(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】物質の標的送達のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
A61F9/007 170
A61F9/007 130Z
(21)【出願番号】P 2021526400
(86)(22)【出願日】2019-07-18
(86)【国際出願番号】 US2019042481
(87)【国際公開番号】W WO2020018843
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-06-30
(32)【優先日】2018-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521027722
【氏名又は名称】サヌルス メディカル エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】ポラック ジョン エス.
(72)【発明者】
【氏名】ヴォス ウィリアム アール.
【審査官】白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/103818(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0165109(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体接着剤物質の気泡を組織表面に付与するための装置であって、
近位端部、遠位端部、及び前記近位端部と前記遠位端部との間に延在する中間部分を含むカニューレと、
前記カニューレの前記遠位端部にある遠位先端であって、前記遠位先端は、長手方向に延在する外面を有し、前記遠位先端は、膨張ガスの通過のための第1の直径の内腔を画定する内面を有する壁を有し、前記壁は、前記遠位先端の外面と前記壁の内面との間に厚さを有し、前記遠位先端は、前記内腔と流体連通している出口ポートを画定し、前記出口ポートは、前記内腔よりも小さい直径を有し、前記出口ポートは、リムによって周回され、前記リムは、前記遠位先端の外面から前記壁の内面に対して内側に延在し、前記リムは、前記遠位先端の最も遠位の表面を形成する平坦な周面を有し、前記平坦な周面は、前記平坦な周面の外径と内径との間に前記壁の厚さより大きい幅を有し、前記リムは、前記生体接着剤物質の層を前記平坦な周面上に支持するように構成されている遠位先端と、
前記生体接着剤物質を前記リムの面に導入するための生体接着経路と、
前記カニューレの少なくとも前記中間部分及び前記遠位端部を通って延在する膨張ガス通路であって、前記膨張ガス通路は、前記遠位先端の内腔と流体連通しており、前記出口ポートに至るまで前記カニューレの前記中間部分及び前記遠位端部の長さに沿って前記生体接着経路とは別個の前記膨張ガスのための通路を提供するように構成されている膨張ガス通路と、
前記膨張ガスの供給源と連結するように構成されたアクチュエータであって、前記アクチュエータの作動時に前記膨張ガスを前記膨張ガス通路及び前記遠位先端の内腔を通して選択的に前進させ、前記膨張ガスを前記生体接着剤物質の前記層に向けさせて、前記リムの面に前記生体接着剤物質の前記気泡を形成するように構成されており、前記生体接着剤物質の前記層が前記膨張ガスの体積を少なくとも部分的に取り囲むアクチュエータと
を含む装置。
【請求項2】
前記装置の近位端にハンドル部分を含み、前記ハンドル部分が少なくとも前記アクチュエータ及び前記膨張ガスの供給源を支持するように構成されている請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置が、前記膨張ガスを少なくとも部分的に封入する前記生体接着剤物質の球形のフィルムを含む気泡を形成するように構成されている請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記アクチュエータが、圧縮可能な袋であって、この袋内の前記膨張ガスの前記供給源から前記膨張ガス通路を通して前記膨張ガスを放出するように構成されている圧縮可能な袋を含む請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記アクチュエータが、圧縮可能な空気袋であって、この袋内の前記膨張ガスの前記供給源から前記膨張ガス通路を通して前記膨張ガスを放出するように構成されている圧縮可能な袋に沿って移動可能であるホイールを含む請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記生体接着経路が前記膨張ガス通路を取り囲む請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記生体接着経路が、近位端及び遠位端を含む細長い本体を含み、前記遠位端が、少なくとも1つの開口部を有する遠位先端を有し、前記細長い本体が、前記膨張ガス通路を通って前記カニューレの前記遠位端部の前記遠位先端まで前進可能である請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記生体接着経路が、前記カニューレの前記膨張ガス通路の少なくとも一部の内部にあるか、前記カニューレの前記膨張ガス通路の少なくとも一部によって取り囲まれている請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記装置の少なくとも前記遠位先端の温度を上昇させるように構成された焼灼構成要素をさらに含む請求項1に記載の装置。
【請求項10】
生体接着剤気泡を網膜に付与するための手持ち式装置であって、
第1の端部及び第2の端部を含む細長い本体であって、前記第1の端部はハンドルを含み、前記第2の端部は長手方向に延在する外面の壁を有するカニューレを有し、前記カニューレは、内腔を画定し、出口ポート及び前記カニューレの最も遠位の表面に平坦面を有するリムを有し、前記出口ポートは前記内腔よりも小さい直径を有し、前記平坦面は、前記平坦面に隣接する前記カニューレの壁の厚さよりも大きな距離だけ外面から内側に内腔に延在する細長い本体と、
液体の生体接着剤を含有するように構成されている生体接着リザーバと、
前記出口ポートと連通しており、前記出口ポートを通って膨張ガスを選択的に供給するように構成されている第1の通路と、
前記生体接着リザーバと連通しており、前記生体接着剤を前記生体接着リザーバから前記細長い本体の前記第2の端部へ選択的に供給するように構成されている第2の通路であって、前記第2の通路は、少なくとも前記カニューレの遠位端において前記出口ポートに至るまで前記第1の通路を完全に取り囲む第2の通路と
を含み、
前記第1の通路は、前記平坦面によって保持及び/又は維持された前記生体接着剤の層を通して前記膨張ガスの供給を導き、前記生体接着剤気泡を生成するように構成されており、
前記第1の通路は、前記膨張ガスが前記平坦面において前記生体接着剤を通して導かれるまで、前記膨張ガスの供給を前記生体接着剤と接触しないで維持するように構成されており、
前記平坦面は、前記膨張ガスが前記出口ポートを通って流れるのを止めたときに、前記生体接着剤気泡を前記第2の端部に維持するように構成されており、
前記第2の通路は、前記生体接着剤気泡が網膜に対してブラッシングされるとき、又は前記膨張ガスが前記出口ポートを通って再び流れるときに前記生体接着剤気泡を放出するように構成されている
手持ち式装置。
【請求項11】
前記細長い本体が接合部分をさらに含み、前記接合部分が、前記カニューレの近位部分と相互作用するように構成されている結合端部を含み、前記カニューレの前記近位部分が、前記細長い本体の前記結合端部と可逆的に相互作用するように構成されている請求項10に記載の手持ち式装置。
【請求項12】
生体接着剤物質の気泡を組織表面に付与するための装置であって、
近位端部、遠位端部、及び前記近位端部と前記遠位端部との間に長手方向軸に沿って延在する中間部分を含むカニューレと、
前記カニューレの前記遠位端部にある遠位先端であって、前記遠位先端は、長手方向に延在する外面を有し、前記遠位先端は、膨張ガスの通過のための第1の直径の内腔を画定する第1の厚さの壁を有し、前記遠位先端は、前記内腔と流体連通している出口ポートを画定し、前記出口ポートは、前記内腔の直径よりも小さい直径を有し、前記出口ポートは、前記第1の厚さよりも大きな寸法のリムによって周回されており、前記リムは、前記遠位先端の外面から内側に延在する周面を有し、前記周面は前記周面全体に沿って長手方向軸に対して鋭角に配向し、前記リムは、前記生体接着剤物質の層を周面上に支持するように構成されている遠位先端と、
前記生体接着剤物質を前記リムの面に導入するための生体接着経路と、
前記カニューレの少なくとも前記中間部分及び前記遠位端部を通って延在する膨張ガス通路であって、前記膨張ガス通路は、前記遠位先端の内腔と流体連通しており、前記カニューレの前記中間部分及び前記遠位端部の長さに沿って前記生体接着経路とは別個の前記膨張ガスのための通路を提供するように構成されている膨張ガス通路と、
前記膨張ガスの供給源と連結するように構成されたアクチュエータであって、前記アクチュエータの作動時に前記膨張ガスを前記膨張ガス通路及び前記遠位先端の内腔を通して選択的に前進させ、前記膨張ガスを前記生体接着剤物質の前記層に向けさせて、前記リムの面に前記生体接着剤物質の前記気泡を形成するように構成されており、前記生体接着剤物質の前記層が前記膨張ガスの体積を少なくとも部分的に取り囲むアクチュエータと
を含む装置。
【請求項13】
前記遠位先端が、前記カニューレの内面から内側に延びるデフレクタ要素を有する請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記リムが、前記遠位先端の最遠位部分を画定する請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記リムの前記周面が、前記カニューレの長手方向に対して垂直
ではない方向に傾斜し
ている請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記リムの前記周面が、傾斜している請求項1に記載の装置。
【請求項17】
生体接着剤物質の気泡を組織表面に付与するための装置であって、
近位端部、遠位端部、及び前記近位端部と前記遠位端部との間に長手方向軸に沿って延在する中間部分を含むカニューレと、
前記カニューレの前記遠位端部にある遠位先端であって、前記遠位先端は、第1の直径の内腔を画定する第1の厚さの壁を有し、前記遠位先端は、前記内腔と流体連通している出口ポートを画定し、前記出口ポートは、前記内腔の直径よりも小さい直径を有し、デフレクタが
半径方向内側に前記内腔
を延在し、前記遠位先端に配置される遠位面を有する遠位先端と、
前記生体接着剤物質を前記デフレクタの前記遠位面に導入するための生体接着経路と、
前記カニューレの少なくとも前記中間部分及び前記遠位先端を通って延在する膨張ガス通路であって、前記膨張ガス通路は、前記内腔と流体連通しており、前記カニューレの前記中間部分及び前記遠位先端の長さに沿って前記生体接着経路とは別個の前記膨張ガスのための通路を提供するように構成され、前記デフレクタ
が前記膨張ガス通路の遠位端のまわりで
前記生体接着剤物質の流れを半径方向内側に向
けている膨張ガス通路と、
前記膨張ガスの供給源と連結するように構成されたアクチュエータであって、前記アクチュエータの作動時に前記膨張ガスを前記膨張ガス通路及び前記内腔を通して選択的に前進させ、前記膨張ガス
を生体接着剤物質の層に向けさせて、前記デフレクタの面に前記生体接着剤物質の前記気泡を形成するように構成されており、前記生体接着剤物質
の層が前記膨張ガスの体積を少なくとも部分的に取り囲むアクチュエータと
を含む装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法§119(e)に基づいて、米国仮特許出願第62/700,768号(2018年7月19日出願)及び米国仮特許出願第62/796,338号(2019年1月24日出願)の優先権の利益を主張する。両方の仮出願の全体は、参照により、それらがあたかも本明細書に完全に示されているかのごとくに明示的に本明細書に援用される。
【0002】
技術分野
本明細書中に提供されるシステム、装置、キット及び方法は、治療物質の標的送達のための薄い膜の生成に関するものであり、この膜は気泡として形成され得る。
【背景技術】
【0003】
裂孔及び円孔等の網膜の不連続性に関連する黄斑円孔及び網膜剥離を固定するための既存の方法には、パーフルオロカーボン、レーザー、凍結療法、気泡注入、及びシリコーンオイルの使用が含まれる。網膜下腔からの流体の置換のためのパーフルオロカーボンの使用は、パーフルオロカーボン液体の網膜下腔への不注意な移動をもたらす可能性があり、これは、中心黄斑に位置する場合、視力喪失をもたらす可能性がある。硝子体腔からのパーフルオロカーボン液体の不完全な除去は、患者が不快と感じることがある関連する視覚現象を生じることがある。レーザー及び凍結療法の使用は、永久的な網膜瘢痕組織形成をもたらし、網膜上膜及び網膜上瘢痕組織形成の一因となる可能性がある。気泡注入を使用すると、患者の活動性に制限が生じ、眼圧上昇や白内障等の合併症を引き起こす可能性がある。同様に、シリコーンオイルは、時には眼圧の上昇などの合併症を引き起こし、除去のために第2の手術を必要とし、除去を試みた後に残留油泡を残すことが多く、患者が視覚的に気を散らすことがあるため、問題となり得る。
【0004】
切開、強膜切開、及び裂傷のような漏出眼壁不連続部を固定するための既存の方法には、縫合糸及び市販の生体接着剤が含まれる。縫合された不連続部が漏れ続けるときがある。縫合糸は眼の刺激、疼痛、断裂を引き起こし、ときに上強膜及び結膜の浮腫及び炎症を含む局所組織反応を引き起こす。
【0005】
いくつかの生体接着剤の難点の1つは、それらが有害性を誘発するかもしれないということである。別の難点は、生体接着剤が生体接着剤送達装置の先端を離れるにつれて生体接着剤にかかる重力の影響及び他の要因のために、患側の眼の表面に、眼の内側及び外側の両方に、生体接着剤を塗布することが困難であり得ることである。例えば、眼の外側面又は上面に位置する網膜裂孔を有する眼では、重力が、生体接着剤がアプリケータ装置から放出されるとすぐに生体接着剤の滴下又は垂れ下がりを引き起こし、網膜不連続部上への接着剤の正確な塗布を妨げることがあるので、重力は、網膜裂孔に生体接着剤を塗布することを困難にすることがある。同じ問題は、側方及び下外側の眼の表面に液体又は高粘性材料を塗布しようとする場合にも生じる。生体接着剤の別の問題は、網膜及び他の眼の表面の大きな不連続部、並びに不規則な形状の縁部(マージン)又は互いに異なる高さにある縁部を有する組織不連続部に塗布することが困難であり得ることである。網膜不連続部に生体接着剤を塗布する際の課題は、経強膜、網膜下アプローチを用いて試みる場合、さらに困難であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示される構成は、任意選択で、生体接着剤等の物質を物体の表面に付与(塗布)するための装置、システム、及び方法を含む。組織は、生物学的又は非生物学的(例えば、非生体)組織であってよく、医療用足場、パッチ、カバー、移植片、又は医療及び非医療用途で使用される他の物体を含み得る。物体は組織であることができ、そのため、本明細書に開示される装置及び方法は組織表面に物質を付与する。組織は、本明細書に開示される任意のタイプ又は用途の損傷組織であってよく、その例としては、網膜組織又は他の眼組織を含むがこれらに限定されない。本発明で使用される場合、構成要素、装置、システム、方法、又はそれらの任意の構成に関連して記載される任意の特徴、構成要素、又は他の詳細は、本明細書に開示される他の類似又は適切な構成要素、装置、システム、方法、及び配置のいずれにも適用されることを意味する。
【0007】
記載されるように、本明細書に開示される装置、システム、及び方法は、気泡、薄い膜、又は他の同様の形状若しくは構成として、物質(任意選択で、生体接着剤であり得る)を標的組織に付与するように構成される。本明細書に開示される装置及び方法のいずれかの適用のいくつかの非限定的な例は、生体接着剤等の生体物質を網膜裂孔、網膜円孔、網膜剥離等の眼組織に付与すること、強膜、結膜、及び角膜に生体接着剤を付与すること、胃腸組織、結腸組織などに生体接着剤などの生体物質を付与して、その中の穿孔又は裂孔、空気で満たされた眼腔又は空間を封止すること、又は他の方法を含む。しかしながら、本明細書に開示される装置及び方法の構成は、治療物質の送達、又は眼に関する医療若しくは生物学的応用に限定されない。本明細書に開示される装置及び方法のいずれも、任意の所望の用途 - 生物学的、非生物学的、機械的、又は他の用途 - における任意の所望の若しくは好適な物質又は材料の送達のために使用されてもよい。
【0008】
物質を組織に付与するための装置の任意の構成は、任意選択で、ハンドル部分と、近位端、遠位端、及びそれらの間に延在する中間領域を含む細長い本体と、遠位端における出口ポートと、この出口ポートと流体連通する少なくとも1つの流体通路(本明細書では第1の通路とも呼ばれる)とを含むことができる。この流体通路は、ハンドルから中間領域に向かって、又は遠位端を越えて延在することができる。細長い本体は、装置は、近位部分と、遠位先端と、それらの間に延在する本体部分とを有することができるチューブ部材又はカニューレも含むことができる。
【0009】
任意の構成において、当該システムは、システムの構成要素の全てが互いに接続されている(例えば、流体的に結合されている)単一装置を含むことができ、それから構成されることができ、又はそれからなることができる。加えて、任意の構成において、当該システムは、システムの1つ以上の構成要素が、システムの別の構成要素から取り外され得るか、取り外し可能であり得るか、又は他の構成要素とは完全に別個に提供され得る、非単一装置を含むことができ、それから構成されることができ、又はそれからなることができる。当該装置のいくつかの構成は、モジュール式の交換可能な構成要素であってもよい。
【0010】
当該システム及び/又は装置を作製するために、様々な材料を使用することができる。ハンドピース若しくはカニューレ、又はその構成要素は、プラスチック、金属、ポリ塩化ビニル、ガラス、アクリル系材料、炭素繊維、及び/又は木材を含むことができる。
【0011】
本明細書に開示される任意の構成における遠位先端及び/又は遠位先端の端面は、気泡物質を保持及び維持するように構成された平坦面を備える保持隆起部(保持突条部)、リップ、又はリムを有することができる。本明細書に開示される任意の装置の端面は、遠位先端の中心に向かって周方向に内向きに面するか、又はカニューレ出口ポート内に周方向に延在する内向き部材を有することができる。この内向き部材は、生体接着剤物質を保持し、生体接着剤気泡又は生体接着剤物質の球形のフィルムの形成を補助するように構成することができる。上記遠位先端は、複数の端面を有することができる。いくつかの構成において、遠位先端は、1つだけ(1つ以下)の端面を有することができる。遠位先端は、鈍くても丸くてもよく、又は鈍い若しくは丸い端部を有してもよい。
【0012】
任意の構成の遠位先端は、任意選択で、周縁部と、カニューレ出口ポートを横切って内側に延びる4つ以上、又は2~8つ、又は4~6つのフラップとを有することができる。このフラップの1つ以上は、傾斜した縁部を有することができる。フラップを製造するために様々な材料を使用することができ、その材料としてはゴム、シリコーン、プラスチック、又は弾性物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
当該システムのいくつかの構成は、当該装置内に物質供給チャネルをさらに備えるか、又はこの物質供給チャネルは、生体接着剤の気泡の生成を補助するために装置内に前進させることができる。この物質供給チャネルは、当該装置(本明細書ではハンドピースと呼ばれることもある)の膨張流体通路及び/又はカニューレの流体通路の内部又は外部にあってもよい。物質供給チャネルは、近位端と、物質供給先端及び/又は出口ポートを備える遠位端とを備える細長い本体を有することができる。物質供給チャネルは、カニューレ本体の膨張流体通路の少なくとも一部、及び/又はカニューレ基部若しくは先端の流体通路の内部にあることができるし、又はそれらによって囲まれていることが可能である。1つ以上のカニューレは、外壁、内壁、及び内壁と外壁との間の空間を有することができ、この内壁は、任意選択で、物質供給チャネルへの境界を提供することができ、内壁と外壁との間の上記空間は、当該装置の膨張流体通路、カニューレ本体の流体通路、又はカニューレ基部若しくは先端の流体通路を含む。物質供給先端は、物質供給チャネル本体及び物質供給出口ポートの長手方向軸と比較して傾斜した表面を有することができる。物質供給先端の端面は、物質供給チャネル本体の長手方向軸と比較して、1~15°、15~30°、30~45°、45~60°、60~75°、75~89°、91~105°、105~120°、120~135°、135~150°、150~165°又は165~179°の角度、又は前述の角度範囲の1つ以上を含む範囲の角度を有することができる。物質供給チャネルは、1つ、1~10個以上、若しくは4~8つ、又はそれらの間の任意の数、又はこれより多い物質供給先端出口ポートを有することができる物質供給先端を有することができる。物質供給チャネルは、カニューレの流体通路内に延在する近位端を有することができ、この気体は、気体がカニューレの流体通路を通って吹き込まれるときに、物質供給チャネルの周りを流れる。
【0014】
当該システムのいくつかの構成は、外壁部と内壁部とを接続する周方向又は非周方向の断続的な支持構造、例えば、2つ以上、4~8つ、若しくは6~10個以上、又はそれらの間の任意の数、又はこれより多い周方向及び/又は非周方向の断続的な支持構造をさらに備える。これらの支持構造は、当該システムの内側の管、チャンバ又は壁と、外側の管、チャンバ又は壁との間の接続を提供するために使用することができる。
【0015】
上記物質供給チャネルは、当該装置の膨張流体通路、カニューレ本体の流体通路、又はカニューレ基部若しくは先端の流体通路の少なくとも一部を囲むことができる。カニューレは、外壁及び内壁と、内壁と外壁との間の空間とを有することができ、内壁と外壁との間の空間は、物質供給チャネルを備えることができ、内壁は、ハンドピースの膨張流体通路、カニューレ本体の流体通路、又はカニューレ基部若しくは先端の流体通路を含む。
【0016】
