(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】メモリデバイス、回路構造、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10B 41/40 20230101AFI20240308BHJP
H10B 41/27 20230101ALI20240308BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240308BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20240308BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20240308BHJP
H10B 41/30 20230101ALI20240308BHJP
【FI】
H10B41/40
H10B41/27
H01L29/78 371
H10B41/30
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022114956
(22)【出願日】2022-07-19
【審査請求日】2022-07-19
(32)【優先日】2022-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599129074
【氏名又は名称】旺宏電子股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】沈 冠源
(72)【発明者】
【氏名】葉 騰豪
(72)【発明者】
【氏名】邱 家榮
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-500856(JP,A)
【文献】特表2020-527293(JP,A)
【文献】国際公開第2012/133192(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 41/40
H10B 41/27
H10B 41/30
H01L 21/336
H01L 29/788
H01L 29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配置された周辺回路と、
前記周辺回路上を覆い、前記周辺回路に電気的に結合された金属層と、
前記金属層上に配置されたバッファ層と、
前記バッファ層上に配置され、基準接地電圧を受けるポリシリコン層と、
前記バッファ層内に形成され、前記金属層と前記ポリシリコン層とを電気的に接続するために使用されるビアアレイと、
を備
え、
少なくとも1つの第1の放電路が、前記ビアアレイ、前記金属層、および前記周辺回路を介して、前記ポリシリコン層と前記基板との間に形成され、
前記ポリシリコン層にプラズマが照射されるときに、前記ポリシリコン層上の蓄積電荷は、前記少なくとも1つの第1の放電路を介して放電される、回路構造。
【請求項2】
前記周辺回路が駆動回路であり、前記駆動回路が少なくとも1つのトランジスタを備え、前記ビアアレイが、前記少なくとも1つのトランジスタの少なくとも1つの高濃度ドープ領域に電気的に結合される、請求項1に記載の回路構造。
【請求項3】
絶縁層に形成され、前記金属層に電気的に接続される送信アレイ貫通ビアと、
前記絶縁層上に形成され、前記送信アレイ貫通ビアに電気的に結合され、かつ接触窓を介して前記ポリシリコン層に電気的に結合される導電線構造と、
をさらに備え、
前記絶縁層が前記ポリシリコン層上を覆い、少なくとも1つの第2の放電路が、前記導電線構造、前記送信アレイ貫通ビア、前記金属層、及び前記周辺回路を介して、前記ポリシリコン層と前記基板との間に形成される、
請求項1に記載の回路構造。
【請求項4】
前記周辺回路が、
第1の電圧を受ける第1のウェル内に配置された第1のトランジスタと、
第2の電圧を受ける第2のウェル内に配置された第2のトランジスタと、
を備え、
前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタの導電型が異なり、前記第1のウェルと前記第2のウェルの導電型が異なり、前記第1の電圧と前記第2の電圧の電圧極性が異なる、
請求項1に記載の回路構造。
【請求項5】
前記ポリシリコン層上に形成された複数のワード線が積層態様である、請求項
