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特許7450542光カプラを備える、ヒトまたは動物の組織を切断する装置
<図1>
  • 特許-光カプラを備える、ヒトまたは動物の組織を切断する装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】光カプラを備える、ヒトまたは動物の組織を切断する装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/008 20060101AFI20240308BHJP
   A61B 18/20 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
A61F9/008 120Z
A61F9/008 120C
A61B18/20
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020538904
(86)(22)【出願日】2019-01-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 EP2019051872
(87)【国際公開番号】W WO2019145484
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2021-12-20
(31)【優先権主張番号】1850577
(32)【優先日】2018-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518356419
【氏名又は名称】ケラノヴァ
【氏名又は名称原語表記】KERANOVA
(74)【代理人】
【識別番号】100094640
【弁理士】
【氏名又は名称】紺野 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100103447
【弁理士】
【氏名又は名称】井波 実
(74)【代理人】
【識別番号】100111730
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 武泰
(74)【代理人】
【識別番号】100180873
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 慶政
(72)【発明者】
【氏名】ナドルニー、シルヴィ
(72)【発明者】
【氏名】ボボー、エマニュエル
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0241107(US,A1)
【文献】特表2014-523301(JP,A)
【文献】国際公開第2017/174710(WO,A1)
【文献】特開2013-231930(JP,A)
【文献】特開平07-067909(JP,A)
【文献】特表2007-511919(JP,A)
【文献】特表2016-526693(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106768859(CN,A)
【文献】特開2014-219677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/008
A61B 18/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
角膜または水晶体などのヒトまたは動物の組織を切断する装置であって、当該装置は、
- パルスの形態で初期レーザ光を発生させるためのフェムト秒レーザ(1)と、
- 前記フェムト秒レーザ(1)の下流に配置され、初期レーザ光を位相変調レーザ光に変換するための成形システム(2)(例えば、空間光変調器(SLM))であって、当該成形システムは、前記初期レーザ光のエネルギーを、焦点面(71)内のパターン(8)を形成する少なくとも2つの衝突点(81)に分配するために計算された変調命令に従って、初期レーザ光の波面の位相を変調することが可能である、成形システム(2)と、
- 前記成形システム(2)の下流に配置され、前記焦点面(71)内の所定の移動経路に沿って前記パターン(8)を移動させるための光学スキャナ(4)と、
- 前記光学スキャナ(4)の下流に配置され、前記組織(7)の所望な切断面内で、前記位相変調レーザ光の前記焦点面(71)を移動させるための光学焦点調整システム(5)と、
- 前記成形システム(2)、前記光学スキャナ(4)および前記光学焦点調整システム(5)の操縦を可能にする制御ユニット(6)と
を備え、
前記装置は、少なくとも1つの真空ポンプ(P)をさらに備え、
前記装置は、前記フェムト秒レーザ(1)と前記成形システム(2)との間に光カプラ(3)をさらに備え、当該光カプラ(3)は、
前記フェムト秒レーザ(1)から出る前記初期レーザ光(11)をフィルタリングするための中空フォトニック結晶光ファイバ(31)であって、真空下に置かれた中空コア(311)と、当該中空コア(311)を囲む少なくとも1つの鞘部(312、313)とを備える、中空フォトニック結晶光ファイバ(31)と、
