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特許7450624使い捨て不織布衛生用品を構成するための新たなホットメルト接着剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】使い捨て不織布衛生用品を構成するための新たなホットメルト接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 123/16 20060101AFI20240308BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20240308BHJP
   C09J 5/06 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
C09J123/16
C09J11/08
C09J5/06
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021535624
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 EP2019083675
(87)【国際公開番号】W WO2020126506
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】18306755.2
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501305888
【氏名又は名称】ボスティク エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ユサン, ナジ
(72)【発明者】
【氏名】コマール, ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】デロリー, ベネディクト
(72)【発明者】
【氏名】マンジェント, マガリ
【審査官】藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特許第5685317(JP,B2)
【文献】特表2014-514390(JP,A)
【文献】特表2017-538806(JP,A)
【文献】特表2019-508521(JP,A)
【文献】特開平2-199144(JP,A)
【文献】国際公開第2008/007575(WO,A1)
【文献】特表2019-523315(JP,A)
【文献】特表2021-502452(JP,A)
【文献】国際公開第2017/123874(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00- 7/26
C08L23/00- 23/36
C09J 1/00- 5/10
C09J 7/00- 7/50
C09J 9/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 100,000Da未満の重量平均分子量(Mw)をそれぞれ有する、プロピレンとエチレンの熱可塑性単一共重合体2種(A1)および(A2)からなる組成物(A)であって、
- (A1)が、30J/g未満のDSC溶融エンタルピーを有する本質的に非晶質の共重合体であり;
- (A2)が、30J/g以上のDSC溶融エンタルピーを有する半結晶性の共重合体であり;
- 比:(A2)の重量/(A1)の重量が、0.2から1.5である、
組成物(A)を30%から55%;
- 粘着付与樹脂(B)を20%から50%;ならびに
- 液体ポリブテンオリゴマーからなる可塑剤(C)を2%から25%
含むことを特徴とする、ホットメルト接着剤組成物。
【請求項2】
(A1)および(A2)が、プロピレンを70重量%から99重量%有するプロピレンとエチレンのランダム共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項3】
(A1)および(A2)のそれぞれが、鎖においてイソタクチックポリプロピレンの鎖配列を含むことを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項4】
(A1)の重量平均分子量が、5,000から60,000Daであり、(A2)の重量平均分子量が、10,000g/モルから100,000Daであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項5】
(A1)および(A2)がそれぞれ、35g/10分超のメルトフローインデックス(MFI)を有することを特徴とし、MFIが、ASTM D 1238の通りに、190℃/2.16kgにおいて評価される、請求項1から4のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項6】
(A1)が、0J/g超かつ30J/g未満の溶融エンタルピーを呈し、(A2)が、30J/gから100J/gの溶融のエンタルピーを有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項7】
組成物(A)内の比:(A1)の重量/(A2)の重量が0.5であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項8】
粘着付与樹脂(B)が、
(a)天然および変性ロジン;
(b)天然および変性ロジンのグリセリンエステルおよびペンタエリスリトールエステル;
(c)ポリテルペン樹脂;
(d)フェノール変性テルペン樹脂;
(e)60℃から140℃の環球式軟化点を有する脂肪族石油炭化水素樹脂(C5)、および対応する水素化誘導体;
(f)60℃から140℃の環球式軟化点を有する芳香族石油炭化水素樹脂(C9)、および対応する水素化誘導体;
(g)60℃から140℃の環球式軟化点を有する脂肪族および/または芳香族石油樹脂(C5/C9)、ならびに対応する水素化誘導体
のうちから選択されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項9】
粘着付与樹脂(複数可)(B)の軟化点が、90℃から125℃の範囲内にあることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項10】
ポリブテン(C)が、1-ブテン、2-ブテンおよびイソブテンのうちから選択される1つまたは複数の単量体ユニットの液体オリゴマーであることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項11】
ポリブテン(C)が、100℃で、10,000センチストーク未満である動粘度を有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項12】
- a)共重合体(A1)および(A2)からなる組成物(A)であって、比:(A2)の重量/(A1)の重量が0.5である、組成物(A)を35重量%から55重量%;
- b)粘着付与樹脂(B)を30重量%から40重量%;ならびに
- c)可塑剤(C)を15重量%から25重量%
含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項13】
- 請求項1から12のいずれか一項に記載されているようなホットメルト接着剤組成物を、130℃から180℃の範囲の温度で、少なくとも、ホットメルト接着剤組成物を、基材に適用されるのに十分な液体にするのに十分な長さの期間、加熱するステップ(i)、次いで
- 前記組成物を第一基材にコーティングするステップ(ii)、次いで
- 第一基材のコーティングした表面を、第二基材の表面と接触させて、2つの基材を結合する接着ジョイントを形成するステップ(iii)
を含む、アセンブリ製品を製造する方法。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載されているような少なくとも1つのホットメルト接着剤組成物により結合している、少なくとも2つの基材を含む、アセンブリ製品。
【請求項15】
使い捨て不織布吸収性物品であることを特徴とする、請求項14に記載のアセンブリ製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体製造、特に、使い捨て不織布衛生用品製造の方法に好適な、より詳細には、そのような製品に用いられる様々な基材の構成物(またはアセンブリ)に好適な、ホットメルト接着剤組成物に関する。本発明は、積層体製造の前記方法、および対応するアセンブリ製品にも関する。
【背景技術】
【0002】
ホットメルト接着剤(またはHMA)は、典型的には、常温で固体塊として存在し、熱をかけることにより流動性液体に変換できる。これらの接着剤は、様々な基材の結合が不可欠になることが多い、多彩な使い捨て製品の製造に特に有用である。
【0003】
具体的な用途は、使い捨ておむつ、病院用パッド、女性用衛生ナプキン、パンティーシールド、外科用ドレープおよび成人用失禁ブリーフを含み、これらはまとめて使い捨て不織布衛生用品として公知である。他の多様な用途は、紙製品、包装材料、自動車ヘッドライナー、家電、テープおよびラベルに関わる。
【0004】