物質供給チャネルは、当該装置の膨張流体通路、カニューレ本体の流体通路、及び/又はカニューレ基部若しくは先端の流体通路の中の管であることができる。物質供給チャネル管は、カニューレ内に延在することができ、当該装置の遠位先端まで前進可能とすることができる。物質供給チャネル管は、カニューレ出口ポートの近くに到達する遠位端を有することができる。
【0017】
物質供給チャネル、物質供給チャネルの細長い本体、物質供給先端、及び/又は物質供給出口ポートは、任意の好適なサイズを有することができる。物質供給チャネル、物質供給チャネルの細長い本体、物質供給先端、及び/又は物質供給出口ポートは、任意の好適な長さを有することができる。
【0018】
当該システムのいくつかの構成は、第2の物質供給チャネルをさらに備える。例えば、外壁と内壁とを接続する支持構造によって、複数の内部供給チャンバを分離することができる。物質供給チャネル及び第2の物質供給チャネルはそれぞれ、別個の物質、例えばポリエチレングリコール溶液及びトリリジンアミン溶液を提供するように構成することができる。物質供給チャネル及び第2の物質供給チャネルは、それぞれ別個の物質を有することができる。例えば、一方のチャンバは1つの生体接着剤物質を含んでもよく、他方のチャンバは活性化物質を含んでもよい。他の物質も、1つ以上のチャンバ内に提供されてもよい。例えば、1つの構成では、第1のチャンバは生体接着剤を収容し、第2のチャンバは硬化剤を収容し、第3のチャンバは薬剤(例えば、抗炎症剤、抗生物質等)を収容する。支柱又は支持構造が2つ以上のチャンバを分離することができるということが企図される。例えば、一連の不連続な支柱は、外壁を内壁に接続することによって、又は遠位先端の外壁を遠位先端内の流体通路又は物質供給チャネルの外壁に接続することによって、支持を提供することができる。
【0019】
当該システムの任意の構成は、物質ディスペンサを有することができる。この物質ディスペンサは、1つのウェル又は一連のウェルを有する基部を有することができる。この基部は、プラスチック、金属、又はガラスで作製することができる。ウェル又は一連のウェルはそれぞれ、生体接着剤物質等の物質を保持することができる。
【0020】
任意の適切な物質を使用することができる。上記生体接着剤物質は、必要に応じて、ReSureシーラント、ポリエチレングリコールヒドロゲル、ポリマーゲル、二重層ヒドロゲル、シアノアクリレート系材料、フィブリン糊、ポリエチレングリコール溶液、又はトリリジンアミン溶液を含むことができる。この生体接着剤物質は、樹脂を含むことができる。任意の構成において、物質の気泡又は膨張流体を封入する物質のほぼ球形のフィルムは、任意の好適な直径又はサイズを有することができる。直径は、前述の範囲のいずれかの範囲内で、その間で、又はその中で、変化、拡張、及び/又は減少することができる。
【0021】
いくつかの構成は、生体接着剤気泡を網膜に付与するための手持ち式装置であって、第1の端部及び第2の端部を含む細長い本体であって、第1の端部はハンドルを含み、第2の端部は出口ポートを含むカニューレを含む細長い本体と、第1の端部から第2の端部に向かって延在する少なくとも1つの膨張流体通路と、第2の端部の遠位先端であって、膨張流体通路を通って気体又は液体が流れるときに生体接着剤から生体接着剤気泡を生成し、気体が膨張流体通路を通って流れるのを停止したときに遠位先端上に気泡を維持し、気泡が網膜に擦れ合うとき又は気体が再び膨張流体通路を通って流れるとき、又はカニューレの先端部を加熱若しくは冷却するか若しくは気泡を遠位先端から離脱させるための第2の器具を使用することによって気泡を解放することができるときに、気泡を解放するように構成されている遠位先端とを備える手持ち式装置に関する。
【0022】
いくつかの構成は、生体接着剤気泡を網膜に付与するための手持ち式装置であって、気体又は液体が内部流体通路を通って流れるときに生体接着剤から生体接着剤気泡を生成し、気体が内部流体通路を通って流れるのを停止したときに遠位先端上に気泡を維持し、気泡が網膜に対して擦れ合うとき、又は気体が内部流体通路を通って再び流れるとき、又はカニューレの先端を加熱若しくは冷却するか若しくは気泡を遠位先端から離脱させるための第2の器具を使用するときに気泡を解放するように構成されている手持ち式装置に関する。
【0023】
いくつかの構成は、本明細書に記載されるシステム又は装置を含むキットに関する。当該キットのいくつかの構成は、第2のシステム又は装置をさらに含み、当該システム又は装置は、1回又は限られた回数の使用の後に、それぞれ使い捨てである。当該キットのいくつかの構成は、接着剤生体材料、物質ディスペンサ、及び/又は先端プラグ若しくは保護カバーをさらに備える。
【0024】
いくつかの構成は、眼又は網膜の修復などのために、生体接着剤気泡を眼若しくは網膜に付与するためのシステム、装置、又はキットの使用に関する。いくつかの構成は、網膜裂孔を修復する方法であって、システム、装置、又はキットを用いて、膨張流体を封入する生体接着剤物質のほぼ球形のフィルムを含む生体接着剤気泡を生成する工程と、そのシステム、装置、又はキットから眼又は網膜に生体接着剤気泡を付与する工程とを備える方法に関する。
【0025】
いくつかの構成は、網膜又は他の生物学的組織に生体接着剤気泡を付与するためのシステムに関する。当該システムは、ハンドピース及び/又はカニューレを有することができる。このハンドピースは、近位端、遠位端、及びそれらの間に延在する中間領域を備える細長い本体を有することができ、この中間領域の少なくとも近位部分は、ハンドルを有することができ、遠位端は、出口ポート、及び/又は出口ポートと流体連通し、中間領域に向かって近位側に延在する少なくとも1つの膨張流体通路を備える。カニューレは、カニューレ基部、遠位先端、及び/又はそれらの間に延在するカニューレ本体を含むことができる。カニューレ本体は、出口ポートと流体連通し、膨張流体通路及び出口ポートを通過した膨張流体を受け取るように構成された流体通路を含むことができ、遠位先端は、遠位先端の遠位端にカニューレ出口ポートを備える平坦な傾斜していない表面を有することができ、この表面は、膨張流体が膨張流体通路を通って遠位先端の遠位端のカニューレ出口ポートに流れ、ハンドピース又はカニューレ内に含まれる生体接着剤物質を通って流れるときに生成される生体接着剤気泡を支持し、それによって、膨張流体を封入する生体接着剤物質のほぼ球形のフィルムを生成するように構成されている。遠位先端に、又はカニューレ出口ポート内に、斜面は存在し得ない。
【0026】
第1の態様では、物質の気泡を組織表面に付与するための装置であって、当該装置は、近位端部、遠位端部、及びそれらの間に延在する中間部分を有するカニューレと、カニューレの遠位端部にあり、気泡支持表面及びこの気泡支持表面を通って延在する出口ポートを有する遠位先端と、カニューレの少なくとも中間部分及び遠位部分を通って延在する膨張流体通路であって、出口ポートと流体連通している膨張流体通路と、膨張流体の供給源と、この膨張流体の供給源と連結されたアクチュエータであって、このアクチュエータの作動時に膨張流体を膨張流体通路及び出口ポートを通って選択的に前進させるように構成されているアクチュエータとを備える装置である。操作可能な状態では、遠位先端は、物質の層が遠位ポートを完全に覆うように、気泡支持表面上に物質の層を支持するように構成することができる。加えて、当該装置が操作可能な状態にあるとき、この装置は、流体供給源から出口ポートを通る膨張流体の前進によって、物質の少なくとも1つの気泡が、遠位先端の気泡支持表面上の物質の層から形成されるように構成されてもよい。加えて、当該装置は、組織表面上の欠陥を治療するように、気泡の少なくとも一部を遠位先端から組織表面に移動させることができるように構成することができる。これは、本明細書中に開示される任意の構成において、カニューレ、遠位先端、アプリケータ部分、ループ、又は装置若しくは構成要素を、気泡、物質、ループ、アプリケータ部分等を組織表面及び/又は組織表面の欠陥を覆うように移動させることによって達成されることができ、その結果、物質は、組織表面及び/又は欠陥の周りに所望の量まで広がり、これは複数の工程で実施されることが可能である。
【0027】
物質の気泡を組織表面に付与するための上記装置は、任意に、以下の特徴のうちの1つ以上を任意の組み合わせで含むことができる:(a)上記物質は生体接着剤であってもよい;(b)気泡表面が、気泡を支持するように構成された保持隆起部、リップ及び/又はリムを備える;(c)気泡支持表面に形成された凹状の湾曲した窪みを有する;(d)当該装置は、気泡支持表面上に複数の気泡を支持するように構成することができる;(e)当該装置の近位端にハンドル部分を有し、このハンドル部分は、少なくともアクチュエータ及び膨張流体の供給源を支持するように構成されている;(f)当該装置は、出口ポートを通って前進した膨張流体を少なくとも部分的に封入する物質の球形のフィルムを含む気泡を形成するように構成することができる;(g)当該装置は、出口ポートを通って前進した膨張流体を部分的にのみ封入する物質の球形のフィルムを含む気泡を形成するように構成することができる;(h)上記アクチュエータは、圧縮可能な袋であって、この袋内の膨張流体の供給源から膨張流体通路及び出口ポートを通して膨張流体を放出するように構成された圧縮可能な袋を含む;(i)上記膨張流体アクチュエータは、圧縮可能な袋であって、この袋内の膨張流体の供給源から膨張流体通路及び出口ポートを通して膨張流体を放出するように構成された圧縮可能な袋に沿って移動可能であるローラホイールを含む;(j)膨張流体アクチュエータはシリンジを含む;(k)物質を装置の遠位先端に供給するように構成された物質供給チャネルをさらに有する;(l)上記物質供給チャネルは、物質供給源と流体連通することができる;(m)上記物質供給チャネルは、カニューレ内に一体化することができる;(n)上記物質供給チャネルは、近位端及び遠位端を有する細長い本体を含み、この遠位端は、少なくとも1つの開口部を有する遠位先端を有し、この細長い本体は、膨張流体通路を通ってカニューレの遠位端部の遠位先端まで前進可能である;(o)物質供給チャネルは、カニューレの膨張流体通路の少なくとも一部の内部にあってもよいし、又はそれによって囲まれていてもよい;(p)カニューレは、外壁、内壁、及び内壁と外壁との間の空間を含み、内壁は物質供給チャネルを有し、上記空間は当該装置の膨張流体通路を有する;(q)第2の物質供給チャネルをさらに有する;(r)物質供給チャネル及び第2の物質供給チャネルは、それぞれ、別個の生体接着剤物質及び/又は活性化剤を含む;(s)気泡支持表面は傾斜していてもよい;(t)物質ディスペンサをさらに有する;並びに、(u)当該装置の少なくとも遠位先端の温度を上昇させるように構成された焼灼構成要素をさらに有する。
【0028】
別の態様では、組織表面上の欠陥を治療するためのシステムであって、組織表面上の欠陥を治療するための物質の気泡を生成するための第1の装置を有し、この第1の装置は、近位端部と、遠位端部と、それらの間に延在する中間部分とを有する第1のスリーブと、第1のスリーブの遠位端部にある遠位先端であって、この遠位先端を通って延在する出口ポートを有する遠位先端と、第1のスリーブの少なくとも中間部分及び遠位部分を通って延在する流体通路であって、出口ポートと流体連通している流体通路と、物質の供給源とを有するシステム。
【0029】
組織表面上の欠陥を治療するための当該システムは、任意に、以下の特徴のうちの1つ以上を任意の組み合わせで含むことができる:(a)当該装置は、第1の装置が操作可能状態にあるときに、遠位先端の出口ポート上に物質の層を支持するように構成されている;(b)第1の装置が操作可能状態にあるときに、出口ポートに流体を通すことで、物質の少なくとも1つの気泡が、遠位先端の気泡支持表面上に物質の層から形成されるように第1の装置を構成することができ、この気泡は球形のフィルム表面を有する;(c)生体接着剤物質を網膜に付与するための第2の装置をさらに有し、この第2の装置は、第2のスリーブと、アプリケータとを有し、この第2のスリーブは、近位端、遠位端、及びこのスリーブの近位端から遠位端までこのスリーブの長さに沿って延在する通路を有し、上記アプリケータは、細長い本体、及び第2のスリーブの内部で移動可能な、上記細長い本体の遠位端に連結されたアプリケータ先端を有し、上記アプリケータ部分は、第2のスリーブの遠位端から出る際に、第1の折り畳まれた状態から第2の拡張状態へ自己拡張可能であることができ、上記アプリケータ先端は、第2の拡張状態においてより大きい幅を有する;(d)当該システムは、少なくとも1つの気泡が、第1の装置から第2の装置のアプリケータ先端に、及び第2の装置のアプリケータ先端から欠陥を有する組織表面に移動されることができるように構成することができる;並びに、(e)アプリケータ先端の表面上に取り外し可能に支持されたパッチをさらに有し、このパッチは、少なくとも1つの気泡が、第1の装置から第2の装置のアプリケータ先端によって支持されたパッチに移動されることができるように、かつパッチが、第2の装置のアプリケータ先端から欠陥を有する組織表面に移動されることができるように支持されている。
【0030】
別の態様では、網膜組織の欠陥を修復する方法であって、カニューレ及び遠位先端を有する物質供給装置を欠陥に向かって前進させる工程と、上記装置の遠位先端の出口ポート上に生体接着剤物質の層を提供し、生体接着剤物質の層が出口ポートを完全に覆うようにする工程と、出口ポート及び生体接着剤物質の層を通って膨張流体を前進させることによって、遠位先端の支持表面上に生体接着剤物質の気泡を形成する工程であって、この気泡は、遠位先端の支持表面に少なくとも部分的に付着することができ、遠位先端の支持表面から離れるように延在するほぼ球形のフィルムを有する工程と、網膜組織の欠陥を少なくとも部分的に覆うように、網膜組織に気泡を移動させる工程とを備える方法。
【0031】
網膜組織の欠陥を修復する当該方法は、任意に、以下の特徴のうちの1つ以上を任意の組み合わせで含むことができる:(a)生体接着剤物質の複数の気泡を欠陥及び/又は欠陥に隣接する網膜組織に移動させること;並びに、(b)網膜組織の欠陥を少なくとも部分的に覆うように、網膜組織に気泡を移動させることは、生体接着剤物質の少なくとも1つの気泡をパッチの第1の表面に移動させること、及び、生体接着剤物質を上に有するパッチの第1の表面が、少なくとも欠陥に隣接する網膜組織と接触することができるように、欠陥の上にパッチを配置することを含む。
【0032】
別の態様では、生体接着剤気泡を網膜に付与するための手持ち式装置であって、ハンドルを有する近位端と、遠位先端を有する遠位端と、近位端から遠位端までの内部空気流体通路とを有する手持ち式装置。生体接着剤気泡を網膜に付与するための当該手持ち式装置は、任意に、以下の特徴のうちの1つ以上を任意の組み合わせで含むことができる:(a)当該装置は、内部空気流体通路を通って気体が流れるときに生体接着剤気泡を生体接着剤から生成するように構成することができる;(b)当該装置は、内部空気流体通路を通って気体が流れるのを停止したときに遠位先端上に気泡を維持するように構成することができる;及び(c)当該装置は、少なくとも気泡が網膜の組織に接触するように前進され得るときに、網膜の組織に気泡を解放するように構成することができる。
【0033】
別の態様では、生体接着剤物質を網膜に付与するための手持ち式装置であって、第1の端部及び第2の端部、第2の端部にある出口ポート、並びに第1の端部から出口ポートまで延在する第1の通路を有する管状本体と、遠位端にループを有する細長い本体であって、ループが出口ポートから延出して網膜の組織表面と接触することができるように第1の通路内で前進及び後退可能である細長い本体と、ループに付与されるように構成された生体接着剤物質の供給源とを有し、当該装置は、生体接着剤物質をループに付与することができ、かつ網膜の組織表面をループ上にある生体接着剤物質と接触させることによって、生体接着剤物質をループから網膜の組織表面に移動させることができるように構成することができる手持ち式装置。
【0034】
別の態様では、上記の態様のいずれかのシステム、装置、又は方法の使用。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、物質を提供するための装置の非限定的な例の側面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示される装置の遠位部分の側面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示される装置の遠位部分の上面図である。
【
図4A】
図4Aは、遠位先端及び物質から形成された気泡の一例の側面図である。
【
図4B】
図4Bは、所望の治療位置に向かって前進している遠位先端及び気泡を示す。
【
図4C】
図4Cは、所望の治療位置における標的の組織又は表面の欠陥と接触するように押圧されている遠位先端及び気泡を示す。
【
図4D】
図4Dは、気泡が破裂又は消散し、所望の治療位置の欠陥の上に物質を堆積させた後に引き抜かれている遠位先端を示す。
【
図5】
図5は、物質供給チャネルの非限定的な例の遠位部分の断面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示される物質供給チャネルの遠位部分の上面図である。
【
図7】
図7は、物質供給チャネルの遠位部分の別の非限定的な例の上面図である。
【
図8】
図8は、物質を提供するための装置の別の非限定的な例の断面図である。
【
図9】
図9は、物質を提供するための装置の遠位部分の別の非限定的な例の断面図である。
【
図10】
図10は、物質を提供するための装置の遠位部分の別の非限定的な例の断面図であり、物質から形成された気泡を示す。
【
図11】
図11は、カニューレの非限定的な例の側面図である。
【
図13】
図13は、溝を有する遠位先端の内部の非限定的な例の断面図である。
【
図14】
図14は、溝を有する遠位先端の外部の非限定的な例の側面図である。
【
図15】
図15は、遠位先端の別の非限定的な例の断面図である。
【
図16A】
図16Aは、膨張流体を提供するための装置の非限定的な例の断面図であり、この装置は、ローラホイール及び圧縮可能な袋を含む。
【
図17】
図17は、圧縮可能な袋を含む膨張流体を提供するための装置の非限定的な例の断面図である。
【
図18】
図18は、圧縮可能な袋を含む膨張流体を提供するための装置の別の非限定的な例の上面図である。
【
図19】
図19は、可動スライダを含む膨張流体を提供するための装置の非限定的な例の上面図である。
【
図20】
図20は、可動スライダを含む膨張流体を提供するための装置の側面図である。
【
図21】
図21は、フラップを含む遠位先端の非限定的な例の側面図である。
【
図23】
図23は、物質を提供するための装置の非限定的な例の断面図である。
【
図24】
図24は、物質を提供するための装置の別の非限定的な例の断面図である。
【
図25A】
図25Aは、伸長位置にあるループを示す、物質を提供するための装置の別の非限定的な例の断面図である。
【
図26】
図26は、経強膜先端を有するシステム又は装置の非限定的な例の上面図である。
【
図27】
図27は、物質を提供するための装置の非限定的な例の遠位部分の断面図である。
【
図28】
図28は、物質を提供するための装置の別の非限定的な例の遠位部分の断面図である。
【
図29】
図29は、先端カバーの別の非限定的な例の遠位部分の側面図である。
【
図30】
図30は、光又は焼灼のための1つ以上のファイバ又はワイヤを伴うカニューレの非限定的な例の側面図である。
【
図31】
図31は、カニューレの非限定的な例の遠位部分の第1側面図である。
【
図33】
図33は、物質ディスペンサの構成の非限定的な例の上面図である。
【
図35】
図35は、カニューレの別の非限定的な例の遠位部分の断面図である。
【
図36】
図36は、カニューレの別の非限定的な例の断面図である。
【
図37】
図37は、カニューレの別の非限定的な例の断面図である。
【
図39】
図39は、気泡を伴う遠位先端の非限定的な例の側面図である。
【
図41】
図41は、遠位先端内に物質を伴う遠位先端の非限定的な例の側面図である。
【
図42】
図42は、本明細書に記載されるシステム又は装置の非限定的な例の端面図である。
【
図43】
図43は、アプリケータ装置及び物質提供装置を有するシステムの非限定的な例を示す。
【
図44】
図44は、アプリケータ装置の非限定的な例の上面図であり、開いた状態の装置のアプリケータ先端を示す。
【
図45】
図45は、
図44に示されるアプリケータ装置の端面図であり、閉じた状態の装置のアプリケータ先端を示す。
【
図46】
図46は、アプリケータ装置及び物質提供装置の非限定的な例の側面図であり、物質提供装置が、アプリケータ装置のアプリケータ先端によって支持されたパッチの表面に対して物質の気泡を堆積させることを示す。
【
図47】
図47は、アプリケータ装置及び物質提供装置を有するシステムの別の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の詳細な説明では、その説明の一部を形成する添付の図面を参照することができる。図面において、同様の符号は、文脈と矛盾しない限り、典型的には同様の構成要素を識別する。詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲に記載される例示的な構成は、限定することを意味しない。本明細書に提示される主題の趣旨又は範囲から逸脱しない範囲で、他の構成を利用することができ、他の変更を行うことができる。本明細書で全体的に説明され、図に示される本開示の態様は、広範な様々な異なる構成で配置され、置換され、組み合わされ、分離され、及び設計されることができ、そのすべてが本明細書で明示的に企図されることが容易に理解されるであろう。
【0037】
本明細書に開示される構成は、組織表面を含む表面に物質を付与(塗布)するための装置、システム、及び方法を含む。本明細書中に開示される任意の構成において、物質は、組織に付与され得る治療物質であることができる。任意の構成における組織は、眼組織であることができる。本明細書に開示される装置、システム、及び方法のいずれかと共に使用することができる物質の例には、接着剤、生体接着剤、ゲル、ヒドロゲル、濃厚液体又は半液体処理物質、二重層ヒドロゲル、非固体等が含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、物質という用語の任意の使用は、本開示のどこかで開示される物質の種類及び例のいずれかを含むことが意図される。
【0038】
