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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】CTシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/046 20180101AFI20240308BHJP
【FI】
G01N23/046
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022011873
(22)【出願日】2022-01-28
(65)【公開番号】P2022117490
(43)【公開日】2022-08-10
【審査請求日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】21154404.4
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500341779
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト・ツール・フェルデルング・デル・アンゲヴァンテン・フォルシュング・アインゲトラーゲネル・フェライン
(74)【代理人】
【識別番号】100134119
【弁理士】
【氏名又は名称】奥町 哲行
(72)【発明者】
【氏名】ザラモン・ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ベーネル・ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ライムス・ニルス
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン・モーリス
(72)【発明者】
【氏名】ゼアベ・カトリン
(72)【発明者】
【氏名】ウフク・エアゲン
(72)【発明者】
【氏名】コッホ・ディートマー
(72)【発明者】
【氏名】ジマーラー・ハンストーマス
(72)【発明者】
【氏名】ボク・ダニエルクリストファー
(72)【発明者】
【氏名】アーカー・オズチャンデニス
【審査官】清水 靖記
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-065973(JP,A)
【文献】特開2008-064758(JP,A)
【文献】特開2006-105787(JP,A)
【文献】特開2012-080963(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0353601(US,A1)
【文献】特表2020-505613(JP,A)
【文献】米国特許第04210811(US,A)
【文献】特開2007-041002(JP,A)
【文献】特開2008-122337(JP,A)
【文献】特開2006-038836(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0084775(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00 - G01N 23/2276
A61B 6/00 - A61B 6/58
G01B 15/00 - G01B 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CTシステム(10)であって、
X線源(14)、および
前記X線源(14)に対向して配置されたX線検出器(12)であって、前記X線検出器(12)および前記X線源(14)が、回転手段を介して少なくとも1つの回転の中心(17)の周りで回転可能であり、前記少なくとも1つの回転の中心(17)と前記X線源(14)との間、および前記少なくとも1つの回転の中心(17)と前記X線検出器(12)との間の距離(12_17_a、17_14_a)が、少なくとも2倍互いに異なる、X線検出器(12)
を含み、
前記X線検出器(12)が、前記CTシステム(10)の回転円(12r)に沿って接線方向に延在するか、または前記CTシステム(10)の回転円(12r)に沿って延在する線検出器または領域検出器であり、
前記回転手段は、前記X線源(14)が固定されるカンチレバーを含み、前記カンチレバーは他の回転円(14r)に沿って回転可能であり、
前記回転円(12r)と前記他の回転円(14r)とは同心円状であり、共通の前記回転の中心(17)を有し、
前記回転手段は、前記X線源(14)および前記X線検出器(12)を、240°未満の制限された角度で回転させるように構成される、CTシステム(10)。
【請求項2】
前記距離12_17_a、17_14_a)は、放射線によって貫通される対象物(16)に対する前記X線源(14)および前記X線検出器(12)の非対称的な配置が生じる程度に異なり、および/または
前記対象物(16)は、前記少なくとも1つの回転の中心(17)が前記対象物(16)を通って延びて放射線によって貫通されるように、前記X線源(14)と前記X線検出器(12)との間に配置可能である、請求項1に記載のCTシステム(10)。
【請求項3】
前記回転手段が、前記X線源(14)および前記X線検出器(12)を約0°と120°~240°の角度で回転させるように構成される、請求項1から2のいずれか一項に記載のCTシステム(10)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの回転の中心(17)と前記X線源(14)との間の前記距離(12_17_a、17_14_a)が、前記少なくとも1つの回転の中心(17)と前記X線検出器(12)との間の前記距離(12_17_a、17_14_a)よりも大きい、請求項1から3のいずれか一項に記載のCTシステム(10)。
