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特許7450844スプレー測定機器のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】スプレー測定機器のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B05B 15/00 20180101AFI20240311BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20240311BHJP
   B05D 1/02 20060101ALI20240311BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
B05B15/00
B05D3/00 B
B05D3/00 D
B05D1/02 A
H01L21/306 J
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021521950
(86)(22)【出願日】2019-07-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 US2019040864
(87)【国際公開番号】W WO2020010357
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】62/694,661
(32)【優先日】2018-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521336233
【氏名又は名称】シェルバック セミコンダクター テクノロジー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】オーライリー ダレン
(72)【発明者】
【氏名】フォーゲイ クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】レヴィンソン ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】ガルバチク ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】トルファノフ アレキサンダー
(72)【発明者】
【氏名】クレイガー ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ブレイディ デヴィッド
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-535071(JP,A)
【文献】特表2002-519856(JP,A)
【文献】特開2001-316861(JP,A)
【文献】実開昭51-127909(JP,U)
【文献】特開平10-288132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B12/16 -12/36
14/00 -16/80
B05D 1/00 - 7/26
H01L21/306-21/308
G01F17/00 -22/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプレー測定システム(100)であって、
バッチ式化学的処理チャンバ内に設けられたロータ(10)を含み、前記ロータ(10)は、水平軸線Z回りに回転することができ、前記ロータ(10)は、時計回り又は反時計回りの方向A及び逆の時計回り又は反時計回りの方向Bに回転することができ、
前記ロータ(10)と作動的関連状態にあるスプレー測定機器(101)を含み、前記スプレー測定機器(101)は、
複数のスロット(113)を有するジグ装置(102)を有し、前記複数のスロット(113)の各々は、ブロッカープレート(116)を受け入れることができ、
前記複数のスロット(113)のうちの1つ又は2つ以上と対応した1つ又は2つ以上のチャネル(122,123)を有し、前記1つ又は2つ以上のチャネル(122,123)の各々は、前記1つ又は2つ以上のチャネル(122,123)内に集められた液体の量を測定するためのそれぞれ対応の圧力変換器(130)と作動的関連状態にあり、
前記スプレー測定機器(101)は、垂直休止位置と所定の試験角度との間で前記ロータ(10)によって回転することができ、
前記ロータ(10)と作動的関連状態にあるコントローラ(131)を含み、前記コントローラ(131)は、前記ロータ(10)を前記水平軸線Z回りに回転させることができ、前記コントローラ(131)は、前記ロータ(10)を前記垂直休止位置と所定の試験位置との間で前記時計回り又は反時計回りの方向A及び前記逆の時計回り又は反時計回りの方向Bに回転させることができ、
