を機能させたいと本発明者は考えている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで開示される車両走行システムは、第1電池と、第2電池と、走行用モータ・ジェネレータと、受電ユニットと、制御装置とを備えている。走行用モータ・ジェネレータは、第1電池と第2電池とにそれぞれリレーを介して接続されている。受電ユニットは、第1電池と第2電池とにそれぞれリレーを介して接続され、かつ、外部電源に接続されている。第1電池は、5C以上の電流値での充電および放電が許容されるように構成されている。第2電池は、第1電池よりも高容量の電池である。制御装置は、受電ユニットが外部電源に接続された際に、第1電池の充電状態が予め定められたSOCよりも低いときには第1電池に充電し、かつ、第1電池の充電状態が予め定められたSOC以上であるときには第2電池に充電するように構成されている。
【0007】
かかる車両走行システムによれば、高出力電池である第1電池に優先的に充電される。このため、適宜に要求に応じて高出力で走行用モータ・ジェネレータを駆動させることができる状態を早期に確保でき、効率よく電池を機能させることができる。
【0008】
制御装置は、受電ユニットから第1電池に充電する際の電流値が、電ユニットから第2電池に充電する際の電流値よりも高くなるように構成されていてもよい。
【0009】
制御装置は、走行用モータ・ジェネレータから回生電力が出力された際に、第1電池の充電状態が予め定められたSOCよりも低いときには第1電池に入力し、第1電池の充電状態が予め定められたSOC以上であるときには第2電池に入力するように構成されていてもよい。
【0010】
制御装置は、走行用モータ・ジェネレータから要求される出力値が予め定められた出力値以上であり、かつ、第1電池の充電状態が予め定められたSOC以上のときに、走行用モータ・ジェネレータが第1電池に接続されるように構成されていてもよい。さらに、制御装置は、走行用モータ・ジェネレータから要求される出力値が予め定められた出力値以上であり、かつ、第1電池の充電状態が予め定められたSOCよりも低いときに、走行用モータ・ジェネレータが第2電池に接続されるように構成されていてもよい。
【0011】
制御装置は、走行用モータ・ジェネレータから要求される出力値が予め定められた出力値よりも低く、かつ、第2電池の充電状態が予め定められたSOC以上のときに、走行用モータ・ジェネレータが第2電池に接続されるように構成されていてもよい。さらに、走行用モータ・ジェネレータから要求される出力値が予め定められた出力値よりも低く、かつ、第2電池の充電状態が予め定められたSOCよりも低いときに、走行用モータ・ジェネレータが第1電池に接続されるように構成されていてもよい。
【0012】
制御装置は、第1電池と第2電池とが共に走行用モータ・ジェネレータから切り離されており、かつ、第1電池の充電状態が予め定められたSOCよりも低いときに、第2電池から第1電池に充電が行なわれるように構成されていてもよい。
【0013】
制御装置は、第1電池と第2電池とが共に走行用モータ・ジェネレータから切り離されており、かつ、第1電池の充電状態が予め定められたSOCよりも高いときに、第1電池から第2電池に充電が行なわれるように構成されていてもよい。
【0014】
第1電池は、第2電池よりも軽く、かつ、小型であってもよい。また、ここで開示される車両走行システムは、適宜に車両に搭載されうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、ここで開示される車両走行システム10の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、ここで開示される車両走行システムの一実施形態を説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。本発明は、特に言及されない限りにおいて、ここで説明される実施形態に限定されない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
《車両走行システム10》