これらの用途の大半において、ホットメルト接着剤は、溶融した状態に加熱され、次いで、第一基材と名付けられることが多い基材に、一定量(「アドオンレベル」または「コーティング重量」とも呼ばれる)適用される。第二基材と名付けられることが多い第2の基材は、次いで、直ちに第1の基材と接触させ、それに押し付ける。接着剤は、冷却されると固化して、強い結合を形成する。
【0005】
ホットメルト接着剤の主要な利点は、水または溶媒ベースの接着剤のケースのように液体担体がなく、それにより、溶媒除去と関係するコストのかかるプロセスが省かれることである。ホットメルト接着剤は一般的に、熱可塑性重合体、ならびに任意選択で粘着付与樹脂および可塑剤を含む組成物の形態で提供される。
【0006】
使い捨て不織布衛生用品の典型的な例として、
以下の部品:
- 液体不透過性であるバックシート、典型的にはポリエチレンバックシート、
- 液体透過性であり乳児の体と接触するトップシート、および
- 間に挟まれた吸収性コア
を慣習的に含む、使い捨ておむつが挙げられ得る。
【0007】
吸収性コアは通常、コアラップ、すなわち吸収材周囲の外被中で利用可能であり、この吸収材は、木材パルプフラフおよび/または高吸収性重合体(すなわちSAP)であり得る。
【0008】
このコアラップは、典型的には下層および上層を含み、下層はバックシートと結合し、上層はトップシートと結合している。捕捉/分配層は一般的に、コアラップの外側にも存在し得、コアラップの上層およびトップシートに結合している。
【0009】
ホットメルト「構成接着剤」は従って、これらの部品すべてに対応する様々な基材を、積層するプロセスによって結合することにより、不変の構成物(またはアセンブリ)に使用される。対応する材料は、ポリ乳酸、ポリエチレンまたはポリプロピレンのような様々な不織布材料または低表面エネルギー熱可塑性フィルムのうちから選択される。おむつのケースにおけるそのような不変のアセンブリの例として、ポリエチレン(PE)シートと、ポリプロピレン(PP)不織クロスの積層が言及され得、後者は、見栄えがよく、手触りもよいシルキーな外観を示す。
【0010】
そのような不変アセンブリ(または積層体)に必要とされる粘着のレベルは通常、「剥離」および/または「せん断」試験により定量される。
【0011】
従ってホットメルト構成接着剤は、特に、1平方メートル当たり1から3グラムのような少ないコーティング重量で強い剥離強度を生じることが必須である。
【0012】
おむつのいくつかの部品は、伸縮性サイドパネルまたはファスニングテープのような、おむつの主な部分(「シャーシ」とも呼ばれる)にも結合しており、これらの両方は、おむつが乳児のウエスト周囲で取り付けられた際に、閉鎖テープによって付着するように意図されている。主なシャーシにおけるこれら2つの後者の部品の付着に対応する接着ジョイントは、次いで著しいせん断応力が施される。
【0013】
従って、ホットメルト構成接着剤は、特に15から30g/mの範囲に含まれるコーティング重量で適正なせん断強度も生じることが重要である。
【0014】
市販のホットメルト構成接着剤の大半は、熱可塑性重合体としてのスチレンブロック共重合体(すなわちSBC)をベースとする。そのような組成物は、使い捨て不織布衛生用品で用いられる、様々な基材の不変アセンブリに必要とされるレベルの剥離強度およびせん断強度によく向いている。
【0015】
そのような基材(またはシート)の積層は、以下:
- バット(溶融ポットまたはタンクと称される)において、ホットメルト接着剤組成物が溶融するまで、組成物を加熱すること(100から250℃の間、好ましくは130から180℃の間の温度に)、次いで
- ノズルによって第一基材をコーティングし、溶融状態にある前記組成物の薄層の蒸着に至ること、および最終的に
- このようにコーティングした第一基材を、例えばニップロールにより生じるような圧力下で、積層またはアセンブリされる第二基材と接触させることを含むプロセスにより工業的に実行される。
【0016】
そのような積層プロセスの遂行のために使用される設備は、一般的に、ラインスピードが高いことが多い連続的に作動する機械(またはコーター)であり、そこでは、例えば、「複合体」または「積層体」という用語により表されることが多い積層またはアセンブリされる部品(シート、フィルムまたは他の基材)および最終製品の両方とも、寸法がきわめて大きいため、幅および直径が大きいリールの形態で、巻き出しにより包装される。
【0017】
溶融したホットメルト接着剤組成物でコーティングする段階は、組成物を、1つまたは複数のノズルに、数barから100bar超の規模の高圧で通過させて、コーティングされる第一基材に対して良好な接触(またはぬれ)を達成することを含み、このぬれは、2つの基材の最終不変アセンブリ(または積層体)に必要なレベルの粘着を与えるのに寄与する。溶融したホットメルト接着剤組成物は、薄層の形成中に第一基材上でコーティングされ、その薄層の厚さは制御され、一般的に1から500μmの間である。この層は、例として、スパイラルコーティングのケースでは、ビーズ(または繊維)により形成され得るように、連続的または非連続的であってよい。
【0018】
多くのコーティング技術では、ホットメルト接着剤は、ピストンまたはギアポンプ設備を使用することにより、薄膜またはビーズの形態で、基材に直接的に押し出される。このケースでは、基材は、圧力下でホットダイと密接に接触させる。ダイの温度は、溶融したホットメルト材料が、適用ノズルを通って円滑に流れることを可能にするように、接着剤の融点を相当に超えて維持されなければならないので、そのような直接的なコーティング技術は、薄肉プラスチックフィルムのケースのような繊細かつ熱に弱い基材では、用いるのが困難である。そのような基材は、実際、使い捨て不織布衛生用品の製造にますます頻回に用いられている。
【0019】
このため、これらの直接的なコーティング技術以外に、いくつかの間接または非接触コーティング方法も用いられており、これを通したホットメルト接着剤は、圧縮空気の補助で、遠くから基材上に噴霧コーティングされ得る。これらの非接触コーティング技術は、Summit(商標)のようなスパイラル噴霧適用およびSignature(商標)のような櫛型スロット適用を含む。Summit(商標)およびSignature(商標)は、両方ともNordsonから入手できる。
【0020】
しかしこれらの間接的方法は、許容できるコーティングパターンを得るために、適用温度において、ホットメルト接着剤の粘度が十分に低いことを必要とする。この粘度は通常、2,000から20,000mPa.sの範囲内、好ましくは2,000から15,000mPa.sの範囲内、より好ましくは10,000mPa.s未満であり得る。多くの他の物理的要因、とりわけ接着剤のレオロジーの性質は、特定のノズルによってホットメルトの適用性(「加工性」とも呼ばれる)を判定する際に関与し得る。適用設備で実験的に判定されなければならない加工性(例としてスパイラル噴霧適用のケースでは「噴霧性」)を予測する、許容されている理論モデルまたはガイドラインはない。
【0021】
「加工可能」であることは、接着剤が、接着剤の損失を最小限にし、望ましい適用パターンに一致して当てはまることを意味する。第一基材に対する接着剤パターンの一致は、前記基材の表面上にコーティングされる接着剤の均質性を確保するために特に重要であり、基材の表面はそれ自体が、積層体の、表面全体上に必要とされる性質(剥離およびせん断強度のような)の均質性を確保するために重要な要因である。
【0022】
幅広く利用可能なSBCベースのホットメルト構成接着剤は、適切なレベルの剥離およびせん断強度を与えることに加えて、様々な直接的または間接的接触設備において良好な加工性を示す。
【0023】
しかし、基材の燃焼またはゆがみを避けつつ、ますます熱に弱くなる基材および/またはより薄い基材を使用するために、コーティング温度を低下させることに対する継続的な必要性が存在する。
【0024】
積層の工業的プロセスの全体的なエネルギー消費を低下させるために、コーティング温度を低下させることに対する必要性も存在する。
【0025】
SBCベースのホットメルト接着剤は、固有のレオロジーの性質のため、コーティング温度をさらに低下する可能性を提示しない。加えてこれらは、SBCがスチレン-イソプレン-スチレン(SIS)共重合体である場合、主に微量のスチレン単量体または微量の(minutes amounts of)イソプレンダイマーが留まるため、匂いの強い使い捨て不織布衛生用品を生じることが多い。
【0026】
ポリオレフィンベースのホットメルト接着剤が開発されており、これは、SBCベースのホットメルト接着剤と比較して、より低いコーティング温度に達することを可能にし、きわめて低い匂いのレベルを有する。しかし市販のポリオレフィンベースのホットメルト接着剤の大多数は、噴霧性および/または加工性の乏しさゆえに、噴霧適用の役には立たない。
【発明の概要】
【0027】
本発明の狙いの1つは、新たな、かつ改善したポリオレフィンベースのホットメルト接着剤を、使い捨て不織布衛生用品の製造者に提案することである。
【0028】
本発明の別の狙いは、使い捨て不織布衛生用品のための構成接着剤として好適な、ポリオレフィンベースのホットメルト接着剤組成物を提案することである。
