(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】コヒーレント分散型音響センシングのための複素および位相領域振動強度推定
(51)【国際特許分類】
G01H 9/00 20060101AFI20240308BHJP
G01D 5/353 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
G01H9/00 E
G01D5/353 B
(21)【出願番号】P 2022570268
(86)(22)【出願日】2021-05-12
(86)【国際出願番号】 US2021031881
(87)【国際公開番号】W WO2021236383
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-12-09
(32)【優先日】2020-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504080663
【氏名又は名称】エヌイーシー ラボラトリーズ アメリカ インク
【氏名又は名称原語表記】NEC Laboratories America, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】イプ、 エズラ
(72)【発明者】
【氏名】ホ、 ジュンチャン
(72)【発明者】
【氏名】ホワン、 ユエ-カイ
【審査官】目黒 大地
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-003464(JP,A)
【文献】特開2017-026503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 1/00-17/00
G01D 5/26- 5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散型光ファイバセンシングシステムの動作方法であって、前記
分散型光ファイバセンシングシステムは、
光ファイバと、
前記光ファイバ
からの光信号を受信するコヒーレント検出器および解析装置を
有するセンシングインタロゲータとを含み、
前記方法は、
前記センシングインタロゲータにおいて、前記光ファイバからの光信号を、複素信号を使用した振動強度推定と位相信号を使用した振動強度推定との組み合わせにより解析し、
前記解析の結果に基づき、前記
光ファイバの1つ以上の点で発生する振動源を
特定す
ることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記
光ファイバの点における信号包絡線とDAS信号フェージング位置とを決定することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
前記
光ファイバのフェージング位置を決定し、前記決定されたフェージング位置を用いて前記
位相信号を使用した振動強度推定を決定することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
ユーザ定義閾値を適用し、前記フェージング位置を決定することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、
前記光ファイバに
おいてレイリーフェージング
が発生している可能性が高い場合、前記複素信号を使用した振動強度推定のみを適用することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、
前記光ファイバの低振動領域で生じるノイズが抑制されるように、前記
位相信号を使用した振動強度推定に非線形レベル調整を適用することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、分散型光ファイバセンシングに関し、より詳細には、マルチスパンファイバリンク上の分散型音響センシングに関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、分散型光ファイバセンシング(DFOS)およびより詳細に分散型音響センシング(DAS)は、インフラストラクチャモニタリング、石油およびガス操作および地震検出を含む任意の数のアプリケーションに適用した場合に、大きな有用性を示している。
【0003】
分散音響センシングシステムは、光ファイバにおけるレイリー散乱効果を用いて、ファイバ歪の変化を検出する。その長さに沿ったファイバ位置で生成された反射光信号から計算される動的歪信号は、インタロゲーションを受けるセンシングファイバ(ケーブル)の全長に沿った振動および音響信号を検出するために使用される。歪信号を導出し、振動強度を得るために、ほとんどのDASシステムは、微分セグメントビーティングまたは点参照法のいずれかを介して光信号位相変化を計算することに依存している。
【0004】
レイリー散乱は光ファイバにおけるランダム効果であるため、残念ながら、位相変化計算の精度はレイリーフェージング効果によって影響される可能性がある。このように、ファイバに沿った特定の位置では、信号強度がシステムノイズレベル以下に減衰していく可能性が存在する。このようなフェージングが発生すると、位相結果の計算に誤差が生じる。比較的静かな環境(静的フェージング)でさえ、激しくフェージングした場所は、振動強度を決定するために直接位相計算を使用した場合、高振動の誤った表示を生じる可能性がある。大きな振動が一般的に発生する環境(架空ケーブル/フェンス設置)では、振動信号自体がDAS信号をノイズレベル付近またはそれ以下にフェードさせる可能性があり、そのため、これらの時間インスタンスで位相計算の不安定性が発生する(動的フェージング)。
