(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】田植機
(51)【国際特許分類】
A01C 11/02 20060101AFI20240308BHJP
A01C 15/00 20060101ALI20240308BHJP
A01M 9/00 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
A01C11/02 350Z
A01C15/00 J
A01M9/00 D
(21)【出願番号】P 2022122727
(22)【出願日】2022-08-01
(62)【分割の表示】P 2019114678の分割
【原出願日】2019-06-20
【審査請求日】2022-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】園田 義昭
(72)【発明者】
【氏名】丸山 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】松本 高幸
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-247280(JP,A)
【文献】特開2008-064690(JP,A)
【文献】特開平11-064217(JP,A)
【文献】特開2002-051614(JP,A)
【文献】実開昭63-020727(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 11/02
A01C 15/00
A01M 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗載せ台を有する苗植付装置と、
前記苗載せ台に載置された植付用苗に対して流動体を散布する流動体散布装置と、
前記流動体散布装置を前記苗載せ台の横幅方向に沿って機体に対して移動させる移送機構と、を備え、
前記流動体散布装置は、前記流動体を貯留する貯留部を有しており、
前記貯留部に貯留されている前記流動体の量を検知する検知機構を備え、
前記検知機構は、前記貯留部の外側に配置された拡散反射型センサを有しており、
前記拡散反射型センサは、前記貯留部へ向けて光を照射する発光部と、拡散反射光を受光する受光部と、を含
み、
前記移送機構は、前記流動体散布装置を、所定の基準位置で一時的に停止可能に構成されており、
前記検知機構は、前記流動体散布装置が前記基準位置で停止しているときに前記受光部により受光された拡散反射光の強度に基づいて、前記貯留部に貯留されている前記流動体の量を検知する田植機。
【請求項2】
前記拡散反射型センサは、前記苗載せ台の横幅方向に沿って前記機体に対して移動可能である請求項1に記載の田植機。
【請求項3】
前記検知機構は、前記貯留部の内側に配置されると共に、前記貯留部に貯留されている前記流動体の量に関する値を検知
し、
前記検知
機構による検知結果、または、前記検知
機構による検知結果に基づいて生成された情報を、無線通信を介して受信する受信装
置を備え、
前記受信装置は、前記貯留部の外側に配置されると共に、前記機体に対して固定されている
請求項1または2に記載の田植機。
【請求項4】
前記検知
機構は、前記貯留部の内側における下部に配置されると共に前記貯留部に対して固定された光センサであり、
前記光センサは、前記光センサに到達する光の強度を検知する請求項3に記載の田植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗載せ台に載置された植付用苗に対して流動体を散布する流動体散布装置を備える田植機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような田植機として、例えば、特許文献1に記載のものが既に知られている。この田植機(特許文献1では「乗用型田植機」)は、流動体散布装置(特許文献1では「散布装置本体」)を苗載せ台の横幅方向に沿って機体に対して移動させる移送機構(特許文献1では「往復駆動機構」)を備えている。
【0003】
そして、特許文献1に記載の田植機における流動体散布装置は、流動体(特許文献1では「薬剤」)を貯留する貯留部を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、貯留部に貯留されている流動体の量を検知することについての記載はない。
【0006】
貯留部に貯留されている流動体の量が検知されない構成では、作業者は、苗植え付け作業を行っているとき、貯留部に貯留されている流動体の量を把握することが困難である。
そのため、苗植え付け作業の途中で貯留部に貯留されている流動体が尽きた場合、作業者が、そのことに気付かないまま、苗植え付け作業を継続してしまう事態が想定される。
【0007】
本発明の目的は、貯留部に貯留されている流動体の量が確実に検知されやすい田植機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特徴は、苗載せ台を有する苗植付装置と、前記苗載せ台に載置された植付用苗に対して流動体を散布する流動体散布装置と、前記流動体散布装置を前記苗載せ台の横幅方向に沿って機体に対して移動させる移送機構と、を備え、前記流動体散布装置は、前記流動体を貯留する貯留部を有しており、前記貯留部に貯留されている前記流動体の量を検知する検知機構を備え、前記検知機構は、前記貯留部の内側に設けられると共に前記貯留部に貯留されている前記流動体の上面の高さに応じて位置が変化する第1部材と、前記第1部材とは異なる第2部材と、を有しており、前記第1部材及び前記第2部材のうち、一方は磁石であり、他方は磁場の強さを検知する磁気センサであることにある。
【0009】
本発明であれば、貯留部に貯留されている流動体の上面の高さの変化に応じて、磁石と磁気センサとの間の距離が変化する構成を実現できる。この構成においては、貯留部に貯留されている流動体の量の変化に応じて、磁気センサにより検知される磁場の強さが変化することとなる。従って、この構成においては、貯留部に貯留されている流動体の量が、磁気センサにより確実に検知されやすい。
【0010】
即ち、本発明であれば、貯留部に貯留されている流動体の量が確実に検知されやすい田植機を実現できる。
【0011】
さらに、本発明において、前記第1部材が前記磁石であり、前記第2部材が前記磁気センサであると好適である。
【0012】
第1部材が磁気センサであり、第2部材が磁石である場合、磁気センサは、貯留部の内側に設けられることとなる。この場合、磁気センサは、移送機構による流動体散布装置の移動に伴い、機体に対して移動することとなる。さらに、磁気センサは、貯留部に貯留されている流動体の上面の高さの変化に伴い、貯留部に対して移動することとなる。
【0013】
従って、この場合、磁気センサに接続される配線は、磁気センサの移動を許容する状態で設けられる必要がある。これにより、製造コストが増大しがちである。
【0014】
ここで、上記の構成によれば、磁気センサを、機体または貯留部等に対して固定することが許容される。そのため、磁気センサに接続される配線を、磁気センサの移動を許容する状態で設ける必要はない。これにより、製造コストの増大を回避しやすくなる。
