(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】置換アミノピリミジン化合物及び使用方法
(51)【国際特許分類】
C07D 403/14 20060101AFI20240308BHJP
C07D 413/14 20060101ALI20240308BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20240308BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240308BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240308BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240308BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240308BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240308BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20240308BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240308BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240308BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240308BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240308BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240308BHJP
A61P 7/02 20060101ALI20240308BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240308BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240308BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20240308BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240308BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240308BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240308BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
C07D403/14
C07D413/14 CSP
A61K31/506
A61K45/00
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61P11/00
A61P11/06
A61P31/12
A61P11/02
A61P37/08
A61P17/00
A61P19/02
A61P25/00
A61P1/00
A61P7/02
A61P9/10
A61P35/00
A61P1/18
A61P13/12
A61P15/00
A61P37/06
A61P25/04
(21)【出願番号】P 2020538684
(86)(22)【出願日】2019-01-18
(86)【国際出願番号】 US2019014101
(87)【国際公開番号】W WO2019143874
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2021-12-20
(32)【優先日】2018-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515014990
【氏名又は名称】サンシャイン・レイク・ファーマ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUNSHINE LAKE PHARMA CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Northern Industrial Area,Songshan Lake,Dongguan,Guangdong 523000,China
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ニン・シ
(72)【発明者】
【氏名】リアン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】シュジン・フェン
(72)【発明者】
【氏名】ミン・リャオ
【審査官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-534146(JP,A)
【文献】特表2016-530338(JP,A)
【文献】特表2014-525438(JP,A)
【文献】国際公開第2015/168079(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
の化合物、又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、溶媒和物、若しくは薬学的に許容される塩
[式中、
各R
1及びR
2は、独立して、H、D、F、CN、NO
2、若しくは(C
1~C
6)アルキルであり、ここで、前記(C
1~C
6)アルキルのそれぞれは、D、F、Cl、Br、オキソ(=O)、及びCNから独立して選択される1、2、3若しくは4個の置換基で場合により置換されており、
Xは、
【化2】
であり、ここで、Xは、
1又は2個のR
3基により場合により置換されており、
mは、1、2又は3であり、
Wは、Nであり、
Aは、H、D、(C
1~C
6)アルキル、又は(C
1~C
6)ヒドロキシアルキルであり、ここで、各(C
1~C
6)アルキル及び(C
1~C
6)ヒドロキシアルキルは、D、オキソ、F、Cl、Br、OH、NH
2、CN、NO
2、(C
1~C
6)アルキル及び(C
1~C
6)アルコキシから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されており、
Bは、シクロプロピル又はフェニルであり、ここで、前記シクロプロピル及びフェニルのそれぞれは、D、オキソ(=O)、F、Cl、Br、CN、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、及びtert-ブチルから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されており、
各R
3及びR
4は、独立して、H、D、F、Cl、Br、CN、NO
2
、(C
1~C
6)アルキル、(C
2~C
6)アルケニル、又は(C
2~C
6)アルキニルであり、ここで、前記(C
1~C
6)アルキル、(C
2~C
6)アルケニル、及び(C
2~C
6)アルキニルのそれぞれは、D、F、Cl、Br、CN、オキソ(=O)、及び(C
1~C
6)アルキルから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されている]。
【請求項2】
式(II):
【化3】
の化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aが、H、D、(C
1~C
4)アルキル、又は(C
1~C
4)ヒドロキシアルキルであり、ここで、各(C
1~C
4)アルキル及び(C
1~C
4)ヒドロキシアルキルが、D、オキソ、F、Cl、Br、OH、NH
2、CN、NO
2、(C
1~C
4)アルキル及び(C
1~C
4)アルコキシから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されている;又は
Aが、H、D、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、1-ヒドロキシエチル、又は2-ヒドロキシプロパ-2-イルであり、ここで、各メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、1-ヒドロキシエチル、及び2-ヒドロキシプロパ-2-イルが、D、オキソ、F、Cl、Br、OH、NH
2、CN、NO
2、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、メトキシル及びエトキシルから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されている、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
各R
1及びR
2が、独立して、H、D、F、CN、NO
2、又は(C
1~C
4)アルキルであり、ここで、前記(C
1~C
4)アルキルのそれぞれが、D、F、Cl、Br、オキソ(=O)、及びCNから独立して選択される1、2、3若しくは4個の置換基で場合により置換されており;又は
各R
1及びR
2が、独立して、H、D、F、CN、メチル、エチル、n-プロピル、又はイソプロピルであり、ここで、メチル、エチル、n-プロピル、及びイソプロピルのそれぞれが、D、F、Cl、Br、オキソ(=O)、及びCNから独立して選択される1、2、3若しくは4個の置換基で場合により置換されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
各R
3及びR
4が、独立して、H、D、F、Cl、Br、CN、NO
2
、(C
1~C
4)アルキル、(C
2~C
4)アルケニル、又は(C
2~C
4)アルキニルであり、ここで、前記(C
1~C
4)アルキル、(C
2~C
4)アルケニル、及び(C
2~C
4)アルキニルのそれぞれが、D、F、Cl、Br、CN、オキソ(=O)、及び(C
1~C
4)アルキルから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されている;又は
各R
3及びR
4が、独立して、H、D、F、Cl、Br、CN、NO
2
、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ビニル、プロペニル、アリル、エチニル、プロピニル、又はプロパルギルであり、ここで、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ビニル、プロペニル、アリル、エチニル、プロピニル、及びプロパルギルのそれぞれが、D、F、Cl、Br、CN、オキソ(=O)、メチル、エチル、n-プロピル及びイソプロピルから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
以下の構造:
【化4A】
【化4B】
【化4C】
【化4D】
【化4E】
のうちの1つを有する化合物、又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、溶媒和物、若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物と、1つ又は複数の薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤、アジュバント、ビヒクル又はそれらの組合せとを含む医薬組成物。
【請求項8】
1つ又は複数の治療剤を更に含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
患者における不適当なPI3-キナーゼ活性により媒介される障害の重症度を、予防する、管理する、処置する又は低下させる際に使用するための、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物又は請求項7若しくは8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記障害が、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、ウイルス性呼吸器感染症、呼吸器疾患のウイルス増悪、アスペルギルス症、リーシュマニア症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ、多発性硬化症、炎症性腸疾患、血栓症、アテローム性動脈硬化症、血液学的悪性腫瘍、神経変性疾患、膵炎、多臓器不全、腎臓疾患、血小板凝集、がん、精子運動性、移植拒絶、移植片拒絶、肺損傷、関節リウマチ若しくは変形性関節症に関連する疼痛、背痛、一般的炎症性疼痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性ニューロパシー、炎症性神経障害性疼痛(外傷)、三叉神経痛、又は中枢性疼痛である、請求項9に記載の化合物又は医薬組成物。
【請求項11】
喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、ウイルス性呼吸器感染症、呼吸器疾患のウイルス増悪、アスペルギルス症、リーシュマニア症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ、多発性硬化症、炎症性腸疾患、血栓症、アテローム性動脈硬化症、血液学的悪性腫瘍、神経変性疾患、膵炎、多臓器不全、腎臓疾患、血小板凝集、がん、精子運動性、移植拒絶、移植片拒絶、肺損傷、関節リウマチ若しくは変形性関節症に関連する疼痛、背痛、一般的炎症性疼痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性ニューロパシー、炎症性神経障害性疼痛(外傷)、三叉神経痛又は中枢性疼痛から選択される障害又は疾患の処置のための医薬の製造において使用するための、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項7若しくは8に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年1月20日に出願された米国仮出願第62/619,741号の利益を主張するものであり、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、キナーゼ活性の阻害剤である、ある特定の新規化合物、それらの調製のための方法、化合物を含む医薬組成物、及び様々な障害の処置における化合物又は組成物の使用を対象とする。より具体的には、本明細書に開示される化合物は、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼキナーゼファミリー(以下、PI3-キナーゼ、PI3K)、例えばPI3Kδ、PI3Kα、PI3Kβ及び/又はPI3Kγの活性又は機能の阻害剤である。
【0003】
したがって、本明細書に開示される化合物は、広範な障害、特に、自己免疫障害、炎症性疾患、アレルギー性疾患、疾患又は感染症関連免疫病理、喘息及びCOPD等の気道疾患、移植拒絶、造血系起源又は固形腫瘍等のがんを含むがこれらに限定されない障害の処置において潜在的に有用である。
【0004】
本明細書に開示される化合物は、PI3-キナーゼの活性又は機能の阻害剤であり、これは、一般的な炎症の障害、関節炎、リウマチ性疾患、変形性関節症、炎症性腸障害、炎症性眼障害、炎症性又は不安定膀胱障害、乾癬、炎症性成分による皮膚病訴、慢性炎症状態の処置において有用であり得、これらには、自己免疫疾患、例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)、重症筋無力症(myestenia gravis)、関節リウマチ、急性散在性脳脊髄炎、特発性血小板減少性紫斑病、多発性硬化症、シェーグレン症候群及び自己免疫性溶血性貧血、すべての形態の過敏症を含むアレルギー状態;呼吸器疾患、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び特発性肺線維症(IPF);ウイルス性呼吸器感染症、並びに喘息及びCOPD等の呼吸器疾患のウイルス増悪を含む、ウイルス感染症;アスペルギルス症及びリーシュマニア症を含む非ウイルス性呼吸器感染症;血栓症及びアテローム性動脈硬化症を含む心血管疾患;神経変性疾患;膵炎;多臓器不全;腎臓疾患;血小板凝集;精子運動性;移植拒絶;移植片拒絶;肺損傷;並びに関節リウマチ又は変形性関節症に関連する疼痛、背痛、一般的炎症性疼痛、ヘルペス後神経痛(post hepatic neuralgia)、糖尿病性ニューロパシー、炎症性神経障害性疼痛(外傷)、三叉神経痛及び中枢性疼痛を含む疼痛;血液学的悪性腫瘍、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)、慢性骨髄性白血病(CML)、T細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、B細胞リンパ腫、並びに固形腫瘍、例えば乳がんが含まれるがこれらに限定されない。
【背景技術】
【0005】
脂質キナーゼのファミリーであるホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3キナーゼ又はPI3K)は、細胞の生存、増殖及び分化を含む多くの細胞プロセスにおいて重要な調節的役割を有することが見出されている。受容体チロシンキナーゼ(RTK)及びGタンパク質共役受容体(GPCR)の下流の主要なエフェクターとして、PI3Kは、セリン-トレオニンプロテインキナーゼAKT(プロテインキナーゼB(PKB)としても公知)及び他の下流エフェクター経路を活性化するリン脂質を生成することにより、様々な成長因子及びサイトカインからのシグナルを細胞内メッセージへと変換する。腫瘍抑制因子又はPTEN(ホスファターゼ及びテンシンホモログ)は、PI3Kシグナル伝達経路の最も重要な負の調節因子である(「Small-molecule inhibitors of the PI3K signaling network.」Future Med Chem.、2011、3、5、549~565)。
【0006】
今日までに、8種の哺乳動物PI3Kが同定されており、それらの遺伝子配列、構造、アダプター分子、発現、活性化様式、及び優先基質に基づいて3つの主要なクラス(I、II及びIII)に分類されている。それらの中でも、クラスIPI3Kは、シグナル伝達経路及び調節タンパク質に基づいてクラスIA及びクラスIBに更に分類される。クラスIA PI3Kは、3つの密接に関係したキナーゼ、PI3Kα、PI3Kβ、及びPI3Kδを含み、これらは、触媒サブユニット(それぞれp110α、p110β、及びp110δ)及びp85調節アダプターサブユニット(すなわち、p85α、p85β、p55δ、p55α及びp50α)からなるヘテロ二量体として存在する。触媒性p110サブユニットはATPを用いてホスファチジルイノシトール(PI、PtdIns)、PI4P及びPI(4,5)P2をリン酸化する。これらは、一般的に受容体チロシンキナーゼ(RTK)を介するシグナル伝達に応答する。クラスIB PI3Kγは、Gタンパク質共役受容体(GPCR)を介してシグナル伝達するものであり、クラスIAアイソフォームとは区別される調節サブユニットと会合し得るp110γ触媒ドメインからなる。
【0007】
リン脂質シグナル伝達経路におけるエフェクター酵素の機能及び調節に関して、クラスI PI3-キナーゼ(例えばPI3Kδ、PI3Kデルタ)は、膜リン脂質プールからセカンドメッセンジャーを生成する。クラスI PI3Kは、膜リン脂質PI(4,5)P2をPI(3,4,5)P3に変換し、これがセカンドメッセンジャーとして機能する。PI及びPI(4)PもまたPI3Kの基質であり、リン酸化されてそれぞれPI3P及びPI(3,4)P2に変換され得る。加えて、これらのホスホイノシチドは、5'-特異的及び3'-特異的ホスファターゼにより他のホスホイノシチドに変換され得る。したがって、PI3K酵素活性は、細胞内シグナル伝達経路においてセカンドメッセンジャーとして機能する2つの3'-ホスホイノシチドサブタイプの生成を直接的又は間接的にもたらす(Nature Reviews Molecular Cell Biology、2010、11、329)。
【0008】
PI3Kα及びPI3Kβアイソフォームの発現は遍在的である一方、PI3Kδ及びPI3Kγの発現パターンはより限定されているように思われ、両アイソフォームは主に白血球において見出される。マウスにおける研究から蓄積されたデータに加えて、PI3Kδ及びPI3Kγの比較的限定された発現パターンは、これら2つのアイソフォームが適応性及び先天性の免疫系において主要な役割を果たすことを示唆している(J. Med. Chem.、2012、55、20、8559~8581)。
【0009】
B細胞及びT細胞において、PI3Kは、B細胞におけるブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)及びT細胞におけるインターロイキン-2誘導性T細胞キナーゼ(ITK)を含むプロテインチロシンキナーゼのTecファミリーの活性化を介して重要な役割を有する。PI3K活性化の際に、BTK又はITKは原形質膜に移動し、そこで、それらはその後Srcキナーゼによりリン酸化される。活性化されたITKの主要な標的の1つは、ホスホリパーゼC-ガンマ(PLCγ1)であり、これは、PI(4,5)P2をPI(3,4,5)P3に加水分解し、活性化T細胞においてプロテインキナーゼCを活性化できるカルシウムレベル及びジアシルグリセロール(DAG)の細胞内増加を引き起こす。
【0010】
PI3Kδキナーゼデッドノックインマウスは生存可能であり、それらの表現型は免疫シグナル伝達における欠陥に限定されている(Okkenhaugら、Science、2002、297、1031~4頁)。これらのトランスジェニックマウスにより、B細胞及びT細胞のシグナル伝達におけるPI3Kδの機能についての見識が得られた。特に、PI3Kδは、CD28及び/又はT細胞受容体(TCR)シグナル伝達の下流のPI(3,4,5)P3形成に必要とされる。TCRの下流のPI3Kシグナル伝達の重要な作用は、抗アポトーシス因子、及びサイトカイン産生のための様々な転写因子をリン酸化する、Aktの活性化である。結果として、不活性なPI3Kδを有するT細胞は、増殖並びにTM及びTh2サイトカイン分泌に欠陥を有する。CD28を介したT細胞の活性化は、抗原によるTCR活性化の閾値を低下させ、増殖応答の規模及び持続時間を増加させる。これらの作用は、重要なT細胞成長因子であるIL2を含むいくつかの遺伝子の転写におけるPI3Kδ依存性増加により媒介される。
【0011】
したがって、PI3K阻害剤は、喘息、COPD及び嚢胞性線維症等の呼吸器疾患に関連するT細胞媒介性炎症応答をモジュレートすることにおけるその役割を介して、治療上の利益をもたらすことが予想される。加えて、T細胞を対象とした療法がコルチコステロイド節約特性を提供し得るという指摘があり(Lancet、1992、339、324~8頁)、これは、この療法が呼吸器疾患において単独療法として、又は吸入若しくは経口糖質コルチコステロイドと組み合わせて有用な療法を提供し得ることを示唆している。PI3K阻害剤はまた、喘息における長時間作用性ベータ-アゴニスト(LABA)等の他の従来の療法と並行して使用してもよい。
【0012】
血管系において、PI3Kδは、内皮細胞により発現され、TNFアルファに応答したこれらの細胞の接着促進状態(proadhesive state)をモジュレートすることにより好中球輸送に関与する(Blood、2004、103、9、3448頁)。内皮細胞のTNFアルファ誘導性シグナル伝達におけるPI3Kδの役割は、Aktリン酸化及びPDK1活性の薬理学的阻害により実証される。加えて、PI3Kδは、VEGF経路を介して血管透過性及び気道組織浮腫に関与している(Allergy Clin. Immunol.、2006、118、2、403頁)。これらの観察は、喘息に関連する白血球血管外遊出及び血管透過性の低減の組合せによる、喘息におけるPI3Kδ阻害の追加の利益を示唆している。加えて、PI3Kδ活性は、インビトロ及びインビボの両方で肥満細胞機能に必要とされており(Nature、2004、431、1007頁; J. Immunol.、2008、180、4、2538頁)、これは、PI3K阻害が、喘息、アレルギー性鼻炎及びアトピー性皮膚炎等のアレルギー性適応症に対して治療上有益であるはずであるということを更に示唆している。
【0013】
B細胞増殖、抗体分泌、B細胞抗原及びIL-4受容体シグナル伝達、B細胞抗原提示機能におけるPI3Kδの役割もまた十分に立証されており(J. Immunol.、2007、178、4、2328~35頁; Blood、2006、107、2、642~50頁)、関節リウマチ又は全身性エリテマトーデス等の自己免疫疾患における役割を示している。したがって、PI3K阻害剤はまた、これらの適応症にも有益であり得る。
【0014】
PI3Kδの薬理学的阻害は、ICAMコーティングしたアガロースマトリックスインテグリン依存性バイアス系上のfMLP依存性好中球走化性を阻害する(J. Immunol.、2003、170、5、2647~54頁)。PI3Kδの阻害は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対する好中球媒介性食作用及び殺菌活性に影響を与えることなく、好中球活性化、接着及び遊走を調節する(Biochem. Biophys. Res. Commun、2003、308、4、764~9頁)。全体としては、データは、PI3Kδ阻害が、先天性免疫防御に必要とされる好中球機能を全体的には阻害しないはずであるということを示唆している。好中球におけるPI3Kδの役割は、COPD又は関節リウマチ等の組織リモデリングを伴う炎症性疾患を処置するための更なる範囲を提供する。
【0015】
ホスホイノシチド3-キナーゼδサブユニット(PI3Kδ)アイソフォームは免疫細胞において主に発現され、大部分の固形腫瘍には存在しない。マウスにおける遺伝子標的化は、成熟B細胞及び他の免疫細胞型におけるPI3Kδについての本質的な機能を立証している。B細胞におけるPI3Kδの重要な下流エフェクターは、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)であり、これは非受容体チロシンキナーゼのTECファミリーのメンバーである。PI3Kδ及びBTKは、B細胞受容体(BCR)、ケモカイン及びサイトカインからのシグナルにより活性化されて、生存、増殖及び支持間質細胞への接着を推進する。しかし、PI3Kδにおける活性化変異はB細胞腫瘍には存在せず、これらの酵素の阻害剤は当初、免疫疾患における用途のために開発された。意外にも、PI3Kδ阻害剤(CAL-101、改名したGS-1101)のフェーズI臨床試験は、不活性B細胞悪性腫瘍を有する患者のサブセットにおいて劇的且つ持続的な応答を示した。更に高い有効性が、リツキシマブ及び/又はベンダムスチンとの併用研究において達成された。PI3Kδ阻害剤は、許容される安全性プロファイルを示している。現在はイデラリシブと呼ばれているその化合物は、慢性リンパ球性白血病(CLL)、濾胞性B細胞非ホジキンリンパ腫(FL)及び再発性小リンパ球性リンパ腫(SLL)を処置することが米国食品医薬品局(FDA)により承認された。(Nature Review Drug Discovery、2014、13、140~156頁)
【0016】
PI3Kγは、JNK活性のGベータ-ガンマ依存性調節のメディエーターとして同定されており、Gベータ-ガンマは、ヘテロ三量体Gタンパク質のサブユニットである(J. Biol. Chem.、1998、273、5、2505~8頁)。PI3Kγは、様々なG(i)共役受容体を介して炎症性シグナルを中継し、肥満細胞機能、白血球との関連における刺激、及び例えば、サイトカイン、ケモカイン、アデノシン、抗体、インテグリン、凝集因子、成長因子、ウイルス又はホルモンを含む免疫学の中心であることが記載されている(Immunity、2002、16、3、441~51頁; J. Cell Sci.、2001、114 (Pt 16)、2903~10頁及びCurr. Opinion Cell Biol.、2002、14、2、203~13頁)。
【0017】
癌遺伝子及び腫瘍抑制遺伝子の調節解除が、例えば、細胞成長及び増殖の増加又は細胞生存の増加を通じて、悪性腫瘍の形成に寄与することは現在十分に理解されている。PI3Kファミリーにより媒介されるシグナル伝達経路が増殖及び生存を含むいくつかの細胞プロセスにおいて中心的役割を有すること、並びにこれらの経路の調節解除が広範なヒトのがん及び他の疾患の原因因子であることもまた現在公知である(Annual Rev. Cell Dev. Biol.、2001、17、615~675頁及びJ. Cell Science、2003、116、15、3037~3040頁)。
【0018】
クラスI PI3K酵素が、直接的又は間接的に、多種多様なヒトのがんにおける腫瘍発生に寄与するという有力な証拠がある(Nature Reviews Cancer、2002、2、7、489~501頁)。例えば、PI3Kδの阻害は、急性骨髄性白血病等の悪性血液疾患の処置のための治療的役割を有し得る(Oncogene、2006、25、50、6648~59頁)。更に、p110α(PIK3CA遺伝子)内の活性化変異は、結腸の腫瘍並びに乳房及び肺の腫瘍等の様々な他の腫瘍に関連付けられてきた(Science、2004、304、5670、554頁; Nature Reviews Cancer、2009、9、551)。
【0019】
多種多様なレトロウイルス及びDNAベースのウイルスは、ウイルス感染中の宿主細胞死を防止して最終的にはウイルスの複製のために宿主細胞合成機構を利用する手段として、PI3K経路を活性化する(Virology、2006、344、1、131~8頁及びNat. Rev. Microbiol.、2008、6、4、265~75頁)。したがって、PI3K阻害剤は、より確立された腫瘍溶解性及び抗炎症性の適応に加えて、抗ウイルス特性を有し得る。これらの抗ウイルス作用は、ウイルス誘導性の炎症性増悪において興味深い展望を提起する。例えば、一般的な風邪ヒトライノウイルス(HRV)は、50%を超える呼吸器感染症の原因であるが、これらの感染症の合併症はある特定の集団において重大なものとなり得る。これは特に、喘息又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)等の呼吸器疾患の場合にそうである。上皮細胞のライノウイルス感染は、PI3K依存性のサイトカイン及びケモカインの分泌につながる(J. Biol. Chem.、2005、280、44、36952頁)。この炎症性応答は、感染中の呼吸器症状の悪化と相関する。したがって、PI3K阻害剤は、他の点では良性であるウイルスに対する過大な免疫応答を弱めることができる。HRV株の大部分は、最初にICAM-1受容体に結合することにより気管支上皮細胞に感染する。次いで、HRV-ICAM-1複合体はエンドサイトーシスにより更に内在化され、この事象はPI3K活性を必要とすることが示されている(J. Immunol.、2008、180、2、870~880頁)。したがって、PI3K阻害剤はまた、宿主細胞へのウイルス侵入を阻害することによりウイルス感染症を遮断する可能性もある。
【0020】
PI3K阻害剤は、真菌感染症であるアスペルギルス症を含む他のタイプの呼吸器感染症を減少させるのに有用であり得る(Mucosal Immunol.、2010、3、2、193~205頁)。加えて、PI3Kδ欠損マウスは、寄生原虫である大形リーシュマニア(Leishmania major)による感染に対してより抵抗性である(J. Immunol.、2009、183、3、1921~1933頁)。ウイルス感染症に対する作用を考え合わせると、これらの報告は、PI3K阻害剤が多種多様な感染症の処置に有用であり得ることを示唆している。
【0021】
PI3K阻害はまた、調節性T細胞分化を促進することも示されており(Proc. Natl. Acad. Sci. USA、2008、105、22、7797~7802頁)、このことは、PI3K阻害剤が、自己抗原又はアレルゲンに対する免疫耐性を誘導することにより自己免疫性又はアレルギー性の適応症において治療目的を果たし得ることを示唆している。最近、PI3Kδアイソフォームはまた、喫煙誘導性糖質コルチコイド非感受性にも関連付けられている(Am. J. Respir. Crit. Care Med.、2009、179、7、542~548頁)。この観察は、他の方法ではコルチコステロイドに対して十分に応答しないCOPD患者が、PI3K阻害剤とコルチコステロイドとの組合せから利益を受け得ることを示唆している。
【0022】
PI3Kはまた、特発性肺線維症(IPF)等の他の呼吸器状態にも関与している。IPFは、肺機能の進行性の低下及び呼吸不全による死亡率の増加を伴う線維性疾患である。IPFでは、循環線維細胞がケモカイン受容体CXCR4を介して肺に向けられる。PI3Kは、CXCR4のシグナル伝達及び発現の両方に必要とされる(Int. J. Biochem. and Cell Biol.、2009、41、1708~1718頁)。したがって、CXCR4発現を減少させてそのエフェクター機能を遮断することにより、PI3K阻害剤は、肺への繊維細胞の動員を阻害し、その結果として、満たされていないニーズが高い疾患であるIPFの基礎をなす線維化プロセスを遅らせるはずである。
【0023】
PI3Kα及びPI3Kβは恒常性の維持において本質的な役割を果たし、これらの分子標的の薬理学的阻害はがん療法に関連している(Mairaら、Expert Opin. Ther. Targets、2008、12、223)。
【0024】
PI3Kαは、インスリンシグナル伝達及び細胞増殖経路に関与する(Nature、2006、441、366)。PI3Kδアイソフォーム選択的阻害は、高血糖、及び代謝又は増殖調節不全等の潜在的な副作用を回避することが期待される。
【0025】
PI3Kγをモジュレートする選択的化合物が、自己免疫疾患のための免疫抑制剤としていくつかのグループにより開発されている(Nature Reviews、2006、5、903~918)。注記として、選択的PI3Kガンマ阻害剤であるAS 605240は、関節リウマチのマウスモデルにおいて有効であり(Nature Medicine、2005、11、936~943)、全身性エリテマトーデスのモデルにおいて疾患の発症を遅らせる(Nature Medicine、2005、11、933~935)ことが示されている。
【0026】
良好な薬物候補である新しいPI3K阻害剤を提供することが求められている。特に、本明細書に開示される化合物は、他の受容体にほとんど親和性を示さずにPI3Kと強力に結合し、阻害剤としての機能的活性を示さなければならない。それらは消化管から良好に吸収され、代謝的に安定であり、好ましい薬物動態特性を有していなければならない。中枢神経系における受容体を標的とする場合、それらは血液脳関門を自由に通過しなければならず、末梢神経系における受容体を選択的に標的とする場合、それらは血液脳関門を通過してはならない。それらは非毒性であるべきであり、副作用をほとんど示してはならない。更に、理想的な薬物候補は、安定で非吸湿性であり容易に製剤化される物理的形態で存在することになる。本明細書に開示される化合物は、異なるパラログPI3Kα、β、γ及びδに対して一定のレベルの選択性を示す。特に、アイソフォームPI3Kδに対して一定のレベルの選択性を示す。
【0027】
したがって、本明細書に開示される化合物は、広範な障害、特に、自己免疫障害、炎症性疾患、アレルギー性疾患、疾患又は感染症関連免疫病理、気道疾患、移植拒絶、造血系起源又は固形腫瘍のがんを含むがこれらに限定されない障害の処置において潜在的に有用である。
【0028】
本発明はまた、単独の、又は1つ若しくは複数の他の薬理学的に活性な化合物と組み合わせた処置にも関し、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び特発性肺線維症(IPF)を含む呼吸器疾患;ウイルス性呼吸器感染症、並びに喘息及びCOPD等の呼吸器疾患のウイルス増悪を含む、ウイルス感染症;アスペルギルス症及びリーシュマニア症を含む非ウイルス性呼吸器感染症;アレルギー性鼻炎及びアトピー性皮膚炎を含むアレルギー性疾患;関節リウマチ及び多発性硬化症を含む自己免疫疾患;炎症性腸疾患を含む炎症性障害;血栓症及びアテローム性動脈硬化症を含む心血管疾患(Future Med. Chem.、2013、5、4、479~492; Biochemical Society Transactions、2004、32、378);血液学的悪性腫瘍;神経変性疾患;膵炎;多臓器不全;腎臓疾患;血小板凝集;がん;精子運動性;移植拒絶;移植片拒絶;肺損傷;並びに関節リウマチ又は変形性関節症に関連する疼痛、背痛、一般的炎症性疼痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性ニューロパシー、炎症性神経障害性疼痛(外傷)、三叉神経痛及び中枢性疼痛を含む疼痛;血液学的悪性腫瘍、例えば、急性骨髄性白血病(AML) 骨髄異形成症候群(MDS) 骨髄増殖性疾患(MPD)、慢性骨髄性白血病(CML)、T細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)、B細胞慢性リンパ球性白血病(B-CLL)、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)、濾胞性B細胞非ホジキンリンパ腫(FL)、再発性小リンパ球性リンパ腫(SLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL) B細胞リンパ腫、並びに固形腫瘍、例えば乳がん及び肺がんにおいて、状態、疾患又は障害を処置する方法を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
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【文献】米国特許第6,390,291号
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【文献】米国特許第6,360,739号
【文献】米国特許第6,431,168号
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【文献】WO02/38561
【文献】WO03/82859
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【文献】WO03/082827
【文献】WO98/54159
【文献】WO04/005229
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【文献】WO03/082280
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【文献】WO03/101932
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【文献】WO93/13055
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【文献】WO99/17804
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【文献】WO98/10121
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【文献】WO98/08849
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【文献】WO98/22461
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【文献】WO98/10767
【文献】WO97/30034
【文献】WO97/49688
【文献】WO97/38983
【文献】WO96/30347
【文献】WO96/33980
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【非特許文献】
【0030】
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【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明者らは、キナーゼ活性、特にPI3-キナーゼ活性の阻害剤である新規化合物を発見した。PI3-キナーゼ阻害剤である化合物は、不適当なキナーゼ活性、特に不適当なPI3-キナーゼ活性に関連する障害の処置、例えば、PI3-キナーゼ機序により媒介される障害の処置及び予防において有用であり得る。そのような障害には、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び特発性肺線維症(IPF)を含む呼吸器疾患;ウイルス性呼吸器感染症、並びに喘息及びCOPD等の呼吸器疾患のウイルス増悪を含む、ウイルス感染症;アスペルギルス症及びリーシュマニア症を含む非ウイルス性呼吸器感染症;アレルギー性鼻炎及びアトピー性皮膚炎を含むアレルギー性疾患;関節リウマチ及び多発性硬化症を含む自己免疫疾患;炎症性腸疾患を含む炎症性障害;血栓症及びアテローム性動脈硬化症を含む心血管疾患;血液学的悪性腫瘍;神経変性疾患;膵炎;多臓器不全;腎臓疾患;血小板凝集;がん;精子運動性;移植拒絶;移植片拒絶;肺損傷;並びに関節リウマチ又は変形性関節症に関連する疼痛、背痛、一般的炎症性疼痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性ニューロパシー、炎症性神経障害性疼痛(外傷)、三叉神経痛及び中枢性疼痛を含む疼痛が含まれる。
【0032】
一実施形態において、本明細書に開示される化合物は、他のキナーゼよりもPI3-キナーゼに対して選択性を示し得る。
【0033】
別の実施形態において、本明細書に開示される化合物は、PI3Kδの強力な阻害剤であり得る。
【0034】
更なる実施形態において、本明細書に開示される化合物は、他のPI3-キナーゼよりもPI3Kδに対して選択性を示し得る。
【0035】
一態様において、本明細書において提供されるのは、式(I):
【0036】
【0037】
を有する化合物、又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、溶媒和物、代謝産物、薬学的に許容される塩若しくはプロドラッグ[式中、X、W、A、B、m、Ra、Rb、R1、R2及びR4のそれぞれは、本明細書において定義されている通りである]である。
【0038】
ある特定の実施形態において、各R1及びR2は、独立して、H、D、F、CN、NO2、-C(=O)Ra、-C(=O)ORa、-C(=O)NRaRb、-(C1~C4)アルキレン-C(=O)NRaRb、-(C1~C4)アルキレン-N(Rc)C(=O)NRaRb、-(C1~C4)アルキレン-N(Rc)C(=O)ORa、-(C1~C4)アルキレン-OC(=O)NRaRb、-(C1~C4)アルキレン-S(=O)2NRaRb、-(C1~C4)アルキレン-N(Rc)S(=O)2Rb、-(C1~C4)アルキレン-ORa、-(C1~C4)アルキレン-NRaRb、(C1~C6)アルキル、(C2~C6)アルケニル、(C2~C6)アルキニル、(C3~C8)シクロアルキル、-(C1~C4)アルキレン-(C3~C8)シクロアルキル、3~8員ヘテロシクリル、-(C1~C4)アルキレン-(3~8員ヘテロシクリル)、(C6~C10)アリール、-(C1~C4)アルキレン-(C6~C10)アリール、5~10員ヘテロアリール、若しくは-(C1~C4)アルキレン-(5~10員ヘテロアリール)であり、ここで、(C1~C6)アルキル、(C2~C6)アルケニル、(C2~C6)アルキニル、(C3~C8)シクロアルキル、-(C1~C4)アルキレン-(C3~C8)シクロアルキル、3~8員ヘテロシクリル、-(C1~C4)アルキレン-(3~8員ヘテロシクリル)、(C6~C10)アリール、-(C1~C4)アルキレン-(C6~C10)アリール、5~10員ヘテロアリール及び-(C1~C4)アルキレン-(5~10員ヘテロアリール)のそれぞれは、D、F、Cl、Br、オキソ(=O)、CN、Ra、ORa、NRaRb、(C1~C6)アルキル、-(C1~C4)アルキレン-ORa及び-(C1~C4)アルキレン-NRaRbから独立して選択される1、2、3若しくは4個の置換基で場合により置換されており;又はR1及びR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されている3~8員の炭素環式若しくは複素環式環を形成し、
Xは、3~8員ヘテロシクリル、(C6~C10)アリール又は5~10員ヘテロアリールであり、ここで、Xは、1、2、3、4又は5個のR3基により場合により置換されており、
mは、1、2又は3であり、
Wは、N又はCR5であり、
Aは、H、D、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)ハロアルキル、(C1~C6)ヒドロキシアルキル、(C1~C6)アミノアルキル、(C3~C8)シクロアルキル又は3~8員ヘテロシクリルであり、ここで、各(C1~C6)アルキル、((C1~C6)ハロアルキル、(C1~C6)ヒドロキシアルキル、(C1~C6)アミノアルキル、(C3~C8)シクロアルキル及び3~8員ヘテロシクリルは、D、オキソ、F、Cl、Br、OH、NH2、CN、NO2、(C1~C6)アルキル及び(C1~C6)アルコキシから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されており、
Bは、(C3~C8)シクロアルキル、3~8員ヘテロシクリル、(C6~C10)アリール又は5~10員ヘテロアリールであり、ここで、(C3~C8)シクロアルキル、3~8員ヘテロシクリル、(C6~C10)アリール及び5~10員ヘテロアリールのそれぞれは、D、オキソ(=O)、F、Cl、Br、CN、Ra、ORa、NRaRb、(C1~C6)アルキル、-(C1~C4)アルキレン-ORa及び-(C1~C4)アルキレン-NRaRbから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されており、
各R3、R4及びR5は、独立して、H、D、F、Cl、Br、CN、NO2、オキソ(=O)、-C(=O)Ra、-C(=O)ORa、-C(=O)NRaRb、-OC(=O)NRaRb、-OC(=O)ORa、-N(Rc)C(=O)NRaRb、-N(Rc)C(=O)ORa、-N(Rc)C(=O)Ra、-S(=O)2NRaRb、-S(=O)2Ra、-N(Rc)S(=O)2Ra、-N(Rc)-(C1~C4)アルキレン-S(=O)2Ra、-(C1~C4)アルキレン-C(=O)NRaRb、-(C1~C4)アルキレン-N(Rc)C(=O)NRaRb、-(C1~C4)アルキレン-N(Rc)C(=O)ORa、-(C1~C4)アルキレン-OC(=O)NRaRb、-(C1~C4)アルキレン-S(=O)2NRaRb、-(C1~C4)アルキレン-N(Rc)S(=O)2Ra、ORa、NRaRb、-(C1~C4)アルキレン-ORa、-(C1~C4)アルキレン-NRaRb、(C1~C6)アルキル、(C2~C6)アルケニル、(C2~C6)アルキニル、(C3~C8)シクロアルキル、-(C1~C4)アルキレン-(C3~C8)シクロアルキル、3~8員ヘテロシクリル、-(C1~C4)アルキレン-(3~8員ヘテロシクリル)、(C6~C10)アリール、-(C1~C4)アルキレン-(C6~C10)アリール、5~10員ヘテロアリール、又は-(C1~C4)アルキレン-(5~10員ヘテロアリール)であり、ここで、(C1~C6)アルキル、(C2~C6)アルケニル、(C2~C6)アルキニル、(C3~C8)シクロアルキル、-(C1~C4)アルキレン-(C3~C8)シクロアルキル、3~8員ヘテロシクリル、-(C1~C4)アルキレン-(3~8員ヘテロシクリル)、(C6~C10)アリール、-(C1~C4)アルキレン-(C6~C10)アリール、5~10員ヘテロアリール及び-(C1~C4)アルキレン-(5~10員ヘテロアリール)のそれぞれは、D、F、Cl、Br、CN、オキソ(=O)、Ra、ORa、NRaRb、(C1~C6)アルキル、-(C1~C4)アルキレン-ORa及び-(C1~C4)アルキレン-NRaRbから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されており、
各Ra、Rb及びRcは、独立して、H、(C1~C6)アルキル、(C2~C6)アルケニル、(C2~C6)アルキニル、(C3~C6)シクロアルキル、-(C1~C4)アルキレン-(C3~C6)シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、-(C1~C4)アルキレン-(3~6員ヘテロシクリル)、(C6~C10)アリール、-(C1~C4)アルキレン-(C6~C10)アリール、5~10員ヘテロアリール、若しくは-(C1~C4)アルキレン-(5~10員ヘテロアリール)であり、ここで、(C1~C6)アルキル、(C2~C6)アルケニル、(C2~C6)アルキニル、(C3~C6)シクロアルキル、-(C1~C4)アルキレン-(C3~C6)シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、-(C1~C4)アルキレン-(3~6員ヘテロシクリル)、(C6~C10)アリール、-(C1~C4)アルキレン-(C6~C10)アリール、5~10員ヘテロアリール及び-(C1~C4)アルキレン-(5~10員ヘテロアリール)のそれぞれは、D、F、Cl、Br、CN、NO2、N3、OH、NH2、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)ハロアルキル、(C1~C6)アルコキシ及び(C1~C6)アルキルアミノから独立して選択される1、2、3若しくは4個の置換基で場合により置換されており;又はRa及びRbは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、場合により置換されている3~8員の複素環式環を形成する。
【0039】
別の実施形態において、式(II):
【0040】
【0041】
を有する化合物である。
【0042】
別の実施形態において、Xは、3~6員ヘテロシクリル又は5~6員ヘテロアリールであり、ここで、Xは、1、2、3又は4個のR3基により場合により置換されている。
【0043】
別の実施形態において、Xは、
【0044】
【0045】
であり、ここで、Xは、1、2、又は3個のR3基により場合により置換されている。
【0046】
別の実施形態において、Xは、
【0047】
【0048】
であり、ここで、Xは、1、2、又は3個のR3基により場合により置換されている。
【0049】
別の実施形態において、Aは、H、D、(C1~C4)アルキル、(C1~C4)ハロアルキル、(C1~C4)ヒドロキシアルキル、(C1~C4)アミノアルキル、(C3~C6)シクロアルキル又は3~6員ヘテロシクリルであり、ここで、各(C1~C4)アルキル、(C1~C4)ハロアルキル、(C1~C4)ヒドロキシアルキル、(C1~C4)アミノアルキル、(C3~C6)シクロアルキル及び3~6員ヘテロシクリルは、D、オキソ、F、Cl、Br、OH、NH2、CN、NO2、(C1~C4)アルキル及び(C1~C4)アルコキシから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されている。
【0050】
別の実施形態において、Aは、H、D、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、1,2-ジフルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、1-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロパ-2-イル、アミノメチル、2-アミノエチル、1-アミノエチル、2-アミノプロパ-2-イル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェン、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル又はチオモルホリニルであり、ここで、各メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、1,2-ジフルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、1-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロパ-2-イル、アミノメチル、2-アミノエチル、1-アミノエチル、2-アミノプロパ-2-イル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェン、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル及びチオモルホリニルは、D、オキソ、F、Cl、Br、OH、NH2、CN、NO2、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、メトキシル及びエトキシルから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されている。
【0051】
別の実施形態において、Bは、(C3~C6)シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、(C6~C10)アリール又は5~6員ヘテロアリールであり、ここで、(C3~C6)シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、(C6~C10)アリール及び5~6員ヘテロアリールのそれぞれは、D、オキソ(=O)、F、Cl、Br、CN、Ra、ORa、NRaRb、(C1~C4)アルキル、-(C1~C2)アルキレン-ORa及び-(C1~C2)アルキレン-NRaRbから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されている。
【0052】
別の実施形態において、Bは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、フェニル、ピロリル、チエニル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル又はピラジニルであり、ここで、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、フェニル、ピロリル、チエニル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル及びピラジニルのそれぞれは、D、オキソ(=O)、F、Cl、Br、CN、Ra、ORa、NRaRb、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、-(C1~C2)アルキレン-ORa及び-(C1~C2)アルキレン-NRaRbから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されている。
【0053】
別の実施形態において、各R1及びR2は、独立して、H、D、F、CN、NO2、-C(=O)NRaRb、-(C1~C2)アルキレン-C(=O)NRaRb、-(C1~C2)アルキレン-N(Rc)C(=O)NRaRb、-(C1~C2)アルキレン-N(Rc)C(=O)ORa、-(C1~C2)アルキレン-OC(=O)NRaRb、-(C1~C2)アルキレン-S(=O)2NRaRb、-(C1~C2)アルキレン-N(Rc)S(=O)2Rb、-(C1~C2)アルキレン-ORa、-(C1~C2)アルキレン-NRaRb、(C1~C4)アルキル、(C2~C4)アルケニル、(C2~C4)アルキニル、(C3~C6)シクロアルキル、-(C1~C2)アルキレン-(C3~C6)シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、-(C1~C2)アルキレン-(3~6員ヘテロシクリル)、(C6~C10)アリール、-(C1~C2)アルキレン-(C6~C10)アリール、5~6員ヘテロアリール、若しくは-(C1~C4)アルキレン-(5~6員ヘテロアリール)であり、ここで、(C1~C4)アルキル、(C2~C4)アルケニル、(C2~C4)アルキニル、(C3~C6)シクロアルキル、-(C1~C2)アルキレン-(C3~C6)シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、-(C1~C2)アルキレン-(3~6員ヘテロシクリル)、フェニル、-(C1~C2)アルキレン-フェニル、5~6員ヘテロアリール及び-(C1~C2)アルキレン-(5~6員ヘテロアリール)のそれぞれは、D、F、Cl、Br、オキソ(=O)、CN、Ra、ORa、NRaRb、(C1~C4)アルキル、-(C1~C2)アルキレン-ORa及び-(C1~C2)アルキレン-NRaRbから独立して選択される1、2、3若しくは4個の置換基で場合により置換されており;又はR1及びR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されている3~6員の炭素環式若しくは複素環式環を形成する。
