(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】上り電力制御方法、端末及びネットワーク機器
(51)【国際特許分類】
H04W 52/38 20090101AFI20240308BHJP
H04B 7/0426 20170101ALI20240308BHJP
H04W 52/14 20090101ALI20240308BHJP
【FI】
H04W52/38
H04B7/0426 100
H04W52/14
(21)【出願番号】P 2020563742
(86)(22)【出願日】2019-05-08
(86)【国際出願番号】 CN2019086015
(87)【国際公開番号】W WO2019214648
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2020-11-17
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-06
(31)【優先権主張番号】201810450703.2
(32)【優先日】2018-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510065207
【氏名又は名称】大唐移▲動▼通信▲設▼▲備▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DATANG MOBILE COMMUNICATIONS EQUIPMENT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1/F, Building 1, No.5 Shangdi East Road, Haidian District,Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】100166729
【氏名又は名称】武田 幸子
(72)【発明者】
【氏名】黄 秋萍
(72)【発明者】
【氏名】高 秋彬
(72)【発明者】
【氏名】タムラカール ラケシュ
【合議体】
【審判長】中木 努
【審判官】廣川 浩
【審判官】齋藤 哲
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-234334(JP,A)
【文献】Ericsson,“Power control for UL MIMO”,3GPP TSG RAN WG1Meeting #92 bis R1-1805205,[online],2018年4月7日,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/TSG_RAN/WG1_RL1/TSGR1_92b/Docs/R1-1805205.zip>,[検索日2022年1月15日]
【文献】LG Electronics,“Consideration on UL power control process for NR”,3GPP TSG RAN WG1 Meeting #90 R1-1713223,[online],2017年8月12日,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/TSG_RAN/WG1_RL1/TSGR1_90/Docs/R1-1713223.zip>,[検索日2022年1月16日]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24- 7/26
H04W4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末に応用される上り電力制御方法であって、
上りプリコーディング指示を取得することと、
前記上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応する場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御することと、
前記上りプリコーディング指示が前記目標プリコーディング指示以外の他のプリコーディング指示に対応する場合、ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数、又はネットワーク機器によって端末に設定する上りサウンディング信号SRS(Sounding Reference Signal)リソース数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングすること、又は、
前記上りプリコーディング指示が第1ストリーム数のストリーム伝送に対応し且つ前記目標プリコーディング指示以外の他のプリコーディング指示に対応する場合、ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数、又はネットワーク機器によって端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングすることとを含み、
ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングすることは、
前記プリコーディング指示と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)の上り伝送モードに対応するアンテナポートの数とから、非ゼロのPUSCH伝送電力を有するアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第1比を取得することと、
電力制御プロセスで特定される上り送信電力を前記第1比でスケーリングすることとを含み、
又は、
ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングすることは、
端末にサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第2比を取得することと、
電力制御プロセスで特定される上り送信電力を前記第2比でスケーリングすることとを含み、
又は、
ネットワーク機器によって端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングすることは、
SRIで指示されるSRSリソース数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するSRSリソース数との第3比を取得することと、
電力制御プロセスで特定される上り送信電力を前記第3比でスケーリングすることとを含む、上り電力制御方法。
【請求項2】
前記の電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御することは、
電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングしないこと、又は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を電力スケーリング因子1でスケーリングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記目標プリコーディング指示は、目標SRSリソースを指示するSRI(SRS resource indicator)を含み、
又は、
前記目標プリコーディング指示は、目標コードワードに対応するTPMI(Transmit Precoding Matrix Indicator)及び/又は目標コードワードに対応するTRI(Transmit Rank Indication)を含み、前記目標コードワードは、プリコーディング行列である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記目標プリコーディング指示は、シングルストリーム伝送時のプリコーディング指示を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記目標プリコーディング指示は、予め定義されたプリコーディング指示であり、又は、前記目標プリコーディング指示は、ネットワーク機器から送信される前記目標プリコーディング指示の指示情報に基づいて得られ、
ネットワーク機器から送信される前記目標プリコーディング指示の指示情報を受信し、前記指示情報に基づいて前記目標プリコーディング指示を取得することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ネットワーク機器から送信されるコードブックサブセット制限情報を受信することと、
前記コードブックサブセット制限情報に基づいて、前記上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応するか否かを特定することとを更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
上りプリコーディング指示を取得する取得モジュールと、
前記上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応する場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御する制御モジュールとを含み、
前記制御モジュールは、
前記上りプリコーディング指示が前記目標プリコーディング指示以外の他のプリコーディング指示に対応する場合、ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数、又はネットワーク機器によって端末に設定する上りサウンディング信号SRS(Sounding Reference Signal)リソース数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングすること、又は、
前記上りプリコーディング指示が第1ストリーム数のストリーム伝送に対応し且つ前記目標プリコーディング指示以外の他のプリコーディング指示に対応する場合、ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数、又はネットワーク機器によって端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングすることに更に用いられ、
前記制御モジュールは、
ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングするとき、
前記プリコーディング指示と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)の上り伝送モードに対応するアンテナポートの数とから、非ゼロのPUSCH伝送電力を有するアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第1比を取得することと、
電力制御プロセスで特定される上り送信電力を前記第1比でスケーリングすることとを行い、
又は、
前記制御モジュールは、
ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングするとき、
端末にサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第2比を取得することと、
電力制御プロセスで特定される上り送信電力を前記第2比でスケーリングすることとを行い、
又は、
前記制御モジュールは、
ネットワーク機器によって端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングするとき、
SRIで指示されるSRSリソース数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するSRSリソース数との第3比を取得することと、
電力制御プロセスで特定される上り送信電力を前記第3比でスケーリングすることとを行う、
端末。
【請求項8】
ネットワーク機器に応用される上り電力制御方法であって、
端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定することと、
前記送信電力仮定に基づいて、前記端末の上りプリコーディング指示を特定することと、
前記上りプリコーディング指示を前記端末に送信することとを含み、
前記端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定が、
前記上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応する場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であることを含み、
前記の端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定することは、
仮定の端末のコヒーレント伝送能力及び上り伝送モードを特定することと、
前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力及び/又は前記上り伝送モードに基づいて、前記端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定することとを含み、
前記の前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力及び/又は前記上り伝送モードに基づいて、前記端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定することは、
前記上り伝送モードにおいて第1目標プリコーディングが存在する場合、前記第1目標プリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように前記端末は制御することであると特定することと、
前記第1目標プリコーディング以外の他のプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、端末に設定するアンテナポートの数又は端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて前記端末がスケーリングすることであると特定することとを含み、
前記第1目標プリコーディング以外の他のプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、端末に設定するアンテナポートの数に基づいて前記端末がスケーリングすることであると特定することは、
前記第
1目標プリコーディング以外の他のプリコーディングに対応する前記送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、前記他のプリコーディングにおける、非ゼロのPUSCH伝送電力を有するアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第1比で前記端末がスケーリングすることであると特定すること、
又は、
シングルストリーム伝送に対応するプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、前記端末にサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第2比で前記端末がスケーリングすることであると特定することを含む、
上り電量制御方法。
【請求項9】
前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力は、端末のコヒーレント伝送能力報告から得られる端末コヒーレント伝送能力であり、又は、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力は、端末に設定するコードブックサブセット制限に対応するコヒーレント伝送能力である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定する第1特定モジュールと、
前記送信電力仮定に基づいて、前記端末の上りプリコーディング指示を特定する第2特定モジュールと、
前記上りプリコーディング指示を前記端末に送信する第1送信モジュールとを含み、
前記端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定が、
前記上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応する場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であることを含み、
前記第1特定モジュールは、
仮定の端末のコヒーレント伝送能力及び上り伝送モードを特定する第1特定サブモジュールと、
前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力及び/又は前記上り伝送モードに基づいて、前記端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定する第2特定サブモジュールとを含み、
前記第2特定サブモジュールは、
前記上り伝送モードにおいて第1目標プリコーディングが存在する場合、前記第1目標プリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように前記端末は制御することであると特定する第1特定ユニットと、
前記第1目標プリコーディング以外の他のプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、端末に設定するアンテナポートの数又は端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて前記端末がスケーリングすることであると特定する第2特定ユニットとを含み、
前記第2特定サブモジュールは、
前記第
1目標プリコーディング以外の他のプリコーディングに対応する前記送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、前記他のプリコーディングにおける、非ゼロのPUSCH伝送電力を有するアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第1比で前記端末がスケーリングすることであると特定する第5特定ユニット、
又は、
シングルストリーム伝送に対応するプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、前記端末にサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第2比で前記端末がスケーリングすることであると特定する第8特定ユニットを更に含む、
ネットワーク機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年5月11日に中国特許庁に提出された中国特許出願201810450703.2の優先権を主張し、その全ての内容が援用によりここに取り込まれる。
本開示は、通信分野に係り、特に上り電力制御方法、端末及びネットワーク機器に係る。
【背景技術】
【0002】
一部の通信システムにおいて、端末は、電力制御プロセス(電力制御と略称してよい)に基づいて上り送信電力を算出し、その後、該上り送信電力を一定の電力制御方法で比例的にスケーリングしてから上り伝送に使用する。例えば、LTE(登録商標)(Long Term Evolution)システムにおいて、端末が3GPP(登録商標)プロトコルTS36.213(3GPP TS36.213:「Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E-UTRA)、Physical layer procedures(物理層プロシージャ)」)のセクション5.1.1における上り電力制御プロセスに基づいて、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)の送信電力
【数1】
を算出し、その後、PUSCH伝送時に非ゼロPUSCH伝送を有するアンテナポートの数と、PUSCHに対応する伝送方式に対して基地局が設定するアンテナポートの数との比率に基づいて比例的にスケーリングすることができるように、上り電力制御方法が規定されている。実際の上り伝送の場合、比例的にスケーリングした後に生成されるスケーリング電力は、非ゼロPUSCH伝送を有するアンテナポートに均等に割り当てられる。
【数2】
は、電力制御プロセスの規定に基づいて、基地局からの電力制御に関する指示情報、端末によって推定したパス減衰情報、上り最大出力電力などの情報を用いて端末により特定されるものである。アンテナポートに関する比例的スケーリングを、電力制御プロセスで特定された上り送信電力(本例では
【数3】
)に対して行うことにより、端末の全てのアンテナが最大出力電力を達成する必要がなく、端末の実現コストを低減することができるという利点がある。
【0003】
コストを考慮すると、マルチアンテナをサポートする端末の全てが良好な送信アンテナキャリブレーション能力を有しているわけではない。従って、異なる端末は、異なるコヒーレント伝送能力を有する。例えば、全てのアンテナがコヒーレント伝送可能である端末もあれば、一部のアンテナのみがコヒーレント伝送可能である端末もあり、全てのアンテナがコヒーレント伝送できない端末もある。
【0004】
3GPP NRシステムでは、端末のコヒーレント伝送能力が3つ定義されている。
-完全コヒーレント(Full Coherent):アンテナの完全コヒーレント伝送能力を有する端末の場合、全てのアンテナは、コヒーレント伝送可能であり、即ち全てのアンテナは、位相キャリブレーションが可能である。
-部分コヒーレント(Partial coherent):アンテナの部分コヒーレント伝送能力を有する端末の場合、対をなすアンテナのみがコヒーレント伝送可能であり、即ち、端末の対をなす送信アンテナは、キャリブレーションが可能である。
-非コヒーレント(Non-coherent):アンテナの非コヒーレント伝送能力を有する端末の場合、コヒーレント伝送可能なアンテナがなく、即ち、端末の全ての送信アンテナは、キャリブレーションができない。
【0005】
コードブックに基づく上り伝送では、異なるコヒーレント伝送能力の端末は、コードブックにおける異なるコードワードに対応する。電力制御プロセスで特定された上り送信電力を、設定ポート全体に占める非ゼロPUSCH伝送ポートの割合でスケーリングするように依然として端末に求める場合、非コヒーレント伝送能力の端末と部分コヒーレント伝送能力の端末は、rank1のような低いランク(rank)の場合に最大送信電力に達することができない。
【0006】
ノンコードブックの上り伝送の場合、rank数が設定されている上りサウンディング信号SRS(Sounding Reference Signal)リソース数よりも小さくなると、端末が最大送信電力を達成できないということを直接に致す。
【0007】
一方、端末の信号対雑音比SNR(Signal Noise Ratio)が比較的低い場合(特にセル端の端末)、通常、低rank及び最大送信電力伝送で性能を向上させる。現在の上り電力のアンテナポートに関する比例的スケーリングの規則によれば、コードブックに基づかない上り伝送の端末、又はコードブックに基づく上り伝送の非コヒーレント伝送能力の端末は、N個のアンテナポートが設定される場合、単一rank伝送の送信電力が、最大送信電力の1/Nにしか達しない。単一rank伝送時の送信電力を最大送信電力まで上げることができれば、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)のカバレッジを向上させることができるが、従来方式では実現できなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の解決しようとする技術課題は、一部の端末が上りマルチアンテナ伝送時に上り最大送信電力に達することができないという従来技術の問題を解決する上り電力制御方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1態様として、本開示の実施例は、端末に応用される上り電力制御方法を提供する。前記方法において、上りプリコーディング指示を取得することと、前記上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応する場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御することとを含む。
【0010】
本開示の一部実施例によれば、前記の電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御することは、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングしないこと、又は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を電力スケーリング因子1でスケーリングすることを含む。
【0011】
本開示の一部実施例によれば、前記の上りプリコーディング指示を取得することの後に、前記上りプリコーディング指示が前記目標プリコーディング指示以外の他のプリコーディング指示に対応する場合、ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数、又はネットワーク機器によって端末に設定する上りサウンディング信号SRS(Sounding Reference Signal)リソース数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングすることを更に含む。
【0012】
本開示の一部実施例によれば、前記の上りプリコーディング指示を取得することの後に、前記上りプリコーディング指示が第1ストリーム数のストリーム伝送に対応し且つ前記目標プリコーディング指示以外の他のプリコーディング指示に対応する場合、ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数、又はネットワーク機器によって端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングすることを更に含む。
【0013】
本開示の一部実施例によれば、前記目標プリコーディング指示は、目標コードワードに対応するTPMI(Transmit Precoding Matrix Indicator)及び/又は目標コードワードに対応するTRI(Transmit Rank Indication)を含む。
