(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】レンズ駆動装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
G02B 7/04 20210101AFI20240308BHJP
G03B 5/00 20210101ALI20240308BHJP
H02N 2/04 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G03B5/00 J
H02N2/04
(21)【出願番号】P 2022000309
(22)【出願日】2022-01-04
【審査請求日】2022-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】517372494
【氏名又は名称】維沃移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】VIVO MOBILE COMMUNICATION CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1, vivo Road, Chang’an, Dongguan,Guangdong 523863, China
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】石黒 かつゆき
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-139356(JP,A)
【文献】特開2006-106797(JP,A)
【文献】特開2004-144795(JP,A)
【文献】特開2009-124857(JP,A)
【文献】特開2012-124994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/04
G03B 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ駆動装置であって、
アクチュエータ基板(12)と、
エレベータープレート(2)と、
アクチュエータ(9)と、
アクチュエータ軸(11)とを含み、
前記アクチュエータ基板(12)は、ガイド機構を介してエレベータープレート(2)と接続し,前記ガイド機構は前記エレベータープレート(2)をカメラレンズ光軸方向に沿って前記アクチュエータ基板12から離れるか近づくようにガイドし、
前記アクチュエータ(9)とアクチュエータ軸(11)は当接し、前記アクチュエータ(9)が振動すると、アクチュエータ軸(11)との摩擦力により前記エレベータープレート(2)をカメラレンズ光軸方向に沿って移動させ
、
前記アクチュエータ(9)は、前記アクチュエータ基板(12)に搭載され、前記アクチュエータ軸(11)は、前記エレベータープレート(2)に搭載されることを特徴する。
【請求項2】
請求項1に記載のレンズ駆動装置であって、
前記エレベータープレート(2)に、ポジション磁石(4)を固定に搭載し,前記アクチュエータ基板(12)に磁気センサー(5)とモータドライバー(6)を固定に搭載し、または、前記エレベータープレート(2)に磁気センサー(5)とモータドライバー(6)を固定に搭載し,前記アクチュエータ基板(12)にポジション磁石(4)を固定に搭載し、
前記磁気センサー(5)とポジション磁石(4)が連動して、前記エレベータープレート(2)の位置を検出し、
前記モータドライバー(6)は、前記磁気センサー(5)により検出された前記エレベータープレート(2)の位置に基づいて、前記アクチュエータ(9)を動かせるように駆動し、前記エレベータープレート(2)を目標位置まで移動するように制御するためのものであることを特徴する。
【請求項3】
請求項
2に記載のレンズ駆動装置であって、
前記モータドライバー(6)は、具体的に、光学的距離の伸縮の制御指令及び、オートフォーカスの制御指令を受けて、前記エレベータープレート(2)が移動した前記目標位置を確定するためのものであることを特徴とする。
【請求項4】
請求項1に記載のレンズ駆動装置であって、
前記アクチュエータ(9)は、ピエゾアクチュエータであることを特徴とする。
【請求項5】
請求項1に記載のレンズ駆動装置であって、
前記アクチュエータ基板(12)にイメージセンサーモジュール(13)を固定に搭載し,前記エレベータープレート(2)にレンズ(1)と光学式手ブレ補正機(7)を固定に搭載することを含むことを特徴とする。
【請求項6】
請求項1に記載のレンズ駆動装置であって、
前記ガイド機構において、
前記アクチュエータ基板(12)に垂直に搭載される少なくとも二つのガイド軸(10)と、前記ガイド軸(10)と一対一対応する、前記エレベータープレート(2)に垂直に搭載される少なくとも二つのガイドチューブ(3)を含み、
前記ガイド軸(10)が、対応するガイドチューブ(3)に挿入され、且つ、前記ガイドチューブ(3)内を上下に移動でき、前記カメラレンズ光軸方向が前記ガイド軸に平行することを特徴とする。
【請求項7】
請求項1に記載のレンズ駆動装置であって、
前記アクチュエータ基板(12)と
前記エレベータープレート(2)との間に伸縮カバー(8)が設置されることを特徴とする。
【請求項8】
電子機器であって、
請求項1~
7のいずれかの一つに記載のレンズ駆動装置を含むことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学素子分野に係り、特に、レンズ駆動装置及び電子機器に係る。
【背景技術】
【0002】
