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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】物質を分析するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20240308BHJP
   G01N 21/3577 20140101ALI20240308BHJP
   G01N 29/24 20060101ALI20240308BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
G01N21/17 610
G01N21/3577
G01N29/24
A61B5/1455
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2022128506
(22)【出願日】2022-08-10
(62)【分割の表示】P 2018530027の分割
【原出願日】2016-12-07
(65)【公開番号】P2022174754
(43)【公開日】2022-11-24
【審査請求日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】PCT/DE2015/200532
(32)【優先日】2015-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102016214262.3
(32)【優先日】2016-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102016215580.6
(32)【優先日】2016-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516378529
【氏名又は名称】ディアモンテク、アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】DiaMonTech AG
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー、バウアー
(72)【発明者】
【氏名】オットー、ヘルツベルク
(72)【発明者】
【氏名】トルステン、ルビンスキ
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】独国特許発明第102014108424(DE,B3)
【文献】独国特許発明第04446390(DE,C1)
【文献】特開平06-050883(JP,A)
【文献】特開2006-292562(JP,A)
【文献】特開2006-112808(JP,A)
【文献】特開平09-257696(JP,A)
【文献】特開2005-127748(JP,A)
【文献】特開2006-242816(JP,A)
【文献】特開2007-242747(JP,A)
【文献】特表2002-527136(JP,A)
【文献】特開2000-204904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/61
G01N 29/00 - G01N 29/52
G01N 25/00
A61B 5/1455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質(101)を分析するための装置(10)であって、
-少なくとも1つの励起波長を有する少なくとも1つの励起光ビームを生成するとともに、少なくとも1つの励起光ビーム(SA)を物質(101)の表面の第1の部位(102)の下方に位置される物質ボリューム(103)へと放射するための励起伝送装置(100)と、
-動作時、物質(101)の表面の第1の部位(102)と直接に接触する光学媒体(108)と、
測定ビーム(112)を放出するための装置(105)であって、放出された前記測定ビーム(112)が前記光学媒体(108)を貫通するように配置された、装置(105)と、
-応答信号(SR)を検出するための検出装置(106,139)であって、前記応答信号を検出することは、前記測定ビームが前記光学媒体(108)の界面(GF)で少なくとも1回反射された後に、この測定ビームを検出することを含み、前記光学媒体(108)の界面(GF)は前記物質(101)の前記表面の前記第1の部位(102)に接する、検出装置(106,139)と、
-検出された応答信号(SR)に基づいて物質を分析するための評価装置(107,147)であって、前記測定ビームを放出するための前記装置(105)の少なくとも1つ、前記検出装置(106、139)、又は、前記励起伝送装置が、前記光学媒体(108)に直接機械的に固定接続され、又は、光ファイバケーブル(120)によって前記光学媒体(108)に結合される、評価装置(107,147)と、
を有するものであり、
前記応答信号が、組織における前記励起光ビームの波長依存吸収の効果に起因し、
前記装置は、前記励起光ビームの異なる変調周波数を使用して前記応答信号を連続的に決定し、さらに、異なる変調周波数で得られた結果を互いに組み合わせ、これから前記表面下の深さ範囲に関する固有の情報を取得するように構成される、装置(10)。
【請求項2】
動作時、前記測定ビーム(112)及び前記励起ビーム(SA)が前記光学媒体(108)と物質(101)の表面との界面(GF)で重なり、この界面で前記測定ビーム(112)が反射され、
-前記検出装置(106)は、応答信号(SR)を形成する反射された前記測定ビーム(112)を受けるため及び反射された前記測定ビーム(112)の偏向を直接的又は間接的に検出するための装置である、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
-前記装置は、励起光ビーム(SA)の強度変調のための装置(104)を備え、
-前記検出装置(106)は、励起光の波長及び/又は励起光の強度変調に応じた時間依存応答信号(SR)を検出するのに適している、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記励起伝送装置(100)は、1次元、2次元、又は、多次元の伝送要素アレイの形態を成す2つ以上の伝送要素(100a)を備える
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記2つ以上の伝送要素(100a)の前記励起光ビームの波長が異なる
ことを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記励起伝送装置は、前記光学媒体(108)に対して直接的に又は調整装置(109)を用いて間接的に機械的に接続固定される
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
強度変調のための前記装置(104)は、前記励起伝送装置(100)に電気的に接続される又は前記励起伝送装置(100)を電気的に制御する電気変調装置を備える又は前記電気変調装置によって形成される
ことを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
強度変調のための前記装置(104)は、前記励起光ビームのビーム経路内に配置される少なくとも1つの制御されたミラー(133,134)を備える
ことを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
強度変調のための前記装置(104)は、前記励起光ビームのビーム経路(138)内に配置されてその透過性に関して制御可能である少なくとも1つの層を備える又はそのような層によって形成される
ことを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
測定ビームを放出するための前記装置及び前記検出装置は、このビームが物質(101)の表面の前記第1の部位(102)と接触する前記光学媒体(108)の界面(GF)で少なくとも1回反射された後に前記検出装置が時間依存応答信号として測定ビームを検出するように互いに位置合わせされる
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
測定ビームを放出するための前記装置及び前記検出装置及は、前記光学媒体(108)に直接に機械的に接続固定され又は光ファイバケーブル(120)によって前記光学媒体(108)に結合される
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記励起伝送装置は、1Hz~10kHz周波数で励起を変調するように構成される
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記励起伝送装置は、10ヘルツ~1000ヘルツの周波数で励起を変調するように構成される
ことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記励起伝送装置は、20ヘルツ~500ヘルツの周波数で励起を変調するように構成される
ことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記装置は、10ms~1000ms励起パルス持続時間の後に、応答信号の時間的な波形を検出してそれをフーリエ変換に晒すように構成される
ことを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記装置は、50ms~500msの励起パルス持続時間の後に、応答信号の時間的な波形を検出してそれをフーリエ変換に晒すように構成される
ことを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記装置は、50ms~150msの励起パルス持続時間の後に、応答信号の時間的な波形を検出してそれをフーリエ変換に晒すように構成される
ことを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記物質は、皮膚であり、
前記分析装置は、
機械的な圧力を測定するための圧力センサ(158)であって、この圧力により、前記光学媒体(108)が前記皮膚(101)に押し付けられる、圧力センサ(158)と、
前記皮膚の水分含有量を測定するように構成された水分センサであって、物体が前記光学媒体上にあるかどうかを判断すること、及び、測定結果から前記水分含有量の影響を排除する或いは前記皮膚のグルコースの分析中に前記水分含有量の影響を考慮に入れること、の一方または両方を可能にする、水分センサと、
の一方または両方を備える、
ことを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
物質(101)を分析するための方法であって、この方法では、
-光学媒体(108)が、物質(101)の表面の第1の部位(102)と直接に接触させられ、
-励起伝送装置(100)を用いて、少なくとも1つの励起波長を有する少なくとも1つの励起光ビーム(SA)が、レーザ光源の複数のレーザ放射体の少なくとも部分的に同時の又は連続的な動作によって生成され、そして、前記少なくとも1つの励起光ビーム(SA)は、前記物質(101)の前記第1の部位(102)の下方に位置される物質ボリューム(103)に放射され、
-測定ビーム(112)を放出するための装置(105)を用いて、前記光学媒体(108)を貫通する測定ビーム(112)が放出され、
-検出装置(106)を用いて、応答信号(SR)が検出され、前記応答信号(SR)を検出することは、前記測定ビームが前記光学媒体(108)の界面(GF)で少なくとも1回反射された後に、この測定ビームを検出することを含み、前記光学媒体(108)の界面(GF)は前記物質(101)の前記表面の前記第1の部位(102)に接しており、
-前記物質は、検出された応答信号(SR)に基づいて分析され、前記測定ビームを放出するための前記装置(105)及び前記検出装置(106、139)が、前記光学媒体(108)に直接機械的に固定接続され、又は、光ファイバケーブル(120)によって前記光学媒体(108)に結合されるものであり、
前記励起伝送装置の異なる変調周波数を使用して、時間応答信号波形又はパターンが連続的に決定され、異なる変調周波数の複数の応答信号波形又はパターンが互いに組み合わされ、これから、前記表面下の深さ範囲に関する固有の情報が得られる、方法。
【請求項20】
吸収の時間的な強度波形又はパターンは、励起ビームが放出されるそれぞれの時間間隔の終了後に測定される
ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記測定前および/または前記測定中および/または前記測定後に、前記物質の水分含有量または上層の湿度または前記物質の表面の湿度が決定され、
前記物質中の水分の影響が測定結果から排除される、或いは、分析中に考慮される、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記測定前および/または前記測定中および/または前記測定後に、機械的な圧力が検出され、この圧力により、前記光学媒体(108)が前記物質(101)に押し付けられ、
前記物質または前記光学媒体に対する圧力の影響は、測定結果から排除される、或いは、分析中に考慮に入れられる
請求項19から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記物質は、皮膚であり、前記方法は、水固有の波長を伴う励起伝送装置(100)を使用して、励起放射を伴う試験刺激によって前記皮膚の表面上の水または汗を検出するステップをさらに含む、請求項19から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記水固有の波長は、1640cm-1および690cm-1の水固有の帯域から選択され、
測定前、測定中、測定後の少なくとも1つにおいて、周囲空気の湿度または前記物質の水分含有量が決定される、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この知的所有権は、物質を分析するための装置及び方法に関する。本明細書中に記載される装置及び本明細書中に記載される手続きは、例えば、動物又はヒトの組織の分析のために、1つの実施形態ではグルコース又は血糖の測定のために使用され得る。
【背景技術】
【0002】
物質を分析するための、特に血糖の測定のための既知の方法は、例えば以下の刊行物に記載される:
-Guo et al.:「Noninvasive glucose detection in human skin-using wavelength modulated differential laser photothermal radiometry」,Biomedical Optics Express,Vol,3,2012,No.11,
-Uemura et al.:「Non-invasive blood glucose measurement by Fourier transform infrared spectroscopic analysis through the
mucous membrane of the lip:application of a chalcogenide optical fiber System」,Front Med Biol Eng.1999; 9(2):137-153,
-Farahi et al.:「Pump probe photothermal
spectroscopy using quantum cascade lasers」,J.Phys.D.Appl.Phys.2012 and
-M.Fujinami et al.:「Highly sensitive detection of molecules at the liquid/liquid interface using total internal reflection-optical beam deflection based on photothermal spectroscopy」,Rev.Sei.Instrum.,Vol.74,Number 1(2003).
-(1)von Lilienfeld-Toal,H.Weidenmuller,M.Xhelaj ,A.Mantele,W.A Novel Approach to Non-Invasive Glucose Measurement by Mid-Infrared Spectroscopy:The Combination of Quantum Cascade Lasers(QCL)and Photoacoustic Detection Vibrational Spectroscopy,38:209-215,2005.
-(2)Pleitez,M.von Lilienfeld-Toal,H.Mantele W.Infrared spectroscopic analysis of human interstitial fluid in vitro and in vivo using FT-IR spectroscopy and pulsed quantum cascade lasers(QCL):Establishing a new approach to non-invasive glucose measurement Spectrochimica acta. Part ‘A,Molecular and biomolecular spectroscopy,85:61-65,2012
-(3)Pleitez,M.et al. In Vivo Noninvasive Monitoring of Glucose Concentration in
Human Epidermis by Mid-Infrared Pulsed Photoacoustic Spectroscopy Analytical Chemistry,85 :1013-1020,2013.
