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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】素地の多段階硬化
(51)【国際特許分類】
   B28B 11/24 20060101AFI20240308BHJP
   C04B 40/02 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
B28B11/24
C04B40/02
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021510067
(86)(22)【出願日】2019-08-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 US2019048335
(87)【国際公開番号】W WO2020046927
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-26
(31)【優先権主張番号】62/723,397
(32)【優先日】2018-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515252684
【氏名又は名称】ソリディア テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SOLIDIA TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179866
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】アーメット キュニート タス
【審査官】田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-080774(JP,A)
【文献】特開平01-157802(JP,A)
【文献】特開昭62-244604(JP,A)
【文献】特開2006-001795(JP,A)
【文献】特表2018-508460(JP,A)
【文献】実開昭58-096912(JP,U)
【文献】特開平01-145385(JP,A)
【文献】特開昭50-046724(JP,A)
【文献】特表2016-511216(JP,A)
【文献】特表2017-527516(JP,A)
【文献】特開平07-025679(JP,A)
【文献】特開昭59-067005(JP,A)
【文献】米国特許第05935317(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 11/24
C04B 40/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の硬化コンクリート体を形成する方法であって、各体はある硬化圧縮強度を有し、前記方法には、
コンクリートの構成成分の流動性混合物を複数の型に導入すること、
一つまたは複数の支持体の助けを借りて複数の型内で前記流動性混合物を成形することによって複数の素地を形成すること、
前記複数の素地および前記一つまたは複数の支持体を予備硬化槽に導入することおよび前記硬化圧縮強度よりも低い圧縮強度を提供するのに十分な程度まで素地を部分的に硬化させることによって複数の予備硬化素地を生成すること、
複数の予備硬化素地の少なくとも一部を組み立てて所定の幾何学的構成を有する集合体を形成すること、ここで、組み立てることは、前記一つまたは複数の支持体の表面から前記予備硬化素地を取り外すことおよび前記予備硬化素地を互いに積み重ねることを含み、
予備硬化素地の前記集合体を硬化槽内に導入すること、および
前記硬化圧縮強度を提供するのに十分な程度まで予備硬化素地の集合体を硬化させることによって所定の幾何学的構成を有する硬化体の集合体を生成すること、が含まれる方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、さらに硬化体の集合体に顧客へ出荷すべき所定の幾何学的構成を持たせることを含む方法。
【請求項3】
前記構成成分に一つまたは複数の炭酸化可能なセメント成分および一つまたは複数の骨材が含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記の一つまたは複数の炭酸化可能なセメント成分にケイ酸カルシウムが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記流動性混合物に水が含まれる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
導入および成形のステップの少なくとも一つに注入、振動鋳造、プレス、押し出し、または発泡の一つまたは複数が含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記の一つまたは複数の支持体がプレス板である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記の一つまたは複数の支持体が金属製である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記の複数の素地に舗装材、コンクリートブロック、屋根タイル、中空コアスラブ、ウェットキャストスラブ、コンクリートスラブ、発泡コンクリート体、気泡コンクリート体、気泡コンクリート組積構造ユニット、または気泡コンクリートパネルが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記予備硬化素地の圧縮強度が、前記素地を実質的に無傷のまま、前記素地を前記支持体から取り外しできるのに十分である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記予備硬化素地の圧縮強度が、ASTM C140に従った測定において、約2,000psiから約5,000psiである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記硬化圧縮強度が、ASTM C140に従った測定において、少なくとも約8,000psiである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
素地を部分的に硬化させる前記ステップに、素地および一つまたは複数の支持体を二酸化炭素、空気、またはそれらを組み合わせたものに所定の期間さらすことが含まれる方法、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
素地を部分的に硬化させる前記ステップに、前記素地を約60から約600分の時間、約50°Cから約120°Cの温度で二酸化炭素にさらすことが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
素地を部分的に硬化させる前記ステップに、少なくとも一つの金属製支持体を加熱することがさらに含まれる、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記の少なくとも一つの金属製支持体の加熱に電気抵抗加熱が含まれる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記予備硬化素地がパレタイザーマシンまたはマテリアルハンドリングシステムを使用して前記の一つまたは複数の支持体から取り外される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記の所定の幾何学的構成が立方体である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記立方体に約480個以上の予備硬化素地が含まれる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
予備硬化素地を硬化させる前記ステップに、前記予備硬化素地を約6から約24時間、約60°Cから約95°Cの温度で二酸化炭素にさらすことが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
素地を部分的に硬化させる前記ステップ、または予備硬化素地を硬化させる前記ステップに、前記予備硬化槽または硬化槽の底部に近接して配置された位置から前記予備硬化槽または硬化槽内に加熱ガスを導入することがさらに含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
素地を部分的に硬化させる前記ステップ、または予備硬化素地を硬化させる前記ステップに、前記予備硬化槽または硬化槽の頂部に近接して配置された位置から前記予備硬化槽または硬化槽外に前記加熱ガスを抜き取ることがさらに含まれる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
予備硬化素地を硬化させる前記ステップに、予備硬化素地の集合体を前記硬化槽の一端から反対側の端まで移動するための可動プラットフォーム上に前記の予備硬化素地の集合体を配置することがさらに含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記素地とその支持体にはサンプル体積があり、前記予備硬化槽には内部容積があり、
前記サンプル体積に対する前記予備硬化槽の内部容積の比を約1.05から約1.15とする、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記の所定の幾何学的構成を有する予備硬化素地の集合体にはサンプル体積があり、前記硬化槽には内部容積があり、前記サンプル体積に対する前記硬化槽の内部容積の比を約1.05から約1.15とする、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年8月27日に出願された米国仮出願第62/723,397号の優先権および利益を主張し、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、素地、関連するデバイスおよびシステムなどの物体を硬化させるための方法を対象としている。