【0015】
さらに、本発明において、前記磁気センサは、前記貯留部の外側に配置されると共に、前記機体に対して固定されていると好適である。
【0016】
この構成によれば、磁気センサは、機体に対して移動しない。そのため、磁気センサに接続される配線を、磁気センサの移動を許容する状態で設ける必要はない。これにより、製造コストの増大を回避しやすくなる。
【0017】
さらに、本発明において、前記貯留部の内側に、揺動アームが設けられており、前記揺動アームの一端部は、上下揺動可能な状態で前記貯留部の上部に支持されており、前記第1部材は、前記揺動アームにおける他端側部分に支持されており、前記貯留部に貯留されている前記流動体の上面の位置の下降に伴い、前記揺動アームは下側へ揺動すると好適である。
【0018】
この構成によれば、第1部材の位置が貯留部に貯留されている流動体の上面の高さに応じて変化する構成を、比較的簡素な構成により実現することができる。
【0019】
これにより、貯留部に貯留されている流動体の量を検知可能な構成を、比較的簡素な構成により実現することが可能となる。
【0020】
さらに、本発明において、前記貯留部は、開閉可能な蓋部を有しており、前記蓋部は、前記貯留部における上端部に位置しており、前記揺動アームの一端部は、前記蓋部に支持されていると好適である。
【0021】
流動体が粉粒体である場合、揺動アームの一端部が貯留部における蓋部以外の部分に支持されている構成では、作業者が蓋部を開けて流動体を補充する作業を行う際に、揺動アームが流動体に埋もれてしまいがちである。
【0022】
揺動アームが流動体に埋もれている状態では、流動体の上面の位置が下降しても揺動アームが下側へ揺動しない事態が想定される。そのため、流動体を補充する際、揺動アームが流動体に埋もれないように、揺動アームを保持する必要がある。これにより、流動体を補充する作業の効率が低下しがちである。
【0023】
ここで、上記の構成によれば、揺動アームは蓋部に支持されている。そのため、作業者が蓋部を開けることにより、揺動アームが上側へ移動しやすい。そして、流動体を補充する作業を行う際、揺動アームが上側へ移動した状態である場合、揺動アームが流動体に埋もれにくい。従って、流動体を補充する際、揺動アームが流動体に埋もれないように揺動アームを保持する必要が生じにくい。
【0024】
従って、上記の構成によれば、流動体を補充する作業の効率が低下する事態を回避しやすい。
【0025】
さらに、本発明において、前記蓋部が開く際、前記揺動アームは、上側へ揺動し、前記蓋部に沿う姿勢となると好適である。
【0026】
この構成によれば、作業者が蓋部を開けることにより、揺動アームは蓋部に沿う姿勢となる。そして、流動体を補充する作業を行う際、揺動アームが蓋部に沿う姿勢である場合、揺動アームが流動体に埋もれる事態を回避できる。従って、流動体を補充する際、揺動アームが流動体に埋もれないように揺動アームを保持する必要が生じない。
【0027】
従って、この構成によれば、流動体を補充する作業の効率が低下する事態を確実に回避しやすい。
【0028】
さらに、本発明において、前記第2部材は、前記貯留部の外側に配置されており、前記揺動アームが可動域における最も下側の揺動位置に位置しているとき、前記第1部材と前記第2部材とが、前記貯留部の側壁を挟んで互いに対向すると好適である。
【0029】
揺動アームが可動域における最も下側の揺動位置に位置している場合、貯留部に貯留されている流動体の量は、比較的少ない。
【0030】
ここで、上記の構成によれば、揺動アームが可動域における最も下側の揺動位置に位置しているときに、第1部材と第2部材との間の距離が最も短くなる。そして、このとき、磁気センサにより検知される磁場の強さは、最も強くなる。
【0031】
従って、上記の構成によれば、貯留部に貯留されている流動体の量が比較的少なくなったときに、磁気センサにより検知される磁場の強さが最も強くなる。これにより、貯留部に貯留されている流動体の量が比較的少なくなったことを確実に検知しやすい。
【0032】
さらに、本発明において、前記移送機構は、前記流動体散布装置を、所定の基準位置で一時的に停止可能に構成されており、前記検知機構は、前記流動体散布装置が前記基準位置で停止しているときに前記磁気センサにより検知された磁場の強さに基づいて、前記貯留部に貯留されている前記流動体の量を検知すると好適である。
【0033】
流動体散布装置が基準位置で停止しているときは、流動体散布装置が移動しているときに比べて、磁石と磁気センサとの間の距離が安定しやすい。そのため、流動体散布装置が基準位置で停止しているときに磁気センサにより検知される磁場の強さは、流動体散布装置が移動しているときに磁気センサにより検知される磁場の強さに比べて、精度が良好となりやすい。
【0034】
従って、上記の構成によれば、検知機構が、流動体散布装置が移動しているときに磁気センサにより検知された磁場の強さに基づいて貯留部に貯留されている流動体の量を検知する場合に比べて、流動体の量を精度良く検知しやすい。
【0035】
また、上記の構成によれば、貯留部に貯留されている流動体の量の検知が複数回行われる場合、何れの回においても、流動体散布装置は基準位置に位置していることとなる。そのため、流動体散布装置の位置が各回で異なる場合に比べて、流動体の量を精度良く検知しやすい。
【0036】
また、本発明の別の特徴は、苗載せ台を有する苗植付装置と、前記苗載せ台に載置された植付用苗に対して流動体を散布する流動体散布装置と、前記流動体散布装置を前記苗載せ台の横幅方向に沿って機体に対して移動させる移送機構と、を備え、前記流動体散布装置は、前記流動体を貯留する貯留部を有しており、前記貯留部に貯留されている前記流動体の量を検知する検知機構を備え、前記検知機構は、前記貯留部の外側に配置された拡散反射型センサを有しており、前記拡散反射型センサは、前記貯留部へ向けて光を照射する発光部と、拡散反射光を受光する受光部と、を含んでいることにある。
【0037】
この構成によれば、貯留部に貯留されている流動体の上面の高さが発光部よりも高い場合、受光部によって、強度の比較的高い拡散反射光が受光される。また、貯留部に貯留されている流動体の上面の高さが発光部よりも低い場合、受光部によって、強度の比較的低い拡散反射光が受光される。
【0038】
これにより、貯留部に貯留されている流動体の量が、拡散反射型センサにより確実に検知されやすい。
【0039】
即ち、本発明であれば、貯留部に貯留されている流動体の量が確実に検知されやすい田植機を実現できる。
【0040】
さらに、本発明において、前記拡散反射型センサは、前記苗載せ台の横幅方向に沿って前記機体に対して移動可能であると好適である。
【0041】
この構成によれば、拡散反射型センサを移動させることにより、組み付け誤差等を吸収しやすい。即ち、貯留部に貯留されている流動体の量が検知機構によって検知される際の貯留部と拡散反射型センサとの間の距離を、一定の距離に調節しやすい。これにより、拡散反射型センサによって流動体の量を精度良く検知しやすい。
【0042】
