(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/50 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
H01L23/50 K
(21)【出願番号】P 2021047071
(22)【出願日】2021-03-22
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】森本 俊介
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-095788(JP,A)
【文献】特開2018-098477(JP,A)
【文献】特開2011-066327(JP,A)
【文献】特開平08-274219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップが配置されたダイパッドと、
前記ダイパッドと離間して配置された電極と、
前記半導体チップ、前記ダイパッドの一部、及び前記電極の一部を覆う樹脂部材と、
を備え、
前記ダイパッドは、前記半導体チップと対向し、少なくとも4つの第1辺を有する第1下面を有し、
前記第1下面と同一平面に位置する前記樹脂部材の辺と、前記第1辺とは非平行であり、
前記電極は、前記第1下面と同一平面において前記樹脂部材から露出する第2下面
と、前記第2下面との間に段差を形成し、前記樹脂部材中に位置する第4下面とを有し、前記第2下面における前記ダイパッドの前記第1辺に対向する辺は、前記第1辺に対して非平行であ
り、
前記第4下面の面積は、前記第2下面の面積よりも大きい半導体装置。
【請求項2】
前記電極は前記樹脂部材の前記辺に沿う側面を有し、
前記側面は、前記樹脂部材から露出している請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ダイパッドは、前記第1下面との間に段差を形成し、前記樹脂部材中に位置する第3下面を有する請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ダイパッドの前記第1辺に対向し、前記第1辺に対して非平行な前記第2下面の前記辺は、前記側面の反対側に位置する請求項2に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップを搭載した面の反対側の面(実装面)に電極を露出させたパッケージ構造を有する半導体装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、実装可能な基板のランドパターンサイズの適用範囲を広げることができる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、半導体装置は、半導体チップが配置されたダイパッドと、前記ダイパッドと離間して配置された電極と、前記半導体チップ、前記ダイパッドの一部、及び前記電極の一部を覆う樹脂部材と、を備える。前記ダイパッドは、前記半導体チップと対向し、少なくとも4つの第1辺を有する第1下面を有する。前記第1下面と同一平面に位置する前記樹脂部材の辺と、前記第1辺とは非平行である。前記電極は、前記第1下面と同一平面において前記樹脂部材から露出する第2下面と、前記第2下面との間に段差を形成し、前記樹脂部材中に位置する第4下面とを有し、前記第2下面における前記ダイパッドの前記第1辺に対向する辺は、前記第1辺に対して非平行であり、前記第4下面の面積は、前記第2下面の面積よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】(a)は実施形態の半導体装置の実装面の下面図であり、(b)は
図1(a)におけるA-A断面図である。
【
図3】(a)は実施形態の半導体装置におけるダイパッド及び電極の下面図であり、(b)は
図3(a)におけるB-B断面図である。
【
図4】実施形態の半導体装置の実装面の他の例の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照し、実施形態について説明する。なお、各図面中、同じ構成には同じ符号を付している。
【0008】
図1(a)は実施形態の半導体装置1の実装面100の下面図であり、
図1(b)は
図1(a)におけるA-A断面図である。
【0009】
半導体装置1は、1つのダイパッド10と、4つの電極20と、半導体チップ30と、樹脂部材40とを備える。
【0010】
図1(a)に示すように、半導体装置1は四角形の実装面100を有する。この実装面を実装基板(配線基板)に対向させて、半導体装置1は実装基板に実装される。
【0011】
実装面100の中央にダイパッド10が配置されている。実装面100の四隅のそれぞれに、ダイパッド10と離間して電極20が配置されている。ダイパッド10及び電極20は、金属材料からなる。
【0012】
図1(b)に示すように、ダイパッド10上に半導体チップ30が配置されている。半導体チップ30は、例えばパワーデバイスである。半導体チップ30は、樹脂部材40に覆われている。
【0013】
図2は、半導体装置1の模式上面図である。
図2において、樹脂部材40は外形線のみを示す。
【0014】
半導体チップ30の上面には4つの電極パッド31が形成され、それぞれの電極パッド31は、電極20の表面28に対して金属ワイヤ50によって電気的に接続されている。金属ワイヤ50は樹脂部材40に覆われる。半導体チップ30の下面はダイボンディングペーストを介してダイパッド10の上面(チップ搭載面)に接合される。半導体チップ30とダイパッド10とは電気的に接続されない。
【0015】
図1(a)、(b)に示すように、ダイパッド10は、実装面100において樹脂部材40から露出する第1下面11を有する。
図1(b)に示すように、第1下面11は、半導体チップ30と対向する。第1下面11は、第1下面11と同一平面に位置する実装面100の辺(樹脂部材40の辺または外形線)100a~100dに非平行な少なくとも4つの第1辺12を有する四角形状に形成されている。第1辺12のそれぞれは、実装面100の角に対向している。
【0016】
4つの電極20のそれぞれは、実装面100、すなわち第1下面11と同一平面において樹脂部材40から露出する第2下面21を有する。電極20の第2下面21は、ダイパッド10の第1辺12に対向する第2辺22及び第3辺23を有する。電極20の第2辺22及び第3辺23は、ダイパッド10の第1辺12に対して非平行である。第2辺22と第3辺23は、例えば鈍角を形成している。第2辺22は、実装面100のいずれの辺100a~100dにも非平行である。第3辺23は、実装面100における互いに対向する二辺100b、100dに平行である。