前記光カプラ(3)を前記フェムト秒レーザ(1)に連結するための第1の接続セル(32)であって、殻部(321)の外側に向かって開口し、かつ前記真空ポンプ(P)に連結されてなる少なくとも1つの接続端子(324)を備える、第1の接続セル(32)と、
前記光カプラ(3)を前記成形システム(2)に連結するための第2の接続セル(33)であって、殻部(331)の外側に向かって開口し、かつ前記真空ポンプ(P)に連結されてなる少なくとも1つの接続端子(334)を備える、第2の接続セル(33)と
を備えることを特徴とする、装置。
【請求項2】
各接続セル(32、33)は、前記中空フォトニック結晶ファイバ(31)のそれぞれの末端に密閉状態で取り付けられる、請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
各接続セル(32、33)は、
- 外側殻部(321、331)と、
- 前記殻部(321、331)に収容され、前記初期レーザ光(11)を前記殻部(321、331)の内部に通すことを可能にする伝送チャンネル(322、332)と、
- 前記伝送チャンネル(322、332)の片方の端でのレーザ照射に対して透明であり、前記フェムト秒レーザ(1)または前記成形システム(2)に対面するように意図されたウィンドウ(323、333)と
を備える、請求項1または2のいずれか一項に記載の切断装置。
【請求項4】
前記制御ユニットは、前記中空フォトニック結晶光ファイバ(31)の中空コアに含まれる気体を吸い込むように前記真空ポンプの作動を操縦することが可能な手段を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェムト秒レーザを用いることによって行われる眼の病変の治療の技術分野に関し、より具体的には、特に、角膜または水晶体を切断する用途のための眼科手術の技術分野に関する。
【0002】
本発明は、フェムト秒レーザを用いる、角膜または水晶体などのヒトまたは動物の組織を切断するデバイスに関する。
【0003】
フェムト秒レーザとは、非常に短いパルスの形態でレーザ光を発生させることが可能な光源を意味し、その持続時間は、1フェムト秒~100ピコ秒、好ましくは、1~1000フェムト秒、特に、100フェムト秒程度である。
【背景技術】
【0004】
フェムト秒レーザを用いることによって、眼に対する外科手術(例えば、角膜または水晶体を切断する手術)を行うことが既に提案されている。
【0005】
文献FR3049847は、角膜または水晶体などのヒトまたは動物の組織を切断する装置を記載する。この装置は、
- レーザ光を発生させるためのフェムト秒レーザと、
- 前記光の経路上に配置され、前記レーザ光のエネルギーを、切断面に対応する焦点面内でパターンを形成する少なくとも2つの衝突点に分配するために計算された変調命令に基づいて、位相変調レーザ光を得るように前記レーザ光の波面の位相を変調するための、成形システムと、
- 前記成形システムの下流に配置され、前記切断面内の前記パターンを、移動方向に沿った複数の位置に移動させるための光学スキャナと、
- 前記変調レーザ光を前記スキャナの方に伝送するための、前記成形システムと前記光学スキャナとの間にある、反射鏡とレンズとを備える光学アセンブリと、
- 切断面内で前記レーザ光の焦点を調節するための光学焦点調整システムと
を備える。
【0006】
成形システムの使用は、いくつかの衝突点を同時に作成することによって、生体組織の切断時間を短くすることを可能にする。
【0007】
さらに、成形システムの使用は、実質的に等しい衝突点を得ることを可能にする(それぞれの点の形、位置および直径は、成形システム上で計算され、表示される位相マスクによって動的に監視される)。
【0008】
したがって、衝突点によって作成され、切断する生体組織を裂く気泡は、ほぼ同じ大きさを有する。
【0009】
このことは、得られた結果物の品質を向上させることを可能にし、結果物は、均一な切断面を有し、結果物において、(隣接する衝突点間の)残留組織のブリッジは、全て実質的に同じ大きさを有する。組織のブリッジの大きさのこのような均一性は、例えば組織が角膜の場合に、切断した組織の表面状態の品質の重要性に関して、医師による許容可能な品質の切開を可能にする。
【0010】
しかし、医師による切開の操作を容易にするために、隣接する衝突点間の残留組織のブリッジの大きさを小さくすることが好ましい。
【0011】
組織のブリッジの大きさは、異なる衝突点の均一性に依存するため、本発明の目的は、成形システムのおかげで同時に作られる異なる衝突点間のエネルギー分布の均一性を向上させることが可能な技術的な解決手段を提案することである。
【0012】