【0054】
別の実施形態において、各R1及びR2は、独立して、H、D、F、CN、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル若しくはチオモルホリニルであり、ここで、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル及びチオモルホリニルのそれぞれは、D、F、Cl、Br、オキソ(=O)、CN、Ra、ORa、NRaRb、(C1~C4)アルキル、-(C1~C2)アルキレン-ORa及び-(C1~C2)アルキレン-NRaRbから独立して選択される1、2、3若しくは4個の置換基で場合により置換されており;又はR1及びR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されている3~6員の炭素環式若しくは複素環式環を形成する。
【0055】
別の実施形態において、各R3、R4及びR5は、独立して、H、D、F、Cl、Br、CN、NO2、オキソ(=O)、-C(=O)NRaRb、-N(Rc)C(=O)NRaRb、-N(Rc)C(=O)ORa、-N(Rc)C(=O)Ra、-S(=O)2NRaRb、-N(Rc)S(=O)2Ra、-N(Rc)-(C1~C2)アルキレン-S(=O)2Ra、-(C1~C2)アルキレン-C(=O)NRaRb、-(C1~C2)アルキレン-N(Rc)C(=O)NRaRb、-(C1~C2)アルキレン-S(=O)2NRaRb、-(C1~C2)アルキレン-N(Rc)S(=O)2Ra、ORa、NRaRb、-(C1~C2)アルキレン-ORa、-(C1~C2)アルキレン-NRaRb、(C1~C4)アルキル、(C2~C4)アルケニル、(C2~C4)アルキニル、(C3~C6)シクロアルキル、-(C1~C2)アルキレン-(C3~C6)シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、-(C1~C2)アルキレン-(3~6員ヘテロシクリル)、(C6~C10)アリール、-(C1~C2)アルキレン-(C6~C10)アリール、5~6員ヘテロアリール、又は-(C1~C2)アルキレン-(5~6員ヘテロアリール)であり、ここで、(C1~C4)アルキル、(C2~C4)アルケニル、(C2~C4)アルキニル、(C3~C6)シクロアルキル、-(C1~C2)アルキレン-(C3~C6)シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、-(C1~C2)アルキレン-(3~6員ヘテロシクリル)、(C6~C10)アリール、-(C1~C2)アルキレン-(C6~C10)アリール、5~6員ヘテロアリール及び-(C1~C2)アルキレン-(5~6員ヘテロアリール)のそれぞれは、D、F、Cl、Br、CN、オキソ(=O)、Ra、ORa、NRaRb、(C1~C4)アルキル、-(C1~C2)アルキレン-ORa及び-(C1~C2)アルキレン-NRaRbから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されている。
【0056】
別の実施形態において、各R3、R4及びR5は、独立して、H、D、F、Cl、Br、CN、NO2、オキソ(=O)、-C(=O)NRaRb、-N(Rc)C(=O)NRaRb、-N(Rc)C(=O)ORa、-N(Rc)C(=O)Ra、-S(=O)2NRaRb、-N(Rc)S(=O)2Ra、ORa、NRaRb、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ビニル、プロペニル、アリル、エチニル、プロピニル、プロパルギル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、フェニル、ピロリル、チエニル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル又はピラジニルであり、ここで、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ビニル、プロペニル、アリル、エチニル、プロピニル、プロパルギル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、フェニルピロリル、チエニル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル及びピラジニルのそれぞれは、D、F、Cl、Br、CN、オキソ(=O)、Ra、ORa、NRaRb、メチル、エチル、n-プロピル又はイソプロピルから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されている。
【0057】
別の実施形態において、Ra、Rb及びRcは、独立して、H、(C1~C4)アルキル、(C2~C4)アルケニル、(C2~C4)アルキニル、(C3~C6)シクロアルキル、-(C1~C2)アルキレン-(C3~C6)シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、-(C1~C2)アルキレン-(3~6員ヘテロシクリル)又は5~6員ヘテロアリールであり、ここで、(C1~C4)アルキル、(C2~C4)アルケニル、(C2~C4)アルキニル、(C3~C6)シクロアルキル、-(C1~C2)アルキレン-(C3~C6)シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、-(C1~C2)アルキレン-(3~6員ヘテロシクリル)及び5~6員ヘテロアリールのそれぞれは、D、F、Cl、CN、NO2、N3、OH、NH2、(C1~C4)アルキル、(C1~C4)ハロアルキル、(C1~C4)アルコキシ及び(C1~C4)アルキルアミノから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されている。
【0058】
別の実施形態において、各Ra、Rb及びRcは、独立して、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ビニル、プロペニル、アリル、エチニル、プロピニル、プロパルギル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、フェニル、ピロリル、チエニル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル又はピラジニルであり、ここで、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ビニル、プロペニル、アリル、エチニル、プロピニル、プロパルギル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、フェニル、ピロリル、チエニル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル及びピラジニルのそれぞれは、D、F、Cl、CN、NO2、N3、OH、NH2、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、メトキシル、エトキシル、メチルアミノ及びジメチルアミノから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されている。
【0059】
本発明の一態様において、本明細書に開示される化合物、又は本明細書に開示される薬学的に許容される塩は、医薬として使用するために提供される。
【0060】
本発明の別の態様において、医薬組成物は、薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤、アジュバント、ビヒクル又はそれらの組合せ、及び式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含むものが提供される。いくつかの実施形態において、組成物は、1つ又は複数の治療剤を含む。別の実施形態において、組成物は、液体、固体、半固体、ゲル、又はエアロゾル形態である。
【0061】
本発明の別の態様は、対象においてPI3K酵素の、好ましくはPI3Kδアイソフォームの活性をモジュレートする方法であって、治療有効量の本明細書に開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩を対象に投与する工程を含む方法を提供する。
【0062】
本発明の別の態様は、不適当なPI3-キナーゼ活性により媒介される障害を処置する方法であって、安全且つ有効な量の、本明細書に開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与する工程を含む方法を提供する。
【0063】
本発明の別の態様は、不適当なPI3-キナーゼ活性により媒介される障害を処置する方法であって、本明細書に開示される薬剤を、それを必要とする患者に投与する工程を含む方法を提供する。
【0064】
いくつかの実施形態において、不適当なPI3-キナーゼ活性により媒介される障害は、呼吸器疾患、ウイルス感染症、非ウイルス性呼吸器感染症、アレルギー性疾患、自己免疫疾患、炎症性障害、心血管疾患、血液学的悪性腫瘍、神経変性疾患、膵炎、多臓器不全、腎臓疾患、血小板凝集、がん、精子運動性、移植拒絶、移植片拒絶、肺損傷、又は疼痛である。
【0065】
別の実施形態において、不適当なPI3-キナーゼ活性により媒介される障害は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、ウイルス性呼吸器感染症、呼吸器疾患のウイルス増悪、アスペルギルス症、リーシュマニア症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ、多発性硬化症、炎症性腸疾患、血栓症、アテローム性動脈硬化症、血液学的悪性腫瘍、神経変性疾患、膵炎、多臓器不全、腎臓疾患、血小板凝集、がん、精子運動性、移植拒絶、移植片拒絶、肺損傷、関節リウマチ若しくは変形性関節症に関連する疼痛、背痛、一般的炎症性疼痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性ニューロパシー、炎症性神経障害性疼痛(外傷)、三叉神経痛又は中枢性疼痛である。
【0066】
本発明の別の態様は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、ウイルス性呼吸器感染症、呼吸器疾患のウイルス増悪、アスペルギルス症、リーシュマニア症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ、多発性硬化症、炎症性腸疾患、血栓症、アテローム性動脈硬化症、血液学的悪性腫瘍、神経変性疾患、膵炎、多臓器不全、腎臓疾患、血小板凝集、がん、精子運動性、移植拒絶、移植片拒絶、肺損傷、関節リウマチ若しくは変形性関節症に関連する疼痛、背痛、一般的炎症性疼痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性ニューロパシー、炎症性神経障害性疼痛(外傷)、三叉神経痛又は中枢性疼痛から選択される障害又は疾患の処置のための医薬の製造における、本明細書に開示される化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又は本明細書に開示される医薬組成物の使用を提供する。
【0067】
本発明の別の態様において、ホスファチジルイノシトール-3キナーゼ(PI3キナーゼ)を阻害する方法は、PI3キナーゼを有効量の本明細書に開示される化合物と接触させる工程を含むものが提供される。いくつかの実施形態において、接触させる工程は、前記PI3キナーゼを含む細胞を接触させる工程を含む。方法のいくつかの実施形態において、阻害は、1つ又は複数のタイプのPI3キナーゼの機能不全に関連する障害に罹患している対象において起こる。1つ又は複数のタイプのPI3キナーゼの機能不全を伴ういくつかの例示的な疾患は、自己免疫疾患、関節リウマチ、呼吸器疾患、アレルギー性反応、及び様々なタイプのがんからなる群から選択される。
【0068】
いくつかの実施形態において、方法は、第2の治療剤を対象に投与する工程を含む。
【0069】
ある特定の実施形態において、PI3K媒介性の状態又は障害は、関節リウマチ、強直性脊椎炎、変形性関節症、乾癬性関節炎、乾癬、炎症性疾患、及び自己免疫疾患から選択される。他の実施形態において、PI3K媒介性の状態又は障害は、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、高血圧、深部静脈血栓症、卒中、心筋梗塞、不安定狭心症、血栓塞栓症、肺塞栓症、血栓溶解疾患、急性動脈虚血、末梢血栓性閉塞、及び冠動脈疾患から選択される。更に他の実施形態において、PI3K媒介性の状態又は障害は、がん、結腸がん、神経膠芽腫、子宮内膜癌、肝細胞がん、肺がん、黒色腫、腎細胞癌、甲状腺癌、細胞リンパ腫、リンパ増殖性障害、小細胞肺がん、扁平上皮細胞肺癌、神経膠腫、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮頸がん、及び白血病から選択される。更に別の実施形態において、PI3K媒介性の状態又は障害は、II型糖尿病から選択される。更に他の実施形態において、PI3K媒介性の状態又は障害は、呼吸器疾患、気管支炎、喘息、及び慢性閉塞性肺疾患から選択される。ある特定の実施形態において、対象はヒトである。
【0070】
本発明の別の態様は、患者におけるPI3K媒介性の状態又は障害の処置であって、上記実施形態のいずれかによる化合物を投与する工程を含む処置に関する。
【0071】
本発明の別の態様は、患者における関節リウマチ、強直性脊椎炎、変形性関節症、乾癬性関節炎、乾癬、炎症性疾患又は自己免疫疾患の処置であって、上記実施形態のいずれかによる化合物を投与する工程を含む処置に関する。
【0072】
本発明の別の態様は、患者における喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び特発性肺線維症(IPF)を含む呼吸器疾患の処置であって、上記実施形態のいずれかによる化合物を投与する工程を含む処置に関する。
【0073】
本発明の別の態様は、患者における炎症性腸障害、炎症性眼障害、炎症性又は不安定膀胱障害、炎症性成分による皮膚病訴、慢性炎症状態、全身性エリテマトーデス(SLE)、重症筋無力症、急性散在性脳脊髄炎、特発性血小板減少性紫斑病、多発性硬化症、シェーグレン症候群及び自己免疫性溶血性貧血、アレルギー状態並びに過敏症の処置であって、上記又は下記の実施形態のいずれかによる化合物を投与する工程を含む処置に関する。
【0074】
本発明の別の態様は、PI3K活性、特にPI3Kデルタ活性に媒介され、依存し、又は関連する患者におけるがんの処置であって、上記又は下記の実施形態のいずれかによる化合物を投与する工程を含む処置に関する。
【0075】
本発明の別の態様は、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性疾患、慢性骨髄性白血病、T細胞急性リンパ芽球性白血病、B細胞急性リンパ芽球性白血病、非ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、固形腫瘍及び乳がんから選択されるがんの処置であって、上記又は下記の実施形態のいずれかによる化合物を投与する工程を含む処置に関する。
【0076】
本発明の別の態様は、医薬としての上記実施形態のいずれかによる化合物の使用に関する。
【0077】
本発明の別の態様は、患者におけるPI3K媒介性の状態又は障害の処置のための医薬の製造における上記実施形態のいずれかによる化合物の使用に関する。
【0078】
本発明の別の態様は、関節リウマチ、強直性脊椎炎、変形性関節症、乾癬性関節炎、乾癬、炎症性疾患、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び特発性肺線維症(IPF)を含む呼吸器疾患、自己免疫疾患、並びにがんの処置のための医薬の製造における上記実施形態のいずれかによる化合物の使用に関する。
【0079】
別段の記載がない限り、本明細書に開示される化合物のすべての立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、水和物、代謝産物、塩、及び薬学的に許容されるプロドラッグは、本発明の範囲内である。
【0080】
ある特定の実施形態において、塩は、薬学的に許容される塩である。語句「薬学的に許容される」は、物質又は組成物が、製剤を構成する他の成分、及び/又はそれで処置される哺乳動物と、化学的及び/又は毒物学的に適合するものでなくてはならないことを示す。
【0081】
本明細書に開示される化合物はまた、そのような化合物の塩であって、必ずしも薬学的に許容される塩ではなく、式(I)の化合物を調製及び/若しくは精製するため並びに/又は式(I)の化合物のエナンチオマーを分離するための中間体として有用となり得る塩も含む。
【0082】
それらの塩を含む本明細書に開示される化合物はまた、それらの水和物の形態で得ることもでき、又はそれらの結晶化に使用される他の溶媒を含むこともできる。本明細書に開示される化合物は、本質的に又は設計により、薬学的に許容される溶媒(水を含む)と溶媒和物を形成してもよく、したがって、本発明は溶媒和及び非溶媒和形態の両方を包含することが意図されている。
【0083】
別の態様において、本明細書において提供されるのは、式(I)の化合物を調製する方法、分離する方法及び精製する方法である。本明細書に開示される化合物は、一般的にいくつかの不斉中心を有していてもよく、典型的にラセミ混合物の形態で表される。本発明は、ラセミ混合物、部分的ラセミ混合物、並びに別個のエナンチオマー及びジアステレオマーを包含することが意図されている。
【0084】
本明細書に開示される化合物は、可能な異性体、回転異性体、アトロプ異性体、互変異性体又はそれらの混合物のうちの1つの形態であり得る。本発明は、異性体、回転異性体、アトロプ異性体、互変異性体の混合物、部分的に混合された異性体、回転異性体、アトロプ異性体、又は互変異性体、及び分離された異性体、回転異性体、アトロプ異性体、互変異性体を包含することが意図されている。
【0085】
別の態様において、本明細書に開示される化合物は、本明細書において定義されている通りの同位体標識化合物、例えば、3H、14C及び18F等の放射性同位体が中に存在するもの、又は2H及び13C等の非放射性同位体が中に存在するものを含む。
【0086】
別の態様において、本明細書において提供されるのは、式(I)の化合物を調製する方法、分離する方法及び精製する方法である。
【0087】
前述は、本発明のある特定の態様を単に要約したものに過ぎず、本来限定的であることを意図したものではない。これらの態様並びに他の態様及び実施形態については、以下でより完全に記載する。
【発明を実施するための形態】
【0088】
定義及び一般用語
ここで、本発明のある特定の実施形態に詳細に言及し、その例を、付随する構造及び式において例証する。本発明は、特許請求の範囲により定義される通りの本発明の範囲内に含まれ得る、すべての代替物、修正物、及び均等物を網羅することが意図されている。当業者であれば、本発明の実践において使用され得る、本明細書に記載されるものと同様又は同等の多くの方法及び物質を認識するであろう。本発明は、本明細書に記載される方法及び物質に決して限定されない。組み込まれる文献、特許及び同様の資料の1つ又は複数が、定義される用語、用語の用法、記載される技術等を含むがこれらに限定されない本出願と異なるか、又は矛盾する場合、本出願が優先する。
【0089】
別段の定義がない限り、本明細書において使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書において言及されるすべての特許及び刊行物は、参照により組み込まれる。
【0090】
本明細書において使用される場合、別段の指示がない限り、以下の定義が適用されるものとする。本発明の目的のために、化学元素は、元素周期表、CASバージョン、及びthe Handbook of Chemistry and Physics、第75版、1994に従って同定される。加えて、有機化学の一般原理は、「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell、University Science Books、Sausalito: 1999、及び「March's Advanced Organic Chemistry」Michael B. Smith and Jerry March著、John Wiley & Sons、New York: 2007に記載されており、これらはすべて、その全体が参照により組み込まれる。
【0091】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、本発明の文脈において使用される用語「a」、「an」、「the」及び同様の用語は、本明細書において別段の指示がない限り又は文脈上明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を網羅すると解釈されるべきである。
【0092】
本明細書において使用される場合、用語「対象」は、動物を指す。典型的には、動物は、哺乳動物である。対象はまた、例えば、霊長類(例えば、ヒト、男性又は女性)、雌ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚類、鳥類等も指す。ある特定の実施形態において、対象は、霊長類である。更に他の実施形態において、対象は、ヒトである。
【0093】
本明細書において使用される場合、「患者」は、ヒト(成人及び小児を含む)又は他の動物を指す。一実施形態において、「患者」は、ヒトを指す。
【0094】
本発明はまた、1個又は複数の原子が、自然界で通常見られる原子質量又は質量数と異なる原子質量又は質量数を有する原子により置き換えられていることを除いて、本明細書で列挙されるものと同一である、同位体標識化合物も含む。本明細書に開示される化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素及び塩素の同位体、例えば2H、3H、13C、14C、15N、16O、17O、18O、31P、32P、36S、18F、及び37Clが挙げられる。
【0095】
上述の同位体及び/又は他の原子の他の同位体を含む、本明細書に開示される化合物は、本発明の範囲内である。本発明のある特定の同位体標識化合物、例えば、3H及び14C等の放射性同位体が組み込まれたものは、薬物及び/又は基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化したもの、すなわち、3H、及び炭素14、すなわち、14Cの同位体は、それらの調製及び検出の容易さのために特に好ましい。更に、重水素、すなわち、2H等のより重い同位体による置換は、より優れた代謝安定性から生じるある特定の治療上の利点、例えば、インビボ半減期の増大又は必要投与量の低減をもたらし得るので、一部の状況において好ましい場合がある。
【0096】
本明細書において使用される立体化学の定義及び慣例は、一般的にS. P. Parker編、McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms (1984) McGraw-Hill Book Company、New York;及びEliel, E. and Wilen, S.、「Stereochemistry of Organic Compounds」、John Wiley & Sons, Inc.、New York、1994に従う。
【0097】
多くの有機化合物は、光学的に活性な形態で存在する、すなわち、それらは、平面偏光面を回転させる能力を有する。光学的に活性な化合物について記載する際は、接頭辞D及びL、又はR及びSを使用して、そのキラル中心の周りの分子の絶対配置を表す。接頭辞d及びl又は(+)及び(-)を用いて、化合物による平面偏光の回転の符号を指定し、(-)又はlは、化合物が左旋性であることを意味する。(+)又はdの接頭辞が付いた化合物は、右旋性である。所与の化学構造について、これらの立体異性体は、それらが互いの鏡像であることを除いて同一である。特定の立体異性体は、エナンチオマーと称されてもよく、そのような異性体の混合物は、多くの場合、エナンチオマー混合物と呼ばれる。エナンチオマーの50:50混合物は、ラセミ混合物又はラセミ体と称され、これは、化学反応又はプロセスにおいて立体選択も立体特異性もなかった場合に生じ得る。
【0098】
出発物質及び手順の選択に応じて、化合物は、可能な異性体のうちの1つの形態で又はそれらの混合物として、例えば純粋な光学異性体として、又はラセミ体及びジアステレオ異性体混合物等の異性体混合物として、不斉炭素原子の数に応じて存在し得る。光学的に活性な(R)-及び(S)-異性体は、キラルシントン若しくはキラル試薬を使用して調製され得るか、又は従来の技術を使用して分割され得る。化合物が二重結合を含有する場合、置換基はE又はZ配置であり得る。化合物が二置換シクロアルキルを含有する場合、シクロアルキル置換基は、シス-又はトランス-配置を有し得る。
【0099】
本明細書に開示される化合物は、不斉又はキラル中心を含有し得、したがって、異なる立体異性形態で存在し得る。ジアステレオマー、エナンチオマー、アトロプ異性体、及び幾何(又は配座)異性体、並びにラセミ混合物等のそれらの混合物を含むがそれらに限定されない、本明細書に開示される化合物のすべての立体異性形態は、本発明の一部を形成することが意図されている。
【0100】
別段の記載がない限り、本明細書に描かれる構造はまた、その構造のすべての異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体及び幾何(又は配座))形態;例えば、各不斉中心についてのR及びS配置、(Z)及び(E)二重結合異性体、並びに(Z)及び(E)配座異性体を含むことも意味する。
【0101】
用語「互変異性体」又は「互変異性形態」は、低エネルギー障壁を介して相互交換できる、異なるエネルギーの構造異性体を指す。互変異性化が可能である場合(例えば、溶液中)、互変異性体の化学平衡に到達させることができる。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピー互変異性体としても公知)は、ケト-エノール及びイミン-エナミン異性化等のプロトンの移動を介する相互変換を含む。原子価互変異性体は、いくつかの結合電子の再編成による相互変換を含む。ケト-エノール互変異性化の具体例は、ペンタン-2,4-ジオン及び4-ヒドロキシペンタ-3-エン-2-オン互変異性体の相互変換である。互変異性化の別の例は、フェノール-ケト互変異性化である。フェノール-ケト互変異性化の具体例は、ピリジン-4-オール及びピリジン-4(1H)-オン互変異性体の相互変換である。別段の記載がない限り、本明細書に開示される化合物のすべての互変異性形態は、本発明の範囲内である。
【0102】
本明細書に開示される化合物の任意の不斉原子(例えば、炭素等)は、ラセミ又はエナンチオマー的に富化された、例えば(R)-、(S)-又は(R,S)-配置で存在し得る。ある特定の実施形態において、各不斉原子は、(R)-又は(S)-配置で、少なくとも50%のエナンチオマー過剰率、少なくとも60%のエナンチオマー過剰率、少なくとも70%のエナンチオマー過剰率、少なくとも80%のエナンチオマー過剰率、少なくとも90%のエナンチオマー過剰率、少なくとも95%のエナンチオマー過剰率、又は少なくとも99%のエナンチオマー過剰率を有する。不飽和二重結合を有する原子における置換基は、可能な場合、シス-(Z)-又はトランス-(E)-形態で存在し得る。
【0103】
したがって、本明細書において使用される場合、本明細書に開示される化合物は、可能な異性体、回転異性体、アトロプ異性体、互変異性体又はそれらの混合物のうちの1つの形態で、例えば、実質的に純粋な幾何(シス又はトランス)異性体、ジアステレオマー、光学異性体(対掌体)、ラセミ体又はそれらの混合物として存在し得る。
【0104】
異性体の任意の得られる混合物は、構成要素の物理化学的差異に基づいて、例えば、クロマトグラフィー及び/又は分別結晶により、純粋又は実質的に純粋な幾何又は光学異性体、ジアステレオマー、ラセミ体に分離することができる。
【0105】
最終生成物又は中間体の任意の得られるラセミ体は、当業者に公知の方法により、例えば、そのジアステレオマー塩の分離により、光学対掌体に分割することができる。ラセミ生成物はまた、キラルクロマトグラフィー、例えば、キラル吸着剤を使用する高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分割することもできる。好ましいエナンチオマーはまた、不斉合成により調製することもできる。例えば、Jacquesら、「Enantiomers, Racemates and Resolutions」、Wiley Interscience、New York、1981; Gawleyら、「Principles of Asymmetric Synthesis」、第2版、Elsevier、Oxford、UK、2012; Elielら、Stereochemistry of Carbon Compounds、McGraw-Hill、NY、1962; Wilenら、「Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions」、268頁(E.L. Eliel編、Univ. of Notre Dame Press、Notre Dame、IN、1972)及びSubramanianら、「Chiral Separation Techniques: A Practical Approach」編、Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA、Weinheim、Germany、2007を参照されたい。
【0106】
本明細書に記載される通り、本明細書に開示される化合物は、以下で一般的に例証されるもの等、又は本発明の特定のクラス、サブクラス、及び種により例示されるもの等の、1個又は複数の置換基で場合により置換されていてもよい。語句「場合により置換されている」は、語句「置換又は非置換」と交換可能に使用されることが理解されよう。一般的に、用語「置換されている」は、所与の構造中の1個又は複数の水素基を、指定された置換基の基で置き換えることを指す。用語「任意選択の」又は「場合により」は、その後に記載される事象又は状況が起こってもよいが起こる必要はないこと、並びに記載が、事象又は状況が起こる事例及びそれが起こらない事例を含むことを意味する。別段の指示がない限り、場合により置換されている基は、基の各置換可能な位置に置換基を有し得る。所与の構造における1つを超える位置が、指定された群から選択される1個を超える置換基で置換され得る場合、置換基は、各位置で同一であっても異なっていてもよい。
【0107】
用語「アルキル」又は「アルキル基」は、1~20個の炭素原子の飽和直鎖又は分枝鎖一価炭化水素基を指し、ここで、アルキル基は、以下に記載される1個又は複数の置換基で場合により独立して置換されていてもよい。別段の指定がない限り、アルキル基は、1~20個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~12個の炭素原子を含有する。他の実施形態において、アルキル基は、1~10個の炭素原子を含有する。他の実施形態において、アルキル基は、1~8個の炭素原子を含有する。他の実施形態において、アルキル基は、1~6個の炭素原子を含有する。更に他の実施形態において、アルキル基は、1~4個の炭素原子を含有し、更に他の実施形態において、アルキル基は、1~3個の炭素原子を含有する。
【0108】
アルキル基のいくつかの非限定的な例としては、メチル(Me、-CH3)、エチル(Et、-CH2CH3)、1-プロピル(n-Pr、n-プロピル、-CH2CH2CH3)、2-プロピル(i-Pr、i-プロピル、-CH(CH3)2)、1-ブチル(n-Bu、n-ブチル、-CH2CH2CH2CH3)、2-メチル-l-プロピル(i-Bu、i-ブチル、-CH2CH(CH3)2)、2-ブチル(s-Bu、s-ブチル、-CH(CH3)CH2CH3)、2-メチル-2-プロピル(t-Bu、t-ブチル、-C(CH3)3)、1-ペンチル(n-ペンチル、-CH2CH2CH2CH2CH3)、2-ペンチル(-CH(CH3)CH2CH2CH3)、3-ペンチル(-CH(CH2CH3)2)、2-メチル-2-ブチル(-C(CH3)2CH2CH3)、3-メチル-2-ブチル(-CH(CH3)CH(CH3)2)、3-メチル-l-ブチル(-CH2CH2CH(CH3)2)、2-メチル-l-ブチル(-CH2CH(CH3)CH2CH3)、1-ヘキシル(-CH2CH2CH2CH2CH2CH3)、2-ヘキシル(-CH(CH3)CH2CH2CH2CH3)、3-ヘキシル(-CH(CH2CH3)(CH2CH2CH3))、2-メチル-2-ペンチル(-C(CH3)2CH2CH2CH3)、3-メチル-2-ペンチル(-CH(CH3)CH(CH3)CH2CH3)、4-メチル-2-ペンチル(-CH(CH3)CH2CH(CH3)2)、3-メチル-3-ペンチル(-C(CH3)(CH2CH3)2)、2-メチル-3-ペンチル(-CH(CH2CH3)CH(CH3)2)、2,3-ジメチル-2-ブチル(-C(CH3)2CH(CH3)2)、3,3-ジメチル-2-ブチル(-CH(CH3)C(CH3)3、1-ヘプチル、1-オクチル等が挙げられる。
【0109】
接頭辞「アルカ-」は、直鎖及び分枝鎖状の両方の飽和炭素鎖を含む。
【0110】
用語「アルキレン」は、2個の水素原子の除去により直鎖又は分枝鎖飽和炭化水素から誘導される飽和二価炭化水素基を指す。別段の指定がない限り、アルキレン基は、1~6個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態において、アルキレン基は、1~4個の炭素原子を含有する。他の実施形態において、アルキレン基は、1~2個の炭素原子を含有する。アルキレン基の例としては、メチレン(-CH2-)、エチリデン(-CH2CH2-)、イソプロピリデン(-CH(CH3)CH2-)等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0111】
用語「アルケニル」は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち、炭素-炭素、sp2二重結合を有する、2~12個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖一価炭化水素基を指し、ここで、アルケニル基は、本明細書に記載される1個又は複数の置換基で場合により独立して置換されていてもよく、「シス」及び「トランス」配向、又は代替として、「E」及び「Z」配向を有する基を含む。アルケニル基は、好ましくは、2~8個の炭素原子、より好ましくは、2~6個の炭素原子、最も好ましくは2~4個の炭素原子を含有する。アルケニル基のいくつかの非限定的な例としては、エチレニル又はビニル(-CH=CH2)、アリル(-CH2CH=CH2)等が挙げられる。
【0112】
用語「アルキニル」は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち、炭素-炭素、sp三重結合を有する、2~12個の炭素原子の直鎖状又は分枝鎖状一価炭化水素基を指し、ここで、アルキニル基は、本明細書に記載される1個又は複数の置換基で場合により独立して置換されていてもよい。アルキニル基は、好ましくは2~8個の炭素原子、より好ましくは2~6個の炭素原子、最も好ましくは2~4個の炭素原子を含有する。アルキニル基のいくつかの非限定的な例としては、エチニル(-C≡CH)、プロピニル(プロパルギル、-CH2C≡CH)、-C≡C-CH3等が挙げられる。
【0113】
用語「アルコキシ」は、酸素原子を介して主鎖炭素原子に結合している、前記で定義された通りのアルキル基を指す。別段の指定がない限り、アルコキシ基は、1~20個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態において、アルコキシ基は、1~10個の炭素原子を含有する。他の実施形態において、アルコキシ基は、1~8個の炭素原子を含有する。更に他の実施形態において、アルコキシ基は、1~6個の炭素原子を含有し、更に他の実施形態において、アルコキシ基は、1~4個の炭素原子を含有する。更なる実施形態において、アルコキシ基は、1~3個の炭素原子を含有する。
【0114】
アルコキシ基のいくつかの非限定的な例としては、メトキシ(MeO、-OCH3)、エトキシ(EtO、-OCH2CH3)、1-プロポキシ(n-PrO、n-プロポキシ、-OCH2CH2CH3)、2-プロポキシ(i-PrO、i-プロポキシ、-OCH(CH3)2)、1-ブトキシ(n-BuO、n-ブトキシ、-OCH2CH2CH2CH3)、2-メチル-l-プロポキシ(i-BuO、i-ブトキシ、-OCH2CH(CH3)2)、2-ブトキシ(s-BuO、s-ブトキシ、-OCH(CH3)CH2CH3)、2-メチル-2-プロポキシ(t-BuO、t-ブトキシ、-OC(CH3)3)、1-ペントキシ(n-ペントキシ、-OCH2CH2CH2CH2CH3)、2-ペントキシ(-OCH(CH3)CH2CH2CH3)、3-ペントキシ(-OCH(CH2CH3)2)、2-メチル-2-ブトキシ(-OC(CH3)2CH2CH3)、3-メチル-2-ブトキシ(-OCH(CH3)CH(CH3)2)、3-メチル-l-ブトキシ(-OCH2CH2CH(CH3)2)、2-メチル-l-ブトキシ(-OCH2CH(CH3)CH2CH3)等が挙げられる。
【0115】
用語「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」又は「ハロアルコキシ」は、場合に応じて、1個又は複数のハロゲン原子で置換されている、アルキル、アルケニル、又はアルコキシを指す。
【0116】
用語「炭素環」、「カルボシクリル」又は「炭素環式環」は、単環式、二環式又は三環式環系として3~12個の炭素原子を有する、一価又は多価の非芳香族、飽和又は部分不飽和の環を指す。カルボビシクリル系には、スピロカルボビシクリル又は縮合カルボビシクリルが含まれる。いくつかの実施形態において、炭素環式環基は、3~8個の炭素原子を含有する。カルボシクリル基のいくつかの非限定的な例としては、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアルキニルが挙げられる。カルボシクリル基の更なる非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1-シクロペンタ-l-エニル、l-シクロペンタ-2-エニル、l-シクロペンタ-3-エニル、シクロヘキシル、1-シクロヘキサ-l-エニル、l-シクロヘキサ-2-エニル、l-シクロヘキサ-3-エニル、シクロヘキサジエニル等が挙げられる。
【0117】
用語「シクロアルキル」は、単環式、二環式又は三環式環系として3~12個の炭素原子を有する、一価又は多価の飽和環を指す。二環式環系には、スピロビシクリル又は縮合ビシクリルが含まれる。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、3~10個の炭素原子を含有する。他の実施形態において、シクロアルキル基は、3~8個の炭素原子を含有する。更に他の実施形態において、シクロアルキル基は、3~6個の炭素原子を含有し、更に他の実施形態において、シクロアルキル基は、5~6個の炭素原子を含有する。シクロアルキル基は、本明細書に記載される1個又は複数の置換基で場合により独立して置換されている。
【0118】
用語「縮合二環式」、「縮合環式」、「縮合ビシクリル」及び「縮合シクリル」は、交換可能に使用され、飽和架橋環系を指し、これは芳香族でない二環式環系を指す。そのような系は、そのコア構造内に、孤立又は共役した不飽和を含有していてもよいが、芳香族又はヘテロ芳香族環は含有しない(しかし、そこに芳香族置換を有していてもよい)。用語「スピロシクリル」、「スピロ環式」、「スピロビシクリル」又は「スピロ二環式」は、交換可能に使用され、別の環の特定の環状炭素に由来する環を指す。例えば、下記の構造aで描かれる通り、飽和架橋環系(環B及びB')は「縮合二環式」と呼ばれ、一方、環A及び環Bは2つの飽和環系の間で1つの原子を共有しており、これは「スピロシクリル」又は「スピロビシクリル」と呼ばれる。縮合ビシクリル又はスピロビシクリル中の各環式環は、カルボシクリル又はヘテロシクリルのいずれかであり得る。
【0119】
【0120】
用語「複素環」、「ヘテロシクリル」又は「複素環式環」は、本明細書において交換可能に使用される場合、1つ又は複数の環員が独立してヘテロ原子から選択され、完全に飽和であるか、又は1つ若しくは複数の不飽和単位を含有するが芳香族ではなく、分子の残部への1つ又は複数の結合点を有する、単環式、二環式、又は三環式の環系を指す。二環式環系には、スピロビシクリル又は縮合ビシクリルが含まれ、環の1つは、単炭素環又は単複素環のいずれかであり得る。1個又は複数の環原子は、本明細書に記載される1個又は複数の置換基で場合により独立して置換されている。いくつかの実施形態において、「複素環」、「ヘテロシクリル」、又は「複素環式環」基は、4~8個の環員(3~7個の炭素原子、並びにN、O、P、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子であり、ここで、S又はPは、1個又は複数のオキソで場合により置換されて、S=O又はSO2、PO又はPO2基を提供する)を有する単環である。他の実施形態において、「複素環」、「ヘテロシクリル」、又は「複素環式環」基は、4~7個の環員(3~6個の炭素原子、並びにN、O、P、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子であり、ここで、S又はPは、1個又は複数のオキソで場合により置換されて、S=O又はSO2、PO又はPO2基を提供する)を有する単環である。他の実施形態において、「複素環」、「ヘテロシクリル」、又は「複素環式環」基は、3~7個の環員(2~6個の炭素原子、並びにN、O、P、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子であり、ここで、S又はPは、1個又は複数のオキソで場合により置換されて、S=O又はSO2、PO又はPO2基を提供する)を有する単環である。更に他の実施形態において、「複素環」、「ヘテロシクリル」、又は「複素環式環」基は、4~6個の環員(3~5個の炭素原子、並びにN、O、P、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子であり、ここで、S又はPは、1個又は複数のオキソで場合により置換されて、S=O又はSO2、PO又はPO2基を提供する)を有する単環である。更に他の実施形態において、「複素環」、「ヘテロシクリル」、又は「複素環式環」基は、3~6個の環員(2~5個の炭素原子、並びにN、O、P、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子であり、ここで、S又はPは、1個又は複数のオキソで場合により置換されて、S=O又はSO2、PO又はPO2基を提供する)を有する単環、又は7~10個の環員(4~9個の炭素原子、並びにN、O、P、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子であり、ここで、S又はPは、1個又は複数のオキソで場合により置換されて、S=O又はSO2、PO又はPO2基を提供する)を有する二環である。
【0121】
ヘテロシクリルは、炭素基又はヘテロ原子基であり得る。ヘテロシクリル基のいくつかの非限定的な例としては、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピペラジニル、ホモ-ピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、4,5-ジヒドロオキサゾリル(dihydrooxazoly)、2-ピロリニル、3-ピロリニル、インドリニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル(pyrazolidinylimidazolinyl)、イミダゾリジニル、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニルが挙げられる。2個の環炭素原子がオキソ(=O)部分で置換されている複素環式基の例は、ピリミジンジオニル及び1,1-ジオキソ-チオモルホリニルである。
【0122】
用語「ヘテロ原子」は、窒素、硫黄若しくはリンの任意の酸化形態;任意の塩基性窒素の四級化形態;又は複素環式環の置換可能な窒素、例えばN(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルにおけるような)、NH(ピロリジニルにおけるような)若しくはNR(N-置換ピロリジニルにおけるような)を含む、1つ又は複数の酸素、硫黄、窒素、リン又はケイ素を指す。
【0123】
用語「ハロゲン」は、フルオロ(F)、クロロ(Cl)、ブロモ(Br)、又はヨード(I)を指す。
【0124】
用語「アジド」又は「N3」は、アジド部分を指す。この基は、例えば、メチルに結合してアジドメタン(メチルアジド、MeN3)を形成してもよく、又はフェニル基に結合してフェニルアジド(PhN3)を形成してもよい。
【0125】
単独で、又は「アラルキル」、「アラルコキシ」若しくは「アリールオキシアルキル」におけるようなより大きい部分の一部として使用される用語「アリール」は、合計6~14個の環員、好ましくは、6~12個の環員、より好ましくは6~10個の環員を有する、単環式、二環式、及び三環式炭素環式環系を指し、ここで、系中の少なくとも1個の環は、芳香族であり、ここで、系中の各環は、3~7個の環員を含有し、これは、分子の残部への1つ又は複数の結合点を有する。用語「アリール」は、用語「アリール環」又は「芳香族」と交換可能に使用され得る。アリール環のいくつかの非限定的な例としては、フェニル、ナフチル、及びアントラセニルが挙げられる。アリール基は、本明細書に記載される1個又は複数の置換基で場合により独立して置換されている。
【0126】
単独で、又は「ヘテロアラルキル」若しくは「ヘテロアリールアルコキシ」におけるようなより大きい部分の一部として使用される用語「ヘテロアリール」は、合計5~14個の環員、好ましくは、5~12個の環員、より好ましくは5~10個の環員を有する、単環式、二環式、及び三環式環系を指し、ここで、系中の少なくとも1個の環は、芳香族であり、系中の少なくとも1個の環は、1個又は複数のヘテロ原子を含有し、ここで、系中の各環は、5~7個の環員を含有し、これは、分子の残部への1つ又は複数の結合点を有する。いくつかの実施形態において、ヘテロアリールは、O、S及びNから独立して選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含む5~10員ヘテロアリールであり得る。別の実施形態において、ヘテロアリールは、O、S及びNから独立して選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含む、5~6員ヘテロアリールであり得る。更に別の実施形態において、ヘテロアリールは、O、S及びNから独立して選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含む、5員ヘテロアリールであり得る。用語「ヘテロアリール」は、用語「ヘテロアリール環」又は用語「ヘテロ芳香族」と交換可能に使用され得る。ヘテロアリール基は、本明細書に記載される1個又は複数の置換基で場合により独立して置換されている。
【0127】
ヘテロアリール環のいくつかの非限定的な例としては、以下の単環:2-フラニル、3-フラニル、N-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、5-イミダゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、N-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、ピリダジニル(例えば、3-ピリダジニル)、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、テトラゾリル(例えば、5H-テトラゾリル及び2H-テトラゾリル)、トリアゾリル(例えば、2-トリアゾリル、5-トリアゾリル、4H-1,2,4-トリアゾリル、1H-1,2,4-トリアゾリル、及び1,2,3-トリアゾリル)、2-チエニル、3-チエニル、ピラゾリル(例えば、2-ピラゾリル及び3-ピラゾリル)、イソチアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、ピラジニル、1,3,5-トリアジニル、並びに以下の二環:ベンゾイミダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、インドリル(例えば、2-インドリル)、プリニル、キノリニル(例えば、2-キノリニル、3-キノリニル、4-キノリニル)、及びイソキノリニル(例えば、1-イソキノリニル、3-イソキノリニル、又は4-イソキノリニル)が挙げられる。
【0128】
用語「カルボキシ」又は「カルボキシル」は、単独で使用されるか、又は「カルボキシアルキル」等、他の用語とともに使用されるかにかかわらず、-CO2Hを指す。用語「カルボニル」は、単独で使用されるか、又は「アミノカルボニル」等、他の用語とともに使用されるかにかかわらず、-(C=O)-を表す。
【0129】
用語「アルキルアミノ」は、アミノ基が、独立して、1個のアルキル基で又は2個のアルキル基でそれぞれ置換されている「N-アルキルアミノ」及び「N,N-ジアルキルアミノ」を包含する。アルキルアミノ基のいくつかの非限定的な例は、窒素原子に結合している、1~6個の炭素原子の1又は2個のアルキル基を有する「低級アルキルアミノ」基である。適切なアルキルアミノ基は、モノ又はジアルキルアミノ、例えば、N-メチルアミノ、N-エチルアミノ、N,N-ジメチルアミノ、N,N-ジエチルアミノ等であり得る。
【0130】
用語「アリールアミノ」は、N-フェニルアミノ等の1又は2個のアリール基で置換されたアミノ基を指す。アリールアミノ基は、基のアリール環部分上で更に置換されていてもよい。
【0131】
用語「アミノアルキル」は、1~約10個の炭素原子を有し、そのいずれか1個が1個又は複数のアミノ基で置換されていてもよい、直鎖状又は分枝鎖状アルキル基を指す。より好ましいアミノアルキル基は、1~6個の炭素原子及び1個又は複数のアミノ基を有する「低級アミノアルキル」基である。そのような基の例としては、アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、アミノブチル及びアミノヘキシルが挙げられる。
【0132】
nが整数である用語「n員」は、典型的には、環形成原子の数がnである部分における環形成原子の数について記載する。例えば、ピペリジニルは、6員ヘテロシクロアルキルの例であり、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレニルは、10員カルボシクリル基の例である。
【0133】
本明細書に記載される通り、置換基から環系内の1個の環の中心へ描かれた結合(以下に示す通り)は、それが結合する環上の任意の置換可能な位置における置換基の置換を表す。例えば、構造bは、構造b-1、b-2、b-3、b-4、b-5、b-6、及びb-7に示されている環D上の位置のいずれかにおける可能な置換を表す。
【0134】
【0135】
用語「不飽和」は、1つ又は複数の不飽和単位を有する部分を指す。
【0136】
用語「含む」は、示された成分を含むが他の要素を排除しないオープンエンドであることを意味する。
【0137】
用語「プロドラッグ」は、本明細書において使用される場合、インビボで式(I)の化合物に変換される化合物を表す。そのような変換は、例えば、血液中における加水分解、又は血液若しくは組織中におけるプロドラッグ形態から親形態への酵素変換により影響され得る。本明細書に開示される化合物のプロドラッグは、例えば、エステルであってもよい。本発明においてプロドラッグとして利用され得るエステルは、フェニルエステル、脂肪族(C1~C24)エステル、アシルオキシメチルエステル、カーボネート、カルバメート、及びアミノ酸エステルである。例えば、OH基を含有する本明細書に開示される化合物は、そのプロドラッグ形態においてこの位置でアシル化され得る。他のプロドラッグ形態には、例えば、親化合物上のOH基のホスホン酸化から生じるホスフェート等のホスフェートが含まれる。プロドラッグの徹底的な議論は、Higuchiら、Pro-drugs as Novel Delivery Systems、第14巻、A.C.S. Symposium Series; Rocheら、Bioreversible Carriers in Drug Design、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987; Rautioら、Prodrugs: Design and Clinical Applications、Nat. Rev. Drug Discovery、2008、7、255~270、及びHeckerら、Prodrugs of Phosphates and Phosphonates、J. Med. Chem.、2008、51、2328~2345において提供されており、これらのすべては参照により本明細書に組み込まれる。
【0138】
「代謝産物」は、特定の化合物又はその塩の体内での代謝を介して生成される生成物である。化合物の代謝産物は、当技術分野で公知の日常的な技術を使用して同定することができ、それらの活性は、本明細書に記載されるもの等の試験を使用して決定することができる。そのような生成物は、例えば、投与された化合物の、酸化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド化、エステル化、脱エステル化、酵素的開裂等により生じ得る。したがって、本発明は、本明細書に開示される化合物を、その代謝産物が得られるのに十分な時間にわたって哺乳動物と接触させる工程を含むプロセスにより生成される化合物を含む、本明細書に開示される化合物の代謝産物を含む。
【0139】
「薬学的に許容される塩」は、本明細書に開示される化合物の有機又は無機塩を指す。薬学的に許容される塩は、当技術分野で周知である。例えば、Bergeらは、J. Pharm. Sci.、1977、66、1~19において薬学的に許容される塩について詳細に記載しており、これは参照により本明細書に組み込まれる。薬学的に許容される塩のいくつかの非限定的な例としては、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸等の無機酸と、又は酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸若しくはマロン酸等の有機酸と形成される、或いはイオン交換等の当技術分野で使用されている他の方法を使用することにより形成される、アミノ基の塩が挙げられる。
【0140】