【背景技術】
【0003】
文書、行為または知識の項目が参照または議論される本明細書において、この参照または議論は、文書、行為、知識の項目またはそれらの任意の組み合わせが優先日において、公に利用可能である、公知である、一般的な知識の一部である、または適用される法定規定で先行技術を構成するものであることを認めるものでもなく、この明細書が関係する問題を解決する試みに関連することが知られていることを認めるものでもない。
【0004】
未硬化または部分的に硬化した「素地」の緻密化は、特にかかるプロセスが大規模に行われる場合、数多くの様々な技術的課題を露見させる可能性がある。効率、非静的処理条件、一貫性、再現性などの問題が発生する可能性がある。本発明は、これらおよびその他の課題への対処を追求する。
【0005】
硬化処理の対象となる未硬化または「素地」の一例は、コンクリートまたはセメントである。特にコンクリートは至る所に存在する。私たちの家屋はその上にある可能性が高く、私たちのインフラストラクチャはそれを用いて建造されており、私たちの職場のほとんどもそうである。従来のコンクリートは、水および砂や砕石などの骨材を、石灰石と粘土の混合物を燃焼して作られた合成材料であるか、同様の組成の材料をロータリーキルンで約1,450℃の温度で焼結したものであるポルトランドセメントと混合して作られている。ポルトランドセメントの製造は、エネルギーを大量に消費するプロセスであるだけでなく、かなりの量の温室効果ガス(CO2)を放出するプロセスでもある。セメント産業は、世界の人為的CO2排出量の約5%を占めている。かかるCO2の60%を超える量が石灰石の化学分解または焼成に由来する。従来のコンクリートの製造と使用は、経済的および環境的影響の両方の観点から最適ではない。こうした従来のコンクリート製造技術は、大量のエネルギー消費と二酸化炭素排出を伴い、好ましくない二酸化炭素排出量につながる。
【0006】
こうした背景が非水硬性セメント配合物の開発につながっている。非水硬性セメントは、化学反応で水を消費して硬化するのではなく、主に二酸化炭素CO2との反応によって硬化するセメントを指し、この形成には、ガス状のCO2、炭酸H2CO3形態のCO2、または非水硬性セメント材料とCO2が反応することを可能にする他の形態などがある。この硬化プロセスは、硬化した材料内に固体炭酸塩種の形態で二酸化炭素ガスを閉じ込めるため、明らかな環境上の利点を提供する。一例として、非水硬性Solidia CementTMおよびSolidia ConcreteTM配合物は、画期的な技術として知られ、例えば、R&D 100 Awardsによってトップ100の新技術の一つとして認められている。Solidia CementTMとSolidiaConcreteTMの両方の生産は、従来の水硬性コンクリートおよび/またはポルトランドセメントの生産と比較して、炭素排出量を最大70%削減し、燃料消費量を30%削減し、水の使用量を最大80%削減する。
【0007】
従来のコンクリートおよび非水硬性コンクリート配合物を含む、多くの材料システムのための従来の硬化技術および装置は、特定の化学反応を受ける材料を処理するように構成されている。しかしながら、実際のところ、素地を硬化させるための従来の技術と装置の使用には、ある特定の技術的課題がある。従来の硬化技術および装置に関連する問題には、それらのコスト、運用条件および場所に関する制限、硬化プロセスを一貫的かつ再現可能な方法で制御および監視できる精度、ならびに適切な特性を備えた硬化物の製造が含まれる。したがって、改善された汎用性、精度、歩留まり、一貫性およびコスト削減を提供する硬化方法および装置への必要性が存在する。
【0008】
図1~2は、水硬性セメントまたはコンクリート組成物、ならびに非水硬性セメントまたはコンクリート組成物で形成された物品(10)を概略的に示し、例えば、ケイ酸カルシウム、砂、骨材を含むコンクリート組成物は、舗装材(任意の寸法)またはブロック/スラブ(これも任意の寸法)などであり、成形/製造方法としてプレス(20)を使用することにより製造できる。より具体的には、中空型(30)は、鋼(またはプラスチックまたは十分な強度のある他の任意の材料)の板またはフラットトレイなどの支持体(40)に配置される。次に、コンクリート組成物は、型(30)の開口部(50)に導入される。任意選択的には、型(30)へのコンクリート混合物の最適な充填を促進するために型(30)を振動させる。充填されると、プレス(20)が型(30)内のコンクリート材料を圧縮する。その結果、一つまたは複数のプレス素地(10)が支持体(40)上に形成される。続いて、プレス素地(10)は、それらの支持体(40)と共に、乾燥、予備硬化、そして最終的な硬化槽内(図示せず)での硬化など、いくつかの可能な処理ステップに供されて強度を生み出す。硬化後、素地(舗装材など)は、支持体(40)から取り外し、通常は機械を使用して積み重ねることで「パレット化」され、完成した素地または舗装材の立方体がパレットなどの輸送用支持体上に形成される。各立方体は、例えば、約540(またはそれ以上)の舗装材を10個の舗装材層の形式で次々に積み重ねることができ、各層が54個の舗装材を含むことになる。これは「舗装キューブ」と呼ばれる。その後、こうした舗装キューブを顧客に届けることができる。図3は、上記のプロセスに関連する主要なステップ(60)を概略的に示す。そこに示されるように、セメント/コンクリート配合物を構成する構成成分は、計量されてから混合され、型に導入され、そこでプレスされて、一つまたは複数の素地を形成する。続いて素地は硬化され、その後、完全に硬化した素地がパレット上に積み重ねられて購入者に出荷される。
【0009】
現在の大規模な操業によれば、硬化プロセスは、約50から80時間、またはそれ以上にもなる非常に長い期間に及ぶ。このような長い硬化時間中は、舗装材が支持体またはプレス板上に留まる。プレス板を50~80時間占有することは、プロセス全体の費用対効果および時間対効果に不利である。硬化プロセス全体を通してプレス板を占有すると、製造業者の施設のプレス作業に望ましくないストレスがかかり、製造業者は理想的な数よりも多くのプレス板を購入する必要がある。
【0010】
さらに、前述のSolidia CementTMやSolidia ConcreteTMなどの非水硬性組成物から形成された舗装材は、ガス状反応物、つまり二酸化炭素(CO2)に依存する。二酸化炭素は、炭酸化で硬化される材料がそれらの中にある特定の量(例えば、2から5重量%)の水を含む場合にのみ反応物として作用する。二酸化炭素ガスは最初に水に溶解し、次にそれ自体を重炭酸水溶液または炭酸イオンに変換し、次に非水硬性組成物に由来する水性Ca2+イオンと反応して、炭酸カルシウム(CaCO3)の良好に結合した結晶/粒子を形成する。言い換えれば、舗装材が完全に乾燥している場合、かかる組成物を硬化させることはできない。したがって、かかる非水硬性組成物から形成された舗装材の硬化には、含水量制御が関与する。
【0011】
硬化プロセス全体でプレス板上に舗装材を保持することの別の欠点は、板と接触する舗装材の表面が、素地からの水の放出を防止または阻害すること、および硬化槽内の反応物(例えば、CO2ガス)への直接曝露も防止または阻害することである。
【0012】
したがって、プレス板を取り外し/回収してできるだけ早くプレス機に戻すことを可能にするのに加えて、プレス素地(例えば、舗装材/物体)の底面の露出を改善してそこからの水の放出を促進することを可能にする、改善された硬化技術および装置が必要である。
【0013】
本発明の開示を容易にするために従来技術の特定の態様が議論されてきたが、出願人はこれらの技術的側面を決して否定せず、請求される発明は本明細書で論じられる従来の技術的側面の一つまたは複数を網羅または包含できると考えられる。
発明の概要
【0014】
本発明により、上記の欠点に対処することができ、特定の利点を達成できることが発見されている。例えば、本発明の方法、デバイスおよびシステムは、改善された汎用性、精度、歩留まり、一貫性およびコスト削減を示す素地の硬化を提供する。
【0015】
本発明の概念の説明を容易にするため、本明細書に含まれる開示は、素地および/または硬化体を「舗装材」と呼ぶことができる。しかしながら、本発明の原理はそれに限定されないことを理解されたい。本明細書に記載の原理は、本明細書でとりわけ「舗装材」に言及してはいるが、任意数の様々な素地または物体に適用可能である。例えば、本開示に記載のプロセスは、二酸化炭素にさらされると硬化する結合マトリックスで任意選択的に作られたコンクリート製品の製造に使用することができる。いくつかの実施形態では、こうしたコンクリート製品が発泡コンクリートの物体である。いくつかの実施形態では、こうしたコンクリート製品が気泡コンクリートの物体である。いくつかの実施形態では、こうした気泡コンクリートの物体が気泡ブロックおよび/または気泡組積構造ユニットである。いくつかの実施形態では、こうした発泡コンクリートの物体が気泡パネルである。いくつかの実施形態では、こうした気泡パネルがそれらの中に任意選択の構造的補強を鉄筋の形態で有する。他の実施形態では、こうしたコンクリート製品が、屋根タイル、コンクリートブロック、コンクリートスラブ、ウェットキャストスラブおよび中空コアスラブなどのプレキャストコンクリートの物体である。
【0016】
次に、本発明の特定の特徴について説明する。本発明は、それらの特定の組み合わせに限定されることなく、個別に、または以下の段落に記載されるかまたは本明細書に記載される他の任意の特徴と組み合わせて使用される前述のいずれかの特徴を包含することを理解されたい。したがって、例えば、本発明は、それらの現在の依存関係とは関係なく、本明細書に含まれる特許請求の範囲のあらゆる可能な組み合わせを包含することが理解される。
【0017】
一態様によれば、本発明は、複数の硬化コンクリート体を形成する方法を提供し、各体はある硬化圧縮強度を有するものであり、この方法には、コンクリートの構成成分の流動性混合物を複数の型に導入すること、一つまたは複数の支持体の助けを借りて複数の型内で流動性混合物を成形し、それによって複数の素地を形成すること、上記硬化圧縮強度よりも低い圧縮強度を提供するのに十分な程度まで素地を部分的に硬化し、それによって複数の予備硬化素地を生成すること、複数の予備硬化素地の少なくとも一部を組み立てて、所定の幾何学的構成を有するその集合体を形成すること、および上記硬化圧縮強度を達成するのに十分な程度まで予備硬化素地の集合体を硬化し、それによって所定の幾何学的構成を有する硬化素地の集合体を生成することが含まれる。
