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特許7450600移植用脂肪及び他の組織をサイズ変更するための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】移植用脂肪及び他の組織をサイズ変更するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/178 20060101AFI20240308BHJP
   C12M 3/08 20060101ALI20240308BHJP
   A61L 27/36 20060101ALN20240308BHJP
【FI】
A61M5/178
C12M3/08
A61L27/36 100
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021504423
(86)(22)【出願日】2019-07-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 US2019043151
(87)【国際公開番号】W WO2020023580
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】62/702,614
(32)【優先日】2018-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521031626
【氏名又は名称】ヒーレオン メディカル, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HEALEON MEDICAL, INC.
【住所又は居所原語表記】1111 Rancho Conejo Boulevard, Suite #204, Newbury Park, California 91320(US)
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハラジ, ベン エム.
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-526868(JP,A)
【文献】特表平10-505513(JP,A)
【文献】特表平10-513094(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0333305(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/178
C12M 1/26
C12M 3/08
A61L 27/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)内部容積を規定するハウジングアセンブリであって、第1の注射器に接続するように適合され、当該ハウジングアセンブリの第1の側に配置される第1のポート及び第2の注射器に接続するように適合され、前記第1の側とは反対側となる当該ハウジングアセンブリの第2の側に配置される第2のポートを含み、かつ前記第1のポートと前記第2のポートとが流体連通するように前記第1のポートから前記第2のポートまで延びる流体流路を規定している、ハウジングアセンブリと、
(b)前記内部容積内に配置され、前記流路に実質的に垂直である第1のチョッパーであって、前記第1のチョッパーが、複数のチョッパー開口を規定する複数の剛性チョッパー部材を含み、前記剛性チョッパー部材が、少なくとも1つの面に切断エッジを含み、前記剛性チョッパー部材は、リング間に延びる間隔を空けた放射状部材を備える同心リング部材として配置されている、第1のチョッパーと、
を含む装置。
【請求項2】
前記ハウジングアセンブリが2つのハウジング部材を含む請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ハウジング部材が円錐台状の形状である請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記剛性チョッパー部材が両面に切断エッジを含む請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記内部容積内に配置され、前記流路に実質的に垂直である第1のスライサーであって、前記第1のスライサーが、複数のスライサー開口を規定する複数の剛性スライサー部材を含み、前記スライサー開口は、前記チョッパー開口より小さく、前記剛性スライサー部材が、少なくとも1つの面に切断エッジを含む請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記剛性スライサー部材は、前記切断エッジが鋭角を示す形状を有する請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記剛性スライサー部材が両面に切断エッジを含む請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記ハウジングアセンブリは、
(a)第1の嵌合対部材と、前記第1の注射器に接続するように適合された前記第1のポートと、を含む第1のハウジング部材と、
(b)第2の嵌合対部材と、前記第2の注射器に接続するように適合された前記第2のポートと、を含む第2のハウジング部材と、を含み、
前記第1及び第2の嵌合対部材を嵌合させて液密シールを形成することによって形成される請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記内部容積内に配置され、前記流路に実質的に垂直である第2のチョッパーをさらに含み、前記第2のチョッパーは、複数のチョッパー開口を規定する複数の剛性チョッパー部材を含み、前記第2のチョッパーの前記剛性チョッパー部材は、少なくとも1つの面に切断エッジを含み、前記第2のチョッパーの前記剛性チョッパー部材は、リング間に延びる間隔を空けた放射状部材を備える同心リング部材として配置されており、
前記第1のチョッパーと前記第2のチョッパーは横方向に配置されており、前記第1のスライサーは、前記第1のチョッパーと前記第2のチョッパーが前記第1のスライサーによって分離されるように前記第1のチョッパーと前記第2のチョッパーとの間に配置されている
請求項5~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記第1のチョッパーと前記第1のスライサーはOリングで分離されており、前記第1のスライサーと前記第2のチョッパーはOリングで分離されている請求項9に記載の装置。
【請求項11】
(a)前記内部容積内に配置され、前記流路に実質的に垂直である第2のチョッパーであって、前記第2のチョッパーは、複数のチョッパー開口を規定する複数の剛性チョッパー部材を含み、前記第2のチョッパーの前記剛性チョッパー部材は、少なくとも1つの面に切断エッジを含み、前記第2のチョッパーの前記剛性チョッパー部材は、リング間に延びる間隔を空けた放射状部材を備える同心リング部材として配置されている、第2チョッパーと、
(b)前記内部容積内に配置され、前記流路に実質的に垂直である第2のスライサーであって、前記第2のスライサーは、複数のスライサー開口を規定する複数の剛性スライサー部材を含み、前記第2のスライサーの前記剛性スライサー部材は、少なくとも1つの面に切断エッジを含む、第2のスライサーと、をさらに含み、
前記第1のチョッパーと前記第2のチョッパーは横方向に配置されており、前記第1のスライサーと前記第2のスライサーは、前記第1のチョッパーと前記第2のチョッパーが前記第1のスライサーと前記第2のスライサーによって分離されるように前記第1のチョッパーと前記第2のチョッパーとの間に配置されている
請求項5~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記第2のスライサーの前記剛性スライサー部材が両面に切断エッジを含む請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第2のスライサーの前記剛性スライサー部材は、前記切断エッジが鋭角を示す形状を有する請求項11または12に記載の装置。
【請求項14】
