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特許7450693締付けホーンがないミドルおよび脱着可能ブレスレットを備える携帯型物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】締付けホーンがないミドルおよび脱着可能ブレスレットを備える携帯型物品
(51)【国際特許分類】
   A44C 5/14 20060101AFI20240308BHJP
   G04B 37/16 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
A44C5/14 K
G04B37/16 Z
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022187201
(22)【出願日】2022-11-24
(65)【公開番号】P2023094559
(43)【公開日】2023-07-05
【審査請求日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】21217330.6
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ドーハン・シュリヒティヒ
(72)【発明者】
【氏名】マルク・シェンク
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-253913(JP,A)
【文献】実開平06-082590(JP,U)
【文献】中国実用新案第207055004(CN,U)
【文献】実開昭61-147014(JP,U)
【文献】特開2019-174305(JP,A)
【文献】特表2022-529442(JP,A)
【文献】登録実用新案第3203984(JP,U)
【文献】仏国特許出願公開第03021128(FR,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0323315(US,A1)
【文献】実表平5-500004(JP,U)
【文献】米国特許第3589575(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第1128236(EP,A1)
【文献】スイス国特許発明第408794(CH,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/00- 5/24
G04B37/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
締付けホーンがないミドル(21)を有し、また、縦方向(X-X)に展開している2つの縦方向の空洞(110、120)を備えるケース(20)と、2つの端部(31)を備えるブレスレット(30)であって、前記ブレスレット(30)の個々の端部(31)は、前記ブレスレット(30)を取り付けることができるよう、前記ミドル(21)の縦方向の空洞(110、120)と脱着可能に協するように構成された取付けインタフェース(200、300、400)と協する、ブレスレット(30)とを備える携帯型物品(1、2)であって、前記取付けインタフェース(200、300、400)はポリマーまたは金属でできている一体型であり、
前記ブレスレット(30)の一方の端部(31)を受け取り、かつ、固着するための要素(210、310、410)と、
前記取付けインタフェース(200、300、400)を前記縦方向の空洞(110、120)の中に前記縦方向(X-X)に軸方向に係止するための弾性ケーシング要素(220、320、420)であって、前記弾性ケーシング要素(220、320、420)は、前記縦方向の空洞(110、120)の中に配置された少なくとも1つのハウジング(116、117、126)と協働する少なくとも1つの弾性クリップ(221、222、321、421)によって形成されている、前記弾性ケーシング要素(220、320、420)と、
前記取付けインタフェース(200、300、400)を前記縦方向の空洞(110、120)の中に、前記縦方向(X-X)に対して横向きの方向に軸方向に係止するための要素(230、330、430)と
を備えることを特徴とする携帯型物品(1、2)。
【請求項2】
前記取付けインタフェース(200、300、400)は、前記ミドル(21)の前記縦方向の空洞(110、120)中に摺動することによって協するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の携帯型物品(1、2)。
【請求項3】
前記ブレスレット(30)の一方の端部(31)を受け取り、かつ、固着するための前記要素(210)は2つの支持板(211、212)によって形成され、前記2つの支持板(211、212)は、前記ブレスレット(30)の前記端部(31)を前記2つの支持板(211、212)の間に配置することができる距離だけ互いに間隔を隔てていることを特徴とする請求項1に記載の携帯型物品(1)。
【請求項4】
前記支持板(211、212)は、前記ブレスレット(30)を固着するための部材を貫通させるためのオリフィス(213)を有することを特徴とする請求項3に記載の携帯型物品(1)。