本発明の別の目的は、隣接する衝突点間の残留組織のブリッジの大きさを小さくするために、文献FR3049847に記載される装置を改善することが可能な技術的な解決手段を提案することである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、レーザ光が相殺される場合(例えば、装置に対する衝突の場合に)、治療される組織までのレーザ光の伝送を中断することが可能なセキュリティ部材を組み込むことによって、文献FR3049847号に記載される装置のセキュリティを向上させることである。
【発明の概要】
【0014】
この目的のために、本発明は、角膜または水晶体などのヒトまたは動物の組織を切断する装置であって、この装置が、
- パルスの形態で初期レーザ光を発生させるためのフェムト秒レーザと、
- フェムト秒レーザの下流に配置され、初期レーザ光を位相変調レーザ光に変換するための成形システム(例えば、空間光変調器(SLM))であって、この成型システムは、レーザ光のエネルギーを、焦点面内のパターンを形成する少なくとも2つの衝突点に分配するために計算された変調命令に従って、初期レーザ光の波面の位相を変調することが可能である、成形システムと、
- 成形システムの下流に配置され、焦点面内の所定の移動経路に沿ってパターンを移動させるための光学スキャナと、
- 光学スキャナの下流に配置され、組織の所望な切断面内で、変調レーザ光の焦点面を移動させるための光学焦点調整システムと、
- 成形システム、光学スキャナおよび光学焦点調整システムの操縦を可能にする制御ユニットと
を備え、
この装置は、フェムト秒レーザと成形システムとの間に光カプラをさらに備え、この光カプラは、フェムト秒レーザから出るレーザ光をフィルタリングするためのフォトニック結晶光ファイバを備えることを特徴とする、装置を提案する。
【0015】
本発明において、「衝突点」とは、焦点面に含まれるレーザ光の領域であり、この領域において、レーザ光の強度が、組織内に気泡を生じさせるのに十分である領域を意味する。
【0016】
本発明において、「隣接する(adjacent)衝突点」とは、互いに対面して配置されており、別の衝突点によって分離されていない2つの衝突点を意味する。「隣にある(neighboring)衝突点」とは、隣接する点の一群において、距離が最短である2つの点を意味する。
【0017】
本発明において、「パターン」とは、成形される(すなわち、位相が変調される)レーザ光の焦点面内に同時に作成され、そのエネルギーを、デバイスの切断面に対応する焦点面内のいくつかの別個の点に分配するための、複数のレーザ衝突点を意味する。
【0018】
したがって、本発明によって、選択されるプロファイルにしたがって切断の品質または速度を改善することができるように、切断面内のレーザ光の強度プロファイルを改変することができる。この強度プロファイルの改変は、レーザ光の位相の変調によって得られる。
【0019】
光位相変調は、位相マスクによって行われる。入射レーザ光のエネルギーは、変調後保存され、レーザ光の成形は、その波面について作用することによって行われる。電磁波の位相は、電磁波の振幅の瞬間的な状況を表す。位相は、時間と空間の両方に依存する。レーザ光の空間成形の場合には、位相の空間内の変動のみが考慮される。
【0020】
波面は、同じ位相を有する光の点の面であると定義される(すなわち、光が発せられる光源からの移動時間が等しい点で構成される表面)。従って、光の空間位相の改変は、その波面の改変を含む。
【0021】
この技術は、それぞれ切断を行ういくつかのレーザスポットを実装するため、監視されるプロファイルに従って、より迅速で、より効果的な様式で切断操作を行うことを可能にする。
【0022】
フェムト秒レーザと成形システムとの間に(成形システムと光学スキャナとの間ではなく)フォトニック結晶光ファイバを備える光カプラを配置するという事実は、成形システムによって行われるレーザ光の成形における何らかの妨害を無効化することを可能にする。実際に、成形システムと光学スキャナとの間にフォトニック結晶ファイバを備える光カプラの導入は、変調レーザ光(成形システムから来る)のフィルタリングを誘発し、その成形を劣化させ、その出力を低下させる傾向がある。
【0023】
切断装置の好ましい、非限定的な態様は、以下の通りである:
- 前記ファイバは、中空コアフォトニック結晶ファイバであってもよく、このファイバは、中空コアと、当該中空コアを囲む少なくとも1つの鞘部とを備えており、
- 前記光カプラは、
・一方で、光カプラを成形システムに連結するための第1の接続セルと、
・他方で、光カプラを光学スキャナに連結するための第2の接続セルと
をさらに備えていてもよく、
- 各接続セルは、フォトニック結晶ファイバのそれぞれの末端に密封状態で取り付けられていてもよく、
- 各接続セルは、
・外側殻部と、
・当該殻部に収容され、レーザ光を当該殻部の内部に通すことを可能にする伝送チャンネルと、
・伝送チャンネルの片方の端でのレーザ照射に対して透明であり、フェムト秒レーザまたは成形システムに対面するように意図された、ウィンドウとを備えていてもよく、