さらに、本発明において、前記移送機構は、前記流動体散布装置を、所定の基準位置で一時的に停止可能に構成されており、前記検知機構は、前記流動体散布装置が前記基準位置で停止しているときに前記受光部により受光された拡散反射光の強度に基づいて、前記貯留部に貯留されている前記流動体の量を検知すると好適である。
【0043】
流動体散布装置が基準位置で停止しているときは、流動体散布装置が移動しているときに比べて、貯留部と拡散反射型センサとの間の距離が安定しやすい。そのため、流動体散布装置が基準位置で停止しているときに受光部により受光される拡散反射光の強度は、流動体散布装置が移動しているときに受光部により受光される拡散反射光の強度に比べて、精度が良好となりやすい。
【0044】
従って、上記の構成によれば、検知機構が、流動体散布装置が移動しているときに受光部により受光された拡散反射光の強度に基づいて貯留部に貯留されている流動体の量を検知する場合に比べて、流動体の量を精度良く検知しやすい。
【0045】
また、上記の構成によれば、貯留部に貯留されている流動体の量の検知が複数回行われる場合、何れの回においても、流動体散布装置は基準位置に位置していることとなる。そのため、流動体散布装置の位置が各回で異なる場合に比べて、流動体の量を精度良く検知しやすい。
【0046】
また、本発明の別の特徴は、苗載せ台を有する苗植付装置と、前記苗載せ台に載置された植付用苗に対して流動体を散布する流動体散布装置と、前記流動体散布装置を前記苗載せ台の横幅方向に沿って機体に対して移動させる移送機構と、を備え、前記流動体散布装置は、前記流動体を貯留する貯留部を有しており、前記貯留部の内側に配置されると共に、前記貯留部に貯留されている前記流動体の量に関する値を検知する検知装置と、前記検知装置による検知結果、または、前記検知装置による検知結果に基づいて生成された情報を、無線通信を介して受信する受信装置と、を備え、前記受信装置は、前記貯留部の外側に配置されると共に、前記機体に対して固定されていることにある。
【0047】
貯留部の内側に検知装置が配置されている構成では、検知装置は、移送機構による流動体散布装置の移動に伴い、機体に対して移動することとなる。
【0048】
そのため、検知装置と受信装置との間が配線により接続される場合、配線は、検知装置の移動を許容する状態で設けられる必要がある。これにより、製造コストが増大しがちである。
【0049】
ここで、上記の構成によれば、検知装置と受信装置との間を配線によって接続する必要がない。これにより、製造コストの増大を回避しやすくなる。
【0050】
さらに、本発明において、前記検知装置は、前記貯留部の内側における下部に配置されると共に前記貯留部に対して固定された光センサであり、前記光センサは、前記光センサに到達する光の強度を検知すると好適である。
【0051】
この構成によれば、貯留部に貯留されている流動体の上面の高さが光センサよりも高い場合、光センサに到達する光の強度は比較的低くなる。また、貯留部に貯留されている流動体の上面の高さが光センサよりも低い場合、光センサに到達する光の強度は比較的高くなる。
【0052】
即ち、光センサにより検知される光の強度は、貯留部に貯留されている流動体の量に関する値である。
【0053】
従って、この構成によれば、貯留部に貯留されている流動体の量に関する値が検知装置によって検知される構成を、確実に実現しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図2】流動体散布装置及び移送機構等の構成を示す背面図である。
【
図3】流動体散布装置及び検知機構等の構成を示す背面図である。
【
図5】制御部に関する構成を示すブロック図である。
【
図7】第1別実施形態における検知機構等の構成を示す背面図である。
【
図8】第1別実施形態における検知機構等の構成を示す右側面図である。
【
図9】第1別実施形態における制御部に関する構成を示すブロック図である。
【
図10】第2別実施形態における光センサ等の構成を示す背面図である。
【
図11】第2別実施形態における制御部に関する構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、
図1、
図4、
図6、
図8に示す矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」として、
図2、
図3、
図7、
図10に示す矢印Lの方向を「左」、矢印Rの方向を「右」とする。また、
図1から
図4、
図6から
図8、
図10に示す矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0056】
〔田植機の全体構成〕
図1に示すように、乗用型の田植機Aには、左右の前車輪11と、左右の後車輪12と、が設けられている。そして、左右の前車輪11及び左右の後車輪12により、機体13が支持されている。
【0057】
機体13は、リンク機構14、苗植付装置15、施肥装置16、運転部17、ボンネット18を備えている。
【0058】
苗植付装置15は、機体13における後部に位置している。また、苗植付装置15は、運転部17の後部に、リンク機構14を介して支持されている。苗植付装置15は、苗載せ台2を有している。苗載せ台2には、マット状の植付用苗が載置される。そして、苗植付装置15は、苗載せ台2に載置されているマット状の植付用苗から、苗を切り出して田面に植え付ける。
【0059】
また、施肥装置16は、機体13における後部に位置している。施肥装置16は、圃場に肥料を供給する。
【0060】
また、運転部17は、機体13の前後方向における中央部に位置している。運転部17においては、作業者により各種の運転操作が行われる。
【0061】
運転部17は、運転座席71及び操縦ハンドル72を有している。運転座席71には、作業者が着座可能である。そして、作業者は、操縦ハンドル72を操作することにより、田植機Aの操向操作を行うことができる。
【0062】
ボンネット18は、運転部17の前方に位置している。ボンネット18の内側には、エンジン19が備えられている。
【0063】
エンジン19の駆動力は、左右の前車輪11及び左右の後車輪12へ伝達される。これにより、左右の前車輪11及び左右の後車輪12が駆動する。そして、左右の前車輪11及び左右の後車輪12が駆動することにより、田植機Aは自走する。
【0064】
また、
図1及び
図2に示すように、田植機Aは、流動体散布装置3と、移送機構4と、を備えている。
【0065】
流動体散布装置3は、機体左右方向に延びるガイドレール51に支持されている。また、ガイドレール51は、左右の支柱52に支持されている。
【0066】
より具体的には、左右の支柱52は、それぞれ、上下方向に延びている。そして、ガイドレール51は、左右の支柱52における上端部に固定されている。また、左右の支柱52における下端部は、苗載せ台2の後面における左右両端部に固定されている。
【0067】
これにより、ガイドレール51は、苗植付装置15に対して固定されている。即ち、ガイドレール51は、機体13に対して固定されている。
【0068】