-(4)Pleitez,M.Lieblein,T.Bauer,A.Hertzberg,0.von Lilienfeld-Toal,H.Mantele,W.Windowless ultrasound photoacoustic cell for in vivo mid-IR spectroscopy of human epidermis:Low interference by changes of
air pressure,temperature,and humidity caused by skin contact opens the possibility for a non-invasive monitoring of glucose in the interstitial fluid Review of
Scientific Instruments 84,2013
-(5)M.A.Pleitez Rafael,0.Hertzberg,A.Bauer,M.Seeger,T.Lieblein,H.von Lilienfeld-Toal,and W.Mantele.Photo-thermal deflectometry enhanced by total internal reflection enables non-invasive glucose monitoring in human epidermis.アナリスト、2014年11月。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、物質、特に動物又はヒトの組織、或いは、組織の構成要素又は成分を特に簡単に且つ費用効率良く分析できる装置を特定することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、とりわけ、請求項1に記載の特徴を有する装置によって達成される。この装置の実施形態は従属請求項で特定される。
【0005】
その内容が具体的に言及されるとともにその内容にこの出願が及ぶドイツ特許第102014108424号が参照される。したがって、ここで成されるこの明確な参照により、ドイツ特許第102014108424号の全内容もこの出願の開示の一部と見なされるべきである(その開示の全ての詳細については「参照により本願に組み入れられる」)。特に、この引用文献は、許可された特許請求の範囲で与えられる全ての特徴に関連する。加えて、この引用文献は、特にそこで言及される励起光ビームの詳細に関連し、例えばそこで引用されるパルス周波数及び波長(波長範囲)の数値に関連し、及び、間質液中のグルコース含有量の測定に関する詳細にも関連する。
【0006】
出願時に直接に且つ明示的に言及される特許請求の範囲及び例示的な実施形態の主題に加えて、本PCT所有権出願は、本明細書の最後に列挙される他の態様にも関連する。これらの態様は、出願時に列挙された特許請求項の特徴を伴って個々に又はグループで組み合わせられ得る。これらの態様は、単独で或いは互いに又は特許請求の範囲の主題と組み合わされて解釈されるかどうかにかかわらず、独立した発明を表わす。出願人は、これらの発明を後日特許請求項の主題にする権利を留保する。これは、本出願との関連において、或いは、その後の分割出願、(米国における)継続出願、(米国における)一部継続出願、又は、この出願の優先権を主張するその後の出願との関連において行なわれ得る。
【0007】
しかしながら、以下では、出願時に言及された特許請求項の主題が最初に議論される。
【0008】
少なくとも1つの電磁励起ビーム、特に少なくとも1つの励起波長を有する励起光ビームを生成するための励起伝送装置、応答信号を検出するための検出装置、及び、検出された応答信号に基づいて物質を分析するための装置を伴う、物質を分析するための装置が提供される。
【0009】
この装置の主な利点は、物質を非常に簡単で信頼性の高い方法で分析するためにそれを使用できるという事実である。
【0010】
体液中の所定の材料の濃度の測定は、ISF(間質液)中のグルコースの例を用いた本知的財産出願でも例示される。しかしながら、本出願の様々な主題はそれに限定されない。
【0011】
他の(身体及び非身体)材料、例えば、ドイツ特許出願公開第102014108424号明細書及びその優先権を主張するPCT出願に記載された材料を測定することができる。
【0012】
特に、この方法及び装置は、薬剤レベルを決定する(「薬剤モニタリング」)ためにも使用することができる。この知的財産保護権利との関連において、これは、血液中或いはヒト又は動物の身体の他の流体含有空間内、例えば血清中又は血漿中、唾液中又はリンパ中、特に非侵襲的に且つ生体内で間質液中の薬剤の濃度を測定することを含むと理解される。
【0013】
特に、薬剤レベル決定は、狭い治療範囲での薬剤の投与を改善するために使用することもできる。特に、容易に過剰投与され得る又は投与不足となり得るとともにその濃度が他の薬剤の影響を受け易い又はある濃度を超えると毒作用を有する薬物の場合には、薬剤モニタリングが有用な技術である。満たされるべき適切なベンチマークの一例は、特定の有効レベルに達する又はその有効レベルを維持するとともに、必要な個々の薬剤投与量を決定することである。
【0014】
この保護権利文書に示される方法及び/又は装置を用いると、例えばパラセタモール、フェニトイン、バルプロ酸、ラモトリジン、フェノバルビタール、フレカイニド、ジギトキシン、ジゴキシン、タクロリムス、エベロリムス、アミオダロン、アミノグリコシド抗生物質、テオフィリン、バンコマイシン、リチウム、カルバマゼピン、シロリムス、メトトレキセート、及び、他の材料の医学的に重要なレベルを迅速に或いは更にはリアルタイムで決定することができ、いずれの場合にも、異なる分光「フィンガープリント」、すなわち、特性極値(特に、絶対的及び相対的な吸収最大値及び吸収最小値)は、それぞれの材料の検出及び同定を容易にする。
【0015】
特許請求項で与えられる装置は、いずれの場合にも、制御ループを形成できるようにするべく、前述の材料のうちの1つ以上の用量投与のための投与装置と関連付けられ得る。
【0016】
特に、ISF中のグルコースの測定に関連して、特性極値の評価において真に臨床的に有用な結果のみが、中赤外領域で、特にこの領域内の吸収最大値及び吸収最小値の検出が複数の比較的近接した波長で行なわれる場合に得られたことは注目に値する。これは、十分に正確な測定結果が常に達成されるように不正確さ(レーザの温度感度、評価電子回路のノイズなどによって引き起こされる)を補償するために使用される。放出されるべき波長の数に関しては、特許請求の範囲に言及される。ある材料の3つの隣り合う特性極値、すなわち、(相対的又は絶対的な最小値及び/又は最大値)が存在する場合には、例えば、2つの外側の極値間の間隔における少なくとも10個、好ましくは少なくとも20個の波長が放出されれば有利となり得る。
【0017】
用語「光」は、本明細書中では、可視範囲内、近赤外範囲内、及び、UV範囲内の電磁波又は電磁放射を意味すると理解される。
【0018】
装置の典型的な実施形態では、励起伝送装置は、放射源であり、1つの実施形態では単色の特に偏光された放射源又は光源、とりわけレーザ光源であり、
-装置は、物質と直接に接触する、特に物質の表面の第1の部位と直接に接触する光学媒体を有し、
-励起伝送装置は、好ましくは、放出される励起ビームが光学媒体に浸透して光学媒体の表面上の所定のポイントで再び光学媒体から抜け出るように配置され、
-装置は、測定ビーム、特に測定光ビームを放出するためのシステムを備え、このシステムは、放出される測定ビームが光学媒体へと浸透するように配置され、好ましくは、動作時、測定ビーム及び励起ビームが光学媒体と物質の表面との界面で重なり合い、この界面で測定ビームが反射され、
-検出装置は、応答信号を形成する反射された測定ビームを受けるため及び/又は反射された測定ビームの偏向を直接的又は間接的に検出するための装置である、
ことが提供される。
【0019】
好ましくは、装置は、物質と直接に接触する、特に1つの実施形態ではヒトの皮膚である物質の表面の第1の部位と直接に接触する光学媒体を有し、応答信号を検出するために、検出装置は、応答信号の結果として、特に第1の部位に隣接する部位で光学媒体のパラメータ変化を、特に、局所的な時間依存加熱の結果として光学媒体の変形及び/又は密度変化を検出する。光学媒体は、ガラス、結晶、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、ゲルマニウム(Ge)、シリコン(Si)、及び、ダイヤモンド又は透明プラスチック、一実施形態ではポリエチレンなどの光透過性の又は赤外線又は紫外線を透過する、一般的には励起ビーム及び測定ビームを透過する物質から成ってもよい。分析されるべき物質から又は物質の材料から光学媒体への熱の輸送又は移送に応じた局所的な加熱は、内部変化、例えば、検出可能な物質変形又は熱応力又は屈折率の局所的な変化をもたらす。
【0020】
物質は、1つの実施形態では、生体組織、特にヒトの組織であってもよく、その場合、物質表面が皮膚であってもよい。その後、組織内の材料を分析又は測定することができる。
【0021】
検出装置は、応力、変形、及び/又は、密度変化を検出するための検出器として、光学媒体に接続される又は光学媒体に組み込まれる圧電素子を有するようになっていてもよい。
【0022】
また、検出装置は、応答信号を検出するための検出器として少なくとも1つの温度センサを有するようになっていてもよい。この温度センサは、測定原理に応じて、光学媒体上に直接に又は光学媒体の周囲に配置され得る。
【0023】
好ましくは、装置は、励起光ビームの強度変調のためのシステムを有する。
【0024】
検出装置は、好ましくは、励起光の波長及び/又は励起光の強度変調に応じた時間依存応答信号を検出するのに適している。
【0025】
励起伝送装置が少なくとも1つの電磁励起ビームを物質の表面の第1の部位の下方にある物質のボリュームへと放射するようにしてもよい。
【0026】
特に好ましくは、励起伝送装置は、特に1次元、2次元、又は、多次元の伝送要素アレイの形態を成す2つ以上の伝送要素を備える。したがって、これは、伝送要素の表面アレイとして或いは伝送要素ストリップ(1つの実施形態では、半導体レーザアレイ又はQCLアレイであり、QCLは量子カスケードレーザを表わす)として実装され得る。
【0027】
また、2つ以上の伝送要素がそれぞれそれら自体の電磁励起ビームを生成するとともにこの電磁励起ビームを第1の部位の下方のボリュームへと放射するようにしてもよい。異なる励起ビームを連続的に又は少なくとも部分的に同時に放出することもできる。異なる伝導要素を異なる変調周波数で同時に動作させることもできる。
【0028】
2つ以上の伝送要素の電磁励起ビームの波長は異なることが好ましい。波長は、好ましくは、分析されるべき物質中の検出されるべき材料がこれらの波長の放射を特に良好に吸収するように選択される。それに加えて又は代えて、分析されるべき材料を他の材料から区別するために、検出されるべき材料が吸収しないが他の材料により吸収される波長又は波長範囲(いわゆる耐性波長)を選択することもできる。
【0029】
1つの実施形態において、励起伝送装置は、特に1次元又は2次元のレーザアレイの形態を成す2つ以上のレーザを備え、この場合、空間を節約するために、レーザ要素の複数の列を、1つの実施形態ではレーザストリップ及び/又は2つ以上の発光ダイオードの形態を成して、特に1次元又は2次元のダイオードアレイの形態を成して、2次元アレイ又はストリップの1つの実施形態では深さを互い違いにする態様で互いに対してオフセットして、互い違いにして互いに前後にオフセットして配置できる。アレイの出力ビームは、それぞれのビーム要素ごとに、互いに近接する又は平行な個々のビーム軸を有することができ、或いは、既に組み込まれた光学素子のセットを用いて、同じビーム軸を有することができる。
【0030】
装置の構造に関して、励起伝送装置が、物質と直接に接触する、特に物質の表面の第1の部位と直接に接触する光学媒体に対して直接的に又は好ましくは調整装置を用いて間接的に機械的に接続固定されるようにすることができる。したがって、励起伝送装置は、製造段階のできるだけ早い段階で又は少なくとも展開前に光学媒体に対して位置合わせされ固定され得る。
【0031】
励起伝送装置及び/又は検出装置の要素の装着及び/又は位置合わせ又は調整の目的のため、光学媒体は、ブリッジ、ショルダ、それに装着された半球、装着ブロック、円錐、又は、穿孔、溝、中空或いは他の凹部などの少なくとも1つの組み込み隆起部及び/又は窪みを有することができ、これらの隆起部及び/又は窪みに又は隆起部上及び/又は窪み上に前述の要素(励起伝送装置及び/又は検出装置の要素)を配置でき、載置でき、それに又はそれに対して要素を位置合わせ又は固定できる。位置合わせされた整合面を機械加工により又は鋳造プロセスで光学媒体上に形成することもできる。
【0032】
強度変調のための装置に関し、該装置が、励起伝送装置に電気的に接続される、特に励起伝送装置を電気的に制御する電気的又は電気機械的な変調装置を備え、或いは、そのような装置によって形成されるようにすることができる。変調装置は、励起ビームの強度変調、1つの実施形態では例えば矩形パルス、鋸歯関数、又は、正弦波関数、又は、他の周期関数の形態も成す周期的強度変調をもたらすことができる。
【0033】
これに代えて又は加えて、強度変調のための装置は、ビーム経路内に配置される少なくとも1つの制御されたミラーを備えることができ、該ミラーの制御により、励起ビームの強度を偏向によって変調させることができる。
【0034】
これに代えて又は加えて、強度変調のための装置は、ビーム経路内に配置されてその透過性に関して制御可能な少なくとも1つの層を備えることができ或いはそのような層によって形成され得る。したがって、変調要素は、その透過率に関して制御される伝送要素の形態を成して形成され得る。変調要素は、1つの光ビームから空間的に分離される複数の光ビームを生成することができる。1つの実施形態では、サンプルの表面を変調要素により走査できるようにすることもできる。1つの実施形態において、変調要素は、光源/レーザ源のアレイと共に制御され得る。
【0035】
測定ビーム、特に測定光ビームを放出するための装置が、1つの実施形態では、物質の表面の第1の部位と接触する光学媒体の特定の領域へと測定ビームを放出するために設けられる。
【0036】
測定ビームを放出するための装置及び検出装置は、1つの実施形態では、物質と接触する、特に物質の表面の第1の部位と接触する光学媒体の界面でこのビームが少なくとも1回反射された後に検出装置が時間依存応答信号として測定ビームを検出するように互いに位置合わせされる。
【0037】
組み立ての容易さの目的で、測定ビームを放出するための装置及び/又は検出装置及び/又は励起伝送装置が、光学媒体に直接に機械的に接続固定され及び/又は1つ以上の光ファイバケーブルによって光学媒体に結合されれば有利である。
【0038】
光学媒体が撮像光学系を直接に支持する及び/又は撮像光学系が光学媒体に組み込まれる実施形態も想定し得る。
【0039】