【請求項5】
前記距離(12_17_a、17_14_a)が、少なくとも係数3、または少なくとも係数4だけ異なる、請求項1から4のいずれか一項に記載のCTシステム(10)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの回転の中心(17)と前記X線検出器(12)との間の前記距離(12_17_a、17_14_a)が、放射線によって貫通される対象物(16)の最大の対象物の断面、または放射線によって貫通される対象物(16)の最大の対象物の断面未満に対応する、請求項1から5のいずれか一項に記載のCTシステム(10)。
【請求項7】
前記X線検出器(12)は、曲線検出器または湾曲領域検出器である、請求項1から6のいずれか一項に記載のCTシステム(10)。
【請求項8】
前記回転手段は、剛性マウントを備え、前記剛性マウントは、回転円の周りのその動きに沿って前記X線検出器(12)を取り付け、および/または
前記検出器(12)は、前記回転手段の支持リング構造に近接して、または前記回転手段の前記支持リング構造に直接配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載のCTシステム(10)。
【請求項9】
前記CTシステム(10)は、対象物ホルダまたは可動対象物ホルダを備え、前記可動対象物ホルダは、送り方向に沿って移動するように構成される、請求項1から8のいずれか一項に記載のCTシステム(10)。
【請求項10】
前記CTシステム(10)が、ステージの形態の対象物ホルダを備える、請求項1からのいずれか一項に記載のCTシステム(10)。
【請求項11】
前記対象物ホルダは、1×1×1メートルより大きい、または1.5×1.5×1メートルより大きい、または2×2×1メートルより大きい、または2×2×2メートルより大きい対象物(16)を記録するように構成される、請求項9または10に記載のCTシステム(10)。
【請求項12】
前記可動対象物ホルダは、前記X線検出器(12)および前記少なくとも1つの回転の中心(17)の周りで回転可能な前記X線源(14)の回転面に垂直に延びる送り方向に沿って移動するように構成され、または
前記可動対象物ホルダは、前記X線検出器(12)および前記少なくとも1つの回転の中心(17)の周りで回転可能な前記X線源(14)の回転面に対して角度により傾斜をつけて延在する送り方向に沿って移動するように構成され、または
前記可動対象物ホルダは、前記X線検出器(12)および前記少なくとも1つの回転の中心(17)の周りで回転可能な前記X線源(14)の回転面に対して角度により傾斜して延在する送り方向に沿って移動するように構成され、前記角度は、75°と90°の間、または80°と85°の間、または75°と89°の間の範囲にある、請求項に記載のCTシステム(10)。
【請求項13】
前記送り方向が、前記少なくとも1つの回転の中心(17)を通って延びる、請求項12に記載のCTシステム(10)。
【請求項14】
前記対象物は、前記対象物の対象の構成要素が前記回転面に対して傾斜するように、前記送り方向に沿って配置される、請求項2または6を間接的に引用する請求項12または13に記載のCTシステム(10)。
【請求項15】
前記対象物ホルダの移動が、空間内の2つの構成要素を含む、請求項12または13または14に記載のCTシステム(10)。
【請求項16】
前記CTシステム(10)が可動式である、請求項1から15のいずれか一項に記載のCTシステム(10)。
【請求項17】
前記CTシステム(10)が可動放射線保護ブロックを備える、請求項16に記載のCTシステム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、CTシステム、特に、高い分解能を維持しながら、自然な態勢(道での態勢)にある車両などの非常に大きいおよび/または長い対象物を断層撮影するためのCTシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ断層撮影(CT)は、内部の形状、材料組成、および構成要素の可能性のある欠陥に関する情報を得るための貴重なツールとして、多くの産業での用途において確立されてきた。さらに、CTは、寸法の測定、例えば、撮像が高い幾何学的な精度を伴う幾何学的再構成に、一層使用されている。長い間、構成要素のサイズが制限要因であった。ほんの数年前に、Fraunhofer EZRT[1]、[2]のXXL CT周辺の研究で実証されたように、車両全体などの大規模な対象物の3次元での取り込みが、適切な空間分解能で可能になった。測定されるべき大型の対象物を最適に撮像するために、放射線透過方向および放射線によって透過されるべき関連する物質の厚さが決定的な要因である。市場で入手可能なX線源は、数メートルの範囲の対象物を十分に透過させることができないので、対象物の長手方向軸に沿った放射線透過は回避されるべきである。これは、高電圧蓄積ユニットの領域内の電気自動車の例において、特に明確に見て取ることができる。透過がないため、この領域では車両の詳細を検出することができない。このため、自動車、SUV、またはさらには飛行機などの車両は、今では、適切なラックの直立した態勢で、XXL CTでスキャンされる。これにより、スキャンの質は大幅に向上する。
【0003】
スキャニング技術をさらに確立するために、使いやすさを改善する必要があり、時間がかかり、非常に歪む車両の直立での位置決めを回避しなければならない。重力の効果が(元々の道での態勢と比較して)90°変化し、関連する物質の応力のみが原因で、結果は多くの疑問(例えば、CADモデルとスキャンされた車両との間の目標/実際の比較)に対して限られた範囲でしか使用できない。さらに、起立させるプロセスは、作動流体を空にして車両を固定するために、かなりの個人的かつ時間的な労力を必要とする。車両の完全性は限られた範囲でしか保証することができず、これが、連続生産用途のための車両に対してプロセスを実行することができない理由である。
