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特許7450845位置合わせ部材を有する外科用ガイド及びインプラント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】位置合わせ部材を有する外科用ガイド及びインプラント
(51)【国際特許分類】
   A61C 8/00 20060101AFI20240311BHJP
   A61C 7/10 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
A61C7/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022520848
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 US2020054289
(87)【国際公開番号】W WO2021067950
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】62/910,926
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】524010228
【氏名又は名称】ケイエルエス マーティン, エル.ピー.
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】シンプソン, トラヴィス
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-051031(JP,A)
【文献】特表2016-524493(JP,A)
【文献】特表2018-538099(JP,A)
【文献】特表2013-524995(JP,A)
【文献】特開2009-142504(JP,A)
【文献】特開2018-110723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 8/00
A61C 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューターを利用した設計によって構成された外科的な骨切り及びドリルでの穴開けのガイドと、コンピューターを利用した設計によって構成されたインプラントとを含むキットであって、
前記ガイドは、
患者の骨の表面形状に適合する骨適合内面を有する少なくとも1つの骨適合部材と、ここで該少なくとも1つの骨適合部材は、骨切り術のマーキング又は切断用の構造及びドリルガイドの開口を含み、
前記患者の歯の表面形状に適合する歯適合内面を有する少なくとも1つの歯接合部材と、ここで該少なくとも1つの歯接合部材は、前記患者の前記歯の上面ではなく、顔面、近心及び遠心側に横方向で隣接するように構成され、
前記骨適合部材を前記歯接合部材に接続するブリッジ部材と
を含み、前記少なくとも1つの骨適合内面及び前記少なくとも1つの歯適合内面は、前記患者に合わせてカスタマイズされ、
前記インプラントは、
前記患者の前記骨の表面形状に適合するインプラント骨適合内面を有する少なくとも1つのインプラント骨適合部材と、
前記患者の前記歯の表面形状に適合するインプラント歯適合内面を有する少なくとも1つのインプラント歯接合部材と、ここで該少なくとも1つのインプラント歯接合部材は、前記患者の前記歯の上面ではなく、顔面、近心及び遠心側に横方向で隣接するように構成され、
前記インプラント骨適合部材を前記インプラント歯接合部材に接続するインプラントブリッジ部材と
を含み、前記少なくとも1つのインプラント骨適合内面及び前記少なくとも1つのインプラント歯適合内面は、前記患者に合わせてカスタマイズされる、キット。
【請求項2】
前記少なくとも1つの歯接合部材は、U字形の本体と、一対のアーム部材と、顔面隣接部分とを含み、前記少なくとも1つのインプラント歯接合部材は、U字形の本体と、一対のアーム部材と、顔面隣接部分とを含む、請求項に記載のキット。
【請求項3】
前記少なくとも1つの歯接合部材は、W字型の本体と、近心隣接部分と、遠心隣接部分と、中央の空隙隣接部分と、第1及び第2の顔面隣接部分とを含み、前記少なくとも1つのインプラント歯接合部材は、W字型の本体と、近心隣接部分と、遠心隣接部分と、中央の空隙隣接部分と、第1及び第2の顔面隣接部分とを含む、請求項に記載のキット。
【請求項4】
前記ガイドは、前記近心部分から延びる延長アーム及び隣接部材を更に含み、前記インプラントは、前記近心部分から延びる延長アーム及び隣接部材を更に含む、請求項に記載のキット。
【請求項5】