【請求項5】
前記ブレスレット(30)の前記端部(31)は、前記支持板(211、212)上に縫い合わされ、はんだ付けされ、またはオーバモールドされることを特徴とする請求項3に記載の携帯型物品(1)。
【請求項6】
前記ブレスレット(30)の一方の端部(31)を受け取り、かつ、固着するための前記要素(310、410)は、前記ブレスレット(30)の係止を保証するために、前記ブレスレット(30)の前記端部(31)を受け取るスロット(311、411)によって形成され、また、前記ブレスレット(30)の料中に挿入され、かつ、前記ブレスレット(30)の前記材料中に侵入するように構成された歯(312)またはリリーフ(412)によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の携帯型物品(2)。
【請求項7】
前記歯(312)または前記リリーフ(412)は前記スロット(311、411)内に配置されることを特徴とする請求項6に記載の携帯型物品(2)。
【請求項8】
前記歯(312)は異なる輪郭および/または異なる配向を有することを特徴とする請求項6に記載の携帯型物品(2)。
【請求項9】
前記スロット(411)は、自由位置に、前記ブレスレット(30)の前記端部(31)の厚さより大きい開口を有することを特徴とする請求項6に記載の携帯型物品(1、2)。
【請求項10】
前記スロット(411)に近い前記取付けインタフェース(400)の外部寸法は、自由位置では、前記縦方向の空洞の内部寸法より大きく、前記取付けインタフェース(400)は、前記取付けインタフェース(400)を前記縦方向の空洞の中に挿入している間、前記スロット(411)の前記開口を小さくするために弾性的に圧縮するように構成されることを特徴とする請求項9に記載の携帯型物品(1、2)。
【請求項11】
前記弾性ケーシング要素(220)は、前記取付けインタフェース(200)の縦方向の端部に配置された2つの弾性クリップ(221、222)によって形成され、前記2つの弾性クリップ(221、222)は、前記縦方向の空洞(110)に配置された2つの端部ハウジング(116、117)と協するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の携帯型物品(1)。
【請求項12】
前記弾性ケーシング要素(320、420)は、前記縦方向の空洞(120)に配置された中央ハウジング(126)と協するように構成された中央弾性クリップ(321、421)によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の携帯型物品(2)。
【請求項13】
前記弾性ケーシング要素(220、320、420)は逆にすることができるように構成され、前記取付けインタフェース(200、300、400)を構成している前記複数の要素のうちの1つを損傷することなく、前記取付けインタフェース(200、300、400)の軸方向の位置を脱係止することができることを特徴とする請求項1に記載の携帯型物品(2)。
【請求項14】
前記取付けインタフェース(200、300、400)を前記縦方向の空洞(110、120)の中に、前記縦方向(X-X)に対して横向きの方向に係止するための前記要素(230、330、430)は、前記縦方向の空洞(110、120)のアンダーカット部分または相補停止表面と協する支承表面(224、331、332、431、432)によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の携帯型物品(1、2)。
【請求項15】
前記ケース(20)の前記ミドル(21)はサーモプラスチック、好ましくはポリアミド11でできていることを特徴とする請求項1に記載の携帯型物品(1、2)。
【請求項16】
前記縦方向の空洞(110、120)は開口であり、したがって前記縦方向の空洞(110、120)の第1の端部を通して、または前記縦方向の空洞(110、120)の第2の端部を通して前記取付けインタフェース(200、300、400)を注意を要さずに挿入することができることを特徴とする請求項1に記載の携帯型物品(1、2)。
【請求項17】
前記縦方向の空洞(110、120)は、6時および12時に配置された前記ミドル(21)の2つの円線分にわたって展開することを特徴とする請求項1に記載の携帯型物品(1、2)。
【請求項18】
腕時計であることを特徴とする請求項1に記載の携帯型物品(1、2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースと、該ケースに接続されたブレスレットとを備える、ユーザの手首に着用されることが意図された携帯型物品に関する。本発明は、より詳細には、ブレスレットの取付けおよび取外しを容易にすることができる、ブレスレットを携帯型物品のケースに脱着可能に取り付けるための脱着可能アタッチメント・デバイスに関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、締付けホーンがない時計ケースと、脱着可能アタッチメント・デバイスを介して前記時計ケースに接続されたブレスレットとを備える腕時計に関する。