【0004】
上記の問題を回避するために、医学で長い間使用されてきたように、測定対象物の周りを360°回転するガントリCTシステムを使用することは明らかである。産業分野では、例えば、そのようなシステムが荷物検査に使用される[3]。しかし、この技術を単純に大型の対象物に適用することは不可能である。これは、以下の理由による。十分な透過能力を有するために、1MeV超の放射線ビームエネルギーの高エネルギーX線源を使用しなければならない。このような高エネルギー源の放出特性により、最大断面積が3mの車両のみをスキャンする場合でも、焦点と検出器間の距離は10m以上になる。これにより、十分に正確で、重い荷重が可能であり、約360°回転させることができる直径約10~12mのリングを構築するべく、非常に大きな構築での労力に至る。別の欠点は、放射線保護を確実にするのに十分な厚さの遮蔽を含む、対応して大きな測定ホールを設ける必要があることである。境界の制御およびセキュリティの分野はまた、車両およびコンテナをチェックするためにいわゆるガントリポータルを使用する[4]。しかし、これらは、本明細書に提示されるシステムとは根本的に異なる。市販されているシステムは回転式システムではない、すなわち、試験対象物の完全な3D画像を取り込むことは不可能である。2つの線源検出器対を互いに一定の角度に配置することによって、2つの視野方向から対象物を放射線撮影することのみが可能である。いくつかの特許は回転式ガントリを記載しているが、それらは実際にはまだ実現および使用されていない。さらに、これらのシステムは、サイクル時間に関して最適化される。したがって、達成可能な空間分解能は主な関心事ではなく、そのため、非破壊試験の適用目的に解決策を使用することができない。本明細書に記載の発明では、車両または他の大型および/または細長い対象物は、それらの元の態勢(自動車の場合はその道路での態勢)において2次元および/または3次元で、高い分解能および非常に効率的に取り込まれ得る。一方では、直立スキャニングプロセスの困難が回避される。一方、古典的な医療用ガントリ手法(360°のリング)の適応と比較して、構造、製造、取り扱い、および放射線保護に関する複雑さおよび労力の軽減が可能である。したがって、改善された概念が必要とされている。
先行技術にはすでにいくつかの手法がある。
【0005】
-非常に大きな対象物および/または長い対象物をスキャンするための断層撮影システム(XXL CT)→限られた対象物の長さ、高吸収領域における劣悪な画質、最新の電気自動車の検査のためのXXL CT能力、参照までに、https://www.ndt.net/search/docs.php3?id=24754
【0006】
-非常に大きな対象物および/または長い対象物の直立スキャニングのための断層撮影システム(XXL CT)→自然の態勢なし(重力、力、ラック)、参照までに、最新の電気自動車の検査のためのXXL CT能力、https://www.ndt.net/search/docs.php3?id=24754
【0007】
-医療用ガントリシステムに基づく従来の小型ガントリシステム、例えば手荷物CTガントリスキャナ→360°、限られた対象物のサイズ(参照までに、https://www.smithsdetection.com/products/hi-scan-6040-ctix/)
【0008】
-トラックガントリポータル→断層撮影が不可能(参照までに、ガントリ検査システムhttps://www.smithsdetection.com/products/hcvg/)
【0009】
-セキュリティガントリポータル→実装に非常に類似しているが、分解能に関して明確化されていない。セキュリティ用途のための実現は、粗い空間分解能のみを必要とする。本発明者らの概念は、記載された先行技術、参照までに、米国特許出願公開第2006/0126772号(A1)明細書より上のサブミリメートル範囲の最大分解能までの構成要素の配置の最適化を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許出願公開第2006/0126772号(A1)明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、高い空間分解能を同時に可能にする、自然の態勢、例えばそれらの道での態勢にある車両などの、非常に大きいおよび/または非常に長い対象物のコンピュータ断層撮影(2Dおよび3D)のための概念を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、独立特許請求項の範囲の主題によって解決される。
【0013】
本発明の実施形態は、(高エネルギー)X線源と、X線源に対向して配置されたX線検出器とを有するCTシステムを提供する。X線検出器およびX線源は、少なくとも1つの回転の中心(z方向に延びる静止点または回転軸)を中心として互いに回転可能である。
【0014】
少なくとも1つの回転の中心とX線源との間、ならびに少なくとも1つの回転の中心とX線検出器との間の距離は異なる。例えば、距離は、少なくとも係数2だけ異なり得る。実施形態によれば、回転手段は、X線検出器およびX線源の回転および懸架のための手段を含む。実施形態によれば、一般に懸架または少なくとも1つの回転の中心に対するX線検出器およびX線源の配置は、放射線によって貫通される対象物に対するX線源およびX線検出器の非対称的な配置が生じるように設計される。ここで、実施形態によれば、対象物は、少なくとも1つの回転の中心または回転軸が放射線によって貫通される対象物を通って延びるように、X線源とX線検出器との間に配置されてもよい。
