(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】装着突起上にトルク伝達面を有する切削ヘッド及びそのような切削ヘッドを有する回転切削工具
(51)【国際特許分類】
B23B 51/00 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
B23B51/00 T
(21)【出願番号】P 2021529407
(86)(22)【出願日】2019-12-02
(86)【国際出願番号】 IL2019051323
(87)【国際公開番号】W WO2020141502
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-10-27
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】シットリット,シモン
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0100784(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 51/00-51/14;
B23C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向前方向(DF)及び軸方向後方向(DR)を確立するヘッド軸(AH)を有する切削ヘッド(20)であって、前記切削ヘッド(20)は、回転方向(R1)で前記ヘッド軸(AH)回りに回転可能であり、
複数のN個のヘッド溝(28)と円周方向に交互である複数のN個の切削部分(26)を有するキャップ部分(22)、及び前記軸方向後方向(DR)に面するキャップ基部面(30)と、
前記キャップ部分(22)に接合し、前記キャップ基部面(30)から軸方向後方に延在する装着突起(24)と、を備え、前記装着突起(24)は、
前記キャップ部分(22)から遠位にあり、前記軸方向後方向(DR)に面する装着突起端面(52)と、
複数のN個の円周方向に離間する締付け部分(40)から軸方向にずれた、複数のN個の円周方向に離間するトルク部分(38)と、を備え、
各前記締付け部分(40)は、径方向外側に面する締付け面(42)を有し、
各前記トルク部分(38)は、径方向外側に延在するトルク突出部(44)と、前記トルク突出部(44)の円周方向に隣接し、トルク突出部(44)の後に回転す
る切欠き部(46)とを有し、各前記トルク突出部(44)は、前記回転方向(R1)の反対側に面するトルク伝達面(48)を有し、
前記ヘッド軸(AH)に直交し、前記複数の締付け部分(40)に交差する第1のヘッド平面(PH1)で取った第1の断面において、
締付け直径(DC)を有する仮想締付け円(CC)は、複数の締付け面(42)を囲み、
第1のヘッド平面(PH1)に平行であり、前記複数のトルク部分(38)に交差する第2のヘッド平面(PH2)で取った第2の断面において、
各前記トルク伝達面(48)は、前記仮想締付け円(CC)が規定する仮想締付け円筒体(SC)の外側に少なくとも部分的に位置し、
各前
記切欠き部(46)は、前記仮想締付け円筒体(SC)の内側に位置する凹面(50)を有
し、
各前記切欠き部(46)は、前記仮想締付け円筒体(SC)の内側で、前記装着突起(24)内に形成した凹部(53)を備え、
各前記凹部(53)は、前記凹部(53)の円周方向に隣接し前記凹部(53)の先に回転する前記トルク突出部(44)と、前記凹部(53)の円周方向に隣接し前記凹部(53)の後に回転するヘッド溝(28)との間に位置し、
各前記凹部(53)は、前記端面(52)に交差する、切削ヘッド(20)。
【請求項2】
各前記凹面(50)は、前記軸方向後方向(DR)で径方向内側に延在する、請求項1に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項3】
前記複数のトルク部分(38)は、前記複数の締付け部分(40)の軸方向後方に位置する、請求項1
又は2に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項4】
前記複数のトルク部分(38)は、前記複数のヘッド溝(28)によって円周方向に離間し、
前記複数の締付け部分(40)は、前記複数のヘッド溝(28)によって円周方向に離間する、請求項1~3のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項5】
各前記凹面(50)は、前記凹面(50)の円周方向に隣接し前記凹面(50)の後に回転するヘッド溝(28)に交差する、請求項4に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項6】
各前記締付け面(42)は、前記締付け面(42)の円周方向に隣接し前記締付け面(42)の後に回転するヘッド溝(28)に交差する、請求項4又は5に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項7】
前記第1のヘッド平面(PH1)で取った第1の断面において、各前記締付け面(42)は、前記仮想締付け円(CC)と一致する、請求項1~6のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項8】
前記第2のヘッド平面(PH2)で取った第2の断面において、
各前