【背景技術】
【0003】
時計ケースに対してブレスレットを締め付けることができるアタッチメント・デバイスは、組立てを必要とする多くの様々な部品があり、これらの部品が複雑で、しかも製造が困難であることから、通常、極めて複雑な問題を有している。
【0004】
詳細には、ブレスレットの個々のストランドの端部ならびに時計ケースは、組立てを可能にするために特殊な形にし、機械加工しなければならない(例えば、特許文献1を参照)。さらに、これらの種々雑多な要素の取付けは極めて時間がかかり、したがって高価である。
【0005】
通常のアタッチメント・デバイスは、ブレスレット・ストランドの端部で挿入された横方向のバーの、時計ケースのミドルのリム上に配置された2つのホーンまたは他の突出要素の存在に基づいており、横方向のバーの個々の端部は、個々のホーンに配置されたオリフィスに挿入されることになる(例えば、特許文献2を参照)
【0006】
時計ケース上へのブレスレットのこのタイプのアタッチメントは、ブレスレットの交換作業のための専用ツールの使用を必要とする。したがってユーザが着用または美観の理由で自身のブレスレットの交換を希望する場合、ユーザは、通常、その交換操作を実施するために専門家を訪れることを余儀なくされる。したがってこの操作には時間および特定のコストの負担が必要である。
【0007】
産業の観点からすると、ミドルのリム上で突出しているホーン、もしくは他の要素は、時計ケース製造中における多くの操作、または同じく仕上げ中における多くの操作の自動化を妨げている。したがっていくつかの操作は、ホーンまたは他の突出要素の損傷を回避するために手動で実施しなければならない。
【0008】
ブレスレットの交換作業を容易にすることができるアタッチメント・デバイスが知られている。しかしながらこれらのアタッチメント・デバイスは、通常、製造が複雑であり、また、例えばばね、ブレード、等々などによって、取付けインタフェースに対するブレスレットの係止、ならびに取付けインタフェースとケースとの係止の両方を保証するために、ブレスレットのストランド、取付けインタフェースおよび時計ケースの間に多くの挿入部品または接続部品の使用を必要とする(例えば、特許文献3を参照)
【0009】
さらに、ブレスレットの単純化された交換作業を提供するアタッチメント・デバイスでは、これらの要素を製造するための方法を大して容易にすることのない、たいそうな時計ケースおよび/またはブレスレットの修正が必要であり、製造中における追加コストをもたらしている。
【0010】
したがって、知られている、また、上で説明した制限のうちの少なくとも1つを除去するために、ブレスレットを時計ケースに対して、より一般的にはブレスレットを携帯型物品に対して脱着可能に取り付けるためのデバイスを改善する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】実願平5-23644号(実開平6-82590号)のCD-ROM
【文献】スイス国特許発明第327838号明細書
【文献】中国実用新案第207055004号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
この文脈では、本発明の目的は、単純な設計で、極めて安価で、ブレスレットの保持ならびにブレスレットのケースへの結合および係止を保証するのに単一の一体型の部品しか必要としないアタッチメント・デバイスを備える携帯型物品を提案することである。したがって本発明は、従来の製造手段による大量生産が容易な「一体型」解決法を提供する。
【0013】
本発明の別の目的は、弾性ケーシングによってブレスレットをケースに対して容易に取り付け、かつ、取外しすることができるアタッチメント・デバイスを提案することである。したがってユーザは、専門家を訪れることなく、着用の際に容易に自身のブレスレットを交換することができ、または容易に美観を修正することができる。
【0014】
本発明の別の目的は、部品を容易に製造することができ、したがって従来の手段によってブレスレットおよびケースを完全に自動化することができ、かつ、手動修理操作を必要としないアタッチメント・デバイスを提案することである。
【0015】
本発明によるアタッチメント・デバイスによれば、ミドルにホーンがなく、また、ブレスレットを取り付けるための突出要素がないケースを提案することができ、それにより、対称であり、かつ、製造中に容易に自動化することができるケースを有することができる。したがって提案される解決法は、製造がより複雑で、かつ、極めて多くの操作が必要である従来技術の解決法に対して経済的利点を有している。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的のために、本発明は、締付けホーンがないミドルを有し、また、縦方向X-Xに展開している2つの縦方向の空洞を備えるケースと、2つの端部を備えるブレスレットであって、ブレスレットの個々の端部は、ブレスレットを取り付けることができるよう、前記ミドルの縦方向の空洞と脱着可能に協するように構成された取付けインタフェースと協する、ブレスレットとを備える携帯型物品に関しており、取付けインタフェースは一体型であり、