【0014】
本開示の一部実施例によれば、前記目標コードワードは、目標アンテナポートのみで非ゼロ値を有するコードワードを含む。
【0015】
本開示の一部実施例によれば、前記目標アンテナポートは、最も小さいインデックスのアンテナポートを含む。
【0016】
本開示の一部実施例によれば、前記目標プリコーディング指示は、目標SRSリソースを指示するSRI(SRS resource indicator)を含む。
【0017】
本開示の一部実施例によれば、前記目標SRSリソースは、最も小さいインデックスのSRSリソースを含む。
【0018】
本開示の一部実施例によれば、前記目標プリコーディング指示は、シングルストリーム伝送時のプリコーディング指示を含む。
【0019】
本開示の一部実施例によれば、前記目標プリコーディング指示は、予め定義されたプリコーディング指示であり、又は、前記目標プリコーディング指示は、ネットワーク機器から送信される前記目標プリコーディング指示の指示情報に基づいて得られ、
ネットワーク機器から送信される前記目標プリコーディング指示の指示情報を受信し、前記指示情報に基づいて前記目標プリコーディング指示を取得することを更に含む。
【0020】
本開示の一部実施例によれば、前記方法は、前記目標プリコーディング指示に基づいて、物理アンテナとアンテナポートとの間のマッピング関係を特定することと、
前記マッピング関係に基づいて上り参照信号を送信することとを更に含む。
【0021】
本開示の一部実施例によれば、ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングすることは、
前記プリコーディング指示と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)の上り伝送モードに対応するアンテナポートの数とから、非ゼロのPUSCH伝送電力を有するアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第1比を取得することと、
電力制御プロセスで特定される上り送信電力を前記第1比でスケーリングすることとを含む。
【0022】
本開示の一部実施例によれば、ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングすることは、
端末にサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第2比を取得することと、
電力制御プロセスで特定される上り送信電力を前記第2比でスケーリングすることとを含む。
【0023】
本開示の一部実施例によれば、ネットワーク機器によって端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングすることは、
SRIで指示されるSRSリソース数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するSRSリソース数との第3比を取得することと、
電力制御プロセスで特定される上り送信電力を前記第3比でスケーリングすることとを含む。
【0024】
本開示の一部実施例によれば、前記方法は、ネットワーク機器から送信されるコードブックサブセット制限情報を受信することと、
前記コードブックサブセット制限情報に基づいて、前記上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応するか否かを特定することとを更に含む。
【0025】
本開示の一部実施例によれば、異なる伝送モードでは異なる目標プリコーディング指示に対応する。
【0026】
第2態様として、本開示の実施例は、上りプリコーディング指示を取得する取得モジュールと、
前記上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応する場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御する制御モジュールとを含む端末を更に提供する。
【0027】
第3態様として、本開示の実施例は、トランシーバと、メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶されて前記プロセッサで動作可能なコンピュータプログラムを含む端末を更に提供する。前記トランシーバは、上りプリコーディング指示を取得する。前記プロセッサは、メモリからプログラムを読み取ることによって、前記上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応する場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御するプロセスを実行する。
【0028】
本開示の一部実施例によれば、前記プロセッサは、具体的には、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングせず、又は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を電力スケーリング因子1でスケーリングする。
【0029】
本開示の一部実施例によれば、前記プロセッサは、更に、前記上りプリコーディング指示が前記目標プリコーディング指示以外の他のプリコーディング指示に対応する場合、ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数、又はネットワーク機器によって端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする。
【0030】
本開示の一部実施例によれば、前記プロセッサは、更に、前記上りプリコーディング指示が第1ストリーム数のストリーム伝送に対応し且つ前記目標プリコーディング指示以外の他のプリコーディング指示に対応する場合、ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数、又はネットワーク機器によって端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする。
【0031】
本開示の一部実施例によれば、前記目標プリコーディング指示は、目標コードワードに対応するTPMI及び/又は目標コードワードに対応するTRIを含む。
【0032】
本開示の一部実施例によれば、前記目標コードワードは、目標アンテナポートのみで非ゼロ値を有するコードワードを含む。
【0033】
本開示の一部実施例によれば、前記目標アンテナポートは、最も小さいインデックスのアンテナポートを含む。
【0034】
本開示の一部実施例によれば、前記目標プリコーディング指示は、目標SRSリソースを指示するSRIを含む。
【0035】
本開示の一部実施例によれば、前記目標SRSリソースは、最も小さいインデックスのSRSリソースを含む。
【0036】
本開示の一部実施例によれば、前記目標プリコーディング指示は、シングルストリーム伝送時のプリコーディング指示を含む。
【0037】
本開示の一部実施例によれば、前記目標プリコーディング指示は、予め定義されたプリコーディング指示であり、又は、前記目標プリコーディング指示は、ネットワーク機器から送信される前記目標プリコーディング指示の指示情報に基づいて得られ、
前記トランシーバは、更に、ネットワーク機器から送信される前記目標プリコーディング指示の指示情報を受信し、
前記プロセッサは、前記指示情報に基づいて前記目標プリコーディング指示を取得する。
【0038】
本開示の一部実施例によれば、前記プロセッサは、更に、前記目標プリコーディング指示に基づいて、物理アンテナとアンテナポートとの間のマッピング関係を特定し、
前記トランシーバは、前記マッピング関係に基づいて上り参照信号を送信する。
【0039】
本開示の一部実施例によれば、前記プロセッサは、ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする場合、具体的には、
前記プリコーディング指示と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数とから、非ゼロのPUSCH伝送電力を有するアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第1比を取得し、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を前記第1比でスケーリングする。
【0040】
本開示の一部実施例によれば、前記プロセッサは、ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする場合、
端末にサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第2比を取得し、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を前記第2比でスケーリングする。
【0041】
本開示の一部実施例によれば、前記プロセッサは、ネットワーク機器によって端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする場合、
SRIで指示されるSRSリソース数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するSRSリソース数との第3比を取得し、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を前記第3比でスケーリングする。
【0042】
本開示の一部実施例によれば、前記トランシーバは、更に、ネットワーク機器から送信されるコードブックサブセット制限情報を受信し、
前記プロセッサは、更に、前記コードブックサブセット制限情報に基づいて、前記上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応するか否かを特定する。
【0043】
本開示の一部実施例によれば、異なる伝送モードでは異なる目標プリコーディング指示に対応する。
【0044】
第4態様として、本開示の実施例は、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を更に提供する。該プログラムがプロセッサによって実行されると、上記のいずれか一項に記載の上り電力制御方法のステップが実現される。
【0045】
第5態様として、本開示の実施例は、ネットワーク機器に応用される上り電力制御方法を更に提供する。前記方法において、端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定することと、
前記送信電力仮定に基づいて、前記端末の上りプリコーディング指示を特定することと、
前記上りプリコーディング指示を前記端末に送信することとを含む。
【0046】
本開示の一部実施例によれば、前記の端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定することは、
仮定の端末のコヒーレント伝送能力及び上り伝送モードを特定することと、
前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力及び/又は前記上り伝送モードに基づいて、前記端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定することとを含む。
【0047】
本開示の一部実施例によれば、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力は、端末のコヒーレント伝送能力報告から得られる端末コヒーレント伝送能力であり、又は、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力は、端末に設定するコードブックサブセット制限に対応するコヒーレント伝送能力である。
【0048】
本開示の一部実施例によれば、前記の前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力及び/又は前記上り伝送モードに基づいて、前記端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定することは、
前記上り伝送モードにおいて第1目標プリコーディングが存在する場合、前記第1目標プリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように前記端末は制御することであると特定することを含む。
【0049】
本開示の一部実施例によれば、前記の前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力及び/又は前記上り伝送モードに基づいて、前記端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定することは、
前記第1目標プリコーディング以外の他のプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、端末に設定するアンテナポートの数又は端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて前記端末がスケーリングすることであると特定することを更に含む。
【0050】
本開示の一部実施例によれば、前記の前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力及び/又は前記上り伝送モードに基づいて、前記端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定することは、
前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が非コヒーレント伝送である場合、前記上り伝送モードにおける第2目標プリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように前記端末は制御することであると特定すること、及び/又は、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が部分コヒーレント伝送である場合、前記上り伝送モードにおける第3目標プリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように前記端末は制御することであると特定することを含む。
【0051】
本開示の一部実施例によれば、前記上り伝送モードがノンコードブック上り伝送であり、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が非コヒーレント伝送であり、
前記の前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力及び/又は前記上り伝送モードに基づいて、前記端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定することは、
前記第2目標プリコーディング以外の他のプリコーディングに対応する前記送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、前記他のプリコーディングにおける、非ゼロのPUSCH伝送電力を有するアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第1比で前記端末がスケーリングすることであると特定することを更に含む。
【0052】
本開示の一部実施例によれば、前記上り伝送モードがノンコードブック上り伝送であり、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が部分コヒーレント伝送であり、
前記の前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力及び/又は前記上り伝送モードに基づいて、前記端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定することは、
第3目標プリコーディング以外の第1ストリーム数のストリーム伝送に対応するプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、前記プリコーディングにおける、非ゼロのPUSCH伝送電力を有するアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第1比で前記端末がスケーリングすることであると特定することを更に含む。
【0053】
本開示の一部実施例によれば、前記上り伝送モードがノンコードブック上り伝送であり、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が部分コヒーレント伝送であり、
前記の前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力及び/又は前記上り伝送モードに基づいて、前記端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定することは、
前記第3目標プリコーディング以外のシングルストリーム伝送に対応するプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、前記端末にサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第2比で前記端末がスケーリングすることであると特定することを更に含む。
【0054】
本開示の一部実施例によれば、前記上り伝送モードがノンコードブック上り伝送であり、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が部分コヒーレント伝送であり、
前記の前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力及び/又は前記上り伝送モードに基づいて、前記端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定することは、
シングルストリーム伝送に対応するプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、前記端末にサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第2比で前記端末がスケーリングすることであると特定することを含む。
【0055】
本開示の一部実施例によれば、前記上り伝送モードがノンコードブック上り伝送であり、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が完全コヒーレント伝送であり、
前記の前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力及び/又は前記上り伝送モードに基づいて、前記端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定することは、
任意のプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように前記端末は制御することであると特定することを含む。
【0056】
本開示の一部実施例によれば、前記第1目標プリコーディングを指示するための指示情報を前記端末に送信することを更に含む。
【0057】
本開示の一部実施例によれば、前記第2目標プリコーディング及び/又は前記第3目標プリコーディングを指示するための指示情報を前記端末に送信することを更に含む。
【0058】
第6態様として、本開示の実施例は、端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定する第1特定モジュールと、
前記送信電力仮定に基づいて、前記端末の上りプリコーディング指示を特定する第2特定モジュールと、
前記上りプリコーディング指示を前記端末に送信する第1送信モジュールとを含む、ネットワーク機器を更に提供する。
【0059】
第7態様として、本開示の実施例は、トランシーバと、メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶されて前記プロセッサで動作可能なコンピュータプログラムを含むネットワーク機器を更に提供する。前記プロセッサは、メモリからプログラムを読み取ることによって、端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定するプロセスと、前記送信電力仮定に基づいて、前記端末の上りプリコーディング指示を特定するプロセスとを実行し、
前記トランシーバは、前記上りプリコーディング指示を前記端末に送信する。
【0060】
本開示の一部実施例によれば、前記プロセッサは、更に、仮定の端末のコヒーレント伝送能力及び上り伝送モードを特定し、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力及び/又は前記上り伝送モードに基づいて、前記端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定する。
【0061】
本開示の一部実施例によれば、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力は、端末のコヒーレント伝送能力報告から得られる端末コヒーレント伝送能力であり、又は、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力は、端末に設定するコードブックサブセット制限に対応するコヒーレント伝送能力である。
【0062】
本開示の一部実施例によれば、前記プロセッサは、更に、前記上り伝送モードにおいて第1目標プリコーディングが存在する場合、前記第1目標プリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように前記端末は制御することであると特定する。
【0063】
本開示の一部実施例によれば、前記プロセッサは、更に、前記第1目標プリコーディング以外の他のプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、端末に設定するアンテナポートの数又は端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて前記端末がスケーリングすることであると特定する。
【0064】
本開示の一部実施例によれば、前記プロセッサは、更に、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が非コヒーレント伝送である場合、前記上り伝送モードにおける第2目標プリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように前記端末は制御することであると特定し、及び/又は、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が部分コヒーレント伝送である場合、前記上り伝送モードにおける第3目標プリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように前記端末は制御することであると特定する。
【0065】
本開示の一部実施例によれば、前記上り伝送モードがノンコードブック上り伝送であり、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が非コヒーレント伝送であり、
前記プロセッサは、更に、
前記第2目標プリコーディング以外の他のプリコーディングに対応する前記送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、前記他のプリコーディングにおける、非ゼロのPUSCH伝送電力を有するアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第1比で前記端末がスケーリングすることであると特定する。
【0066】
本開示の一部実施例によれば、前記上り伝送モードがノンコードブック上り伝送であり、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が部分コヒーレント伝送であり、
前記プロセッサは、更に、
第3目標プリコーディング以外の第1ストリーム数のストリーム伝送に対応するプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、前記プリコーディングにおける、非ゼロのPUSCH伝送電力を有するアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第1比で前記端末がスケーリングすることであると特定する。
【0067】
本開示の一部実施例によれば、前記上り伝送モードがノンコードブック上り伝送であり、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が部分コヒーレント伝送であり、
前記プロセッサは、更に、
前記第3目標プリコーディング以外のシングルストリーム伝送に対応するプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、前記端末にサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第2比で前記端末がスケーリングすることであると特定する。
【0068】
本開示の一部実施例によれば、前記上り伝送モードがノンコードブック上り伝送であり、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が部分コヒーレント伝送であり、
前記プロセッサは、更に、
シングルストリーム伝送に対応するプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、前記端末にサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第2比で前記端末がスケーリングすることであると特定する。
【0069】
本開示の一部実施例によれば、前記上り伝送モードがノンコードブック上り伝送であり、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が完全コヒーレント伝送であり、
前記プロセッサは、更に、