流動体散布装置3は、貯留部31及びノズル32を有している。貯留部31は、消毒用の薬剤(本発明に係る「流動体」に相当)を貯留する。また、ノズル32は、貯留部31に貯留されている薬剤を、苗載せ台2に載置された植付用苗へ向かって放出する。これにより、流動体散布装置3は、苗載せ台2に載置された植付用苗に対して薬剤を散布する。
【0069】
図2に示すように、移送機構4は、電動モータ41と、駆動スプロケット42と、従動スプロケット43と、無端チェーン44と、を有している。
【0070】
駆動スプロケット42は、ガイドレール51の右端部に支持されている。また、従動スプロケット43は、ガイドレール51の左端部に支持されている。
【0071】
無端チェーン44は、駆動スプロケット42と従動スプロケット43とに亘って巻回されている。また、駆動スプロケット42は、電動モータ41の駆動力によって回転する。
また、流動体散布装置3は、無端チェーン44と一体的に移動する状態で、無端チェーン44に連結されている。
【0072】
この構成により、電動モータ41が駆動されると、流動体散布装置3が、ガイドレール51に沿って移動する。そして、電動モータ41の回転方向が正逆で切り替えられることにより、流動体散布装置3は、ガイドレール51に沿って往復移動する。
【0073】
即ち、移送機構4は、流動体散布装置3を苗載せ台2の横幅方向に沿って機体13に対して移動させる。
【0074】
そして、移送機構4は、
図3に示すように、流動体散布装置3を、所定の基準位置RPで一時的に停止可能に構成されている。尚、本実施形態において、基準位置RPは、流動体散布装置3の移動範囲における右端位置である。しかしながら、本発明はこれに限定されず、基準位置RPは、流動体散布装置3の移動範囲内である限り、右端位置以外のいかなる位置であっても良い。
【0075】
以上で説明した構成により、流動体散布装置3は、苗載せ台2の横幅方向に沿って往復移動しながら、苗載せ台2に載置された植付用苗に対して薬剤を散布する。そして、田植機Aは、圃場において走行しながら、苗植付装置15によって苗の植え付けを行い、施肥装置16によって圃場に肥料を供給する。
【0076】
また、
図1に示すように、貯留部31は、蓋部31a及び本体部31bを有している。
蓋部31aは、貯留部31における上端部に位置している。
【0077】
図4及び
図6に示すように、蓋部31aは、機体左右方向に沿う第1揺動軸芯P1周りに、上下揺動可能に構成されている。そして、蓋部31aは、揺動することによって開閉可能である。作業者は、蓋部31aを開けた状態で、貯留部31に薬剤を補充できる。
【0078】
本体部31bは、薬剤を貯留する。また、本体部31bの上端は、上方へ開放された形状を有している。そして、本体部31bの上端は、蓋部31aによって塞がれている。
【0079】
また、
図3に示すように、苗植付装置15は、人為操作入力を受け付ける操作部53を有している。作業者は、操作部53に操作入力を行うことにより、流動体散布装置3及び移送機構4に関する操作を行うことができる。
【0080】
尚、操作部53は、苗載せ台2に固定されている。即ち、操作部53は、機体13に対して固定されている。
【0081】
〔検知機構に関する構成〕
図3から
図5に示すように、田植機Aは、検知機構6、制御部7、報知部10を備えている。検知機構6は、磁石61(本発明に係る「第1部材」に相当)、磁気センサ62(本発明に係る「第2部材」に相当)、揺動アーム63、センサ支持部64、判定部65、報知制御部66を有している。尚、
図5に示すように、判定部65及び報知制御部66は、制御部7に含まれている。
【0082】
このように、検知機構6は、磁石61とは異なる磁気センサ62を有している。
【0083】
図4に示すように、磁石61及び揺動アーム63は、何れも、貯留部31の内側に設けられている。揺動アーム63の一端部は、機体左右方向に沿う第2揺動軸芯P2周りに上下揺動可能な状態で、蓋部31aにおける後部に支持されている。即ち、揺動アーム63の一端部は、上下揺動可能な状態で貯留部31の上部に支持されている。そして、磁石61は、揺動アーム63における他端側部分に支持されている。
【0084】
この構成により、磁石61及び揺動アーム63は、貯留部31の内側において、第2揺動軸芯P2周りに一体的に揺動する。
【0085】
また、
図4に示すように、揺動アーム63は、第1揺動位置Q1と第2揺動位置Q2との間で揺動可能である。第1揺動位置Q1は、揺動アーム63の可動域Mにおける最も上側の揺動位置である。また、第2揺動位置Q2は、揺動アーム63の可動域Mにおける最も下側の揺動位置である。
【0086】
そして、貯留部31に貯留されている薬剤の上面の位置の下降に伴い、磁石61及び揺動アーム63は下側へ揺動することとなる。即ち、磁石61は、貯留部31に貯留されている薬剤の上面の高さに応じて位置が変化する。
【0087】
例えば、
図4に示すように、貯留部31に貯留されている薬剤の上面の高さ位置が位置L1である場合、磁石61が薬剤の上面に接する。そして、このとき、揺動アーム63は第1揺動位置Q1に位置している。
【0088】
また、例えば、貯留部31に貯留されている薬剤の上面の高さ位置が位置L2である場合、揺動アーム63の先端が薬剤の上面に接する。そして、このとき、揺動アーム63は第2揺動位置Q2に位置している。
【0089】
尚、位置L2は、位置L1よりも低い位置である。また、貯留部31に貯留されている薬剤の上面の高さ位置が位置L2よりも低い位置である場合、揺動アーム63は薬剤の上面に接しない。そして、このとき、揺動アーム63は第2揺動位置Q2に位置している。
【0090】
また、例えば、
図4に示すように、貯留部31に貯留されている薬剤の上面の高さ位置が位置L1と位置L2との間の位置である場合、磁石61と揺動アーム63とのうちの少なくとも何れか一方が薬剤の上面に接する。そして、このとき、揺動アーム63は、第1揺動位置Q1と第2揺動位置Q2との間に位置している。
【0091】
このように、検知機構6は、貯留部31の内側に設けられると共に貯留部31に貯留されている薬剤の上面の高さに応じて位置が変化する磁石61を有している。
【0092】
また、
図3及び
図4に示すように、磁気センサ62は、センサ支持部64に固定されている。磁気センサ62及びセンサ支持部64は、何れも、貯留部31の外側に配置されている。
【0093】
センサ支持部64は、ガイドレール51に固定されている。即ち、磁気センサ62は、機体13に対して固定されている。
【0094】
そして、
図3及び
図4に示すように、揺動アーム63が第2揺動位置Q2に位置しており、且つ、流動体散布装置3が基準位置RPで停止しているとき、磁石61と磁気センサ62とが、貯留部31の側壁を挟んで互いに対向する。
【0095】
このように、揺動アーム63が可動域Mにおける最も下側の揺動位置に位置しているとき、磁石61と磁気センサ62とが、貯留部31の側壁を挟んで互いに対向する。
【0096】
以上の構成により、貯留部31に貯留されている薬剤の上面の位置が低いほど、磁石61と磁気センサ62との間の距離が短くなる。そのため、貯留部31に貯留されている薬剤の上面の位置が低いほど、磁気センサ62により検知される磁場の強さは強くなる。
