(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
H01H 13/00 20060101AFI20240308BHJP
H01H 13/06 20060101ALI20240308BHJP
H01H 35/00 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
H01H13/00 A
H01H13/06 B
H01H35/00 F
(21)【出願番号】P 2021013370
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中根 啓太
(72)【発明者】
【氏名】藤原 崇史
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-157684(JP,A)
【文献】登録実用新案第3078389(JP,U)
【文献】中国実用新案第205282347(CN,U)
【文献】特開2013-218820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00 - 13/88
H01H 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定基板と、
前記固定基板に向かう押圧方向に押圧可能な操作部と、
前記固定基板に実装されており、前記操作部の押圧を検出可能な光学センサと、
前記固定基板の表面を被覆する防水部材と、を備え、
前記操作部は、前記光学センサから出射された光を前記光学センサに向けて反射させる反射部を有し、
前記防水部材は、前記光学センサの周囲を囲むとともに前記操作部のうち前記反射部の周囲の部位に接する遮光部を有する、入力装置。
【請求項2】
前記遮光部は、
前記光学センサの周囲を包囲する包囲部と、
前記包囲部の上端部につながっており、前記操作部に圧接する圧接部と、を有する、請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記操作部を前記押圧方向と反対方向に付勢する中立復帰部材をさらに備え、
前記圧接部による前記操作部の付勢力は、前記中立復帰部材による前記操作部の付勢力よりも小さい、請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記圧接部は、
前記包囲部の上端部から前記包囲部の内側に向かって延びる形状を有する内向き張出部と、
前記内向き張出部の内側の縁部から前記反射部に向かって突出しており、前記操作部に接する突出部と、を有する、請求項3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記内向き張出部の厚みは、前記包囲部の厚みと同じかそれよりも小さい、請求項4に記載の入力装置。
【請求項6】
前記遮光部の内周面又は前記遮光部の全体は、黒色に形成されている、請求項1から5のいずれかに記載の入力装置。
【請求項7】
前記操作部は、前記押圧方向と異なる方向における操作を検出可能な検出センサを有する、請求項1から6のいずれかに記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等に搭載される入力装置が知られている。例えば、特開2015-172844号公報には、基板と、基板に対する押下が可能なタッチ操作面と、基板に実装されておりタッチ操作面の押下を検出する押下検出部と、基板とタッチ操作面との間に配置された弾性部と、を備えるタッチパッドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2015-172844号公報に示されるようなタッチパッドでは、小さな押圧ストロークを検出可能なものが求められている。それを実現するため、操作部の押圧を検出する素子として光学センサを用いることが考えられる。この場合、光学センサへの外乱光が遮蔽されることが望ましい。一方、光学センサが実装される基板は、通常、防水性が求められる。
【0005】
このため、操作部の押圧を検出する素子として光学センサが用いられる場合、少なくとも、基板を防水する部材と光学センサへの外乱光を遮る部材とが必要となり、部品点数が多くなる。
【0006】
本開示の目的は、部品点数の増大を回避しながら、光学センサへの外乱光の遮蔽と基板の防水とを両立することが可能な入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この開示の一局面に従った入力装置は、固定基板と、前記固定基板に向かう押圧方向に押圧可能な操作部と、前記固定基板に実装されており、前記操作部の押圧を検出可能な光学センサと、前記固定基板の表面を被覆する防水部材と、を備え、前記操作部は、前記光学センサから出射された光を前記光学センサに向けて反射させる反射部を有し、前記防水部材は、前記光学センサの周囲を囲むとともに前記操作部のうち前記反射部の周囲の部位に接する遮光部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、部品点数の増大を回避しながら、光学センサへの外乱光の遮蔽と基板の防水とを両立することが可能な入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態の入力装置の平面図である。
【
図2】
図1におけるII-II線での断面図である。
【
図4】入力装置における固定部の分解斜視図である。
【
図5】入力装置における操作部の分解斜視図である。
【
図7】固定部と操作部と弾性部材との関係を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0011】
図1は、本開示の一実施形態の入力装置の平面図である。