任意のプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように前記端末は制御することであると特定する。
【0070】
本開示の一部実施例によれば、前記トランシーバは、更に、前記第1目標プリコーディングを指示するための指示情報を前記端末に送信する。
【0071】
本開示の一部実施例によれば、前記トランシーバは、更に、前記第2目標プリコーディング及び/又は前記第3目標プリコーディングを指示するための指示情報を前記端末に送信する。
【0072】
第8態様として、本開示の実施例は、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を更に提供する。該プログラムがプロセッサによって実行されると、上記のいずれか一項に記載の上り電力制御方法が実現される。
【発明の効果】
【0073】
本開示の実施例に係る上り電力制御方法によれば、上りプリコーディング指示を取得した後に、上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応する場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御する。このように、一部のプリコーディング指示で上り最大送信電力を達成できることを保証し、上り伝送のカバレッジを向上させることができる。例えば、端末がノンコードブックの上りMIMO低ランク伝送を行う場合、一部のプリコーディングでは上り最大送信電力を達成でき、非コヒーレント伝送能力又は部分コヒーレント伝送能力の端末がコードブックに基づく上りMIMO低ランク伝送を行う場合、一部のプリコーディングでは上り最大送信電力を達成でき、且つ端末の全てのアンテナが最大送信電力を達成できることが求められないため、コストが低減される。
【0074】
本開示の実施例の技術手段をより明確に説明するために、以下、本開示の実施例の記載に必要とされる図面を簡単に紹介する。明らかに、以下の記載に関する図面は、単に本開示の一部の実施例である。当業者にとって、進歩性のある作業をしない前提で、これらの図面から他の図面を得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1】本開示の実施例に係る上り電力制御方法のフローチャートである。
【
図3】本開示の実施例に係る端末の別の構造図である。
【
図4】本開示の実施例に係る上り電力制御方法のフローチャートである。
【
図5】本開示の実施例に係るネットワーク機器の構造図である。
【
図6】本開示の実施例に係るネットワーク機器の別の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
本開示の解決しようとする技術課題、技術手段及び利点をより明確にするために、以下、図面及び具体的な実施例とともに詳細に記載する。
【0077】
本開示の一部実施例において、
図1に示すように、端末に応用される上り電力制御方法を提供する。前記方法において、上りプリコーディング指示を取得するステップ101と、前記上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応する場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御するステップ102とを含む。
【0078】
本開示の実施例に係る上り電力制御方法は、上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応する場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御することによって、端末が低い信号対雑音比で受信したプリコーディング指示が目標プリコーディング指示である場合に最大送信電力を達成できることを保証し、上りカバレッジの性能を向上させる。例えば、端末がノンコードブックの上りMIMO低ランク伝送を行う場合、目標プリコーディング指示に対応する上り伝送では上り最大送信電力を達成でき、非コヒーレント伝送能力又は部分コヒーレント伝送能力の端末がコードブックに基づく上りMIMO伝送を行う場合、目標プリコーディング指示に対応する上り伝送では上り最大送信電力を達成でき、且つ端末の全てのアンテナが最大送信電力を達成できることが求められないため、コストが低減される。また、全てのプリコーディング指示に対応する上り伝送では、電力制御プロセスで特定される上り送信電力に対し、アンテナポート(1未満)に関する電力スケーリングを行うことよりも、端末が受信したプリコーディング指示は目標プリコーディング指示である場合、端末の上り送信電力がより大きく、より良い性能が得られる。
【0079】
本開示の一部実施例によれば、上記ステップ102は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングしないステップ1021、又は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を電力スケーリング因子1でスケーリングするステップ1022を含む。
【0080】
この場合、上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応する場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力に対し、スケーリング操作をせず、又は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を電力スケーリング因子1でスケーリングすることによって、一部のプリコーディング指示では最大送信電力を達成できることを保証し、性能を向上させる。更に、物理上り共有チャネル(PUSCH)を送信する際には、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングせずに、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、非ゼロ電力でPUSCHを送信するアンテナポートに直接割り当てる。
【0081】
本開示の一部実施例によれば、電力制御プロセスで特定される上り送信電力は、電力制御プロセスの規定に基づいて、基地局からの電力制御に関する指示情報、端末によって推定したパス減衰情報、上り最大出力電力などを用いて、端末によって特定されるものである。例えばLTEシステムにおいて、PUSCH伝送時に、前記電力制御プロセスで特定される上り送信電力は、3GPPプロトコルTS36.213標準のセクション5.1.1におけるPUSCHの送信電力に対する規定を参照して特定した
【数4】
である。
【0082】
本開示の一部実施例によれば、前記目標プリコーディング指示は、予め定義されたプリコーディング指示であり、又は、前記目標プリコーディング指示は、ネットワーク機器から送信される前記目標プリコーディング指示の指示情報に基づいて得られる。前記方法において、ネットワーク機器から送信される前記目標プリコーディング指示の指示情報を受信し、前記指示情報に基づいて前記目標プリコーディング指示を取得することを更に含む。
【0083】
この場合、目標プリコーディング指示は、予め定義されたプリコーディング指示であり、又は、目標プリコーディング指示は、シグナリングによって通知されるプリコーディング指示である。
【0084】
本開示の一部実施例によれば、目標プリコーディング指示を予め定義する方式は、直接方式又は間接方式である。
【0085】
例えば、前記目標プリコーディング指示は、ネットワーク機器及び端末機器によって予め定義される。例えば、プロトコルによって取り決められる。プロトコルによる取り決めでは、プリコーディング指示がある特定の値に対応する場合、端末が、電力制御式から算出した上り信号の送信電力をスケーリングせず、それを直接、非ゼロ電力で送信するアンテナポート(antenna ports with a non-zero PUSCH transmission power)に割り当てる。
【0086】
上り伝送がコードブックに基づく(codebook based)PUSCH伝送である場合、非ゼロ電力送信のアンテナポートは、ネットワーク機器によって指示されるプリコーディング行列の任意の非ゼロ要素に対応するアンテナポートがいずれも非ゼロ電力送信のアンテナポートであると理解される。例えば、4アンテナポート送信のPUSCHの場合、ネットワーク機器は、4行R列のプリコーディング行列を端末に指示する。Rは、ネットワーク機器からPUSCHに指示するストリーム数(rank)に対応する。プリコーディング行列の各行は、1つのPUSCHアンテナポートに対応する。プリコーディング行列のある行に0でない要素がある場合、その行に対応するアンテナポートは、非ゼロ電力送信のアンテナポートである。ある行の全ての要素が0である場合、その行に対応するPUSCHアンテナポートは、非ゼロ電力送信のアンテナポートではない。
【0087】
上り伝送がノンコードブックの(non-codebook based)PUSCH伝送である場合、非ゼロ電力送信のアンテナポートは、ネットワーク機器によって指示されたSRSリソースに対応するPUSCHアンテナポートであると理解される。例えば、ノンコードブックタイプのSRSリソース集合に4つのSRSリソースが設定され、各SRSリソースが1つのPUSCHアンテナポートに対応すると仮定する。ネットワーク機器からSRI(SRS resource indicator)によって指示されるSRSリソースに対応するPUSCHポートは、非ゼロ電力送信のアンテナポートであり、ネットワーク機器が指示していないSRSリソースに対応するPUSCHポートは、非ゼロ電力送信のアンテナポートではない。
【0088】
選択可能に、端末は、電力制御式に基づいて算出した上り信号の送信電力を、非ゼロ電力送信のアンテナポートに均等に割り当て、前記電力で上り信号の伝送を行う。
【0089】
例えば、直接的な事前定義方式の1つは、TPMIのindex(インデックス)が0に等しいとき、それに対応するプリコーディング指示が目標プリコーディング指示であることを事前に定義する。別の直接的な事前定義方式は、SRIが特定の1つ又は複数の値に対応するとき、それが目標プリコーディング指示であることを事前に定義する。
【0090】
間接的な方式として、以下が考えられる。
-1つの方式は、TPMIの値がいくつかの予め定義された値に対応する場合に、端末が、電力制御プロセスで特定される上り送信電力に対し、アンテナポートに関する比例的スケーリングをしないことを予め定義する。
-1つの方式は、TPMIの値がいくつかの予め定義された値に対応する場合に、端末が、電力制御プロセスで特定される上り送信電力に対し、アンテナポートに関する比例的スケーリング因子1の比例的スケーリングをすることを予め定義する。
-1つの方式は、TPMIの値がいくつかの予め定義された値に対応する場合に、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を端末によって比例的スケーリングをした後の送信電力が、電力制御プロセスで特定される上り送信電力に等しくなることを予め定義する。
-1つの方式は、SRIの値がいくつかの予め定義された値に対応する場合に、端末が、電力制御プロセスで特定される上り送信電力に対し、アンテナポートに関する比例的スケーリングをしないことを予め定義する。
-1つの方式は、SRIの値がいくつかの予め定義された値に対応する場合に、端末が、電力制御プロセスで特定される上り送信電力に対し、アンテナポートに関する比例的スケーリング因子1の比例的スケーリングをすることを予め定義する。
-1つの方式は、SRIの値がいくつかの予め定義された値に対応する場合に、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を端末によって比例的スケーリングをした後の送信電力が、電力制御プロセスで特定される上り送信電力に等しくなることを予め定義する。
-1つの方式は、コードブックにおいて、アンテナポートの一部しかを使用しない一部のコードワードの正規化電力を1に設定することである。この部分のコードワードに対応するプリコーディング指示は、目標プリコーディング指示に対応すると見なされてよい。
【0091】
他の方式も、列挙されないものの、本開示の範囲内に含まれるべきであることに留意されたい。
【0092】
本開示の一部実施例によれば、ネットワーク機器は、目標プリコーディング指示の指示情報をRRCシグナリングによって端末に送信する。
【0093】
本開示の一部実施例によれば、前記目標プリコーディング指示は、目標コードワードに対応するTPMI(Transmit Precoding Matrix Indicator)及び/又は目標コードワードに対応するTRI(Transmit Rank Indication)を含む。
【0094】
たとえば、上り伝送方式がコードブックに基づく上り伝送である場合、プリコーディング指示がDCI(Downlink Control Information)のプリコーディング情報及びストリーム数Precoding information and number of layersフィールドによって指示されると、該プリコーディング指示には、該プリコーディングに対応する上り伝送に対応するTPMI及びTRIが含まれる。目標プリコーディング指示は、目標コードワードに対応するPrecoding information and number of layersの値である。
【0095】
本開示の一部実施例によれば、目標プリコーディング指示は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0096】
本開示の一部実施例によれば、前記目標プリコーディング指示は、シングルストリーム伝送時のプリコーディング指示を含む。
【0097】
本開示の一部実施例によれば、目標プリコーディング指示は、シングルストリーム伝送のコードワードに対応するプリコーディング指示である。
【0098】
本開示の一部実施例によれば、目標プリコーディング指示のうちの一部のプリコーディング指示は、シングルストリーム伝送の1つ又は複数のコードワードに対応し、一部のプリコーディング指示は、マルチストリーム伝送の1つ又は複数のコードワードに対応する。
【0099】
本開示の一部実施例によれば、目標プリコーディング指示は、目標コードワードに対応するプリコーディング指示を含む。
【0100】
本開示の一部実施例によれば、前記目標コードワードは、予め定義されたコードワードである。又は、前記目標コードワードは、ネットワーク機器から目標コードワード指示情報によって前記端末に送信されるものである。前記方法は、ネットワーク機器から送信される前記目標コードワードの指示情報を受信し、前記指示情報に基づいて前記目標コードワードを取得することを更に含む。
【0101】
本開示の一部実施例によれば、目標コードワードは、端末からシグナリングによってネットワーク機器に指示される。
【0102】
本開示の一部実施例によれば、前記目標コードワードは、端末のアンテナポートの電力能力に基づいて特定されるコードワードである。例えば、端末のすべてのアンテナポートの電力能力がフルパワー送信可能である場合、目標コードワードは、すべてのコードワードである。また、例えば、端末のアンテナポートの電力能力として、任意の2つのアンテナポートの出力電力の和がフルパワーを達成できる場合(例えば、任意の2つのアンテナポートの最大出力電力の和が、端末の電力クラスに対応する最大出力電力要件を満足できる)、目標コードワードは、非ゼロ伝送のアンテナポートが少なくとも2つあるコードワードである。また、例えば、端末のアンテナポートの電力能力として、任意の2つのアンテナポートの出力電力の和がフルパワーを達成できる場合(例えば、任意の2つのアンテナポートの最大出力電力の和が、端末の電力クラスに対応する最大出力電力要件を満足できる)、目標コードワードは、非ゼロ伝送のアンテナポートが2つ又は4つあるコードワードである。
【0103】
本開示の一部実施例によれば、前記目標コードワードは、目標アンテナポートのみで非ゼロ値を有するコードワードを含む。
【0104】
この場合、目標プリコーディング指示は、目標アンテナポートのみで非ゼロ値を有するコードワードに対応するプリコーディング指示を含む。
【0105】
本開示の一部実施例によれば、目標プリコーディング指示は、目標アンテナポートのみで非ゼロ値を有する1つのコードワードに対応する1つのプリコーディング指示を含む。
【0106】
本開示の一部実施例によれば、目標プリコーディング指示は、目標アンテナポートのみで非ゼロ値を有する全てのコードワードに対応する全てのプリコーディング指示を含む。
【0107】
例えば、目標プリコーディング指示は、ネットワーク機器から端末に2つのアンテナポートを設定した場合、コードブックのうち1番目のアンテナポート(インデックスの昇順)のみで非ゼロ値を有する1つのコードワードに対応する1つのプリコーディング指示を含む。また例えば、目標プリコーディング指示は、ネットワーク機器から端末に4つのアンテナポートを設定した場合、コードブックのうち2番目のアンテナポート(インデックスの昇順)のみで非ゼロ値を有する1つのコードワードに対応する1つのプリコーディング指示を含む。上記の例に限定されない。
【0108】
本開示の一部実施例によれば、上記目標アンテナポートは、予め定義されたアンテナポートである。又は、前記目標アンテナポートは、ネットワーク機器から目標アンテナポート指示情報によって前記端末に送信される。前記方法は、ネットワーク機器から送信される前記目標アンテナポートの指示情報を受信し、前記指示情報に基づいて前記目標アンテナポートを取得することを更に含む。
【0109】
本開示の一部実施例によれば、目標アンテナポートは、端末からシグナリングによってネットワーク機器に指示するアンテナポートである。例えば、端末から報告されるフルパワー送信可能なアンテナポートである。前記方法は、前記目標アンテナポートの指示情報をネットワーク機器に送信することを更に含む。
【0110】
本開示の一部実施例によれば、目標アンテナポートは、端末からフルパワー送信可能なアンテナポートである。前記1つのアンテナポートがフルパワー送信可能であることは、1つのアンテナポートの最大出力電力が端末の電力クラスに対応する最大出力電力要件を満足できることを指す。例えば、RAN4プロトコルでは、Power class 3のUEの最大出力電力が23dBmであることが求められるが、1つのアンテナポートの最大出力電力が23dBmを達成できれば、該アンテナポートは、フルパワー送信可能なアンテナポートである。
【0111】
例えば、UEは、1つのSRSリソース内で最多4つのアンテナポートをサポートし(即ち、UEは、最多4つのアンテナポートのPUSCH伝送をサポートする)、1番目及び3番目のアンテナポートがフルパワー送信可能なアンテナポートである(即ち、1番目及び3番目のアンテナポートが目標アンテナポートである)とする。ネットワーク機器から指示されるPUSCHのプリコーディング行列指示のプリコーディング行列が1番目及び/又は3番目のアンテナポートに非ゼロ値が存在し、他のアンテナポートがすべてゼロである場合、端末は、PUSCH電力制御式から算出される送信電力を、非ゼロ値が存在するアンテナポートに直接均等に割り当てて伝送する。例えば、基地局から指示されるプリコーディング行列が[1 0 j 0]Tである場合、該プリコーディング行列指示は、目標プリコーディング指示であり、端末は、PUSCH電力制御式から算出される送信電力を、1番目及び3番目のアンテナポートに直接均等に割り当てて伝送する。基地局から指示されるプリコーディング行列が[1 1 j j]Tである場合、該プリコーディング行列指示は、目標プリコーディング指示ではない。
【0112】
本開示の一部実施例によれば、前記目標アンテナポートは、最も小さいインデックスのアンテナポートを含む。
【0113】
本開示の一部実施例によれば、前記目標アンテナポートは、最も小さいインデックスのアンテナポートである。
【0114】
この場合、目標プリコーディング指示は、最も小さいインデックスのアンテナポートのみで非ゼロ値を有するコードワードに対応するプリコーディング指示である。
【0115】
本開示の一部実施例によれば、前記目標プリコーディング指示は、目標上り参照信号を指示する指示情報を含む。
【0116】
本開示の一部実施例によれば、前記目標プリコーディング指示は、目標SRSリソースを指示するSRIを含む。
【0117】
例えば、ノンコードブックに基づく上り伝送の場合、プリコーディング指示は、SRI(SRS resource indicator)であり、PUSCH伝送に対応するSRSリソースを指示するSRIは、DCIの「SRSリソース指示SRS resource indicator」フィールドから取得される。端末は、SRIから上り伝送のストリーム数を同時に取得することができる。
【0118】
本開示の一部実施例によれば、目標プリコーディング指示は、(SRSリソース設定のインデックスの昇順で)一番目のSRSリソースのみを指示するSRIを含む。また、例えば、目標プリコーディング指示は、(SRSリソース設定のインデックスの昇順で)先頭から2つのSRSリソースを指示するSRIを含む。
【0119】
本開示の一部実施例によれば、前記目標SRSリソースは、最も小さいインデックスのSRSリソースを含む。この場合、目標プリコーディング指示は、最も小さいインデックスのSRSリソースを指示するSRIを含む。
【0120】
本開示の一部実施例によれば、前記目標SRSリソースは、最も小さいインデックスのSRSリソースである。
【0121】
本開示の一部実施例によれば、目標プリコーディング指示は、目標SRSリソースのみを指示する1つ又は複数のSRIである。
【0122】
本開示の一部実施例によれば、目標プリコーディング指示は、目標SRSリソースを指示する全てのSRIを含む。
【0123】
本開示の一部実施例によれば、目標プリコーディング指示は、シングルストリーム伝送時に、最も小さいインデックスのアンテナポートのみで非ゼロ値を有するコードワードに対応するプリコーディング指示である。
【0124】
例えば、3GPP NRシステムにおいて、コードブックに基づく上り伝送の目標プリコーディング指示が、シングルストリーム伝送の場合に最も小さいインデックスのアンテナポートのみで非ゼロ値を有するコードワードに対応するTMPIである場合、対応する電力制御プロセスで特定される上り送信電力に対しアンテナポートの数に関する比例的スケーリングをしないプリコーディングに対応するコードワードは、端末に設定されるアンテナポートの数が2である場合に
【数5】
であり、端末に設定されるアンテナポートの数が4である場合に
【数6】
である。
【0125】
例えば、目標プリコーディング指示が、シングルストリーム伝送の場合に最も小さいインデックスのアンテナポートのみで非ゼロ値を有するコードワードに対応するプリコーディング指示であると仮定すると、上りプリコーディング指示に対応するコードワードが
【数7】
であり、即ちPUSCH設定のアンテナポートの数が2である場合、コードワードのうちの一方のアンテナポートに対応する数値は、非ゼロであり、他方のアンテナポートに対応する数値は、0である。従来の方式では、該コードワードに対応するPUSCH総送信電力は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の1/2である。本開示の実施例の方式によれば、上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応すると、該コードワードに対応するPUSCH総送信電力は、不変になる、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値である。即ち、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングせず、又は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を電力スケーリング因子1でスケーリングする。上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応しない場合、上りプリコーディング指示及びネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする。
【0126】
例えば、目標プリコーディング指示が、シングルストリーム伝送の場合に最も小さいインデックスのアンテナポートのみで非ゼロ値を有するコードワードに対応するプリコーディング指示であると仮定し、上りプリコーディング指示のコードワードが
【数8】
であり、即ちPUSCH設定のアンテナポートの数が4である場合、コードワードのうちの1つのアンテナポートに対応する数値は、非ゼロであり、他のアンテナポートに対応する数値は、0である。従来の方式では、該コードワードに対応するPUSCH総送信電力は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の1/4である。本開示の実施例の方式によれば、上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応すると、該コードワードに対応するPUSCH総送信電力は、不変になる、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値である。即ち、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングせず、又は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を電力スケーリング因子1でスケーリングする。上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応しない場合、上りプリコーディング指示及びネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする。
【0127】
本開示の一部実施例によれば、コードブックに基づく上り伝送の場合、目標プリコーディング指示に対応するコードワードの正規化因子により、該コードワードの正規化電力を1にする。ここで、コードワードの正規化電力は、コードワードにおけるすべての位置の電力の合計を指し、即ち、コードワードにおけるすべての位置の数値の平方である。例えば、コードワード
【数9】
の正規化電力は、1/2であり、コードワード
【数10】