【0029】
本発明の別の狙いは、詳細には少ない、より詳細には1平方メートル当たり1から3グラムの範囲のコーティング重量で、適正な剥離強度を有する積層体が得られる、ポリオレフィンベースのホットメルト接着剤組成物を提案することである。
【0030】
本発明の別の狙いは、詳細には15から30g/mの範囲内に含まれるコーティング重量で、適正なせん断強度を有する積層体が得られるポリオレフィンベースのホットメルト接着剤組成物を提案することである。
【0031】
本発明の別の狙いは、許容できるレベルの剥離およびせん断強度を有し、これらの強度が長期間または熱で加速するエージングを施した積層体で維持される、ポリオレフィンベースのホットメルト接着剤組成物を提案することである。
【0032】
本発明の別の狙いは、より低いコーティング温度で、積層プロセスにおいて用いられ得るポリオレフィンベースのホットメルト接着剤組成物を提案することである。
【0033】
本発明の別の狙いは、コーティング温度でかなり低粘度を有し、コーティング温度で噴霧可能かつ/または加工可能である、ポリオレフィンベースのホットメルト接着剤組成物を提案することである。
【0034】
本発明の別の狙いは、より低いコーティング温度で適正な噴霧性または加工性を有する、ポリオレフィンベースのホットメルト接着剤組成物を提案することである。
【0035】
上の狙いは、本発明の主題であるホットメルト接着剤組成物によって、すべてまたは部分的に達成できることを今や見出した。
【0036】
本発明の第1の目的によれば、本出願は、
- 100,000ダルトン(Daと略される)未満の重量平均分子量(Mw)をそれぞれ有する、プロピレンとエチレンの熱可塑性単一共重合体2種(A1)および(A2)からなる組成物(A)であって、
- (A1)は、30J/g未満のDSC溶融エンタルピーを有する本質的に非晶質の共重合体であり;
- (A2)は、30J/g超のDSC溶融エンタルピーを有する半結晶性の共重合体であり;
- 比:(A2)の重量/(A1)の重量は、0.2から1.5である、
組成物(A)を30%から55%;
- 粘着付与樹脂(B)を20%から50%;ならびに
- 液体ポリブテンオリゴマーからなる可塑剤(C)を2%から25%
含むことを特徴とする、ホットメルト接着剤組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
ある実施形態によれば、本出願は、
- 100,000Da未満の重量平均分子量(Mw)をそれぞれ有する、プロピレンとエチレンの熱可塑性単一共重合体2種(A1)および(A2)からなる組成物(A)であって、
- (A1)は、30J/g未満のDSC溶融エンタルピーを有する本質的に非晶質の共重合体であり;
- (A2)は、30J/g超のDSC溶融エンタルピーを有する半結晶性の共重合体であり;
- 比:(A2)の重量/(A1)の重量は、0.2から1.5である、
30%から55%の組成物(A);
- 20%から50%の粘着付与樹脂(B);ならびに
- 2%から25%の液体ポリブテンオリゴマーからなる可塑剤(C)
から本質的になることを特徴とするホットメルト接着剤組成物に関する。
【0038】
本発明によるホットメルト接着剤組成物における上で言及されている成分(A)、(B)および(C)の含有量は、重量に対するパーセンテージで示され、本発明によるホットメルト接着剤組成物の合計重量に対して表現される。
【0039】
本発明によるポリオレフィンベースのホットメルト接着剤組成物は、本質的に匂いがない積層体の製造に用いられ得る構成接着剤として使用されるのに相当に向いていることを見出した。前記積層体は適正な、詳細にはSBCベースのHMAと全く同じように適正なレベルの剥離およびせん断強度を示し、熱で加速されたエージング後に適正なレベルの剥離も示す。前記製造プロセスにおいて、本発明によるHMAでは、有利には、著しくより低いコーティング温度を実現しつつ、SBCベースのHMAと全く同じように良好な加工性も得られる。
【0040】
(A1)および(A2)からなる組成物(A):
本発明によるホットメルト接着剤組成物は、(A1)および(A2)からなる組成物(A)を30重量%から55重量%含む。
【0041】
(A1)および(A2)はそれぞれ、プロピレンとエチレンの単一共重合体であり、(A1)および(A2)のそれぞれは、2種の重合体、または2種の異なるグレードの同じ重合体のブレンドまたは混合物を成さないことを意味する。例えば、単一(A1)共重合体は、異なる平均分子量を有する2種の共重合体の混合物ではない。換言すれば、単一(A1)共重合体は、重合体を作るための単一のプロセスの結果であり、2種の異なる重合体または2つの異なるグレードの同じ重合体(すなわち、2つの異なる平均分子量を有する同じ重合体)の混合物ではない。従って、(A1)および(A2)のそれぞれの性質、例えば分子量は、一般的に釣鐘型曲線を有する。例として(A1)の単一性は、その性質のすべて、例えば、分子量に加えて、共重合用単量体含有量、融解熱、結晶化度、分岐指数、融点、ガラス転移温度、密度および多分散性に関して存在する。
【0042】
(A1)および(A2)は、プロピレン(PPとも略される)を約70重量%から約99重量%、好ましくは約80重量%から約98重量%、最も好ましくは約85重量%から約98重量%有する、プロピレンとエチレンのランダム共重合体である。
【0043】
好ましい実施形態によれば、(A1)および(A2)は、好適な単一部位触媒系(「SSC」と略される)を使用して調製される。
【0044】
単一部位触媒系は、少なくとも1つの重要な点で従来のチーグラー-ナッタ触媒とは異なる。これらは、各触媒分子に対して、単一の活性な遷移金属部位のみを有し、この金属部位における活性は、従って、すべての触媒分子に対して同一である。今や工業規模で幅広く使用されているSSC触媒の1タイプは、触媒および共触媒または活性化物質からなるメタロセン触媒系である。触媒は、2つの環状有機リガンドの間にある金属原子を有する遷移金属錯体であり;リガンドは、シクロペンタジエンの同じまたは異なる誘導体である。共触媒は、メタロセン錯体を触媒活性種に変換することによりメタロセン触媒を活性化することが可能である任意の化合物であり得、そのような化合物の例は、アルモキサン、好ましくは、4~30の平均オリゴマー化度を有するメチルアルモキサンである。
【0045】
オレフィン重合のための単一部位触媒系は、エチレンおよびプロピレンの共重合体化のためのメタロセン触媒系を含み、当業者に周知であり、Stereoselective Polymerization with Single-Site Catalysts、Lisa S.BaughおよびJo Ann M.Canich編、CRC press(2008年)発行、ならびにPolyolefins:50 Years after Ziegler and Natta II:Polyolefins by Metallocenes and Other Single-Site Catalysts、Walter Kaminsky編およびSpringer Heidelberg(2013年)発行と題した2つの論集で広範に論じられている。参考文献には、米国特許第9,109,143号も挙げられる。
【0046】
上で論じられている本明細書のSSC触媒系の進歩は、様々な鎖微細構造および特定の立体化学を有する、プロピレンベースの重合体および共重合体の生成に実際にこぎ着けた。触媒および反応条件の選択次第で、特定のタイプのプロピレン重合体および共重合体は、例えば意図的に、狭い分子量分布、統計的にランダムな共重合用単量体の組み込み、高画分のアタクチック鎖配列およびより短い結晶性イソタクチックまたはシンジオタクチック鎖配列を有するようにすることができる。巨視的には、重合体は、低い融点、低い溶融のエンタルピー、低い結晶化度および低い密度を呈し、従来のポリプロピレンよりもエラストマーにより類似した挙動をとる。そのような重合体は、1,000g/molから1,000,000g/molの範囲の様々な重量平均分子量(Mw)を有し、iPPの融点170℃を相当に下回る20℃から150℃の間の融点を有し、0J/gから100J/gの間の溶融のエンタルピーを有し、0.85g/cmから0.90g/cmの間の密度を有するものが生成されている。
【0047】
重合体の科学的命名法では、立体規則性という用語は、鎖配置、すなわち、重合体鎖の立体構造を記載するために使用される。重合体は、重合体主鎖を通して引かれた仮想平面の同一側で連続する単量体ユニットの第三級炭素原子に付着しているラジカル基を有すると記載されている鎖配置を有する場合、イソタクチックと呼ばれる。このタイプの立体化学構造は:
により図式的に例証できる。
【0048】
このタイプの鎖配置を有するポリプロピレンは、イソタクチックのポリプロピレンまたはiPPとして公知である。
【0049】
ポリプロピレン鎖は、鎖に沿った連続する単量体ユニットの第三級メチル基が、仮想平面のそれぞれの側に選択的に(alternatively)配置されるシンジオタクチック配置をとることもできる。シンジオタクチック鎖の立体配置は、下記:
で描写できる。
【0050】