【0017】
それぞれの電極20は実装面100の対向する二辺100b、100dのうちのいずれか一辺に沿う側面24を有し、その側面24は樹脂部材40から露出している。電極20の他の側面は樹脂部材40に覆われている。
【0018】
図3(a)はダイパッド10及び電極20の下面図であり、
図3(b)は
図3(a)におけるB-B断面図である。
【0019】
図1(b)、
図3(a)に示すように、ダイパッド10は、第1下面11との間に段差を形成する第3下面13を有する。より詳細には、半導体チップ30が搭載される方向において、第3下面13は第1下面11よりも半導体チップ30側に位置する。また、第3下面13は樹脂部材40中に位置する。
図3(a)において第3下面13をグレーで表す。第1下面11の面積は、第3下面13の面積よりも大きい。第3下面13は樹脂部材40に覆われ、第1下面11は実装面100において樹脂部材40から露出する。したがって、ダイパッド10の下面は、樹脂部材40から露出する面積の方が、樹脂部材40内に位置する面積よりも大きい。
【0020】
電極20は、第2下面21との間に段差を形成する第4下面26を有する。より詳細には、半導体チップ30が搭載される方向において、第4下面26は第2下面21よりも半導体チップ30側に位置する。また、第4下面26は樹脂部材40中に位置する。
図3(a)において第4下面26をグレーで表す。第4下面26の面積は、第2下面21の面積よりも大きい。第4下面26は樹脂部材40に覆われ、第2下面21は実装面100において樹脂部材40から露出する。
【0021】
ダイパッド10及び電極20は、他の半導体装置用のダイパッド及び電極と互いにつながったフレーム部材から切り出される。
図3(a)において、フレーム部材からの切断位置を2点鎖線で表す。ダイパッド10上に半導体チップ30を搭載し、金属ワイヤ50で半導体チップ30と電極20とを接続し、これらを樹脂部材40で封止した後、樹脂部材40とともにダイパッド10及び電極20は切断される。
【0022】
ダイパッド10は3つの連結部15によってフレーム部材とつながっており、切断によって、3つの連結部15の端面(切断面)が樹脂部材40から露出する。ダイパッド10における第1下面11及び連結部15の端面以外の部分は樹脂部材40に覆われている。
【0023】
各電極20は前述した側面24及び連結部25でフレーム部材とつながっており、切断によって、側面24及び連結部25の端面が樹脂部材40から露出する。電極20における第2下面21、側面24、及び連結部25の端面以外の部分は樹脂部材40に覆われている。
【0024】
ダイパッド10の第1下面11及び電極20の第2下面21は、例えばはんだによって、実装基板のランドパターンに接合される。はんだがはみ出ないようにするため、実装基板のランドパターンは、実装対象である半導体装置1の電極20よりも大きいサイズが求められる。すなわち、電極20の第2下面21の面積は、この第2下面21が接合される実装基板のランドパターンの面積よりも小さくすることが求められる。
【0025】
本実施形態によれば、電極20において実装される面である第2下面21の面積を、樹脂部材40中にある第4下面26の面積よりも小さくすることで、実装可能な基板のランドパターンサイズの適用範囲を広げることができる。すなわち、第2下面21の面積を小さくした分、より多くのサイズのランドパターンへの実装に対応することができる。
【0026】
一方で、第2下面21よりも面積の大きな第4下面26が樹脂部材40に覆われることで、電極20と樹脂部材40との密着性を高くすることができる。また、ダイパッド10におけるランドパターンに実装される第1下面11の面積を、樹脂部材40中にある第3下面13の面積よりも大きくすることで、半導体装置1の実装基板に対する接合強度を高くすることができる。
【0027】
図3(a)に示すように、電極20の厚さ方向のすべての部分を第4下面26の外形に成形した後、エッチングにより厚さ方向の一部を除去して、第4下面26よりも面積の小さい第2下面21を形成する。第4下面26におけるダイパッド10の第1辺12に対向する辺27は、第1辺12に平行に形成される。そして、
図1(a)に示すように、第2下面21におけるダイパッド10の第1辺12に対向する第2辺22が、第1辺12に対して非平行になるように上記エッチングをして第2下面21を形成する。これにより、電極20の側面24の長さ(実装面100の辺100b、100dに沿う方向の長さ)を厚さ方向にわたってエッチング前後で変えずに、第2下面21の面積を第4下面26の面積よりも効率よく減少させることが容易となる。第2下面21の第2辺22が、第1下面11の第1辺12に対して平行になるようにエッチングすると、電極20の側面24が部分的にエッチングされやすい。
【0028】
電極20の側面24の長さを厚さ方向にわたって減少させないことで、電極20のランドパターンに対する実装強度を高めることができる。すなわち、エッチング前の電極20の側面24の長さを厚さ方向にわたって維持したまま、第2下面21におけるダイパッド10の第1辺12に対向する第2辺22が第1辺12に対して非平行になるようにすることで、実装強度を確保しつつ、第2下面21の面積を効率よく減少させて、より多くのサイズのランドパターンへの実装に対応することができる。
【0029】
また、電極20は、第2下面21よりも面積の大きな第4下面26において樹脂部材40との高い密着性を確保しているため、フレーム部材からの切断時の応力によって電極20が破断や欠落してしまうのを抑制できる。
【0030】
図4は、実施形態の半導体装置の実装面100の他の例の下面図である。
【0031】
この
図4に示す例では、ダイパッド10の第1下面11に、実装面100の一辺(例えば辺100d)に平行な辺16を形成している。この辺16に対する4つの電極20のそれぞれの配置関係から、各電極20の識別(例えば、ドレイン電極、ソース電極、ゲート電極、グランドなどの識別)が可能となる。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1…半導体装置、10…ダイパッド、11…第1下面、13…第3下面、20…電極、21…第2下面、26…第4下面、30…半導体チップ、40…樹脂部材、100…実装面