前記スプレー測定機器(101)は、所定の試験角度まで回転させられてスプレーノズルアレイ(12)によって前記チャネル(122,123)のうちの前記1つ又は2つ以上中にスプレーされた液体の量を受け入れることができ、データ収集インターフェースが前記1つ又は2つ以上のチャネル(122,123)の各々内に集められた液体の前記量を記録することができる、スプレー測定システム(100)。
【請求項2】
前記スプレーノズルアレイ(12)は、前記スプレー測定機器(101)の上方に角度付けられた固定位置に位置したままであり、前記スプレーノズルアレイ(12)は、前記スプレー測定機器(101)のところで前記量の液体をスプレーすることができる、請求項1記載のスプレー測定システム(100)。
【請求項3】
前記複数のブロッカープレート(116)の各々は、液体が前記複数のスロット(113)のうちの対応のスロット(113)に入るのを阻止し、前記ブロッカープレート(116)の手動取り外しにより、液体が前記複数のスロット(113)のうちの対応のスロットに入ることができる、請求項1記載のスプレー測定システム(100)。
【請求項4】
前記スプレー測定機器(101)は、ケーシングの互いに反対側の側部に沿ってそれぞれ形成された第1及び第2の側部バー部分を用いて前記ロータ(10)内に固定されている、請求項1記載のスプレー測定システム(100)。
【請求項5】
前記コントローラ(131)は、前記データ収集インターフェースによって収集された情報を記録したり分析したりすることができる、請求項1記載のスプレー測定システム(100)。
【請求項6】
前記複数のチャネル(122,123)の各々の中に集められた液体の量を測定することによって前記スプレーノズルアレイ(12)のうちの誤動作を起こしているスプレーノズル(12)が特定される、請求項1記載のスプレー測定システム(100)。
【請求項7】
スプレー測定機器(101)であって、
頂部分(107)、底部分(110)、ならびに互いに反対側の第1及び第2の側部分(108,109)を備えたケーシング(103)を有し、前記頂部分(107)は、前記ケーシング(103)内に設けられたタンク(121)によって形成された上側チャンバ(128)と連通状態にある頂開口部(127)を形成し、前記タンク(121)は、複数のチャネル(122,123)を備え、
前記上側チャンバ(128)内に設けられたジグ装置(102)を有し、前記ジグ装置(102)は、
スロット組立体(104)を有し、前記スロット組立体は、
複数のスロットブロック(119)相互間に介在して設けられていて、スロット(113)をそれぞれ形成する複数のスロットプレート(117)を含み、
前記スロット組立体(104)内に設けられた複数のブロッカープレート(116)を含み、前記複数のブロッカープレート(116)の各々は、前記スロット組立体(104)の前記スロット(113)の各々内にそれぞれ設けられるよう構成され、それぞれのスロット(113)は、前記複数のチャネル(122,123)のそれぞれと関連していて、該それぞれのスロット(113)のところに設けられた1つ又は2つ以上のスプレーノズル(12)によってスプレーされた液体が前記複数のチャネル(122,123)のうちのそれぞれのところで集められるようになっており、
前記複数のチャネル(122,123)と作動的連通状態にあって少なくとも1つのブロッカープレート(116)が取り外されたそれぞれのスロット(113)のところで前記1つ又は2つ以上のスプレーノズル(12)のスプレー出力を測定する複数の圧力変換器(130)を有し、各チャネル(122,123)は、前記複数の圧力変換器(130)の各々とそれぞれ関連し、
前記複数の圧力変換器と作動的連通状態にあって前記複数のチャネル(122,123)内に集められた前記液体の量を測定するデータ収集インターフェースを有する、スプレー測定機器(101)。
【請求項8】
前記複数の圧力変換器(130)のうちの1つによって算定された圧力値は、前記複数のチャネル(122,123)のうちの1つの中の液体の体積を計算するために用いられる、請求項7記載のスプレー測定機器(101)。
【請求項9】
前記データ収集インターフェースは、コントローラ(131)と作動的連絡状態にあり、前記コントローラ(131)は、前記データ収集インターフェースによって集められた情報を記録したり分析したりすることができる、請求項7記載のスプレー測定機器(101)。
【請求項10】
前記コントローラ(131)は、前記スプレー測定機器(101)の前記ケーシング(103)内に配置されている、請求項9記載のスプレー測定機器(101)。
