(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】ポリエステル離型フィルムおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/36 20060101AFI20240308BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240308BHJP
C08J 7/043 20200101ALI20240308BHJP
【FI】
B32B27/36
B32B27/00 L
C08J7/043 Z CFD
(21)【出願番号】P 2022566334
(86)(22)【出願日】2021-05-31
(86)【国際出願番号】 KR2021095069
(87)【国際公開番号】W WO2021246851
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-10-31
(31)【優先権主張番号】10-2020-0066556
(32)【優先日】2020-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0069182
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ウン ヘ
(72)【発明者】
【氏名】キム,チョン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ドゥ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジェ ボン
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-210041(JP,A)
【文献】国際公開第2009/025063(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0058900(US,A1)
【文献】特開2015-217557(JP,A)
【文献】特開2017-159533(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0097873(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0003393(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/00
B32B 27/36
C08J 7/043
B29C 33/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル基材層および前記基材層の少なくとも一面に形成された離型層を含み、
前記離型層は、ポリエステル樹脂を含むバインダーおよび前記バインダー上に分散されたポリオレフィンワックスを含み、
10gf/inch以下の剥離力および500V未満の摩擦帯電圧を有
し、
下記式1を充足する加工コーティング性を有する、
ポリエステル離型フィルム
:
[式1]
N
H
=0
上記式1中、N
H
は、前記ポリエステル離型フィルムの前記離型層上に、UV樹脂を厚さ10μmで塗布して硬化させた時、単位面積(m
2
)当りに生成されるピンホールの個数である。
【請求項2】
前記バインダーに含まれている前記ポリエステル樹脂は、2,000~25,000g/molの重量平均分子量を有する、請求項1に記載のポリエステル離型フィルム。
【請求項3】
前記バインダーは、アクリル系樹脂をさらに含む、請求項1に記載のポリエステル離型フィルム。
【請求項4】
前記バインダーは、前記ポリエステル樹脂と前記アクリル系樹脂とを1:0.5~1:1.5の固形分の重量比で含む、請求項3に記載のポリエステル離型フィルム。
【請求項5】
前記バインダーに含まれている前記アクリル系樹脂は、20,000~70,000g/molの重量平均分子量を有する、請求項3に記載のポリエステル離型フィルム。
【請求項6】
前記離型層は、100重量部の前記バインダーに対して10~40重量部の前記ポリオレフィンワックスを含む、請求項1に記載のポリエステル離型フィルム。
【請求項7】
前記ポリオレフィンワックスは、ポリエチレンワックスおよびポリプロピレンワックスからなる群より選択された1種以上のワックスである、請求項1に記載のポリエステル離型フィルム。
【請求項8】
3.90%以下のヘイズ
を有する、請求項1に記載のポリエステル離型フィルム
。
【請求項9】
前記基材層は10~300μmの厚さを有し、前記離型層は20~200nmの厚さを有する、請求項1に記載のポリエステル離型フィルム。
【請求項10】
前記基材層は機械方向(MD)および横方向(TD)に二軸延伸されたものであり、前記離型層は横方向(TD)に一軸延伸されたものである、請求項1に記載のポリエステル離型フィルム。
【請求項11】
厚さ10~300μmのポリエステル基材層、および、前記基材層上にインラインコーティングによって形成された厚さ20~200nmの離型層を含み、
前記離型層は、ポリエステル樹脂を含むバインダー、および、前記バインダー上に分散されたポリオレフィンワックスを含み、
10gf/inch以下の剥離力および500V未満の摩擦帯電圧を有
し、
下記式1を充足する加工コーティング性を有する、
薄膜偏光板用ポリエステル離型フィルム
:
[式1]
N
H
=0
上記式1中、N
H
は、前記ポリエステル離型フィルムの前記離型層上に、UV樹脂を厚さ10μmで塗布して硬化させた時、単位面積(m
2
)当りに生成されるピンホールの個数である。
【請求項12】
(i)機械方向(MD)に延伸されたポリエステル基材層を準備する段階、
(ii)ポリエステル樹脂を含むバインダー、および、前記バインダー上に分散されたポリオレフィンワックスを含む水系コーティング組成物を、前記ポリエステル基材層の少なくとも一面に塗布して、離型層を形成する段階、および
(iii)前記ポリエステル基材層と、前記ポリエステル基材層上に形成された前記離型層とを含む積層体を、横方向(TD)に延伸しながら熱処理する段階を含み、
前記段階(iii)は、通過区間に供給される空気の総熱量が222,000kcal/min~229,000kcal/minである熱処理装置に、前記積層体を通過させて行われ
、
前記水系コーティング組成物に含まれている前記バインダーおよび前記ポリオレフィンワックスの総含量は4.5~6.4重量%(固形分)である、
請求項1に記載のポリエステル離型フィルムの製造方法。
【請求項13】
前記水系コーティング組成物は、前記バインダーとしてアクリル系樹脂をさらに含む、請求項12に記載のポリエステル離型フィルムの製造方法。
【請求項14】
前記バインダーは、前記ポリエステル樹脂と前記アクリル系樹脂とを1:0.5~1:1.5の固形分の重量比で含む、請求項13に記載のポリエステル離型フィルムの製造方法。
【請求項15】
前記水系コーティング組成物は、100重量部の前記バインダーに対して10~40重量部の前記ポリオレフィンワックスを含む、請求項12に記載のポリエステル離型フィルムの製造方法。
【請求項16】
前記水系コーティング組成物に含まれている前記バインダーおよび前記ポリオレフィンワックスの総含量は
5.0~5.8重量%(固形分)である、請求項12に記載のポリエステル離型フィルムの製造方法。
【請求項17】
前記離型層は、前記水系コーティング組成物を使用したインラインコーティング法によって前記ポリエステル基材層の少なくとも一面に形成される、請求項12に記載のポリエステル離型フィルムの製造方法。
【請求項18】
前記機械方向(MD)および横方向(TD)の延伸は、それぞれ2倍~5倍延伸である、請求項12に記載のポリエステル離型フィルムの製造方法。