の正規化電力は、1である。例えば、目標プリコーディング指示が、最も小さいインデックスのアンテナポートのみで非ゼロ値を有するコードワードに対応する場合、現在の3GPP NRシステムにおいてシングルストリーム伝送に対応する上りコードブックは、下記ように修正可能である。
【0128】
表6.3.1.5-1:
2つのアンテナポートを用いたシングルストリーム伝送のプリコーディング行列
【数11】
【表1】
【0129】
表6.3.1.5-2:
4つのアンテナポートを用いたシングルストリーム伝送であり、且つプリコーディング変換を行うプリコーディング行列
【数12】
(DFT-S-OFDM波形の4アンテナポートシングルストリーム伝送のコードブックに対応する)
【表2】
【0130】
表6.3.1.5-3:
4つのアンテナポートを用いたシングルストリーム伝送であり、且つプリコーディング変換を行わないプリコーディング行列
【数13】
(CP-OFDM波形の4アンテナポートシングルストリーム伝送のコードブックに対応する)
【表3】
【0131】
ノンコードブックの上り伝送の場合、目標プリコーディング指示が最も小さいインデックスのSRSリソースのみを指示するSRIであり、例えば、目標プリコーディングが、(SRSリソース設定のインデックスの昇順で)一番目のSRSリソースのみを指示するSRIであれば、ネットワーク機器によって指示されるSRIが一番目のSRSリソースのみに対応し、本開示の実施例の方式によれば、上りプリコーディング指示SRIは、目標プリコーディング指示に対応し、対応するPUSCH総送信電力は、不変になる、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値であり、即ち、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングせず、又は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を電力スケーリング因子1でスケーリングする。ネットワーク機器によって指示されるSRIが一番目のSRSリソースに対応するだけではなく(例えば、SRIが1番目、2番目のSRSリソースに対応する)、又は、一番目のSRSリソースに対応しない(例えば、SRIが3番目のSRSリソースに対応する)などの場合では、対応するPUSCHの総上り送信電力は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力に基づいてスケーリングをした後の電力である。
【0132】
本開示の一部実施例によれば、本開示の実施例の方法は、一部の特定タイプの端末のみに適用可能である。例えば、非コヒーレント伝送能力を有する端末のみに適用する。また、例えば、非コヒーレント伝送能力又は部分コヒーレント伝送能力を有する端末のみに適用する。
【0133】
本開示の一部実施例によれば、本開示の実施例の方法は、1つの伝送モードにおいて一部のタイプの端末に適用し、別の伝送モードにおいて別のタイプの端末に適用する。例えば、コードブック伝送モードにおいて、コヒーレント伝送能力又は部分コヒーレント伝送能力を有する端末に適用し、ノンコードブック伝送モードにおいてすべての端末に適用する。
【0134】
本開示の一部実施例によれば、異なるコヒーレント伝送能力の端末は、異なる目標プリコーディング指示に対応する。
【0135】
本開示の一部実施例によれば、同一端末は、異なる伝送モードにおいて、異なる目標プリコーディング指示に対応する。
【0136】
一実施例として、N個のアンテナポートの設定では、目標プリコーディングの値は、複数である。例えば、ノンコードブック伝送モードでの目標プリコーディングの数は、2であり、目標プリコーディングは、(インデックスの昇順で)1番目のSRSリソースのみを指示するSRI、及び、1番目及び2番目のSRSアンテナリソースを指示するSRIである。即ち、SRIが指示するSRSリソースが1番目のSRSリソースである場合、又はSRIが指示するSRSリソースが1番目と2番目のSRSリソースである場合、上り伝送に対応する総上り送信電力は、不変になる、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値であり、アンテナポートに関する比例的スケーリングをしない。SRIが指示するSRSリソースが他のSRSリソースである場合、例えば、2番目のSRSリソースのみを指示したり、他のSRSリソースを指示したりするが、上り伝送に対応する総上り送信電力は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力に対し、アンテナポートに関する比例的スケーリングをした後の送信電力である。
【0137】
上記目標プリコーディング指示が存在する(即ち、上記目標プリコーディング指示を予め定義したか又はシグナリングで通知した)場合、端末は、上り伝送モードに対応するための上り参照信号(例えばSRS)を送信する際に、前記目標プリコーディング指示に対応するコードワード又はリソースに基づいて、物理アンテナとアンテナポートとのマッピングを行う必要がある。
【0138】
本開示の一部実施例によれば、前記方法は、前記目標プリコーディング指示に基づいて、物理アンテナとアンテナポートとの間のマッピング関係を特定することと、前記マッピング関係に基づいて上り参照信号を送信することとを更に含む。
【0139】
このとき、端末は、上り伝送モードに対応するための上り参照信号(例えばSRS)を送信する際に、目標プリコーディング指示に対応するコードワード又はリソースに基づいて、物理アンテナとアンテナポートのマッピングを行う。
【0140】
例えば、コードブックに基づく上り伝送の場合、目標プリコーディング指示が、最も小さいインデックスのアンテナポートのみが非ゼロであるコードワード(例えば
【数14】
)に対応すれば、端末は、コードブック上り伝送のためのSRSを送信する際に、最大送信電力を達成できるアンテナを用いて一番目のSRSアンテナポートを送信する必要がある。
【0141】
なお、本開示の実施例における端末の部分コヒーレンス伝送能力は、3GPP NRシステムで定義された部分コヒーレンス伝送能力のみに限定されない。3GPP NRシステムでは、対をなすアンテナは、コヒーレント伝送可能であり、部分コヒーレント伝送能力を有すると見なされる。本開示の実施例において、部分コヒーレンス伝送能力は、3GPP NRシステムにおける部分コヒーレンス伝送能力と同じ定義を有してもよいし、別の定義を有してもよい。例えば、全てのアンテナがコヒーレント伝送可能である場合や、全てのアンテナがコヒーレント伝送できない場合以外、端末が部分コヒーレント伝送能力を有すると見なされる。
【0142】
ネットワーク機器から端末に送信される目標プリコーディング指示の指示情報の方式として、選択可能に、前記指示情報は、目標プリコーディング指示の番号又は数値を直接指示する。選択可能に、前記指示情報は、目標プリコーディング指示に対応するコードワードの指示情報を含む。選択可能に、前記指示情報は、目標プリコーディング指示に対応するアンテナポートの指示情報を含む。選択可能に、前記指示情報は、目標プリコーディング指示に対応するストリーム数の指示情報を含む。
【0143】
本開示の一部実施例によれば、上記ステップ101の後に、前記方法は、前記上りプリコーディング指示が前記目標プリコーディング指示以外の他のプリコーディング指示に対応する場合、ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数、又はネットワーク機器によって端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングするステップ103を更に含む。
【0144】
この場合、上りプリコーディング指示が目標コーディング指示以外の他のプリコーディング指示に対応する場合、即ち上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応していない場合、上りプリコーディング指示及びネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数又はネットワーク機器によって端末に設定するSRSリソース数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力に対し、アンテナポートに関する比例的スケーリングをすることにより、端末の全てのアンテナに対して最大出力電力を求める必要がなくなるという効果が得られ、端末の実現コストが低減される。
【0145】
ここで、コードブックに基づく上り伝送モードにおいて、上りプリコーディング指示が目標コーディング指示以外の他のプリコーディング指示に対応している場合、上りプリコーディング指示及びネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする。
【0146】
ノンコードブックの上り伝送モードにおいて、上りプリコーディング指示が目標コーディング指示以外の他のプリコーディング指示に対応している場合、前記上りプリコーディング指示及びネットワーク機器によって端末に設定するSRSリソース数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする。
【0147】
本開示の一部実施例によれば、前記上りプリコーディング指示が前記目標プリコーディング指示以外の他のプリコーディング指示に対応している場合、ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数又はネットワーク機器によって端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を1未満のスケーリング因子でスケーリングする。
【0148】
本開示の一部実施例によれば、上記ステップ101の後に、前記方法は、前記上りプリコーディング指示が第1ストリーム数のストリーム伝送に対応し且つ前記目標プリコーディング指示以外の他のプリコーディング指示に対応する場合、ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数、又はネットワーク機器によって端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングするステップ104を更に含む。
【0149】
この場合、上りプリコーディング指示が第1ストリーム数のストリーム伝送に対応し、且つ上りプリコーディング指示が目標コーディング指示以外の他のプリコーディング指示に対応する場合、即ち上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応しない場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力に対し、アンテナポートに関する比例的スケーリングをすることにより、端末の全てのアンテナに対して最大出力電力を求める必要がなくなるという効果が得られ、端末の実現コストが低減される。
【0150】
ここで、第1ストリーム数は、シングルストリームであってもよいし、2ストリーム、3ストリーム、4ストリームなどのようなマルチストリームであってもよい。
【0151】
ノンコードブックに基づく上り伝送の場合、部分コヒーレント伝送能力を有する端末は、上りプリコーディング指示がシングルストリームに対応する場合、1つの電力スケーリング方式を採用し、上りプリコーディング指示がマルチストリーム(例えば2ストリーム、3ストリーム又は4ストリーム)に対応する場合、別の電力スケーリング方式を採用する。
【0152】
本開示の一部実施例によれば、前記上りプリコーディング指示が第1ストリーム数のストリーム伝送に対応し且つ前記目標プリコーディング指示以外の他のプリコーディング指示に対応する場合、ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数、又はネットワーク機器によって端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を1未満のスケーリング因子でスケーリングする。
【0153】
以下、本開示の実施例に係るいくつかの電力スケーリング方式を説明する。
【0154】
方式1:
本開示の一部実施例によれば、上記ステップ103又は104において、ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングするステップは、前記プリコーディング指示と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数とから、非ゼロのPUSCH伝送電力を有するアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第1比を取得するステップ1051と、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を前記第1比でスケーリングするステップ1052とを含む。ここで、非ゼロのPUSCH伝送電力を有するアンテナポートの数をQ
used1とし、ネットワーク機器によって端末に設定する端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数をQ
configured1として、第1比K1:
【数15】
を取得する。
【0155】
ここで、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を第1比K1でスケーリングすることによって、端末の実現コストが低減される。
【0156】
例えば、ノンコードブックに基づく上り伝送の場合、非コヒーレント伝送能力を有する端末は、端末の上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示以外の他のプリコーディング指示に対応する場合、他のプリコーディング指示における、非ゼロのPUSCH伝送電力を有するアンテナポートの数Qused1と、ネットワーク機器によって端末に設定する端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数Qconfigured1との第1比K1に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする。
【0157】
ノンコードブックに基づく上り伝送の場合、部分コヒーレント伝送能力を有する端末は、端末の上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示以外の、第1ストリーム数のストリーム伝送の他のプリコーディング指示に対応する場合、他のプリコーディング指示における、非ゼロのPUSCH伝送電力を有するアンテナポートの数Qused1と、ネットワーク機器によって端末に設定する端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数Qconfigured1との第1比K1に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする。
【0158】
ここで、第1ストリーム数は、シングルストリームであってもよいし、2ストリーム、3ストリーム、4ストリームなどのようなマルチストリームであってもよい。
【0159】
方式2:
本開示の一部実施例によれば、上記ステップ103又は104において、ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングするステップは、端末にサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第2比を取得するステップ1053と、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を前記第2比でスケーリングするステップ1054とを含む。ここで、端末にサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数をQmaxとし、ネットワーク機器によって端末に設定する端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数をQ
configured1とし、第2の比K2:
【数16】
を取得する。
【0160】
ここで、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を第2比K2でスケーリングすることにより、端末の実現コストが低減される。
【0161】
例えば、ノンコードブックに基づく上り伝送の場合、部分コヒーレント伝送能力を有する端末は、端末の上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示以外の、シングルストリーム伝送の他のプリコーディング指示に対応する場合、端末にサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数Qmaxと、ネットワーク機器によって端末に設定する端末PUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数Qconfigured1との第2比K2に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする。
【0162】
ここで、ノンコードブックに基づく上り伝送の場合、部分コヒーレント伝送能力を有する端末は、端末の上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示以外の、マルチストリーム(例えば2ストリーム、3ストリーム又は4ストリーム)伝送の他のプリコーディング指示に対応する場合、上記方式1のように、他のプリコーディング指示における、非ゼロのPUSCH伝送電力を有するアンテナポートの数Qused1と、ネットワーク機器によって端末に設定する端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数Qconfigured1との第1比K1に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする。
【0163】
もちろん、ノンコードブックに基づく上り伝送の場合、部分コヒーレント伝送能力を有する端末は、端末の上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示以外の、マルチストリーム(例えば2ストリーム、3ストリーム又は4ストリーム)伝送の他のプリコーディング指示に対応する場合、方式2で電力スケーリングをしてもよい。
【0164】
又は、ノンコードブックに基づく上り伝送の場合、部分コヒーレント伝送能力を有する端末は、端末の上りプリコーディング指示がシングルストリーム伝送のプリコーディング指示に対応する場合、端末にサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数Qmaxと、ネットワーク機器によって端末に設定する端末PUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数Qconfigured1との第2比K2に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする。
【0165】
ここで、ノンコードブックに基づく上り伝送の場合、部分コヒーレント伝送能力を有する端末は、端末の上りプリコーディング指示がシングルストリーム伝送のプリコーディング指示にさえ対応すれば、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を上記方式2でスケーリングする。
【0166】
ここで、完全コヒーレント伝送能力を有する端末は、それにサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数は、通常、ネットワーク機器によって端末に設定する端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数に等しい。従って、完全コヒーレント伝送能力を有する端末は、上記方式2で電力スケーリングをする際に、得られるスケーリング比率が
【数17】
である。
【0167】
非コヒーレント伝送能力を有する端末は、それにサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数は、通常、1である。従って、非コヒーレント伝送能力を有する端末は、上記方式2で電力スケーリングをする際に、得られるスケーリング比率が
【数18】
である。
【0168】
部分コヒーレント伝送能力を有する端末は、それにサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数は、通常、2である。従って、部分コヒーレント伝送能力を有する端末は、上記方式2で電力スケーリングをする際に、得られるスケーリング比率が
【数19】
である。
【0169】
本開示の実施例において、ノンコードブックに基づく上り伝送の場合、完全コヒーレント伝送能力を有する端末は、任意のプリコーディング指示に対し、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御する。
【0170】
方式3:
本開示の実施例によれば、上記ステップ103又は104において、ネットワーク機器によって端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングするステップは、SRIで指示されるSRSリソース数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するSRSリソース数との第3比を取得するステップ1055と、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を前記第3比でスケーリングするステップ1056とを含む。ここで、SRIが指示するSRSリソース数をQ
used2とし、ネットワーク機器によって端末に設定する端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するSRSリソース数をQ
configured2として、第3比K3:
【数20】
を取得する。
【0171】
ここで、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を第3比K3でスケーリングすることにより、端末の実現コストが低減される。
【0172】
上記方式3は、各SRSリソースが1つのSRSポートを含む場合に実行される。
【0173】
本開示の実施例によれば、前記方法は、ネットワーク機器から送信されるコードブックサブセット制限情報を受信するステップ106と、前記コードブックサブセット制限情報に基づいて、前記上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応するか否かを特定するステップ107とを更に含む。
【0174】
ここで、コードブックに基づく上り伝送の場合、ネットワーク機器は、コードブックサブセット制限情報を端末に送信する。異なるコードブックサブセット制限情報は、異なる上りコードブックに対応する。端末は、コードブックサブセット制限情報に基づいて、上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応するか否かを特定する。
【0175】
本開示の一部実施例によれば、コードブックサブセット制限情報は、アンテナコヒーレント伝送情報を含む。例えば、3GPP NRシステムにおいて、コードブックサブセット制限情報は、上位層パラメータcodebookSubsetを含み、該パラメータの候補値は、{fullyAndPartialAndNonCoherent,partialAndNonCoherent,nonCoherent}がある。ここで、fullyAndPartialAndNonCoherentは、アンテナの完全コヒーレント伝送が可能であることを指示する仮定の下でのコードワードからなるコードブックに対応し、partialAndNonCoherentは、アンテナの部分コヒーレント伝送が可能であるという仮定の下でのコードワードからなるコードブックに対応し、nonCoherentは、すべてのアンテナがコヒーレント伝送できないという仮定の下でのコードワードからなるコードブックに対応する。
【0176】
本開示の一部実施例によれば、本開示の実施例の上記すべての方法は、ある種のコードブックサブセット制限情報に対応するある1つ又は複数の特定値のシナリオのみに適用する。例えば、3GPP NRシステムでネットワーク機器から端末に送信するコードブックサブセット制限情報codebookSubsetがnonCoherentに設定されるシナリオのみに適用する。また、例えば、3GPP NRシステムでネットワーク機器から端末に送信するコードブックサブセット制限情報codebookSubsetがnonCoherent又はpartialAndNonCoherentに設定されるシナリオのみに適用する。
【0177】
本開示の一部実施例によれば、端末がネットワーク機器から受信したコードブックサブセット制限情報の値が異なる場合、異なる目標プリコーディング指示に対応する。
【0178】
本開示の一部実施例によれば、端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御した後に、前記上り送信電力を、データ非ゼロ伝送を有するアンテナポートに均等に割り当てて、上り信号の伝送を行う。
【0179】
本開示の一部実施例によれば、端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングした後に、スケーリングして得られた電力を、データ非ゼロ伝送を有するアンテナポートに均等に割り当てて、上り信号の伝送を行う。
【0180】
データ非ゼロ伝送を有するアンテナポートとは、上り信号データがマッピングされているアンテナポートを指す。上り伝送をPUSCHの伝送とした例を示している。端末のPUSCH伝送をネットワーク機器がスケジューリングするときのプリコーディング指示に対応するプリコーディング行列を1/2[1 0 1 0]Tと仮定し、このプリコーディング行列は、目標コードワード(このプリコーディング行列は、1番目、3番目のポートで非ゼロ要素が存在し、即ち、データ非ゼロ伝送が存在する)である。すると、PUSCHは、データが1番目及び3番目のアンテナポートにマッピングされるシングルストリーム伝送(1番目及び3番目のアンテナポートは、データ非ゼロ伝送を有する)である。端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、データ非ゼロ伝送を有するアンテナポートに均等に割り当て、PUSCHの伝送を行う。