記切欠き部(46)は、前記ヘッド軸(AH)を含む第1の径方向平面(PR1)内に含まれる径方向最内切り欠き点(N1)を有し、
各前記トルク伝達面(48)は、前記ヘッド軸(AH)を含む第2の径方向平面(PR2)内に含まれる径方向最外伝達点(N2)を有し、
各前記トルク部分(38)に関連する前記第1の径方向平面(PR1)及び前記第2の径方向平面(PR2)は、45度未満の第1のトルク鋭角(α1)を形成する、請求項1~7のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項9】
前記第2のヘッド平面(PH2)で取った第2の断面において、
各前
記切欠き部(46)は、最後尾で回転する切り欠き点(N3)を有し、
各前
記切欠き部(46)の前記径方向最内切り欠き点(N1)は、関連する最後尾で回転する切り欠き点(N3)と一致しない、請求項
8に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項10】
前記第2のヘッド平面(PH2)で取った前記第2の断面において、
前記複数の径方向最外伝達点(N2)は、第2のトルク直径(DT2)を有する仮想第2のトルク円(CT2)を規定し、
前記第2のトルク直径(DT2)は、前記締付け直径(DC)の110パーセントよりも大きい、請求項8又は9に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項11】
前記第2のヘッド平面(PH2)で取った前記第2の断面において、
前記複数の径方向最内切り欠き点(N1)は、第1のトルク直径(DT1)を有する仮想第1のトルク円(CT1)を規定し、
前記第1のトルク直径(DT1)は、前記締付け直径(DC)の70パーセント未満である、請求項
8~10のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項12】
各前記トルク突出部(44)は、前記軸方向後方向(DR)の反対側の前記軸方向前方向(DF)に面する軸方向停止体面(54)を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項13】
回転切削工具(56)であって、前記回転切削工具(56)は、
シャンク軸(AS)に沿って延在し、前端(62)にヘッド受入れポケット(60)を有する工具シャンク(58)と、
請求項1~
12のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)と
を組合せで備え、前記切削ヘッド(20)は、前記工具の組立て位置において前記ヘッド受入れポケット(60)に解放可能に固着される、回転切削工具(56)。
【請求項14】
前記工具シャンクの前端(62)は、前記シャンク軸(AS)を横断するシャンク支持面(64)を有し、前記ヘッド受入れポケット(60)は、前記シャンク支持面(64)内に形成され、
前記工具の組立て位置において、
前記キャップ基部面(30)は、前記シャンク支持面(64)に面し、
前記ヘッド軸(AH)は、前記シャンク軸(AS)と一致し、
各前記締付け面(42)は、前記ヘッド受入れポケット(60)の対応する径方向内向き当接面(72)と接触し、
各前記トルク伝達面(48)は、前記回転方向(R1)で面する前記ヘッド受入れポケット(60)の対応する駆動面(74)と接触する、請求項
13に記載の回転切削工具(56)。
【請求項15】
各前記駆動面(74)は、前記ヘッド受入れポケット(60)の径方向に延在するリブ部分(78)上に配設され、
各前記リブ部分(78)は、前
記切欠き部(46)の1つを占める、請求項
14に記載の回転切削工具(56)。
【請求項16】
各前記リブ部分(78)は、細長いリブ面(80)を有し、前記細長いリブ面(80)は、前記切削ヘッド(20)の前記仮想締付け円筒体(SC)の内側に位置する、請求項15に記載の回転切削工具(56)。
【請求項17】
各前記細長いリブ面(80)は、前記細長いリブ面(80)が占める前
記切欠き部(46)の前記凹面(50)から離間する、請求項
16に記載の回転切削工具(56)。
【請求項18】
各前記細長いリブ面(80)は、前記軸方向後方向(DR)で径方向内側に延在する、請求項
16又は17に記載の回転切削工具(56)。
【請求項19】
前記工具シャンク(58)は、複数のN個のシャンク溝(66)を有し、前記シャンク溝(66)は、前記シャンク軸(AS)に沿ってらせん状に延在し、前記シャンク支持面(64)に交差し、
各前記細長いリブ面(80)は、前記シャンク溝(66)の1つに交差する、請求項
16~18のいずれか1項に記載の回転切削工具(56)。
【請求項20】
各前記当接面(72)は、前記ヘッド受入れポケット(60)の円周方向に延在する棚部分(82)上に配設され、
前記複数の棚部分(82)は、前記複数のリブ部分(78)の軸方向前方に位置する、請求項
15~19のいずれか1項に記載の回転切削工具(56)。
【請求項21】
各前記棚部分(82)は、前記軸方向後方向(DR)に面する軸方向停止面(84)を有する、請求項20に記載の回転切削工具(56)。
【請求項22】
各前記トルク突出部(44)は、軸方向停止体面(54)を有し、
各前記軸方向停止面(84)は、前記軸方向停止体面(54)の1つに面する、請求項21に記載の回転切削工具(56)。
【請求項23】
軸方向前方向(DF)及び軸方向後方向(DR)を確立するヘッド軸(AH)を有する切削ヘッド(20)であって、前記切削ヘッド(20)は、回転方向(R1)で前記ヘッド軸(AH)回りに回転可能であり、