【請求項19】
前記段階(iii)で、前記積層体は、前記熱処理装置を80m/min~120m/minの速度で通過する、請求項12に記載のポリエステル離型フィルムの製造方法。
【請求項20】
前記段階(iii)は、
前記積層体を、44,000kcal/min~46,000kcal/minの熱量が供給される区間を通過させて予熱する工程、
予熱された前記積層体を、62,000kcal/min~64,000kcal/minの熱量が供給される区間を通過させながら前記横方向(TD)に延伸する工程、および
延伸された前記積層体を114,000kcal/min~120,000kcal/minの熱量が供給される区間を通過させながら前記熱処理する工程
を含んで行われる、請求項12に記載のポリエステル離型フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル離型フィルムおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置において、ディスプレイ部の大型化および薄形化の傾向により、偏光板に対する薄形化の要求が大きくなっている。
【0003】
偏光板の薄形化のための一つの方案は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)などの典型的な偏光子保護素材を薄膜化することである。偏光板を薄形化するためのまた一つの方案は、前記偏光子保護素材を、バリア性を有するコーティング層(以下、“バリアコーティング層”)で代替することである。
【0004】
前記バリアコーティング層を形成させるためには、前記バリアコーティング層形成用組成物を任意の基材上に均一に塗布し、これを硬化した後に剥離する工程を経る。
【0005】
良質の前記バリアコーティング層を得るためには、硬化された前記バリアコーティング層が、前記基材から良好に剥離されなければならない。
【0006】
しかし、前記基材として、シリコーン系離型フィルムを使用することとなると、前記シリコーン系離型フィルムは、低い表面エネルギーを有するために前記バリアコーティング層が均一な厚さで形成されにくく、シリコーンによる静電気の問題が発生しうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、優れた剥離性と低い摩擦帯電圧(triboelectricity voltage)を有するポリエステル離型フィルムを提供するためのものである。
【0008】
そして、本発明は、前記ポリエステル離型フィルムの製造方法を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、ポリエステル基材層、および、前記基材層の少なくとも一面に形成された離型層を含み、前記離型層はポリエステル樹脂を含むバインダー、および、前記バインダー上に分散されたポリオレフィンワックスを含み、10gf/inch以下の剥離力および500V未満の摩擦帯電圧を有する、ポリエステル離型フィルムが提供される。
【0010】
本発明の他の一実施形態によれば、厚さ10~300μmのポリエステル基材層および前記基材層上にインラインコーティングによって形成された厚さ20~200nmの離型層を含み、前記離型層はポリエステル樹脂を含むバインダーおよび前記バインダー上に分散されたポリオレフィンワックスを含み、10gf/inch以下の剥離力および500V未満の摩擦帯電圧を有する、薄膜偏光板用ポリエステル離型フィルムが提供される。
【0011】
そして、本発明のまた他の一実施形態によれば、
(i)機械方向(MD)に延伸されたポリエステル基材層を準備する段階、
(ii)ポリエステル樹脂を含むバインダーおよび前記バインダー上に分散されたポリオレフィンワックスを含む水系コーティング組成物を前記ポリエステル基材層の少なくとも一面に塗布して離型層を形成する段階、および
(iii)前記ポリエステル基材層と前記ポリエステル基材層上に形成された前記離型層を含む積層体を横方向(TD)に延伸しながら熱処理する段階を含み;
前記段階(iii)は、通過区間に供給される空気の総熱量が222,000kcal/min~229,000kcal/minである熱処理装置に、前記積層体を通過させて行われる、前記ポリエステル離型フィルムの製造方法が提供される。
【0012】
以下、本発明の実施形態によるポリエステル離型フィルムおよびその製造方法についてより詳しく説明する。
【0013】
本明細書で明示的な言及がない限り、専門用語は、ただ特定の実施形態に言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。
【0014】
本明細書で使用される単数の形態は、文句がこれと明確に反する意味を示さない限り複数の形態も含む。
【0015】
本明細書で使用される“含む”の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化するのであり、他の特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素、成分および/または群の存在や付加を除外させるのではない。
【0016】
I.ポリエステル離型フィルム
発明の一実施形態によれば、ポリエステル基材層、および前記基材層の少なくとも一面に形成された離型層を含み、前記離型層は、ポリエステル樹脂を含むバインダー、および前記バインダー上に分散されたポリオレフィンワックスを含み、10gf/inch以下の剥離力、および500V未満の摩擦帯電圧を有する、ポリエステル離型フィルムが提供される。
【0017】
本発明者らの継続的な研究の結果、薄膜偏光板の製造時に使用される離型用基材フィルムにおいて、一軸延伸された基材層上に、ポリエステル樹脂とポリオレフィンワックスを含む水系コーティング組成物をインラインコーティング方式で塗布して離型層を形成させる場合、コーティング加工性と剥離力に優れたポリエステル離型フィルムを提供することができるのが確認された。
【0018】
前記ポリエステル離型フィルムは、これを使用した後加工(例えば、前記離型フィルム上にバリアコーティング層を形成させる工程など)にて優れた剥離性を示すことができるだけでなく、低い摩擦帯電圧を有するため、静電気による汚染の発生を防止することができる。
【0019】
前記ポリエステル離型フィルムは、ポリエステル基材層、および前記基材層の少なくとも一面に形成された離型層を含む。
【0020】
前記ポリエステル基材層は、ポリエステル樹脂からなるものである。前記ポリエステル基材層としては、本発明の属する技術分野における通常のものを特別な制限なく使用することができる。例えば、前記ポリエステル基材層は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどからなるものであってもよい。非制限的な例として、前記基材層は、固有粘度が0.6~0.8dl/gの範囲であるポリエチレンテレフタレートからなることが耐候性および耐加水分解性の確保の側面から有利であり得る。
【0021】
前記離型層は、前記ポリエステル基材層の一面または両面に形成される。好ましくは、前記離型層は、前記ポリエステル基材層の一面に形成される。
【0022】
前記離型層は、ポリエステル樹脂を含むバインダー、および前記バインダー上に分散されたポリオレフィンワックスを含む。
【0023】