【0181】
以下、本開示の実施例のいくつかの可能な実施方式を例示する。
【0182】
例1:
ネットワーク機器が端末にN(正の整数)アンテナポートを設定し、上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応する場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御し、そうでない場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力に基づいて、アンテナポートに関する比例的スケーリングをする。
【0183】
目標プリコーディング指示は、rank1伝送の場合に1つのアンテナポートのみが非ゼロである1つのプリコーディング指示である。
【0184】
コードブックに基づく上り伝送の場合、目標プリコーディング指示は、rank1伝送の場合にコードワードのうち、1つのアンテナポートのみが非ゼロである1つのコードワードに対応するプリコーディング指示である。
【0185】
ノンコードブックの上り伝送の場合、目標プリコーディング指示は、1つのSRSリソースのみを指示する1つのSRI指示である。
【0186】
上りコードブックを以下のように仮定する。
【表4】
【0187】
目標プリコーディング指示がDCIフィールドにおけるプリコーディング情報とストリーム数に対応するインデックス(index)0のプリコーディング指示である場合、目標プリコーディングは、コードワード
【数21】
に対応する。
【0188】
本開示の実施例によれば、各コードワードに対応する上り伝送ではアンテナポートに関する比例的スケーリングをするか否かを示すために、コードブックのうち、目標プリコーディング指示に対応するコードワードの正規化因子によって該コードワードの総電力を1にし、即ち、以下のコードブックが使用される。
【表5】
【0189】
目標プリコーディング指示がDCIフィールドにおけるプリコーディング情報とストリーム数に対応するインデックス(index)1のプリコーディング指示である場合、目標プリコーディングは、コードワード
【数22】
に対応する。
【0190】
目標プリコーディング指示がDCIフィールドにおけるSRSリソース指示に対応するインデックス(index)0のプリコーディング指示である場合、目標プリコーディング指示は、一番目のSRSリソースのみを指示することに対応する。
【0191】
特定のプリコーディング指示は、DCIフィールドにおけるSRSリソース指示に対応するインデックス(index)1のプリコーディング指示であってもよいが、ここでは詳しい説明を省略する。
【0192】
本例は、4個のアンテナポートに容易に拡張することができ、説明を省略する。
【0193】
例2:
端末が非コヒーレント伝送能力の端末であり、又は、端末が部分コヒーレント伝送能力の端末である場合、目標プリコーディング行列指示が存在するが、そうでない場合、目標プリコーディング指示が存在しない。
【0194】
目標プリコーディング指示がネットワーク機器によって端末に指示されるものである場合、目標プリコーディング指示が存在することは、ネットワーク機器が非コヒーレント伝送能力の端末、又は部分コヒーレント伝送能力の端末に目標プリコーディング指示を指示することを指し、目標プリコーディング指示が存在しないことは、ネットワーク機器が完全コヒーレント伝送能力を有する端末に目標プリコーディング指示を指示しないことを指す。
【0195】
例3:
例1に類似するが、目標プリコーディング指示は、ある目標アンテナポートが非ゼロである全てのプリコーディング指示であるという点で相違する。
【0196】
コードブックに基づく上り伝送の場合、目標プリコーディング指示は、ある目標アンテナポートが非ゼロである全てのコードワードに対応するプリコーディング指示である。
【0197】
ノンコードブックの上り伝送の場合、目標プリコーディング指示は、ある目標SRSリソースを含んだ全てのSRI指示である。
【0198】
ノンコードブックの上り伝送を例にとると、目標SRSリソースが1番目のSRSリソース(インデックス0)であり、ネットワーク機器によって設定されるアンテナポートの数が4であると仮定し、SRI指示が以下のテーブル1に対応すれば、テーブルの中のインデックス0のSRSリソースを含むすべてのSRI指示に対応する電力制御プロセスで特定される上り送信電力に対し、アンテナポートに関する比例的スケーリングをしない。
【0199】
【0200】
例4:
例1に類似するが、目標プリコーディング指示は、ある目標アンテナポートのみが非ゼロであることを含むrank1のプリコーディング指示、及び、上記目標アンテナポートが非ゼロであり及びもう1つの目標アンテナポートが非ゼロであることを含むrank2のプリコーディング指示であるという点で相違する。
【0201】
ノンコードブックの上り伝送を例にとると、ネットワーク機器によって設定されるアンテナポートの数が4であり、SRI指示は、以下のテーブル2に対応する場合、例えば、テーブルのうち、インデックス0のSRSリソースのみを含むSRI、及び、インデックス0及びインデックス1のSRSリソースを含むSRI指示に対応する電力制御プロセスで特定される上り送信電力に対し、アンテナポートに関する比例的スケーリングをしない。もちろん、他の例であってもよい。例えば、インデックス1のSRSリソースを含むSRI、及び、インデックス1及びインデックス3のSRSリソースを含むSRI指示に対応する電力制御プロセスで特定される上り送信電力に対し、アンテナポートに関する比例的スケーリングをしない。
【0202】
【0203】
例5:
ノンコードブックの上り伝送を例にとると、端末が非コヒーレント伝送能力の端末であれば、目標プリコーディング指示は、ある目標アンテナポートのみが非ゼロであることを含むrank1のプリコーディング指示と、上記目標アンテナポートが非ゼロであり、もう1つの目標アンテナポートを含むrank2のプリコーディング指示である。
【0204】
例6:
ノンコードブックの上り伝送を例にとると、端末が部分コヒーレント伝送能力の端末であれば、目標プリコーディング指示は、ある目標アンテナポートのみが非ゼロであることを含むrank1のプリコーディング指示である。
【0205】
例7:
ノンコードブックの上り伝送を例にとると、端末が完全コヒーレント伝送能力の端末であれば、目標プリコーディング指示は、全てのプリコーディング指示であり、即ちどのSRI指示であってもアンテナポートに関する比例的スケーリングをしない。
【0206】
例8:
ノンコードブックの上り伝送を例にとると、端末が部分コヒーレント伝送能力の端末であれば、設定されるアンテナポートの数が4である場合、1つの非目標プリコーディング指示に対応するrank数が1であると、対応するアンテナポートに関するスケーリング比率は、1/2である。
【0207】
例9:
ノンコードブックの上り伝送を例にとると、端末が部分コヒーレント伝送能力の端末であれば、設定されるアンテナポートの数が4である場合、1つの非目標プリコーディング指示に対応するrank数が3であると、対応するアンテナポートに関するスケーリング比率は、1/2である。
【0208】
本開示の実施例に係る上り電力制御方法は、上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応する場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御することによって、端末が低い信号対雑音比で受信したプリコーディング指示が目標プリコーディング指示である場合に最大送信電力を達成できることを保証し、上りカバレッジの性能を向上させる。例えば、端末がノンコードブックの上りMIMO低ランク伝送を行う場合、目標プリコーディング指示に対応する上り伝送では上り最大送信電力を達成でき、非コヒーレント伝送能力又は部分コヒーレント伝送能力の端末がコードブックに基づく上りMIMO伝送を行う場合、目標プリコーディング指示に対応する上り伝送では上り最大送信電力を達成でき、且つ端末の全てのアンテナが最大送信電力を達成できることが求められないため、コストが低減される。また、全てのプリコーディング指示に対応する上り伝送では、電力制御プロセスで特定される上り送信電力に対し、アンテナポート(1未満)に関する電力スケーリングを行うことよりも、端末が受信したプリコーディング指示が目標プリコーディング指示である場合、端末の上り送信電力がより大きく、より良い性能が得られる。
【0209】
以上の実施例に係る上り電力制御方法に基づいて、本開示の実施例は、端末を更に提供する。
図2を参照し、該端末は、上りプリコーディング指示を取得する取得モジュール201と、前記上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応する場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御する制御モジュール202とを含む。
【0210】
本開示の一部実施例によれば、前記制御モジュール202は、具体的には、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングせず、又は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を電力スケーリング因子1でスケーリングする。
【0211】
本開示の一部実施例によれば、前記制御モジュール202は、更に、前記上りプリコーディング指示が前記目標プリコーディング指示以外の他のプリコーディング指示に対応する場合、ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数、又はネットワーク機器によって端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする。
【0212】
本開示の一部実施例によれば、前記制御モジュール202は、更に、前記上りプリコーディング指示が第1ストリーム数のストリーム伝送に対応し且つ前記目標プリコーディング指示以外の他のプリコーディング指示に対応する場合、ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数、又はネットワーク機器によって端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする。
【0213】
本開示の一部実施例によれば、前記目標プリコーディング指示は、目標コードワードに対応するTPMI及び/又は目標コードワードに対応するTRIを含む。
【0214】
本開示の一部実施例によれば、前記目標コードワードは、目標アンテナポートのみで非ゼロ値を有するコードワードを含む。
【0215】
本開示の一部実施例によれば、前記目標アンテナポートは、最も小さいインデックスのアンテナポートを含む。
【0216】
本開示の一部実施例によれば、前記目標プリコーディング指示は、目標SRSリソースを指示するSRIを含む。
【0217】
本開示の一部実施例によれば、前記目標SRSリソースは、最も小さいインデックスのSRSリソースを含む。
【0218】
本開示の一部実施例によれば、前記目標プリコーディング指示は、シングルストリーム伝送時のプリコーディング指示を含む。
【0219】
本開示の一部実施例によれば、前記目標プリコーディング指示は、予め定義されたプリコーディング指示であり、又は、前記目標プリコーディング指示は、ネットワーク機器から送信される前記目標プリコーディング指示の指示情報に基づいて得られる。前記端末は、ネットワーク機器から送信される前記目標プリコーディング指示の指示情報を受信し、前記指示情報に基づいて前記目標プリコーディング指示を取得する第1受信モジュールを更に含む。
【0220】
本開示の一部実施例によれば、前記端末は、前記目標プリコーディング指示に基づいて、物理アンテナとアンテナポートとの間のマッピング関係を特定し、前記マッピング関係に基づいて上り参照信号を送信する第4送信モジュールを更に含む。
【0221】
本開示の一部実施例によれば、前記制御モジュール202は、ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする場合、具体的には、前記プリコーディング指示と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数とから、非ゼロのPUSCH伝送電力を有するアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第1比を取得し、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を前記第1比でスケーリングする。
【0222】
本開示の一部実施例によれば、前記制御モジュール202は、ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする場合、端末にサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第2比を取得し、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を前記第2比でスケーリングする。
【0223】
本開示の一部実施例によれば、前記制御モジュール202は、ネットワーク機器によって端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする場合、SRIで指示されるSRSリソース数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するSRSリソース数との第3比を取得し、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を前記第3比でスケーリングする。
【0224】
本開示の一部実施例によれば、前記端末は、ネットワーク機器から送信されるコードブックサブセット制限情報を受信し、前記コードブックサブセット制限情報に基づいて、前記上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応するか否かを特定する第2受信モジュールを更に含む。
【0225】
本開示の一部実施例によれば、異なる伝送モードでは異なる目標プリコーディング指示に対応する。
【0226】
本開示の実施例に係る上記端末は、上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応する場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御することによって、端末が低い信号対雑音比で受信したプリコーディング指示が目標プリコーディング指示である場合に最大送信電力を達成できることを保証し、上りカバレッジの性能を向上させる。例えば、端末がノンコードブックの上りMIMO低ランク伝送を行う場合、目標プリコーディング指示に対応する上り伝送では上り最大送信電力を達成でき、非コヒーレント伝送能力又は部分コヒーレント伝送能力の端末がコードブックに基づく上りMIMO伝送を行う場合、目標プリコーディング指示に対応する上り伝送では上り最大送信電力を達成でき、且つ端末の全てのアンテナが最大送信電力を達成できることが求められないため、コストが低減される。また、全てのプリコーディング指示に対応する上り伝送では、電力制御プロセスで特定される上り送信電力に対しアンテナポート(1未満)に関する電力スケーリングを行うことよりも、端末が受信したプリコーディング指示が目標プリコーディング指示である場合、端末の上り送信電力がより大きく、より良い性能が得られる。
【0227】
なお、上記の上り電力制御方法の実施例におけるすべての実現方式は、該端末の実施例に適用可能であり、同様の技術効果を奏することもできる。
【0228】
本開示の一部実施例によれば、
図3に示すように、トランシーバ310と、メモリ320と、プロセッサ300と、ユーザインタフェース330と、バスインタフェースと、前記メモリ320に記憶されて前記プロセッサ300で動作可能なコンピュータプログラムを含む端末を更に提供する。前記トランシーバ310は、上りプリコーディング指示を取得する。前記プロセッサ300は、メモリからプログラムを読み取ることによって、前記上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応する場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御するプロセスを実行する。
【0229】
ここで、
図3において、バスアーキテクチャは、任意数の相互接続するバスとブリッジを含み、具体的に、プロセッサ300をはじめとする1つ又は複数のプロセッサとメモリ320をはじめとするメモリの各種類の回路が接続したものである。バスアーキテクチャは、周辺イクイップメント、レギュレーター、電力管理回路などの各種類のほかの回路を接続したものであってもよい。これらは、いずれも本分野の公知事項であり、本文においてさらなる記載をしない。バスインタフェースにより、インタフェースが提供される。トランシーバ310は、複数の部品であってもよく、即ち送信機と送受信機を含み、伝送媒体でほかの各種類の装置と通信するユニットとして提供される。ユーザ端末によっては、ユーザインタフェース330は、必要の機器に内部接続や外部接続するためのインタフェースであってもよい。接続する機器は、キーパッド、ディスプレイ、スピーカ、マイクロフォン、ジョイスティックなどを含むが、それらに限られない。
【0230】
プロセッサ300は、バスアーキテクチャと通常の処理を管理する。メモリ320は、プロセッサ300による操作実行に使用されるデータを記憶できる。
【0231】
本開示の一部実施例によれば、前記プロセッサ300は、具体的には、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングせず、又は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を電力スケーリング因子1でスケーリングする。
【0232】
本開示の一部実施例によれば、前記プロセッサ300は、更に、前記上りプリコーディング指示が前記目標プリコーディング指示以外の他のプリコーディング指示に対応する場合、ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数、又はネットワーク機器によって端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする。
【0233】
本開示の一部実施例によれば、前記プロセッサ300は、更に、前記上りプリコーディング指示が第1ストリーム数のストリーム伝送に対応し且つ前記目標プリコーディング指示以外の他のプリコーディング指示に対応する場合、ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数、又はネットワーク機器によって端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする。
【0234】
本開示の一部実施例によれば、前記目標プリコーディング指示は、目標コードワードに対応するTPMI及び/又は目標コードワードに対応するTRIを含む。
【0235】
本開示の一部実施例によれば、前記目標コードワードは、目標アンテナポートのみで非ゼロ値を有するコードワードを含む。
【0236】
本開示の一部実施例によれば、前記目標アンテナポートは、最も小さいインデックスのアンテナポートを含む。
【0237】
本開示の一部実施例によれば、前記目標プリコーディング指示は、目標SRSリソースを指示するSRIを含む。
【0238】
本開示の一部実施例によれば、前記目標SRSリソースは、最も小さいインデックスのSRSリソースを含む。
【0239】
本開示の一部実施例によれば、前記目標プリコーディング指示は、シングルストリーム伝送時のプリコーディング指示を含む。
【0240】
本開示の一部実施例によれば、前記目標プリコーディング指示は、予め定義されたプリコーディング指示であり、又は、前記目標プリコーディング指示は、ネットワーク機器から送信される前記目標プリコーディング指示の指示情報に基づいて得られる。前記トランシーバ310は、更に、ネットワーク機器から送信される前記目標プリコーディング指示の指示情報を受信する。前記プロセッサ300は、前記指示情報に基づいて前記目標プリコーディング指示を取得する。
【0241】
本開示の一部実施例によれば、前記プロセッサ300は、更に、前記目標プリコーディング指示に基づいて、物理アンテナとアンテナポートとの間のマッピング関係を特定し、前記トランシーバは、前記マッピング関係に基づいて上り参照信号を送信する。
【0242】
本開示の一部実施例によれば、前記プロセッサ300は、ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする場合、具体的には、前記プリコーディング指示と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数とから、非ゼロのPUSCH伝送電力を有するアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第1比を取得し、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を前記第1比でスケーリングする。
【0243】
本開示の一部実施例によれば、前記プロセッサ300は、ネットワーク機器によって端末に設定するアンテナポートの数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする場合、端末にサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第2比を取得し、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を前記第2比でスケーリングする。
【0244】
本開示の一部実施例によれば、前記プロセッサ300は、ネットワーク機器によって端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする場合、SRIで指示されるSRSリソース数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するSRSリソース数との第3比を取得し、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を前記第3比でスケーリングする。
【0245】
本開示の一部実施例によれば、前記トランシーバ310は、更に、ネットワーク機器から送信されるコードブックサブセット制限情報を受信し、前記プロセッサ300は、更に、前記コードブックサブセット制限情報に基づいて、前記上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応するか否かを特定する。
【0246】
本開示の一部実施例によれば、異なる伝送モードでは異なる目標プリコーディング指示に対応する。
【0247】
本開示の一部実施例において、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を更に提供する。該プログラムがプロセッサによって実行されると、上記の端末側の上り電力制御方法のステップが実現される。
【0248】
本開示の一部実施例において、
図4に示すように、ネットワーク機器に応用される上り電力制御方法を更に提供する。前記方法において、端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定するステップ401と、前記送信電力仮定に基づいて、前記端末の上りプリコーディング指示を特定するステップ402と、前記上りプリコーディング指示を前記端末に送信するステップ403とを含む。
【0249】
本開示の実施例の上り電力制御方法において、ネットワーク機器は、端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定し、上りプリコーディング指示を端末に送信する。それによって、端末は、上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応する場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御する。このように、一部のプリコーディング指示で最大送信電力を達成できることを保証し、性能を向上させることができる。例えば、端末がノンコードブックの上りMIMO低ランク伝送を行う場合、一部のプリコーディングでは上り最大送信電力を達成でき、非コヒーレント伝送能力又は部分コヒーレント伝送能力の端末がコードブックに基づく上りMIMO低ランク伝送を行う場合、一部のプリコーディングでは上り最大送信電力を達成でき、且つ端末の全てのアンテナが最大送信電力を達成できることが求められないため、コストが低減される。
【0250】
ネットワーク機器は、端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定に基づいて、CSI(Channel State Information)、TPMI、TRI、MCS(Modulation and Coding Scheme)などの上りスケジューリング情報を特定する。
【0251】
本開示の一部実施例によれば、ネットワーク機器は、目標プリコーディング指示に対応する目標プリコーディングについて、正規化電力1でCQI(Channel Quality Indicator)の計算を行い、他のプリコーディング指示に対応するプリコーディングについて、スケーリング(scaling)後の電力に対し正規化電力でCQIの計算を行う。例えば、コードブック上り伝送の場合、目標プリコーディング指示に対応するコードワードが
【数23】
であれば、ネットワーク機器は、目標プリコーディング指示が実際に対応するコードワードが
【数24】
であることに基づいてCQIを算出する。即ち、ネットワーク機器は、コードワード
【数25】
に対応する送信電力が、コードワード
【数26】