3に記載の回路構造。
【請求項6】
基板と、
前記基板に形成された、複数のメモリブロックにそれぞれ対応する複数の駆動回路と、
複数のビアアレイと、
前記ビアアレイ及び複数の金属層をそれぞれ介して前記駆動回路に電気的に結合された複数のポリシリコン層と、
前記ポリシリコン層の周囲に形成された周辺ポリシリコン層と、
を備え、
前記周辺ポリシリコン層及び前記ポリシリコン層が基準接地電圧を受
け、
前記周辺ポリシリコン層は、複数の分離窓を形成し、前記分離窓の各々は、少なくとも1つのメモリブロックを収容するために使用される、
メモリデバイス。
【請求項7】
前記周辺ポリシリコン層を複数の周辺金属層に結合するために使用される複数の周辺ビアアレイと、
前記周辺金属層にそれぞれ結合された複数の高濃度ドープ領域と、
をさらに備える、請求項
6に記載のメモリデバイス。
【請求項8】
前記周辺ビアアレイが、前記周辺ポリシリコン層の複数の角部にそれぞれ配置された、請求項
7に記載のメモリデバイス。
【請求項9】
前記ビアアレイが、前記ポリシリコン層の角部にそれぞれ配置された、請求項
6に記載のメモリデバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つのメモリブロックの長さが、ウェハのベベル境界とウェハ境界との間のベベル距離未満である、請求項
6に記載のメモリデバイス。
【請求項11】
基板上に周辺回路を形成するステップと、
前記周辺回路上を覆うための金属層を形成し、前記金属層を前記周辺回路に電気的に結合するステップと、
前記金属層上を覆うためのバッファ層を形成するステップと、
バッファ層を覆うためのポリシリコン層を前記ポリシリコン層が基準接地電圧を受けるように形成するステップと、
前記バッファ層内にビアアレイを、前記ビアアレイが前記金属層及び前記ポリシリコン層に電気的に接続されるように形成するステップと、
前記ビアアレイ、前記金属層、及び前記周辺回路を介して、前記ポリシリコン層と前記基板との間に少なくとも1つの第1の放電路を形成するステップと、
前記ポリシリコン層にプラズマが照射されるときに、前記ポリシリコン層上の蓄積電荷を放電するための前記少なくとも1つの第1の放電路を提供するステップと、
を含む、
回路構造の製造方法。
【請求項12】
前記周辺回路内の少なくとも1つのトランジスタの少なくとも1つの高濃度ドープ領域に前記ビアアレイを電気的に結合するステップをさらに含む、請求項
11に記載の回路構造の製造方法。
【請求項13】
送信アレイ貫通ビアを絶縁層内に、前記送信アレイ貫通ビアが前記金属層に電気的に接続されるように、形成するステップであって、前記絶縁層が前記ポリシリコン層上を覆う、ステップと、
導電線構造を前記絶縁層上に、前記導電線構造が前記送信アレイ貫通ビアに電気的に結合されるように、形成するステップと、
前記導電線構造を接触窓を介して前記ポリシリコン層に電気的に結合するステップと、
前記導電線構造、前記送信アレイ貫通ビア、前記金属層、及び前記周辺回路を介して、前記ポリシリコン層と前記基板との間に、少なくとも1つの第2の放電路を形成するステップと、
をさらに含む、請求項
11に記載の回路構造の製造方法。
【請求項14】
複数のワード線を前記ポリシリコン層上に積層態様に形成するステップと、
エッチング処理を行うために前記ワード線にプラズマが照射されるときに前記ポリシリコン層上の蓄積電荷を放電するために、前記少なくとも1つの第1の放電路及び前記少なくとも1つの第2の放電路を提供するステップと、
をさらに含む、請求項
13に記載の回路構造の製造方法。
【請求項15】
前記ビアアレイが前記ポリシリコン層の角部に形成される、請求項
11に記載の回路構造の製造方法。
【請求項16】
前記ポリシリコン層がメモリブロックに対応し、前記メモリブロックの長さがウェハのベベル境界とウェハ境界との間のベベル距離未満である、請求項
11に記載の回路構造の製造方法。
【請求項17】
周辺ポリシリコン層を前記ポリシリコン層の周辺に、前記周辺ポリシリコン層が前記基準接地電圧を受けるように形成するステップと、
複数の周辺ビアアレイを、前記周辺ポリシリコン層が複数の周辺金属層を介して複数の高濃度ドープ領域に結合されるように、形成するステップと、
をさらに含む、請求項