【0015】
本発明の実施形態は、設置スペース全体が過度に増加しなくても、回転の中心の周りの非同期での配置によって、同時に高い分解能を達成することができるという知見に基づいている。詳細には、放射線源をカンチレバーに取り付けることによって、例えば、放射線検出器がより短いカンチレバーまたはより小さい半径で誘導される場合、全体的にかなり小さいガントリリング直径が使用される。特に、これはまた、低コストの標準的な構成要素の使用を可能にする。
【0016】
さらなる実施形態によれば、回転が180°+開口角(一般に180°、180°とファン角の和、約0°と120°~180°の間の角度、約0°と150°~210°の間の角度、約0°と120°~240°の間の角度、約240°未満の角度、または360°未満の角度)にのみ低減されると仮定すると、非常に大きな対象物のための高分解能CTシステムの構築労力は、コスト、設置スペース、複雑さに関して大幅に低減され得る。したがって、可能な用途は、XXL CT、ガントリCT、例えばポータルCTなどによる自動車工学における非破壊的な試験である。上記で特徴付けられた実施形態は、以下の利点をさらに可能にする。
1.スキャン中の測定対象物の自然の態勢(道での態勢)
2.直立態勢なし
a.時間および人員に関する要件が少ない
b.ラック不要
c.重力位置
i.変形
ii.液体
3.より単純な配線(スリップリングなし)
4.床に大きな凹部または対象物昇降装置を必要としないため、対象物への容易なアクセスが可能
5.より小さいホール、より容易な放射線保護
6.より簡単な組み立て(例えば、ベアリングは風力工学からの標準的な構成要素である)、天井からの挿入の必要がない
7.360°ではなく180°+開口角に回転を制限することによる、天井領域の放射線保護の軽減(制限角度アプローチ)
8.対象物の送りを経るzに沿ったより少ない放射線保護
リングが小さ目であるため、より容易にアクセスできる(カンチレバーのみが12mの全距離を有する)。
【0017】
さらなる実施形態によれば、1つの回転の中心とX線源との間の距離は、少なくとも1つの回転の中心とX線検出器との間の距離よりも大きい。例えば、距離は、少なくとも係数2、少なくとも係数3、または少なくとも係数4だけ異なっていてもよい。例えば、回転の中心とX線源との間の距離を8mとすると、回転の中心とX線検出器との間の距離は、例えば2mである。実施形態によれば、少なくとも1つの回転の中心とX線検出器との間の距離は、放射線によって貫通される対象物の最大の対象物断面、例えば自動車の場合には2mである。さらなる実施形態によれば、距離は、最大の対象物断面よりも小さい。
【0018】
実施形態によれば、リニア加速器などの高エネルギー放射線源が使用される。特に、大きな対象物、または高密度構成要素を有する対象物を照射する場合、これは空間分解能に関して利点を有する。
【0019】
実施形態によれば、X線検出器は、CTシステムの回転円に沿って接線方向に延在する線検出器または表面検出器として実現される。実施形態によれば、X線検出器はまた、CTシステムの回転円に沿って延びる曲線検出器または曲面検出器であってもよい。
【0020】
実施形態によれば、回転手段は、剛性マウント(縮小された回転円のマウント)を含み、剛性マウントは、回転軸の周りのその動きに沿って、X線検出器を取り付ける。さらなる実施形態によれば、回転手段は、X線源が固定されたカンチレバーを含み、カンチレバーは(さらなる)回転円に沿って回転可能であるか、またはX線源はこのさらなる回転円に沿って回転する。
【0021】
実施形態によれば、CTシステムは、対象物ホルダまたは可動対象物ホルダ(z方向に移動可能な対象物ホルダ)を備える。可動対象物ホルダは、例えば回転円を横切って垂直に延びる送り方向(z方向)に沿って移動するように構成される。実施形態によれば、対象物ホルダは、ステージの形態を含むことができる。実施形態によれば、対象物ホルダは、1×1×1メートルより大きい、2×2×1メートルより大きい、または2×2×2メートルより大きい、または1.5×1.5×1メートルの対象物を記録するように構成される。
【0022】
実施形態によれば、CTシステムは、可動式、例えば可動ポータルCTであってもよい。実施形態によれば、可動放射線保護ブロックを設けることが考えられる。回転半径が限られているため、例えば、これらの放射線保護ブロックを隣に設置するだけで十分である。実施形態によれば、放射線によって貫通される対象物、例えば自動車またはトラックは、路面上の放射線によって直接貫通され得る。
【0023】
実施形態によれば、CTシステムは、例えば、X線検出器および少なくとも1つの回転の中心の周りを回転するX線源の回転面に対して垂直に延びる送り方向に沿って移動するように構成された可動ホルダを有することができる。これは、対象物がガントリ/表面展開を通って移動する間に、細長い対象物がその長さ方向を通ってスキャンされ得ることを意味する。好ましい実施形態によれば、送り方向は、回転面に対して角度により傾斜されて延在する。角度は、例えば、95°または90°または85°とすることができる。一般に、角度は、75°または80から85°の間、または75から89°の間の範囲にある。これは、回転面、例えば車両の軸に平行に延びる対象物の構成要素を斜めにスキャンすることができ、その結果、対象物の分解能を高めることができるという有益な効果を有する。実施形態によれば、送り方向は、少なくとも1つの回転軸を通って延びることに留意されたい。これは、送り方向が回転面に対して垂直であるか、または回転面に対して傾斜している場合に当てはまる。この斜めの送り方向は、移動が2つの成分、例えばx成分とz成分を有する場合に達成することができる。上述したように、結果として、実施形態によれば、対象物の対象成分は、回転面に対して傾斜しており、それにより、これを好ましい方法でX線照射することができる。