【発明の概要】
【0005】
分散型音響センシングのためのシステム、方法、および構造を対象とする本開示の態様によって上記の問題は解決され、技術の進歩がなされる。従来技術と対照的に本開示の態様によるシステム、方法、および構造は、「複素および位相領域の振動強度の組み合わせ推定」を採用し、ここで、振動強度を計算する2つの方法は、レイリーフェージング効果から緩和された影響を示すDAS出力信号を生成するために使用される。
【0006】
動作上、本開示によるシステム、方法、および構造は、複素領域信号推定器を使用して、信号包絡線を決定し、受信したDAS信号内のセンシングファイバの長さに沿った位置が減衰を経験しているかどうかを判断する。フェージング位置の知識は、次いで、位相領域推定器出力が振動強度指標として使用され得るかどうかを決定するために使用される。最後に、振動強度結果に対するレイリーフェージングの任意の影響を緩和するために、複素領域と位相領域との振動推定を組み合わせて使用する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示のより完全な理解は、添付図面を参照することによって実現され得る。
【0008】
【
図1】一般に公知の分散型音響センシング(DAS)のための例示的な従来技術の分散型光ファイバセンシングシステムの概略図を示す図である。
【0009】
【
図2】本開示の態様による複素および位相領域の振動強度推定の組み合わせを示すフロー図である。
【0010】
【
図3(A)】典型的なDAS微分ビーティング信号の増幅プロファイルを示すプロットである。
【
図3(B)】本開示の態様による、複素領域推定器および位相領域推定器を使用して計算された振動強度プロファイルを示すプロットである。
【0011】
【
図4(A)】本開示の態様による、1Vである異なる推定器振幅を有する複素領域推定器を使用して計算された振動強度を示すプロットである。
【
図4(B)】本開示の態様による、2Vである異なる推定器振幅を有する複素領域推定器を使用して計算された振動強度を示すプロットである。
【
図4(C)】本開示の態様による、5Vである異なる推定器振幅を有する複素領域推定器を使用して計算された振動強度を示すプロットである。
【0012】
【
図5(A)】本開示の態様による、1Vであるストレッチャ振幅での複素領域推定器および結合推定器を使用して計算された振動強度プロファイルの比較を示すプロットである。
【
図5(B)】本開示の態様による、2Vであるストレッチャ振幅での複素領域推定器および結合推定器を使用して計算された振動強度プロファイルの比較を示すプロットである。
【
図5(C)】本開示の態様による、5Vであるストレッチャ振幅での複素領域推定器および結合推定器を使用して計算された振動強度プロファイルの比較を示すプロットである。
【0013】
例示的な実施形態は、図面および詳細な説明によってより完全に説明される。しかしながら、本開示による実施形態は、様々な形態で実施することができ、図面および詳細な説明に記載された特定のまたは例示的な実施形態に限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下は、単に本開示の原理を例示するものである。したがって、当業者は、本明細書に明示的に記載または図示されていないが、本開示の原理を具現化し、その精神および範囲内に含まれる様々な構成を考案することができることが理解されよう。
【0015】
さらに、本明細書に列挙されるすべての実施例および条件付き言語は、読者が本開示の原理および本発明者によって当該技術分野を促進するために寄与される概念を理解するのを助けるための教育目的のためにのみ意図され、そのような具体的に列挙された実施例および条件に限定されないと解釈されるべきである。
【0016】
さらに、本開示の原理、態様、および実施形態を列挙する本明細書のすべての記述、ならびにその具体例は、その構造的および機能的均等物の両方を包含することを意図する。さらに、そのような等価物は、現在知られている等価物および将来開発される等価物、すなわち、構造にかかわらず同じ機能を実行する開発された任意の要素の両方を含むことが意図される。
【0017】
したがって、たとえば、本明細書の任意のブロック図は、本開示の原理を実施する例示的な回路の概念図を表すことが当業者には諒解されよう。
【0018】
本明細書で明示的に指定されない限り、図面を含む図は、一定の縮尺で描かれていない。
【0019】
いくつかの追加的背景として-および当技術分野で一般的に知られている分散型音響センシング(DAS)のための例示的な分散型光ファイバセンシングシステムの概略図である
図1を参照して-我々は、まず、分散型光ファイバセンシング(DFOS)が、温度(分散型温度センシング-DTS)、振動(分散型振動センシング-DVS)、伸張レベルなどの環境条件を検出するための重要で広く使用されている技術であり、それは、今度はインタロゲータに接続される光ファイバケーブルに沿った任意の場所であることに着目することから始める。周知のように、現代のインタロゲータは、ファイバへの入力信号を生成し、反射/散乱され、続いて受信された信号を検出/分析するシステムである。信号を分析し、ファイバの長さ方向に沿って遭遇する環境条件を示す出力を生成する。そのように受信された信号は、ラマン後方散乱、レイリー後方散乱、およびブリリオン後方散乱のようなファイバ内の反射から生じることがある。また、複数のモードの速度差を利用した順方向の信号にすることもできる。一般性を損なうことなく、以下の説明では、同様のアプローチを転送された信号にも適用することができるが、反射された信号を仮定する。
