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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】バッテリ充電装置、及び電流制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/16 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
H02J7/16 X
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022577258
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(86)【国際出願番号】 JP2022026291
(87)【国際公開番号】W WO2023282180
(87)【国際公開日】2023-01-12
【審査請求日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2021113440
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100206391
【弁理士】
【氏名又は名称】柏野 由布子
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼嶋 豊隆
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/120884(WO,A1)
【文献】特開2001-93680(JP,A)
【文献】特開2014-87247(JP,A)
【文献】特開平11-252818(JP,A)
【文献】国際公開第2001/095455(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子の回転に応じて発電し、発電した電力に応じた交流信号を出力する発電機と、
前記発電機が出力する前記交流信号を整流して充電電力としてバッテリに供給するスイッチング素子と、
前記交流信号の正負電圧の切り替えを判定する正負切替判定部と、
前記正負切替判定部の判定結果に基づいて、前記スイッチング素子の導通タイミングを示すトリガ信号を出力するトリガ出力部と、
前記交流信号の電圧を検出することで、前記回転子の回転数を検出し、検出した前記回転数が所定の閾値以上になった場合に、前記正負切替判定部に、前記交流信号の負電圧の判定を、所定の期間、追加で維持させる正負判定制御部と、
前記交流信号の負電圧の期間に、前記発電機が発電した電力を消費する負荷部が接続されている場合に、前記正負判定制御部の機能を無効にする無効制御部と
を備えるバッテリ充電装置。
【請求項2】
前記無効制御部は、
前記交流信号によって前記負電圧の期間に流れる電流が、所定の電流以上である場合に、前記負荷部が接続されていると判定する
請求項1に記載のバッテリ充電装置。
【請求項3】
前記無効制御部は、
前記負荷部が接続されていると判定した場合に、前記正負判定制御部の機能を無効にする
請求項2に記載のバッテリ充電装置。
【請求項4】
前記交流信号によって前記負電圧の期間に流れる電流を検出する電流検出部を更に備え、
前記無効制御部は、前記電流検出部が検出した前記負電圧の期間に流れる電流に基づいて、前記負荷部が接続されているか否かを判定する
請求項2記載のバッテリ充電装置。
【請求項5】
前記正負判定制御部は、
前記回転子の回転数の検出として、前記交流信号のうちの負電圧を検出する負電圧検出部と、
前記負電圧検出部が検出した前記負電圧の絶対値が所定の電圧以上である場合に、前記正負切替判定部に、前記交流信号の負電圧の判定を、所定の期間、追加で維持させる負電圧維持部と
を備える請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のバッテリ充電装置。
【請求項6】
前記トリガ出力部は、
前記正負切替判定部が、前記交流信号の正電圧と判定した期間に前記スイッチング素子を導通状態にするように、前記トリガ信号を出力する
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のバッテリ充電装置。
【請求項7】
前記正負判定制御部は、
前記回転数が所定の閾値以上になった場合に、前記スイッチング素子の電流定格値を超えないように定められた前記所定の期間、前記正負切替判定部に前記負電圧の判定を追加で維持させる
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のバッテリ充電装置。
【請求項8】
回転子の回転に応じて発電し、発電した電力に応じた交流信号を出力する発電機と、
前記発電機が出力する前記交流信号を整流して第1負荷部に供給するスイッチング素子と、
前記交流信号の正負電圧の切り替えを判定する正負切替判定部と、
前記交流信号の正負電圧のうちの第1極性の電圧を検出することで、前記回転子の回転数を検出し、検出した前記回転数が所定の閾値以上になった場合に、前記正負切替判定部に、前記交流信号の前記第1極性の電圧の判定を、所定の期間、追加で維持させる正負判定制御部と、
前記正負切替判定部の判定結果のうち、前記第1極性の電圧と逆極性の電圧である第2極性の電圧の判定に基づいて、前記スイッチング素子の導通タイミングを示すトリガ信号を出力するトリガ出力部と、
前記交流信号の前記第1極性の電圧の期間に前記発電機が発電した電力を消費する第2負荷部が接続されている場合に、前記正負判定制御部の機能を無効にする無効制御部と
を備える電流制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ充電装置、及び電流制御装置に関する。