加えて、光学媒体の表面が互いの方へ傾けられる複数の部分面を有し、これらの部分面で測定ビーム、特に測定光ビームが複数回反射される実施形態が考えられる。
【0040】
測定ビーム、特に測定光ビームを反射するための1つ以上の鏡面が光学媒体内又は光学媒体上に設けられる実施形態も提供され得る。
【0041】
コンパクトな形態の目的で、励起伝送装置及び/又は測定ビームを放出するための装置及び/又は検出装置が互いに又は共通の支持体に直接に取り付けられることが考えられる。1つの実施形態において、様々な装置は、溶接又は接着によって或いはねじ接続又はスナップ留め接続によって支持体に固定することができ、この場合、組み立て中又はその後に、調整ねじ又は他の機械的な調整装置を用いて、調整設備を設けることができる。特に、測定ビームを放出するための装置及び/又は検出装置は、互いに対して容易に位置合わせされるべき又は位置合わせされ得る。したがって、これらの2つの装置を光学媒体に直接に取り付けることが有益となり得る。測定ビームを放出するための装置及び/又は検出装置は、測定ビームを適切に誘導すると、光学媒体の同じ側で共通の支持体上に互いに隣接して配置することもでき、1つの実施形態では、共通のプリント回路基板に又は共通の半導体に取り付けることができ、或いは、共通の集積半導体デバイスとして、1つの実施形態では共通の集積半導体部品として実装され得る。この支持体は、その後、特定の実施形態では、測定ビームを伝送するための装置及び/又は検出装置の間の相対位置を更に変更することなく、光学媒体に対してユニットとして調整され得る。
【0042】
支持体は、好ましくは、プリント回路基板、金属プレート、又は、プラスチックプレート、或いは、装置のハウジング又はハウジング部分によって形成される。
【0043】
励起伝送装置が、1つ以上のレーザ要素と、少なくとも1つのマイクロ光学部品、好ましくは付加的な変調要素とを有する集積半導体デバイスを備えるようにすることもできる。前述の要素は、1つの半導体ブランクから一緒に製造され、1つの実施形態ではエッチングされ得る、或いは、共通のハウジング内に少なくとも受け入れられ得る。
【0044】
変調要素が、半導体デバイスの残りの部分に対して移動できるとともにその位置に関して制御できる少なくとも1つの要素、特にミラーを有するようにすることもできる。このミラーはMEMS装置によって制御され得る。
【0045】
また、変調要素がその放射透過性に関して制御可能な層を有するようにすることもできる。
【0046】
変調要素が1つ以上のレーザ要素の変調のための電子制御回路を有するようにすることもできる。1つの実施形態において、変調要素は、干渉、位相オフセット/経路オフセット又は偏光フィルタ装置又は他の既知の変調機構によってそれが励起ビームを時間依存的に変化させるように構成され得る。
【0047】
1つ又は複数のマイクロ光学部品は、半導体部品に組み込まれる又は減法プロセスで、特にエッチングによって半導体部品から形成されるミラー又はレンズであってもよい。
【0048】
物質を分析するために記載された装置は、物質濃度の測定値、1つの実施形態ではグルコース濃度の測定値を決定することができる。装置は、例えば装置のユーザのためのカラーコードを用いて測定値及びそれらの分析を表示するための装置へのインタフェース、及び/又は、物質中、特に組織内、又は、より一般的には生体内へと分配され得る材料のための投与装置へのインタフェースを有することができる。また、装置は、そのような投与装置を直接的に備えることもできる。この場合、装置は、物質表面、1つの実施形態では皮膚表面又は他の実施形態では生体の眼表面又は虹彩を検出する又は分析するためのシステムを有することもでき、このシステムは、基準データとの比較に基づいて人又は生物の同定を可能にし、したがって、適切な基準値及び/又は較正値が物質の分析及び投与装置の制御のために与えられるようにするべく使用され得る。物質表面の決定された特性値、1つの実施形態では指紋又は眼の虹彩の構造は、例えばデータベースに対する人の同定及び認証に加えて、状態値の通信を暗号化して投与装置を制御するために使用することもでき、暗号化され又は暗号化されず、原則としてデータベースからもたらされ得る。1つの実施形態において、投与装置は、1つの実施形態ではインスリン及び/又はグルカゴン、ヘパリン、又は、麻酔薬などの投与されるべき材料の充填レベルを決定するためのセンサを備えることができ、また、物質分析のための装置に及び/又はデータベースに直接に充填レベルを伝送するための装置を有することができる。
【0049】
更に、装置は、インタフェース、1つの実施形態ではデータベースへの無線インタフェースを有することができ、データベースへ測定値を送ってデータを処理することができる。データベースは、複数の患者からのデータ、すなわち、1つの実施形態では物質を分析するための複数の同様の装置からのデータも処理して記憶するように作成することができ、1つの実施形態では、材料を分配するための個々の投与装置も制御する。また、データベースは、分析された物質に関連する測定データを更に処理して、値、第1及び第2の時間微分、最小値、最大値、物質量又は濃度の標準偏差、血糖値、又は、患者の他の生理学的値における任意の傾向などの導出された分析結果を決定するとともに、それらを比較して、それらから、1つの実施形態ではアラーム信号も含む信号を得ることもできる。1つの実施形態では充填レベルの時間的範囲又は再充填の必要性を決定してこれを患者の装置又はサービス設備へ直接に信号送信するために、投与装置の充填レベルをデータベースによって検出して処理することもできる。この目的のため、データベースは、サービス設備内、1つの実施形態では病院又は医療診療所内における通信デバイスに接続され得る。データをデータベースから及び/又はデータベースへ送信する目的で、装置は、1つの実施形態では、無線リンク、1つの実施形態ではブルートゥース又はWLAN又はWifi又は他の伝送方法によってモバイル装置又はページャに接続され得る。この装置には、WLANインタフェース及びインターネットクライアントを直接に装備することもできる。
【0050】
主題は、物質を分析するための方法にも関連し、この方法では、励起伝送装置を用いて、少なくとも1つの励起波長を有する少なくとも1つの電磁励起ビームが、レーザ光源の複数のレーザ放射体の連続的な動作又は少なくとも部分的に同時の動作によって生成され、検出装置を用いて応答信号が検出され、また、物質は、検出された応答信号に基づいて分析される。この方法では、物質内の熱拡散率及び応答信号の時間的進展又は波形を用いて、物質の性質又は物質内の材料の空間分布を特徴付けることができ、又は、励起ビームが吸収される深さを特徴付けることができる。
【0051】
1つの実施形態では、励起伝送装置の異なる変調周波数を使用して、応答信号、特に時間応答信号波形又はパターンを連続的に決定でき、また、異なる変調周波数の複数の応答信号波形又はパターンを互いに組み合わせることができ、特に、これから、表面下の深さ範囲に関する固有の情報が得られるようにすることもできる。
【0052】
異なる変調周波数の応答信号波形又はパターンが励起ビームの異なる波長に関して決定され、これから、特に、特定の情報が表面下のそれぞれの深さ範囲ごとに得られるようにすることもできる。ポンプビームの複数の変調周波数を同時に使用する場合、例えば、適切な分析方法、例えばフーリエ変換などの積分変換を使用して検出信号をその周波数に分解することが可能であり、FTは所望の周波数に対応する信号のみをフィルタにより除去する。
【0053】
また、光学媒体が、物質と直接に接触させられ、特に物質の表面の第1の部位と直接に接触させられ、放出された励起ビームは、それが光学媒体に浸透して光学媒体の表面上の所定のポイントで光学媒体から再び抜け出るように励起伝送装置により生成されて特に放出され、測定ビームを放出するための装置を用いて、測定ビーム、特に測定光ビームが、このビームが光学媒体に浸透するように生成され、特に動作時に測定ビーム及び励起ビームが光学媒体と物質の表面との界面で重なり合い、界面で測定ビームが反射され、応答信号を形成する反射された測定ビームが測定され、及び/又は、検出装置を用いて、反射されたビームの偏向が直接的又は間接的に検出されるようにすることもできる。
【0054】
この方法の1つの態様は、応答信号の測定を物質表面(物質表面からの距離間隔)下の選択された深さ範囲に集中させることである。熱波長dは、この方法で測定された深さ範囲に最大の影響を与える。それはd=√(D/π*f)として定義され、ここで、Dはサンプル(ここでは例えば皮膚)の熱拡散率であり、fは励起ビームの変調周波数である。
皮膚の熱拡散性に関する文献:
-U.Werner,K.Giese,B.Sennhenn,K.Piamann,and K.Kolmel,「Measurement of the thermal
diffusivity of human epidermis by studying thermal wave propagation,」Phys.Med.Biol.37(1),21-35(1992).
-A.M.Stoll,Heat Transfer in Biotechnology,Vol 4 of Ad-vances in Heat Transfer,J.P.Hartnett and T.Irvin,eds.(New York,Academic,1967),p 117.
1つの実施形態では、物質の最上層からの応答信号を除去するために、最上層の測定値が他のより深い層と比較して多かれ少なかれ変化する場合に、前回の測定値と比較した測定値の変化を用いることができる。
【0055】
これは、皮膚の最上層が実質的に下層との交換を受けないので、生理学的パラメータがほとんど変化しない、人間の皮膚の測定における1つの実施形態の場合に当てはまり得る。測定の時間微分は、皮膚の最上層から信号を除外する応答信号を提供するために適用することもできる。したがって、測定値又は少なくとも評価値は、皮膚の間質液に限定されるか又はそれに集中することができる。
【0056】
また、物質中に特定された物質濃度に応じて、材料を、特に患者の体内に投与するための投薬装置が制御され、及び/又は音響信号及び/又は視覚信号が出力される、及び/又は信号無線接続を介して処理装置に出力されることができる。この場合、現在決定されている測定値に加えて、測定値の時間発展又は進化、測定値の微分値、測定値の平均値、最大値、最小値、標準偏差、及び測定値のための所定の閾値を考慮に入れて、現在の測定値と組み合わせることができる。1つの実施形態において、処理装置は、複数の患者からのデータを収集し処理するデータベースであってもよく、又は、データベースに接続されてもよい。データベースは、デバイスの制御システムに直接接続することも、通信インタフェースを介して遠隔に接続することもできる。
【0057】
投与装置を操作するとき、特にインスリンの投与の際の安全性を高めるために、予め選ばれた量の送達を備えた予め設定された標準手順の制御下で、特定の又は特定できる時期に局所的に又はデータベースから操作することができる。また、前述の装置によって、投与装置の制御の補正及び改善に使用される予め設定された送達値からの有意な偏差を決定することができる。このようにして、装置の故障の場合であっても、少なくとも投与装置の正常動作又は緊急動作が保証される。
【0058】
本発明に係る方法において、送信パルス後に1つ以上の波数において1つ以上の変調周波数で又は時間分解態様で応答信号の検出を含む測定が、励起ビームの異なる入口角/入射角で連続的に繰り返され、その結果が、皮膚の上層の影響を減らす又は排除するために、互いに組み合わされ、特に互いから差し引かれるようにすることもできる。これらの入射角のうちの少なくとも1つは、90度又はほぼ90度にすることができ、言い換えると、分析されるべき皮膚/物質への励起ビームの垂直入射にすることができる。
【0059】
この概念は、平坦でより小さな入射角では励起信号がより急なより大きい入射角の場合よりも長い距離を皮膚の上層及び最上層で移動するという考察に基づいている。このことは、より小さい入射角ではより大きな入射角の場合よりも大きな割合の励起放射が皮膚の上層でも吸収され、それにより、少なくともある程度まで、皮膚の上層の影響が分離され、異なる入射角で測定結果を組み合わせることによって皮膚の上層の影響を除去できることを意味する。
【0060】
このプロセスにとって有利な点は、励起放射が吸収される部位が、入射角の変化に起因して、表面、特に皮膚表面と平行に著しく移動されないという事実である。少なくとも5度、特に少なくとも10度、とりわけ少なくとも20度又は少なくとも30度の異なる入口角/入射角間で角度変化をもたらすことができる。角度変化は、光学媒体の外側又は内側で励起ビームの屈折又は反射によって、例えば媒体内で屈折率の選択的な変更によって、例えば電圧を電気光学効果にしたがう結晶に印加することによって達成され得る。
【0061】
前述の文脈では、測定が少なくとも1つの変調周波数で応答信号の検出を含む方法を提供することもでき、少なくとも1つの変調周波数は、変調周波数の関数である結果的な熱拡散長がサンプルの十分に深い走査を可能にするように選択される。加えて、深さプロファイリングの一部として、検査されるべき物質の表面層又は表面付近の層、例えば皮膚の場合には皮膚の上層を評価するために更なる変調周波数を使用することができ、したがって、層の無関係な影響(例えば、汚染物、無関係な物質の吸収)を排除するためにも更なる変調周波数を使用することができる。
【0062】
更に、少なくとも1つ又は複数の変調周波数で応答信号を測定する場合には、応答信号の位相角を評価プロセスにおいて考慮に入れることもできる。このようにして、例えば、振幅の減算及び/又は位相依存信号応答の計算によって、1つ以上の周波数の振幅及び位相角を組み合わせることができる。
【0063】
前述の方法では、測定中、走査ビームは、5000/cm~16000/cmの波数範囲内の少なくともある時間に、特に15500/cm~16000/cmのある時間に、とりわけ15700/cm~16000/cmのある時間に動作されるようにすることもできる。
【0064】
励起ビームが異なる波数及び/又は波数範囲に連続的に調整される測定の場合には、カバーされる波数範囲又は波長範囲の少なくとも5%、特に少なくとも10%、とりわけ少なくとも30%、更に特に少なくとも50%が同定されるべき物質、特にグルコースに感度の悪いスペクトル領域に位置されるようにすることもできる。
【0065】
本出願との関連において、スペクトルの領域又はポイントは、スペクトルのその領域又はポイントにあるサンプルの吸収強度がサンプル中の物質の量及び/又は濃度とは無関係である場合には、サンプル中に含まれる同定されるべき物質に対して感度が悪いと称される。これは、通常、スペクトルのこの領域で物質がはっきりとした吸収帯域を有さないことを意味する。
【0066】
最大限の歪みのない正確な測定のために、グルコース濃度に依存しないサンプル又は組織の吸収特性を考慮するために、グルコースによる有意な吸収を伴わない少なくとも1つ又は2つの波数範囲又は波長範囲が与えられ、この範囲内で吸収が測定されるようにすることもできる。