【0018】
さらにこの方法には、硬化体の集合体に顧客へ出荷すべき所定の幾何学的構成を持たせることが含まれる。
【0019】
構成成分に一つまたは複数の炭酸化可能なセメント成分および一つまたは複数の骨材が含まれる方法。
【0020】
一つまたは複数の炭酸化可能なセメント成分にケイ酸カルシウムが含まれる方法。
【0021】
流動性混合物に水が含まれる方法。
【0022】
導入および成形のステップの少なくとも一つに注入、振動鋳造、プレス、押し出し、または発泡の一つまたは複数が含まれる方法。
【0023】
一つまたは複数の支持体がプレス板である方法。
【0024】
一つまたは複数の支持体が金属製である方法。
【0025】
複数の素地に舗装材、コンクリートブロック、屋根タイル、中空コアスラブ、ウェットキャストスラブ、コンクリートスラブ、発泡コンクリート体、気泡コンクリート体、気泡コンクリート組積構造ユニット、または気泡コンクリートパネルが含まれる方法。
【0026】
予備硬化素地の圧縮強度が、素地を実質的に無傷のまま、素地を支持体から取り外しできるのに十分である方法。
【0027】
予備硬化素地の圧縮強度が、ASTM C140に従った測定において、約2,000psiから約5,000psiである方法。
【0028】
硬化圧縮強度が、ASTM C140に従った測定において、少なくとも約8,000psiである方法。
【0029】
素地を部分的に硬化させるステップに、素地および一つまたは複数の支持体を予備硬化槽に導入することが含まれる方法。
【0030】
素地を部分的に硬化させるステップに、素地および一つまたは複数の支持体を二酸化炭素、空気、またはそれらを組み合わせたものに所定の期間さらすことが含まれる方法。
【0031】
素地を部分的に硬化させるステップに、素地を約60から約600分の時間、約50℃から約120℃の温度で二酸化炭素にさらすことが含まれる方法。
【0032】
素地を部分的に硬化させるステップに、少なくとも一つの金属製支持体を加熱することがさらに含まれる方法。
【0033】
少なくとも一つの金属製支持体の加熱に電気抵抗加熱が含まれる方法。
【0034】
複数の予備硬化素地を組み立てるステップに、一つまたは複数の支持体の表面から予備硬化素地を取り外すことが含まれる方法。
【0035】
予備硬化素地がパレタイザーマシンまたはマテリアルハンドリングシステムを使用して一つまたは複数の支持体から取り外される方法。
【0036】
所定の幾何学的構成が立方体である方法。
【0037】
その立方体に約480個以上の予備硬化素地が含まれる方法。
【0038】
予備硬化素地を硬化させるステップに、予備硬化素地の集合体を硬化槽内に導入することが含まれる方法。
【0039】
予備硬化素地を硬化させるステップに、予備硬化素地を約10から約24時間、約60℃から約95℃の温度で二酸化炭素にさらすことが含まれる方法。
【0040】
素地を部分的に硬化させるステップ、または予備硬化素地を硬化させるステップに、予備硬化槽または硬化槽の底部に近接して配置された位置から予備硬化槽または硬化槽内に加熱ガスを導入することがさらに含まれる方法。
【0041】
素地を部分的に硬化させるステップ、または予備硬化素地を硬化させるステップに、予備硬化槽または硬化槽の頂部に近接して配置された位置から予備硬化槽または硬化槽外に加熱ガスを抜き取ることがさらに含まれる方法。
【0042】
予備硬化素地を硬化させるステップに、予備硬化素地の集合体を硬化槽の一端から反対側の端まで移動するための可動プラットフォーム上に予備硬化素地の集合体を配置することがさらに含まれる方法。
【0043】
素地とその支持体にはサンプル体積があり、予備硬化槽には内部容積があり、そのサンプル体積に対する予備硬化槽の内部容積の比を約1.05から約1.15とする方法。
【0044】
所定の幾何学的構成を有する予備硬化素地の集合体にはサンプル体積があり、硬化槽には内部容積があり、そのサンプル体積に対する硬化槽の内部容積の比を約1.05から約1.15とする方法。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1図1は、流動性混合物から一つまたは複数の素地を形成するための配置および技術の概略図である。
図2図2は、支持体の表面上に配置された、図1の技術および配置から得られた一つまたは複数の素地の概略図である。
図3図3は、硬化コンクリート体を形成するための従来の手順のフロー図である。
図4図4は、流動性混合物から一つまたは複数の素地を形成するための配置および技術の概略図である。
図5図5は、本発明のある特定の任意選択の態様による技術および硬化槽設計の概略図である。
図6図6は、特定の幾何学的構成を形成する素地の集合体と、任意選択のプラットフォームの概略図である。
図7図7は、本発明のさらなる任意選択の態様による技術および硬化槽設計の概略図である。
図8図8は、本発明の追加の任意選択の態様による技術および硬化槽設計の概略図である。
図9図9は、本発明のさらなる追加の任意選択の態様による技術および硬化槽設計の概略図である。[詳細な説明]
【0046】
「素地」という用語は、本明細書で使用される場合、未硬化または部分的に硬化した素地または物体を指す。ある特定の任意選択の実施形態では、素地がセメントまたはコンクリート(複合)体の形態である。
【0047】
本明細書で使用される「炭酸化可能」は、炭酸化反応を介してCO2と反応性のある材料を指す。本明細書に開示される条件下で、ある材料が炭酸化反応を介してCO2と反応しない場合、その材料は「炭酸化不可能」である。ある特定の実施形態によれば、炭酸化可能な材料は、セメントまたはコンクリート(複合材)の形態をとることができる。
【0048】
「流動性混合物」は、本明細書で使用される場合、所望の幾何学的形状および寸法を有する素地に成形できるか、他の方法で形成できる混合物である。
【0049】
「実質的に無傷」とは、本明細書で使用される場合、大部分について、素地または物体の全体的な形状と構成が保持されていることを意味する。この用語は、全体的な形状と構成が維持されている限り、素地の比較的小さな破損や崩れを禁止するものではない。
【0050】
単数形「a」、「an」および「the」は、本明細書で使用される場合、文脈において別途明確に示さない限り、複数形も含むことを意図する。さらに、「または(or)」の使用は、文脈において別途明確に示さない限り、「および/または(and/or)」を含むことを意図する。
【0051】
「約(about)」は近似の用語であり、本明細書で使用される場合、当業者によって理解されるように、文字通りに述べられた量のわずかな変動を含むことを意図する。かかる変動には、例えば、複合材料の構成要素または成分の量を測定するために一般的に使用される技術に関連する標準偏差、または他の特性および特徴が含まれる。上記の修飾語「約(about)」によって特徴付けられるすべての値は、本明細書に開示される正確な数値を含むことも意図する。さらに、すべての範囲には、上限と下限、およびそれらの制限内のすべての値が含まれる。
【0052】
本明細書に記載の任意の組成物は、明示的に相反する指示がない限り、本明細書で特定される様々な構成要素から構成されるか、本質的に構成される組成物、さらにはそれらを含む組成物を包含することを意図する。
【0053】
本明細書で使用されている特定の略語には、次の意味がある。
【0054】
ER = 舗装材プレス板の早期回収(早期取り外し)。
【0055】
PCC = 舗装キューブ硬化。
【0056】
VBUF = 垂直ボトムアップフロー。
【0057】
CV = 槽内容積(予備硬化と硬化の両方)。
【0058】
SV = サンプル体積(サンプルは、プレス板上の素地または舗装材である可能性や、任意選択のプラットフォームの有無を問わず、互いに積み重ねて密に詰め込み、硬化用としてディスクリート立方体や長方形プリズムなどの特定の幾何学的構成を形成する素地または舗装材である可能性もある)。
【0059】
CC = 片側から槽内に入る個々の舗装材の連続硬化であり、舗装材は(連続的または断続的に)移動するコンベア上のマテリアルハンドリングシステムによって配置でき、同槽の反対側から出て来る。
流動性混合物の形成 - 素地の組成と形態
【0060】
本発明の原理は、多くの異なる化学組成と形態への適用を見出すことが可能であること、および必ずしもそれらによって限定されないことが想定される。したがって、以下の説明は、素地の化学的性質と形態の適切な代表例(ただし限定されない)となることを意図する。
【0061】
特定の態様によれば、本発明の硬化方法、デバイスおよびシステムに適した硬化可能な素地は、炭酸化可能な材料から形成できる。
【0062】
さらなる任意選択の態様によれば、本発明の硬化方法、デバイスおよびシステムに適した硬化可能な素地は、ケイ酸カルシウムおよび/またはケイ酸マグネシウムおよび/または水酸化マグネシウム材料から形成できる。
【0063】
本明細書で使用される「ケイ酸カルシウム」材料という用語は、ケイ酸カルシウム相の一つまたは複数の群から構成される自然発生的な鉱物または合成材料を一般的に指す。例示的な炭酸化可能なケイ酸カルシウム相には、CS(珪灰石または偽珪灰石、および時としてCaSiO3またはCaO・SiO2として定式化される)、C3S2(ランキナイト、および時としてCa3Si2O7または3CaO・2SiO2として定式化される)、C2S(ビーライト、β-Ca2SiO4またはラルナイト、Ca7Mg(SiO4)4またはブリジガイト、α-Ca2SiO4またはβ-Ca2SiO4、および時としてCa2SiO4または2CaO・SiO2として定式化される)が含まれる。アモルファス相は、それらの組成によっては炭酸化可能でもある。これらの材料のそれぞれは、一つまたは複数の他の金属イオンおよび酸化物(例えば、アルミニウム、マグネシウム、鉄またはマンガン酸化物)、もしくはそれらの混合物を含んでもよいし、または自然発生または合成の形態のケイ酸マグネシウムを微量(1%)から約50重量%以上までの範囲の量で含んでもよい。例示的な非炭酸化可能または不活性相には、ゲーレナイト/黄長石((Ca,Na,K)2[(Mg,Fe2+,Fe3+,Al,Si)3O7])および結晶性シリカ(SiO2)が含まれる。ケイ酸カルシウム組成物に含まれる炭酸化可能なケイ酸カルシウム相は、水にさらされたときに広範囲に水和しない。このため、結合剤としてケイ酸カルシウム組成物を使用して製造された複合材は、水と組み合わせたときに顕著な強度を生じない。強度の生成は、複合材料を含むケイ酸カルシウム組成物をCO2の存在下で特定の硬化レジームにさらすことによって制御される。