【請求項11】
前記コントローラ(131)は、前記スプレー測定機器(101)の外部に位置している、請求項9記載のスプレー測定機器(101)。
【請求項12】
電力がバッテリ(147)によって前記スプレー測定機器(101)に供給される、請求項7記載のスプレー測定機器(101)。
【請求項13】
電力がワイヤード接続方式によって前記スプレー測定機器(101)に供給される、請求項7記載のスプレー測定機器(101)。
【請求項14】
スプレー測定システム(100)を用いてスプレー出力を測定する方法であって、
複数のチャネル(122,123)を備えたスプレー測定機器(101)と作動的関連状態にあるロータ(10)を回転させるステップを含み、前記ロータ(10)及び前記スプレー測定機器(101)を水平軸線Zに沿って時計回り又は反時計回りの方向Aに回転させ、前記ロータ(10)及び前記スプレー測定機器(101)を垂直位置から所定の試験角度まで回転させ、
前記スプレー測定機器(101)のところに設けられた固定スプレーノズルアレイ(12)からある量の液体をスプレーするステップを含み、前記固定スプレーノズルアレイ(12)からのある体積の液体を前記スプレー測定機器(101)の前記複数のチャネル(122,123)のうちの1つ又は2つ以上の中に収集し、
前記スプレー測定機器(101)と作動的関連状態にある前記ロータ(10)を前記水平軸線Zに沿って逆の反時計回り又は時計回りの方向Bに回転させて前記ある量の液体を収集した前記スプレー測定機器(101)を垂直位置に戻すようにするステップを含み、前記複数のチャネル(122,123)のうちの1つ又は2つ以上の中の液体の前記体積を測定するステップを含む、方法。
【請求項15】
複数のブロッカープレート(116)のうちの1枚又は2枚以上を追加し又は取り外すことによって前記スプレーノズル(12)のうちの1つ又は2つ以上を試験するために1つ又は2つ以上のチャネル(122,123)を構成するステップをさらに含み、前記複数のブロッカープレート(116)の各々は、前記スプレー測定機器(101)のスロット組立体(104)のスロット(113)の各々内にそれぞれ設けられるよう構成され、それぞれのスロット(113)が前記複数のチャネル(122,123)のそれぞれと関連し、該それぞれのスロット(113)のところの1つ又は2つ以上のスプレーノズル(12)によってスプレーされた前記ある量の液体が前記複数のチャネル(122,123)のうちの1つのところに集められるようになっている、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記スプレー出力を測定する方法は、繰り返し実施され、前記スプレー出力を測定する方法の各繰り返しは、異なる試験角度で行われる、請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記スプレーノズル(12)アレイのうちの誤動作を起こしているスプレーノズルが1つ又は2つ以上の試験角度にわたって前記複数のチャネル(122,123)の各々によって集められた前記液体の体積を測定することによって特定される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記スプレー測定機器(101)のそれぞれのチャネル内の前記液体の体積は、それぞれの圧力変換器を用いて前記それぞれのチャネル内の圧力の大きさを測定することによって測定され、前記チャネル内の前記圧力の大きさは、前記チャネル内に集められた前記液体の体積に対応している、請求項14記載の方法。
【請求項19】
前記圧力変換器(130)と作動的連絡状態にあるデータ収集インターフェースが前記複数のチャネル(122,123)の各々内の前記圧力の大きさに関連したデータを記録したり分析したりすることができる、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記ロータ(10)と作動的連絡状態にあるコントローラ(131)が前記ロータ(10)を回転させ、それにより前記スプレー測定機器(101)を回転させることができる、請求項14記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容(本発明)は、一般に、スプレー測定機器、特にスプレー分布パターンを理解するためにバッチ式化学的プロセスチャンバ内に設けられた1つ又は2つ以上のスプレーノズルの液体捕捉レベルを検出することができるスプレー測定機器のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の湿式化学的処理のためのバッチ式化学的プロセスチャンバは、化学物質をプロセスチャンバ内にアレイをなして積み重ねられた多数のウェーハに一様な仕方でスプレーするために複数のスプレーノズルを必要とする。1つ又は2つ以上のスプレーノズル又は調整不良のスプレーノズルの誤動作により、スプレー分布に非一様性が生じる場合があり、それにより首尾一貫し又は仕様通りのバッチ式処理の完了が阻止される。加うるに、スプレーノズル組立体の問題がいったん突き止められると、バッチ式プロセスチャンバを分解してどのノズルが誤動作を起こしているかを突き止めて是正措置を行うことは、困難でありかつ時間のかかる場合がある。したがって、バッチ式化学的プロセスチャンバ内のスプレー分布を容易かつ正確にモニタするとともに測定するシステムが必要である。