図1は、ここで開示される車両走行システム10の概略図である。車両走行システム10は、第1電池11と、第2電池12と、走行用モータ・ジェネレータ13と、受電ユニット14と、制御装置15とを備えている。車両走行システム10は、システム外の外部電源30に接続され、充電されうる。かかる車両走行システム10が適用される車両は、電動車両だけでなく、電動スクータや電動バイクのような小型の乗り物が適用されうる。
【0018】
〈第1電池11,第2電池12〉
第1電池11は、第2電池12で許容される電流値よりも高い5C以上の電流値での充電および放電が許容されるように構成されている。第2電池12は、第1電池11よりも高容量の電池である。換言すると、第1電池11は、高い電流値での充電と放電が可能であり、いわゆる高出力型の電池で構成されている。他方で、第2電池12は、いわゆる高容量型の電池で構成されている。第1電池11は、適宜に「高出力電池」と称される。第2電池12は、適宜に「高容量電池」と称される。
【0019】
より詳しくは、第1電池11と第2電池12は、共に走行用モータ・ジェネレータ13を車両走行用に駆動させるための電源として所要の出力性能を備えている。ただし、第1電池11は、第2電池12よりも、特に高い電流値での充放電が許容されるように設計されているとよい。第2電池12は、第1電池12よりも、特に高容量となるように設計されているとよい。つまり、第1電池11は、車両の走行駆動用の電源としての機能に加えて、第2電池12との相対的な評価において、高い電流値での充電および放電に対して劣化しにくい構造を有している。この実施形態では、第1電池11は、高出力特性の点で優れた性能を備えている。他方、第2電池12は、車両の走行駆動用の電源としての機能に加えて、第1電池11との相対的な評価において高容量という点で優れている。
【0020】
なお、第2電池12は、第1電池11と同等に高出力特性を有していてもよい。また、第2電池12は、第1電池11よりも高容量であるが、出力特性は、第1電池11よりも劣るものでもよい。第1電池11は、適宜に組電池として用いられうる。第2電池12は、単電池でもよく、適宜に組電池として用いられうる。また、走行時に要求される負荷が大きい大型の車両に対しては、第1電池11と第2電池12には、好適には、組電池が用いられる。走行時に要求される負荷が小さい小型の車両に対しては、第1電池11は、単電池でもよい。同様に、第2電池12についても、単電池でもよい。
【0021】
第1電池11には、例えば、ハイブリッド車の駆動用電源として用いられるバッテリーが適用されうる。ハイブリッド車は、内燃機関を備えており、内燃機関で得られる動力で発電が行える。このため、ハイブリッド車の駆動用電源として用いられるバッテリーでは、高容量であることよりはそれほど重視されない。他方で、ハイブリッド車の燃費を向上させるため、ブレーキ時に走行用モータ・ジェネレータ13で生み出される回生エネルギをできるだけ回収したい。回生エネルギは、制動時の運動エネルギに応じて創出される。このため、瞬間的に大きなエネルギが、回生エネルギとして創出されうる。かかる回生エネルギをできるだけ多く回収するとの観点で、ハイブリッド車の駆動用電源として用いられるバッテリーは、高い電流値での充電および放電に対して、劣化しにくい構造を有していることが好ましい。
【0022】
このように、ハイブリッド車の駆動用電源として用いられるバッテリーは、容量を大きくすることよりも、電力に変換された回生エネルギを効率良く回収する性能が追求されている。ハイブリッド車の駆動用電源として用いられるリチウムイオン二次電池の典型例として、正極活物質にニッケルマンガンコバルトを含有する、いわゆるNMC三元系のリチウム含有遷移金属複合酸化物が用いられ、かつ、負極活物質にグラファイトが用いられたり、電解液にエチレンカーボネートやエチルメチルカーボネートが用いられたりする。さらにハイブリッド車の駆動用電源として用いられるリチウムイオン二次電池は、例えば、活物質層の構造や電解液の粘度や組成や添加剤などが工夫されている。例えば、ハイブリッド車に搭載されている角形電池では、二次電池の劣化を抑制しつつ、30C程度の充放電電流が実現されうる。第1電池11に適用される電池は、ここで例示されるものに限定されない。今後、さらに研究が進むことによって、ハイブリッド車の駆動用電源はさらに進化し、さらに高い電流値での充電が可能になることが期待されている。第1電池11には、特に高い電流値での充電および放電に対して、劣化しにくい構造を有する電池が採用されうる。