前記バインダーに含まれている前記ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸を主成分とする酸成分と、アルキレングリコールを主成分とするグリコール成分とを縮重合して得られる樹脂である。前記酸成分としては、テレフタル酸またはそのアルキルエステルやフェニルエステルなどを主に使用することができ、その一部をイソフタル酸、オキシエトキシ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸などで代替して使用することができる。前記グリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどを主に使用することができ、その一部をプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-ビスオキシエトキシベンゼン、ビスフェノール、ポリオキシエチレングリコールなどで代替して使用することができる。
【0024】
非制限的な例として、前記ポリエステル樹脂は、ジエチレングリコールとエチレングリコールを5:5のモル比で含む50モル%のグリコール成分と、テレフタル酸とスルホテレフタル酸を8.5:1.5のモル比で含む50モル%の酸成分とを縮重合して得ることができる。
【0025】
前記ポリエステル樹脂は、2,000~25,000g/molの重量平均分子量を有するのが、前記離型層が適切な耐溶剤性を有するようにするのに有利であり得る。好ましくは、前記ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、2,000~25,000g/mol、あるいは2,000~20,000g/mol、あるいは3,000~20,000g/mol、あるいは3,000~15,000g/molであってもよい。
【0026】
本明細書で、重量平均分子量は、GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。前記GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を測定する過程では、通常知られた分析装置と、示差屈折率検出器(refractive index detector)などの検出器および分析用カラムを使用することができ、通常適用される温度条件、溶媒、流速(flow rate)を適用することができる。
【0027】
前記測定条件の具体的な例として、ポリウレタン樹脂などの高分子樹脂は1.0(w/w)% in THF(固形分基準 約0.5(w/w)%)の濃度になるようにテトラヒドロフラン(THF)に溶解させて0.45μm孔径(pore size)のシリンジフィルター(syringe filter)を用いてろ過した後、GPCに20μLを注入し、GPCの移動相はテトラヒドロフラン(THF)を使用し、1.0mL/分の流速で流入し、カラムはAgilent PLgel 5μm Guard(7.5×50mm)一つと、Agilent PLgel 5μm Mixed D(7.5×300mm)二つを、直列に連結し、検出器としてはAgilent 1260 Infinity II System、RI Detectorを用いて、40℃で測定することができる。
【0028】
これを、テトラヒドロフランに0.1(w/w)%濃度で下記のように多様な分子量を有するポリスチレンを溶解させたポリスチレン標準品試料(STD A、B、C、D)を0.45μm孔径(pore size)のシリンジフィルター(syringe filter)でろ過した後、GPCに注入して形成された検定曲線を用いて高分子の重量平均分子量(Mw)値を求めることができる。
【0029】
STD A(Mp):791,000/27,810/945
STD B(Mp):282,000/10,700/580
STD C(Mp):126,000/4,430/370
STD D(Mp):51,200/1,920/162
【0030】
前記離型層は、前記バインダーとしてアクリル系樹脂をさらに含むことができる。
【0031】
例えば、前記バインダーは、前記ポリエステル樹脂と前記アクリル系樹脂とを、1:0.5~1:1.5、好ましくは1:1の固形分の重量比で含むことができる。
【0032】
好ましくは、前記アクリル系樹脂は、共重合モノマーとしてグリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーを全体モノマー成分中の20~80モル%で含有するものであってもよい。前記グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーは、架橋反応によって前記離型層の強度を向上させオリゴマーの流出を防止することができるようにする。前記グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーの例としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリールグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0033】
前記グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーと共重合が可能なラジカル重合性不飽和モノマーとしては、ビニルエステル、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸アミド、不飽和ニトリル、不飽和カルボン酸、アリル化合物、含窒素系ビニルモノマー、炭化水素ビニルモノマーまたはビニルシラン化合物などが挙げられる。前記ビニルエステルとしては、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニルなどを使用することができる。前記不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、マレイン酸ブチル、マレイン酸オクチル、フマル酸ブチル、フマル酸オクチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどを使用することができる。前記不飽和カルボン酸アミドとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチロールアクリルアミド、ブトキシメチロールアクリルアミドなどを使用することができる。前記不飽和ニトリルとしては、アクリロニトリルなどを使用することができる。不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸酸性エステル、フマル酸酸性エステル、イタコン酸酸性エステルなどを使用することができる。前記アリル化合物としては、酢酸アリル、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、イタコン酸アリル、イタコン酸ジアリルなどを使用することができる。前記含窒素系ビニルモノマーとしては、ビニルピリジン、ビニルイミダゾールなどを使用することができる。前記炭化水素ビニルモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ヘキセン、オクテン、スチレン、ビニルトルエン、ブタジエンなどを使用することができる。前記ビニルシラン化合物としては、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルジメトキシシランなどを使用することができる。
【0034】
非制限的な例として、前記アクリル系樹脂は、アクリル酸グリシジル40~60モル%とプロピオン酸40~60モル%が共重合されたものであってもよい。
【0035】
前記アクリル系樹脂は、20,000~70,000g/molの重量平均分子量を有するのが好ましい。より好ましくは、前記ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、20,000~60,000g/mol、あるいは30,000~60,000g/mol、あるいは40,000~60,000g/mol、あるいは45,000~55,000g/molであってもよい。