- ブレスレットの一方の端部を受け取り、かつ、固着するための要素と、
- 取付けインタフェースを前記縦方向の空洞の中に縦方向X-Xに軸方向に係止するための弾性ケーシング要素と、
- 取付けインタフェースを前記縦方向の空洞の中に、縦方向X-Xに対して横向きの方向に沿って係止するための要素と
を備えることを特徴としている。
【0017】
取付けインタフェースは、ブレスレットとは異なる取付け部品であることが有利である。
【0018】
先行する段落で言及した特徴とは別に、本発明による携帯型物品は、個別に、または技術的に可能なあらゆる組合せに従って考察して、以下のうちの1つまたは複数の追加の特徴を有することができる。
- 取付けインタフェースは、前記ミドルの前記縦方向の空洞中に摺動することによって協するように構成される。
- ブレスレットの一方の端部を受け取り、かつ、固着するための要素は2つの支持板によって形成され、これらの2つの支持板は、ブレスレットの端部をこれらの2つの支持板の間に配置することができる距離だけ互いに間隔を隔てている。
- 支持板は、ブレスレットを固着するための部材を貫通させるためのオリフィスを有している。
- ブレスレットの端部は、支持板上に縫い合わされ、はんだ付けされ、またはオーバモールドされる。
- ブレスレットの一方の端部を受け取り、かつ、固着するための要素は、ブレスレットの係止を保証するために、ブレスレットの端部を受け取るスロットによって形成され、また、ブレスレットの材料中に挿入され、かつ、ブレスレットの材料中に侵入するように構成された歯またはリリーフによって形成される。
- 歯またはリリーフはスロット内に配置される。
- 歯は異なる輪郭および/または異なる配向を有し、有利には歯の配向は互いに異なる。
- スロットは、自由位置に、ブレスレットの端部の厚さより大きい開口を有している。
- スロットに近い取付けインタフェースの外部寸法は、自由位置では、縦方向の空洞の内部寸法より大きく、取付けインタフェースは、取付けインタフェースを縦方向の空洞の中に挿入している間、スロットの開口を小さくするために弾性的に圧縮するように構成される。
- 弾性ケーシング要素は、縦方向の空洞の中に配置された少なくとも1つのハウジングと協する少なくとも1つの弾性クリップによって形成される。
- 弾性ケーシング要素は、取付けインタフェースの縦方向の端部に配置された2つの弾性クリップによって形成され、これらの2つの弾性クリップは、縦方向の空洞に配置された2つの端部ハウジングと協するように構成される。
- 弾性ケーシング要素は、縦方向の空洞に配置された中央ハウジングと協するように構成された中央弾性クリップによって形成される。
- 弾性ケーシング要素は逆にすることができるように構成され、取付けインタフェースを構成している複数の要素のうちの1つを損傷することなく、取付けインタフェースの軸方向の位置を脱係止することができる。
- 取付けインタフェースを前記縦方向の空洞の中に、縦方向X-Xに対して横向きの方向に係止するための要素は、縦方向の空洞のアンダーカット部分または相補停止表面と協する支承表面によって形成される。
- 取付けインタフェースはポリマー材料または金属材料でできている。
- ケースのミドルはサーモプラスチック、好ましくはポリアミド11でできている。
- 縦方向の空洞は開口であり、したがって空洞の第1の端部を通して、または空洞の第2の端部を通して取付けインタフェースを注意を要さずに挿入することができる。
- 縦方向の空洞は、6時および12時に配置されたミドルの2つの円線分にわたって展開する。
【0019】
携帯型物品は腕時計であることが有利である。
【0020】
本発明の目的、利点および特徴は、以下の図を参照してなされる以下の詳細な説明を読めば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明による携帯型物品の第1の実施形態の斜視図である。
図2図1に示されている携帯型物品の第1の実施形態の分解図である。
図3】本発明による携帯型物品の第2の実施形態の斜視図である。
図4図3に示されている携帯型物品の第2の実施形態の分解図である。
図5】本発明によるブレスレットの取付けインタフェースの第3の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
すべての図において、別途明記されていない限り、共通の要素には同じ参照番号が付けられている。
【0023】
図1は、本発明による携帯型物品1の第1の実施形態の斜視図を示したものである。
【0024】
図2は、ブレスレットを取り付けるためのシステムを構成している様々な要素を示すために、図1に示されている携帯型物品1の第1の実施形態の分解図を示したものである。
【0025】
本出願においては、携帯型物品1は、ユーザの手首に着用されることが意図された腕時計などの時計の形態を取っている。携帯型物品1は、例えば、ブレスレットによって例えば手首に着用されることが意図された歩数計、心拍数モニターまたは任意の他の携帯型物品であってもよいことが同じく理解されよう。
【0026】