【発明の概要】
【0003】
とりわけこれらの知見を念頭に置いて、本発明の種々の観点を案出して開発した。
【0004】
一観点では、スプレー出力を測定するとともに複数の個々のスプレーノズルのスプレー分布状態を判定又は算定することができるジグ装置を有するスプレー測定機器が開示される。別の観点では、スプレー測定機器は、スプレー分布パターンを理解するためにそれぞれのスプレーノズルと関連した多数の液体捕捉チャネルの液体レベル又は液位を測定することができる。さらに別の観点では、スプレー測定機器は、バッチ式システムと連絡状態にあるコントローラを有し、コントローラにより、スプレー測定機器は、水平軸線回りに、他の分析モデルの検査及び利用のためのバッチ式化学プロセスチャンバ内の特定の向きまで回転することができる。別の観点では、スプレー測定システムは、全ての半導体ウェーハに対する首尾一貫したプロセス完了を保証するために1回分の半導体ウェーハ搭載分全体を横切るスプレーの一様性の確認を可能にする。幾つかの実施形態では、スプレー測定機器は、特定のウェーハ存在場所に対応していてスプレー測定機器の作動中に1つ又は2つ以上の誤動作を起こしているスプレーノズルの特定を可能にするそれぞれのスロット内に設けられている複数のブロッカープレートを備えたジグ装置を有する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】ロータ及びバッチ式プロセスチャンバ内に設けられていてかつアレイ又はスプレーノズルに位置合わせされたスプレー測定機器の斜視図である。
図2】ケーシングが想像線で示されたスプレー測定機器の斜視図であり、スプレー分布状態を測定する際に用いられるジグ装置を示す図である。
図3】内部コンポーネントを示すために近位端プレートが取り外されたスプレー測定機器の端面図である。
図4】スプレー測定機器の底面図であり、ジグ装置のブロッカープレートを示す図である。
図5】内部コンポーネントを示すために近位端プレートが取り外されたスプレー測定機器の底面図である。
図6】内部コンポーネントを示すために近位端プレートが取り外されたスプレー測定機器の側面図である。
図7】スプレー測定機器の分解組立図である。
図8】スプレー測定機器の拡大分解組立図であり、ジグ装置を示す図である。
図9】スプレー測定機器の拡大分解組立図であり、圧力変換器のアレイを示す図である。
図10】スプレー測定機器の拡大分解組立図であり、コントローラ、圧力変換器、及びバッテリを示す図である。
図11】スプレー測定機器のためのケーシングの下側の拡大斜視図である。
図12】スプレー測定機器のためのケーシングの平面図であり、ケーシングのタンクを示す図である。
図13】スプレー測定システムによって測定された複数のスプレーノズルの一配置状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図面全体にわたり、対応の参照符号は、対応の要素を示している。図に用いられている見出しは、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するものではない。図面は、本発明の一実施形態の例示である。
【0007】
図面を参照すると、スプレー測定システムの実施形態が図示されており、図1~13では全体が符号100で示されている。
【0008】
図1及び図2に示されているように、幾つかの実施形態では、スプレー測定システム100は、ロータ10、ロータ10内に設けられたスプレー測定機器101、及びスプレー測定システム100の作動を制御するとともにモニタすることができるコントローラ131を含む。幾つかの実施形態では、スプレー測定機器101は、ケーシング103を有し、このケーシングは、以下に詳細に説明するようにバッチ式化学的処理チャンバ(図示せず)内の多数のスプレーノズル12のスプレー出力を測定するとともにこれらのスプレー分布状態を算定することができるジグ装置102を受け入れるよう構成されている。加うるに、ケーシング103は、スプレー測定機器100をロータ10内に設けることができるよう構成され、ロータ10は、スプレー出力を測定する際の作動中にバッチ式化学的プロセスチャンバ(図示せず)内に設けられている。スプレー測定機器100は、水平軸線Zに沿って特定の回転角度までロータ10によって回されることが可能であり、その目的は、スプレー分布状態を判定するために特定の回転角度のところでのスプレーノズルアレイ12からのスプレー出力を集めることにある。