【0097】
また、
図5に示すように、磁気センサ62による検知結果は、判定部65へ送られる。
判定部65は、磁気センサ62による検知結果に基づいて、貯留部31に貯留されている薬剤の量を判定する。
【0098】
詳述すると、判定部65は、磁気センサ62により検知された磁場の強さが所定の第1閾値より強い場合、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っていると判定する。
【0099】
また、判定部65は、磁気センサ62により検知された磁場の強さが第1閾値以下である場合、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っていないと判定する。
【0100】
即ち、判定部65は、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っているか否かを判定する。また、上述の第1閾値は、薬剤の量が基準量であるときに磁気センサ62により検知される磁場の強さに基づいて、事前に設定される。
【0101】
尚、本実施形態において、基準量は、貯留部31に貯留されている薬剤の上面の高さ位置が位置L2よりも少し高い所定の位置であるときの薬剤の量である。しかしながら、本発明はこれに限定されず、基準量は適宜変更可能である。
【0102】
判定部65が、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っていると判定した場合、判定部65は、所定の信号を報知制御部66へ送る。この信号は、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っていることを示す信号である。
【0103】
尚、判定部65は、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っていないと判定した場合、この信号を報知制御部66へ送らない。
【0104】
報知制御部66は、この信号を受け取ると、報知部10を制御する。これにより、報知部10は、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っていることを報知する。
【0105】
尚、本実施形態において、報知部10はブザーである。しかしながら、本発明はこれに限定されず、報知部10は、ランプでも良いし、ディスプレイでも良い。
【0106】
以上で説明した構成により、検知機構6は、貯留部31に貯留されている薬剤の量を検知する。そして、検知機構6により、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っていることが検知されると、報知部10による報知が行われる。
【0107】
また、本実施形態において、判定部65は、流動体散布装置3が基準位置RPで停止しているときに磁気センサ62により検知された磁場の強さに基づいて、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っているか否かを判定するように構成されている。
【0108】
即ち、検知機構6は、流動体散布装置3が基準位置RPで停止しているときに磁気センサ62により検知された磁場の強さに基づいて、貯留部31に貯留されている薬剤の量を検知する。
【0109】
また、
図4及び
図6に示すように、揺動アーム63における一端部には、接当部63aが形成されている。また、貯留部31の内側には、揺動板81及び圧縮バネ82が設けられている。
【0110】
揺動板81は、蓋部31aに沿う姿勢で配置されている。また、揺動板81は、機体左右方向に沿う第3揺動軸芯P3周りに揺動可能な状態で、蓋部31aにおける前部に支持されている。
【0111】
揺動板81は、後側部81a及び前側部81bを有している。尚、後側部81aは、揺動板81における第3揺動軸芯P3よりも後側の部分である。また、前側部81bは、揺動板81における第3揺動軸芯P3よりも前側の部分である。そして、後側部81aは、前側部81bよりも、機体前後方向に長い。
【0112】
また、前側部81bにおける前端部には、前端接当部81cが形成されている。前端接当部81cは、下側へ突出すると共に、側面視でL字状の形状を有している。
【0113】
圧縮バネ82は、揺動板81の前側部81bと、蓋部31aの上部における内壁と、に挟まれる状態で配置されている。前側部81bは、圧縮バネ82の付勢力により、蓋部31aの上部における内壁に対して下側へ付勢されている。
【0114】
そして、
図4に示すように、蓋部31aが閉状態であるとき、圧縮バネ82の付勢力によって、前端接当部81cが本体部31bの上端に押し付けられている。このとき、揺動板81は後下がりの姿勢で静止している。
【0115】
図6に示すように、蓋部31aが開かれると、前端接当部81cが本体部31bの上端から離間する。これに伴い、揺動板81は、圧縮バネ82の付勢力により、後側部81aが上側へ移動する方向に、蓋部31aに対して揺動する。
【0116】
その結果、後側部81aの後端部が接当部63aに接当する。そして、圧縮バネ82の付勢力によって、後側部81aは、
図6に示すように、接当部63aを上側へ押しながら、さらに上側へ移動する。
【0117】
このとき、後側部81aによって接当部63aが上側へ押されることにより、揺動アーム63は、上側へ揺動する。これにより、揺動アーム63は、蓋部31aに沿う姿勢となる。
【0118】
このように、蓋部31aが開く際、揺動アーム63は、上側へ揺動し、蓋部31aに沿う姿勢となる。
【0119】
また、
図3及び
図4に示すように、苗植付装置15は、ローラ21及びローラ支持部22を有している。ローラ21は、上下方向に沿う回転軸芯周りに回転可能に構成されている。また、ローラ21は、ローラ支持部22に支持されている。
【0120】
ローラ支持部22は、流動体散布装置3に対して固定されている。即ち、移送機構4によって流動体散布装置3が移動するとき、ローラ21及びローラ支持部22は、流動体散布装置3と一体的に移動する。
【0121】
そして、流動体散布装置3が基準位置RPで停止しているとき、ローラ21は、センサ支持部64の後端面に接当する。これにより、流動体散布装置3が基準位置RPで停止しているときの貯留部31に対する磁気センサ62の位置が、常に一定となりやすい。
【0122】
以上で説明した構成によれば、貯留部31に貯留されている薬剤の上面の高さの変化に応じて、磁石61と磁気センサ62との間の距離が変化する構成を実現できる。この構成においては、貯留部31に貯留されている薬剤の量の変化に応じて、磁気センサ62により検知される磁場の強さが変化することとなる。従って、この構成においては、貯留部31に貯留されている薬剤の量が、磁気センサ62により確実に検知されやすい。
【0123】
即ち、以上で説明した構成であれば、貯留部31に貯留されている薬剤の量が確実に検知されやすい田植機Aを実現できる。
【0124】
〔第1別実施形態〕