このタイプの鎖配置を有するポリプロピレンは、シンジオタクチックのポリプロピレンまたはsPPと呼ばれる。
【0051】
規則的な空間配置と対照的に、プロピレン重合体鎖は、重合体鎖を通して引かれた仮想平面の両側に立体的にランダム分布した連続する単量体ユニット上にメチル基を有することにより特徴付けられる鎖立体構造も有し得る。この鎖配置は、アタクチックと定義される。アタクチックポリプロピレン(aPP)分子鎖の立体配置は:
により図式的に例証できる。
【0052】
本発明によるHMAの好ましい実施形態によれば、(A1)および(A2)のそれぞれは、鎖においてイソタクチックポリプロピレンの鎖配列を含む。
【0053】
(A1)および(A2)はそれぞれ、100,000g/モル未満の重量平均分子量(Mw)を有する。
【0054】
(A1)の重量平均分子量は、好ましくは約5,000から60,000Da、より好ましくは約20,000から約55,000Da、より一層好ましくは約30,000から約52,000Da、さらにより好ましくは約35,000から約50,000Da、最も好ましくは約40,000から約48,000Daである。
【0055】
(A2)の重量平均分子量は、好ましくは約10,000g/モルから約100,000Da、より好ましくは約10,000Daから約80,000Da、より一層好ましくは約10,000Daから約60,000Da、最も好ましくは約15,000Daから約35,000Daである。
【0056】
重量平均分子量は、ポリスチレン参照基準を使用した高温サイズ排除クロマトグラフ(SEC)を使用して特性評価される。
【0057】
本発明によるHMAの別の好ましい実施形態によれば、(A1)および(A2)はそれぞれ、ASTM D 1238の通りに、190℃/2.16kgの試験条件で、35g/10分超、好ましくは約35g/10分から約100g/10分、より好ましくは約35g/10分から約60g/10分のメルトフローインデックス(MFI)を有する。
【0058】
本発明によるHMAの別の好ましい実施形態によれば、(A1)および(A2)はそれぞれ、ASTM D1505に従って23℃で測定して、約0.85g/cmから約0.90g/cm、好ましくは約0.86g/cmから約0.88g/cmの密度を有する。
【0059】
本発明によるHMAに含まれる組成物(A)は、本質的に非晶質の共重合体(A1)および半結晶性共重合体(A2)からなる。
【0060】
本発明の目的に関して、本質的に非晶質という用語は、PPベースの重合体が、0J/gから約30J/gの溶融エンタルピーを呈する状態を指すように使用される。
【0061】
本発明の目的に関して、半結晶性という用語は、PPベースの重合体が、30J/gを超える溶融エンタルピーを呈する状態を指すために使用される。
【0062】
共重合体(A1)および(A2)は、重合体結晶化度の間接的測定である溶融のエンタルピーに関して本質的に異なる。
【0063】
本質的に非晶質の共重合体(A1)は、結晶相、または、材料1グラム当たり30ジュール(J/g)を下回る溶融エンタルピーを有する示差走査熱量測定(DSC)曲線上における、小さいが目立つ溶融ピーク(複数可)により特徴付けられるわずかな残留物の結晶化度を含有しない、または本質的に含有しない。本質的に非晶質の共重合体(A1)は、DSC曲線で溶融ピークを示さない完全な非晶質でもよい。
【0064】
本明細書で使用されている、DSC曲線は、示差走査熱量測定(DSC)機器を使用することにより得られる熱流または熱容量対温度のプロットを指す。これらの値を判定するために使用される試験方法は、ASTM E793-01「示差走査熱量測定による融解および結晶化のエンタルピーに対する標準試験方法」である。
【0065】
半結晶性共重合体(A2)は、材料1グラム当たり30ジュール(J/g)以上、すなわち典型的には約30J/gから約100J/g、より好ましくは約30J/gから約90J/g、最も好ましくは約35J/gから約80J/gの関係する溶融のエンタルピーに対するDSC曲線上に明瞭な溶融ピーク(複数可)を有するPPベースの共重合体である。「溶融エンタルピー」、「溶融のエンタルピー」、「融解のエンタルピー」、「融解熱」および「溶融熱」という用語は、互換的に使用される。
【0066】
共重合体(A1)および(A2)として使用され得る、プロピレンとエチレンの本質的に非晶質および半結晶性の共重合体も、市販されている。
【0067】
共重合体(A1)の例として、Exxonmobil Chemical Company、Houston、Texasから得られるVistamaxx(商標)8380は、エチレン共重合用単量体を約12重量%含有し、約43,000Daの重量平均分子量(Mw)、約100℃のDSC融点、約20J/gのDSC溶融エンタルピー、ASTM D1505の通りに23℃で約0.864g/cmの密度を有する、本質的に非晶質のPPベースの共重合体である。
【0068】
共重合体(A2)の例として、同じくExxonmobil Chemical Companyから得られるVistamaxx(商標)8880は、エチレン共重合用単量体を約6重量%含有し、約27,000Daの重量平均分子量(Mw)、約97℃のDSC融点、約38J/gのDSC溶融エンタルピー、ASTM D1505の通りに20℃で約0.880g/cmの密度を有する半結晶性PPベースの共重合体である。
【0069】
Vistamaxx8380およびVistamaxx8880の両方とも主として、ランダムエチレン分布を有するイソタクチックのプロピレンユニットでできている。
【0070】
本発明によるHMAのより好ましい実施形態によれば、組成物(A)内の比:(A2)の重量/(A1)の重量は、好ましくは約0.5である。
【0071】
使用される組成物(A)の合計量は、本発明によるHMA組成物の合計重量に対して、好ましくは35重量%から55重量%、より一層好ましくは40重量%から50重量%の範囲である。
【0072】
粘着付与樹脂(B):
本発明によるホットメルト接着剤組成物は、粘着付与樹脂(B)を20%から50%含む。
【0073】
前記粘着付与樹脂(複数可)(B)は、1つもしくはいくつかの炭素-炭素二重結合(複数可)を含み得る、または炭素-炭素二重結合を含まなくてもよい。この後者のケースでは、飽和粘着付与樹脂(複数可)は、インサチュレーテッド(insaturated)粘着付与樹脂(複数可)の全水素化(total hydrogeneration)により調製され得る。
【0074】
粘着付与樹脂(B)は、好ましくは以下の分類:
(a)例えばガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、二量化ロジンおよび重合ロジンのような天然および変性ロジン;
(b)例えばペールウッドロジンのグリセリンエステル、水素化ロジンのグリセリンエステル、重合ロジンのグリセリンエステル、ペールウッドロジンのペンタエリスリトールエステル、水素化ロジンのペンタエリスリトールエステル、トール油ロジンのペンタエリスリトールエステルおよびロジンのフェノール変性ペンタエリスリトールエステルのような天然および変性ロジンのグリセリンエステルおよびペンタエリスリトールエステル;
(c)約20℃から140℃の環球式軟化点を有する水素化ポリテルペン樹脂を含むポリテルペン樹脂、水素化ポリテルペン樹脂は一般的に、適度に低温で、Friedel-Crafts触媒の存在下で、ピネンとして公知のモノテルペンのようなテルペン炭化水素の重合から生じる;
(d)例えば、酸性媒質中でテルペンおよびフェノールの縮合から生じるもののようなフェノール変性テルペン樹脂;
(e)約60℃から140℃の環球式軟化点を有する脂肪族(脂環式を含む)石油炭化水素樹脂(C5)、前記樹脂は、C5-炭化水素単量体の重合から生じ;対応する水素化誘導体は、後に続くそれらの全体的または部分的水素化から生じる;
(f)約60℃から140℃の環球式軟化点を有する芳香族石油炭化水素樹脂(C9)、前記樹脂は、C9-炭化水素単量体の重合から生じ;対応する水素化誘導体は、後に続くそれらの全体的または部分的な水素化から生じる;
(g)約60℃から140℃の環球式軟化点を有する脂肪族(脂環式を含む)および/または芳香族石油樹脂(C5/C9)、前記樹脂は、C5/C9-炭化水素単量体の重合から生じ;対応する水素化誘導体は、後に続くそれらの全体または部分的水素化から生じる
のうちから選択される。
【0075】
分類(e)または(g)に属する粘着付与樹脂を調製するのに有用なC5-炭化水素単量体の例として、trans-1,3-ペンタジエン、cis-1,3-ペンタジエン、2-メチル-2-ブテン、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン、シクロペンテンおよびそれらの任意の混合物が言及され得る。
【0076】
分類(f)または(g)に属する粘着付与樹脂を調製するのに有用なC9-炭化水素単量体の例として、ビニルトルエン、ジシクロペンタジエン、インデン、メチルスチレン、スチレン、メチルインデンおよびそれらの任意の混合物が言及され得る。
【0077】
本発明の詳細な実施形態によれば、上に記載されている粘着付与樹脂の2種以上の混合物が、本発明によるホットメルト接着剤組成物に使用される。
【0078】