さらなる発展形態は、従属請求項に定義されている。本発明の実施形態を、添付の図面を基にして説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1a】基本的な実施形態によるCTシステムの概略図である。
図1b】車両CT全体の構造の概略図を示しており、実施形態による大型リングの構成要素の対称的な配置を備える。
図1c】車両CT全体の構造の概略図を示しており、実施形態による放射線源用のカンチレバーを有する非対称的な配置を備える。
図2a】従来の構造の場合の遮蔽の可能性を示す。
図2b】実施形態の助力のもとでの放射線保護シールドの低減の概略図である。
図3a】車両全体のCTの縦断面の概略図を示す(可動の対象物の周囲にある可動の撮像システム)。
図3b】車両全体のCTの縦断面の概略図を示す(可動の対象物の周囲にある固定の撮像システム)。
図4a】実施形態によるCTシステムを通って移動するスキャン対象物の概略図を示す(従来の移動方向を有する)。
図4b】実施形態によるCTシステムを通って移動するスキャン対象物の概略図を示す(スキャニング性能の向上を可能にする移動を有する)。
図4c】実施形態によるCTシステムを通って移動するスキャン対象物の概略図を示す(スキャニング性能の向上を可能にする移動を有する)。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態を添付の図面に基づいて以下に説明する前に、同じ効果を有する要素および構造は、それらの説明を互いに適用することができ、および/または相互に交換可能であるように、同じ参照符号で示されていることに留意されたい。
【0026】
図1aは、放射線源14および放射線検出器12を有するCTシステム10を示す。放射線源14および放射線検出器12は、動作中に放射線ジオメトリ12_14_gが生じるように互いに対向して配置される。CTシステム10は、放射線によって対象物16を貫通するために使用され、前記対象物は、非常に大きい、例えば、1×1×1メートルまたは2×2×1メートルまたは2×2×2メートルおよび1.5×1.5×1メートルの寸法を有すると仮定される。対象物16の例は、自動車またはトラックである。対象物は、放射線によって完全に貫通され得る。
【0027】
検出器12および放射線源14の配置は回転可能であり、例えばこの場合は、角度αに基づいて示されているように、約180°である。角度αは、2つの異なる回転円12rおよび14rについて描かれている。12rは検出器12の回転軌道に属し、対して14rは放射線源14の回転軌道に属する。この場合、回転の中心17を中心として回転する。実施形態によれば、回転の中心17は、回転軸が対象物16を通って延びるように配置されてもよい。その結果、CTシステム、特にCTシステムの構成要素14および12は、対象物16の周りを回転する。回転は、例えば、マウント、Cアームなどの形態の接続要素、および駆動装置を備えることができる回転手段によって実現される。回転手段は、ここでは例としてのみ言及されており、図示されていない。
【0028】
検出器12および放射線源14は、検出器12と回転の中心17との間および回転の中心17と放射線源14との間にそれぞれ距離12_17_aおよび17_14_aが生じるように配置される。
【0029】
この基本の実施形態によれば、距離12_17_aは距離17_14_aとは異なる。例えば、距離17_14_aは、距離12_17_aよりも大きい。例示的なサイズの比は1:2または1:4であるが、1:1.5など、いずれかの他のサイズの比も理論的に考えられる。これによって生じるのは、回転の中心17または対象物16に対する放射線源14の位置と比較される、回転の中心17または対象物16の位置に対する放射線検出器12の非対称的な配置である。この非対称的な配置に基づいて、検出器12の移動軌道の半径(参照までに12r)は、放射線源14の半径(参照までに14r)よりも大幅に小さい。放射線源14が対象物16の上方で回転し、検出器12が対象物16の下方で回転する(例えば、両方とも約180°)と仮定すると、CTシステムのジオメトリは、すべての側に対して同じ距離を維持しないことによって改善され得るが、CTシステム全体が放射線によって対象物16を貫通することができ、それによって再構成に必要な実質的にすべての立体角をカバーしながら、依然として高い空間分解能を可能にすることを保証する。
【0030】
上記の実施形態は、距離12_17_aが距離17_14_aよりも小さいことを想定しており、これは空間分解能に関して特に有利であるが、必須ではない。続いて、詳細な背景および可能なさらなる実施形態、または実装の詳細について説明する。本発明の実施形態は、医療分野でも使用されるように、垂直回転式ガントリシステムに基づいている。回転式ガントリに取り付けられ、対向する構成要素の放射線源14および検出器12からなる撮像システム10は、回転運動中に多くの観察角度(例えば100以上)から試験対象物を取り込む。実施形態は、(1)対象物の寸法に適合した直径を有するマウントリングを備えた回転の中心の周りの放射線源および検出器の非対称的な配置、および(2)放射線ジオメトリの180°+開口角の周りの回転が対象物を完全にスキャンするのに十分であるという事実の2つの事実を使用する。
【0031】
これにより、必要な大きな軌道を達成するように撮像システムを特別に取り付けることが可能になり、これについては後に実施形態に基づいてより詳細に説明する。
【0032】
