(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】超吸収体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08F 20/06 20060101AFI20240308BHJP
C08J 3/12 20060101ALI20240308BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20240308BHJP
B01J 20/26 20060101ALI20240308BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
C08F20/06
C08J3/12 A CEY
A61F13/53 300
B01J20/26 D
B01J20/30
(21)【出願番号】P 2021509163
(86)(22)【出願日】2019-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2019071450
(87)【国際公開番号】W WO2020038742
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-08-08
(32)【優先日】2018-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】プファイファー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ファンク,ルーディガー
(72)【発明者】
【氏名】クルーガー,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ポセミアーズ,カール
(72)【発明者】
【氏名】シュレーダー,ユールゲン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイスマンテル,マティアス
【審査官】飛彈 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-508836(JP,A)
【文献】特表2013-511612(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0232177(US,A1)
【文献】特表2013-523924(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0245436(US,A1)
【文献】特開2016-094625(JP,A)
【文献】特開2012-081433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 20/06
C08J 3/12
A61F 13/53
B01J 20/26
B01J 20/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)酸基を有し、50~85mol%程度まで中和されている、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー、
b)少なくとも1種の架橋剤、
c)少なくとも1種の開始剤、
d)任意選択で、a)に記載されるモノマーと共重合可能な1種以上のエチレン性不飽和モノマー、及び
e)任意選択で、1種以上の水溶性ポリマー
を含むモノマー溶液を重合させることによって超吸収体粒子を製造する方法であって、
i)ベルト反応器の連続ベルト上でモノマー溶液を連続的に重合させるステップ、
ii)ステップi)で得られたポリマーゲルを粉砕するステップ、
iii)ベルト反応器の
連続ベルトの下側
に付着しているポリマーゲルを分離ユニット
の中へ水でリンスするステップ、
iv)分離ユニット中でポリマーゲルを水から分離するステップ、及び
v)ステップiv)において分離したポリマーゲルをステップii)へと再循環させるステップ
を含み、
ポリマーゲルが、少なくとも100g/gの水中での膨潤能を有し、ステップiii)とステップiv)との間の滞留時間が、20分未満であり
(ここで、滞留時間とは、ポリマーゲル粒子のリンス水と最初の接触と、ポリマーゲル粒子の分離ユニット中への流入とのあいだの時間である)、ステップiv)における分離ユニットが、少なくとも1mmの開口幅を有する開口部を備える、
方法。
【請求項2】
ステップiii)とステップiv)との間の滞留時間が、15分未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップiii)とステップiv)との間の滞留時間が、10分未満である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップiii)とステップiv)との間の滞留時間が、5分未満である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ベルト反応器の下側で得られたポリマーゲルが、タンク内に収集される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップiv)における分離ユニットが、少なくとも1.5mmの開口幅を有する開口部を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップiv)における分離ユニットが、少なくとも2mmの開口幅を有する開口部を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップiv)における分離ユニットが、少なくとも3mmの開口幅を有する開口部を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップiv)における分離ユニット中の開口部が、スクリーンのメッシュからなる、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップiv)における分離ユニット中の開口部が、スロットの形態をとる、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