前記第1のスライサーの前記スライサー開口と前記第2のスライサーの前記スライサー開口部とは同じサイズである請求項11~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記第2のチョッパーの前記剛性チョッパー部材が両面に切断エッジを含む請求項9~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記第1のスライサーと前記第2のスライサーが、少なくとも1つのOリングによって分離される請求項11~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つのOリングが、前記少なくとも1つのスライサーに一体化されている請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記第1のチョッパーはOリングによって前記第1のスライサーから分離されており、前記第2のチョッパーはOリングによって前記第2のスライサーから分離されている請求項16又は17に記載の装置。
【請求項19】
前記第1のポートおよび前記第2のポートには、ねじが付いている請求項1~18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記第1のポート及び前記第2のポートが、ルアーロック嵌合対部材を含む請求項1~19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
細胞塊の解凝集における使用のための請求項1~20いずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
医療処置のための脂肪組織の準備における使用のための請求項1~20いずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療移植手順のための脂肪細胞集塊のサイズ変更を含む、組織塊をサイズ変更する装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景に関する以下の記載は、本発明の理解を容易にするためのものに過ぎず、本発明の先行技術を説明又は構成するためのものではない。
【0003】
脂肪細胞は、局所麻酔下で又は典型的に外来診療の場で、例えば、皮下臀部、腹部又は膝部位を含む、患者の任意のドナー部位から脂肪組織を抽出することを含む脂肪吸引手順によって得ることができる理想的な皮膚充填材である。次に、採取された組織は、患者の体の別の部分(例えば、患者の唇、顔のしわなど)に再注入され得る。次に、注入された組織は、患者の顔のハリ感を高め、しわを埋め、及び/又は浅い輪郭を形成することができる。しかしながら、患者の体から最初に脂肪組織を除去するとき、大きすぎて患者に再注入できない可能性のある脂肪細胞の凝集した塊が含まれる場合がある。例えば、抽出された脂肪細胞の塊が大きすぎて、特定の医療処置に必要な侵襲性の低い細い針を通過できない場合がある。さらに、患者に注射するとき、大きなサイズの脂肪細胞集塊は、小さなサイズの脂肪細胞集塊と同様に、患者の幹細胞と相互作用しない可能性がある。
【0004】
移植用脂肪組織を採取するために広く受け入れられている方法は、負圧注射器技術を使用することであり、この技術は、チューメセント溶液で該当部位を準備し、次に10、30又は60mlの注射器に取り付けられた採取カニューレを使用することを含む。採取カニューレが患者体内の採取部位にあるときに、プランジャを引き抜き(引き出し)、負圧を発生させる。負圧が失われるか又は注射器が脂肪吸引物で満たされるまで、採取部位内でカニューレを移動させる。次に、この吸引物を患者に移植する前に、フィルター、重力分離又は遠心分離のいずれかによって過剰な液体を排出する。
【0005】
コールマン脂肪組織技術は、移植前に、吸引物を処理する方法である。脂肪吸引物を含む採取注射器の底部をルアーロックキャップで閉じ、固体生体物質から液相を分離するように遠心分離する。遠心分離後に、閉じられていないルアーロックキャップを介して麻酔薬及び生体液体を手動で排出する。溶解して損傷した脂肪細胞から放出された細胞断片及び未結合の油は、不完全かつ基本的な方法でのみ除去される。
【0006】
コールマン脂肪組織技術及び類似の技術は、比較的単純であり、いくつかの利点を有するが、一定の欠点を有する。第一に、遠心分離による吸引及び分離のステップにおいて、脂肪細胞がかなり損傷及び溶解するとともに、油が放出される。この遊離油は通常、完全に除去されないため、高レベルの油汚染(すなわち、遠心分離後に注射筒の上部に位置する細胞材料の部分)により、脂肪吸引物のかなりの部分が使用できなくなってしまう。生体充填材中に油が存在するため、感染及び拒絶反応のリスクが高まり、炎症が増加する。さらに、これらのプロセスにおいては、脂肪吸引された材料と複数の器具とが複数回接触し、かつ潜在的に無菌環境での空気への暴露が重大であり、汚染、そして最終的に感染のリスクをさらに高める。
【0007】
脂肪細胞処理のためにまれに用いられる技術は、ブレンダーにより分離された脂肪小葉を使用して吸引された細胞凝集体の機械的断片化を含み、注射可能な細胞懸濁液を提供する。上述した技術と同様に、このブレンダー技術は、かなりの量の脂肪細胞が損傷かつ溶解し、汚染される可能性、及び採取材料のかなりの部分(50%と同じ程度)が美容手順で使用に適さなくなるなどの同様の欠点を有する。さらに、上記手順及び装置を使用して得ることができる使用可能な細胞懸濁液の量は、医療スタッフの技術と、ブレンダー及び遠心分離機の速度ならびに操作時間を含む操作変数とに大きく依存する。刃の速度が過剰である場合及び/又は切断刃のメンテナンスが十分でない場合には、脂肪小葉を十分に分離せず、代わりに大量の脂肪細胞の細胞壁が機械的に破壊される可能性がある。
【0008】
他の処理技術は、フィルター又はストレーナー(細かい網状格子)により吸引物を洗浄することを含む。これもまた欠点を有する。このフィルター/ストレーナー網は採取された材料で簡単に詰まる可能性があり、手動洗浄するか又はメッシュから脂肪と大きな細胞凝集体を除去する必要があるため、汚染のリスクが高まり、吸引された試料からの収量が減少する。
【0009】
したがって、個々の細胞を損傷せずに、より大きな細胞(例えば、脂肪細胞)の塊をより小さなサイズの塊にサイズ変更することができる装置、システム及び方法が必要とされる。また、より大きな細胞の塊のサイズ変更を不必要に禁じないためにも、これを行う必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本開示は、細胞の塊(例えば、脂肪細胞の塊)を解凝集するための装置及び方法を提供する。この装置は、組織解凝集器、組織サイズ決定装置又は脂肪サイズ決定装置として説明できる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この装置は、典型的には、ハウジングアセンブリと、該ハウジングアセンブリの内部容積内に含まれる1つ以上の切断要素とを含む。このハウジングアセンブリは、第1の注射器及び第2の注射器に接続し、かつそれらの間に流体流路を作成するように設計される。いくつかの実施形態では、様々な図に示されるように、流体流路は実質的に線形である。いくつかの実施形態では、ハウジングアセンブリは、ポートを介して注射器に接続される。任意選択的に、ポートは、ねじ式又はスリップフィット式のルアーロックコネクタで構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、ハウジングアセンブリは2つのハウジング部材を含み、各ハウジング部材は、1つのポートを含む。ハウジング部材は、本明細書に記載されるように、直接的又はスペーサーハウジングなどの1つ以上の中間ハウジングアセンブリ要素を介して一体に結合されるように適合されている。全てのハウジングアセンブリ要素は、嵌合時に液密シールを提供するように構成されている。様々なハウジングアセンブリ構成要素に適する嵌合対部材は、ねじ付きコネクタ、スナップ、ノッチ及び戻り止め、摩擦/スリップ金具などを含むが、これらに限定されない。
【0013】
本明細書で使用される場合、「横方向」という用語は、相対的なものであり、組み立てられた装置のポートに向かう方向を指している。同様に、「内側」という用語は、組み立てられた装置の中心に向かう方向を指している。
【0014】