11に記載の回路構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、メモリデバイス、回路構造、及びその製造方法に関し、特に、蓄積電荷の放電路を効果的に生成するメモリデバイス、回路構造、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元メモリデバイスの製造技術では、高密度のプラズマを用いてエッチング処理を行うことが一般的な手段である。このような高密度のプラズマの照射は、メモリデバイス内に過度に高いエネルギー電荷の蓄積をもたらすことが多く、アーク効果のリスクをもたらす。したがって、製造プロセスにおいて、アーク効果のリスクを低減するために蓄積電荷の放電路をどのように改善するかは、当業者にとって重要な問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、メモリデバイス、回路構造、及びその製造方法を提供する。この回路構造は、製造プロセスにおいて蓄積電荷の放電動作を実行するように、放電路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示における回路構造は、周辺回路、金属層、バッファ層、ポリシリコン層、及びビアアレイを含む。周辺回路が基板上に配置される。金属層は、周辺回路上を覆い、周辺回路に電気的に結合される。金属層上にバッファ層が配置される。ポリシリコン層は、基準接地電圧を受け、バッファ層上に形成される。ビアアレイは、バッファ層内に配置され、金属層とポリシリコン層とを電気的に接続するために使用される。少なくとも1つの第1の放電路が、ビアアレイ、金属層、及び周辺回路を介して、ポリシリコン層と基板との間に配置される。
【0005】
本開示におけるメモリデバイスは、基板と、複数の駆動回路と、複数のビアアレイと、複数のポリシリコン層と、周辺ポリシリコン層とを含む。駆動回路が基板上に形成される。駆動回路は、複数のメモリブロックにそれぞれ対応する。ポリシリコン層は、ビアアレイ及び金属層を介してそれぞれ駆動回路に電気的に結合される。周辺ポリシリコン層はポリシリコン層の周辺に形成され、周辺ポリシリコン層及びポリシリコン層は基準接地電圧を受ける。
【0006】
本開示の回路構造の製造方法は、以下の工程を含む。基板上に周辺回路が形成される。金属層が形成されて周辺回路上を覆い、周辺回路に電気的に結合される。バッファ層が形成されて金属層上を覆う。ポリシリコン層が形成されてバッファ層を覆うので、ポリシリコン層は基準接地電圧を受ける。ビアアレイがバッファ層内に形成されるので、ビアアレイは、金属層とポリシリコン層とを電気的に接続する。少なくとも1つの第1の放電路が、ビアアレイ、金属層、及び周辺回路を介して、ポリシリコン層と基板との間に形成される。
【発明の効果】
【0007】
以上のことから、本開示の回路構造では、ビアアレイをバッファ層内に配置することによって、ポリシリコン層をビアアレイを介して周辺回路に電気的に結合することができ、それによってポリシリコン層と基板との間に少なくとも1つの放電路を生成することができる。このようにして、プロセス動作に起因してポリシリコン層上に生成された蓄積電荷を上記の放電路を介して放電することができ、それによって蓄積電荷による回路構造の損傷の可能性が効果的に低減される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係る回路構造のクロス構造を示す概略断面図である。
【0009】
【
図2】本開示の一実施形態に係る回路構造の製造プロセスにおける、他の実施形態における蓄積電荷の放電動作を示す模式図である。
【0010】
【
図3】本開示の別の実施形態に係る回路構造のクロス構造を示す概略断面図である。
【0011】
【
図4】本開示の一実施形態に係るメモリデバイスの構造を示す模式的な3次元図である。
【0012】
【
図5】本開示の一実施形態に係る
図4のメモリデバイスを示す上面図である。
【0013】
【
図6】本開示の一実施形態に係るメモリデバイスの等価回路を示す模式図である。
【0014】
【
図7】本開示の一実施形態に係るメモリデバイスのアーキテクチャを示す模式的な3次元図である。
【0015】
【
図8A】本開示の一実施形態に係るメモリデバイスのメモリブロックを示す模式図である。
【0016】
【
図8B】メモリブロックとウェハとの寸法関係を示す模式図である。
【0017】
【
図9A】本開示の一実施形態に係る回路構造の製造プロセスを示す模式図である。