- この装置は、少なくとも1つの真空ポンプをさらに備えていてもよく、各接続セルは、前記殻部の外側に向かって開口し、かつ真空ポンプに連結するように意図されてた少なくとも1つの接続端子を備えていてもよく、
- 制御ユニットは、フォトニック結晶光ファイバの中空コアに含まれる気体を吸い込むように真空ポンプの作動を操縦することが可能な手段を備えていてもよい。
【0024】
本発明の他の特徴および利点は、説明のために、限定されないが、添付の図面を参照しつつ、以下になされる説明から明確に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明に係る切断装置を備えるアセンブリの模式図である。
図2図2は、レーザ光の焦点面での強度分布を示す。
図3図3は、図1に示される切断装置の光カプラの一例を示す。
図4図4は、切断パターンの移動経路を示す。
図5図5は、ある体積の破壊される組織の切断面を示す。
図6図6は、多関節アームを備える治療装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、フェムト秒レーザを用いることによってヒトまたは動物の組織を切断する装置に関する。以下の記載において、本発明を、ヒトまたは動物の眼の角膜の切断を一例として説明する。
【0027】
1.切断装置
図1を参照すると、本発明に係る切断装置の一実施形態が示される。この切断装置は、治療される標的7の上流に配置することができる。標的7は、例えば、角膜または水晶体などの切断されるヒトまたは動物の組織である。
【0028】
切断装置は、
-フェムト秒レーザ1と、
-フェムト秒レーザ1の下流に配置される成形システム2と、
-フェムト秒レーザ1と成形システム2との間にある光カプラ3と、
-成形システム2の下流の光学スキャナ4と、
-光学スキャナ4の下流の光学焦点調整システム5と、
-フェムト秒レーザ1、成形システム2、光学スキャナ4および光学焦点調整システム5の操縦を可能にする制御ユニット6と
を備える。
【0029】
フェムト秒レーザ1は、パルスの形態で初期レーザ光を発生させる能力を有する。例えば、レーザ1は、400フェムト秒のパルスの形態で、波長が1030nmの光を発する。レーザ1は、2~20Wの出力、好ましくは8W程度の出力を有し、100~500kHzの周波数を有する。
【0030】
光カプラ3は、フェムト秒レーザ1から出るレーザ光11を成形システム2の方へ伝送することを可能にする。
【0031】
成形システム2は、フェムト秒レーザ1から出る初期レーザ光11の光路にまたがって延びている。成形システム2は、初期レーザ光11を、変調レーザ光21へと変換するのを可能にする。より具体的には、成形システム2は、レーザ光11の位相を変調し、このレーザ光のエネルギーを、その焦点面内の複数の衝突点へと分配することを可能にし、この複数の衝突点は、パターン8を規定する。
【0032】
光学スキャナ4は、変調レーザ光21を偏向し、焦点面71内でユーザによってあらかじめ定められた移動経路に沿ってパターン8を移動させることを可能にする。
【0033】
光学焦点調整システム5は、光学スキャナ4から来る偏向されたレーザ光41の焦点面71(切断面に対応する)を移動することを可能にする。
【0034】
したがって、
-光カプラ3は、レーザ光11をフェムト秒レーザと成形システム2との間で伝播することを可能にし、
-成形システム2は、パターン8を規定するいくつかの衝突点81を同時に作成することを可能にし、
-光学スキャナ4は、このパターン8を焦点面71内で移動させることを可能にし、
-光学焦点調整システム5は、ある体積を規定する連続面内に切断部を作成するような深さで焦点面71を移動させることを可能にする。
【0035】
切断装置を構成する種々の要素は、図面を参照しつつ、さらに詳細に説明される。
【0036】
2.切断装置の要素
2.1.成形システム
空間成形システム2は、初期レーザ光11の波面を変え、焦点面71内に互いに分離された衝突点8を得ることを可能にする。
【0037】
より具体的には、成形システム2は、フェムト秒レーザ1から出る初期レーザ光11の位相を変調し、焦点面71内に強度ピークを形成し、各強度ピークが、切断面に対応する焦点面内にそれぞれの衝突点を生成することを可能にする。成形システム2は、示されている実施形態によれば、SLMという頭字語で知られる液晶空間光変調器である。
【0038】
SLMは、レーザ光の最終的なエネルギー分布を、特に、組織7の切断面に対応する焦点面71内で変調することを可能にする。より具体的には、SLMは、フェムト秒レーザ1から出る一次レーザ光11の波面の空間プロファイルを変え、レーザ光のエネルギーを焦点面71内の異なる集光点へと分配するように適合される。
【0039】