本明細書に記載されるように、1つ以上の切断要素は、所望の目的に適する任意の数で存在してよく(例えば、1、2、3、4、5、6個又はそれ以上の切断要素が存在してよい)、また切断要素は、同じであっても異なっていてもよい。例えば、切断要素は、本明細書に記載されるように、スライサー及びチョッパーを含んでよい。切断要素は、典型的には、ハウジングアセンブリ内に適合してしっかりと保持されるように構成されている。切断要素は、典型的には、格子として構成されているか又は格子状であり、ここで、開口を規定する複数の剛性部材を有するものとして定義されている。開口は、所望の用途及び目的の組織タイプに適する任意の形状であってよい。例えば、開口は、典型的には、円形、楕円形、又は卵形、三角形、正方形、長方形、菱形、又は任意の他の四辺形、又はより高次の多面形状(例えば、五角形、六角形など)であってよい。切断要素は流体流路に対して垂直に配置され、これにより開口は流体流路と一直線になる。換言すれば、流体流路に沿って一方のポートから他方のポートに流れる流体は、開口を通過する。
【0015】
本明細書で使用される場合、切断部材の開口を説明するときの「長さ」という用語は、典型的には開口の最長寸法を指すことを意図している。例えば、円形の開口の場合、「長さ」は円周を指しており、三角形の開口の場合、「長さ」は最も長い頂点を指しており、正方形、長方形又は四辺形の開口の場合、「長さ」は最も長い対角線(角から角)を指している。いくつかの実施形態では、開口の長さは0.1mm~10.0mmである。
【0016】
本明細書で使用される場合、切断要素(例えば、チョッパー又はスライサー)を説明するときの「格子」という用語は、単に規則的又は不規則な開口の配列を指しており、開口が正方形又は長方形の形状であることを必ずしも意味しない。例えば、図14は、「蜘蛛形格子」パターンで配列された開口を有するチョッパーを示している。
【0017】
切断要素部材(例えば、チョッパー部材及びスライサー部材)は、開口を規定する内部支持部材である。切断要素部材は、前側、裏側又はその両方に少なくとも1つの切断エッジを有する。切断エッジは流体の流れ方向に面し、これにより一方のポートから他方のポートへ流体流路に沿って移動する細胞の凝集体又は他の粒子状物質は、開口を通過して流れる前に切断エッジにぶつかる。
【0018】
本明細書で論じられるように、装置は、移植前に組織(例えば、脂肪組織)の吸引物をサイズ決定するために使用されている。通常、組織は、標準的な方法に従って収集(第1の)注射器を使用してドナーから採取される。次に、採取された組織は、収集(第1の)注射器から装置を介して第2の注射器に1回(すなわち、一方向に)渡されるか、又は1回、2回、3回、4回、5回、6回もしくはそれ以上の回数、往復して渡される。好ましい実施形態では、組織試料は、第1の注射器から第2の注射器に渡され、そして第1の注射器に少なくとも1回戻される。
【0019】
一態様では、装置は、単一の切断要素のみを含む。この切断要素は、本明細書に記載されるようなチョッパー又はスライサーの仕様に概ね適合し、開口の長さは0.1mmから10.0mmであってよい。切断要素部材は、片面又は両面に切断エッジを有してよい。好ましくは、切断要素部材は、組織を注射器間で両方向に移送するときに効果的に解凝集するように、両面に切断エッジを有する。
【0020】
別の態様では、装置は2つの切断要素を含み、任意選択的に、切断要素間にOリングを含む。Oリングは別個の要素であるか、又は切断要素の一方もしくは両方に統合されてよい。いくつかの実施形態では、2つの切断要素は同一である。いくつかの実施形態では、切断要素部材は一方の面のみに切断エッジを有し、切断面は外側向きである(すなわち、2つの切断要素の非切断面は、内側向きであり、「背中合わせ」に配置される)。他の実施形態では、切断要素の両面は、切断要素部材上に切断エッジを有する。
【0021】
別の態様では、装置は3つの切断要素を含み、任意選択的に、1つ以上の切断要素の間に統合されるか又は別個のOリングを含む。一実施形態では、第1及び第3の切断要素は横方向に配置され、第2の切断要素は内側に配置され(すなわち、第1と第3の切断要素の間に挟まれ)、第1及び第3の切断要素は、第2の切断要素の開口より大きい開口を有する。任意選択的に、第1及び第3の切断要素は実質的に同一である。いくつかの実施形態では、第1及び第3の切断要素は、側面に面する表面のみに切断エッジを有する。他の実施形態では、第1及び第3の切断要素は、外側に面する表面と内側に面する表面の両方に切断エッジを有し、及び/又は任意選択的に、本明細書に記載されるチョッパーの説明に適合する。他の実施形態では、第2の切断要素は、両面に切断エッジを有し、及び/又は任意選択的に、本明細書に記載されるスライサーの説明に適合する。
【0022】
別の態様では、装置は4つの切断要素を含み、任意選択的に、1つ以上の切断要素の間に統合されるか又は別個のOリングを含む。一実施形態では、第1及び第4の切断要素は横方向に配置され、第2及び第3の切断要素は内側に配置され(すなわち、第1及び第4の切断要素の間に挟まれ)、第1及び第4の切断要素は、第2及び第3の切断要素の開口より大きい開口を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第4の切断要素は実質的に同一であり、及び/又は任意選択的に、本明細書に記載されるチョッパーの説明に適合する。いくつかの実施形態では、第2及び第3の切断要素は実質的に同一であり、及び/又は任意選択的に、本明細書に記載されるスライサーの説明に適合する。いくつかの実施形態では、第1及び第4の切断要素は、側面に面する表面のみに切断エッジを有する。他の実施形態では、第1及び第4の切断要素は、外側に面する表面と内側に面する表面の両方に切断エッジを有する。いくつかの実施形態では、第2及び第3の切断要素は、外側に面する表面及び内側に面する表面の両方に切断エッジを有する。
【0023】
他の態様では、装置は、本明細書に記載されるように、2、3、4、5、6、7、8個又はそれ以上の切断要素を含む。全ての切断要素は同一であっても異なっていてもよい。一般的には、装置が「順方向」又は「逆方向」のどちらの方向に使用されるかにかかわらず、構成及び切断面が対称になるように、切断要素を配置することが好ましい。さらに、一般的には、全ての切断要素が同一でない場合、開口サイズが一般に外側から内側の方向に減少することが好ましい。例えば、奇数の切断要素を使用する場合、切断要素は、1-2-3-2-1のような対称パターンで配置され、切断要素1は、切断要素3に向かって徐々に減少する最大の開口サイズを有する。同様に、偶数の切断要素を使用する場合、切断要素は、1-2-3-3-2-1のような対称パターンで配置されてよい。
【0024】
前述の態様のいくつかの実施形態では、本発明は、2つのハウジング部材、様々なサイズの1つ以上のスペーサーハウジング及び複数の切断要素を含むキットを提供する。ハウジングアセンブリ部材は、ユーザが選択及び順序付けすることができる、数量変更が可能な切断要素を受け入れるように適合されている。例えば、システムは、嵌合時に、単一の切断要素を内部容積内に保持するハウジング部材を提供し、個別又は直列に使用して、ハウジングアセンブリ内に保持可能な切断要素の数を増やすことができる、1つ以上のスペーサーハウジングを提供してよい。同様に、複数の切断要素は、装置を構成する際にユーザに最大の柔軟性を提供するために、同一であってもよく、異なる開口サイズを有していてもよく、又はその両方の組み合わせであってもよい。
【0025】
図面及び以下の説明を参照して、本発明の他の態様及び実施形態を理解する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、2つの注射器に取り付けられた、使用中の組織解凝集装置の斜視図である。
図2図2は、図1に示される組織解凝集装置及び2つの注射器の分解図である。
図3図3は、本発明の組織解凝集装置の一構成の分解図である。
図4図4は、解凝集アセンブリで使用され得るスライサーの斜視図である。
図5図5は、図3に示される装置が組み立てられていない場合の概略断面図である。
図6図6は、図3に示される装置が組み立てられた場合の概略断面図である。
図7図7は、図6に示されるスライサーの概略断面図である。
図8図8は、スペーサーハウジングを含む、組み立てられた組織解凝集装置の別の構成の斜視図である。
図9図9は、図8に示される組織解凝集装置の分解図である。
図10図10は、図8に示される装置が組み立てられた場合の概略断面図である。
図11図11は、代替のハウジング部材設計を有する、組み立てられた組織解凝集装置の別の構成の斜視図である。
図12図12は、図11に示される組織解凝集装置の分解図である。
図13図13は、チョッパーの斜視側面図である。