携帯型物品1は、例えば時計ムーブメント(簡潔にするためにここでは示されていない)を受け取ることが意図されたケース20を備えている。時計ムーブメントは、情報の項目、例えば現在の時刻を表示するための手段を担い、かつ、駆動する。
【0027】
ケース20は、下部分のバックによって、また、上部部分のクリスタルによって(図示せず)閉じられたミドル21からなっている。ケース20は、ミドル21に対して取り付けられ、また、クリスタルを担うことができるベゼル(図示せず)を同じく備えることができ、ベゼルはロータリーであっても、ロータリーでなくてもよい。
【0028】
一例として示されているケース20は概ね円形の形のケースであってもよい。しかしながらケース20は、本発明の範囲を逸脱することなく、他の知られている実施形態を有することができる。
【0029】
ミドル21には締付けホーンがなく、その代わりにブレスレット30を取り付けるためのシステム100の第1の部分を形成している2つの縦方向の空洞110(図1および図2には単一の縦方向の空洞が見えている)を備えている。縦方向の空洞110は、ブレスレット30の個々の端部31を受け取るように構成されており、より詳細にはブレスレット30の一方の端部31と一体の取付けインタフェース200を受け取るように構成されており、取付けインタフェース200は、ブレスレット30を取り付けるためのシステム100の第2の部分を形成している。
【0030】
ミドル21の中に配置された個々の縦方向の空洞110は、縦方向X-Xに沿って展開している取付けスライド-バーを形成している。
【0031】
そのために縦方向の空洞110は、縦方向X-Xに沿った摺動接続を保証し、かつ、とりわけ縦方向X-Xに対して横向きの方向の他の自由度を阻止するように適合された形を有している。
【0032】
個々の縦方向の空洞110は、ブレスレット30の迅速で、単純で、かつ、脱着可能な取付けを保証する方法で相補取付けインタフェース200と協するように構成されている。
【0033】
個々の縦方向の空洞110は、摺動によって取付けインタフェース200を受け取り、かつ、係止位置に到達するまで、縦方向X-Xに沿った取付けインタフェース200の並進案内を保証するように構成されている。
【0034】
縦方向の空洞110は、目盛盤(図示せず)の両側、有利には6時および12時に配置された、互いに反対側の2つの締付け部分に製造されている。
【0035】
縦方向の空洞110は、6時および12時に配置されたミドル21の2つの円線分にわたって展開している。
【0036】
個々の縦方向の空洞110は開口であり、すなわち個々の縦方向の空洞110は第1の端部および第2の端部で開いており、したがって縦方向の空洞110の第1の端部ならびに第2の端部を通して、すなわちクラウン側(3時の側)に配置された端部を通して、またはクラウンの反対側(9時の側)に配置された端部を通して、ブレスレット30と一体の個々の取付けインタフェース200を導入および除去することができる。
【0037】
ブレスレット30は2つのストランド32の形態をしており(1つしか示されていない)、これらの2つのストランド32は、閉じるデバイス(図示せず)、例えばクラスプ、折畳みバックル、または同じくブレスレット30のこれらの2つのストランド32をユーザの手首の周りに取り付けるこの機能を実施することができる任意の他のアド-ホック要素によって互いに接続されている。
【0038】
一代替実施形態によれば、ブレスレット30はモノフィラメントである。
【0039】
ブレスレット30は可撓性であることが好ましい。
【0040】
取付けインタフェース200は、複数の機能を保証することができる一体型の部品である。
【0041】
取付けインタフェース200は、詳細には、ケース20へのブレスレット30の可逆固着を保証するための要素を備えており、また、ブレスレットの取外しを容易にすることができ、したがってユーザによるブレスレットの交換作業を容易にすることができる要素を有している。
【0042】
そのために、取付けインタフェース200は、ブレスレット30の一方の端部31を受け取り、かつ、固着するための要素210を備えている。
【0043】
この第1の実施形態では、ブレスレット30の一方の端部31を受け取り、かつ、固着するための要素210は2つの支持板211、212によって形成され、これらの2つの支持板211、212は、ブレスレット30の端部31をこれらの2つの支持板211、212の間に配置することができる距離だけ互いに間隔を隔てている。したがってブレスレット30の端部31は、取付けインタフェース200の2つの支持板211、212と接している。
【0044】
より詳細には、ブレスレット30の一方の端部31を受け取り、かつ、固着するための要素210は、第1の上部支持板211および第2の下部支持板212によって形成されている。2つの支持板211、212は、平行で、かつ、ブレスレット30のストランド32の縦方向に展開していることが好ましい。
【0045】
2つの支持板211、212を分離している距離は、その端部31において、ブレスレット30を2つの支持板211、212の間に配置することができ、その一方でストランド32の仮止めを保証する方法でストランド32の厚さより僅かに短いことが有利である。このような構成により、ストランド32を取付けインタフェース200に対して固着する操作を容易にすることができる。