上記実施形態において、検知機構6は、磁石61、磁気センサ62、揺動アーム63、センサ支持部64を有している。
【0125】
しかしながら、本発明はこれに限定されない。以下では、本発明に係る第1別実施形態について、上記実施形態とは異なる点を中心に説明する。以下で説明している部分以外の構成は、上記実施形態と同様である。また、上記実施形態と同様の構成については、同じ符号を付している。
【0126】
図7から
図9に示すように、本発明に係る第1別実施形態において、検知機構6は、磁石61、磁気センサ62、揺動アーム63、センサ支持部64に代えて、拡散反射型センサ161及び支持台162を有している。
【0127】
図7に示すように、拡散反射型センサ161及び支持台162は、何れも、貯留部31の外側に配置されている。また、拡散反射型センサ161は、支持台162に支持されている。また、支持台162は、ガイドレール51に固定されている。即ち、支持台162は、機体13に対して固定されている。
【0128】
そして、
図7に示すように、拡散反射型センサ161は、苗載せ台2の横幅方向にそって、支持台162に対してスライド移動可能に構成されている。
【0129】
即ち、拡散反射型センサ161は、苗載せ台2の横幅方向に沿って機体13に対して移動可能である。これにより、拡散反射型センサ161を移動させることによって組み付け誤差等を吸収しやすい。即ち、貯留部31に貯留されている薬剤の量が検知機構6によって検知される際の貯留部31と拡散反射型センサ161との間の距離を、一定の距離に調節しやすい。
【0130】
図9に示すように、拡散反射型センサ161は、発光部163及び受光部164を含んでいる。発光部163は、貯留部31へ向けて光を照射する。また、受光部164は、拡散反射光を受光する。そして、拡散反射型センサ161は、受光部164により受光された拡散反射光の強度を検知する。
【0131】
例えば、
図8に示すように、貯留部31に貯留されている薬剤の上面の高さ位置が位置L11である場合、薬剤の上面は、拡散反射型センサ161よりも高い位置に位置している。そのため、発光部163から照射された光は、貯留部31に貯留されている薬剤によって拡散反射しやすい。その結果、受光部164によって、強度の比較的高い拡散反射光が受光される。
【0132】
また、例えば、貯留部31に貯留されている薬剤の上面の高さ位置が位置L12である場合、薬剤の上面は、拡散反射型センサ161よりも低い位置に位置している。そのため、発光部163から照射された光は、貯留部31に貯留されている薬剤によって拡散反射しにくい。その結果、受光部164によって、強度の比較的低い拡散反射光が受光される。
【0133】
図9に示すように、拡散反射型センサ161による検知結果は、判定部65へ送られる。判定部65は、拡散反射型センサ161による検知結果に基づいて、貯留部31に貯留されている薬剤の量を判定する。
【0134】
詳述すると、判定部65は、拡散反射型センサ161により検知された拡散反射光の強度が所定の第2閾値より低い場合、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っていると判定する。
【0135】
また、判定部65は、拡散反射型センサ161により検知された拡散反射光の強度が第2閾値以上である場合、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っていないと判定する。
【0136】
即ち、判定部65は、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っているか否かを判定する。
【0137】
判定部65が、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っていると判定した場合、判定部65は、所定の信号を報知制御部66へ送る。この信号は、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っていることを示す信号である。
【0138】
尚、判定部65は、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っていないと判定した場合、この信号を報知制御部66へ送らない。
【0139】
また、この第1別実施形態において、基準量は、貯留部31に貯留されている薬剤の上面の高さ位置が拡散反射型センサ161と同等の位置であるときの薬剤の量である。
【0140】
即ち、上述の第2閾値は、薬剤の上面が拡散反射型センサ161よりも低い位置に位置している場合に拡散反射型センサ161により検知される拡散反射光の強度よりも高く、且つ、薬剤の上面が拡散反射型センサ161と同等または拡散反射型センサ161よりも高い位置に位置している場合に拡散反射型センサ161により検知される拡散反射光の強度よりも低い値に設定されている。
【0141】
報知制御部66及び報知部10については、上記実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0142】
以上で説明した構成により、検知機構6は、貯留部31に貯留されている薬剤の量を検知する。そして、検知機構6により、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っていることが検知されると、報知部10による報知が行われる。
【0143】
また、この第1別実施形態において、判定部65は、流動体散布装置3が基準位置RPで停止しているときに拡散反射型センサ161により検知された拡散反射光の強度に基づいて、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っているか否かを判定するように構成されている。
【0144】
即ち、検知機構6は、流動体散布装置3が基準位置RPで停止しているときに受光部164により受光された拡散反射光の強度に基づいて、貯留部31に貯留されている薬剤の量を検知する。
【0145】
以上で説明した構成により、例えば、
図8に示すように、貯留部31に貯留されている薬剤の上面の高さ位置が位置L11である場合、判定部65は、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っていないと判定する。そのため、このとき、報知部10による報知は行われない。
【0146】
また、例えば、貯留部31に貯留されている薬剤の上面の高さ位置が位置L12である場合、判定部65は、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っていると判定する。そのため、このとき、報知部10による報知が行われる。
【0147】
〔第2別実施形態〕
上記実施形態においては、検知機構6が備えられている。
【0148】
しかしながら、本発明はこれに限定されない。以下では、本発明に係る第2別実施形態について、上記実施形態とは異なる点を中心に説明する。以下で説明している部分以外の構成は、上記実施形態と同様である。また、上記実施形態と同様の構成については、同じ符号を付している。
【0149】
図10から