図14図14は、チョッパーの前側の概略平面図である。
図15図15は、チョッパーの裏側の概略平面図である。
図16図16は、図11~12に示される装置の断面平面図である。
図17図17は、図11~12に示される装置の断面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、細胞を著しく損傷せずに、比較的大きな細胞集塊をより小さな集塊及び/又は個々の細胞に分解することによって、組織試料を解凝集するように適合された組織ホモジナイザーを提供する。本発明の装置は、美容処置における同種移植用の脂肪組織を処理するための特別な有用性を有する。これらの処置では、美容上の利益のために、脂肪組織を患者の1つの部位(例えば、皮下臀部又は腹部)から除去し、別の部位(例えば、唇、顔のしわなど)に注入するのが一般的であり、また、より小さな細胞集塊及び凝集体を有するより滑らかな組織生成物を注入/移植することによって、より良い結果が達成され得る。しかしながら、脂肪組織は、患者の体から最初に取り除いたとき、患者に再注入するには大きすぎる脂肪細胞の凝集塊を含む場合があり、及び/又はこれらの凝集体を再注入しても、望ましい美容効果が得られない場合がある。例えば、抽出された脂肪細胞の塊が大きすぎて、特定の医療処置に必要な侵襲性の低い細い針を通過できない場合や、皮下注射したときに大きな塊により見た目が凸凹になる場合がある。さらに、細胞凝集体のサイズがより小さければ、幹細胞及び他の細胞と注射部位に存在する細胞凝集体とのより良い相互作用を可能にすることができる。したがって、移植前に細胞集塊を解凝集することによって、処置の美容的及び治療的有効性の両方を改善することができる。
【0028】
解凝集手順は、好ましくは、無傷細胞自体をほとんど又は全く損傷せずに、単により大きな細胞集塊をより小さな細胞集塊、ひいては単一の細胞に分解する。濾過は、より大きな細胞集塊の単純な除去(例えば、サイズ排除による)に基づいており、かつ抽出手順から生細胞の収量を必然的に減少させるため、解凝集は、従来技術の濾過技術より好ましい。一方では、解凝集は、より多くの生存可能な抽出細胞を保持する。
【0029】
図1は、構成要素及び構成要素間の関係を理解するのに役立つ装置10の使用方法を示している。装置10は、2つの注射器1、2の間に流体流路を提供するように構成されている。第1の注射器1に収集された患者由来の組織12は、装置10を通過して第2の注射器2に入る。組織が装置10を順方向A1に通過すると共に、大きな細胞凝集体は、より小さな細胞の塊に解凝集される。次に、更なる解凝集を提供するために、組織は、第2の注射器2から装置10を逆方向A2に通過し、第1の注射器1に戻ることができる。このように、装置は双方向であってよい。この双方向処理は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上のサイクル、及び/又は組織試料全体が所望のサイズの塊に解凝集されるまで継続してもよい。最終の組織標本14は、ユーザの希望するとおり、第1の注射器1、第2の注射器2のいずれかに存在してもよいし、第1の注射器1と第2の注射器2との間で分割されてもよい。
【0030】
図2は、注射器1、2に関連して組み立てられた装置10の分解図を示している。装置10は、組織と外部環境との間の接触を防止し、かつ処理中の組織の損失を防止するように閉鎖系を形成するために、注射器1、2の間に実質的に漏れのない流体流路を提供する。これにより、手順中に組織が汚染されたり、損傷を受けたりすることがないことを保証することができる。注射器1、2は、流体を分配及び吸引するために注射筒内にそれぞれ正圧と負圧を生成するためのプランジャ1a、2aを特徴とする標準的な医療用注射器であってよい。注射器1、2はまた、装置10との液密シールを形成することができる先端1b、2bを有する。いくつかの実施形態では、注射器1、2の先端1b、2b及び装置10のポート11a、bは、標準的なルアーロックコネクタである。使用中に、装置10は、最初に組織試料を含む注射器のプランジャに正圧を加えることのみによって組織試料が注射器1、2の間で押されるように構成されることが好ましい。しかしながら、粘性のある試料及び/又は特に大きな細胞凝集体を有する試料の場合、収容注射器のプランジャを使用して同時に負圧を加える必要がある場合がある。
【0031】
典型的には、装置10は、外側本体を構成するハウジングアセンブリ100と、組織試料を解凝集するように一緒に適合される様々な要素を任意選択的に含む内部解凝集アセンブリ200とを含む。解凝集アセンブリに任意選択的に含まれる要素は、例えば、1つ以上のチョッパー202、スライサー216及びOリング122を含む。その様々な従属部品を含む解凝集アセンブリ200は、ハウジングアセンブリ100内に収容される。
【0032】
本明細書において、チョッパー202は、チョッパー開口206を規定するチョッパー部材204を有する解凝集アセンブリ200要素であり、チョッパー202の少なくとも1つの面(又は両面)は、標準的な金網又はプラスチック網に典型的な丸み付きエッジ又は四角いエッジではなく、前向きの切断エッジを有するチョッパー部材204を有する。チョッパー開口206は、約0.5~10mmの最長寸法を有するが、いずれにせよ、スライサー開口226より長い/大きい。
【0033】
本明細書において、スライサー222は、スライサー開口226を規定するスライサー部材224を有する解凝集アセンブリ200要素であり、スライサー222の少なくとも1つの面(又は両面)は、標準的な金網又はプラスチック網に典型的な丸み付きエッジ又は四角いエッジではなく、前向きの切断エッジを有するスライサー部材224を有する。スライサー開口226は、約0.2~2.5mmの最長寸法を有するが、いずれにせよ、チョッパー開口206より短い/小さい。
【0034】
Oリング122は、切断要素間に流体空間を有することが望ましい場合があるため、隣接するチョッパー202及び/又はスライサー222の間のスペーサーとして使用される。
さらに、Oリング122は、組み立てられたハウジングアセンブリ100内の全ての解凝集アセンブリ200要素を安定させるために、ハウジングアセンブリ100要素の内面と最も外側の切断要素(チョッパー202又はスライサー222)との間に配置されてよい。
【0035】
各要素は、図3~17を参照して以下に詳細に説明される。
【0036】
ハウジングアセンブリ
装置10の外側本体は、解凝集アセンブリ200を封入して収納するハウジングアセンブリ100を含む。ハウジングアセンブリ100は、以下に記載されるような様々な要素を含んでよい。
【0037】
一実施形態では、ハウジングアセンブリ100は、嵌合時に内部容積を形成し、かつ内部容積内に解凝集アセンブリ200を収容するように適合された2つのハウジング部材102a、bを含む。ハウジング部材102は、円形断面(ハウジング部材内部開口部108を見た場合)以外の任意の便利な形状を有してよい。しかしながら、ハウジング部材102及びハウジング部材の開口部108はまた、八角形、楕円形、正方形、他の形状及びそれらの任意の組み合わせなどの他の形状の断面を含んでよい。好ましい実施形態では、ハウジング部材102の形状は、典型的には、ポート11をその頂点で終端する円錐台形状であってよい。
【0038】
様々な図に示されるように、通常、ハウジング部材102a、bには円錐台形状が好ましく、ハウジング部材102a、bの円筒形部分は、嵌合して液密シールを形成するように適合されている。ハウジング部材102の円錐部分は、小さな空隙容積を提供し、流体流路を、ポート11の狭い直径から、装置10の本体を形成する円筒形部分のより大きな直径に移行させる。ハウジング部材102a、bのそれぞれは、注射器20の先端22に接続するように適合されたポート11をさらに含む。好ましくは、ポート11は標準的なルアーロック嵌合対部材であり、標準的な注射器上の相補的なルアーロック嵌合対部材と組み合わせて、嵌合時に液密シールを形成する。他の実施形態では、ポート11はルアースリップ金具を含む。装置10の範囲は、ポート11の特定の構成及び/又はポートが注射器1、2の先端1b、2bにどのように接続されているかによって、決して制限されないことが理解される。ポート11はまた、流体流路を提供するために、ハウジング部材102から注射器の先端1bまで延びるチューブ又は他のタイプの通路を含んでよい。
【0039】