【0036】
前記離型層は、前記バインダー上に分散されたポリオレフィンワックスを含む。
【0037】
前記ポリオレフィンワックスの具体的な種類は特に制限されないが、ポリエチレンワックスおよびポリプロピレンワックスからなる群より選択された1種以上を好ましく使用することができる。
【0038】
前記ポリオレフィンワックスは、前記バインダー100重量部に対して10~40重量部で含まれてもよい。前記離型層が適切な剥離力を示すことができるようにするために、前記ポリオレフィンワックスは、前記バインダー100重量部に対して10重量部以上で含まれるのが好ましい。但し、前記離型層に前記ポリオレフィンワックスが過剰量で添加される場合、背面転写の問題と加工コーティング性の低下が誘発されうる。したがって、前記ポリオレフィンワックスは、前記バインダー100重量部に対して40重量部以下で含まれるのが好ましい。
【0039】
例えば、前記ポリオレフィンワックスは、前記バインダー100重量部に対して10重量部以上、あるいは15重量部以上、あるいは20重量部以上、あるいは25重量部以上;そして40重量部以下、あるいは35重量部以下、あるいは30重量部以下で含まれてもよい。具体的に、前記ポリオレフィンワックスは、前記バインダー100重量部に対して10~40重量部、あるいは15~40重量部、あるいは15~35重量部、あるいは20~35重量部、あるいは20~30重量部、あるいは25~30重量部で含まれてもよい。
【0040】
前記基材層と離型層の厚さは特に制限されず、前記ポリエステル離型フィルムの具体的な適用分野に応じて調節することができる。例えば、前記基材層は10~100μmの厚さを有し、前記離型層は20~200nmの厚さを有することができる。
【0041】
前記ポリエステル離型フィルムで、前記基材層は機械方向(MD)および横方向(TD)に二軸延伸されたものであり、前記離型層は横方向(TD)に一軸延伸されたものであってもよい。
【0042】
前記ポリエステル離型フィルムは、前述の特性を充足することによって優れた剥離性と低い摩擦帯電圧を有することができる。
【0043】
例えば、前記ポリエステル離型フィルムは、10gf/inch以下、あるいは2gf/inch~10gf/inch、あるいは5gf/inch~10gf/inch、あるいは5gf/inch~8gf/inchの優れた剥離性を有することができる。
【0044】
本明細書で、前記剥離力は、ASTM D903の標準試験法によって測定することができる。具体的に、前記剥離力の測定は、前記ポリエステル離型フィルムの離型層の上に厚さ10μmのUV樹脂硬化層を形成させた第1サンプルを準備する段階;前記第1サンプルの前記UV樹脂硬化層の上に、TESAテープを、2kgゴムロールを使用して2回往復して擦り付けた後、2.5mm×15cm大きさに切断して第2サンプルを準備する段階;および、前記第2サンプル上に70g/cm2の荷重を加えて、常温にて30分間放置した後、剥離試験器(peel tester)を用いて300mm/minの剥離速度で、前記TESAテープを180度剥離する段階を含んで行うことができる。
【0045】
そして、前記ポリエステル離型フィルムは、500V未満、あるいは150V~450V、あるいは200V~450V、あるいは200V~400V、あるいは250V~400V、あるいは250V~350Vの低い摩擦帯電圧を有することができる。
【0046】
本明細書で、前記摩擦帯電圧は、KS K 0555の標準試験法によって測定されたものである。具体的に、前記摩擦帯電圧の測定は、通常のロータリースタティックテスター(rotary static tester)を用いて前記ポリエステル離型フィルムに対する摩擦静電気を測定する方法で行うことができる。この際、A面(前記ポリエステル離型フィルムにおける前記離型層の面)およびB面(前記離型層が形成されていないポリエステル基材層サンプルの面)を、回転速度300rpmで180秒間摩擦させて、発生する静電気量を測定する。
【0047】
さらに、前記ポリエステル離型フィルムは、低いヘイズ値を有しながらも優れた加工コーティング性を示すことができる。
【0048】
例えば、前記ポリエステル離型フィルムは、3.90%以下のヘイズを有することができる。好ましくは、前記ポリエステル離型フィルムは、3.90%以下、あるいは3.50~3.90%、あるいは3.60~3.90%、あるいは3.60~3.85%、あるいは3.70~3.85%、あるいは3.75~3.85%のヘイズを有することができる。
【0049】
そして、前記ポリエステル離型フィルムは、下記式1を充足する優れた加工コーティング性を有することができる:
【0050】
[式1]
NH=0
【0051】
上記式1中、NHは、前記ポリエステル離型フィルムの前記離型層上に、UV樹脂を厚さ10μmで塗布して硬化させた時に、単位面積(m2)当りに生成されるピンホールの個数である。
【0052】
即ち、前記ポリエステル離型フィルムを基材として使用する任意の製造工程にて、前記離型層上に任意の樹脂層を形成させる時、前記離型層上にはピンホールが実質的に形成されず、優れた加工コーティング性を示すことができる。
【0053】
そして、前記ポリエステル離型フィルムは、90%~95%の全光線透過率、85°~90°の水接触角、50°~60°のジヨードメタン(diiodomethane)接触角、および30~35mN/mの表面エネルギーを示しうる。
【0054】
一方、発明の他の一実施形態によれば、厚さ10~300μmのポリエステル基材層、および前記基材層上にインラインコーティングによって形成された厚さ20~200nmの離型層を含み、前記離型層は、ポリエステル樹脂を含むバインダー、および前記バインダー上に分散されたポリオレフィンワックスを含み、10gf/inch以下の剥離力および500V未満の摩擦帯電圧を有する、薄膜偏光板用ポリエステル離型フィルムが提供される。
【0055】
前記ポリエステル離型フィルムにおいて、前記ポリエステル基材層、前記離型層に関する具体的な内容は先に説明した内容で代える。
【0056】
前記ポリエステル離型フィルムで、特に、前記離型層は、前記ポリエステル基材層上にインラインコーティングによって形成されたものである。前記離型層は、前記バインダーおよびポリオレフィンワックスを含む水系コーティング組成物を前記ポリエステル基材層上にインラインコーティング法によって塗布して形成することができる。
【0057】
前記離型層は、前記インラインコーティング法によって形成されることによって、塗布厚さが薄いながらも前記ポリエステル基材層との接着力に優れ、水分および溶剤に対する優れた耐性を示すことができる。
【0058】
前記ポリエステル離型フィルムは、優れた剥離性と低い摩擦帯電圧を有することによって、薄膜偏光板の製造時、離型用基材フィルムとして好適に使用することができる。
【0059】
非制限的な例として、前記薄膜偏光板の製造時、前記ポリエステル離型フィルムの前記基材層上には、バリアコーティング層;ポリビニルアルコール樹脂層;接着層;および、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、またはポリメチルメタクリレート(PMMA)などの樹脂層が、順次に積層して積層体を形成することができる。そして、前記ポリエステル離型フィルムは、前記積層体から除去することができる。
【0060】
II.ポリエステル離型フィルムの製造方法