分離ユニットが、水平型回転ドラムであり、ドラムが、入口から出口へ傾斜している、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ドラムが、水平に対して少なくとも10°傾斜している、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ドラムが、水平に対して少なくとも20°傾斜している、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
ドラムが、水平に対して少なくとも30°傾斜している、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ステップv)において得られた水が、ステップiii)における工程に再循環される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノマー溶液を重合させることによって超吸収体粒子を製造する方法であって、ベルト反応器の連続ベルト上でモノマー溶液を連続的に重合させるステップ、得られたポリマーゲルを粉砕するステップ、ベルト反応器の下側で得られたポリマーゲルを分離ユニット中へと水でリンスするステップ、分離ユニット中でポリマーゲルを水から分離するステップ、及びポリマーゲルを粉砕へと再循環させるステップを含み、該ポリマーゲルが少なくとも100g/gの水中での膨潤能を有し、リンス水中でのポリマーゲルの滞留時間が20分未満であり、分離ユニットが少なくとも1mmの開口幅(clear width)を有する開口部を備える、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超吸収体は、おむつ、タンポン、衛生ナプキン及び他の衛生物品を製造するのに使用されるが、ガーデニング市場において保水剤としても使用される。超吸収体はまた、水吸収性ポリマーとも称される。
【0003】
超吸収体の製造は、論文「Modern Superabsorbent Polymer Technology」、F. L. Buchholz及びA. T. Graham、Wiley-VCH、1998年、71~103頁に記載されている。
【0004】
超吸収体の性質は、例えば、使用される架橋剤の量を介して調整することができる。架橋剤の量を増やすと、遠心保持容量(CRC)は低下し、21.0g/cm2(AUL0.3psi)の圧力下での吸収率は最大値を通過する。
【0005】
性能特性、例えば49.2g/cm2 (AUL0.7psi)の圧力下でのゲルベッド透過率(GBP)及び吸収率を改善するために、超吸収体粒子は、一般に、表面後架橋される。これは、粒子表面の架橋のレベルを上げ、このことは49.2g/cm2 (AUL0.7psi)の圧力下での吸収率と、遠心保持容量(CRC)とを少なくとも部分的に分離することができる。この表面後架橋は、水性ゲル相中で実施され得る。しかしながら、好ましくは、乾燥させ、砕かれ、篩われたポリマー粒子(ベースポリマー)は、表面後架橋剤で表面コーティングされ、熱的に表面後架橋される。その目的に好適な架橋剤は、ポリマー粒子の少なくとも2つのカルボン酸基と共有結合を形成することができる化合物である。
【0006】
ベルト反応器の連続ベルト上での超吸収体の製造は、例えばDE 3825366 A1及びUS 6,241,928に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】DE 3825366 A1
【文献】US 6,241,928
【非特許文献】
【0008】
【文献】論文「Modern Superabsorbent Polymer Technology」、F. L. Buchholz及びA. T. Graham、Wiley-VCH、1998年、71~103頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ベルト反応器の連続ベルト上で重合させることによる、超吸収体を製造するための改善された方法、特にベルト反応器の下側で得られるポリマーゲルの改善された再循環を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、
a)酸基を有し、50~85mol%程度まで中和されている、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー、
b)少なくとも1種の架橋剤、
c)少なくとも1種の開始剤、
d)任意選択で、a)に記載されるモノマーと共重合可能な1種以上のエチレン性不飽和モノマー、及び
e)任意選択で、1種以上の水溶性ポリマー
を含むモノマー溶液を重合させることによって超吸収体を製造する方法であって、
i)ベルト反応器の連続ベルト上でモノマー溶液を連続的に重合させるステップ、
ii)ステップi)で得られたポリマーゲルを粉砕するステップ、
iii)ベルト反応器の下側で得られたポリマーゲルを分離ユニット中へと水でリンスするステップ、
iv)分離ユニット中でポリマーゲルを水から分離するステップ、及び
v)ステップiv)において分離したポリマーゲルをステップii)へと再循環させるステップ
を含み、
前記ポリマーゲルが、少なくとも100g/gの水中での膨潤能を有し、ステップiii)とステップiv)との間の滞留時間が、20分未満であり、ステップiv)における分離ユニットが、少なくとも1mmの開口幅を有する開口部を備える、
方法によって達成された。
【0011】
ステップiii)とステップiv)との間の滞留時間は、好ましくは15分未満、より好ましくは10分未満、最も好ましくは5分未満である。
【0012】