【0067】
波数範囲のうちの少なくとも1つが1610~1695cm-1(アミド1)であるようにすることができる。
【0068】
波数範囲のうちの少なくとも1つが1480~1575cm-1(アミド2)であるようにすることもできる。
【0069】
測定を行なうために、サンプル中の調査されるべき深さ範囲が最初に選択され、その後、励起ビームが放出される時間間隔(励起パルス)の間にサンプル中の調査されるべき深さ範囲とサンプル表面との間の距離を横切るべく熱波によって必要とされる拡散時間に対応する少なくとも1つの時間が常に存在するように励起ビームが制御されるようにすることもできる。
【0070】
これにより、サンプルの表面下の特定の深さ又は深さ範囲で、ある特定の物質を、深さに応じた濃度プロファイルと同様に検出できる。したがって、化粧品又は医薬品の分野では、例えば、皮膚表面を通過する皮膚への物質の浸透深さ又は浸透速度を決定することができる。
【0071】
励起ビームが放出される各時間間隔の終了後に、吸収の時間的な強度応答が測定されるようにすることもできる。したがって、吸収強度に代えて又は加えて、応答信号の位相位置を分析で考慮に入れることができる。
【0072】
励起ビームを生成するためのレーザを制御するために、一連の記憶された等距離設定値又は非等距離設定値を連続的に調整することができ、各設定値がレーザの波数/波長を決定し、それらの間に、同定されるべき物質の吸収最大の特に少なくとも3つ、とりわけ少なくとも5つの波数/波長が含まれるようにすることもできる(ルックアップテーブル)。
【0073】
測定前及び/又は測定中及び/又は測定後に、機械的な圧力及び/又は単位面積当たりの力が検出され、この圧力によって、走査ビームが反射される光学媒体がサンプルに押し付けられるようにすることもできる。これにより、サンプル又は光学媒体に対する圧力の影響を測定結果から排除することができ或いは分析中に考慮することができる。
【0074】
測定前及び/又は測定中及び/又は測定後に、周囲空気の湿度及び/又はサンプルの水分含有量又はサンプルの上層又は表面の湿度が決定されるようにすることもできる。これにより、サンプル中又は測定装置内の水分の影響を測定結果から排除することができ或いは分析中に考慮することができる。
【0075】
また、本発明は、物質を分析するための方法に関し、この方法では、レーザ光源の1つ以上のレーザ放射体の連続的な動作又はレーザ光源の複数のレーザ放射体の少なくとも部分的に同時の動作によって励起伝送装置を用いて少なくとも1つの励起波長を有する少なくとも1つの電磁励起ビーム(SA)が生成され、検出装置を用いて応答信号(SR)が検出され、検出された応答信号(SR)に基づいて物質が分析される。
【0076】
1つ以上のレーザ放射体の連続的な動作又は複数のレーザ放射体の少なくとも部分的に同時の動作は、例えば吸収最大において又は吸収最大付近において物質中で同定されるべき物質の特性波長に位置付けられ得る異なる波長を生成するために使用することができる。
【0077】
また、本発明は、励起伝送装置のレーザ放射体の温度、及び/又は、検出装置、特に光学媒体及び/又は検出放射源及び/又は光学センサの温度が、分析中に一定に保たれ、特に特定の温度で、とりわけ人体の温度を超える特定の温度で、より好ましくは37℃を超える温度で、より好ましくは38又は40℃を超える温度で一定に保たれる方法に関する。
【0078】
この測定によって、測定に対する温度の影響を最小限に抑えることができる。また、少なくとも測定中に、測定装置が体温以上の温度に保たれる場合には、身体接触の結果としての任意の加熱を避けることができる。これは、加熱素子と1つ以上のセンサとを伴う温度制御システムによって行なうことができる。
【0079】
また、本発明は、分析中に、励起伝送装置のレーザ放射体の温度及び/又は検出装置、特に光学媒体及び/又は検出放射源及び/又は光学センサの温度が検出され、該温度が、測定結果と温度補正値とを関連付ける又は組み合わせることによって分析の評価で考慮に入れられる方法に関する。
【0080】
この方法により、温度の影響が計算によって考慮に入れられる。
【0081】
本発明の更なる実施形態は、物質、特に身体部分、特に指が、検出装置の一部である光学媒体に押し付けられ、押圧された身体部分によって媒体に及ぼされる圧力が検出され、媒体に作用する検出圧に応じて励起伝送装置がオンされ、及び/又は、特に特定の閾値を下回る圧力の減少に応じて励起伝送装置がオフにされることを提供できる。
【0082】
このようにして、圧力センサを使用して、測定装置が現在使用されているかどうか、及び/又は、測定が行なわれている対象物によって光学媒体が現在覆われているかどうかが決定される。この場合にのみ、励起伝送装置が有効にされる。これは、測定/分析が行なわれていない場合に励起ビームの大部分が光学媒体を介して又は任意の他の態様で外部環境へと逃げることを防止する。
【0083】
物質、特に身体部分、特に指が、検出装置の一部である光学媒体に押し付けられ、押圧された身体部分の領域内の媒体の暗色化が検出され、媒体の暗色化によって励起伝送装置がオンされ、及び/又は、特に特定の閾値を上回る媒体における光度の増大によって励起伝送装置がオフにされるようにすることもできる。
【0084】
したがって、光度センサ/光検出器を使用して、測定装置が現在使用されているかどうか及び/又は測定が行なわれている対象物によって光媒体が現在覆われているかどうかを決定することができる。この場合にのみ、励起伝送装置が有効にされる。
【0085】
物質、特に身体部分、特に指が、検出装置の一部である光学媒体に押し付けられ、押圧された身体部分の領域内の媒体の水分レベルが検出され、媒体で特定の水分レベルに達すると励起伝送装置がオンされ、及び/又は、特に特定の閾値を下回る水分レベルの減少によって励起伝送装置がオフにされるようにすることもできる。
【0086】
したがって、この形態では、測定装置が現在使用されているかどうか及び/又は測定が行なわれている対象物によって光学媒体が現在覆われているかどうかを決定するために水分センサが使用される。この場合にのみ、励起伝送装置が有効にされる。
【0087】
本発明の更なる実施形態は、方法の実施中、光学媒体に押し付けられる身体部分が、身体部分を媒体にクランプすることによって、身体部分を媒体に接着することによって、媒体に対する身体部分の付着によって、又は、身体部分の真空吸引によって、媒体に取り付けられ、特に媒体に固定されることを提供できる。
【0088】
したがって、より安定した測定条件がもたらされ、それにより、特定の最小時間を測定のために利用できる。したがって、測定精度及び信頼性が向上される。
【0089】
励起ビームが、少なくとも2つ又は3つ以上の励起波長又は励起波長群で放出され、第1の励起波長又は励起波長群が、物質中で同定されるべき材料の同定を可能にし、一方、少なくとも1つの更なる励起波長又は励起波長群が、同定されるべき材料とは異なる基準材料の同定を可能にし、少なくとも2つの異なる材料において、物質の深さにわたるそれらの密度分布に関してプロファイルが決定されて互いに組み合わされ、特に、物質中の基準材料の深さプロファイル又は深さプロファイルの少なくとも1つ以上のパラメータが知られているようにすることもできる。
【0090】
この方法は、励起波長の適切な選択によって複数の材料の深さプロファイルを互いに独立して決定できるという事実を使用する。生理学的な規則性にしたがったプロファイルを伴って皮膚中に導入されるか又は何らかの方法でそこに存在する材料の深さプロファイルが知られている場合には、それから、異なる測定材料の深さ寸法を較正できる。
【0091】
励起ビームが変調され(SA)、好ましくは異なる変調周波数で連続的に変調され、異なる変調周波数における応答信号が検出され、又は、励起ビームの強度変化時の特性信号の時間応答、特にその周期的な活性化及び/又は不活性化が分析されるようにすることもできる。
【0092】
この測定方法は、異なる変調周波数を使用することなく、又は、僅かな数の変調周波数だけを用いて、深さ寸法の決定を可能にし、この深さ寸法から、励起ビームに対する応答信号が生じる。異なる深さから生じる応答信号は、一方では変調周波数に対するそれらの強度の依存性から決定され得るが、励起ビームの強度変化(例えば、励起ビームがオフにされるとき)に対する応答信号の時間特性からも決定され得る。応答信号のこれらの特性は、励起信号の周期的な強度変化(例えば、パルス化、オン、及び、オフ)中において位相に敏感に測定される。
【0093】
より小さい深さからの信号は、より大きい深さからの信号よりも急速に励起ビームの強度変化に追従する。
【0094】
励起ビーム(SA)は、該励起ビームを生成するレーザ装置(100)を制御することによって変調されるようにすることができる。
【0095】
本発明の更なる形態は、励起ビームが0~10個の変調周波数、好ましくは0~5個の変調周波数、より好ましくは1~3個の変調周波数、より好ましくはたった1つの変調周波数で変調され、応答信号の時間特性、特に応答信号の位相敏感特性が分析されることを提供できる。
【0096】
励起ビーム(SA)のデューティサイクルが3%~60%、好ましくは3%~50%、より好ましくは3%~7%であるようにすることもできる。
【0097】
本発明の更なる形態は、分析の表面における励起ビーム(SA)の出力密度が、5mW/mm未満、特に2mW/mm未満、とりわけ1mW/mm未満であることを提供できる。
【0098】
これにより、分析されるべき物質の任意の加熱が回避され、レーザ光源が保護される。
【0099】
検出装置の光学媒体が、身体部分、特に指及び/又は透析液を運ぶ容器及び/又は血液を運ぶ透析ユニットの容器と接触され、特に、尿素、コレステロール、アルブミン、タンパク質、クレアチニン、乳酸塩、又は、リン酸塩の検出を可能にする1つ以上の励起波長が選択されるようにすることもできる。
【0100】
このことは、透析プロセスを監視できること、及び、透析患者を本発明に係る測定装置により連続的に監視できることの両方を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0101】
図1】装置及びその要素の様々な要素をある場合には異なる実施形態で概略的に示すとともに、本発明の概念及びその用途を概略的に示す。
図2】装置及びその要素の様々な要素をある場合には異なる実施形態で概略的に示すとともに、本発明の概念及びその用途を概略的に示す。
図3】装置及びその要素の様々な要素をある場合には異なる実施形態で概略的に示すとともに、本発明の概念及びその用途を概略的に示す。
図4】装置及びその要素の様々な要素をある場合には異なる実施形態で概略的に示すとともに、本発明の概念及びその用途を概略的に示す。
図5】装置及びその要素の様々な要素をある場合には異なる実施形態で概略的に示すとともに、本発明の概念及びその用途を概略的に示す。
図6】装置及びその要素の様々な要素をある場合には異なる実施形態で概略的に示すとともに、本発明の概念及びその用途を概略的に示す。
図7】装置及びその要素の様々な要素をある場合には異なる実施形態で概略的に示すとともに、本発明の概念及びその用途を概略的に示す。
図8】装置及びその要素の様々な要素をある場合には異なる実施形態で概略的に示すとともに、本発明の概念及びその用途を概略的に示す。
図9】装置及びその要素の様々な要素をある場合には異なる実施形態で概略的に示すとともに、本発明の概念及びその用途を概略的に示す。
図10】装置及びその要素の様々な要素をある場合には異なる実施形態で概略的に示すとともに、本発明の概念及びその用途を概略的に示す。
図11】装置及びその要素の様々な要素をある場合には異なる実施形態で概略的に示すとともに、本発明の概念及びその用途を概略的に示す。
図12】装置及びその要素の様々な要素をある場合には異なる実施形態で概略的に示すとともに、本発明の概念及びその用途を概略的に示す。
図13】装置及びその要素の様々な要素をある場合には異なる実施形態で概略的に示すとともに、本発明の概念及びその用途を概略的に示す。
図14】装置及びその要素の様々な要素をある場合には異なる実施形態で概略的に示すとともに、本発明の概念及びその用途を概略的に示す。
図15】装置及びその要素の様々な要素をある場合には異なる実施形態で概略的に示すとともに、本発明の概念及びその用途を概略的に示す。
図16】装置及びその要素の様々な要素をある場合には異なる実施形態で概略的に示すとともに、本発明の概念及びその用途を概略的に示す。
図17】装置及びその要素の様々な要素をある場合には異なる実施形態で概略的に示すとともに、本発明の概念及びその用途を概略的に示す。
図18】装置及びその要素の様々な要素をある場合には異なる実施形態で概略的に示すとともに、本発明の概念及びその用途を概略的に示す。
図19】装置及びその要素の様々な要素をある場合には異なる実施形態で概略的に示すとともに、本発明の概念及びその用途を概略的に示す。
図20】装置及びその要素の様々な要素をある場合には異なる実施形態で概略的に示すとともに、本発明の概念及びその用途を概略的に示す。
図21】装置及びその要素の様々な要素をある場合には異なる実施形態で概略的に示すとともに、本発明の概念及びその用途を概略的に示す。
図22】装置及びその要素の様々な要素をある場合には異なる実施形態で概略的に示すとともに、本発明の概念及びその用途を概略的に示す。
図23】装置及びその要素の様々な要素をある場合には異なる実施形態で概略的に示すとともに、本発明の概念及びその用途を概略的に示す。
図24】装置及びその要素の様々な要素をある場合には異なる実施形態で概略的に示すとともに、本発明の概念及びその用途を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0102】
図1は、物質101を分析するための装置10の例示的な実施形態を示す。物質101は、光透過性の結晶又はガラス体又はプラスチック体又はプラスチック結晶として形成され得る光学媒体108上に直接に配置されることが好ましい。物質101を分析するための装置は、例えば、1つの実施形態では血液などの流体中のグルコース含有量又は血糖含有量を測定して、グルコース値表示又は血糖値レベル表示BZAを生成するために使用される。
【0103】
この装置は、好ましくは1つ以上の励起波長を有する励起光ビームの形態を成す1つ以上の電磁励起ビームSAを物質の表面の第1の部位102の下方の物質101中に位置されるボリューム103へと放出するための励起伝送装置100を備える。励起伝送装置100は、以下では、略して「励起光源」100とも称される。励起光源100は、その波長に関してチューナブルレーザ、特にチューナブル量子カスケードレーザであってもよく、以下で説明されるように、それぞれが特定の個々の波長を放出する少なくとも2つの単一の放射体、特に半導体レーザを伴う光源ストリップ又は光源アレイを使用することが好ましい。
【0104】
更に、励起光ビーム又はビームSAの強度変調のための装置104が設けられ、この装置は、励起光源のための変調装置、特に励起光源を制御するための変調装置によって、及び/又は、ビーム経路内に配置される少なくとも1つの制御されたミラーによって、及び/又は、ビーム経路内に配置されてその透過性に関して制御できる層によって形成されることが好ましい。