図2は、
図1におけるII-II線での断面図である。この入力装置1は、車両のステアリングホイールに好ましく搭載される。
【0012】
図1~
図5に示されるように、入力装置1は、固定部100と、操作部200と、中立復帰部材300と、を備えている。
【0013】
固定部100は、ステアリングホイールに対して相対変位しないようにステアリングホイールに取り付けられる。固定部100は、カバー110と、固定基板120と、光学センサ130と、防水部材140と、ボデー150と、を有している。
【0014】
カバー110は、ステアリングホイールに固定される。
【0015】
固定基板120は、カバー110に固定されている。
【0016】
光学センサ130は、固定基板120に実装されている。光学センサ130は、操作部200の押圧を検出可能である。具体的に、光学センサ130は、当該光学センサ130から出射された光の反射光を受信することによって操作部200の押圧を検出する。固定基板120には、他の素子132も実装されている。
【0017】
防水部材140は、固定基板120を被覆している。防水部材140は、ゴムからなる。防水部材140は、遮光部144を有している。
【0018】
遮光部144は、光学センサ130をその周囲から遮光している。遮光部144は、光学センサ130の周囲を囲む形状を有している。遮光部144は、上方に(固定基板120側と反対方向に)開口している。ただし、遮光部144は、上方に開口していなくてもよい。遮光部144の内周面144Sは、黒色に形成されている。本実施形態では、防水部材140全体が黒色に形成されている。遮光部144の詳細については、後述する。
【0019】
ボデー150は、防水部材140上に配置されている。ボデー150は、カバー110とともに防水部材140の縁部141(
図2を参照)を挟み込んだ状態でカバー110に固定されている。
【0020】
操作部200は、固定部100に向かう押圧方向(
図2において矢印で示される方向)に押圧可能である。操作部200は、光学センサ130から出射された光を光学センサ130に向けて反射させる反射部213を有している。操作部200は、可動ベース210と、可動基板220と、LED230と、パネル240と、セパレータ250と、検出センサ260と、振動アクチュエータ270と、を有している。
【0021】
可動ベース210は、固定部100に対して押圧方向と平行な方向に移動可能となるように固定部100に取り付けられている。本実施形態では、可動ベース210は、ボデー150に固定されている。可動ベース210は、平坦部212と、補強部214と、を有している。
【0022】
平坦部212は、平坦に形成されている。平坦部212は、前記反射部213を有している。反射部213は、平坦部212のうち光学センサ130と対向する部位で構成されている。
【0023】
補強部214は、平坦部212を補強する。補強部214は、平坦部212の剛性を高める機能を有している。補強部214は、平坦部212の裏面から固定基板120に向かって突出する形状を有している。補強部214は、四角筒状に形成されている。補強部214は、反射部213の周囲に設けられている。補強部214は、遮光部144を包囲する形状を有している。
【0024】
可動基板220は、可動ベース210に固定されている。可動基板220には、LED230と静電IC232とが実装されている。
【0025】
パネル240は、可動ベース210に固定されている。パネル240は、操作者によって操作される部材である。
図1に示されるように、パネル240の表面には、操作者により操作される被操作部242が形成されている。
【0026】
セパレータ250は、可動基板220上に固定されている。セパレータ250は、LED230から出射された光を被操作部242にのみ導く部材である。換言すれば、セパレータ250は、LED230から出射された光がパネル240における被操作部242とは異なる部位に至るのを防止する遮光部材としての機能を有している。
【0027】
検出センサ260は、パネル240の裏面に配置されている。検出センサ260は、押圧方向と異なる方向におけるパネル240の操作を検出可能である。本実施形態では、検出センサ260は、押圧方向と直交する方向に沿ってパネル240の表面をなぞる操作を検出可能な静電センサシートで構成されている。
図2に示されるように、検出センサ260の一端部261は、可動基板220の裏面に接続されている。
【0028】
振動アクチュエータ270は、可動ベース210の平坦部212上に接着剤等によって固定されている。振動アクチュエータ270は、固定部100に対してパネル240が押圧されたとき(光学センサ130によって操作部200の押圧が検出されたとき)にパネル240に振動をフィードバックする。なお、振動アクチュエータ270は、省略されてもよい。
【0029】
中立復帰部材300は、操作部200を中立位置に復帰させる付勢力を操作部200に付与する。中立復帰部材300は、第1弾性部材310と、第2弾性部材320と、を有している。
【0030】
第1弾性部材310は、板バネで構成されている。第1弾性部材310は、ネジ等の締結部材Bによってボデー150と可動ベース210とに固定されている。第1弾性部材310は、固定部100に対して操作部200が押圧方向と平行な方向に移動可能となるように固定部100と操作部200とを連結している。
【0031】
第2弾性部材320は、ゴムからなる。第2弾性部材320は、ボデー150の四隅及び可動ベース210の四隅間に配置されている。第2弾性部材320は、操作部200に付勢力を付与する機能の他、振動アクチュエータ270の振動に起因するパネル240の振動を減衰させる機能と、押圧に起因するパネル240の傾きを抑制する機能と、を有している。