【0023】
第2電池12は、例えば、バッテリー電源で走行モータを駆動させて走行するBEV(Battery Electric Vehicle)用の高容量バッテリーが適用されうる。かかる高容量バッテリーとしては、正極活物質にコバルト酸リチウムが用いられ、かつ、負極活物質にグラファイトが用いられたり、電解液にポリエチレンオキシドやポリフッ化ビニリデンからなるポリマーに電解液を含ませてゲル化したものが用いられたりする。かかる構成によれば、200~300Wh/g程度のエネルギ密度が実現されうる。また、1C~3C程度の電流値での充放電が許容されうる。このような二次電池では、例えば、5Cや、10Aを超えるような比較的大きな電流値での充放電は、劣化が早期に進むために許容されない傾向がある。また、残容量80%を超えた当たりから、充電速度が遅くなるように制御される場合もある。このように、第2電池12は、車両の航続距離を稼ぐため、第1電池11に比べて高容量であるとよい。他方で、第2電池12は、高い電流値での充電や放電に対して、第1電池11よりも劣化しやすい傾向があってもよい。このため、第2電池12は、充電や放電に対して電流値を制限する機構を一緒に用いられてもよい。
【0024】
この実施形態では、第1電池11と第2電池12は、リレーr1を介して電気的に接続されている。また、第1電池11には、電圧値および電流値を検知するセンサs1が設けられている。第2電池12には、電圧値および電流値を検知するセンサs2が設けられている。センサs1およびセンサs2は、それぞれ制御装置15に接続されており、センサs1およびセンサs2の検知信号は、それぞれ制御装置15に送られる。センサs1は、第1電池11の温度を検知する機能をさらに備えていてもよい。センサs2は、第2電池12の温度を検知する機能をさらに備えていてもよい。
【0025】
〈走行用モータ・ジェネレータ13〉
走行用モータ・ジェネレータ13は、走行用モータと発電機の機能を備えた装置である。走行用モータ・ジェネレータ13は、電力を受けて車両の走行に用いられる運動エネルギを生成するとともに、車両の制動時に発生する運動エネルギを電気エネルギに変換することができるように構成されている。走行用モータ・ジェネレータ13は、車両を減速させたり、停止させたりするとき、運動エネルギを電気エネルギに変換する装置である。
【0026】
この実施形態では、走行用モータ・ジェネレータ13と第1電池11とは、リレーr2を介して電気的に接続されている。リレーr2は、コントロールユニットc1に組み込まれている。走行用モータ・ジェネレータ13と第2電池12とは、リレーr3を介して電気的に接続されている。リレーr3は、コントロールユニットc2に組み込まれている。かかる走行用モータ・ジェネレータ13は、電動車用のモータとして種々提案されている。今後、さらに研究が進むことによって、走行用モータ・ジェネレータ13はさらに進化し、さらに高い効率での出力が可能になることが期待されている。従って、走行用モータ・ジェネレータ13は、現在公知のものに限定されない。また、この実施形態では、走行用モータ・ジェネレータ13には、回生電力が生じたことを検知するセンサs3が設けられている。センサs3は、回生電力の大きさが検知されるように構成されているとよい。
【0027】
〈受電ユニット14〉
受電ユニット14は、外部電源30から電力を受けるユニットである。外部電源30は、家庭用電源や街中の充電スポットに設置された電源でありうる。受電ユニット14は、外部電源30に有線または無線(非接触)で電気的に接続されるように構成された装置である。この実施形態では、受電ユニット14には、外部電源30との接続を検知するセンサs4が設けられている。センサs4は、受電ユニット14と外部電源30との有線での接続や、無線での電気的な接続が検知されるように構成されているとよい。センサs4の検知信号は、制御装置15に送られる。受電ユニット14と第1電池11とは、リレーr4を介して電気的に接続されている。受電ユニット14と第2電池12とは、リレーr5を介して電気的に接続されている。センサs4の具体的な構成は、ここでは具体的に開示しないが、機械的な検知手段や電気的な検知手段が適宜に適用されうる。かかる検知手段は、当業者において適宜に採用されうる。
【0028】
〈リレーr1~r5〉