複数のN個のヘッド溝(28)と円周方向に交互である複数のN個の切削部分(26)を有するキャップ部分(22)、及び前記軸方向後方向(DR)に面するキャップ基部面(30)と、
前記キャップ部分(22)に接合し、前記キャップ基部面(30)から軸方向後方に延在する装着突起(24)と、を備え、前記装着突起(24)は、
前記キャップ部分(22)から遠位にあり、前記軸方向後方向(DR)に面する装着突起端面(52)と、
それぞれが径方向外側に面する締付け面(42)を有する複数のN個の円周方向に離間する締付け部分(40)であって、前記ヘッド軸(AH)に直交し、前記複数の締付け部分(40)に交差する第1のヘッド平面(PH1)で取った第1の断面において、締付け直径(DC)を有する仮想締付け部分(CC)は、前記複数の締付け面(42)を囲む、締付け部分(40)と、
前記複数のN個の円周方向に離間する締付け部分(40)から軸方向にずれ、それぞれが径方向外側に延在するトルク突出部(44)を有する複数のN個の円周方向に離間するトルク部分(38)であって、前記トルク突出部(44)は、前記回転方向(R1)の反対側に面するトルク伝達面(48)を備え、前記第1のヘッド平面(PH1)に平行であり前記複数のトルク部分(38)に交差する第2のヘッド平面(PH2)で取った第2の断面において、各前記トルク伝達面(48)は、前記仮想締付け円(CC)が規定する仮想締付け円筒体(SC)の外側に少なくとも部分的に位置する、トルク部分(38)と、
前記仮想締付け円筒体(SC)の内側に形成され、前記端面(52)に開口する複数のN個の凹部(53)と、を備え、
各前記凹部(53)は、前記凹部(53)の円周方向に隣接し先に回転するトルク突出部(44)と、前記凹部(53)の円周方向に隣接し前記凹部(53)の後に回転するヘッド溝(28)との間に位置し、
前記トルク部分(38)は、前記締付け部分(40)よりも前記端面(52)の近くに位置する、切削ヘッド(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属切削加工全般、特に、穿孔作業に使用する、装着突起上にトルク伝達面を有する切削ヘッド、及びそのような切削ヘッドを有する回転切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
穿孔作業で使用される切削工具の分野において、切削ヘッドが、装着突起上にトルク伝達面を有する回転切削工具のいくつかの例がある。
【0003】
米国特許第6,582,164号は、前端と後端とを有する取外し可能先端部を開示している。前端は、2つのチップ溝が円周方向に交互である2つの切削部分を有し、後端は、シャフトによって規定され、シャフトは、ドリル本体の接続穴に挿入されるように適合され、雄ねじ部を有し、雄ねじ部は、直径方向に対向し、シャフトから延在する。各雄ねじ部は、漸減する半径を有し、駆動面を規定し、この駆動面は、ドリル本体の対応する雌ねじ部の駆動面と協働し、ドリル本体と取外し可能先端部との間の回転力を伝達する。
【0004】
米国特許第10,071,430号は、モジュール式回転工具内の支持部に挿入するように形成された切削ヘッドを開示している。切削ヘッドは、その外周上にトルク面と締付け面とを有する結合ピンを有する。結合ピンは、前ピン部及び後ピン部に分割される。前ピン部は、円周方向溝によって規定される。軸方向引抜き安全対策のための停止面は、2つの前ピン部と後ピン部との間の移行領域内に形成される。トルク面及び締付け面は、異なるピン部内に配置される。締付け面は、好ましくは、前ピン部上に形成され、トルク面は、好ましくは、後ピン部内に形成される。
【0005】
装着突起上にトルク伝達面を有する改善された切削ヘッドを提供することが本発明の目的である。
【0006】
切削ヘッドの切削部分を最適に配置可能にすることも本発明の目的である。
【0007】
工具シャンクと切削ヘッドとの間の効率的で安定したトルク伝達を可能にすることは、本発明の更なる目的である。
【発明の概要】
【0008】
本発明によれば、軸方向前方向及び軸方向後方向を確立するヘッド軸を有する切削ヘッドが提供され、切削ヘッドは、ある回転方向でヘッド軸回りに回転可能であり、
複数のN個のヘッド溝と円周方向に交互である複数のN個の切削部分を有するキャップ部分、及び軸方向後方向に面するキャップ基部面と、
キャップ部分に接合し、キャップ基部面から軸方向後方に延在する装着突起と、を備え、装着突起は、
キャップ部分から遠位にあり、軸方向後方向に面する端面と、
複数のN個の円周方向に離間する締付け部分から軸方向にずれた、複数のN個の円周方向に離間するトルク部分と、を備え、
各締付け部分は、径方向外側に面する締付け面を有し、
各トルク部分は、径方向外側に延在するトルク突出部と、トルク突出部の円周方向に隣接し、トルク突出部の後に回転するトルク切欠き部とを有し、各トルク突出部は、回転方向の反対側に面するトルク伝達面を有し、
ヘッド軸に直交し、複数の締付け部分に交差する第1のヘッド平面で取った第1の断面において、
締付け直径を有する仮想締付け円は、複数の締付け面を囲み、
第1のヘッド平面に平行であり、複数のトルク部分に交差する第2のヘッド平面で取った第2の断面において、
各トルク伝達面は、仮想締付け円が規定する仮想締付け円筒体の外側に少なくとも部分的に位置し、
各トルク切欠き部は、仮想締付け円筒体の内側に位置する凹面を有する。
【0009】