図11に示すように、本発明に係る第2別実施形態においては、検知機構6に代えて、光センサ261(本発明に係る「検知装置」に相当)、無線送信ユニット262、受信装置263が備えられている。
【0150】
図10に示すように、光センサ261及び無線送信ユニット262は、何れも、貯留部31の内側に配置されている。より具体的には、光センサ261及び無線送信ユニット262は、何れも、貯留部31の内側における下部に配置されると共に貯留部31に対して固定されている。
【0151】
また、受信装置263は、貯留部31の外側に配置されている。そして、受信装置263は、操作部53に固定されている。即ち、受信装置263は、機体13に対して固定されている。
【0152】
光センサ261は、光センサ261に到達する光の強度を検知する。
【0153】
ここで、貯留部31の壁部は、光の一部を透過するように構成されている。そのため、田植機Aが作業走行を行っているとき、太陽または照明装置の光の一部は、貯留部31の壁部を透過し、貯留部31の内側へ到達する。
【0154】
そして、貯留部31に貯留されている薬剤の上面の高さ位置が、光センサ261の上端よりも高い位置である場合、光センサ261に到達する光の強度は比較的低い。また、貯留部31に貯留されている薬剤の上面の高さ位置が、光センサ261の上端よりも低い位置である場合、光センサ261に到達する光の強度は比較的高い。
【0155】
例えば、
図10に示すように、貯留部31に貯留されている薬剤の上面の高さ位置が位置L21である場合、薬剤の上面は、光センサ261の上端よりも高い位置に位置している。そのため、光センサ261に到達する光の強度は比較的低い。
【0156】
また、例えば、貯留部31に貯留されている薬剤の上面の高さ位置が位置L22である場合、薬剤の上面は、光センサ261の上端よりも低い位置に位置している。そのため、光センサ261に到達する光の強度は比較的高い。
【0157】
即ち、光センサ261に到達する光の強度は、貯留部31に貯留されている薬剤の量に関する値である。
【0158】
このように、光センサ261は、貯留部31の内側に配置されると共に、貯留部31に貯留されている薬剤の量に関する値を検知する。
【0159】
図11に示すように、光センサ261による検知結果は、無線送信ユニット262へ送られる。そして、無線送信ユニット262は、光センサ261による検知結果を、無線通信を介して、受信装置263へ送信する。
【0160】
受信装置263は、受信した検知結果を判定部65へ送る。判定部65は、光センサ261による検知結果に基づいて、貯留部31に貯留されている薬剤の量を判定する。
【0161】
詳述すると、判定部65は、光センサ261により検知された光の強度が所定の第3閾値より高い場合、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っていると判定する。
【0162】
また、判定部65は、光センサ261により検知された光の強度が第3閾値以下である場合、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っていないと判定する。
【0163】
即ち、判定部65は、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っているか否かを判定する。
【0164】
判定部65が、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っていると判定した場合、判定部65は、所定の信号を報知制御部66へ送る。この信号は、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っていることを示す信号である。
【0165】
尚、判定部65は、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っていないと判定した場合、この信号を報知制御部66へ送らない。
【0166】
また、この第2別実施形態において、基準量は、貯留部31に貯留されている薬剤の上面の高さ位置が光センサ261の上端と同等の位置であるときの薬剤の量である。
【0167】
即ち、上述の第3閾値は、薬剤の上面が光センサ261の上端よりも低い位置に位置している場合に光センサ261により検知される光の強度よりも低く、且つ、薬剤の上面が光センサ261の上端と同等または光センサ261の上端よりも高い位置に位置している場合に光センサ261により検知される光の強度よりも高い値に設定されている。
【0168】
報知制御部66及び報知部10については、上記実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0169】
このように、受信装置263は、光センサ261による検知結果を、無線通信を介して受信する。
【0170】
尚、本発明は以上で説明した構成に限定されず、受信装置263は、光センサ261による検知結果に基づいて生成された情報を、無線通信を介して受信するように構成されていても良い。
【0171】
例えば、判定部65が貯留部31の内側に配置されると共に、光センサ261による検知結果が、光センサ261から判定部65へ送られるように構成されていても良い。
【0172】
この構成においては、判定部65が、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っていると判定した場合、判定部65は、所定の信号を無線送信ユニット262へ送る。この信号は、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っていることを示す信号である。即ち、この信号は、光センサ261による検知結果に基づいて生成された情報である。
【0173】
そして、この信号は、無線送信ユニット262から、無線通信を介して受信装置263へ送られる。さらに、受信装置263は、この信号を報知制御部66へ送る。報知制御部66が、この信号を受け取ると、上述の通り、報知部10が、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っていることを報知する。
【0174】
このように、田植機Aは、光センサ261による検知結果、または、光センサ261による検知結果に基づいて生成された情報を、無線通信を介して受信する受信装置263を備えている。
【0175】
以上で説明した構成により、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っている場合、報知部10による報知が行われる。
【0176】
また、この第2別実施形態において、無線送信ユニット262及び受信装置263は、流動体散布装置3が基準位置RPで停止しているときにのみ、無線通信を介した情報の送受信を行う。
【0177】
従って、受信装置263により受信される光センサ261による検知結果は、流動体散布装置3が基準位置RPで停止しているときに光センサ261により検知された光の強度である。
【0178】