本願は、2021年7月8日に、日本に出願された特願2021-113440号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動二輪車などの内燃機関の回転を利用して、バッテリを充電するバッテリ充電装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。このような従来のバッテリ充電装置では、発電機が出力する交流信号を、例えば、サイリスタなどのスイッチング素子により半波整流して、バッテリを充電していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-123299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、自動二輪車において、近年、FI(Fuel Injection:電子制御燃料噴射装置)による電子制御やセンサの増加などにより、発電機及びバッテリに接続される負荷が増大している。しかしながら、上述した従来のバッテリ充電装置では、実用回転領域において発電機の出力電流を増加しようとすると、発電機が高回転時に過大な出力となり、スイッチング素子の電流定格値を高くする必要があった。また、高回転時にスイッチング素子を点弧させるタイミングを変更することで、バッテリの充電電流を制限して、スイッチング素子の電流定格値を低減する手法が考えられるが、例えば、交流信号の負電圧の期間に、発電機が発電した電力を消費する負荷が接続されている場合には、過剰に充電電流を制限してしまう可能性があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、過剰に充電電流を制限させずに、接続される負荷の増大に対応させつつ、スイッチング素子の電流定格値を低減することができるバッテリ充電装置、及び電流制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様に係るバッテリ充電装置は、回転子の回転に応じて発電し、発電した電力に応じた交流信号を出力する発電機と、前記発電機が出力する前記交流信号を整流して充電電力としてバッテリに供給するスイッチング素子と、前記交流信号の正負電圧の切り替えを判定する正負切替判定部と、前記正負切替判定部の判定結果に基づいて、前記スイッチング素子の導通タイミングを示すトリガ信号を出力するトリガ出力部と、前記交流信号の電圧を検出することで、前記回転子の回転数を検出し、検出した前記回転数が所定の閾値以上になった場合に、前記正負切替判定部に、前記交流信号の負電圧の判定を、所定の期間、追加で維持させる正負判定制御部と、前記交流信号の負電圧の期間に、前記発電機が発電した電力を消費する負荷部が接続されている場合に、前記正負判定制御部の機能を無効にする無効制御部とを備える。
【0007】
また、本発明の一態様に係る上記のバッテリ充電装置において、前記無効制御部は、前記交流信号によって前記負電圧の期間に流れる電流が、所定の電流以上である場合に、前記負荷部が接続されていると判定する。
【0008】
また、本発明の一態様に係る上記のバッテリ充電装置において、前記無効制御部は、前記負荷部が接続されていると判定した場合に、前記正負判定制御部の機能を無効にする。
【0009】
また、本発明の一態様に係る上記のバッテリ充電装置において、前記交流信号によって前記負電圧の期間に流れる電流を検出する電流検出部を備え、前記無効制御部は、前記電流検出部が検出した前記負電圧の期間に流れる電流に基づいて、前記負荷部が接続されているか否かを判定する。
【0010】
また、本発明の一態様に係る上記のバッテリ充電装置において、前記正負判定制御部は、前記回転子の回転数の検出として、前記交流信号のうちの負電圧を検出する負電圧検出部と、前記負電圧検出部が検出した前記負電圧の絶対値が所定の電圧以上である場合に、前記正負切替判定部に、前記交流信号の負電圧の判定を、所定の期間、追加で維持させる負電圧維持部とを備える。
【0011】
また、本発明の一態様に係る上記のバッテリ充電装置において、前記トリガ出力部は、前記正負切替判定部が、前記交流信号の正電圧と判定した期間に前記スイッチング素子を導通状態にするように、前記トリガ信号を出力する。
【0012】
また、本発明の一態様に係る上記のバッテリ充電装置において、前記正負判定制御部は、前記回転数が所定の閾値以上になった場合に、前記スイッチング素子の電流定格値を超えないように定められた前記所定の期間、前記正負切替判定部に前記負電圧の判定を追加で維持させる。
【0013】
また、本発明の一態様に係る電流制御装置は、回転子の回転に応じて発電し、発電した電力に応じた交流信号を出力する発電機と、前記発電機が出力する前記交流信号を整流して第1負荷部に供給するスイッチング素子と、前記交流信号の正負電圧の切り替えを判定する正負切替判定部と、前記交流信号の正負電圧のうちの第1極性の電圧を検出することで、前記回転子の回転数を検出し、検出した前記回転数が所定の閾値以上になった場合に、前記正負切替判定部に、前記交流信号の前記第1極性の電圧の判定を、所定の期間、追加で維持させる正負判定制御部と、前記正負切替判定部の判定結果のうち、前記第1極性の電圧と逆極性の電圧である第2極性の電圧の判定に基づいて、前記スイッチング素子の導通タイミングを示すトリガ信号を出力するトリガ出力部と、前記交流信号の前記第1極性の電圧の期間に前記発電機が発電した電力を消費する第2負荷部が接続されている場合に、前記正負判定制御部の機能を無効にする無効制御部とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、正負判定制御部が、交流信号の電圧を検出することで、回転子の回転数を検出し、検出した回転数が所定の閾値以上になった場合に、正負切替判定部に、交流信号の負電圧の判定を、所定の期間、追加で維持させる。これにより、バッテリ充電装置では、回転数が所定の閾値以上になった場合に、所定の期間追加されて負電圧の期間と判定され、この所定の期間分、トリガ信号のスイッチング素子の導通期間が短くなり、充電電力が抑制される。また、無効制御部が、交流信号の負電圧の期間に、発電機が発電した電力を消費する負荷部が接続されている場合に、当該正負判定制御部の機能を無効にする。そのため、バッテリ充電装置は、過剰に充電電流を制限させずに、高回転時にスイッチング素子の電流定格値を超えないように制限することができ、接続される負荷の増大に対応させつつ、スイッチング素子の電流定格値を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態によるバッテリ充電装置の一例を示すブロック図である。