【0020】
理解されるように、現代のDFOSシステムは、周期的に光パルス(または任意の符号化信号)を生成し、それらを光ファイバに注入するインタロゲータを含む。注入された光パルス信号は、光ファイバに沿って搬送される。
【0021】
ファイバの長さ方向に沿った位置で、信号の小さな部分が反射され、インタロゲータに戻って搬送される。反射された信号は、インタロゲータが検出するために使用する情報、例えば、機械的振動を示すパワーレベル変化を搬送する。
【0022】
反射された信号は、電気領域に変換され、インタロゲータの内部で処理される。パルス注入時間および時間信号が検出されることに基づいて、インタロゲータは、信号がファイバに沿ったどの位置から来ているかを決定し、それにより、ファイバに沿った各位置の活動を検知することができる。
【0023】
当業者は、レイリー後方散乱に基づくコヒーレント光時間領域反射率測定(OTDR)を用いた分散型音響センシング(DAS)は、音響振動を検出するための良く知られた技術であることを理解し、さらに認識するだろう。
【0024】
図2は、本開示の態様による複素および位相領域の振動強度推定を組み合わせて示すフロー図を示す。図に示すフローチャートでは、2つの異なる振動強度決定法をどのように組み合わせることができるかを例示的に示している。
【0025】
その図を参照すると、DASシステムの前処理は、センシングファイバの長さに沿って、監視された各検知位置に対して複素形式(実数値および虚数値)でビーティング信号(ビート信号)を生成するであろうと仮定し、結合振動強度推定器は、振動強度決定のための入力としてビート信号を使用するであろう。フロー図の上側(上)の経路は、振動強度を推定するために複素ドメイン内の信号強度を直接使用する。一方、フロー図の下側(下)の経路は、振動強度を推定する前に、まず信号の位相軌跡を決定する。
【0026】
複素信号を使用して振動強度を推定するには、信号正規化ステップが必要であることに留意されたい。というのは、各センシングファイバ位置は、ランダムレイリー散乱効果により、異なるDCビーティングバイアスを受けることになるからである。一旦、DCバイアスが異なるセンシングファイバ位置にわたって正規化されると、バンドパスフィルタが、各センシングファイバ位置において複素信号に適用されて、監視された振動に対して関心のある周波数領域を設定する。フィルタリングされた信号は、次に、出力リフレッシュレートに一致するようにレートにおける振動強度を推定するために、複数のサンプルにわたって二乗され、累積される。
【0027】
位相信号を用いて振動強度を推定する際、アンラップ位相値を計算するために付加的なステップが取られる。位相計算後にDCバイアスが除去されるため、正規化ステップはスキップされる。同じバンドパスフィルタを各位置に関連付けられた位相信号に適用して、監視される振動のための関心周波数領域を設定することができる。最後に、フィルタリングした信号を二乗し、複数のサンプルにわたって累積して、出力リフレッシュレートに一致するレートでの振動強度を推定する。
【0028】
著者らは、振動強度推定のためにアンラップ位相信号を使用することは、利点と欠点との両方を持つことに気付いた。位相アンラッピングにより、計算/決定は複素領域に課された(-π、π)の動的レンジを越えて基礎となる信号軌道を追跡できる。しかしながら、DASビーティング結果はレイリーフェージングを頻繁に経験することができるため、位相計算はレイリーフェージング位置にかなりの量のノイズを導入することができる。
【0029】
本開示の態様による方法は、有利には、位相信号を計算する前にフェージング確率を決定するために、各位置のDCバイアス包絡線を最初に計算することによって、この損害を治癒する。DCバイアス包絡線が所定のしきい値(低いフェージング確率)を上回る場合、アンラップ位相信号が計算され、両方法を組み合わせて振動強度が推定される。DCバイアス包絡線が所定の閾値を下回る場合、複素信号ベースの推定結果のみが使用されるであろう。位相信号から推定された強度はまた、推定器が通常複素信号ベースの方法よりも高いノイズを有するため、より低い強度の結果を抑圧するために、付加的な非線形レベル調整工程を受けることに留意されたい。
【0030】
コヒーレントDASシステムにおいて分散型微分ビーティング信号を得るために、まずDSP前処理が用いられる。ビート信号は、2つの別々の位置における複素値レイリー反射信号間のビート積を用いて計算される。コヒーレントDASプラットフォームでは、4つのビーティング積ζxx、ζyy、ζxy、ζyxを各異なる位置で並列に計算し、適当な重みづけとベクトル回転技法による多重偏光状態(MPSC)結合プロセスを用いてビート積ベクトルを1つの信号ストリームに結合する。次に、得られた各ファイバ位置に対する分散型ビート信号を用いて動的ファイバ歪を計算することができ、各位置における振動強度も推定できる。
【0031】
図3(A)は、典型的なDAS微分ビーティング信号の増幅プロファイルを示すプロットであり、