波面の位相変調は、二次元干渉現象として理解することができる。光源1から出る初期レーザ光11の各部分は、これらの各部分がレンズの焦点面内のN個の別個の点において強め合う干渉を生成するように方向が変えられるように、初期の波面に対して遅れるか、または進む。この複数の衝突点81へのエネルギーの再分配は、単一面(すなわち、焦点面71)内でのみ起こり、変調レーザ光の伝播経路に沿っては起こらない。このような現象(初期レーザ光を複数の二次レーザ光に分ける場合と同様に、1つの面内でのみ起こり、この伝播全体では起こらない)は、強め合う干渉に同化してしまう場合があるのため、焦点面の前または後での変調レーザ光の観察からは、複数の別個の衝突点81へのエネルギーの再分配を特定することができない。
【0040】
このような波面の位相変調の現象をよりよく理解するために、別個の光学アセンブリの3つの例について得られた強度プロファイル72a~72eを図2に模式的に示す。図2に表されているように、レーザ光源1によって発せられる初期レーザ光11は、焦点面71内の衝突点73aで、正規分布形状の強度ピーク72aを生成する。光源1と焦点面71との間にビームスプリッタ9を挿入し、複数の二次レーザ光91の生成を誘発し、各二次レーザ光91は、二次レーザ光91の焦点面71内にそれぞれの衝突点73b、73cを生成する。最後に、変調命令を形成する位相マスクを用いてプログラミングされたSLM2を光源1と焦点面71との間に挿入し、光源1から出る初期レーザ光11の波面の位相の変調を誘発する。波面の位相が変調されたレーザ光21は、焦点面71内に空間的に分割されたいくつかの強度ピーク73d、73eの生成の誘発を可能にし、各ピーク72d、72eは、切断を行うそれぞれの衝突点73d、73eに対応する。この波面位相変調技術は、フェムト秒レーザ1によって作られる初期レーザ光11を増やすことなく、標的組織においていくつかの気泡を同時に発生させることを可能にする。
【0041】
SLMは、波面(したがって、レーザ光の位相)を動的に成形することを可能にする、配向を監視される液晶の層から構成されるデバイスである。SLMの液晶の層は、ピクセルの格子(またはマトリックス)のように組織化される。各ピクセルの光学的厚さは、ピクセルに対応する表面に属する液晶分子の配向によって電気的に監視される。SLMは、液晶の空間配向に従って、液晶の異方性(すなわち、液晶の指数の改変)の原理を利用している。液晶の配向は、電場を用いて達成することができる。したがって、液晶の指数の改変は、レーザ光の波面を改変する。
【0042】
既知の様式で、SLMは、位相マスク(すなわち、その焦点面71内で与えられる振幅の分布を得るために光の位相をどのように改変しなければならないかを決定するマップ)を実装する。位相マスクは、二次元画像であり、そのそれぞれの点は、SLMのそれぞれのピクセルに関連付けられている。この位相マスクは、0から255まで(すなわち、黒色から白色まで)を含むグレーレベルで表されるマスクのそれぞれの点に関連付けられた値を、0から2πまでの位相で表されるコントロール値に変換することによって、SLMの各液晶の指数を操ることを可能にする。したがって、位相マスクは、SLMに照射されるレーザ光の不均一な空間位相シフトを反映させるために、SLMに表示される変調命令である。もちろん、当業者は、このグレーレベルの範囲が、使用されるSLMモデルに従って変わってもよいことを理解するだろう。例えば、ある場合には、グレーレベルの範囲は、0から220までであってもよい。位相マスクは、一般的に、フーリエ変換に基づく反復アルゴリズムによって、または種々の最適化アルゴリズム(例えば、遺伝的アルゴリズム)または焼きなまし法で計算される。レーザ光の焦点面内の所望な衝突点の数および位置に応じて、異なる位相マスクがSLMに適用されてもよい。全ての場合において、当業者は、レーザ光のエネルギーを焦点面内の異なる集光点へと分配するために、位相マスクのそれぞれの点でどのように値を計算するかを知っている。
【0043】
したがって、SLMは、1つの衝突点を生成する正規分布のレーザ光から、位相マスクを用いて、位相変調によって成形される1つのレーザ光(SLMの上流および下流の1つの光)からその焦点面内のいくつかの衝突点を同時に生成するように、位相変調によってそのエネルギーを分配することを可能にする。
【0044】
角膜切断時間を短くすることに加え、レーザ光の位相変調技術は、切断後の良好な表面品質または内皮の死亡率の減少などの他の改良も可能にする。パターンの異なる衝突点は、例えば、レーザスポットの格子を形成するように、レーザ光の焦点面の二次元上に均一に空間配置されてもよい。
【0045】
したがって、成形システム2は、外科手術の切断操作を迅速かつ効果的に行うことを可能にする。SLMは、デジタル的にパラメータ化することが可能なため、レーザ光の波面を動的に成形することを可能にする。この変調は、レーザ光を動的に再構成可能な様式で成形することを可能にする。
【0046】
SLMは、レーザ光の波面を任意の他の様式で成形するように構成されていてもよい。例えば、各衝突点は、円形以外の任意の幾何学的形状(例えば、楕円形など)を有していてもよい。このことは、考えられる用途に応じて、例えば、切断の速度および/または品質を上げるなどのいくつかの利点を有し得る。
