(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】金属シートダクト又はキャビティの絶縁用の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート
(51)【国際特許分類】
B32B 5/02 20060101AFI20240308BHJP
B32B 7/027 20190101ALI20240308BHJP
B32B 7/14 20060101ALI20240308BHJP
B32B 5/26 20060101ALI20240308BHJP
F16L 59/04 20060101ALI20240308BHJP
E04B 1/88 20060101ALI20240308BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20240308BHJP
C09J 7/40 20180101ALI20240308BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20240308BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
B32B5/02 B
B32B7/027
B32B7/14
B32B5/26
F16L59/04
E04B1/88 Z
C09J7/38
C09J7/40
C09J201/00
C09J133/00
(21)【出願番号】P 2021526427
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(86)【国際出願番号】 IB2019059979
(87)【国際公開番号】W WO2020104965
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-10-20
(32)【優先日】2018-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521204840
【氏名又は名称】クウェート インシュレイティング マテリアル マニュファクチャリング カンパニー エスエーケー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】マンハル アブドゥルラザック ジャウィーシュ
【審査官】大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0100458(US,A1)
【文献】特表2000-505734(JP,A)
【文献】特開平06-238798(JP,A)
【文献】特開平05-104691(JP,A)
【文献】特開2015-007193(JP,A)
【文献】特表2012-505978(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0047380(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0005620(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0126691(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0130389(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
C09J 1/00-201/10
F16L 59/00-59/22
G10K 11/00-13/00
E04B 1/62- 1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性自己接着ミネラルウールラミネートであって、
-第1の主面及び第2の主面を有するミネラルウール絶縁マット、
-前記ミネラルウール絶縁マットの前記第1の主面に積層されている第1のフェーシング、
-一方の接着面でミネラルウール絶縁マットの第2の主面に接着しており、かつ他方の接着面が感圧性接着剤でできており又は感圧性接着剤を有している、両面接着構造の第2のフェーシング、
を含み、
かつ
前記絶縁が、熱的に及び/又は音響的に絶縁することを指し、
前記ラミネートが、前記両面接着構造が複数の貫通孔を含むという事項によって特徴付けられている、
可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
【請求項2】
前記両面接着構造を被覆及び保護する剥離ライナーを更に含み、前記剥離ライナーも、複数の貫通孔を含み、その少なくとも一部が、前記両面接着構造の複数の貫通孔と重なっている、請求項1に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
【請求項3】
前記剥離ライナーの前記貫通孔が、前記両面接着構造の前記貫通孔と重なっ
ている、請求項2に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