発明のまた他の一実施形態によれば、(i)機械方向(MD)に延伸されたポリエステル基材層を準備する段階、(ii)ポリエステル樹脂を含むバインダー、および前記バインダー上に分散されたポリオレフィンワックスを含む水系コーティング組成物を、前記ポリエステル基材層の少なくとも一面に塗布して離型層を形成する段階、および、(iii)前記ポリエステル基材層と前記ポリエステル基材層上に形成された前記離型層を含む積層体を横方向(TD)に延伸しながら熱処理する段階、を含み;前記段階(iii)は、通過区間に供給される空気の総熱量が222,000kcal/min~229,000kcal/minである熱処理装置に、前記積層体を通過させて行われる、前記ポリエステル離型フィルムの製造方法が提供される。
【0061】
(i)機械方向(MD)に延伸されたポリエステル基材層を準備する段階が行われる。
【0062】
前記ポリエステル基材層は、ポリエステル樹脂からなるものである。前記ポリエステル基材層としては、本発明の属する技術分野における通常のものを特別な制限なく使用することができる。
【0063】
前記ポリエステル基材層は、機械方向(MD、あるいは長さ方向)に延伸されたものが準備される。好ましくは、前記ポリエステル基材層は、機械方向(MD)に2倍~5倍延伸されたものであってもよい。
【0064】
前記ポリエステル基材層は、10~300μmの厚さを有するのが好ましい。
【0065】
その次に、(ii)ポリエステル樹脂を含むバインダー、および前記バインダー上に分散されたポリオレフィンワックスを含む水系コーティング組成物を、前記ポリエステル基材層の少なくとも一面に塗布して離型層を形成する段階が行われる。
【0066】
前記水系コーティング組成物は、前記ポリエステル基材層上に前記離型層を形成させるためのものである。
【0067】
前記水系コーティング組成物は、前記バインダー、および前記バインダー上に分散されたポリオレフィンワックスを含む。
【0068】
前記バインダーとしては前記ポリエステル樹脂が含まれる。前記バインダーとしてはアクリル系樹脂がさらに含まれてもよい。
【0069】
前記ポリエステル樹脂、前記アクリル系樹脂、および前記ポリオレフィンワックスに関する具体的な内容は、<I.ポリエステル離型フィルム>の項目で説明した内容で代える。
【0070】
一例として、前記バインダーは、前記ポリエステル樹脂および前記アクリル系樹脂を1:0.5~1:1.5の固形分の重量比で含むのが好ましい。
【0071】
そして、前記水系コーティング組成物は、100重量部の前記バインダーに対して10~40重量部の前記ポリオレフィンワックスを含むのが好ましい。
【0072】
前記水系コーティング組成物に含まれている前記バインダーおよび前記ポリオレフィンワックスの固形分基準の総含量は、4.5~6.4重量%、あるいは4.5~6.0重量%、あるいは4.5~5.8重量%、あるいは5.0~5.8重量%、あるいは5.1~5.8重量%であるのが好ましい。
【0073】
前記水系コーティング組成物に含まれている前記バインダーおよび前記ポリオレフィンワックスの固形分基準の総含量が過度に低い場合、転写特性と剥離性が劣悪になり、摩擦帯電圧が大きくなりうる。そして、前記固形分基準総含量が過度に高い場合、前記ポリエステル離型フィルムの製造時、微細ピンホールが発生するなど加工コーティング性低下しうる。
【0074】
前記水系コーティング組成物には、必要によって、シリコーン系ウェッティング剤(wetting agent)、フッ素系ウェッティング剤、硬化剤、酸触媒、スリップ剤、消泡剤、湿潤剤、界面活性剤、増粘剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、および架橋剤といった添加剤が、さらに付加されてもよい。前記添加剤は、前記水系コーティング組成物および前記離型層の物性を阻害しない限度内で選択的に使用することができる。
【0075】
前記水系コーティング組成物は、前述の成分と水を均一に混合する方法で準備することができる。前記水系コーティング組成物の固形分含量は20~60重量%であることがコーティング工程の効率性確保のために好ましい。
【0076】
前記離型層は、前記水系コーティング組成物を使用したインラインコーティング法によって、前記ポリエステル基材層の少なくとも一面に形成することができる。前記インラインコーティング法によって前記離型層を形成することにより、塗布厚さが薄いながらも前記ポリエステル基材層との接着力に優れ、水分および溶剤に対する優れた耐性を示すことができる。
【0077】
前記インラインコーティング法は、通常の装置を用いて行うことができる。
【0078】
前記インラインコーティングを行うにあたり、前記水系コーティング組成物は、前記離型層の最終延伸および乾燥の後に、厚さが20~200nmになるように塗布することができる。
【0079】
前記水系コーティング組成物を前記ポリエステル基材層上に塗布した後、前記水系コーティング組成物の水分を除去し硬化させることによって前記離型層が形成される。
【0080】
その次に、(iii)前記ポリエステル基材層と、前記ポリエステル基材層上に形成された前記離型層とを含む積層体を、横方向(TD、あるいは幅方向)に延伸しながら熱処理する段階が行われる。
【0081】
前記段階(iii)で、前記積層体は横方向(TD)に2倍~5倍延伸されうる。
【0082】
例えば、機械方向(MD)に一軸延伸された前記ポリエステル基材層上に、前記離型層を形成した後、これを横方向(TD)に延伸する。このような延伸工程を通じて、前記ポリエステル基材層は機械方向および横方向に二軸延伸され、前記離型層は横方向に一軸延伸される。
【0083】
前記段階(iii)は、テンター(tenter)といった通常の熱処理装置を用いて行うことができる。前記段階(iii)にて、前記積層体はテンターを連続的に通過する。
【0084】
前記積層体は、前記テンターの前段部を通過しながら予熱され、前記テンターの中段部を通過しながら横方向(TD)延伸され、前記テンターの後段部を通過しながら熱処理される。前記熱処理は、前記横方向延伸の際、前記積層体に加えられた張力を維持した状態で加熱されることを意味する。
【0085】
好ましくは、前記段階(iii)は、通過区間に供給される空気の総熱量が222,000kcal/min~229,000kcal/minである熱処理装置に前記積層体を通過させて行うことができる。前記熱処理装置を通過する前記積層体は、前記総熱量範囲下に露出されながら前記横方向延伸および熱処理される。
【0086】
例えば、前記段階(iii)は、全体通過区間に供給される空気の総熱量が、222,000kcal/min以上、あるいは225,000kcal/min以上、あるいは226,000kcal/min以上、そして229,000kcal/min以下、あるいは228,000kcal/min、あるいは227,000kcal/min以下である熱処理装置に、前記積層体を通過させて行うことができる。
【0087】
具体的に、前記段階(iii)は、全体通過区間に供給される空気の総熱量が、222,000kcal/min~229,000kcal/min、あるいは225,000kcal/min~229,000kcal/min、あるいは226,000kcal/min~229,000kcal/min、あるいは226,000kcal/min~228,000kcal/min、あるいは226,000kcal/min~227,000kcal/minである熱処理装置に、前記積層体を通過させて行うことができる。
【0088】
前記段階(iii)で、前記積層体が通過する全体区間に供給される空気の総熱量(kcal)は、前記区間の温度(℃)、前記熱処理装置に供給される空気の質量(kg/min)、空気の比熱(kcal/kg℃)といったデータから計算することができる。前記空気の質量(kg/min)は、空気の体積流量(Nm3/min)および空気の密度(kg/Nm3)から得られる。
【0089】