【0047】
2.2.光カプラ
光カプラ3は、レーザ光11をフェムト秒レーザ1と成形システム2との間で伝送することを可能にする。
【0048】
図3を参照すると、光カプラ3は、有利には、光ファイバ31を備える。これにより、光カプラ3が「光フューズ」を構成することを可能にする。実際に、レーザ光11の方向(すなわち、その視点)が急に変わると、例えば、切断デバイスに対する衝突の場合には、レーザ光11は、もはやファイバを通り抜けず、患者を治療する際のエラーのリスクが抑えられる。このことは、フェムト秒レーザから出るレーザ光の伝送のために反射鏡とレンズとを備える光学アセンブリでは不可能である。
【0049】
有利には、光ファイバ31は、フォトニック結晶ファイバであってもよい。フォトニック結晶ファイバ、すなわち「PCF」は、ファイバの長さ全体にわたって延びる二次元の内包物において周期的なネットワークで形成される導波路である。このようなファイバを介したレーザ光の伝送は、フォトニック結晶の性質に依存する。その構造のおかげで、これらのファイバは、ファイバのコアに電磁波を確実に閉じ込める。これらのフォトニック結晶ファイバは、例えば、内包物の直径、内包物の分布、周期性(2つの内包物の間の周期性ではない)、層の数、使用される材料の指数など光電子幾何学的なパラメータを調節することによって、導波のための多種多様な可能性を与える。
【0050】
好ましくは、光ファイバ31は、中空コアフォトニック結晶ファイバである。中空コアフォトニック結晶ファイバは、中空領域(ファイバのコア)の本質的に内側に光を導く光ファイバであり、その結果、光出力のほんの小さな部分のみが、中実のファイバ材料(典型的にはシリカ)内を伝播する。光をファイバ内に導くための標準的な物理的メカニズムによれば、このことは可能ではないはずである。通常、ファイバコアの屈折率は、周囲の鞘材料の屈折率より高いはずであり、少なくとも光領域において、空気または真空の屈折率より低いガラスの屈折率を得るための手段は存在しない。しかし、フォトニック結晶ファイバにおいて使用可能であるように、フォトニックバンドギャップに基づき、異なる導波メカニズムを使用することができる。このようなファイバは、フォトニックバンドギャップファイバとも呼ばれる。中空コアフォトニック結晶ファイバの魅力は、主に、中空領域内の主な導波がレーザ光11の非線形の影響を最小限にし、高い損傷閾値を可能にすることである。
【0051】
一例として、文献FR3006774は、鞘部を備え、中空コアを形成する中心部分にキャピラリが存在しない、中空コアフォトニック結晶ファイバの形態での導波路を記載する。中空コアフォトニック結晶ファイバの使用は、成形システム2による成形を容易にするために、フェムト秒レーザ1から出たレーザ光11のフィルタリングを可能にする。より具体的には、中空コアフォトニック結晶ファイバの使用は、レーザ光11の指向性を向上させることによって、レーザ光11の発散(すなわち、広がりプロファイル)を制限することを可能にする(このことは、レーザ光11のプロファイルの広がりを制限することによってレーザ光11をよりクリーンにする)。実際に、中空コアフォトニック結晶ファイバは、従来の中実コアファイバよりも効果的に光の閉じ込めを可能にする。中空コアフォトニック結晶ファイバは、
-中空コア311と、
-中空コアを囲むシリカ系の内側鞘部312であって、当該内側鞘部の屈折率n1<ncであり、ここで、ncは、中空コアの有効屈折率である、内側鞘部312と、
-内側鞘部312を囲む外側鞘部313と
を備える。
【0052】
有利には、中空コアフォトニック結晶ファイバの中空領域311は、フェムト秒レーザ1から出るレーザ光11の伝播損失を抑えるために、真空下に配置されてもよい。変形例として、気体が中空領域に注入され、ファイバ中の高い光学強度(例えば、フェムト秒レーザ1から出るレーザ光11の高次高調波発生)を利用してもよい。この目的のために、光カプラ3は、中空コアフォトニック結晶ファイバの各末端に密封状態で取り付けられた第1および第2の接続セル32、33を備える。
【0053】
各接続セル32、33は、
-外側殻部321、331と、
-外側殻部321、331に収容され、レーザ光11を外側殻部321、331の内部に通すことを可能にする伝送チャンネル322、332と、
-レーザ光11の入射(または出射)のために伝送チャンネル322、332の片方の端にある、レーザ放射に対して透明なウィンドウ323、333と、
-伝送チャンネルのもう一方の端にあり、光ファイバ31の片方の端に密封状態で接続された接続部(図示せず)と、
-殻部321、331の外側に向かって開口し、真空ポンプPに接続することが意図された接続端子324、334と
を備える。
【0054】
真空ポンプPの作動は、光ファイバ31の両端に配置される接続セル32、33でポンピングすることによって、光ファイバ31の中空コア311を真空下に置くことを可能にする。光ファイバ31の各末端で真空ポンピングを行うという事実によって、光ファイバ31の全長にわたって中空コアを真空下に置くことがより容易になる。