滞留時間は、本明細書では、ポリマーゲル粒子のリンス水との第1の接触と、ポリマーゲル粒子の分離ユニット中への流入との間の時間である。系は、デッドスペースがないものであるべきであり、これは、リンス水のスイッチオフにより、系がリンス水の供給と分離ユニットからのドレインとの間で枯渇するべきであることを意味する。この場合、滞留時間は、定常状態が達成されるまでリンス水の一定量を供給し、次いでリンス水の供給を止めることによって測定され得る。リンス水の供給をスイッチオフした後に分離ユニットから流出するリンス水の量を測定する。滞留時間は、式:
【0013】
【数1】
[式中、
VWZ 滞留時間
x 供給をスイッチオフした後に流出するリンス水
y リンス水の一定供給]
によって算出することができる。
【0014】
開口部の開口幅は、開口部の反対側同士の間の距離である。少なくとも1mmの開口幅は、この幅がこの値を決して下回らないことを意味する。開口部の開口幅は、好ましくは少なくとも1.5mm、より好ましくは少なくとも2mm、最も好ましくは少なくとも3mmである。開口幅は15mmを超えるべきでない。
【0015】
粉砕は、任意の好適な装置で、例えば押出機で実施され得る。
【0016】
本発明の関連における水は、水道水、脱イオン水及び/又は本方法から再循環させた水、具体的にはリンス水である。
【0017】
本発明は、ポリマーゲル粒子がリンス水中で著しく大きく膨潤し、よってより変形しやすく、分離ユニットの開口部をより通過しやすい、という知見に基づく。この望まれない膨潤は、短い滞留時間によって明らかに低減され得る。さらに、あまり膨潤しなかったポリマーゲル粒子は、続いてより容易に乾燥される。
【0018】
本発明の好ましい実施形態では、ベルト反応器の下側で得られたポリマーゲルはタンク内に収集される。連続ベルトの表面に付着しているポリマーゲルは、重力単独で又は機械的に分離され得る。機械的分離の場合、これはウォータージェット及び/又はブラシによって達成し得る。
【0019】
分離ユニットは、水の分離のための開口部を有する。好適な開口部は、スクリーンのメッシュ及び/又はスロット(slot)である。
【0020】
スクリーンのメッシュは、少なくとも1mm、好ましくは少なくとも1.5mm、より好ましくは少なくとも2mm、最も好ましくは少なくとも3mmのメッシュサイズを有する。メッシュサイズは15mmを超えるべきでない。
【0021】
スロットは、少なくとも1mm、好ましくは少なくとも1.5mm、より好ましくは少なくとも2mm、最も好ましくは少なくとも3mmの幅を有する。スロットの幅は15mmを超えるべきでない。スロットの位置は、いかなる制限にも供されるべきでなく、例えば20~100mmの範囲内にある。過度に長いスロットは、分離ユニットの機械的安定性にとって不利である。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、分離ユニットは、水平型回転ドラムであり、該ドラムは入口から出口へ傾斜している。水が、ここで、ドラムの上端においてポリマーゲルと共に供給される。水はドラムの壁の中の開口部を通って排出され得、ポリマーゲルは下端から出る。分離されたポリマーゲルは、重合後に、押出機へと再循環される。
【0023】
水平型回転ドラムは、水平に対して、好ましくは少なくとも10°、より好ましくは少なくとも20°、最も好ましくは少なくとも30°傾斜している。
【0024】
ステップiv)で得られた水は、ステップiii)において方法に再循環され得る。
【0025】
ステップv)において再循環されたポリマーゲルと一緒に、この方法において、分離された過度に小さいポリマー粒子(「微粉」)を再循環させること、又は更なる添加剤を添加することもまた可能である。
【0026】
超吸収体の製造を以下に詳細に記載する。
【0027】
超吸収体は、モノマー溶液を重合させることによって製造され、典型的には水不溶性である。
【0028】
モノマーa)は、好ましくは水溶性であり、即ち23℃でのそれらの水への溶解度は、典型的には少なくとも1g/水100g、好ましくは少なくとも5g/水100g、より好ましくは少なくとも25g/水100g、最も好ましくは少なくとも35g/水100gである。
【0029】
好適なモノマーa)は、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸である。特に好ましいモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸である。きわめて特に好ましいのは、アクリル酸である。
【0030】
更に好適なモノマーa)は、例えば、エチレン性不飽和スルホン酸、例えばスチレンスルホン酸及び2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0031】
不純物は、重合にかなりの影響力を有し得る。したがって、使用される原材料は、最大純度を有するべきである。したがって、モノマーa)を特別に精製することが有利であることが多い。好適な精製方法は、例えばWO02/055469 A1、WO03/078378 A1及びWO2004/035514 A1に記載されている。好適なモノマーa)は、例えばWO2004/035514 A1に従って精製されたアクリル酸であり、且つ99.8460重量%のアクリル酸、0.0950重量%の酢酸、0.0332重量%の水、0.0203重量%のプロピオン酸、0.0001重量%のフルフラール類、0.0001重量%の無水マレイン酸、0.0003重量%のジアクリル酸及び0.0050重量%のヒドロキノンモノメチルエーテルを含む。
【0032】
モノマーa)の総量中のアクリル酸及び/又はその塩の割合は、好ましくは少なくとも50mol%、より好ましくは少なくとも90mol%、最も好ましくは少なくとも95mol%である。
【0033】
モノマーa)は、典型的には、重合阻害剤、好ましくはヒドロキノンモノエーテルを保存安定化剤として含む。
【0034】