【0009】
図1図5を参照すると、幾つかの実施形態では、ケーシング103は、外面105及び内面106を有し、これら外面と内面は合わさって、ケーシング103の頂部分107、第1の側部分108、第2の側部分109及び底部分110を定めている。具体的には図1図3に示されているように、ケーシング103の頂部分107は、上側チャンバ128(図6及び図11)と連通状態にある頂開口部127を備え、ジグ装置102は、この上側チャンバ内の部分的に設けられており、このジグ装置には頂開口部127から接近する。具体的には図4に示されているように、ケーシング103は、ケーシング103の互いに反対側に設けられた第1の側部バー部分143及び反対側の側部バー部分144を備え、これらバー部分は、スプレー測定機器100を第1及び第2の側バー部分143,144に沿ってバッチ式化学的プロセスチャンバ内のロータ10に嵌め込んでこの中に固定することができるようにする構造的表面を提供する。
【0010】
図7を参照すると、ケーシング103は、ケーシング103内に形成された下側チャンバ129の互いに反対側の端部と連通した近位開口部111及び遠位開口部112をさらに備えている。図示のように、近位端プレート114は、近位開口部111に係合してこれを封止するよう構成され、遠位端プレート115は、遠位開口部112に係合してこれを封止するよう構成されている。幾つかの実施形態では、固定部材142、例えば、ねじが近位端プレート114及び遠位端プレート115をケーシング103に係合するために用いられている。幾つかの実施形態では、ハンドル141がスプレー測定機器101の取り扱いのために近位端プレート114に固定されている。
【0011】
さらに図7及び図12に示されているように、ケーシング103の上側チャンバ128は、ケーシング103内に設けられたタンク121と連通し、この上側チャンバは、ケーシング103又は別個のコンポーネントの構造と一体であるのが良い。タンク121は、ケーシング103の長手方向軸線に沿って延びるアレイ状に配列された複数の内側チャネル122及び1対の端チャネル123を備えている。タンク121の内側チャネル122及び端チャネル123は各々、1つ又は2つ以上のスプレーノズル12に対応した液体捕捉場所をそれぞれ提供し、その結果、特定のスプレーノズル12からの液体スプレーを以下に詳細に説明するように測定のためにそれぞれの内側チャネル122又は端チャネル123内に捕捉することができるようになっている。
【0012】
図4図8に示されているように、ジグ装置102は、特定のウェーハ配置場所を隔離するための手段となり、その結果、特定のスプレーノズル12の作動により、これらスプレーノズル12から集められた液体の測定が可能となって、どのスプレーノズル12が誤動作状態になっているかどうか又は調整を必要とするかどうかを含むスプレー分布パターンの判定を行うことができるようになっている。幾つかの実施形態では、ジグ装置102は、各ブロッカープレート116がバッチ式化学的プロセスチャンバ内のスプレーノズルアレイ12の複数の考えられる区分のうちのスプレーノズルアレイ12の区分に対応しているアレイをなして互いに位置合わせされた複数のブロッカープレート116を有する。
【0013】
幾つかの実施形態では、ジグ装置102は、複数のスロット113を含むスロット組立体104をさらに有し、個々のブロッカープレート116がそれぞれ対応のスロット113内に位置決めされている。図6及び図7に示されているように、スロット組立体104は、複数のスロットプレート117を含み、スロットプレート117は、これらスロットプレート117の両端部に設けられたそれぞれのスロットブロック119相互間に介在して設けられ、スロットブロック119は、スロット組立体104が製造中に組み立てられているときに近位プレート124と遠位プレート125との間でアレイ状に形成された複数のスロット113の各々を一緒になって形成する。図示のように、スロットプレート117の各々は、組み立て中にロッド126を受け入れるよう構成された整列又は位置合わせ状態のプレート開口部155を有し、スロットブロック118の各々の組は、組み立て中にロッド126もまた受け入れるよう構成された整列又は位置合わせ状態のブロック開口部156を有する。スロット組立体104が組み立てられると、各ロッド126が位置合わせ状態の組をなすブロック開口部156の各々及び位置合わせ状態のプレート開口部155の各々をそれぞれ通って挿入されてスロット組立体104の対応関係にある各スロット113を組み立てる。加うるに、スロット組立体104の下側は、ジグ装置102をケーシング103の上側チャンバ128内に固定するよう第1の支持部材119及び第2の支持部材120に係合する。