リレーr1~r5は、制御装置15によって制御される半導体リレーとして実現されうる。この実施形態では、リレーr1~r5は、それぞれコントロールユニットc1~c5に組み込まれている。リレーr1~r5は、それぞれ制御装置15によってON・OFFが切り替えられる。また、コントロールユニットc1~c5は、インバータやDC-DCコンバータなどを適宜に備えている。例えば、リレーr1は、第1電池11と第2電池12とを接続する。この際、コントロールユニットc1は、リレーr1のON・OFFとともに、コントロールユニットc1に組み込まれたDC-DCコンバータによって適宜に電圧を制御する。そして、第1電池11と第2電池12の相互間の充電を制御する。
【0029】
また、リレーr2は、第1電池11と走行用モータ・ジェネレータ13とを接続する。リレーr3は、第2電池12と走行用モータ・ジェネレータ13とを接続する。第1電池11と第2電池12などの二次電池の入出力は直流で行なわれる。これに対して走行用モータ・ジェネレータ13の入出力は交流で行なわれる。コントロールユニットc2,c3は、第1電池11と第2電池12から走行用モータ・ジェネレータ13に電圧が印加される際には、直流から交流に変換する。かかる変換は、コントロールユニットc2,c3に組み込まれたインバータによって実行される。また、第1電池11と第2電池12の出力電圧が、走行用モータ・ジェネレータ13の制御電圧よりも低い場合には、コントロールユニットc2,c3に組み込まれたDC-DCコンバータによって昇圧が実行される。
【0030】
リレーr4は、第1電池11と受電ユニット14とを接続する。リレーr5は、第2電池12と受電ユニット14とを接続する。受電ユニット14は、外部電源30と接続される。リレーr4は、第1電池11の入出力特性に応じて適宜に電圧が制御される。リレーr5は、第2電池12の入出力特性に応じて適宜に電圧が制御される。なお、外部電源30から第1電池11への充電電流の制御は、リレーr4が組み込まれたコントロールユニットc4または受電ユニット14によって実施されてもよい。外部電源30から第2電池12への充電電流の制御は、リレーr5が組み込まれたコントロールユニットc5または受電ユニット14によって実施されてもよい。かかる制御を実現するため、コントロールユニットc4,c5および受電ユニット14は、インバータやDC-DCコンバータなどを適宜に備えているとよい。
【0031】
図1では、受電ユニット14から第1電池11への充電は、「Charge I」とされている。受電ユニット14から第2電池12への充電は、「Charge II」とされている。走行用モータ・ジェネレータ13から第1電池11への充電は、「Charge III」とされている。走行用モータ・ジェネレータ13から第2電池12への充電は、「Charge IV」とされている。第2電池12から第1電池11への充電は、「Charge V」とされている。第1電池11から第2電池12への充電は、「Charge VI」とされている。また、第1電池11から走行用モータ・ジェネレータ13への電力供給は、「Mode I」とされている。第2電池12から走行用モータ・ジェネレータ13への電力供給は、「Mode II」とされている。
【0032】
〈制御装置15〉
制御装置15は、受電ユニット14が外部電源30に接続された際に、第1電池11の充電状態が予め定められたSOCよりも低いときには第1電池11に充電し、かつ、第1電池11の充電状態が予め定められたSOC以上であるときには第2電池12に充電するように構成されている。かかる構成によれば、受電ユニット14が外部電源30に接続された際には、受電ユニット14から第1電池11への充電「Charge I」が、受電ユニット14から第2電池12への充電「Charge II」よりも優先される。
【0033】