薬学的に許容される塩の他の例としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等が挙げられる。適当な塩基に由来する塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩及びN+(C1~4アルキル)4塩が挙げられる。本発明はまた、本明細書に開示される化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化も想定している。水又は油に可溶性又は分散性の生成物は、そのような四級化により得ることができる。代表的なアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。薬学的に許容される塩の更なる例としては、適当な場合、非毒性アンモニウム、第四級アンモニウム、並びにハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、C1~8スルホン酸塩及びアリールスルホン酸塩等の対イオンを使用して形成されるアミンカチオンが挙げられる。
【0141】
「溶媒和物」は、1個又は複数の溶媒分子と本明細書に開示される化合物との会合体又は複合体を指す。溶媒和物を形成する溶媒のいくつかの非限定的な例としては、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、及びエタノールアミンが挙げられる。用語「水和物」は、溶媒分子が水である複合体を指す。
【0142】
本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容される担体」には、当業者に公知の通り(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Printing Company、1990、1289~1329頁を参照されたい)、あらゆるすべての溶媒、分散媒、コーティング剤、界面活性剤、抗酸化剤、防腐剤(例えば、抗細菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、防腐剤、薬物安定化剤、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤、色素等、及びそれらの組合せが含まれる。任意の従来の担体が活性成分と不適合である場合を除いて、治療又は医薬組成物におけるその使用が企図される。
【0143】
本明細書に開示される化合物の「治療有効量」という用語は、対象の生物学的又は医学的な応答、例えば、酵素若しくはタンパク質活性を減少させる若しくは阻害する、又は症状を軽快させる、状態を軽減する、疾患進行を遅らせる若しくは遅延させる、又は疾患を予防する等の応答を引き起こす、本明細書に開示される化合物の量を指す。非限定的な一実施形態において、用語「治療有効量」は、対象に投与された場合に、(1)(i)PI3Kにより媒介される、又は(ii)PI3K活性に関連する、又は(iii)PI3Kの活性(正常又は異常)により特徴付けられる、状態、又は障害若しくは疾患を、少なくとも部分的に軽減する、阻害する、予防する且つ/又は軽快させるか、或いは(2)PI3Kの活性を減少させる又は阻害するか、或いは(3)PI3Kの発現を減少させる又は阻害するのに有効である、本明細書に開示される化合物の量を指す。別の非限定的な実施形態において、用語「治療有効量」は、細胞、又は組織、又は非細胞性の生物学的物質、又は培地に投与された場合に、PI3Kの活性を少なくとも部分的に減少させる若しくは阻害するか;又はPI3Kの発現を少なくとも部分的に減少させる若しくは阻害するのに有効である、本明細書に開示される化合物の量を指す。PI3Kについて上記実施形態において例証される通りの用語「治療有効量」の意味はまた、任意の他の関連するタンパク質/ペプチド/酵素にも同様に当てはまる。
【0144】
本明細書において使用される場合、任意の疾患又は障害を「処置する」、「処置すること」又は「処置」の用語は、一実施形態において、疾患又は障害を軽快させること(すなわち、疾患又はその臨床症状の少なくとも1つの発症を遅らせる、又は停止させる、又は減少させること)を指す。別の実施形態において、用語「処置する」、「処置すること」又は「処置」は、患者が識別できない場合があるものを含む少なくとも1つの物理的パラメーターを軽減する又は軽快させることを指す。更に別の実施形態において、用語「処置する」、「処置すること」又は「処置」は、疾患又は障害を、物理的(例えば、認識できる症状の安定化)、生理学的(例えば、物理的パラメーターの安定化)のいずれか、又は両方でモジュレートすることを指す。更に別の実施形態において、用語「処置する」、「処置すること」又は「処置」は、疾患又は障害の発病又は発症又は進行を予防する又は遅延させることを指す。
【0145】
用語「保護基」又は「PG」は、化合物上の他の官能基を反応させている間に特定の官能性を遮断又は保護するために一般的に用いられる置換基を指す。例えば、「アミノ保護基」は、化合物におけるアミノ官能性を遮断又は保護する、アミノ基に結合している置換基である。適切なアミノ保護基には、アセチル、トリフルオロアセチル、t-ブトキシ-カルボニル(BOC、Boc)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ、Cbz)及び9-フルオレニルメチレンオキシ-カルボニル(Fmoc)が含まれる。同様に、「ヒドロキシ保護基」は、ヒドロキシ官能性を遮断又は保護するヒドロキシ基の置換基を指す。適切な保護基には、アセチル及びシリルが含まれる。「カルボキシ保護基」は、カルボキシ官能性を遮断又は保護するカルボキシ基の置換基を指す。一般的なカルボキシ保護基には、-CH2CH2SO2Ph、シアノエチル、2-(トリメチルシリル)エチル、2-(トリメチルシリル)エトキシ-メチル、2-(p-トルエンスルホニル)エチル、2-(p-ニトロフェニルスルフェニル)-エチル、2-(ジフェニルホスフィノ)-エチル、ニトロエチル等が含まれる。保護基及びそれらの使用の一般的な記載については、Greeneら、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley & Sons、New York、1991及びKocienskiら、Protecting Groups、Thieme、Stuttgart、2005を参照されたい。
【0146】
本明細書に開示される化合物の記載
本発明者らは、キナーゼ活性、特にPI3-キナーゼ活性の阻害剤である新規化合物を発見した。PI3-キナーゼ阻害剤である化合物は、不適当なキナーゼ活性、特に不適当なPI3-キナーゼ活性に関連する障害の処置、例えば、PI3-キナーゼ機序により媒介される障害の処置及び予防において有用であり得る。そのような障害には、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び特発性肺線維症(IPF)を含む呼吸器疾患;ウイルス性呼吸器感染症、並びに喘息及びCOPD等の呼吸器疾患のウイルス増悪を含む、ウイルス感染症;アスペルギルス症及びリーシュマニア症を含む非ウイルス性呼吸器感染症;アレルギー性鼻炎及びアトピー性皮膚炎を含むアレルギー性疾患;関節リウマチ及び多発性硬化症を含む自己免疫疾患;炎症性腸疾患を含む炎症性障害;血栓症及びアテローム性動脈硬化症を含む心血管疾患;血液学的悪性腫瘍;神経変性疾患;膵炎;多臓器不全;腎臓疾患;血小板凝集;がん;精子運動性;移植拒絶;移植片拒絶;肺損傷;並びに関節リウマチ又は変形性関節症に関連する疼痛、背痛、一般的炎症性疼痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性ニューロパシー、炎症性神経障害性疼痛(外傷)、三叉神経痛及び中枢性疼痛を含む疼痛が含まれる。
【0147】
一実施形態において、本明細書に開示される化合物は、他のキナーゼよりもPI3-キナーゼに対して選択性を示し得る。
【0148】
別の実施形態において、本明細書に開示される化合物は、PI3Kδの強力な阻害剤であり得る。
【0149】
更なる実施形態において、本明細書に開示される化合物は、他のPI3-キナーゼよりもPI3Kδに対して選択性を示し得る。
【0150】
一態様において、本明細書において提供されるのは、式(I):
【0151】
【0152】
を有する化合物、又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、溶媒和物、代謝産物、薬学的に許容される塩若しくはプロドラッグ[式中、X、W、A、B、m、Ra、Rb、R1、R2及びR4のそれぞれは、本明細書において定義されている通りである]である。
【0153】
ある特定の実施形態において、各R1及びR2は、独立して、H、D、F、CN、NO2、-C(=O)Ra、-C(=O)ORa、-C(=O)NRaRb、-(C1~C4)アルキレン-C(=O)NRaRb、-(C1~C4)アルキレン-N(Rc)C(=O)NRaRb、-(C1~C4)アルキレン-N(Rc)C(=O)ORa、-(C1~C4)アルキレン-OC(=O)NRaRb、-(C1~C4)アルキレン-S(=O)2NRaRb、-(C1~C4)アルキレン-N(Rc)S(=O)2Rb、-(C1~C4)アルキレン-ORa、-(C1~C4)アルキレン-NRaRb、(C1~C6)アルキル、(C2~C6)アルケニル、(C2~C6)アルキニル、(C3~C8)シクロアルキル、-(C1~C4)アルキレン-(C3~C8)シクロアルキル、3~8員ヘテロシクリル、-(C1~C4)アルキレン-(3~8員ヘテロシクリル)、(C6~C10)アリール、-(C1~C4)アルキレン-(C6~C10)アリール、5~10員ヘテロアリール、若しくは-(C1~C4)アルキレン-(5~10員ヘテロアリール)であり、ここで、(C1~C6)アルキル、(C2~C6)アルケニル、(C2~C6)アルキニル、(C3~C8)シクロアルキル、-(C1~C4)アルキレン-(C3~C8)シクロアルキル、3~8員ヘテロシクリル、-(C1~C4)アルキレン-(3~8員ヘテロシクリル)、(C6~C10)アリール、-(C1~C4)アルキレン-(C6~C10)アリール、5~10員ヘテロアリール及び-(C1~C4)アルキレン-(5~10員ヘテロアリール)のそれぞれは、D、F、Cl、Br、オキソ(=O)、CN、Ra、ORa、NRaRb、(C1~C6)アルキル、-(C1~C4)アルキレン-ORa及び-(C1~C4)アルキレン-NRaRbから独立して選択される1、2、3若しくは4個の置換基で場合により置換されており;又はR1及びR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されている3~8員の炭素環式若しくは複素環式環を形成し、
Xは、3~8員ヘテロシクリル、(C6~C10)アリール又は5~10員ヘテロアリールであり、ここで、Xは、1、2、3、4又は5個のR3基により場合により置換されており、
mは、1、2又は3であり、
Wは、N又はCR5であり、
Aは、H、D、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)ハロアルキル、(C1~C6)ヒドロキシアルキル、(C1~C6)アミノアルキル、(C3~C8)シクロアルキル又は3~8員ヘテロシクリルであり、ここで、各(C1~C6)アルキル、(C1~C6)ハロアルキル、(C1~C6)ヒドロキシアルキル、(C1~C6)アミノアルキル、(C3~C8)シクロアルキル及び3~8員ヘテロシクリルは、D、オキソ、F、Cl、Br、OH、NH2、CN、NO2、(C1~C6)アルキル及び(C1~C6)アルコキシから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されており、
Bは、(C3~C8)シクロアルキル、3~8員ヘテロシクリル、(C6~C10)アリール又は5~10員ヘテロアリールであり、ここで、(C3~C8)シクロアルキル、3~8員ヘテロシクリル、(C6~C10)アリール及び5~10員ヘテロアリールのそれぞれは、D、オキソ(=O)、F、Cl、Br、CN、Ra、ORa、NRaRb、(C1~C6)アルキル、-(C1~C4)アルキレン-ORa及び-(C1~C4)アルキレン-NRaRbから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されており、
各R3、R4及びR5は、独立して、H、D、F、Cl、Br、CN、NO2、オキソ(=O)、-C(=O)Ra、-C(=O)ORa、-C(=O)NRaRb、-OC(=O)NRaRb、-OC(=O)ORa、-N(Rc)C(=O)NRaRb、-N(Rc)C(=O)ORa、-N(Rc)C(=O)Ra、-S(=O)2NRaRb、-S(=O)2Ra、-N(Rc)S(=O)2Ra、-N(Rc)-(C1~C4)アルキレン-S(=O)2Ra、-(C1~C4)アルキレン-C(=O)NRaRb、-(C1~C4)アルキレン-N(Rc)C(=O)NRaRb、-(C1~C4)アルキレン-N(Rc)C(=O)ORa、-(C1~C4)アルキレン-OC(=O)NRaRb、-(C1~C4)アルキレン-S(=O)2NRaRb、-(C1~C4)アルキレン-N(Rc)S(=O)2Ra、ORa、NRaRb、-(C1~C4)アルキレン-ORa、-(C1~C4)アルキレン-NRaRb、(C1~C6)アルキル、(C2~C6)アルケニル、(C2~C6)アルキニル、(C3~C8)シクロアルキル、-(C1~C4)アルキレン-(C3~C8)シクロアルキル、3~8員ヘテロシクリル、-(C1~C4)アルキレン-(3~8員ヘテロシクリル)、(C6~C10)アリール、-(C1~C4)アルキレン-(C6~C10)アリール、5~10員ヘテロアリール、又は-(C1~C4)アルキレン-(5~10員ヘテロアリール)であり、ここで、(C1~C6)アルキル、(C2~C6)アルケニル、(C2~C6)アルキニル、(C3~C8)シクロアルキル、-(C1~C4)アルキレン-(C3~C8)シクロアルキル、3~8員ヘテロシクリル、-(C1~C4)アルキレン-(3~8員ヘテロシクリル)、(C6~C10)アリール、-(C1~C4)アルキレン-(C6~C10)アリール、5~10員ヘテロアリール及び-(C1~C4)アルキレン-(5~10員ヘテロアリール)のそれぞれは、D、F、Cl、Br、CN、オキソ(=O)、Ra、ORa、NRaRb、(C1~C6)アルキル、-(C1~C4)アルキレン-ORa及び-(C1~C4)アルキレン-NRaRbから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されており、
各Ra、Rb及びRcは、独立して、H、(C1~C6)アルキル、(C2~C6)アルケニル、(C2~C6)アルキニル、(C3~C6)シクロアルキル、-(C1~C4)アルキレン-(C3~C6)シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、-(C1~C4)アルキレン-(3~6員ヘテロシクリル)、(C6~C10)アリール、-(C1~C4)アルキレン-(C6~C10)アリール、5~10員ヘテロアリール、若しくは-(C1~C4)アルキレン-(5~10員ヘテロアリール)であり、ここで、(C1~C6)アルキル、(C2~C6)アルケニル、(C2~C6)アルキニル、(C3~C6)シクロアルキル、-(C1~C4)アルキレン-(C3~C6)シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、-(C1~C4)アルキレン-(3~6員ヘテロシクリル)、(C6~C10)アリール、-(C1~C4)アルキレン-(C6~C10)アリール、5~10員ヘテロアリール及び-(C1~C4)アルキレン-(5~10員ヘテロアリール)のそれぞれは、D、F、Cl、Br、CN、NO2、N3、OH、NH2、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)ハロアルキル、(C1~C6)アルコキシ及び(C1~C6)アルキルアミノから独立して選択される1、2、3若しくは4個の置換基で場合により置換されており;又はRa及びRbは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、場合により置換されている3~8員の複素環式環を形成する。
【0154】
別の実施形態において、式(II):
【0155】
【0156】
を有する化合物である。
【0157】
別の実施形態において、Xは、3~6員ヘテロシクリル又は5~6員ヘテロアリールであり、ここで、Xは、1、2、3又は4個のR3基により場合により置換されている。
【0158】
別の実施形態において、Xは、
【0159】
【0160】
であり、ここで、Xは、1、2、又は3個のR3基により場合により置換されている。
【0161】
別の実施形態において、Xは、
【0162】
【0163】
であり、ここで、Xは、1、2、又は3個のR3基により場合により置換されている。
【0164】
別の実施形態において、Aは、H、D、(C1~C4)アルキル、(C1~C4)ハロアルキル、(C1~C4)ヒドロキシアルキル、(C1~C4)アミノアルキル、(C3~C6)シクロアルキル又は3~6員ヘテロシクリルであり、ここで、各(C1~C4)アルキル、(C1~C4)ハロアルキル、(C1~C4)ヒドロキシアルキル、(C1~C4)アミノアルキル、(C3~C6)シクロアルキル及び3~6員ヘテロシクリルは、D、オキソ、F、Cl、Br、OH、NH2、CN、NO2、(C1~C4)アルキル及び(C1~C4)アルコキシから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されている。
【0165】
別の実施形態において、Aは、H、D、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、1,2-ジフルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、1-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロパ-2-イル、アミノメチル、2-アミノエチル、1-アミノエチル、2-アミノプロパ-2-イル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェン、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル又はチオモルホリニルであり、ここで、各メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、1,2-ジフルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、1-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロパ-2-イル、アミノメチル、2-アミノエチル、1-アミノエチル、2-アミノプロパ-2-イル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェン、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル及びチオモルホリニルは、D、オキソ、F、Cl、Br、OH、NH2、CN、NO2、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、メトキシル及びエトキシルから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されている。
【0166】
別の実施形態において、Bは、(C3~C6)シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、(C6~C10)アリール又は5~6員ヘテロアリールであり、ここで、(C3~C6)シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、(C6~C10)アリール及び5~6員ヘテロアリールのそれぞれは、D、オキソ(=O)、F、Cl、Br、CN、Ra、ORa、NRaRb、(C1~C4)アルキル、-(C1~C2)アルキレン-ORa及び-(C1~C2)アルキレン-NRaRbから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されている。
【0167】
別の実施形態において、Bは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、フェニル、ピロリル、チエニル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル又はピラジニルであり、ここで、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、フェニル、ピロリル、チエニル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル及びピラジニルのそれぞれは、D、オキソ(=O)、F、Cl、Br、CN、Ra、ORa、NRaRb、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、-(C1~C2)アルキレン-ORa及び-(C1~C2)アルキレン-NRaRbから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されている。
【0168】
別の実施形態において、各R1及びR2は、独立して、H、D、F、CN、NO2、-C(=O)NRaRb、-(C1~C2)アルキレン-C(=O)NRaRb、-(C1~C2)アルキレン-N(Rc)C(=O)NRaRb、-(C1~C2)アルキレン-N(Rc)C(=O)ORa、-(C1~C2)アルキレン-OC(=O)NRaRb、-(C1~C2)アルキレン-S(=O)2NRaRb、-(C1~C2)アルキレン-N(Rc)S(=O)2Rb、-(C1~C2)アルキレン-ORa、-(C1~C2)アルキレン-NRaRb、(C1~C4)アルキル、(C2~C4)アルケニル、(C2~C4)アルキニル、(C3~C6)シクロアルキル、-(C1~C2)アルキレン-(C3~C6)シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、-(C1~C2)アルキレン-(3~6員ヘテロシクリル)、(C6~C10)アリール、-(C1~C2)アルキレン-(C6~C10)アリール、5~6員ヘテロアリール、若しくは-(C1~C4)アルキレン-(5~6員ヘテロアリール)であり、ここで、(C1~C4)アルキル、(C2~C4)アルケニル、(C2~C4)アルキニル、(C3~C6)シクロアルキル、-(C1~C2)アルキレン-(C3~C6)シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、-(C1~C2)アルキレン-(3~6員ヘテロシクリル)、フェニル、-(C1~C2)アルキレン-フェニル、5~6員ヘテロアリール及び-(C1~C2)アルキレン-(5~6員ヘテロアリール)のそれぞれは、D、F、Cl、Br、オキソ(=O)、CN、Ra、ORa、NRaRb、(C1~C4)アルキル、-(C1~C2)アルキレン-ORa及び-(C1~C2)アルキレン-NRaRbから独立して選択される1、2、3若しくは4個の置換基で場合により置換されており;又はR1及びR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されている3~6員の炭素環式若しくは複素環式環を形成する。
【0169】
別の実施形態において、各R1及びR2は、独立して、H、D、F、CN、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル若しくはチオモルホリニルであり、ここで、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル及びチオモルホリニルのそれぞれは、D、F、Cl、Br、オキソ(=O)、CN、Ra、ORa、NRaRb、(C1~C4)アルキル、-(C1~C2)アルキレン-ORa及び-(C1~C2)アルキレン-NRaRbから独立して選択される1、2、3若しくは4個の置換基で場合により置換されており;又はR1及びR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されている3~6員の炭素環式若しくは複素環式環を形成する。
【0170】
別の実施形態において、各R3、R4及びR5は、独立して、H、D、F、Cl、Br、CN、NO2、オキソ(=O)、-C(=O)NRaRb、-N(Rc)C(=O)NRaRb、-N(Rc)C(=O)ORa、-N(Rc)C(=O)Ra、-S(=O)2NRaRb、-N(Rc)S(=O)2Ra、-N(Rc)-(C1~C2)アルキレン-S(=O)2Ra、-(C1~C2)アルキレン-C(=O)NRaRb、-(C1~C2)アルキレン-N(Rc)C(=O)NRaRb、-(C1~C2)アルキレン-S(=O)2NRaRb、-(C1~C2)アルキレン-N(Rc)S(=O)2Ra、ORa、NRaRb、-(C1~C2)アルキレン-ORa、-(C1~C2)アルキレン-NRaRb、(C1~C4)アルキル、(C2~C4)アルケニル、(C2~C4)アルキニル、(C3~C6)シクロアルキル、-(C1~C2)アルキレン-(C3~C6)シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、-(C1~C2)アルキレン-(3~6員ヘテロシクリル)、(C6~C10)アリール、-(C1~C2)アルキレン-(C6~C10)アリール、5~6員ヘテロアリール、又は-(C1~C2)アルキレン-(5~6員ヘテロアリール)であり、ここで、(C1~C4)アルキル、(C2~C4)アルケニル、(C2~C4)アルキニル、(C3~C6)シクロアルキル、-(C1~C2)アルキレン-(C3~C6)シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、-(C1~C2)アルキレン-(3~6員ヘテロシクリル)、(C6~C10)アリール、-(C1~C2)アルキレン-(C6~C10)アリール、5~6員ヘテロアリール及び-(C1~C2)アルキレン-(5~6員ヘテロアリール)のそれぞれは、D、F、Cl、Br、CN、オキソ(=O)、Ra、ORa、NRaRb、(C1~C4)アルキル、-(C1~C2)アルキレン-ORa及び-(C1~C2)アルキレン-NRaRbから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されている。
【0171】
別の実施形態において、各R3、R4及びR5は、独立して、H、D、F、Cl、Br、CN、NO2、オキソ(=O)、-C(=O)NRaRb、-N(Rc)C(=O)NRaRb、-N(Rc)C(=O)ORa、-N(Rc)C(=O)Ra、-S(=O)2NRaRb、-N(Rc)S(=O)2Ra、ORa、NRaRb、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ビニル、プロペニル、アリル、エチニル、プロピニル、プロパルギル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、フェニル、ピロリル、チエニル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル又はピラジニルであり、ここで、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ビニル、プロペニル、アリル、エチニル、プロピニル、プロパルギル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、フェニルピロリル、チエニル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル及びピラジニルのそれぞれは、D、F、Cl、Br、CN、オキソ(=O)、Ra、ORa、NRaRb、メチル、エチル、n-プロピル又はイソプロピルから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されている。
【0172】
別の実施形態において、Ra、Rb及びRcは、独立して、H、(C1~C4)アルキル、(C2~C4)アルケニル、(C2~C4)アルキニル、(C3~C6)シクロアルキル、-(C1~C2)アルキレン-(C3~C6)シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、-(C1~C2)アルキレン-(3~6員ヘテロシクリル)又は5~6員ヘテロアリールであり、ここで、(C1~C4)アルキル、(C2~C4)アルケニル、(C2~C4)アルキニル、(C3~C6)シクロアルキル、-(C1~C2)アルキレン-(C3~C6)シクロアルキル、3~6員ヘテロシクリル、-(C1~C2)アルキレン-(3~6員ヘテロシクリル)及び5~6員ヘテロアリールのそれぞれは、D、F、Cl、CN、NO2、N3、OH、NH2、(C1~C4)アルキル、(C1~C4)ハロアルキル、(C1~C4)アルコキシ及び(C1~C4)アルキルアミノから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されている。
【0173】
別の実施形態において、各Ra、Rb及びRcは、独立して、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ビニル、プロペニル、アリル、エチニル、プロピニル、プロパルギル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、フェニル、ピロリル、チエニル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル又はピラジニルであり、ここで、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ビニル、プロペニル、アリル、エチニル、プロピニル、プロパルギル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、フェニル、ピロリル、チエニル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル及びピラジニルのそれぞれは、D、F、Cl、CN、NO2、N3、OH、NH2、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、メトキシル、エトキシル、メチルアミノ及びジメチルアミノから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基で場合により置換されている。
【0174】
本明細書に開示される化合物のいくつかの非限定的な例を、以下に示す。
Table 1(化11)
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
【0179】
【0180】
本発明の一態様において、医薬組成物は、薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤、アジュバント、ビヒクル又はそれらの組合せ、及び式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含むものが提供される。いくつかの実施形態において、組成物は、液体、固体、半固体、ゲル、又はエアロゾル形態である。
【0181】
本発明の別の態様において、ホスファチジルイノシトール-3キナーゼ(PI3キナーゼ)を阻害する方法は、PI3キナーゼを有効量の本明細書に開示される化合物と接触させる工程を含むものが提供される。いくつかの実施形態において、接触させる工程は、前記PI3キナーゼを含む細胞を接触させる工程を含む。方法のいくつかの実施形態において、阻害は、1つ又は複数のタイプのPI3キナーゼの機能不全に関連する障害に罹患している対象において起こる。1つ又は複数のタイプのPI3キナーゼの機能不全を伴ういくつかの例示的な疾患は、自己免疫疾患、関節リウマチ、呼吸器疾患、アレルギー性反応、及び様々なタイプのがんからなる群から選択される。
【0182】
いくつかの実施形態において、方法は、第2の治療剤を対象に投与する工程を含む。
【0183】
ある特定の実施形態において、PI3K媒介性の状態又は障害は、関節リウマチ、強直性脊椎炎、変形性関節症、乾癬性関節炎、乾癬、炎症性疾患、及び自己免疫疾患から選択される。他の実施形態において、PI3K媒介性の状態又は障害は、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、高血圧、深部静脈血栓症、卒中、心筋梗塞、不安定狭心症、血栓塞栓症、肺塞栓症、血栓溶解疾患、急性動脈虚血、末梢血栓性閉塞、及び冠動脈疾患から選択される。更に他の実施形態において、PI3K媒介性の状態又は障害は、がん、結腸がん、神経膠芽腫、子宮内膜癌、肝細胞がん、肺がん、黒色腫、腎細胞癌、甲状腺癌、細胞リンパ腫、リンパ増殖性障害、小細胞肺がん、扁平上皮細胞肺癌、神経膠腫、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮頸がん、及び白血病から選択される。更に別の実施形態において、PI3K媒介性の状態又は障害は、II型糖尿病から選択される。更に他の実施形態において、PI3K媒介性の状態又は障害は、呼吸器疾患、気管支炎、喘息、及び慢性閉塞性肺疾患から選択される。ある特定の実施形態において、対象はヒトである。
【0184】
本発明の別の態様は、患者におけるPI3K媒介性の状態又は障害の処置であって、上記実施形態のいずれかによる化合物を投与する工程を含む処置に関する。
【0185】
本発明の別の態様は、患者における関節リウマチ、強直性脊椎炎、変形性関節症、乾癬性関節炎、乾癬、炎症性疾患又は自己免疫疾患の処置であって、上記実施形態のいずれかによる化合物を投与する工程を含む処置に関する。
【0186】
本発明の別の態様は、患者における喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び特発性肺線維症(IPF)を含む呼吸器疾患の処置であって、上記実施形態のいずれかによる化合物を投与する工程を含む処置に関する。
【0187】
本発明の別の態様は、患者における炎症性腸障害、炎症性眼障害、炎症性又は不安定膀胱障害、炎症性成分による皮膚病訴、慢性炎症状態、全身性エリテマトーデス(SLE)、重症筋無力症、急性散在性脳脊髄炎、特発性血小板減少性紫斑病、多発性硬化症、シェーグレン症候群及び自己免疫性溶血性貧血、アレルギー状態並びに過敏症の処置であって、上記又は下記の実施形態のいずれかによる化合物を投与する工程を含む処置に関する。
【0188】
本発明の別の態様は、PI3K活性、特にPI3Kデルタ活性に媒介され、依存し、又は関連する患者におけるがんの処置であって、上記又は下記の実施形態のいずれかによる化合物を投与する工程を含む処置に関する。
【0189】
本発明の別の態様は、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性疾患、慢性骨髄性白血病、T細胞急性リンパ芽球性白血病、B細胞急性リンパ芽球性白血病、非ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、固形腫瘍及び乳がんから選択されるがんの処置であって、上記又は下記の実施形態のいずれかによる化合物を投与する工程を含む処置に関する。
【0190】
本発明の別の態様は、医薬としての上記実施形態のいずれかによる化合物の使用に関する。
【0191】
本発明の別の態様は、患者におけるPI3K媒介性の状態又は障害の処置のための医薬の製造における上記実施形態のいずれかによる化合物の使用に関する。
【0192】
本発明の別の態様は、関節リウマチ、強直性脊椎炎、変形性関節症、乾癬性関節炎、乾癬、炎症性疾患、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び特発性肺線維症(IPF)を含む呼吸器疾患、自己免疫疾患、並びにがんの処置のための医薬の製造における上記実施形態のいずれかによる化合物の使用に関する。
【0193】
別段の記載がない限り、本明細書に開示される化合物のすべての立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、水和物、代謝産物、塩、及び薬学的に許容されるプロドラッグは、本発明の範囲内である。
【0194】
ある特定の実施形態において、塩は、薬学的に許容される塩である。語句「薬学的に許容される」は、物質又は組成物が、製剤を構成する他の成分、及び/又はそれで処置される哺乳動物と、化学的及び/又は毒物学的に適合するものでなくてはならないことを示す。
【0195】
本明細書に開示される化合物はまた、そのような化合物の塩であって、必ずしも薬学的に許容される塩ではなく、式(I)の化合物を調製及び/若しくは精製するため並びに/又は式(I)の化合物のエナンチオマーを分離するための中間体として有用となり得る塩も含む。
【0196】
薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸及び有機酸と形成することができ、例えば、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、臭化物/臭化水素酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ショウノウスルホン酸塩、塩化物/塩酸塩、クロルテオフィロネート(chlortheophyllonate)、クエン酸塩、エタンジスルホン酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グロクロン酸塩、馬尿酸塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフトエ酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オクタデカン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、次サリチル酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩及びトリフルオロ酢酸塩である。
【0197】
塩が由来し得る無機酸には、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等が含まれる。
【0198】
塩が由来し得る有機酸には、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸等が含まれる。
【0199】
薬学的に許容される塩基付加塩は、無機及び有機塩基と形成され得る。
【0200】
塩が由来し得る無機塩基には、例えば、アンモニウム塩及び周期表のI~XII列の金属が含まれる。ある特定の実施形態において、塩は、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銀、亜鉛、及び銅に由来し;特に適切な塩には、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩が含まれる。
【0201】
塩が由来し得る有機塩基には、例えば、第一級、第二級、及び第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂等が含まれる。ある特定の有機アミンには、イソプロピルアミン、ベンザチン、コリネート(cholinate)、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、リジン、メグルミン、ピペラジン及びトロメタミンが含まれる。
【0202】
本明細書に開示される薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法により、塩基性又は酸性部分から合成され得る。一般的に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸形態を、化学量論量の適当な塩基(例えば、Na、Ca、Mg、又はKの水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等)と反応させることより、又はこれらの化合物の遊離塩基形態を、化学量論量の適当な酸と反応させることより調製することができる。そのような反応は、典型的には、水中若しくは有機溶媒中、又はその2つの混合物中で行われる。一般的に、実施可能な場合、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、又はアセトニトリルのような非水性媒質の使用が望ましい。追加の適切な塩の一覧は、例えば、「Remington's Pharmaceutical Sciences」、第20版、Mack Publishing Company、Easton、PA、1985において;及び「Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use」Stahl and Wermuth著、Wiley-VCH、Weinheim、Germany、2002において見出すことができる。
【0203】
更に、それらの塩を含む本明細書に開示される化合物はまた、それらの水和物の形態で得ることもでき、又はそれらの結晶化に使用される他の溶媒を含むこともできる。本明細書に開示される化合物は、本質的に又は設計により、薬学的に許容される溶媒(水を含む)と溶媒和物を形成してもよく、したがって、本発明は溶媒和及び非溶媒和形態の両方を包含することが意図されている。
【0204】
別の態様において、本明細書において提供されるのは、式(I)の化合物を調製する方法、分離する方法及び精製する方法である。本明細書に開示される化合物は、一般的にいくつかの不斉中心を有していてもよく、典型的にラセミ混合物の形態で表される。本発明は、ラセミ混合物、部分的ラセミ混合物、並びに別個のエナンチオマー及びジアステレオマーを包含することが意図されている。
【0205】
本明細書に開示される化合物は、可能な異性体、回転異性体、アトロプ異性体、互変異性体又はそれらの混合物のうちの1つの形態であり得る。本発明は、異性体、回転異性体、アトロプ異性体、互変異性体の混合物、部分的に混合された異性体、回転異性体、アトロプ異性体、又は互変異性体、及び分離された異性体、回転異性体、アトロプ異性体、互変異性体を包含することが意図されている。
【0206】
本明細書に記載される任意の式はまた、化合物の非標識形態及び同位体標識形態を表すことも意図されている。同位体標識化合物は、1個又は複数の原子が、選択された原子質量又は質量数を有する原子により置き換えられていることを除いて、本明細書に記載される式により表される構造を有する。本明細書に開示される化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、及び塩素の同位体、例えば、2H、3H、11C、13C、14C、15N、18F、31P、32P、35S、36Cl、及び125Iがそれぞれ挙げられる。
【0207】
別の態様において、本明細書に開示される化合物は、本明細書において定義されている通りの同位体標識化合物、例えば、3H、14C及び18F等の放射性同位体が中に存在するもの、又は2H及び13C等の非放射性同位体が中に存在するものを含む。そのような同位体標識化合物は、代謝研究(14Cを用いる)、反応速度論研究(例えば、2H若しくは3Hを用いる)、薬物若しくは基質組織分布アッセイを含む陽電子放射断層撮影(PET)若しくは単光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)等の検出若しくは画像化技術において、又は患者の放射性処置において有用である。特に、18F又は標識化合物は、PET又はSPECT研究に特に望ましい場合がある。同位体標識した式(I)の化合物は、一般的に、以前用いられていた非標識試薬の代わりに適当な同位体標識試薬を使用して、当業者に公知の従来の技術により、又は添付の実施例及び調製に記載されているものに類似するプロセスにより調製することができる。
【0208】
更に、より重い同位体、特に重水素(すなわち、2H又はD)による置換は、より優れた代謝安定性から生じるある特定の治療上の利点、例えば、インビボ半減期の増大又は必要投与量の低減又は治療指数の改善をもたらし得る。この文脈における重水素は、式(I)の化合物の置換基とみなされると理解される。そのようなより重い同位体、特に重水素の濃度は、同位体濃縮係数により定義され得る。用語「同位体濃縮係数」は、本明細書において使用される場合、特定の同位体の同位体存在度と天然存在度との間の比を意味する。本明細書に開示される化合物中の置換基が重水素と表されている場合、そのような化合物は、各指定された重水素原子について、少なくとも3500(各指定された重水素原子において52.5%の重水素組み込み)、少なくとも4000(60%の重水素組み込み)、少なくとも4500(67.5%の重水素組み込み)、少なくとも5000(75%の重水素組み込み)、少なくとも5500(82.5%の重水素組み込み)、少なくとも6000(90%の重水素組み込み)、少なくとも6333.3(95%の重水素組み込み)、少なくとも6466.7(97%の重水素組み込み)、少なくとも6600(99%の重水素組み込み)、又は少なくとも6633.3(99.5%の重水素組み込み)の同位体濃縮係数を有する。本発明に従う薬学的に許容される溶媒和物には、結晶化の溶媒が同位体置換され得るもの、例えば、D2O、アセトン-d6、又はDMSO-d6が含まれる。
【0209】
本明細書に開示される化合物の組成物、製剤及び投与
一態様において、本明細書で特徴とされるのは、式(I)の化合物、又はTable 1(化11)に列挙されている化合物と、薬学的に許容される担体、アジュバント、又はビヒクルとを含む医薬組成物である。本明細書に開示される医薬組成物中における化合物の量は、生物学的試料において又は患者においてプロテインキナーゼを検知可能な程度に阻害するのに有効な量である。
【0210】
本明細書に開示される化合物のうちの特定のものは、処置のために遊離形態で、又は適当な場合にはその薬学的に許容される誘導体として存在し得ることも認識されるであろう。薬学的に許容される誘導体のいくつかの非限定的な例としては、必要とする患者への投与時に、本明細書に別途記載される通りの化合物、又はその代謝物若しくは残留物を、直接的又は間接的に提供することができる、薬学的に許容されるプロドラッグ、塩、エステル、そのようなエステルの塩、又は任意の他の付加体若しくは誘導体が挙げられる。
【0211】
上記の通り、本明細書に開示される医薬組成物又は薬学的に許容される組成物は、薬学的に許容される担体、アジュバント、又はビヒクルを更に含み、これらには、本明細書において使用される場合、所望の特定の剤形に適するような、あらゆるすべての溶媒、希釈剤、又は他の液体ビヒクル、分散若しくは懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘若しくは乳化剤、防腐剤、固体結合剤、滑沢剤等が含まれる。その各々の内容が参照により本明細書に組み込まれる、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第21版、2005、D.B. Troy編、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、及びEncyclopedia of Pharmaceutical Technology、J. Swarbrick and J. C. Boylan編、1988~1999、Marcel Dekker、New Yorkにおいて、薬学的に許容される組成物を製剤化するのに使用される様々な担体、及びその調製のための公知の技術が開示されている。任意の従来の担体媒体は、任意の望ましくない生物学的効果を生み出すこと、又はそうでなければ薬学的に許容される組成物の任意の他の成分と有害な様式で相互作用すること等により、本明細書に開示される化合物と不適合である場合を除いて、その使用は本発明の範囲内であることが企図される。
【0212】
本明細書に開示される医薬組成物は、安全且つ有効な量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を抽出し、次いで散剤又はシロップ剤等により患者に与えることができるバルク形態で、調製及び包装されてもよい。代替として、本明細書に開示される医薬組成物は、各々物理的に分離した単位が式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する単位剤形で、調製及び包装されてもよい。単位剤形で調製される場合、本明細書に開示される医薬組成物は、典型的には、例えば、0.5mg~1g、又は1mg~700mg、又は5mg~100mgの式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含有し得る。
【0213】
本明細書に開示される医薬組成物は、典型的には、1つの式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する。
【0214】
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される賦形剤」は、医薬組成物に形態性又は稠性を与えることに関与する、薬学的に許容される物質、組成物又はビヒクルを意味する。各賦形剤は、患者に投与される場合に式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効性を実質的に減少させることになる相互作用、及び薬学的に許容されない医薬組成物をもたらすことになる相互作用を回避するように、混合される場合に医薬組成物の他の成分と適合性でなければならない。加えて、各賦形剤は、当然、薬学的に許容されるもの、例えば十分に高純度のものでなければならない。式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩、及び1つ又は複数の薬学的に許容される賦形剤は、典型的には、所望の投与経路による患者への投与に適合した剤形に製剤化されることになる。例えば、剤形としては、(1)経口投与に適合したもの、例えば錠剤、カプセル剤、カプレット剤、丸剤、トローチ剤、散剤、シロップ剤、エリキシル剤、懸濁剤、液剤、乳剤、サシェ剤、及びカシェ剤;(2)非経口投与に適合したもの、例えば無菌の液剤、懸濁剤、及び復元用散剤;(3)経皮投与に適合したもの、例えば経皮パッチ剤;(4)経直腸投与に適合したもの、例えば坐剤;(5)吸入に適合したもの、例えばエアロゾル剤、液剤、及び乾燥散剤;並びに(6)局所投与に適合したもの、例えばクリーム剤、軟膏剤、ローション剤、液剤、ペースト剤、スプレー剤、フォーム剤、及びゲル剤が挙げられる。
【0215】
適切な薬学的に許容される賦形剤は、選択される特定の剤形に応じて変化することになる。加えて、適切な薬学的に許容される賦形剤は、組成物中でそれらが果たし得る特定の機能のために選択されてもよい。例えば、ある特定の薬学的に許容される賦形剤は、均一な剤形の生成を容易にするそれらの能力のために選択され得る。ある特定の薬学的に許容される賦形剤は、安定な剤形の生成を容易にするそれらの能力のために選択され得る。ある特定の薬学的に許容される賦形剤は、ひとたび患者に投与された後に1つ若しくは複数の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を1つの臓器又は体の一部から別の臓器又は体の一部へ運搬又は輸送することを容易にする、それらの能力のために選択され得る。ある特定の薬学的に許容される賦形剤は、患者のコンプライアンスを高めるそれらの能力のために選択され得る。
【0216】
適切な薬学的に許容される賦形剤としては、以下のタイプの賦形剤が挙げられる:希釈剤、充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、造粒剤、コーティング剤、湿潤剤、溶媒、共溶媒、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、香味剤、香味マスキング剤、着色剤、固化防止剤、保湿剤(hemectants)、キレート剤、可塑剤、粘度増加剤、抗酸化剤、防腐剤、安定化剤、界面活性剤、及び緩衝剤。製剤中にどれだけの賦形剤が存在するか、及び製剤中に他にどのような賦形剤が存在するかに応じて、ある特定の薬学的に許容される賦形剤が、1つを超える機能を果たし得ること、及び代替機能を果たし得ることを、当業者は認識するであろう。
【0217】
当業者は、本発明において使用するための適当な量の適切な薬学的に許容される賦形剤の選択を可能にする、当技術分野における知識及び技術を保有する。加えて、薬学的に許容される賦形剤について記載しており、適切な薬学的に許容される賦形剤の選択において有用となり得る、当業者に利用可能ないくつかの資源がある。例としては、Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Company)、The Handbook of Pharmaceutical Additives (Gower Publishing Limited)、及びThe Handbook of Pharmaceutical Excipients (the American Pharmaceutical Association and the Pharmaceutical Press)が挙げられる。
【0218】
本明細書に開示される医薬組成物は、当業者に公知の技術及び方法を使用して調製される。当技術分野において一般的に使用される方法のいくつかは、Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Company)に記載されている。
【0219】
したがって、別の態様において、本発明は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と、1つ又は複数の薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物の調製のための方法であって、成分を混合する工程を含む方法を対象とする。式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物は、例えば、室温及び大気圧での混合により調製され得る。
【0220】
一実施形態において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、経口投与用に製剤化されることになる。別の実施形態において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、吸入投与用に製剤化されることになる。更なる実施形態において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、鼻腔内投与用に製剤化されることになる。
【0221】
一態様において、本発明は、安全且つ有効な量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と希釈剤又は充填剤とを含む、錠剤又はカプセル剤等の、固体経口剤形を対象とする。適切な希釈剤及び充填剤には、ラクトース、スクロース、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デンプン(例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、及びアルファ化デンプン)、セルロース及びその誘導体(例えば微結晶性セルロース)、硫酸カルシウム、並びに第二リン酸カルシウムが含まれる。経口固体剤形は、結合剤を更に含んでもよい。適切な結合剤には、デンプン(例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、及びアルファ化デンプン)、ゼラチン、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、トラガカント、グアーガム、ポビドン、並びにセルロース及びその誘導体(例えば微結晶性セルロース)が含まれる。経口固体剤形は、崩壊剤を更に含んでもよい。適切な崩壊剤には、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロース、アルギン酸、及びカルボキシメチルセルロースナトリウムが含まれる。経口固体剤形は、滑沢剤を更に含んでもよい。適切な滑沢剤には、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、及びタルクが含まれる。
【0222】
適切な場合、経口投与用の投与単位製剤は、マイクロカプセル化することができる。組成物はまた、例えば、微粒子状物質をコーティングするか、又はポリマー、ワックス等に埋め込むことにより、放出を延長する又は持続させるように調製することもできる。