【0014】
ジグ装置102が組み立てられると、各ブロッカープレート116がスロット組立体104に沿って各スロット113内にそれぞれ設けられ、このブロッカープレート116を所望に応じてスロット113から引き出し又はこの中に挿入することができる。さらに図示のように、ブロッカープレート116の各々は、ブロッカープレート116の縁に沿って対応関係にある突出部148を備え、このブロッカープレートは、ユーザが突出部148を掴んで個々のブロッカープレート116を対応のスロット113に対して引き出すか又は挿入するかのいずれかを行うことができるよう構成されている。したがって、スプレーノズル出力を測定したり個々のスプレーノズル12又は一群のスプレーノズル12に関するスプレー分布状態を判定したりする際に、任意の数のブロッカープレート116をジグ装置102のスロット組立体104から引き出すことができ、これについては、以下において詳細に説明する。
【0015】
図2図12、及び図13を参照すると、ジグ装置102は、スプレーノズル12のうちの1つ又は2つ以上によって1つ又は2つ以上のブロッカープレート116がジグ装置102から取り外された特定の場所にスプレーされた液体を捕捉するためにタンク121によって定められた複数の内側チャネル122及び端チャネル123と流体連通状態にある。このように、単一のスプレーノズル12又は互いに寄せ集められたスプレーノズル12のバッチに関するスプレー測定出力及びスプレー分布パターンは、それぞれのチャネル122内に集められた液体の量を測定することによって算定又は判定できる。幾つかの実施形態では、端チャネル123は、スプレーノズル12のひとまとまりとしての全体のスプレー測定出力及びスプレー分布パターンを測定するために使用でき、端チャネル123相互間に形成された内側チャネル122は、個々の又は選択された群をなすスプレーノズル12のスプレー測定出力及びスプレー分布パターンをかかるスプレーノズル12に対応した特定のブロッカープレート116がスプレーノズル12の試験中にジグ装置102から取り外されたときに測定するために使用できる。図12に示されているように、上側チャンバ128は、ケーシング103内への挿入時にジグ装置102に当接するよう構成された肩154を形成している。
【0016】
幾つかの実施形態では、スプレー測定機器101は、1つ又は2つ以上のチャネル122,123と流体連通状態にあって、スプレーノズル12が起動された後に特定のチャネル122,123内に入っている液体の量を測定するための複数の圧力変換器130をさらに有する。幾つかの実施形態では、各圧力変換器130は、大気と連通状態にある第1のポート157及びチャネルのうちの一方122又は123と流体連通状態にある対応関係にあるホース145を通って対応関係にあるチャネル122又は123と流体連通状態にある第2のポート158を有する。幾つかの実施形態では、各ホース145は、図12に示されているように各チャネル122,123の底部のところに形成された開口部153を通ってチャネル122,123との流体連通状態をそれぞれ確立するためのホースコネクタ146に連結されている。作用にあたり、各圧力変換器130は、特定のチャネル122,123から集められた液体の量を表す圧力データを収集する。
【0017】
図12に示されている一実施形態では、タンク121は、2つの端チャネル123A,123Bならびに内側チャネル122A~122Gを備えるのが良く、ただし、チャネル122,123の数は、液体収集量の測定の目的のために1つ又は2つ以上のスプレーノズル12に対応するのが良い複数のチャネル122,123のうちの任意のものであって良い。一実施形態では、ジグ装置102は、ブロッカープレート116A~116Xを有するのが良く、各ブロッカープレート116A~116Xは、処理中、特定のウェーハ存在場所に対応するが、任意の数のブロッカープレート116を用いて、扱われるべきウェーハ存在場所の数に適合するよう使用されるのが良い。
【0018】