モノマー溶液は、いずれの場合にも非中和モノマーa)に基づいて、好ましくは最大250重量ppm、好ましくは最大130重量ppm、より好ましくは最大70重量ppmのヒドロキノンモノエーテル、好ましくは少なくとも10重量ppm、より好ましくは少なくとも30重量ppm、特におよそ50重量ppmのヒドロキノンモノエーテルを含む。例えば、モノマー溶液は、適当な含有量のヒドロキノンモノエーテルを有する、酸基を有するエチレン性不飽和モノマーを使用して調製することができる。
【0035】
好ましいヒドロキノンモノエーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)及び/又はアルファ-トコフェロール(ビタミンE)である。
【0036】
好適な架橋剤b)は、架橋に好適な少なくとも2つの基を有する化合物である。このような基は、例えば、ポリマー鎖へとフリーラジカル重合され得るエチレン性不飽和基、及びモノマーa)の酸基と共有結合を形成することができる官能基である。加えて、モノマーa)の少なくとも2つの酸基と配位結合を形成することができる多価金属塩もまた、架橋剤b)として好適である。
【0037】
架橋剤b)は、好ましくは、ポリマーネットワークへとフリーラジカル重合され得る少なくとも2つの重合性基を有する化合物である。好ましい架橋剤b)は、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、メタクリル酸アリル、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルアンモニウムクロリド、テトラアリルオキシエタンであり、EP0530438 A1に記載されており;ジ-及びトリアクリレートであり、EP0547847 A1、EP0559476 A1、EP0632068 A1、WO93/21237 A1、WO03/104299 A1、WO03/104300 A1、WO03/104301 A1及びDE 103 31 450 A1に記載されており;アクリレート基と共に更なるエチレン性不飽和基を含む混合アクリレートであり、DE 103 31 456 A1及びDE 103 55 401 A1に記載されており;又は架橋剤混合物であり、例えばDE 195 43 368 A1、DE 196 46 484 A1、WO90/15830 A1及びWO02/032962 A2に記載されている。
【0038】
好ましい架橋剤b)は、ペンタエリスリチルトリアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、メチレンビスメタクリルアミド、15回(tuply)エトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリアリルアミンである。
【0039】
きわめて特に好ましい架橋剤b)は、アクリル酸又はメタクリル酸でエステル化されてジ-又はトリアクリレートを与えるポリエトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセロールであり、例えばWO03/104301 A1に記載されている。3~10回エトキシ化されたグリセロールのジ-及び/又はトリアクリレートがとりわけ好ましい。きわめて特に好ましいのは、1~5回エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセロールのジ-又はトリアクリレートである。最も好ましいのは、3~5回エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセロールのトリアクリレート、特に3回エトキシ化されたグリセロールのトリアクリレートである。
【0040】
架橋剤b)の量は、いずれの場合にも、使用されるモノマーa)の総量に基づいて計算して、好ましくは0.05重量%~1.5重量%、より好ましくは0.1重量%~0.8重量%、最も好ましくは0.15重量%~0.5重量%である。架橋剤の含有量を増加させると、遠心保持容量(CRC)は低下し、21.0 g/cm2の圧力下での吸収率は最大値を通過する。
【0041】
使用される開始剤c)は、重合条件下でフリーラジカルを生じさせる全ての化合物、例えば熱開始剤、レドックス開始剤又は光開始剤であってもよい。好適なレドックス開始剤は、ペルオキソ二硫酸塩/アスコルビン酸、過酸化水素/アスコルビン酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/亜硫酸水素ナトリウム、及び過酸化水素/亜硫酸水素ナトリウムである。好ましいのは、熱開始剤及びレドックス開始剤の混合物、例えばペルオキソ二硫酸ナトリウム/過酸化水素/アスコルビン酸を使用することである。使用される還元成分は、好ましくは、2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸の二ナトリウム塩;又は、2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸のナトリウム塩、2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸の二ナトリウム塩及び亜硫酸水素ナトリウムの混合物である。このような混合物は、Bruggolite(登録商標)FF6及びBruggolite(登録商標) FF7(Bruggemann Chemicals社、ハイルブロン、ドイツ)として入手することができる。
【0042】
酸基を有するエチレン性不飽和モノマーa)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーd)は、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートである。
【0043】
使用される水溶性ポリマーe)は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、変性セルロース、例えばメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ポリグリコール又はポリアクリル酸であってもよく、好ましくはデンプン、デンプン誘導体及び変性セルロースであってもよい。