本発明に従って使用される粘着付与樹脂(複数可)(B)は、市販されている。
【0079】
分類(a)に属する市販の粘着付与樹脂(複数可)(B)の例として:
- SYLVAROS(登録商標)(85、90およびNCY)の商品名で販売されているKRATON Companyからの非変性天然トール油ロジン、
- FORALYN(登録商標)Eの商品名で販売されているEASTMAN Companyからの部分的水素化ロジン、およびFORAL(登録商標)AX-Eの商品名で販売されているEastmanからの完全水素化ロジン、
- DYMEREX(登録商標)の商品名で販売されているEASTMAN Companyからの二量化ロジンが言及され得る。
【0080】
分類(b)に属する市販の粘着付与樹脂(複数可)(B)の例として:
- SYLVALITE(登録商標)RE 100L、ペンタエリスリトールベースのトール油ロジンエステル、および
- SYLVALITE(登録商標)RE 85L、トール油ロジンのグリセリンエステルが言及され得、両方ともKRATON Companyから入手できる。
【0081】
分類(c)に属する市販の粘着付与樹脂(複数可)(B)の例として:
- SYLVAGUM(登録商標)TRおよびSYLVARES(登録商標)TRシリーズ(7115、7125、A25L、B115、M1115)の商品名で販売されているKRATON Companyからのポリテルペン粘着付与剤が言及され得る。
【0082】
分類(d)に属する市販の粘着付与樹脂(複数可)(B)の例として:
- SYLVARES(登録商標)TP(96、2040、300、7042、2019)の商品名で販売されているKRATON Companyからのテルペンフェノール樹脂が言及され得る。
【0083】
分類(e)に属する市販の粘着付与樹脂(複数可)(B)の例として:
- WINGTACK(登録商標)98、WINGTACK(登録商標)ETの商品名で販売されているEASTMAN Companyからの、およびESCOREZ(登録商標)1310LCの商品名で販売されているEXXONMOBILからの、60℃から140℃の範囲の環球式軟化点を有する、C5-石油炭化水素画分(trans-1,3-ペンタジエン、cis-1,3-ペンタジエン、2-メチル-2-ブテン、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン、シクロペンテンの混合物のような)ベースの脂肪族および脂環式石油炭化水素樹脂、ならびにEastotac(登録商標)H100Wの商品名で販売されているEASTMAN Companyからの対応する完全水素化樹脂(108℃の軟化点)。
- SUKOREZ(登録商標)SU210およびSUKOREZ(登録商標)230の商品名で販売されている、KOLON Companyからの80℃から140℃の範囲の環球式軟化点を有するC5-石油炭化水素画分(trans-1,3-ペンタジエン、cis-1,3-ペンタジエン、2-メチル-2-ブテン、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン、シクロペンテンの混合物のような)をベースとした部分的脂肪族および脂環式石油炭化水素樹脂。SUKOREZ(登録商標)SU210の軟化点は、110℃である。
- ESCOREZ(登録商標)5400シリーズ(5400、5415、5490)の商品名で販売されている、EXXONMOBILからの60℃から140℃の範囲の環球式軟化点を有するジシクロペンタジエン-石油炭化水素画分をベースとした完全水素化脂環式石油炭化水素樹脂が言及され得る。ESCOREZ(登録商標)5400の軟化点は、100℃である。
【0084】
分類(f)に属する市販の粘着付与樹脂(複数可)(B)の例として:
- HIKOTACK(登録商標)(P-90、P110SおよびP120S)の商品名で販売されている、KOLON INDUSTRIESから入手できる、約60℃から140℃の環球式軟化点を有するC9-炭化水素石油画分(ビニルトルエン、ジシクロペンタジエン、インデン、メチルスチレン、スチレン、メチルインデンの混合物のような)ベースの芳香族石油炭化水素樹脂が言及され得る。
【0085】
分類(g)に属する市販の粘着付与樹脂(複数可)(B)の例として:
- ESCOREZ(登録商標)5600シリーズ(5600、5615、5690)の商品名で販売されているEXXONMOBIL Companyからの、またはSukorez(登録商標)NX700の商品名で販売されているKOLONからの、約60℃から140℃の環球式軟化点を有するC5/C9-炭化水素石油画分ベースの部分的水素化脂環式変性芳香族石油炭化水素樹脂。ESCOREZ(登録商標)5600およびSukorez(登録商標)NX700の軟化点は、100℃である。
- QUINTONE(登録商標)DX390Nの商品名でZEONにより販売されている、93℃の軟化点を有するC5/C9-炭化水素石油画分ベースの非水素化脂肪族変性芳香族炭化水素石油樹脂が言及され得る。
【0086】
好ましい実施形態によれば、粘着付与樹脂(複数可)(B)の環球式(または軟化点)は、好ましくは90℃から125℃の範囲にあり、より一層好ましくは90℃から115℃の範囲にある。
【0087】
軟化温度(または点)は、標準化ASTM E28試験に応じて判定され、その原則は以下の通りである。直径約2cmの真鍮環に、溶融状態の試験される樹脂を充填する。室温に冷却した後で、温度調節されたグリセリン浴中で、環および固体樹脂を水平に置き、温度は、1分に5℃ずつ変動し得る。直径約9.5mmの鋼球を固体樹脂ディスクの中心に置く。軟化温度は、1分当たり5℃の速度での浴温の上昇中に、樹脂ディスクが、球の重量により25.4mmの量まで流れる温度である。
【0088】
本発明に従って使用される粘着付与樹脂(複数可)(B)の合計量は、ホットメルト接着剤組成物の合計重量に対して、好ましくは25重量%から45重量%、より好ましくは30重量%から40重量%の範囲である。
【0089】
可塑剤(C):
本発明によるホットメルト接着剤組成物は、液体ポリブテンオリゴマーである少なくとも1つの可塑剤(C)を2重量%から25重量%、好ましくは15%から25%含む。
【0090】
ある実施形態によれば、前記ポリブテン(C)は、1-ブテン、2-ブテンおよびイソブテンのうちから選択される1つまたは複数の単量体ユニットの液体オリゴマーである。
【0091】
より好ましい実施形態によれば、前記ポリブテン(C)は、100℃で、約10,000センチストーク未満(cSt)、好ましくは5,000cStである動粘度を有する。
【0092】
動粘度は、D-445ASTM試験方法に応じて測定される。
【0093】
そのような可塑剤は、例として:
- 100℃で4,300cStの動粘度を有するIndopol(登録商標)H2100、または
- 100℃で215cStの動粘度を有するIndopol(登録商標)H100として、INEOSから市販されている。
【0094】
任意選択の成分:
抗酸化剤(D):
好ましくは、本発明によるホットメルト接着剤組成物は、ホットメルト接着剤組成物の合計重量に対して、少なくとも1つの抗酸化剤(D)を0.1重量%から2重量%含む。
【0095】
本発明によれば有用な抗酸化剤(D)は、好ましくは、化学的分解からホットメルト接着剤組成物を保護するのを助けるために、ホットメルト接着剤組成物に組み込まれる。前記分解は一般的に、紫外光または加熱により触媒される二酸素での鎖の切断から生じる、フリーラジカルの反応に関わる。そのような分解は通常、外観(色が褐色化する)または接着剤の他の物理的性質、および接着剤の性能特性の劣化により現れる。
【0096】
詳細には、抗酸化剤(複数可)(D)は、ホットメルト接着剤組成物およびその成分が、二酸素の存在下で長時間高温で加熱される、接着剤の製造および適用プロセス中に主に発生する熱分解反応の効果から、接着剤を保護する。
【0097】
有用な抗酸化剤(複数可)(D)は、ヒンダードフェノールならびに硫黄およびリン含有フェノールを含む。ヒンダードフェノールは、当業者に周知であり、そのフェノールヒドロキシル基に近接した立体的にかさ高い基も含有するフェノール化合物として特徴付けられる。詳細には、第三級ブチル基は一般的に、ベンゼン環上で、フェノールヒドロキシル基に対するオルト位の少なくとも1つにおいて置換される。
【0098】
代表的なヒンダードフェノールは:
1,3,5-トリメチ1-2,4,6- トリス(3-5-ジ -tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン;
ペンタエリスリトールテトラキス-3(3,5-ジ-tert-ブチ1-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート;
n-オクタデシル-3(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート;
4,4’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール);
4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-o-クレゾール);