例えば、自動車のサイズの対象物の焦点と検出器の距離は約10mである。この場合、放射線源と回転の中心との間の距離は約8mであり得、対象物と回転の中心との間の距離は約2mであり得る。これは、医療および技術の用途のためのほぼ対称的な小型回転式ガントリシステムと当システムを明確に区別する。構成要素の位置決めの精度の要件は、等方性ではなく、そのため、検出器側の要件は放射線源側(+/-800μm)よりも大幅に大きい(+/-200μm)。実施形態によれば、検出器12の半径は、2または3メートル(一般に1から4メートルの範囲)になることができ、対して線源14の半径は、8から10メートルになることができる。これを発端として、使用することによって線源が検出器12に結合されるカンチレバーは、5から7メートルの間(一般に、3から10メートルの間)の長さを有することができる。
【0033】
直径10mのガントリリングの代わりに、半径=対象物と検出器間の距離(ここでは約2m)、または最大対象物断面を有するガントリリングが使用される。これにより、特に必要とされる高精度のために(特に検出器の側で)、CTスキャナの構成が大幅に簡素化される。高い位置の忠実度のために、検出器は、支持リング構造に近接して、または支持リング構造に直接配置されてもよい。背景は、レベリングアームなしで検出器をリングに固定することにより、検出器の移動および分解能に関する欠点をもたらす、レベリングアームの撓みのような、レベリングアームによって引き起こされる影響が、回避されるということである。例えば、風力タービン工学由来の高精度の軸受をリングに使用することができる。10mの必要な焦点検出器距離を実現するために、リニアアクセラレータは、リングに接続され、本発明の特徴であるカンチレバーに取り付けられる。本発明で指定された異方性の精度の要件のために、カンチレバーの位置から生じる精度寸法に対するてこの作用は許容され得る。この特徴を利用して、機械的位置決めユニット(ガントリ)は、均一な精度要件を有する対称的な変形形態を使用する場合よりもかなり効率的に、したがって安価に実装され得る。さらに、構造から生じるさらなる不正確さは、体積再構成中に計算ユニットによって補償され得る。
【0034】
さらに、提示されたシステムは、180°<α<360°の回転範囲αを有する。これにより、使用するαに応じて必要な設置スペースが削減される。さらに、リングでの構成要素の操作が容易になる。例えば、スリップリングまたは無線の技術を介して電源または信号の供給を導入する必要はない。
【0035】
図1bおよび図1cを参照して、従来の構造を超える利点を以下に説明する。非対称的な配置を引き起こす、カンチレバーを使用することと、完全な360°の回転を省くことの組み合わせは、図1cに基づいて示すように、設置断面積を大幅に縮小することを可能にする。
【0036】
図1bは、自動車16などの対象物のためのX線システム/CTシステムの従来の構造を示す。ここで、回転点は再び参照符号17で示され、また対象物16を通って延びる。検出器12および放射線源14は、それぞれ回転の中心17を中心として軌道12rおよび14r上を回転する。軌道12rおよび14rは同一であり、すなわち閉じた円軌道である。この点において、360°の回転角度αが生じる。全回転の結果として、対象物16は、それぞれ回転円12rおよび14rを中心とする対象物レセプタクル(図示せず)と共に配置されなければならない。可能な実装形態では、対象物16、例えば車両は、ステージの上に持ち上げなければならず、要素12および14は、同一の周りをそれぞれ回転軌道12rおよび14rに沿って回転しなければならない。要素12および14の完全な回転および同一の回転軌道(参照までに、それぞれ、12rおよび14r)が必要なために、かなりの量の空間が必要とされる。さらなる欠点は、CTシステムの周りに実装されなければならない放射線保護要素の配置である。放射線保護配置は、参照符号19a~19dで示されており、360°の回転中にすべての側で同じ放射線への曝露が生じるため、4つのすべての側で等しい厚さである。
【0037】
ここで、図1cにおいて改善が達成される。次に、図1cは、放射線源14および放射線検出器12が回転の中心17の周りを回転するCTシステムの配置10’を示す。これにより、回転軌道12rを中心に回転する。次に、回転の中心17は、対象物16を通って延びる。配置10’では、検出器12は、図2aの検出器12と同様に、例えばある種のガントリまたは管に取り付けられ、半径12_17_rは大幅に低減される。一方、放射線源14は、さらなる軌道14rでカンチレバー14aを介して誘導される。ここで、回転軌道14r、12rは、共通の回転の中心17を有するため同心円状であるが、半径が異なる。回転軌道14rの半径を参照符号17_14_rで示す。
【0038】
カンチレバーの使用と、完全な360°の回転を省くことの組み合わせは、構造の断面を大幅に縮小することを可能にする。したがって、放射線保護ホールは、図1bに示すように、断面の半分しか有さず、測定領域へのアクセス可能性は、検出器の領域において本質的にわずかに制限されるにすぎない。この時点で、対象物16へのアクセス可能性は、線16zならびに図1bおよび図1cに基づいて各実施形態で示されていることに留意されたい。見て取れるように、図1cの実施形態では、アクセス可能性が大幅に増加している。回転範囲が限られているため、側壁、特にホール天井の大部分は照射されず、放射線保護の態様によれば、図2a、図2b(例えば、ここでは4mの幅を有するラインタイプの方法で)に示すように、あまり大規模に実施する必要がないことがさらなる利点である。
例えば、ガントリの構造で、取り付けが行われる(最大または平均的軌道への取り付け)。
言い換えれば、検出器12の取り付けが、ここでは対象物16の領域で実行され、カンチレバー14aはアクセラレータ14を支持する。
【0039】