【0064】
「ケイ酸マグネシウム」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、Mg2SiO4(「フォルステライト」としても知られる)およびMg3Si4O10(OH)2(「タルク」としても知られる)およびCaMgSiO4(「モンチセライト」としても知られる)を含むマグネシウム-ケイ素含有化合物の一つまたは複数の群で構成される天然に存在する鉱物または合成材料を指し、これらの材料のそれぞれは、一つまたは複数の他の金属イオンおよび酸化物(例えば、アルミニウム、マグネシウム、鉄またはマンガン酸化物)、もしくはそれらの混合物を含んでもよいし、または自然発生または合成の形態のケイ酸マグネシウムを微量(1%)から約50重量%以上までの範囲の量で含んでもよい。
【0065】
例示的な実施形態では、粉砕ケイ酸カルシウムが使用される。粉砕ケイ酸カルシウムは、約1μmから約100μm(例えば、約1μmから約80μm、約1μmから約60μm、約1μmから約50μm、約1μmから約40μm、約1μmから約30μm、約1μmから約20μm、約1μmから約10μm、約1μmから約5μm、約5μmから約90μm、約5μmから約80μm、約5μmから約70μm、約5μmから約60μm、約5μmから約50μm、約5μmから約40μm、約10μmから約80μm、約10μmから約70μm、約10μmから約60μm、約10μmから約50μm、約10μmから約40μm、約10μmから約30μm、約10μmから約20μm、約1μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、または100μm)の平均粒径を有し得る。
【0066】
粉砕ケイ酸カルシウムは、約0.5g/mLから約3.5g/mLのかさ密度(例えば、0.5g/mL、1.0g/mL、1.5g/mL、2.0g/mL、2.5g/mL、2.8g/mL、3.0g/mL、または3.5g/mL)および約1.0g/mLから約1.2g/mLのタップ密度を有し得る。
【0067】
粉砕ケイ酸カルシウムは、約150m2/kgから約700m2/kg(例えば、150m2/kg、200m2/kg、250m2/kg、300m2/kg、350m2/kg、400m2/kg、450m2/kg、500m2/kg、550m2/kg、600m2/kg、650m2/kg、または700m2/kg)のブレーン表面積を有し得る。
【0068】
ケイ酸カルシウム組成物の例示的な実施形態では、使用される粉砕ケイ酸カルシウム粒子は、粒度分布の体積分布において1μmを超える累積10%直径を有する粒度を有する。
【0069】
任意の適切な骨材を使用して、本発明の炭酸化可能な組成物、例えば、酸化カルシウム含有材料またはシリカ含有材料から複合材料を形成できる。例示的な骨材には、トラップロック、建設用砂、玉砂利などの不活性材料が含まれる。特定の好ましい実施形態では、パーライトまたはバーミキュライトなどの軽量骨材も骨材として使用してもよい。産業廃棄物(例えば、フライアッシュ、スラグ、シリカフューム)などの材料も、微細な充填材として使用してよい。
【0070】
複数の骨材は、任意の適切な平均粒径および粒度分布を有し得る。特定の実施形態において、複数の骨材は、約0.25mmから約25mm(例えば、約5mmから約20mm、約5mmから約18mm、約5mmから約15mm、約5mmから約12mm、約7mmから約20mm、約10mmから約20mm、約1/8"、約1/4"、約3/8"、約1/2"、約3/4")の範囲の平均粒子サイズを有する。
【0071】
複合材料には化学混和剤、例えば、可塑剤、遅延剤、促進剤、分散剤および他のレオロジー改質剤も含めることができる。BASF(R)Chemicals社のGleniumTM7500、SIKA社のHC-300、Dow Chemical Company社のAcumerTMなどの特定の商業的に入手可能な化学混和剤も含まれ得る。特定の実施形態では、所望の複合材料に応じて、一つまたは複数の顔料を結合マトリックス中に均一に分散させるか、または実質的に不均一に分散させてもよい。顔料は、例えば、様々な金属の酸化物(例えば、黒色酸化鉄、酸化コバルトおよび酸化クロム)を含む任意の好適な顔料であり得る。顔料は、例えば、黒色、白色、青色、灰色、ピンク色、緑色、赤色、黄色および茶色から選択される任意の一色または複数色であり得る。顔料は、所望の複合材料に応じて、例えば、約0.0重量%から約10重量%の範囲の量で、任意の適切な量で存在してよい。
【0072】
炭酸化可能な組成物の主な利点は、炭酸化して様々な用途に有用な複合材料を形成できることである。
【0073】
本明細書に開示されるケイ酸カルシウムの炭酸化中には、以下の反応が起きると考えられる。
【0074】
CaSiO3(s) +CO2 (g) → CaCO3 (s) + SiO2 (s) (1)
【0075】
Ca3Si2O7(s) + 3CO2 (g) → 3CaCO3 (s) + 2SiO2 (s) (2)
【0076】
Ca2SiO4(s) + 2CO2 (g) → 2CaCO3 (s) + SiO2 (s) (3)
【0077】
一般に、CO2は、水のような浸透媒体に溶解する気相として導入される。CO2が溶解すると、酸性の炭酸種(炭酸、H2CO3など)が形成され、溶液のpHが低下する。弱酸性溶液は、ケイ酸カルシウム相からカルシウム種を不調和に溶解することで炭酸が水中炭酸イオンに変化する。カルシウムは、同様のメカニズムによってカルシウム含有アモルファス相から浸出できる。放出されたカルシウムカチオンと水中炭酸塩種(HCO3 -、CO3 2-、Ca(HCO3)2など)は、不溶性の固体炭酸塩の沈殿を引き起こす。式(1)から(3)でSiO2 (s)と省略されたシリカに富む層は、鉱物粒子上に残ると考えられる。
【0078】
本明細書に開示されるこれらまたは他の任意のCO2炭酸化反応から生成されるCaCO3は、いくつかのCaCO3多形体(例えば、方解石、アラゴナイト、およびバテライト)のうちの一つまたは複数として存在し得る。CaCO3粒子は、好ましくは方解石の形態であるが、アラゴナイトまたはバテライトとして、または二つまたは三つの多形体(例えば、方解石/アラゴナイト、方解石/バテライト、アラゴナイト/バテライトまたは方解石/アラゴナイト/バテライト)の組み合わせとして存在してもよい。
【0079】
所望の炭酸化の結果に応じて、任意の適切な程度のCO2を使用してよい。例えば、Praxair, Inc.社、Linde AG社、Air Liquide社などの様々な異なる工業ガス会社から市販されている純度が約99%の工業用のCO2を使用できる。CO2供給は、所望の蒸気圧、例えば、約300PSIGを維持するような温度に調整された液体二酸化炭素の形態で大きな加圧貯蔵タンクに保持されてもよい。そしてこのガスは、CO2硬化(炭酸化)エンクロージャまたは硬化槽まで配管される。最も簡単なシステムでは、CO2はエンクロージャ内の周囲空気を移動させるのに十分な制御速度でエンクロージャ内を流れる。一般に、パージ時間は、槽またはエンクロージャのサイズおよびCO2ガスが供給される速度に依存する。多くのシステムにおいて、空気をパージするこのプロセスは、CO2濃度を妥当なレベルまで得るため、時間測定にして数分で実行され、その後で硬化を実行できる。単純なシステムでは、次いで、硬化反応を進めるのに十分なCO2濃度を維持するように、所定の速度でCO2ガスがシステム内に供給される。
【0080】
炭酸化は、例えば、複合材料の様々な成分を一緒に保持する結合要素を生成するために制御された熱水相焼結(HLPS)プロセスによってCO2と反応させることで実施してもよい。例えば、好ましい実施形態では、CO2が反応種として使用され、既存の製造技術に比類のないカーボンフットプリントで、二酸化炭素の隔離および製造された複合材料中の結合元素の生成を行う。HLPSプロセスは、結晶成長によって生じる化学反応および表面エネルギー(面積)の減少に伴う自由エネルギーによって熱力学的に進められる。HLPSプロセスの反応速度は、反応種を輸送するために、高融点流体または高温固体媒体を使用する代わりに、溶液(水性または非水性)が使用されるため、低温において合理的な速度で進行する。
【0081】
集合的に、結合要素は相互接続された結合マトリックスを形成し、結合強度を生み出し、複合材料を一緒に保持する。例えば、微細構造化された結合要素は、CaCO3粒子によって完全または部分的に包まれた様々な厚みのシリカに富むリムによって完全または部分的に囲まれたケイ酸カルシウムの未反応の炭酸化可能相のコアを含む結合要素、CaCO3粒子によって完全または部分的に包まれた様々な厚みのシリカに富むリムによって完全または部分的に囲まれたケイ酸カルシウムの炭酸化可能相の炭酸化によって形成されたシリカのコアを含む結合要素、ケイ酸カルシウムの炭酸化可能相の炭酸化によって形成されてCaCO3粒子によって完全または部分的に包まれたシリカのコアを含む結合要素、CaCO3粒子によって完全または部分的に包まれた炭酸化不可能相のコアを含む結合要素、ケイ酸カルシウムの炭酸化可能相と部分的に反応したケイ酸カルシウムの炭酸化によって形成されたシリカからなる多相コアを含み、この多相コアがCaCO3粒子で完全または部分的に包まれた様々な厚みのシリカに富むリムによって完全または部分的に囲まれている結合要素、非炭酸化可能相と部分的に反応したケイ酸カルシウムからなる多相コアを含み、この多相コアがCaCO3粒子で完全または部分的に包まれた様々な厚みのシリカに富むリムによって完全または部分的に囲まれている結合要素、明確なコアのない部分的に反応したケイ酸カルシウムの粒子と、CaCO3粒子によって包まれたシリカリムを含む結合要素、ならびにCaCO3粒子によって包まれた明確なシリカリムのない多孔質粒子を含む結合要素、でもよい。