また、本発明によれば、シャンク軸に沿って延在する工具シャンクと、上記した種類の切削ヘッドとを備える回転切削工具を提供し、切削ヘッドは、切削ヘッドの前端において、工具シャンクのヘッド受入れポケットに解放可能に固着される。
【0010】
切削工具において、シャンクの前端は、シャンク軸を横断するシャンク支持面を有し、ヘッド受入れポケットは、シャンク支持面内に形成され、
組立て位置において、
キャップ基部面は、シャンク支持面に面し、
ヘッド軸は、シャンク軸と一致し、
各締付け面は、ヘッド受入れポケットの対応する径方向内向き当接面と接触し、
各トルク伝達面は、回転方向に面するヘッド受入れポケットの対応する駆動面と接触する。
【0011】
次に、より良好に理解するため、単に例として、添付の図面を参照しながら本発明を説明する。図面において、一点鎖線は、部材を部分的に見る切断部の境界を表す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のいくつかの実施形態による切削ヘッドの第1の斜視図である。
【
図2】本発明のいくつかの実施形態による切削ヘッドの第2の斜視図である。
【
図4】
図3に示す切削ヘッドの線IV-IVに沿って取った断面図である。
【
図5】
図3に示す切削ヘッドの線V-Vに沿って取った断面図である。
【
図7】本発明のいくつかの実施形態による回転切削工具の分解斜視図である。
【
図9】本発明のいくつかの実施形態による工具シャンクの端面図である。
【
図10】線X-Xに沿って取った
図9に示す工具シャンクの断面図である。
【
図12】
図8に示す回転切削工具の線XII-XIIに沿って取った断面図である。
【
図13】
図8の回転切削工具の線XIII-XIIIに沿って取った断面図である。
【
図14】
図8に示す回転切削工具の線XIV-XIVに沿って取った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1の態様は、回転方向R1でヘッド軸AH回りに回転可能な切削ヘッド20に関する。ヘッド軸AHは、切削ヘッド20の軸方向前方向DF及び軸方向後方向DRを確立する。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態では、切削ヘッド20は、好ましくは、炭化タングステン等の超硬合金の成形プレス及び焼結によって製造することができ、被覆しても、被覆しなくてもよい。
【0015】
図1~
図5に示すように、切削ヘッド20は、キャップ部分22と、キャップ部分22に接合する装着突起24と、を備える。
【0016】
キャップ部分22は、複数のN個のヘッド溝28と円周方向に交互である複数のN個の切削部分26と、軸方向後方向DRに面するキャップ基部面30とを有する。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態では、各切削部分26は、径方向に延在する切れ刃32を有することができ、各ヘッド溝28は、関連する切れ刃32の一部分に隣接するウェブ・シンニング領域34を有することができる。
【0018】
また、本発明のいくつかの実施形態では、各切削部分26は、軸方向に延在するリーディング・エッジ36を有することができ、キャップ部分22は、複数のリーディング・エッジ36によって規定される切削直径DCUを有することができる。
【0019】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、キャップ基部面30は、ヘッド軸AHに直交することができる。
【0020】
また更に、本発明のいくつかの実施形態では、キャップ基部面30は、N個の円周方向に離間するキャップ基部副面30aを有することができる。
【0021】
図1及び
図3に示すように、装着突起24は、キャップ基部面30から軸方向後方に延在し、複数のN個の円周方向に離間するトルク部分38を有し、トルク部分38は、複数のN個の円周方向に離間する締付け部分40から軸方向にずれる。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態では、複数のトルク部分38は、複数の締付け部分40の軸方向後方に位置することができる。
【0023】
また、本発明のいくつかの実施形態では、装着突起24は、ヘッド軸AH回りにN回の回転対称を呈することができる。
【0024】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、Nは、3に等しい整数、即ち、N=3である。
【0025】
図3及び
図4に示すように、各締付け部分40は、径方向外側を向く締付け面42を有する。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態では、各締付け面42は、凸形とすることができる。
【0027】
図4に示すように、ヘッド軸AHに直交し、複数の締付け部分40に交差する第1のヘッド平面PH1で取った第1の断面において、締付け直径DCを有する仮想締付け円CCは、複数の締付け面42を囲む。
【0028】
また、
図4に示すように、第1のヘッド平面PH1で取った第1の断面において、各締付け面42は、仮想締付け円CCと一致することができる。
【0029】
第1のヘッド平面PH1で取った第1の断面において、複数の締付け部分40のいずれも仮想締付け円CCの外側に延在することがないことに了解されたい。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態では、複数の締付け部分40は、複数のヘッド溝28によって円周方向に離間することができる。