【0032】
ここで、
図2~
図4を参照しながら、防水部材140の遮光部144について説明する。遮光部144は、可動ベース210のうち反射部213の周囲の部位に接している。遮光部144は、包囲部145と、圧接部146と、を有している。
【0033】
包囲部145は、光学センサ130の周囲を包囲している。包囲部145は、固定基板120から立ち上がる形状を有している。
図4に示されるように、包囲部145は、四角筒状に形成されている。包囲部145の上部は、押圧方向と直交する方向に補強部214と重なっている。
【0034】
圧接部146は、包囲部145の上端部につながっている。圧接部146は、可動ベース210に圧接している。つまり、圧接部146は、可動ベース210を押圧方向と反対方向に付勢している。圧接部146の付勢力は、第1弾性部材310の付勢力及び第2弾性部材320の付勢力よりも小さい。
図3に示されるように、圧接部146は、内向き張出部146aと、突出部146bと、を有している。
【0035】
内向き張出部146aは、包囲部145の上端部から包囲部145の内側に向かって延びる形状を有している。内向き張出部146aは、環状に形成されている。内向き張出部146aの厚みは、包囲部145の厚みと同じかそれよりも小さく形成されている。
【0036】
突出部146bは、内向き張出部146aの内側の縁部から反射部213に向かって突出する形状を有している。突出部146bは、環状につながる形状を有している。本実施形態では、
図4に示されるように突出部146bは、円環状に形成されている。突出部146bは、平坦部212のうち反射部213の周囲の部位に接している。
【0037】
以上に説明したように、本実施形態の入力装置1では、固定基板120の表面を被覆する防水部材140が遮光部144を有するため、換言すれば、防水部材140は、固定基板120の防水機能と光学センサ130への外乱光の遮蔽機能とを兼ね備えているため、部品点数の増大を回避しながら光学センサ130への外乱光の遮蔽と固定基板120の防水とを両立することが可能となる。
【0038】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0039】
例えば、圧接部146は、突出部146bのより形成されている開口を閉塞する閉塞部(図示略)をさらに有していてもよい。
【0040】
以上に説明した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例である。
【0041】
一態様に係る入力装置は、固定基板と、前記固定基板に向かう押圧方向に押圧可能な操作部と、前記固定基板に実装されており、前記操作部の押圧を検出可能な光学センサと、前記固定基板の表面を被覆する防水部材と、を備え、前記操作部は、前記光学センサから出射された光を前記光学センサに向けて反射させる反射部を有し、前記防水部材は、前記光学センサの周囲を囲むとともに前記操作部のうち前記反射部の周囲の部位に接する遮光部を有する。
【0042】
この入力装置では、固定基板の表面を被覆する防水部材が遮光部を有するため、換言すれば、防水部材は、固定基板の防水機能と光学センサへの外乱光の遮蔽機能とを兼ね備えているため、部品点数の増大を回避しながら光学センサへの外乱光の遮蔽と固定基板の防水とを両立することが可能となる。
【0043】
また、前記遮光部は、前記光学センサの周囲を包囲する包囲部と、前記包囲部の上端部につながっており、前記操作部に圧接する圧接部と、を有することが好ましい。
【0044】
このようにすれば、光学センサの遮光と、遮光部と操作部との隙間からの水の浸入の抑制と、が有効に達成される。
【0045】
また、前記入力装置において、前記操作部を前記押圧方向と反対方向に付勢する中立復帰部材をさらに備え、前記圧接部による前記操作部の付勢力は、前記中立復帰部材による前記操作部の付勢力よりも小さいことが好ましい。
【0046】
この態様では、圧接部による操作部の付勢力が操作部の押圧に与える影響が相対的に小さくなるため、遮光部と操作部との隙間からの水の浸入の抑制と、光学センサによる押圧の検出精度の低下の抑制と、の双方が達成される。
【0047】
また、前記圧接部は、前記包囲部の上端部から前記包囲部の内側に向かって延びる形状を有する内向き張出部と、前記内向き張出部の内側の縁部から前記反射部に向かって突出しており、前記操作部に接する突出部と、を有することが好ましい。
【0048】
このようにすれば、押圧方向と平行な方向への操作部の変位に応じて内向き張出部が同方向に撓むため、圧接部による操作部の付勢力が有効に低減される。
【0049】
また、前記内向き張出部の厚みは、前記包囲部の厚みと同じかそれよりも小さいことが好ましい。
【0050】
このようにすれば、上記効果がより確実に得られる。
【0051】
また、前記遮光部の内周面又は前記遮光部の全体は、黒色に形成されていることが好ましい。
【0052】
このようにすれば、光電センサへの外乱光の入射が抑制される。
【0053】
また、前記操作部は、前記押圧方向と異なる方向における操作を検出可能な検出センサを有することが好ましい。
【符号の説明】
【0054】
1 入力装置、100 固定部、110 カバー、120 固定基板、130 光学センサ、140 防水部材、144 遮光部、145 包囲部、146 圧接部、146a 内向き張出部、146b 突出部、150 ボデー、200 操作部、210 可動ベース、212 平坦部、213 反射部、214 補強部、220 可動基板、230 LED、232 静電IC、240 パネル、242 被操作部、250 セパレータ、260 検出センサ、270 振動アクチュエータ、300 中立復帰部材、310 第1弾性部材、320 第2弾性部材。