【0082】
シリカに富むリムは、一般に、結合要素内および結合要素から結合要素まで、典型的には約0.01μmから約50μmの範囲の様々な厚みを示す。特定の好ましい実施形態では、シリカに富むリムは、約1μmから約25μmの範囲の厚みを有する。「シリカに富む」とは、本明細書で使用される場合、一般に、材料の成分中に大きなシリカ含有量があることを指し、例えば、シリカが体積で約50%を超える。シリカに富むリムの残りの部分は、主にCaCO3で構成されており、例えば、CaCO3が体積で10%から約50%である。シリカに富むリムは、不活性または未反応の粒子、例えば、体積で10%から約50%のメリライトを含んでもよい。シリカに富むリムは、一般に、主にシリカから主にCaCO3への移行を示す。シリカとCaCO3は、混在領域または個別領域として存在できる。
【0083】
シリカに富むリムは、結合要素ごとに異なるシリカ含有量によっても特徴付けられ、典型的には、体積で約50%から約90%(例えば、約60%から約80%)の範囲である。特定の実施形態において、シリカに富むリムは、一般に、体積で約50%から約90%の範囲のシリカ含有量および体積で約10%から約50%の範囲のCaCO3含有量によって特徴付けられる。特定の実施形態において、シリカに富むリムは、体積で約70%から約90%の範囲のシリカ含有量および体積で約10%から約30%の範囲のCaCO3含有量によって特徴付けられる。特定の実施形態において、シリカに富むリムは、体積で約50%から約70%の範囲のシリカ含有量および体積で約30%から約50%の範囲のCaCO3含有量によって特徴付けられる。
【0084】
シリカに富むリムは、約1%から約99%(例えば、約10%から約90%)の範囲の様々な程度の被覆率までコアを取り囲んでよい。特定の実施形態では、シリカに富むリムは、約10%未満の被覆率でコアを取り囲む。特定の実施形態では、様々な厚みのシリカに富むリムは、約90%を超える被覆率でコアを取り囲む。
【0085】
結合要素は、任意のサイズで、任意の規則的または不規則な、中実または中空の形態を示してもよく、これは意図される用途を考慮して、原材料の選択および製造プロセスによって何らかの形で好みに合わせることができる。例示的な形態には、立方体、直方体、三角柱、円盤、四角錐、多面体または多面体粒子、円柱、球体、円錐、リング、管、三日月形、針、繊維、フィラメント、薄片、球体、亜球体、ビーズ、ブドウ、顆粒、長方形、棒、波紋などが含まれる。
【0086】
複数の結合要素は、複合製品の所望の特性および性能特性に応じて、任意の適切な平均粒径および粒度分布を有し得る。特定の実施形態では、例えば、複数の結合要素は、約1μmから約100μm(例えば、約1μmから約80μm、約1μmから約60μm、約1μmから約50μm、約1μmから約40μm、約1μmから約30μm、約1μmから約20μm、約1μmから約10μm、約5μmから約90μm、約5μmから約80μm、約5μmから約70μm、約5μmから約60μm、約5μmから約50μm、約5μmから約40μm、約10μmから約80μm、約10μmから約70μm、約10μmから約60μm、約10μmから約50μm、約10μmから約40μm、約10μmから約30μm、または約10μmから約20μm)の範囲の平均粒径を有する。
【0087】
結合要素の相互接続されたネットワーク(結合マトリックス)はまた、任意の適切な材料からなる任意の適切な粒径および粒度分布を有する、複数の粗大または微細な充填剤粒子を含んでもよい。特定の好ましい実施形態では、例えば、充填剤粒子が石灰石(例えば、粉砕石灰岩)のような炭酸カルシウムに富む材料から製造される。特定の材料では、充填剤粒子が石英、雲母、花崗岩、および長石(例えば、粉砕石英、粉砕雲母、粉砕花崗岩、粉砕長石など)のようなSiO2系またはケイ酸塩系の材料の一つまたは複数から作られる。
【0088】
特定の実施形態では、充填剤粒子は、ガラス、再生ガラス、石炭スラグ、フライアッシュ、炭酸カルシウムリッチ材料および炭酸マグネシウムリッチ材料などの天然、合成およびリサイクル材料を含んでもよい。
【0089】
特定の実施形態では、複数の充填剤粒子は、約5μmから約7mm(例えば、約5μmから約5mm、約5μmから約4mm、約5μmから約3mm、約5μmから約2mm、約5μmから約1mm、約5μmから約500μm、約5μmから約300μm、約20μmから約5mm、約20μmから約4mm、約20μmから約3mm、約20μmから約2mm、約20μmから約1mm、約20μmから約500μm、約20μmから約300μm、約100μmから約5mm、約100μmから約4mm、約100μmから約3mm、約100μmから約2mm、または約100μmから約1mm)の範囲の平均粒径を有する。
【0090】
充填剤粒子に対する結合要素の重量比は、複合材料製品の意図される用途に依存して任意の適切な比率でよい。例えば、充填剤粒子に対する結合要素の重量比は、約(50から99):約(1から50)、例えば、約(60から99):約(1から40)、約(80から99):約(1から20)、約(90から99):約(1から10)、約(50から90):約(10から50)、または約(50から70):約(30から50)の範囲にできる。特定の実施形態では、用途に応じて、充填剤粒子に対する結合要素の重量比は、約(10から50):約(50から90)、例えば、約(30から50):約(50から70)、約(40から50):約(50から60)の範囲にできる。
【0091】
本発明の原理による硬化に適した素地は、典型的に多大な多孔性を有する。素地が炭酸化可能な材料で形成されている場合、CO2が素地全体に拡散する必要があり、これにより、すべての深さにおいて十分な程度まで素地の化学組成と反応し、炭酸化の対象物内で望ましい物理的および化学的特性を生じることができる。このCO2ガスの拡散は、水またはそれに関連する任意の水性種に溶け込むCO2の拡散よりも大幅に高速であるため、その対象物でガス状CO2の拡散を促進するためには、素地の細孔が「開いている」ことが望ましい。他方、炭酸化反応を促進するために水の存在が必要となる場合がある。例えば、本明細書に記載されるような例示的なケイ酸カルシウム材料に関しては、CO2が溶解すると、酸性の炭酸種(炭酸、H2CO3など)が形成され、溶液のpHが低下する。弱酸性溶液は、ケイ酸カルシウム相からカルシウム種を不調和に溶解する。放出されたカルシウムカチオンおよび解離した炭酸塩種は、上述の結合要素の形成を導くことができる。素地に含まれる水の量は、上記のように、二酸化炭素ガスの適切な拡散を提供するように選択される。例えば、特定の非限定的な実施形態によれば、素地は、2重量%から5重量%の含水量を有してよい。
一つまたは複数の素地に流動性混合物を形成する
【0092】
本明細書に記載の流動性混合物は、所望の幾何学的形状および寸法を有する一つまたは複数の素地に成形できるか、他の方法で形成できる。素地の適切な形状やサイズには特に制限がない。したがって、例えば、この素地は、数例を挙げるとすると、舗装材、コンクリートブロック、屋根タイル、中空コアスラブ、ウェットキャストスラブ、コンクリートスラブ、発泡コンクリート体、気泡コンクリート体、気泡コンクリート組積構造ユニット、または気泡コンクリートパネルの形態で提供され得る。
【0093】
同様に、流動性混合物を所望の幾何学的形状および寸法を有する素地に形成する特定のプロセスまたは技術にも特に制限がない。任意の従来の成形技術が利用可能であり、本発明の範囲によって理解されることが想定される。適切な成形技術には、注入、成形、繊維鋳造、プレス、押し出し、および/または発泡が含まれるが、これらに限定されない。一つの特定の非限定的な例として、上記で概ね説明され、図1~2に示されているものなどの従来のプレス技術が利用可能である。
【0094】
形成に使用される特定の技術に関係なく、本発明の特定の態様によれば、形成は、図1~2の支持体(40)などの一つまたは複数の支持体の助けを借りて実施できる。支持体は、可能性のあるいくつかの点で素地の形成を助けることができる。例えば、流動性混合物は、成形プロセスを容易にするために、支持体の表面に対して圧縮できる。しかしながら、成形プロセスにおける支持体の特定の役割はそれほど限定されない。したがって、支持体は、実際のプレス技術とは分けられた別の部材として使用でき、それにより、素地が別の部材によって既に形成された後で、形成されたままの素地を支持体の表面に配置することができる。成形プロセスにおいて、支持体の使用には様々ないくつもの可能性があり、それらは本発明の原理によって理解される。
【0095】
本発明のある任意選択の態様によれば、支持体は、当技術分野で言及されるところのプレス板の形態にできる。かかるプレス板は、それらがその表面上に一つまたは複数の素地を支持するために望ましい程度の剛性を提供しさえすれば、複数の異なる材料から形成できる。適切な材料には、プラスチック、金属、複合材料が含まれる。本発明の非限定的な一例によれば、支持体は、少なくとも部分的に、金属物質から形成できる。支持体は、完全な金属合金で形成できるか、またはその中に金属成分を含む複合材料の形態で形成できることが想定される。また別に、この非限定的な実施形態によれば、支持体は導電性にできる。この機能には、後続の硬化ステップで加熱し、熱エネルギーを素地に効率的に伝達できるという利点がある。特定の態様によれば、金属製支持体は、その表面に配置された素地の温度を上昇させるために、電気抵抗加熱技術によって加熱できる。
一つまたは複数の素地を予備硬化する
【0096】
本発明の特定の態様によれば、一つまたは複数の素地は、任意選択で、部分プロセスまたは予備硬化プロセスにかけられる。適切な部分硬化または予備硬化手順を設計するための主な基準は、一つまたは複数の支持体から取り外して実質的に無傷の状態に保てるような十分な強度を一つまたは複数の素地に提供することである。適切な部分硬化または予備硬化手順を設計するためのさらなる任意選択の目的または基準は、一つまたは複数の素地に、その上に積み重ねられる複数の追加素地の重量に耐えるのに十分な強度を提供することであり、本明細書でさらに説明されるように、最終硬化のために形成される素地のパレット状立方体の最下列の場合がこれにあたる。