【0105】
加えて、この装置は、物質101と光学媒体108との間の界面GFで反射され、好ましくは全反射される電磁測定ビーム112、特に測定光ビームを放出するシステム105を有する。
【0106】
時間依存応答信号SRを形成する反射された測定ビーム112を検出するために検出装置106が使用され、応答信号SRの振幅は、例により以下で更に詳しく説明されるように、励起光SAの波長と励起光SAの強度変調とによって影響される。
【0107】
測定信号の振幅は、励起ビームの波長、サンプルの吸収特性、及び、熱特性に依存し、特に、サンプル及び光学素子の熱拡散率及び熱伝導率に依存する。更に、サンプルからの熱信号の光学素子への結合も役割を果たす。
【0108】
物質を分析するための装置107が、検出された応答信号SRを評価し、1つの実施形態ではグルコース値表示又は血糖値レベル表示BZAを生成する。
【0109】
以下、分析されるべき物質101がヒト又は動物の組織であって、物質の分析の一部としてグルコース値表示又は血糖値レベル表示BZAが決定されるようになっている場合に関し、図1に係る装置10の動作、及び、これに関連して、物質101を分析するための方法の一例について更に詳しく説明する。
【0110】
装置105を用いて、好ましくは可視波長範囲の光ビーム又は赤外光ビームである電磁測定ビーム112が光学媒体108へと照射され、この測定ビーム112は、組織の表面の第1の部位102の下方の界面GFに衝突する。界面GFでは測定ビーム112が反射され、この測定ビーム112は検出装置106に達し、検出装置106は反射された測定ビーム112を測定する。
【0111】
同時に、好ましくは赤外線ビームである1つ以上の励起ビームSAが励起光源100を用いて生成される。赤外線ビームの波長は、好ましくは3μm~20μmの範囲内、特に好ましくは8μm~11μmの範囲内である。
【0112】
励起ビームSAは、強度変調のための装置104によって強度変調又は振幅変調される。1つの実施形態では、強度変調のための装置104により、好ましくは1kHz~10MHzのパルス周波数を伴って、より好ましくは1kHz~3MHzのパルス周波数を伴って、或いは、パルスパケット(二重変調又は多重変調)を伴って、好ましくは1Hz~10kHzの包絡線周波数を伴って、短い光パルスが生成される。
【0113】
変調された励起ビームSAは、光学媒体108へと結合され、界面GFを通過した後に組織内のボリューム103に到達する。
【0114】
励起ビームSAの波長は、-本明細書中で説明される血糖測定の例に鑑みて-好ましくは励起ビームSAがグルコース又は血糖によって著しく吸収されるように選択される。グルコース又は血糖を測定するために、以下の赤外線波長、すなわち、8.1μm、8.3μm、8.5μm、8.8μm、9.2μm、9.4μm、及び、9.7μmが特に良く適している(真空波長)。加えて、存在する他の材料を同定して測定に対するそれらの影響を排除できるようにするために、グルコースによって吸収されないグルコース耐性波長を使用することができる。
【0115】
ボリューム103の部位内の組織での励起ビームSAの吸収に起因して、局所的な温度上昇が引き起こされ、それにより、熱伝導及び熱波、したがって圧力波も界面GFの方向でもたらされる。界面GFにおける結果的な温度変動及び圧力変動に起因して、屈折率及び/又は変形、微細構造、及び、反射挙動が界面GFの部位102で及び/又は反射部位で変調され、測定ビーム112のビーム経路が影響される。
【0116】
例えば、励起ビームSAを伴わずにシステム105と検出装置106との間の位置合わせが最適であって検出装置106によって最大受信パワーが検出されると仮定すると、ボリューム103の部位における励起ビームSAの吸収に起因して、及び、熱輸送及び圧力波に起因して、振幅の(少なくとも一時的な)変化、又は、周期的な変調の場合には反射された測定ビーム112の位相の変化を引き起こすことができ、又は、反射された測定ビーム112の強度変調が生じ得る。強度変調の程度は励起ビームSAの波長(組織での必要な吸収に起因する)と、励起ビームSAのパルス周波数(温度輸送と界面GFの方向での組織内部からの圧力波とに起因する)と、サンプル及び媒体の熱特性とに依存する。
【0117】
測定ビーム112の反射の変化及び/又は応答信号SRにおける時間依存変化が検出装置106によって定量的に取得され、検出結果Dが装置107に達する。
【0118】
1つの実施形態では比較テーブル又は比較曲線の形態で装置107のメモリ107aに記憶される既に行なわれた較正又は比較測定に基づき、組織内又はボリューム103内のグルコース又は血糖の現在の濃度を推定することができ、また、対応するグルコース表示又は血糖表示BZAを生成することができる。比較表又は比較曲線は、例えば、血液サンプルに基づいて決定されたグルコース値又は血糖値レベルに基づいてもたらされてもよい。
【0119】
以下、図2~10を参照して、物質101を分析するための装置10の特に好ましい実施形態及び変形例について説明する。
【0120】
1つ又は複数の励起光ビームを放出するための励起伝送装置100は、図2に示されるようにアレイとして設計され得る。このアレイは、分析されるべき物質の吸収スペクトルにおける単色光のための個別に制御可能な少なくとも5個、好適には少なくとも10個、より好適には少なくとも15個、又は、少なくとも50個又は100個の放射体100aを有する。
【0121】
アレイは、好ましくは、以下の波長(真空波長)、すなわち、8.1μm、8.3μm、8.5μm、8.8μm、9.2μm、9.4μm、及び、9.7μmのうちの1つ以上、特に好ましくは全てを有する、望ましければ更にグルコース耐性波長を有する単色光を伴うビームを生成する。
【0122】
測定光ビーム112の放出のための装置105及び検出装置106は、図1に示されるように、光学媒体108から切り離して配置され得る。最小空間要件及び最小設置労力の目的で、図3が示すように、測定光ビーム112の放出のための装置105及び検出装置106,108が光学媒体上に、好ましくは光学媒体108の両側の表面部分108a,108b上に直接に装着されれば有利であると見なされる。
【0123】
励起装置/励起光源100が直接に又は調整装置109を用いて光学媒体108に対して恒久的に機械的に接続されるようにしてもよい。調整装置109は、好ましくは、光学媒体108からの励起光源100の距離の調整及び/又はビーム縦方向の調整及び/又はビーム縦方向と垂直な平面内の調整を可能にする(図4参照)。
【0124】
図3図4図6図7、及び、図8に示されるように、装置105は、物質表面の第1の部位102と接触している光学媒体108の部位へ測定光ビーム112を放出するために設けることができる。そのような配置は、測定光ビーム112を平坦な角度で照射できるようにするとともに、光学媒体108と物質101との界面で全内部反射を引き起こすことができるようにする。
【0125】
平坦な(小さい)角度で放射を(サンプル表面へ)注入することにより、ミラージュ偏向を既知の光熱「バウンシング法」と同様により効果的にすることができると同時に、測定ビームの変形誘起偏向を低減できる。この効果を十分に引き出すために、1つの実施形態におけるサンプル表面と測定ビームとの間の角度は、20度未満、10度未満、特に5度未満、とりわけ2度未満又は1度未満であるように選択され得る。
【0126】
逆に、(物質表面に対して)より急な(より大きい)角度で照射を行なうことにより、既知の光熱「バウンシング法」と同様に、偏向をより効果的にすることができると同時に、測定ビームのミラージュ効果関連の偏向を低減できる。この効果を十分に引き出すために、1つの実施形態におけるサンプル表面と測定ビームとの間の角度は、20度よりも大きくなる、30度よりも大きくなる、特に45度よりも大きくなる、とりわけ60度又は70度よりも大きくなるように選択され得る。
【0127】
以下の関連文献参照
-M.Bertolotti、G.L.Liakhou、R.Li Voti、S.Paolino及びC.Sibilia。Analysis of the photothermal deflection technique in the surface refection theme:Theory and Experiment.Journal of Applied Physics 83,966(1998)
測定光ビーム112を放出するための装置105、及び/又は、測定光ビーム112及び/又は応答信号SRを検出するための検出装置106は、光学媒体108に対して補助的態様で直接に又は調整装置を用いて機械的に接続され得る及び/又は1つ以上の光ファイバケーブル120を用いて光学媒体108に対して結合され得る。
【0128】
図6に示されるように、光学媒体108がレンズ又は他の反射手段又は屈折手段の形態を(いずれの場合にも)成す撮像光学系128及び/又は撮像光学系129を直接に支持する、及び/又は、撮像光学系が光学媒体108に組み込まれるようにしてもよい。しかしながら、撮像光学系は、これらが一体化された構成要素として及び/又は半導体部品として設計される場合には、例えばレンズ又は他の反射要素又は回折要素の形態を成して、励起伝送装置又は測定ビームを生成するための装置に組み込むこともできる。撮像光学系は、1つの実施形態では、励起ビーム又は測定ビームのための放射源を有するそれぞれの集積回路と同じ半導体素子からエッチングによって減法的に形成され得る。
【0129】
図7に示されるように、光学媒体108の表面が互いの方へ向かって傾斜する複数の部分面110,111を有し、これらの部分面で測定光ビーム112が複数回反射され又は屈折されるようにしてもよい。
【0130】
図3に示されるように、光学媒体108内又は光学媒体108上に測定光ビーム112(したがって応答信号SR)を反射するための1つ以上の鏡面113,114が設けられるようにしてもよい。これらの鏡面は、光学媒体108内の不均一性によって、又は、その外面によって、又は、光学媒体に組み込まれ/嵌め込まれ/成形され或いは光学媒体上に装着される例えば金属製の又は金属コーティングされたミラー要素を用いて形成され得る。これは、光学媒体108内の測定光ビーム112の光路を検出装置106へのその入口まで延在させ、それにより、物質表面の第1の部位102と接触する媒体108の表面の部位で反射する場合には、光学媒体108内の測定光ビーム112の応答信号依存偏向が増大される。その後、偏向は、絶対偏向として検出装置106で検出され得る。
【0131】
検出装置106は、光学的に感度が高い半導体ダイオードなどの複数の光学的に感度が高い表面を有することができ、又は、コネクタ本体119(図5)に複数の互い違いの開口116,117,118を有することができ、コネクタ本体119で個々の光ファイバケーブル120が終端し(図4)、測定光ビーム112の光は、その偏向に応じて光ファイバケーブル120内へと結合される。その後、光ファイバケーブル120は、光学媒体108に固定され得るコネクタ本体119に接続され、光ファイバケーブル120の端部に配置される検出装置106の部分へ光を方向付ける(図4)。このとき、コネクタ本体119は、光ファイバケーブル120と同様に、測定光ビームを検出するための検出装置106の一部でもある。
【0132】
完全を期すために、励起伝送装置が1つ以上の光ファイバケーブルを用いて全体として又はセクションごとに励起を物質表面に送ることもでき、また、1つの実施形態では光学媒体に結合される1つ以上の光ファイバケーブルに対して励起伝送装置を直接に結合することができることに留意すべきである。
【0133】
図8に示されるように、励起伝送装置100、測定光ビーム112を放出するための装置105、及び、検出装置106が互いに対して又は共通の支持体121に対して直接に取り付けられる。支持体は、ハウジング122内に装着されるプラスチック部品、プリント回路基板、又は、金属シートによって形成され得る。このとき、図8ではU字形断面を伴って形成される支持体は、1つの実施形態では光学媒体108を少なくとも部分的に取り囲むことができる。光学媒体は、支持体に取り付けられて支持体に対して調整され得る。
【0134】
支持体をハウジング122自体又はハウジング部分によって形成することもできる。
【0135】
ハウジング122を伴う装置を人の身体123に締結できるようにしてもよく、この場合、1つ以上の励起光ビームSAを放出するための励起伝送装置100、測定光ビーム112を放出するための装置105、及び、時間依存応答信号SRを検出するための検出装置106は、該装置の(励起放射を透過する測定窓を用いた)測定を行なうのに適した側が身体から離れる方を向く装置の側に位置されるように配置されて構成され、それにより、分析されるべき物質は、身体123から離れる方を向くハウジング122の側124で測定され得る。これに関して、図8は、1つの実施形態では手首のブレスレットの形態を成しているハウジング123に属するベルト125によってハウジング122が人の身体123に取り付けられることを示す。このとき、手首とは反対の側124で、ハウジングが励起光ビームSAを透過する窓を有し、又は、光学媒体108がハウジングの外方に面する側124に直接に嵌め込まれ、それ自体がハウジングの幾つかの部分の表面を形成する。
【0136】
図8に示されるように、このとき、破線により概略的に示される指先126を光学媒体108上に配置して測定することができる。
【0137】
光学媒体108は、支持体121と同様にハウジング122内に取り付けられてもよく、或いは、ハウジング122に直接に取り付けられてもよい。光学媒体108を支持体121に直接に接続することもでき、この場合、光学媒体に対する支持体121の相対的な位置決めのために調整装置127が設けられるべきである。
【0138】
励起光源100、装置105、及び、検出装置106、又は、これらの要素のうちの1つ又は2つだけを光学媒体108に対して直接に及び1又は複数の他の要素を支持体121に対して取り付けることも考えられる。
【0139】
ハウジング122の光学窓を通じて及び/又は光学媒体108を通じて、1つの実施形態では指紋など、物質表面又は位置決めされた指先126の他のパラメータを測定することができる。この目的のために、ハウジング内で、例えばカメラの形態を成す光検出器130を支持体121に締結することができ、光検出器130は、光学媒体108を通じて物質表面のデジタル画像を記録する。この画像は、検出装置106よる測定情報と同様に、検出装置に及び励起伝送装置にも直接に接続され得る処理ユニット107内で処理される。処理装置は、測定のための制御タスクを実行することもできる。また、処理装置は、装置の残りの部分から少なくとも部分的に分離されて遠隔にあってもよく、また、無線接続によってこれらと通信することもできる。
【0140】
したがって、カメラ130からの画像データは、ハウジングの内部で又はハウジングの外側であっても無線リンクを介して更に処理され得るとともに、個人識別データベースと比較されて、識別された人の較正データを検索できる。