例えば、前記熱処理装置で、任意の区間(zone)に供給される空気の密度が1.286kg/Nm3であり、空気の比熱が0.24kcal/kg℃であり、空気の体積流量が380Nm3/min、空気の初期温度が20℃であり、前記区間の設定温度が220℃であるというとき、前記区間に供給される空気の総熱量(kcal)は、下記計算式1および2によって、23,456.64kcal/minが得られる。
【0090】
[計算式1]
空気の質量(kg/min)=空気の体積流量(Nm3/min)×空気の密度(kg/Nm3)
【0091】
[計算式2]
空気の熱量(kcal/min)=空気の質量(kg/min)×空気の比熱(kcal/kg℃)×温度変化(℃)
【0092】
そして、前記区間の通過長さが3mであり、前記積層体が100m/minの速度で前記区間を通過する際、前記区間にて前記積層体が露出される熱量としては、下記計算式3によって7,037kcal/zone(区間)が得られる。
【0093】
[計算式3]
積層体が露出される熱量(kcal/zone)=空気の熱量(kcal/min)×区間の通過長さ(m/zone)×積層体の速度(m/min)
【0094】
発明の一実施形態によれば、前記積層体について、44,000kcal/min~46,000kcal/minの熱量が供給される区間を通過させて予熱する工程;予熱された前記積層体を62,000kcal/min~64,000kcal/minの熱量が供給される区間を通過させながら前記横方向(TD)に延伸する工程;および、延伸された前記積層体を114,000kcal/min~120,000kcal/minの熱量が供給される区間を通過させながら前記熱処理する工程、を含んで行うことができる。
【0095】
好ましくは、前記予熱する工程は、前記積層体を45,000kcal/min~46,000kcal/minの熱量が供給される区間を通過させながら行うことができる。
【0096】
好ましくは、前記横方向に延伸する工程は、予熱された前記積層体を63,000kcal/min~64,000kcal/minの熱量が供給される区間を通過させながら行うことができる。
【0097】
そして、好ましくは、前記熱処理する工程は、延伸された前記積層体を115,000kcal/min~120,000kcal/min、あるいは115,000kcal/min~119,000kcal/min、あるいは116,000kcal/min~119,000kcal/min、あるいは117,000kcal/min~118,500kcal/min、あるいは118,000kcal/min~118,500kcal/minの熱量が供給される区間を通過させながら行うことができる。
【0098】
前記段階(iii)において、前記予熱する工程、前記横方向に延伸する工程、および前記熱処理する工程は、必要によって供給される熱量を前述の範囲内で異にした二つ以上の区間(zones)にそれぞれ分けて行うことができる。
【0099】
非制限的な例として、前記段階(iii)では、前記積層体を二つの予熱区間、三つの延伸区間、および五つの熱処理区間に、順次に通過させながら、横方向延伸と熱処理を行うことができる。
【0100】
前記段階(iii)(特に、前記横方向延伸後、熱処理区間)で通過区間に供給される空気の総熱量が過度に低い場合、前記ポリエステル離型フィルムの剥離性と転写特性が劣悪になり、摩擦帯電圧が大きくなりうる。そして、前記段階(iii)(特に、前記横方向延伸後、熱処理区間)で通過区間に供給される空気の総熱量が過度に高い場合、前記ポリエステル離型フィルムの表面エネルギーが低まって加工コーティング性が低下することがある。
【0101】
そして、前記段階(iii)にて、前記積層体は、前記熱処理装置を80m/min~120m/min、あるいは90m/min~110m/min、あるいは90m/min~100m/minの速度で通過するのが好ましい。
【0102】
前記段階(iii)を行うことにおいて、前記各区間にて前記積層体を適切な熱量下に露出させ、前記横方向延伸と熱処理が十分に行われるようにするために、前記積層体は前記速度範囲内で前記熱処理装置を通過するのが好ましい。
【0103】
前記段階(iii)は、120℃~245℃の下で行うことができる。
【0104】
例えば、前記段階(iii)は、120℃~150℃の下で前記積層体を予熱する工程;130℃~150℃下ので前記予熱された積層体を横方向に延伸する工程;および215℃~245℃の下で、前記延伸された積層体を熱処理する工程で行うことができる。
【0105】
特に、前記延伸された積層体を熱処理する工程は、215℃以上、あるいは220℃以上、あるいは225℃以上、あるいは230℃以上;そして245℃以下、あるいは240℃以下、あるいは235℃以下で行うことができる。具体的に、前記延伸された積層体を熱処理する工程は、215~245℃、あるいは220~245℃、あるいは220~240℃、あるいは225~240℃、あるいは225~235℃、あるいは230~235℃の下で行うことができる。
【0106】
前記延伸された積層体を熱処理する工程の温度が過度に低い場合、前記ポリエステル離型フィルムの剥離性が劣悪になり、摩擦帯電圧が大きくなりうる。そして、前記熱処理温度が過度に高い場合、前記ポリエステル離型フィルムの製造時、微細ピンホールが発生するなど、加工コーティング性が低下することがある。
【0107】
前記段階(iii)の遂行後、150℃~200℃の下で機械方向および横方向に、それぞれ2~10%だけ弛緩させる工程を行うことができる。
【0108】
前記工程によって得られる前記ポリエステル離型フィルムの最終厚さは、20~100μm、あるいは30~80μm、あるいは30~50μmであってもよい。
【発明の効果】
【0109】
本発明によれば、非シリコーン系素材からなりながらも優れた剥離性と低い摩擦帯電圧を有するポリエステル離型フィルムと、その製造方法が提供される。前記ポリエステル離型フィルムは、薄膜偏光板の製造時に離型用基材フィルムとして好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0110】
以下、発明の理解のために好ましい実施例が提示される。しかし、下記の実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明をこれらのみで限定するのではない。
【実施例】
【0111】
製造例1
ジエチレングリコールとエチレングリコールを5:5のモル比で含む50モル%のグリコール成分と、テレフタル酸とスルホテレフタル酸を8.5:1.5のモル比で含む50モル%の酸成分とを、縮重合して第1ポリエステル樹脂を得た(重量平均分子量10,000g/mol)。
【0112】
蒸留水に、100重量部の前記第1ポリエステル樹脂、および、25重量部のポリエチレンワックスを添加し、30分間攪拌して第1樹脂組成物(固形分20重量%)を製造した。
【0113】
製造例2
ジエチレングリコールとエチレングリコールを5:5のモル比で含む50モル%のグリコール成分と、テレフタル酸とスルホテレフタル酸を8.5:1.5のモル比で含む50モル%の酸成分とを、縮重合して第2ポリエステル樹脂を得た(重量平均分子量3,000g/mol)。
【0114】
アクリル酸グリシジル60モル%およびプロピオン酸ビニル40モル%を共重合して、アクリル系樹脂を得た(重量平均分子量50,000g/mol)。
【0115】
蒸留水に、50重量部の前記第2ポリエステル樹脂、50重量部の前記アクリル系樹脂、および25重量部のポリエチレンワックスを添加し、30分間攪拌して第2樹脂組成物(固形分20重量%)を製造した。
【0116】
実施例1