本明細書に開示されるシステム、装置、及び方法の任意の構成は、生体組織への送達のための物質の薄い膜を生成するように構成されることができ、その例としては、網膜裂孔若しくは網膜の剥離等の眼組織、又は眼内、腹腔内、頭蓋内、表皮への生体接着剤送達を含むが、これらに限定されない。しかしながら、本明細書に開示される装置、システム、及び方法の構成は、眼、医療、又は生物学的用途への物質の送達に限定されない。本明細書に開示される装置、システム、及び方法は、任意の所望の又は好適な、生物学的、非生物学的、機械的アプリケーション等で、任意の所望の又は好適な送達のために使用することができる。
【0039】
いくつかの構成は、接着剤から気泡を生成すること、例えば、気泡を吹き付けることを含む。気泡は、網膜などの表面に付与することができる薄膜を含むことができ、この薄膜は、眼の後部に取り付けることも、又は眼の後部から取り外すこともできる。任意の構成において、気泡は、空気で満たされた眼において網膜の表面に付与されてもよいし、又は流体で満たされた眼において網膜の表面に付与されてもよい。このようにして生体接着剤を付与することの利点としては、接着剤が眼及び網膜に適合し付着する能力の向上、及び接着剤の乾燥、硬化、又は活性化の時間の短縮又は改善が挙げられる。
【0040】
本明細書に開示される装置及び方法の構成は、制御された様式での気泡(1個又は複数個)の生成を可能にするように構成され、その結果、送達装置からの気泡(1個又は複数個)の解放は、所望の時まで解放されないように制御することができる。加えて、本明細書に開示される装置及び方法は、任意選択で、装置の前の動作中に1つ以上の気泡の形成によってフィルムが除去され、消散された後に、気泡の再形成、又は気泡の新たな形成を可能にして、次の動作の準備をするように構成される。本明細書に開示される装置は、任意選択で、眼組織、口腔壁又は口蓋、鼻、膣、又は他の組織を含む任意の所望の組織との使用を可能にするように、水平、垂直方向、反転(逆位)等を含むがこれらに限定されない任意の配向で使用されるように構成されてもよい。
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「気泡」は、物質の完全な球形の膜又は本体、表面の球形若しくは湾曲した形状又はフィルムを意味することができ、これには、物質の半球形、単一の気泡、又は別々であるか若しくは泡沫等として一緒に接続されているかのいずれかである複数の気泡が含まれるが、これらに限定されない。本明細書における用語「気泡」の全ての使用は、本段落又は本明細書内の他の場所に記載される気泡のこれらの例のいずれか1つ又は全てを含むことを意味する。
【0042】
例えば、限定するものではないが、本明細書に開示される装置のいずれも、気泡を形成するように構成することができ、これは、当該装置が、物質の球形の膜又は本体、表面の球形若しくは湾曲した形状又はフィルムを形成するように構成することができることを意味し、気泡の例には、物質の部分的な球形若しくは半球形、物質の完全な球形、単一の気泡、又は別々であるか若しくは泡沫等として一緒に接続されているかのいずれかである複数の気泡が含まれるが、これらに限定されない。
【0043】
本明細書中に開示される任意の構成において、生体接着剤物質の気泡又はほぼ球形のフィルムは、約0.1mm~約15mm以上(少なくとも100mmまで)、又は約0.5mm~約5mm、又は約1mm~約3mm、又はこれらの範囲内の任意の値の範囲の直径を有してよい。
【0044】
いくつかの構成は、生体接着剤気泡を生成するための、及び/又は生体接着剤気泡を表面に付与するためのシステム及び/又は装置に関する。この表面は、網膜のような生物学的表面であることができる。当該システム又は装置は、任意選択で、ハンドル部分及び遠位ポートを有する細長い本体を含むことができる。この細長い本体は、近位端と、遠位端と、それらの間に延在する中間領域とを有することができる。細長い本体の少なくとも近位部分は、ハンドル部分を含むことができる。細長い本体の遠位端は、出口ポートを有することができる。任意の構成において、細長い本体は、以下により詳細に記載されるようなカニューレであってもよいが、この細長い本体は、少なくとも1つの膨張流体通路、又は任意選択で、部分的に又は完全に細長い本体を通って延在する複数(例えば、2つ、3つ、又は4つ以上)の膨張流体通路を含むことができる。この膨張流体通路(1又は複数)は、出口ポートと流体連通し、細長い本体の中間領域に向かって近位に延びることができる。
【0045】
任意の構成において、上記流体通路は、ガス又は他の膨張媒体であることができる流体を、当該装置の本体を通して出口ポートに向かって供給することを可能にするように構成することができる。流体通路は、出口ポートと流体連通することができる。任意の構成において、気体又は他の膨張媒体等の流体を流体通路を通して前進させて、物質に正圧を及ぼし、物質を膨張させるか、又は物質から湾曲し若しくは球形のフィルム又は1つ以上の気泡を形成させることができる。
【0046】
膨張媒体は、例えば、標的の組織又は組織領域に生体接着剤を付与する前に、物質(任意選択で、生体接着剤物質)のフィルム又は膜を膨張させるか、又は別の態様で拡張させることができる。いくつかの構成において、外科医は、膨張媒体(気体とすることができる)の供給源を起動させ、膨張通路を通して膨張流体を供給することができる。膨張流体は、装置を通過し、装置の遠位端の開口部を通って物質を通って出て、気泡を生成し、及び/又は物質のフィルムを所望の表面上に広げることができる。
【0047】
図1は、物質(例えば、生体接着剤を含むが、これに限定されない)を標的組織に提供するために使用することができる付与装置100の非限定的な例を示す。装置100は、膨張流体供給源104を含むハンドル102を含むことができ、この膨張流体供給源104は、任意に空気袋を含むことができ、この空気袋は本体部材106と連結することができ、本体部材106は、それを貫いて延びる流体通路107を有する。他の膨張流体供給源、例えば、空気袋以外の空気/ガス供給ライン、又は本明細書に開示されたか業界で使用されているか又は現在若しくは後に開発される他のタイプの膨張流体供給源等の他の膨張流体供給源を使用することができることを理解されたい。
【0048】
膨張流体供給源104は、気泡を生成するために使用することができる膨張流体105で満たすことができる。膨張流体供給源104は、流体通路107と流体連通することができ、その結果、この膨張流体は、流体通路107を通って膨張流体供給源104から選択的に放出又は連通することができる。本体部材106は、任意選択で、可撓性、剛性、半剛性、又は他の適切な材料又は構成要素から形成することができる。
【0049】
本明細書に開示される任意の構成において、膨張流体は、空気、六フッ化硫黄(SF6)、パーフルオロプロパン(C3F8)、及び/若しくは窒素若しくは他の不活性ガス、又はそれらの任意の組み合わせなどの気体を含むことができる。膨張流体は、水などの液体、パーフルオロ-n-オクタンなどの重質液体、緩衝液、溶媒及び/又はシリコーンオイルなどの油を含むことができる。膨張流体は、生体接着剤物質の気泡に入り、かつ/又は気泡を満たし、かつ/又は膨張流体が気泡に入り、かつ/又は気泡を満たすにつれて、気泡を膨張させる。この膨張流体は、5~50%、10~15%、10~20%、10~30%、5~25%、5~15%、15~25%、15~20%、20~25%、20%、約20%、12%、約12%、14%、約14%、12~14%、又は11~15%のSF6を含むことができる。この膨張流体は、5~50%、10~15%、10~20%、10~30%、5~25%、5~15%、15~25%、15~20%、20~25%、20%、約20%、12%、約12%、14%、約14%、12~14%、又は11~15%のC3F8を含むことができる。例えば、この膨張流体は、20%のSF6、12%のC3F8、及び68%の空気を含んでもよいし、又は膨張流体は、20%のSF6、14%のC3F8、及び66%の空気を含んでもよい。膨張流体は、水等の液体、パーフルオロ-n-オクタンなどの重質の溶媒若しくは液体、油、又は油-水混合物も含むことができる。
【0050】
コネクタ110が、本体部材106の端部に連結されて、カニューレであってもよいし又はカニューレを含んでもよい末端部品114の選択的な接続及び接続解除を可能にしてもよい。コネクタ110は、カニューレ114の近位端部118と可逆的に連結するように構成される、任意選択的にねじ切りされていてもよいコネクタ部116を含むことができる。任意の構成において、コネクタ部分116はねじ切りされてカニューレ114の近位部分118とねじ係合するように構成されることが可能な開口部120又はその中を通る通路を有することができる。いくつかの構成において、開口部120は、カニューレ114の近位部分118上の雄ねじと係合するように配置された雌ねじを有することができる。任意選択で、コネクタ110は、カニューレ114の近位部分118の内側の雌ねじと係合するように構成された雄ねじをその上に有することができる。
【0051】
コネクタ110は、任意選択で、カニューレ114と可逆的に接続するように構成されたルアーロックコネクタを備えることができる。カニューレ114は、カニューレ114の長さに沿って、概ね均一又は一貫した断面サイズを有することができる。いくつかの構成において、図示されるように、カニューレ114の近位部分は、カニューレ114の中間部分及び遠位部分と比較して、増大した断面サイズ又は直径を有することができる。カニューレ114は、コネクタ110内の開口部又は通路120及び本体部材106を通る通路107と流体連通することができる、カニューレ114を貫く通路122を有することができる。カニューレ114は、カニューレ114を通って延びる通路122と流体連通する貫通する開口132を有する端部130(本明細書では遠位先端とも呼ばれる)を有することができる。
【0052】
加えて、装置100は、通路107の長さに沿った任意の位置に、一方向弁又は他の流量制限器等の1つ以上の弁140を任意選択で有することができる。弁140は、通路107又は膨張流体供給源104内の膨張流体105の漏れ出し又は不注意な排出を防止することができ、かつ/又は供給源104への逆流を防止するように構成することができる。1つ以上のこのような弁が、カニューレ114にも配置されてよい。
【0053】
なお、
図1及び他のいくつかの図に示される構成要素は、一定の縮尺で描かれていない。例えば、他の構成において、カニューレ114は、
図1に示されるものよりも長くても短くてもよく、又は
図1に示される例と比較してより大きいか若しくはより小さい断面サイズを有してもよい。
【0054】
任意の構成において、コネクタ110は、様々な異なるカニューレ114のいずれかと係合するように構成されることが可能である。様々な異なるカニューレ114は、様々な異なる断面サイズ及び/又は形状、様々な異なる長さ、並びに様々な他の異なる特徴及び特性を有することができる。
図1に示される装置100を参照すると、カニューレ114の遠位先端130は、コネクタ110及び本体部材106を含む他の構成要素のうちの1つ以上に対して、
図1に示されるようなものよりも小さくても大きくてもよい。
【0055】
カニューレ114は、近位部分又は基部118と、遠位先端130と、それらの間に延在する本体119とを含むことができる。説明したように、カニューレ114は、カニューレ本体を通って延びる膨張流体通路122を有することができる。流体通路122は、出口ポート130と流体連通するように、及び膨張流体通路122及び出口ポート132を介して膨張流体105を伝える(連通する)ように構成することができる。
【0056】
膨張流体が、カニューレ114の遠位先端130内又はその上に位置する物質を通って流れるとき、膨張流体を部分的に若しくは完全に包み込む又は封入する物質の気泡又は湾曲したフィルム又は膜を生成することができる。いくつかの構成において、物質の湾曲フィルム又は膜は、膨張流体を完全に包み込むことができ、球形を有することができる。カニューレ114の遠位先端130の表面(複数可)(角度をなすか又は傾斜していることが可能であるが、そうである必要はない)は、物質(気泡の形態であってもよい)が、カニューレ114から除かれ、標的組織(例えば、網膜裂孔)上に高精度でかつさらなる組織外傷のリスクを低減して堆積されることを可能にする。加えて、装置100を含む本明細書に開示される装置のいずれも、気体が膨張流体通路を通って流れるのを停止したときに、遠位先端上に気泡を維持するように、及び/又は気泡が網膜に対して擦れ合い(ブラッシングされ)得るときに、若しくは気体が膨張流体通路を通って再び流れるときに、気泡を解放するように構成されることが可能である。
【0057】
遠位先端は、物質のフィルム、続いて物質の気泡を生成するための物質を支持するように構成された少なくとも1つの表面(本明細書では支持面又は端面と呼ばれる)131を有することができる。端面(いくつかの構成においては複数個の場合もある)131は、任意選択で、カニューレ本体及び/又は少なくとも1つのカニューレ出口ポートの長手方向軸に対して傾斜していることができる。少なくとも1つの端面131は、物質(本明細書に開示される任意の実施形態において生体接着剤であることができる)のフィルムを支持するように構成されることができる。物質のフィルムは、流体通路122を通って前進する流体によって操作されて、第1の形状又は構成から、球形若しくは湾曲した形状を有するか、若しくは物質の1つ以上の気泡の形態である第2の形状又は構成に変化することができる。例えば、いくつかの構成において、膨張流体が、流体通路122を通って少なくとも1つのカニューレ出口ポート132に、及び/又はハンドピース又はカニューレ内に含まれる物質を通って選択的に前進させられ、それによって、物質のほぼ球形又は湾曲したフィルムを生成するときに、フィルムの第2の状態を形成することができる。第2の状態において物質が気泡の形態である構成では、気泡は、膨張流体の体積の周囲を完全に取り囲むことができる。
【0058】
端面131は、
図2に示すように、ほぼ平面状であってもよい。例えば、
図2は、平坦な傾斜した気泡ポートを備える遠位先端130の側面図を示し、
図3は、その上面図を示す。図示された遠位先端は、物質保持リム133も有することができる。出口ポート132は、端面131と同じ平面上にあってもよく、カニューレ114を通って延びる長手方向軸に対して約30°、又は約40°、又は約30°以下から約45°以上の角度にあってもよい。
図2及び
図3に示すように、カニューレ出口ポート132のリム全体は、端面131とほぼ同じ平面内にあることができる。端面131の物質保持リム133は、気泡が形成され、拡大し、物質保持リム133上に着座するときに、気泡を支持するように構成することができる。物質保持リム133は、当該装置が標的組織表面又は目に向かって操縦されているときに、物質が遠位先端130から外れないようにするように構成することができる。
【0059】
図4Aは、当該装置の遠位先端130上の膨張流体105で満たされた物質150を含む気泡146の形成の例を示す。物質150は、遠位先端130のリム上に示されている。気泡は、膨張流体105を、物質150のフィルム又は層によって覆われた当該装置の遠位開口部132に通すことによって形成された。膨張流体105が遠位開口部132を通って前進し続けると、フィルム又は層は伸張して球形又は気泡状の形状に移動することができ、
図4Aに示すように、気泡146を形成するために使用されるより多くの物質150が気泡に引き込まれるか、又は気泡が拡大するにつれて既存の物質が伸張する。気泡146は、膨張流体105がカニューレ114の通路122を通り遠位ポート132を通って前進するにつれて形成される。膨張流体105は、気泡146内の内部空間を満たす。
【0060】
気泡146が所望のサイズ若しくは肉厚に形成又は拡大された状態で、外科医又は使用者は、次いで、
図4Bに示されるように、気泡を有する装置の遠位先端130を所望の治療位置に前進させることができる。当該装置の遠位先端130は、
図4Bに示されるように、物質を含む気泡146を、制御された様式で、組織又は物体表面153の欠陥151に向かって前進させるために使用することができる。その後、気泡146は、遠位先端130をさらに欠陥に向かって前進させることによって、物体の欠陥151(これは網膜欠陥であってよい)又は表面153とさらに接触するように押圧されて、気泡を伸長させ、欠陥151及び標的表面153上に物質を広げてもよい。
【0061】
その後、気泡146、従って物質150は、複数の異なる方法で遠位先端から解放することができる。例えば、標的の組織表面及び/若しくは欠陥に向かって、若しくは標的の組織表面及び/若しくは欠陥に対して遠位先端130を前進させ続けること、又は気泡を拡大させ続けることによって、気泡を標的組織表面に対して破裂させることができる。気泡を形成するために使用された物質の少なくとも一部、又は大部分若しくは実質的に全てが欠陥上に、又は標的組織表面に対して堆積され得るように、遠位先端は、遠位先端に対して物質を反発させるか又は物質の表面張力を低減するように構成された疎水性材料又は他の材料から作製されることができる。加えて、
図43を参照して以下に記載されるように、アプリケータ装置1002は、遠位先端から気泡を除去するために、及び/又は欠陥若しくは標的表面に対して気泡を付与若しくは破裂させるために使用することができる。さらに、いくつかの構成において、標的表面に対する遠位先端の移動は、気泡にせん断力を及ぼすことができ、これは、気泡を破裂させるか、又は消散させ、標的表面に対して堆積させることができる。いくつかの構成において、針又は他の穿刺要素(その両方は、任意選択で、鈍い若しくは鋭い端面を有することができる)又は他の適切な穿刺器具を、遠位先端を通して、又は遠位先端から離れて気泡に向かって前進させ、気泡を標的組織表面に対して破裂させることができる。さらに、遠位先端からの気泡の解放を容易にするように構成された本明細書に記載される他の装置又は構成要素のいずれも、遠位先端からの気泡の解放を容易にするために使用することができる。
【0062】
任意選択的に、当該装置の遠位先端130は、気泡が欠陥又は標的表面に対してのみ膨張することができるように、気泡が完全に、又は部分的に、又は実質的に膨張する前に欠陥又は標的位置に近接して移動させることができる。その後、
図4Dに示されるように、遠位先端130は、標的位置から後退させるか又は引き抜かれることが可能であり、欠陥151を覆うように標的表面153に対して堆積された物質150を残す。
【0063】
本明細書に開示される装置又は方法の任意の構成は、液体リザーバ又はチャンバを、そのリザーバからの液体をフィルム保持部材(可撓性ループなどのリング若しくはループ)又はカニューレの遠位端に付与して、その上にフィルムを形成するための手段と共に含むことができ、それによって、当該装置を作動させ、かつ/又は網膜に触れてフィルムを除去する度に、新しいフィルムを提供するための追加の液体を、リングを後退させることによって、装置を次の使用のために準備させるために、そのリングに付与することができる。
【0064】
任意の構成において、物質は、当該装置に取り外し可能に取り付けることができるか、当該装置に一体化することができるか、若しくは別の態様にあることができるカートリッジ、吸収性材料、又はチャンバの形態とすることができるリザーバから、提供することができるし、又は膨張流体通路等の当該装置の内部通路内に前進させることができる。当該装置は、任意選択で、上記カートリッジ又はチャンバが空になったときに、それらが二重構成の満杯のカートリッジ、吸収性材料、又はチャンバと容易に交換されてもよいように構成することができる。
【0065】
本明細書に開示される任意の構成は、ハンドル部分及び/若しくはカニューレ内に物質供給内腔若しくはチャンバを有するように、又はハンドル及び/若しくはカニューレ(カニューレ114等であるがこれに限定されない)内で前進可能に配置することができる。物質供給チャネルは、物質をカニューレ114等のカニューレの遠位先端に前進させるように構成することができる。いくつかの構成において、
図5及び
図6に示されるように、物質供給チャネルは、カニューレの膨張流体通路を通ってカニューレの遠位先端まで遠位側に前進させることができる別個の細長い本体部分を有することができ、その結果、物質は、物質供給チャネルの端部からカニューレの遠位先端の開口部上に排出されて、気泡要素の形成のために遠位先端上にある物質を提供及び/又は補充することができる。任意選択で、物質供給チャネルは、必要に応じて、カニューレの膨張流体通路内で前進及び後退可能であってもよい。いくつかの構成において、
図7に示されるように、物質の安定供給をするための別個の装置を必要とせずに物質の安定供給が遠位先端に提供され得るように、1つ又は複数の物質供給チャネルが、カニューレの壁部分に形成されてもよい。
【0066】
図5及び
図6を参照すると、いくつかの構成において、物質供給チャネル又は管158は、カニューレの膨張流体通路(
図5には図示せず)内で前進可能であることができる別個の細長い本体160を有することができる。細長い本体160は、遠位開口部又は遠位ポート163と流体連通することができる、細長い本体160の長さを通って延びる通路162を有することができる。遠位ポート163は、供給チャネル158の遠位端164を通って延びることができる。それゆえ、本体部分160は、供給チャネル158がともに機能するように構成されるカニューレの膨張流体通路を通って制限なしに前進可能であるようなサイズ及び構成にすることができる。例えば、供給チャネル158の細長い本体160は、カニューレの膨張流体通路の内径よりも約20%小さくてもよく、又はカニューレの膨張流体通路の内径よりも約2%~約20%以上、又は約5%~約10%小さくてもよい。供給チャネル158の遠位端164は、膨張流体通路の内面及びカニューレの内部の内面の端部分の形状及び角度にほぼ一致する形状及び角度と、膨張流体通路よりもわずかに小さいサイズとを有することができる。
【0067】
供給チャネル158は、遠位端164が内部通路の端部に隣接又は接触するように、気泡発生装置のカニューレの内部の膨張流体通路内を遠位方向に前進することができる。その後、物質は、1つ以上の開口部163を通って前進し、気泡発生装置の遠位ポートにわたってフィルムを生成することができる。このようにして、物質を遠位ポートにわたって広げることができる。供給チャネル158は、本明細書に開示される任意のカニューレ又は装置の先端を上記物質で満たすために、この様式で使用することができる。端面は、(
図7に示されるように)複数の物質送達孔、又は
図5及び