この実施形態では、受電ユニット14が外部電源30に接続されたか否かは、受電ユニット14に設けられたセンサs4の検知信号に基づいて判定される。第1電池11の充電状態が予め定められたSOCよりも低いか否かは、第1電池11に設けられたセンサs1に基づいて判定される。例えば、センサs1では、第1電池11の電圧値や電流値や温度などの情報が検知される。制御装置15は、センサs1から取得された第1電池11の電圧値や電流値や温度などの検知データに基づいて、第1電池11の充電状態(SOC)が得られるように構成されているとよい。第1電池11のSOCを推定する手法は、二次電池に対して種々の手法が提案されており、第1電池11に対して適当な手法が適宜に採用されうる。制御装置15は、センサs4の検知信号に基づいて受電ユニット14が外部電源30に接続されたと判定された際に、さらに、センサs1に基づいて第1電池11の充電状態が予め定められたSOCよりも低い場合には、受電ユニット14から第1電池11に充電されるように制御する。
【0034】
この場合、図1に示された形態では、制御装置15によって、リレーr4がONにされ、リレーr5と、リレーr1とリレーr2とが共にOFFされるとよい。これによって、外部電源30に接続された受電ユニット14と、第1電池11とが接続され、受電ユニット14を通じて第1電池11が充電される。他方で、受電ユニット14が外部電源30に接続された際に、第1電池11の充電状態が予め定められたSOC以上であるときには、高容量電池である第2電池12に充電されるように構成されている。この場合、図1に示された形態では、制御装置15によって、リレーr5がONにされ、リレーr4と、リレーr1とリレーr3とが共にOFFにされるとよい。
【0035】
かかる制御によれば、受電ユニット14が外部電源30に接続された際に、第1電池11の充電状態が予め定められたSOCよりも低いときには、高出力電池である第1電池11に優先的に充電される。このため、外部電源30で充電された後では、高出力電池が優先的に使用できる状態が確保される。そして、高出力電池によって走行用モータ・ジェネレータ13に電力を供給することができ、適宜に要求に応じて高出力で走行用モータ・ジェネレータ13を駆動させることができる状態を早期に確保できる。このため、第1電池11と第2電池12を効率良く機能させることができる。
【0036】
上述した制御において、第1電池11の充電状態について、予め定められたSOCは、第1電池11に設定される使用範囲の上限SOCであるSOC100%としてもよい。また、充電後に、第1電池11の劣化を抑制するため、また、回生エネルギを受け入れるため、充電量に余裕を残してもよい。かかる観点で、上述した制御において、第1電池11の充電状態について、予め定められたSOCは、SOC80%程度としてもよい。このように、上述した制御において、第1電池11の充電状態について、予め定められたSOCは、第1電池11に設定される使用範囲の上限SOCであるSOC100%~70%程度の範囲において任意のSOCに適切に設定されるとよい。第2電池12についても、同様にセンサs2で検知された情報に基づいて、制御装置15の予め定められた処理によって充電状態(SOC)が推定されるように構成されているとよい。
【0037】
制御装置15は、受電ユニット14から第1電池11に充電する際の電流値が、受電ユニット14から第2電池12に充電する際の電流値よりも高くなるように構成されていてもよい。制御装置15は、例えば、コントロールユニットc4を制御して、受電ユニット14から第1電池11に充電する際に、第1電池11に第1電池11に印加される電圧が高くなるように構成されているとよい。これにより、第1電池11に充電する際の電流値が高くなる。そして、第1電池11に対しては急速に充電される。このため、例えば、第1電池11と第2電池12が共に充電切れの状態になっても、第1電池11に対しては急速に充電されるので、短距離の走行であれば、車両走行システム10を早期に使用可能な充電状態に回復させることができる。
【0038】
制御装置15は、走行用モータ・ジェネレータ13から回生電力が出力された際には、第1電池11に優先的に充電されるように構成されている。具体的には、制御装置15は、走行用モータ・ジェネレータ13から回生電力が出力された際に、第1電池11の充電状態が予め定められたSOCよりも低いときには第1電池11に入力し、第1電池11の充電状態が予め定められたSOC以上であるときには第2電池12に入力するように構成されていてもよい。かかる構成によれば、走行用モータ・ジェネレータ13で回生電力が創出された場合には、走行用モータ・ジェネレータ13から第1電池11への充電「Charge III」が、走行用モータ・ジェネレータ13から第2電池12への充電「Charge IV」よりも優先される。