上記のように、ハウジング部材102a、bは、典型的には対称的であるが、嵌合されて液密シールを形成するように適合されている。嵌合機構は、特定のニーズと使用目的に応じて、可逆的又は不可逆的であってよい。最も便利なことに、ハウジング部材102a、bは、解凝集アセンブリ200の装填及び構成を可能にするために別個の要素として製造及び/又は提供されるが、ハウジング部材102a、bが嵌合されると、装置10を分解/再組み立てすることはできない。図3に示される一実施形態では、ハウジング部材102a、bは、ハウジング部材102a、bが一体にねじ止めされるように、相補的なねじ付きコネクタ105a、bを使用して嵌合される。図5~6に示される別の実施形態では、ハウジング部材102a、bはノッチ及び戻り止めシステム104を使用して嵌合される。あるいは、ハウジング部材102a、bは、1つのハウジング部材102aの本体が他方のハウジング部材102bの開口部108内に確実にスライドするように設計された単純な摩擦嵌合を使用して嵌合されてよい。
【0040】
ハウジングアセンブリ100は、任意選択的に、図9~10に示されるようなスペーサーハウジング128を含んでよい。スペーサーハウジング128は、より大きな解凝集アセンブリ200により多くの内部容積を提供するために、ハウジングアセンブリ100の長さを延長するように適合されている。スペーサーハウジング128は、モジュラー装置10システムを提供するために、様々な長さで提供されてよい。以下により詳細に論じるように、装置10システムは、ハウジング部材102a、bのみが単一の解凝集アセンブリ200要素(例えば、チョッパー202又はスライサー222)を受け入れるように設計されてよい。異なる長さの1つ以上のスペーサーハウジング128を提供し、完全に組み立てられたハウジングアセンブリ100(ハウジング部材102a、b及びスペーサーハウジング128を含む)の長さが、追加の解凝集アセンブリ200要素を受け入れるようなサイズにしてもよい。図9は、ねじ付きコネクタ105a、bを有するスペーサーハウジング128を示し、図10は、ノッチ及び戻り止めシステム104を有するスペーサーハウジング128を示している。特定の接続機構は、ここに示されているものに限定されないことが理解される。
【0041】
図3及び5に示される別の実施形態では、ハウジング部材102は、任意選択的に、ハウジング部材102の内面及びハウジング部材内部開口部108内に配置され得る1つ以上の切断刃112(例えば、1、2、3、4、5、6、7個又はそれ以上)を含む。一実施形態では、切断刃112は、典型的には、ポート11から長手方向及び/又は任意の配向角度で延びる。切断刃112は少なくとも1つの鋭い刃を有し、かつチョッパー202及びスライサー222などのより微細な解凝集要素の目詰まりを低減できる最大の組織凝集体を分割するように適合及び設計されている。任意の切断刃112は、ハウジング部材102a又は102bのいずれか、又は両方に存在してよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、切断刃112の全長は、ハウジング部材102の内面に固定されてよい(例えば、図5の切断刃112aを参照)。他の例示的な実施形態では、切断刃112の第1の端部は、ハウジング部材102の内面に固定されてよく、切断刃112の第2の端部は、内部容積内に自由に延在し、かつ表面から離れてよい(例えば、図5の切断刃112bを参照)。切断刃112は、接着剤、溶接、収容孔、チャネル内への圧入、他のタイプの取り付け機構又は方法及びそれらの任意の組み合わせを使用して内面110に取り付けられてよい。あるいは、切断刃112及びハウジング部材102は、同時成形されるか又は一体的に形成されてよい。
【0043】
別の実施形態では、ハウジング部材102は、ハウジング部材102の内面から挿入された解凝集アセンブリ200要素まで延びることができる支柱124を含んでよい。それにより、支柱124は、解凝集アセンブリ200に横方向の支持を提供することができる。好ましくは、支柱124はチョッパー202及び/又はスライサー222(他の項目で説明される構成に応じて)の前面及び/又は裏面に当接して、両側からチョッパー202及び/又はスライサー222自体に直接的に支持を提供してよい。これにより、装置10の使用中に、解凝集アセンブリ200を所定の位置に固定及び保持しやすくなる場合がある。必要に応じて、任意の数の支柱124を解凝集アセンブリ200のいずれかの側で使用してよい。
【0044】
ハウジング部材102は、直径が約1~5センチメートル(例えば、約1、2、3、4又は5cm)であってよいが、他の直径を用いてもよい。装置10の全ての構成要素と同様に、ハウジングアセンブリ100は、例えばポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン又は他の種類の適切な材料を含む任意の適切な材料から形成されてよい。
【0045】
解凝集アセンブリ
装置10は、ハウジングアセンブリ100に封入された解凝集アセンブリ200を含む。解凝集アセンブリ200は、個別又は任意の組み合わせで存在し得る、以下に記載される1つ以上の要素を含む。
【0046】
解凝集アセンブリ-チョッパー202
いくつかの実施形態では、解凝集アセンブリ200は、1つ以上のチョッパー202を含む。図13~15に示されるように、チョッパー202は、同様の一般的な断面形状を有し、ハウジングアセンブリ内にぴったりと嵌合するように適合されている。一実施形態では、チョッパー202は、複数の細断開口206を規定するように配置され得る細断部材204のディスク形状格子である。一実施形態では、細断部材204は、リング間に延びる間隔を空けた放射状部材204a(例えば、スポーク)を備える同心リング部材204bとして配置されてよい。チョッパー202は、2つの同心リング部材204bを含んでよく、最も外側のリング204cは、チョッパー202の外縁を規定する。他の数のリング(例えば、1つ、2つ、3つ又はそれ以上の同心リング部材)を使用してもよい。放射状部材204aは、同心リング部材204bを介して隣接していても隣接していなくてもよい。同心リング及び放射状スポークのこの形成は、蜘蛛形格子とも呼ばれることもある。細断開口206は、同心リング204b及び放射状部材204aによって規定されている。
【0047】
別の実施形態では、細断部材204は、細断開口206の対応する行及び列を形成する行及び列の格子状の形成で配置されてよい。細断部材204はほぼ線形の断面であってよく、これにより4つの細断部材204は、典型的に正方形、長方形、菱形又は他の四辺形の細断開口206を形成する(各細断部材204が細断開口206の側壁を形成する)ことができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、細断開口206の寸法は、より大きな細胞集塊を、より小さな細胞集塊又は中程度のサイズの集塊に分割するように設計されており、これらのより小さな細胞集塊又は中程度のサイズの集塊は、その後に他の項目で説明するように、追加の要素(例えば、スライス格子216)によって、さらにより小さな所望のサイズに分割することができる。したがって、細断開口206の面積は、スライス開口226の面積より小さい。いくつかの実施形態では、細断開口206の寸法の最長寸法は約0.5~10mmであり、例えば、少なくとも0.5、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0又は10.0mmを含むか又は0.5、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0又は10.0mm以下である。
【0049】
チョッパー202は、ハウジング部材102の内部容積内にぴったりと嵌合するような形状である。したがって、チョッパー202は、ハウジング部材102と同じ断面形状を有し、かつハウジング部材102の内面110との摩擦嵌合を提供するようなサイズであり、これにより、実質的に全ての組織試料が、通常の使用中に、チョッパー202の外面と内面110との間ではなく、細断開口206を通過して流れるようになることが理解される。
【0050】
チョッパー202は、前面212及び後面214を有するものとして定義されてよい。前面212は、細断部材204が切断エッジ208を含むことを特徴とする。後面214は、細断部材204が切断エッジ208を有するか又は実質的に平坦である(すなわち、切断エッジ208を欠いている)ことを特徴としてよい。切断エッジ208を有する細断部材204は、組織試料の解凝集のために追加の切断面が望まれる場合、及び/又は解凝集アセンブリ200が単一のチョッパー202のみを含む場合、及び/又は単一のチョッパー202が解凝集アセンブリ200における唯一の解凝集要素である場合に使用してよい。実質的に平坦な細断部材204は、よりコンパクトな設計を提供するのに役立ち、かつ解凝集プロセス中に採取された細胞への損傷を少なくすることができる。