【0031】
また、本発明のいくつかの実施形態では、各締付け面42は、円周方向に隣接し先に回転するヘッド溝28に交差することができる。
【0032】
図3及び
図5に示すように、各トルク部分38は、径方向外側に延在するトルク突出部44と、円周方向に隣接し後に回転するトルク切欠き部46とを有する。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態では、複数のトルク部分38は、複数のヘッド溝28によって円周方向に離間することができる。
【0034】
図2及び
図5に示すように、各トルク突出部44は、回転方向R1の反対に面するトルク伝達面48を有する。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態では、各トルク伝達面48は、平坦とすることができる。
【0036】
キャップ部分22とは対照的に、複数のトルク伝達面48が装着突起24上に配設されるように構成することによって、有利には、例えば切削チップの展開及び切削チップの流れに関して、複数の切削部分26及びウェブ・シンニング領域34を最適に配置することを可能にし、工具シャンクと切削ヘッドのキャップ部分22との間にトルクを伝達するのに更なる空間を設ける必要がない。
【0037】
キャップ部分22がより小さい切削直径を有すること、及び切削ヘッド20が2よりも大きいNの値を有する、即ちN>2であるため、複数の切削部分26及び複数のヘッド溝28を最適に配置することの意義は、より大きいことを了解されたい。
【0038】
本発明によれば、
図5に示すように、第1のヘッド平面PH1に平行であり、複数のトルク部分38に交差する第2のヘッド平面PH2で取った第2の断面において、各トルク伝達面48は、仮想締付け円CCによって規定される仮想締付け円筒体SCの外側に少なくとも部分的に位置し、各トルク切欠き部46は、仮想締付け円筒体SCの内側に位置する凹面50を有する。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態では、仮想締付け円筒体SCは、ヘッド軸AHに平行に延在する仮想外周面IPを有することができ、各締付け面42は、仮想外周面IPと一致することができる。
【0040】
また、本発明のいくつかの実施形態では、各トルク伝達面48は、仮想締付け円筒体SCの外側に全体的に位置することができる。
【0041】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、各凹面50は、軸方向後方向DRで径方向内側に延在することができる。
【0042】
また更に、本発明のいくつかの実施形態では、各凹面50は、円周方向に隣接し後に回転するヘッド溝28に交差することができる。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態では、各凹面50は、円周方向に隣接し先に回転するトルク伝達面48から円周方向に離間する、したがって、トルク伝達面48に交差することがないことを了解されたい。
【0044】
図5及び
図6に示すように、第2のヘッド平面PH2で取った第2の断面において、各トルク切欠き部46は、ヘッド軸AHを含む第1の径方向平面PR1内に含まれる径方向最内切り欠き点N1を有し、各トルク伝達面48は、ヘッド軸AHを含む第2の径方向平面PR2内に含まれる径方向最外伝達点N2を有する。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態では、各トルク部分38に関連する第1の径方向平面PR1及び第2の径方向平面PR2は、45度未満の第1のトルク鋭角α1を形成することができる。
【0046】
また、本発明のいくつかの実施形態では、
図5及び
図6に示すように、第2のヘッド平面PH2で取った第2の断面において、各トルク伝達面48は、第2の径方向平面PR2と共にゼロ又は30度未満の第2のトルク鋭角α2を形成することができる。
【0047】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、
図5及び
図6に示すように、第2のヘッド平面PH2で取った第2の断面において、各トルク伝達面48は、関連する第2の径方向平面PR2に面することができる。そのような実施形態では、各トルク伝達面48の全体は、径方向最外伝達点N2を除き、関連する第2の径方向平面PR2の前に回転するように位置することができる。
【0048】
各トルク伝達面48が、第2の径方向平面PR2に対してゼロ又は30度未満の第2のトルク鋭角α2を形成する本発明の実施形態の場合、工具シャンクと切削ヘッド20との間の効率的なトルク伝達を可能にする。
【0049】
トルク伝達の効率は、切削ヘッド20が2よりも大きいNの値を有する、即ちN>2であるため、改善されることを了解されたい。
【0050】
図5に示すように、第2のヘッド平面PH2で取った第2の断面において、複数の径方向最内切り欠き点N1は、第1のトルク直径DT1を有する仮想第1のトルク円CT1を規定する。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態では、第1のトルク直径DT1は、締付け直径DCの70パーセント未満、即ち、DT1<DC×0.70とすることができる。