【0223】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩はまた、標的化可能な薬物担体としての可溶性ポリマーとカップリングさせてもよい。そのようなポリマーには、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノール、又はパルミトイル残基で置換されているポリエチレンオキシドポリリジンが含まれ得る。更に、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、薬物の制御放出を達成するのに有用なクラスの生分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、及びヒドロゲルの架橋又は両親媒性ブロックコポリマーとカップリングさせてもよい。
【0224】
別の態様において、本発明は、液体経口剤形を対象とする。液剤、シロップ剤及びエリキシル剤等の経口液剤は、所与の量が、所定量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含有するように、投与単位形態で調製され得る。シロップ剤は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を適切に香味付けされた水溶液に溶解することにより調製することができる一方、エリキシル剤は、非毒性アルコールビヒクルの使用によって調製される。懸濁剤は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を非毒性ビヒクルに分散させることにより製剤化することができる。可溶化剤及び乳化剤、例えばエトキシ化イソステアリルアルコール及びポリオキシエチレンソルビトールエーテル、防腐剤、香味添加剤、例えば、ペパーミント油又は天然甘味料又はサッカリン又は他の人工甘味料等も添加することができる。
【0225】
別の態様において、本発明は、例えば、乾燥粉末、エアロゾル、懸濁剤、又は液剤組成物としての、吸入による患者への投与に適合した剤形を対象とする。一実施形態において、本発明は、乾燥粉末としての、吸入による患者への投与に適合した剤形を対象とする。更なる実施形態において、本発明は、噴霧器を介する吸入による患者への投与に適合した剤形を対象とする。吸入による肺への送達のための乾燥粉末組成物は、典型的には、微細化された粉末としての式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、微細化された粉末としての1つ又は複数の薬学的に許容される賦形剤と一緒に含む。乾燥散剤における使用に特に適した薬学的に許容される賦形剤は、当業者に公知であり、ラクトース、デンプン、マンニトール、並びに単糖、二糖及び多糖が含まれる。微細化された粉末は、例えば、微粉化及び製粉により調製され得る。一般的に、サイズを縮小した(例えば、微粉化した)化合物は、約1~約10ミクロンのD50値(例えば、レーザー回折を使用して測定される)により定義することができる。
【0226】
乾燥散剤は、複数(未計量用量)の医薬を乾燥粉末形態で貯蔵するのに適したリザーバーを有するリザーバ乾燥粉末吸入器(RDPI)を介して患者に投与され得る。RDPIは、典型的には、リザーバーから送達位置への各医薬用量を計量するための手段を含む。例えば、計量手段は、計量カップを含んでいてもよく、これは、カップがリザーバーからの医薬で充填され得る第1の位置から、計量された医薬用量が吸入のために患者に利用可能になる第2の位置まで移動可能である。
【0227】
代替として、乾燥散剤は、複数回用量乾燥粉末吸入器(MDPI)で使用するためのカプセル(例えば、ゼラチン又はプラスチック)、カートリッジ、又はブリスターパックで提供され得る。MDPIは、複数回の規定用量(又はその一部)の医薬を含有する(又はそうでなければ運搬する)複数回用量パック内に医薬が含まれている吸入器である。乾燥散剤がブリスターパックとして提供される場合、それは、乾燥粉末形態の医薬を収納するための複数のブリスターを含む。ブリスターは、典型的には、そこから医薬が容易に放出されるように規則的な様式で配置される。例えば、ブリスターは、ディスク形態のブリスターパック上に概ね円形状に配置されていてもよいく、又はブリスターは、例えばストリップ若しくはテープを含む細長い形態であってもよい。各カプセル、カートリッジ、又はブリスターは、例えば、20μg~10mgの間の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含有し得る。
【0228】
エアロゾル剤は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を液化噴射剤中に懸濁させる又は溶解することにより形成することができる。適切な噴射剤には、ハロカーボン類、炭化水素類、及び他の液化ガスが含まれる。代表的な噴射剤としては、トリクロロフルオロメタン(噴射剤11)、ジクロロフルオロメタン(噴射剤12)、ジクロロテトラフルオロエタン(噴射剤114)、テトラフルオロエタン(HFA-134a)、1,1-ジフルオロエタン(HFA-152a)、ジフルオロメタン(HFA-32)、ペンタフルオロエタン(HFA-12)、ヘプタフルオロプロパン(HFA-227a)、ペルフルオロプロパン、ペルフルオロブタン、ペルフルオロペンタン、ブタン、イソブタン、及びペンタンが挙げられる。式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含むエアロゾル剤は、典型的には、定量吸入器(MDI)を介して患者に投与されることになる。そのような装置は、当業者に公知である。
【0229】
エアロゾル剤は、製剤の物理的安定性を改善するため、バルブ性能を改善するため、溶解性を改善するため、又は風味を改善するために、界面活性剤、滑沢剤、共溶媒及び他の賦形剤等の、MDIとともに典型的に使用される追加の薬学的に許容される賦形剤を含有し得る。
【0230】
したがって、本発明の更なる態様として、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と、噴射剤としてのフルオロカーボン又は水素含有クロロフルオロカーボンとを、場合により界面活性剤及び/又は共溶媒と組み合わせて含む医薬エアロゾル製剤が提供される。
【0231】
本発明の別の態様によれば、噴射剤が、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-N-プロパン及びそれらの混合物から選択される、医薬エアロゾル製剤が提供される。
【0232】
本明細書に開示される製剤は、適切な緩衝剤の添加により緩衝化され得る。
【0233】
吸入器又は吹入器で使用するための、例えばゼラチンのカプセル及びカートリッジは、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩とラクトース又はデンプン等の適切な粉末基剤との吸入用粉末混合物を含有させて、製剤化することができる。各カプセル又はカートリッジは、一般的に、20μg~10mgの式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含有し得る。代替として、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、ラクトース等の賦形剤なしで提供され得る。
【0234】
本発明による局所組成物中の式(I)の活性化合物又はその薬学的に許容される塩の割合は、調製される製剤の正確なタイプに依存するが、一般的には、0.001~10質量%の範囲内になる。一般的に、ほとんどのタイプの調製物について、使用される割合は、0.005~1%、例えば0.01~0.5%の範囲内になる。しかし、吸入又は吹入用の散剤において、使用される割合は、通常、0.1%~5%の範囲内になる。
【0235】
エアロゾル製剤は、エアロゾルの各計量用量又は「一吹き(puff)」が20μg~10mg、好ましくは20μg~2000μg、より好ましくは約20μg~500μgの式(I)の化合物を含有するように構成されることが好ましい。投与は、1日1回又は1日数回、例えば2、3、4若しくは8回であってもよく、例えば各回1、2又は3用量を与える。エアロゾル剤による全1日用量は、100μg~10mg、好ましくは200μg~2000μgの範囲内になる。吸入器内又は吹入器内のカプセル及びカートリッジにより送達される全1日用量及び計量用量は、一般的に、エアロゾル製剤で送達されるものの2倍になる。
【0236】
懸濁エアロゾル製剤の場合、微粒子状(例えば、微粉化した)薬物の粒径は、エアロゾル製剤の投与時に実質的にすべての薬物が肺の中への吸入され得るようなものでなければならず、したがって、100ミクロン未満、望ましくは20ミクロン未満、特に1~10ミクロンの範囲、例えば1~5ミクロンの範囲、より好ましくは2~3ミクロンの範囲内になる。
【0237】
本明細書に開示される製剤は、例えば、超音波処理又は高剪断ミキサーを用いて、適当な容器内の選択された噴射剤中に、医薬及び式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を分散又は溶解させることにより、調製することができる。このプロセスは、望ましくは、制御された湿度条件下で行われる。
【0238】
本発明によるエアロゾル製剤の化学的及び物理的安定性並びに薬学的許容性は、当業者に周知の技術により決定され得る。したがって、例えば、成分の化学的安定性は、例えば、製品の長期貯蔵後に、HPLCアッセイにより決定することができる。物理的安定性データは、例えば、漏れ試験による、バルブ送達アッセイ(1作動当たりの平均射出質量)による、用量再現性アッセイ(1作動当たりの活性成分)及びスプレー分布分析による等の、他の従来の分析技術から得ることができる。
【0239】
本発明による懸濁エアロゾル製剤の安定性は、従来の技術により、例えば、バックライト散乱装置を使用して凝集粒径分布を測定することにより、又はカスケードインパクションにより若しくは「ツインインピンジャー」分析プロセスにより粒径分布を測定することにより、測定することができる。本明細書において使用される場合、「ツインインピンジャー」アッセイへの言及は、British Pharmacopaeia 1988、A204~207頁、Appendix XVII Cに定義されている通り、「装置Aを使用する加圧吸入における放出用量の沈積の決定(Determination of the deposition of the emitted dose in pressurised inhalations using apparatus A)」を意味する。そのような技術により、エアロゾル製剤の「呼吸性画分」を算出することが可能となる。「呼吸性画分」を算出するのに使用される1つの方法は、上記のツインインピンジャー法を使用して1作動当たりに送達される活性成分の総量に対する百分率として表される、1作動当たりに下部インピジメントチャンバーで回収される活性成分の量である「微粒子画分」を参照することによる方法である。
【0240】
用語「定量吸入器」又はMDIは、缶、缶を覆う固定キャップ、及びキャップ内に位置する製剤計量バルブを含むユニットを意味する。MDIシステムは、適切なチャネリング装置を含む。適切なチャネリング装置は、例えば、バルブアクチュエーターと、円筒状又は円錐状の通路とを含み、それに通して、医薬を充填キャニスターから計量バルブを介して患者の鼻又は口へ送達することができ、これは、例えばマウスピースアクチュエーターである。
【0241】
MDIキャニスターは、一般的に、使用される噴射剤の蒸気圧に耐えられる容器、例えば、プラスチックボトル若しくはプラスチックコーティングされたガラスボトル、又は好ましくは金属缶、例えば、場合により陽極酸化処理、ラッカーコーティング及び/若しくはプラスチックコーティングされ得るアルミニウム若しくはその合金の缶(例えば、参照により本明細書に組み込まれるWO96/32099では、内面の一部又は全部が、1つ又は複数のフルオロカーボンポリマーで、場合により1つ又は複数の非フルオロカーボンポリマーと組み合わせてコーティングされている)を含み、その容器は計量バルブで閉じられている。キャップは、超音波溶接、ねじ込み継手又は圧着により缶上に固定され得る。本明細書において教示されるMDIは、当技術分野の方法により調製することができる(例えばByron、上記及びWO96/32099を参照されたい)。好ましくは、キャニスターにキャップアセンブリが取り付けられており、ここで、薬物計量バルブはキャップ内に位置し、前記キャップは所定の位置に圧着されている。
【0242】
本発明の一実施形態において、缶の金属製内面は、フルオロポリマー、より好ましくは非フルオロポリマーとブレンドされたものでコーティングされる。本発明の別の実施形態において、缶の金属製内面は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とポリエーテルスルホン(PES)とのポリマーブレンドでコーティングされる。本発明の更なる実施形態において、缶の金属製内面の全体が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とポリエーテルスルホン(PES)とのポリマーブレンドでコーティングされる。計量バルブは、計量された量の製剤を1作動毎に送達するように、且つバルブを通じて噴射剤が漏れることを防ぐためのガスケットを組み込むように設計される。ガスケットは、例えば、低密度ポリエチレン、クロロブチル、ブロモブチル、EPDM、黒色及び白色のブタジエン-アクリロニトリルゴム、ブチルゴム並びにネオプレン等の任意の適切なエラストマー材料を含み得る。適切なバルブは、エアロゾル業界で周知の製造業者から、例えば、Valois社、フランス(例えばDF10、DF30、DF60)、Bespak pic社、英国(例えばBK300、BK357)及び3M-TM Neotechnic社、英国(例えばSpraymiser)から市販されている。
【0243】
様々な実施形態において、MDIはまた、他の構造体、例えば、限定するものではないが、米国特許第6,119,853号;第6,179,118号;第6,315,112号;第6,352,152号;第6,390,291号;及び第6,679,374号に記載されているものを含む、MDIを保管及び収納するためのオーバーラップパッケージ、並びに限定するものではないが、米国特許第6,360,739号及び第6,431,168号に記載されているもの等の用量カウンターユニットと併せて使用することもできる。
【0244】
医薬エアロゾル剤製造の分野の当業者に周知の従来のバルク製造方法及び機械類は、充填キャニスターの商業生産のための大規模バッチの調製に用いられ得る。したがって、例えば、懸濁エアロゾル製剤を調製するための1つのバルク製造方法においては、計量バルブをアルミニウム缶上に圧着して、空のキャニスターを形成する。微粒子状医薬を充填容器に添加し、液化噴射剤を、任意選択の賦形剤と一緒に充填容器に通して製造容器内に加圧充填する。薬物懸濁液を混合した後、充填機に再循環させ、次いで、薬物懸濁液のアリコートを計量バルブに通してキャニスター内に充填する。溶液エアロゾル製剤を調製するためのバルク製造方法の一例においては、計量バルブをアルミニウム缶上に圧着して、空のキャニスターを形成する。液化噴射剤を、任意選択の賦形剤及び溶解した医薬と一緒に、充填容器に通して製造容器内に加圧充填する。
【0245】
代替的プロセスにおいては、液化製剤のアリコートを、確実に製剤を気化させないために十分に冷たい条件下で開放キャニスターに添加し、次いで、計量バルブをキャニスター上に圧着する。
【0246】
典型的には、医薬用途のために調製されるバッチにおいて、各充填キャニスターは、秤量確認され、バッチ番号でコード化され、保管用トレイに包装された後、放出試験が行われる。式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む懸濁剤及び液剤はまた、噴霧器を介して患者に投与することもできる。噴霧に利用される溶媒又は懸濁剤は、任意の薬学的に許容される液体、例えば、水、生理食塩水溶液、アルコール類若しくはグリコール類、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等、又はそれらの混合物であってもよい。生理食塩水溶液は、投与後に薬理学的活性をほとんど又は全く示さない塩を利用する。有機塩、例えば、アルカリ金属塩若しくはアンモニウムハロゲン塩、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、又は有機塩、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩及びアンモニウム塩、或いは有機酸、例えば、アスコルビン酸、クエン酸、酢酸、酒石酸等はいずれも、この目的のために使用することができる。
【0247】
他の薬学的に許容される賦形剤を懸濁剤又は液剤に添加してもよい。式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、無機酸、例えば、塩酸、硝酸、硫酸及び/若しくはリン酸;有機酸、例えば、アスコルビン酸、クエン酸、酢酸、及び酒石酸等、錯化剤、例えば、EDTA若しくはクエン酸及びその塩;又は抗酸化剤、例えば、ビタミンE若しくはアスコルビン酸等の抗酸化剤の添加により、安定化させることができる。これらは、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を安定化させるために、単独で又は一緒に使用され得る。塩化ベンザルコニウム又は安息香酸及びそれらの塩等の防腐剤を添加してもよい。界面活性剤を、特に懸濁剤の物理的安定性を改善するために添加してもよい。これらには、レシチン、ジオクチルスルホコハク酸二ナトリウム、オレイン酸及びソルビタンエステルが含まれる。
【0248】
更なる態様において、本発明は、鼻腔内投与に適合した剤形を対象とする。
【0249】
鼻への投与のための製剤には、加圧エアロゾル製剤、及び加圧ポンプにより鼻に投与される水性製剤が含まれ得る。非加圧であり、鼻腔への局所投与に適合した製剤は、特に関心がもたれる。適切な製剤は、この目的のための希釈剤又は担体として水を含有する。肺又は鼻への投与のための水性製剤は、従来の賦形剤、例えば、緩衝剤、張性改変剤等とともに提供され得る。水性製剤はまた、噴霧により鼻へ投与することもできる。式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、流体ディスペンサー、例えば分配ノズル又は分配オリフィスを有する流体ディスペンサーであって、流体ディスペンサーのポンプ機構に使用者が力を加えると計量用量の流体製剤が分配ノズル又は分配オリフィスを通って分配される流体ディスペンサーから送達するための、流体製剤として製剤化され得る。そのような流体ディスペンサーは、一般的に、複数回分の計量用量の流体製剤のリザーバーを備えており、用量は連続的ポンプ作動時に分配可能である。分配ノズル又はオリフィスは、流体製剤を鼻腔内へスプレー分配するために、使用者の鼻孔内に挿入するように構成され得る。上述のタイプの流体ディスペンサーは、その全体が参照により本明細書に組み込まれるWO05/044354に記載及び例示されている。ディスペンサーは、流体製剤を含有するための容器上に取り付けられた圧縮ポンプを有する流体排出装置を収納するハウジングを有する。ハウジングは、指で操作可能な少なくとも1つのサイドレバーを有し、このサイドレバーは、ハウジングに対して内側に動くことができ、ハウジング内で容器を上方にカム動作して、ポンプを圧縮させ、計量用量の製剤をポンプステムからハウジングの経鼻ノズルに通してポンプ排出させる。一実施形態において、流体ディスペンサーは、WO05/044354の
図30~40に例示されている一般的なタイプのものである。
【0250】
担体が固体である、鼻腔内投与に適合した医薬組成物は、鼻の近くに保持された粉末の容器から鼻道を通って急速吸入されることにより投与される、例えば20~500ミクロンの範囲の粒径を有する粗粉末を含む。経鼻スプレーとして又は点鼻薬として投与するための、担体が液体である適切な組成物は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の水性又は油性液剤を含む。
【0251】
経皮投与に適合した医薬組成物は、長時間にわたって患者の表皮と密着させたままにしておくことが意図されている個別のパッチ剤として提供され得る。例えば、活性成分は、Pharmaceutical Research、3(6)、318(1986)に一般的に記載されている通り、イオン導入法によりパッチ剤から送達することができる。
【0252】
局所投与に適合した医薬組成物は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、散剤、液剤、ペースト剤、ゲル剤、スプレー剤、エアロゾル剤又は油剤として製剤化され得る。軟膏剤、クリーム剤及びゲル剤は、例えば、適切な増粘剤及び/又はゲル化剤及び/又は溶媒を添加した、水性又は油性基剤を用いて製剤してもよい。したがって、そのような基剤には、例えば、水及び/又は油、例えば液体パラフィン若しくは植物油、例えばラッカセイ油若しくはヒマシ油、或いは溶媒、例えばポリエチレングリコールが含まれ得る。基剤の性質に応じて使用され得る増粘剤及びゲル化剤には、軟パラフィン、ステアリン酸アルミニウム、セトステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、羊毛脂、ビーズワックス、カルボキシポリメチレン及びセルロース誘導体、並びに/又はモノステアリン酸グリセリル及び/若しくは非イオン性乳化剤が含まれる。
【0253】
ローション剤は、水性又は油性基剤を用いて製剤化することができ、一般的に、1つ又は複数の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤又は増粘剤も含有することになる。
【0254】
外用散剤は、任意の適切な粉末基剤、例えば、タルク、ラクトース又はデンプンを用いて形成してもよい。滴剤は、1つ又は複数の分散剤、可溶化剤、懸濁化剤又は防腐剤も含む、水性又は非水性基剤を用いて製剤化することができる。
【0255】
局所調製物は、患部への1日当たり1回又は複数回の塗布により投与することができ、皮膚領域を覆う密封包帯を有利に使用してもよい。連続又は長期送達は、接着リザーバー系により達成することができる。
【0256】
目又は他の外部組織、例えば口及び皮膚の処置のために、組成物を、局所軟膏剤又はクリーム剤として塗布してもよい。軟膏剤に製剤化される場合、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、パラフィン性又は水混和性の軟膏基剤のいずれかとともに用いてもよい。代替として、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、水中油クリーム基剤又は油中水基剤を有するクリーム剤に製剤化され得る。
【0257】
非経口投与に適合した医薬組成物には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び製剤を意図される受容者の血液と等張にする溶質を含有し得る、水性及び非水性滅菌注射溶液;並びに懸濁化剤及び増粘剤を含み得る水性及び非水性滅菌懸濁剤が含まれる。組成物は、単位用量又は複数用量の容器、例えば密封されたアンプル及びバイアルで提供されてもよく、使用直前に滅菌液体担体、例えば注射用水の添加のみが必要とされるフリーズドライ(凍結乾燥)状態で貯蔵されてもよい。即時注射液剤及び懸濁剤は、滅菌散剤、顆粒剤及び錠剤から調製され得る。
【0258】
本発明による化合物及び医薬製剤は、例えば、抗炎症薬、抗コリン剤(特に、M1/M2/M3受容体アンタゴニスト)、β2-アドレナリン受容体アゴニスト、抗感染剤、例えば抗生物質若しくは抗ウイルス剤、又は抗ヒスタミン剤から選択される、一つ又は複数の他の治療剤と組み合わせて使用してもよく、或いはそれらを含んでもよい。したがって、更なる態様において、本発明は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、例えば、抗炎症剤、例えばコルチコステロイド若しくはNSAID、抗コリン剤、β2-アドレナリン受容体アゴニスト、抗感染剤、例えば抗生物質若しくは抗ウイルス剤、又は抗ヒスタミン剤から選択される一つ又は複数の他の治療活性剤と一緒に含む組合せを提供する。本発明の一実施形態は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、β2-アドレナリン受容体アゴニスト、及び/又は抗コリン剤、及び/又はPDE-4阻害剤、及び/又は抗ヒスタミン剤と一緒に含む組合せを包含する。
【0259】
一実施形態において、本発明は、不適当なPI3-キナーゼ活性により媒介される障害を処置する方法であって、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を1つ又は複数の治療活性剤と一緒に含む安全且つ有効な量の組合せを投与する工程を含む方法を包含する。
【0260】
本明細書に開示されるある特定の化合物は、他のPI3-キナーゼよりもPI3Kδに対して選択性を示し得る。したがって、更なる態様において、本発明は、PI3Kδに対して選択的である式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、別のPI3-キナーゼ、例えばPI3Kγに対して選択的である化合物又はその薬学的に許容される塩と一緒に含む組合せを提供する。
【0261】
本発明の一実施形態は、1つ又は2つの他の治療剤を含む組合せを包含する。
【0262】
適当な場合、他の治療成分を、塩の形態で、例えばアルカリ金属塩若しくはアミン塩として、又は酸付加塩若しくはプロドラッグとして、又はエステル、例えば低級アルキルエステルとして、又は溶媒和物、例えば水和物として使用して、治療成分の活性及び/又は安定性及び/又は物理的特性、例えば溶解性を最適化し得ることは当業者には明らかであろう。適当な場合、治療成分が光学的に純粋な形態で使用され得ることもまた明らかであろう。
【0263】
一実施形態において、本発明は、療法において同時、別個又は順次に使用するための組合せ調製物として式(I)の化合物と少なくとも1つの他の治療剤とを含む生成物を提供する。一実施形態において、療法は、PI3K酵素の活性により媒介される疾患又は状態の処置である。組合せ調製物として提供される生成物には、同一の医薬組成物中に式(I)の化合物と他の治療剤とを一緒に含む、又は別個の形態、例えばキットの形態で式(I)の化合物と他の治療剤とを含む、組成物が含まれる。
【0264】
一実施形態において、本発明は、式(I)の化合物と別の治療剤とを含む医薬組成物を提供する。場合により、医薬組成物は、上記の通りの薬学的に許容される担体を含み得る。
【0265】
一実施形態において、本発明は、2つ又はそれ以上の別個の医薬組成物を含み、その少なくとも1つが式(I)の化合物を含有する、キットを提供する。一実施形態において、キットは、前記組成物を別個に保持するための手段、例えば、容器、分割されたボトル、又は分割されたホイルポケットを含む。そのようなキットの例は、錠剤、カプセル剤等の包装に典型的に使用されるようなブリスターパックである。
【0266】
本発明のキットは、例えば経口及び非経口の異なる剤形を投与するため、異なる投与間隔で別個の組成物を投与するため、又は別個の組成物を互いに対して滴定するために使用され得る。コンプライアンスを支援するために、本発明のキットは、典型的には投与説明書を含む。
【0267】
本発明の併用療法において、本明細書に開示される化合物及び他の治療剤は、同じ又は異なる製造業者により製造及び/又は製剤化されてもよい。更に、本明細書に開示される化合物及び他の治療剤は、(i)医師に組合せ製品を販売する前に(例えば、本明細書に開示される化合物と他の治療剤とを含むキットの場合);(ii)投与直前に医師自身により(又は医師の指導の下で);(iii)例えば、本明細書に開示される化合物及び他の治療剤の順次投与の間に患者自身で、併用療法としてまとめられてもよい。
【0268】
したがって、本発明は、PI3K酵素の活性により媒介される疾患又は状態を処置するための式(I)の化合物の使用を提供し、ここで、医薬は、別の治療剤とともに投与するために調製される。本発明はまた、PI3K酵素の活性により媒介される疾患又は状態を処置するための別の治療剤の使用も提供し、ここで、医薬は、式(I)の化合物とともに投与される。
【0269】
本発明はまた、PI3K酵素の活性により媒介される疾患又は状態を処置する方法において使用するための式(I)の化合物も提供し、ここで、式(I)の化合物は、別の治療剤とともに投与するために調製される。本発明はまた、PI3K酵素の活性により媒介される疾患又は状態を処置する方法において使用するための別の治療剤も提供し、ここで、他の治療剤は、式(I)の化合物とともに投与するために調製される。本発明はまた、PI3K酵素の活性により媒介される疾患又は状態を処置する方法において使用するための式(I)の化合物も提供し、ここで、式(I)の化合物は、別の治療剤とともに投与される。本発明はまた、PI3K酵素の活性により媒介される疾患又は状態を処置する方法において使用するための別の治療剤も提供し、ここで、他の治療剤は、式(I)の化合物とともに投与される。
【0270】
本発明はまた、PI3K酵素の活性により媒介される疾患又は状態を処置するための式(I)の化合物の使用も提供し、ここで、患者は、先に(例えば、24時間以内に)別の治療剤で処置されている。本発明はまた、PI3K酵素の活性により媒介される疾患又は状態を処置するための別の治療剤の使用も提供し、ここで、患者は、先に(例えば、24時間以内に)式(I)の化合物で処置されている。式Iの化合物は、唯一の活性成分として、或いは、他の薬物、例えば同種(alio-)若しくは異種移植片急性若しくは慢性拒絶又は炎症若しくは自己免疫障害の処置又は予防のための例えば免疫抑制若しくは免疫調節剤又は他の抗炎症剤、又は化学療法剤、例えば悪性細胞抗増殖剤と併せて、例えばそのアジュバントとして、投与されてもよい。例えば、式Iの化合物は、カルシニューリン阻害剤、例えばシクロスポリンA又はFK 506;mTOR阻害剤、例えばラパマイシン、40-O-(2-ヒドロキシエチル)ラパマイシン、CCI779、ABT578、AP23573、TAFA-93、バイオリムス-7又はバイオリムス-9;免疫抑制特性を有するアスコマイシン、例えばABT-281、ASM981等;コルチコステロイド;シクロホスファアミド;アザチオプレン;メトトレキサート;レフルノミド;ミゾリビン;ミコフェノール酸又は塩;ミコフェノール酸モフェチル;15-デオキシスペルグアリン又はその免疫抑制同族体、類似体若しくは誘導体;例えばWO02/38561又はWO03/82859に開示されている通りのPKC阻害剤、例えば実施例56又は70の化合物;JAK3キナーゼ阻害剤、例えばN-ベンジル-3,4-ジヒドロキシ-ベンジリデン-シアノアセトアミド-α-シアノ-(3,4-ジヒドロキシ)-N-ベンジルシンナムアミド(チルホスチンAG490)、プロジギオシン25-C(PNU156804)、[4-(4'-ヒドロキシフェニル)-アミノ-6,7-ジメトキシキナゾリン](WHI-P131)、[4-(3'-ブロモ-4'-ヒドロキシルフェニル)-アミノ-6,7-ジメトキシキナゾリン](WHI-P154)、[4-(3',5'-ジブロモ-4'-ヒドロキシルフェニル)-アミノ-6,7-ジメトキシキナゾリン]WHI-P97、KRX-21 遊離形態若しくは薬学的に許容される塩形態、例えばモノクエン酸塩の1,3-{(3R,4R)-4-メチル-3-[メチル-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-アミノ]-ピペリジン-1-イル}-3-オキソ-プロピオニトリル(CP-690,550とも呼ばれる)、又はWO04/052359若しくはWO05/066156に開示されている通りの化合物;免疫抑制モノクローナル抗体、例えば、白血球受容体、例えば、MHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD25、CD28、CD40、CD45、CD52、CD58、CD80、CD86に対するモノクローナル抗体又はそれらのリガンド;他の免疫調節化合物、例えば、CTLA4又はその変異体の細胞外ドメインの少なくとも一部分、例えば非CTLA4タンパク質配列に結合したCTLA4又はその変異体の少なくとも細胞外部分を有する組換え結合分子、例えばCTLA4lg(例えば、ATCC68629と命名)又はその変異体、例えばLEA29Y;接着分子阻害剤、例えばLFA-1アンタゴニスト、ICAM-1又は-3アンタゴニスト、VCAM-4アンタゴニスト又はVLA-4アンタゴニスト;或いは抗ヒスタミン剤;或いは鎮咳薬、又は気管支拡張剤;或いはアンジオテンシン受容体ブロッカー;或いは抗感染剤と組み合わせて使用され得る。
【0271】
式Iの化合物が、他の免疫抑制性/免疫調節性、抗炎症性、化学療法的又は抗感染性の療法と併せて投与される場合、同時投与される免疫抑制剤、免疫調節性、抗炎症性、化学療法的又は抗感染性の化合物の投与量は、用いられる共薬物のタイプ、例えばそれがステロイドであるかカルシニューリン阻害剤であるか、用いられる特定の薬物、処置される状態等に応じて当然変化することになる。
【0272】
一実施形態において、本発明は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩をβ2-アドレナリン受容体アゴニストと一緒に含む組合せを包含する。
【0273】
β2-アドレナリン受容体アゴニストの例としては、サルメテロール(ラセミ体又はR-エナンチオマー等の単一のエナンチオマーであり得る)、サルブタモール(ラセミ体又はR-エナンチオマー等の単一のエナンチオマーであり得る)、ホルモテロール(ラセミ体又はR,R-ジアステレオマー等の単一のジアステレオマー(duastereomer)であり得る)、サルメファモール、フェノテロール、カルモテロール、エタンテロール、ナミンテロール、クレンブテロール、ピルブテロール、フレルブテロール(flerbuterol)、レプロテロール、バンブテロール、インダカテロール、テルブタリン及びそれらの塩、例えばサルメテロールのキシナホ酸(1-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシレート)塩、サルブタモールの硫酸塩若しくは遊離塩基、又はホルモテロールのフマル酸塩が挙げられる。一実施形態において、長時間作用性のβ2-アドレナリン受容体アゴニスト、例えば、約12時間又はそれ以上有効な気管支拡張を提供する化合物が好ましい。
【0274】
β2-アドレナリン受容体アゴニストは、硫酸、塩酸、フマル酸、ヒドロキシナフトエ酸(例えば1-又は3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸)、ケイ皮酸、置換ケイ皮酸、トリフェニル酢酸、スルファミン酸、スルファニル酸、ナフタレンアクリル酸、安息香酸、4-メトキシ安息香酸、2-又は4-ヒドロキシ安息香酸、4-クロロ安息香酸及び4-フェニル安息香酸から選択される薬学的に許容される酸と形成される塩の形態であってもよい。
【0275】
適切な抗炎症剤としては、コルチコステロイドが挙げられる。式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて使用され得る適切なコルチコステロイドは、抗炎症活性を有する経口及び吸入コルチコステロイド並びにそれらのプロドラッグである。例としては、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-[(4-メチル-1,3-チアゾール-5-カルボニル)オキシ]-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル(フルチカゾンフロ酸エステル)、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-プロピオニルオキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-(2-オキソ-テトラヒドロ-フラン-3S-イル)エステル、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-(2,2,3,3-テトラメチシクロプロピルカルボニル)オキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-シアノメチルエステル及び6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-(1-エチシクロプロピルカルボニル)オキシ-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル、ベクロメタゾンエステル類(例えば17-プロピオン酸エステル又は17,21-ジプロピオン酸エステル)、ブデソニド、フルニソリド、モメタゾンエステル類(例えばモメタゾンフロ酸エステル)、トリアムシノロンアセトニド、ロフレポニド、シクレソニド(16α,17-[[(R)-シクロヘキシルメチレン]ビス(オキシ)]-11β,21-ジヒドロキシ-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン)、ブチキソコルトプロピオネート、RPR-106541、並びにST-126が挙げられる。好ましいコルチコステロイドとしては、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-[(4-メチル-1,3-チアゾール-5-カルボニル)オキシ]-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-(2,2,3,3-テトラメチシクロプロピルカルボニル)オキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-シアノメチルエステル及び6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-(1-メチシクロプロピルカルボニル)オキシ-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステルが挙げられる。一実施形態において、コルチコステロイドは、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステルである。
【0276】
トランス活性化よりもトランス抑制に対して選択性を有する可能性があり、併用療法において有用であり得る、グルココルチコイドアゴニズムを有する非ステロイド性化合物としては、以下の特許において網羅されているものが挙げられる:WO03/082827、WO98/54159、WO04/005229、WO04/009017、WO04/018429、WO03/104195、WO03/082787、WO03/082280、WO03/059899、WO03/101932、WO02/02565、WO01/16128、WO00/66590、WO03/086294、WO04/026248、WO03/061651及びWO03/08277。更なる非ステロイド性化合物は、WO2006/000401、WO2006/000398及びWO2006/015870において網羅されている。
【0277】
抗炎症剤の例としては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)が挙げられる。
【0278】
NSAIDの例としては、クロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミルナトリウム、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤(例えば、テオフィリン、PDE4阻害剤又は混合PDE3/PDE4阻害剤)、ロイコトリエンアンタゴニスト、ロイコトリエン合成阻害剤(例えばモンテルカスト)、iNOS阻害剤、トリプターゼ及びエラスターゼ阻害剤、べータ-2インテグリンアンタゴニスト及びアデノシン受容体アゴニスト若しくはアンタゴニスト(例えばアデノシン2aアゴニスト)、サイトカインアンタゴニスト(例えばケモカインアンタゴニスト、例えばCCR3アンタゴニスト)、又はサイトカイン合成阻害剤、又は5-リポキシゲナーゼ阻害剤が挙げられる。iNOS(誘導型一酸化窒素合成酵素阻害剤)は、好ましくは、経口投与用である。iNOS阻害剤の例としては、WO93/13055、WO98/30537、WO02/50021、WO95/34534及びWO99/62875に開示されているものが挙げられる。CCR3阻害剤の例としては、WO02/26722に開示されているものが挙げられる。
【0279】
一実施形態において、本発明は、特に吸入に適合した製剤の場合において、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤と組合せた、式(I)の化合物の使用を提供する。本発明のこの態様において有用であるPDE4特異的阻害剤は、PDE4酵素を阻害することが公知であり、又はPDE4阻害剤として作用することが発見されており、PDE4だけの阻害剤であり、PDE4だけでなくPDEファミリーの他のメンバー、例えばPDE3及びPDE5を阻害する化合物ではない、任意の化合物であり得る。化合物には、cis-4-シアノ-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)シクロヘキサン-1-カルボン酸、2-カルボメトキシ-4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オン及びcis-[4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オール]が含まれる。また、1996年9月3日に発行された米国特許第5,552,438号に記載されている、cis-4-シアノ-4-[3-(シクロペンチルオキシ)-4-メトキシフェニル]シクロヘキサン-1-カルボン酸(シロミラストとしても公知)及びその塩、エステル、プロドラッグ又は物理的形態もあり、この特許及びそれが開示する化合物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0280】
抗コリン剤の例は、ムスカリン受容体においてアンタゴニストとして作用する化合物、特に、M1若しくはM3受容体のアンタゴニスト、M1/M3若しくはM2/M3受容体のデュアルアンタゴニスト、又はM1/M2/M3受容体の汎アンタゴニストである化合物である。吸入による投与のための例示的化合物としては、イプラトロピウム(例えば、臭化物として、CAS 22254-24-6、Atroventという名称で販売されている)、オキシトロピウム(例えば、臭化物として、CAS 30286-75-0)及びチオトロピウム(例えば、臭化物として、CAS 136310-93-5、Spirivaという名称で販売されている)が挙げられる。また重要であるものは、レバトロペート(例えば、臭化水素酸塩として、CAS 262586-79-8)及びWO01/04118に開示されているLAS-34273である。経口投与のための例示的化合物としては、ピレンゼピン(CAS 28797-61-7)、ダリフェナシン(CAS 133099-04-4、又はEnablexという名称で販売されている臭化水素酸塩についてCAS 133099-07-7)、オキシブチニン(CAS 5633-20-5、Ditropanという名称で販売されている)、テロジリン(CAS 15793-40-5)、トルテロジン(CAS 124937-51-5、又は酒石酸についてCAS 124937-52-6、Detrolという名称で販売されている)、オチロニウム(例えば、臭化物として、CAS 26095-59-0、Spasmomenという名称で販売されている)、塩化トロスピウム(CAS 10405-02-4)及びソリフェナシン(CAS 242478-37-1、又はYM-905としても公知でありVesicareという名称で販売されているコハク酸塩についてCAS 242478-38-2)が挙げられる。
【0281】
一実施形態において、本発明は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩をH1アンタゴニストと一緒に含む組合せを提供する。H1アンタゴニストのいくつかの非限定的な例としては、アンレキサノクス(amelexanox)、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン、ブロムフェニラミン、セチリジン、レボセチリジン、エフレチリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デスカルボエトキシロラタジン、ドキシラミン、ジメチンデン、エバスチン、エピナスチン、エフレチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラタジン、レボカバスチン、ミゾラスチン、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン、メクリジン、ノルアステミゾール、オロパタジン、ピクマスト、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレナミン、テメラスチン、トリメプラジン及びトリプロリジン、特にセチリジン、レボセチリジン、エフレチリジン及びフェキソフェナジンが挙げられる。更なる実施形態において、本発明は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩をH3アンタゴニスト(及び/又はインバースアゴニスト)と一緒に含む組合せを提供する。H3アンタゴニストの例としては、例えば、WO2004/035556及びWO2006/045416に開示されている化合物が挙げられる。本明細書に開示される化合物と組み合わせて使用され得る他のヒスタミン受容体アンタゴニストとしては、H4受容体のアンタゴニスト(及び/又はインバースアゴニスト)、例えば、Jablonowskiら、J. Med. Chem.、2003、46、3957~3960に開示されている化合物が挙げられる。
【0282】
したがって、本発明は、更なる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩をPDE4阻害剤と一緒に含む組合せを提供する。
【0283】
したがって、本発明は、更なる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩をβ2-アドレナリン受容体アゴニストと一緒に含む組合せを提供する。
【0284】
したがって、本発明は、更なる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩をコルチコステロイドと一緒に含む組合せを提供する。
【0285】
したがって、本発明は、更なる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を非ステロイド性GRアゴニストと一緒に含む組合せを提供する。
【0286】
したがって、本発明は、更なる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を抗コリン剤と一緒に含む組合せを提供する。
【0287】
したがって、本発明は、更なる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を抗ヒスタミン剤と一緒に含む組合せを提供する。
【0288】
したがって、本発明は、更なる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩をPDE4阻害剤及びβ2-アドレナリン受容体アゴニストと一緒に含む組合せを提供する。
【0289】
したがって、本発明は、更なる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を抗コリン剤及びPDE-4阻害剤と一緒に含む組合せを提供する。
【0290】
上記で言及した組合せは、医薬組成物の形態での使用のために好都合に提供してもよく、したがって、上記で定義した通りの組合せを薬学的に許容される希釈剤又は担体と一緒に含む医薬組成物は、本発明の更なる態様を表す。
【0291】
そのような組合せの個々の化合物は、別個の又は組み合わせた医薬製剤中で順次に又は同時に投与され得る。一実施形態において、個々の化合物は、組み合わせた医薬製剤中で同時に投与されることになる。公知の治療剤の適当な用量は、当業者により容易に認識されるであろう。
【0292】
したがって、本発明は、更なる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と別の治療活性剤との組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0293】
したがって、本発明は、更なる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩とPDE4阻害剤との組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0294】
したがって、本発明は、更なる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩とβ2-アドレナリン受容体アゴニストとの組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0295】
したがって、本発明は、更なる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩とコルチコステロイドとの組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0296】
したがって、本発明は、更なる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と非ステロイド性GRアゴニストとの組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0297】
したがって、本発明は、更なる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と抗コリン剤との組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0298】
したがって、本発明は、更なる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と抗ヒスタミン剤との組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0299】
したがって、本発明は、更なる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩とPDE4阻害剤及びβ2-アドレナリン受容体アゴニストとの組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0300】
したがって、本発明は、更なる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と抗コリン剤及びPDE4阻害剤との組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0301】
式(I)の化合物はまた、互いに組み合わせて、又は他の治療剤、特に他の抗増殖剤と組み合わせて有利に使用してもよい。そのような抗増殖剤には、アロマターゼ阻害剤;抗エストロゲン剤;トポイソメラーゼI阻害剤;トポイソメラーゼII阻害剤;微小管活性剤;アルキル化剤;ヒストンデアセチラーゼ阻害剤;細胞分化プロセスを誘導する化合物;シクロオキシゲナーゼ阻害剤;MMP阻害剤;mTOR阻害剤;抗新生物代謝拮抗剤;プラチン化合物;プロテインキナーゼ又は脂質キナーゼ活性を標的とする/減少させる化合物、及び更なる抗血管新生化合物;プロテインホスファターゼ又は脂質ホスファターゼの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物;ゴナドレリンアゴニスト;抗アンドロゲン剤;メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤;ビスホスホネート;生物学的応答調節物質;抗増殖性抗体;ヘパラナーゼ阻害剤;Ras発癌性アイソフォームの阻害剤;テロメラーゼ阻害剤;プロテアソーム阻害剤;血液学的悪性腫瘍の処置において使用される薬剤;Flt-3の活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物;Hsp90阻害剤;テモゾロミド(TEMODAL(登録商標));並びにロイコボリンが含まれるがこれらに限定されない。
【0302】
用語「アロマターゼ阻害剤」は、本明細書において使用される場合、エストロゲン産生、すなわち、基質アンドロステンジオン及びテストステロンからそれぞれエストロン及びエストラジオールへの変換を阻害する化合物に関する。この用語には、ステロイド類、特にアタメスタン、エキセメスタン及びフォルメスタン;並びに特に、非ステロイド類、特にアミノグルテチミド、ログレチミド、ピリドグルテチミド、トリロスタン、テストラクトン、ケトコナゾール、ボロゾール、ファドロゾール、アナストロゾール及びレトロゾールが含まれるがこれらに限定されない。エキセメスタンは、例えば、商標AROMASINで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。フォルメスタンは、例えば、商標LENTARONで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。ファドロゾールは、例えば、商標AFEMAで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。アナストロゾールは、例えば、商標ARIMIDEXで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。レトロゾールは、例えば、商標FEMARA又はFEMARで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。アミノグルテチミドは、例えば、商標ORIMETENで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。アロマターゼ阻害剤である化学療法剤を含む本発明の組合せは、ホルモン受容体陽性腫瘍、例えば、乳房腫瘍の処置に特に有用である。
【0303】
用語「抗エストロゲン剤」は、本明細書において使用される場合、エストロゲン受容体レベルでエストロゲンの作用に拮抗する化合物に関する。この用語には、タモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェン及びラロキシフェン塩酸塩が含まれるがこれらに限定されない。タモキシフェンは、例えば、商標NOLVADEXで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。ラロキシフェン塩酸塩は、例えば、商標EVISTAで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。フルベストラントは、米国特許第4,659,516号に開示されている通りに製剤化することができ、又はこれは、例えば、商標FASLODEXで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。抗エストロゲン剤である化学療法剤を含む本発明の組合せは、エストロゲン受容体陽性腫瘍、例えば、乳房腫瘍の処置に特に有用である。
【0304】
用語「抗アンドロゲン剤」は、本明細書において使用される場合、アンドロゲンホルモンの生物学的作用を阻害できる任意の物質に関し、限定するものではないが、ビカルタミド(CASODEX)が含まれ、これは、例えば、米国特許第4,636,505号に開示されている通りに製剤化することができる。
【0305】
用語「ゴナドレリンアゴニスト」には、本明細書において使用される場合、アバレリクス、ゴセレリン及びゴセレリン酢酸塩が含まれるが、これらに限定されない。ゴセレリンは、米国特許第4,100,274号に開示されており、例えば、商標ZOLADEXで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。アバレリクスは、例えば、米国特許第5,843,901号に開示されている通りに製剤化することができる。用語「トポイソメラーゼI阻害剤」には、本明細書において使用される場合、トポテカン、ギマテカン、イリノテカン、カンプトテシン(camptothecian)並びにその類似体、9-ニトロカンプトテシン及び高分子カンプトテシンコンジュゲートPNU-166148(WO99/17804における化合物A1)が含まれるがこれらに限定されない。イリノテカンは、例えば、商標CAMPTOSARで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。トポテカンは、例えば、商標HYCAMTINで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。