の2倍であると仮定してCQIを算出する。例えば、ノンコードブック上り伝送の場合、4つのSRSリソースが設定されているのであれば、目標プリコーディング指示は、SRI=0に対応する。すると、ネットワーク機器は、SRI=0に対応するSRSリソースに対応するCQIを算出する際に、対応するプリコーディング正規化電力が1であることに基づいてCQIの計算を行い、他のSRIについて、scaling後の正規化電力で算出する。例えば、SRI=1の場合、対応するプリコーディング正規化電力が1/4であることに基づいてCQIを算出し、SRI=1、2の場合、対応するプリコーディング正規化総電力が1/2であることに基づいてCQIを算出する。
【0252】
本実施例において、プリコーディングについて正規化電力が1であることに基づいてCQIを算出することは、端末が受信したプリコーディング指示情報が該プリコーディングに対応するのであれば、端末が電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御するとネットワーク機器が仮定を立て、該仮定の下でCQIを算出することである。プリコーディングについて、正規化電力がスケーリング後の電力であることに基づいてCQIの計算を行うことは、端末が受信したプリコーディング指示情報が該プリコーディングに対応するのであれば、端末が電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングするとネットワーク機器が仮定を立て、該仮定の下でCQIの計算を行うことである。選択可能に、端末が電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御することは、具体的には、端末が電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリング因子1でスケーリングする。選択可能に、端末が電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御することは、具体的には、端末が電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングしない。
【0253】
本開示の実施例に言及されている目標プリコーディングは、第1目標プリコーディング、第2目標プリコーディング及び第3目標プリコーディングを含む。
【0254】
本開示の一部実施例によれば、目標プリコーディングは、予め定義されたプリコーディングであり、又は、目標プリコーディングは、ネットワーク機器によって設定されるプリコーディングである。
【0255】
本開示の一部実施例によれば、目標プリコーディングを予め定義する方式は、直接方式又は間接方式であってよい。
【0256】
例えば、直接的な事前定義方式の1つは、index(インデックス)が0に等しいとき、それに対応するプリコーディングが目標プリコーディングであることを事前に定義する。別の直接的な事前定義方式は、プリコーディングが特定の1つ又は複数の値に対応するとき、それが目標プリコーディングであることを事前に定義する。
【0257】
間接的な方式として、以下が考えられる。
-1つの方式は、プリコーディングの値がいくつかの予め定義された値に対応する場合に、ネットワーク機器が、対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力に対し端末がアンテナポートに関する比例的スケーリングをしないことであると特定するように予め定義する。
-1つの方式は、プリコーディングの値がいくつかの予め定義された値に対応する場合に、ネットワーク機器が、対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力に対し端末がアンテナポートに関するスケーリング因子1の比例的スケーリングをすることであると特定するように予め定義する。
-1つの方式は、プリコーディングの値がいくつかの予め定義された値に対応する場合に、端末が電力制御プロセスで特定される上り送信電力を比例的にスケーリングした後の送信電力が、電力制御プロセスで特定される上り送信電力に等しくなることを予め定義する。
-1つの方式は、コードブックにおいて、アンテナポートの一部のみを使用する一部のコードワードの正規化電力を1に設定することである。この部分のコードワードに対応するプリコーディングは、目標プリコーディングに対応すると見なされる。
【0258】
他の方式も、列挙されないものの、本開示の範囲内に含まれるべきであることに留意されたい。
【0259】
本開示の一部実施例によれば、ネットワーク機器は、目標プリコーディング指示の指示情報をRRCシグナリングによって端末に送信する。
【0260】
本開示の一部実施例によれば、目標プリコーディングは、目標コードワードに対応するプリコーディングであり、目標プリコーディングに対応する目標プリコーディング指示は、目標コードワードに対応するTPMI(Transmit Precoding Matrix Indicator)及び/又は目標コードワードに対応するTRI(Transmit Rank Indication)である。
【0261】
たとえば、上り伝送方式がコードブックに基づく上り伝送である場合、プリコーディング指示がDCI(Downlink Control Information)のプリコーディング情報及びストリーム数Precoding information and number of layersフィールドによって指示されると、該プリコーディング指示には、該プリコーディングに対応する上り伝送に対応するTPMI及びTRIが含まれる。目標プリコーディング指示は、目標コードワードに対応するPrecoding information and number of layersの値である。
【0262】
目標プリコーディングは、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0263】
本開示の一部実施例によれば、目標プリコーディングは、シングルストリーム伝送のコードワードに対応するプリコーディングである。
【0264】
本開示の一部実施例によれば、目標プリコーディングのうちの一部のプリコーディングは、シングルストリーム伝送の1つ又は複数のコードワードに対応し、一部のプリコーディングは、マルチストリーム伝送の1つ又は複数のコードワードに対応する。
【0265】
本開示の一部実施例によれば、目標プリコーディングは、目標コードワードに対応するプリコーディングを含む。
【0266】
本開示の一部実施例によれば、前記目標コードワードは、予め定義されたコードワードである。又は、前記目標コードワードは、ネットワーク機器によって設定される目標コードワードである。
【0267】
本開示の一部実施例によれば、前記目標コードワードは、目標アンテナポートのみで非ゼロ値を有するコードワードを含む。
【0268】
この場合、目標プリコーディングは、目標アンテナポートのみで非ゼロ値を有するコードワードに対応するプリコーディングを含む。目標プリコーディング指示は、目標アンテナポートのみで非ゼロ値を有するコードワードに対応するプリコーディング指示を含む。
【0269】
本開示の一部実施例によれば、目標プリコーディングは、目標アンテナポートのみで非ゼロ値を有する1つのコードワードに対応する1つのプリコーディングを含む。
【0270】
本開示の一部実施例によれば、目標プリコーディング指示は、目標アンテナポートのみで非ゼロ値を有する全てのコードワードに対応する全てのプリコーディングを含む。
【0271】
例えば、目標プリコーディングは、ネットワーク機器によって端末に2つのアンテナポートを設定した場合、コードブックのうち一番目のアンテナポート(インデックスの昇順)のみで非ゼロ値を有する1つのコードワードに対応する1つのプリコーディングを含む。目標プリコーディング指示は、ネットワーク機器によって端末に2つのアンテナポートを設定した場合、コードブックのうち一番目のアンテナポートのみで非ゼロ値を有する1つのコードワードに対応する1つのTPMIを含む。また例えば、目標プリコーディングは、ネットワーク機器によって端末に4つのアンテナポートを設定した場合、コードブックのうち2番目のアンテナポート(インデックスの昇順)のみで非ゼロ値を有する1つのコードワードに対応するプリコーディングを含み、目標プリコーディング指示は、ネットワーク機器によって端末に4つのアンテナポートを設定した場合、コードブックのうち2番目のアンテナポートのみで非ゼロ値を有する1つのコードワードに対応する1つのTPMIなどを含む。上記の例に限定されない。
【0272】
本開示の一部実施例によれば、上記目標アンテナポートは、予め定義されたアンテナポートである。又は、前記目標アンテナポートは、ネットワーク機器によって設定される目標アンテナポートである。
【0273】
本開示の一部実施例によれば、前記目標アンテナポートは、最も小さいインデックスのアンテナポートを含む。
【0274】
本開示の一部実施例によれば、前記目標アンテナポートは、最も小さいインデックスのアンテナポートである。
【0275】
この場合、目標プリコーディングは、最も小さいインデックスのアンテナポートのみで非ゼロ値を有するコードワードに対応するプリコーディングであり、目標プリコーディング指示は、最も小さいインデックスのアンテナポートのみで非ゼロ値を有するコードワードに対応するプリコーディング指示である。
【0276】
本開示の一部実施例によれば、目標プリコーディングは、目標SRSリソースに対応するプリコーディングを含み、目標プリコーディング指示は、目標SRSリソースを指示するSRIを含む。
【0277】
例えば、ノンコードブックに基づく上り伝送の場合、プリコーディング指示は、SRI(SRS resource indicator)であり、PUSCH伝送に対応するSRSリソースを指示するSRIは、DCIの「SRSリソース指示SRS resource indicator」フィールドから取得される。端末は、SRIに基づいて上り伝送のストリーム数を同時に取得することができる。
【0278】
本開示の一部実施例によれば、目標プリコーディングは、(SRSリソース設定のインデックスの昇順で)一番目のSRSリソースに対応するプリコーディングを含む。また例えば、目標プリコーディング指示は、(SRSリソース設定のインデックスの昇順で)先頭から2つのSRSリソースに対応するプリコーディングを含む。
【0279】
本開示の一部実施例によれば、前記目標SRSリソースは、最も小さいインデックスのSRSリソースを含む。
【0280】
この場合、目標プリコーディングは、最も小さいインデックスのSRSリソースに対応するプリコーディングを含み、目標プリコーディング指示は、最も小さいインデックスのSRSリソースを指示するSRIを含む。
【0281】
本開示の一部実施例によれば、前記目標SRSリソースは、最も小さいインデックスのSRSリソースである。
【0282】
本開示の一部実施例によれば、目標プリコーディングは、目標SRSリソースに対応する1つ又は複数のプリコーディングであり得る。
【0283】
本開示の一部実施例によれば、目標プリコーディングは、目標SRSリソースに対応する全てのプリコーディングである。
【0284】
本開示の一部実施例によれば、前記目標プリコーディング指示は、シングルストリーム伝送時のプリコーディング指示を含む。
【0285】
本開示の一部実施例によれば、目標プリコーディングは、シングルストリーム伝送時に、最も小さいインデックスのアンテナポートのみで非ゼロ値を有するコードワードに対応するプリコーディングである。
【0286】
本開示の一部実施例によれば、上記ステップ401は、仮定の端末のコヒーレント伝送能力及び上り伝送モードを特定するステップ4011と、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力及び/又は前記上り伝送モードに基づいて、前記端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定するステップ4012とを含む。
【0287】
この場合、ネットワーク機器は、仮定の端末のコヒーレント伝送能力及び/又は上り伝送モードに基づいて、端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定することによって、端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定に基づいて、上りスケジューリング情報を特定する。
【0288】
本開示の一部実施例によれば、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力は、端末のコヒーレント伝送能力報告から得られる端末コヒーレント伝送能力であり、又は、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力は、端末に設定するコードブックサブセット制限に対応するコヒーレント伝送能力である。
【0289】
ここで、異なる上り伝送モードは、異なる仮定の端末のコヒーレント伝送能力に対応する。
【0290】
例えば、ノンコードブックの上り伝送の場合、仮定の端末のコヒーレント伝送能力は、端末のコヒーレント伝送能力報告から得られる。コードブックに基づく伝送モードにおいて、仮定の端末のコヒーレント伝送能力は、ネットワーク機器によって端末に設定するコードブックサブセット制限に対応するコヒーレント伝送能力である。2種類の仮定の端末のコヒーレント伝送能力は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0291】
本開示の一部実施例によれば、仮定の端末のコヒーレント伝送能力は、端末のコヒーレント伝送能力報告から得られ、仮定の端末のコヒーレント伝送能力は、端末から報告されるコヒーレント伝送能力である。即ち、端末から報告されるコヒーレント伝送能力が非コヒーレント伝送能力であると、仮定の端末のコヒーレント伝送能力は、非コヒーレント伝送能力である。端末から報告されるコヒーレント伝送能力が部分コヒーレント伝送能力であると、仮定の端末のコヒーレント伝送能力は、部分コヒーレント伝送能力である。端末から報告されるコヒーレント伝送能力が完全コヒーレント伝送能力であると、仮定の端末のコヒーレント伝送能力は、完全コヒーレント伝送能力である。
【0292】
本開示の一部実施例によれば、仮定の端末のコヒーレント伝送能力は、ネットワーク機器によって端末に設定するコードブックサブセット制限に対応するコヒーレント伝送能力である。例えば、ネットワーク機器によって端末に設定するコードブックサブセット制限情報が非コヒーレント伝送に対応する場合、仮定の端末のコヒーレント伝送能力は、非コヒーレント伝送能力である(例えば3GPP NRシステムにおいて、該端末のコードブックサブセット制限指示情報の上位層パラメータcodebookSubsetをnonCoherentに設定しようとし、又は既にnonCoherentに設定していると、ネットワーク機器によって仮定した端末コヒーレント伝送能力が非コヒーレント伝送能力である)。例えば、ネットワーク機器によって端末に設定するコードブックサブセット制限情報が部分コヒーレント伝送に対応する場合、仮定の端末のコヒーレント伝送能力は、部分コヒーレント伝送能力である(例えば3GPP NRシステムにおいて、該端末のコードブックサブセット制限指示情報の上位層パラメータcodebookSubsetをpartialAndNonCoherentに設定しようとし、又は既にpartialAndNonCoherentに設定していると、ネットワーク機器によって仮定した端末コヒーレント伝送能力が部分コヒーレント伝送能力である)。例えば、ネットワーク機器によって端末に設定するコードブックサブセット制限情報が完全コヒーレント伝送に対応する場合、仮定の端末のコヒーレント伝送能力は、完全コヒーレント伝送能力である(例えば3GPP NRシステムにおいて、該端末のコードブックサブセット制限指示情報の上位層パラメータcodebookSubsetをfullyAndPartialAndNonCoherentに設定しようとし、又は、既にfullyAndPartialAndNonCoherentに設定していると、ネットワーク機器によって仮定した端末コヒーレント伝送能力が完全コヒーレント伝送能力である)。
【0293】
本開示の一部実施例によれば、上記ステップ4012は、前記上り伝送モードにおいて第1目標プリコーディングが存在する場合、前記第1目標プリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように前記端末は制御することであると特定するステップ40121を含む。
【0294】
この場合、ネットワーク機器は、上り伝送モードにおいて第1目標プリコーディングが存在する場合、第1目標プリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように端末は制御することであると特定し、即ち、第1目標プリコーディングの正規化電力スケーリング因子が1であり、又はスケーリングしない。
【0295】
端末は、受信した上りプリコーディング指示が第1目標プリコーディングに対応する場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御する。
【0296】
本開示の一部実施例によれば、上記ステップ4012は、前記第1目標プリコーディング以外の他のプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、端末に設定するアンテナポートの数又は端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて前記端末がスケーリングすることであると特定するステップ40122を含む。
【0297】
この場合、ネットワーク機器は、上り伝送モードにおいて第1目標プリコーディングが存在する場合、第1目標プリコーディング以外の他のプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力に対し、端末に設定するアンテナポートの数又は端末に設定するSRSリソース数に基づいて前記端末がアンテナポートに関するケーリングをすることであると特定する。
【0298】
本開示の一部実施例によれば、本ステップにおいて、前記の前記第1目標プリコーディング以外の他のプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、端末に設定するアンテナポートの数又は端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて前記端末がスケーリングすることであると特定することは、前記第1目標プリコーディング以外の他のプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力に対し、端末に設定するアンテナポートの数又は端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて前記端末が1未満のスケーリング因子でスケーリングすることであると特定する。
【0299】
端末は、受信した上りプリコーディング指示が第1目標プリコーディングのプリコーディング指示以外の他のプリコーディング指示に対応する場合、上りプリコーディング指示及びネットワークによって端末に設定するアンテナポートの数又はネットワーク機器によって端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする。
【0300】
例えば、3GPP NRシステムにおいて、コードブックに基づく上り伝送の目標プリコーディングが、シングルストリーム伝送の場合に最も小さいインデックスのアンテナポートのみで非ゼロ値を有するコードワードに対応するプリコーディングである場合、対応する電力制御プロセスで特定される上り送信電力に対し、アンテナポートの数に関する比例的スケーリングをしないプリコーディングに対応するコードワードは、端末に設定されるアンテナポートの数が2である場合に
【数27】
であり、端末に設定されるアンテナポートの数が4である場合に
【数28】
である。
【0301】
例えば、目標プリコーディングが、シングルストリーム伝送の場合に最も小さいインデックスのアンテナポートのみで非ゼロ値を有するコードワードに対応するプリコーディングであり、目標プリコーディング指示が、シングルストリーム伝送の場合に最も小さいインデックスのアンテナポートのみで非ゼロ値を有するコードワードに対応するプリコーディング指示であると仮定する。ネットワーク機器は、コードワード
【数29】
に対応するプリコーディングが第1目標プリコーディングに属し、それに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力が不変であるように端末は制御することであると特定する。端末は、コードワードが
【数30】
であることを指示する上りプリコーディング指示を受信し、即ちPUSCH設定のアンテナポートの数が2であり、コードワードのうちの一方のアンテナポートに対応する数値は、非ゼロであり、他方のアンテナポートに対応する数値は、0である。端末にとって従来の方式によれば、該コードワードに対応するPUSCH総送信電力が、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の1/2である。本開示の実施例の方式によれば、該コードワードに対応するPUSCH総送信電力は、不変になる、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値である。即ち、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングせず、又は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を電力スケーリング因子1でスケーリングする。
【0302】
例えば、目標プリコーディング指示が、シングルストリーム伝送の場合に最も小さいインデックスのアンテナポートのみで非ゼロ値を有するコードワードに対応するプリコーディング指示であると仮定する。ネットワーク機器は、コードワード
【数31】
に対応するプリコーディングが第1目標プリコーディングに属し、それに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力が不変であるように端末は制御することであると特定する。端末は、コードワードが
【数32】
であることを指示する上りプリコーディング指示を受信する場合、即ちPUSCH設定のアンテナポートの数が4であり、コードワードのうちの1つのアンテナポートに対応する数値は、非ゼロであり、他のアンテナポートに対応する数値は、0である。端末にとって従来の方式によれば、該コードワードに対応するPUSCH総送信電力は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の1/4である。本開示の実施例の方式によれば、上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応すると、該コードワードに対応するPUSCH総送信電力は、不変になる、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値である。即ち、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングせず、又は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を電力スケーリング因子1でスケーリングする。
【0303】
本開示の一部実施例によれば、コードブックに基づく上り伝送の場合、目標プリコーディング指示に対応するコードワードの正規化因子によって該コードワードの正規化電力を1にする。ここで、コードワードの正規化電力は、コードワードにおけるすべての位置の電力の合計を指し、即ち、コードワードにおけるすべての位置の数値の平方である。例えば、コードワード
【数33】
の正規化電力は、1/2であり、コードワード
【数34】
の正規化電力は、1である。
【0304】
ノンコードブックの上り伝送の場合、目標プリコーディングが最も小さいインデックスのSRSリソースに対応するプリコーディングであり、例えば、目標プリコーディングが、(インデックスの昇順で)一番目のSRSリソースに対応するプリコーディングであれば、ネットワーク機器は、一番目のSRSリソースに対応するプリコーディングが第1目標プリコーディングに属し、それに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値不変であるように端末は制御することであると特定する。端末は、一番目のSRSリソースのみを指示するSRIを受信し、本開示の実施例の方式によれば、上りプリコーディング指示SRIは、目標プリコーディング指示に対応し、対応するPUSCH総送信電力は、不変になる、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値であり、即ち、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングせず、又は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を電力スケーリング因子1でスケーリングする。
【0305】
あるプリコーディングは、一番目のSRSリソースのみに対応するだけではなく、又は一番目のSRSリソースに対応しない場合(例えば、目標プリコーディングが1番目、2番目のSRSリソースに対応し、また、例えば、目標プリコーディングが3番目のSRSリソースに対応するなどの場合)、ネットワーク機器は、該プリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力に対し端末がスケーリングした後の電力を特定する。端末がネットワーク機器から受信したSRIが一番目のSRSリソースのみに対応するだけではなく、又は一番目のSRSリソースに対応しない場合(例えば、SRIが1番目、2番目のSRSリソースに対応し、また、例えば、SRIが3番目のSRSリソースに対応するなどの場合)、端末は、対応するPUSCH総上り送信電力を、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングした後の電力に特定する。
【0306】
本開示の一部実施例によれば、本開示の実施例の方法は、一部の特定タイプの端末のみに適用可能である。例えば、非コヒーレント伝送能力を有する端末のみに適用する。また、例えば、非コヒーレント伝送能力又は部分コヒーレント伝送能力を有する端末のみに適用する。