図6に示されるような単一の孔163を有してもよい。各穴は、例えば、そして以下に限定されるわけではないが、物質供給チャネルの先端の端面163の50%を超えて占めるほどに大きくてもよく、又は、例えば、そして以下に限定されるわけではないが、物質供給チャネルの傾斜した先端の端面164の5~25%又は50%未満を占めるほどに小さくてもよい。いくつかの構成は、供給チャネルの遠位端に5つ以上の孔、又は4~約10個以上の穴を有することができる。
【0068】
システム、装置、カニューレ、又は遠位先端のいくつかの構成は、物質保持リム133及び物質供給チャネル158の下に空間を備える。この空間は、生体接着剤物質が物質供給チャネル158から合体することを可能にするように構成することができる。
【0069】
上述のように、また
図7に示すように、本明細書に開示される供給チャネルの任意の構成は、遠位端部に任意の所望の数の開口部163を備える物質供給先端を含むことができ、これには、1つの開口部、2つの開口部、3つの開口部、4つの開口部、5つの開口部、6つの開口部、7つの開口部、又は20個以下若しくはこれより多い開口部、又は5つから10個の間の開口部、又は前述の値のいずれかの間の任意の数の開口部が含まれる。上述のように、物質供給チャネルは、カニューレの流体通路内に延在する近位端を含むことができる。物質供給チャネルは、膨張流体がカニューレの流体通路を通って吹き込まれるときに、膨張流体が物質供給チャネルの外面の周りを流れることができるような大きさにすることができる。
【0070】
いくつかの構成において、カニューレは、任意選択で、外壁、内壁、及び内壁と外壁との間の空間を含むことができ、内壁は、物質供給チャネルを含み、上記空間は、ハンドピースの膨張流体通路、カニューレ本体の流体通路、又はカニューレの基部若しくは先端の流体通路を含む。上記物質は、必要に応じて、最内腔を通って、又は内壁の内側に前進することができる。物質供給先端は、本明細書に開示されている他の傾斜した先端の細部のいずれかに応じて、又は他に応じて、物質供給チャネル本体及び物質供給出口ポートの長手方向軸と比較して傾斜していることが可能な表面を含むことができる。
【0071】
内部物質供給通路172を有するカニューレ170の別の例を
図8に示す。カニューレ170は、任意選択で、カニューレと一体的に形成することができ、近位に位置する物質の供給源又は物質リザーバから遠位先端178内の開口176への物質の物質の通過又は前進を可能にするように構成されたカニューレ170を通って延在する、複数の物質供給通路172を有することができる。
図8の物質供給通路172を通る矢印は、外科医又は使用者が物質供給通路172を通って物質を前進させるときの物質供給通路172を通る物質の流れの方向を示す。物質供給通路172は、遠位先端178の開口部176を取り囲むマニホルド(多岐管)180と任意に連通することができる。マニホルド180は、膨張流体がカニューレ170の膨張流体通路184を通って前進するとき物質のフィルム又は膜から気泡186を形成することができるように、物質が通路172を通って前進するとき、遠位先端178の開口180にわたる物質のフィルム又は膜を生成するようなサイズ及び構成にすることができる。マニホルド180は、物質のフィルムの形成を容易にするように構成することができる、一連の半径方向内側に突出する開口部、開環、開口部又はジェットを有することができる。カニューレ170は、単一の部品として、又は一緒に連結された複数の部品から形成することができる。開口部176は、膨張流体が物質を通過するときの気泡の一貫した形成、及び/又は通路172を通って供給される物質の膜の一貫した形成を確実にするようなサイズ及び構成にすることができる。
【0072】
上述のように、本明細書に開示される装置の任意の構成は、物質供給チャネルがハンドピースの膨張流体通路、カニューレ本体の流体通路、及び/又はカニューレ基部若しくは先端の流体通路の少なくとも一部を取り囲むように構成することができる。
図9に示すように、例えば、装置200は、細長い本体部分202を有することができ、細長い本体部分202は、それを通って延びる膨張流体通路204を有することができる。膨張流体通路204は、物質を装置200の遠位先端210に前進させるために使用することができる物質供給チャネル又は内腔206によって部分的に又は完全に取り囲まれることができる。内腔206は、単一の環状内腔であってもよいし、又は内腔206の近位の端部又は部分及び遠位の端部又は部分において全て連通する1つ又は複数の開口部を含むことができる。いくつかの構成において、デフレクタ(導流板)(1又は複数)212が、内腔206の遠位端に配置されることができ、そして物質の流れを、装置200の遠位端にある開口部216に向かって半径方向内側に向けるように構成されることができる。デフレクタは、任意選択で環状形状を有することができる。デフレクタは、約90°未満の角度で内向きに傾斜させることができるし、又は傾斜面を有して、開口部216に向かう物質のより効率的な流路を提供することができる。
【0073】
装置200は、任意選択で、連続(360°)周方向デフレクタ部材212又は複数の離散的なデフレクタ部材を含むことができる。デフレクタ部材は、カニューレの先端上での気泡のより長い保持を可能にするように構成することができる。この構成は、流体が膨張流体(本明細書に開示される任意の構成においては、空気、滅菌空気、又は別の不活性ガス、又は本明細書に記載される他の流体であってよい)の周りを流れて、カニューレ出口ポート216において物質のフィルムを形成することを可能にする。フィルムが形成された後、膨張流体をフィルムに対して前進させて、気泡を形成させることができる。
図10は、気泡が物質供給チャネル又は内腔206を通って前進する物質のフィルムから形成されることを示す。気泡は、フレア状開口部によって支持されてもよい。
【0074】
他の構成において、物質供給チャネルは、ハンドピースの膨張流体通路362、カニューレ本体の流体通路、又はカニューレ基部若しくは先端の流体通路内で前進させることができる管又はカニューレを含むことができる。物質供給チャネル管は、カニューレ出口ポートに向かって遠位先端と接触するように、又は遠位先端内で前進させることができる。物質供給チャネル管は、カニューレ出口ポートの近くに到達する遠位端を有することができる。
【0075】
本明細書に開示されるシステム及び/又は装置の任意の構成は、第2の物質供給チャネルをさらに有することができる。上記物質供給チャネル及び第2の物質供給チャネルは、それぞれ、別個の生体接着剤物質、例えば、ポリエチレングリコール溶液及びトリリジンアミン溶液、ヒドロゲル、二重層ヒドロゲル、又はポリマーヒドロゲルを含むことができる。
【0076】
少なくとも1つの端面は、生体接着剤気泡を支持するように構成することができる。端面、保持隆起部、リップ、又はリムは、生体接着剤気泡を保持及び/又は維持するように構成された平坦面を含むことができる。遠位先端及び/又は遠位先端の端面は、生体接着剤気泡を保持及び維持するように構成された平坦面を備える保持隆起部、リップ、又はリムを含むことができる。
【0077】
遠位先端の端面は、直角をなす端部(いずれかの方向)に対して1~15°、15~30°、30~45°、45~60°、60~75°の角度、又はカニューレ本体及び/若しくは少なくとも1つのカニューレ出口ポートの長手方向軸と比較して、前述の角度範囲のうちの2つ以上を含む範囲の角度を有することができる。端面の角度は、気泡が脱落するのを防ぐことができるように、生体接着剤気泡の保持を強化するように構成することができる。
【0078】
いくつかの構成の遠位先端は、斜面を有さないように構成することができる。例えば、遠位先端は、カニューレ本体の長手方向軸に対して90°でカニューレ出口ポートを有する平坦又は直角をなすの表面を備えてもよく、又は遠位先端は、平坦な表面を有さずに丸く及び/又は鈍くてもよい。
【0079】
遠位先端及び/又は遠位先端の端面の任意の構成は、気泡を保持又は支持するための保持隆起部、リップ、又はリムを含むことができる。加えて、遠位先端(遠位先端130若しくは本明細書に開示される任意の他の遠位先端など)及びその保持隆起部、リップ、若しくはリムのサイズ、角度、並びに/又は形状は、用途、及び物質の粘度を含むがこれに限定されない、物質に関連する他の要因に基づくことができる。例えば、物質保持リム133は、非粘性物質に対する(例えば、2.5mm)よりも粘性物質に対する方が薄くてもよい(例えば、1mm)。他の構成において、物質保持リム133は、粘度がより低い物質に対して構成される場合には、粘度がより高い物質に対する構成よりも厚くすることができる。ポート132の断面形状は、任意選択で、円形、正方形、楕円形、長方形、三角形、五角形、六角形、星形、又は他の形状とすることができる。形状は、生体接着剤物質の粘度、及び形成される所望の気泡(1若しくは複数)若しくは泡沫のサイズ又は他のパラメータに基づいて選択することができる。
【0080】
端面131は、平坦であっても、湾曲していても、又は他の態様であってもよく、開口部132に向かって傾斜する窪み((凹部))をその中に形成することができる。窪みは、内向きに曲がっていてもよく、平坦な断面輪郭を有することができ、又は湾曲していることができる。本明細書に開示される任意の構成は、物質の複数の気泡の同時形成を可能にするために、又は物質の泡沫状構造を形成するために、遠位端部に形成された複数の開口部132を有することができる。任意の構成は、2つ以上の開口部、又は2~約20個以上の開口部、又は4~12個の開口部、又はこれらの範囲内の任意の値から値の範囲の開口部を有することができる。
【0081】
図11及び
図12は、カニューレ250の別の構成を示す。カニューレ250の遠位先端254の端面252は、任意選択で、円形、卵形、非円形、又は他の形状とすることができる。例えば、遠位先端254は、任意選択で、円形、正方形、又は長方形の形状とすることができる。加えて、遠位先端254は、
図11及び
図12に示されるように、非平坦な端面252を有することができる。端面252は、カニューレ258の中心に向かって内向きに傾斜していることができる。端面252は、開口256の周囲に形成された斜面(面取り部)又は角度を有することができる。開口部256は、カニューレ250を通る膨張流体通路258と流体連通することができる。端面252は、長手方向軸C(
図12に示されるように)に対して約45°である角度A(
図12に示されるように)、又は長手方向軸Cに対して約30°以下~約90°以上、又は約40°~約70°まで、若しくは約50°~約60°まで、若しくはこれらの範囲内の任意の値から値までの範囲内にあってもよい。
【0082】
加えて、カニューレ250は、ハブ又はハブ部分260と、その外面(図示のように)又は内面上のコネクタねじ山262とを有することができる。カニューレは、任意選択で、中実カニューレ壁、物質供給チャネル若しくは膨張流体を前進させることができるコア又はカニューレ流体通路258、カニューレの先端にある開口部又はカニューレ出口ポート256、及び生体接着剤物質などの物質のフィルムを維持するように構成された空間264を含むことができる。本明細書中に開示される任意の構成と同様に、カニューレ250は、カニューレの遠位先端に物質を追加するために、以下に記載されるように物質ディスペンサ内に浸漬されることが可能で、先端部の空間264内に生体接着剤物質をフィルムとして保持することができる。
【0083】
従って、任意の構成において、カニューレの端部(傾斜していようと、直角であろうと、又はその他のいずれであろうと)は、その端面に形成された凹状又は内向きに湾曲した窪みを有することができる。あるいは、任意の構成において、カニューレの端部(傾斜していようと、直角であろうと、又はその他のいずれであろうと)は、その端面に形成された凸状又は外向きに湾曲した窪みを有することができる。端面は、端部でフレア状又はフランジ状であってもよく、及び/又は生体接着剤物質を保持するか、又は生体接着剤物質により大きな表面積を提供する空間を含んでもよい。フレア状又はフランジ状表面の利点は、空気などの気体がフィルムの中に及び/又はフィルムに対して吹き込むときに気泡を形成する生体接着剤物質のフィルムを保持することができることである。
【0084】
遠位先端のいくつかの構成は、複数の端面を有することができる。遠位先端のいくつかの構成は、ただ1つ(1つ以下)の端面を有することができ、一方、他の構成において、複数の端面が使用される。遠位先端は、鈍くても丸くてもよく、又は鈍い若しくは丸い端部を含んでもよい。
【0085】
先端は、例えば、遠位先端に1つ以上の溝を含むことができる。遠位先端に溝を有する利点は、その1つ以上の溝が、生体接着剤物質を保持するのを助け、生体接着剤物質の気泡形成を補助することができることである。遠位先端は、1~10個、又は3~6個(例えば、5個)の溝、又はその範囲内の任意の数又はそれらの数以上の任意の数の溝を含むことができる。遠位先端は、溝を含む内面を含むことができる。例えば、
図13は、遠位先端304の内面に形成された複数の溝302を有するカニューレ300の別の構成の側面図を示す。遠位先端304は、遠位先端の外面上に複数の溝310を有する遠位先端の側面図である
図14に示すように、任意選択で、1つ以上の溝310をさらに、又は代替的に有する外面306を含むことができる。任意の構成は、カニューレの先端内及び/又は先端上に物質を保持するのを助けるために、任意選択で端面を含む、カニューレの先端の内面又は外面上に隆起部(突条部)、溝、又は他のパターンの突出部及び/又は窪みを有することができる。この隆起部、溝、又は他のパターンは、気泡を保持するか、又は気泡を適所に保つように構成されてもよい。
【0086】
任意の構成において、カニューレ、カニューレ基部、カニューレ本体、及び/又は遠位先端は、約0.1mm~約10mm以上、又は約1mm~約4mm、又は約1.5mm~約2mm、又はこれらの範囲内の任意の値から値までの範囲内にある断面直径を有することができる。いくつかの構成において、カニューレ、カニューレ基部、カニューレ本体、及び/又は遠位先端は、0.1~0.5mm、0.5~1mm、1~2mm、2~3mm、3~4mm、4~5mm、5~6mm、6~7mm、7~8mm、8~9mm、又は9~10mmである断面直径を有することができる。カニューレ、カニューレ基部、カニューレ本体、遠位先端及び/又はカニューレ出口ポートは、約0.1~0.5mm、0.5~1mm、1~2mm、2~3mm、3~4mm、4~5mm、5~6mm、6~7mm、7~8mm、8~9mm、9~10mm、10~20mm、20~30mm、30~40mm又は40~50mmの長さを有することができる。カニューレ、カニューレ基部、遠位先端及び/又はカニューレ出口ポートは、外径、内径及び内径と外径との間の幅を含むことができ、外径、内径及び内径と外径との間の幅はそれぞれ、0.01~0.05mm、0.05~0.1mm、0.1~0.5mm、0.5~1mm、1~2mm、2~3mm、3~4mm、4~5mm、5~6mm、6~7mm、7~8mm、8~9mm、9~10mm、10~20mm、20~30mm、30~40mm又は40~50mmのいずれかである。本明細書に開示されている任意の構成要素又は特徴のいずれも、本明細書中に記載されている任意の範囲内の任意のサイズが挙げられるが、これらに限定されない任意の好適な又は典型的なサイズを有することができる。
【0087】
保持エッジ、隆起部、又はリップは、0.1~0.5mm、0.5~1mm、1~2mm、2~3mm、3~4mm、4~5mm、又は5~10mmの厚さであることができる。保持エッジ、隆起部、又はリップ、保持エッジ、隆起部、又はリップは、0.1~0.5mm、0.5~1mm、1~2mm、2~3mm、3~4mm、4~5mm、又は5~10mmの長さであってもよい。いくつかの構成は、カニューレの最先端から短い距離だけ後退させることができる保持エッジ、隆起部、又はリップを含む。遠位先端は、中央空気管を有しても有さなくてもよい。
【0088】
任意の構成において、開口部は、遠位端の最先端にあってもよい。任意選択的に、開口部は、遠位端の先端の側面にあってもよい。開口部は、遠位端の側面であるが遠位端の先端よりも近位側である位置にあってもよい。
【0089】
当該システム及び/又は装置のいくつかの構成は、周方向又は非周方向の断続的な支持構造を含む。この断続的な支持構造は、外壁を内壁に接続することができる。いくつかの構成は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又は4~10、あるいは任意の数の周方向及び/又は非周方向の断続的な支持構造を含むことができる。いくつかの構成は、外壁と内壁とを接続する周方向又は非周方向の断続的な支持構造、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、それらの間の任意の数、又はそれ以上の周方向及び/又は非周方向の断続的な支持構造を含む。
図15は、中央管354と外側管356との間に断続的な取り付け部又は支持構造352を含む遠位先端350の一例を示す。支持構造は、そのような構造の周りを流体が通過できるように構成することができる。
【0090】
ハンドピース又はカニューレは、外壁及び内壁と、内壁と外壁との間のカニューレ350の空間358などの空間とを含むことができる。内壁と外壁との間の空間は、物質供給チャネルを含むことができる。内壁は、ハンドピースの膨張流体通路362、カニューレ本体の流体通路362、又はカニューレ基部若しくは先端の流体通路362を境界付けることができる。
【0091】
任意の構成において、膨張流体は、当該装置とは別個の供給源から、又は当該装置内の若しくは当該装置に組み込まれたリザーバ若しくはカートリッジ若しくは吸収性材料から提供されることが可能である。説明したように、任意の構成は、気体を供給源から前進させることができる流体通路を有することができる。当該装置は、プランジャ又は可動プラグの存在下又は不在下で、当該装置内の内容物(膨張流体など)の加圧を可能にするために、チューブ又は他の導管を取り付けることができるポート等のコネクタを近位端に任意選択で有することができる。本明細書に開示される任意の構成のハンドピース又は装置は、膨張流体アクチュエータを含むことができる。この膨張流体アクチュエータは、膨張流体通路と流体連通するように、当該装置の近位端と連結することができる。膨張流体アクチュエータは、使用者によって作動又は移動されるように構成することができる。この移動構成要素は、使用者によるこの移動構成要素の作動が、膨張流体通路を通る膨張流体の流れ又は移動を、例えば、近位端から遠位端の出口ポートまで引き起こすように構成することができる。ハンドピースは、近位端で膨張流体通路に接続され、使用者によって係合されるように構成された膨張流体アクチュエータを含むことができ、この係合は、膨張流体通路を通る膨張流体の、近位端から遠位端の出口ポートへの移動を引き起こすことができる。
【0092】
膨張流体アクチュエータは、膨張流体通路を通る流体を前進又は後退させるために、それぞれ前進及び後退可能なローラホイール又はローラボールを任意に含むことができる。この構成では、ローラホイール装置は、中心軸を中心として回転するように構成された円筒状の外面と結合された複数の可動リブ又はスポークを含むことができる。本明細書に開示される任意の実施形態では、ローラホイールは、ローラホイールが、例えば、人の指、小型モータ、コイルばね、又は他のものによって、チューブ又はチャンバの長さに沿って回転又は移動されるときに、膨張流体を上記袋から膨張流体通路を通して近位端から遠位端の出口ポートに放出するように構成することができる。
【0093】
本明細書に開示される装置構成のいずれかと共に使用することができる膨張流体アクチュエータ500の非限定的な例が、
図16A及び
図16Bに示される。アクチュエータ500は、ローラホイール502が膨張流体導管504の長さに沿って移動するときに、膨張流体導管504の長さに沿って移動し、膨張流体導管504を平坦化する及び/又は崩壊させる(押し潰す)ように膨張流体導管504を絞るように構成されたローラホイール502を有することができる。これが起こると、ローラホイール502は、通路506内の流体を遠位方向に、カニューレの遠位先端に向かって押しやることができ、その流体は、生体接着剤などの物質のフィルムと接触し、気泡を生成することができる。導管504は、ローラホイール502が導管504の長さに沿って進むにつれて崩壊する弾性チューブ材料から、又は非弾性の一回使用のチューブ材料からでさえも作製することができる。任意の構成において、ローラホイール502は、遠位方向及び近位方向の両方で転がることができ、ローラホイールが近位方向に動かされるときに、空気を通路506内に引き戻す。アクチュエータ500は、任意に、第1のローラホイールと結合され、第1のローラと第2のローラとの間でチューブを絞るチューブに対向する力を加えるように、第1のローラと共にロールと結合することができる第2のローラを含むこともできる。いくつかの構成は、前方及び後方に、又は任意の制限された又は制限されていない様式で、点又は軸の周りを360度移動可能であることができるローラボールを含む。
【0094】
いくつかの構成は、袋がボール、球、ストッパ、プランジャ、又は他の停止装置に対して移動する固定された装置を含む。例えば、いくつかのそのような構成は、ハンドル内に接着物質を受容するように構成されたハンドル内のポートを含み、接着剤を含む袋は、遠位方向から近位方向に移動されるように構成されることができ、ボールは、袋の内容物に対する障壁を作り出し、従って、当該装置の遠位端を通して生体接着剤の排出を引き起こす。いくつかの構成は、装置内に装填されてもよい生体接着剤パケットを含む。
【0095】
記載されるように、ハンドピースは、膨張流体通路に近位端部で接続された膨張流体の供給源をさらに有することができ、この流体の供給源は、膨張流体アクチュエータを含むことができる。膨張流体アクチュエータは、使用者によって直接的又は間接的に係合されるように構成することができ、そのような係合は、膨張流体通路を通る近位端から遠位端の出口ポートへの膨張流体の移動を引き起こすことができる。いくつかの構成において、膨張流体アクチュエータは、圧縮可能な袋、シリンジ、折り畳み(押し潰し)可能なバイアル、又はアコーディオン型の折り畳み可能なリザーバなどの他のリザーバ、又は膨張流体を袋から膨張流体通路を通して装置の近位端から遠位端の出口ポートに放出するように配置された他の同様の装置を含むことができる。いくつかの構成において、膨張流体アクチュエータは、前方及び後方に移動可能なローラホイールを有することができ、膨張流体を袋から膨張流体通路を通って近位端から遠位端の出口ポートに放出するように構成することができる。