図2】本実施形態によるバッテリ充電装置の動作の一例を示す第1のタイムチャートである。
図3】本実施形態によるバッテリ充電装置の動作の一例を示す第2のタイムチャートである。
図4】本実施形態における発電機の回転数と充電電流との関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態によるバッテリ充電装置について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態によるバッテリ充電装置1の一例を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、バッテリ充電装置1は、発電機2及びバッテリ3に接続され、サイリスタ(11、13)と、灯火器12と、正負切替判定部14と、トリガ出力部15と、正負判定制御部16と、電流検出部17と、無効制御部18と、スイッチ19とを備えている。
【0018】
バッテリ充電装置1は、例えば、自動二輪車などの車両に搭載され、発電機2で発電した交流電力を半波整流して、バッテリ3に充電する装置である。また、バッテリ充電装置1には、ダイオード4を介して、FI負荷部5が接続され、発電機2が発電した電力、又はバッテリ3の出力電力をFI負荷部5に供給する。また、バッテリ充電装置1は、サイリスタ11を介して、発電機2で発電した交流電力の負側の電力を灯火器12に供給して、灯火器12を点灯させる。なお、バッテリ充電装置1は、電流制御装置の一例である。
【0019】
発電機2は、例えば、単相磁石式交流発電機であり、回転子(不図示)の回転に応じて発電し、発電した電力に応じた交流信号を出力する。ここで、回転子は、例えば、自動二輪車の内燃機関(エンジン)の回転軸に接続されたクランクシャフトなどである。発電機2は、発電した電力に応じた交流信号を、電力供給線L1を介して、サイリスタ13に接続されている。また、発電機2は、電力供給線L1を介して、サイリスタ11に接続されている。なお、本実施形態において、交流信号のうちの負電圧を第1極性の電圧とし、正電圧を第1極性の電圧と反対極性の電圧である第2極性の電圧とする。
【0020】
バッテリ3は、例えば、鉛蓄電池であり、+(プラス)電極(正極)が、サイリスタ13のカソード端子に接続されており、-(マイナス)電極(負極)が、グランド端子(グランド線L2)に接続されている。バッテリ3は、電力供給線L1及びサイリスタ13を介して供給された発電機2の発電電力を充電するとともに、充電した電力を、ダイオード4を介して、FI負荷部5に供給する。
【0021】
ダイオード4は、アノード端子が、電力供給線L1に、カソード端子が、FI負荷部5にそれぞれ接続されており、FI負荷部5からの電流の逆流を防止する。
【0022】
FI負荷部5(第1負荷部の一例)は、例えば、自動二輪車の電装部品であり、ECU(Engine Control Unit)、フューエルポンプ、インジェクション、各種センサ類などである。FI負荷部5は、電力供給線L1とグランド線L2との間に接続され、ダイオード4を介して、電力供給線L1から発電機2の発電電力又はバッテリ3の出力電力を供給されて動作し、電力を消費する。
【0023】
サイリスタ11は、アノード端子が灯火器12の一端に、カソード端子が電力供給線L1に、ゲート端子(制御端子)がトリガ出力部15から出力される制御信号S1の信号線に、それぞれ接続されている。サイリスタ11は、発電機2が出力する交流信号を整流して灯火器12に供給するシリコン制御整流子である。サイリスタ11は、トリガ出力部15が出力する制御信号S1によりオン状態(導通状態)になるか否かが制御され、灯火器12に点灯(発光)のための電力を供給する。
【0024】
灯火器12は、例えば、車両用のLED(Light Emitting Diode)ライトである。灯火器12は、サイリスタ11がオン状態されると、電力供給線L1の交流信号が負側電圧であるタイミングで、スイッチ19を介して電流が流れて発光する。すなわち、灯火器12は、サイリスタ11及びスイッチ19がオン状態、且つ、発電機2が出力する交流信号が負電圧である場合に、発光する。
【0025】
また、灯火器12は、直列に接続された複数の発光ダイオードを備える。発光ダイオードのアノード端子は、電流検出部17を介して、グランド端子(グランド線L2)に接続されている。また、発光ダイオードのカソード端子は、スイッチ19の一端に接続されている。また、複数の発光ダイオードは、順方向に直列に接続されている。
なお、本実施形態において、灯火器12は、発電機2が発電した電力を消費する負荷部の一例であり、第2負荷部に対応する。
【0026】
電流検出部17は、例えば、シャント抵抗などの電流検出手段であり、グランド端子(グランド線L2)と、灯火器12との間に接続されている。電流検出部17は発電機2が出力する交流信号によって負電圧の期間に流れる電流を検出する。
【0027】
スイッチ19は、灯火器12を点灯(発光)させる点灯スイッチであり、灯火器12とサイリスタ11との間に接続されている。スイッチ19がオン状態である場合にサイリスタ11と灯火器12(負荷部)とが接続され、スイッチ19がオフ状態である場合にサイリスタ11と灯火器12(負荷部)とが切り離される。
【0028】
サイリスタ13(スイッチング素子の一例)は、発電機2が出力する交流信号を整流して充電電力としてバッテリ3に供給するシリコン制御整流子である。サイリスタ13は、アノード端子が電力供給線L1に、カソード端子がバッテリ3の+電極に、ゲート端子(制御端子)がトリガ出力部15から出力される制御信号S2の信号線に、それぞれ接続されている。サイリスタ13は、トリガ出力部15の制御信号S2によって、オン状態にされることで、電力供給線L1の交流信号の正電圧をバッテリ3の+電極に供給して、バッテリ3を充電するとともに、FI負荷部5に動作電力を供給する。
【0029】
正負切替判定部14は、発電機2が出力する交流信号の正負電圧の切り替えを判定する。正負切替判定部14は、正負電圧の判定信号として、例えば、交流信号が正電圧の期間に、ハイ状態(High状態)を出力し、交流信号が負電圧の期間に、ロウ状態(Low状態)を出力する。