【0039】
走行用モータ・ジェネレータ13から創出される回生電力は、車両の運動エネルギを制動する際に創出され、瞬間的に大きな電力が創出されうる。これに対して第1電池11は、第2電池12よりも高い充電電流を許容できる。このため、走行用モータ・ジェネレータ13から回生電力が出力された際には、第1電池11に優先的に充電されるように構成されていることによって、走行用モータ・ジェネレータ13で創出された回生電力をより多く回収することができる。これにより、回収された電力は、車両の駆動に利用される。このため、車両の航続距離を延ばすことができる。
【0040】
ここで、走行用モータ・ジェネレータ13から第1電池11に回生電力を入力する場合には、図1に示された形態では、制御装置15によって、リレーr2がONにされ、リレーr1と、リレーr3とリレーr4とが共にOFFにされるとよい。これによって、走行用モータ・ジェネレータ13と第1電池11とが接続される。そして、走行用モータ・ジェネレータ13で創出された回生電力が第1電池11に充電される。この際、電圧値や電流値は、コントロールユニットc2によって適切に制御されるとよい。
【0041】
他方で、走行用モータ・ジェネレータ13から第2電池12に回生電力を入力する場合には、図1に示された形態では、制御装置15によって、リレーr3がONにされ、リレーr1と、リレーr2とリレーr5とが共にOFFにされるとよい。これによって、走行用モータ・ジェネレータ13と第2電池12とが接続される。そして、走行用モータ・ジェネレータ13で創出された回生電力が第2電池12に充電される。この際、電圧値や電流値は、コントロールユニットc3によって適切に制御されるとよい。
【0042】
例えば、第2電池12は、許容される電流値の上限値が、第1電池11よりも低い。かかる観点で、電流値が制御されるとよい。また、図1に示されるように、走行用モータ・ジェネレータ13と第2電池12との電流経路に定電流ダイオードd3が組み込まれていてもよい。定電流ダイオードd3は、走行用モータ・ジェネレータ13から第2電池12へ向かう電流を一定以下に制限するように構成されているとよい。
【0043】
制御装置15は、走行用モータ・ジェネレータ13から要求される出力値が予め定められた出力値以上であり、かつ、第1電池11の充電状態が予め定められたSOC以上のときに、走行用モータ・ジェネレータ13が第1電池11に接続されるように構成されていてもよい。さらに、制御装置15は、走行用モータ・ジェネレータ13から要求される出力値が予め定められた出力値以上であり、かつ、第1電池11の充電状態が予め定められたSOCよりも低いときに、走行用モータ・ジェネレータ13が第2電池12に接続されるように構成されていてもよい。
【0044】
かかる構成によれば、走行用モータ・ジェネレータ13から要求される出力値が高く、いわゆる高負荷時には、高出力電池である第1電池11から優先的に電力が走行用モータ・ジェネレータ13に供給される。つまり、走行用モータ・ジェネレータ13から要求される出力値が高い場合には、第1電池11から走行用モータ・ジェネレータ13への電力供給「Mode I」が優先される。かかる制御は、例えば、車両が急加速や坂道を上る場合に適用されうる。第1電池11は、高出力耐性を備えており、走行用モータ・ジェネレータ13の要求に対して高い電流値での出力が可能である。他方で、第1電池11は、第2電池12に比べて高容量でない。この実施形態では、走行用モータ・ジェネレータ13から要求される出力値が予め定められた出力値以上であり、かつ、第1電池11の充電状態が予め定められたSOCよりも低いときには、走行用モータ・ジェネレータ13が第2電池12に接続されるように構成されている。
【0045】
このため、走行用モータ・ジェネレータ13の要求レベルの出力値を実現できないまでも、走行用モータ・ジェネレータ13への電力供給を止めることなく、走行を継続することができる。また、第1電池11が予め定められたSOCよりも低いSOCになることを防止できる。これにより、第1電池11の劣化が抑制される。また、上述のように、走行用モータ・ジェネレータ13からの回生電力が第1電池11に優先的に供給されるように構成されていることによって、第1電池11のSOCの早期回復や使用率の向上が図られる。
【0046】