【0306】
用語「トポイソメラーゼII阻害剤」には、本明細書において使用される場合、アントラサイクリン類、例えばリポソーム製剤、例えばCAELYXを含むドキソルビシン;ダウノルビシン;エピルビシン;イダルビシン;ネモルビシン;アントラキノン類のミトキサントロン及びロソキサントロン;並びにポドフィロトキシン類のエトポシド及びテニポシドが含まれるがこれらに限定されない。エトポシドは、例えば、商標ETOPOPHOSで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。テニポシドは、例えば、商標VM 26-BRISTOLで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。ドキソルビシンは、例えば、商標ADRIBLASTIN又はADRIAMYCINで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。
【0307】
エピルビシンは、例えば、商標FARMORUBICINで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。イダルビシンは、例えば、商標ZAVEDOSで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。ミトキサントロンは、例えば、商標NOVANTRONで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。
【0308】
用語「微小管活性剤」は、タキサン類、例えば、パクリタキセル及びドセタキセル;ビンカアルカロイド類、例えば、ビンブラスチン、特にビンブラスチン硫酸塩;ビンクリスチン、特にビンクリスチン硫酸塩及びビノレルビン;ディスコデルモライド類;コルヒチン(cochicine);並びにエポチロン類及びその誘導体、例えば、エポチロンB若しくはD又はその誘導体を含むが、これらに限定されない、微小管安定化剤、微小管不安定化剤及びマイクロチューブリン重合阻害剤に関する。パクリタキセルは、例えば、TAXOLで、例えば、市販されている通りの形態で投与され得る。ドセタキセルは、例えば、商標TAXOTEREで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。ビンブラスチン硫酸塩は、例えば、商標VINBLASTIN R.Pで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。ビンクリスチン硫酸塩は、例えば、商標FARMISTINで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。ディスコデルモライドは、例えば、米国特許第5,010,099号に開示されている通りに得ることができる。また、WO98/10121、米国特許第6,194,181号、WO98/25929、WO98/08849、WO99/43653、WO98/22461及びWO00/31247に開示されているエポチロン誘導体も含まれる。特に好ましいのは、エポチロンA及び/又はBである。
【0309】
用語「アルキル化剤」には、本明細書において使用される場合、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン又はニトロソ尿素(BCNU又はGliadel)が含まれるがこれらに限定されない。シクロホスファミドは、例えば、商標CYCLOSTINで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。イホスファミドは、例えば、商標HOLOXANで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。
【0310】
用語「ヒストンデアセチラーゼ阻害剤」又は「HDAC阻害剤」は、ヒストンデアセチラーゼを阻害し、抗増殖活性を有する化合物に関する。これには、WO02/22577に開示されている化合物、特にN-ヒドロキシ-3-[4-[[(2-ヒドロキシエチル)[2-(1H--インドール-3-イル)エチル]-アミノ]メチル]フェニル]-2E-2-プロペンアミド、N-ヒドロキシ-3-[4-[[[2-(2-メチル-1H-インドール-3-イル)-エチル]-アミノ]メチル]フェニル]-2E-2-プロペンアミド及びそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。これには更に、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)が特に含まれる。
【0311】
用語「抗新生物代謝拮抗剤」には、5-フルオロウラシル又は5-FU;カペシタビン;ゲムシタビン;DNA脱メチル化剤、例えば5-アザシチジン及びデシタビン;メトトレキセート及びエダトレキセート;並びに葉酸アンタゴニスト、例えばペメトレキセドが含まれるがこれらに限定されない。カペシタビンは、例えば、商標XELODAで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。ゲムシタビンは、例えば、商標GEMZARで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。また、モノクローナル抗体トラスツズマブも含まれ、これは、例えば、商標HERCEPTINで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。
【0312】
用語「プラチン化合物」には、本明細書において使用される場合、カルボプラチン、シスプラチン、シスプラチナム及びオキサリプラチンが含まれるがこれらに限定されない。カルボプラチンは、例えば、商標CARBOPLATで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。オキサリプラチンは、例えば、商標ELOXATINで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。用語「プロテインキナーゼ若しくは脂質キナーゼ活性;又はプロテインホスファターゼ若しくは脂質ホスファターゼ活性を標的とする/減少させる化合物;或いは更なる抗血管新生化合物」には、本明細書において使用される場合、プロテインチロシンキナーゼ、並びに/又はセリン及び/若しくはトレオニンキナーゼ阻害剤、又は脂質キナーゼ阻害剤、例えば、以下のものが含まれるがこれらに限定されない。
a)血小板由来成長因子受容体(PDGFR)の活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、例えば、PDGFRの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、特に、PDGF受容体を阻害する化合物、例えば、N-フェニル-2-ピリミジン-アミン誘導体、例えば、イマチニブ、SU101、SU6668及びGFB-111;
b)線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)の活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物;
c)インスリン様成長因子受容体I(IGF-IR)の活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、例えば、IGF-IRの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、特に、IGF-IR受容体を阻害する化合物、例えば、WO02/092599に開示されている化合物;
d)Trk受容体チロシンキナーゼファミリーの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物;
e)Axl受容体チロシンキナーゼファミリーの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物;
f)c-Met受容体の活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物;
g)Kit/SCFR受容体チロシンキナーゼの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物;
h)C-kit受容体チロシンキナーゼ-(PDGFRファミリーの一部)の活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、例えば、c-Kit受容体チロシンキナーゼファミリーの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、特に、c-Kit受容体を阻害する化合物、例えば、イマチニブ;
i)c-Ablファミリーのメンバー及びそれらの遺伝子融合産物、例えばBCR-Ablキナーゼの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、例えば、c-Ablファミリーメンバー及びそれらの遺伝子融合産物の活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、例えば、N-フェニル-2-ピリミジン-アミン誘導体、例えば、イマチニブ、PD180970、AG957、NSC 680410又はParkeDavis社製PD173955;
j)プロテインキナーゼC(PKC)及びセリン/トレオニンキナーゼのRafファミリーのメンバー、MEK、SRC、JAK、FAK、PDK及びRas/MAPKファミリーメンバー、若しくはPl(3)キナーゼファミリー、若しくはPl(3)-キナーゼ関連キナーゼファミリーのメンバー、並びに/又はサイクリン依存性キナーゼファミリー(CDK)のメンバーの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物であり、特に、米国特許第5,093,330号に開示されているスタウロスポリン誘導体、例えば、ミドスタウリンであり;更なる化合物の例としては、例えば、UCN-01;サフィンゴール;BAY 43-9006;ブリオスタチン1;ペリホシン;イルモホシン(llmofosine);RO 318220及びRO 320432;GO 6976;Isis 3521;LY333531/LY379196;WO00/09495に開示されているもの等のイソキノリン(isochinoline)化合物;FTI;PD184352;又はQAN697(P13K阻害剤)が挙げられる;
k)プロテインチロシンキナーゼ阻害剤の活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、例えば、プロテインチロシンキナーゼ阻害剤の活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物には、イマチニブメシレート(GLEEVEC)又はチルホスチンが含まれる。チルホスチンは、好ましくは、低分子量(Mr<1500)化合物、又はその薬学的に許容される塩、特に、ベンジリデンマロニトリルクラス又はS-アリールベンゼンマロニトリル若しくは二基質キノリンクラスの化合物から選択される化合物、更に特に、チルホスチンA23/RG-50810、AG 99、チルホスチンAG 213、チルホスチンAG 1748、チルホスチンAG 490、チルホスチンB44、チルホスチンB44(+)エナンチオマー、チルホスチンAG 555、AG 494、チルホスチンAG 556、AG957及びアダホスチン(4-{[(2,5-ジヒドロキシフェニル)メチル]アミノ}-安息香酸アダマンチルエステル、NSC 680410、アダホスチンからなる群から選択される任意の化合物である;並びに、
I)受容体チロシンキナーゼの上皮成長因子ファミリー(ホモ又はヘテロ二量体としてのEGFR、ErbB2、ErbB3、ErbB4)の活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、例えば、上皮成長因子受容体ファミリーの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物は、特に、EGF受容体チロシンキナーゼファミリーのメンバー、例えば、EGF受容体、ErbB2、ErbB3及びErbB4を阻害する、又はEGF若しくはEGF関連リガンドに結合する、化合物、タンパク質又は抗体であり、特に、WO97/02266、例えば、実施例39の化合物、又はEP0564409;WO99/03854;EP0520722;EP0566226;EP0787722;EP0837063;米国特許第5,747,498号;WO98/10767;WO97/30034;WO97/49688;WO97/38983及び特に、WO96/30347、例えば、CP 358774として公知の化合物;WO96/33980、例えば、化合物ZD 1839;及びWO95/03283、例えば、化合物ZM105180に一般的且つ具体的に開示されている、化合物、タンパク質又はモノクローナル抗体であり、例えば、トラスツズマブ(HERCEPTIN)、セツキシマブ、イレッサ、タルセバ、OSI-774、CI-1033、EKB-569、GW-2016、E1.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.1 1、E6.3又はE7.6.3;並びにWO03/013541に開示されている7H-ピロロ-[2,3-d]ピリミジン誘導体である。更なる抗血管新生化合物には、それらの活性について別の機序を有し、例えば、プロテインキナーゼ又は脂質キナーゼ阻害と無関係の化合物、例えば、サリドマイド(THALOMID)及びTNP-470が含まれる。プロテインホスファターゼ又は脂質ホスファターゼの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物は、例えば、ホスファターゼ1、ホスファターゼ2A、PTEN又はCDC25の阻害剤、例えば、オカダ酸又はその誘導体である。
【0313】
細胞分化プロセスを誘導する化合物は、例えば、レチノイン酸、α-、γ-若しくδ-トコフェロール又はa-、γ-若しくδ-トコトリエノールである。
【0314】
用語シクロオキシゲナーゼ阻害剤には、本明細書において使用される場合、例えば、Cox-2阻害剤、5-アルキル置換2-アリールアミノフェニル酢酸及び誘導体、例えば、セレコキシブ(CELEBREX)、ロフェコキシブ(VIOXX)、エトリコキシブ、バルデコキシブ又は5-アルキル-2-アリールアミノフェニル酢酸、例えば、5-メチル-2-(2'-クロロ-6'-フルオロアニリノ)フェニル酢酸又はルミラコキシブが含まれるがこれらに限定されない。
【0315】
用語「ビスホスホネート」には、本明細書において使用される場合、エチドロン酸(etridonic)、クロドロン酸、チルドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、イバンドロン酸、リセドロン酸及びゾレドロン酸が含まれるがこれらに限定されない。「エチドロン酸」は、例えば、商標DIDRONELで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。「クロドロン酸」は、例えば、商標BONEFOSで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。「チルドロン酸」は、例えば、商標SKELIDで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。「パミドロン酸」は、例えば、商標AREDIA(商標)で、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。「アレンドロン酸」は、例えば、商標FOSAMAXで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。「イバンドロン酸」は、例えば、商標BONDRANATで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。「リセドロン酸」は、例えば、商標ACTONELで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。「ゾレドロン酸」は、例えば、商標ZOMETAで、例えば、市販されている通りの形態で投与することができる。
【0316】
用語「mTOR阻害剤」は、ラパマイシンの哺乳類標的(mTOR)を阻害し、抗増殖活性を有する化合物、例えば、シロリムス(RAPAMUNE(登録商標))、エベロリムス(CERTICAN(商標))、CCI-779及びABT578に関する。
【0317】
用語「ヘパラナーゼ阻害剤」は、本明細書において使用される場合、ヘパリン硫酸分解を標的とする、減少させる又は阻害する化合物を指す。この用語には、PI-88が含まれるがこれに限定されない。
【0318】
用語「生物学的応答調節物質」は、本明細書において使用される場合、リンホカイン又はインターフェロン類、例えば、インターフェロンγを指す。
【0319】
用語「Ras発癌性アイソフォームの阻害剤」、例えば、H-Ras、K-Ras又はN-Rasは、本明細書において使用される場合、Rasの発癌活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物、例えば、「ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤」、例えば、L-744832、DK8G557又はR1 15777(Zarnestra)を指す。
【0320】
用語「テロメラーゼ阻害剤」は、本明細書において使用される場合、テロメラーゼの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物を指す。テロメラーゼの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物は、特に、テロメラーゼ受容体を阻害する化合物、例えば、テロメスタチンである。
【0321】
用語「メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤」は、本明細書において使用される場合、メチオニンアミノペプチダーゼの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物を指す。メチオニンアミノペプチダーゼの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物は、例えば、ベンガミド又はその誘導体である。
【0322】
用語「プロテアソーム阻害剤」は、本明細書において使用される場合、プロテアソームの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物を指す。プロテアソームの活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物には、例えば、PS-341及びMLN 341が含まれる。
【0323】
用語「マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤」又は「MMP阻害剤」には、本明細書において使用される場合、コラーゲンペプチド模倣及び非ペプチド模倣阻害剤、テトラサイクリン誘導体、例えば、ヒドロキサメートペプチド模倣阻害剤バチマスタット及びその経口で生物学的に利用可能な類似体マリマスタット(BB-2516)、プリノマスタット(AG3340)、メタスタット(NSC 683551) BMS-279251、BAY 12-9566、TAA211、MMI270B又はAAJ996が含まれるがこれらに限定されない。
【0324】
用語「血液学的悪性腫瘍の処置において使用される薬剤」には、本明細書において使用される場合、FMS様チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、FMS様チロシンキナーゼ受容体(Flt-3R)の活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物;インターフェロン、1-b-D-アラビノフラノシルシトシン(arabinofuransylcytosine)(ara-c)及びブスルファン(bisulfan);並びにALK阻害剤、例えば、未分化リンパ腫キナーゼを標的とする、減少させる又は阻害する化合物が含まれるがこれらに限定されない。
【0325】
FMS様チロシンキナーゼ受容体(Flt-3R)の活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物は、特に、Flt-3R受容体キナーゼファミリーのメンバーを阻害する、化合物、タンパク質又は抗体、例えば、PKC412、ミドスタウリン、スタウロスポリン誘導体、SU1 1248及びMLN518である。
【0326】
用語「HSP90阻害剤」には、本明細書において使用される場合、HSP90の内因性ATPアーゼ活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物;ユビキチンプロテアソーム経路を介してHSP90クライアントタンパク質を分解する、標的とする、減少させる又は阻害する化合物が含まれるがこれらに限定されない。HSP90の内因性ATPアーゼ活性を標的とする、減少させる又は阻害する化合物は、特に、HSP90のATPアーゼ活性を阻害する、化合物、タンパク質又は抗体、例えば、17-アリルアミノ、17-デメトキシゲルダナマイシン(17AAG)、ゲルダナマイシン誘導体、他のゲルダナマイシン関連化合物、ラディシコール及びHDAC阻害剤である。
【0327】
用語「抗増殖性抗体」には、本明細書において使用される場合、トラスツズマブ(Herceptin(商標))、トラスツズマブ-DM1、エルロチニブ(Tarceva(商標))、ベバシズマブ(Avastin(商標))、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、PR064553(抗CD40)及び2C4抗体が含まれるがこれらに限定されない。抗体は、それらが所望の生物学的活性を示す限り、例えば、インタクトなモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクトな抗体から形成される多特異性抗体、及び抗体断片を意味する。急性骨髄性白血病(AML)の処置のために、式(I)の化合物は、標準的な白血病療法と組み合わせて、特にAMLの処置に使用される療法と組み合わせて使用され得る。特に、式(I)の化合物は、例えば、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、及び/又はAMLの処置に有用な他の薬物、例えば、ダウノルビシン、アドリアマイシン、Ara-C、VP-16、テニポシド、ミトキサントロン、イダルビシン、カルボプラチナム及びPKC412と組み合わせて投与され得る。
【0328】
式(I)の化合物はまた、互いに組み合わせて、又は他の治療剤、特に他の抗マラリア剤と組み合わせて有利に使用してもよい。そのような抗マラリア剤には、プログアニル、クロルプログアニル、トリメトプリム、クロロキン、メフロキン、ルメファントリン、アトバコン、ピリメタミン-スルファドキシン、ピリメタミン-ダプソン、ハロファントリン、キニーネ、キニジン、アモジアキン、アモピロキン、スルホンアミド類、アルテミシニン、アルテフレン、アルテメテル、アルテスネート、プリマキン、吸入NO、L-アルギニン、ジプロピレントリ-アミンNONOエート(NOドナー)、ロシグリタゾン(Rosiglitzone)(PPARyアゴニスト)、活性炭、エリスロポエチン、レバミソール、及びピロナリジンが含まれるがこれらに限定されない。
【0329】
式(I)の化合物はまた、互いに組み合わせて、又はリーシュマニア症、トリパノソーマ症、トキソプラズマ症及び神経嚢虫症の処置に使用されるもの等の他の治療剤と組み合わせて有利に使用してもよい。そのような薬剤には、クロロキン硫酸塩、アトバコン-プログアニル、アルテメテル-ルメファントリン、キニーネ-硫酸塩、アルテスネート、キニーネ、ドキシサイクリン、クリンダマイシン、アンチモン酸メグルミン、スチボグルコン酸ナトリウム、ミルテホシン、ケトコナゾール、ペンタミジン、アムホテリシンB(AmB)、リポソーム-AmB、パロモマイシン(paromomycine)、エフロルニチン、ニフルチモックス、スラミン、メラルソプロール、プレドニゾロン、ベンズニダゾール、スルファジアジン、ピリメタミン、クリンダマイシン、トリメトプリム(trimetropim)、スルファメトキサゾール、アジスロマイシン(azitromycin)、アトバコン、デキサメタゾン、プラジカンテル、アルベンダゾール、ベータ-ラクタム類、フルオロキノロン類、マクロリド類、アミノグリコシド類、スルファジアジン及びピリメタミンが含まれるがこれらに限定されない。
【0330】
コード番号、一般名又は商標名により同定される活性剤の構造は、標準的な概説書「The Merck Index」の現行版から、又はデータベース、例えば、Patents International、例えば、IMS World Publicationsから取得することができる。
【0331】
式(I)の化合物と組み合わせて使用することができる上述の化合物は、上記で引用した文書において等、当技術分野において記載されている通りに調製及び投与することができる。
【0332】
式(I)の化合物はまた、公知の治療プロセス、例えば、ホルモンの投与又は特に放射線と組み合わせて有利に使用してもよい。
【0333】
式(I)の化合物は、特に放射線療法に対して乏しい感受性を示す腫瘍の処置のために、放射線増感剤として特に使用してもよい。
【0334】
「組合せ」は、1つの投与単位形態における固定組合せ、或いは、式(I)の化合物及び組合せパートナーが、独立して同時に投与され得る、又は組合せパートナーが協同効果、例えば、相乗効果若しくはそれらの任意の組合せを示すことが特に可能となる時間間隔内で別個に投与され得る併用投与のためのキットオブパーツのいずれかを意味する。用語「共投与」又は「併用投与」等は、本明細書において利用される場合、それを必要とする単一の対象(例えば、患者)への選択された組合せパートナーの投与を包含することを意味し、薬剤が必ずしも同じ投与経路により又は同時に投与されるとは限らない処置レジメンを含むことが意図されている。用語「医薬組合せ」は、本明細書において使用される場合、1つを超える活性成分の混合又は組合せから得られる生成物を意味し、活性成分の固定及び非固定組合せの両方を含む。用語「固定組合せ」は、活性成分、例えば式Iの化合物及び組合せパートナーの両者が、単一の実体物又は投与の形態で同時に患者に投与されることを意味する。用語「非固定組合せ」は、活性成分、例えば式(I)の化合物及び組合せパートナーが、いずれも、別個の実体として、同時に、同時発生的に又は具体的な時間制限を設けず順次にのいずれかで患者に投与されることを意味し、ここで、そのような投与は、患者の体内で治療有効レベルの2つの化合物を提供する。後者はまた、カクテル療法、例えば3つ以上の活性成分の投与にも当てはまる。
【0335】
本明細書に開示される化合物及び組成物の使用
本明細書に開示される化合物は、キナーゼ活性、特にPI3-キナーゼ活性の阻害剤である。PI3-キナーゼ阻害剤である化合物は、根底にある病理が不適当なPI3-キナーゼ活性に(少なくとも部分的に)起因する障害、例えば喘息及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)の処置において有用であり得る。「不適当なPI3-キナーゼ活性」は、特定の患者において予想される正常なPI3-キナーゼ活性から逸脱した任意のPI3-キナーゼ活性を指す。不適当なPI3-キナーゼは、例えば、活性の異常な増加、又はPI3-キナーゼ活性のタイミング及び/若しくは制御の異常の形態を取り得る。次いで、そのような不適当な活性は、例えば、不適当な又は制御されない活性化をもたらすプロテインキナーゼの過剰発現又は変異から生じ得る。したがって、別の態様において、本発明は、そのような障害を処置する方法を対象とする。
【0336】
そのような障害には、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び特発性肺線維症(IPF)を含む呼吸器疾患;ウイルス性呼吸器感染症、並びに喘息及びCOPD等の呼吸器疾患のウイルス増悪を含む、ウイルス感染症;アスペルギルス症及びリーシュマニア症を含む非ウイルス性呼吸器感染症;アレルギー性鼻炎及びアトピー性皮膚炎を含むアレルギー性疾患;関節リウマチ及び多発性硬化症を含む自己免疫疾患;炎症性腸疾患を含む炎症性障害;血栓症及びアテローム性動脈硬化症を含む心血管疾患;血液学的悪性腫瘍;神経変性疾患;膵炎;多臓器不全;腎臓疾患;血小板凝集;がん;精子運動性;移植拒絶;移植片拒絶;肺損傷;並びに関節リウマチ又は変形性関節症に関連する疼痛、背痛、一般的炎症性疼痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性ニューロパシー、炎症性神経障害性疼痛(外傷)、三叉神経痛及び中枢性疼痛を含む疼痛が含まれるがこれらに限定されない。
【0337】
一実施形態において、そのような障害には、喘息及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含む呼吸器疾患;アレルギー性鼻炎及びアトピー性皮膚炎を含むアレルギー性疾患;関節リウマチ及び多発性硬化症を含む自己免疫疾患;炎症性腸疾患を含む炎症性障害;血栓症及びアテローム性動脈硬化症を含む心血管疾患;血液学的悪性腫瘍;神経変性疾患;膵炎;多臓器不全;腎臓疾患;血小板凝集;がん;精子運動性;移植拒絶;移植片拒絶;肺損傷;並びに関節リウマチ又は変形性関節症に関連する疼痛、背痛、一般的炎症性疼痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性ニューロパシー、炎症性神経障害性疼痛(外傷)、三叉神経痛及び中枢性疼痛を含む疼痛が含まれる。
【0338】
本発明の処置の方法は、安全且つ有効な量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与する工程を含む。本発明の個々の実施形態は、安全且つ有効な量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与することにより、上述の障害のいずれか1つを処置する方法を含む。
【0339】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、全身投与及び局所投与の両方を含む、任意の適切な投与経路により投与され得る。全身投与には、経口投与、非経口投与、経皮投与及び経直腸投与が含まれる。非経口投与は、経腸又は経皮以外の投与経路を指し、典型的には注射又は注入による。非経口投与には、静脈内、筋肉内、及び皮下の注射又は注入が含まれる。局所投与には、皮膚への塗布、並びに眼内、経耳、膣内、吸入及び鼻腔内投与が含まれる。吸入は、口を介して吸入されるか、鼻道を介して吸入されるかに関わらず、患者の肺への投与を指す。一実施形態において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、経口的に投与され得る。別の実施形態において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、吸入により投与され得る。更なる実施形態において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、鼻腔内に投与され得る。
【0340】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、1回でされてもよく、又はいくつかの用量が所与の期間に様々な時間間隔で投与される投与レジメンに従って投与されてもよい。例えば、用量は、1日に1回、2回、3回、又は4回投与され得る。一実施形態において、用量は、1日に1回投与される。更なる実施形態において、用量は、1日に2回投与される。用量は、所望の治療効果が達成されるまで、又は所望の治療効果を維持するために無期限に、投与され得る。式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩についての適切な投与レジメンは、吸収、分布、及び半減期等のその化合物の薬物動態特性によって決まり、これは当業者により決定され得る。加えて、そのようなレジメンが施される期間を含む、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩についての適切な投与レジメンは、処置されている障害、処置されている障害の重症度、処置されている患者の年齢及び身体状態、処置される患者の病歴、併用療法の性質、所望の治療効果、並びに当業者の知識及び専門的技術の範囲内の同様の要因によって決まる。適切な投与レジメンが、投与レジメンに対する個々の患者の応答を考慮して、又は個々の患者の要求が変化するにつれて経時的に、調整を必要とし得ることは、そのような当業者により更に理解されるであろう。
【0341】
本明細書に開示される化合物は、1つ又は複数の他の治療剤と同時に、又はその前若しくは後に投与され得る。本明細書に開示される化合物は、他の薬剤と同じ若しくは異なる投与経路により別個に、又は他の薬剤と同じ医薬組成物中で一緒に投与され得る。
【0342】
本明細書に開示される医薬組成物又は組合せは、約50~70kgの対象について約1~1000mgの活性成分、又は約1~500mg若しくは約1~250mg若しくは約1~150mg若しくは約0.5~100mg、若しくは約1~50mgの活性成分の単位投与量であり得る。化合物、医薬組成物、又はそれらの組合せの治療有効投与量は、対象の種、体重、年齢及び個々の状態、処置されている障害若しくは疾患又はその重症度に依存する。通常の技量の医師、臨床医又は獣医は、障害又は疾患を予防する、処置する又はその進行を阻害するために必要な各活性成分の有効量を容易に決定することができる。上記で挙げた投与量特性は、有利には、哺乳動物、例えば、マウス、ラット、イヌ、サル、又はそれらの単離された臓器、組織及び標本を使用して、インビトロ及びインビボの試験において実証可能である。本明細書に開示される化合物は、インビトロにおいて、溶液、例えば、水溶液の形態で、及びインビボにおいて、経腸的、非経口的、有利には静脈内のいずれかで、例えば、懸濁液として又は水溶液中で、適用することができる。インビボにおける治療有効量は、投与経路に応じて、約0.01~500mg/kgの間、又は約1~100mg/kgの間の範囲であり得る。
【0343】
加えて、式(I)の化合物は、プロドラッグとして投与されてもよい。本明細書において使用される場合、式(I)の化合物の「プロドラッグ」は、患者への投与時にインビボにおいて式(I)の化合物を最終的に遊離させる化合物の機能的誘導体である。式(I)の化合物をプロドラッグとして投与することにより、当業者は次のうちの1つ又は複数を行うことが可能となり得る:(a)インビボにおける化合物の活性の発現を変更すること;(b)インビボにおける化合物の作用持続時間を変更すること;(c)インビボにおける化合物の輸送又は分布を変更すること;(d)インビボにおける化合物の溶解性を変更すること;及び(e)化合物が直面する副作用又は他の困難を克服すること。プロドラッグを調製するために使用される典型的な機能的誘導体は、インビボで化学的又は酵素的に開裂可能である化合物の修飾を含む。ホスフェート類、アミド類、エステル類、チオエステル類、カーボネート類、及びカルバメート類の調製を含むそのような修飾は、当業者に周知である。
【0344】
一態様において、本発明は、不適当なPI3-キナーゼ活性により媒介される障害を処置する方法であって、安全且つ有効な量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与する工程を含む方法を提供する。
【0345】
一実施形態において、不適当なPI3-キナーゼ活性により媒介される状態、疾患又は障害は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び特発性肺線維症(IPF);ウイルス性呼吸器感染症、並びに喘息及びCOPD等の呼吸器疾患のウイルス増悪を含む、ウイルス感染症;アスペルギルス症及びリーシュマニア症を含む非ウイルス性呼吸器感染症;アレルギー性鼻炎及びアトピー性皮膚炎を含むアレルギー性疾患;関節リウマチ及び多発性硬化症を含む自己免疫疾患;炎症性腸疾患を含む炎症性障害;血栓症及びアテローム性動脈硬化症を含む心血管疾患;血液学的悪性腫瘍;神経変性疾患;膵炎;多臓器不全;腎臓疾患;血小板凝集;がん;精子運動性;移植拒絶;移植片拒絶;肺損傷;並びに関節リウマチ又は変形性関節症に関連する疼痛、背痛、一般的炎症性疼痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性ニューロパシー、炎症性神経障害性疼痛(外傷)、三叉神経痛及び中枢性疼痛を含む疼痛からなる群から選択される。
【0346】
本明細書に開示される化合物は、関節リウマチ、尋常性天疱瘡及び関連疾患、特発性血小板減少性紫斑病、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、シェーグレン症候群、自己免疫性溶血性貧血、ANCA-関連血管炎、クリオグロブリン血症、血栓性血小板減少性紫斑病、慢性自己免疫性じんま疹、アレルギー(アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、アレルギー性鼻炎)、グッドパスチャー症候群、AMR(抗体媒介性移植拒絶)、B細胞媒介性の超急性、急性及び慢性の移植拒絶、並びに多発性骨髄腫;急性骨髄性白血病;慢性骨髄性白血病;リンパ球性白血病;骨髄性白血病;非ホジキンリンパ腫;リンパ腫;真性赤血球増加症;本態性血小板血症;骨髄様化生を伴う骨髄線維症;及びワルデンシュトレーム病を含むがこれらに限定されない造血起源のがんを含む、B細胞の機能、例えば、抗体産生、抗原提示、サイトカイン産生又はリンパ系器官形成の1つ又は複数が異常であるか又は望ましくない、疾患又は感染症が関連する免疫病理を含む、状態、疾患又は障害の処置において有用であり得る。
【0347】
本発明は、関節リウマチ、敗血症、肺又は呼吸器の障害、例えば喘息、炎症性皮膚病、例えば乾癬を含む、好中球の機能、例えば、スーパーオキシド放出、刺激されたエキソサイトーシス、又は走化性(chemoatractic)遊走の1つ又は複数が異常であるか又は望ましくない、状態、疾患又は障害、並びに疾患又は感染症が関連する免疫病理等におけるものを処置する方法を含む。
【0348】
本発明は、アレルギー性疾患(アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、アレルギー性鼻炎)を含む、好塩基球及び肥満細胞の機能、例えば、走化性遊走又はアレルゲン-lgE媒介性脱顆粒の1つ又は複数が異常であるか又は望ましくない、状態、疾患又は障害、並びに他の障害、例えば、COPD、喘息又は気腫を処置する方法を含む。
【0349】
本発明は、関節リウマチ、多発性硬化症、細胞組織若しくは臓器移植片の急性若しくは慢性拒絶、又は造血起源のがんを含む、T細胞の機能、例えば、サイトカイン産生又は細胞媒介性細胞毒性の1つ又は複数が異常であるか又は望ましくない、状態、疾患又は障害、並びに疾患又は感染症が関連する免疫病理におけるものを処置する方法を含む。
【0350】
更に、本発明は、神経変性疾患、心血管疾患及び血小板凝集を処置する方法を含む。
【0351】
更に、本発明は、皮膚疾患、例えば、晩発性皮膚ポルフィリン症、多形日光疹、皮膚筋炎、日光じんま疹、口腔扁平苔癬、脂肪織炎、強皮症、じんま疹様血管炎を処置する方法を含む。
【0352】
更に、本発明は、慢性炎症性疾患、例えば、サルコイドーシス、環状肉芽腫を処置する方法を含む。
【0353】
他の実施形態において、状態又は障害(例えばPI3K媒介性)は、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、骨髄様化生を伴う骨髄線維症、喘息、COPD、ARDS、レフラー症候群、好酸球性肺炎、寄生虫(特に後生動物)侵入(熱帯性好酸球増加症を含む)、気管支肺アスペルギルス症、結節性多発性動脈炎(チャーグ-ストラウス症候群を含む)、好酸球性肉芽腫、薬物反応により引き起こされる気道に影響する好酸球関連障害、乾癬、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、多形性紅斑、疱疹状皮膚炎、強皮症、白斑、過敏性脈管炎、じんま疹、水疱性類天疱瘡、エリテマトーデス、天疱瘡、後天性表皮水疱症、自己免疫性血液(haematogical)障害(例えば溶血性貧血、再生不良性貧血、真正赤血球性貧血及び特発性血小板減少症)、全身性エリテマトーデス、多発性軟骨炎、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、皮膚筋炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、スティーブンス-ジョンソン症候群、特発性スプルー、自己免疫性炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎及びクローン病)、内分泌性眼障害(opthalmopathy)、グレーブス病、サルコイドーシス、肺胞炎、慢性過敏性肺臓炎、多発性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、ブドウ膜炎(前部及び後部)、間質性肺線維症、乾癬性関節炎、糸球体腎炎、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、深部静脈血栓症、卒中、心筋梗塞、不安定狭心症、血栓塞栓症、肺塞栓症、血栓溶解疾患、急性動脈虚血、末梢血栓性閉塞、及び冠動脈疾患、再灌流傷害、網膜症、例えば、糖尿病性網膜症又は高圧酸素誘導性網膜症、並びに眼圧上昇又は眼房水の分泌により特徴付けられる状態、例えば、緑内障からなる群から選択される。
【0354】
一実施形態において、不適当なPI3-キナーゼ活性により媒介される障害は、疼痛である。
【0355】
別の実施形態において、本明細書に開示される化合物は、原発性皮膚B細胞リンパ腫、免疫水痘性疾患、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、ブラジル天疱瘡の風土病型(ブラジル天疱瘡(Fogo selvagem))、腫瘍随伴性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、粘膜類天疱瘡、後天性表皮水疱症、慢性移植片対宿主病、皮膚筋炎、全身性エリテマトーデス、血管炎、小血管性血管炎、低補体血症性じんま疹様血管炎、抗好中球細胞質抗体-血管炎、クリオグロブリン血症、シュニッツラー症候群、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、血管性浮腫、白斑、全身性エリテマトーデス、特発性血小板減少性紫斑病、多発性硬化症、寒冷凝集素症、自己免疫性溶血性貧血、抗好中球細胞質抗体関連血管炎、移植片対宿主病、クリオグロブリン血症及び血栓性血小板減少症からなる群から選択される状態又は障害の処置において有用である。
【0356】
別の実施形態において、本明細書に開示される化合物は、自己免疫疾患及び炎症状態、特に、自己免疫性成分を含む病因を有する炎症状態、例えば、関節炎(例えば、関節リウマチ、慢性進行性関節炎(arthritis chronica progrediente)及び変形性関節炎)、及び炎症状態を含むリウマチ性疾患、及び骨喪失が関与するリウマチ性疾患、炎症性疼痛、強直性脊椎炎(ankolsing spondylitis)を含む脊椎関節症(spondyloarhropathies)、ライター症候群、反応性関節炎、乾癬性関節炎、及び腸炎性関節炎(enterophathics arthritis)、過敏症(気道過敏症及び皮膚過敏症の両方を含む)並びにアレルギーの処置、予防又は軽快において有用である。本発明の抗体が用いられ得る具体的な自己免疫疾患には、自己免疫性血液障害(例えば溶血性貧血、再生不良性貧血、真正赤血球性貧血及び特発性血小板減少症を含む)、後天性血友病A、寒冷凝集素症、クリオグロブリン血症、血栓性血小板減少性紫斑病、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、炎症性筋肉障害、多発性軟骨炎、強皮症(sclerodoma)、抗好中球細胞質抗体関連血管炎、IgM媒介性ニューロパシー、眼球クローヌスミオクローヌス症候群、ウェゲナー肉芽腫症、皮膚筋炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、乾癬、スティーブンス-ジョンソン症候群、尋常性天疱瘡、落葉性天疱瘡(pemphigus foliacius)、特発性スプルー、自己免疫性炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎、クローン病及び過敏性腸症候群を含む)、内分泌性眼障害、グレーブス病、サルコイドーシス、多発性硬化症、視神経脊髄炎、原発性胆汁性肝硬変、若年性糖尿病(真性糖尿病I型)、ブドウ膜炎(前部、中間部及び後部、並びに全ブドウ膜炎)、乾性角結膜炎及び春季角結膜炎、間質性肺線維症、乾癬性関節炎及び糸球体腎炎(例えば、特発性ネフローゼ症候群又は微小変化型ネフロパシーを含むネフローゼ症候群を伴う及び伴わない)、腫瘍、皮膚及び角膜の炎症性疾患、筋炎、骨移植片のゆるみ、代謝障害、例えばアテローム性動脈硬化症、糖尿病、及び異脂肪血症が含まれる。
【0357】
一実施形態において、本発明は、療法における式(I)の化合物の使用を提供する。更なる実施形態において、療法は、PI3Kの阻害により処置され得る疾患から選択される。別の実施形態において、疾患は、上述の一覧から、適切には、自己免疫障害、炎症性疾患、アレルギー性疾患、気道疾患、例えば、喘息及びCOPD、移植拒絶;関節リウマチ、尋常性天疱瘡、特発性血小板減少性紫斑病、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、シェーグレン症候群、自己免疫性溶血性貧血、ANCA-関連血管炎、クリオグロブリン血症、血栓性血小板減少性紫斑病、慢性自己免疫性じんま疹、アレルギー(アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、アレルギー性鼻炎)、グッドパスチャー症候群、AMR(抗体媒介性移植拒絶)、B細胞媒介性の超急性、急性及び慢性の移植拒絶、並びに多発性骨髄腫;白血病;急性骨髄性白血病;慢性骨髄性白血病;リンパ球性白血病;骨髄性白血病;非ホジキンリンパ腫;リンパ腫;真性赤血球増加症;本態性血小板血症;骨髄様化生を伴う骨髄線維症;及びワルデンシュトレーム病を含むがこれらに限定されない造血起源のがんを含む、抗体産生、抗原提示、サイトカイン産生又はリンパ系器官形成が異常であるか又は望ましくないものから;より適切には、関節リウマチ(RA)、尋常性天疱瘡(PV)、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、後天性血友病A型(AHA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症(MS)、重症筋無力症(MG)、シェーグレン症候群(SS)、ANCA-関連血管炎、クリオグロブリン血症、慢性自己免疫性じんま疹(CAU)、アレルギー(アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、アレルギー性鼻炎)、グッドパスチャー症候群、移植拒絶及び造血起源のがん、並びに疾患又は感染症が関連する免疫病理におけるもの、例えば重症及び脳マラリア、トリパノソーマ症、リーシュマニア症、トキソプラズマ症及び神経嚢虫症におけるものから選択される。
【0358】
したがって、更なる実施形態として、本発明は、医薬の製造のための式(I)の化合物の使用を提供する。更なる実施形態において、医薬は、PI3Kの阻害により処置され得る疾患の処置のためである。別の実施形態において、疾患は、上述の一覧から、適切には、自己免疫障害、炎症性疾患、アレルギー性疾患、気道疾患、例えば、喘息及びCOPD、移植拒絶;関節リウマチ、尋常性天疱瘡、特発性血小板減少性紫斑病、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、シェーグレン症候群、自己免疫性溶血性貧血、ANCA-関連血管炎、クリオグロブリン血症、血栓性血小板減少性紫斑病、慢性自己免疫性じんま疹、アレルギー(アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、アレルギー性鼻炎)、グッドパスチャー症候群、AMR(抗体媒介性移植拒絶)、B細胞媒介性の超急性、急性及び慢性の移植拒絶、並びに多発性骨髄腫;白血病;急性骨髄性白血病;慢性骨髄性白血病;リンパ球性白血病;骨髄性白血病;非ホジキンリンパ腫;リンパ腫;真性赤血球増加症;本態性血小板血症;骨髄様化生を伴う骨髄線維症;及びワルデンシュトレーム病を含むがこれらに限定されない造血起源のがんを含む、抗体産生、抗原提示、サイトカイン産生又はリンパ系器官形成が異常であるか又は望ましくないものから;より適切には、関節リウマチ(RA)、尋常性天疱瘡(PV)、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、後天性血友病A型(AHA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症(MS)、重症筋無力症(MG)、シェーグレン症候群(SS)、ANCA-関連血管炎、クリオグロブリン血症、慢性自己免疫性じんま疹(CAU)、アレルギー(アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、アレルギー性鼻炎)、グッドパスチャー症候群、移植拒絶及び造血起源のがん、並びに疾患又は感染症が関連する免疫病理におけるもの、例えば重症及び脳マラリア、トリパノソーマ症、リーシュマニア症、トキソプラズマ症及び神経嚢虫症におけるものから選択される。
【0359】
一般的合成手順
本発明を例証するために、以下の実施例が含まれる。しかしながら、これらの実施例は、本発明を制限するものではなく、本発明を実施する方法を示唆することを意図しているに過ぎないことを理解されたい。
【0360】
一般的に、本明細書に開示される化合物は、本明細書に記載される方法により調製され得、ここで、置換基は、更に注記される場合を除いて、式(I)について上記で定義されている通りである。以下の非限定的なスキーム及び実施例は、本発明を更に例示するために提示される。当業者であれば、本明細書に記載される化学反応が本明細書に開示される他の多くの化合物を調製するために容易に適合され得ること、及び本明細書に開示される化合物を調製するための代替的方法が本発明の範囲内であるとみなされることを認識するであろう。例えば、本発明に従う例示されていない化合物の合成は、当業者に明らかな修飾により、例えば、干渉を生じる基を適当に保護することにより、記載されているもの以外の当技術分野で公知の他の適切な試薬を利用することにより、及び/又は反応条件の日常的な修正を行うことにより、首尾よく行うことができる。代替として、本明細書に開示される又は当技術分野で公知である他の反応は、本明細書に開示される他の化合物を調製するための適用性を有すると認識されるであろう。
【0361】
以下に記載される実施例において、別段の指示がない限り、すべての温度は摂氏度で示される。試薬は、Aldrich Chemical社、Arco Chemical社及びAlfa Chemical社、Shanghai Medpep社、Aladdin-Shanghai Jinchun Reagents社等の商業的供給業者から購入し、別段の指示がない限り、更に精製することなく使用した。一般的な溶媒は、Shantou XiLong Chemical Factory社、Guangdong Guanghua Reagent Chemical Factory社、Guangzhou Reagent Chemical Factory社、Tainjin YuYu Fine Chemical社、Qingdao Tenglong Reagent Chemical社、及びQingdao Ocean Chemical Factory社等の商業的供給業者から購入した。
【0362】
無水THF、ジオキサン、トルエン、及びエーテルは、溶媒をナトリウムとともに還流させることにより得た。無水CH2Cl2及びCHCl3は、溶媒をCaH2とともに還流させることにより得た。EtOAc、PE、ヘキサン、DMA及びDMFは、使用前に無水Na2SO4で処理した。
【0363】
以下に記載する反応は、一般的に、窒素若しくはアルゴンの陽圧下、又は乾燥管(別段の記載がない限り)を用いて、無水溶媒中で行い、反応フラスコに、典型的には、シリンジを介する基質及び試薬の導入のためのゴム製セプタムを取り付けた。ガラス製品は、オーブン乾燥及び/又は熱乾燥した。
【0364】
カラムクロマトグラフィーは、シリカゲルカラムを使用して行った。シリカゲル(300~400メッシュ)は、Qingdao Ocean Chemical Factory社から購入した。1H NMRスペクトルは、室温でBruker社400MHz分光計又はBruker社600MHz分光計を用いて記録した。1H NMRスペクトルは、参照標準としてTMS(0ppm)又はクロロホルム(7.26ppm)を使用して、CDCl3、DMSO-d6、CD3OD又はアセトン-d6溶液(ppmで報告)として得た。ピーク多重度を報告する場合、以下の略語を使用する:s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、m(多重線)、br(ブロード)、dd(二重の二重線)、dt(二重の三重線)。結合定数(J)は、記載される場合、ヘルツ(Hz)で報告される。
【0365】
低分解能質量スペクトル(MS)データは、一般的に、210nm/254nmでのUV検出及びエレクトロスプレーイオン化モード(ESI)を用いて、Agilent社6120四重極HPLC-MS(Zorbax SB-C18、2.1×30mm、3.5ミクロン、6分間実行、流速0.6mL/分、(H2O中0.1%ギ酸)中5%~95%(CH3CN中0.1%ギ酸))で決定した。
【0366】
化合物の純度は、210nm/254nmでのUV検出を用いて、Agilent社1260分取HPLC又はCalesepポンプ250分取HPLC(カラム NOVASEP社50/80mm DAC)により評価した。
【0367】
以下の略語が、本明細書全体を通じて使用される:
ATP アデノシン三リン酸
AcOH、HAc、HOAc、CH3COOH 酢酸
AcOK、CH3COOK 酢酸カリウム
BSA N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド
BOC、Boc ブチルオキシカルボニル
N-BuOH ブチルアルコール
N-BuLi n-ブチルリチウム
Cs2CO3 炭酸セシウム
CH2Cl2、DCM 塩化メチレン
CHCl3 クロロホルム
CDCl3 重水素化クロロホルム
CH3CN アセトニトリル
CH3Cl 塩化メチル
Cu 銅
CuI ヨウ化第一銅
D2 重水素ガス
DIEA、DIPEA、iPr2Net N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF ジメチルホルムアミド
DMAC ジメチルアセトアミド
DMAP 4-ジメチルアミノピリジン
DMSO ジメチルスルホキシド
DTT DL-ジチオトレイトール
Et3N、TEA トリエチルアミン
EtOAc、EA、酢酸エチル
Et2O ジエチルエーテル
EtOH エタノール
FBS ウシ胎児血清
Fe 鉄
g グラム
h 時間
HATU 2-(7-アザ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HBr 臭化水素酸
HCl 塩酸
H2 水素
H2O 水
H2O2 過酸化水素
H3PO4 オルトリン酸
H2SO4 硫酸
HNO3 硝酸
HCOOK ギ酸カリウム
HCOONH4 ギ酸アンモニウム
HMDS ヘキサメチルジシラザン
HPLC 高速液体クロマトグラフィー又は高圧液体クロマトグラフィー
I2 ヨウ素
LiHMDS リチウムビス(トリメチルシリル)-アミド
LDA リチウムジイソプロピルアミド
MBP ミエリン塩基性タンパク質
MCPBA メタクロロ過安息香酸
MeCN、CH3CN アセトニトリル