正負切替判定部14は、例えば、抵抗141~抵抗143と、コンデンサ144と、ツェナーダイオード145と、ツェナーダイオード146とを備えている。
【0030】
抵抗141~抵抗143は、電力供給線L1とグランド線L2との間に直列に接続される。抵抗141は、第1端子が電力供給線L1に、第2端子がノードN1に、それぞれ接続されている。また、抵抗142は、第1端子がノードN1に、第2端子がノードN2に、それぞれ接続されている。また、抵抗143は、第1端子がノードN2に、第2端子がグランド線L2に、それぞれ接続されている。
【0031】
コンデンサ144は、ノードN2とグランド線L2との間に、抵抗143と並列に接続されている。すなわち、コンデンサ144は、第1端子がノードN2に、第2端子がグランド線L2に、それぞれ接続されている。
【0032】
なお、抵抗141~抵抗143、及びコンデンサ144は、ノードN1及びノードN2において、発電機2が出力する交流信号の電圧を分圧して出力するとともに、ノードN2のノイズを除去するフィルタ回路として機能する。
ここで、ノードN1の電圧は、後述する正負判定制御部16による交流信号の負電圧検出に用いられる。また、ノードN2の電圧は、正負切替判定部14の出力信号として用いられる。
【0033】
ツェナーダイオード145とツェナーダイオード146とは、ノードN2とグランド線L2との間に、互いに逆方向に直列に接続されている。ツェナーダイオード145は、アノード端子がノードN2に、カソード端子がツェナーダイオード146のカソード端子に、それぞれ接続されている。また、ツェナーダイオード146は、アノード端子がグランド線L2に、カソード端子がツェナーダイオード145のカソード端子に、それぞれ接続されている。
【0034】
ツェナーダイオード145及びツェナーダイオード146は、逆方向に所定の電圧以上(アノード端子を基準に、カソード端子に所定の電圧以上)が印加された場合に、オン状態(導通状態)になり、所定の電圧未満が印加された場合に、オフ状態(非導通状態)になる。
【0035】
例えば、ノードN2に正電圧が印加されている状態では、ツェナーダイオード145は、順方向のバイアスでオン状態になる。また、この状態では、正電圧の絶対値が所定の電圧以上である場合に、ツェナーダイオード146は、オン状態になり、所定の電圧未満である場合に、オフ状態になることで、ノードN2の正電圧は、所定の電圧にクランプされる。
【0036】
また、例えば、ノードN2に負電圧が印加されている状態では、ツェナーダイオード146は、順方向のバイアスでオン状態になる。また、この状態では、負電圧の絶対値が所定の電圧以上である場合に、ツェナーダイオード145は、オン状態になり、所定の電圧未満である場合に、オフ状態になることで、ノードN2の負電圧は、負電圧の所定の電圧にクランプされる。
このように、正負切替判定部14は、正負電圧の判定信号を生成して、トリガ出力部15に出力する。
【0037】
トリガ出力部15は、正負切替判定部14の判定結果に基づいて、サイリスタ11及びサイリスタ13の導通タイミングを示すトリガ信号(制御信号)を出力する。
トリガ出力部15は、例えば、正負切替判定部14が、交流信号の負電圧と判定した期間の一部期間(例えば、後半の所定の期間)に、サイリスタ11をオン状態にするように、制御信号S1を出力する。
【0038】
具体的に、トリガ出力部15は、サイリスタ11をオン状態にする場合に、制御信号S1をハイ状態にし、サイリスタ11をオフ状態にする場合に、制御信号S1をロウ状態にする。なお、サイリスタ11は、制御信号S1がロウ状態になった後、サイリスタ11に流れる電流が0A(アンペア)になったタイミングで、オフ状態になる。
【0039】
また、トリガ出力部15は、例えば、正負切替判定部14が、交流信号の正電圧(第2極性の電圧)と判定した期間にサイリスタ13をオン状態にするように、トリガ信号(制御信号S2)を出力する。また、トリガ出力部15は、例えば、正負切替判定部14が、交流信号の負電圧と判定した期間にサイリスタ13をオフ状態にするように、トリガ信号(制御信号S2)を出力する。すなわち、トリガ出力部15は、正負切替判定部14の判定結果のうち、正電圧(第2極性の電圧)の判定に基づいて、サイリスタ13の導通タイミングを示すトリガ信号(制御信号S2)を出力する。
【0040】
具体的に、トリガ出力部15は、サイリスタ13をオン状態にする場合に、制御信号S2をハイ状態にし、サイリスタ13をオフ状態にする場合に、制御信号S2をロウ状態にする。なお、サイリスタ13は、制御信号S2がロウ状態になった後、サイリスタ13に流れる電流が0Aになったタイミングで、オフ状態になる。
【0041】
正負判定制御部16は、発電機2が出力した交流信号の電圧を検出することで、回転子の回転数を検出し、検出した回転数が所定の閾値以上になった場合に、正負切替判定部14に、交流信号の負電圧の判定を、所定の期間、追加で維持させる。
【0042】
なお、発電機2が出力した交流信号の電圧及び電流は、回転子の回転数に応じて大きくなる。また、発電機2が出力した交流信号の正電圧は、サイリスタ13がオン状態である場合に、バッテリ3の出力電圧にクランプ(固定)される。そのため、正負判定制御部16は、発電機2が出力した交流信号のうちの負電圧を検出することで、回転子の回転数を検出する。
【0043】
すなわち、正負判定制御部16は、発電機2が出力した交流信号のうちの負電圧(第1極性の電圧)を検出することで、回転子の回転数を検出し、検出した回転数が所定の閾値以上になった場合に、正負切替判定部14に、交流信号の負電圧の判定を、所定の期間、追加で維持させる。ここで、所定の期間は、例えば、回転数が所定の閾値以上になった場合に、サイリスタ13の電流定格値を超えないように定められている。
【0044】
なお、正負判定制御部16は、後述する無効制御部18からの無効要求に応じて、正負判定制御部16の機能を無効にする。すなわち、正負判定制御部16は、無効制御部18から無効要求が出力されている場合に、交流信号の負電圧の判定を、所定の期間、追加で維持させる機能を停止する。
また、正負判定制御部16は、負電圧検出部161と、負電圧維持部162とを備える。
【0045】