【請求項4】
前記剥離ライナーの前記貫通孔が、前記両面接着構造の前記貫通孔と一致している、請求項2に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
【請求項5】
前記両面接着構造が、接着剤コーティングで両面がコーティングされており、その少なくとも1つが感圧接着剤コーティングである担
体である、請求項1~
4のいずれか一項に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
【請求項6】
前記両面接着構造が、ポリマー担体である、請求項5に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
【請求項7】
前記両面接着構造が、感圧接着
剤で作られたフィルムである、請求項1~
4のいずれか一項に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
【請求項8】
前記感圧接着剤が、ポリアクリル感圧接着剤である、請求項7に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
【請求項9】
感圧接着剤で作られた前記フィルムが、補強繊維構
造を更に含む、請求項
7又は8に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
【請求項10】
前記両面接着構造が、前記ミネラルウール絶縁マットの前記第2の主面に直接塗布された感圧接着剤の層である、請求項1~
6のいずれか一項に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
【請求項11】
前記両面接着構造の前記貫通孔の総表面積が、前記両面接着構造の総表面積の
0.05%~
70%を表す、請求項1~
10のいずれか一項に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
【請求項12】
前記両面接着構造の前記貫通孔の総表面積が、前記両面接着構造の総表面積の1%~60%を表す、請求項1~11のいずれか一項に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
【請求項13】
前記両面接着構造及び任意選択の前記剥離ライナーにおける前記貫通孔が、1mm~
10cmの平均相当直径を有する、請求項1~
12のいずれか一項に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
【請求項14】
前記両面接着構造及び任意選択の前記剥離ライナーにおける前記貫通孔が、3mm~2cmの平均相当直径を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
【請求項15】
前記両面接着構造における貫通孔の数及び任意選択の前記剥離ライナーにおける貫通孔の数が、1平方メートルあたり
5~100個で構成される、請求項1~
14のいずれか一項に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
【請求項16】
前記ミネラルウール絶縁マットは、EN823に準拠した厚さが15mm~
120mmである、請求項1~
15のいずれか一項に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
【請求項17】
前記ミネラルウール絶縁マットは、EN823に準拠した厚さが25~80mmである、請求項1~16のいずれか一項に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
【請求項18】
前記ミネラルウール絶縁マットが、8~
48kg/m
3
の密度を有する、請求項1~
17のいずれか一項に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
【請求項19】
前記ミネラルウール絶縁マットが、15~25kg/m
3
の密度を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
【請求項20】
前記第1のフェーシングが、織物、不織布、金属箔、及びプラスチックフィルムからなる群より選択される、
請求項1~19のいずれか一項に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
【請求項21】
前記第1のフェーシングがロールの外側にあるようにして、圧縮下で巻き上げられ、そして包装さ
れている、請求項1~
20のいずれか一項に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
【請求項22】
前記第1のフェーシングがロールの外側にあるようにして、圧縮下で巻き上げられ、そしてポリマーフィルム又はポリマーバッグに包装されている、請求項21に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