【0141】
このタイプの較正データは、遠隔検索のためにデータベース、一実施形態ではクラウドに記憶することもできる。検出装置106からの測定データは、ハウジングの内外の両方で更に処理することもできる。
【0142】
データがハウジング外で処理される場合、結果として得られるデータは、好ましくは、無線によってハウジング内の装置に返送されてそこで表示されるべきである。
【0143】
いずれの場合にも、ディスプレイをハウジング122に設けることができ、このディスプレイは、好適には、光学窓を通じて、1つの実施形態では光学媒体を通じてもある程度読み取ることができる。また、ディスプレイは、光学窓を通じて光学的指標を表示面上に投影することもでき、この目的のための投影装置を有することができる。ディスプレイは、1つの実施形態では、測定結果又は分析結果、特にグルコース濃度を表示するために使用され得る。情報は、1つの実施形態では、記号コード又はカラーコードを介して出力され得る。1つの実施形態では、ディスプレイ又は該ディスプレイと並列の信号伝送装置を用いて、インスリン用量の提案を他の患者パラメータ(例えばインスリン補正因子)に依存して提示することができ、或いは、インスリンポンプの形態を成す投薬装置へ信号を自動的に送信できる。
【0144】
外部データ処理装置131と装置との間の接続は、光ファイバケーブル、ケーブル、無線(例えば、Bluetooth、WiFi)、或いは、超音波又は赤外線信号などの全ての共通の標準規格を使用して実装され得る。
【0145】
図9は、励起伝送装置を変調態様で作動させるコントローラ132を有する変調装置を示す。測定光ビームのためのコントローラ132及び検出装置106の両方が評価装置107に接続される。
【0146】
図10は励起光源100を示し、この励起光源100の前方には、偏向方向136における励起光ビームの副次的偏向のために、ミラー装置、特にMEMS(微小電気機械システム)135によって駆動されるミラー装置が、例えば光学画像投影技術から知られるような1つ以上のマイクロミラー133,134を伴って配置される。
【0147】
図11は励起光源100を示し、この励起光源100の前方には、制御装置137によって制御可能な透過率を伴う光学層138が、励起光ビーム内に、1つの実施形態ではLCDセルを伴って配置される。
【0148】
要約すると、この場合に記載される装置及び記載された測定方法は、特に患者のグルコース測定に対するその適用において、痛みを伴う不快な侵襲的測定を患者にさせず、それにより、規則的でより頻繁な測定も容易にすることに留意すべきである。また、測定結果が容易に処理され、経費が最小限に抑えられる。分析材料を消費することなく測定を行なうことができる。
【0149】
測定方法の感度は、dl当たり30~300mgに容易に達する。血液中のアルコールや薬剤などのグルコース以外の物質に対する測定結果の依存性は、最小であり又は存在しない。測定装置は、学習や訓練の費用をかけずに操作することができ、較正を伴うことなく測定を継続して行なうことができる。
【0150】
グルコース測定で用いるために本装置及び測定方法が実施される場合には、以下の因子を別々に又は組み合わせて使用することができる。
【0151】
中赤外線における分光技術が使用され、この場合、グルコースは特性吸収スペクトルを有する(図14参照)。ここでは、例えば、グルコースのスペクトル「指紋」全体をカバーできる。幾つかの特性波長をカバーできるパルス量子カスケードレーザ又は別のレーザ光源が使用される。
【0152】
前述の光熱検出法が用いられる(図15図16)。
【0153】
励起及び検出は、吸収が皮膚の間質液中で測定されるように調整される。レーザビーム(励起ビーム)は、最大100ミクロンまで皮膚に浸透し、皮膚の間質液中のグルコース分子に到達する。光の吸収及び関連するエネルギー移動の結果として、熱波が生成され、この熱波の一部は、前述した光熱検出要素を用いてそれが検出され得る皮膚表面へ伝わる。これは検出レーザビーム又は照会レーザビームを使用し、光学媒体中のこのレーザビームの偏向は、光学媒体中の熱波の加熱作用に依存する。偏向は、グルコースによる励起ビームの吸収のための指標として検出される。
【0154】
励起レーザビームは、皮膚に印加されると、角質層、すなわち、現在のグルコースレベルを含まない表面上の皮膚の死細胞に浸透する。励起ビームは、関連するグルコース成分を有する顆粒層及び有棘層に到達する。これらの層中のグルコースレベルは血糖値レベルに直接追従し、間質液の血糖値レベルは血糖値レベルの約85~90%に相当する。これは、特に、指先、親指、耳たぶ、及び、唇などの血液がより良く供給される身体部分に適用される。間質液中の物質組成は、血液中の物質組成よりも全体的に単純であり、そのため、間質液中の測定において妨害因子又は歪み因子はより少ない。
【0155】
最も外側の皮膚層の変化に起因する測定値のある種の歪みは、被検者から被検者へと発生する可能性もあり、時間的にも変化する。
【0156】
そのような歪みを排除する又は最小限に抑えるために、異なる皮膚深さ(皮膚表面までの距離範囲)から測定値が取得される。この目的のために、励起ビームの複数の変調周波数における赤外スペクトル(図17図18)が決定され、スペクトルの組み合わせによって、スペクトルを使用して皮膚の上層の影響が排除される。
【0157】
結果として、グルコースレベルを測定するための前述の測定方法は、精度及び信頼性に関して現在の標準的な侵襲的方法と競合し得る(図19参照)。
【0158】
図20は、図8に示されるものと同様の測定装置を示しており、この場合、同じ参照番号は同じ機能要素を示す。これは、図21図22、及び、図23にも当てはまる。
【0159】
図20には様々な温度センサ150,151,152が示されており、これらの温度センサは、個々に又はグループを成して或いは全てが1つの測定装置内に実装することができ、この場合、センサ150は、励起伝送装置100の温度、したがって例えばレーザ又はレーザアレイに関して温度を測定し、温度センサ151は光学媒体108の温度を測定し、また、温度センサ152は検出装置、例えばフォトセンサの温度を測定する。測定された温度値のうちの1つ以上は、励起伝送装置の放射強度の補正係数を考慮することによって又は評価においてフォトセンサ又は検出装置の他の部分の検出感度を考慮することによって、物質の分析において考慮に入れられ得る。補正係数は、計算式の形式で与えられてもよく或いは電子的にテーブルに記憶されてもよい。
しかしながら、励起伝送装置100上、フォトセンサ上、又は、例えば光学媒体上に配置され得る加熱素子153によって、温度調節を用いて、周囲温度よりも高い及び/又は患者の体温よりも高い温度に測定装置を完全に又は部分的に保つようにすることもでき、それにより、外部からの影響下での加熱に起因する短期的な温度変化が懸念されることはない。
【0160】
図21は、尿素濃度を測定するための測定装置の使用を示し、この場合、励起光波長は、それらが尿素の検出、したがって例えば尿素の吸収波長の検出を可能にするように選択される。測定は、身体の一部に関して行なうことができるが、透析機の透析ライン15又は血液ラインに関しても行なうことができる。このとき、対応するラインが光学媒体に対して強固にクランプされるべきである。
【0161】
図22は、湿度センサ155を有する測定装置を示し、湿度センサ155は、対象物が光学媒体108上に置かれているかどうかを決定するために使用される。湿度が高い場合や水分値が特定の値のウィンドウで検出される場合にのみ、励起伝送装置が動作可能にされ又はオンされる。これは、励起放射が本質的に無害であるにもかかわらず励起放射が必要以上に環境に入るのを避けるようになっている。センサ155によって作動されるスイッチには参照符号156が付されている。
【0162】
同時に、図22は、空気の吸引のための装置161,162,163を示している。ここで、161及びl62は、光学媒体の前方で終わって吸引チャネルに接続される開口を示す。この吸引チャネルは、測定を行なうために身体部分が押し付けられる光学媒体の部位の周囲で例えば円状に延びることができる。また、吸引開口を円形状に分布させることもできる。吸引チャネルによって、吸引開口は、例えば吸引ポンプの形態を成す真空吸引装置163に接続され、真空吸引装置163の動作中、光学媒体に押し付けられる対象物が所定位置に保持される又はそこに固定される。
【0163】
図23は、例えば指を挿入できる光学媒体の領域に中空部を形成する固定装置を示す。
これに代えて又は加えて、検査対象物を定位置にクランプするロック留め具165を設けることもできる。
【0164】
図23に示されるように、中空部は、弾性物質又はクッション、特に膨張可能なクッションから成ることができる周方向隆起縁部164によって形成される。検査対象物、特に指の配置後に膨張され得る膨張可能なクッションを設けることもでき、このクッションは、膨張されると、対象物/指を所定位置に強固にクランプする。測定装置は、クッション内の圧力を制御するための装置に接続され得る。
【0165】
また、図23は、例えば、測定されるべき対象物が押し付けられる前側とは反対側である光学媒体の後側に配置され得る圧力センサ158も示す。センサ158は、例えば、作動圧力に応じて信号を生成する及び/又は励起伝送装置をオンにする及び/又はオフにするためのスイッチ160を作動させる近接スイッチ/距離センサ及び/又は圧電センサを伴うバネを有することができる。これと並行して、図23には光度センサ157も示され、この光度センサ157は、フォトセンサとして設計することができ、光媒体の前方が対象物によって覆われているかどうかを検出する。この場合、励起伝送装置は、スイッチ159によってオンされる又は使用可能にされ、さもなければ、励起伝送装置が使用不能にされ得る。
【0166】
図24は、検査されるべき物質/身体部分に位置される2つの材料の密度の、本発明に係る方法及び本発明に係る装置を用いて記録又は決定された2つの深さプロファイルを示す。2つの材料が異なる波長/波長群を有する励起ビームによって同定され、例えば波長に関しては1つ以上の波長を選択することができ、その波長には又はその波長付近には、同定されるべき材料の吸収最大が位置される。本発明に係る測定方法を使用して、表面と垂直に測定された深さTに応じた2つの材料の密度分布166,167 I(T)を決定することができる。材料は、一般的には、同一又は異なる密度分布を有する。基準材料の密度分布166が既知である場合、又は、分布166の最大値166a又は他の特性ポイントが表面下に位置される深さT1のみが既知である場合には、他の材料の密度分布167又はその分布の最大密度の位置T2をこの基準値に較正することができる。
【0167】
(前述したような)この所有権出願は、特許請求の範囲の主題及び前述した例示的な実施形態に加えて、以下の態様にも言及する。これらの態様は、個々に又はグループで、いずれの場合にも特許請求の範囲の特徴と組み合わせられ得る。更に、これらの態様は、単独で或いは互いに又は特許請求の範囲の主題と組み合わされて解釈されるかどうかにかかわらず、独立した発明を表わす。出願人は、これらの発明を後日特許請求項の主題にする権利を留保する。これは、本出願との関連において又はこの出願の優先権を主張するその後の分割出願又は継続出願との関連において行なわれ得る。
【0168】
1)身体内の物質を分析するための方法において、
-1つ又は複数の特定の励起波長を有する励起光ビームを前記身体の表面の第1の部位を通じて放出するステップと、
-機械的なチョッパとは異なる構成要素を用いて、特に励起光源、励起光源として使用される励起レーザの共振器のための調整装置、又は、可動ミラー装置、制御可能回折装置、ステッピングモータなどのモータに又はMEMSに結合されるシャッタ又はミラー装置、或いは、その透過率に関して制御可能なビーム経路内の層の電子的な作動によって、1つ又は複数の周波数を有する励起光ビームを特に連続的に強度変調するステップと、
-身体外に位置される検出器を用いて、応答信号を時間分解態様で検出するステップであって、応答信号が身体内での励起光ビームの波長依存吸収の影響に起因するステップと、
を備える方法。
【0169】
1つの実施形態において、変調は、干渉によって、或いは、特に励起伝送装置がレーザ光装置を備える場合には励起伝送装置の放射の位相又は偏光に影響を与えることによって実行され得る。
【0170】
2)励起光ビームは、特に異なる波長を有する光を同時に又は順次に或いは任意のパルスパターンで放出するレーザアレイの形態を成す複数の放射体又はマルチ放射体によって生成されることを特徴とする態様1に記載の方法。
【0171】
3)身体の表面の第1の部位で音響応答信号が音響センサによって検出されることを特徴とする態様1又は2に記載の方法。
【0172】
4)応答信号は、赤外線センサ、特に熱電対、ボロメータ又は半導体検出器、例えば量子カスケード検出器を用いて身体の表面の第1の部位で検出されることを特徴とする態様1から3のいずれか1つに記載の方法。
【0173】
5)-光学媒体の表面の少なくとも1つの部位が身体の表面の第1の部位と接触するように、光学媒体と物質表面との接触をもたらすステップと、
-特に物質表面の第1の部位と接触する光学媒体の表面の部位を通じて励起波長を有する励起光ビームを前記表面の第1の部位の下方に位置される物質のボリュームへと放出するステップと、
-光学的な高温測定法を用いて光学媒体の表面の第1の部位の温度を測定するステップと、
-励起光ビームの波長に応じた検出温度上昇に基づき物質を分析するステップと、
を備える態様1から4のいずれか1つに記載の方法。
【0174】
6)測定光ビームが反射される光学媒体(10)と物質表面との界面で測定光ビームと励起光とが重なり合うように、物質表面と直接に接触する光学媒体(10)の表面(12)の部位上に光学媒体(10)を介して測定光ビームを放出するステップと、
励起光ビームの波長に応じた反射された測定光ビームの偏向を直接的に又は間接的に検出するステップと、
励起光ビームの波長に応じた測定光ビームの検出された偏向に基づいて物質を分析するステップと、
を備えることを特徴とする態様5に記載の方法。
【0175】
7)測定ビームは、励起光ビームを生成する同じ光源によって生成されることを特徴とする態様5又は6に記載の方法。
【0176】
8)偏向後、光学媒体内での検出前に、測定ビームが光学媒体の外側で又は光学媒体の部分的に内側で且つ部分的に外側で1回以上反射されることを特徴とする態様5,6又は7のいずれか1つに記載の方法。
【0177】
9)測定光ビームは、強度変調された特に赤外スペクトル範囲内の特にパルス励起光ビームであり、特に変調範囲は、1Hz~10kHz、好ましくは10Hz~3000Hzであることを特徴とする態様1又は他の先行する又は後続の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0178】