【0096】
さらに追加の構成において、膨張流体アクチュエータは、プランジャなどの摺動片を有することができる。いくつかの構成において、膨張流体アクチュエータは、空気などの膨張流体で満たされたシリンジを含むことができる。任意に、膨張流体アクチュエータは、膨張流体通路と流体的に結合することができる圧縮空気カートリッジなどの、圧縮流体又はガスのカートリッジを含むことができる。トリガ、バルブ(球状部)、活栓、又は他の装置若しくは構成要素を使用して、圧縮空気カートリッジから膨張流体通路への空気の流れを制御することができる。
【0097】
膨張流体アクチュエータは、任意選択で、圧縮可能な袋を含むことができる。この圧縮可能な袋は、膨張流体をその袋から膨張流体通路を通して近位端から遠位端の出口ポートへ放出するように構成することができる。膨張流体アクチュエータは、膨張流体を袋から膨張流体通路を通って近位端から遠位端の出口ポートへ放出するように構成された圧縮可能な袋を含むことができる。この圧縮可能な袋は、ハンドル又はハンドルの別の部分(例えば、細長い本体)の1つ以上の側面上で、そのハンドルの別の部分(例えば、細長い本体)の直径の1~1.5倍、1.5~2倍、2~3倍、3~4倍又は4~5倍の、ハンドルの中心から外に延びる直径を有することができる。例えば、この圧縮可能な袋は、ハンドル又はハンドルの細長い本体の側面から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、10~15、15~20又はそれ以上延びてもよい。圧縮可能な袋は、ゴム、プラスチック、可撓性金属、又は弾性材料などの任意の可撓性材料を含むことができる。
【0098】
図17は、カニューレの遠位端又は遠位先端に、従って、気泡を形成するための物質に膨張流体を提供するために本明細書に開示される装置構成のいずれかと共に使用されることができる、膨張流体アクチュエータ520の実施形態の側面図を示す。
図17に示す流体アクチュエータ520の構成は、膨張流体チャネル526の膨張流体通路524と流体連通する内部空気空間523を有する圧縮可能な袋522を含むことができる。空気袋522は、使用者が空気袋522を潰し、膨張流体を膨張流体通路524を通って前進させるよう、ほぼ一方向に力Fを加えることができるように、ハンドルの頂部からなど、ハンドルの一方の側から延在又は突出することができる。アクチュエータ520は、圧縮可能な袋の底部に圧縮可能な袋のための支持体又は支持表面を有することができる。圧縮可能な袋のための支持体は、構成に応じて、当該装置又はシステムのハンドル、又は中間支持構造を含んでもよい。上記空気袋は、例えば、その袋から空気を押し出すために人の指で圧縮可能であってもよい。
【0099】
いくつかの構成は、通常拡張された弾性の空気貯蔵バルブを備える圧縮装置を備えたアクチュエータ機構を含むことができ、従って、空気を、空気管を通して遠位に、カニューレの遠位先端に向かって、又は当該装置の端部の気泡形成リングを通して押し出す。いくつかの構成は、空気貯蔵バルブを一方の側から圧縮するトリガ機構を含むことができる。いくつかの構成は、空気貯蔵バルブを2つ以上の側から同時に圧縮するトリガ機構を含む。バルブは、トリガをその通常の位置に戻すのに十分な弾性を有することができる材料で作製することができるが、所望であれば、トリガを通常の非作動位置に維持し、各操作後にトリガをそのような位置に戻すために、小さいコイルバネをトリガに連動させることができる。
【0100】
当該装置は、カニューレと、当該装置の気泡発生部分とは別個の、気泡の付与前に網膜上に空気を吹き付けて乾燥効果を作り出すことを可能にする関連する遠位先端とを含むことができる。いくつかの構成において、当該装置は、空気が標的組織上に吹き付けられるように、当該装置が物質の存在なしにカニューレの遠位先端を通して空気を吹き付けることを可能にするように構成することができる。
【0101】
図18は、本明細書に開示される装置の構成のいずれかのカニューレの遠位端に向かって膨張流体を前進させるために使用することができるアクチュエータ540の別の構成を示す。任意の構成において、アクチュエータ540は、膨張流体導管又はチャネル546を貫く通路544と流体連通する空間543の容積を内部に有する袋542を有することができる。袋542は、その袋の可撓性及び折り畳み性(押し潰し性)を改善するために、可撓性リブ又は支柱、波形、又は他のものと共に配置することができる。リブは、袋540がその形状及び弾性を保持するのを助けるように、及び/又は袋を付勢して拡張形状に戻すように構成することができる。リブは、圧縮可能な袋の別の部分と同じ材料で、又は圧縮可能な袋の残りの部分と同じ材料で作ることができ、又は別の可撓性材料で作ることができる。
【0102】
任意の構成において、アクチュエータ540は、袋が解放され、膨張して元の拡張状態に戻るときに空気が袋を再充填するように、そして空気が導管546の遠位部分から袋542内に吸い戻されるのを防止するために、上記袋と流体連通する1つ以上の一方向弁を有することができる。袋542は、袋542内に収容された任意の所望の体積の膨張流体を有するようなサイズにすることができる。袋542は、遠位先端に向かって膨張流体を放出するために、任意の方向に絞られてよく、又は別の態様で圧縮されてもよい。
【0103】
いくつかの構成において、袋542は、球形又はほぼ球形であってもよく、導管546の中心線から半径方向に離れるすべての方向に延在することができる。他の構成において、袋542は、半球形状、又は任意の他の所望の形状を有することができる。
【0104】
本明細書に開示されるシステム及び/又は装置の任意の構成は、ハンドピースの膨張流体通路を通って、又はカニューレの膨張流体通路を通って、膨張流体を前進させるための、別個に又は電気的に駆動される手段を含むことができる。例えば、膨張流体通路は、膨張流体レセプタクルに接続され、膨張流体レセプタクルから膨張流体を受け取るように構成された管、チャネル、又は他の通路に接続された近位端を含むことができる。このレセプタクルは、弁を含むことができる。この弁は、当該システム又は装置のハンドピース上のボタンの操作によって、又は足ペダルの操作によって開くように構成することができる。上記弁は、スクリューハンドルの操作を通してなど、手動操作によって開くように構成することができる。
【0105】
任意の構成において、膨張流体アクチュエータは、摺動片を含んでもよい。摺動片又は他の膨張流体アクチュエータは、プランジャ、例えばプランジャを装置の遠位端に向かって動かすように構成することができる。プランジャの移動は、膨張流体を、ハンドピースの膨張流体通路及び/若しくは出口ポートを通って、かつ/又はカニューレのカニューレ膨張流体通路及び/若しくはカニューレ出口ポートを通って強制的に通過させて、気泡を生成することができる。
【0106】
図19及び
図20は、摺動片562を備える膨張流体アクチュエータ560の非限定的な実施例を示す。摺動片562は、可動部分又はスライダ562を含んでもよく、可動スライダ562は、密閉されたダイヤフラム、ピストン、プランジャ、又はアクチュエータ560のチャンバ570内に配置されてスライダ562の移動に伴って移動することができ、チャンバ570内の空間の容積を変化させることができる他の同様の構成要素と連結することができる。チャンバ570は、任意選択で、少なくともその中間部分において、ほぼ円筒形の形状を有することができる。スライダ562は、当該装置の近位端566aから遠位端566bまで経路又は溝564に沿って移動可能であり、それによって当該装置又はシステムの膨張流体通路を通して空気又は膨張流体を放出するように構成されることができる。スライダ562は、両方向に動かすことができ、従って、当該装置から放出される膨張流体の量の制御を可能にすることを理解されたい。
【0107】
いくつかの構成において、スライダ560を装置の近位端に向かって移動させることは、気泡の体積を減少させるように、又は別の目的でカニューレの流体通路から流体を引き出すように、チャンバ570が接続される通路から空気を引き出すように構成されることができる。しかしながら、いくつかの構成において、スライダ560が当該装置の近位端に向かって移動するときにカニューレから空気が引き出されるのを防止するために、1つ以上の一方向流弁をチャンバと流体連通して配置することができる。チャンバは、スライダが近位側に移動するとき、又は別個の供給源から移動するとき、滅菌若しくは濾過された周囲の若しくは別の流体供給源を使用して、又は別個の供給源から再充填可能であることができる。
【0108】
装置560は、手持ち式(ハンドヘルド)であることができる。遠位端566bは、テーパ状にすることができる。スライダ560が近位端566aから遠位端566bに向かって動かされると、遠位端566bの開口部にわたって懸垂する(垂れ下がる)ことができる、液体、ゲル、又は何らかの他の非固体組成物であってよい物質のフィルムに圧力をかけるために、チャンバ570内の流体は、当該装置を通して押し出されることが可能である。これにより、テーパ状遠位端566bの孔から物質の気泡を形成することができる。この物質のフィルムは、当該装置の遠位端の内側に配置することができるリングにわたって形成され得る。他の構成において、流体(例えば、気体)は、スライダ562を当該装置の遠位端566bに向かって移動させることによって、チャンバ570から、本明細書に開示される任意の他の構成のカニューレ内に、カニューレの遠位先端に向かって押し出されることが可能である。
【0109】
いくつかの構成は、気泡が生成されると、トリガ機構をロックするための機構を任意に含んでよく、気泡の収縮を回避するためにトリガに対する圧力を維持する必要なしに、眼の中での当該装置の操作を可能にする。加えて、いくつかの構成において、チャンバ570内のダイヤフラム、プランジャ、若しくはピストン、又はハンドル部分の一部として形成された、若しくはハンドル部分に取り付け可能な円筒形チャンバ等の任意の他のチャンバは、回転又はねじり作用によって、例えば、ダイヤル又は他のねじ付き構成要素を回転させてことによって、移動させることができ、チャンバ内のダイヤフラム、プランジャ、又はピストンを移動させ、それによって膨張流体をチャンバからカニューレ内に押し出すことができる。この構成の装置は、アクチュエータのねじ込み式の性質のため、気泡によってもたらされる背圧による不注意な移動に抵抗することができ、また、チャンバから排気される空気の量に関して、使用者によるより大きな分解能及び制御を提供することができる。
【0110】
いくつかの構成において、近位端又は遠位端の両方が、任意選択で、気泡を生成してもよい開口部を含むことができる。任意選択で、近位端又は遠位端のいずれか(両方ではない)が、気泡を生成するための開口部を含んでもよい。近位端及び/又は遠位端の両方が、同時に複数の気泡を生成してもよい複数の開口部を含むことができる。
【0111】
本明細書に開示される装置の構成のいずれも、一方向流動弁であって、その弁の近位側の圧力が弁の遠位側の圧力よりも大きい場合に、膨張流体又は上記物質などの流体が遠位方向に流れることを可能にし、かつ流体又は物質の逆流(すなわち、近位方向の流れ)を防止するように構成することができる一方向流動弁を含むことができる。
【0112】
いくつかの構成は、気泡が生成されると、アクチュエータ機構をロックするため、又は、気泡が生成されると、装置の近位端に向かう流体のいかなる逆流も防止するための機構を含む。この状態において、当該装置は、気泡の収縮を回避するためにトリガに対する圧力を維持する必要なしに、外科医によって(例えば、任意に、眼の中で)操縦及び操作されることが可能である。
【0113】
本明細書に開示される任意の構成の遠位先端は、当該装置の遠位ポートに隣接するか、又は装置の遠位ポートを覆う1つ以上のフラップを含むことができる。例えば、遠位先端は、4つのフラップ、又は2~8つ又はこれ以上のフラップ、又は3~6つのフラップを含むことができる。このフラップは、当該装置の遠位先端で、又は遠位先端に隣接して、周縁部に接続されることができ、かつ/又はカニューレ出口ポートを横切って延在してもよい。
【0114】
図21及び
図22は、当該装置の遠位端の遠位表面593を通って延在する開口部592を有する装置590の別の構成を示し、開口部592は、当該装置を通って延在する通路594と流体連絡している。1つ以上の曲げ可能な弾性フラップ596(4つが図示されている)が、開口592を選択的に覆う。フラップ596はシリコーンから作ることができ、開口部の上にダイヤフラムを形成することができる。フラップ596は、弁として働くか、又はその役割を果たすことができる。
図22に示されるように、フラップ596は、スリット595、丸みを帯びたか又は傾斜した縁部、及び/又は穴を含んでもよい。フラップの1つ以上は、任意選択で、それぞれ傾斜した縁部を備えることができる。
【0115】
1つ以上のスリット及び/又は中心孔を有するシリコーンダイアフラムが、本明細書に記載される種々のカニューレ又はアプリケータ先端のいずれかと共に使用されてよい。このシリコーンダイアフラムは、内部に物質を保持するための、及び/又は気泡形成を制御するための弁として機能することができる。シリコーンダイヤフラムの中心の任意のスリット又は孔は、任意の形状であってもよい。上記フラップは、ゴム、シリコーン、プラスチック、又は弾性材料を含む。
【0116】
本明細書に開示される任意の構成のハンドルは、接合部分を有することができる。この接合部分は、結合端部を含むことができる。この結合端部は、本明細書に開示される任意のカニューレ構成又は細長い本体構成の近位部分と可逆的又は不可逆的に連結するように構成されることができる。カニューレの近位部分は、細長い本体の結合端部又はハンドルの接合部分と可逆的に連結するように構成されることができる。ハンドルが細長い本体を有する場合、その細長い本体は、接合部分を含むことができ、この接合部分は、カニューレの近位部分と相互作用するように構成された結合端部を含む。
【0117】
上記ハンドル、カニューレ、若しくはその任意の構成要素、又は当該装置の他の構成要素は、プラスチック、金属、ポリ塩化ビニル、ガラス、アクリル系材料、炭素繊維、及び/又は木材から作製されてよいし、又はそれらを含むことができる。遠位先端プラグ又は保護先端カバーは、プラスチック、金属、ポリ塩化ビニル、ガラス、アクリル系材料、炭素繊維、及び/若しくはそれらの組み合わせ、又は任意の他の適切な材料を含むことができる。ハンドピース若しくはカニューレ、又はそれらの構成要素は、最小限、中程度、又は最大限に熱伝導性であることができる。
【0118】
ハンドピースの細長い本体、カニューレ、出口ポート、及び/又は膨張流体通路は、約20mm~約50mmの断面直径、サイズ若しくは幅、又は約25mm~約40mmの断面直径、サイズ若しくは幅、又は0.1~0.5mm、0.5~1mm、1~2mm、2~3mm、3~4mm、4~5mm、5~6mm、6~7mm、7~8mm、8~9mm、9~10mm、10~20mm、20~30mm、30~40mm、又は40~50mmの断面直径、サイズ若しくは幅を有することができる。ハンドピース又はハンドルは、約4cm~約12cm以上、又は約6cm~約9cm、又はこれらの範囲内の任意の値から値までの範囲の長さを有することができる。カニューレは、約0.5cm以下~約10cm以上、又は約2.5cm~約5cmの長さを有することができる。
【0119】
加えて、任意の構成において、生体接着剤物質及び/若しくは活性化溶液の注入並びに/又は吸引は、手動で又はフットペダルで制御することができる。それゆえ、本明細書に開示される任意の構成は、フットペダルを含むことができる。フットペダルは、空気又は膨張流体が装置の遠位部分に向かって、かつ遠位部分を通って流れて当該装置の遠位先端に気泡を形成することができるように、管又はチャネルを通って膨張流体通路内に空気又は膨張流体を放出するように構成することができる。
【0120】
環状ワイヤリングの形態の液体保持部材は、本明細書に開示されるカニューレ構成のいずれかと共に使用することができる。このリングは、任意選択で、角度付きアームによって当該装置の遠位端の先端に固定することができる。液体保持部材(本明細書ではリングとも呼ばれる)は、環状リングである必要はなく、任意の所望の形状をとることができる。液体保持部材は、それにわたって気泡形成液体を保持するように適合されることができる。液体がリングに付与されるとき、その液体のフィルムは、そのリングにわたって形成されることができ、空気又は他の圧力によってリングから追われる(移動される)まで、そのような位置に保持されることができる。
【0121】
いくつかの構成において、角度付きアームをリングと一体に作ることができる。このアームは、当該装置の本体の長さの一部に沿って延びることができる。リングの角度付きアームは、任意の適切な構成要素又は手段を使用して当該装置に取り付けることができる。リングは、ボタンのような形状又は任意の他の好適な形状であってよい取り付け部(アタッチメント)を有し、この取り付け部は、指(1本又は複数本)で容易に操作され得るように、当該装置の中心コアの外側に延在してよい。この取り付け部は、角度付きアーム及び取り付けられたリングを遠位方向及び近位方向に移動させるために使用されてもよい。
【0122】
いくつかの構成は、気泡を形成するために空気又は気体の流れが材料のフィルムに向けられるとき気泡(1又は複数)を形成することができるそのような材料のフィルムを、リング内の空間にわたって保持する手段を提供するリング又は複数のリングを含む。いくつかの構成において、このリングは、固定されてもよく、リングにわたってフィルムを形成するために、液体に浸漬されてもよい。いくつかの構成は、液体がリングの中央開口部にわたって能動的に分配されていてよい固定リングを含む。このリングは、流体を保持することができかつ環の内側に1つ以上の開口部を有する中空リザーバであってもよく、この開口部は、流体がその中空リングを通って注入され、次いでリングの内側の開口部を通ってリングから出ることを可能にし、そうしてリング開口部を横切る液体のフィルムが生成され、気体がリングを通過するときに気泡が形成されることが可能になる。
【0123】
リングにわたって(を横切って)保持することができるフィルムに対して空気の流れを導くために、空気管を装置内に軸方向に取り付けることができる。リングと空気減少管の端部との間の間隔は、形成される気泡(1又は複数)の作用を制御する。管を通過する空気の体積及び速度(この速度は、上記管の出口端部の口径によって制御することができる)も、得られる結果に影響を及ぼす可能性がある。管の端部がリングに近すぎる場合、空気流の力は、気泡(1又は複数)を形成することなく、液膜を変位させるだけになる可能性がある。これは、フィルムの破裂を引き起こす可能性がある。他方、リングと管の端部との間の間隔が大きすぎる場合、空気流は、フィルムに到達する前に消散され、気泡は形成されないことになる。空気管とリングとの間の間隔を最適化することによって、気泡又は一連の気泡がバルブの窪み(押し潰し)時に形成される(気泡のサイズは保持リングのサイズによって制御することができる)か、又はそのバルブの各操作時に単一の大きな気泡が形成されてもよい。従って、リングと管との間の距離を調整することによって、並びに管の口径のサイズを制御することによって、所望の効果を得ることができる。
【0124】
当該システム及び/又は装置のいくつかの構成は、ループを含むことができる。このループは、後退可能であってもよく、例えば、ループは、遠位端などの装置の端部から伸長し、ループのサイズ及び/又は形状を変化させるために、装置の遠位先端内で部分的に又は完全に近位方向に後退させることができる。このループは、いくつかの配置に応じて、ハンドル、カニューレ、又は遠位先端内に引っ込められてもよい。ループは、ワイヤを含むことができる。このループ又はワイヤは、鉄、鋼若しくはステンレス鋼、チタン、ニチノール、白金等の金属、又はプラスチック等の別の材料を含むことができる。上記リングは、物質がワイヤループを満たすか、又はワイヤループ上にフィルムを形成するように構成することができる。上記接着剤は、構成に応じて、ワイヤループが引っ込められるとき及び/又は拡張されるときに、ワイヤループ上に充填又はフィルムを形成してもよい。フィルムは、遠位先端から出て、ループ内に拡張又は排出されてもよい。
【0125】
当該システム又は装置は、生体接着剤物質が可撓性ループ上にフィルムを形成した後、ワイヤループが網膜の裂け目又は裂孔に付与され得るように構成されることが可能である。いくつかの構成は、生体接着剤物質のフィルムを有する可撓性ループを網膜の裂け目又は裂孔に付与する方法を含む。フィルムを含むワイヤが、網膜又は網膜裂孔などの表面上に置かれるとき、当該装置及び物質は、フィルムがその表面に接着し(ループへのフィルムの接着よりも大きい程度で)、ループから変位され得るように構成されることが可能である。
【0126】
ループは、非可撓性及び/又は非格納式とすることができる。上記ワイヤ又はループは、約0.02mm~約1mm、若しくは0.01~0.02mm、0.02~0.05mm、0.05~0.1mm、0.1~0.5mm、0.5~1mm、1~2mm、2~3mm、3~4mm、若しくは4~5mmの厚さ、又は上記厚みの任意の組み合わせを含む範囲の厚さを含むことができる。例えば、ループは、任意選択で、ポリプロピレン縫合糸又はコラーゲン縫合糸などの可撓性縫合材料を含んでもよく、前述の直径のうちの1つを有することができる。適切な縫合糸としては、11-0、10-0、9-0、8-0、7-0、6-0、5-0、4-0、3-0、2-0、0、1、2、3、又は4のUSP指定を有する縫合糸が挙げられるが、これらに限定されない。ループは、1~2mm、2~4mm、4~6mm、6~10mm、10~20mm、若しくは20~30mmの直径、又は上記直径の任意の組み合わせを含む範囲の直径を有することができる。
【0127】
図23は、プランジャ602、ハンドル604、生体接着剤物質を保持するための空洞606、伸長ノブ608、ロッド612、ロッキングコネクタ616、及び生体接着剤物質のフィルムを収容するように構成された可撓性ループ620を有することができるシステム及び/又は装置の例を示す。
図23に示されるループ620は、任意選択的に、図示されるよりもさらに伸長するように構成されてもよい。
【0128】
プランジャ602は、使用者によって遠位に進められたとき(例えば、使用者の指からの圧力、又はハンドルに接続された外部装置によって供給される空気圧を使用して)、中空カニューレを通して、及び/又は可撓性ループ620内に生体接着剤物質を放出するために使用されてもよい。例えば、伸長ノブ608は、ロッド、従って可撓性ループ620を