スプレー測定システム100を用いてスプレー出力を測定するとともにスプレー分布パターンを判定する一方法では、スプレー測定機器101を水平軸線Z回りに垂直線から遠ざかった特定の試験角度まで回転させる。静止状態のままであるスプレーノズル12は、液体をスプレーし、液体は、複数のチャネル122,123の任意のものの中に集められる。ついで、スプレー測定システム100を水平軸線Z回りに回転させて垂直線から0°まで戻し、この場合、圧力変換器130は、チャネル122,123の各々内の圧力の大きさを測定し、チャネル122,123の各々内の圧力の大きさは、チャネル122,123の各々の中に集められた液体の体積に対応している。試験プロセスが続いているときに、次に、別の試験角度を選択してこの方法を繰り返す。
【0019】
スプレー測定システム100を用いてスプレー出力を測定するとともにスプレー分布パターンを判定する別の方法では、ユーザが1つ又は2つ以上のブロッカープレート116、例えばブロッカープレート116J~116Mをジグ装置102から取り外してブロッカープレート116J~116Mの配置場所と関連した特定のスプレーノズル12が正しく機能していてかつ一様なスプレー分布パターンを提供しているかどうかを判定するのが良い。液体収集データがチャネル122Dからいったん集められると、ブロッカープレート116J~116Mの存在場所と関連したスプレーノズル12の全てが正しく機能していること又は1つ又は2つ以上のスプレーノズル12が交換又は調整を必要としていることの確認が可能である。
【0020】
図1図2図3図5図7図9、及び図10に示されているように、スプレー測定システム100は、圧力変換器130の各々と作動的連絡状態にあるコントローラ131をさらに含む。加うるに、コントローラ131は、データを収集し又はユーザがコントローラ131と対話してスプレー測定システム100を作動することができるようにする手段となるデータ接続インターフェース(図示せず)を備える。例えば、データ接続インターフェースは、2つの端チャネル123A,123Bならびに内側チャネル122A~122G内に集められた液体の量に関連付けられたそれぞれの圧力を記録することができるのが良い。幾つかの実施形態では、コントローラ131は、特定のチャネル122,123から集められた液体の量に関するデータならびにバッチ式化学プロセスチャンバ内の互いに異なる試験角度で互いに異なるスプレー測定手段上に集められたデータを収集して記憶する。幾つかの実施形態では、コントローラ131は、スプレー測定システム100の作動を制御するために外部装置(図示せず)とワイヤレス又はワイヤード連絡状態にあるのが良い。幾つかの実施形態では、コントローラ131は、バッチ式化学的プロセスチャンバ全体に結合されても良く、すると、このコントローラは、それにより、ロータ10によるスプレー測定機器100の回転を制御する。
【0021】
幾つかの実施形態では、バッテリ147がスプレー測定システム100のコンポーネント、例えばコントローラ131や圧力変換器130の全てに電力を提供することができる。幾つかの実施形態では、バッテリ147は、再充電可能であるのが良い。他の実施形態では、電力は、電力ケーブル(図示せず)により提供されるのが良い。
【0022】
幾つかの実施形態では、図9に示されるように、圧力変換器130A~130Dの第1のアレイが第2の側プレート136に固定されるのが良く、圧力変換器130E~130Hの第1のアレイが第1の側プレート135に固定されるのが良い。加うるに、圧力変換器130Iもまた、図12に示された実施形態又はケーシング103のための全部で9個の端チャネル122及び内側チャネル123に適合するよう使用されるのが良い。さらに図示のように、第1の側プレート135は、ケーシング103の内面106に取り付けられた第1のレール部材133に係合する第1のブラケット139を有し、第2の側プレート136は、これまたケーシング103の内面106に取り付けられた第2のレール部材134に係合する第2のブラケット140を有する。
【0023】
図11を参照すると、ケーシング103の底部分110は、各々がこれと対応関係にあるプラグ151を受け入れるよう構成された複数の開口部153を備えている。幾つかの実施形態では、ケーシング103の底部分110は、ケーシング103をバッチ式化学的プロセスチャンバのロータ10内に固定する際にマウントとして役立つよう構成された凹み152をさらに有する。
【0024】
上記のことから理解されるべきこととして、特定の実施形態を図示して説明したが、当業者には明らかなように本発明の精神及び範囲から逸脱することなくこれら実施形態に対する種々の改良を行うことができる。かかる変更及び改造は、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲及び教示に含まれる。
図1
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図13