【請求項23】
金属シートダクト若しくはパイプ又は金属シートキャビティを熱的に及び/又は音響的に絶縁する方法であって、
前記第2のフェーシングの前記感圧接着剤面が前記ダクト
、パイプ又はキャビティと接触するようにして、請求項1~
22のいずれか一項に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネートを、前記ダクト、パイプ又はキャビティの表面に適用することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁HVACシステム(暖房、換気、及び空調)又はタンク等の金属シートキャビティに使用される、可撓性自己接着ミネラルウールラミネートに関する。
【背景技術】
【0002】
ダクト及び導管は、建物の暖房、換気、及び空調(HVAC)システムにおいて空気を運ぶために使用される。これらのダクトは一般に金属シートで形成されており、その結果、優れた熱的又は音響的特性を備えていない。金属シートで作られたこのようなダクト、導管及びその他のキャビティの熱的及び音響的絶縁を改善するために、ミネラルウールに基づく絶縁材料をそれに取り付けることが可能である。いくつかの用途では、可撓性ミネラルウールマットがダクト又は導管の外面に巻き付けられている。他の用途では、それらはダクト又は導管の内面に適用されている。ミネラルウールをベースにした可撓性絶縁材料はまた、水や工業用有機流体等(例えば石油又はガス)の液体を運ぶパイプを覆うのにも興味深いものである。
【0003】
可撓性ミネラルウール絶縁マットに基づくこれらのダクトライナー又はダクトラップに、マットの1つの主面に適用される感圧層、すなわちダクト又はキャビティの金属シートの表面と接触する面に適用される感圧層を提供することが知られている。感圧はが、非常に薄くてもよく、またメッシュ様の構造で適用されていてもよい。
【0004】
この感圧層は、特に、自己接着性のミネラルウールラミネートが積み重ねられた形又は巻かれた形で包装される場合、剥離ライナーで被覆及び保護されてもよい。
【0005】
ミネラルウールマットの他方の面を、ダクト又はキャビティの内気又は外気に接触しうるフェーシングで被覆することも知られている。このフェーシングは、例えば不織布のベール、フィルム又は金属箔である。それは、空気に対して不透過性であるか、又は空気に対してその透過性が少なくとも小さいかのいずれかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
出願人は、自己接着層が空気透過性の非常に低い又は空気透過性のない、任意選択で空気不透過性の剥離ライナーで被覆された接着構造である場合、
図1に示されているように、層間剥離を引き起こさずに製品を圧縮された状態で巻くことが不可能であったという問題に直面してきた。この層間剥離は、ミネラルウールマットの主面に平行な方向への空気の排出に起因していた。実際のところ、任意選択なライナーを有する自己接着性層及びマットの反対側のフェーシングの両方が、空気不透過性である又は空気透過性が低い場合、空気は、フェーシングを通してミネラルウールから排出することができない。
【0007】
この問題の解決策は、製品を非圧縮形式で包装するか、あるいは、ミネラル繊維間のバインダー結合を破壊することなく、排出された空気がミネラル繊維マットを通って非常にゆっくり流れることができるように、非常に遅い圧縮速度で製品を包装するかになる。当然、これらの解決策はいずれもコスト効果がなく、なぜなら、それらはそれぞれ、保管及び輸送される製品体積がより大きくなり、又は包装過程の望ましくない速度低下を暗示するからである。その結果、層間剥離なしに高い圧縮比率で、ロール形で高速包装を可能にする可撓性自己接着絶縁製品が依然として必要とされている。このような製品の利点は、包装工程での時間の節約と、圧縮包装された巻き上げ製品の比較的少ない保管及び輸送コストである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、接着剤層又はフェーシングを通って空気が迅速に逃げることを可能にする貫通孔、すなわちミネラルウールマットの主面に垂直な方向において空気が迅速に逃げることを可能にする貫通孔を、接着剤層又はフェーシング、及び任意選択の剥離ライナーが有する場合には、上述した接着性の可撓性ミネラルウールラミネートを、ロール状で高速圧縮工程において包装することが可能であるという発見に基づく。
【発明を実施するための形態】
【0009】
したがって、第1の対象は、以下を含む可撓性自己接着ミネラルウールラミネートであり:
-第1の主面及び第2の主面を有するミネラルウール絶縁マット、
-前記ミネラルウール絶縁マットの前記第1の主面に積層されている第1のフェーシング、
-一方の接着面でミネラルウール絶縁マットの第2の主面に接着しており、かつ他方の接着面が感圧性接着剤(PSA)でできており又は感圧性接着剤を有している、両面接着構造の第2のフェーシング、