制御装置15は、走行用モータ・ジェネレータ13から要求される出力値が予め定められた出力値よりも低く、かつ、第2電池12の充電状態が予め定められたSOC以上のときに、走行用モータ・ジェネレータ13が第2電池12に接続されてもよい。さらに、制御装置15は、走行用モータ・ジェネレータ13から要求される出力値が予め定められた出力値よりも低く、かつ、第2電池12の充電状態が予め定められたSOCよりも低いときに、走行用モータ・ジェネレータ13が第1電池11に接続されるように構成されていてもよい。つまり、走行用モータ・ジェネレータ13から要求される出力値が低い場合には、第2電池12から走行用モータ・ジェネレータ13への電力供給「Mode II」が優先される。
【0047】
かかる構成によれば、走行用モータ・ジェネレータ13から要求される出力値が低く、いわゆる低負荷時には、高容量電池である第2電池12から優先的に電力が走行用モータ・ジェネレータ13に供給される。かかる制御は、例えば、低速かつ一定のスピードで走行する場合に適用されうる。第1電池11は、高出力耐性を備えており、走行用モータ・ジェネレータ13の要求に対して高い電流値での出力が可能である。他方で、第1電池11は、第2電池12に比べて高容量でない。この実施形態では、走行用モータ・ジェネレータ13から要求される出力値が低い場合には、第1電池11から走行用モータ・ジェネレータ13へ電力供給されない。このため、第1電池11に蓄えられた電力を温存できる。これにより、不必要に第1電池11に蓄えられた電力が消費されない。このため、走行用モータ・ジェネレータ13から要求される出力値が大きい場合に、第1電池11からの電力供給で対応しやすくなる。
【0048】
つまり、この実施形態では、車両走行システム10は、高出力電池である第1電池11と高容量電池である第2電池12とを備えている。そして、高い電流値での充放電が必要とされない場合には、第1電池11が温存される。高い電流値での充放電が必要とされる場合には、第1電池11が優先的に使用されるように制御される。さらに走行用モータ・ジェネレータ13で創出された回生電力は、第1電池11に優先的に充電されるように構成されている。このため、走行用モータ・ジェネレータ13の要求に応じて高い出力を適宜に出力することが可能になる。
【0049】
この実施形態では、制御装置15は、第1電池11と第2電池12とが共に走行用モータ・ジェネレータ13から切り離されており、かつ、第1電池11の充電状態が予め定められたSOCよりも低いときに、第2電池12から第1電池11に充電(つまり、Charge V)が行なわれるように構成されている。この場合、図1に示された形態では、制御装置15によって、リレーr1がONにされ、リレーr2~リレーr5が共にOFFにされるとよい。これによって、第1電池11と第2電池12とが接続される。そして、コントロールユニットc1によって、第1電池11から第2電池12に電流が流れるように第1電池11と第2電池12との間の電圧が調整されるとよい。
【0050】
かかる構成によれば、第2電池12から第1電池11への充電が適宜に行われる。このため、第1電池11と第2電池12とが共に走行用モータ・ジェネレータ13から切り離されているときには、第2電池12から第1電池11に電力が供給され、第1電池11の充電状態が予め定められたSOCに回復する。このため、走行用モータ・ジェネレータ13から要求される出力値が高い場合に、高出力電池である第1電池11から走行用モータ・ジェネレータ13に電力供給が行える確率が高くなる。このため、走行用モータ・ジェネレータ13が要求される出力を創出する割合が高くなり、車両の走行性能が向上する。第2電池12から第1電池11に電力が供給される制御は、例えば、第1電池11が予め定められたSOCになると停止するように構成されているとよい。これにより、第2電池12から第1電池11に過剰に電力が供給されることが防止される。
【0051】
さらに、この実施形態では、制御装置15は、第1電池11と第2電池12とが共に走行用モータ・ジェネレータ13から切り離されており、かつ、第1電池11の充電状態が予め定められたSOCよりも高いときに、第1電池11から第2電池12に充電(つまり、Charge VI)が行なわれるように構成されている。この場合、図1に示された形態では、制御装置15によって、リレーr1がONにされ、リレーr2~リレーr5が共にOFFにされるとよい。これによって、第1電池11と第2電池12とが接続される。そして、コントロールユニットc1によって、第2電池12から第1電池11に電流が流れるように第1電池11と第2電池12との間の電圧が調整されるとよい。