【0055】
2.3.光学スキャナ
光学スキャナ4は、切断面に対応する焦点面71内の複数の位置43a~43cへとパターン8を移動させるように、位相変調レーザ光21を偏向することを可能にする。
【0056】
光学スキャナ4は、
-成形ユニット2から来る位相変調レーザ光21を受け入れるための、光カプラ3に連結した入射オリフィスと、
-位相変調レーザ光21を偏向させるために少なくとも2つの軸の周りを旋回する1つ(またはそれより多い)光学鏡と、
-偏向された変調レーザ光41を光学焦点調整システム5の方に送るための出射オリフィスと
を備える。
【0057】
使用される光学スキャナ4は、例えば、SCANLAB AG社製の走査ヘッドIntelliScan IIIである。このような光学スキャナ4の入射オリフィスおよび出射オリフィスは、10~20ミリメートル程度の直径を有し、達成可能な走査速度は、使用される光学機器の焦点長さに依存して、1m/s~10m/s程度である。
【0058】
前記鏡は、旋回可能なように1つの(またはそれより多い)モータに接続される。鏡を旋回させるためのこの/これらのモータは、有利には、以下にさらに詳細に説明される制御ユニット6のユニットによって操縦される。
【0059】
制御ユニット6は、焦点面71に含まれる移動経路42に沿ってパターン8を移動させるように、光学スキャナ4を操縦するようにプログラミングされている。いくつかの実施形態において、移動経路42は、複数の切断セグメント42a~42cを含む。移動経路42は、有利には、スロット形状またはらせん形状などを有していてもよい。
【0060】
光の走査は、得られる切断部の結果にとって非常に重要である。実際に、使用される走査速度と走査ピッチは、切断部の品質に影響を与えるパラメータである。
【0061】
(レーザ光11を導くために鏡から構成される光学アセンブリではなく)中空体の結晶型を有する光ファイバ31を備える光カプラを使用すると、多点成形81を用いるとき、非常に近い衝突点の境界線の場合(点の直径よりも小さな2つの成形点間の中心から中心までの空間)において、点間のエネルギー分配の均一性を向上させることが可能である。
【0062】
一実施形態において、切断装置は、ダブプリズムをさらに備える。ダブプリズムは、有利には、光学カラー3と光学スキャナ4との間に配置される。ダブプリズムは、パターン8の回転の実行を可能にし、このことは、いくつかの用途において、または各切断セグメント42a~42cの開始領域の大きさを制限するために有用であり得る。
【0063】
有利には、制御ユニット6は、光学スキャナ4の走査速度が閾値よりも大きいときに、フェムト秒レーザ1を作動するようにプログラミングされていてもよい。このことは、レーザ光11の発光と光学スキャナ4の走査とを同期することを可能にする。より具体的には、制御ユニット6は、光学スキャナ4の鏡の旋回速度が一定であるとき、フェムト秒レーザ1を作動させる。このことは、切断面の均一な表面化を行うことによって、切断品質を向上させることを可能にする。
【0064】
2.4.光学焦点調整システム
光学焦点調整システム5は、ユーザが所望する組織7の切断面において、偏向された変調レーザ光41の焦点面71を移動することを可能にする。
【0065】
光学焦点調整システム5は、
-光学スキャナ4から出る偏向された位相変調レーザ光を受け入れるための入射オリフィスと、
-偏向された位相変調レーザ光の光路に沿って並進して、その/それらの移動を可能にする1つの(またはそれより多い)モータ付きレンズと、
-焦点調整されたレーザ光を、治療される組織へと送るための出射オリフィスと
を備える。
【0066】
光学焦点調整システム5と共に使用されるレンズは、フラットフィールドレンズであってもよい。フラットフィールドレンズは、凹凸である標準的なレンズとは異なり、XY場全体にわたって焦点面を得ることを可能にする。このことは、場全体にわたって一定に焦点調整された光の大きさを確保することを可能にする。
【0067】
制御ユニット6は、組織の切断面7の積み重ねを作成するために、焦点面71を少なくとも3つのそれぞれの切断面72a~72eに移動するように、レーザ光の光路に沿って光学焦点調整システム5のレンズの移動を操縦するようにプログラミングされる。このことは、例えば、屈折手術の範囲内で、ある体積74の中で切断を行うことを可能にする。
【0068】
制御ユニット6は、焦点面71が、第1の極限の位置72aと第2の極限の位置72eとの間を、この順序で移動するように、光学焦点調整システム5の移動を操縦する能力を有する。有利には、第2の極限の位置72eは、第1の極限の位置72aよりもフェムト秒レーザ1に近い。
【0069】