【0097】
前に示唆したように、硬化が完了する前に支持体から素地を取り外せることは、多くの利点と優位性を提供する。第一に、支持体またはプレス板は、上流のプレス作業で使用できるように、より迅速に送り戻すことができるため、同じ量のアウトプットを確保するために手元に確保する必要のあるプレス板が少なくて済むので効率が向上する。第二に、本発明の炭酸化可能なセメント/コンクリート配合物は、ガス状反応物(例えば、二酸化炭素)への最大の曝露、ならびに水分損失の制御からの利益を得る。素地の大きな表面を支持体またはプレス板の表面と接触させることは、素地へのガス状反応物の流れと、そこからの水分の放出の両方を妨げる。したがって、支持体またはプレス板から素地を取り外すことにより、硬化作業の効率をさらに高め、改善することができる。第三に、素地をそれらの支持体から早期に取り外すことは、所定の幾何学的構成を有する集合体に素地を組み立てることを可能にする。この集合体は、緊密に積み重ねられた立方体またはその他の幾何学的構成の形態をとることができる。このような緊密に積み重ねられた立方体または他の形態をさらなる硬化作業にかけることは、さらなる硬化作業中の水分保持/損失の振る舞い、および素地の保温の観点から、支持体上に比較的緩く置かれた素地を硬化することに比べて有利であり得る。第四に、素地を支持体から早期に取り外すことで、最終的な硬化が完了した後、出荷に適した構成に素地を組み立てることができるため、その後のマテリアルハンドリングステップが不要になる。
【0098】
部分硬化または予備硬化された素地の強度は、引張強度、圧縮強度、またはその両方など、任意の適切な尺度によって特性化され得る。非限定的な例として、一つまたは複数の素地は、ASTM C140規格を使用して測定される場合、約2,000から約5,000psi、または約2,400から約4,500psiの圧縮強度まで部分硬化または予備硬化され得る。少なくとも約2,000psiの最小強度は、実質的に無傷のままで、取り扱いを可能にするのに十分な強度を素地に提供するために有利である。一方、5,000psiをはるかに超える圧縮強度を達成するように素地を部分硬化または事前硬化すると、素地内に含まれる水の量が枯渇し、さらなる硬化作業を妨げて最終的な 硬化体の圧縮強度(例えば、少なくとも約8,000psi)を制限するという点で不利になる可能性がある。
【0099】
特定の任意選択の態様によれば、素地を部分硬化または予備硬化することは、素地および一つまたは複数の支持体を予備硬化槽に導入することを含み、炭酸化可能なセメント/コンクリート組成物から形成された素地の場合は、素地およびそれらの支持体を二酸化炭素、空気、またはそれらを組み合わせたものに所定の期間さらすことが含まれる。槽内で使用される特定の条件は、槽自体の設計、素地のセメント/コンクリート組成物を形成する成分の化学的性質、望ましい予備硬化強度の程度などに基づいて変化する可能性がある。一般的に述べた場合、特定の非限定的な例によれば、部分硬化または予備硬化手順は、次の環境条件のうちの一つまたは複数の下で実施できる:約4℃から約200℃、約50℃から約130℃、または約60℃から約85℃、硬化時間は約60分から約600分、約60から約360分、約60から約300分、60から約240分、60から約180分、60から約120分、または60から約90分、圧力は約0.01psiから約0.04psi、相対湿度は約1%から約80%、CO2濃度は約1%から約99%。
【0100】
さらに一つの非限定的な実施形態によれば、支持体(40)は、金属などの導電性材料から作製することができ、支持体は、電気抵抗加熱などの適切な技術によって加熱され得る。支持体のこの任意選択の加熱は、予備硬化時間全体を通して行ってもよい。その間、素地が予備硬化にさらされるか、または最初のランプアップ期間中(例えば、予備硬化の最初の1時間)など、予備硬化時間全体の一部のみの間、支持体を加熱してもよい。この任意選択の実施形態によれば、素地(10)の温度を上昇させる能力は、それに接触している支持体(40)を加熱することで強化される。
【0101】
一つまたは複数の素地およびその支持体に関するさらなる任意選択の非限定的な部分硬化または予備硬化プロセスの仕様には、以下の一つまたは複数を含めてもよい。
【0102】
(1)予備硬化槽への二酸化炭素の流量:約1から約250リットル/分(LPM)、約10から約125LPM、または約40から約80LPM。
【0103】
(2)予備硬化槽のCO2ガス入口温度:約4℃から約225℃または約90℃から約100℃。
【0104】
(3)予備硬化槽の連続動作温度:約4℃から約200℃、約50℃から約130℃、または約60℃から約85℃。
【0105】
(4)予備硬化槽圧力:約0.05から約1.0水柱インチ、約0.3から約0.7水柱インチ、または約0.4から約0.5水柱インチ。
【0106】
(5)予備硬化槽が50℃に達するまでの時間:最長約1時間、または約20分以下。
【0107】
(6)予備硬化槽が70℃に達するまでの時間:最長約3時間、または約90分以下。
【0108】
(7)予備硬化槽で相対湿度(RH)が30から40%に達するまでの時間:最長約1時間、または約30分以下。
【0109】
(8)予備硬化槽が10%RHに達するまでの時間:最長約90時間、または約60分以下。
【0110】
(9)予備硬化槽が5%RHに達するまでの時間:最長約2.5時間、または約2時間以下。
【0111】
(10)個々の舗装材の質量の重量パーセントによる残留水(部分硬化または予備硬化プロセス終了時の舗装材に残るもの):約0.5%から約3%、約1%から約2.5%、または約1.2%から約1.6%。
【0112】
(11)部分硬化または予備硬化プロセス終了時の舗装材の圧縮強度(ASTM C140規格を使用して測定):約1,500から約8,000psi、約2,000から約5,000psi、または約2,500から約3,500psi。
【0113】
部分硬化槽または予備硬化槽自体の特定の構成は、素地およびそれらの支持体に適切な部分硬化または予備硬化条件を提供できる限り、特に限定されない。
【0114】
一つの非限定的な例証によれば、部分硬化または予備硬化装置(100)は、図4に概略的かつ全体的に示される構成要素および構成を備えて提供され得る。ここで示されているように、部分硬化または予備硬化装置(100)は、予備硬化槽(120)を含んでよい。予備硬化槽(120)は、任意の適切な形状またはサイズで提供することができ、任意の適切な材料から形成できる。特定の非限定的な例によれば、予備硬化槽(120)は、金属、セラミック、またはプラスチック材料などの剛性材料から形成できる。任意選択的に、予備硬化槽(120)は、アルミニウムなどの金属材料から形成できる。さらなる任意選択の態様によれば、予備硬化槽は、その中の熱の保持を改善するために、断熱特性を有する材料から形成できる。あるいは、予備硬化槽は、アルミニウムなどの金属材料から形成でき、さらに別途断熱材料を備えることができる。さらなる任意選択の実施形態によれば、予備硬化槽(120)は、可撓性材料から形成できる。可撓性材料は、任意の適切な形態をとることができるが、好ましくはある程度の耐熱性を有し、少なくとも予備硬化槽(120)の内側部分の中に含まれるガス状反応物による材料への浸透に抵抗する。さらなる任意選択の実施形態によれば、予備硬化槽(120)は、ポリマーでコーティングされた織物材料から形成できる。しかしながら、形成された予備硬化槽(120)は、図4のCVで示されるように、所定の槽内容積を有する中空の内部を有する。
【0115】
図4でさらに示されるように、素地(10)は、それらの支持体(40)と共に、予備硬化槽(120)の内部に配置され、ドアまたはクロージャー(図示せず)が、予備硬化槽内の環境条件の制御を可能にする方法で素地(10)およびそれらの支持体(40)を予備硬化槽内に密封するために使用される。例示的な予備硬化槽条件は上に詳述される。特定の態様によれば、部分硬化または予備硬化プロセス中に素地(10)およびそれらの支持体(40)を支持および配置するために、ラック/棚などの支持システム(130)が任意選択的に予備硬化槽(120)内に提供されてもよい。
【0116】
予備硬化槽(120)は、予備硬化槽の内部にガス環境を施す適切なガス循環システムがさらに提供されてもよい。炭酸化可能なセメント/コンクリート組成物を部分硬化または予備硬化するために使用する場合、装置(120)には、予備硬化槽の内部にCO2を導入するための適切な構成要素が含まれる。かかる構成要素は、図4にさらに示されるように、ガス入口(140)およびガス出口(150)を含んでもよい。ガス入口(140)および/またはガス出口(150)の位置および数の両方は、予備硬化槽のサイズ、所望の流量などに応じて変更できることを理解されたい。特定の非限定的な例によれば、予備硬化槽(120)は、1~16、1~12、1~8、または1~4個のガス入口(140)を有する。さらなる例示的な実施形態によれば、入口(140)は、任意の適切な方法で配置できる。例えば、一つまたは複数の入口(140)を予備硬化槽(120)の底部に近接する位置に配置できる。この位置は、入口(140)を通して導入されたガスを加熱できるので、有利であり得る。加熱されたガスは、予備硬化槽(120)の内部に入ると、予備硬化槽の上部に向かって垂直に上昇する傾向があるため、予備硬化槽内に位置する素地(10)全体に自然に広がることになる。加熱されたガスは、任意選択的に予備硬化槽(120)上部に近接する場所に提供可能な一つまたは複数のガス出口(150)に向かって自然に移動する。
【0117】
さらなる任意選択の実施形態によれば、図5に示されるように、予備硬化槽(120)および部分硬化または予備硬化のためにそこに装填された物体は、(160)に概略的に示されているように、予備硬化槽(120)の内部容積(CV)がそこに装填された素地およびそれらの支持体の合計体積(SV)よりもわずかに大きいだけであるように設計可能である。したがって、例えば、予備硬化槽(120)は、槽内容積(CV)対素地/支持体体積(SV)比が約1.05から約1.15を有するように設計可能である。予備硬化槽(120)にこの設計を施すことにより、そこに含まれる環境条件をより効率的に制御できる。これにより、最適な硬化条件への到達を高速化でき、効率の低い設計の硬化槽と比較して、部分硬化または予備硬化のプロセス全体をより短時間で完了できるようになる。