10)励起光ビーム/ビームの光は、複数の個々のレーザを伴う一体型配列、特にレーザアレイによって同時に又は連続的に又は部分的に同時に且つ部分的に連続的に生成されることを特徴とする態様1又は他の先行する又は後続の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0179】
11)励起光ビームの異なる変調周波数で得られる応答信号から、応答信号がもたらされる表面下の深さに応じて応答信号の強度分布が決定されることを特徴とする態様1又は他の先行する又は後続の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0180】
12)励起光ビームの1つの又は異なる変調周波数で変調された励起光ビームに対する応答信号の位相位置から、応答信号がもたらされる表面下の深さに応じて応答信号の強度分布が決定されることを特徴とする態様1又は他の先行する又は後続の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0181】
13)表面下の深さに応じた応答信号の強度分布を決定するために、異なる変調周波数での測定結果が重み付けられて互いに組み合わされることを特徴とする態様11又は12に記載の方法。
【0182】
14)身体表面下の深さにわたって得られる強度分布から、特定の深さ又は深さ範囲で特定の波長範囲の励起光ビームを吸収する物質の物質密度が決定されることを特徴とする態様11,12又は13に記載の方法。
【0183】
15)応答信号/信号の検出直前又は検出直後又は検出中に、少なくとも1つのバイオメトリック測定が身体に関して第1の表面部位で又はこれに直接に隣接して行なわれ、特に指紋及び身体、特に人の測定値が同定され、特に、基準値(較正値)が応答信号の検出に割り当てられ得ることを特徴とする態様1又は他の先行する又は後続の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0184】
16)物質を分析するための装置であって、それぞれが1つの励起波長を有する1つ以上の励起光ビームを、その表面の第1の部位の下方にある物質中に位置されるボリュームへと放出するための装置を有し、1つの励起光ビームを変調するための装置を伴い、該装置は、放射源の変調装置、特にそのコントローラ、干渉装置、位相又は偏光変調装置、及び/又は、ビーム経路内に配置される少なくとも1つの制御されたミラー、及び/又は、その透過性に関して制御可能なビーム経路内に配置される層によって形成され、励起光の波長と励起光の強度変調とに応じた時間依存応答信号を検出するための検出装置を有するとともに、検出された応答信号に基づいて物質を分析するための装置を伴う、装置。
【0185】
17)異なる強度変調周波数にしたがって応答信号を別個に決定するための装置を伴う、及び/又は、励起光ビームの変調の位相に対するそれぞれの応答信号の位相位置に応じた、特に励起光ビームの変調周波数に応じた応答信号を決定するための装置を伴う態様16に記載の装置。
【0186】
18)光学媒体であって、該光学媒体の表面と物質表面の第1の部位との接触を確立するための光学媒体を伴い、特に物質表面と接触する光学媒体の表面の部位を通じて1つ以上の励起波長を有する励起光ビームを表面の第1の部位の下方の物質中に位置されるボリュームへと放出するための装置を伴い、光学的な方法を用いて物質表面と接触する光学媒体の表面の部位の温度を測定するための装置を伴い、励起光ビームの波長と励起光ビームの強度変調とに応じて検出された温度上昇に基づき物質を分析するための装置を伴う態様16又は17に記載の物質を分析するための装置。
【0187】
19)励起光源が光学媒体に機械的に直接に接続固定されることを特徴とする態様18に記載の装置。
【0188】
20)物質表面の第1の部位と接触する光学媒体の部位へと測定光ビームを放出するための装置が設けられ、測定光ビームを検出するために、この装置及び/又は検出装置は、光学媒体に機械的に直接に接続固定され及び/又は光ファイバケーブルによって光学媒体に結合されることを特徴とする態様18に記載の装置。
【0189】
21)光学媒体が撮像光学系を直接に支持し、及び/又は、撮像光学系が光学媒体に組み込まれることを特徴とする態様18,19又は20に記載の装置。
【0190】
22)光学媒体の表面が互いの方へ傾けられる複数の部分面を有し、これらの部分面で測定光ビームが複数回反射されることを特徴とすることを特徴とする態様18又は他の先行する又は後続の態様のいずれか1つに記載の装置。
【0191】
23)1つ以上の鏡面が測定光ビームの反射のために光学媒体内又は光学媒体上に設けられることを特徴とする態様18又は他の先行する又は後続の態様のいずれか1つに記載の装置。
【0192】
24)時間依存応答信号を検出するために、検出装置は、特に共振器を用いて、とりわけヘルムホルツ共鳴器を用いて、物質表面で音響波を検出するための音響検出器を有することを特徴とする態様16又は17に記載の装置。音響源の検出器として、好ましくは共振器と同じ共振周波数を有する水晶フォークが使用される。共振器は開放又は閉鎖され得る。水晶フォークは、好ましくは、共振器のネック内又はネック上にある(オフビーム)或いは共振器の内側又は外側にある(インビーム)。
【0193】
25)時間依存応答信号を検出するために、検出装置は、物質表面で熱放射を検出するための熱放射検出器、特に赤外線検出器、とりわけ熱電対、ボロメータ、又は、半導体検出器を有することを特徴とする態様16,17又は18に記載の装置。
【0194】
26)励起光源及び検出装置は、互いに直接に取り付けられ又は特に装置のハウジング又はハウジング部分によって形成される共通の支持体に直接に取り付けられることを特徴とする態様16から25のいずれか1つに記載の装置。
【0195】
27)装置が人の身体に締結され得る着用可能なハウジングを有し、1つ以上の励起光ビームを放出するための装置及び時間依存応答信号を検出するための検出装置は、分析されるべき物質が身体から離れる方向を向くハウジングの側で測定されるように配置されて構成されることを特徴とする態様16から26のいずれか1つに記載の装置。
【0196】
28)装置が人の身体に締結され得る着用可能なハウジングを有し、装置のハウジングは、意図された着用位置において身体から離れる方向を向くその側で励起光ビームを透過する窓を有することを特徴とする態様16から26のいずれか1つに記載の装置。
【0197】
29)少なくとも1つの励起波長を生成するための少なくとも1つの電磁励起ビーム、特に励起光ビームを生成するための励起伝送装置、応答信号を検出するための検出装置、及び、検出された応答信号に基づいて物質を分析するための装置を伴う、物質を分析するための装置。
【0198】
30)検出装置が結晶の変形を測定するように構成されることを特徴とする態様16から29のいずれか1つに記載の装置。
【0199】
変形は、サンプル表面に対する測定ビームのより急な(より大きい)入射角の選択によって光熱「バウンシング法」と同様にしてより効果的に測定することができ、また、測定ビームのミラージュ効果関連の偏向の影響を最小限に抑えることができる。
【0200】
文献:
M.Bertolotti、G.L.Liakhou、R.Li Voti、S.Paolino及びC.Sibilia。Analysis of the photothermal deflection technique win the surface refection theme:Theory and Experiment.Journal of Applied Physics 83,966(1998)
【0201】
31.励起伝送装置は、呼び出しレーザ又はLED、例えばNIR(近赤外線)LEDを含むことを特徴とする態様16から30のいずれか1つに記載の装置。
【0202】
32.励起伝送装置は、付加的なポンプレーザよりも小さい直径を有するプローブレーザを備えることを特徴とする態様16から31のいずれか1つに記載の装置。
【0203】
33.より好ましい信号対雑音比を達成するために、特に光学放射体、例えばIREの特定のコーティングが設けられ、それにより、熱がより良好に放散される(例えば、「熱伝導ペースト」)ことを特徴とする態様16~32のいずれか1つに記載の装置。
【0204】
光学素子は、光学媒体への熱信号の改善された伝導をもたらすことができるように接触面上にコーティングされ得る。更に、コーティングは、擦り傷に対する保護としての機能を果たすこともでき、物質の優れた選択によって測定ビームのための反射面も実装することができる。この場合、励起光の透過性を維持しなければならない。
【0205】
34.装置は、
i.パルス列/二重変調
ii.振動ミラー
iii.MEMS干渉計
のためのシステムを有することを特徴とする態様16~33のいずれか1つに記載の装置。
【0206】
35.装置は、1つの実施形態ではベルト、バンド、或いは、チェーン又は留め具などのハウジングに接続される保持装置を用いて人によって身体に恒久的に着用できるように設計され、及び/又は、検出装置は、測定値、クロック時間、及び/又は、テキスト情報などの情報のための表示面として使用することもできる検出面を有することを特徴とする態様16から34のいずれか1つに記載の装置。
【0207】
36.装置は、物質表面の前処理のための及び洗浄面を確保するための及び/又は1つの実施形態ではグルコース測定の場合に皮膚洗浄の目的で特別に設けられる、検出面の領域にある、好ましくは検出面に隣接するプルオフ膜を有することを特徴とする態様35に記載の装置。
【0208】
37.検出装置は、指紋を読み取って認識し、人の特定の値/較正を検索する及び/又は指の位置を検出する、好ましくは測定中に意図しない動きを検出して決定するように構成されることを特徴とする態様16から36のいずれか1つに記載の装置。
【0209】
38.検出装置は、1つの実施形態では音響的に及び/又は装置の精度が許容するよりも大きいステップでの測定の結果表示を伴う誤差表示(例えば、「100mg/dlプラス/マイナス5mg/dl」)を含む、好ましくはカラーコーディングによりアナログ表示として実装される結果表示を有することを特徴とする態様16から37のいずれか1つに記載の装置。このことは、例えば、ユーザを不安にさせ得る小さい変動が伝達されないことを意味する。
【0210】
39.装置は、測定されたデータの転送及び他の装置又はクラウドシステムからの較正データ又は他のデータの検索のためのデータインタフェースを備え、装置は、好ましくは、データを暗号化された形態で送信できるように、特にオペレータの指紋又は他のバイオメトリックデータによって暗号化できるように構成されることを特徴とする態様16から38のいずれか1つに記載の装置。
【0211】
40.装置は、人に与えられるべき提案されたインスリン用量を他のデータ(例えばインスリン補正因子)と関連して装置により決定できるように構成され、及び/又は、体重、体脂肪を同時に測定できる及び/又は手動で特定できる又は他の装置から装置へ送信できることを特徴とする態様16から39のいずれか1つに記載の装置。
【0212】
41.測定精度を高めるために、装置は、1つの実施形態では皮膚温度、拡散率、皮膚の導電率/水分レベルを決定するための、光の偏光(指表面上の水分/汗の分泌物)を測定するための、又は、同様のことを行なうセンサを用いて更なるパラメータを同定するように構成されることを特徴とする態様16から40のいずれか1つに記載の装置。
【0213】
グルコース測定に影響を及ぼし得る人の皮膚表面上の水及び汗は、1640cm-1(6.1μm)及び690cm-1(15μm)の水固有の帯域を伴う励起伝送装置を用いて励起放射による試験刺激によって検出され得る。吸収がある値を超えるであろう場合には、測定部位/物質表面/皮膚表面が信頼性の高い測定のためには濡れすぎている。或いは、水分レベルを決定するために、測定部位の近傍で又は測定部位で直接に材料の導電率を測定できる。その後、誤差メッセージと表面を乾燥させる命令とを出力できる。
【0214】
42.装置は、ポンプビームレーザ及び/又は測定ビームレーザのビーム経路内にカバーを有することを特徴とする態様16から41のいずれか1つに記載の装置。これは、ヒトにとって強制的な眼の安全がもたらされるようにする。
【0215】
43.装置が交換可能な検出面を有することを特徴とする態様16から42のいずれか1つに記載の装置。
【0216】
44.装置には、幾つかの領域に、サンプル(例えば指)のより良好な調整を可能にする溝付き又は粗面化された結晶が光学媒体として設けられることを特徴とする態様16から43のいずれか1つに記載の装置。分析されるべき物質の表面が配置される測定ポイントは、好ましくは溝を伴うことなく滑らかに設計される。
【0217】
45.ビームを測定するために、円筒状のTEMpl TEM00モードを使用することができる、或いは、円筒状のTEMpl TEM00モードの代わりに他のモード、例えばTEM01(ドーナツ)、TEM02又はTEM03を使用できることを特徴とする態様16から44のいずれか1つに記載の装置。特に、後者のモードは、偏向された測定ビーム(図参照)のための検出器を形成する象限ダイオードの感度プロファイルにそれらの強度が整合され得るという利点を有する。加えて、例えばTEM30又はTEM03又はそれよりも高い矩形モードTEMmnを使用することができる。これにより、水平方向又は垂直方向に干渉しにくいサンプリングビーム/測定ビームを使用することができる。
【0218】
46.装置があるポイントだけでなくグリッド内でも測定することを特徴とする態様16から45のいずれか1つに記載の装置。これは、ポンプレーザ又はプローブレーザ或いは検出ユニットを移動させることによって行なうことができる。移動の代わりに、ポンプレーザ又はプローブレーザの1つ以上のアレイが想定し得る。
【0219】
更に、それら自体が1つ以上の発明を表わすことができる本発明の以下の態様が列挙される。
【0220】
47.物質101を分析するように構成される装置であって、励起伝送装置100を有し、この励起伝送装置100を用いて、レーザ光源の1つ以上のレーザ放射体の連続的な動作又はレーザ光源の複数のレーザ放射体の少なくとも部分的に同時の動作によって少なくとも1つの励起波長を有する少なくとも1つの電磁励起ビーム(SA)が生成され、検出装置106を有し、この検出装置106を用いて応答信号(SR)が検出され、また、分析装置を有し、この分析装置を用いて、検出された応答信号(SR)に基づいて物質が分析される、装置。
【0221】
48.温度調節装置を用いて励起伝送装置100のレーザ放射体の温度、及び/又は、検出装置106、特に光学媒体108及び/又は検出放射源105及び/又は光学センサの温度が、分析中に一定に保たれ、特に特定の温度で、とりわけ人体の温度を超える特定の温度で、より好ましくは37℃を超える温度で、より好ましくは38又は40℃を超える温度で一定に保たれるように構成される態様47に記載の装置。
【0222】
49.分析中に、励起伝送装置(100)の1つ又は複数のレーザ放射体の温度及び/又は検出装置(106)、特に光学媒体(108)及び/又は検出放射源(105)及び/又は光学センサの温度が、温度センサを用いて検出されるとともに、測定結果と温度補正値とを組み合わせることによって分析の評価で考慮に入れられるように構成される態様47又は48に記載の装置。