図2aは、図1bの実施形態による状況を想定しており、図2bは、図1cの構造的状況を想定している。ハッチングされた領域に基づいて、直接照射を伴うゾーンが画定され、それに基づいて放射線保護対象物19a~19dが寸法決めされなければならない。直接照射を伴うすべてのゾーンは、周辺領域よりも著しく大きい遮蔽を伴って寸法決めされる。図1cまたは図2bの実施形態では、これにより遮蔽状況が変化する。例えば、図1cでは、遮蔽領域19a’、19c’および19b’と比較して、遮蔽領域19b’は、低減された厚さで実装される。図2dの実施形態では、さらなる最適化が実行されており、遮蔽領域19a’の一部は直径が小さくなっている。直径は、それぞれ参照符号d19a’1、d19a’2およびd19b’で示されている。ここで、例えば、(放射線源14の反対側の)直接放射線領域に関連する下側領域には、上側領域19a’よりも厚い壁厚d19a’1(参照までに、d19a’2)が設けられる。言い換えれば、厚さが減少したこの壁厚d19a’2は、破線の領域上方の壁の領域で使用される。この概念により、支持構造の観点から複雑である天井の厚さ(参照までに、d19b’)を大幅に最小化することができる。
【0040】
回転運動に加えて、実施形態によれば、測定領域の送りが実行されてもよい。長い対象物の場合、検出器の高さは常に小さすぎるため、回転中に対象物の全長が取り込まれることはない。この目的のために、本発明は、1つまたはいくつかの平面の構成要素に及ぶ測定フィールドを通る測定対象物の長手方向の並進運動をもたらす。この場合、対象物は、放射線によって容易に貫通される可動の対象物ステージに固定され、放射線を介して段階的かつ連続的に駆動される。ステージは、トランスミッションまたはモータブロックなどのより高密度の領域で最適な放射線透過長を達成するために、スキャニング領域内の車両/対象物の再位置決めの自由度を含むことができる。
【0041】
実施形態によれば、撮像システムの並進ではなく(対象物ステージの形態の)対象物の並進によって、ホールに対する放射線保護の努力をさらに低減することができる。
【0042】
例えば、これを図3aおよび図3bに示す。ここで、対象物16は、例えば、検出器12としても機能することができる対象物キャリアによって、長手方向(z)に移動可能である。円錐形の放射ビーム形状12_14_bから開始して、領域19v1(参照までに、図3a)に増大した遮蔽がもたらされる。
線形ジオメトリ12_14_g’を有する放射線源14を仮定すると、増加した領域19b2はさらに減少することができる。
【0043】
したがって、図3a/bに示すように、ガントリ内のX線源の、この方向に固定された中央放射ビームの周りの領域のみが、参照符号19v2(参照までに、図3b)で示すホールの長手方向においてより強く遮蔽されるが、拡散放射に対する基本的な遮蔽は、隣接する領域に十分である。対照的に、撮像システムの並進の場合、増加した遮蔽領域は、図3a、参照符号19v1に見られるように、複数倍大きい。
【0044】
さらなる実施形態によれば、全体的な努力が最小限に抑えられるため、機械工学および放射線保護に関して最適化された設計をモバイルシステムに使用することもできる。したがって、例えば、放射線保護は、可動作業ブロックから組み立てられてもよい。
【0045】
図4aは、両方とも軸17の周りを回転する検出器12および線源14を備えるCTシステム10の初期状況を示し、上述したように、回転軸17に対して非対称に配置されてもよい。非対称的な配置は、最近解決された問題にとって必須ではなく、非対称的な配置は、図4bおよび図4cに関して説明する実施形態、および分解能に関する利点を可能にすることに留意されたい。要素12および14は、参照符号21によって示されるいわゆる回転面に沿って回転の中心17の周りを回転する。この構成はガントリと呼ぶことができる。
【0046】
対象物16、ここではアクセスしなければならない車(第1のアクセスは参照符号16c1で示されている)をスキャンすべきとする。そのために、対象物16は、ガントリ21を通って送り方向23に沿って移動される。例えば、送り方向23は、回転の中心17を通って延びてもよい。構成要素16c、ここでは軸を、X線照射するとき、前記回転角度を使用するX線は、軸がその長さ方向に沿ってX線照射されるという問題に苛まれる。ここでは、構成要素16c1に関する情報を得ることができない。その結果、画質が悪くなる。クランクシャフトまたは長手方向ハウジング構造、すなわち電池モジュール(参照までに、参照符号16c2)をスキャンするときに同じ問題が発生する可能性がある。これを改善するために、回転軸23は、送り方向23に対して、例えば角度α、例えば5°だけ傾斜している。これは、2つの手法によって行うことができる。第一の手法によれば、対象物16が、その対象物ホルダにおいて傾斜され、方向23は維持される。あるいは、送り方向23全体が回転面21に対して傾斜している。また、構成要素16c1の傾斜させる動きから、斜めにX線照射され、その結果、対象物に関するより多くの情報を得ることができる。
【0047】
回転の中心17に対して要素12および14の非対称的な配置を有する上述の原理は、分解能を向上させることができるので有益である。この配置により、検出器12と構成要素16cとの間の間隔は最小化されるが、対象物16と線源14との間の間隔により、ガントリ21により傾斜される対象物16を移動させるための十分な空間が設けられる。検出器の理論的位置/検出器12の半径(参照までに、参照符号25)によって示されるように、検出器12とスキャンされる対象物16cとの間の間隔は、良好な分解能を可能にするには大きすぎる。したがって、図4bおよび図4cに示すような半径12rrが好ましい。
【0048】
図4cに関して分かるように、検出器12と線源14との間には、12と16との間の最小間隔が確保されながら、対象物がガントリに対して傾斜している場合でもガントリ21を通って移動することができるように、十分な空間がある。
【0049】