【
図9B】本開示の一実施形態に係る回路構造の製造プロセスを示す模式図である。
【
図9C】本開示の一実施形態に係る回路構造の製造プロセスを示す模式図である。
【
図9D】本開示の一実施形態に係る回路構造の製造プロセスを示す模式図である。
【
図9E】本開示の一実施形態に係る回路構造の製造プロセスを示す模式図である。
【
図9F】本開示の一実施形態に係る回路構造の製造プロセスを示す模式図である。
【
図9G】本開示の一実施形態に係る回路構造の製造プロセスを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照する。
図1は、本開示の一実施形態に係る回路構造のクロス構造を示す概略断面図である。回路構造100は、基板110と、周辺回路120と、ポリシリコン層130と、バッファ層140と、金属層150と、ビアアレイ160と、複数のワード線WLによって形成されたワード線構造170とを含む。周辺回路120は、基板110に配置される。本実施形態では、周辺回路120は、トランジスタT1,T2を含む。トランジスタT1は、N型トランジスタであってもよく、N型高濃度ドープ領域(N+)によって形成されたソース及びドレインを有する。トランジスタT2は、P型トランジスタであってもよく、P型高濃度ドープ領域(P+)によって形成されたソース及びドレインを有する。
【0019】
金属層150は、周辺回路120上を覆い、複数の接触窓を介してトランジスタT1及びT2の高濃度ドープ領域のうちの一方に電気的に結合し得る。バッファ層140は金属層150上を覆い、ポリシリコン層130はバッファ層140上を覆う。ビアアレイ160は、バッファ層140内に配置され、ポリシリコン層130と金属層150とを電気的に結合するために使用される。このようにして、ビアアレイ160と、金属層150と、周辺回路120内のトランジスタT1の高濃度ドープ領域N+とを介して、ポリシリコン層130と基板110との間に放電路DP11を形成してもよい。また、ビアアレイ160と、金属層150と、周辺回路120内のトランジスタT2の高濃度ドープ領域P+とを介して、ポリシリコン層130と基板110との間に別の放電路DP12を形成してもよい。
【0020】
本実施形態では、ポリシリコン層130が基準接地電圧GNDを受けることは言及に値する。加えて、基板110は、基準接地電圧GNDも受けることができる。
【0021】
この実施形態では、回路構造100の製造プロセスにおいて、ポリシリコン層130にプラズマが照射されてポリシリコン層130上に蓄積電荷を生成すると、ポリシリコン層130上の蓄積電荷は、放電路DP11及びDP12を介して放電され得る。ポリシリコン層130上の電圧が負である場合(例えば、0.7V以下)、蓄積電荷は放電路DP11を通じて放電され得る。ポリシリコン層130上の電圧が正である場合(例えば、0.7V超)、蓄積電荷は放電路DP12を通じて放電され得る。
【0022】
本開示の他の実施形態において、周辺回路120がトランジスタT1のみを有し得ることに言及する価値がある。トランジスタT1の高濃度ドープ領域N+は、バイポーラ電荷の放電動作も提供し得る。ポリシリコン層130上の電圧が負であるとき(例えば、0.7V未満)、蓄積電荷は放電路DP11を通じて放電され得る。ポリシリコン層130上の電圧が正であり、トランジスタT1の高濃度ドープ領域N+と基板110との間の接合降伏電圧よりも大きいときも、放電路DP11を通じて蓄積電荷が放電され得る。
【0023】
なお、ワード線構造170上のワード線WLは階段状に配置され、ポリシリコン層130上に配置される。
【0024】
以下、
図2を併せて参照する。
図2は、本開示の一実施形態に係る回路構造の製造プロセスにおける、他の実施形態における蓄積電荷の放電動作を示す模式図である。
図1の回路構造100についても説明する。回路構造100上のワード線WLに対してエッチングプロセスが実行されると、ワード線構造170の上面にプラズマを照射することによってエッチング処理が実行され、バッファ層140を露出させ得る複数の溝によりワード線構造170が形成される。エッチング処理下で、ポリシリコン層130に蓄積された電荷もまた、放電路DP11及びDP12を介して放電されてもよく、これにより、製造プロセスにおける蓄積電荷によって回路構造100が損傷されないことを保証できる。
【0025】
以下、
図3を参照する。