【0044】
典型的には、モノマー水溶液が使用される。モノマー溶液の水含有量は、好ましくは40重量%~75重量%、より好ましくは45重量%~70重量%、最も好ましくは50%~65重量%である。モノマー懸濁液、即ちモノマーa)を溶解度を超えて有するモノマー溶液、例えばアクリル酸ナトリウムを使用することもまた可能である。水含有量が増加すると、続く乾燥におけるエネルギー支出量が増加し、水含有量が低減すると、重合の熱が不十分にしか除去され得ない。
【0045】
最適な作用のために、好ましい重合阻害剤は溶存酸素を必要とする。したがって、重合前に、不活性化、即ち不活性ガス、好ましくは窒素又は二酸化炭素の中に流すことによって、溶存酸素をモノマー溶液から遊離させることができる。モノマー溶液の酸素含有量は、重合前に、好ましくは1重量ppm未満まで、より好ましくは0.5重量ppm未満まで、最も好ましくは0.1重量ppmまで低減される。
【0046】
ベルト上での重合は、例えばDE 3825366 A1及びUS 6,241,928に記載されている。ベルト反応器中の重合は、例えば押出機又は混錬機中で、粉砕が必要なポリマーゲルを形成する。
【0047】
乾燥特性を改善するために、混錬機によって得られた粉砕されたポリマーゲルを、さらに押出することができる。
【0048】
得られたポリマーゲルの酸基は、典型的には、部分的に中和されている。中和は、好ましくはモノマー段階で実施される。これは、典型的には、水溶液としての或いはその他好ましくは固体としての中和剤中の混合によって達成される。中和の程度は、好ましくは25~85mol%、より好ましくは30~80mol%、最も好ましくは40~75mol%であり、そのために慣用の中和剤を使用することができ、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属炭酸水素塩、更にはそれらの混合物である。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニア塩を使用することもまた可能である。特に好ましいアルカリ金属はナトリウム及びカリウムであるが、きわめて特に好ましいのは水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム、更にはそれらの混合物である。ここで、固体炭酸塩及び炭酸水素塩もまた、好ましくは重合前に直接モノマー溶液中に、重合中に又は重合後その乾燥の前にポリマーゲル中に封入形態で導入することができる。封入は、不溶性の又は徐々にのみ可溶である材料(例えば、皮膜形成ポリマー、不活性無機材料又は可融性有機材料によって)で表面をコーティングすることによって達成され、これにより、二酸化炭素が乾燥中まで放出されず、且つ形成された超吸収体が高い内部多孔度を有する程度まで、固体炭酸塩又は炭酸水素塩の溶解及び反応が遅延される。
【0049】
任意選択で、界面活性剤を、重合前にモノマー溶液に添加することができ、次いで、モノマー溶液を、不活性ガス若しくは水蒸気で又は激しい撹拌によって発泡させることができる。界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、双性イオン性、或いは非イオン性であってもよい。好ましいのは、皮膚に優しい界面活性剤を使用することである。
【0050】
次いで、ポリマーゲルを、典型的には、EDANA推奨試験方法No. WSP 230.2-05「Mass Loss Upon Heating」で測定される残留水分率が、好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは1~6重量%、最も好ましくは1.5~4重量%になるまで、空気循環ベルト乾燥機で乾燥させる。残留水分率が高すぎる場合には、乾燥したポリマーゲルは、低すぎるガラス転移温度Tgを有し、更なる加工にはもっぱら困難を伴う。残留水分率が低すぎる場合には、乾燥したポリマーゲルは脆すぎ、続く粉砕ステップにおいて、望まない大量の過度に小さい粒子サイズを有するポリマー粒子(「微粉」)が得られる。乾燥前のポリマーゲルの固体含有量は、好ましくは25重量%~90重量%、より好ましくは35重量%~70重量%、最も好ましくは40重量%~60重量%である。続いて、乾燥したポリマーゲルは圧砕され、任意選択で粗く粉砕される。
【0051】
それ以降、乾燥したポリマーゲルは、典型的には粉砕されて分類され、粉砕に使用される装置は、典型的には、1段階又は多段階ロールミル、好ましくは2段階又は3段階ロールミル、ピンミル、ハンマーミル又は振動ミルであってもよい。
【0052】
生成物の画分として除去されるポリマー粒子の平均粒子サイズは、好ましくは150~850μm、より好ましくは250~600μm、きわめて特定すると300~500μmである。生成物の画分の平均粒子サイズは、EDANA推奨試験方法No. WSP 220.2-05「Particle Size Distribution」によって測定することができ、ここで、篩い分け画分の質量比率を累積してプロットし、平均粒子サイズがグラフ上で決定される。平均粒子サイズは、本明細書では、累積50重量%で生じるメッシュサイズの値である。
【0053】
150μm超の粒子サイズを有するポリマー粒子の割合は、好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも98重量%である。
【0054】
小さすぎる粒子サイズを有するポリマー粒子はゲルベッド透過率(GBP)を低下させる。したがって、過度に小さいポリマー粒子(「微粉」)の割合は小さくあるべきである。
【0055】
したがって、過度に小さいポリマー粒子は、好ましくは、重合直後に、即ちポリマーゲルの乾燥前に、典型的には除去されて本方法へと再循環される。過度に小さいポリマー粒子は、再循環前に又は再循環中に、水及び/又は水性界面活性剤で湿潤化され得る。
【0056】