実施形態によれば、対象物16がガントリを通る斜めの動きは、回転面に対する垂直線の間に生じる角度を設けることによって、またはx方向およびy方向の2つの成分を有する対象物16の動きを使用することによって、達成することができる。
【0050】
さらなる実施形態によれば、効率が向上した湾曲構造を有する検出器を使用することができる。この場合、湾曲は、個々の直線モジュールを配置することに基づいてセクションごとに、または湾曲した軌道に個々の画素を配置することに基づいて連続的に、実施することができる。この点において、湾曲した検出器または可変の曲率半径を有する湾曲した検出器を使用することができる。
【0051】
実施形態によれば、従来のX線管の代わりに、1MeV超(例えば、ラインアクセラレータ)の放射エネルギーの高エネルギーX線源が使用される。実施形態によれば、単一の検出器もしくはマルチ検出器、または領域状の検出器を検出器として使用することができ、検出器は、サイズのために、対象物(車両など)の完全なまたは部分的な断面を撮像することができる。
続いて、箇条書きを用いて好ましい実施形態を説明する。以下が使用される。
1.ラインアクセラレータおよび(マルチ)ラインまたはエリア検出器を備えた大型ガントリ。
2.回転を180°+開口角に減少。
3.実施形態によれば、対象物ホルダまたは対象物キャリアを対象物に使用することができる。
4.検出器を取り付けるために、対象物が通過する可能な限り小さいベアリングが使用される。
5.放射線源の配置は、非対称的な構成要素によってカンチレバーにて実行される。
実施形態によれば、放射線源側の位置決めのより高次の不正確さを許容することができる。位置の誤差は、図3(b)のユニットで補償することができる。
【0052】
この全体的な概念は、少なくとも検出器のために、巨大なリングの代わりに小型で正確なマウントを使用するという利点を有する。実施形態によれば、上述の対象物ホルダまたは対象物ステージは、対象物の螺旋コンピュータ断層撮影が可能になるようにz方向に移動される。
実施形態によれば、以下の用途が可能である。
1.自動車-車両のデジタル化、衝突後の損傷の検出
2.航空機-デジタル化
3.列車-デジタル化
4.細長い形状の大きな対象物
5.貨物コンテナ-禁制品の検出
6.風力成分-欠陥分析
7.管構造
【0053】
上記の実施形態では装置が想定されているが、説明された概念の少なくとも一部は方法ステップの形態であるため、装置構成要素の説明は方法ステップの説明を表すこともできることに留意されたい。本方法は、放射線源および放射線検出器を提供する基本のステップを含むことができ、放射線源および放射線検出器は、非対称になるように対象物に対して配置される。
【0054】
いくつかの態様が装置の文脈で説明されたが、これらの態様は、対応する方法の説明も表すことは明らかであり、ブロックまたはデバイスは、方法ステップまたは方法ステップの特徴に対応する。同様に、方法ステップの文脈で説明された態様は、対応する装置の対応するブロックまたはアイテムまたは機能の説明も表す。方法ステップの一部またはすべては、例えば、マイクロプロセッサ、プログラム可能なコンピュータ、または電子回路などのハードウェア装置によって(または使用して)実行することができる。いくつかの実施形態では、何らかの最も重要な方法ステップの1つまたは複数は、そのような装置によって実行され得る。
【0055】
参考文献
[1]M.Salamon,N.Reims,M.Boehnel,K.Zerbe,M.Schmitt,N.Uhlmann and R.Hanke,”XXL CT capabilities for the inspection of modern Electric Vehicles,” International Symposium on Digital Industrial Radiology and Computed Tomography,2019.
【0056】
[2]S.Zabler,M.Boehnel,N.Reims,M.Salamon und C.Feller,“Industrial X-ray Computed Tomography Scanners,” in Handbook of X-ray Imaging:Physics and Technology,CRC Press,2017.
【0057】
[3]“HI-SCAN 6040 CTiX,” Smith Detection,[Online].Available:https://www.smithsdetection.com/products/hi-scan-6040-ctix/.[Access on April 2,2020].
【0058】
[4]“HCVG Gantry inspection system,” Smith Detection,[Online].Available:https://www.smithsdetection.com/products/hcvg/.[Access on April 2,2020].
[5]Patent research:US2006/0126772A1
【符号の説明】
【0059】
10 CTシステム、
10’ 配置
12 検出器
12r 軌道、回転円
12rr 半径
14 アクセラレータ、放射線源
14a カンチレバー
14r 軌道、回転円
16 対象物、自動車
16c 構成要素
16c1 第1のアクセス、構成要素
16c2 電池モジュール
16z 線
17 回転の中心
19a 放射線保護配置
19b 放射線保護配置
19c 放射線保護配置
19d 放射線保護配置
19a’ 遮蔽領域、上側領域
19b’ 遮蔽領域
19c’ 遮蔽領域
d19a’1 壁厚
d19a’2 壁厚
d19b’ 厚さ
21 回転面、ガントリ
23 送り方向、回転軸、送り方向
25 半径

図1a
図1b-1c】
図2a-2b】
図3a-3b】
図4a
図4b-4c】