負電圧検出部161は、回転子の回転数の検出として、発電機2が出力した交流信号のうちの負電圧を検出する。すなわち、負電圧検出部161は、交流信号を抵抗141~抵抗143により抵抗分圧したノードN1の負電圧を検出することで、回転子の回転数を検出する。
【0046】
負電圧維持部162は、負電圧検出部161が検出した負電圧の絶対値が所定の電圧以上である場合に、正負切替判定部14に、交流信号の負電圧の判定を、所定の期間、追加で維持させる。すなわち、負電圧維持部162は、負電圧検出部161が検出したノードN1の負電圧の絶対値が所定の電圧以上である場合に、ノードN1の電圧を調整して、正負切替判定部14に、交流信号の負電圧の判定を、所定の期間、追加で維持させる。例えば、負電圧維持部162は、ノードN2の電圧が交流信号の負電圧であると判定をするように、所定の期間、ノードN1の負電圧を維持させる処理を実行する。
【0047】
なお、負電圧維持部162は、無効制御部18からの無効要求が出力された場合に、上述した交流信号の負電圧の判定を、所定の期間、追加で維持させる機能を停止する。すなわち、負電圧維持部162は、無効制御部18からの無効要求が出力された場合に、特に何も行わず、ノードN1の電圧の調整を行わない。
また、負電圧維持部162は、ノードN1の負電圧の絶対値が所定の電圧未満である場合に、特に何も行わず、ノードN1の電圧の調整を行わない。
【0048】
無効制御部18は、発電機2が出力する交流信号の負電圧の期間に、発電機2が発電した電力を消費する灯火器12が電力供給線L1に接続されている場合に、正負判定制御部16の機能を無効にする。無効制御部18は、例えば、上述した交流信号によって負電圧の期間に流れる電流が、所定の電流以上である場合に、灯火器12がサイリスタ11を介して、電力供給線L1に接続されていると判定する。
【0049】
すなわち、無効制御部18は、電流検出部17が検出した負電圧の期間に流れる電流に基づいて、灯火器12が接続されているか否かを判定する。具体的には、電流検出部17が検出した負電圧の期間に流れる電流が、所定の電流以上である場合に、無効制御部18は、灯火器12が接続されていると判定し、正負判定制御部16の機能を無効にする。無効制御部18は、灯火器12が接続されていると判定した場合に、正負判定制御部16の機能を無効にする無効要求を正負判定制御部16に出力する。
【0050】
また、無効制御部18は、電流検出部17が検出した負電圧の期間に流れる電流が、所定の電流未満である場合に、灯火器12が接続されていないと判定し、正負判定制御部16の機能を有効にする有効要求を正負判定制御部16に出力し、正負判定制御部16の機能を有効にする。
【0051】
次に、図面を参照して、本実施形態によるバッテリ充電装置1の動作について説明する。
図2は、本実施形態によるバッテリ充電装置1の動作の一例を示す第1のタイムチャートである。
図2では、スイッチ19がオフ状態であり、バッテリ充電装置1に灯火器12が接続されていない場合の動作について説明する。
【0052】
図2において、各グラフは、上から順に、発電機2の出力電圧、発電機2による充電電流(出力電流)、灯火器12(負荷部)に流れる電流、及び正負電圧の判定信号を示している。
【0053】
また、波形W1は、サイリスタ11及びサイリスタ13をオン状態にしない場合の発電機2の出力電圧を示し、波形W2は、サイリスタ11及びサイリスタ13をオン状態にした場合の実際の発電機2の出力電圧(電力供給線L1の電圧)を示している。
【0054】
また、波形W3は、発電機2によるバッテリ3への充電電流(サイリスタ13に流れる電流)を示しており、波形W3A、波形W3B、及び波形W3Cの各波形は、この充電電流の部分波形を示している。
【0055】
また、波形W4は、灯火器12に流れる電流波形を示している。また、波形W5は、正負切替判定部14が出力する判定信号の電圧波形を示している。
なお、各グラフの横軸は、時間を示している。
【0056】
図2において、発電機2の出力電圧が正電圧になると(波形W1を参照)、時刻T1において、正負切替判定部14が正電圧と判定し、判定信号を所定の正電圧を出力する。これにより、トリガ出力部15は、制御信号S2をハイ状態にし、サイリスタ13がオン状態になるため、発電機2の出力電圧は、波形W2に示すように、バッテリ3の出力電圧にクランプ(固定)される。なお、トリガ出力部15は、所定の期間、制御信号S2をハイ状態にした後、制御信号S2をロウ状態にする。サイリスタ13は、制御信号S2がロウ状態になった後、発電機2の出力電圧が負電圧になるまでオン状態が維持される。
【0057】
また、発電機2の出力電圧が負電圧になると(波形W2を参照)、時刻T2において、正負切替判定部14が負電圧と判定し、判定信号に所定の負電圧を出力する。また、発電機2の出力電圧が負電圧になることにより、サイリスタ13がオフ状態になる。また、波形W2に示すように、電力供給線L1には、発電機2の負電圧が出力される。なお、時刻T1から時刻T2の間、波形W3Aに示すように、サイリスタ13を介して、バッテリ3に充電電流が供給される。
【0058】
また、トリガ出力部15は、正負切替判定部14が交流信号の負電圧と判定した期間の一部期間(例えば、後半の所定の期間)に、制御信号S1をハイ状態にして、サイリスタ11をオン状態にする。この場合、スイッチ19がオフ状態であるため、灯火器12には、電流が流れない(波形W4参照)。
【0059】
また、時刻T2において、サイリスタ13がオフ状態になると、正負判定制御部16の負電圧検出部161は、ノードN1により、発電機2が出力する交流信号の負電圧を検出する。そして、正負判定制御部16の負電圧維持部162は、負電圧検出部161が検出した負電圧の絶対値が所定の電圧以上(閾値電圧MVth以上)であるか否かを判定する。ここでは、負電圧の絶対値が所定の電圧未満(閾値電圧MVth未満)であるため、負電圧維持部162は、何も行わない(交流信号の負電圧の判定を、所定の期間、追加で維持させる処理を行わない)。
【0060】
次に、再び、発電機2の出力電圧が正電圧になると(波形W1を参照)、時刻T3において、正負切替判定部14が正電圧と判定し、判定信号を所定の正電圧を出力する。これにより、トリガ出力部15は、制御信号S2をハイ状態にし、サイリスタ13がオン状態になるため、発電機2の出力電圧は、波形W2に示すように、バッテリ3の出力電圧にクランプ(固定)される。