即ち、判定部65は、流動体散布装置3が基準位置RPで停止しているときに光センサ261により検知された光の強度に基づいて、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っているか否かを判定するように構成されている。
【0179】
以上で説明した構成により、例えば、
図10に示すように、貯留部31に貯留されている薬剤の上面の高さ位置が位置L21である場合、判定部65は、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っていないと判定する。そのため、このとき、報知部10による報知は行われない。
【0180】
また、例えば、貯留部31に貯留されている薬剤の上面の高さ位置が位置L22である場合、判定部65は、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っていると判定する。そのため、このとき、報知部10による報知が行われる。
【0181】
尚、以上に記載した各実施形態は一例に過ぎないのであり、本発明はこれに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0182】
〔その他の実施形態〕
(1)施肥装置16は設けられていなくても良い。
【0183】
(2)判定部65、報知制御部66、報知部10のうち、一部または全てが田植機Aの外部に備えられていても良いのであって、例えば、田植機Aの外部に位置する管理サーバや携帯通信端末等に備えられていても良い。
【0184】
(3)貯留部31に貯留される薬剤は、粉粒体であってもよいし、液体であっても良い。また、貯留部31には、薬剤以外のいかなる流動体が貯留されていても良い。
【0185】
(4)ローラ21は設けられていなくても良い。
【0186】
(5)ローラ支持部22は設けられていなくても良い。
【0187】
(6)蓋部31aは、本体部31bから取り外し可能なキャップ状に構成されていても良い。
【0188】
(7)移送機構4は、流動体散布装置3を基準位置RPで一時的に停止することができないように構成されていても良い。
【0189】
(8)検知機構6は、磁気センサ62により検知された磁場の強さが、流動体散布装置3が基準位置RPで停止しているときに検知された磁場の強さであるか否かにかかわらず、その磁場の強さに基づいて、貯留部31に貯留されている薬剤の量を検知しても良い。
また、検知機構6は、流動体散布装置3が移動しているときに磁気センサ62により検知された磁場の強さに基づいて、貯留部31に貯留されている薬剤の量を検知しても良い。
【0190】
(9)磁気センサ62は、貯留部31の内側に配置されていても良い。
【0191】
(10)貯留部31に貯留されている薬剤の上面の位置が低いほど、磁石61と磁気センサ62との間の距離が長くなるように構成されていても良い。
【0192】
(11)磁気センサ62の配置される位置は、上記実施形態における位置以外の位置であっても良い。例えば、磁気センサ62は、貯留部31の上方または下方に配置されていても良い。
【0193】
(12)揺動板81及び圧縮バネ82は設けられていなくても良い。即ち、蓋部31aが開く際に揺動アーム63が蓋部31aに沿う姿勢とはならないように構成されていても良い。
【0194】
(13)揺動アーム63の一端部は、本体部31bに支持されていても良い。
【0195】
(14)貯留部31は、蓋部31aを有していなくても良い。
【0196】
(15)揺動アーム63は設けられていなくても良い。
【0197】
(16)磁気センサ62が本発明に係る「第1部材」に相当する部材として備えられると共に、磁石61が本発明に係る「第2部材」に相当する部材として備えられていても良い。例えば、上記実施形態において、磁石61と磁気センサ62とが互いに入れ替わっていても良い。
【0198】
(17)第1別実施形態において、拡散反射型センサ161は、支持台162に対して固定されていても良い。即ち、拡散反射型センサ161は、機体13に対して移動不能であっても良い。
【0199】
(18)第1別実施形態において、検知機構6は、受光部164により受光された拡散反射光の強度が、流動体散布装置3が基準位置RPで停止しているときに受光された拡散反射光の強度であるか否かにかかわらず、その拡散反射光の強度に基づいて、貯留部31に貯留されている薬剤の量を検知しても良い。また、検知機構6は、流動体散布装置3が移動しているときに受光部164により受光された拡散反射光の強度に基づいて、貯留部31に貯留されている薬剤の量を検知しても良い。
【0200】
(19)第2別実施形態においては、本発明に係る「検知装置」に相当する部材として、光センサ261が備えられている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、貯留部31に貯留されている薬剤の量に関する値を検知可能な装置であれば、光センサ261に代えて別の装置が備えられていても良い。
【0201】
例えば、光センサ261に代えて、貯留部31に貯留されている薬剤の重量を検知する重量センサが備えられていても良い。この場合、重量センサは、本発明に係る「検知装置」に相当する。
【0202】
(20)第2別実施形態において、光センサ261と受信装置263とが、互いに配線によって接続されていても良い。この場合、光センサ261は、光センサ261による検知結果を、配線を介して受信装置263へ送るように構成されていても良い。
【0203】
(21)第2別実施形態において、無線送信ユニット262及び受信装置263は、流動体散布装置3が基準位置RPで停止しているときであるか否かにかかわらず、無線通信を介した情報の送受信を行うように構成されていても良い。また、無線送信ユニット262及び受信装置263は、流動体散布装置3が移動しているときに、無線通信を介した情報の送受信を行うように構成されていても良い。
【0204】
(22)第2別実施形態において、判定部65は、光センサ261により検知された光の強度が、流動体散布装置3が基準位置RPで停止しているときに検知された光の強度であるか否かにかかわらず、その光の強度に基づいて、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っているか否かを判定するように構成されていても良い。また、判定部65は、流動体散布装置3が移動しているときに光センサ261により検知された光の強度に基づいて、貯留部31に貯留されている薬剤の量が基準量を下回っているか否かを判定するように構成されていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0205】
本発明は、苗載せ台に載置された植付用苗に対して流動体を散布する流動体散布装置を備える田植機に利用可能である。
【符号の説明】
【0206】
2 苗載せ台
3 流動体散布装置
4 移送機構
6 検知機構
13 機体
15 苗植付装置
31 貯留部
31a 蓋部
61 磁石(第1部材)
62 磁気センサ(第2部材)
63 揺動アーム
161 拡散反射型センサ
163 発光部
164 受光部
261 光センサ(検知装置)
263 受信装置
A 田植機
M 可動域
RP 基準位置