前記ガイドは、前記少なくとも1つの歯接合部材が2つの歯接合部材からなり、前記インプラントは、前記少なくとも1つのインプラント歯接合部材が2つのインプラント歯接合部材からなる、請求項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、例えば顎矯正手術、又は骨切り術若しくは骨修復を伴う関連する骨治療で使用される、骨切り術での切断及びドリルでの穴開けのガイド並びに骨固定インプラントに関し、特にガイド及びインプラントは、骨の表面形状に適合するようにコンピューターを利用した設計に基づいて成形及び構成される。より具体的には、本発明は、骨表面での装置の適切な位置決め及び配列を保証するための位置合わせ部材又は構造を備えたそのようなガイド及びインプラント、更により具体的には、位置合わせ部材が隣接するそのようなガイド及びインプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
議論を容易にするためであって、適用分野を制限することを意図せずに、ガイド及びインプラントは、構造、成長、睡眠時無呼吸、顎関節症、骨格の不調和による不正咬合の問題、又はブレースでは容易に治療できない他の歯列矯正の問題に関係する顎及び顔の状態を矯正するように考案された手術である、矯正顎顔面又は顎手術としても知られる顎矯正手術に関して主に議論される。口腔外科の典型的な顎矯正治療では、例えば、歯牙顔面変形を矯正するために、骨を切断、移動、修正、及び再調整する。「骨切り術」という言葉は、骨の分割又は切除を意味する。骨切り術は、上顎(例えば、ルフォー1型)、下顎(例えば、矢状分割)、又は顎先(例えば、頤形成術)で行われることができる。
【0003】
現代の顎矯正手術は、コンピューターを利用した設計及び製造技術を利用しており、それによれば技術者は、仮想又は物理的を問わず、患者の術前及び術後の3Dモデルを作成し、手術前の顎及び/又は顔の現在の形態並びに手術後の所望の形態を示す。上顎、下顎、又は顎先の骨切り術での切断のための及び/又は骨切り術の位置をマークするためのガイド、並びに骨固定ねじを受けるための穴をドリルで開けるためのガイドが製造されている。骨切り術後に骨部分に取り付けられた時に、骨部分が互いに対して適切に位置決めされるようにして構成された固定インプラントもまた製造される。
【0004】
ガイドは、外科医がガイドを適切な位置に容易に位置決めできるように、患者の骨構造の術前形態に適合している。次に、外科医はガイドを使用して骨切り術の位置をマークし、そしてガイドでの開口部により穴をマークするか又は穴をドリルで開ける。穴は、所望の術後の関係で配置された骨部分で、固定インプラントを骨部分に固定するために使用される骨ねじを受けるように適切に配置される。あるいは、マーキングの目的でガイドを使用するのではなく、骨切り術用のこぎりをガイドする物理的構造によりガイドが作成されてもよい。
【0005】
ガイドの一部が歯の上面に隣接して配置されるように設計されているという点で、ガイドの1つのタイプは咬合ガイドと呼ばれる。通常、ガイドはプラスチック材料で製造され、ガイドの一部は複数本の、通常は4本又は5本の隣接する歯の表面と一致又は適合するように構成される。この部分は、しばしばスプリントと呼ばれ、適切な位置決めと配列を保証するガイドの部分である。そして、ブリッジ部材は、スプリントを1つ又は複数の骨適合部材に接続し、その骨適合部材は、上顎、下顎、又は顎先での骨表面の一部に適合するように構成される。コンピューター支援の製造プロセスにより、スプリント部分は、骨表面に1つ又は複数の骨適合部材を適切に配列して配置するただ1つの位置でのみ複数の歯と合致するため、ガイドは患者に誤って配置されることはできない。この咬合ガイド構造は有用であるが、装置のかさばり、特に歯の表面に適合するスプリント部分のかさばりは、骨切り術のマーキング及び固定穴のドリルでの穴開けを妨げる又は困難にすることがある。
【0006】
骨切りとねじ穴の作成がなされたら、ガイドを取り外し、固定インプラントを分離された骨部分に固定する。固定インプラントは、患者の骨構造の所望の術後形態に適合するように製造され、ガイドと同様に、患者の組織に隣接するインプラントの内面は、それらが固定される領域の表面形状に適合するように構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようなガイド及びインプラントは、「最良の適合」をもたらすために外科医がガイド又はインプラントを手で操作する必要性をなくすことにより、顎矯正手術を劇的に改善したが、処置中におけるガイド又はインプラントの適当な位置での配置には依然として誤りの余地があり、適切な適合のための正確な位置を見つけることは、依然として時間がかかることがある。したがって、本発明の目的は、誤った位置決めの可能性を低減するガイド及びインプラントを製造することであり、そのガイド及びインプラントは、位置合わせ部材又は構造を有し、その位置合わせ部材は、歯の側面に隣接し、隣接する複数の歯の間の空隙に適合する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