【0052】
また、
図5に示すように、第2のヘッド平面PH2で取った第2の断面において、複数の径方向最外伝達点N2は、第2のトルク直径DT2を有する仮想第2のトルク円CT2を規定する。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態では、第2のトルク直径DT2は、締付け直径DCの110パーセントよりも大きい、即ち、DT2<DC×1.10とすることができる。
【0054】
第2のトルク直径DT2が締付け直径DCの110パーセントよりも大きい本発明の実施形態の場合、工具シャンクと切削ヘッド20との間の安定したトルク伝達を可能にする。
【0055】
トルク伝達の安定性は、切削ヘッド20が2よりも大きいNの値を有する、即ちN>2であるために改善されることを了解されたい。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態では、第2のトルク直径DT2は、切削直径DCUの60パーセントよりも大きい、即ち、DT2>DCU×0.60とすることができる。
【0057】
第2のトルク直径DT2が切削直径DCUの60パーセントよりも大きい本発明の実施形態の場合、工具シャンクと切削ヘッド20との間の効率的なトルク伝達を可能にする。
【0058】
トルク伝達の効率は、切削ヘッド20が2よりも大きいNの値を有する、即ちN>2であるために改善されることを了解されたい。
【0059】
図5に示すように、第2のヘッド平面PH2で取った第2の断面において、各トルク切欠き部46は、最後尾で回転する切り欠き点N3を有する。
【0060】
また、
図5に示すように、第2のヘッド平面PH2で取った第2の断面において、それぞれの最後尾で回転する切り欠き点N3は、各トルク切欠き部46と、その円周方向に隣接し後に回転するヘッド溝28との交線に形成される。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態では、各トルク切欠き部46の径方向最内切り欠き点N1は、関連する最後尾で回転する切り欠き点N3と一致しなくてもよい。
【0062】
図1及び
図3に示すように、装着突起24は、端面52を有することができ、端面52は、キャップ部分22から遠位であり、軸方向後方向DRに面する。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態では、各端面52は、ヘッド軸AHに直交することができる。
【0064】
また、本発明のいくつかの実施形態では、各凹面50は、端面52に交差することができる。
【0065】
図1、
図5及び
図6に示すように、複数のN個の凹部53は、仮想締付け円筒体SCの内側で装着突起24内に形成され、各凹部53は、円周方向に隣接し先に回転するトルク突出部44と、円周方向に隣接し後に回転するヘッド溝28との間に位置する。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態では、各凹部53は、端面52に開口することができる。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態では、各凹部53は、トルク切欠き部46の1つと対応し得ることを了解されたい。
【0068】
図2及び
図3に示すように、各トルク突出部44は、軸方向前方向DFに面する軸方向停止体面54を有する。
【0069】
軸方向前方向DFは、軸方向後方向DRの反対側であることを了解されたい。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態では、各軸方向停止体面54は、ヘッド軸AHに直交することができる。
【0071】
また、本発明のいくつかの実施形態では、各軸方向停止体面54は、関連するトルク伝達面48より先に回転する状態で配設することができる。
【0072】
図3に示すように、端面52は、第1の距離DS1でキャップ基部面30の軸方向後方に位置することができ、各軸方向停止体面54は、第2の距離DS2で端面52の軸方向前方に位置することができる。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態では、第2の距離DS2は、軸方向距離DS1の半分よりも大きい、即ち、DS2>DS1×0.50とすることができる。
【0074】
また、本発明のいくつかの実施形態では、各トルク伝達面48は、第2の距離DS2の80パーセントよりも大きい軸方向範囲EA、即ち、EA>DS2×0.80を有することができる。
【0075】
軸方向範囲EAが第2の距離DS2の80パーセントよりも大きい本発明の実施形態の場合、工具シャンクと切削ヘッド20との間の効率的なトルク伝達を可能にする。
【0076】
図7及び
図8に示すように、本発明の第2の態様は、回転切削工具56に関し、回転切削工具56は、シャンク軸ASに沿って延在する工具シャンク58と、工具シャンク58のヘッド受入れポケット60に、ヘッド受入れポケット60の前端62において解放可能に固着する切削ヘッド20とを有する。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態では、工具シャンク58は、好ましくは、工具鋼から製造することができる。
【0078】
また、いくつかの実施形態では、切削ヘッド20は、ヘッド受入れポケット60に解放可能に固着することができ、締付けねじ等の更なる締付け部材を必要としない。