2,6-ジ -tert-ブチルフェノール;
6 -(4-ヒドロキシフェノキシ)-2,4-ビス(n-オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン;
2,4,6-トリス(4-ヒドロキシ-3,5-ジ -tert-ブチル-フェノキシ)-1,3,5-トリアジン;
ジ-n-オクタデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート;
2-(n-オクチルチオ)エチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート;
ソルビトールヘキサ-(3,3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)プロピオネート;
2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)ホスファイト、例えばトリス-(p-ノニルフェニル)-ホスファイト(TNPP)およびビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)4,4’-ジフェニレン-ジホスホナイト、ジ-ステアリル-3,3’-チオジプロピオネート(DSTDP)を含む;
テトラキス(メチレン(3,5-ジ -ter-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート))メタン;
(トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスフェート)ならびにそれらの組合せを含む。
【0099】
ヒンダードフェノール抗酸化剤は、それ自体で、または例えば、IRGAFOS(登録商標)シリーズといったホスファイト抗酸化剤、またはADDIVANTからのNAUGARD(登録商標)シリーズといった芳香族アミン抗酸化剤のような他の抗酸化剤と組み合わせて使用され得る。
【0100】
有用な抗酸化剤(D)は、例えばBASFからのIRGANOX(登録商標)シリーズのヒンダードフェノール抗酸化剤が含む多彩な商品名称で市販されており、これには、例えばIRGANOX(登録商標)1010(テトラキス(メチレン(3,5-ジ-ter-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート))メタン)、およびIRGAFOS(登録商標)168抗酸化剤(トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスフェート)が含まれる。
【0101】
抗酸化剤(複数可)(D)の合計量は、ホットメルト接着剤組成物の合計重量に対して、好ましくは0.1から3重量%、より好ましくは0.5重量%から1重量%の範囲である。
【0102】
本発明によれば有用な抗酸化剤の性能は:(1)例えば、チオジプロピオネートエステルおよび亜リン酸エステルのような相乗剤;ならびに/または(2)例えばエチレンジアミンテトラ酢酸、その塩およびジサリチラルプロピレンジイミンのようなキレート剤および金属不活性化剤と共に活用することにより、さらに向上され得る。
【0103】
他の任意選択の成分(複数可)は、その物理的性質のいくつかを変性させるために、本発明によるホットメルト接着剤組成物中に組み込まれ得る。
【0104】
任意選択の成分のうち、充填剤、界面活性剤、着色剤、紫外光安定剤、蛍光剤、レオロジー変性剤などが言及され得る。
【0105】
これらの任意選択の成分(複数可)の合計量は、ホットメルト接着剤組成物の合計重量に対して、0重量%から10重量%、好ましくは0.1重量%から5重量%、より好ましくは0.1重量%から2重量%に及び得る。
【0106】
好ましい実施形態によれば、本発明によるホットメルト接着剤組成物は、135℃で測定して1,000mPa.sから10,000mPa.s、好ましくは2,000から8,000、より好ましくは2,500から6,000の範囲の、Brookfield粘度を有する。Brookfield粘度は、Brookfield Thermosel粘度計およびナンバー27スピンドルを使用してASTM D-3236に応じて測定される。スピンドルスピードは、トルクのパーセントが45%から90%の間になるように調整された。結果は、ミリパスカル.秒(mPa.s)で報告されている。
【0107】
別の好ましい実施形態によれば、本発明によるホットメルト接着剤組成物は:
- a)共重合体(A1)および(A2)からなる組成物(A)であって、組成物(A)内の比:(A2)の重量/(A1)の重量が好ましくは約0.5である、組成物(A)を35重量%から55重量%、より好ましくは40%から50%;
- b)粘着付与樹脂(B)を30重量%から40重量%;
- c)可塑剤(C)を15重量%から25重量%含み、好ましくはそれらから本質的になる。
【0108】
本発明の第2の目的によれば、本出願は、140℃から170℃の範囲の温度で、本発明によるホットメルト接着剤組成物の成分を、少なくとも、粘着付与樹脂(複数可)(B)ならびに熱可塑性重合体(A1)および(A2)を溶融するのに十分な長さの期間、混合および加熱するステップを少なくとも含む、本発明によるホットメルト接着剤組成物を製造する方法に関する。
【0109】
本発明のホットメルト接着剤組成物は、当業界で公知の技術のいずれかを使用して生成され得る。使用される成分は、好ましくは高温で少なくとも数時間、典型的には少なくとも4時間、好ましくは140から170℃の範囲の温度で4から6時間混合および加熱される。
【0110】
本発明によるホットメルト接着剤組成物は、酸化反応による潜在的な分解を制限するために、二酸素の存在下で(空気雰囲気下のような)、または好ましくは不活性雰囲気下で、例えば二酸化炭素または窒素下で調製され得る。
【0111】
好ましい実施形態によれば、本発明によるホットメルト接着剤組成物を製造する方法は:
- 粘着付与樹脂(複数可)(B)および可塑剤(複数可)(C)を、好ましくは存在する場合は抗酸化剤(複数可)(F)と、120℃から140℃の範囲の温度で、少なくとも、すべての粘着付与樹脂(複数可)(B)を溶融するのに十分な長さの期間、混合および加熱する第1のステップ、
- 150℃から170℃の範囲の温度で、少なくとも、すべての熱可塑性重合体を溶融するのに十分な長さの期間の撹拌および加熱中に、熱可塑性重合体(A1)および(A2)を、以前のステップで得られた混合物中に添加する第2のステップを含む。
【0112】
その上、本発明の方法は、以前に記載されている方法のステップいずれかの前または後に、真空を適用して、混合物中に入り込んだ一切の空気を除去するステップを含み得る。
【0113】
本発明によるホットメルト接着剤組成物に存在し得る他の有用な任意選択の成分(複数可)は、本発明による方法のいずれのステップでも添加され得る。
【0114】
上に記載されている方法により調製される本発明によるホットメルト接着剤組成物は、溶融状態下で、冷却およびすぐに使用できる固体組成物の形態で包装される前に、追加で15時間まで、例えば溶融ケトル中でさらに保持され得る。
【0115】
本発明の第3の目的によれば、本出願は:
- 本発明によるホットメルト接着剤組成物を、少なくとも、ホットメルト接着剤組成物を、基材に適用されるのに十分な液体にするのに十分な長さの期間(例えば、工業規模で少なくとも2時間)、130℃から180℃の範囲の温度で加熱するステップ(i)、次いで
- 前記組成物を第一基材にコーティングするステップ(ii)、次いで
- 第一基材のコーティングした表面を、第二基材の表面と接触させて、2つの基材を結合する接着ジョイントを形成するステップ(iii)を含む、アセンブリ製品(または積層体)を製造する方法に関する。
【0116】
基材は、様々な形態(層またはフィルム、ストランド、フラフ)を有し、異なる特質または同じ特質であり得る。
【0117】
好ましくは各基材は、相互に独立して、不織布帛、ティッシュ、吸収フラフ、超吸収重合体(SAP)、複合材料、弾性または非弾性であり得、ならびに例えばスチレンブロック共重合体(SBC)、ポリウレタン、およびポリオレフィンならびにそれらの任意の混合物から選択され得るプラスチックのうちから選択され得る。複合材料は、上で言及されている材料の少なくとも1つで作られていてよい。不織布帛は、柔軟性、多孔性および一体性により特徴付けられる、からみ合う繊維ネットワークと定義される。不織布帛を作成するのに使用される個々の繊維は、合成であり得、天然に存在し得、または2つの組合せであり得る。個々の繊維は、機械的、化学的または熱的に互いに結合し得る。
【0118】
本発明によるホットメルト接着剤組成物は、接触タイプ適用(contact type application)(スロットダイコーティングのような)および非接触タイプ適用(噴霧、繊維化または櫛型スロット適用のような)を含む、当業界で公知の多彩な適用技術でコーティングまたは適用できる。
【0119】
詳細には、上で言及されているように、本発明によるホットメルト接着剤組成物は、直径0,305から0,762mm、またはシムにより調整可能であり、20μmから300μmの範囲のスロットダイの長さを有するもののような従来のコーティングノズルを通して容易に適用できる。