【0061】
なお、時刻T2から時刻T3の負電圧の期間に、トリガ出力部15は、制御信号S1をハイ状態にし、サイリスタ11がオン状態になるが、スイッチ19がオフ状態であるため、波形W2に示すように、発電機2の出力電圧は、灯火器12が接続されていない場合の負電圧となる。また、灯火器12に流れる電流は、波形W4に示すように、0Aとなる。すなわち、この例では、灯火器12は、点灯(発光)しない。
【0062】
また、再び、発電機2の出力電圧が負電圧になると(波形W2を参照)、時刻T4において、正負切替判定部14が負電圧と判定し、判定信号を所定の負電圧を出力する。これにより、サイリスタ13がオフ状態になり、発電機2の出力電圧には、波形W2に示すように、発電機2の負電圧が出力される。なお、時刻T3から時刻T4の間、波形W3Bに示すように、サイリスタ13を介して、バッテリ3に充電電流が供給される。
【0063】
また、時刻T4において、サイリスタ13がオフ状態になると、正負判定制御部16の負電圧検出部161は、ノードN1により、発電機2が出力する交流信号の負電圧を検出する。そして、正負判定制御部16の負電圧維持部162は、負電圧検出部161が検出した負電圧の絶対値が所定の電圧以上(閾値電圧MVth以上)であるか否かを判定する。ここでは、負電圧の絶対値が所定の電圧以上(閾値電圧MVth以上)であるため、負電圧維持部162は、交流信号の負電圧の判定を、所定の期間(期間TR1)、追加で維持させる処理を実行する。
【0064】
すなわち、負電圧維持部162は、時刻T5から時刻T6までの期間TR1の間、追加で、交流信号の負電圧の判定を維持させる。これにより、正負切替判定部14は、時刻T6において、負電圧から正電圧に判定信号を切り替える。トリガ出力部15は、時刻T6において、制御信号S2をハイ状態にし、サイリスタ13がオン状態になるため、発電機2の出力電圧は、波形W2に示すように、バッテリ3の出力電圧にクランプ(固定)される。
【0065】
また、再び、発電機2の出力電圧が負電圧になると(波形W2を参照)、時刻T7において、正負切替判定部14が負電圧と判定し、判定信号に所定の負電圧を出力する。これにより、サイリスタ13がオフ状態になるため、発電機2の出力電圧は、波形W2に示すように、発電機2の負電圧が出力される。なお、時刻T6から時刻T7の間、波形W3Cに示すように、サイリスタ13を介して、バッテリ3に充電電流が供給される。
【0066】
ここでは、時刻T5から時刻T6の期間TR1、交流信号の負電圧の判定が追加で維持されていたため、その分、波形W3Cの充電電流が制限される。ここで、波形W3Dは、比較のために、正負判定制御部16を備えない従来技術の場合におけるバッテリ3の充電電流を示している。波形W3Cと波形W3Dとを比較すると、本実施形態では、交流信号の負電圧の判定が、期間TR1だけ追加で維持されているため、充電電流を制限することができる。
【0067】
また、時刻T7において、サイリスタ13がオフ状態になると、正負判定制御部16の負電圧検出部161は、ノードN1により、発電機2が出力する交流信号の負電圧を検出する。そして、正負判定制御部16の負電圧維持部162は、負電圧検出部161が検出した負電圧の絶対値が所定の電圧以上(閾値電圧MVth以上)であるか否かを判定する。ここでは、負電圧の絶対値が所定の電圧以上(閾値電圧MVth以上)であるため、負電圧維持部162は、交流信号の負電圧の判定を、所定の期間(期間TR1)、追加で維持させる処理を実行する。これにより、正負切替判定部14は、時刻T8において、負電圧から正電圧に判定信号を切り替える。
【0068】
また、図3は、本実施形態によるバッテリ充電装置1の動作の一例を示す第2のタイムチャートである。
図3では、スイッチ19がオン状態であり、バッテリ充電装置1に灯火器12が接続されている場合の動作について説明する。
【0069】
図3において、各グラフは、上述した図2と同様であり、波形W11から波形W15の各波形は、上述した図2に示す本実施形態における波形W1から波形W5の各波形に対応する。また、波形W13A、波形W13B、及び波形W13Cの各波形は、この充電電流の部分波形を示している。なお、各グラフの横軸は、時間を示している。
【0070】
また、時刻T11、時刻T13、時刻T15、及び時刻T17が、負電圧から正電圧に判定信号が切り替わるタイミングであり、時刻T12、時刻T14、及び時刻T16が、正電圧から負電圧に判定信号が切り替わるタイミングである。
【0071】
図3に示すスイッチ19がオン状態である場合には、正負切替判定部14が交流信号の負電圧と判定した期間の一部期間(例えば、後半の所定の期間)に、トリガ出力部15が、サイリスタ11をオン状態にするように、制御信号S1を出力するため、波形W14に示すように、灯火器12に電流が流れる。なお、波形W14に示す灯火器12に流れる電流では、灯火器12からサイリスタ11に流れる向きを正電流して示している。
【0072】
図3に示す例では、交流信号の負電圧の期間において、灯火器12に流れる電流が、所定の電流以上(閾値電流Ath以上)であるため、無効制御部18は、正負判定制御部16の機能を無効にする。具体的には、無効制御部18は、無効要求を正負判定制御部16に出力し、時刻T15、及び時刻T17における所定の期間(期間TR1)、追加で維持させる処理を無効化する。
【0073】
なお、図3に示す例では、交流信号の負電圧の期間に波形W14に示すように灯火器12に電流が流れるため、その分、交流信号の負電圧から正電圧に切り替わるタイミングが遅れる。これにより、発電機2による充電電流が、灯火器12が接続されていない場合(スイッチ19がオフ状態の場合)に比べて低下する(波形W13Cを参照)。ここで、波形W13Dは、スイッチ19がオフ状態で正負判定制御部16を備えない従来技術の場合におけるバッテリ3に充電電流を示し、波形W13Eは、スイッチ19がオフ状態で正負判定制御部16の機能を有効にした場合の充電電流を示している。
【0074】
また、図4は、本実施形態における発電機2の回転数と充電電流との関係の一例を示す図である。