一般に、外形サイズの大きいイメージセンサーに対応した光学系は直径とともにその全長も長くなる傾向にある。近年スマートフォン等の携帯機器が搭載されるイメージセンサも大型化する傾向にあり、携帯機器への搭載はその厚みの制約から光学的全長を未使用時には光軸方向に縮める事を可能とする手法が一般的となっている。
【0003】
従来では、デジタルカメラに、光学的距離の伸縮用のアクチュエータとオートフォーカス(AF:Auto Focus)用のアクチュエータを個別に設置して、光学的距離の伸縮用のアクチュエータは精密な動作は期待できないDCモーターを使用し、AF用のアクチュエータは精密な動作が可能なステッピングモータとリードスクリューを使用することが多い。
【0004】
しかし、従来では、2個のアクチュエータを必要とし、そのサイズからスマートフォン等の携帯機器への搭載が難しくなり、実用化が困難となっている。例えば、特許文献1において、従来例の光学的距離の伸縮とオートフォーカスを備えた機構の内部構造を開示し、円筒内面のカムによる回転による光学的距離の伸縮に伸縮用のモーターとオートフォーカス用モーターの2つを備える構造が示されている。しかし、そのサイズは大きすぎでスマートフォン等の携帯機器への搭載が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の実施例の目的としては、レンズ駆動装置及び電子機器を提供し、光学的距離の伸縮とオートフォーカスに同一のアクチュエータを共用し、レンズ駆動装置のサイズを小さくでき、コストも低減される。使用される部品数を減らして、レンズ駆動装置のコストを低減する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術問題を解決するために、本開示は、以下のように実現される。
第一の態様としては、本開示の実施例は、レンズ駆動装置であって、
アクチュエータ基板12と、
エレベータープレート2と、
アクチュエータ9と、
アクチュエータ軸11とを含み、
前記アクチュエータ基板12とエレベータープレート2に、お互いに連動する介ガイド機構が搭載され、前記ガイド機構は前記エレベータープレート2をカメラレンズ光軸方向に沿って前記アクチュエータ基板12から離れるか近づくようにガイドし、
前記アクチュエータ9とアクチュエータ軸11は当接し、前記アクチュエータ9が振動すると、アクチュエータ軸11との摩擦力により前記エレベータープレート2をカメラレンズ光軸方向に沿って移動させる。
第二の態様としては、本開示の実施例は、電子機器であって、前記の第一の態様に記載のレンズ駆動装置を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示の実施例では、伸縮機構を有する光学系において、光学系の伸縮とオートフォーカスに同一のアクチュエータを共用し、レンズ駆動装置のコストを低減する。そして、使用される部品数を減らすことにより、本開示の実施例では、レンズ駆動装置のサイズを小さくでき、レンズ駆動装置の構成がさらにコンパクトさせ、携帯式電子機器に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施例によるレンズ駆動装置の構造分解の概念図である。
【
図2】本開示の実施例によるレンズ駆動装置の斜視構造概念図。
【
図3】本開示の実施例におけるレンズ駆動装置の異なる移動状態での構造概念図。
【
図4】本開示の実施例におけるレンズ駆動装置の第一状態での構造概念図。
【
図5】本開示の実施例におけるレンズ駆動装置の第二状態での構造概念図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施例の図面とともに、本開示の実施例の技術手段を明確且つ完全的に記載する。明らかに、記載する実施例は、本開示の実施例の一部であり、全てではない。本開示の実施例に基づき、当業者が創造性のある作業をしなくても為しえる全ての他の実施例は、いずれも本開示の保護範囲に属するものである。
【0011】
本開示の明細書及び特許請求の範囲における用語「第1」、「第2」などは、類似した対象を区別するためのものであり、必ずしも特定の順序又は優先順位を説明するためのものではない。ここで説明した本開示の実施例が、例えばここでの図示又は説明以外の順序でも実施できるように、このように使用されたデータは、適宜入れ替えてもよいと理解すべきである。尚且つ、用語「第1」、「第2」などにより区別される対象は、通常同種なものであり、対象な数を限定しない。例えば、第一対象は、一つでもよく、複数でもよい。なお、明細書及び特許請求の範囲における「及び/又は」は、接続対象の少なくとも1つを表す。文字「/」は、一般に、前後関連な対象が「或いは」の関係となることを示す。
【0012】
本開示の実施例によるレンズ駆動装置において、光学系の伸縮とオートフォーカス動作に同一のアクチュエータを共有できる。具体的に、
図1と
図2に示すように、該レンズ駆動装置において、アクチュエータ基板12と、エレベータープレート2と、アクチュエータ9と、アクチュエータ軸11を含み、前記アクチュエータ基板12は、ガイド機構を介してエレベータープレート2と接続し,前記ガイド機構は、前記エレベータープレート2をカメラレンズ光軸方向に沿って前記アクチュエータ基板12から離れるか近づくようにガイドし、前記アクチュエータ9とアクチュエータ軸11は当接し、前記アクチュエータ9が振動すると、アクチュエータ軸11との摩擦力により前記エレベータープレート2をカメラレンズ光軸方向に沿って移動させる。
【0013】
具体的に、
図1と