(i)機械方向(MD)に3.5倍延伸されたポリエチレンテレフタレート(PET)基材層を準備した。具体的に、水分が100ppm以下に除去されたPETチップを溶融押出機に注入して溶融した後、T-ダイを通じて押出しながら表面温度20℃のキャスティングドラムで急冷および固化させてPETシートを製造した。製造されたPETシートを110℃で機械方向に3.5倍延伸した後、常温に冷却して前記PET基材層を得た。
【0117】
(ii)前記製造例1による第1樹脂組成物14.3重量%(固形分20重量%)、前記製造例2による第2樹脂組成物14.3重量%(固形分20重量%)、シリコーン系ウェッティング剤0.2重量%(Dow Corning社、Q2-5212、固形分90重量%)、フッ素系ウェッティング剤0.2重量%(DuPont社、FS-31、固形分25重量%)、および蒸留水71重量%を混合して水系コーティング組成物を製造した。
【0118】
グラビアコーターを用いて前記水系コーティング組成物を、前記PET基材層上に最終乾燥後の厚さが70nmになるように塗布して、積層体を形成した。
【0119】
(iii)その次に、予熱区間、延伸区間、および熱処理区間に区画されたテンター(tenter)にて、前記積層体を横方向(TD)に、4倍に延伸しながら熱処理する段階が行われた。
【0120】
予熱区間、延伸区間、および熱処理区間を順次に含む、全長33mの前記テンターに、前記積層体(初期幅5.12m、初期厚さ152μm)が100m/minの移動速度で通過しながら前記段階(iii)が行われた。
【0121】
前記段階(iii)は、通過区間に供給される空気の総熱量が226,400kcal/minである前記テンターに、前記積層体を通過させて行われた。
【0122】
前記段階(iii)で、前記テンターに供給される空気の密度は1.286kg/Nm3であり、空気の比熱は0.24kcal/kg℃と確認され、空気の体積流量は270~680Nm3/minの範囲内で調節された。
【0123】
具体的に、前記積層体は約120℃~130℃の温度下で45,000kcal/minの熱量が供給される前記予熱区間(通過長さ7.5m)を通過した。連続して、予熱された前記積層体は約130℃~140℃の温度下で63,200kcal/minの熱量が供給される前記延伸区間(通過長さ10.5m)を通過しながら横方向に4倍延伸された。連続して、延伸された前記積層体は230~235℃の温度下で118,200kcal/minの熱量が供給される前記熱処理区間(通過長さ15m)を通過しながら熱処理された。
【0124】
前記熱処理段階後、200℃で機械方向および横方向にそれぞれ10%ずつ弛緩させて熱固定することによって、総厚さ38μmのポリエステル離型フィルムを製造した。
【0125】
実施例2
前記実施例1と同様の方法で、機械方向(MD)に3.5倍延伸されたPET基材層を準備した。
【0126】
前記製造例1による第1樹脂組成物25.75重量%(固形分20重量%)、メラミン硬化剤0.81重量%(DIC社、J-101LF、固形分70重量%)、酸触媒0.48重量%(KING INDUSTRY社、Nacure8924、固形分25重量%)、シリコーン系ウェッティング剤0.2重量%(Dow Corning社、Q2-5212、固形分90重量%)、および蒸留水72.8重量%を混合して、水系コーティング組成物を製造した。
【0127】
グラビアコーターを用いて前記水系コーティング組成物を前記PET基材層上に最終乾燥後の厚さが70nmになるように塗布して積層体を形成した。その次に、前記実施例1と同様の方法で横方向(TD)延伸と熱処理が行われた。前記熱処理段階の後、200℃で機械方向および横方向に、それぞれ10%ずつ弛緩させて熱固定することによって、総厚さ38μmのポリエステル離型フィルムを製造した。
【0128】
比較例1
前記実施例1と同様の方法で、機械方向(MD)に3.5倍延伸されたPET基材層を準備した。
【0129】
前記製造例1による第1樹脂組成物10.75重量%(固形分20重量%)、前記製造例2による第2樹脂組成物10.75重量%(固形分20重量%)、シリコーン系ウェッティング剤0.2重量%(Dow Corning社、Q2-5212、固形分90重量%)、フッ素系ウェッティング剤0.2重量%(DuPont社、FS-31、固形分25重量%)、および蒸留水78.1重量%を混合して水系コーティング組成物を製造した。
【0130】
グラビアコーターを用いて前記水系コーティング組成物を、前記PET基材層上に最終乾燥後の厚さが70nmになるように塗布して、積層体を形成した。その次に、前記実施例1と同様の方法で、横方向(TD)延伸と熱処理が行われた。前記熱処理段階の後、200℃で機械方向および横方向に、それぞれ10%ずつ弛緩させて熱固定することによって、総厚さ38μmのポリエステル離型フィルムを製造した。
【0131】
比較例2
前記実施例1と同様な方法で、機械方向(MD)に3.5倍延伸されたPET基材層を準備した。
【0132】
前記製造例1による第1樹脂組成物17.9重量%(固形分20重量%)、前記製造例2による第2樹脂組成物17.9重量%(固形分20重量%)、シリコーン系ウェッティング剤0.2重量%(Dow Corning社、Q2-5212、固形分90重量%)、フッ素系ウェッティング剤0.2重量%(DuPont社、FS-31、固形分25重量%)、および蒸留水63.8重量%を混合して、水系コーティング組成物を製造した。
【0133】
グラビアコーターを用いて前記水系コーティング組成物を、前記PET基材層上に最終乾燥後の厚さが70nmになるように塗布して、積層体を形成した。その次に、前記実施例1と同様の方法で、横方向(TD)延伸と熱処理が行われた。前記熱処理段階の後、200℃で機械方向および横方向に、それぞれ10%ずつ弛緩させて熱固定することによって、総厚さ38μmのポリエステル離型フィルムを製造した。
【0134】
比較例3
前記実施例1と同様の方法で、機械方向(MD)に3.5倍延伸されたPET基材層を準備した。
【0135】
前記製造例1による第1樹脂組成物19.3重量%(固形分20重量%)、メラミン硬化剤0.61重量%(DIC社、J-101LF、固形分70重量%)、酸触媒0.36重量%(KING INDUSTRY社、Nacure 8924、固形分25重量%)、シリコーン系ウェッティング剤0.2重量%(Dow Corning社、固形分90重量%)、および蒸留水79.5重量%を混合して水系コーティング組成物を製造した。
【0136】
グラビアコーターを用いて前記水系コーティング組成物を、前記PET基材層上に最終乾燥後の厚さが70nmになるように塗布して積層体を形成した。その次に、前記実施例1と同様な方法で横方向(TD)延伸と熱処理が行われた。前記熱処理段階の後、200℃で機械方向および横方向にそれぞれ10%ずつ弛緩させて熱固定することによって、総厚さ38μmのポリエステル離型フィルムを製造した。
【0137】
比較例4
前記実施例1と同様の方法で、機械方向(MD)に3.5倍延伸されたPET基材層を準備した。
【0138】
前記製造例1による第1樹脂組成物32.2重量%(固形分20重量%)、メラミン硬化剤1.03重量%(DIC社、J-101LF、固形分70重量%)、酸触媒0.56重量%(KING INDUSTRY社、Nacure 8924、固形分25重量%)、シリコーン系ウェッティング剤0.2重量%(Dow Corning社、Q2-5212、固形分90重量%)、および蒸留水66重量%を混合して水系コーティング組成物を製造した。
【0139】
グラビアコーターを用いて前記水系コーティング組成物を、前記PET基材層上に最終乾燥後厚さ70nmになるように塗布して、積層体を形成した。その次に、前記実施例1と同様の方法で、横方向(TD)延伸と熱処理が行われた。前記熱処理段階の後、200℃で機械方向および横方向に、それぞれ10%ずつ弛緩させて熱固定することによって、総厚さ38μmのポリエステル離型フィルムを製造した。
【0140】
比較例5