【0051】
切断エッジ208は、長さに沿って(好ましくはその全長に沿って)鋭利であってよく、細断部材204の形成された形状から生じたものであってよい。例えば、細断部材204は、三角形又は他のくさびなど、前面212に鋭角を示す任意の便利な形状を有してよい。脂肪組織がチョッパー202を強制的に通過してその前面212からその後面214に押し出される可能性があるため、切断エッジ208は、前面212に押し付けられ得る凝集した脂肪集塊をスライスするか、さもなければ分割するように適合されている。また、切断エッジ208は、接触する可能性のある脂肪細胞を損傷しないように、あまり鋭くないことが好ましい。また、切断エッジ208は、脂肪集塊が引っ掛かったり、さもなければ開口206を通過するのを妨げたりしないように、粗くないことが好ましい。このようにして、細断開口206よりサイズが大きい可能性のある脂肪細胞の集塊は、前面212から開口206を強制的に通過し、細断部材204及びそれらに対応する鋭利な前部切断エッジ208のスライス作用によって分割されてよい。切断エッジ208は、成形プロセスの結果として研磨されてもよく、必要に応じて二次的な研磨手順の間に研磨されてもよい。さらに、切断エッジ208は、必要に応じていつでも再研磨することができる。
【0052】
解凝集アセンブリ-スライサー222
解凝集アセンブリ200はまた、1つ以上のスライサー222を含んでよい。図4に示されるように、スライサー222は、複数の対応するスライサー開口226を規定するように配置される複数のスライサー部材224を含んでよい。スライサー222は、ディスク形状であってもよいし、又は他の形状を含んでもよい。スライサー222の設計上の考慮事項はチョッパー202の場合と同様であるが、スライサー開口226がチョッパー開口206より小さく、スライサー部材224の寸法/厚さが、チョッパー部材204と比較して同じ又はより小さい点が異なる。一般に、スライサー222は、チョッパー202より小さい細胞集塊を生成することが意図されている。任意選択的に、スライサー222は、前側/外側、背側/内側又はその両方に統合されたOリング122を含む。Oリング122は、ハウジングアセンブリ100内にぴったりと固定された解凝集アセンブリ200要素に対して間隔を空けるために使用されてよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、スライス開口226の寸法は、より小さいか又は中程度のサイズの細胞集塊をさらに小さな集塊及び/又は個々の細胞に分割するように設計される。したがって、スライス開口226の面積は、細断開口206の面積より大きい。いくつかの実施形態では、細断開口206の寸法の最長寸法は約0.05~2.5mmであり、例えば、少なくとも0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.25又は2.50mmを含むか又は0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.25又は2.50mm以下である。
【0054】
スライサー222は、ハウジング部材102の内部容積内にぴったりと嵌合するような形状である。したがって、スライサー222は、ハウジング部材102と同じ断面形状を有し、かつハウジング部材102の内面との摩擦嵌合を提供するようなサイズであり、これにより実質的に全ての組織試料が、通常の使用中に、スライサー222の外面とハウジング部材102の内面の間ではなく、スライス開口226を通過して流れることが理解される。
【0055】
図4に示される一実施形態では、スライス部材224は、スライス開口226の対応する行及び列を形成する行及び列の格子状又はマトリックス形成に配置される。この例では、各スライス部材224は典型的にほぼ真っ直ぐな断面であってよく、これにより4つのスライス部材224は典型的に正方形、菱形又は他の四辺形のスライス開口226を形成する(各スライス部材224はスライス開口226の側壁を形成する)ことができる。
【0056】
図7に示されるように、スライサー222は、前面232及び後面234を有するものとして定義されてよい。前面232は、部材224が切断エッジ228を含むことを特徴とする。後面234は、スライス部材224が切断エッジ228を有するか又は実質的に平坦である(すなわち、切断エッジ228を欠いている)ことを特徴としてよい。切断エッジ228を有するスライス部材224は、組織試料の解凝集のために追加の切断面が望まれる場合、及び/又は解凝集アセンブリ200が単一のスライサー222のみを含む場合、及び/又は単一のスライサー222が解凝集アセンブリ200における唯一の解凝集要素である場合に使用してよい。実質的に平坦なスライス部材224は、よりコンパクトな設計を提供するのに役立ち、かつ解凝集プロセス中に採取された細胞への損傷を少なくすることができる。
【0057】
切断エッジ228は、長さに沿って(好ましくはその全長に沿って)鋭利であってよく、スライス部材224の形成された形状から生じてよい。例えば、スライス部材224は、三角形又は他のくさびなど、前面232に鋭角を示す任意の便利な形状を有してよい。脂肪組織がスライサー222を強制的に通過してその前面232からその後面234に押し出される可能性があるため、切断エッジ228は、前面232に押し付けられ得る凝集した脂肪集塊をスライスするか、さもなければ分割するように適合されている。また、切断エッジ228は、接触する可能性のある脂肪細胞を損傷しないように、あまり鋭くないことが好ましい。また、切断エッジ228は、脂肪集塊が引っ掛かったり、さもなければ開口226を通過するのを妨げたりしないように、粗くないことが好ましい。このようにして、スライス開口226よりサイズが大きい可能性のある脂肪細胞の集塊は、前面232から開口226を強制的に通過し、スライス部材224及びそれらに対応する鋭利な前部切断エッジ228のスライス作用によって分割されてよい。切断エッジ228は、成形プロセスの結果として研磨されてもよく、必要に応じて二次的な研磨手順の間に研磨されてもよい。さらに、切断エッジ228は、必要に応じていつでも再研磨することができる。
【0058】
一実施形態では、スライス開口226の寸法は、(前部232又は後面234のいずれかから)スライサー222を通過することができるサイズ変更された脂肪細胞集塊の所望の最大サイズに概ね対応するように選択されてよい。このようにして、凝集した脂肪細胞の塊がスライサー開口226を通過することができるので、組織塊は、一般的にスライサー開口226のサイズにサイズ変更され得る。スライサー開口226の寸法は、細断開口206の寸法より小さくてよいことに留意されたい。例えば、一実施形態では、スライサー開口226はそれぞれ約50μmの幅(これは、ほぼナノ脂肪粒子のサイズである)を有することが好ましい場合がある。別の実施形態では、スライサー開口226はそれぞれ約100μmの幅を有することが好ましい場合がある。さらに、サイズ変更された脂肪細胞塊を最終的に利用する可能性のある医療手順に応じて、スライス開口226は、それぞれ約50pm~2000pm又は100pm~1500pmの幅を有することが好ましい場合がある。サイズ変更された組織塊の最終的な目的に応じて、他の幅を用いてもよく、装置10の範囲は、スライサー開口220の幅によって決して制限されない。
【0059】
複数(2つ、3つ、4つ又はそれ以上)のスライサー222が存在する場合、第1のスライサー222aのスライス開口226aのサイズ、形状又は向きは、第2のスライサー222b(又は任意の後続のスライサー222)のスライス開口226bと一致させる又は揃える必要がない。実際、スライサー222上に異なるサイズ及び形状のスライス開口226を有することにより、任意の個々の開口226より小さい機能的開口の形成を可能にすることができる。
【0060】