MgSO4 硫酸マグネシウム
MeOH、CH3OH メタノール
MeI ヨウ化メチル
mL、ml ミリリットル
min 分
N2 窒素
NMP N-メチルピロリジノン
NaHCO3 重炭酸ナトリウム
NaBH4 水素化ホウ素ナトリウム
NaBH3CN シアノ水素化ホウ素ナトリウム
NaOtBu ナトリウムtert-ブトキシド
NaOMe、CH3ONa、NaOCH3 ナトリウムメトキシド
NaOH 水酸化ナトリウム
NaClO2 亜塩素酸ナトリウム
NaClO 次亜塩素酸ナトリウム
NaCl 塩化ナトリウム
NaH2PO4 重リン酸ナトリウム
NaH 水素化ナトリウム
NaI ヨウ化ナトリウム
Na2SO4 硫酸ナトリウム
Na2S2O3 チオ硫酸ナトリウム
NBS N-ブロモスクシンイミド
NIS N-ヨードスクシンイミド
NCS N-クロロスクシンイミド
NEt3 トリエチルアミン
NH3 アンモニア
NH4Cl 塩化アンモニウム
NH2OH・HCl ヒドロキシルアミン塩酸塩
(NH4)2Ce(NO3)6 硝酸セリウムアンモニウム
Pd/C パラジウム炭素
Pd2(dba)3 ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム
Pd(OAc)2 酢酸パラジウム
Pd(OH)2 水酸化パラジウム
Pd(PPh3)4 パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン
Pd(PPh3)2Cl2 ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド
Pd(dppf)Cl2 1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウムクロリド
PdCl2(PCy3)2 ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ジクロロパラジウム
P(t-Bu)3 トリ(tert-ブチル)ホスフィン
PE 石油エーテル(60~90℃)
PBS リン酸緩衝生理食塩水
Ph フェニル
POCl3 オキシ塩化リン
PhI(OAc)2 ヨードベンゼンジアセテート
K2CO3 炭酸カリウム
KOH 水酸化カリウム
RT rt r.t. 室温
Rt 保持時間
SOCl2 塩化チオニル
SO2Cl2 塩化スルフリル
t-BuOK カリウムtert-ブタノレート
TBS トリス緩衝生理食塩水
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
TEAC ビス(テトラ-エチルアンモニウム)カーボネート
Tris トリヒドロキシメチルアミノメタン
TsCl 4-トルエンスルホニルクロリド
μL マイクロリットル
X-Phos 5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェートp-トルイジン塩
【0368】
本開示の化合物の調製のための代表的な合成手順を、以下のスキームにおいて下記で概説する。別段の指示がない限り、各X、W、A、B、m、Ra、Rb、R1、R2及びR4は、式(I)に関して上記の定義を持つ。「PG」は、適切な保護基である。
【0369】
【0370】
[式中、Qは、ハロである]
本明細書に開示される化合物は、上記に例証した合成経路に従って調製することができる。化合物(1a)を、塩基の存在下で、化合物(2a)と反応させて、化合物(H)を得る。
【0371】
【0372】
Lは、ハロである。
本明細書に開示される中間体(2a)は、上記に例証した合成経路に従って調製することができる。最初に、化合物(2b)を、Pd触媒の存在下で化合物(3a)とカップリングさせて、化合物(2c)を得る。次いで、保護基を化合物(2c)から除去して、化合物(2a)を生成する。
【実施例】
【0373】
(実施例1)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチルブタ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
【0374】
【0375】
工程1)(S)-tert-ブチル(1-(5-(3-ヒドロキシ-3-メチルブタ-1-イン-1-イル)-4-オキソ-3-フェニル-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)カルバメート
DMF(10mL)中の(S)-tert-ブチル(1-(5-クロロ-4-オキソ-3-フェニル-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)カルバメート(1.01g、2.53mmol)(WO2015042077における実施例64の工程1~4の合成方法を参照)、ヨウ化第一銅(51mg、0.26mmol)、酢酸パラジウム(61mg、0.27mmol)、X-phos(243mg、0.51mmol)及びDIPEA(1.7mL、9.7mmol)の懸濁液に、2-メチルブタ-3-イン-2-オール(1mL、10.3mmol)をN2雰囲気下で添加した。反応混合物を100℃に6.5時間加熱し、室温に冷却し、EtOAc(100mL)で希釈し、次いで水(100mL×4)及び飽和ブライン(100mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/2)により精製して、表題化合物を薄黄色固体(610mg、54%)として得た。
MS(ESI、陽イオン)m/z:448.5[M+H]+。
【0376】
工程2)(S)-2-(1-アミノエチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチルブタ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
EtOAc(10mL)中の(S)-tert-ブチル(1-(5-(3-ヒドロキシ-3-メチルブタ-1-イン-1-イル)-4-オキソ-3-フェニル-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)カルバメート(610mg、1.36mmol)の溶液に、EtOAc中塩化水素(ガス)(3M、10mL、30mmol)を添加した。反応物を室温で2時間撹拌し、次いでH2O(100mL)及びEtOAc(20mL)で希釈した。有機層を分離し、水性相をNaHCO3粉末でpH=8.5に塩基性化し、DCM(50mL×2)で抽出した。合わせた有機相を飽和ブライン(50mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/DCM(v/v)=1/20)により精製して、表題化合物を薄黄色固体(246mg、52%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 348.4 [M + H]+;
1HNMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm): 7.75 (dd, J = 7.6, 8.0 Hz, 1H), 7.63 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.60-7.45 (m, 6H), 5.35 (s, 1H), 3.40- 3.34 (m, 1H), 1.91 (br.s, 2H), 1.41 (s, 6H), 1.14 (d, J = 6.4 Hz, 3H).
【0377】
工程3)(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチルブタ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
プロパン-2-オール(1mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチルブタ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(30.0mg、0.08mmol)、6-クロロ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-アミン(25.2mg、0.12mmol)(WO2015042077における実施例3の工程1~4の合成方法を参照)及びDIPEA(16.2mg、0.12mmol)の混合物を、85℃に5時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、次いで水(1mL)を滴下添加し、10分間撹拌し、濾過した。濾過ケーキを真空中で乾燥させて、表題化合物を薄黄色固体(25.8mg、57%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 523.3 [M + H]+;
1HNMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm): 9.20 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.80 (dd, J = 8.0, 8.0 Hz, 1H), 7.67-7.53 (m, 9H), 5.38 (s, 1H), 4.93-4.86 (m, 1H), 2.5 (s, 3H), 1.42 (s, 6H), 1.34 (d, J = 6.8 Hz, 3H).
【0378】
(実施例2)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチルブタ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
【0379】
【0380】
プロパン-2-オール(1mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチルブタ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(29.8mg、0.08mmol)、6-クロロ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-アミン(23.3mg、0.11mmol)(WO2015042077における実施例2の工程5~8の合成方法を参照)及びDIPEA(14.1mg、0.11mmol)の混合物を、85℃に24時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/DCM(v/v)=1/20)により精製して、粗化合物を得、これを分取TLC(MeOH/DCM(v/v)=3/100)によりもう一度精製して、表題化合物をオフホワイトの固体(24mg、54%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 523.3 [M + H]+;
1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.50 (d, J = 7.2Hz, 1H), 8.01 (s, 1H), 7.63-7.52 (m, 6H), 7.44-7.42 (m, 1H), 7.35-7.33 (m, 1H), 6.39 (br.s, 2H), 5.13-5.07 (m, 1H), 3.06 (br.s, 1H), 2.67 (s, 3H), 1.58 (s, 6H), 1.43 (d, J = 6.4 Hz, 3H).
【0381】
(実施例3)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチルブタ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
【0382】
【0383】
プロパン-2-オール(1mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチルブタ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(29.9mg、0.08mmol)、6-クロロ-5-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ピリミジン-4-アミン(20.9mg、0.10mmol)(WO2015042077における実施例12の工程1~5の合成方法を参照)及びDIPEA(14.7mg、0.114mmol)の混合物を、85℃に24時間加熱した。次いで、混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/DCM(v/v)=3/200)により精製して、表題化合物を薄黄色固体(27mg、60%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 523.3 [M + H]+;
1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.76 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.63-7.45 (m, 7H), 7.32 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 5.11-5.05 (m 1H), 3.05 (br.s, 1H), 2.72 (s, 3H), 1.58 (s, 6H), 1.44 (d, J = 6.8 Hz, 3H).
【0384】
(実施例4)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチルブタ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
【0385】
【0386】
n-ブタノール(1mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチルブタ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(41.1mg、0.118mmol)、6-クロロ-5-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)ピリミジン-4-アミン(28.7mg、0.136mmol)(WO2015042078における実施例12の工程1~6の合成方法を参照)及びDIPEA(21.1mg、0.163mmol)の混合物を、120℃に18時間加熱した。次いで、混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/DCM(v/v)=1/50)により精製して、粗生成物を得、これを分取TLC(MeOH/DCM(v/v)=1/30)により更に精製して、表題化合物を薄黄色固体(24mg、39%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 523.6 [M + H]+;
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.86 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 8.00 (s, 1H), 7.62-7.50 (m, 6H), 7.48-7.46 (m, 1H), 7.35 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 5.55 (br.s, 2H), 5.13-5.09 (m, 1H), 4.49 (s, 3H), 3.13 (br.s, 1H), 1.57(s, 6H), 1.47 (d, J = 6.6 Hz, 3H).
13C NMR (151 MHz, CDCl3) δ (ppm): 162.6, 161.2, 160.6, 159.1, 158.5, 157.8, 148.6, 136.4, 133.3, 132.9, 129.9, 129.6, 129.6, 129.1, 128.9, 127.7, 123.0, 121.2, 100.4, 83.2, 81.8, 65.6, 48.8, 39.8, 31.2, 31.2, 20.3.
【0387】
(実施例5)
2-((S)-1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-5-(3-ヒドロキシブタ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
【0388】
【0389】
工程1)tert-ブチル((1S)-1-(5-(3-クロロブタ-1-イン-1-イル)-4-オキソ-3-フェニル-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)カルバメート
DMAC(17mL)中の(S)-tert-ブチル(1-(5-クロロ-4-オキソ-3-フェニル-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)カルバメート(3.0g、7.5mmol)の溶液に、炭酸カリウム(1.6g、11mmol)、X-Phos(0.36g、0.74mmol)及び10%Pd/C(0.8g)を添加した。反応物を窒素で脱気した。110℃で終夜撹拌した後、反応混合物をCH2Cl2(100mL)で希釈し、濾過した。濾液をH2O(30mL×6)及び飽和ブライン(30mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/6)により精製して、表題化合物を黄色固体(2.6g、80%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 434.3 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.68 (d, J = 4.4 Hz, 2H), 7.58 (m, 4H), 7.40 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 7.30 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 5.64 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 4.77 (q, J = 6.3 Hz, 1H), 4.56 - 4.43 (m, 1H), 2.77 (s, 1H), 1.53 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.43 (s, 9H), 1.27 (d, J = 6.7 Hz, 3H).
【0390】
工程2)2-((S)-1-アミノエチル)-5-(3-ヒドロキシブタ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
ジオキサン(10mL)中のtert-ブチル((1S)-1-(5-(3-クロロブタ-1-イン-1-イル)-4-オキソ-3-フェニル-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)カルバメート(1.0g、2.3mmol)の溶液に、濃HCl(1mL)を添加した。30℃で2時間撹拌した後、反応混合物を真空中で濃縮した。残留物をCH2Cl2(30mL)で希釈し、5M NaOHでpH=10に中和した。有機層を分離し、水性相をCH2Cl2(30mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、表題化合物を黄色固体(0.84g、110%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 334.1 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.68 (d, J = 4.3 Hz, 2H), 7.62 - 7.49 (m, 4H), 7.30 (s, 2H), 4.78 (q, J = 6.6 Hz, 1H), 3.72 (s, 1H), 3.68 (q, J = 6.5 Hz, 1H), 2.00 (s, 2H), 1.54 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.28 (d, J = 6.5 Hz, 3H).
【0391】
工程3)2-((S)-1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-5-(3-ヒドロキシブタ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
n-ブタノール(1mL)中の2-((S)-1-アミノエチル)-5-(3-ヒドロキシブタ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(61mg、0.18mmol)の溶液に、6-クロロ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-アミン(39mg、0.18mmol)及びDIPEA(0.1mL、0.6mmol)を添加した。110℃で6時間撹拌した後、反応混合物を真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/DCM(v/v)=1/20)により精製して、表題化合物を黄色固体(69mg、74%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 509.1 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.85 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 8.05 (s, 1H), 7.76 - 7.64 (m, 2H), 7.64 - 7.52 (m, 3H), 7.45 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 7.38 (dd, J = 7.4, 1.8 Hz, 1H), 5.20 - 5.08 (m, 1H), 4.79 (dd, J = 14.0, 7.3 Hz, 1H), 2.55 (s,3H), 2.51 (s, 1H), 1.54 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.47 (d, J = 6.7 Hz, 3H).
【0392】
(実施例6)
2-((S)-1-((6-アミノ-5-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-5-(3-ヒドロキシブタ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
【0393】
【0394】
n-ブタノール(1mL)中の2-((S)-1-アミノエチル)-5-(3-ヒドロキシブタ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(61mg、0.18mmol)の溶液に、6-クロロ-5-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ピリミジン-4-アミン(39mg、0.18mmol)及びDIPEA(0.1mL、0.6mmol)を添加した。110℃で6時間撹拌した後、反応混合物を真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2(v/v)=1/20)により精製して、表題化合物を黄色固体(66mg、71%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 509.5 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.79 (d, J = 6.6 Hz, 1H), 8.00 (s, 1H), 7.71 - 7.64 (m, 2H), 7.62 - 7.52 (m, 3H), 7.49 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 6.6 Hz, 1H), 5.17 - 5.06 (m, 1H), 4.79 (dd, J = 13.0, 6.5 Hz, 1H), 2.74 (s, 3H), 2.44 (s, 1H), 1.54 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.48 (d, J = 6.7 Hz, 3H).
【0395】
(実施例7)
2-((S)-1-((6-アミノ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-5-(3-ヒドロキシブタ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
【0396】
【0397】
1-ブタノール(1mL)中の2-((S)-1-アミノエチル)-5-(3-ヒドロキシブタ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(61mg、0.18mmol)の溶液に、6-クロロ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-アミン(39mg、0.18mmol)及びDIPEA(0.1mL、0.6mmol)を添加した。110℃で7時間撹拌した後、反応混合物を真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2(v/v)=1/20)により精製して、表題化合物を黄色固体(74mg、80%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 509.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.52 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 8.04 (s, 1H), 7.67 (d, J = 3.8 Hz, 2H), 7.64 - 7.52 (m, 3H), 7.46 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 6.40 (s, 2H), 5.20 - 5.10 (m, 1H), 4.79 (dd, J = 13.1, 6.3 Hz, 1H), 2.74 (s, 3H), 2.46 (s, 1H), 1.54 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.47 (d, J = 6.6 Hz, 3H).
【0398】
(実施例8)
2-((S)-1-((6-アミノ-5-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-5-(3-ヒドロキシブタ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
【0399】
【0400】
n-ブタノール(1mL)中の2-((S)-1-アミノエチル)-5-(3-ヒドロキシブタ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(61mg、0.18mmol)の溶液に、6-クロロ-5-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)ピリミジン-4-アミン(39mg、0.18mmol)及びDIPEA(0.1mL、0.6mmol)を添加した。110℃で7時間撹拌した後、反応混合物を濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2(v/v)=1/20)により精製して、表題化合物を黄色固体(65mg、70%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 509.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.90 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 8.04 (s, 1H), 7.69 - 7.63 (m, 2H), 7.56 (m, 3H), 7.50 (d, J = 6.7 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 5.21 - 5.10 (m, 1H), 4.79 (dd, J = 13.1, 6.5 Hz, 1H), 4.52 (s, 3H), 2.54 (s, 1H), 1.54 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.50 (d, J = 6.7 Hz, 3H).
【0401】
(実施例9)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-3-フェニル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
【0402】
【0403】
工程1)(S)-2-(1-アミノエチル)-3-フェニル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
DMAC(50mL)中の(S)-tert-ブチル(1-(5-クロロ-4-オキソ-3-フェニル-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)カルバメート(1.5g、3.8mmol)の溶液に、プロパ-1-イン(50mL、ヘプタン中3質量%)、10%Pd/C(0.4g)、X-Phos(0.18g、0.38mmol)及び炭酸カリウム(0.78g、5.6mmol)を添加した。混合物を密封管に入れ、100℃で10時間加熱し、次いで室温まで冷却した。反応混合物を濾過し、EtOAc(100mL)で洗浄した。濾液を水(100mL×3)で洗浄した。有機相を真空中で濃縮して、粗生成物を黄色固体として得た。粗生成物をEtOAc中HClの混合物(30mL、4.0M)に室温で再溶解し、4時間撹拌した。混合物を水(30mL)に添加し、有機層を分離した。水性層を、氷水冷却にて固体NaOHを添加することによりpH=10に調整し、濾過し、濾過ケーキを真空中で乾燥させて、表題化合物を黄色固体(0.74g、65%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 304.4[M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.69 - 7.60 (m, 2H), 7.60 - 7.45 (m, 4H), 7.30 (dd, J = 6.5, 3.3 Hz, 2H), 3.74 - 3.61 (m, 1H), 2.12 (s, 2H), 1.81 (s, 3H), 1.28 (d, J = 6.6 Hz, 3H).
【0404】
工程2)(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-3-フェニル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
プロパン-2-オール(2mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-3-フェニル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン(82mg、0.27mmol)及び6-クロロ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-アミン(68mg、0.32mmol)の混合物に、DIPEA(0.1mL、0.6mmol)を添加した。反応混合物を加熱還流し、4時間撹拌し、次いで室温まで冷却した。混合物に水(3mL)を添加し、30分間撹拌し、濾過した。濾過ケーキを真空中で乾燥させて、表題化合物を黄色固体(83mg、65%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 479.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.90 (d, J = 6.7 Hz, 1H), 8.05 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 7.73 - 7.33 (m, 8H), 5.16 (dd, J = 13.4, 6.6 Hz, 1H), 2.54 (s, 3H), 2.13 (s, 3H), 1.65 (s, 2H), 1.48 (dd, J = 10.4, 5.7 Hz, 3H).
【0405】
(実施例10)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-3-フェニル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
【0406】
【0407】
プロパン-2-オール(2mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-3-フェニル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン(82mg、0.27mmol)、6-クロロ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-アミン(68mg、0.32mmol)の混合物に、DIPEA(0.1mL、0.6mmol)を添加した。反応混合物を加熱還流し、終夜撹拌し、次いで室温まで冷却した。混合物に水(3mL)を添加し、得られた混合物を30分間撹拌し、濾過した。濾過ケーキを真空中で乾燥させて、表題化合物を黄色固体(74mg、58%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 479.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.55 (t, J = 9.2 Hz, 1H), 8.04 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 7.70 - 7.32 (m, 8H), 5.24 - 5.07 (m, 1H), 2.75 (s, 3H), 2.13 (s, 3H), 1.65 (s, 2H), 1.47 (d, J = 6.6 Hz, 3H).
【0408】
(実施例11)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-3-フェニル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
【0409】
【0410】
プロパン-2-オール(2mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-3-フェニル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン(83mg、0.27mmol)、6-クロロ-5-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ピリミジン-4-アミン(70mg、0.33mmol)の混合物に、DIPEA(0.1mL、0.6mmol)を添加した。反応混合物を加熱還流し、終夜撹拌し、次いで室温まで冷却した。混合物に水(3mL)を添加し、30分間撹拌し、濾過した。濾過ケーキを真空中で乾燥させて、表題化合物を黄色固体(89mg、68%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 479.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.81 (dd, J = 25.2, 7.0 Hz, 1H), 8.01 (d, J = 5.9 Hz, 1H), 7.68 - 7.43 (m, 7H), 7.36 (d, J = 6.3 Hz, 1H), 5.13 (p, J = 6.8 Hz, 1H), 2.74 (s, 3H), 2.13 (s, 3H), 1.69 (s, 2H), 1.48 (d, J = 6.7 Hz, 3H).
【0411】
(実施例12)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-3-フェニル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
【0412】
【0413】
プロパン-2-オール(2mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-3-フェニル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン(82mg、0.27mmol)、6-クロロ-5-(2-メチルテトラゾール-5-イル)ピリミジン-4-アミン(68mg、0.32mmol)の混合物に、DIPEA(0.1mL、0.6mmol)を添加した。反応混合物を加熱還流し、終夜撹拌し、次いで室温まで冷却した。混合物に水(3mL)を添加し、30分間撹拌し、濾過した。濾過ケーキを真空中で乾燥させて、表題化合物を黄色固体(97mg、76%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 479.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.93 (dd, J = 14.8, 7.2 Hz, 1H), 8.04 (d, J = 5.7 Hz, 1H), 7.65-7.45 (m, 7H), 7.37 (d, J = 6.3 Hz, 1H), 5.22 - 5.11 (m, 1H), 4.52 (s, 3H), 2.13 (s, 3H), 1.50 (d, J = 6.7 Hz, 3H).
【0414】
(実施例13)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-3-フェニル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
【0415】
【0416】
プロパン-2-オール(3mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-3-フェニル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン(50mg、0.16mmol)、6-クロロ-5-(1-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリミジン-4-アミン(40mg、0.19mmol)(WO2015042497における実施例2の工程1~7の合成方法を参照)の混合物に、DIPEA(0.1mL、0.6mmol)を添加した。反応混合物を90℃で加熱し、終夜撹拌し、次いで室温まで冷却し、水(3mL)で希釈し、30分間撹拌し、濾過した。濾過ケーキを真空中で乾燥させて、表題化合物を白色固体(58mg、75%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 478.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm): 9.64 (d, J = 6.6 Hz, 1H), 8.77 (s, 1H), 7.91 (s, 1H), 7.73 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.67 - 7.46 (m, 7H), 4.96 - 4.77 (m, 1H), 4.03 (s, 3H), 2.04 (s, 3H), 1.38 (d, J = 6.6 Hz, 3H).
【0417】
(実施例14)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)プロピル)-3-フェニル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
【0418】
【0419】
工程1)(S)-tert-ブチル(1-(4-オキソ-3-フェニル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)プロピル)カルバメート
DMAC(4mL)中の(S)-tert-ブチル(1-(5-クロロ-4-オキソ-3-フェニル-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)プロピル)カルバメート(0.81g、2.0mmol)(WO2015042077における実施例1の工程1~3の合成方法を参照)の懸濁液に、炭酸カリウム(0.41g、2.9mmol)、X-Phos(95mg、0.2mmol)、10%Pd/C(0.21g)及びヘプタン中プロパ-1-インの溶液(13g、9.7mmol、3%)を添加した。反応物を窒素で脱気した。110℃で終夜撹拌した後、反応混合物をCH2Cl2(20mL)で希釈し、濾過した。濾液をH2O(8mL×5)及び飽和NaCl(8mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/8)により精製して、表題化合物を黄色油状物(0.43g、53%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 418.1 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.64 - 7.51 (m, 6H), 7.40 - 7.32 (m, 1H), 7.32 - 7.27 (m, 1H), 5.49 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 4.43 - 4.31 (m, 1H), 2.10 (s, 3H), 1.77 - 1.68 (m, 1H), 1.55 - 1.48 (m, 1H), 1.42 (s, 9H), 0.74 (t, J = 7.4 Hz, 3H).
【0420】
工程2)(S)-2-(1-アミノプロピル)-3-フェニル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
ジオキサン(5mL)中の(S)-tert-ブチル(1-(3-シクロプロピル-4-オキソ-5-(プロパ-1-イン-1-イル)-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)プロピル)カルバメート(0.38g、0.91mmol)の懸濁液に、濃HCl(0.5mL)を添加した。35℃で3時間撹拌した後、反応混合物を真空中で濃縮した。残留物をCH2Cl2(20mL)で希釈し、5M NaOHでpH=10に中和した。水相をCH2Cl2(20mL×3)で抽出した。合わせた有機層を飽和ブライン(30mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、表題化合物を黄色油状物(0.29g、100%)として得た。
【0421】
工程3)(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)プロピル)-3-フェニル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
n-ブタノール(2mL)中の(S)-2-(1-アミノプロピル)-3-フェニル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン(0.11g、35mmol)の懸濁液に、6-クロロ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-アミン(73mg、0.34mmol)及びDIPEA(0.2mL、1.1mmol)を添加した。110℃で終夜撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2(v/v)=1/400)により精製して、表題化合物を黄色固体(39mg、23%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 493.1 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.76 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 8.03 (s, 1H), 7.64 (d, J = 4.4 Hz, 2H), 7.60 - 7.53 (m, 4H), 7.45 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 7.38 - 7.36 (m, 1H), 5.15 - 5.10 (m, 1H), 2.54 (s, 3H), 2.13 (s, 3H), 1.98 - 1.74 (m, 2H), 0.86 (t, J = 7.4 Hz, 3H).
【0422】
(実施例15)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)プロピル)-3-フェニル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
【0423】
【0424】
n-ブタノール(2mL)中の(S)-2-(1-アミノプロピル)-3-フェニル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン(0.11g、0.35mmol)の懸濁液に、6-クロロ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-アミン(73mg、0.34mmol)及びDIPEA(0.2mL、1.1mmol)を添加した。110℃で終夜撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカカラムクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2(v/v)=1/400)により精製して、表題化合物を黄色固体(43mg、25%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 493.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.44 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 8.02 (s, 1H), 7.65 - 7.57 (m, 6H), 7.45 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 7.37 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.35 (s, 2H), 5.14 - 5.09 (m, 1H), 2.74 (s, 3H), 2.13 (s, 3H), 1.97 - 1.76 (m, 2H), 0.86 (t, J = 7.4 Hz, 3H).
【0425】
(実施例16)
(S)-3-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-2-フェニル-8-(プロパ-1-イン-1-イル)イソキノリン-1(2H)-オン
【0426】
【0427】
工程1)(S)-3-(1-アミノエチル)-2-フェニル-8-(プロパ-1-イン-1-イル)イソキノリン-1(2H)-オン
DMAC(10mL)中の(S)-3-(1-アミノエチル)-8-クロロ-2-フェニルイソキノリン-1(2H)-オン(1.5g、5.0mmol)(WO2015042078における実施例8の工程1~2の合成方法を参照)の混合物に、Cs2CO3(2.5g、7.7mmol)、PdCl2(PCy3)2(0.38g、0.51mmol)を添加した。混合物をN2でパージし、次いでプロピン(21mL、15mmol、n-ヘプタン中3~6%)を添加し、混合物を密封し、110℃で5.5時間加熱した。次いで、混合物を室温まで冷却し、EtOAc(150mL)及び水(30mL)を添加した。有機層を分離し、飽和ブライン(50mL×5)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc/TEA(v/v/v)=1/10/0.5)により精製して、表題化合物を黄色固体(0.81g、53%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン)m/z: 303.2 [M + H]+;
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.60 - 7.58 (m, 4 H), 7.48 (dd, J = 15.3, 7.9 Hz, 2 H), 7.42 (d, J = 7.7 Hz, 1 H), 7.34 (d, J = 7.4 Hz, 1 H), 6.76 (s, 1 H), 3.76 - 3.70 (m, 1 H), 2.13 (s, 3 H), 1.30 (d, J = 6.5 Hz, 3 H).
13C NMR (151 MHz, CDCl3) δ (ppm): 162.5, 138.0, 134.1, 131.6, 129.8, 129.7, 129.4, 129.0, 128.9, 125.6, 125.1, 124.7, 102.3, 92.8, 79.9, 46.9, 23.0, 5.4.
【0428】
工程2)(S)-3-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-2-フェニル-8-(プロパ-1-イン-1-イル)イソキノリン-1(2H)-オン
n-BuOH(1.5mL)中の(S)-3-(1-アミノエチル)-2-フェニル-8-(プロパ-1-イン-1-イル)イソキノリン-1(2H)-オン(33mg、0.11mmol)及び6-クロロ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-アミン(25.5mg、0.12mmol)の懸濁液に、DIPEA(0.05mL、0.3mmol)を添加した。混合物を100℃に加熱し、3.5時間撹拌した。次いで、混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH/TEA(v/v/v)=100/1/0.5)により精製して、表題化合物をオフホワイトの固体(22mg、43%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン)m/z: 478.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.28 (d, J = 6.3 Hz, 1 H), 8.00 (s, 1 H), 7.58-7.48 (m, 3 H), 7.47 - 7.32 (m, 5 H), 6.54 (s, 1H), 5.04 - 4.95 (m, 1H), 2.49 (s, 3 H), 2.13 (s, 3 H), 1.47 (d, J = 6.8 Hz, 3 H).
【0429】
(実施例17)
(S)-3-(1-((6-アミノ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-2-フェニル-8-(プロパ-1-イン-1-イル)イソキノリン-1(2H)-オン
【0430】
【0431】
n-BuOH(1.5mL)中の(S)-3-(1-アミノエチル)-2-フェニル-8-(プロパ-1-イン-1-イル)イソキノリン-1(2H)-オン(50mg、0.16mmol)及び6-クロロ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-アミン(38.5mg、0.18mmol)の混合物に、DIPEA(0.06mL、0.3mmol)を添加した。混合物を100℃に加熱し、4時間撹拌した。次いで、混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH/TEA(v/v/v)=80/1/0.5)により精製して、表題化合物を黄色固体(15.5mg、20%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 478.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.60 (d, J = 6.6 Hz, 1H), 8.01 (s, 1 H), 7.59 - 7.45 (m, 4 H), 7.44 - 7.39 (m, 2 H), 7.35 (d, J = 7.7 Hz, 2 H), 6.54 (s, 1 H), 6.05 (s, 2 H), 4.99 - 4.95 (m, 1 H), 2.69 (s, 3 H), 2.12 (s, 3 H), 1.47 (d, J = 6.8 Hz, 3 H).
【0432】
(実施例18)
(S)-3-(1-((6-アミノ-5-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-2-フェニル-8-(プロパ-1-イン-1-イル)イソキノリン-1(2H)-オン
【0433】
【0434】
n-BuOH(1.5mL)中の(S)-3-(1-アミノエチル)-2-フェニル-8-(プロパ-1-イン-1-イル)イソキノリン-1(2H)-オン(50mg、0.16mmol)及び6-クロロ-5-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ピリミジン-4-アミン(38.5mg、0.18mmol)の懸濁液に、DIPEA(0.06mL、0.3mmol)を添加した。混合物を110℃に加熱し、3.5時間撹拌した。次いで、混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH/TEA(v/v/v)=80/1/0.5)により精製して、表題化合物をオフホワイトの固体(15.3mg、19%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 478.3 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.22 (d, J = 6.4 Hz, 1 H), 7.99 (s, 1 H), 7.56 - 7.55 (d, J = 6.7 Hz, 1 H), 7.53 - 7.43 (m, 3 H), 7.41 - 7.32 (m, 4 H), 6.55 (s, 1 H), 5.01 - 4.93 (m, 1 H), 2.71 (s, 3 H), 2.12 (s, 3 H), 1.46 (d, J = 6.7 Hz, 3 H).
【0435】
(実施例19)
(S)-3-(1-((6-アミノ-5-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-2-フェニル-8-(プロパ-1-イン-1-イル)イソキノリン-1(2H)-オン
【0436】
【0437】
n-BuOH(1.5mL)中の(S)-3-(1-アミノエチル)-2-フェニル-8-(プロパ-1-イン-1-イル)イソキノリン-1(2H)-オン(50mg、0.16mmol)及び6-クロロ-5-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリミジン-4-アミン(38.5mg、0.18mmol)の懸濁液に、DIPEA(0.15mL、0.86mmol)を添加した。混合物を110℃に加熱し、3.5時間撹拌した。次いで、混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH/TEA(v/v/v)=80/1/0.5)により精製して、表題化合物をオフホワイトの固体(12.3mg、16%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 477.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 9.08 (d, J = 6.6 Hz, 1 H), 8.08 (s, 1 H), 7.91 (s, 1 H), 7.53 (d, J = 7.0 Hz, 1 H), 7.50 - 7.43 (m, 2 H), 7.41 (d, J = 7.2 Hz, 1 H), 7.38 - 7.29 (m, 4 H), 6.56 (s, 1 H), 4.99 - 4.88 (m, 1 H), 3.99 (s, 3 H), 2.10 (s, 3 H), 1.44 (d, J = 6.7 Hz, 3 H).