図3は、本開示の別の実施形態に係る回路構造のクロス構造を示す概略断面図である。回路構造300は、基板310と、周辺回路320と、ポリシリコン層330と、バッファ層340と、金属層350と、ビアアレイ360と、複数のワード線によって形成されたワード線構造370と、送信アレイ貫通ビア380と、導電線構造390と、接触窓3100とを含む。
【0026】
周辺回路320は、基板310に形成される。本実施形態では、周辺回路320は、トランジスタT1,T2を含む。トランジスタT1は、N型トランジスタであってもよく、N型高濃度ドープ領域(N+)によって形成されたソース及びドレインを有する。トランジスタT2は、P型トランジスタであってもよく、P型高濃度ドープ領域(P+)によって形成されたソース及びドレインを有する。金属層350は、周辺回路320上を覆い、複数の接触窓を介してトランジスタT1及びT2の高濃度ドープ領域のうちの一方に電気的に結合し得る。バッファ層340は金属層350上を覆い、ポリシリコン層330はバッファ層340上を覆う。ビアアレイ360は、バッファ層340内に形成され、ポリシリコン層330と金属層350とを電気的に結合するために使用される。このようにして、ビアアレイ360と、金属層350と、周辺回路320内のトランジスタT1の高濃度ドープ領域N+とを介して、ポリシリコン層330と基板310との間に放電路を形成してもよい。また、ビアアレイ360と、金属層350と、周辺回路320内のトランジスタT2の高濃度ドープ領域P+とを介して、ポリシリコン層330と基板310との間に別の放電路を形成してもよい。
【0027】
この実施形態では、回路構造300が、送信アレイ貫通ビア380をさらに含むことに言及する価値がある。送信アレイ貫通ビア380が絶縁層3120に形成される。送信アレイ貫通ビア380は、ポリシリコン層330及びバッファ層340を貫通し、金属層350と電気的に接続される。また、導電線構造390が絶縁層3120の上方に形成される。導電線構造390の一端が金属層350に電気的に結合され、導電線構造390の他端が接触窓3100を介してポリシリコン層330に電気的に結合される。
【0028】
このようにして、この実施形態では、導電線構造390、送信アレイ貫通ビア380、金属層350、及び周辺回路320を介して、ポリシリコン層330と基板310との間に別の放電路DP2を形成することができる。放電路DP2は、ポリシリコン層330の放電路を提供するために、回路構造300の通常動作に適用されてもよい。
【0029】
この実施形態では、送信アレイ貫通ビア380、導電線構造390、及び接触窓3100を、バックエンドプロセスで完成させることができる。
【0030】
上記の説明から、本開示の実施形態における回路構造300のアーキテクチャで放電路を形成することができ、ポリシリコン層330上の蓄積電荷を効果的に放電して回路構造300の正常動作を維持できることが分かる。
【0031】
以下、
図4と
図5を参照する。
図4は、本開示の一実施形態によるメモリデバイスの構造を示す模式的な3次元図であり、
図5は、本開示の一実施形態に係る
図4のメモリデバイスを示す上面図である。メモリデバイス400は3次元メモリデバイスであってもよく、基板(不図示)と、複数の駆動回路GDと、複数のビアアレイVADと、複数のポリシリコン層GPと、周辺ポリシリコン層PGPとを含む。駆動回路GDは、基板内にアレイ状に配置されてもよい。ポリシリコン層GPは、配置用の駆動回路GDにそれぞれ対応する。ビアアレイVADは、ポリシリコン層GP上にそれぞれ形成される。駆動回路GDは、複数の金属層BM及びビアアレイVADをそれぞれ介してポリシリコン層GPに電気的に結合される。
【0032】
この実施形態では、ポリシリコン層GPが複数のメモリブロックにそれぞれ対応できる。対応するビアアレイVAD、対応する金属層BM、及び周辺回路としての対応する駆動回路GDを介して、ポリシリコン層GPと基板との間に少なくとも1つの放電路が形成されてもよい。本実施形態における放電の形成方法は、
図1の実施形態における放電路DP11及びDP12と同様である。したがって、以下では同じ説明を繰り返さない。
【0033】
ビアアレイVADは、ポリシリコン層GPの角部に形成されてもよい。
【0034】
なお、それぞれの金属層BMとそれぞれの対応駆動回路GDとは、接触窓を介して互いに電気的に結合され得る。