図4において、横軸は、発電機2の回転数(rpm:revolutions per minute)を示し、縦軸は、充電電流を示している。
【0075】
また、波形W6は、スイッチ19がオフ状態である場合の本実施形態における発電機2の回転数と充電電流との関係を示している。また、波形W7は、スイッチ19がオン状態である場合の本実施形態における発電機2の回転数と充電電流との関係を示している。
【0076】
また、波形W16は、比較のために、正負判定制御部16を備えない従来のバッテリ充電装置における、スイッチ19がオフ状態である場合の発電機2の回転数と充電電流との関係を示している。また、波形W17は、比較のために、無効制御部18を備えない従来のバッテリ充電装置における、スイッチ19がオン状態である場合の発電機2の回転数と充電電流との関係を示している。
【0077】
図4の波形W16に示すように、正負判定制御部16を備えない従来のバッテリ充電装置では、回転数に応じて、充電電流が上昇し、サイリスタ13の電流定格値Aratを超えてしまう。これに対して、本実施形態によるバッテリ充電装置1では、正負判定制御部16により充電電流が制限されるため、波形W6に示すように、サイリスタ13の電流定格値Aratを超えないように制限することができる。
【0078】
また、波形W17に示すように、正負判定制御部16を備え、且つ、無効制御部18を備えない従来のバッテリ充電装置では、スイッチ19がオン状態である場合(灯火器12が接続されている場合)、正負判定制御部16によって、サイリスタ13の電流定格値Aratに対して、充電電流が大幅に低下する。すなわち、従来のバッテリ充電装置では、正負判定制御部16によって、過剰に充電電流を制限される場合があった。
これに対して、本実施形態によるバッテリ充電装置1では、スイッチ19がオン状態である場合(灯火器12が接続されている場合)に、無効制御部18により正負判定制御部16の機能を無効化できるため、波形W7に示すように、サイリスタ13の電流定格値Aratを超えない程度に、充電電流を増加することができる。
【0079】
以上説明したように、本実施形態によるバッテリ充電装置1は、発電機2と、サイリスタ13(スイッチング素子)と、正負切替判定部14と、トリガ出力部15と、正負判定制御部16と、無効制御部18とを備える。発電機2は、回転子の回転に応じて発電し、発電した電力に応じた交流信号を出力する。サイリスタ13は、発電機2が出力する交流信号を整流して充電電力としてバッテリに供給する。正負切替判定部14は、交流信号の正負電圧の切り替えを判定する。トリガ出力部15は、正負切替判定部14の判定結果に基づいて、サイリスタ13の導通タイミングを示すトリガ信号を出力する。正負判定制御部16は、交流信号の電圧を検出することで、回転子の回転数を検出し、検出した回転数が所定の閾値以上になった場合に、正負切替判定部14に、交流信号の負電圧の判定を、所定の期間、追加で維持させる。無効制御部18は、交流信号の負電圧の期間に、発電機2が発電した電力を消費する灯火器12(負荷部)が接続されている場合に、正負判定制御部16の機能を無効にする。
【0080】
これにより、本実施形態によるバッテリ充電装置1は、回転数が所定の閾値以上になった場合に、所定の期間追加されて負電圧の期間と判定され、この所定の期間分(例えば、図2の期間TR1分)、トリガ信号(制御信号S2)のサイリスタ13の導通期間(オン期間)が短くなり、充電電力が抑制される。そのため、本実施形態によるバッテリ充電装置1は、例えば、図4の波形W6に示すように、高回転時にサイリスタ13の電流定格値Aratを超えないように制限することができ、接続される負荷(例えば、FI負荷部5の電流)の増大に対応させつつ、サイリスタ13の電流定格値Aratを低減することができる。
【0081】
すなわち、本実施形態によるバッテリ充電装置1では、FI負荷部5の消費電力の増大に応じて、サイリスタ13の電流定格値を大きくする必要がなく、電流定格値の大きい高価なサイリスタ13を使用する必要がない。
【0082】
また、本実施形態によるバッテリ充電装置1では、無効制御部18が、交流信号の負電圧の期間に、発電機が発電した電力を消費する灯火器12(負荷部)が接続されている場合に、正負判定制御部16の機能を無効にする。そのため、本実施形態によるバッテリ充電装置1は、例えば、図4の波形W7に示すように、過剰に充電電流を制限させずに、高回転時にサイリスタ13の電流定格値を超えないように制限することができ、接続される負荷(例えば、FI負荷部5の電流)の増大に対応させつつ、スイッチング素子の電流定格値を低減することができる。
【0083】
また、本実施形態では、無効制御部18は、交流信号によって負電圧の期間に流れる電流が、所定の電流以上(例えば、閾値電流Ath以上)である場合に、灯火器12が接続されていると判定する。無効制御部18は、灯火器12が接続されていると判定した場合に、正負判定制御部16の機能を無効にする。
【0084】
これにより、本実施形態によるバッテリ充電装置1は、灯火器12が接続されていることを適切に判定することができ、過剰に充電電流を制限させずに、高回転時にサイリスタ13の電流定格値を超えないように適切に制限することができる。
【0085】
また、本実施形態によるバッテリ充電装置1は、交流信号によって負電圧の期間に流れる電流を検出する電流検出部17を備える。無効制御部18は、電流検出部17が検出した負電圧の期間に流れる電流に基づいて、灯火器12が接続されているか否かを判定する。
【0086】
これにより、本実施形態によるバッテリ充電装置1は、灯火器12が接続されていることを、電流検出部17が検出した電流値により簡易、且つ、適切に判定することができる。
【0087】
また、本実施形態では、正負判定制御部16は、負電圧検出部161と、負電圧維持部162とを備える。負電圧検出部161は、回転子の回転数の検出として、交流信号のうちの負電圧を検出する。負電圧維持部162は、負電圧検出部161が検出した負電圧の絶対値が所定の電圧以上である場合に、正負切替判定部14に、交流信号の負電圧の判定を、所定の期間(例えば、図2に示す期間TR1)、追加で維持させる。
【0088】