【0438】
(実施例20)
(S)-3-(1-((6-アミノ-5-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-2-フェニル-8-(プロパ-1-イン-1-イル)イソキノリン-1(2H)-オン
【0439】
【0440】
n-BuOH(1.5mL)中の(S)-3-(1-アミノエチル)-2-フェニル-8-(プロパ-1-イン-1-イル)イソキノリン-1(2H)-オン(50mg、0.16mmol)及び6-クロロ-5-(2-メチルテトラゾール-5-イル)ピリミジン-4-アミン(38.5mg、0.18mmol)の懸濁液に、DIPEA(0.15mL、0.86mmol)を添加した。混合物を110℃に加熱し、3.5時間撹拌した。次いで、混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH/TEA(v/v/v)=80/1/0.5)により精製して、表題化合物をオフホワイトの固体(7.0mg、9%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 478.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.47 (d, J = 6.5 Hz, 1 H), 7.98 (s, 1 H), 7.53 (t, J = 6.8 Hz, 1 H), 7.47 (d, J = 8.0 Hz, 2 H), 7.45 - 7.40 (m, 1 H), 7.40 - 7.30 (m, 4 H), 6.54 (s, 1 H), 5.03 - 4.94 (m, 1 H), 4.46 (s, 3 H), 2.10 (s, 3 H), 1.46 (d, J = 6.7 Hz, 3 H).
【0441】
(実施例21)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-3-シクロプロピル-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
【0442】
【0443】
工程1)(S)-tert-ブチル(1-(3-シクロプロピル-4-オキソ-5-(プロパ-1-イン-1-イル)-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)カルバメート
DMAC(18mL)中の(S)-tert-ブチル(1-(5-クロロ-3-シクロプロピル-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)カルバメート(2.83g、7.78mmol)(WO2015042077における実施例33の工程1~3の合成方法を参照)及び炭酸セシウム(3.76g、11.5mmol)の混合物に、二酢酸パラジウム(86.8mg、0.39mmol)、X-phos(367.0mg、0.77mmol)をN2雰囲気下で添加し、次いでヘプタン中のプロパ-1-イン(40.0mL、21mmol)を添加した。反応物を密封管内にて110℃で5時間撹拌し、次いで室温まで冷却し、EtOAc(200mL)で希釈し、セライトパッドに通して濾過した。濾液を水(200mL×5)で洗浄し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/3)により精製して、表題化合物を薄黄色固体(970mg、34%)として得た。
MS(ESI、陽イオン)m/z:368[M+H]+;
【0444】
工程2)(S)-2-(1-アミノエチル)-3-シクロプロピル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
EtOAc(10mL)中の(S)-tert-ブチル(1-(3-シクロプロピル-4-オキソ-5-(プロパ-1-イン-1-イル)-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)カルバメート(970.0mg、2.64mmol)の溶液に、濃塩化水素(36%、2.5mL)を添加した。得られた溶液を室温で0.5時間撹拌し、次いでH2O(30mL)及びEtOAc(10mL)で希釈した。有機層を分離し、水性相をNaHCO3粉末でpH=8.5に塩基性化し、次いでCH2Cl2(30mL×3)で抽出した。合わせた有機相を飽和ブライン(20mL)で洗浄し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2(v/v)=1/10)により精製して、表題化合物を黄色固体(110mg、16%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 268.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.57-7.48 (m, 3H), 4.75 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 2.93-2.87 (m, 1H), 2.20 (s, 3H), 1.43 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 1.39- 1.28 (m, 2H), 0.99-0.86 (m, 2H).
【0445】
(実施例22)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-3-シクロプロピル-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
【0446】
【0447】
n-ブタノール(1mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-3-シクロプロピル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン(31.0mg、0.116mmol)、6-クロロ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-アミン(25.6mg、0.121mmol)及びDIPEA(24.0mg、0.186mmol)の混合物を、90℃に終夜加熱した。混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2(v/v)=1/100)により精製して、表題化合物を黄色固体(25.0mg、49%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 443.2 [M + H]+;
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.61 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 8.15 (s, 1H), 7.56 - 7.55 (m, 1H), 7.50 - 7.49 (m, 2H), 6.32 - 6.27 (m, 1H), 3.05 - 3.02 (m, 1H), 2.72 (s, 3H), 2.19 (s, 3H), 1.61 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.44 - 1.40 (m, 2H), 1.08 - 1.05 (m, 1H), 1.00 - 0.96 (m, 1H).
13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ (ppm): 162.9, 162.2, 160.8, 160.7, 160.3, 158.9, 158.1, 147.6, 133.3, 133.0, 126.4, 123.9, 121.0, 92.9, 81.3, 79.1, 47.7, 26.7, 21.1, 11.3, 10.7, 10.3, 5.3.
【0448】
(実施例23)
(S)-3-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-2-シクロプロピル-8-(プロパ-1-イン-1-イル)イソキノリン-1(2H)-オン
【0449】
【0450】
工程1 (S)-3-(1-アミノエチル)-2-シクロプロピル-8-(プロパ-1-イン-1-イル)イソキノリン-1(2H)-オン
DMSO(10mL)中の(S)-3-(1-アミノエチル)-8-クロロ-2-シクロプロピルイソキノリン-1(2H)-オン(610mg、2.32mmol)(WO2015042078における実施例4の工程1~4の合成方法を参照)、炭酸セシウム(915mg、2.80mmol)、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)-パラジウム(II)(172mg、0.23mmol)の懸濁液に、ヘプタン中プロピンの溶液(24mL、13mmol、3質量%)をN2雰囲気下で添加した。得られた溶液を密封管(50mL)に入れ、120℃で4時間撹拌した。次いで、混合物を室温まで冷却し、EtOAc(20mL)で希釈し、セライトのパッドで濾過し、EtOAc(10mL×2)で洗浄した。濾液をH2O(15mL×3)及び飽和NaCl(20mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH(v/v)=30/1)により精製して、表題化合物を黄色固体(560mg、90%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 267.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm) 7.44 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.38 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.25 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.50 (s, 1H), 4.73 (q, J = 6.5 Hz, 1H), 2.97 - 2.77 (m, 1H), 2.15 (s, 3H), 1.37 (d, J = 6.5 Hz, 3H), 1.28 - 1.19 (m, 2H), 0.88 - 0.76 (m, 2H).
【0451】
工程2 (S)-3-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-2-シクロプロピル-8-(プロパ-1-イン-1-イル)イソキノリン-1(2H)-オン
n-ブタノール(4mL)中の(S)-3-(1-アミノエチル)-2-シクロプロピル-8-(プロパ-1-イン-1-イル)イソキノリン-1(2H)-オン(120mg、0.45mmol)、6-クロロ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-ピリミジン-4-アミン(114.5mg、0.54mmol)及びDIPEA(76mg、58.8mmol)の懸濁液を、120℃で2時間加熱した。次いで、混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/DCM(v/v)=1/100)により精製して、表題化合物を淡黄色固体(10mg、5%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 442.3 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm) 8.44 (d, J = 6.7 Hz, 1H), 8.13 (s, 1H), 7.48 (d, J = 6.7 Hz, 1H), 7.40 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.23 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 6.37 (s, 1H), 6.14 (p, J = 6.8 Hz, 1H), 2.97 (ddd, J = 11.2, 6.9, 4.2 Hz, 1H), 2.48 (s, 3H), 2.20 (s, 3H), 1.62 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.28 - 1.19 (m, 2H), 0.96 - 0.83 (m, 2H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ (ppm): 173.3, 165.6, 163.7, 161.4, 159.8, 159.4, 148.2, 137.4, 133.5, 130.9, 125.1, 124.6, 102.2, 92.3, 81.9, 80.0, 46.7, 29.7, 27.1, 21.6, 11.5, 10.6, 5.3.
【0452】
(実施例24)
(S)-3-(1-((6-アミノ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-2-シクロプロピル-8-(プロパ-1-イン-1-イル)イソキノリン-1(2H)-オン
【0453】
【0454】
ブタン-1-オール(2mL)中の(S)-3-(1-アミノエチル)-2-シクロプロピル-8-(プロパ-1-イン-1-イル)イソキノリン-1(2H)-オン(80mg、0.30mmol)、6-クロロ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-アミン(83.9mg、0.40mmol)及びDIPEA(49.5mg、0.38mmol)の懸濁液を、120℃で2時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/DCM(v/v)=100/1)により精製して、表題化合物を淡黄色固体(9mg、7%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 442.3 [M+H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.74 (d, J = 6.7 Hz, 1H), 8.11 (s, 1H), 7.49 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.40 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.23 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 6.40 (s, 1H), 6.22 - 6.13 (m, 1H), 3.04 - 2.96 (m, 1H), 2.69 (s, 3H), 2.21 (s, 3H), 1.64 (d, J = 6.7 Hz, 3H), 1.46 - 1.41 (m, 2H), 0.86 - 0.81 (m, 2H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ (ppm): 163.7, 162.8, 160.8, 159.8, 158.9, 158.4, 148.3, 137.5, 133.4, 130.9, 125.1, 124.5, 102.3, 92.2, 81.1, 80.1, 46.7, 29.7, 27.1, 21.7, 11.0, 10.6, 5.3.
【0455】
(実施例25)
(S)-3-(1-((6-アミノ-5-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-2-シクロプロピル-8-(プロパ-1-イン-1-イル)イソキノリン-1(2H)-オン
【0456】
【0457】
1,4-ジオキサン(2mL)中の(S)-3-(1-アミノエチル)-2-シクロプロピル-8-(プロパ-1-イン-1-イル)イソキノリン-1(2H)-オン(30mg、0.11mmol)の懸濁液に、6-クロロ-5-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-ピリミジン-4-アミン(27mg、0.13mmol)、炭酸セシウム(45mg、0.14mmol)、二酢酸パラジウム(4mg、0.018mmol)及び[1-(2-ジフェニルホスファニル-1-ナフチル)-2-ナフチル]-ジフェニル-ホスファン(10mg、0.016mmol)を添加した。混合物をN2雰囲気下、100℃で2時間加熱した。次いで、混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/DCM(v/v)=1/100)により精製して、表題化合物を淡黄色固体(10mg、20%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 442.2 [M+H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.38 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 8.12 (s, 1H), 7.50 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 7.41 (dd, J = 13.8, 6.2 Hz, 1H), 7.25 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 6.41 (s, 1H), 6.21 - 6.09 (m, 1H), 3.08 - 2.88 (m, 1H), 2.72 (s, 3H), 2.21 (d, J = 9.8 Hz, 3H), 1.62 (t, J = 8.1 Hz, 3H), 1.28 - 1.19 (m, 2H), 0.96 - 0.83 (m, 2H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ (ppm): 174.5, 165.9, 163.9, 161.3, 159.5, 158.3, 148.6, 137.5, 133.5, 131.0, 125.3, 125.0, 124.6, 102.3, 92.3, 82.4, 80.2, 46.7, 27.1, 22.7, 21.6, 14.1, 12.4, 5.4.
【0458】
(実施例26)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)プロピル)-3-シクロプロピル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
【0459】
【0460】
工程1)(S)-tert-ブチル(1-(3-シクロプロピル-4-オキソ-5-(プロパ-1-イン-1-イル)-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)プロピル)カルバメート
DMAC(8mL)中の(S)-tert-ブチル(1-(5-クロロ-3-シクロプロピル-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)プロピル)カルバメート(1.5g、4.0mmol)(WO2015042077における実施例2の工程1~4の合成方法を参照)の懸濁液に、炭酸カリウム(0.83g、5.9mmol)、X-Phos(0.19g、0.4mmol)、10%Pd/C(0.42g)及びヘプタン中3%プロパ-1-イン(27g、20.2mmol)を添加した。反応物を窒素で脱気した。110℃で終夜撹拌した後、反応混合物をCH2Cl2(30mL)で希釈し、濾過した。濾液をH2O(15mL×6)及びブライン(15mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/6)により精製して、表題化合物を黄色固体(1.15g、76%)として得た。
MS(ESI、陽イオン)m/z:382.1[M+H]+;
【0461】
工程2)(S)-2-(1-アミノプロピル)-3-シクロプロピル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
ジオキサン(20mL)中の(S)-tert-ブチル(1-(3-シクロプロピル-4-オキソ-5-(プロパ-1-イン-1-イル)-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)プロピル)カルバメート(1.15g、3mmol)の懸濁液に、濃HCl(2mL)を添加した。35℃で3時間撹拌した後、反応混合物を真空中で濃縮した。残留物をCH2Cl2(50mL)で希釈し、5M NaOHでpH=10に中和した。水相をCH2Cl2(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、表題化合物を黄色固体(0.8g、94%)として得た。
MS(ESI、陽イオン)m/z:282.3[M+H]+。
【0462】
工程3)(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)プロピル)-3-シクロプロピル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
n-ブタノール(2mL)中の(S)-2-(1-アミノプロピル)-3-シクロプロピル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン(133mg、0.47mmol)の懸濁液に、6-クロロ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-アミン(100mg、0.47mmol)及びDIPEA(0.17mL、0.97mmol)を添加した。110℃で終夜撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2(v/v)=1/400)により精製して、表題化合物を黄色固体(85mg、39%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 457.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 9.00 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 8.15 (s, 1H), 7.60 - 7.46 (m, 3H), 6.37 - 6.27 (m, 1H), 3.09 - 3.00 (m, 1H), 2.52 (s, 3H), 2.20 (s, 3H), 2.15 - 2.02 (m, 1H), 2.03 - 1.90 (m, 1H), 1.16 - 1.08 (m, 1H), 1.03 - 0.92 (m, 4H), 0.91 - 0.81 (m, 2H).
【0463】
(実施例27)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)プロピル)-3-シクロプロピル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
【0464】
【0465】
n-ブタノール(2mL)中の(S)-2-(1-アミノプロピル)-3-シクロプロピル-5-(プロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン(114mg、0.41mmol)の懸濁液に、6-クロロ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-アミン(86mg、0.41mmol)及びDIPEA(0.2mL、1.1mmol)を添加した。110℃で6時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2(v/v)=1/400)により精製して、表題化合物を黄色固体(69mg、37%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 457.1 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.51 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 8.16 (s, 1H), 7.59 - 7.49 (m, 3H), 6.59 (s, 2H), 6.35 (dd, J = 13.1, 7.4 Hz, 1H), 3.10 - 3.05 (m, 1H), 2.74 (s, 3H), 2.22 (s, 3H), 2.13 - 1.95 (m, 2H), 1.32 - 1.25 (m, 1H), 1.17 - 1.13 (m, 1H), 1.02 (t, J = 7.4 Hz, 3H), 0.98 - 0.96 (m, 1H), 0.92 - 0.86 (m, 1H).
【0466】
(実施例28)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)プロピル)-3-シクロプロピル-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
【0467】
【0468】
工程1)(S)-tert-ブチル(1-(3-シクロプロピル-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)プロピル)カルバメート
DMAC(8mL)中の(S)-tert-ブチル(1-(5-クロロ-3-シクロプロピル-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)プロピル)カルバメート(1.5g、4.0mmol)の溶液に、炭酸カリウム(0.83g、5.9mmol)、X-Phos(0.19g、0.39mmol)、10%Pd/C(0.42g)及びプロパ-2-イン-1-オール(1.2mL、20mmol)を窒素雰囲気下で添加した。110℃で終夜撹拌した後、反応混合物をCH2Cl2(30mL)で希釈し、濾過した。濾液をH2O(15mL×6)及びブライン(15mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/4)により精製して、表題化合物を黄色油状物(1.66g、100%)として得た。
MS(ESI、陽イオン)m/z:398.2[M+H]+。
【0469】
工程2)(S)-2-(1-アミノプロピル)-3-シクロプロピル-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
1,4-ジオキサン(20mL)中の(S)-tert-ブチル(1-(3-シクロプロピル-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)プロピル)カルバメート(1.66g、4.2mmol)の懸濁液に、濃HCl(2mL)を添加した。30℃で2時間撹拌した後、反応混合物を真空中で濃縮した。残留物をCH2Cl2(50mL)で希釈し、5M NaOHでpH=10に中和した。水相をCH2Cl2(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、表題化合物を黄色油状物(0.94g、76%)として得た。
MS(ESI、陽イオン)m/z:298.1[M+H]+。
【0470】
工程3)(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)プロピル)-3-シクロプロピル-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
n-ブタノール(3mL)中の(S)-2-(1-アミノプロピル)-3-シクロプロピル-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン(200mg、0.67mmol)の懸濁液に、6-クロロ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-アミン(114mg、0.54mmol)及びDIPEA(0.24mL、1.4mmol)を添加した。110℃で終夜撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2(v/v)=1/400)により精製して、表題化合物を黄色固体として得た。(58mg、18%)。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 473.1 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.58 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.16 (s, 1H), 7.63 - 7.54 (m, 3H), 6.54 (s, 2H), 6.35 (dd, J = 12.9, 7.4 Hz, 1H), 4.62 (s, 2H), 3.75 (q, J = 7.0 Hz, 1H), 3.12 - 3.06 (m, 1H), 2.74 (s, 3H), 2.14 - 1.96 (m, 2H), 1.28 - 1.27 (m, 1H), 1.19 - 1.16 (m, 1H), 1.04 (t, J = 7.4 Hz, 3H), 0.98 - 0.94 (m, 1H), 0.92 - 0.88 (m, 1H).
【0471】
(実施例29)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)プロピル)-3-シクロプロピル-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
【0472】
【0473】
n-ブタノール(3mL)中の(S)-2-(1-アミノプロピル)-3-シクロプロピル-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン(0.20g、0.67mmol)の懸濁液に、6-クロロ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-アミン(114mg、0.54mmol)及びDIPEA(0.24mL、1.4mmol)を添加した。110℃で7時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2(v/v)=1/200)により精製して、表題化合物を黄色固体(123mg、39%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 473.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.97 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 8.17 (s, 1H), 7.62 - 7.61 (m, 2H), 7.56 (dd, J = 8.7, 4.5 Hz, 1H), 6.34 (dd, J = 12.7, 7.4 Hz, 1H), 5.84 (s, 2H), 4.63 (s, 2H), 3.11 - 3.06 (m, 1H), 2.54 (s, 3H), 2.17 - 1.94 (m, 2H), 1.31 - 1.28 (m, 1H), 1.19 - 1.16 (m, 1H), 1.03 (t, J = 7.4 Hz, 3H), 0.98 - 0.93 (m, 1H), 0.88 - 0.85 (m, 1H).
【0474】
(実施例30)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-3-シクロプロピル-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
【0475】
【0476】
工程1)(S)-tert-ブチル(1-(3-シクロプロピル-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)カルバメート
DMAC(23mL)中の(S)-tert-ブチル(1-(5-クロロ-3-シクロプロピル-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)カルバメート(2.45gg、6.73mmol)の溶液に、10%Pd/C(0.73g)、X-phos(0.65g、1.36mmol)及び炭酸カリウム(1.91g、13.74mmol)をN2雰囲気下で添加した。次いで、混合物にプロパ-2-イン-1-オール(2.4mL、41.0mmol)を添加し、反応物を110℃で20時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、EtOAc(100mL)で希釈し、セライトパッドに通して濾過した。濾液を水(200mL×4)、及び飽和ブライン(200mL)で洗浄し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=3/2)により精製して、表題化合物を黄色固体(250mg、10%)として得た。
MS(ESI、陽イオン)m/z:384.3[M+H]+;
【0477】
工程2)(S)-2-(1-アミノエチル)-3-シクロプロピル-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
EtOAc(5mL)中の(S)-tert-ブチル(1-(3-シクロプロピル-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)カルバメート(0.25g、0.65mmol)の溶液に、濃塩化水素(36%、0.55mL)を添加した。得られた溶液を室温で1時間撹拌し、次いでH2O(20mL)及びEtOAc(20mL)で希釈した。有機層を分離し、水性相をNaHCO3粉末でpH=8.5に塩基性化し、CH2Cl2(30mL×3)で抽出した。合わせた有機相を飽和NaCl(20mL)で洗浄し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2(v/v)=3/100)により精製して、表題化合物を黄色固体(98mg、53%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 284.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.60 - 7.49 (m, 3H), 4.77 (q, J = 6.4 Hz, 1H), 4.58 (s, 2H), 2.88 - 2.85 (m, 1H), 1.45 - 1.44 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 1.33 - 1.28 (m, 2H), 0.93 - 0.82 (m, 2H).
【0478】
工程3)(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-3-シクロプロピル-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
n-ブタノール(1mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-3-シクロプロピル-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン(34.0mg、0.12mmol)、6-クロロ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-アミン(30.3mg、0.143mmol)及びDIPEA(23.0mg、0.17mmol)の混合物を、120℃に2時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物を分取TLC(MeOH/CH2Cl2(v/v)=1/25)により精製して、表題化合物を薄黄色固体(20.7mg、38%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 459.2 [M + H]+;
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ (ppm): 9.098 (d, J = 6.6 Hz, 1H), 8.15 (s, 1H), 7.60 - 7.58 (m, 2H), 7.53 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 6.29 - 6.25 (m, 1H), 5.85 (bs, 1H), 4.60 (s, 2H), 3.05 (m, 1H), 2.52 (s, 3H), 1.64 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.42 (m, 2H), 1.10 - 1.09 (m, 1H), 0.97 - 0.96 (m, 1H).
13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ (ppm): 173.3, 165.6, 162.1, 161.5, 160.1, 159.6, 158.8, 147.6, 133.1, 133.0, 127.5, 122.2, 120.8, 93.9, 84.8, 82.0, 51.8, 47.7, 26.6, 20.8, 11.6, 10.6, 10.2.
【0479】
(実施例31)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-3-シクロプロピル-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
【0480】
【0481】
n-ブタノール(1mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-3-シクロプロピル-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン(34.0mg、0.12mmol)、6-クロロ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-アミン(32.6mg、0.15mmol)及びDIPEA(19.8mg、0.15mmol)の混合物を、120℃に2.5時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(/MeOH CH2Cl2(v/v)=1/10)により精製して、表題化合物を薄黄色固体(5.4mg、10%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 459.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.63 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 8.16 (s, 1H), 7.57 - 7.52 (m, 3H), 6.34-6.28 (m, 1H), 4.60 (s, 2H), 3.09-3.03 (m, 1H), 2.73 (s, 3H), 2.51 (br.s, 1H), 1.63 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.44 - 1.41 (m, 2H), 1.12 - 1.08 (m, 1H), 0.99 - 0.94 (m, 1H).
【0482】
(実施例32)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-3-シクロプロピル-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン
【0483】
【0484】
n-ブタノール(1mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-3-シクロプロピル-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)キナゾリン-4(3H)-オン(34.0mg、0.12mmol)、6-クロロ-5-(1-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリミジン-4-アミン(30.2mg、0.14mmol)及びDIPEA(20.9mg、0.16mmol)の混合物を、120℃に10.5時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2(v/v)=1/20)により精製して、表題化合物を薄黄色固体(17.2mg、31%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 458.3 [M + H]+;
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ (ppm): 9.45 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 8.13 (s, 1H), 8.09 (s, 1H), 7.56 - 7.54 (m, 2H), 7.51 - 7.49 (m, 1H), 6.34 - 6.29 (m, 1H), 4.59 (s, 2H), 4.03 (s, 3H), 3.11 - 3.07 (m,1H), 1.65 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.41 - 1.38 (m, 2H), 1.19 - 1.15 (m, 1H), 0.94 - 0.91 (m, 1H).
13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ (ppm): 162.4, 161.4, 160.5, 160.3, 158.8, 156.6, 148.1, 141.9, 132.9, 132.8, 127.5, 122.3, 121.1, 93.8, 86.2, 85.2, 52.0, 47.7, 36.5, 26.9, 20.9, 10.5, 10.4.
【0485】
(実施例33)
(S)-3-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-2-シクロプロピル-8-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-イソキノリン-1(2H)-オン
【0486】
【0487】
工程1)(S)-3-(1-アミノエチル)-2-シクロプロピル-8-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)イソキノリン-1(2H)-オン
DMSO(20mL)中の(S)-tert-ブチル(1-(8-クロロ-2-シクロプロピル-1-オキソ-1,2-ジヒドロイソキノリン-3-イル)エチル)カルバメート(500mg、1.90mmol)、炭酸セシウム(748mg、2.30mmol)及びジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)-パラジウム(II)(143mg、0.19mmol)の懸濁液に、プロパ-2-イン-1-オール(0.4mL、7mmol)を、N2雰囲気下で添加した。得られた混合物を50mLの密封管内にて120℃で2時間撹拌し、次いで室温に冷却し、EtOAc(40mL)で希釈し、セライトのパッドに通して濾過し、EtOAc(10mL×3)で洗浄した。濾液をH2O(20mL×3)及び飽和ブライン(20mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/DCM(v/v)=1/30)により精製して、表題化合物を黄色固体(81mg、15%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 283.2[M+H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.46 (t, J = 6.4 Hz, 1H), 7.42 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.33 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 6.59 (s, 1H), 4.85 - 4.79 (m, 1H), 4.58 (s, 1H), 3.07 - 2.99 (m, 1H), 1.46 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 1.35 - 1.26 (m, 2H), 0.86 - 0.78 (m, 2H).
【0488】
工程2)(S)-3-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-2-シクロプロピル-8-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-イソキノリン-1(2H)-オン
i-PrOH(4mL)中の(S)-3-(1-アミノエチル)-2-シクロプロピル-1-オキソ-1,2-ジヒドロイソキノリン-8-カルボニトリル(43mg、0.14mmol)、6-クロロ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-ピリミジン-4-アミン(37.0mg、0.17mmol)、DIPEA(30.0mg、0.21mmol)の懸濁液を、100℃で2時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/DCM(v/v)=1/100)により精製して、表題化合物を淡黄色固体(20mg、29%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 458.2 [M+H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.45 (d, J = 6.6 Hz, 1H), 8.12 (s, 1H), 7.51 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.44 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.30 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 6.41 (s, 1H), 6.18 - 6.06 (m, 1H), 4.60 (s, 2H), 3.06 - 2.93 (m, 1H), 2.48 (s, 3H), 1.63 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.35 - 1.30 (m, 2H), 0.96 - 0.87 (m, 2H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ (ppm): 173.3, 165.7, 163.7, 161.4, 159. 8, 159.4, 148.6, 137.5, 133.1, 131.1, 126.0, 125.0, 123.1, 102.3, 93.7, 86.2, 81.9, 52.0, 46.7, 29.7, 27.2, 21.6, 11.5, 10.6.
【0489】
(実施例34)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
【0490】
【0491】
工程1)(S)-tert-ブチル(1-(5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-4-オキソ-3-フェニル-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)カルバメート
DMAC(8mL)中のtert-ブチル(1-(5-クロロ-4-オキソ-3-フェニル-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)カルバメート(0.99g、2.5mmol)、10%Pd/C(0.27g)、X-phos(0.21g、0.44mmol)、炭酸カリウム(0.52g、32.54mmol)の混合物に、プロパ-2-イン-1-オール(0.3mL、5mmol)をN2雰囲気下で添加した。反応物を115℃で9時間撹拌し、次いで室温まで冷却し、EtOAc(100mL)で希釈し、セライトパッドに通して濾過した。濾液を水(100mL×4)、及び飽和ブライン(100mL)で洗浄し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=3/2)により精製して、表題化合物を薄黄色固体(554mg、53%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 420.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.67 (d, J = 4.4 Hz, 2H), 7.60 - 7.49 (m, 4H), 7.38 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 7.28 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 5.61 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 4.50 (d, J = 4.0 Hz, 2H), 4.50 - 4.49 (m, 1H), 2.11 (br.s, 1H), 1.41 (s, 9H), 1.25 (d, J = 6.4 Hz, 3H).
【0492】
工程2 (S)-2-(1-アミノエチル)-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
EtOAc(4mL)及びCH2Cl2(4mL)中の(S)-tert-ブチル(1-(5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-4-オキソ-3-フェニル-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)カルバメート(0.55g、1.31mmol)の溶液に、塩化水素(36%、1mL)を添加した。得られた溶液を室温で1時間撹拌し、次いで真空中で濃縮した。残留物をH2O(20mL)及びEtOAc(20mL)で希釈した。有機層を分離し、水性層をNaHCO3粉末でpH=8.5に塩基性化し、次いでCH2Cl2(20mL×3)で抽出した。合わせた有機相を飽和ブライン(20mL)で洗浄し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2(v/v)=3/200)により精製して、表題化合物を薄黄色固体(237mg、56%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 320.4 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.66 - 7.65 (m, 2H), 7.57 - 7.49 (m, 4H), 7.27 - 7.24 (m, 2H), 4.48 (s, 2H), 3.65 (q, J = 6.4 Hz, 1H), 1.91 (br, s, 3H), 1.25 (d, J = 6.4 Hz, 3H).
【0493】
工程3)(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
n-ブタノール(1mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(42.5mg、0.13mmol)、6-クロロ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-アミン(31.2mg、0.15mmol)及びDIPEA(34.6mg、0.27mmol)の混合物を、120℃に2時間加熱した。次いで、混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2(v/v)=1/50)により精製して、表題化合物を薄黄色固体(26.8mg、47%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 495.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm): 9.21 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.82 (dd, J = 8.0, 7.6 Hz, 1H), 7.68 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.59 - 7.54 (m, 8H), 5.27 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 4.96 - 4.89 (m, 1H), 4.29 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 2.50 (s, 3H), 1.36 (d, J = 6.4 Hz, 3H).
13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ (ppm): 172.8, 165.2, 161.1 , 159.7, 159.3, 158.3, 158.0, 147.7, 136.2, 133.9, 132.7, 129.5, 129.3, 129.2, 128.8, 127.1, 122.3, 120.4, 95.5, 82.7, 80.2, 49.7, 48.3, 20.1, 11.1.
【0494】
(実施例35)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
【0495】
【0496】
n-ブタノール(1mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(41.0mg、0.13mmol)、6-クロロ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-アミン(28.5mg、0.13mmol)及びDIPEA(36.1mg、0.28mmol)の混合物を、120℃に2.5時間加熱した。次いで、混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2(v/v)=1/50)により精製して、表題化合物を薄黄色固体(14.9mg、24%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 495.3 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.51 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 8.00 (s, 1H), 7.65 - 7.64 (m, 2H), 7.59 - 7.51 (m, 4H), 7.44 - 7.43 (m, 1H), 7.34 - 7.32 (m, 1H), 6.39 (br.s, 2H), 5.15 - 5.08 (m, 1H), 4.49 (s, 2H), 4.49 (s, 15H), 2.71 (s, 3H), 2.71 (br.s, 1H),1.45 (d, J = 6.8 Hz, 3H).
13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ (ppm): 162.9, 161.4, 160.9, 160.4, 158.7, 158.6, 158.1, 148.4, 136.1, 133.6, 133.3, 130.1, 129.8, 129.8, 128.9, 127.9, 122.9, 121.0, 94.1, 84.8, 81.3, 51.9, 48.7, 20.5, 11.3.
【0497】
(実施例36)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)プロピル)-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
【0498】
【0499】
工程1)(S)-tert-ブチル(1-(5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-4-オキソ-3-フェニル-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)プロピル)カルバメート
DMAC(3mL)中の(S)-tert-ブチル(1-(5-クロロ-4-オキソ-3-フェニル-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)プロピル)カルバメート(0.60g、1.4mmol)の懸濁液に、炭酸カリウム(0.3g、2mmol)、X-Phos(71mg、0.15mmol)、10%Pd/C(0.15g)及びプロパ-2-イン-1-オール(0.42mL、7.2mmol)を添加した。反応物を窒素で脱気した。110℃で終夜撹拌した後、反応混合物をCH2Cl2(20mL)で希釈し、次いで濾過した。濾液をH2O(6mL×6)及び飽和ブライン(6mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/6)により精製して、表題化合物を黄色固体(0.32g、51%)として得た。
MS(ESI、陽イオン)m/z:434.2[M+H]+。
【0500】
工程2)(S)-2-(1-アミノプロピル)-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
ジオキサン(5mL)中の(S)-tert-ブチル(1-(5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-4-オキソ-3-フェニル-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)プロピル)カルバメート(0.32g、0.75mmol)の懸濁液に、濃HCl(0.5mL)を添加した。35℃で2時間撹拌した後、反応混合物を真空中で濃縮した。残留物をCH2Cl2(20mL)で希釈し、5M NaOHでpH=10に中和した。水相をCH2Cl2(20ml×3)で抽出した。合わせた有機層を飽和ブライン(50mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、表題化合物を黄色固体(0.31g、100%)として得た。
MS(ESI、陽イオン)m/z:334.1[M+H]+。
【0501】
工程3)(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)プロピル)-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
n-ブタノール(2.5mL)中の(S)-2-(1-アミノプロピル)-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(0.16g、0.46mmol)の懸濁液に、6-クロロ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-l)ピリミジン-4-アミン(0.11g、0.51mmol)及びDIPEA(0.2mL、1.1mmol)を添加した。110℃で終夜撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2(v/v)=1/200)により精製して、表題化合物を黄色固体(33mg、14%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 509.1 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.72 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 8.03 (s, 1H), 7.70 - 7.65 (m, 2H), 7.61 - 7.54 (m, 4H), 7.47 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 7.37 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 5.73 (s, 2H), 5.14 - 5.09 (m, 1H), 4.53 (s, 2H), 2.54 (s, 3H), 2.19 (s, 1H), 1.98 - 1.77 (m, 2H), 0.87 (t, J = 7.4 Hz, 3H).
【0502】
(実施例37)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)プロピル)-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
【0503】
【0504】
n-ブタノール(2.5mL)中の(S)-2-(1-アミノプロピル)-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(114mg、0.34mmol)の懸濁液に、6-クロロ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-アミン(86mg、0.41mmol)及びDIPEA(0.14mL、0.8mmol)を添加した。110℃で9時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2(v/v)=1/200)により精製して、表題化合物を黄色固体(53mg、30%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 509.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.45 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.02 (s, 1H), 7.67 - 7.65 (m, 2H), 7.62 - 7.54 (m, 4H), 7.47 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 7.35 (dd, J = 7.2, 2.0 Hz, 1H), 6.33 (s, 2H), 5.13 - 5.08 (m, 1H), 4.52 (s, 2H), 2.73 (s, 3H), 2.19 (s, 1H), 1.97 - 1.77 (m, 2H), 0.87 (t, J = 7.4 Hz, 3H).
【0505】
(実施例38)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
【0506】
【0507】
n-BuOH(1.5mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-3-フェニル-キナゾリン-4(3H)-オン(50mg、0.16mmol)、6-クロロ-5-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ピリミジン-4-アミン(38.1mg、0.18mmol)の懸濁液に、DIPEA(0.06mL、0.31mmol)を添加した。混合物を120℃に加熱し、7時間撹拌した。次いで、混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/DCM(v/v)=1/50)により精製して、表題化合物を淡黄色固体(29mg、37%)として得た。
MS(ESI, 陽イオン) m/z: 495.2 [M + H]+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm): 8.95 (d, J = 6.6 Hz, 1H), 7.96 (s, 1H), 7.80 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 7.65 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.63 - 7.53 (m, 6H), 7.50 (s, 2 H), 5.28 - 5.26 (m, 1H), 4.95 - 4.85 (m, 1 H), 4.30 (d, J = 5.9 Hz, 2 H), 2.77 (s, 3 H), 1.37 (d, J = 6.6 Hz, 3 H).
【0508】
(実施例39)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
【0509】
【0510】
n-BuOH(1.5mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-5-(ヒドロキシエチニル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(50mg、0.16mmol)、6-クロロ-5-(2-メチルテトラゾール-5-イル)ピリミジン-4-アミン(38.1mg、0.18mmol)の懸濁液に、DIPEA(43mg、0.33mmol)を添加した。混合物を120℃に加熱し、7時間撹拌した。次いで、混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/DCM(v/v)=1/50)により精製して、表題化合物を淡黄色固体(19mg、25%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 495.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm): 8.98 (d, J = 6.7 Hz, 1H), 7.97 (s, 1H), 7.80 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 7.67 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.63 - 7.53 (m, 6H), 7.48 (s, 2 H), 5.28 (t, J = 5.9 Hz, 1 H), 4.98 - 4.88 (m, 1H), 4.55 (s, 3H), 4.30 (d, J = 5.9 Hz, 2H), 1.39 (d, J = 6.6 Hz, 3H).
【0511】
(実施例40)
(S)-3-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-8-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-2-フェニルイソキノリン-1(2H)-オン
【0512】
【0513】
工程1)(S)-tert-ブチル(4-(3-クロロ-2-(フェニルカルバモイル)フェニル)-3-オキソブタン-2-イル)カルバメート
-30℃で、乾燥THF(81mL)中の2-クロロ-6-メチル-N-フェニル-ベンズアミド(10.0g、40.70mmol)の懸濁液に、n-BuLi(50mL、120mmol、ヘキサン中2.4mol/L)を30分間かけて滴下添加した。添加後、混合物を-30℃で1.5時間撹拌して、赤褐色溶液(i)を得、これを次の工程で直接使用した。
【0514】
-30℃で、乾燥THF(120mL)中のtert-ブチル(1-(メトキシ(メチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート(14.20g、61.13mmol)の懸濁液に、i-PrMgCl(67mL、67mmol、THF中1.0mol/L)を30分間かけて滴下添加した。添加後、混合物を-30℃で1.5時間撹拌して、淡黄色液体(ii)を得た。
【0515】
赤褐色溶液(i)に、淡黄色液体(ii)を-30℃で滴下添加した。添加後、混合物を-15℃で3.5時間撹拌し、次いで飽和NH4Cl(150mL)の添加によりクエンチし、EtOAc(150mL×3)で抽出した。合わせた有機相を飽和ブライン(200mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、表題化合物を淡黄色固体(17.0g、100%)として得、これを次の工程で直接使用した。
【0516】
工程2)(S)-3-(1-アミノエチル)-8-クロロ-2-フェニルイソキノリン-1(2H)-オン
メタノール(112mL)中のtert-ブチル(S)-(4-(3-クロロ-2-(フェニルカルバモイル)フェニル)-3-オキソブタン-2-イル)カルバメート(17.0g、40.8mmol)の懸濁液に、濃HCl溶液(112mL、36%)を添加した。混合物を加熱還流し、終夜撹拌した。次いで、混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をPE/EtOAc(200mL/100mL)及び水(200mL)で希釈した。水性層をPE/EA(100mL/50mL)で洗浄し、次いでNa2CO3粉末でPH=10に調整し、DCM(200mL×3)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaCl(300mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、表題化合物を黄色固体(9.2g、76%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン)m/z: 282.1 [M - NH3 + H]+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm): 7.67 - 7.60 (m, 2 H), 7.59 - 7.52 (m, 2 H), 7.52 - 7.43 (m, 2 H), 7.38 - 7.31 (m, 2 H), 6.92 (s, 1 H), 3.53 - 3.33 (m, 1 H), 1.08 (d, J = 6.5 Hz, 3 H).
【0517】
工程3)(S)-3-(1-アミノエチル)-8-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-2-フェニルイソキノリン-1(2H)-オン
DMAC(10mL)中の(S)-3-(1-アミノエチル)-8-クロロ-2-フェニルイソキノリン-1(2H)-オン(1.5g、5.0mmol)の懸濁液に、Cs2CO3(2.5g、7.7mmol)、PdCl2(PCy3)2(375mg、0.51mmol)を添加した。混合物をN2でパージし、次いでプロパ-2-イン-1-オール(0.85g、15.0mmol)を添加した。混合物を密封し、110℃に加熱し、5.5時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、EtOAc(150mL)及び水(30mL)を添加した。有機層を分離し、飽和NaCl(50mL×5)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc/TEA(v/v/v)=1/10/0.5)により精製して、表題化合物を黄色固体(805mg、53%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 319.2 [M + H]+;
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.60 - 7.48 (m, 4 H), 7.50 - 7.46 (dd, J = 15.3, 7.9 Hz, 2 H), 7.42 - 7.41 (d, J = 7.7 Hz, 1 H), 7.34 - 7.33 (d, J = 7.4 Hz, 1 H), 6.76 (s, 1 H), 3.77 - 3.69 (m, 1 H), 2.13 (s, 3 H), 1.30 (d, J = 6.5 Hz, 3 H).
13C NMR (151 MHz, CDCl3) δ (ppm): 162.5, 138.0, 134.1, 131.6, 129.8, 129.7, 129.4, 129.0, 128.9, 125.6, 125.1, 124.7, 102.3, 92.8, 79.9, 46.9, 23.0, 5.4.
【0518】
工程4)(S)-3-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-8-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-2-フェニルイソキノリン-1(2H)-オン
n-BuOH(1.5mL)中の(S)-3-(1-アミノエチル)-8-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-2-フェニルイソキノリン-1(2H)-オン(40mg、0.13mmol)及び6-クロロ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-アミン(30mg、0.14mmol)の懸濁液に、DIPEA(0.05mL)を添加した。混合物を80℃で6時間撹拌し、次いで室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH/TEA(v/v/v)=100/1/0.5)により精製して、表題化合物をオフホワイトの固体(12mg、23%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 494.3 [M + H]+;
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ (ppm): 8.38 (d, J = 6.4 Hz, 1 H), 7.98 (s, 1 H), 7.66 - 7.60 (m, 2 H), 7.56 - 7.50 (m, 2 H), 7.43 - 7.41(m, 4 H), 6.73 (s, 1 H), 4.78- 4.72 (m, 1 H), 4.28 (d, J = 5.9 Hz, 2 H), 2.44 (s, 3 H), 1.41(d, J = 6.8 Hz, 3 H).
13C NMR (151 MHz, DMSO-d6) δ (ppm): 173.4, 165.7, 161.5, 161.3, 159.7, 159.0, 147.8, 138.6, 138.3, 133.5, 132.4, 130.0, 129.7, 129.6, 129.3, 128.8, 127.0 124.3, 123.4, 101.6, 95.6, 84.4, 81.0, 50.3, 47.6, 20.9, 11.6.
【0519】
(実施例41)
(S)-3-(1-((6-アミノ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-8-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-2-フェニルイソキノリン-1(2H)-オン
【0520】
【0521】
n-BuOH(1.5mL)中の(S)-3-(1-アミノエチル)-8-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-2-フェニルイソキノリン-1(2H)-オン(30mg、0.09mmol)及び6-クロロ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-アミン(22mg、0.10mmol)の懸濁液に、DIPEA(0.03mL)を添加した。混合物を80℃で8時間撹拌し、次いで室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH/TEA(v/v/v)=40/1/0.5)により精製して、表題化合物を淡黄色固体(4.5mg、9%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン)m/z: 494.3 [M + H]+;
1H NMR (600 MHz, CD3OD) δ (ppm): 8.70 (d, J = 5.7 Hz, 1 H), 7.92 (s, 1 H), 7.58 - 7.50 (m, 3H), 7.48 - 7.36 (m, 5 H), 6.67 (s, 1 H), 5.02 - 4.91 (m, 1 H), 4.40 (s, 2 H), 2.67 (s, 3 H), 1.46 (d, J = 5.5 Hz, 3 H).