前記段階(iii)の前記テンターにおいて、通過区間に供給される空気の総熱量が221,400kcal/minになるようにしたことを除いて、前記実施例1と同様の方法で厚さ38μmのポリエステル離型フィルムを製造した。
【0141】
具体的に、前記積層体は、約120℃~130℃の温度下で45,000kcal/minの熱量が供給される前記予熱区間(通過長さ7.5m)を通過した。連続して、予熱された前記積層体は約130℃~140℃の温度下で63,200kcal/minの熱量が供給される前記延伸区間(通過長さ10.5m)を通過しながら横方向に4倍延伸された。連続して、延伸された前記積層体は230~235℃の温度下で113,200kcal/minの熱量が供給される前記熱処理区間(通過長さ15m)を通過しながら熱処理された。
【0142】
比較例6
前記段階(iii)の前記テンターにおいて、通過区間に供給される空気の総熱量が229,200kcal/minになるようにしたことを除いて、前記実施例1と同様の方法で厚さ38μmのポリエステル離型フィルムを製造した。
【0143】
具体的に、前記積層体は約120℃~130℃の温度下で45,000kcal/minの熱量が供給される前記予熱区間(通過長さ7.5m)を通過した。連続して、予熱された前記積層体は約130℃~140℃の温度下で63,200kcal/minの熱量が供給される前記延伸区間(通過長さ10.5m)を通過しながら横方向に4倍延伸された。連続して、延伸された前記積層体は230~235℃の温度下で121,000kcal/minの熱量が供給される前記熱処理区間(通過長さ15m)を通過しながら熱処理された。
【0144】
比較例7
前記段階(iii)の前記テンターにおいて、通過区間に供給される空気の総熱量が221,400kcal/minになるようにしたことを除いて、前記実施例2と同様な方法で厚さ38μmのポリエステル離型フィルムを製造した。
【0145】
具体的に、前記積層体は約120℃~130℃の温度下で45,000kcal/minの熱量が供給される前記予熱区間(通過長さ7.5m)を通過した。連続して、予熱された前記積層体は約130℃~140℃の温度下で63,200kcal/minの熱量が供給される前記延伸区間(通過長さ10.5m)を通過しながら横方向に4倍延伸された。連続して、延伸された前記積層体は230~235℃の温度下で113,200kcal/minの熱量が供給される前記熱処理区間(通過長さ15m)を通過しながら熱処理された。
【0146】
比較例8
前記段階(iii)の前記テンターにおいて、通過区間に供給される空気の総熱量が229,200kcal/minになるようにしたことを除いて、前記実施例2と同様な方法で厚さ38μmのポリエステル離型フィルムを製造した。
【0147】
具体的に、前記積層体は、約120℃~130℃の温度下で45,000kcal/minの熱量が供給される前記予熱区間(通過長さ7.5m)を通過した。連続して、予熱された前記積層体は、約130℃~140℃の温度下で63,200kcal/minの熱量が供給される前記延伸区間(通過長さ10.5m)を通過しながら、横方向に4倍延伸された。これに連続して、延伸された前記積層体は、230~235℃の温度下で、121,000kcal/minの熱量が供給される前記熱処理区間(通過長さ15m)を通過しながら熱処理された。
【0148】
試験例
(1)光学特性
:ヘーズメーター(Haze meter)(日本電色工業株式会社;Nipon denshoku、NDH5000)を用いて前記実施例および比較例のフィルムに対するヘイズ(haze)および全光線透過率(TT)を測定した。
【0149】
(2)転写特性(Transfer test)
:ポリエステル離型フィルムの離型層上に無-処理されたPET基材フィルムを積層させ50gf/inchの荷重を与えて45℃のオーブンに24時間放置した後、水接触角の差が△2°以上であれば転写有(あるいはO)と表記し、水接触角の差がない場合、転写無(あるいはX)と表記した。
【0150】
(3)水接触角
:接触角測定器(KRUSS、DSA100)を用いて前記フィルムの離型層に対する水接触角を測定した。純粋3μL(S1、Volume mode)を前記フィルム試片に落とし15秒間の水接触角平均を測定した。総5回測定してその平均値を示した。
【0151】
(4)ジヨードメタン(Diiodomethane)接触角
:接触角測定器(KRUSS、DSA100)を用いて前記フィルムの離型層に対するジヨードメタン(diiodomethane)接触角を測定した。Diiodomethane1μL(S1、Volume mode)を前記フィルム試片に落とし、15秒間のdiiodomethane接触角平均を測定した。総5回測定して、その平均値を示した。
【0152】
(5)表面エネルギー
:前記水接触角とdiiodomethane接触角の測定結果から、Owens-Wendt法(Method)を用いて、前記フィルムの離型層の表面エネルギーを計算した。
【0153】
(6)加工コーティング性
:前記フィルムの離型層上に、UV樹脂(Miwon Specialty Chemical Co., MIRAMER M1130)を厚さ10μmで塗布して、UV硬化させたサンプルを準備した。前記サンプルの加工コーティング性を下記の基準によって評価した。
【0154】
*1等級-単位面積(m2)当り、ピンホール無し
*2等級-単位面積(m2)当り、ピンホール2個以下
*3等級-単位面積(m2)当り、ピンホール5個以下
*4等級-単位面積(m2)当り、ピンホール10個以下
*5等級-単位面積(m2)当り、ピンホール10個超
【0155】
(7)剥離力
:ASTM D903の標準試験法を参照して、前記フィルムの離型層の上に、UV樹脂(Miwon Specialty Chemical Co., MIRAMER M1130)を厚さ10μmで塗布して、UV硬化層を形成させた第1サンプルを準備する段階;前記第1サンプルの前記UV樹脂硬化層の上にTESAテープを、2kgゴムロールを使用して2回往復して擦り付けた後、2.5mm×15cmの大きさに切断して第2サンプルを準備する段階;および、前記第2サンプル上に70g/cm2の荷重を加えて常温にて30分間放置した後、剥離試験器(Chem Instrument社、AR-1000)を用いて300mm/minの剥離速度で、前記TESAテープを180度剥離する段階を含む方法で剥離力を測定した。
【0156】
(8)摩擦帯電圧
:ロータリースタティックテスター(Daiei Kagaku Seiki MFG、RST-300a)を用いて前記ポリエステル離型フィルムに対する摩擦静電気を測定した。A面(前記ポリエステル離型フィルムにおいて前記離型層面)を回転ドラムに取付け、B面(前記離型層が形成されていないポリエステル基材層サンプル面)を摩擦帯に固定させる。機械的制御下で、前記A面を回転速度300rpmで回転させながら、前記B面を前記摩擦帯に180秒間擦り付けた後、帯電量を測定する。
【0157】
【0158】
【0159】
S*:水系コーティング組成物に含まれているバインダーおよびポリオレフィンワックスの総含量(固形分基準)
T*:テンターでの熱処理温度(℃)
H*:テンターでの総熱量(kcal)
A*:Haze(%)
B*:全光線透過率(%)
C*:水接触角(°)
D*:Diiodomethane接触角(°)
E*:表面エネルギー(mN/m)
F*:加工コーティング性(等級)
G*:剥離力(gf/inch)
H*:転写特性
I*:摩擦帯電圧(V)
【0160】
前記表1および2を参照すれば、実施例によるポリエステル離型フィルムは、比較例の離型フィルムに比べて、転写特性と加工コーティング性に優れながらも優れた剥離性と低い摩擦帯電圧を有することが確認された。