【0120】
表面ユニットによりコーティングされる接着剤の量は、結合することが意図されている基材次第で0.1から50g/mのきわめて大きい範囲で変動し得る。例えば、クロス状バックシートアセンブリを生成するためにポリエチレンフィルムと結合する不織基材のケースでは、0.2から1g/mの範囲が挙げられ得る一方、3から7g/mの範囲は、使い捨て多層物のアセンブリのケースで使用され得る。20から40g/mのはるかに高い範囲も、例として伸縮性サイドパネルまたはファスニングテープをおむつシャーシに結合する場合といった、高せん断性能が要求される場合に使用できる。
【0121】
第一基材の表面に適用される前に、本発明によるホットメルト接着剤組成物は、溶融ケトル中で4日間までさらに保持され得る。
【0122】
本発明によるホットメルト接着剤組成物は、基材に適用され得、または、酸化反応による分解を制限するために、二酸素の存在下で(空気雰囲気下で)、または好ましくは不活性雰囲気下で保存され得る。
【0123】
本発明の第4の目的によれば、本出願は、少なくとも1つの本発明によるホットメルト接着剤組成物により結合する、少なくとも2つの基材を含むアセンブリ製品に関する。
【0124】
結合した基材は、本発明によるホットメルト接着剤組成物を適用する方法に関して、上で列挙されている基材のうちから選択され得る。
【0125】
本発明によるホットメルト接着剤組成物は、積層接着剤として使用して、複数の基材層を結合して、例えばトイレットペーパー、ペーパータオル、ワイプおよび他の消費者製品、特に、使い捨て衛生用品、より詳細には使い捨ておむつのような吸収性物品を製造できる。
【0126】
本発明の特定の実施形態では、本発明によるアセンブリ製品は、少なくとも1つの本発明によるホットメルト接着剤組成物により結合した基材(複数可)の少なくとも2つの層を含む多層製品であり得る。
【0127】
本発明によるアセンブリ製品では、基材(複数可)の少なくとも2つの層は、基材(複数可)の2つの層の間に挟まった本発明によるホットメルト接着剤組成物の層により、接着してつなげられ得る。
【0128】
選択的に(alternatively)または累積して、基材(複数可)の少なくとも2つの層は、本発明によるホットメルト接着剤組成物のスポットにより、接着してつなげられ得る。
【0129】
好ましくは、アセンブリ製品は、使い捨て不織布吸収性物品である。
【0130】
以下の例は、純粋に本発明の例証の目的で示され、いかなる状況下でも、その範囲を制限するととらえるべきではない。
【0131】
例A(参照):SBCベースのHMAおよびそれから得られる積層体
A1 - HMAの調製:
表1における例Aの組成物は、本発明の詳細な記載において、上で指摘されているその成分を単に混合することにより調製される。
【0132】
そのBrookfield粘度は、135℃で、上のように測定され、表1においても報告されている。
【0133】
A2 - Spiral spray Summit(商標)コーティング設備による積層体A2の調製:
積層体A2は、以下のように調製される。
【0134】
積層デバイスとして、およそ400m/分のラインスピードで、連続的に作動する機械が使用され、この機械は、Coater CTL4400という名で、NORDSONにより販売されている。
【0135】
この機械では、コーティングノズルは、スパイラル噴霧ノズル(NORDSON Summit(商標))である。
【0136】
利用される2つの基材は:
- 片面において以前にコロナ処理し、20cmの幅を有する20μm厚の通気性PEフィルム、および
- ポリプロピレン(PP)繊維でできている同一幅の16g/mスパンボンド疎水性不織布シートである。
【0137】
これらの2つの基材は、20cmの幅を有するリールとして包装される。
【0138】
例Aの組成物は、155℃の温度で溶融ポット中で加熱する。
【0139】
これを次いで、同じ155℃の温度で、また、およそ3g/mのコーティング重量でPEフィルムの未処理側にコーティングする。
【0140】
生じたコーティングパターンは、充分適正であり、良好な噴霧性(および加工性)の典型である。これは、前記PEフィルムの中心に、またリール軸に垂直な軸に沿って置かれる、オフセットスパイラルフィラメント(offset spiralled filament)で作られた2.54cm幅の非連続的な層に対応する。
【0141】
次いで、コーティング後約0.25s(オープンタイム)で、不織布(PP)シートを、PEフィルムのコーティングした表面と、1barの圧力を適用するニップロールによって接触させる。
【0142】
A3 - 積層体A2に対し、初期ならびに23℃でおよび55℃でエージング後に測定される剥離:
得られた積層体A2は、次いでリールとして包装され、24時間常温および50%相対湿度で放置する。
【0143】
2.54cm×およそ10cmの寸法をとる長方形ストリップを、次いで積層体のコーティングした中央エリアで切り取る。
【0144】
2つの個々の基材は、上の長方形ストリップ(供試体として)の一端から開始して、およそ2cmにわたって分離する。
【0145】
このようにして得られた2つの結合されていない末端は、垂直軸に位置する引張試験デバイスの固定部分および可動部分に各々接続した、2つのクランピングデバイスに取り付けられる。
【0146】
駆動機構が可動部分に300mm/分の一様なスピードを伝え、2つの基材の分離に至る間、その分離した末端が、180°の角度を形成しながら垂直軸に沿って徐々にずれ、動力計に接続した固定部分により、供試体によって引かれた、従って保持された力が測定される。
【0147】
結果は、23℃で24時間後の剥離に対応し(「初期剥離」とも呼ばれる)、Nで表現される。
【0148】
23℃で2週間後、および23℃で4週間後の剥離は各々、積層後に得られたアセンブリを、各々の時間中23℃でエージングすることを除いて、上のプロトコールを繰り返すことにより測定される。
【0149】
55℃で2週間後および55℃で4週間後の剥離は各々、積層後に得られたアセンブリを、各々の時間中55℃でエージングすることを除いて、上のプロトコールを繰り返すことにより測定される。
【0150】
結果は、下記の表2において報告されている。
【0151】
A4 - 櫛型スロットSignature(商標)コーティング設備による積層体の調製:
積層体A4は、Spiral spray Summit(商標)コーティング設備が、櫛型スロットSignature(商標)コーティング設備によって置き換えられていることを除いて、上のプロトコールA2を繰り返すことにより調製される。
【0152】
155℃でPEフィルムをコーティングした後に得られたコーティングパターンは、良好な加工性の典型である。これは、多数の均一に分散した可変長の接着剤フィラメントを含む2.54cm幅の非連続的な層に対応する。前記非連続的な層を、リール軸に垂直な軸に沿った前記PEフィルムの中心に置く。
【0153】
A5 - 積層体A4に対して、初期ならびに23℃でおよび55℃でエージング後に測定される剥離:
上のA3プロトコールを積層体A4に対して繰り返す。
【0154】
結果は、表3において報告されている。
【0155】
A6 - 2種の不織布PPを含む積層体A6に対するせん断試験:
積層体の粘着のレベルもせん断試験により評価され、その原則は、接着剤組成物により結合した2つの基材を、せん断で分離するのに必要な力の判定からなる。
【0156】
A6.1 例Aの接着剤組成物により結合した積層体A6の準備調製:
積層デバイスとして、およそ100m/分のラインスピードで連続的に作動する機械が使用され、この機械は、Coater CTL4400という名でNORDSONにより販売されている。
【0157】
この機械では、コーティングノズルは、スロットノズルNORDSON Slot(商標)である。
【0158】
利用される2つの基材は同一であり、ポリプロピレン(PP)の繊維でできている、20cmの幅を有する40g/mメルトブロー不織布シートからなる。
【0159】
これらの2つの同一の基材は、20cmの幅を有するリールとして包装される。
【0160】
例Aの接着剤組成物は、溶融ポット中で155℃の温度で加熱され、次いで第1の基材の右縁から2cmでコーティングされ、およそ20g/mの量に対応する、1.5cmの幅を有する連続的な層の前記縁全体の蒸着に至り、この層は、リール軸に垂直に位置する。
【0161】
第2の基材は、次いで、約0.5sのオープンタイムで、接着剤層が左縁から2cmになるような手法で、コーティングした第1の基材全体に1barの圧力を適用するニップロールによって積層される。
【0162】
A6.2 せん断:
得られた積層体は、次いでリールとして包装され、常温および50%相対湿度で24時間放置される。
【0163】
合計約35cmの幅を有し、1.5cm幅でコーティングした領域によりアセンブリされる積層された基材は、次いで、長さおよそ35cmおよび2.54cmの幅を有する長方形形状の供試体を得るように、横方向に切り取る。
【0164】
標本の第1の基材は次いで吊るし、オーブン中で38℃で動かないようにする一方、500gの重りを第二基材に付着させる。