これにより、本実施形態によるバッテリ充電装置1は、負電圧を検出することで、簡易な構成のより適切に、FI負荷部5の増大に対応させつつ、サイリスタ13の電流定格値Aratを低減することができる。
【0089】
また、本実施形態では、トリガ出力部15は、正負切替判定部14が、交流信号の正電圧と判定した期間にサイリスタ13をオン状態(導通状態)にするように、トリガ信号を出力する。
【0090】
これにより、本実施形態によるバッテリ充電装置1は、正負判定制御部16が、交流信号の負電圧の判定を、所定の期間、追加で維持させることで、サイリスタ13をオン状態(導通状態)の期間を容易に短くすることができ、容易に充電電力を抑制することができる。
【0091】
また、本実施形態では、正負判定制御部16は、回転数が所定の閾値以上になった場合に、サイリスタ13の電流定格値Aratを超えないように定められた所定の期間、正負切替判定部14に負電圧の判定を追加で維持させる。
これにより、本実施形態によるバッテリ充電装置1は、高回転時にサイリスタ13の電流定格値Aratを確実に超えないように制限することができる。
【0092】
また、本実施形態による電流制御装置(例えば、バッテリ充電装置1)は、発電機2と、スイッチング素子(例えば、サイリスタ13、又はサイリスタ11)と、正負切替判定部14と、正負判定制御部16と、トリガ出力部15と、無効制御部18とを備える。発電機2は、回転子の回転に応じて発電し、発電した電力に応じた交流信号を出力する。スイッチング素子(例えば、サイリスタ13、又はサイリスタ11)は、発電機2が出力する交流信号を整流して第1負荷部(例えば、FI負荷部5、又は灯火器12)に供給する。正負切替判定部14は、交流信号の正負電圧の切り替えを判定する。正負判定制御部16は、交流信号の正負電圧のうちの第1極性の電圧(例えば、負電圧、又は正電圧)を検出することで、回転子の回転数を検出し、検出した回転数が所定の閾値以上になった場合に、正負切替判定部14に、交流信号の第1極性の電圧(例えば、負電圧、又は正電圧)の判定を、所定の期間、追加で維持させる。トリガ出力部15は、正負切替判定部14の判定結果のうち、第1極性の電圧(例えば、負電圧、又は正電圧)と逆極性の電圧である第2極性の電圧(例えば、正電圧、又は負電圧)の判定に基づいて、スイッチング素子(例えば、サイリスタ13、又はサイリスタ11)の導通タイミングを示すトリガ信号を出力する。無効制御部18は、交流信号の第1極性の電圧(例えば、負電圧、又は正電圧)の期間に発電機2が発電した電力を消費する第2負荷部(例えば、灯火器12、又はFI負荷部5)が接続されている場合に、正負判定制御部16の機能を無効にする。
【0093】
これにより、本実施形態による電流制御装置(例えば、バッテリ充電装置1)は、接続される負荷(例えば、FI負荷部5の電流、あるいは、灯火器12の電流)の増大に対応させつつ、スイッチング素子(例えば、サイリスタ13、又はサイリスタ11)の電流定格値を低減することができる。また、本実施形態による電流制御装置(例えば、バッテリ充電装置1)は、第1負荷部(例えば、FI負荷部5、又は灯火器12)に流れる電流を過剰に制限させずに、高回転時にスイッチング素子(例えば、サイリスタ13、又はサイリスタ11)の電流定格値を超えないように制限することができる。
【0094】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の実施形態において、正負判定制御部16は、交流信号の負電圧を検出することで回転数を検出する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、正負判定制御部16は、発電機2の交流信号の正電圧が、バッテリ3の出力電圧によりクランプされない期間がある場合には、交流信号の正電圧を検出することで回転数を検出するようにしてもよい。
【0095】
また、上記の実施形態において、スイッチング素子が、サイリスタ13である例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、MOS(Metal-Oxide-Semiconductor)トランジスタ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、他のシリコン制御整流子などの他のスイッチング素子であってもよい。
【0096】
また、正負切替判定部14の構成は、図1に示す回路に限定されるものではなく、他の構成(回路)であってもよい。
また、上記の実施形態において、発電機2は、単相磁石式交流発電機である例を説明したが、これに限定されるものではなく、複数相(例えば、3相など)の交流信号を出力する発電機であってもよいし、他の発電機であってもよい。
【0097】
また、上記の実施形態において、負荷部の一例として、灯火器12に適用する例を説明したが、これに限定されるものではなく、他の負荷部に対して適用してもよい。
また、上記の実施形態において、電流制御装置の一例として、バッテリ3の充電電流を制御するバッテリ充電装置1である例を説明したが、これに限定されるものではなく、バッテリ3以外の負荷部に流れる電流を制御する他の電流制御装置であってもよい。
【0098】
また、上記の実施形態において、正負判定制御部16、及び無効制御部18は、回路手段により実現されてもよいし、CPU(Central Processing Unit)にプログラムを実行させるソフトウェア処理により実現されてもよい。
【0099】
また、上述の正負判定制御部16、及び無効制御部18の機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、自動二輪車などの内燃機関の回転を利用して、バッテリを充電するバッテリ充電装置などに適用できる。
【符号の説明】
【0101】
1 バッテリ充電装置
2 発電機
3 バッテリ
4 ダイオード
5 FI負荷部
11、13 サイリスタ
12 灯火器
14 正負切替判定部
15 トリガ出力部
16 正負判定制御部
17 電流検出部
18 無効制御部
19 スイッチ
141、142、143 抵抗
144 コンデンサ
145、146 ツェナーダイオード
161 負電圧検出部
162 負電圧維持部
図1
図2
図3
図4