【0118】
部分硬化または予備硬化プロセスが完了すると、素地(10)およびそれらの支持体(40)が予備硬化槽から取り出され、素地(10)がそれらの支持体(40)から取り外される。素地(10)は、手作業で、または適切なデバイスや装置を使用して、支持体(40)から取り外すことができる。特定の非限定的な例によれば、素地(10)は、従来のパレタイザーマシン(図示せず)の助けを借りてそれらの支持体(40)から取り外すことができ、素地(10)は、立方体などの所定の幾何学的構成に配置される。機械的デバイスまたは装置の助けを借りるか、借りないかを問わず、任意の数の適切な形状が可能であり、この例はもちろん例示的なものである。自由になった素地(10)によって形成される適切な幾何学的構成には、立方体、四角錐、円錐、三次元の円錐台形状、円筒、三次元の五角形状、三次元の六角形状、三次元の七角形状、三次元の八角形状、または三次元の九辺形状の一つまたは複数が含まれ得る。特定の任意選択の態様によれば、単一の部分硬化または予備硬化プロセスから回収された素地(10)の数は、上記の幾何学的構成のうちの一つまたは複数を形成するのに十分である。あるいは、素地(10)は、複数の部分硬化または予備硬化の一括作業から受け取り、回収されて上記の幾何学的構成のうちの一つまたは複数を形成するために使用できる。本発明の原理の範囲内で、任意の適切な数の部分硬化または予備硬化素地(10)を回収し、上記の幾何学的構成の一つまたは複数を形成するために使用できることが想定される。例示的で非限定的な例によれば、480個以上または540個以上の素地を組み立てて上記の幾何学的構成を形成することが可能であり、これは次に、単一構造としてさらなる硬化作業に供される。さらなる任意選択の非限定的な態様によれば、素地は舗装材にでき、素地の集合体が舗装キューブを形成し得る。
硬化槽とプロセスの仕様
【0119】
次に、上記の幾何学的構成の一つまたは複数に組み立てられた複数の予備硬化素地の集合体は、一つまたは複数の統合された構造として、一緒にさらなる硬化ができる。そのような集合体(170)は、パレットなどの任意選択のプラットフォーム(180)上に配置された三次元立方体の形で図6に概略的に示される。前述のように、任意の適切な数の予備硬化素地がこうした構成を形成するために使用できる。非限定的な例には、480個以上の予備硬化素地、または540個以上の予備硬化素地が含まれる。
【0120】
適切な硬化手順を設計するための主な基準は、硬化段階の完了時に、予備硬化素地に適切な強度特性を提供することである。硬化体の強度は、引張強度、圧縮強度、またはその両方など、任意の適切な尺度によって特徴化され得る。非限定的な例として、一つまたは複数の硬化体は、ASTM C140規格を使用して測定される場合、約8,000から約17,000psi、約9,000から約15,000psi、または少なくとも約9,200psiの圧縮強度まで硬化され得る。舗装材、スラブなどの硬化体の特定の用途に適用可能な特定の業界標準を満たすためには、硬化体に提供する十分な強度として、少なくとも約8,000psiの最小強度であることが有利である。許容される標準最小強度を大幅に超える強度値を提供するまで硬化することは、不経済および不必要である。
【0121】
特定の任意選択の態様によれば、特定の幾何学的構成を有する素地を硬化させることは、プラットフォーム(180)上に任意選択で配置された集合体(170)を硬化槽に導入することを含み、炭酸化可能なセメント/コンクリート組成物から形成された予備硬化素地の場合は、素地を二酸化炭素、空気、またはそれらを組み合わせたものを含む雰囲気に所定の期間さらすことが含まれる。槽内で使用される特定の条件は、槽自体の設計、素地のセメント/コンクリート組成物を形成する成分の化学的性質、望ましい強度の程度などに基づいて変化する可能性がある。一般的に述べた場合、特定の非限定的な例によれば、硬化手順は、次の環境条件のうちの一つまたは複数の下で実施できる:約4℃から約200℃、約50℃から約130℃、約60℃から約95℃、または約88℃から約95℃、硬化時間は約6から約24時間、圧力は約0.01psiから約0.04psi、相対湿度は約1%から約80%、CO2濃度は約1%から約99%。
【0122】
硬化体の生産に関するさらなる任意選択の非限定的な硬化プロセスの仕様には、以下の一つまたは複数を含めてもよい。
【0123】
(1)硬化槽への二酸化炭素の流量:約1から約250リットル/分(LPM)、約10から約125LPM、または約50から約80LPM。
【0124】
(2)硬化槽のCO2ガス入口温度:約4℃から約225℃、約90℃から約40℃、または約110℃から約120℃。
【0125】
(3)硬化槽の連続動作温度:約4℃から約200℃、約50℃から約130℃、または約88℃から約95℃。
【0126】
(4)硬化槽圧力:約0.05から約1.0水柱インチ、約0.3から約0.7水柱インチ、または約0.5水柱インチ。
【0127】
(5)硬化槽が50℃に達するまでの時間:最長約2時間、または約60分以下。
【0128】
(6)硬化槽が75℃に達するまでの時間:最長約5時間、または約150分以下。
【0129】
(7)硬化槽が95℃に達するまでの時間:最長約10時間、または約4時間以下。
【0130】
(8)硬化槽で相対湿度(RH)が30から40%に達するまでの時間:最長約4時間、または約30分以下。
【0131】
(9)硬化槽が10%RHに達するまでの時間:最長約6時間、または約100分以下。
【0132】
(10)硬化槽が5%RHに達するまでの時間:最長約2.5時間、または約2時間以下。
【0133】
(11)個々の舗装材の質量の重量パーセントによる残留水(硬化プロセス終了時の舗装材またはコンクリートに残るもの):約0.1%から約2%、約0.3%から約1.5%、または約0.2%から約0.9%。
【0134】
(12)硬化プロセス終了時の本体の圧縮強度(ASTM C140規格を使用して測定):約8,000から約17,000psi、または約9,000から約15,000psi。
【0135】
本体の集合体を単一構造として一緒に硬化すること(例えば、170)は、通常であれば支持体またはプレス板(例えば、10、40)の表面に配置されている間に素地の硬化作業全体を実施する従来の硬化方法では直ちに達成できない特定の利点と優位性を提供する。こうした優位性には以下が含まれるが、これらに限定されない。(1)単一構造の温度プロファイルは、支持体に積み重ねられた素地が装填された硬化槽内と比較した場合、支持体が素地の異なる層間の物理的な分離器および断熱材のように機能するため、より均一であり、(2)単一構造の相対湿度プロファイルは、支持体に積み重ねられた素地が装填された硬化槽内と比較した場合、支持体およびその上に配置された素地がレベルからレベルへのガスの流れパターンの変化や、硬化槽内の様々な領域内のガスの流れパターンの変化による影響を受けやすいため、より均一であり、(3)単一構造内の水蒸気分布は、支持体に積み重ねられた素地と比較した場合、全体としてより均一で、素地の外面および外部領域の過度の乾燥を受け難い傾向があり、(4)素地を密に詰めて特定の幾何学的構成を持つ単一構造を形成すると、槽内容積(CV)と素地集合体の体積(SV)の差を最小限に抑えることができ、効率向上、および槽内環境の制御性向上を提供する。
【0136】
硬化槽自体の特定の構成は、それが素地の集合体に適切な硬化条件を提供できる限り、特に制限されない。一つの任意選択の態様によれば、硬化は、予備硬化プロセスと同じ槽内で実施できる。したがって、硬化槽は、前述のように、予備硬化槽と同じ設計および特徴を有することができ、その前述の説明を参照することで、ここに組み込まれる。例えば、硬化槽は、図4に概略的に示される例示的な槽と同じ特徴を有し、同じ材料から形成できる。素地(例えば、170)の集合体を収容するのに必要な分まで、支持体(40)を収容するために使用された支持システムまたは棚(130)を省くことや、槽(120)内から取り除くことができる。さらには、前述のように、硬化槽は、その内部容積(CV)が素地の集合体の体積(SV)よりもわずかだけ大きくなるように設計され得る。これに関して、図5を参照すると、要素(120)は硬化槽を指すことができ、要素(160)は、素地の集合体(170)および任意選択のプラットフォーム(180)を概略的に表すことができる。特定の非限定的な実施形態によれば、硬化槽(120)の内部容積と素地の集合体の体積との比、すなわちCV/SVが約1.05から約1.15である。前述のように、この比率を最小化することにより、硬化槽(120)内の環境条件をより上手に効率的に制御することが可能になる。
【0137】
図7に概略的に示されるように、別の特定の実施形態によれば、槽(120)は、規模を大きくすることや、素地の複数の集合体(170A、170B、170C)を収容するのに十分な容積で設計できる。素地の複数の集合体(170A~C)のそれぞれは、槽(120)内でそれを移動可能にする構造を装備できる。この目的のため、任意の適切なメカニズムを装備できる。一つの非限定的な例によれば、レール(135)を槽(120)の床(145)に沿って装備でき、プラットフォーム(180)は、レール(135)と連携するホイール(155)を装備することで、プラットフォーム (180)および素地の集合体(170)は、槽(120)内のレール(135)に沿って、槽の一端から別の端まで移動できる。理想的には、隣接するプラットフォーム(180)/素地の集合体(170)は間隔を狭め、任意選択的には鉄道車両のように相互接続される(165)。この狭い間隔は、槽内容積(CV)とプラットフォーム(180)/素地の集合体(170)の合計サンプル体積(SV)との間の差を最小化し、有利となる。
【0138】