一実施形態では、第1及び第2のスライサー222a、bのそれぞれのスライス部材224及びスライス開口226は、概ね整列していてよい。別の構成では、第2のスライサー222bは、その中心軸を中心に、例えば、第1のスライサー222aに対して90°回転する。これにより、4つのスライス部材224の頂点又は接合部を、他のスライサー222aのスライス開口226aの中央にある一方のスライサー222b内に配置することができる。すなわち、スライサー222aのスライス開口226aを見ると、スライス部材224bの接合部によって形成された「+」(十字)の構成を見ることができる。この例は、90°オフセットされたスライサー222の1つを示しているが、スライサー222のいずれかが、他のサイズの組み合わされた開口226を形成するために、他の角度又は向きでオフセットされ得ることが理解される。スライス開口226が他の形状(例えば、円形)であってよい場合、1つ又は複数のスライサー222の回転オフセットにより、他のサイズ及び/又は形状の組み合わされた開口226が形成される可能性があることにも留意されたい。
【0061】
装置アセンブリ
いくつかの実施形態では、装置10は、ハウジングアセンブリ100内に封入された解凝集アセンブリ200を含んでよい。様々な実施形態では、解凝集アセンブリ200は、上記要素のいくつか又は全ての組み合わせを含む。
【0062】
図3及び5~6は、本発明に係る装置10の一実施形態を示している。図3は、第1のハウジング部材102a、第2のハウジング部材102b、スライサー222及び横方向に配置された2つのOリング122を有する装置10の分解図を示している。ハウジング部材102a、bの形状は、頂点の先端1a、bにおいてルアーコネクタで終端する円錐台である。ハウジング部材102a、bは、図3に示されるように、ねじ付きコネクタ105a、bを介して係合しているが、これらの要素は、液密シールを作成し、かつ解凝集アセンブリを内部にしっかりと保持する任意の適切なコネクタシステム又は対となる部材で置き換えられることが理解される。例えば、ノッチ及び戻り止めシステムが、図5~6に示されている。ハウジング部材102a、bは、切断刃112を有するものとしてさらに示されている。切断刃112は任意であり、省略されてもよいことが理解される。本実施形態は、単一の切断要素、スライサー222を有する解凝集アセンブリ200を示している。スライサー222の代わりにチョッパー202を使用してもよいことが理解される。解凝集アセンブリ200が単一の切断要素を有する場合、切断要素は、両面に切断エッジを有することにより、組織が順方向及び逆方向の両方に押されるときに、装置によって組織試料が解凝集されるように適合されることが好ましい。本実施形態は、ハウジングアセンブリ100内にスライサー222を固定するために使用される2つのOリング122及び複数の支柱124の存在を示している。同じ目的を達成するために、Oリング122の一方又は両方は、リムとしてスライサー222と統合され得ることが理解される。支柱124も任意選択である。
【0063】
図5~6は、単一の切断要素を解凝集アセンブリ200内に固定するために使用され得る一実施形態を示している。この場合、切断要素は、スライサー222として示されている。ハウジング部材102a、bは、本明細書に記載されるように嵌合して、ハウジングアセンブリ100を形成し、これにより円周方向のノッチ120(又はチャネル)を形成することができる。ノッチ120は、スライサー222をノッチ120内に収容し、かつ単独で又は支柱124及び/又はOリング122と組み合わせてノッチ120内にしっかりと保持するように、スライサー222の幅に対応する幅を有する。このようにして、スライサー216は、嵌合しているハウジング部材102a、b内にぴったりと固定されて、装置10を形成することができる。
【0064】
図8~10は、装置10の別の構成を示している。本実施形態では、ハウジングアセンブリ100は、第1及び第2のハウジング部材102a、bと、解凝集アセンブリ200の一部として第2の切断要素を組み込むことができるようなサイズにされたスペーサーハウジング128と、を含む。図8は、第1及び第2のハウジング部材102a、b及びスペーサーハウジング128を含む組み立てられた装置10の斜視図を示している。図9は、ハウジングアセンブリ100要素がねじ付きコネクタ105a、bを介して係合され得ることを示しているが、例えば、図10に示されるようなノッチ及び戻り止めシステム104を含む他のコネクタシステムを使用し得ることが理解される。図9はさらに、2つのスライサー222a、b及び3つのOリング122a、b、cを含む解凝集アセンブリ200の別の構成を示している。図10は、スペーサーハウジング128の導入により図6のノッチ120より大きいノッチ120が形成され、より大きな解凝集アセンブリ200を収容して固定するように適合し始めることを示している。本実施形態は、2つの切断要素(スライサー222a、b)を収容するように適合されたスペーサーハウジング128とともに示されているが、スペーサーハウジング128は、スライサー222とチョッパー202の組み合わせ物であってよい3、4、5、6個又はそれ以上の切断要素を収容するように変更され得ることが理解される。
【0065】
図11、12、16、及び17は、装置10の別の構成を示している。図11は、ハウジングアセンブリ100を含む本実施形態の完全に組み立てられた装置を示しており、ハウジングアセンブリ100は、複数(この場合、4個)の切断要素を有する解凝集アセンブリ200を収容するのに十分な大きさの第1及び第2のハウジング部材102a、bを含む。図12に示されるように、ハウジング部材102a、bは、ノッチ及び戻り止めシステム104a、bで係合されている。いくつかの実施形態では、このシステムは不可逆的な係合を形成する。本実施形態では、解凝集アセンブリ200は、第1及び第2のチョッパー202a、bと、第1及び第2のスライサー222a、bと、を含む。チョッパー202a、bは、スライサー222a、bに対して横方向に配置される。一構成では、チョッパー202a、bは、外側に面する前面212a、bに切断エッジ208を有し、かつ内側に面する後面214a、bに、平坦な及び/又は非切断エッジを有する。ここに示されている1つの構成では、スライサー222a、bは、前面232a、b及び後面234a、bに切断エッジ228を有する。任意選択的に、Oリング122は、より効率的な組織の解凝集を促進するために、第1のスライサー222aと第2のスライサー222bとの間に配置される。上述したように、Oリング122は、スライサー222a、bのいずれか又は両方に一体化されていてよい。任意選択的に、図示されていないが、Oリング122を各チョッパー202とスライサー222との間に配置してもよい。
【0066】
図16は、完全に組み立てられた構成の本実施形態の断面を示している。任意選択的に、チョッパー202a、bは、外側から内側方向に延びるテーパー210を有する。テーパー210は、組織試料がチョッパー202を通過するときに組織試料の速度を増加させる傾向があり、これにより組織試料は、スライサー222によってより効果的に解凝集される。テーパー角度aは約10°~60°であってよく、例えば、約10°、20°、30°、40°、50°、60°及び70°を含む。
【0067】
図17は、装置10の流体流路の下流を一方のポート11aから他方のポート11bの方向に見た断面図を示している。この図は、組織試料が最初に比較的大きな開口206を有するチョッパー204にぶつかり、続いて比較的小さな開口226を有するスライサー222にぶつかることを示している。
【0068】
要素202a、222a、222b、202bの直列の組み合わせは、要素202a、222a、222b、202bの円周面とハウジング部材102a、bの内面との間に隙間又は開口部がないように、ハウジングアセンブリ100の内部容積116内にしっかりと嵌合することが好ましい。これにより、第1のポート11aから第2のポート11bへ、及び第2のポート11bから第1のポート11aへ通過する組織が、開口206a、226a、226b、206bを通過しなければならないことを保証し得る。
【0069】
さらに、要素202a、222a、222b、202bの直列の組み合わせは、特に組織が要素202a、222a、222b、202bを介していずれかの方向に押されることにより、要素202a、222a、222b、202bに力が加えられる場合に、内部容積116内の横方向の移動から確実に保持され得ることが好ましい。要素202a、222a、222b、202bは、要素を圧入、接着剤の使用、溶接又は他の取り付け方法により円周方向のノッチに又は内面の戻り止めの間に嵌合させることによって固定されてよい。