【0223】
50.物質、特に身体部分、特に指を、検出装置の一部である光学媒体(108)に押し付けることができ、押圧された身体部分によって媒体(108)に及ぼされる圧力が検出され、媒体(108)に作用する検出圧に応じて励起伝送装置(100)がスイッチによりオンされ、及び/又は、特に特定の閾値を下回る圧力の減少に応じて励起伝送装置(100)がオフにされるように構成される態様47,48、又は、49に記載の装置。
【0224】
51物質、特に身体部分、特に指を、検出装置の一部である光学媒体(108)に押し付けることができ、押圧された身体部分の領域内の媒体の暗色化が光度センサによって検出され、媒体の暗色化によって励起伝送装置(100)がスイッチを用いてオンされ、及び/又は、特に特定の閾値を上回る媒体における光度の増大によって励起伝送装置(100)がオフにされるように構成される態様47,48、49、又は、50に記載の装置。
【0225】
52.物質、特に身体部分、特に指を、検出装置の一部である光学媒体(108)に押し付けることができ、押圧された身体部分の領域内の媒体(108)の水分レベルが検出され、媒体で特定の水分レベルに達すると励起伝送装置(100)がスイッチによりオンされ、及び/又は、特に特定の閾値を下回る水分レベルの減少によって又は特定の閾値を上回る水分レベルの増大によって励起伝送装置がオフにされるように構成される態様47,48、49、50、又は、51に記載の装置。
【0226】
53.方法の実施中、光学媒体(108)に押し付けられ得る身体部分が、特に、クランプ装置を用いて身体部分を媒体にクランプすることによって、接着層を使用して身体部分を媒体に接着することによって、媒体に対する身体部分の付着によって、又は、吸引装置を使用する身体部分の真空吸引によって、媒体(108)に取り付けられるように構成される態様47又は態様48から52のいずれか1つに記載の装置。
【0227】
54.励起ビーム(SA)が少なくとも2つの励起波長又は励起波長群で放出され、第1の励起波長又は励起波長群が、物質中で同定されるべき材料の同定を可能にし、一方、少なくとも1つの更なる励起波長又は励起波長群が、同定されるべき材料とは異なる基準材料の同定を可能にし、少なくとも2つの異なる材料において、物質の深さにわたるそれらの密度分布に関してプロファイルが決定されて互いに組み合わされ、特に、物質中の基準材料の深さプロファイル又は深さプロファイルの少なくとも1つ以上のパラメータが知られているように構成される態様47に記載の装置。
【0228】
55.励起ビーム(SA)が変調され、好ましくは異なる変調周波数で連続的に変調され、検出装置を使用して応答信号が、異なる変調周波数に関して検出され、又は、励起ビームの強度変化時の応答信号の時間特性、特にその周期的な活性化及び/又は不活性化が分析されるように構成される態様47又は態様48から54のいずれか1つに記載の装置。
【0229】
56.励起ビーム(SA)が、励起光ビームを生成するレーザ装置(100)の制御装置によって変調されるように構成される態様55に記載の装置。
【0230】
57.励起ビームが0~10個の変調周波数、好ましくは0~5個の変調周波数、より好ましくは1~3個の変調周波数、より好ましくはたった1つの変調周波数で変調され、応答信号の時間特性、特に応答信号の位相敏感特性が分析されるように構成される態様47又は態様48から56のいずれか1つに記載の装置。
【0231】
58.励起ビーム(SA)のデューティサイクルが3~10%、好ましくは3~7%であるように構成される態様47又は態様48から57のいずれか1つに記載の装置。
【0232】
59.分析の表面における励起ビーム(SA)の出力密度が、5mW/mm未満、特に2mW/mm未満、とりわけ1mW/mm未満であるように構成される態様47又は態様48から58のいずれか1つに記載の装置。
【0233】
60.検出装置の光学媒体(108)を、身体部分、特に指及び/又は透析液を運ぶ容器及び/又は血液を運ぶ透析ユニットの容器と接触させることができ、特に、尿素の検出を可能にする1つ以上の励起波長が励起ビームに関して選択されるように構成される態様47又は態様48から59のいずれか1つに記載の装置。
【0234】
励起ビームの放出後の応答信号の検出のための他の検出方法は、
-光音響検出
-音叉や他の振動要素或いは開放QePASセルを伴う僅かに変更された光音響形態(Quartz-enhanced Photo-Acoustic Spectroscopy)を使用する光音響検出、
を備えてもよい。これらの方法は、表面上で圧力変動/振動を検出してそれらを測定されたビーム偏向に関して前述した態様で評価するために使用され得る。
【0235】
原理的には、励起ビームの周期的な変調に対する応答信号の位相シフトの測定値を深さプロファイリングのために使用することができる。(この目的のために、物質表面の加温/冷却段階は、それらの波形又はパターンに関してより正確に評価されるべきである)。
【0236】
記載された装置は、人体に対する最大限歪みのない測定を可能にするために死んだ皮膚層を除去するための粘着ストリップ、及び、光学媒体上に規則的に塗布され得る熱伝導性ペーストを有するプラスターの供給と関連付けられ得る。光学媒体は、残りの部分の適切な締結及び調整がなされれば、交換可能となり得る。
【0237】
測定を実行するために、装置は、人の指だけでなく、唇又は耳たぶにも設けられて構成され得る。
【0238】
幾つかの実施形態において、測定は、指又は身体の他の部分の直接的な接触及び(距離を隔てた)配置を伴わなくても機能することができ、その結果、非接触測定がもたらされる。
【0239】
誤差に対する同様の感受性を伴う記載されて説明された複数の測定システムの組み合わせによって、測定をその精度及び信頼性に関して改善することができる。
【0240】
評価におけるDAQ及びロックインアンプを1つの装置に組み合わせることができ、また、評価全体をデジタル化することができる。
【0241】
測定装置は、グリッド測定の過程で測定中に励起光源及び/又は測定光源がグリッドパターンで皮膚上にわたって移動することにより皮膚の不規則性を補償できる或いは更には排除できるように移動面上でも実行され得る。
【0242】
検出装置/偏向装置の感度は、プローブビーム/測定光源の波長の調整/変化によって最適化され得る。この目的のため、測定光源は、波長に関して変化させることができる、或いは、選択又は組み合わせのために異なる波長の複数のレーザ光源を含むことができる。
【0243】
ポンプレーザ/プローブレーザの偏向のために、理想的な横モード(TEM)を選択することができる。
【0244】
励起伝送装置、測定光源、及び、検出器を共通のアレイとして構成することができ、また、ビームを光学媒体中で適切に偏向させて、全てのビームの放出及び受光を1つのポイントに集中させることができる。
【0245】
光学媒体の結晶上又は結晶内のレンズは、応答信号に応じて測定光ビームをより強く偏向させることに寄与し得る。
【0246】
加えて、ギャップがないフォトダイオードを検出のために使用することも考えられ、このとき、レンズは、測定光ビームをそれが抜け出た後に合焦させることができ、それにより、より正確な測定を行なうことができる。
【0247】
特許請求の範囲に係る本発明の更なる変形が以下の概念に記載される。この概念は、単独で、前述の態様と組み合わせて、又は、特許請求の範囲の主題と組み合わせて解釈されるかどうかにかかわらず、少なくとも1つの独立した発明も構成する。出願人は、この発明又はこれらの発明を後日に特許請求の範囲の主題にする権利を留保する。これは、本出願との関連において又はこの出願の優先権を主張するその後の分割出願又は継続出願との関連において行なわれ得る。
【0248】
量子カスケードレーザを使用する励起と輻射熱による熱波の測定とを用いた皮膚中のグルコースの決定による非侵襲的な血糖測定のための概念。図12及び図13に基づき、皮膚における間質液(ISF)中のグルコース又は他の物質の濃度を決定することができる方法について説明する。ISF中のグルコースは、血糖値を表わしており、変化の際にはそれに急速に追従する。方法は、以下のステップ又はシーケンス全体の個々のステップ又はグループから少なくとも成る。
【0249】
1.皮膚102上のポイント(この場合、物質表面の第1の部位)には量子カスケードレーザのビームが照射され、このビームは、ミラー又は放物面鏡140に合焦されて場合により反射されるとともに、グルコースが特異的に吸収される特定の赤外線範囲にわたって徐々に又は連続的に調整される。量子カスケードレーザ100の代わりに、単一波長で放射する複数のレーザを有するレーザアレイを使用することもできる。スペクトル範囲(又は個々の波長、一般的には5以上の波長)は、特に約900~約1300cm-1であってもよく、この場合、グルコースは、吸収指紋、すなわち、典型的で且つ代表的な吸収ラインを有する。
【0250】
2.SAで指定された励起ビームが連続的に(CWレーザ)又は高いパルス反復率を伴うパルスモードで又は変調態様で使用される。加えて、励起ビームは、特に10~1000Hzの周波数範囲で、低周波変調される。低周波変調は、様々な周期関数を伴って、様々な実施形態では、正弦波、方形波、又は、鋸波などを伴って実行され得る。
【0251】
3.皮膚の照射に起因して、赤外線は、約50~100μmの深さまで皮膚に浸透するとともに、波長に応じて、グルコース分子において特定の振動を励起する。振動レベルv0からv1までのこれらの励起は、非常に短時間で初期状態に戻る。このステップでは熱が解放される。
【0252】
4.(3)にしたがって生み出された熱の結果として、吸収の場所から等方的に伝搬する熱波が形成される。上記(2)に記載される低周波変調により規定される熱拡散長に応じて、熱波が変調周波数で周期的に皮膚の表面に到達する。
【0253】
5.表面における熱波の周期的な出現は、皮膚(サンプルの物質表面)の熱放射特性の周期的な変調に対応する。この皮膚は、ここでは黒体放射体として近似的に記述することができ、ステファン・ボルツマン法則にしたがうその全放出量は表面温度の4乗に比例する。
【0254】
6.照射下の皮膚のポイントに向けられる熱放射のための検出器139、すなわち、赤外線検出器、すなわち、熱電対、ボロメータ、半導体検出器、又は、同様の装置を用いて、(5)に記載の周期的な温度上昇が記録される。この温度上昇は、(1)及び(2)に記載の赤外光の照射と、(3)に記載の吸収とに依存し、したがって、グルコースの濃度に依存する。熱放射SR(この場合、応答信号)は、光学素子によって、1つの実施形態では赤外線レンズ又はミラーによって、特に凹型放物面鏡141によって収集されるとともに、1つの実施形態では凸面ミラー141aを介して検出器139へと方向付けられる。この目的のため、1つの実施形態で使用される収集ミラーは開口142を有することができ、この開口142を通じて収集されたビームが導かれる。ある波長範囲の赤外線のみが通過できるようにするフィルタ143をビーム経路に設けることもできる。
【0255】
7.応答信号を処理する際、変調周波数を特に考慮に入れることができ、そのため、応答信号をロックインアンプ144で処理することができる。制御・処理ユニット147を使用する励起信号と放熱信号(応答信号)との間の位相角の解析により、表面下の深さに関する深さ情報を得ることができ、その深さ情報から応答信号が概ね得られる。
【0256】
8.深さ情報は、励起ビームに関して(2)に記載されるような様々な低周波変調周波数の選択及び分析と、異なる変調周波数に関する結果の組み合わせ(この場合、異なる変調周波数に関して結果を異なって重み付けることもできる)とによって得ることもできる。このため、最上皮膚層の吸収を補償するべく異なる方法又は他の計算方法を使用することができる。
【0257】
9.ポイント(6)に係る熱放射の検出感度を最大にするために、この方法は、利用できる赤外線範囲全体に関して広いスペクトル帯域にわたって使用される。できるだけ多くのプランク放射曲線の領域を使用すべきである。集中的励起放射に検出が影響されにくいようにするために、放熱の検出には、これらの励起波長のためのブロッキングフィルタ(ノッチフィルタ)143が設けられる。ブロッキングフィルタ143を透過する波長範囲148も図13の図から明らかである。その点で、応答信号の強度は、励起ビームを伴わず又は同定されるべき物質に関して非特異的波長の励起放射のみを伴って第1の(実線)曲線145では波長の関数として示され(すなわち、物質の特定の吸収帯域が存在する波長を伴わない)、その後、第2の(破線)曲線146では、同様の曲線が示され、この場合、同定されるべき物質の特定の吸収波長を含む励起ビームが照射される。
【0258】
10.グルコースが同定されるべき場合には、励起波長に依存する(6-9)にしたがって測定された熱信号から、1つの実施形態では、励起ビーム(曲線145)の非グルコース関連波長を用いて(又はそれらを除いて)最初にバックグラウンドが決定され、その後、グルコース関連波長を用いて(又は含めて)バックグラウンド信号からの差が決定される。これは、(7)に係る選択された位相位置又は(8)に係る異なる変調周波数又はこれらの組み合わせによって規定される1つ又は複数の皮膚層におけるグルコース濃度をもたらす。
【0259】
好ましい例示的な実施形態を用いて本発明をより詳しく図示して説明してきたが、本発明は開示された例によって限定されず、そこから、当業者により、本発明の保護範囲から逸脱することなく他の変形を導き出すことができる。
【符号の説明】
【0260】
10 装置
100 励起伝送装置/励起光源
100a 放射体/伝送要素
101 物質
102 第1の部位
103 ボリューム
104 装置
105 装置
106 検出装置
107 処理装置/評価装置
107a メモリ
108 光学媒体
108a 表面部分
108b 表面部分
109 調整装置
110 部分面
111 部分面
112 測定ビーム/測定光ビーム
113 鏡面
114 鏡面
116 開口
117 開口
118 開口
119 コネクタ本体
120 光ファイバケーブル
121 支持体
122 ハウジング
123 身体
124 側
125 ベルト
126 指先
127 調整装置
128 撮像光学系
129 撮像光学系
130 光検出器/カメラ
131 データ処理装置
132 コントローラ
133 マイクロミラー
134 マイクロミラー
135 微小電気機械システム
136 偏向装置
137 制御装置
138 層
139 赤外線検出器
140 ミラー
141 放物面鏡
142 141の開口
143 波長フィルタ
144 ロックインアンプ
145 応答信号の信号曲線(実線)
146 応答信号の信号曲線(破線)
147 制御・処理装置
148 波長範囲
BZA血糖値レベル表示
D検出結果
GF界面
SA励起ビーム
SR応答信号
図1
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