特定の任意選択の非限定的な実施形態によれば、硬化は、部分硬化または予備硬化段階に使用されたものとは別の槽内で実施することができる。次に、本発明のさらなる態様による特定の任意選択の補足的な硬化槽設計および動作条件について説明する。
垂直ボトムアップフロー槽(VBUF)と硬化プロセスの仕様
【0139】
前に説明し、図4に示したように、一つまたは複数のガス入口(140)を槽の側面に設けることができる。あるいは、硬化槽は、槽の底部または床に透過性部材を有する設計にすることで、加熱されたガス状反応物(例えば、CO2ガスを含む)がその底部から素地の集合体に入ることができ、加熱されたガス状反応物が素地の細孔を通って上方に浸透する。このような装置の非限定的な例を図8に示す。そこに示されるように、装置(200)には、床または底面(220)を含む槽(210)が含まれており、部分分解図で示される。透過性部材(230)は、槽(210)の床面または底面(220)に設けられる。透過性部材(230)は、任意の適切な材料から形成でき、任意の適切な形態をとることができる。一つの非限定的な例によれば、透過性部材(230)は、鋼格子の形態である。図8に示されるように、ガス状CO2などのガス状反応物、または空気もしくは別のガスとCO2の混合物が透過性部材(230)を通って導入され、図8の矢印で示されているように、プラットフォーム(180)を通り、素地の集合体(170)を通って上方に移動する。加熱されたガスが上方向に流れると、素地の集合体を透過している間にわずかに冷めることで、そこに温度勾配が生じ、化学反応ガスがより高温の領域(つまり、下部)からその温度勾配を貫いて上部の温度が低い領域に流れる。したがって、急速加熱モードが槽(210)内で達成可能である。槽(210)は、その頂部に一つまたは複数のガス出口(例えば、図4、(150))を含み得る。
【0140】
関係は、図5に模式的に示される。したがって、この実施形態によれば、硬化槽の内部容積(CV)対サンプル体積(SV)比(CV/SV)は、好ましくは、約1.05から約1.15である。この比率を最小化することにより、槽(210)内の環境条件の効率的な制御が可能である。
【0141】
さらなる任意選択の実施形態によれば、VBUF槽(210)はまた、複数の素地の集合体(170)およびそれらの任意選択のプラットフォーム(180)を収容できるように規模を大きくすることもできる。この任意選択の実施形態によれば、複数の素地の集合体(170)およびそれらの任意選択のプラットフォームは、好ましくは、CV/SV比を最小化するために間隔を狭めて密に配置される。例えば、かかる構成におけるCV/SP比は、前述の約1.05から約1.15の範囲内にある。
【0142】
追加の任意選択の実施形態によれば、図7に示される装置は、鋼格子などの大きな透過性部材(230)で槽(120)の床(145)を形成することでVBUFの概念を利用した変更が可能である。あるいは、床(145)は、その中に複数の離間した透過性部材(230)を配置するように変更できる。これらの変更は、図7に示す装置に、前述のガス状反応物を底部から垂直上向きに流す利点を追加し、素地の硬化を促進する。
【0143】
硬化体を製造するための追加的な任意選択の非限定的なVBUF硬化槽プロセス仕様には、以下の一つまたは複数が含まれてよい。
【0144】
(1)VBUF硬化槽への二酸化炭素流量:約1から約250リットル/分(LPM)、約10から約125LPM、または約50から約80LPM。
【0145】
(2)VBUF硬化槽のCO2ガス入口温度:約4℃から約250℃、約90℃から200℃、または約140℃から150℃(VBUFのガス入口温度は透過性部材(230)上に載っているプラットフォーム(180)/素地の集合体(170)の底面のガス温度を意味する。
【0146】
(3)VBUF槽の連続動作温度:約4℃から約200℃、約50℃から120℃、または約80℃から約98℃。
【0147】
(4)VBUF槽圧力:約0.05から約1.0水柱インチ、または約0.3から約0.7水柱インチ、または0.5水柱インチ。
【0148】
(5)VBUF槽が50℃に達するまでの時間:最長約20分、または約10分以下。
【0149】
(6)VBUF槽が75℃に達するまでの時間:最長約1時間、または約30分以下。
【0150】
(7)VBUF槽が90℃に達するまでの時間:最長約2時間、または約1時間以下。
【0151】
(8)VBUF槽の相対湿度(RH)が30から40%に達するまでの時間:最長約1時間、または約30分以下。
【0152】
(9)VBUF槽が10%RHに達するまでの時間:最長約90分、または約30分以下。
【0153】
(10)VBUF槽が5%RHに達するまでの時間:最長約2.5時間、または約1時間以下。
連続硬化垂直ボトムアップフロー(CC-VBUF)槽と硬化プロセスの仕様
【0154】
上記のVBUF槽設計のさらなる修正もまた、本発明において考慮される。そのような変更を施したVBUF装置(200')の一つを図9に示す。そこに示されているように、変更されたVBUF槽(210')は、変更された槽の床(220')および変更された透過性部材(230')を備える。特定の任意選択の態様によれば、耐荷重性の格子またはグリル(230')をその予備硬化素地(10)の保持面として備えた移動コンベアがCC-VBUF槽の底部を成す。コンベアの動きは、連続的でも断続的でもよい。予備硬化素地(10)は、格子/グリル(230')に単一の層として配置される。したがって、本明細書で既に記載した実施形態とは異なり、素地は、予備硬化プロセスにかけられた後、それらの支持体(40)から取り外されるが、単一構造としてさらに硬化するために任意の特定の構成に集合させたり、組み立てたりしない。むしろ、それらは、CC-VBUFでさらに硬化するために間隔の狭い単層の形態でコンベア(230')に配置される。CC-VBUF槽内の単層の予備硬化素地(10)からなる本構成により、CO2硬化を大幅に短い時間で完了できる。非限定的な例として、予備硬化素地(10)の硬化は、6時間以内に完了できる。CC-VBUF槽の好ましいCV対SV比は、VBUF槽のものと同様である(つまり、CV/SV=約1.05~約1.15)。
【0155】
硬化すべき予備硬化素地がCC-VBUF槽の片側から入り、コンベアが図9に示す水平矢印の方向に移動し、硬化体を槽の反対側まで運ぶ。次に、特定の任意選択の態様によれば、硬化体は、適切な装置によって収集され、出荷のために準備され得る。一つの非限定的な例によれば、硬化体は、パレタイザーによって収集され、積み重ねられて、立方体などの幾何学的構成を形成できる。幾何学的構成(170)は、輸送を容易にするために支持体(180)上に形成できる。
【0156】
化学反応ガス(例えば、CO2、または空気および/もしくは別のガスとCO2の混合物)が、図9に表示した垂直の矢印で示すように、VBUF槽の設計および動作と同じ原則で格子またはグリルの底部から導入される。コンベアベルト(230')が移動する速度を使用して合計硬化時間を決定でき、これにより、CC-VBUF槽(210')内の本体の合計滞留時間を決定できる。あるいは、コンベア(220')は、本体(10)を槽(210')内のある位置まで前進させ、所定の時間停止し、次に再始動して、本体(10)を槽(210')から退出させることができる。CC-VBUF槽(210')の両側にあるサンプルの入口と出口の位置近傍の短時間を除き、槽の容積の大部分で温度が均一に保たれる。CV/SV比を最小化(例えば、CV/SV=約1.05から約1.15)することで、槽(210')内の均一な温度および相対湿度分布の維持が容易になる。CC-VBUF槽(210')の二酸化炭素流量、温度、およびRHの仕様は、VBUF槽(210)について上記で指定されたものと同様または同じである。
【0157】
追加の任意選択の実施形態によれば、図7に示される装置は、槽(120)の床(145)を可動コンベア(220')として形成することで、上記のCC-VBUFの概念を利用して変更できる。言い換えれば、レール(135)およびホイール(155)は、透過性ベルト(230')を有する可動コンベア(220')で置き換えることができる。
この変更は、図7に示す装置に、上述のガス状反応物を底部から垂直上向きに流す利点を追加し、素地の硬化を促進する。
【0158】
特定の条件、槽の設計、または使用される技術に関係なく、主硬化段階の完了に続いて、硬化体は出荷準備されるか、または顧客に「出荷状態」となる。このプロセスのこの特定の段階は、硬化素地の製造に典型的な幅広い処置を網羅することを意図する。
例えば、硬化した物体を施設の特定の場所に移動するだけで、硬化体は完全に施設外のものになり、ここで顧客への輸送が成される。別の非限定的な例によれば、硬化体を回収して顧客に輸送するプロセスを開始する旨の通知が第三者に送信されてもよい。かかる通知は、このステップで理解されるままを意図する。「硬化体の集合体を顧客に出荷する」とは、硬化体の実際の出荷または輸送がこのステップに含まれることを意味するものではない。
【0159】
上記を考慮すれば、本発明の利点が複数達成され、その他の利点も獲得されることが分かるであろう。
【0160】
本発明の範囲から逸脱することなく上記の方法および組成物に様々な変更を加えることが可能であるため、上記の説明に含まれるすべての事項は、限定的な意味ではなく例示として解釈されるべきである。本発明は、現在述べられているそれらの依存関係とは関係なく、以下の特許請求の範囲の任意の可能な組み合わせを包含することが想定される。
【0161】
本明細書で使用される構成要素、成分、反応条件などの量を表す任意の数値は、本明細書で特定される厳密な数値を包含するものであり、すべての場合において「約」という用語によって変更されると解釈されるべきである。記載されている数値範囲およびパラメータに関し、本明細書に提示される主題の広範は概算であるが、記載されている数値は可能な限り正確に示されている。ただし、数値には、それぞれの測定手法で見られる標準偏差から明らかなように、ある程度のエラーまたは不正確さが本質的に含まれている場合がある。ここに記載されている特徴は、いずれも「手段」という用語が明示的に使用されていない限り、合衆国法典第35巻第112条第6項を呼び出すものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9