後の方法ステップにおいて、例えば表面後架橋後に又は別のコーティングステップにおいて、過度に小さいポリマー粒子を除去することもまた可能である。この場合、再循環された過度に小さいポリマー粒子は、表面後架橋されるか、又は別の方法において、例えばヒュームドシリカでコーティングされる。
【0057】
最大850μmの粒子サイズを有するポリマー粒子の割合は、好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも98重量%である。
【0058】
最大600μmの粒子サイズを有するポリマー粒子の割合は、好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも98重量%である。
【0059】
過度に大きい粒子サイズのポリマー粒子は、自由膨潤速度(free swell rate)を低下させる。したがって、過度に大きいポリマー粒子の割合は、同様に低くあるべきである。したがって、過度に大きいポリマー粒子は、典型的には除去されて粉砕へと再循環される。
【0060】
性質を更に改善するために、ポリマー粒子を熱的表面後架橋することができる。好適な表面後架橋剤は、ポリマー粒子の少なくとも2つのカルボン酸基と共有結合を形成することができる基を含む化合物である。好適な化合物は、例えば、多官能性アミン、多官能性アミドアミン、多官能性エポキシドであり、EP0083022 A2、EP 0543303 A1及びEP0937736 A2に記載されており;二官能性又は多官能性アルコールであり、DE 3314019 A1、DE 3523617 A1及びEP0450922 A2に記載されており;又はβ-ヒドロキシアリルアミドであり、DE 10204938 A1及びUS 6,239,230に記載されている。
【0061】
加えて、好適な表面後架橋剤として記載されているのは、DE 4020780 C1における環状カーボネート、DE 19807502 A1における2-オキサゾリジノン及びその誘導体、例えば2-ヒドロキシエチル-2-オキサゾリジノン、DE 19807992 C1におけるビス-及びポリ-2-オキサゾリジノン、DE 19854573 A1における2-オキソテトラヒドロ-1,3-オキサジン及びその誘導体、DE 19854574 A1におけるN-アシル-2-オキサゾリジノン、DE 10204937 A1における環状尿素、DE 10334584 A1における二環状アミドアセタール、EP1199327 A2におけるオキセタン及び環状尿素、並びにWO03/031482 A1におけるモルホリン-2,3-ジオン及びその誘導体である。
【0062】
好ましい表面後架橋剤は、炭酸エチレン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアミドの、エピクロヒドリンとの反応生成物、並びにプロピレングリコール及びブタン-1,4-ジオールの混合物である。
【0063】
きわめて特に好ましい表面後架橋剤は、2-ヒドロキシエチル-2-オキサゾリジノン、2-オキサゾリジノン及びプロパン-1,3-ジオールである。
【0064】
加えて、更なる重合性エチレン性不飽和基を含む表面後架橋剤を使用することもまた可能であり、これは、DE 3713601 A1に記載されている。
【0065】
表面後架橋剤の量は、いずれの場合にもポリマー粒子に基づいて、好ましくは0.001重量%~3重量%、より好ましくは0.02重量%~1重量%、最も好ましくは0.05重量%~0.2重量%である。
【0066】
表面後架橋は、典型的には、表面後架橋剤の溶液が乾燥ポリマー粒子に噴霧されるような方法で実施される。噴霧適用後、表面後架橋剤でコーティングされたポリマー粒子は、表面後架橋されて乾燥され、乾燥前と乾燥中との両方で表面後架橋反応が起こり得る。
【0067】
表面後架橋剤の溶液の噴霧適用は、可動型混合装置を有する混合機、例えばスクリュー式混合機、ディスク式混合機及びパドル式混合機中で好ましくは実施される。特に好ましいのは、水平型混合機、例えばパドル式混合機であり、きわめて特に好ましいのは垂直型混合機である。水平型混合機と垂直型混合機との違いは混合シャフトの位置によりなされ、即ち水平型混合機は、水平に枢着された混合シャフトを有し、垂直型混合機は、垂直に枢着された混合シャフトを有する。好適な混合機は、例えば、水平型のPflugschar(登録商標)plowshare mixers(Gebr. Lodige Maschinenbau GmbH社、パーダーボルン、ドイツ)、Vrieco-Nauta continuous mixers(Hosokawa Micron BV社、ドゥーティンヘム、オランダ)、Processall Mixmill mixers(Processall Incorporated社、シンシナティ、米国)及びSchugi Flexomix(登録商標)(Hosokawa Micron BV社、ドゥーティンヘム、オランダ)である。しかしながら、流動床中で表面後架橋剤溶液に噴霧することもまた可能である。
【0068】
表面後架橋剤は、典型的には、水溶液の形態において使用される。表面後架橋剤の、ポリマー粒子中への侵入深さは、非水性溶媒の含有量及び溶媒の総量を介して調整することができる。
【0069】
溶媒として水が過度に使用される場合、界面活性剤が有利には添加される。これは濡れ性を改善し、塊を形成する傾向を低減する。しかしながら、好ましいのは、溶媒混合物、例えばイソプロパノール/水、1,3-プロパンジオール/水、及びプロピレングリコール/水を使用することであり、ここで、混合質量比は、好ましくは20:80~40:60である。
【0070】
表面後架橋は、好ましくは、接触式乾燥機、より好ましくはパドル式乾燥機、最も好ましくはディスク式乾燥機中で実施される。好適な乾燥機は、例えば、Hosokawa Bepex(登録商標)Horizontal Paddle Dryer(Hosokawa Micron GmbH社、ラインガルテン、ドイツ)、Hosokawa Bepex(登録商標)Disk Dryer(Hosokawa Micron GmbH社、ラインガルテン、ドイツ)、Holo-Flite(登録商標)Dryers(Metso Minerals Industries Inc.社、ダンビル、米国)及びNara Paddle Dryer(NARA Machinery Europe社、フレッヒェン、ドイツ)である。その上、流動床式乾燥機もまた使用することができる。