【0046】
支持板211、212は、ブレスレット30を固着するための部材のうちの1つもしくは複数を貫通させ、または引っ掛けるための複数のオリフィス213を有している。ブレスレット30を固着するための部材はブレスレット30のストランド32の材料に応じて選択される(例えば革、弾性サーモプラスチック、織物、等でできている)。
【0047】
したがって一例としてブレスレット30の端部31は、縫い合わせることができ、オリフィス213ではんだ付けすることができ、または取付けインタフェース200上に直接オーバモールドすることも可能である。
【0048】
取付けインタフェース200は、取付けインタフェース200を前記縦方向の空洞110の中に縦方向X-Xに軸方向に係止するための弾性ケーシング要素220を同じく備えている。
【0049】
弾性ケーシング要素220は、取付けインタフェース200の縦方向の端部に配置された2つの弾性クリップ221、222によって形成されている。これらの2つの弾性クリップ221、222は、縦方向X-Xに沿った取付けインタフェース200、したがってブレスレット30の軸方向の位置を阻止し、かつ、係止するために、縦方向の空洞110に提供されている2つの端部ハウジング116、117と協するように構成されている。
【0050】
2つの弾性クリップ221、222は対称であり、取付け中に縦方向の空洞110内でこれらの弾性クリップを圧縮することができるように構成されている。
【0051】
2つの弾性クリップ221、222は、縦方向の空洞110の端部ハウジング116、117で、弾性復帰によってそれらの自由位置(圧縮されていない)を回復するように構成されている。弾性クリップ221、222が端部ハウジング116、117中の自由位置に位置している場合、縦方向X-Xにおける取付けインタフェース200の軸方向の移動が阻止される。
【0052】
そのために、個々の弾性クリップ221、222は、縦方向X-Xに対して実質的に直角に配置され、縦方向の空洞110の端部ハウジング116、117の横方向の壁に当接するように構成された支承面223を備えている。
【0053】
取付けインタフェース200は、取付けインタフェース200を縦方向X-Xに対して横向きの方向に係止するための要素230をさらに備えている。
【0054】
示されている実施形態では、縦方向の空洞110におけるこの横向きの方向は、ケースの中心に対する半径方向に類似している。
【0055】
取付けインタフェース200を縦方向X-Xに対して横向きの方向に係止するための要素230は、縦方向の空洞110のアンダーカット部分と協する、取付けインタフェース200の前方支承表面224によって形成されている。
【0056】
この第1の実施形態では、取付けインタフェース200は、ポリマー材料、好ましくはサーモプラスチック材料でできていることが有利である。
【0057】
この第1の実施形態では、取付けインタフェース200は例えば射出法で製造されている。
【0058】
ブレスレット30の取外しを実施するために、ユーザは、選択された取外し方向に応じて、弾性クリップ221、222を対応する端部ハウジング116、117から解放することができる圧縮位置に到達するまで弾性変形させる方法で、取付けインタフェース200の弾性クリップ221、222のうちの一方を強制することになる。弾性クリップ221、222が端部ハウジング116、117から解放されると、ユーザは、取付けインタフェース200を縦方向の空洞110から摺動させることによってブレスレット30を取外しすることができる。
【0059】
取付けインタフェース200の端部に配置された弾性クリップ221、222はミドル21の外部表面の延長を形成しているため、ユーザは容易に弾性クリップ221、222に到達することができる。したがってユーザは、ブレスレットの取外しを進めるために、単純にユーザの指、爪を使用して、またはユーザの手の届く範囲内で、ペン、ペーパー・クリップ、ステープルなどの初歩的なツールを同じく容易に使用して、弾性クリップ221、222と相互作用することができる。
【0060】
図3は、本発明による携帯型物品2の第2の実施形態の斜視図を示したものである。
【0061】
図4は、ブレスレット30を取り付けるためのシステム100’を構成している様々な要素を示すために、図3に示されている携帯型物品2の第2の実施形態の分解図を示したものである。
【0062】
この第2の実施形態では、携帯型物品2は、これから説明される特徴を除き、上で説明した携帯型物品1と全く同じである。
【0063】
この第2の実施形態では、取付けインタフェース300は金属材料でできており、例えば打抜きによって製造されている。
【0064】
取付けインタフェース300は、ブレスレット30の一方の端部31を受け取り、かつ、固着するための要素310を備えており、要素310は、ブレスレット30の係止を保証するために、ここではブレスレット30のストランド32の端部31を導入することができるスロット311によって形成され、また、ブレスレット30のストランド32の材料中に挿入され、かつ、ブレスレット30のストランド32の材料中に侵入するように構成された歯312によって形成されている。