【0079】
図9及び
図10に示すように、前端62は、シャンク軸ASを横断するシャンク支持面64を有し、ヘッド受入れポケット60は、シャンク支持面64内に形成される。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態では、シャンク支持面64は、シャンク軸ASに直交することができる。
【0081】
また、本発明のいくつかの実施形態では、シャンク支持面64は、工具シャンク58の軸方向最前シャンク点N4を含むことができる。
【0082】
図7及び
図9に示すように、工具シャンク58は、複数のN個の円周方向に離間するシャンク溝66を有することができ、シャンク溝66は、シャンク軸ASに沿ってシャンクの前端62から延在する。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態では、複数のN個のシャンク溝66は、複数のN個のシャンク・ランド68と円周方向に交互とすることができ、各シャンク溝66は、シャンク軸ASに沿ってらせん状に延在することができる。
【0084】
また、本発明のいくつかの実施形態では、複数のN個のシャンク溝66は、ヘッド受入れポケット60と連通することができる。
【0085】
複数のN個のシャンク溝66がヘッド受入れポケット60と連通する本発明の実施形態の場合、複数のN個の円周方向に離間するシャンク突出部70を形成することができる。
【0086】
また、複数のN個のシャンク溝66がヘッド受入れポケット60と連通する本発明の実施形態の場合、シャンク支持面64は、複数のN個の円周方向に離間するシャンク支持副面64aを有することができ、各シャンク支持副面64aは、シャンク突出部70の1つの上に配設される。
【0087】
図8及び
図11~
図14に示すように、回転切削工具56の組立て位置において、
キャップ基部面30は、シャンク支持面64に面し、
ヘッド・シャンク軸AHは、シャンク軸ASと一致し、
各締付け面42は、ヘッド受入れポケット60の対応する径方向内向き当接面72と接触し、
各トルク伝達面48は、回転方向R1で面するヘッド受入れポケット60の対応する駆動面74と接触する。
【0088】
ヘッド受入れポケット60及びシャンク溝66は、複数のシャンク突出部70が弾性的に変位可能であり、複数の締付け面42が複数の当接面72に対して弾性的に保持されるように構成し得ることを了解されたい。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態では、キャップ基部面30は、シャンク支持面64と接触することができる。
【0090】
シャンク支持面64が、工具シャンク58の軸方向最前シャンク点N4を含む本発明の実施形態の場合、工具シャンク58には、切削ヘッドのキャップ基部面30の軸方向前方に延在する部分がない。
【0091】
切削ヘッドのキャップ部分22の軸方向後方に駆動面74を配置することによって、有利には、シャンク突出部70上の切削チップ流によって招かれる摩耗レベルを低減させる。シャンク突出部70は、超硬合金よりも小さい硬度を有する工具鋼から製造することができる。
【0092】
図8~
図10に示すように、ヘッド受入れポケット60は、軸方向前方向DFに面する底面76を有する。
【0093】
本発明のいくつかの実施形態では、底面76は、複数のシャンク溝66に交差することができる。
【0094】
また、本発明のいくつかの実施形態では、装着突起の端面52は、底面76から離間することができる。
【0095】
図9及び
図10に示すように、各駆動面74は、ヘッド受入れポケット60の径方向延在リブ部分78上に配設することができる。
【0096】
図13及び
図14に示すように、シャンク軸ASに直交し複数のリブ部分78に交差する第1のシャンク平面PS1及び第2のシャンク平面PS2で取った断面において、複数のトルク伝達面48は、複数の駆動面74と接触する。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態では、第2のシャンク平面PS2は、第2のヘッド平面PH2と一致することができる。
【0098】
図13及び
図14に示すように、各リブ部分78は、装着突起のトルク切欠き部46の1つを占めることができる。
【0099】
複数のリブ部分78は、ヘッド受入れポケット60に必要な剛性及び強度をもたらし、複数のトルク切欠き部46は、複数のリブ部分78を収容するのに必要な空間をもたらすことを了解されたい。
【0100】
用語「占める(occupy又はoccupies)」の使用は、明細書及び特許請求の範囲の全体にわたって、部分的な占有、例えば、各リブ部分78の一部が装着突起のトルク切欠き部46の1つを占める構成を含むことにも了解されたい。
【0101】
図13及び
図14に示すように、各リブ部分78は、仮想締付け円筒体SCの内側に位置する細長いリブ面80を有することができる。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態では、細長い各リブ面80は、細長いリブ面80が占めるトルク切欠き部46の凹面50から離間することができる。
【0103】
複数の細長いリブ面80が複数の凹面50から離間する本発明の実施形態の場合、複数の細長いリブ面80は、切削ヘッドの装着突起24と接触せず、複数の凹面50は、工具シャンクのヘッド受入れポケット60と接触しない。
【0104】
図9及び