【0035】
ポリシリコン層GPは、基準接地電圧GNDを受けることができる。
【0036】
一方、ポリシリコン層GPの周囲には、周辺ポリシリコン層PGPが形成される。周辺ポリシリコン層PGPには、複数(本実施形態では3つ)の分離窓IW1~IW3が形成されてもよく、分離窓IW1~IW3のそれぞれに1つ以上のポリシリコン層GPが配置されてもよい。この実施形態に示されるメモリデバイス400は、NORフラッシュメモリデバイス又はANDフラッシュメモリデバイスであってもよい。
【0037】
周辺ビアアレイVADPは、周辺ポリシリコン層PGPの角部に形成されてもよい。それぞれの周辺ビアアレイVADPが、それぞれの金属層BMに電気的に結合され、接触窓を介して基板内の高濃度ドープ領域HDPに結合されてもよい。高濃度ドープ領域HDPは、基板に配置された駆動回路の一部であってもよい。
【0038】
図6を参照する。
図6は、本開示の一実施形態に係るメモリデバイスの等価回路を示す模式図である。メモリデバイス600は、複数のメモリセルアレイMAと、周辺回路620とを備える。メモリセルアレイMAが結合されたポリシリコン層GPは、対応するビアアレイをそれぞれ介して、駆動回路として機能する周辺回路620と電気的に結合されてもよい。メモリセルアレイMAが結合されたポリシリコン層GPと周辺回路620の結合路VADPとによって放電路が形成される。また、メモリデバイス600は、送信アレイ貫通ビアTAVと導電線構造WIRとをさらに含む。導電線構造WIRの一端は、接触窓を介してポリシリコン層GPに電気的に結合され、導電線構造WIRの他端は、送信アレイ貫通ビアTAVに結合される。送信アレイ貫通ビアTAVは周辺回路620に電気的に結合される。このようにして、接触窓、導電線構造WIR、及び送信アレイ貫通ビアTAVが、周辺回路620の基板とポリシリコン層GPとの間に別の放電路を形成できる。
【0039】
周辺回路620は、トランジスタT1及びT2を含む。トランジスタT2はウェル610内に形成される。トランジスタT1はウェル630内に形成されてもよい。この実施形態では、ウェル630がウェル610上に形成されてもよい。また、トランジスタT1及びT2は、異なる導電型を有してもよい。例えば、トランジスタT2がP型トランジスタで、トランジスタT1がN型トランジスタであってもよい。これに対応して、ウェル610及び630が異なる導電型を有してもよい。例えば、ウェル610がN型ウェルで、ウェル630がP型ウェルであってもよい。他方、この実施形態では、ウェル610が正極性の電圧を受けることができ、ウェル630が負極性の電圧を受けることができる。
【0040】
図7を参照する。
図7は、本開示の一実施形態に係るメモリデバイスのアーキテクチャを示す模式的な3次元図である。メモリデバイス700はメモリセルアレイMAを備える。メモリセルアレイMAはポリシリコン層GPに結合され、ポリシリコン層GPは基準接地電圧を受ける。本実施形態では、ポリシリコン層GPがビアアレイVADを介して金属層BMに電気的に結合される。金属層BMは、接触窓を介して周辺回路710に電気的に結合される。ビアアレイVAD及び金属層BMは、ポリシリコン層GPと周辺回路710の基板との間に第1の放電路DP1を提供する。また、メモリデバイス700は、接触窓CWと、導電線構造WIRと、送信アレイ貫通ビアTAVとをさらに含む。ポリシリコン層GPと周辺回路710との間で接触窓CW、導電線構造WIR、及び送信アレイ貫通ビアTAVが順次に電気的に結合され、第2の放電路DP2を提供する。
【0041】
本実施形態のメモリデバイス700は、二重の放電路を提供し、それにより、ポリシリコン層GP上の蓄積電荷を効果的に放電することができ、メモリデバイス700の安全性を効果的に保証できる。
【0042】
以下、
図8Aと
図8Bを参照する。
図8Aは、本開示の一実施形態に係るメモリデバイスのメモリブロックを示す模式図であり、
図8Bは、メモリブロックとウェハとの寸法関係を示す模式図である。
図8Aにおいて、本開示の実施形態によるメモリデバイスのメモリブロック810は、複数のメモリセルアレイ811~81Nを含み得る。メモリブロック810内の周辺回路(例えば、ワード線駆動回路)821及び822をメモリブロック810内の同じ側の対角に配置することができ、それによって電荷放電の効率を向上させることができる。
【0043】