【0070】
使用方法
装置10は、より大きなサイズの組織の塊をより小さなサイズの塊に分解するために使用することができ、得られたより小さなサイズの組織の塊は、様々な異なる医療処置に使用することができる。
【0071】
脂肪組織は、任意の適切な手順(例えば、脂肪吸引)によって患者から除去され、そして第1の注射器1に提供され得る。脂肪組織を含む第1の注射器1では、注射器1のプランジャ1aを完全に又は部分的に延長させてよい。次に、装置10は、ポート11aを介して第1の注射器1の先端1bに接続されてよい。次に、第2の注射器2(好ましくは空である)の先端2bは、装置10の他のポート11bに接続されてよい。好ましくは、第2の注射器2のプランジャ2bはこのように完全に挿入され、第1の注射器1、装置10と第2の注射器2との間に漏れ防止シールが形成されてよい。
【0072】
次に、第1の注射器1のプランジャ1aは、内側に押されて、組織を注射器1の先端1bから押し出して装置10に押し込むことができる。プランジャ1aが内側に移動し続けると、組織は、解凝集アセンブリ200を矢印A1の方向に強制的に通過し、それによってチョッパー202a、b、スライサー222a、b及び切断刃112(使用される解凝集アセンブリ200の構成及び要素による)によって解凝集されてよい。
【0073】
同時に、第2の注射器2のプランジャ2aが引き抜かれて負圧を生成し、それによって組織を装置10から第2の注射器2に引き込む。このプロセスは、好ましくは、(全て又は少なくとも大部分の組織が注射器1から押し出されるように)プランジャ1aが注射器1に完全に押し込まれ、そして(全て又は少なくとも大部分の組織が注射器2に引き込まれるように)プランジャ2aが注射器2から完全に延出されるまで、継続されてよい。
【0074】
次に、第2の注射器2のプランジャ2aは、内側に押されて、組織を注射器2の先端2bから押し出して装置10に押し込むことができる。プランジャ2aが内側に移動し続けると、組織は、解凝集アセンブリ200をA2の方向に強制的に通過し、それによってチョッパー202a、b、スライサー222a、b及び切断刃112(使用される解凝集アセンブリ200の構成及び要素に依存する)によって解凝集されてよい。
【0075】
同時に、第1の注射器1のプランジャ1aは、第1の注射器1から引き出されて、組織を装置10から第1の注射器1に引き込むことができる。このプロセスは、好ましくは、(全て又は少なくとも大部分の組織が注射器2から押し出されるように)プランジャ2aが注射器2に完全に押し込まれ、そして(全て又は少なくとも大部分の組織が注射器1に引き込まれるように)プランジャ1aが注射器1から完全に延出されるまで、継続されてよい。
【0076】
この前後の手順は、脂肪細胞の塊を所望のサイズに首尾よくサイズ変更するために必要な回数だけ繰り返されてよい。組織が適切なサイズに十分に精製されたら、組織を第1の注射器1、第2の注射器2又はそれらの任意の組み合わせに収集し、装置10を注射器1、2から取り外すことができる。次に、医療処置の必要に応じて、組織を患者に移植することができる。
【0077】
装置の利点
装置10の利点は複数あり、以下の利点が含まれるが、これらに限定されない。
【0078】
第1に、他の項目で説明したように、装置10は、特定の医療処置に使用される適切なサイズになるように脂肪組織を適切に準備及び精製することができる。
【0079】
第2に、装置10の解凝集アセンブリ200は、個々の脂肪細胞に不必要に損傷を与えることなく、脂肪塊を解凝集することができる。
【0080】
第3に、装置10の解凝集アセンブリ200は、より大きな脂肪塊を濾過して除去することはできないが、代わりにそれらを所望のサイズに分解することができる。
【0081】
第4に、装置10の双方向機能は、組織が解凝集アセンブリ200を複数回通過することを可能にして、組織塊を適切に解凝集することを保証することができる。例えば、脂肪細胞塊はある程度柔軟で和やかであるため、それらの向きに応じて、一部の塊は完全に解凝集されることなく、装置10を(矢印A1の方向に)最初に通過する過程において、開口206、226を介して押し込むことができる。したがって、装置10を前後に複数回通過できるようにすることにより、装置10は、組織塊が開口206、226を通過して装置10によって解凝集されると同時に、最終的に適切に配向されることをより効果的に保証することができる。
【0082】
第5に、プランジャ1aが第1の注射器1に完全に挿入され、かつプランジャ2aが第2の注射器1から完全に引き抜かれ得るとき、一部の組織が先端1b及び/又は装置10の左側ハウジング部材102aに残る可能性があるという事実のため、最初に(矢印A1の方向に)通過する過程において、第1の注射器1から装置10を通過して全ての組織を押し込むことが不可能な場合があるため、装置10を最初に通過する過程において一部の組織が解凝集されない可能性がある。したがって、装置10を(矢印A2の方向に)2回目に通過すると、最初の通過時に解凝集されなかった組織は、2回目の通過過程又は場合によっては次の通過過程において、解凝集アセンブリ200を強制的に通過することができるように、注射器1、2及び/又は装置10内で再配置されてよい(いくらか流動的である)。このようにして、装置10を複数回通過できるようにすることにより、装置10は、全て又は少なくとも高い割合の組織が最終的に解凝集アセンブリ200を通過して適切に解凝集されることを保証することができる。
【0083】
第6に、装置10は、精製される組織が外部環境と接触しないように閉鎖系を提供することができ、これにより汚染の可能性を最小限に抑えることができる。
【0084】
当業者は、本明細書を読むことによって、本明細書の実施形態が異なる及び/又は他の利点を提供することができること、及び全ての実施形態又は実施が全ての利点を有する必要があるわけではないことを認識し理解するであろう。
【0085】
本発明は、本明細書において広く一般的に記載されている。一般的な開示に含まれる下位種及び亜属集団のそれぞれも、方法の一部を形成する。これには、除外されるものが本明細書に具体的に記載されているか否かに拘らず、当該属から任意の主題を除外する条件又は否定的限定を付した方法の一般的な記述が含まれる。
【0086】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。さらに、この方法の特徴又は態様がマーカッシュ群に関して説明される場合、当業者は、これにより本発明がマーカッシュ群の任意の個々の要素又は要素のサブ群に関しても説明されることを認識するであろう。
【0087】
当業者は、本明細書を読むことによって、本明細書又は他の方法で記載された実施形態のいずれかの態様、要素及び/又は詳細のいずれかを任意の方法で組み合わせることができ、本発明の範囲は、本明細書の実施形態のいずれかの任意の態様、要素又は詳細な任意の組み合わせを含むことを理解するであろう。
【0088】
本発明は、現在最も実用的で好ましい実施形態であると考えられているものに関連して説明されてきたが、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、逆に添付の特許請求の範囲の精神及び範囲に含まれる様々な修正及び同等の構成をカバーすることを意図していることが理解される。
【符号の説明】
【0089】
1 第1の注射器
2 第2の注射器
1a、2a プランジャ
A1 順方向
A2 逆方向
10 装置
100 ハウジングアセンブリ
200 解凝集アセンブリ
14 組織標本
1b、2b 先端
11a 第1のポート
11b 第2のポート
102a、b ハウジング部材
104a、b 戻り止めシステム
105a、b ねじ付きコネクタ
108 開口部
112a、b 切断刃
116 内部容積
120 ノッチ
122a、b、c Oリング
124 支柱
128 スペーサーハウジング
202a 第1のチョッパー
202b 第2のチョッパー
204 細断部材
204a 放射状部材
204b 同心リング
206 細断開口
208、228a、b 切断エッジ
210 テーパー
212a、212b、232a、232b 前面
214a、214b、234a、234b 後面
216 スライサー
226 スライス開口
224 スライス部材
222a 第1のスライサー
222b 第2のスライサー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17