【0165】
アセンブリが壊れた後の時間は、常温で24時間後のせん断に対応し、29分に等しいと見出された。
【0166】
A7 - Spiral spray Summit(商標)コーティング設備による積層体A7の調製:
積層体A7は、以下のように調製される。
【0167】
積層デバイスとして、およそ200m/分のラインスピードで連続的に作動する機械が使用され、この機械は、Coater CTL4400という名でNORDSONにより販売されている。
【0168】
この機械では、コーティングノズルは、スパイラル噴霧ノズル(NORDSON Summit(商標))である。
【0169】
利用される2つの基材は:
- 20cmの幅を有する20μm厚の通気性PEフィルム、および
- ポリプロピレン(PP)の繊維でできている同一幅の16g/mスパンボンド親水性不織布シートである。
【0170】
これらの2つの基材は、20cmの幅を有するリールとして包装される。
【0171】
例Aの組成物は、155℃の温度で溶融ポット中で加熱される。
【0172】
これは次いで、同じ155℃の温度で、またおよそ3g/mのコーティング重量でPEフィルムにコーティングされる。
【0173】
生じたコーティングパターンは、充分適正であり、良好な噴霧性(および加工性)の典型である。これは、オフセットスパイラルビーズ(offset spiralled bead)で作られており、前記PEフィルムの中心に、またリール軸に垂直な軸に沿って置かれる2.54cm幅の非連続的な層に対応する。
【0174】
次いで、コーティング後約0.5s(オープンタイム)で、不織布(PP)シートをPEフィルムのコーティングした表面と、1barの圧力を適用するニップロールによって接触させる。
【0175】
A8 - 積層体A7に対して、初期および23℃および55℃でエージング後に測定される剥離:
上のA3のプロトコールを積層体A7に対して繰り返す。
【0176】
初期剥離は、表4においてニュートンで報告されている。
【0177】
55℃で1週間、55℃で2週間および55℃で4週間各々保存した後の剥離は、剥離の変動対初期剥離の相対値に変換され、表4において%で表現される。
【実施例
【0178】
実施例1(本発明による):
1.HMAの調製:
表1において報告されている実施例1の組成物は、例Aの組成物のように調製される。
【0179】
その135℃でのBrookfield粘度が測定され、表1において報告されている。
【0180】
2.積層体A2に対して、初期ならびに23℃でおよび55℃でエージング後に測定される剥離:
Summit(商標)コーティング設備を通して得られた積層体A2は:
- コーティング組成物が、実施例1の組成物により置き換えられること;および
- 155℃のコーティング温度が、130℃または145℃のコーティング温度により置き換えられることを除いて、例AのプロトコールA2を繰り返すことにより調製される。
【0181】
これらの2つのコーティング温度のそれぞれでは、生じたコーティングパターンは、参考例Aで得られたものと全く同じように適正であり、これも良好な噴霧性(および加工性)の典型である。
【0182】
初期ならびに23℃および55℃でエージング後に測定される剥離は、上のプロトコールA3を繰り返すことにより、130℃および145℃の2つのコーティング温度のそれぞれに対応する積層体で判定される。
【0183】
結果は、表2において報告されている。
【0184】
1N超の剥離値は既に充分許容できるが、これらの結果は、実施例1のHMAを含む積層体A2では、2N超の優れた剥離値が、初期、および23℃で2または4週間保存後の両方で得られることを示す。これらの値は、少なくとも、例Aの参照用のSBCベースのHMAを含む積層体A2のものと全く同じように良好である。これらのレベルも、適正な噴霧性(または加工性)と共に得られ、最も有利には、これらは、例Aに必要とされる155℃のコーティング温度を相当に下回る130℃および145℃のコーティング温度で達成される。
【0185】
55℃の温度で保存した後に得られた剥離に関して、結果の大半は、依然として約1N超である。これらの値は、HMAが、長期間にわたっての保存に、また変化する保存温度下で耐える能力の指標と解釈されるべきである。概して、実施例1のHMAに対する剥離値は、例Aでの155℃のコーティング温度に対して、130℃および145℃のはるかに低いコーティング温度も考慮に入れると、例Aの参照用のSBCベースのHMAに対するものと充分同等である。
【0186】
3.積層体A4に対して、初期ならびに23℃および55℃でエージング後に測定される剥離:
Signature(商標)コーティング設備を通して得られた積層体A4は:
- コーティング組成物が、実施例1の組成物により置き換えられること;および
- 155℃のコーティング温度が、130℃または145℃のコーティング温度により置き換えられることを除いて、例AのプロトコールA4を繰り返すことにより調製される。
【0187】
これらの2つのコーティング温度のそれぞれでは、生じたコーティングパターンは、参考例Aで得られたものと全く同じように適正であり、これも良好な加工性の典型である。
【0188】
初期ならびに23℃および55℃でエージング後に測定される剥離は、上のプロトコールA3を繰り返すことにより、130℃および145℃の2つのコーティング温度のそれぞれに対応する積層体で判定される。
【0189】
結果は、表3において報告されている。
【0190】
1N超の剥離値は既に充分許容できるが、これらの結果は、実施例1のHMAを含む積層体A4では、全体的に約1.5N超の良好な剥離値が、初期、および23℃で2または3週間保存後の両方で得られることを示す。これらの値は、少なくとも、例Aの参照用のSBCベースのHMAを含む積層体A4のものと全く同じように良好である。これらのレベルも、適正な噴霧性(または加工性)と共に得られ、最も有利には、これらは、例Aに必要とされる155℃のコーティング温度を相当に下回る、130℃および145℃のコーティング温度で達成される。
【0191】
55℃の温度で保存した後に得られた剥離に関して、結果の大半は、依然として約1N超である。これらの値は、HMAが、長期間にわたっての保存に、また変化する保存温度下で耐える能力の指標と解釈されるべきである。概して、実施例1のHMAに対する剥離値は、例Aでの155℃のコーティング温度に対する、130℃および145℃のはるかに低いコーティング温度も考慮に入れると、例Aの参照用のSBCベースのHMAに対するものと充分同等である。
【0192】
4.積層体A6に対するせん断試験:
積層体A6は:
- コーティング組成物が、実施例1の組成物により置き換えられること;および
- 155℃のコーティング温度が、130℃のコーティング温度により置き換えられることを除いて、例AのプロトコールA6.1を繰り返すことにより調製される。
【0193】
アセンブリが壊れた後の時間は、常温で24時間後のせん断に対応し、例AのHMAを含む積層体A6に対する大幅に優れたせん断値に対応する7時間および34分に等しいと見出された。
【0194】
5.積層体A7に対して、初期ならびに23℃でおよび55℃でエージング後に測定される剥離:
積層体A7は:
- コーティング組成物が、実施例1の組成物により置き換えられること;および
- 155℃のコーティング温度が、130℃のコーティング温度により置き換えられることを除いて、例AのプロトコールA7を繰り返すことにより調製される。
【0195】
初期剥離は、表4においてニュートンで報告されている。
【0196】
23℃で4週間および55℃で4週間各々保存した後で、剥離は、剥離の変動対初期剥離の相対値に変換され、表4において%で表現される。
【0197】
実施例2および3(本発明による):
積層体A7に対して、初期ならびに23℃でおよび55℃でエージング後に測定される剥離:
積層体A7は、表1において示されている実施例2および3の組成物で、実施例1のポイント5を繰り返すことにより調製される。
【0198】
初期剥離は、表4においてニュートンで報告されている。
【0199】
55℃で1週間、55℃で2週間および55℃で4週間各々保存した後の剥離は、剥離の変動対初期剥離の相対値に変換され、表4において%で表現される。
【0200】
観察されるエージング後の剥離の相対損失(初期剥離に対する)は、例Aの参照用のSBCベースのHMAと充分同等である。
【0201】
実施例4(比較):
積層体A7に対して、初期ならびに23℃でおよび55℃でエージング後に測定される剥離:
積層体A7は、表1において示されている実施例4の組成物で、実施例1のポイント5を繰り返すことにより調製される。
【0202】
初期剥離は、表4においてニュートンで報告されている。この剥離は、実施例2および3で観察される初期剥離の約半分である。
【0203】
23℃で4週間、55℃で1週間、55℃で2週間および55℃で4週間各々保存した後で、剥離は、剥離の変動対初期剥離の相対値に変換され、表4において%で表現される。
【0204】
観察されるエージング後の剥離の相対損失(対初期剥離)は、本発明による実施例1、2および3のHMAに対するものより有意にさらにいっそう重要である。