図23に見られるような後退位置から、より延長された位置へと延ばすか、又は更にはより後退した位置へと移動させるために使用されてもよい。ノブ608及びロッド612は、ノブの第1の方向への回転により、ノブの歯がロッドの歯に係合して、ロッドを先端方向に進ませるように噛み合わせ式とすることができる。第2の方向へのノブの回転は、ノブの歯をロッドの歯に係合させて、ロッドを近位側に後退させる。例えば、ノブ608は、表面に歯を有するローラホイールの形態をとることができるし、又は平滑表面を有するローラホイールの形態をとることができ、これは、転がされると、ロッドの移動を遠位側又は近位側のいずれかに生じさせることができる。歯は、任意に、ノブ/ローラホイール(図示せず)の回転軸と平行な方向に形成することができる。
【0129】
あるいは、ノブ及びロッドは、平滑であってもよいが、第1の方向へのノブの回転が、遠位方向へのロッド及びループの前進を引き起こし、第2の方向へのノブの回転が、近位方向へのロッドの後退又は引き込みを引き起こすように接触していてもよい。本明細書中に開示されるループの任意の構成は、眼組織に付与され得る物質(例えば、生体接着剤)のフィルムを支持するために使用することができる。これは、膨張流体の導入の有無にかかわらず、従って、ループを使用して1つ以上の気泡を形成することの有無にかかわらず、使用することができる。上記ループは、例えば、ループによって運ばれる物質を標的組織上に堆積させるために、標的組織と接触して配置されてもよく、又は標的組織に対して移動されてもよい。
【0130】
加えて、任意の構成において、上記ループは、ループへの物質のフィルム接着の接着特性又は凝集特性を変化させ、フィルムからの離脱を可能にするために、及び/又はフィルムへのより強い接着を可能にするために、温度制御される(すなわち、冷却又は加熱される)ことができる。例えば、限定されるものではないが、上記ワイヤは、ループからの物質の解放を促進するために、ループと連通する加熱要素又は冷却要素を用いて、任意の所望の温度まで加熱又は冷却されることが可能である。
【0131】
いくつかの構成において、ループによって保持された物質から気泡を形成することができる。加えて、そのような構成では、(ループを引っ込めること、留め金、シンチ、又は他の締め付け具を進めてループを締めること、又は他の方法により)ループを締め付けたり閉じたりして、ループを狭めて気泡を引き離し当該装置から気泡を切り離すことによって、気泡の解放を達成することができる。気泡は、制御された様式(例えば、ゆっくりと生成される様式)で、又は制御されたサイズで生成されることが可能である。気泡は、一度に1つずつ生成することができる。気泡が形成されると、気泡は、当該装置から、網膜組織又は他の身体組織等の表面上に取り除されることができる。この表面は、眼、網膜、強膜、結膜、手、皮膚、又は別の身体部分を含むが、これらに限定されない生物学的物体のものであることができる。
【0132】
図24は、装置640であって、ハンドル又はハウジング641と、伸長ノブ648と、ロッド650と、生体接着剤物質654のフィルムを支持するように構成することができる可撓性ループ652と、この装置の遠位端の開口部657を通してループ652を案内するために使用することができる2つ以上のガイド隆起部660を有ることができる装置640の一例を図示する。上記ループは、
図25に示すように、当該装置の遠位端から前進させることができる格納式ループとすることができる。ループ652がハウジング641内にあるとき、物質は、注入ポートを通って、装置の遠位端を介して、ハウジング内の通路を通って、及び/又は本明細書に開示されるか又は当該産業界で公知のカニューレを通って物質を前進させるための他の装置、構成要素、又は方法のいずれかを使用して、ループ652に付与されることができる。ループがカニューレの外側に配置されたときにも、ループに物質を加えることができる。
【0133】
図25Aは、ハンドル又はハウジング672と、ロッド674と、カニューレ676と、ループ678にわたって生体接着剤物質680のフィルムを支持するように構成することができる可撓性ループ678とを含むことができる装置670の構成の別の例を図示する。上記カニューレは、取り外し可能であっても、取り外し不能であってもよい。加えて、ループ678は、任意選択でロッド674から取り外すことができ、その結果、ループは、物質を標的組織表面に付与した後、その場に留まることができる。あるいは、ループ678は、カニューレ676内に引っ込められて、気泡又は平面的なフィルムの形態であることができる物質680を、ループ678から解放することができる。ロッド674は、任意選択で、ハンドル部分から、又はハンドル部分の近位に延在してよく、その結果、使用者は、ロッド674の近位端674aを把持し操作して、ロッド674を遠位側及び近位側にそれぞれ前進及び後退させ、ロッド674を回転させて、ロッド及びループ678を操作すること等ができることに留意されたい。いくつかの構成において、上記ロッドは、カニューレに対するロッドの相対的な回転を防止するために、カニューレに粗面化されるか、又は割り出されることができる。本明細書に記載される任意の実施形態におけるループ材料は、ニチノール、ステンレス鋼、ナイロン(登録商標)、又は任意の他の所望のポリマー材料若しくは他の許容可能な材料を含むことができる。
【0134】
加えて、いくつかの構成において、当該装置が外科医又は手術室に届けられる前に、所望の物質をループ678に付与することができ、このループをカニューレ676内に後退させることができる。
図25Bは、ロッド674、従って可撓性ループ678がハンドル672に対して近位方向に引っ込められ、可撓性ループ678が少なくとも部分的に(又は図示のように完全に)カニューレ676内に配置されている装置670を示す。例えば、限定するものではないが、
図25Bに示すように、ループには所望の範囲の物質680のいずれかを予め装填することができ、ループ678はカニューレ内に後退させることができる。プラグ又はシールが、当該装置からの物質の不注意な放出又は漏出を防止するために、カニューレの上又は中に配置されてもよい。この予め装填された状態では、装置670は使用の準備ができており、外科医又は使用者がループ678上に所望の物質を装填する必要はない。シールは取り外すことができ、ロッド674及びループ678は、装置が所望の位置に前進すると、カニューレの遠位端を越えて前進させることができ、物質がループから標的組織又は表面上に堆積されることができる。
【0135】
本明細書中に開示される任意の構成のロッド(ロッド612、ロッド650、及び/又はロッド674が挙げられるがこれらに限定されない)は、中空であってもよく、又はさらなるスリーブによって囲まれて、それによってさらなる内腔(以下、供給内腔と呼ばれる)を提供してもよく、この供給内腔を通って、物質のさらなる供給又は第1の供給がループに前進することができる。例えば、限定するものではないが、いくつかの構成において、ループ678(又は本明細書に開示される任意のループ)は、カニューレ内に引き込まれることができ、物質の供給は、供給内腔を通って、ロッド674(又は本明細書に開示される任意のロッド)の遠位端674bを過ぎてループ678上に進められることができ、その間にループはカニューレ内に配置される。これは、ループが、カニューレ内の物質で装填及び/又は再装填されることをもたらすことができ、このとき上記ループと供給内腔を通って前進する物質とは、カニューレ内に閉じ込められ、任意の意図しない表面への物質の不注意な接触は防止される。当該システム及び/又は装置のいくつかの構成は、経強膜先端を含むことができる。例えば、限定するものではないが、
図26は、物質を投与するためのカニューレ先端部分690の構成の一例を示し、この装置は、いくつかの特徴の中でも、カニューレ又は本体部分691と経強膜先端692とを有する。装置690は、傾斜していてもよく又は他の態様であってもよい第1の鋭い尖った遠位先端692も有することができる。先端692は、強膜の貫通を容易にするように構成することができる。装置690は、所望の組織表面へ物質を伝えるために使用することができる遠位ポート696も有することができる。ポート696は、遠位ポート696の周りに、丸みを帯びた、又は滑らかな縁部又は斜面(面取り部)698を任意に含むことができる。ポート696は、上記で開示されたダイアフラム(1又は複数)の構成要素及び/又は特徴のいずれかを有するシリコーン系ダイアフラム、又は別の材料から作製されたダイアフラムを含んでもよい。端面又は先端部分692は、中実とすることができ、両側又は片側のみに傾斜を付けることができ、円錐形又は他の形状を有することができる。いくつかの構成において、遠位先端692は鋭利であることができ、眼の組織を切断するために使用することができる。カニューレ先端690及びその特徴は、本明細書に開示される装置の任意の構成と共に使用することができる。
【0136】
当該システム及び/又は装置のいくつかの構成は、先端プラグを含むことができる。先端プラグの非限定的な例が
図27及び28に示されている。
図27及び
図28に示す先端プラグ700、720は、それぞれネック部分702、722を含むことができる。ネック部分702、722は、カニューレの先端の寸法に適合するように成形することができる。例えば、ネック部分702、722は、カニューレの端部又は先端にある任意の物質保持リム、リップ、又はリングの寸法に適合するように成形することができる。先端プラグ700、720のネック部分702、722は、遠位先端の傾斜部分と同一平面になる(正確に重なる)ように構成された傾斜部分を含むことができる。この先端プラグは、先端プラグの細長い部材が遠位先端内に配置されたときに、遠位先端の傾斜部分と同一平面になるように構成された傾斜部分を含むことができる。
【0137】
先端プラグ700、720は、それぞれ細長い部分703、723を含むことができる。各プラグの細長い部分703、723は、各プラグのネック702、722に接続することができる。細長い部分703、723は、近位端及び遠位端を含むことができる。細長い部分703、723の近位端は、本明細書に開示されるカニューレ又は装置の任意の構成の遠位先端内に嵌合するように構成することができる。例えば、細長い部分703、723は、当該システム又は装置の中央の管の内側に嵌合することができる。先端プラグは、近位端及び遠位端を備える細長い部材を含むことができ、上記細長い部材の近位端は、遠位先端内にしっかりと(例えば、膨張媒体の漏出を防止するために)嵌合するように構成することができる。細長い部分703、723は、任意選択で、長さが1~5mm、5~10mm、10~20mm、20~30mm、30~40mm、又は40~50mmであってもよい。例えば、
図28に示すように、この細長い部分は、ある範囲の長さに形成することができる。細長い部材1305、1405は、当該装置若しくはシステムの中央の管の内側又は当該システム若しくは装置の遠位先端に嵌合する細長いプラグ先端を含むことができる。
【0138】
先端プラグ700、720は、先端プラグハンドル又はプルタブ704、724を含むことができる。先端プラグハンドル704、724は、細長い部材703、723の遠位端に、又はネック702、722に接続されることができる。例えば、先端プラグ700、720は、細長い部材703、723と比較して幅が広く、より容易に把持することができる指先タブ704、724を含むことができる。指先タブ704、724は、隆起部、ドット、及び/若しくはハッシュ、又は他の何らかの滑らかでない表面など、1つ以上の側面上にテクスチャ加工された表面を含むことができる。先端プラグは、先端プラグの細長い部材の遠位端に接続されたタブを含むことができる。
【0139】
図28を参照すると、先端プラグは、1つ以上の支持支柱726を含むことができる。支持支柱726は、細長い部材723が遠位先端に挿入されるときに、先端プラグ720が破断するのを防止するように構成することができる。支持支柱726は、遠位先端の周りに嵌合するように構成され、連続した環状の形状、又は2つ以上の別個の支柱を有することができる。いくつかの構成は、単一の周方向支持支柱を含む。周方向支持支柱は、カニューレの先端の一部の上又は周りに嵌合する外側管であってもよい。先端プラグは、カニューレの先端の一部の上又は周りに嵌合する外側管を含むことができる。細長い部材723は、カニューレの内側に嵌合するように構成することができる。中央コアは、外側管又は支持支柱726よりも長くても、短くても、又は同じ長さであってもよい。いくつかの構成は、連続的な環状の支柱を含む。いくつかの構成は、不連続的な支柱を含む。
【0140】
上述のように、当該システム及び/又は装置のいくつかの構成は、保護先端カバーなどの先端カバーを含む。本明細書に開示される任意のカニューレと共に使用するように構成されることが可能な別のタイプの先端カバー730の非限定的な例が、
図29に示されている。先端カバー730は、第1側又は近位側と、第2側又は遠位側とを含むことができる。第1側は、任意選択で、カニューレに係合するように構成された接着剤を含むことができる。保護先端カバーは、例えば、これに限定されるものではないが、
図29に示す非接着性タブ732のような非接着性タブをさらに含むことができる。タブ732は、カニューレの遠位先端から先端カバー730を取り外すのを助けるように構成することができる。先端カバーは、当該システム若しくは装置、又はシステム若しくは装置の遠位先端が使用の準備ができたときに取り外し可能であることができる。カニューレは、本明細書に開示される先端カバーのいずれかを固定する前に、カニューレのハブを通して、又はカニューレの先端を通して、生体接着剤物質で充填又は生体接着剤物質と接触するように構成されてもよい。
【0141】
本明細書に開示される先端プラグ又は先端カバーは、遠位先端を保護し、遠位先端の無菌性を維持し、又は遠位先端が汚れること、又は指先若しくは他の物体などの別の物を切断することを防止するように、及び/又はカニューレ若しくは装置内に含まれる物質の漏出を防止するように構成されることができる。例えば、先端プラグ又は先端カバーは、当該装置又はシステムの輸送中にそのシステム又は装置に取り付けることができる。当該システム又は装置には、生体接着剤物質などの物質を予め装填することができる。予め装填されたシステム又は装置は、先端プラグ又は先端カバーを含むことができる。先端プラグ又は先端カバーは、予め装填されたシステム又は装置内に生体接着剤物質を保持する。
【0142】
本明細書に開示される任意の装置又は構成は、当該装置から物質を係合解除するように構成された1つ以上の特徴を含むことができる。そのような特徴は、例えば、限定するものではないが、カミソリ刃又は鋭利な刃、薄い金属又はポリマーの刃、スクレーパ、スパチュラ、又は上記物質を当該装置から滑り落とすように構成された他の同様の装置等の切断用の特徴又は構成要素を含むことができる。加えて、いくつかの構成において、気泡は、任意選択で、装置から摘み取るか又はつまみ取ることができる。
【0143】
本明細書に開示されるシステム及び/又は装置の任意の構成は、内部焼灼構成要素を含むことができる。いくつかの構成は、光若しくは焼灼に使用することができるファイバ又はワイヤを備えるカニューレを有するように構成することができる。
図30は、光若しくは焼灼のためのファイバ又はワイヤを有するカニューレ750の構成の一例を示す。カニューレ750は、カニューレの長さに沿った管内に光ファイバ752を含むことができる。光ファイバ752は、この例では、曲がった端部754を含むことができるが、他の構成において、光ファイバ752の端部は真っ直ぐであってもよい。光ファイバ752の端部754は、遠位先端の斜面の角度に一致する角度で傾斜していてもよい。
【0144】
カニューレ750は、カニューレ758又は光ファイバ752の端部758によって発せられる光756を含むことができる。本明細書に開示される装置の任意の構成は、1つ以上の光ファイバ752又はカニューレ750の任意の他の特徴を含むように構成されることが可能で、カニューレ750は、本明細書に開示される任意の他のカニューレ、装置、又は他の構成要素若しくはシステムの任意の特徴を含むように構成することができる。
【0145】
加えて、遠位先端から噴霧又は滴として絞り出されることができる追加の材料(液体等)を通過させるように構成することができる追加の管を含めることができる。例えば、追加の材料は、生体接着剤物質を活性化するために使用されてもよい。当該装置若しくはシステム、又はハンドル、カニューレ、遠位先端、光、若しくは光ファイバ等のその構成要素は、生体接着剤物質を活性化、増粘、又は硬化させる波長の光を発するように構成することができる。
【0146】
システム及び/若しくは装置並びに/又はその構成要素は、(例えば、内部焼灼構成要素を使用して)遠位先端の温度を上昇させるように作動されてもよい。これは、いくつかの構成によれば、生体接着剤物質が、より高い温度でより流動性及び/又はより低い凝集性になる温度応答性材料であってもよい場合に、遠位先端から生体接着剤気泡が離脱するのを補助する点で有利となる可能性がある。
【0147】
いくつかの構成は、凍結療法ハンドピース等の凍結療法配置要素を含む。当該システム又は装置は、(例えば、凍結療法構成要素を使用して)遠位先端の温度を低下させるように作動させることができる。これは、いくつかの構成によれば、生体接着剤物質が、より低い温度でより流動性になり、脆くなり、又は剥離可能になる温度応答性材料であってもよい場合に、気泡又は他の形態の物質が遠位先端から離脱するのを補助する点で有利となる可能性がある。
【0148】
本明細書に開示されるシステム及び/又は装置のいくつかの構成は、例えば、組織表面又は生体接着剤に熱又は冷気を加えるための、増加した塗布面積を有することができる特殊な端部を有することができる。いくつかの構成は、ボタン形状などの中実の円形形状を有する遠位端部を有することができる。
図31は、ボタン先端構成を有する端部構成要素770の一例の第1の斜視図であり、
図32はその第2の斜視図である。ボタン先端端部構成要素770は、図示のように、拡大端面又は拡大部分772と、直線状であってもよいし又は曲がっていてもよい端部772と結合された細長いアーム部分774とを有することができる。端部772は、中実であってもよく、又は膨張流体、物質若しくは他のもののために、端部772を通る1つ以上の通路を有してもよい。
【0149】
ボタン基部は、ボタン床と同一平面で終端する遠位先端のための開口部を有する中実の床を含むことができる。ボタンの表面は、生体接着剤物質などの物質を保持するように構成されたリザーバを形成するように開口していてもよい。ボタンの表面は、中央開口部を有する中実であってもよい。端部772の遠位表面776は、概ね平坦、湾曲、又は他の態様とすることができる。
【0150】
ボタン先端カニューレは、加熱又は冷却されるように構成することができる。ボタン先端カニューレは、冷却又は加熱されたボタン先端カニューレを、粘性の高い、固化した、又は部分的に固化した生体接着剤を同じ又は異なる装置で吸引することを可能にする液体状態に変換することができるまで生体接着剤物質上に保持することによって、その粘性の高い、固化した、又は部分的に固化した生体接着剤を液化するために使用することができる。このボタン先端の設計により、生体接着剤の広い領域のような領域にわたって、熱又は冷気のいずれかの広い領域のような領域が提供され、これにより、より小さい表面積を有する冷却又は加熱用の先端で達成されうるよりも、より迅速に生体接着剤を液化及び除去することがもたらされる。
【0151】
本明細書に開示される装置、システム、及び方法のいずれかと共に使用することができる物質の例としては、接着剤、生体接着剤、ゲル、ヒドロゲル、濃厚液体又は半液体処理物質、二重層ヒドロゲル、非固体等が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用する場合、物質という用語の任意の使用は、本開示のどこかで開示される物質の種類及び例のいずれも含むことが意図される。
【0152】
本明細書に開示される装置、システム、及び方法のいずれかと共に使用することができ、本明細書の用語「物質」の各使用に含まれると考えられる物質の例としては、接着剤、生体接着剤、ゲル、ヒドロゲル、濃厚液体又は半液体処理物質、二重層ヒドロゲル、非固体、ポリエチレングリコール溶液、トリリジンアミン溶液、ポリマーヒドロゲル、熱応答性ゲル、ポリ酢酸ビニル、にかわ(糊)、脂肪族、シアノアクリレート系材料、エポキシ、ポリウレタン接着剤、並びにコンタクトセメント、糖タンパク質、弾性タンパク質、炭水化物、ムコ多糖類、ヒドロゲル、二重層ヒドロゲル、ポリマーヒドロゲル、ポリエチレングリコールヒドロゲル及び他のヒドロゲル、バイオミメティック物質、ReSure(商標)シーラント、ポリエチレングリコールヒドロゲル、フィブリン糊、ポリエチレングリコール溶液、トリリジンアミン溶液、糖タンパク質、ポリエチレングリコール溶液、トリリジンアミン溶液、弾性タンパク質、炭水化物、ムコ多糖類、温度活性化生体接着剤、UV活性化又は光活性化生体接着剤、並びにワクチンなどのいずれかが挙げられるが、これらに限定されない。
【0153】
本明細書に開示される任意の構成は、物質の温度が閾値又は値の範囲、例えば、限定されないが、正常な体温、又は約80°F(約26.7℃)~約100°F(約37.8℃)以上、又は約90°F(約32.2℃)~約100°F(約37.8℃)以上、又は約95°F(約35℃)~約100°F(約37.8℃)以上、又はこれらの範囲内の任意の値から値までの範囲内に達するにつれて重合する1つ以上の物質を使用するように構成されることも可能である。加えて、任意の配置を使用して、冷硬化物質、すなわち、物質の温度が閾値又は値の範囲、例えば、限定するものではないが、体温未満の10°F(約-12.2℃)、若しくは約70°F(約21.1℃)以下から約90°F(約32.2℃)まで、若しくは約80°F(約26.7℃)から約90°F(約32.2℃)まで、又はこれらの範囲内の任意の値から値までの範囲内まで低下するにつれて重合する物質を組織表面に付与することができる。
【0154】
本明細書に開示される任意の構成は、任意の数の様々な波長の光による活性化で重合するか、又は光によって活性化される1つ以上の物質を使用するように構成されることも可能である。活性化光は、物質送達装置内の又は物質送達装置とは別個の特殊なアプリケータによって提供されてもよい。使用することができる適切な物質は、網膜下腔、硝子体腔、又は結膜上若しくは結膜下を含む眼表面において典型的に使用されるか、又はその使用が認可されている物質、及び組織中の間隙を閉鎖するために使用されてもよい物質も含む。