【0065】
歯312はスロット311の内側に向けられており、また、ストランド32の方向に展開している。
【0066】
取付けインタフェース300は、スロット311内に分散した4つの歯312を備えていることが有利である。
【0067】
歯312は、ブレスレット30のストランド32の材料中への挿入および侵入を容易にする輪郭を有している。
【0068】
歯312は、スロット311内におけるストランド32の縦方向および横方向の移動の阻止を最適化する方法で、異なる輪郭および/または異なる配向を有していることが有利である。
【0069】
個々の歯312は、ストランド32の縦方向および横方向の移動の阻止を最適化する方法で、他の歯とは異なる配向を有していることが有利である。
【0070】
取付けインタフェース300は、取付けインタフェース300を縦方向の空洞120の中に軸方向に係止するための弾性ケーシング要素320を備えている。弾性ケーシング要素320は、ここでは、この目的のために提供されている縦方向の空洞120の中央ハウジング126と協するように構成された単一の中央弾性クリップ321によって形成されている。
【0071】
中央弾性クリップ321は、取付けインタフェース300を縦方向の空洞120に導入している間、圧縮されるように構成されている。
【0072】
中央弾性クリップ321は、弾性クリップ321が中央ハウジング126と対向すると、その自由位置へ戻り、したがって取付けインタフェース300の軸方向の係止を保証するように構成されている。
【0073】
取付けインタフェース300の取外しを実施するために、ケース20は、ユーザがケースの外側からアクセスすることができる孔を備えている。この孔は縦方向の空洞120の中央ハウジング126と連絡している。この孔は、取付けインタフェース300を取外しすることができる圧縮位置に到達するまで弾性変形させる方法で、取付けインタフェース300の中央弾性クリップ321を強制することができるよう、ユーザの手の届く範囲内で、例えばペーパー・クリップの端、ステープルの端などの初歩的なツールを容易に導入することができるように構成されている。
【0074】
取付けインタフェース300は、取付けインタフェース300を縦方向X-Xに対して横向きの方向に係止するための要素330をさらに備えている。取付けインタフェース300を横向きの方向に係止するための要素330は、縦方向の空洞120の中に配置されている相補支承面と協する前方支承表面331、332によって形成されている。
【0075】
図5は、本発明による取付けインタフェース400の第3の実施形態の斜視図を示したものである。
【0076】
この第3の実施形態では、取付けインタフェース400は、ポリマー材料、好ましくはサーモプラスチック材料でできていることが有利である。
【0077】
取付けインタフェース400は例えば射出法で製造されている。
【0078】
取付けインタフェース400は、ブレスレット30の一方の端部31を受け取り、かつ、固着するための要素410を備えており、要素410は、ここでは、ブレスレット30のストランド32の端部31を導入することができるスロット411によって形成され、また、ブレスレット30のストランド32の材料中に挿入され、かつ、ブレスレット30のストランド32の材料中に侵入するように構成されたリリーフ412によって形成されている。様々なリリーフ412がスロット411内に分散していることが有利である。
【0079】
スロット411の開口は、スロット411内のストランド32の端部31の挿入を容易にする方法で、ブレスレット30のストランド32の端部31の厚さより僅かに大きいことが有利である。
【0080】
スロット411に近い取付けインタフェース400の外部寸法も、縦方向の空洞の内部寸法より僅かに大きく、それにより、取付けインタフェース400が縦方向の空洞の中で圧縮され、このことは、スロット411の開口を小さくする効果、スロット411においてブレスレット30のストランド32を締め付ける効果、およびストランド32の材料中にリリーフ412をさらに導入する効果を有している。したがって縦方向の空洞中の所定の位置に位置すると、ストランド32が取付けインタフェース400と一体で保持される。
【0081】
この実施形態では、必要に応じてブレスレット30を取付けインタフェース400から有利に取外しすることができる。
【0082】
取付けインタフェース400は、取付けインタフェース400を縦方向の空洞の中に軸方向に係止するための弾性ケーシング要素420を備えている。弾性ケーシング要素420は、ここでは、この目的のために提供されている縦方向の空洞の中央ハウジングと協するように構成された単一の中央弾性クリップ421によって形成されている。
【0083】
中央弾性クリップ421は、取付けインタフェース400を縦方向の空洞に導入している間、圧縮されるように構成され、また、中央弾性クリップ421が縦方向の空洞の中央ハウジングと対向して配置されると、その自由位置へ戻るように構成されている。