【0071】
表面後架橋は、ジャケットを加熱する、又は暖かい空気中を吹き込むことによって、混合機それ自体中で行うことができる。等しく好適なのは、下流乾燥機、例えばトレー式乾燥機、回転チューブオーブン又は加熱可能なスクリューである。流動床式乾燥機中で、混合及び熱的表面後架橋を達成することが、とりわけ有利である。
【0072】
好ましい反応温度は、100~250℃、好ましくは110~220℃、より好ましくは120~210℃、最も好ましくは130~200℃の範囲内である。この温度での好ましい滞留時間は、好ましくは少なくとも10分、より好ましくは少なくとも20分、最も好ましくは少なくとも30分、典型的には最大60分である。
【0073】
本発明の好ましい実施形態では、ポリマー粒子は、表面後架橋後に冷却される。冷却は、好ましくは接触式冷却機、より好ましくはパドル式冷却機、最も好ましくはディスク式冷却機中で実施される。好適な冷却機は、例えばHosokawa Bepex(登録商標)Horizontal Paddle Cooler(Hosokawa Micron GmbH社、ラインガルテン、ドイツ)、Hosokawa Bepex(登録商標)Disc Cooler(Hosokawa Micron GmbH社、ラインガルテン、ドイツ)、Holo-Flite(登録商標)Coolers(Metso Minerals Industries Inc.、ダンビル、米国)及びNara Paddle Cooler(NARA Machinery Europe社、フレッヒェン、ドイツ)である。その上、流動床式冷却機もまた使用することができる。
【0074】
冷却機中、ポリマー粒子は、好ましくは40~90℃、より好ましくは45~80℃、最も好ましくは50~70℃に冷却される。
【0075】
続いて、表面後架橋されたポリマー粒子は、再度分類することができ、過度に小さいポリマー粒子及び/又は過度に大きいポリマー粒子が除去されて本方法へと再循環される。
【0076】
性質を更に改善するために、表面後架橋されたポリマー粒子を、コーティング又は再湿潤化することができる。
【0077】
再湿潤化は、好ましくは40~120°C、より好ましくは50~110℃、最も好ましくは60~100℃で実施される。過度に低い温度でポリマー粒子は塊を形成する傾向があり、より高い温度で水は既に顕著な程度まで蒸発している。再湿潤化のために使用される水の量は、好ましくは1重量%~10重量%、より好ましくは2重量%~8重量%、最も好ましくは3重量%~5重量%である。再湿潤化は、ポリマー粒子の機械的安定性を向上させ、それらの、静電荷を帯びる傾向を弱める。再湿潤化は、有利には、熱表面後架橋後に冷却機中で実施される。
【0078】
膨潤率及びゲルベッド透過率(GBP)を改善するのに好適なコーティングは、例えば無機不活性物質、例えば水不溶性金属塩、有機ポリマー、カチオン性ポリマー及び二価若しくは多価金属カチオンである。ダストバインディング(dust binding)のための好適なコーティングは、例えばポリオールである。ポリマー粒子の望ましくない固化傾向に対抗するための好適なコーティングは、例えば、ヒュームドシリカ、例えばAerosil(登録商標)200、及び界面活性剤、例えばSpan(登録商標)20である。固化傾向を低下させるための、及び機械的安定性を向上させるための、ダストバインディングのための好適なコーティングは、EP0703265 B1に記載されているポリマー分散体、及びUS 5,840,321に記載されているワックスである。
【0079】
続いて、コーティング及び/又は再湿潤化されたポリマー粒子は再度分類することができ、過度に小さいポリマー粒子及び/又は過度に大きいポリマー粒子は除去されて本方法へと再循環される。
【0080】
本発明は、本発明の方法によって製造された超吸収体を含む衛生物品を更に提供する。
【0081】
方法
本明細書においてこれ以降記載され、且つ「WSP」と指定された標準試験方法は、Worldwide Strategic Partners EDANA (Avenue Eugene Plasky、157、1030、ブラッセル、ベルギー、www.edana.org)とINDA (1100 Crescent Green、Suite 115、Cary、ノースカロライナ27518、米国、www.inda.org)とによって共同刊行されている「Standard Test Methods for the Nonwovens Industry」、2005年版に記載されている。この刊行物は、EDANAとINDAとの両方から得ることができる。
【0082】
測定は、別段の記述がない限り、23±2℃の周囲温度及び50±10%の相対空気湿度にて行うべきである。吸水ポリマー粒子は、この測定前に完全に混合される。
【0083】
固体含有量
固体含有量(SC)を決定するために、ポリマーゲルは、乾燥キャビネット中180℃にて少なくとも3時間乾燥させる(一定の質量まで)。固体含有量は、乾燥したポリマーゲルを出発重量で割った重量である。
【0084】
自由膨潤能(free swell capacity)、脱イオン水
水中自由膨潤能(FSCDIW)は、EDANA推奨試験方法No. WSP 240.2-05「Free Swell Capacity in Saline, Gravimetric Determination」と同様に、ポリマーゲルを測定前に乾燥させ、それを粉砕し、それを150μm~850μmの範囲の粒子サイズへと篩い、0.9重量%の生理食塩水溶液中ではなく脱塩水中で測定を行うことによって決定される。ティーバッグは、膨潤能がより大きい場合、相応に大きくするべきである。
【実施例】
【0085】