【0155】
上記物質は、眼に対して安全かつ無毒であり、注射用であり、水和及び/又は硬化されたときに網膜組織に結合可能であるように構成することが可能である。この物質は、気泡/泡抹形成に好適な特性を有する物質も含むことができ、これには、眼の内側及び外側の両方、又は任意の他のヒト若しくは動物の組織に使用するための接着性物質及び非接着性物質が含まれるが、これらに限定されない。
【0156】
生体接着剤気泡の作成及び遠位先端からの生体接着剤気泡の解離の後、生体接着剤物質は、生体接着性送達装置によって送達されてもよい溶液の付与で活性化されてもよく、この生体接着性送達装置は、それが生体接着剤物質及び活性化溶液の送達のための別個の管を有するように構築されてもよい。
【0157】
本明細書中に開示される装置は、ワクチン送達のために使用されてもよく、そして当該装置によって送達される物質はワクチンを含み得る。ワクチン送達は、スプレー送達よりも効率的な送達であり得る、気泡を使用する経鼻送達を含んでもよい。当該装置は、既存のワクチン送達方法よりも広い表面積にわたってより高い濃度でワクチンを送達してもよく、ワクチンが投与される対象によって吸収されるワクチンの量を増加させる可能性がある。
【0158】
本明細書中に開示される構成のいずれかを用いて送達することができ、本明細書で使用する場合の物質という用語の一部として企図される他の物質としては、体温に近づくにつれて重合する物質、任意の数の様々な波長の光によって活性化されて重合する物質、光によって活性化される物質、及び網膜下腔、硝子体腔、又は結膜上若しくは結膜下を含む眼表面での使用が意図される物質を含む。
【0159】
本明細書に記載される装置及び/又は構成要素の任意の組み合わせは、キットにおいて一緒に提供されることができる。このキットのいくつかの構成は、第2のシステム又は装置をさらに含み、このシステム又は装置は、1回又は限られた回数の使用後にそれぞれ使い捨てである。当該キットのいくつかの構成は、接着剤生体材料をさらに含む。当該キットのいくつかの構成は、物質ディスペンサをさらに備える。当該キットのいくつかの構成は、先端プラグ又は保護カバーをさらに備える。記載されるシステム、装置、又はキットは、滅菌されてもよく、又は予め滅菌されていてもよい。このキットは、本明細書に記載される予め滅菌された物質ディスペンサを含むことができる。当該装置は、非医療物質の送達のために使用することができ、非医療物質には、接着剤、潤滑剤、絶縁体、シーラント(例えば、ガスフィッティング、又はパイプ/配管フィッティング)が挙げられるが、これらに限定されない。これは、到達しにくい領域においてはテフロン(登録商標)テープよりも好ましい場合がある。
【0160】
当該システム及び/又は装置の構成は、物質ディスペンサを備えることができる。物質ディスペンサは、1つのウェル若しくは一連のウェル又は開放端リザーバを有する基部を含むことができる。このディスペンサは、プラスチック、金属、又はガラスで作られた容器を含むことができる。ウェル又は一連のウェルはそれぞれ、生体接着剤物質などの物質を含むことができる。あるいは、物質ディスペンサは、本明細書に開示される任意の構成のハンドピース又はカニューレに選択的に取り付けられるように構成された物質が予め装填された一連の遠位先端を含むことができる。カニューレ(1又は複数)は、1回又は単回の使用のために構成されてもよいし、又は再使用可能であってもよい。例えば、カニューレは、任意選択で、1~60分、1~24時間、及び/又は1~3日などの期間内に再使用可能であるように構成することができる。
【0161】
物質ディスペンサ790の一例を
図33及び
図34に示す。この例は、各々が生体接着剤物質を含むか若しくはそれを予め装填されたか、若しくは異なるカニューレ若しくは先端部分を含む一連のウェル又はリザーバ793を有する、基部(ベース)792を含むことができる。各ウェルは、任意に、単回用量の物質又は複数回用量の物質を含有することができる。各ウェルの直径は、カニューレがウェル内にしっかりと嵌合し、その結果、物質がカニューレ内に効率的かつきれいに引き込まれ得るようなものであることができる。いくつかの構成において、物質ディスペンサ790は、基部792から取り外すことができ、かつ使用されている装置に取り付けることができる複数のカニューレを有することができる。
【0162】
当該システム及び/又は装置のいくつかの構成は、物質ディスペンサの使用方法を含む。この方法は、ある用量の物質を含むウェルにカニューレを配置する工程、及び/又は任意選択で、カニューレに少量の穏やかな吸引を適用して、カニューレの先端内に物質を係合させる工程と、ディスペンサからカニューレを引き抜く工程とを備えることができる。物質ディスペンサのウェルは、それぞれ、切り取りキャップ(ティアオフキャップ)又はカバーを含むことができる。この物質ディスペンサは、滅菌若しくは予備滅菌することができ、及び/又は滅菌された生体接着剤物質などの滅菌された液体若しくは物質を含むことができる。
【0163】
図35は、遠位先端の少なくとも一部を通る第1及び第2の物質供給チャネルを有する遠位先端800の断面図である。取り付け部又は結合部(カップリング)801は、内側管又は内側チャネル802と外側管又は外側チャネル804との間に形成されることができる。この取り付け部は、チャネルの全長に沿ってもよく、又は断続的な取り付け部を有してもよい。
【0164】
遠位先端800は、内側管802と外側管804との間に空間808を有することができる。遠位先端800は、遠位先端800の遠位端ポート又は開口部812に隣接して半径方向内向きに延在する物質保持リム810も有することができる。保持リム810の内側に設けられた空間は、物質で満たすことができ、気泡形成を助けることができる。
図36の例は、内側管802と外側管804との間の取り付け部30を示す。いくつかの構成において、コネクタを使用して、内側管802を外側管804内で安定化させることができる。
【0165】
この装置の別の構成が
図37に示されている。第1のリザーバ812(又は第1の物質供給チャネル)及び第2のリザーバ814(又は第2の物質供給チャネル)は、遠位先端800の長さに沿って形成することができる。第1及び第2のリザーバは、その長さに沿って分割及び分離することができる。
図37に示す例では、第1のリザーバは、第1の物質を保持するように構成することができ、第2のリザーバは、空のままであり、第2の物質又は活性化溶液が第1のリザーバの端部から前進するときに、その第2の物質若しくは活性化溶液のためのレセプタクルとして作用する(又は第2の物質若しくは活性化溶液を受容する)ように構成することができる。遠位先端プラグが、遠位先端からの物質の流出を防止するために使用されてもよい。第1及び第2のリザーバは、それぞれ、別個の生体接着剤物質又は活性化物質を保持するように構成することができ、かつ/又は上記2つのリザーバは、生体接着剤物質がフィルム及び気泡を形成する前に互いに混合して任意に反応することを可能にするために、両方の生体接着剤物質を一緒に放出するように構成することができる。
【0166】
本明細書に開示される任意の装置は、網膜に生体接着剤気泡を付与するために使用することができ、そしてこの装置は、ハンドルを備える近位端と、遠位端と、近位端から遠位端への内部流体通路と、遠位端に接続されるカニューレとを備え、この遠位端は遠位先端を備え、この装置は、気体が内部流体通路を通って流れるときに生体接着剤から生体接着剤気泡を生成し、気体が内部流体通路を通って流れることを停止すると遠位先端上に気泡を維持し、気泡が網膜に対して擦れ合い得るとき、又は気体が内部流体通路を通って再び流れるときにその気泡を解放するように構成されている。
【0167】
いくつかの構成は、眼又は網膜の修復などのために、眼又は網膜に生体接着剤気泡を生成及び/又は付与するためのシステム、装置、又はキットの使用に関する。この使用は、本明細書に記載されるシステム、装置若しくはキットを使用して生体接着剤気泡を生成すること、及び/又は本明細書に記載されるシステム、装置若しくはキットを使用して、カニューレの先端から眼又は網膜に生体接着剤気泡を付与することを含むことができる。
【0168】
いくつかの構成は、網膜裂孔を修復する方法に関する。当該方法又は使用のいくつかの構成は、システム、装置、又はキットを用いて、膨張流体を封入する生体接着剤物質のほぼ球形のフィルムを含む生体接着剤気泡を生成することを含む。当該方法又は使用のいくつかの構成は、システム、装置、又はキットから眼又は網膜に生体接着剤気泡を付与することを含む。いくつかの構成は、網膜裂孔又は網膜孔を修復する方法であって、システム、装置又はキットを用いて、膨張流体を封入する生体接着剤物質のほぼ球形のフィルムを含む生体接着剤気泡を生成する工程と、このシステム、装置又はキットから眼又は網膜に生体接着剤気泡を付与する工程とを備える方法に関する。いくつかの構成は、例えば、弁を開いて、膨張流体がハンドピースの膨張流体通路を通って及び/又はカニューレの流体通路を通って流れることを可能にするための、上記装置又はシステムのハンドピース上のボタンの操作、又はフットペダルの操作を含む。
【0169】
本明細書に開示される装置のいくつかは、凝集性液体を、泡のない元の凝集性液体よりもはるかに大きい表面積並びに配置の制御及び正確さを有する泡に変換し、組織中の間隙を閉じること、硝子体腔中へのRPE細胞の遊離をブロックすることによってPVRの発生を低減すること、のいずれかの機能のために使用される場合、その能力を著しく改善する。
【0170】
本明細書に開示される装置及び方法は、限定されるものではないが、網膜裂孔及び網膜孔、黄斑円孔、黄斑窩、後水晶体嚢の破損、強膜裂傷、角膜裂傷、角膜擦過傷、結膜裂傷、網膜色素上皮裂傷を含めた様々な不連続及び連続構造を閉じるために使用することができ、非眼内医療用途としては、限定されるものではないが、皮膚裂傷、粘膜裂傷(位置によらない)、及び限定されるものではないが、他の機能を有さない物質の送達が挙げられるがこれらに限定されない。
【0171】
本明細書中に開示される任意の装置によって送達される物質は、物質を経硝子体的に送達するために使用することができる。経硝子体使用のために、当該装置を通した送達は、物質が標的位置に前進した後、凝集性/粘着性物質を切断するために切断作用を用いてもよい。過剰分は、硝子体切除カッター及び/又は吸引によって除去可能であり得る。経硝子体送達は、水晶体/IOL/毛様体ひだ部/隅角、角膜内皮等の非標的眼構造への接着物質の浮遊(溢れ出し)(これは水晶体/IOLを通した視界の不明瞭化又は房水の流入/流出の障害をもたらす可能性がある)を回避するために、空気を満たした目において利用することができる。
【0172】
本明細書中に開示される任意の装置は、経強膜送達によっても送達することができ、そして網膜下腔を通る網膜孔への物質の送達を含んでもよい。物質が当該装置のテーパ付き端部又は針を介して送達された後でこの物質が網膜に付与された後、針が強膜から引き抜かれるにつれて、その物質は離脱してもよい。この物質は、強膜及び脈絡膜の組織を横切るために利用されるカニューレ、針、又は装置によって残された強膜欠陥への網膜嵌入を防止するための緩衝剤として作用し得る。
【0173】
本明細書に開示される送達装置の任意の構成は、単一、二重、又は三重のボアを有することができる。二重ボア装置は、物質を送達するための1つのボアと、IOP(眼圧)が上昇するにつれて、眼内流体を眼の外側に逆流させるための第2のボアとを含むことができる。ボアのうちの1つは、照明のために使用されてもよい光ファイバを含むことができる。ボアの1つには、レーザー光を照射できるファイバが含まれている。ボアの1つは、注入された物質を硬化させるために使用される熱又は何らかの他のエネルギー源を送達するファイバを含む。[0238]トリプルボア装置は、物質を送達するための1つのボアと、接着性物質の気泡又はフィルムを生成するために使用される気体を通過させるための1つのボアと、IOPが上昇するにつれて眼内流体を眼の外側に逆流させるための第3のボアとを含むことができる。
【0174】
図38~
図42は、装置の様々な構成900、910の遠位端又は先端の例の概略図を示す。任意の構成において、一重コンパートメントシリンジ又は二重コンパートメントシリンジは遠位先端に取り付けられることができ、二重コンパートメントは、接続されたときに適合する。
図40及び
図41を参照すると、空気の二重の隔離されたカラムは、任意選択的に、2つの遠位先端区画912、914内の内容物を圧縮することができる。いくつかの構成は、シリンジ様のハンドルなどのハンドルを含む。
【0175】
図38~
図42に示されるように、遠位先端の内部態様が存在してよく、これは、先端の気泡に支持及び安定性を提供するためにフレア状であってもよい。この先端は、外側の中空壁、内部若しくは内部面内の空気又は気体等の材料を含むことができる。先端は、カニューレ含有材料の中空壁と、空気、窒素、酸素、又は別の気体などの気体が通過するカニューレの中心コアとの間を連通することができる1つ以上の開口部(通路等)を有することができる。物質のフィルムは、遠位端又は遠位先端の開口部にわたって作製されることが可能である。カニューレの中空壁は、様々な体積であってもよく、中空壁及び中心コアの相対体積は、様々であってもよい。いくつかの構成は、中央コアのための二重プランジャ、及び/又は中空壁の外側カニューレを含む。二重プランジャは、上記カニューレ又は装置の他の構成要素と同時に、又は独立して、動作及び/又は前進してよい。構成要素は、様々な長さ、幅、及び体積であってもよい。
【0176】
本明細書に開示される任意の構成において、当該装置及び/又は使用方法は、以下の特徴、特性、能力、プロセス、又は詳細のうちの1つ以上を有するように構成することができる:一度に1つの気泡の制御された様式で、気泡を生成する手持ち式のシリンジ形状の装置;様々な組成及び粘度の液体から気泡を生成する能力;様々な組成及び粘度のゲルから気泡を生成する能力;気泡が生成される物質のリザーバを、使用される物質に応じて特定の範囲内の温度で維持する能力;温度制御機構を任意選択で装置に追加することはできようが、温度制御がオンオフできるように、作業に使用される物質のために手元で特に較正することができる装置内の温度制御可能チャンバ;1つ以上のバッテリを備える電源であって、このバッテリは任意選択で手持ち式装置に組み込まれ得る電源;硝子体切除機械電源又は外部電源に接続する電気コードを備える電源;1つ以上の色分けされた装置であって、各色が特定の物質組成物と相関し、この異なる物質組成物は、任意選択で、気泡生成を最適化するための特定の最適の温度又は温度範囲を有することができる色分けされた装置;例えば、限定されないが、ヒータ及び/又はクーラのうちの1つ以上を使用する気泡生成中の物質の温度に基づいて、気泡肉厚の制御及び変動を可能にするように構成された装置;気泡生成中の物質の粘度に基づいて、気泡肉厚の制御及び変動を可能にするように構成された装置;特定の装置開口部の様々な寸法、及び気泡生成プロセス中に物質組成物を通過する空気又は気体の量で気泡肉厚を変動させるように構成された装置、例えば、限定されないが、複数の異なる装置を有するキット又はシステムであって、各キット又はシステムが、キットの他の装置とは異なる一貫したサイズ/直径及び肉厚気泡を生成する異なる遠位先端開口部を有するキット又はシステム;並びに、調整可能な開口部と、気泡を形成するために注入される空気の体積を制御する能力とを有する装置であって、臨床設定に応じて、例えば、様々なサイズの複数の網膜裂孔を伴い、様々なサイズであるが各々がほぼ同じ気泡肉厚を有する気泡を使用することが望ましい可能性がある網膜剥離用途において、気泡のサイズ及び気泡壁の厚さをカスタマイズする能力を提供する装置を有する別の構成。
【0177】
本明細書に開示される任意の構成において、当該装置は、以下の特徴、特性、能力、又は詳細のうちの1つ以上を有するように構成することもできる:1つの装置を使用して、網膜裂孔を閉鎖し、次いで、そのケースの終わりに、カニューレが挿入された外部強膜開口部(すなわち、強膜切開部)を閉鎖すること(その場合に、外科医が、網膜孔と比較して強膜創傷に関連するより大きな張力に起因して、より大きい気泡肉厚を手に入れることを望むことがある);例えば、0.5mm~15mmの範囲(他の範囲の気泡直径としては、例えば0.1mm~0.5mm、0.5mm~1mm、1mm~2mm、2mm~5mm、5mm~10mm、10mm~25mm、25mm~50mm、及び50mm~100mm、又はこれらの間の任意の数値が挙げられる)の様々な直径を有する様々なサイズの気泡を生成するための装置のバリエーション;カニューレ/装置先端の詰まりを回避する様式で行われることができる、気泡を解放し、そして同様に解放されることが可能なさらなる気泡を生成する能力;気泡をカニューレ/装置先端から解放するための機構であって、物質を溶融又は加熱するための先端の加熱、物質を破砕するための先端の冷却、及び先端に切断又は拭き取り機構を有する装置のうちの1つ以上を含むことができる、気泡を解放するための機構;バルーンに使用される物質の硬化に使用される光を伝送するために使用される光ファイバを含む装置であって、この光ファイバは固定することができるし、又は装置の先端から前進させるように可動とすることができ、この光ファイバは、気泡の内部に前進させて、網膜、強膜、若しくは他の標的のヒト組織と接触する気泡の部分に近接させることができ、及び/又は、この光ファイバは、カニューレの異なるボアに収容され、バルーンの外側から物質を硬化させるために使用されてもよい、装置;並びに、気泡生成部分とは別個の、カニューレ及び関連する遠位先端を含んでもよく、気泡の付与前に網膜の表面上に液体若しくはゲル若しくは他の物質を滴下又は噴霧することを可能にする装置であって、この他の物質の目的は、気泡物質と反応する特定の組成の物質を堆積させ、例えば液体から固体への両方の物質の粘稠度の変化をもたらすことであってもよい、装置。
【0178】
本明細書に開示される装置及びシステムの任意の構成は、生物学的又は非生物学的な表面又は物体に接着剤を付与するために使用することができ、この物体は、医療用足場、パッチ、カバー、移植片、又は医療及び非医療用途で使用される他の物体若しくは器具を含むことができる。例えば、限定はされないが、
図43は、物質供給装置1001及びアプリケータ装置1002を有するシステム1000の非限定的な例を示す。物質供給装置1001は、表面又は物体に物質を提供するために、装置100、200、250、350等が挙げられるがこれらに限定されない本明細書の他の場所で開示される装置、構成、及び/又は構成要素のいずれかを、任意の組み合わせで含むことができる。物質供給装置1001は、第1のイントロデューサカニューレ又はシースを通して所望の空間又は位置(限定はされないが、例えば、空気で満たされた眼腔)に前進させることができ、アプリケータ装置1002は、第2のイントロデューサカニューレ又はシースを通して眼腔に前進させることができる。物質供給装置1001は、生体接着剤を含むことができる物質をアプリケータ装置1002の所望の表面に塗布するために使用することができる。
【0179】
図44及び
図45は、表面又は物体に物質を供給するために本明細書に開示される装置のいずれかと共に使用することができるアプリケータ装置1002の一例の上面図及び側面図をそれぞれ示す。記載されるように、任意の構成において、このアプリケータ装置は、物質を組織表面又は物体に付与するために物質をアプリケータ部分上に受容するために、それ自体で物体(パッチなど)を支持するために、及び物体を所望の位置に送達するために、又は他のために使用することができる。例えば、限定されないが、このアプリケータ装置は、それによってパッチ、組織カバー、組織移植片、組織足場、又は他のもの(本明細書ではまとめてパッチと呼ぶ)を支持するように構成することができ、外科医又は使用者は、アプリケータ装置1002を使用して、所望の標的位置にパッチを位置決めし付与することができる。パッチは、任意選択で、接着剤(生体接着剤とすることができる)又は他の物質を予め装填することができるし、又は物質供給装置1001を使用して、手術の場所又は空間で接着剤を装填することができる。その後、パッチに所望量の接着剤を充填したら、パッチを所望の物体又は組織表面に付与することができる。加えて、限定されないが、アプリケータ装置1002は、接着剤が十分に硬くなり又は硬化し、従って標的組織に結合することを可能にするために、所望の付与位置にパッチを保持するために使用することができる。
【0180】
図43及び
図44を参照すると、アプリケータ装置1002は、カニューレ又は外側スリーブ1003(本明細書では、細長い本体又は外側シースとも呼ばれる)、任意選択で中実断面又はそれを通って延びる内腔若しくは通路1007を有することができる内側スリーブ又はロッド1005、及び内側ロッド1005に結合されたアプリケータ先端1006を含むことができる。外側スリーブ1003は、任意選択で、物質1001の付与中にアプリケータ装置1002の使用者による制御を容易にするか又は改善するために、内側ロッド1005及びアプリケータ先端1006の少なくとも一部にさらなる剛性及び操作性を提供するように構成することができる。
【0181】
内側ロッド1005は、近位端1005a(図示せず)及び遠位端1005bを有することができる。通路1007は、もしあれば、内側ロッド1005の近位端1005aから遠位端1005bまで延びることができる。示されるように、アプリケータ先端1006は、内側ロッド1005の遠位端1005bと連結されることが可能である。内側ロッド1005の近位端は、アプリケータ先端1006を前進させ、後退させ、回転させ、他の態様で移動させるために、外科医又は装置の使用者によって操作可能とすることができる。
【0182】
カニューレは、任意選択で、可撓性、半剛性、又は剛性とすることができ、金属合金、ポリマー材料、又はその他を含む任意の好適な材料から形成することができる。当該システムは、任意選択で、外側スリーブ1003を有さないように構成することができ、この場合は、内側ロッド1005及びアプリケータ先端1006は、外側スリーブ1003を必要としないように十分に剛性であり、操作可能である。
【0183】