図10に示すように、細長い各リブ面80は、軸方向後方向DRで径方向内側に延在することができる。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態では、細長い各リブ面80は、シャンク溝66の1つに交差することができる。
【0106】
図13及び
図14に示すように、第1のシャンク平面PS1で取った断面において、各リブ面80は、第1の円周方向範囲EC1を有し、第2のシャンク平面PS2で取った断面において、各リブ面80は、第2の円周方向範囲EC2を有する。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態では、第2のシャンク平面PS2は、第1のシャンク平面PS1の軸方向後方に位置することができ、第2の円周方向範囲EC2は、第1の円周方向範囲EC1よりも大きくてよい。
【0108】
第2の円周方向範囲EC2が第1の円周方向範囲EC1よりも大きい本発明の実施形態の場合、複数のリブ部分78は、有利に頑強である。
【0109】
図9及び
図10に示すように、各当接面72は、ヘッド受入れポケット60の円周方向に延在する棚部分82上に配設することができ、複数の棚部分82は、複数のリブ部分78の軸方向前方に位置することができる。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態では、各シャンク支持副面64aは、当接面72の1つに隣接する棚部分82の1つの上に配設することができる。
【0111】
図12に示すように、シャンク軸ASに直交し、複数の棚部分82に交差する第3のシャンク平面PS3で取った断面において、複数の締付け面42は、複数の当接面72と接触する。
【0112】
本発明のいくつかの実施形態では、第3のシャンク平面PS3は、第1のヘッド平面PH1と一致することができる。
【0113】
図10及び
図11に示すように、各棚部分82は、軸方向後方向DRに面する軸方向停止面84を有する。
【0114】
本発明のいくつかの実施形態では、各軸方向停止面84は、当接面72の1つに隣接して配設することができる。
【0115】
また、本発明のいくつかの実施形態では、各軸方向停止面84は、切削ヘッドの軸方向停止体面54の1つに面することができる。
【0116】
図11に示すように、各軸方向停止体面54は、軸方向間隙G1によって、関連する軸方向停止面84から離間することができる。
【0117】
本発明のいくつかの実施形態では、軸方向間隙G1は、0.3mm未満である、即ち、G1<0.3mmとすることができる。
【0118】
過剰な軸方向の「引っ張り」力が切削ヘッド20に作用する例の場合、キャップ基部面30が、シャンク支持面64と接触したままではないことがあり、複数の軸方向停止体面54は、複数の軸方向停止面84と接触することができ、こうして、切削ヘッド20が工具シャンク58から外れないようにすることを了解されたい。したがって、軸方向停止面84は、切削ヘッド20が工具シャンク58から外れないように構成した、引抜き防止体として集合的に働く。
【0119】
本発明のいくつかの実施形態では、複数の当接面72に接触する複数の締付け面42、複数の駆動面74に接触する複数のトルク伝達面48、及びシャンク支持面64に接触するキャップ基部面30、又は複数の軸方向停止面84に接触する複数の軸方向停止体面54の他に、切削ヘッド20と工具シャンク58との間の接触がなくてよいことにも了解されたい。
【0120】
本発明は、回転切削工具56を組み立てる方法に更に関し、方法は、
a)シャンク支持面64に面するようにキャップ基部面30を向けるステップと、
b)ヘッド軸AHとシャンク軸ASとを整合するステップと、
c)複数のトルク突出部44と複数のシャンク溝66とを回転整合するステップと、
d)装着突起24をヘッド受入れポケット60に挿入するステップと、
e)複数の締付け面42が複数の当接面72に対して保持され、複数のトルク伝達面48が複数の駆動面74と接触するまで、回転方向R1とは反対のヘッド軸AH回りに切削ヘッド20を回転させるステップと、を含む。
【0121】
本発明のいくつかの実施形態では、工具組立てのステップd)において、装着突起24は、キャップ基部面30がシャンク支持面64に接触するまでヘッド受入れポケット60に挿入することができる。
【0122】
図1、
図3及び
図4に示すように、各締付け部分40は、締付け案内面86を有することができ、締付け案内面86は、関連する締付け面42に円周方向に隣接し、締付け面42の後に回転する。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態では、各締付け案内面86は、回転方向R1の反対方向で径方向内側に先細にすることができる。
【0124】
また、本発明のいくつかの実施形態では、各締付け案内面86は、締付け案内面86に円周方向に隣接し締付け案内面86の後に回転するヘッド溝28に交差することができる。
【0125】
締付け案内面86を各締付け部分42上に設けることにより、工具組立てステップe)を容易にし、複数の締付け部分40と複数の棚部分82との間の意図しないひっかかりを防止することを了解されたい。
【0126】
本発明は、ある程度の詳細まで説明しているが、以下で請求する本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく様々な代替形態及び修正形態を行い得ることを理解されたい。