【0307】
本開示の一部実施例によれば、本開示の実施例の方法は、1つの伝送モードにおいて一部のタイプの端末に適用し、別の伝送モードにおいて別のタイプの端末に適用する。例えば、コードブック伝送モードにおいて、コヒーレント伝送能力又は部分コヒーレント伝送能力を有する端末に適用し、ノンコードブック伝送モードにおいてすべての端末に適用する。
【0308】
本開示の一部実施例によれば、異なるコヒーレント伝送能力の端末は、異なる目標プリコーディングに対応することができる。
【0309】
本開示の一部実施例によれば、同一端末は、異なる伝送モードにおいて、異なる目標プリコーディングに対応する。
【0310】
一実施例として、N個のアンテナポートの設定では、目標プリコーディングの値は、複数であってもよい。例えば、ノンコードブック伝送モードでの目標プリコーディングの数は、2であり、目標プリコーディングは、(インデックスの昇順で)1番目のSRSリソースに対応するプリコーディング、及び、1番目及び2番目のSRSアンテナリソースに対応するプリコーディングである。即ち、プリコーディングに対応するSRSリソースが1番目のSRSリソースである場合、又はプリコーディングに対応するSRSリソースが1番目と2番目のSRSリソースである場合、ネットワーク機器は、該プリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力が不変であるように端末は制御し、アンテナポートに関するスケーリングをしないことであると特定する。プリコーディングに対応するSRSリソースが他のSRSリソースである場合、例えば、プリコーディングが2番目のSRSリソースに対応したり、他のSRSリソースに対応したりする場合、該プリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力に対し端末がアンテナポートに関する比例的スケーリングをした後の送信電力をネットワーク機器は特定する。
【0311】
本開示の一部実施例によれば、上記ステップ4012は、ステップ40123及び/又はステップ40124を含む。
【0312】
ステップ40123において、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が非コヒーレント伝送である場合、前記上り伝送モードにおける第2目標プリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように前記端末は制御することであると特定する。
【0313】
この場合、ネットワーク機器が仮定した端末のコヒーレント伝送能力が非コヒーレント伝送能力である場合、上り伝送モードにおける第2目標プリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように端末は制御することであると特定し、即ち、第2目標プリコーディングの正規化電力スケーリング因子が1であり、又はスケーリングしない。非コヒーレント伝送能力の端末は、受信した上りプリコーディング指示が第2目標プリコーディング指示に対応すると、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御する。
【0314】
ステップ40124において、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が部分コヒーレント伝送である場合、前記上り伝送モードにおける第3目標プリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように前記端末は制御することであると特定する。
【0315】
この場合、仮定の端末のコヒーレント伝送能力が部分コヒーレント伝送能力である場合、上り伝送モードにおける第3目標プリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように端末は制御することであると特定し、即ち、第3目標プリコーディングの正規化電力スケーリング因子が1であり、又はスケーリングしない。端末は、受信した上りプリコーディング指示が第3目標プリコーディング指示に対応すると、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御する。
【0316】
ここで、異なる上り伝送モードは、異なる第2目標プリコーディング及び/又は第3目標プリコーディングに対応する。
【0317】
本開示の一部実施例によれば、前記上り伝送モードがノンコードブック上り伝送であり、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が非コヒーレント伝送であり、上記ステップ4012は、前記第2目標プリコーディング以外の他のプリコーディングに対応する前記送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、前記他のプリコーディングにおける、非ゼロのPUSCH伝送電力を有するアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第1比で前記端末がスケーリングすることであると特定するステップ40125を更に含む。
【0318】
ここで、他のプリコーディングにおける、非ゼロのPUSCH伝送電力を有するアンテナポートの数をQ
used1とし、ネットワーク機器によって端末に設定する端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数をQ
configured1とすると、第1比k1は、
【数35】
である。ネットワーク機器は、ノンコードブック上り伝送に対し、仮定の端末のコヒーレント伝送能力が非コヒーレント伝送能力であると、第2目標プリコーディング以外の他のプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を端末が第1比K1に基づいてスケーリングすることであると特定する。端末が受信した上りプリコーディング指示は第2目標プリコーディング指示以外の他のプリコーディング指示に対応すると、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を端末が第1比K1に基づいてスケーリングする。
【0319】
本開示の一部実施例によれば、前記上り伝送モードがノンコードブック上り伝送であり、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が部分コヒーレント伝送であり、上記ステップ4012は、第3目標プリコーディング以外の第1ストリーム数のストリーム伝送に対応するプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、前記プリコーディングにおける、非ゼロのPUSCH伝送電力を有するアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第1比で前記端末がスケーリングすることであると特定するステップを更に含む。
【0320】
ここで、他のプリコーディングにおける、非ゼロのPUSCH伝送電力を有するアンテナポートの数をQ
used1とし、ネットワーク機器によって端末に設定する端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数をQ
configured1とすると、第1比K1は、
【数36】
である。ネットワーク機器は、ノンコードブック上り伝送に対し、仮定の端末のコヒーレント伝送能力が部分コヒーレント伝送能力であると、第3目標プリコーディング以外の第1ストリーム数のストリーム伝送に対応する他のプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を端末が第1比K1に基づいてスケーリングすることであると特定する。端末が受信した上りプリコーディング指示は第3目標プリコーディング指示以外の、第1ストリーム数のストリーム伝送に対応する他のプリコーディング指示に対応すると、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を端末が第1比K1に基づいてスケーリングする。
【0321】
ここで、第1ストリーム数は、シングスストリームであってもよいし、2ストリーム、3ストリーム、4ストリームなどのマルチストリームであってもよい。
【0322】
本開示の一部実施例によれば、前記上り伝送モードがノンコードブック上り伝送であり、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が部分コヒーレント伝送であり、上記ステップ4012は、第3目標プリコーディング以外の、シングルストリーム伝送に対応する他のプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、前記端末にサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第2比で前記端末がスケーリングすることであると特定するステップを更に含む。
【0323】
ここで、端末にサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数をQ
maxとし、ネットワーク機器によって端末に設定する端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数をQ
configured1とすると、第2比K2は、
【数37】
である。ネットワーク機器は、ノンコードブック上り伝送に対し、仮定の端末のコヒーレント伝送能力が部分コヒーレント伝送能力であると、第3目標プリコーディング以外の、シングルストリーム数のストリーム伝送に対応する他のプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を端末が第2比K2に基づいてスケーリングすることであると特定する。端末が受信した上りプリコーディング指示が第3目標プリコーディング指示以外の、シングルストリーム数のストリーム伝送に対応する他のプリコーディング指示に対応すると、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を端末が第2比K2に基づいてスケーリングする。
【0324】
この場合、ネットワーク機器は、ノンコードブック上り伝送に対し、仮定の端末のコヒーレント伝送能力が部分コヒーレント伝送であると、目標プリコーディング指示以外の、マルチストリーム(例えば2ストリーム、3ストリーム又は4ストリーム)伝送の他のプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を端末が第1比K1に基づいてスケーリングすることであると特定する。
【0325】
もちろん、ネットワーク機器は、ノンコードブック上り伝送に対し、仮定の端末のコヒーレント伝送能力が部分コヒーレント伝送であると、目標プリコーディング指示以外の、マルチストリーム(例えば2ストリーム、3ストリーム又は4ストリーム)伝送の他のプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を端末が第2比K2に基づいてスケーリングすることであると特定してもよい。
【0326】
本開示の一部実施例によれば、前記上り伝送モードがノンコードブック上り伝送であり、上記ステップ4012は、シングルストリーム伝送に対応するプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、前記端末にサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第2比で前記端末がスケーリングすることであると特定するステップを含む。
【0327】
ここで、端末にサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数をQ
maxとし、ネットワーク機器によって端末に設定する端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数をQ
configured1とすると、第2比K2は、
【数38】
である。ネットワーク機器は、ノンコードブック上り伝送に対し、シングルストリーム数のストリーム伝送に対応するプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を端末が第2比K2に基づいてスケーリングすることであると特定する。端末が受信した上りプリコーディング指示がシングルストリーム数のストリーム伝送のプリコーディング指示に対応すると、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を端末が第2比K2に基づいてスケーリングする。
【0328】
本開示の一部実施例によれば、前記上り伝送モードがノンコードブック上り伝送であり、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が完全コヒーレント伝送であり、上記ステップ4012は、任意のプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように前記端末は制御することであると特定するステップを含む。
【0329】
この場合、ノンコードブックの上り伝送に対し、仮定の端末のコヒーレント伝送能力が完全コヒーレント伝送であると、ネットワーク機器は、任意のプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように前記端末は制御することであると特定する。端末は、任意のプリコーディング指示を受信し、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御する。
【0330】
本開示の一部実施例によれば、前記方法は、前記第1目標プリコーディングを指示するための指示情報を前記端末に送信することを更に含む。
【0331】
この場合、目標プリコーディング指示がシグナリングによって通知される場合、上り伝送モードにおいて第1目標プリコーディングが存在すると、ネットワーク機器は、第1目標プリコーディングを指示するための指示情報を端末に送信することによって、端末は、指示情報に基づいて第1目標プリコーディングの指示を取得し得、受信した上りプリコーディング指示が第1目標プリコーディング指示に対応する場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御し、即ちすべてのプリコーディングの正規化電力スケーリング因子が1であり、又はスケーリングしない。
【0332】
本開示の一部実施例によれば、前記方法は、前記第2目標プリコーディング及び/又は前記第3目標プリコーディングを指示するための指示情報を前記端末に送信することを更に含む。
【0333】
この場合、目標プリコーディング指示がシグナリングによって通知される場合、上り伝送モードにおいて第2目標プリコーディングが存在すると、ネットワーク機器は、第2目標プリコーディングを指示するための指示情報を端末に送信することによって、端末は、指示情報に基づいて第2目標プリコーディング指示を取得し得、受信した上りプリコーディング指示が第2目標プリコーディング指示に対応する場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御する。同様に、目標プリコーディング指示がシグナリングによって通知される場合、上り伝送モードにおいて第3目標プリコーディングが存在すると、ネットワーク機器は、第3目標プリコーディングを指示するための指示情報を端末に送信することによって、端末は、指示情報に基づいて第3目標プリコーディング指示を取得し得、受信した上りプリコーディング指示が第3目標プリコーディング指示に対応する場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御する。
【0334】
以下、本開示の実施例のいくつかの可能な実現方式を説明する。
【0335】
例1:
端末の伝送モードがコードブックに基づく上り伝送モードである場合、目標プリコーディング指示は、TPMIの値がindex0であるプリコーディング指示に対応する。目標プリコーディングは、対応するTPMIの値がindex0であるプリコーディング(コードワード)である。端末に送信するプリコーディング指示が目標プリコーディングに対応する目標プリコーディング指示であることがネットワーク機器によって仮定されると、端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングしない。端末に送信するプリコーディング指示が目標プリコーディングに対応する目標プリコーディング指示ではないことがネットワーク機器によって仮定されると、端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングし、スケーリング比率は、該プリコーディング指示に対応するコードワードに対応する非ゼロ電力のアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定するコードブックに基づく上り伝送の伝送モードに対応するアンテナポートの数との比である。端末が受信したプリコーディング指示が目標プリコーディング指示である場合、端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングしない。端末が受信したプリコーディング指示が目標プリコーディング指示でない場合、端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングし、スケーリング比率は、該プリコーディング指示に対応するコードワードに対応する非ゼロ電力のアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定するコードブックに基づく上り伝送の伝送モードに対応するアンテナポートの数との比である。
【0336】
例2:
端末の伝送モードがコードブックに基づかない上り伝送モードである場合、目標プリコーディング指示は、SRI indexが0であるプリコーディング指示(SRI=0)に対応する。目標プリコーディングは、SRI=0に対応するSRSリソースに対応するプリコーディングである。端末に送信するプリコーディング指示が目標プリコーディングに対応するプリコーディング指示であることがネットワーク機器によって仮定されると、端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングしない。端末に送信するプリコーディング指示が目標プリコーディングに対応する目標プリコーディング指示ではないことがネットワーク機器によって仮定されると、端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングし、スケーリング比率は、該プリコーディング指示に対応するコードワードに対応する非ゼロ電力のアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定するコードブックに基づかない上り伝送の伝送モードに対応するアンテナポートの数との比である。端末が受信したプリコーディング指示が目標プリコーディング指示である場合、端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングしない。端末が受信したプリコーディング指示が目標プリコーディング指示でない場合、端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングし、スケーリング比率は、該プリコーディング指示に対応するコードワードに対応する非ゼロ電力のアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定するコードブックに基づかない上り伝送の伝送モードに対応するアンテナポートの数との比である。
【0337】
例3:
端末の伝送モードがコードブックに基づかない上り伝送モードである場合、端末のコヒーレント伝送能力は、非コヒーレント伝送である。目標プリコーディング指示は、SRI indexが0であるプリコーディング指示(SRI=0)に対応する。目標プリコーディングは、SRI=0に対応するSRSリソースに対応するプリコーディングである。端末に送信するプリコーディング指示が目標プリコーディングに対応するプリコーディング指示であることがネットワーク機器によって仮定されると、端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングしない。端末に送信するプリコーディング指示が目標プリコーディングに対応する目標プリコーディング指示ではないことがネットワーク機器によって仮定されると、端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングし、スケーリング比率は、該プリコーディング指示に対応するコードワードに対応する非ゼロ電力のアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定するコードブックに基づかない上り伝送の伝送モードに対応するアンテナポートの数との比である。端末が受信したプリコーディング指示が目標プリコーディング指示である場合、端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングしない。端末が受信したプリコーディング指示が目標プリコーディング指示でない場合、端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングし、スケーリング比率は、該プリコーディング指示に対応するコードワードに対応する非ゼロ電力のアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定するコードブックに基づかない上り伝送の伝送モードに対応するアンテナポートの数との比である。
【0338】
例4:
端末の伝送モードがコードブックに基づかない上り伝送モードである場合、端末のコヒーレント伝送能力は、部分コヒーレント伝送である。目標プリコーディング指示は、SRI indexが0であるプリコーディング指示(SRI=0)に対応する。目標プリコーディングは、SRI=0に対応するSRSリソース(又は一番目のSRSリソース)に対応するプリコーディングである。端末に送信するプリコーディング指示が目標プリコーディングに対応するプリコーディング指示であることがネットワーク機器によって仮定されると、端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングしない。端末に送信するプリコーディング指示が目標プリコーディングに対応する目標プリコーディング指示ではないことがネットワーク機器によって仮定されると、端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングし、スケーリング比率は、該プリコーディング指示に対応するコードワードに対応する非ゼロ電力のアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定するコードブックに基づかない上り伝送の伝送モードに対応するアンテナポートの数との比である。端末が受信したプリコーディング指示が目標プリコーディング指示である場合、端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングしない。端末が受信したプリコーディング指示が目標プリコーディング指示でない場合、端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングし、スケーリング比率は、該プリコーディング指示に対応するコードワードに対応する非ゼロ電力のアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定するコードブックに基づかない上り伝送の伝送モードに対応するアンテナポートの数との比である。
【0339】
例5:
端末の伝送モードがコードブックに基づかない上り伝送モードである場合、端末のコヒーレント伝送能力は、部分コヒーレント伝送である。目標プリコーディング指示は、SRI indexが0であるプリコーディング指示(SRI=0)に対応する。目標プリコーディングは、SRI=0に対応するSRSリソース(又は一番目のSRSリソース)に対応するプリコーディングである。端末に送信するプリコーディング指示が目標プリコーディングに対応するプリコーディング指示であることがネットワーク機器によって仮定されると、端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングしない。端末に送信するプリコーディング指示が目標プリコーディングに対応する目標プリコーディング指示ではないことがネットワーク機器によって仮定されると、端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする。端末に送信するプリコーディング指示がシングルストリームに対応する場合、スケーリング比率は、該端末のコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数(例えば3GPP NRシステムにおけるコヒーレント伝送能力の定義に基づき、部分コヒーレント伝送時に、端末のコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数は、2であると見なされる)と、ネットワーク機器によって端末に設定するコードブックに基づかない上り伝送の伝送モードに対応するアンテナポートの数との比である。そうでない場合、スケーリング比率は、該プリコーディング指示に対応するコードワードに対応する非ゼロ電力のアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定するコードブックに基づかない上り伝送の伝送モードに対応するアンテナポートの数との比である。端末が受信したプリコーディング指示が目標プリコーディング指示である場合、端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングしない。端末が受信したプリコーディング指示が目標プリコーディング指示でない場合、端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする。端末に送信するプリコーディング指示がシングルストリームに対応する場合、スケーリング比率は、該端末のコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数(例えば3GPP NRシステムにおけるコヒーレント伝送能力の定義に基づき、部分コヒーレント伝送時に、端末のコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数は、2であると見なされる)と、ネットワーク機器によって端末に設定するコードブックに基づかない上り伝送の伝送モードに対応するアンテナポートの数との比である。そうでない場合、スケーリング比率は、該プリコーディング指示に対応するコードワードに対応する非ゼロ電力のアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定するコードブックに基づかない上り伝送の伝送モードに対応するアンテナポートの数との比である。