ベルト上での連続的な重合をシミュレートするために、静的重合(static polymerization)を各場合において行った。ポリマーゲルを含むリンス水の分離ユニットへの導入をシミュレートするために、ポリマーゲルを粗メッシュスクリーンに適用し、水を通してリンスした。
【0086】
[実施例1]
37.3重量%のアクリル酸ナトリウム水溶液1028g、アクリル酸98g、水254g及び3回エトキシ化されたグリセロールトリアクリレート0.30gを、2000ml金属ビーカー中に秤取した。中和レベルは75mol%であった。金属ビーカーをParafilm(商標登録)で封じ、窒素150l/時で不活性化した。不活性化の間、モノマー溶液を3℃に冷却した。続いて、10重量%の過硫酸ナトリウムの水溶液6.47g及び1重量%の過酸化水素の水溶液5.88gを連続して添加した。
【0087】
モノマー溶液を漏斗によって、190mmの直径を有するガラス皿中に移した。このガラス皿をポリマーフィルムで被覆し、同様に窒素150l/時で不活性化した。加えて、ガラス皿中のモノマー溶液を磁気撹拌棒によって撹拌した。続いて、使い捨て式注射器によって、Bruggolite(登録商標)FF6 (2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸の二ナトリウム塩)の1重量%水溶液5.88gをモノマー溶液へと計量した。反応が開始した後、磁気撹拌機をスイッチオフした。
【0088】
30分の反応時間の後、ポリマーゲルを取り出し、多孔板(孔の直径13mm)を有する押出機で粉砕した。
【0089】
得られたポリマーは、35.0重量%の固体含有量を有していた。
【0090】
ポリマーゲルの一部を、空気循環乾燥キャビネット中160℃にて1時間乾燥させた。ポリマーゲルを有するトレーの荷重は0.19g/cm2であった。続いて、ギャップ幅5mm、1000μm、600μm及び400μmの4段階におけるロールミルを用いてこれを粉砕し、材料を150μm~850μmの粒子サイズへとスクリーニングした。このようにして得た超吸収体粒子の自由膨潤能(FSCDIW)を測定し、162g/gの値を得た。
【0091】
[実施例2]
37.3重量%の水性アクリル酸ナトリウム溶液950g、アクリル酸146g、水335g及び3回エトキシ化されたグリセロールトリアクリレート0.63gを、2000ml金属ビーカー中に量り入れた。中和レベルは65mol%であった。金属ビーカーをParafilm(商標登録)で封じ、窒素150l/時で不活性化した。不活性化の間、モノマー溶液を3℃に冷却した。続いて、10重量%の過硫酸ナトリウムの水溶液6.47g及び1重量%の過酸化水素の水溶液5.88gを連続して添加した。
【0092】
モノマー溶液を漏斗によって、190mmの直径を有するガラス皿中に移した。このガラス皿をポリマーフィルムで被覆し、同様に窒素150l/時で不活性化した。加えて、ガラス皿中のモノマー溶液を磁気撹拌棒によって撹拌した。続いて、使い捨て式注射器によって、Bruggolite(登録商標)FF6 (2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸の二ナトリウム塩)の1重量%水溶液5.88gをモノマー溶液へと計量した。反応が開始した後、磁気撹拌機をスイッチオフした。
【0093】
30分の反応時間の後、ポリマーゲルを取り出し、多孔板(孔の直径13mm)を有する押出機で粉砕した。
【0094】
得られたポリマーは、35.5重量%の固体含有量を有していた。
【0095】
ポリマーゲルの一部を、空気循環乾燥キャビネット中160℃にて1時間乾燥させた。ポリマーゲルを有するトレーの荷重は0.19g/cm2であった。続いて、ギャップ幅5mm、1000μm、600μm及び400μmの4段階におけるロールミルを用いてこれを粉砕し、材料を150μm~850μmの粒子サイズへとスクリーニングした。このようにして得た超吸収体粒子の自由膨潤能(FSCDIW)を測定し、195g/gの値を得た。
【0096】
[実施例3]
各実験について、使用した湿潤ポリマーゲルの量を前もって秤量し、ポリマーゲルの固体含有量(SC)を測定した。
【0097】
ポリマーゲルの各場合における約20gは前膨潤させず(膨潤時間0分)、ポリマーゲルの各場合における約10gは、脱イオン水2l中で3分間(膨潤時間3分)、30分間(膨潤時間30分)又は60分間(膨潤時間60分)、前膨潤させた。
【0098】
続いて、前膨潤させたポリマーゲルを、使用したポリエチレンビーカーからの水と一緒に、各場合において、上部の粗いメッシュスクリーン(分離スクリーン)と、下部の2枚の狭いメッシュスクリーン(補助スクリーン)とから構成されるスクリーン構造物へ注入した。前膨潤させなかったポリマーゲルを分離スクリーンに直接適用した。分離スクリーンは、それぞれ、2000μm、3550μm及び5000μmのメッシュサイズを有していた。補助スクリーンは630μm及び400μmのメッシュサイズを有していた。直径は、各場合において20cmであった。補助スクリーンを用いて、分離スクリーンを通過するポリマーゲルの割合を決定した。
【0099】
ポリマーゲルを分離スクリーン上にそれぞれ均質に分配し、次いで、11cmの高さからのウォータージェットを40秒間施した(1分当たり7.5リットルの脱イオン水、内部ホース直径8mm)。ウォータージェットは、同様の方法で総面積を覆うように、常に均一な動きで40秒にわたって、スクリーン上でポリマーゲルに当てた。続いて、スクリーンをバケット上に5分間置いて水を滴り落とし、次いで、定量化のために、空気循環乾燥キャビネット中135°Cにて2時間で前乾燥させ、最後に減圧下で更に約16時間乾燥させた。分離スクリーン上の乾燥したポリマーゲルの質量(収率)及び2つの補助スクリーン上の乾燥したポリマーゲルの質量(損失率)を測定し、表1中に百分率で表した。
【0100】
結果を表1にまとめる。
【0101】
【0102】
これらの実施例は、リンス水中の滞留時間が増加すると、ポリマーゲルが不完全にしか分離され得ないことを示している。