図8Bにおいて、メモリブロック810内の放電路が遮断されないようにするために、メモリブロック810の長さD1は、ウェハのベベル境界BGとウェハ境界WGとの間のベベル距離BD未満である。
【0044】
図9A~
図9Gを参照する。
図9A~
図9Gは、本開示の一実施形態に係る回路構造の製造プロセスを示す模式図である。
図9Aにおいて、回路構造900は、基板910と、周辺回路920と、金属層950とを含む。周辺回路920が基板910に形成される。金属層950が周辺回路920上に形成され、接触窓を介して周辺回路920に電気的に結合される。次に、
図9Bにおいて、金属層950上にバッファ層940が形成され、金属層950を覆う。バッファ層940上にポリシリコン層930が形成され、バッファ層940を覆う。
【0045】
図9Cにおいて、ビアアレイ960がバッファ層940に形成される。ビアアレイ960は、ポリシリコン層930と金属層950とを電気的に結合するために使用される。また、ビアアレイ960を介し、ポリシリコン層930と基板910との間に、ビアアレイ960と、金属層950と、周辺回路920とによって形成される放電路があってもよい。
【0046】
図9Dにおいて、ワード線によって形成されるワード線構造970がポリシリコン層930上に形成され得る。ワード線構造970は階段形状であってもよい。
図9Eにおいて、エッチング処理を行うためにワード線構造970の上面にプラズマが照射される。エッチング処理により、ワード線構造970の一部のバッファ層940が露出され得る。また、ビアアレイ960、金属層950、及び周辺回路920によって形成された放電路は、プラズマによって生成された蓄積回路に対して連続的に放電動作を行い得る。
【0047】
図9Fにおいて、ポリシリコン層930上に絶縁層9120が形成されてもよく、絶縁層9120がポリシリコン層930及びワード線構造970を覆ってもよい。また、送信アレイ貫通ビア980と接触窓9100が絶縁層9120に形成されてもよい。送信アレイ貫通ビア980は、ポリシリコン層930及びバッファ層940を貫通し、金属層950と電気的に結合され得る。接触窓9100はポリシリコン層930に電気的に結合される。
図9Gにおいて、導電線構造990が絶縁層9120に形成される。導電線構造990は、接触窓9100と送信アレイ貫通ビア980との間に電気的に結合される。このようにして、接触窓9100、導電線構造990、送信アレイ貫通ビア980、及び金属層950が、ポリシリコン層930と周辺回路920との間に別の放電路を形成することができる。
【0048】
以上、本開示の回路構造では、ビアアレイを形成することにより、基準接地電圧を受けるポリシリコン層が、ビアアレイを介して周辺回路に電気的に結合され、周辺回路内の高濃度ドープ領域を介して基板に結合され得る。このようにして、ポリシリコン層と基板との間に放電路を形成し、ポリシリコン層上の蓄積電荷に対して放電動作を行うことができる。製造プロセスにおいて、回路構造は、プラズマによって生成される蓄積電荷による損傷から効果的に保護され得る。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本開示のメモリデバイス、回路構造、及びその製造方法は、蓄積電荷の放電路を効果的に生成するために適用され得る。
【符号の説明】
【0050】
100,300,900:回路構造
110,310,910:基板
120,320,620,710,821,822,920:周辺回路
130,330,GP,930:ポリシリコン層
140,340,940:バッファ層
150,350,BM,950:金属層
160,360,VAD,960:ビアアレイ
170,370,970:ワード線構造
3100,CW,9100:接触窓
3120,9120:絶縁層
380,TAV,980:送信アレイ貫通ビア
390,WIR,990:導電線構造
400,600,700:メモリデバイス
610,630:ウェル
810:メモリブロック
811-81N:メモリセルアレイ
BD:ベベル距離
BG:ベベル境界
D1:長さ
DP11,DP12,DP1,DP2:放電路
GD:駆動回路
GND:基準接地電圧
IW1-IW3:分離窓
MA:メモリセルアレイ
P+,N+,HDP:高濃度ドープ領域
PGP:周辺ポリシリコン層
T1,T2:トランジスタ
VADP:周辺ビアアレイ
WG:ウェハ境界
WL:ワード線