【0340】
例6:
端末の伝送モードがコードブックに基づかない上り伝送モードである場合、端末のコヒーレント伝送能力は、部分コヒーレント伝送である。目標プリコーディング指示は、SRI indexが0であるプリコーディング指示(SRI=0)に対応する。目標プリコーディングは、SRI=0に対応するSRSリソース(又は一番目のSRSリソース)に対応するプリコーディングである。端末に送信するプリコーディング指示が目標プリコーディングに対応するプリコーディング指示であることがネットワーク機器によって仮定されると、端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングしない。端末に送信するプリコーディング指示が目標プリコーディングに対応する目標プリコーディング指示ではないことがネットワーク機器によって仮定されると、端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする。スケーリング比率は、該端末のコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数(例えば3GPP NRシステムにおけるコヒーレント伝送能力の定義に基づき、部分コヒーレント伝送時に、端末のコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数は、2であると見なされる)と、ネットワーク機器によって端末に設定するコードブックに基づかない上り伝送の伝送モードに対応するアンテナポートの数との比である。端末が受信したプリコーディング指示が目標プリコーディング指示である場合、端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングしない。端末が受信したプリコーディング指示が目標プリコーディング指示でない場合、端末は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする。スケーリング比率は、該端末のコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数(例えば3GPP NRシステムにおけるコヒーレント伝送能力の定義に基づき、部分コヒーレント伝送時に、端末のコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数は、2であると見なされる)と、ネットワーク機器によって端末に設定するコードブックに基づかない上り伝送の伝送モードに対応するアンテナポートの数との比である。
【0341】
例7:
端末の伝送モードがコードブックに基づかない上り伝送モードである場合、端末のコヒーレント伝送能力は、部分コヒーレント伝送である。目標プリコーディングが存在せず、目標プリコーディング指示も存在しない。ネットワーク機器は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を端末がスケーリングすると仮定し、スケーリング比率は、該端末のコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数(例えば3GPP NRシステムにおけるコヒーレント伝送能力の定義に基づき、部分コヒーレント伝送時に、端末のコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数は、2であると見なされる)と、ネットワーク機器によって端末に設定するコードブックに基づかない上り伝送の伝送モードに対応するアンテナポートの数との比である。端末は、どのようなプリコーディング指示を受信したかに関わらず、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングする。スケーリング比率は、該端末のコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数(例えば3GPP NRシステムにおけるコヒーレント伝送能力の定義に基づき、部分コヒーレント伝送時に、端末のコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数は、2であると見なされる)と、ネットワーク機器によって端末に設定するコードブックに基づかない上り伝送の伝送モードに対応するアンテナポートの数との比である。
【0342】
例8:
端末の伝送モードがコードブックに基づかない上り伝送モードである場合、端末のコヒーレント伝送能力は、完全コヒーレント伝送である。目標プリコーディングが存在せず、目標プリコーディング指示も存在しない。ネットワーク機器は、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を端末がスケーリングしないと仮定する。端末は、どのようなプリコーディング指示を受信したかに関わらず、電力制御プロセスで特定される上り送信電力をスケーリングしない。
【0343】
本開示の実施例に係る上り電力制御方法において、ネットワーク機器は、端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定し、上りプリコーディング指示を端末に送信する。それによって、端末は、上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応する場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御する。このように、一部のプリコーディング指示で最大送信電力を達成できることを保証し、性能を向上させることができる。例えば、端末がノンコードブックの上りMIMO低ランク伝送を行う場合、一部のプリコーディングでは上り最大送信電力を達成でき、非コヒーレント伝送能力又は部分コヒーレント伝送能力の端末がコードブックに基づく上りMIMO低ランク伝送を行う場合、一部のプリコーディングでは上り最大送信電力を達成でき、且つ端末の全てのアンテナが最大送信電力を達成できることが求められないため、コストが低減される。
【0344】
上記実施例に係る上り電力制御方法に基づいて、本開示の実施例は、ネットワーク機器を更に提供する。
図5に示すように、該ネットワーク機器は、端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定する第1特定モジュール501と、前記送信電力仮定に基づいて、前記端末の上りプリコーディング指示を特定する第2特定モジュール502と、前記上りプリコーディング指示を前記端末に送信する第1送信モジュール503とを含む。
【0345】
本開示の実施例に係るネットワーク機器は、端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定し、上りプリコーディング指示を端末に送信する。それによって、端末は、上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応する場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御する。このように、一部のプリコーディング指示で最大送信電力を達成できることを保証し、性能を向上させることができる。例えば、端末がノンコードブックの上りMIMO低ランク伝送を行う場合、一部のプリコーディングでは上り最大送信電力を達成でき、非コヒーレント伝送能力又は部分コヒーレント伝送能力の端末がコードブックに基づく上りMIMO低ランク伝送を行う場合、一部のプリコーディングでは上り最大送信電力を達成でき、且つ端末の全てのアンテナが最大送信電力を達成できることが求められないため、コストが低減される。
【0346】
本開示の一部実施例によれば、第1特定モジュール501は、仮定の端末のコヒーレント伝送能力及び上り伝送モードを特定する第1特定サブモジュールと、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力及び/又は前記上り伝送モードに基づいて、前記端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定する第2特定サブモジュールとを含む。
【0347】
本開示の一部実施例によれば、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力は、端末のコヒーレント伝送能力報告から得られる端末コヒーレント伝送能力であり、又は、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力は、端末に設定するコードブックサブセット制限に対応するコヒーレント伝送能力である。
【0348】
本開示の一部実施例によれば、異なる上り伝送モードは、異なる仮定の端末コヒーレント伝送能力に対応する。
【0349】
本開示の一部実施例によれば、前記第2特定サブモジュールは、前記上り伝送モードにおいて第1目標プリコーディングが存在する場合、前記第1目標プリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御することであると前記端末は特定する第1特定ユニットを含む。
【0350】
本開示の一部実施例によれば、前記第2特定サブモジュールは、前記第1目標プリコーディング以外の他のプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、端末に設定するアンテナポートの数又は端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて前記端末がスケーリングすることであると特定する第2特定ユニットを更に含む。
【0351】
本開示の一部実施例によれば、前記第2特定サブモジュールは、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が非コヒーレント伝送である場合、前記上り伝送モードにおける第2目標プリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように前記端末は制御することであると特定する第3特定ユニット、及び/又は、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が部分コヒーレント伝送である場合、前記上り伝送モードにおける第3目標プリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように前記端末は制御することであると特定する第4特定ユニットを含む。
【0352】
本開示の一部実施例によれば、前記上り伝送モードがノンコードブック上り伝送であり、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が非コヒーレント伝送であり、前記第2特定サブモジュールは、前記第2目標プリコーディング以外の他のプリコーディングに対応する前記送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、前記他のプリコーディングにおける、非ゼロのPUSCH伝送電力を有するアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第1比で前記端末がスケーリングすることであると特定する第5特定ユニットを更に含む。
【0353】
本開示の一部実施例によれば、前記上り伝送モードがノンコードブック上り伝送であり、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が部分コヒーレント伝送であり、前記第2特定サブモジュールは、第3目標プリコーディング以外の、第1ストリーム数のストリーム伝送に対応するプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、前記プリコーディングにおける、非ゼロのPUSCH伝送電力を有するアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第1比で前記端末がスケーリングすることであると特定する第6特定ユニットを更に含む。
【0354】
本開示の一部実施例によれば、前記上り伝送モードがノンコードブック上り伝送であり、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が部分コヒーレント伝送であり、前記第2特定サブモジュールは、第3目標プリコーディング以外の、シングルストリーム伝送に対応するプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、前記端末にサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第2比で前記端末がスケーリングすることであると特定する第7特定ユニットを更に含む。
【0355】
本開示の一部実施例によれば、前記上り伝送モードがノンコードブック上り伝送であり、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が部分コヒーレント伝送であり、前記第2特定サブモジュールは、シングルストリーム伝送に対応するプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、前記端末にサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第2比で前記端末がスケーリングすることであると特定する第8特定ユニットを更に含む。
【0356】
本開示の一部実施例によれば、前記上り伝送モードがノンコードブック上り伝送であり、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が完全コヒーレント伝送であり、前記第2特定サブモジュールは、任意のプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように前記端末は制御することであると特定する第9特定ユニットを更に含む。
【0357】
本開示の一部実施例によれば、更に、前記第1目標プリコーディングを指示するための指示情報を前記端末に送信する第2送信モジュールを含む。
【0358】
本開示の一部実施例によれば、更に、前記第2目標プリコーディング及び/又は前記第3目標プリコーディングを指示するための指示情報を前記端末に送信する第3送信モジュールを含む。
【0359】
本開示の実施例に係るネットワーク機器は、端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定し、上りプリコーディング指示を端末に送信する。それによって、端末は、上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応する場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御する。このように、一部のプリコーディング指示で最大送信電力を達成できることを保証し、性能を向上させることができる。例えば、端末がノンコードブックの上りMIMO低ランク伝送を行う場合、一部のプリコーディングでは上り最大送信電力を達成でき、非コヒーレント伝送能力又は部分コヒーレント伝送能力の端末がコードブックに基づく上りMIMO低ランク伝送を行う場合、一部のプリコーディングでは上り最大送信電力を達成でき、且つ端末の全てのアンテナが最大送信電力を達成できることが求められないため、コストが低減される。
【0360】
なお、上記上り電力制御方法の実施例におけるすべての実施形態は、該ネットワーク機器の実施例に適用可能であり、同様の技術効果を奏することもできる。
【0361】
本開示の一部実施例によれば、
図6に示すように、トランシーバ610と、メモリ620と、プロセッサ600と、バスインタフェースと、前記メモリ620に記憶されて前記プロセッサ600で動作可能なコンピュータプログラムを含むネットワーク機器を更に提供する。前記プロセッサ600は、メモリからプログラムを読み取ることによって、端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定するプロセスと、前記送信電力仮定に基づいて、前記端末の上りプリコーディング指示を特定するプロセスとを実行する。前記トランシーバ610は、前記上りプリコーディング指示を前記端末に送信する。
【0362】
本開示の実施例に係るネットワーク機器は、端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定し、上りプリコーディング指示を端末に送信する。それによって、端末は、上りプリコーディング指示が目標プリコーディング指示に対応する場合、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように制御する。このように、一部のプリコーディング指示で最大送信電力を達成できることを保証し、性能を向上させることができる。例えば、端末がノンコードブックの上りMIMO低ランク伝送を行う場合、一部のプリコーディングでは上り最大送信電力を達成でき、非コヒーレント伝送能力又は部分コヒーレント伝送能力の端末がコードブックに基づく上りMIMO低ランク伝送を行う場合、一部のプリコーディングでは上り最大送信電力を達成でき、且つ端末の全てのアンテナが最大送信電力を達成できることが求められないため、コストが低減される。
【0363】
ここで、
図6において、バスアーキテクチャは、任意数の相互接続するバスとブリッジを含み、具体的に、プロセッサ600をはじめとする1つ又は複数のプロセッサとメモリ620をはじめとするメモリの各種類の回路が接続したものである。バスアーキテクチャは、周辺イクイップメント、レギュレーター、電力管理回路などの各種類のほかの回路を接続したものであってもよい。これらは、いずれも本分野の公知事項であり、本文においてさらなる記載をしない。バスインタフェースにより、インタフェースが提供される。トランシーバ610は、複数の部品であってもよく、即ち送信機と受信機を含み、伝送媒体でほかの各種類の装置と通信するユニットを提供する。プロセッサ600は、バスアーキテクチャと通常の処理を管理する。メモリ620は、プロセッサ600による操作実行に使用されるデータを記憶できる。
【0364】
本開示の一部実施例によれば、前記プロセッサ600は、更に、仮定の端末のコヒーレント伝送能力及び上り伝送モードを特定し、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力及び/又は前記上り伝送モードに基づいて、前記端末の上りプリコーディング指示を特定するための送信電力仮定を特定する。
【0365】
本開示の一部実施例によれば、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力は、端末のコヒーレント伝送能力報告から得られる端末コヒーレント伝送能力であり、又は、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力は、端末に設定するコードブックサブセット制限に対応するコヒーレント伝送能力である。
【0366】
本開示の一部実施例によれば、前記プロセッサ600は、更に、前記上り伝送モードにおいて第1目標プリコーディングが存在する場合、前記第1目標プリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように前記端末は制御することであると特定する。
【0367】
本開示の一部実施例によれば、前記プロセッサ600は、更に、前記第1目標プリコーディング以外の他のプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、端末に設定するアンテナポートの数又は端末に設定する上りサウンディング信号SRSリソース数に基づいて前記端末がスケーリングすることであると特定する。
【0368】
本開示の一部実施例によれば、前記プロセッサ600は、更に、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が非コヒーレント伝送である場合、前記上り伝送モードにおける第2目標プリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように前記端末は制御することであると特定し、及び/又は、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が部分コヒーレント伝送である場合、前記上り伝送モードにおける第3目標プリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように前記端末は制御することであると特定する。
【0369】
本開示の一部実施例によれば、前記上り伝送モードがノンコードブック上り伝送であり、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が非コヒーレント伝送であり、前記プロセッサ600は、更に、前記第2目標プリコーディング以外の他のプリコーディングに対応する前記送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、前記他のプリコーディングにおける、非ゼロのPUSCH伝送電力を有するアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第1比で前記端末がスケーリングすることであると特定する。
【0370】
本開示の一部実施例によれば、前記上り伝送モードがノンコードブック上り伝送であり、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が部分コヒーレント伝送であり、前記プロセッサ600は、更に、第3目標プリコーディング以外の、第1ストリーム数のストリーム伝送に対応するプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、前記プリコーディングにおける、非ゼロのPUSCH伝送電力を有するアンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第1比で前記端末がスケーリングすることであると特定する。
【0371】
本開示の一部実施例によれば、前記上り伝送モードがノンコードブック上り伝送であり、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が部分コヒーレント伝送であり、前記プロセッサ600は、更に、第3目標プリコーディング以外の、シングルストリーム伝送に対応するプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、前記端末にサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第2比で前記端末がスケーリングすることであると特定する。
【0372】
本開示の一部実施例によれば、前記上り伝送モードがノンコードブック上り伝送であり、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が部分コヒーレント伝送であり、前記プロセッサ600は、更に、シングルストリーム伝送に対応するプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力を、前記端末にサポートされるコヒーレント伝送可能な最大アンテナポートの数と、ネットワーク機器によって端末に設定する前記端末のPUSCHの上り伝送モードに対応するアンテナポートの数との第2比で前記端末がスケーリングすることであると特定する。
【0373】
本開示の一部実施例によれば、前記上り伝送モードがノンコードブック上り伝送であり、前記仮定の端末のコヒーレント伝送能力が完全コヒーレント伝送であり、前記プロセッサ600は、更に、任意のプリコーディングに対応する送信電力仮定として、電力制御プロセスで特定される上り送信電力の値が不変であるように前記端末は制御することであると特定する。
【0374】
本開示の一部実施例によれば、前記トランシーバ610は、更に、前記第1目標プリコーディングを指示するための指示情報を前記端末に送信する。
【0375】
本開示の一部実施例によれば、前記トランシーバ610は、更に、前記第2目標プリコーディング及び/又は前記第3目標プリコーディングを指示するための指示情報を前記端末に送信する。
【0376】
本開示の一部実施例によれば、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を更に提供する。該プログラムがプロセッサによって実行されると、上記のネットワーク機器側の上り電力制御方法のステップが実現される。
【0377】
本開示の各実施例において、上記各プロセスの番号の大きさは、実行順の前後を意味するのではなく、各プロセスの実行順は、その機能及び内在的な論理によって確定されるものであり、本開示の実施例の実施プロセスに対し一切限定を構成しないと理解すべきである。
【0378】
なお、本発明における上り伝送は、特定の信号の上り伝送であり、例えば、PUSCH信号の伝送や、PUCCH信号の伝送などである。それに対応して、PUSCHの伝送である場合、「電力制御プロセスで特定される上り送信電力」は、PUSCHの電力制御プロセスで特定されるPUSCHの上り送信電力である。
【0379】
以上記載されたのは、本開示の好適な実施例である。当業者は、本開示に記載されている原理を逸脱せずに様々な改良や修飾をすることもできる。これらの改良や修飾も、本開示の保護範囲として見なされるべきである。