前記ラミネートが、前記両面接着構造が複数の貫通孔を含むという事項によって特徴付けられている。
【0010】
本出願の他の対象は、金属シートダクト若しくはパイプ又は金属シートキャビティを熱的に及び/又は音響的に絶縁する方法であって、前記方法が、前記第2のフェーシングの前記感圧接着剤面が前記ダクト又はキャビティと接触するようにして、前記可撓性自己接着ミネラルウールラミネートを、前記ダクト、パイプ又はキャビティの表面に適用することを含む。
【0011】
本発明の自己接着ラミネートは、好ましくは、絶縁マットの第2の主面上の接着構造に適用された剥離ライナーを更に含む。このような剥離ライナーは、感圧接着剤の技術分野でよく知られている。それらは一般に、PSAの容易な剥離を可能にするシリコーンを備えた少なくとも1つの表面を含む。剥離ライナーは、存在する場合には、接着構造を被覆及び保護し、巻き上げられた状態で第1のフェーシングへの接着を防止する。
【0012】
言うまでもなく、接着性の第2のフェーシングを被覆する剥離ライナーはまた、複数の貫通孔を含み、その少なくとも一部は、両面接着構造の複数の貫通孔と重なっている。
【0013】
剥離ライナーは、必須ではない。実際のところ、外側の感圧接着剤は、第1のフェーシングに対して適度の接着強度を有している場合、それによって、第1のフェーシングの表面の露出面からそれをはがすことができ、そのような追加的な層を省略することができる。
【0014】
剥離ライナーは、接着構造の感圧接着剤が構造用接着剤、すなわち、2つの材料を不可逆的に一緒に結合させるために使用できる高い接着強度を有する接着剤である場合には、特に有用である。
【0015】
本発明の可撓性接着性ラミネートの好ましい実施形態では、剥離ライナーの貫通孔は、両面接着構造の貫通孔と重なっている。これは、ミネラルウール絶縁マットに適用する前又は後に、剥離ライナー及び接着構造のラミネートに孔を開けることによって達成できる。
【0016】
特に好ましい実施形態では、接着構造の貫通孔は、剥離ライナーの貫通孔と一致しており、これは、それらが同じ寸法を有し、剥離ライナーの各貫通孔が接着構造における対応する貫通孔と重なっていることを意味する。
【0017】
ラミネートの第2のフェーシングの異なる実施形態がある。一実施形態では、両面接着構造は、本質的に接着性ではない担体又は支持フィルムであるが、その両面に接着剤コーティングでコーティングされており、その少なくとも一方が感圧接着剤コーティングであるという担体又は支持フィルムを含む。
【0018】
担体は、想定される使用に適した任意の材料から作られてよい。それは、紙等のセルロース繊維、又は不織布の形で組み立てられたポリマー又はガラス繊維に基づくことができる。担体はまた、熱可塑性有機ポリマーに基づくフィルムでありうる。それは、エキスパンドフィルム(expanded film)、つまりフォームでありうる。
【0019】
両面粘着テープの担体を形成するポリマーは、ポリエステル、ポリ(塩化ビニル)、フルオロポリマー、ポリイミド、EPDM(エチレン/プロピレン/ジエンモノマー)、ポリウレタン、アクリレート、及びポリエチレン等のポリオレフィンからなる群より選択されうる。
【0020】
感圧接着剤(PSA)は、一般的に、支持体によって担持された薄層の形で存在する接着剤である。それは、接着結合される材料に、単純な接触及び圧力の適用によって、事実上即座に接着結合する。非常に高い接着性を有するPSAはいくつかあるが、PSAの大部分は、非構造的又は半構造的な接着剤とみなされており、つまり、接着剤の接着が可逆的である。PSAのガラス転移温度は、通常、想定される動作温度よりも大幅に低くなっている。したがって、周囲温度では、接着剤層を形成するポリマーネットワークは、粘弾性流体であり、ポリマー鎖の高い流動度は、実際には、接着剤と接着剤で結合される表面との間に多数の弱い結合(ファンデルワールス及び水素水素結合)を形成するために不可欠な条件である。
【0021】
PSAは、一般的に、それらの粘着性、それらの剥離強度及びそれらのせん断強度によって特徴付けられている。
【0022】
通常、感圧接着剤の3つの主な化学カテゴリーは区別される:
-エラストマーベースPSA、
-アクリルPSA及び
-シリコーンベースPSA。
【0023】
本発明の他の実施形態では、両面接着構造は、上述したような三層構造ではなく、感圧接着性ポリマーで作られた感圧接着フィルムからなる一層構造である。
【0024】
PSAフィルムそれ自体は、それらの低いガラス転移温度ゆえに、一般的に非常に柔らかい粘稠度(consistence)を有し、それらは好ましくは、有機繊維又はミネラル繊維、好ましくはガラス繊維で作られた補強繊維構造を含む。
【0025】
好ましい実施形態では、PSAフィルムは、アクリルポリマーで作られており、約0.02~0.3mm、より好ましくは約0.05~0.20mmの厚さを有する。それは、好ましくは、補強メッシュ又はスクリム、例えば、ガラス繊維メッシュ又はポリエステル若しくはPES/PVAスクリム、を含む。
【0026】