13C NMR (151 MHz, CD3OD/CDCl3) δ (ppm): 162.8, 162.7, 161.5, 159.6, 158.4, 158.1, 146.6, 138.3, 137.5, 133.6, 131.9, 129.3, 129.3, 129.2, 128.8, 128.8, 126.5, 124.3, 123.5, 103.3, 93.9, 84.8, 50.9, 47.3, 29.6, 20.7, 10.7.
【0522】
(実施例42)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-6-フルオロ-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
【0523】
【0524】
工程1)2-ブロモ-3-フルオロ-6-ニトロ-N-フェニルベンズアミド
フラスコに、2-ブロモ-3-フルオロ-6-ニトロ-安息香酸(2.0g、7.6mmol)及びSOCl2(10mL)を添加した。混合物を80℃で5.0時間撹拌し、次いで室温まで冷却し、真空中で濃縮して、黄色液体を得た。液体をDCM(15mL)に溶解し、次いでDCM(10mL)中のTEA(2.5mL、18.0mmol)及びアニリン(0.85mL、9.3mmol)の撹拌溶液中に0℃で添加した。添加後、混合物を0℃で2時間撹拌し続けた。次いで、混合物を真空中で濃縮し、残留物を水(50mL)及びDCM(100mL)に溶解した。水相をDCM(50mL)で抽出した。合わせた有機相を1.0M HCl(100mL)及び飽和NaHCO3水溶液(100mL×2)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc(v/v)=5/1)により精製して、表題化合物を黄色固体(2.27g、88%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 340.1 [M+H]+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm): 10.76 (s, 1 H), 8.41 (dd, J = 9.2, 4.5 Hz, 1 H), 7.79 (dd, J = 9.0, 8.0 Hz, 1 H), 7.63 (d, J = 7.8 Hz, 2 H), 7.39 (t, J = 7.9 Hz, 2 H), 7.16 (t, J = 7.4 Hz, 1 H).
【0525】
工程2)6-アミノ-2-ブロモ-3-フルオロ-N-フェニルベンズアミド
エタノール(20mL)中の2-ブロモ-3-フルオロ-6-ニトロ-N-フェニルベンズアミド(2.2g、6.7mmol)の混合物に、Fe粉(1.9g、76.3mmol)、及び水(4.0mL)中のHCOONH4(1.7g、27.0mmol)の溶液を添加した。混合物を90℃で終夜加熱した。混合物を50℃に冷却し、セライトに通して濾過し、濾液を真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/5)により精製して、表題化合物を薄桃色固体(1.13g、55%)として得た。
MS(ESI、陽イオン)m/z:310.1[M+H]+;
【0526】
工程3)(S)-tert-ブチル(1-((3-ブロモ-4-フルオロ-2-(フェニルカルバモイル)フェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート
0℃で、DCM(10mL)中の6-アミノ-2-ブロモ-3-フルオロ-N-フェニルベンズアミド(1.13g、3.66mmol)及び(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸(843mg、4.39mmol)の懸濁液に、DIPEA(1.3mL、7.4mmol)及びHATU(1.7g、4.38mmol)を添加し、次いで混合物を45℃で終夜撹拌した。混合物を水(30mL)及びDCM(50mL)で希釈し、水性層をDCM(30mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/5)により精製して、表題化合物を黄色固体(1.5g、85%)として得た。
MS(ESI、陽イオン)m/z:502.0[M+Na]+。
【0527】
工程4)(S)-tert-ブチル(1-(5-ブロモ-6-フルオロ-4-オキソ-3-フェニル-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)カルバメート
CH3CN(5mL)中の(S)-tert-ブチル(1-((3-ブロモ-4-フルオロ-2-(フェニルカルバモイル)フェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート(860mg、1.79mmol)の懸濁液に、DIPEA(0.70mL、4.0mmol)、DMAP(219mg、1.79mmol)及びBSA(1.5mL、6.0mmol)を添加した。混合物を密封管に入れ、130℃に26時間加熱した。次いで、混合物を室温まで冷却し、EtOAc(100mL)で希釈し、飽和ブライン(50mL×2)及び1.0M HCl水溶液(50mL)で洗浄した。有機相を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/5)により精製して、表題化合物を黄色固体(630mg、76%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 461.8 [M+H]+;
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.71 (dd, J = 8.9, 4.9 Hz, 1 H), 7.63 (t, J = 7.1 Hz, 1 H), 7.60 - 7.52 (m, 3 H), 7.42 (d, J = 6.8 Hz, 1 H), 7.30 (d, J = 7.3 Hz, 1 H), 5.55 (d, J = 6.7 Hz, 1 H), 4.53 (m, 1 H), 1.44 (s, 9 H), 1.28 (d, J = 6.7 Hz, 3 H).
【0528】
工程5)(S)-tert-ブチル(1-(6-フルオロ-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-4-オキソ-3-フェニル-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)カルバメート
DMAC(5.0mL)中の(S)-tert-ブチル(1-(5-ブロモ-6-フルオロ-4-オキソ-3-フェニル-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)カルバメート(530mg、1.14mmol)及びCs2CO3(561mg、1.72mmol)の懸濁液に、PdCl2(PCy3)2(85.0mg、0.12mmol)及びプロパ-2-イン-1-オール(0.2mL、3.0mmol)を添加した。混合物をN2でパージし、密封し、次いで100℃で3.0時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、EtOAc(50mL)及び水(10mL)で希釈した。水相をEtOAc(20mL)で抽出した。合わせた有機相を飽和ブライン(10mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/2)により精製して、表題化合物を黄色油状物(93.0mg、19%)として得た。
MS(ESI、陽イオン)m/z:438.1[M+H]+;
【0529】
工程6)(S)-2-(1-アミノエチル)-6-フルオロ-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
EtOAc(1.0mL)中の(S)-tert-ブチル(1-(6-フルオロ-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-4-オキソ-3-フェニル-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)カルバメート(93.0mg、0.21mmol)の懸濁液に、EtOAc中HClの溶液(2.0mL、6.0mmol、3.0M)を添加した。混合物を室温で1.0時間撹拌し、次いで反応混合物に水(20mL)及びEtOAc(10mL)を添加した。有機層を分離し、水性層をEtOAc(10mL)で洗浄し、Na2CO3粉末でpH=10に供し、次いでEtOAc(20mL×2)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、表題化合物を黄色油状物(53mg、74%)として得、これを更に精製することなく次の工程で直接使用した。
MS(ESI、陽イオン)m/z:338.1[M+H]+。
【0530】
工程7)(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-6-フルオロ-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
n-BuOH(1.5mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-6-フルオロ-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(53.0mg、0.16mmol)及び6-クロロ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-アミン(37.0mg、0.18mmol)の懸濁液に、DIPEA(0.06mL、0.4mmol)を添加した。混合物を90℃に加熱し、3.0時間撹拌し、次いで真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/DCM(v/v)=1/40)により精製して、表題化合物を淡黄色固体(22mg、27%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 513.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm): 9.19 (d, J = 6.5 Hz, 1 H), 7.99 (s, 1 H), 7.87 (t, J = 9.0 Hz, 1 H), 7.75 (dd, J = 8.9, 5.1 Hz, 1 H), 7.68 - 7.47 (m, 7 H), 4.99 - 4.86 (m, 1 H), 4.34 (d, J = 5.6 Hz, 2 H), 2.51 (s, 3 H), 1.37 (d, J = 6.5 Hz, 3 H).
【0531】
(実施例43)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-3-シクロプロピル-5-エチニルキナゾリン-4(3H)-オン
【0532】
【0533】
工程1)(S)-tert-ブチル(1-(3-シクロプロピル-5-エチニル-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)カルバメート
DMAC(10mL)中の(S)-tert-ブチル(1-(5-クロロ-3-シクロプロピル-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)カルバメート(1.04g、2.86mmol)の混合物に、エチニルトリメチルシラン(4.0mL、28.3mmol)、10%Pd/C(0.30g)、X-phos(0.14g、0.29mmol)及び炭酸カリウム(0.60g、4.0mmol)を添加した。混合物を窒素で数回脱気し、70℃に6.5時間加熱した。次いで、混合物を室温まで冷却し、EtOAc(50mL)及び水(10mL)で希釈した。有機層を分離し、水(20mL)及び飽和ブライン(20mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/5)により精製して、表題化合物を薄黄色固体(0.77g、76%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 354.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.68 - 7.53 (m, 3H), 5.72 - 5.54 (m, 2H), 3.54 (s, 1H), 3.00 - 2.89 (m, 1H), 1.48 - 1.44 (m, 12H), 1.42 - 1.37 (m, 2H), 1.12 - 1.03 (m, 1H), 1.00 - 0.90 (m, 1H).
【0534】
工程2)(S)-2-(1-アミノエチル)-3-シクロプロピル-5-エチニルキナゾリン-4(3H)-オン
(S)-tert-ブチル(1-(3-シクロプロピル-5-エチニル-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)カルバメートの固体(0.77g、2.18mmol)に、EtOAc中塩化水素の溶液(10mL、40mmol、4.0mol/L)を添加した。反応物を室温で終夜撹拌し、次いでH2O(20mL)を添加し、混合物を更に10分間撹拌した。有機層を分離し、水性相をNaOH粉末でpH=10に塩基性化し、CH2Cl2(15mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、表題化合物を褐色固体(0.49g、89%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 254.3 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.66 - 7.51 (m, 3H), 4.83 - 4.67 (m, 1H), 3.53 (s, 1H), 2.97 - 2.83 (m, 1H), 1.43 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.38 - 1.26 (m, 2H), 1.01 - 0.84 (m, 2H).
【0535】
工程3)(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-3-シクロプロピル-5-エチニルキナゾリン-4(3H)-オン
プロパン-2-オール(3mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-3-シクロプロピル-5-エチニルキナゾリン-4(3H)-オン(50mg、0.20mmol)、6-クロロ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-アミン(43mg、0.20mmol)及びDIPEA(0.10mL、0.60mmol)の混合物を、85℃に12時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、次いで水(5mL)を滴下添加し、30分間撹拌し、濾過した。濾過ケーキを水(1.0mL)で洗浄し、真空中で乾燥させて、表題化合物をオフホワイトの固体(59mg、70%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 429.2 [M + H]+;
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ (ppm): 9.35 (d, J = 6.7 Hz, 1H), 8.13 (s, 1H), 7.76 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.61 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 6.17 - 6.06 (m, 1H), 4.46 (s, 1H), 3.16 - 3.08 (m, 1H), 2.50 (s, 3H), 1.59 (d, J = 6.5 Hz, 3H), 1.30 - 1.24 (m, 2H), 1.07 - 1.02 (m, 1H), 0.89 - 0.83 (m, 1H).
【0536】
(実施例44)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-5-エチニル-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
【0537】
【0538】
工程1)(S)-tert-ブチル(1-(5-エチニル-4-オキソ-3-フェニル-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)カルバメート
DMAC(20mL)中の(S)-tert-ブチル(1-(5-クロロ-4-オキソ-3-フェニル-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)カルバメート(2.00g、5.00mmol)の混合物に、エチニルトリメチルシラン(7.0mL、50mmol)、10%Pd/C(0.53g)、X-phos(0.24g、0.50mmol)及び炭酸カリウム(1.00g、7.24mmol)を添加した。混合物を窒素で数回脱気し、80℃に12時間加熱した。次いで、混合物を室温まで冷却し、EtOAc(150mL)で希釈し、濾過した。濾液を水(50mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/15)により精製して、表題化合物を薄黄色固体(1.76g、76%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 390.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.73 - 7.64 (m, 3H), 7.61 - 7.46 (m, 3H), 7.42 - 7.33 (m, 1H), 7.32 - 7.27 (m, 1H), 5.63 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 4.61 - 4.45 (m, 1H), 3.46 (s, 1H), 1.39 (s, 9H), 1.26 (d, J = 6.7 Hz, 3H).
【0539】
工程2)(S)-2-(1-アミノエチル)-5-エチニル-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
(S)-tert-ブチル(1-(5-エチニル-4-オキソ-3-フェニル-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)エチル)カルバメートの固体(0.74g、1.90mmol)に、EtOAc中塩化水素の溶液(30mL、120mmol、4.0mol/L)を添加した。反応物を室温で2時間撹拌し、次いでH2O(30mL)を添加し、混合物を更に10分間撹拌した。有機層を分離し、水性相をNaOH粉末でpH=10に塩基性化し、濾過し、真空中で乾燥させて、表題化合物を褐色固体(0.49g、89%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 290.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.75 - 7.64 (m, 3H), 7.58 - 7.47 (m, 3H), 7.32 - 7.26 (m, 2H), 3.69 (q, J = 6.6 Hz, 1H), 3.46 (s, 1H), 1.28 (d, J = 6.6 Hz, 3H).
【0540】
工程3)(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-5-エチニル-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
プロパン-2-オール(5mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-5-エチニル-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(50mg、0.17mmol)、6-クロロ-5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリミジン-4-アミン(38mg、0.18mmol)及びDIPEA(0.10mL、0.60mmol)の混合物を、90℃に4時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、次いで水(5mL)を滴下添加し、混合物を更に30分間撹拌し、濾過した。濾過ケーキを真空中で乾燥させて、表題化合物を白色固体(57mg、71%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 465.3 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm): 9.23 (d, J = 6.6 Hz, 1H), 7.99 (s, 1H), 7.88 - 7.81 (m, 1H), 7.73 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.67 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.63 - 7.53 (m, 5H), 4.99 - 4.88 (m, 1H), 4.41 (s, 1H), 2.50 (s, 3H), 1.36 (d, J = 6.5 Hz, 3H).
【0541】
(実施例45)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-5-エチニル-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
【0542】
【0543】
プロパン-2-オール(3mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-5-エチニル-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(50mg、0.17mmol)、6-クロロ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-アミン(38mg、0.18mmol)、DIPEA(0.10mL、0.60mmol)の混合物を、90℃に12時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、次いで水(5mL)を滴下添加した。混合物を更に10分間撹拌し、濾過した。濾過ケーキを真空中で乾燥させて、表題化合物を薄黄色固体(63mg、78%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 465.3 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm): 8.77 (d, J = 6.7 Hz, 1H), 7.96 (s, 1H), 7.84 - 7.77 (m, 1H), 7.72 - 7.47 (m, 7H), 7.26 (s, 2H), 4.93 - 4.82 (m, 1H), 4.40 (s, 1H), 2.60 (s, 3H), 1.37 (d, J = 6.6 Hz, 3H).
【0544】
(実施例46)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
【0545】
【0546】
n-ブタノール(1mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-5-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(65mg、0.20mmol)の懸濁液に、6-クロロ-5-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリミジン-4-アミン(43mg、0.20mmol)及びDIPEA(0.1mL、0.6mmol)を添加した。110℃で終夜撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2(v/v)=1/20)により精製して、表題化合物を黄色固体(38mg、38%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 494.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm): 9.58 (d, J = 6.6 Hz, 1H), 8.76 (s, 1H), 8.17 (s, 1H), 7.89 (s, 1H), 7.77 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.66 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.63 - 7.51 (m, 5H), 7.09 (s, 1H), 5.28 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 4.90 - 4.83 (m, 1H), 4.308 (d, J = 4.2 Hz, 2H), 4.03 (s, 3H), 1.39 (d, J = 6.6 Hz, 3H).
【0547】
(実施例47)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-5-エチニル-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
【0548】
【0549】
プロパン-2-オール(5mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-5-エチニル-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(50mg、0.17mmol)及び6-クロロ-5-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ピリミジン-4-アミン(42mg、0.20mmol)の懸濁液に、DIPEA(0.1mL、0.6mmol)を添加した。反応混合物を加熱還流し、8時間撹拌し、次いで室温まで冷却し、水(6mL)で希釈し、更に30分間撹拌し、濾過した。濾過ケーキを真空中で乾燥させて、表題化合物を白色固体(64mg、79%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 465.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm): 8.95 (d, J = 6.7 Hz, 1H), 7.96 (s, 1H), 7.81 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.67 (dd, J = 13.8, 7.7 Hz, 2H), 7.59 (d, J = 8.7 Hz, 5H), 7.50 (s, 2H), 4.94 - 4.86 (m, 1H), 4.40 (s, 1H), 2.77 (s, 3H), 1.37 (d, J = 6.6 Hz, 3H).
【0550】
(実施例48)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-5-エチニル-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
【0551】
【0552】
プロパン-2-オール(5mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-5-エチニル-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(52mg、0.18mmol)及び6-クロロ-5-(2-メチルテトラゾール-5-イル)ピリミジン-4-アミン(40mg、0.19mmol)の懸濁液に、DIPEA(0.1mL、0.6mmol)を添加した。反応混合物を加熱還流し、24時間撹拌し、次いで室温まで冷却し、水(6mL)で希釈し、更に30分間撹拌し、濾過した。濾過ケーキを真空中で乾燥させて、表題化合物を白色固体(51mg、61%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 465.1 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ (ppm): 8.98 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.81 (s, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.66 (s, 1H), 7.59 (d, J = 9.9 Hz, 5H), 7.48 (s, 2H), 4.99 - 4.87 (m, 1H), 4.55 (s, 3H), 4.40 (s, 1H), 1.39 (d, J = 6.6 Hz, 3H).
【0553】
(実施例49)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-5-エチニル-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
【0554】
【0555】
プロパン-2-オール(3mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-5-エチニル-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(50mg、0.17mmol)、6-クロロ-5-(1-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリミジン-4-アミン(40mg、0.19mmol)の懸濁液に、DIPEA(0.1mL、0.6mmol)を添加した。反応混合物を加熱還流し、24時間撹拌し、次いで室温まで冷却し、水(6mL)で希釈し、更に30分間撹拌し、濾過した。濾過ケーキを真空中で乾燥させて、表題化合物を白色固体(62mg、77%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 464.3 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 9.41 (s, 1H), 8.14 (s, 1H), 7.95 (s, 1H), 7.76 - 7.60 (m, 3H), 7.60 - 7.43 (m, 4H), 7.34 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 5.21 - 5.09 (m, 1H), 4.05 (s, 3H), 3.47 (s, 1H), 1.52 (d, J = 6.7 Hz, 3H).
【0556】
(実施例50)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-3-シクロプロピル-5-エチニルキナゾリン-4(3H)-オン
【0557】
【0558】
プロパン-2-オール(3mL、100質量%)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-3-シクロプロピル-5-エチニルキナゾリン-4(3H)-オン(50mg、0.20mmol)、6-クロロ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピリミジン-4-アミン(43mg、0.20mmol)の懸濁液に、DIPEA(0.1mL、0.6mmol)を添加した。反応混合物を加熱還流し、24時間撹拌し、次いで室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物を分取TLC(prepared TLC)(MeOH/DCM(v/v)=1/25)により精製して、表題化合物を白色固体(71mg、84%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 429.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 9.04 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 8.15 (s, 1H), 7.66 - 7.49 (m, 3H), 6.44 - 6.23 (m, 1H), 3.56 (s, 1H), 3.11 - 2.99 (m, 1H), 2.74 (s, 3H), 1.66 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.46 - 1.34 (m, 2H), 1.23 - 1.11 (m, 1H), 1.07 - 0.93 (m, 1H).
【0559】
(実施例51)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-3-シクロプロピル-5-エチニルキナゾリン-4(3H)-オン
【0560】
【0561】
プロパン-2-オール(3mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-3-シクロプロピル-5-エチニルキナゾリン-4(3H)-オン(50mg、0.20mmol)、6-クロロ-5-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ピリミジン-4-アミン(43mg、0.20mmol)の懸濁液に、DIPEA(0.1mL、0.6mmol)を添加した。反応混合物を加熱還流し、24時間撹拌し、次いで室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物を分取TLC(MeOH/DCM(v/v)=1/25)により精製して、表題化合物を白色固体(71mg、84%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 429.2 [M + H]+;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 9.01 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 8.12 (s, 1H), 7.65 - 7.58 (m, 3H), 6.37 - 6.25 (m, 1H), 3.54 (s, 1H), 3.12 - 3.04 (m, 1H), 2.72 (s, 3H), 1.64 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.46 - 1.39 (m, 2H), 1.24 - 1.15 (m, 1H), 1.01 - 0.94 (m, 1H).
【0562】
(実施例52)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-3-シクロプロピル-5-エチニルキナゾリン-4(3H)-オン
【0563】
【0564】
プロパン-2-オール(3mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-3-シクロプロピル-5-エチニルキナゾリン-4(3H)-オン(50mg、0.20mmol)、6-クロロ-5-(2-メチルテトラゾール-5-イル)ピリミジン-4-アミン(45mg、0.21mmol)の懸濁液に、DIPEA(0.1mL、0.6mmol)を添加した。反応混合物を加熱還流し、24時間撹拌し、次いで室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物を分取TLC(MeOH/DCM(v/v)=1/25)により精製して、表題化合物を白色固体(63mg、63%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 429.3 [M + H]+;
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ (ppm): 9.14 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 8.15 (s, 1H), 7.65 - 7.56 (m, 3H), 6.39 - 6.31 (m, 1H), 4.50 (s, 3H), 3.54 (s, 1H), 3.13 - 3.05 (m, 1H), 1.66 (d, J = 6.7 Hz, 3H), 1.47 - 1.38 (m, 2H), 1.20 - 1.13 (m, 1H), 1.01 - 0.93 (m, 1H).
【0565】
(実施例53)
(S)-2-(1-((6-アミノ-5-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)エチル)-3-シクロプロピル-5-エチニルキナゾリン-4(3H)-オン
【0566】
【0567】
プロパン-2-オール(3mL)中の(S)-2-(1-アミノエチル)-3-シクロプロピル-5-エチニルキナゾリン-4(3H)-オン(50mg、0.20mmol)、6-クロロ-5-(1-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリミジン-4-アミン(45mg、0.21mmol)の懸濁液に、DIPEA(0.1mL、0.6mmol)を添加した。反応混合物を加熱還流し、24時間撹拌し、次いで室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物を分取TLC(MeOH/DCM(v/v)=1/25)により精製して、表題化合物を白色固体(68mg、81%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 428.2 [M + H]+;
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ (ppm): 9.61 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 8.15 (s, 1H), 8.10 (s, 1H), 7.67 - 7.52 (m, 3H), 6.38 - 6.31 (m, 1H), 4.04 (s, 3H), 3.56 (s, 1H), 3.27 (s, 2H), 3.15 - 3.08 (m, 1H)., 1.67 (d, J = 6.7 Hz, 3H), 1.48 - 1.37 (m, 2H), 1.24 - 1.13 (m, 1H), 1.03 - 0.92 (m, 1H).
【0568】
生物学的試験
分析に使用されるLC/MS/MSシステムは、Agilent社1200シリーズ真空デガッサー、バイナリポンプ、ウェルプレートオートサンプラー、サーモスタット付きカラムコンパートメント、エレクトロスプレーイオン化(ESI)源を有するAgilent社G6430三連四重極質量分析計で構成される。定量分析は、MRMモードを使用して行った。MRMトランジションについてのパラメーターをTable A(表1)に示す。
【0569】
【0570】
Agilent社XDB-C18、2.1×30mm、3.5μMカラムを分析に使用した。5μLの試料を注入した。分析条件:移動相は、水中0.1%ギ酸(A)及びメタノール中0.1%ギ酸(B)とした。流速は、0.4mL/分とした。移動相の勾配をTable B(表2)に示す。
【0571】
【0572】
代替として、G1312Aバイナリポンプ、G1367Aオートサンプラー及びG1314C UV検出器を備えるAgilent社6330シリーズLC/MS/MS分析計を分析で使用した。ESI源をLC/MS/MS分析計で使用した。分析を、必要に応じて陽イオンモードで行い、各分析物のMRMトランジションを、標準溶液を使用して最適化した。Capcell MP-C18 100×4.6mm I.D.、5μMカラム(Phenomenex社、Torrance、California、米国)を分析中に使用した。移動相は、水中5mM酢酸アンモニア、0.1%MeOH(A):アセトニトリル中5mM酢酸アンモニア、0.1%MeOH(B)(70:30、v/v)とした。流速は、0.6mL/分とした。カラムは室温に維持した。20μLの試料を注入した。
【0573】
(実施例A)
ヒト及びラットの肝ミクロソームにおける化合物安定性
ヒト又はラットの肝ミクロソームのインキュベーションを、ポリプロピレン管内で、二連で行った。典型的なインキュベーション混合物は、総容量200μLのリン酸カリウム緩衝液(PBS、100mM、pH7.4)中、ヒト又はラットの肝ミクロソーム(タンパク質0.5mg/mL)、目的の化合物(5μM)及びNADPH(1.0mM)で構成した。化合物をDMSOに溶解し、DMSOの最終濃度が0.05%となるようにPBSで希釈した。3分間のプレインキュベーション後にタンパク質の添加により酵素反応を開始させ、大気開放した水浴中において37℃でインキュベートした。等量の氷冷アセトニトリルを添加することにより、反応を様々な時点(0、5、10、15、30、60分)で停止させた。試料を、LC/MS/MSアッセイまで-80℃で貯蔵した。
【0574】
ヒト又はラットの肝ミクロソームのインキュベーション混合物中の化合物の濃度を、LC/MS/MS法により決定した。濃度範囲内の直線性の範囲を、各試験化合物について決定した。
【0575】
平行インキュベーションを、陰性対照として変性ミクロソームを使用して実施し、反応を37℃でのインキュベーション後の様々な時点(0、15、60分)で停止させた。
【0576】
デキストロメトルファン(70μM)を陽性対照として選択し、反応を37℃でのインキュベーション後の様々な時点(0、5、10、15、30、60分)で停止させた。ミクロソームインキュベーション系の完全性を確実にするために、陽性及び陰性の両方の対照試料を各アッセイに含めた。
【0577】
データ分析
ヒト又はラットの肝ミクロソームインキュベーションにおける化合物の濃度を、各反応について関連ゼロ時点対照に対する百分率としてプロットした。インビボCLintを外挿した(参考文献:Naritomi, Y.; Terashita, S.; Kimura, S.; Suzuki, A.; Kagayama, A.; and Sugiyama, Y.; Prediction of human hepatic clearance from in vivo animal experiments and in vitro metabolic studies with liver microsomes from animals and humans. Drug Metab. Dispos.、2001、29:1316~1324頁)。
【0578】
【0579】
(実施例B)
マウス、ラット、イヌ及びサルにおける本明細書に開示される化合物の静脈内及び経口投与後の薬物動態の評価
本明細書に開示される化合物を、マウス、ラット、イヌ又はサルにおける薬物動態研究において評価する。化合物は、水溶液、水溶液中2%HPMC+1%TWEEN(登録商標)80、生理食塩水中5%DMSO+5%ソルトール、4%MC懸濁液又はカプセル剤として投与される。静脈内投与について、動物には一般的に、1又は2mg/kgの用量で投与される。経口(p.o.)投与について、マウス及びラットには一般的に、5又は10mg/kgの用量が投与され、イヌ及びサルには一般的に、10mg/kgの用量が投与される。血液試料(0.3mL)を、0.25、0.5、1.0、2.0、3.0、4.0、6.0、8.0、12及び24時間の時点で、又は0.083、0.25、0.5、1.0、2.0、4.0、6.0、8.0及び24時間の時点で採取し、3,000又は4000rpmで2~10分間遠心分離する。血漿溶液を収集し、上記の通りにLC/MS/MSにより分析するまで-20℃又は-70℃で貯蔵する。
【0580】
【0581】
(実施例C)
キナーゼ活性アッセイ
PI3キナーゼ及びmTORキナーゼの阻害剤としての本明細書に開示される化合物の有効性は、以下の通り評価することができる。
【0582】
キナーゼアッセイについての一般的な記載
キナーゼアッセイは、固定化ミエリン塩基性タンパク質(MBP)へのγ-33P ATPの取り込みの測定により実施することができる。高結合白色384ウェルプレート(Greiner社)を、60μL/ウェルのトリス緩衝生理食塩水(TBS;50mMトリス pH8.0、138mM NaCl、2.7mM KCl)中20μg/mL MBPの4℃で24時間のインキュベーションにより、MBP(Sigma社#M-1891)でコーティングする。プレートを100μLのTBSで3回洗浄する。キナーゼ反応は、キナーゼ緩衝液(5mM Hepes pH7.6、15mM NaCl、0.01%ウシガンマグロブリン(Sigma社#I-5506)、10mM MgCl2、1mM DTT、0.02%TritonX-100)中、総容量34μLで行う。化合物希釈をDMSO中で実施し、1%の最終DMSO濃度までアッセイウェルに添加する。各データポイントを二連で測定し、それぞれ個々の化合物決定について少なくとも2回の二連のアッセイを実施する。酵素を、例えば10nM又は20nMの最終濃度まで添加する。未標識ATP及びγ-33P ATPの混合物を添加して、反応を開始させる(典型的には、1ウェル当たり2×106cpmのγ-33P ATP(3000Ci/mmole)及び10μM未標識ATP)。反応を、振盪しながら室温で1時間行う。プレートをTBSで7回洗浄し、続いて50μL/ウェルのシンチレーション液(Wallac社)を添加する。プレートを、Wallac社Triluxカウンターを使用して読み取る。これは、そのようなアッセイの1つの形式に過ぎず、当業者に公知の通り、様々な他の形式が可能である。
【0583】
上記アッセイ手順を使用して、阻害についてのIC50及び/又は阻害定数Kiを決定することができる。IC50は、アッセイの条件下で酵素活性を50%低下させるのに必要とされる化合物の濃度と定義される。IC50値は、1/2対数希釈系列を使用して10点曲線を作成することにより推定される(例えば、典型的な曲線は、以下の化合物濃度を使用して作成され得る:10μM、3μM、1μM、0.3μM、0.1μM、0.03μM、0.01μM、0.003μM、0.001μM及び0μM)。
【0584】
PI3キナーゼの一般的なアッセイプロトコール
PI3K(p110α/p85α)(h)[非放射性アッセイ]
PI3K(p110α/p85α)(h)を、10μMホスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸及びMgATP(必要に応じた濃度)を含有するアッセイ緩衝液中でインキュベートする。ATP溶液の添加により反応を開始させる。室温で30分間のインキュベーション後、EDTA及びビオチン化ホスファチジルイノシトール-3,4,5-トリスリン酸を含有する停止溶液の添加により反応を停止させる。最後に、ユウロピウム標識抗GSTモノクローナル抗体、GSTタグ付きGRP1 PHドメイン及びストレプトアビジンアロフィコシアニンを含有する、検出緩衝液を加える。次いで、プレートを時間分解蛍光モードで読み取り、均一時間分解蛍光(HTRF)シグナルを式HTRF=10000×(Em665nm/Em620nm)に従って決定する。
【0585】
PI3K(p110β/p85α)(h)[非放射性アッセイ]
PI3K(p110β/p85α)(h)を、10μMホスファチジルイノシトール-4,5-ビスリン酸及びMgATP(必要に応じた濃度)を含有するアッセイ緩衝液中でインキュベートする。MgATP混合物の添加により反応を開始させる。室温で30分間のインキュベーション後、EDTA及びビオチン化ホスファチジルイノシトール-3,4,5-トリスリン酸を含有する停止溶液の添加により反応を停止させる。最後に、ユウロピウム標識抗GSTモノクローナル抗体、GSTタグ付きGRP1 PHドメイン及びストレプトアビジン-アロフィコシアニンを含有する検出緩衝液を加える。次いで、プレートを時間分解蛍光モードで読み取り、均一時間分解蛍光(HTRF)シグナルを式HTRF=10000×(Em665nm/Em620nm)に従って決定する。
【0586】
PI3K(p110δ/p85α)(h)[非放射性アッセイ]
PI3K(p110δ/p85α)(h)を、10μMホスファチジルイノシトール-4,5-ビスリン酸及びMgATP(必要に応じた濃度)を含有するアッセイ緩衝液中でインキュベートする。MgATP混合物の添加により反応を開始させる。室温で30分間のインキュベーション後、EDTA及びビオチン化ホスファチジルイノシトール-3,4,5-トリスリン酸を含有する停止溶液の添加により反応を停止させる。最後に、ユウロピウム標識抗GSTモノクローナル抗体、GSTタグ付きGRP1 PHドメイン及びストレプトアビジン-アロフィコシアニンを含有する、検出緩衝液を加える。次いで、プレートを時間分解蛍光モードで読み取り、均一時間分解蛍光(HTRF)シグナルを式HTRF=10000×(Em665nm/Em620nm)に従って決定する。
【0587】
PI3K(p120γ)(h)[非放射性アッセイ]
PI3K(p120γ)(h)を、10μMホスファチジルイノシトール-4,5-ビスリン酸及びMgATP(必要に応じた濃度)を含有するアッセイ緩衝液中でインキュベートする。MgATP混合物の添加により反応を開始させる。室温で30分間のインキュベーション後、EDTA及びビオチン化ホスファチジルイノシトール-3,4,5-トリスリン酸を含有する停止溶液の添加により反応を停止させる。最後に、ユウロピウム標識抗GSTモノクローナル抗体、GSTタグ付きGRP1 PHドメイン及びストレプトアビジン-アロフィコシアニンを含有する、検出緩衝液を加える。次いで、プレートを時間分解蛍光モードで読み取り、均一時間分解蛍光(HTRF)シグナルを式HTRF=10000×(Em665nm/Em620nm)に従って決定する。
【0588】
mTOR(h)
mTOR(h)を、50mM HEPES pH7.5、1mM EDTA、0.01%TWEEN(登録商標)20、2mg/mLの基質、3mM塩化マンガン及び[γ-33P-ATP](比活性およそ500cpm/pmol、必要に応じた濃度)とともにインキュベートする。MnATP混合物の添加により反応を開始させる。室温で40分間のインキュベーション後、3%リン酸溶液の添加により反応を停止させる。次いで、10μLの反応物をP30フィルターマット上にスポットし、75mMリン酸中で3回5分間洗浄し、メタノール中で1回洗浄した後、乾燥及びシンチレーション計数を行う。
【0589】
本明細書に記載されるキナーゼアッセイを、Millipore UK社、Dundee Technology Park、Dundee DD2 1SW、英国にて実施した。
【0590】
本明細書に開示される化合物は、PI3Kα(h)及びmTOR(h)アッセイにおいて強力な活性を示した。
【0591】
【0592】
代替として、化合物のキナーゼ活性は、化合物が固定化活性部位特異的リガンドと競合する能力を定量的に測定する競合結合アッセイに基づくKINOMEscan(商標)を使用して測定することができる。アッセイは、3つの成分:DNAタグ付きキナーゼ;固定化リガンド;及び試験化合物を組み合わせることにより実施した。試験化合物が固定化リガンドと競合する能力を、DNAタグの定量的PCRにより測定した。
【0593】
ほとんどのアッセイについては、キナーゼ-タグ付きT7ファージ株を、BL21株由来の大腸菌(E. coli)宿主において調製した。大腸菌を対数期まで増殖させ、T7ファージに感染させ、溶解するまで32℃で振盪しながらインキュベートした。溶解物を遠心分離し、濾過して細胞残屑を除去した。残りのキナーゼをHEK-293細胞中で産生させ、その後、qPCR検出のためにDNAでタグ付けした。ストレプトアビジンコーティングされた磁気ビーズを、室温で30分間、ビオチン化小分子リガンドで処理して、キナーゼアッセイのための親和性樹脂を生成した。リガンド付加ビーズを過剰のビオチンでブロックし、ブロッキング緩衝液(SEABLOCK(商標)(Pierce社)、1%BSA、0.05%TWEEN(登録商標)20、1mM DTT)で洗浄して、未結合リガンドを除去し、非特異的結合を減少させた。結合反応物を、1×結合緩衝液(20%SEABLOCK(商標)、0.17×PBS、0.05%TWEEN(登録商標)20、6mM DTT)中でキナーゼ、リガンド付加親和性ビーズ、及び試験化合物を合わせることによりアセンブルした。すべての反応を、最終容量0.135mLでポリスチレン96ウェルプレートにおいて実施した。アッセイプレートを1時間振盪しながら室温でインキュベートし、親和性ビーズを洗浄緩衝液(1×PBS、0.05%TWEEN(登録商標)20)で洗浄した。次いで、ビーズを溶出緩衝液(1×PBS、0.05%TWEEN(登録商標)20、0.5μM非ビオチン化親和性リガンド)中に再懸濁させ、30分間振盪しながら室温でインキュベートした。溶出液中のキナーゼ濃度をqPCRにより測定した。
【0594】
本明細書に記載されるキナーゼアッセイは、DiscoveRx社、42501 Albrae St. Fremont、CA 94538、米国におけるKINOMEscan(商標)Profiling Serviceを使用して実施した。
【0595】
(実施例D)
p-AKT HTRFアッセイ
PI3K-α及びPI3K-βに対する化合物の阻害活性を、それぞれSKOV3及び786-O細胞において評価する一方、PI3K-δアイソフォームに対する阻害アッセイを、抗免疫グロブリンM(抗IgM)抗体と架橋したヒトBリンパ腫細胞の受容体細胞系のRAJI細胞において行った。PI3K-γに対する化合物の阻害能を、試験前にC5aのGPCRアゴニストを介して蓄積すべきであるマウスマクロファージ様細胞系RAW264.7において評価した。
【0596】
異なる細胞を、無血清RPMI-1640(Gibico社)を用いて、PI3K-□について60,000細胞/50μL/ウェル、PI3K-□について30,000細胞/50μL/ウェル、PI3K-□について50,000細胞/30μL/ウェル、PI3K-□について60,000細胞/50μL/ウェルの密度で、96ウェル細胞培養グレードプレートに播種した。
【0597】
細胞を5%CO2雰囲気中、37℃で終夜インキュベートした。化合物の50ul溶液をプレートに1ウェル当たりで添加した結果、0.2%の最終DMSO濃度にし、次いで5%CO2雰囲気中、37℃で更に60分間インキュベートした(細胞を、PI3K-□試験のための化合物の存在下、10μg/mL抗ヒトIgMで30分間刺激し;細胞を、PI3K-□試験のための化合物の存在下、25nM C5aで5分間刺激した)。次いで、培地を吸引し、50μL/ウェルの溶解緩衝液を添加した。プレートを室温で45分間振盪し、次いで16ul/ウェルの溶解物を384ウェルプレートに移した。4ul/ウェルの事前に混合した抗体をウェルに添加した。プレートを室温にて1000rpmで1分間遠心分離し、次いで22℃で4時間インキュベートし、ホスホ-AKT(ser473)キットを検出に使用した。
【0598】
【0599】
本明細書に開示される化合物は、細胞に対する良好な阻害活性、及び良好な選択性を示した。
【0600】
(実施例E)
細胞増殖アッセイ
1.対数増殖期中に細胞を採取し、Count-starを使用して細胞数を計数する。
2.細胞濃度をそれぞれの培養培地により1.0×105細胞/mLに調整する。
3.細胞懸濁液90μLを1×104細胞/ウェルの最終細胞密度で96ウェルプレートに添加する(細胞濃度はデータベース又は密度最適化アッセイに従って調整されることになる)。
4.翌日、10×溶液を調製する(トップ作業濃度:9つの用量レベルを達成する3.16倍系列希釈で培地中10μMの試験物)。
5.試験物及び参照対照両方の薬物溶液10μLをプレートの各ウェル(各薬物濃度について二連)中に分配する。(培養培地中のDMSO最終濃度:0.1%)
6.試験プレートを加湿インキュベーター中にて5%CO2、37℃で72時間インキュベートし、次いでCTGアッセイによって測定する。
7.プレート及びその内容物を室温でおよそ30分間平衡化する。
8.CellTiter-Glo 50μLを各ウェルに添加する。
9.データを、GraphPad Prism 5.0を使用してグラフ表示する。
【0601】
【0602】
本明細書に開示される化合物は、異なる細胞に対して良好な阻害活性を示した。
【0603】
(実施例F)
hERGアッセイ
電圧クランププロトコール:コンピュータソフトウェアを使用して電圧クランププロトコールをセットした。ホールセルモデルにおいて、細胞を-80mVに保持し、最初に-50mVに80ミリ秒間脱分極させ、次いで+20mVに4800ミリ秒間脱分極させて、hERGチャンネルを活性化した。その後、細胞を-50mVに5000ミリ秒間再分極させて、特徴的なテール電流を誘発した。最後に、細胞を-80mVに再度保持した。テール電流のピーク値を分析のためにサンプリングした。
【0604】
自動化QPatch手順:試運転(ホールセル)構成を達成した後、細胞を120秒間記録して、電流安定性を評価した。次いで、上記の電圧プロトコールを、手順全体を通じて15秒ごとに細胞に適用した。閾値を超える記録パラメーターを有する安定な細胞のみ、薬物適用手順に入ることを許可した。すべての実験を室温(約25℃)で行った。0.1%DMSOを含有する外液(ビヒクル)を細胞に適用して、ベースラインを確立した。電流を3分間安定化させた後、化合物を適用した。化合物溶液を添加し、細胞を、化合物の効果が定常状態に達するまで又は最長4分間、試験溶液中に保持した。用量応答アッセイのために、化合物を低濃度から高濃度まで累積的に細胞に適用した。外液による洗い流しを化合物試験後に実施した。陽性対照シサプリドを、試験化合物に使用される細胞の同じバッチを試験する実験において使用して、細胞の正常な応答及び良好な質を確保する。
【0605】
データを、Sophion社により提供されているアッセイソフトウェア、Microsoft Excel及びGraphpad Prismを使用して分析した。
【0606】
手動パッチクランププロトコール:手動パッチクランプシステムを使用して、ヒト胚性腎臓(HEK-293)細胞におけるhERG電流を記録した。細胞を採取し、倒立顕微鏡のステージ上の記録チャンバーに移し、細胞外溶液で絶えず潅流した。記録チャンバーの容量は約1mLとした。チャンバー内の細胞外溶液は、約1mL/分の潅流速度で1分以内に完全に交換した。パッチマイクロピペットはマイクロピペットプラーで吸引した。ピペットをマイクロマニピュレーターにより細胞に移動させ、わずかな陽圧を使用して、シール形成前に表面をきれいにした。原形質膜の表面とピペットの先端との間の高抵抗シールを、ゆるやかな吸引により達成した。次いで、ピペットに付着した原形質膜を負圧により破壊して、ホールセル記録モデルを達成した。すべての実験は室温で実施した。
【0607】
データは、平均±S.E.Mとして表した。試験物の効果は、ビヒクル対照において記録されたピーク電流で正規化した。曲線フィッティング及びIC50算出を、Clampfit 10.3及びGraphpad Prism 5.00 電流密度(pA/pF)=ピーク電流(pA)/膜容量(pF)を使用して実施した。
【0608】
【0609】
本明細書に開示される化合物は、hERGに対して弱い相互作用を有していた。
【0610】
最後に、本発明を実施する代替的方法があることに留意するべきである。したがって、本実施形態は限定的ではなく例示的とみなされるべきであり、本発明は、本明細書に記載の詳細に限定されないが、添付の特許請求の範囲及び均等物の範囲内で変更され得る。本明細書に引用されるすべての刊行物及び特許は、参照により組み込まれる。