図3(B)は、本開示の態様による、複素領域推定器および位相領域推定器を使用して計算された振動強度プロファイルを示すプロットである。
【0032】
図3(A)には、分散方式の符号化DASシステムにおける1つの前処理ビート信号の振幅プロファイルのプロットが示されている。監視されたセンシングファイバ区間の全長は、5km(監視された区間とコード化されたDASインタロゲータとの間の最初の50kmのファイバスプールの後)であり、1点当たり約5メートルの空間分解能を有する。明瞭に観察できるように、ビート信号の振幅は、部分的にはランダムなレイリー後方散乱による非常に高いゆらぎを示す。
【0033】
ほとんどのセンシングファイバ位置に関して、ビート信号は、ノイズレベルよりも上で十分な電力を示すが、いくつかの例において、それは、レイリーフェージングのために、システムノイズレベルよりも下に落ちることに留意されたい。
【0034】
振動は~3.1kmの位置に置かれたファイバストレッチャを用いてシミュレートした。振動強度を計算する場合、位相アンラッピング後の位相領域と同様に、
図3(B)に示すように、複素領域で計算を行うことができる。ビート信号が激しくフェードする領域では、信号がノイズによって圧倒され、位相アンラッピング計算がノイズの影響を受け、大きなスパイクが生成され、実際の振動位置を見つけることが困難になる。
【0035】
図4(A)は、本開示の態様による、1Vである異なる推定器振幅を有する複素領域推定器を使用して計算された振動強度を示すプロットであり、
図4(B)は、本開示の態様による、2Vである異なる推定器振幅を有する複素領域推定器を使用して計算された振動強度を示すプロットであり、
図4(C)は、本開示の態様による、5Vである異なる推定器振幅を有する複素領域推定器を使用して計算された振動強度を示すプロットである。
【0036】
複素領域推定器を用いることも問題がないわけではないことに留意されたい。レイリーフェージング誘起ノイズスパイクに対する耐性は高いが、それにもかかわらず、部分的には限定された動的レンジに起因する大きな振動強度を推定することは困難である。
【0037】
プロットでは、1Vから2Vへ、5Vへと変化する、異なるストレッチャ入力を持つ監視されたファイバの同じ区間の振動強度プロファイルをプロットした。伸縮振幅は1.6rad,3.2rad,6.4radのラウンドトリップ位相振幅に対応する。観察され得るように、計算された振動強度ピークは、伸縮振幅が2Vから5Vに変化するにつれて実際に低下する。これは複素領域推定器の2π動的レンジに近づく伸張振幅によるもので、余分な信号エネルギーは高次高調波に転送され、強度推定には含まれない。
【0038】
図2に例示的に示されるように、本発明の方法は、その
図2に示されるように、アンラップ位相信号の計算の前に条件ブロックを適用することによって、両方のアプローチの欠点を解決する。場所が低い信号包絡線(ローパスフィルタリングまたは平均化を使用した推定)を有し、レイリーフェージングの可能性が高い場合、フローチャートの上側(上)経路上の複素領域推定器のみが振動強度に使用される。信号包絡線が条件で設定された閾値を超えるパワーを持つ場合、アンラップ位相計算を用いて振動強度を推定し、複素領域推定器と組み合わせることができる。
【0039】
フロー図の上側(上)経路と下側(下)経路には、観測された信号帯の累積時間を同じに保つために、同じBPFと累積設定とが適用されることに注意する。結合前に、2つの経路間の値を同じレベルで比較できるように、アンラップ位相推定器の経路にレベル調整器を適用した。レベル調整器はまた、非線形伝達関数を示すことができ、従って、任意の最終結果は、大きな振動位置において、位相アンラップ推定器によってより支配されるであろう。
【0040】
図5(A)は、本開示の態様による、1Vであるストレッチャ振幅での複素領域推定器および結合推定器を使用して計算された振動強度プロファイルの比較を示すプロットであり、
図5(B)は、本開示の態様による、2Vであるストレッチャ振幅での複素領域推定器および結合推定器を使用して計算された振動強度プロファイルの比較を示すプロットであり、
図5(C)は、本開示の態様による、5Vであるストレッチャ振幅での複素領域推定器および結合推定器を使用して計算された振動強度プロファイルの比較を示すプロットである。
【0041】
これらの図を参照して、結合推定器からの計算振動強度結果を複素領域計算のみを使用するものと比較した。ストレッチャ位置の外側のファイバ領域では、結合推定器は、今や、
図3(B)に示すように、レイリーフェージング誘導ノイズスパイクを伴わない、複素領域推定器と同様のプロファイルを有する。ストレッチャの位置では、結合推定器はアンラップ位相計算も考慮できるため、複素領域推定器に設定された動的レンジの限界を超えて測定することができる。筆者らは、ストレッチャ振幅が1Vから5Vに上がるにつれて、組み合わせた結果が実際に振動強度を増加させることを観察した。この実施例では、組み合わせに対する位相推定器のレベルを調整するために、誤差関数を非線形関数として使用した。他の非線形関数も、低振動領域のノイズを抑制しながら、大きな振動で位相結果が支配的になる目的に使用できる。
【0042】
いくつかの特定の例を使用して本開示を提示したが、当業者は、本教示がそのように限定されないことを認識するであろう。したがって、この開示は、本明細書に添付される特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。