このようなPSAフィルムは、一般に、剥離ライナーと一緒にラミネートとして提供され、ミネラルウール絶縁マットの第2の主面にそのように直接適用することができる。貫通孔は、ラミネートを絶縁マットに適用する前又は後に、孔を開けることができる。
【0027】
このようなPSA/剥離ライナーラミネートは、例えば、レファレンス18242の下で、ベルギーの会社「オプションテープスペシャリティーズ」から購入することができる。
【0028】
自己接着ラミネートの第2のフェーシングを形成する両面接着構造の第3の実施形態では、接着構造は、ミネラルウール絶縁マットの第2の主面に直接塗布される感圧接着剤の層である。このような層は、好ましくは、例えば噴霧によって、流体ホルトメルト接着剤として塗布される。
【0029】
ホルトメルトPSAを流体の形で塗布するこの方法は、結果として、接着材料のミネラルウール絶縁マットへの浸透をもたらす可能性がある。流体接着剤の粘度は、浸透が絶縁マットの表層に制限されるように調整すべきである。この塗布方法はまた、完全に連続しておらず、そして多少の開気孔性を有しうる両面接着構造をもたらす可能性がある。これらの開いた細孔の数及び寸法は、しかしながら、好ましくは、包装プロセスの巻き上げ工程中に空気の自由通過を可能にするのに不十分である。
【0030】
接着構造及び任意選択の剥離層における貫通孔は、下にある絶縁マットの広い領域に空気が閉じ込められるのを防止するように、これらの層/フェーシングの全表面に規則的に分散されることが好ましい。貫通孔は、「島」を囲む接着表面の「海」に分布する「島」のようなものである。単位面積あたりの貫通孔の数は、勿論、貫通孔のサイズに依存する。貫通孔が小さいほど、それらの表面密度が高くなければならない。
【0031】
貫通孔の総表面積は、繊維絶縁マットの層間剥離を防ぐのに十分な空気が流れることを可能にするのに十分に大きく、かつ絶縁製品を金属表面にしっかりと接着させるのに十分に小さければ、かなり広い範囲で構成されうる。
【0032】
両面接着構造の貫通孔の総表面積は、両面接着構造の総表面積の、好ましくは約0.05%~約70%、より好ましくは約0.1~約65%、更により好ましくは約1%~約60%、なおより好ましくは約2%~約50%、そして特に約5~約25%を表す。両面接着構造の総表面積は、孔を開ける前の表面積であり、すなわち、開孔(「島」)及び開孔されていない領域(接着剤の「海」)の表面積である。
【0033】
両面接着構造及び任意選択の剥離ライナーにおける貫通孔は、好ましくは、1mm~10cm、好ましくは2mm~5cm、より好ましくは3mm~2cmの平均相当直径を有する。
【0034】
両面接着構造における貫通孔の数及び任意選択の剥離ライナーにおける貫通孔の数は好ましくは、1平方メートルあたり約5~100個、好ましくは1平方メートル約10~80個で構成される。
【0035】
接着構造及び任意選択の剥離ライナーを開孔する方法は、本発明にとって重要ではない。ミネラルウール絶縁マットに適用する前に実施する場合は、開孔は、例えばパンチング装置によって行うことができる。接着構造が絶縁マットに適用された後に開孔される場合は、開孔は、例えば、整列又は千鳥配置で規則的に離間された複数のスパイクを備えたロールによってインラインで行うことができる。スパイクは、ミネラルウール絶縁マットに少なくとも数ミリメートル貫入するのに十分な長さであることが好ましい。
【0036】
第1のフェーシングがミネラルウール絶縁マットの第1の主面に接着剤で結合されて、結果として、空気透過性がないか又は不十分であるフェーシングになる限り、第1のフェーシングの構造及び化学的性質は重要ではない。
【0037】
第1のフェーシングは、例えば、織物及び不織布からなる群より選択されてよく、例えば、ガラス繊維ファブリック、金属箔、特にアルミニウム箔、プラスチックフィルム、及びそれらの組み合わせから選択されてよい。
【0038】
ミネラルウール絶縁マットに第1のフェーシングを接着するために使用される接着剤は、水系接着剤、溶剤系接着剤、ホットメルト接着剤、熱可塑性接着剤及び熱硬化性接着剤から選択されてよい。
【0039】
任意の2つのフェーシングを適用する前のミネラルウール絶縁マットは、有利には、EN823に準拠した厚さが15mm~120mm、好ましくは20~100mm、より好ましくは25~80mmである。
【0040】
その密度は、有利には、8~48kg/m3、好ましくは約10~32kg/m3、より好ましくは15~25kg/m3で構成される。
【0041】
この明細書の導入部分で説明したように、接着構造(第2のフェーシング)及び任意選択の剥離ライナーにおける貫通孔は、自己接着ラミネートを巻き上げる形で高速圧縮包装することを可能にする。ラミネートは、好ましくは、第1のフェーシングがロールの外側にある状態で、圧縮下で巻き上げられる。次に、それが、保護フィルム又は容器、好ましくいはポリマーフィルム又はポリマーバッグに包装される。
本発明は、下記の態様を含む:
〈態様1〉
可撓性自己接着ミネラルウールラミネートであって、
-第1の主面及び第2の主面を有するミネラルウール絶縁マット、