本明細書に開示される任意の構成において、カニューレ1003が標的位置まで前進した後にアプリケータ先端1006がカニューレ1003の近位端内に前進される必要がないように、また、標的位置まで前進されるアプリケータ装置1002のサイズが、より大きいアプリケータ先端1006ではなくカニューレ1003のサイズによって画定され、それによって当該装置の操作性が改善され、患者を傷つけるリスクが低減されるように、アプリケータ先端1006及び/又は他の配置要素は、カニューレ又は外側スリーブ1003内に予め装填することができる。任意に、アプリケータ装置1002は、カニューレ1003が目標位置に前進された後でアプリケータ先端1006がカニューレ1003の近位端に前進されるように構成することができる。カニューレ1003の近位端は、カニューレ1003内へのアプリケータ先端1006のアプリケータ部分1010の挿入を容易にするために、並びに/又はカニューレ1003内への挿入のためのアプリケータ部分1010の折り畳み(押し潰し)及び/若しくは巻き取り若しくは巻き上げを容易にするために、フレア状又はテーパ状とすることができる。
【0184】
上述のように、アプリケータ先端1006が第1の状態又は引っ込められた状態(すなわち、カニューレ1005内)にあるとき、アプリケータ装置1002の遠位部分は、必要とされる力がより少なく、その結果、組織に対する外傷のリスクがより少なく、組織表面の開口部を通って前進可能であるように、外側スリーブ1003によって画定されることが可能なより小さいプロファイル(輪郭)又は断面サイズを有することができる。アプリケータ装置1002のいくつかの構成は、アプリケータ部分1010が外側スリーブ1003内に引っ込められるか、又は配置されるときに、アプリケータ部分1010が、
図45に最も良く示されるように、外側スリーブ1003の内部空間内に嵌り込むように、湾曲した、巻き上がった、折り畳まれた、又はロール状の形状をとるように付勢されることができるように構成することができる。
【0185】
図45を参照すると、アプリケータ部分1010は、内側ロッド1005及びアプリケータ先端1006がすべて第2の状態から第1の状態又は引っ込められた状態に外側スリーブ1003内に引っ込められたとき、アプリケータ部分1010は、アプリケータ先端1006が外側スリーブ1003内に引っ込められた状態でアプリケータ装置1002が組織の開口部を通して引き抜かれることができるように、上述され
図45に示されるよりコンパクトな若しくはより狭い形状若しくは状態に折り畳まれるように付勢されるか又は他の方法で構成されることができるように構成されることができる。図示及び説明されるように、アプリケータ部分1010は、外側スリーブ1003の幅よりも大きい幅Wを有することができる。アプリケータ部分1010は、カニューレ1003内に引っ込められると、よりコンパクトなプロファイルに移動するように構成又は付勢されるので、
図45に示されるように、アプリケータ部分1010を外側スリーブ1003内に引っ込められることは、アプリケータ装置1002の遠位部分のサイズを外側スリーブ1003のサイズに縮小することができ、それによって、装置の引き抜き中の患者への外傷を低減することができる。任意の構成において、アプリケータ部分1010は、外側スリーブ内に引き抜かれると、外側スリーブ内に適合するように、折り畳まれ、巻き取られ、圧縮され、絞られ(押し潰され)、狭められ、又は他の方法で幅W又はサイズが縮小されることを可能にする任意の特徴を有するように配置されるか、又は、そのようなことを可能にする任意の材料から作製されることができる。
【0186】
アプリケータ部分1010は、アプリケータ部分1010が(アプリケータ部分1010が外側スリーブ1003内に収容されている)第1の位置にあるときの第1の幅と、アプリケータ部分1010が(アプリケータ先端が外側スリーブ1003の遠位端1003aの開口を越えて延びる)第2の位置にあるときの第2の幅とを有するか、又は画定することができる。アプリケータ部分1010の第2の幅は、アプリケータ部分1010の第1の幅よりも実質的に大きくすることができる。本明細書に開示される任意の構成において、アプリケータ部分1010の第2の幅は、アプリケータ部分1010の第1の幅の約5倍、又はアプリケータ部分1010の第1の幅の約2倍(又は任意選択で、約2倍以下)から約8倍(又は任意選択で、約8倍以上)、又はアプリケータ部分1010の第1の幅の約3倍から約6倍大きいことが可能である。
【0187】
内側ロッド1005は、アプリケータ先端1006の遠位端部1006aがカニューレ1003の遠位端1003aから延びることができるように、外側スリーブ1003に対して前進することができる。任意の構成において、アプリケータ先端1006は、細長い部分1008及びアプリケータ部分1010を有することができる。アプリケータ先端1006の細長い部分1008は、任意選択で、細長い部分1008の近位端1008aから遠位端1008bまで細長い部分1008を通って延びる通路1012を有することができる。通路1012は、操作可能な状態で、細長い部分1008の近位端1008aにおいて、内側ロッド1005の通路1007(存在する場合)と流体連通することができる。アプリケータ部分1010の第1の表面1011を通して、1つ又は任意選択で複数の開口1014を任意選択で形成することができ、開口又はオリフィス1014は、通路1012と流体連通している。開口1014は、アプリケータ部分1010に近接する、又はアプリケータ部分1010に接触する任意の物体に、吸引若しくは負圧又は正圧若しくは気流の供給源を伝達するために使用することができる。吸引源は、通路1007及び1012を介して、例えば、装置の近位端から、例えば、当該装置の外側スリーブに連結されたハンドルを介して、開口部1014に連通されることが可能である。例えば、吸引力は、任意の所望の物体をアプリケータ部分1010の第1の表面1011に対して選択的に引き付けて固定するために、開口部を通して加えることができ、所望の物体としては、物質を含む気泡(任意選択で、気泡の破裂を回避するための穏やかな吸引力で)、パッチ、組織カバー、足場、又は他の物体が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、限定するものではないが、物質を含む気泡をアプリケータ部分1010の第1の表面1011に対して引き付けて固定するために、開口部1014を通して穏やかな吸引力を加えることができる。
【0188】
その後、アプリケータ部分1010は、気泡を所望の位置、例えば、眼内の手術用気腔内の組織欠陥に移動させることができる。上記物質は、開口部1014を通して提供される吸引力若しくは負圧を低下させることによって、標的表面に対してアプリケータ部分1010を押圧及び/若しくは操作することによって、並びに/又は任意選択で短いバースト若しくは短い正圧等の正圧を開口部を通して及ぼすことによって、アプリケータ部分1010から解放されることが可能である。正圧の供給(例えば、1つ以上の開口部1014を通る正の空気流の供給による)を使用して、気泡の解放を容易にすることができる。
【0189】
別の非限定的な例では、負圧を使用して、パッチ又は任意の他の器具をアプリケータ部分1010の第1の表面1011に対して選択的に固定することができる。例えば、
図46に示すように、吸引源を開口部1014を通してパッチ又は他の医療器具1025に適用して、パッチ1025をアプリケータ部分1010の第1の表面1011に対して選択的かつ解放可能に保持することができる。その後、パッチ1025は、アプリケータ装置1002を標的位置に前進させることによって、所望の位置に送達されることが可能で、標的組織表面と接触するように前進することが可能である。パッチ1025の所望の位置が達成され、パッチを標的組織表面に固定するのに十分長くパッチが任意選択で適所に保持されたとき、負圧を低下させ、パッチをアプリケータ部分1010から解放することができる。パッチの解放を容易にするために、開口部を通して正圧又は空気流を任意に提供することができる。
【0190】
加えて、
図46を参照すると、吸引源を開口部1014を通してパッチ又は他の医療器具1025に適用して、パッチ1025をアプリケータ部分1010の第1の表面1011に対して選択的かつ解放可能に保持することができる。その後、物質供給装置1001(本明細書に開示される気泡、ループ、又は他の物質供給装置のいずれの構成要素又は詳細のいずれであってもよいし、又はそれらを有してもよい)は、パッチ1025の表面上に気泡146又は物質105の層を提供することができる。物質105は、生体接着剤であることができる。気泡146及び/又は物質105は、
図4A~
図4Dの装置130について上述したように、パッチに対して付与することができる。物質105がパッチに付与された後、パッチ1025は、所望の位置に送達されることができ、そしてパッチ1025の接着剤コーティングされた表面は、
図47に示されるように、アプリケータ装置1002を標的位置に前進させることによって、標的組織表面と接触するように前進されることが可能である。パッチ1025の所望の位置が達成され、パッチを標的組織表面に固定するのに十分長くパッチが任意選択で適所に保持されたとき、負圧を低下させ、パッチをアプリケータ部分1010から解放することができる。任意の構成において、アプリケータ部分1010は、アプリケータ部分1010がカニューレ1003内に引っ込められるにつれて、カニューレ1003の遠位端との相互作用によって、アプリケータ部分1010が折り畳まれた又は巻き上げられた形状をとり、それによってアプリケータ部分1010がカニューレ内に完全に引き込まれ得るように、付勢され構成されてもよい。
【0191】
他の構成において、アプリケータ部分1010は、中実であってもよく、その中に開口部又はオリフィスがなくてもよい。加えて、アプリケータ先端1006は、平面形状、
図46に示されるような湾曲形状、又は他の形状を有することができる。他の構成において、クリップ、タブ、窪み、隆起部(突条部)、又は突起(突出部)、又は他の特徴を使用して、パッチ又は他の医療器具をアプリケータ部分1010の第1の表面1011に選択的かつ解放可能に保持することができる。他の構成において、アプリケータ部分1010及びアプリケータ装置1002は、パッチ、カバー、又は他の医療器具が、アプリケータ部分1010の第1の表面1011上に自由に載ることができるように構成することができる。任意の構成において、パッチは、カニューレ1002内に予め装填されることができ、アプリケータ部分1010の表面1011に対して巻き上げることができ、その結果、アプリケータ部分1010がカニューレ1003の遠位端から前進するにつれて、アプリケータ部分1010は、開いた形状に自己拡張又は開くことができ、パッチ1025は、アプリケータ部分1010の第1の表面1011に対して依然として保持される。
【0192】
任意の構成において、パッチは、カニューレから伸長可能な端部把持鉗子を使用してパッチの近位端に固定することができる。この鉗子は、カニューレが鉗子に対して後退されるか、又は鉗子がカニューレの遠位端に対して遠位に前進させられるにつれて、鉗子が開き、パッチ上のグリップを解放するように、自己拡張型であることができる。この構成において、パッチは、パッチの少なくとも一部が鉗子によって把持された状態でカニューレの遠位端の内側に予め装填されることが可能である。鉗子は、カニューレによって拘束されるので、鉗子は、鉗子がカニューレから遠位側に前進させられるか、又はカニューレが鉗子に対して近位側に引っ込められるまで、パッチに対するその把持を保持する。例えば、鉗子がカニューレに対して遠位側に前進すると、パッチは、カニューレの遠位端を越えて移動され、弛緩した拡張状態へと折り畳みが解消され、解かれ、又は広げられる(unfurl)ことを可能にすることができ、その間、鉗子がパッチを把持し続けるように、鉗子はカニューレによって閉鎖位置に依然として十分に拘束されている。この状態及び位置において、生体接着剤等の物質は、本明細書中に開示される物質アプリケータ装置のいずれか(例えば、そして限定されないが、装置130)を使用して、開放又は弛緩したパッチの所望の表面に付与されることができる。この物質は、気泡、複数の気泡、又は他のものとして付与することができる。物質アプリケータは、任意選択で、パッチの表面上に物質を広げるためにも使用することができる。接着剤がパッチの表面に十分に付与された後、物質がパッチと組織表面との間に十分な結合を作り出すまで、パッチを所望の組織表面と接触して配置することができる。その後、鉗子は、ボタン又はスライド操作によって、又は他の方法で、鉗子をカニューレに対して遠位側に前進させ、及び/又はカニューレを後退させて、鉗子が拡張することを可能にすることによって、パッチに対する鉗子の把持を解放するためにさらに拡張されることができる。その後、鉗子をカニューレ内に引き戻し、手術部位から引き抜くことができる。
【0193】
本明細書中の任意の構成に開示される鉗子又は他の把持手段は、ALCON Revolution DSP鉗子又はGRIESHABER DSP鉗子であることができるし、又はそれらを含むことができる。例えば、このような鉗子は、本明細書中に開示される任意の構成において使用されるパッチを把持及び/又は操作するために使用することができる。
【0194】
パッチは、外科医又は使用者が、端部把持鉗子並びに取り付けられたパッチ及び/又はパッチ材料を前進させることができるボタンを含めた任意の機械的構成要素を使用して、アプリケータ部分から解放されることもできる。鉗子が受動開放位置に装填される場合、鉗子がカニューレの遠位先端を越えて延ばされると、鉗子は、それらの開放状態若しくは弛緩状態に開くか又は戻るように付勢又は構成することができる。
【0195】
別の方法では、同じ内側端部把持鉗子は、その先端でパッチをつまむことができるが、逆の方法でボタンを使用して、端部把持鉗子及び取り付けられたパッチの周りからカニューレを後退させることができる。これにより、外科医は、標的組織の近くにカニューレの先端を保持し、パッチを実際に前方に前進させることなくパッチをゆっくり露出させることが可能になり、それによって、先端が前進するにつれてカニューレを網膜から徐々に引き戻すことによって、外科医が補償しない場合に起こり得るパッチを網膜に当てることを回避することができる。カニューレが端部把持鉗子の先端の近位側に完全に後退すると、鉗子は、パッチ若しくはスパチュラ又はその両方を受動的に開いて解放するように付勢される。
【0196】
加えて、いくつかの構成は、細長い本体1008の近位端1008aを内側ロッド1005の遠位端1005bに結合する選択的に切り離し可能なコネクタ1022を有することができる。従って、いくつかの構成において、少なくともアプリケータ部分1010を含むアプリケータ先端1006は、コネクタ1022を脱係合させることによって、内側ロッド1005から解放されることが可能である。これにより、アプリケータ先端1006を当該装置から取り外し、患者の体内にその場で残すようにすることができる。この構成において、アプリケータ部分1010は、本質的に、欠陥のためのパッチ又はカバーであることができる。アプリケータ先端1006は、任意の好適な生体吸収性材料又は生体適合性材料を含む任意の好適な材料から作製することができる。
【0197】
本明細書に開示されるアプリケータ装置1002又は任意の物質供給装置の実施形態の任意の構成において、ハンドル、カニューレ又は外側シース1003、内側シース1005、又は他の剛性若しくは半剛性の構成要素は、任意の好適なプラスチック材料、パッチ材料、金属、ポリ塩化ビニル、ガラス、アクリル系材料、炭素繊維、及び/又はこれらの任意の組み合わせから作製することができるし、又はそれらを含むことができる。いくつかの構成において、カニューレ先端プラグ又は保護先端カバーは、プラスチック、金属、ポリ塩化ビニル、ガラス、アクリル系材料、炭素繊維、ゴム(シリコーンなどであるが、これに限定されない)、及び/又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0198】
本発明の特定の実施形態を説明してきたが、これらの実施形態は、例としてのみ提示されており、本開示の範囲を限定することを意図していない。実際に、本明細書に記載される新規な方法及びシステムは、様々な他の形態で具現化されてもよい。さらには、本明細書に記載されるシステム及び方法における様々な省略、置換、及び変更は、本開示の趣旨から逸脱しない範囲で行われてもよい。添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物は、本開示の範囲及び趣旨に入るそのような形態又は修正を包含することが意図されている。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照することによってのみ定義される。
【0199】
特定の態様、実施形態、又は例に関連して説明される特徴、材料、特性、又はグループは、このセクション又は本明細書の他の箇所で説明される任意の他の態様、実施形態、又は例と適合性がある限り、それらに適用可能であると理解されるべきである。本明細書(あらゆる添付の請求項、要約、及び図面を含む)に開示される特徴のすべて、並びに/又はそのように開示される任意の方法若しくはプロセスの工程のすべては、そのような特徴及び/又は工程の少なくとも一部が相互に排他的である組み合わせを除き、任意の組み合わせで組み合わせることができる。保護は、前述の実施形態の詳細に限定されない。保護は、本明細書(あらゆる添付の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)に開示された特徴の任意の新規な1つ、若しくは任意の新規な組み合わせ、又はそのように開示された任意の方法若しくはプロセスの工程の任意の新規な1つ、若しくは任意の新規な組み合わせに及ぶ。
【0200】
さらには、別個の実施態様の文脈で本開示に記載される特定の特徴は、単一の実施態様において組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実施態様の文脈で記載される様々な特徴は、別々に複数の実施態様で、又は任意の好適なサブコンビネーションで実施することも可能である。さらに、特徴は、特定の組み合わせで作用するものとして上述されている可能性があるが、特許請求される組み合わせからの1つ以上の特徴は、場合によっては、その組み合わせから削除されてもよく、組み合わせは、サブコンビネーション、又はサブコンビネーションのバリエーションとして特許請求されてもよい。
【0201】
さらに、操作は、特定の順序で図面に描かれるか、又は明細書に記載されてもよいが、そのような操作は、所望の結果を達成するために、示された特定の順序で、又は連続する順序で実行される必要はなく、又はすべての操作が実行される必要はない。図示又は記載されていない他の操作を、例示的な方法及びプロセスに組み込むことができる。例えば、1つ以上の追加の操作を、記載した操作のいずれかの前、後、同時に、又はその間に実行することができる。さらに、操作は、他の実施態様において再配置又は再順序付けされてもよい。当業者であれば、いくつかの実施形態において、図示及び/又は開示されたプロセスにおいて取られる実際の工程は、図面に示されたものとは異なり得ることを理解するであろう。実施形態に応じて、上記の工程のうちのいくつかを除去することができ、他の工程を追加することができる。さらには、上記で開示された特定の実施形態の特徴及び属性は、追加の実施形態を形成するために異なる方法で組み合わされてもよく、それらのすべては、本開示の範囲内にある。また、上で説明された実施態様における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実施態様においてそのような分離を必要とするものとして理解されるべきではなく、記載された構成要素及びシステムは、一般に、単一の物に一緒に統合されてもよいし、又は複数の物にパッケージされてもよいことを理解されたい。
【0202】
本開示の目的のために、特定の態様、利点、及び新規な特徴が本明細書に記載されている。必ずしもすべてのそのような利点が、任意の特定の実施形態に従って達成され得るわけではない。従って、例えば、当業者は、本開示が、本明細書で教示又は示唆され得るような他の利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示されるような1つの利点又は一群の利点を達成する方法で実施又は実行され得ることを認識するであろう。
【0203】
条件付きの用語、例えば、「できる」、「あり得る」、又は「してもよい」等は、特に断らない限り、又は用いられる文脈の中で別様に理解されない限り、特定の実施形態が、特定の特徴、要素及び/又は工程を含んでいるのに対して、他の実施形態がそれらを含まないことを伝えることを一般に意図したものである。従って、そのような条件付きの用語は、一般に、特徴、要素、及び/若しくは工程が、1つ以上の実施形態に何らかの形で必要とされること、又は1つ以上の実施形態が、ユーザ入力若しくはプロンプトの有無にかかわらず、これらの特徴、要素、及び/若しくは工程が、任意の特定の実施形態に含まれているか、若しくは任意の特定の実施形態で実行されるべきかどうかを決定するための論理を必然的に含むことを暗示することを意図してはいない。
【0204】
語句「X、Y、及びZのうちの少なくとも1つ」などの結合言語は、特に断らない限り、使用される文脈とは別に、項目、用語などがX、Y、又はZのいずれかであってよいことを伝えると一般的に理解される。従って、このような結合言語は、特定の実施形態が、Xのうちの少なくとも1つ、Yのうちの少なくとも1つ、及びZのうちの少なくとも1つの存在を必要とすることを暗示することを一般的に意図していない。
【0205】
本明細書で使用される程度の用語、例えば本明細書で使用される「およそ」、「約」、「一般的に」、及び「実質的に」は、所望の機能を依然として実行するか若しくは所望の結果を達成する記載された値、量又は特性に近い値、量又は特性を表す。例えば、用語「およそ」、「約」、「一般的に」、及び「実質的に」は、記載された量の10%未満の範囲内、5%未満の範囲内、1%未満の範囲内、0.1%未満の範囲内、及び0.01%未満の範囲内である量を指すことができる。別の例として、ある実施形態では、用語「ほぼ平行」及び「実質的に平行」は、正確に平行な状態から15度以下、10度以下、5度以下、3度以下、1度以下、又は0.1度以下外れている値、量又は特性を指す。
【0206】
本開示の範囲は、このセクション又は本明細書の他の場所における好ましい実施形態の特定の開示によって限定されるようには意図されておらず、このセクション又は本明細書の他の場所に提示される、あるいは将来提示される、特許請求の範囲によって定義されてもよい。特許請求の範囲の文言は、特許請求の範囲に採用された文言に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書に記載された例又は本願の手続き中の例に限定されるものではなく、これらの例は、非排他的なものとして解釈されるべきである。