【0052】
例えば、走行用モータ・ジェネレータ13で創出された回生電力が第1電池11に充電されて、第1電池11の充電状態が予め定められたSOCよりも高くなる場合がある。この実施形態では、そのような場合に、第1電池11が予め定められたSOCになるまで第1電池11から第2電池12への充電が行われる。このため、第1電池11の充電状態が低くなる。さらに走行用モータ・ジェネレータ13で回生電力が創出された場合に、回生電力が第1電池11に充電されるので、回生電力の回収効率が向上する。なお、第1電池11から第2電池12に電力が供給される制御は、例えば、第1電池11が予め定められたSOCになると停止するように構成されているとよい。これにより、第1電池11から第2電池12に過剰に電力が供給されることが防止され、第1電池11が高い充電状態で維持される。
【0053】
第1電池11は、第2電池12よりも軽く、かつ、小型であるとよい。また、第1電池11は、第2電池12よりも安価に構成されているとよい。この実施形態では、上述のように、第1電池11の使用頻度が高くなる。また、第1電池11は、高い電流値での充放電が繰り返し行われる。このため、第1電池11は、高出力電池として、高い電流値での充放電に対して劣化しにくい電池で構成されているものの、性能劣化は徐々に進行しうる。
【0054】
他方で、この車両走行システム10では、高出力電池である第1電池11を備えており、高容量電池である第2電池12のハイレート(高い電流値)での使用は抑制される。このため、第2電池12は、第1電池11に比べて格段に長寿命化が図られうる。第1電池11は、第2電池12よりも交換頻度が高くなるが、第2電池12よりも安価に構成されている。このため、車両走行システム10全体としての長期的な維持費用が安価に抑えられる。そして、この車両走行システム10では、第1電池11は、第2電池12よりも短いスパンでの消耗部品として扱われうる。第1電池11は、第2電池12よりも軽く、かつ、小型であるため、取り回しが容易であり、交換する際の作業負荷が抑えられる。
【0055】
また、この車両走行システム10は、第1電池11と第2電池12を備えている。第1電池11と第2電池12とは、走行用モータ・ジェネレータ13と、受電ユニット14とにそれぞれ接続される。このため、何れか一方が故障しても直ちに走行不能に陥らない。特に、第1電池11が故障しても、高容量電池である第2電池12が故障しなければ、走行用モータ・ジェネレータ13に対しての電力供給が可能であり、また、長距離の走行も確保できる。このため、この車両走行システム10によれば、全体として電池に起因して走行不能に陥りにくいシステムが提供できる。
【0056】
ここで開示される車両走行システム10は、いわゆる電動車両の走行システムとして好適に適用されうる。また、ここで開示される車両走行システム10としては、電動車両だけでなく、電動スクータや電動バイクや電動キックボードや電動一輪車のような小型の乗り物などにも好適に適用されうる。また、電動バスのような大型の乗り物にも適用可能である。なお、車両走行システム10が適用できる車両の具体的な構成は、走行用モータ・ジェネレータ13に車両の駆動機構に機械的に接続されるとよい。かかる車両の具体的な構成は、電動車両の構成として種々の構成が提案されており、特に限定されない。
【0057】
以上、ここで開示される車両走行システムについて、種々説明した。特に言及されない限りにおいて、ここで挙げられた車両走行システムの実施形態などは本発明を限定しない。また、ここで開示される車両走行システムは、種々変更でき、特段の問題が生じない限りにおいて、各構成要素やここで言及された各処理は適宜に省略され、または、適宜に組み合わされうる。
【符号の説明】
【0058】
10 車両走行システム
11 第1電池(高出力電池)
12 第2電池(高容量電池)
13 走行用モータ・ジェネレータ
14 受電ユニット
15 制御装置
30 外部電源
c1~c5 コントロールユニット
r1~r5 リレー
s1~s4 センサ
図1