図2において、前記アクチュエータ軸11は、アクチュエータ基板12に搭載され、前記アクチュエータ9は、前記エレベータープレート2に搭載される。また、この搭載の別の方式として、本開示の実施例では、前記アクチュエータ9は、アクチュエータ基板12に搭載され、前記アクチュエータ軸11は、前記エレベータープレート2に搭載されてもよい。
【0014】
一つの実現方式として、本開示の実施例に採用される前記ガイド機構において、前記アクチュエータ基板12に垂直に搭載される少なくとも二つのガイド軸10と、前記ガイド軸10と一対一対応する、前記エレベータープレート2に垂直に搭載される少なくとも二つのガイドチューブ3を含み、前記ガイド軸10が、対応するガイドチューブ3に挿入され、且つ、前記ガイドチューブ3内を上下に移動でき、前記カメラレンズ光軸方向が前記ガイド軸に平行する。また、前記アクチュエータ基板12とエレベータープレート2に伸縮カバー8が設置される。
【0015】
本開示の実施例において、前記アクチュエータ9は、リニアアクチュエータを用いる。具体的に、ピエゾアクチュエータ(Piezo Motor)、ボイスコイルアクチュエータ(VCM:Voice Coil Actuator)または、スクリューによってリニアに変換する回転式アクチュエータであってもよい。具体的な応用において、携帯式電子機器の利用可能な空間に応じて適当なアクチュエータを選択してもよい。一般的に、ピエゾアクチュエータは、小型で、大きい移動距離を実現できるので、本開示の実施例では、ピエゾアクチュエータを用いることを望ましい。
図1と
図2において、ピエゾアクチュエータが用いられる。
【0016】
ピエゾアクチュエータを用いて駆動する場合に、ピエゾアクチュエータ9(Piezo Motor)とアクチュエータ軸11が一定な圧力で当接する。ピエゾアクチュエータ9(Piezo Motor)に高周波電圧をかけると、ピエゾアクチュエータ(Piezo Motor)に微小な振動を発生させて、アクチュエータ軸11との摩擦力により、エレベータープレート2を軸の長手方向へ移動させる。
【0017】
ここで、ピエゾアクチュエータを用いる理由としては、ピエゾアクチュエータの振動プレートがアクチュエータ軸を移動することによって、軸の長さに対応するストローク(Stroke)と微小な振動により駆動でき、さらに、適当にアクチュエータを制御することで、オートフォーカスための微小な移動を実現できることである。
【0018】
エレベータープレート2が移動する中、エレベータープレート2の位置検出を必要とし、位置検出結果を取得し、位置検出結果を光学的伸縮距離とオートフォーカスの制御に用いる。具体的に、
図1と
図2に示すように、本開示の実施例では、前記エレベータープレート2にポジション磁石を固定に搭載し,前記アクチュエータ基板12に磁気センサーとモータドライバーを固定に搭載する。前記磁気センサー5は、ポジション磁石4と連動し、前記エレベータープレート2の位置を検出する。前記モータドライバー6は、前記磁気センサー5に検出した前記エレベータープレート2の位置に基づいて、前記アクチュエータ9を動させるように駆動し、前記エレベータープレート2を目標位置まで移動させるように制御する。
【0019】
別の方式として、本開示の実施例では、磁気センサー5とモータドライバー6を固定に前記エレベータープレート2に搭載し、前記ポジション磁石4を固定に前記アクチュエータ基板12に搭載してもよい。
【0020】
本開示の実施例では、光学系の伸縮とオートフォーカスの動作に同一のアクチュエータを共用でき、すなわち、前記モータドライバー6は、具体的に、光学的距離の伸縮の制御指令及び、オートフォーカスの制御指令を受けて、前記エレベータープレート2が移動した前記目標位置を確定する。
【0021】
引き続き、
図1と
図2を参照し、本開示の実施例では、前記アクチュエータ基板12にイメージセンサーモジュール13を固定に搭載し、前記エレベータープレート2にレンズ1と光学式手ブレ補正機(Optical Image Stabiliser)7を固定に搭載する。エレベータープレート2により、軸の長手方向に移動させて、
図3に示す異なる移動状態を実現できる。
図3に異なる移動状態で実現できる光学的距離の伸縮14とオートフォーカス空間15を示す。
図4と
図5に、さらに、異なる移動状態でのアクチュエータ9とアクチュエータ軸11の相対位置。
図4において、レンズ1とイメージセンサーモジュール13との距離が小さくて、この時、アクチュエータ9とアクチュエータ軸11の下半部分が当接する。
図5において、レンズ1が位置するエレベータープレートがイメージセンサーモジュールから離れる移動を生じるため、レンズ1とイメージセンサーモジュール13との距離が大きくなり、この時、アクチュエータ9とアクチュエータ軸11との上半部分が当接する。
【0022】
上記のように、本開示の実施例では、光学的距離の伸縮制御とオートフォーカス制御に同一のアクチュエータを共用し、レンズ駆動装置に使用される部品数を減らして、装置のサイズを小さくて、装置のコストを低減できる。
【0023】
上記のレンズ駆動装置によれば、本開示の実施例は、電子機器を提供する。この電子機器は、前記レンズ駆動装置を光学的距離の伸縮制御とオートフォーカス制御のアクチュエータとする。この電子機器は、具体的に、スマトフォン、ノートパソコン、PDAなどの機器である。
【0024】
以上、本開示の実施例を図面に基づいて記載したが、本発明は、上記の具体的な実施形態に限定されるものではない。上記の具体的な実施形態は、例示的なものであり、限定的なものではない。本開示の示唆を受け、当業者が本開示の趣旨および特許請求の範囲から逸脱することなくなしえる多くの形態は、すべて本開示の保護範囲に含まれる。