【0084】
取付けインタフェース400の取外しを実施するために、ケース20は、ケースの外側からアクセスすることができる孔を備えている。この孔は縦方向の空洞の中央ハウジングと連絡している。この孔は、中央弾性クリップ421を強制することができるよう、また、取付けインタフェース400を取外しすることができる圧縮位置に到達するまで弾性変形することになるよう、ユーザの手の届く範囲内で、例えばペーパー・クリップの端、ステープルの端などの初歩的なツールを容易に導入することができるように構成されている。
【0085】
取付けインタフェース400は、取付けインタフェース400を縦方向X-Xに対して横向きの方向に係止するための要素430をさらに備えている。取付けインタフェース400を横向きの方向に係止するための要素430は、取付けインタフェース400の横向きの方向の阻止を保証するために、縦方向の空洞のアンダーカット部分と協する外部支承表面431、432によって形成されている。
【0086】
本発明による取付けインタフェース200、300、400によれば、ブレスレット30の弾性ケーシングにより、不可逆的と呼ばれる、ブレスレット30をケース20から取外しするために取付けインタフェースの破壊または劣化を必要とする弾性ケーシング・システムとは正反対に、速やかな取付けを可逆的に実施することができる。
【0087】
取付けインタフェース200、300、400によれば、とりわけ縦方向の空洞中における取付けインタフェースの良好な安定性を保証する摺動接続により、ブレスレットの安定した脱着可能接続を実施することができる。
【0088】
本発明においては、ケース20のミドル21は、ブレスレット30を締め付けるための突出要素を全く備えていない。したがってケース20の製造を自動化された方法で一体化して実施することができる。
【0089】
一例として、ミドル21は金属材料またはポリマーでできている。ミドル21はサーモプラスチックでできていることが有利である。一例として、ミドル21は、ポリウンデカナミドまたはナイロン11とも呼ばれるポリアミド11でできていてもよい。
【0090】
ミドル21は一体型ミドルであることが有利である。しかしながら複数の個別に製造された部品から組み立てられるミドルの製造も同じく想定されている。
【0091】
ポリマーミドルは、射出によって製造される一体型ミドルであることが有利である。
【0092】
本発明による携帯型物品、ならびに本出願において説明されているブレスレットを取り付けるためのシステムによれば、ケースには締付けホーンがなく、また、完全に対称であるため、ケースを製造するための方法を著しく容易にすることができる。したがってケースの製造および取付けインタフェースの製造を自動化することができる。したがって、とりわけケースの修理操作がないこと、また、ブレスレットを締め付けるための単一のインタフェース部品の使用により、このようなアセンブリを製造するコスト、およびこのような携帯型物品のコストが低減される。
【0093】
さらに、本発明による取付けインタフェースによれば、ブレスレットの交換作業を単純にすることができ、それによりブレスレットを分解している間、単純な操作で、また、取付けインタフェースもしくはケースを損傷することなく、着用の際にブレスレットを容易に取り換えることができ、または容易に美観を修正することができる。
【0094】
本発明について、ミドルの特定の実施形態および取付けインタフェースの特定の実施形態を使用して説明した。しかしながら他の実施形態ならびにこれらの説明から誘導される実施形態が想定されることは明らかである。
【符号の説明】
【0095】
1、2 携帯型物品
20 ケース
21 ミドル
30 ブレスレット
31 ブレスレットの端部、端部
32 ストランド
100 ブレスレット30を取り付けるためのシステム
100’ ブレスレット30を取り付けるためのシステム
110 縦方向の空洞
116、117 端部ハウジング
120 縦方向の空洞
126 中央ハウジング
200 取付けインタフェース
210 ブレスレット30の一方の端部31を受け取り、かつ、固着するための要素
211 第1の上部支持板、支持板
212 第2の下部支持板、支持板
213 オリフィス
220 弾性ケーシング要素
221、222 弾性クリップ
223 支承面
224 前方支承表面
230 取付けインタフェース200を縦方向X-Xに対して横向きの方向に係止するための要素
300 取付けインタフェース
310 ブレスレット30の一方の端部31を受け取り、かつ、固着するための要素
311 スロット
312 歯
320 弾性ケーシング要素
321 中央弾性クリップ、弾性クリップ
330 取付けインタフェース300を縦方向X-Xに対して横向きの方向に係止するための要素
331、332 前方支承表面
400 取付けインタフェース
410 ブレスレット30の一方の端部31を受け取り、かつ、固着するための要素
411 スロット
412 リリーフ
420 弾性ケーシング要素
421 中央弾性クリップ
430 取付けインタフェース400を縦方向X-Xに対して横向きの方向に係止するための要素
431、432 外部支承表面
図1
図2
図3
図4
図5