したがって、切断面72a~72eは、組織中の最も深い切断面72aから始まり、組織7内の最も表在的な切断面72eまで連続的な切断面を積み重ねることによって作られる。これによりレーザ光の組織7への通り抜けに関連する問題が避けられる。実際に、気泡は、その下にあるレーザ光に由来するエネルギーの伝播を妨害する不透明気泡層(OBLとして知られる)を形成する。したがって、切断装置の有効性を向上させるために、最も深い気泡を最初に作成することによって開始することが好ましい。
【0070】
有利には、(レーザ光11を導くための鏡から構成される光学アセンブリではなく)中空コアフォトニック結晶型の光ファイバ31を備える光カプラの使用は、その起こり得る収差を除去することによって、フェムト秒レーザから出る光信号11をフィルタリングすることを可能にする。したがって、体積74において非常に正確な切断を達成するために、2つの連続した切断面間の距離(衝突点の直径より小さい、連続した切断面間の距離)を短くすることが可能である。
【0071】
2.5.制御ユニット
上に示す通り、制御ユニット6は、切断装置を構成する種々の要素(すなわち、フェムト秒レーザ1、成形システム2、光学スキャナ4および光学焦点調整システム5)を監視することを可能にする。
【0072】
制御ユニット6は、以下を可能にする1つの(またはそれより多い)通信バスによって、これらの種々の要素に接続される:
-制御シグナルの伝送、例えば、
・成形システムに対する位相マスク、
・フェムト秒レーザに対する作動シグナルおよび出力設定点、
・光学スキャナに対する走査速度、
・移動経路に沿った光学スキャナの位置、
・光学焦点調整システムの切断深さ、
-システムの種々の要素に由来する測定データの受信、例えば、
・光学スキャナによって達成される走査速度、または
・光学焦点調整システムの位置など。
【0073】
制御ユニット6は、1つの(またはそれより多い)ワークステーションおよび/または1つの(またはそれより多い)コンピュータから構成されていてもよく、または当業者に既知の任意の他の種類のものであってもよい。制御ユニット6は、例えば、携帯電話、電子式タブレット(例えば、IPAD(登録商標))、携帯情報端末(または「PDA」)などを備えていてもよい。全ての場合において、制御ユニット6は、フェムト秒レーザ1、成形システム2、光学スキャナ4、光学焦点調整システム5などの操縦を可能にするようにプログラミングされたプロセッサを備えている。
【0074】
2.6.多関節アーム
フォトニック結晶光ファイバ(31)を備える光カプラ(3)の使用のおかげで、上述の切断装置は、図6に示すような多関節アーム200を備える治療装置に取り付けることができる。
【0075】
アーム200は、モータ付き関節205~207によって接続(旋回またはボールジョイント接続)されたいくつかのアームセグメント201~204を備えており、異なるセグメント201~204が互いに対して回転する際に自動的な移動を可能にする。特に、アームは、3つの直交軸X、YおよびZに沿ってアームの自由端の移動を可能にするように連結されて(関節が付けられて)おり、
・X軸は、水平長手方向を規定し、
・Y軸は、水平横方向を規定し、X軸と共に水平面XYを規定し、
・Z軸は、垂直方向を規定し、水平面XYに対して垂直である。
【0076】
アーム2の自由端は、治療される眼の組織を吸引し、これを所定位置にしっかりと保持することが可能な吸引リングが設けられた固定部材を備えていてもよい。
【0077】
アーム2は、例えば、STAUBLI社によって上市されているTX260Lである。有利には、成形システム2、光学スキャナ4および光学焦点調整システム5は、アーム200の末端セグメント204に取り付けられてもよく、一方、フェムト秒レーザ1は、治療装置の移動可能なボックス210に組み込まれてもよく、光カプラ3は、ボックス210と末端セグメント204との間に延び、フェムト秒レーザ1から出るレーザ光11を成形システム2の方に伝播してもよい。
【0078】
3.結論
したがって、本発明は、効果的で正確な切断ツールを配置することを可能にする。レーザ光の波面の再構成可能な変調は、焦点面71においてそれぞれが所定の大きさを有し、かつ監視される位置にある複数の衝突点81を同時に作成することを可能にする。これらの異なる衝突点81は、焦点面71内に変調レーザ光のパターン8を形成する。
【0079】
中空コア311のフォトニック結晶ファイバ31を備える光カプラ3の使用は、パターンを形成する異なる衝突点の間の距離を短くすることを可能にする。実際に、光スペクトルの広がり現象を抑えることによって、中空コアフォトニック結晶ファイバを備える光カプラは、位相変調レーザ光をよりクリーンにすることを可能にする。
【0080】
読者は、本明細書に記載される新しい教示および利点から物理的に逸脱することなく、上述の本発明に対して多くの改変がなされてもよいことを理解するであろう。したがって、この種の全ての改変は、添付の特許請求の範囲に記載の発明の範囲に組み込まれることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6