-前記ミネラルウール絶縁マットの前記第1の主面に積層されている第1のフェーシング、
-一方の接着面でミネラルウール絶縁マットの第2の主面に接着しており、かつ他方の接着面が感圧性接着剤でできており又は感圧性接着剤を有している、両面接着構造の第2のフェーシング、
を含み、
前記ラミネートが、前記両面接着構造が複数の貫通孔を含むという事項によって特徴付けられている、
可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
〈態様2〉
前記両面接着構造を被覆及び保護する剥離ライナーを更に含み、前記剥離ライナーも、複数の貫通孔を含み、その少なくとも一部が、前記両面接着構造の複数の貫通孔と重なっている、態様1に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
〈態様3〉
前記剥離ライナーの前記貫通孔が、前記両面接着構造の前記貫通孔と重なっており、好ましくはそれらと一致している、態様2に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
〈態様4〉
前記両面接着構造が、接着剤コーティングで両面がコーティングされており、その少なくとも1つが感圧接着剤コーティングである担体、好ましくはポリマー担体である、態様1~3のいずれか一項に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
〈態様5〉
前記両面接着構造が、感圧接着剤、好ましくはポリアクリル感圧接着剤で作られたフィルムである、態様1~3のいずれか一項に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
〈態様6〉
感圧接着剤で作られた前記フィルムが、補強繊維構造、例えばメッシュ又はスクリムを更に含む、態様5に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
〈態様7〉
前記両面接着構造が、前記ミネラルウール絶縁マットの前記第2の主面に直接塗布された感圧接着剤の層である、態様1~3のいずれか一項に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
〈態様8〉
前記両面接着構造の前記貫通孔の総表面積が、前記両面接着構造の総表面積の約0.05%~約70%、好ましくは約0.1~約65%、より好ましくは約1%~約60%を表す、態様1~7のいずれか一項に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
〈態様9〉
前記両面接着構造及び任意選択の前記剥離ライナーにおける前記貫通孔が、1mm~10cm、好ましくは2mm~5cm、より好ましくは3mm~2cmの平均相当直径を有する、態様1~8のいずれか一項に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
〈態様10〉
前記両面接着構造における貫通孔の数及び任意選択の前記剥離ライナーにおける貫通孔の数が、1平方メートルあたり約5~100個、好ましくは1平方メートルあたり10~80個で構成される、態様1~9のいずれか一項に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
〈態様11〉
前記ミネラルウール絶縁マットは、EN823に準拠した厚さが15mm~120mm、好ましくは20~100mm、より好ましくは25~80mmである、態様1~10のいずれか一項に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
〈態様12〉
前記ミネラルウール絶縁マットが、8~48kg/m
3
、好ましくは約10~32kg/m
3
、より好ましくは15~25kg/m
3
の密度を有する、態様1~11のいずれか一項に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
〈態様13〉
前記第1のフェーシングが、織物、不織布、金属箔、及びプラスチックフィルムからなる群より選択される、可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
〈態様14〉
前記第1のフェーシングがロールの外側にあるようにして、圧縮下で巻き上げられ、そして包装され、好ましくはポリマーフィルム又はポリマーバッグに包装されている、態様1~13のいずれか一項に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネート。
〈態様15〉
金属シートダクト若しくはパイプ又は金属シートキャビティを熱的に及び/又は音響的に絶縁する方法であって、
前記第2のフェーシングの前記感圧接着剤面が前記ダクト又はキャビティと接触するようにして、態様1~14のいずれか一項に記載の可撓性自己接着ミネラルウールラミネートを、前記ダクト、パイプ又はキャビティの表面に適用することを含む、方法。