簡潔には、様々な実施形態での本発明は、コンピューター支援の顎矯正手術、又は同様の骨修復若しくは骨修正手術で使用される、外科的な骨切り及びドリルでの穴開けのガイド又は骨固定インプラント、あるいはキットでのそのようなガイド及びインプラントの組み合わせである。そのガイドは、患者の骨表面に骨切り術のマーキング部材及びインプラント固定ねじ穴を適切に配置するために、並びに/あるいは適切な骨切り術の切断又はインプラント固定ねじ穴のドリルでの穴開けのために構成される。ガイドは、隣接する複数の歯の露出した外側部分の間に形成された空隙又は窪みに位置するように構成された少なくとも1つの位置合わせ又は歯接合部材と、上顎、下顎又は顎先の骨表面形状に適合するように構成された1つ又は複数の骨適合部材と、1つ又は複数の骨適合部材を歯接合部材に接続する1つ又は複数のブリッジ部材とを含み、骨適合部材は、ドリルガイドの開口と、骨切り術のマーキング又は切断用の面とを含む。インプラントは、骨切り術が行われた後に、骨部分に骨適合部材を適切に配置するように構成され、そのインプラントは、隣接する複数の歯の露出した外側部分の間に形成された空隙又は窪みに位置するように構成された少なくとも1つの位置合わせ又は歯接合部材と、歯接合部材を骨適合部材に接続する1つ又は複数のブリッジ部材とを含み、1つ又は複数のブリッジ部材及び少なくとも1つの歯接合部材は、骨適合部材が骨部分に固定された後に、骨適合部材から取り外されることができるように構成される。
【0009】
一実施形態では、歯接合部材は、1本の歯の周りに配置される略U字形又は半円形の部材であり、歯接合部材は、露出した歯冠の顔面又は頬側(すなわち、正面外側)表面に隣接するように構成され、更に露出した歯冠の近心及び遠心面(すなわち、それぞれ中央側の側面及び後側の側面)に隣接して接する一対の湾曲した又はフック状のアーム部材を有する。別の実施形態では、ガイド及びインプラントは、1つ又は複数の歯接合部材を有し、そのそれぞれは専用のブリッジ部材に取り付けられて、1本の歯を取り囲む代わりに、歯接合部材は、第1の歯の歯冠の近心、顔面及び遠心側と、隣接する第2の歯の歯冠の近心、顔面、及び遠心側とに隣接するように構成される。
【0010】
コンピューターを利用した設計により、1つ又は複数の歯接合部材は、露出した歯冠表面に適合する内側の歯適合表面を有する。これによれば、歯接合部材はただ1つの位置で歯冠と正しく結合して配列され、それによってガイド又はインプラントの骨適合部材の適切な配置及び位置決めが保証される。
【0011】
別のものについて簡潔に言えば、本発明は、コンピューターを利用した設計によって構成された外科的な骨切り及びドリルでの穴開けのガイドであり、患者の骨の表面形状に適合する骨適合内面を有する少なくとも1つの骨適合部材と、患者の歯の表面形状に適合する歯適合内面を有する少なくとも1つの歯接合部材と、骨適合部材を歯接合部材に接続するブリッジ部材とを含み、少なくとも1つの骨適合部材は、骨切り術のマーキング又は切断用の構造と、ドリルガイドの開口部とを含み、少なくとも1つの歯接合部材は、患者の歯の上面でなく、顔面、近心及び遠心側に横方向で隣接するように構成され、少なくとも1つの骨適合内面及び少なくとも1つの歯適合内面は、患者に合わせてカスタマイズされる。更に本発明は、少なくとも1つの歯接合部材が、U字形の本体と、一対のアーム部材と、顔面隣接部分とを含み;少なくとも1つの歯接合部材が、W字型の本体と、近心隣接部分と、遠心隣接部分と、中央の空隙隣接部分と、第1及び第2の顔面隣接部分とを含み;近心部分から延びる延長アーム及び隣接部材を更に含み;及び/又は少なくとも1つの歯接合部材が、2つの歯接合部材からなる。
【0012】
更に、本発明は、上記ガイドと、コンピューターを利用した設計によって構成された骨固定インプラントとを含むキットであり、インプラントは、患者の骨の表面形状に適合するインプラント骨適合内面を有する少なくとも1つのインプラント骨適合部材と、患者の歯の表面形状に適合するインプラント歯適合内面を有する少なくとも1つのインプラント歯接合部材と、インプラント骨適合部材をインプラント歯接合部材に接続するインプラントブリッジ部材とを含み、少なくとも1つのインプラント骨適合部材は、患者の歯の上面でなく、顔面、近心及び遠心側に横方向で隣接するように構成され、少なくとも1つのインプラント骨適合内面及び少なくとも1つのインプラント歯適合内面は、患者に合わせてカスタマイズされる。更にそのような本発明は、少なくとも1つの歯接合部材が、U字形の本体と、一対のアーム部材と、顔面隣接部分とを含み、少なくとも1つのインプラント歯接合部材が、U字型の本体と、一対のアーム部材と、顔面隣接部分とを含み;少なくとも1つの歯接合部材が、W字形の本体と、顔面隣接部分と、遠心隣接部分と、中央の空隙隣接部分と、第1及び第2の顔面隣接部分とを含み、少なくとも1つのインプラント歯接合部材が、W字形の本体と、顔面隣接部分と、遠心隣接部分と、中央の空隙隣接部分と、第1及び第2の顔面隣接部分とを含み;近心部分から延びる延長アーム及び隣接部材を更に含み、インプラントが近心部分から延びる延長アーム及び隣接部材を更に含み;及び/又は少なくとも1つの歯接合部材が2つの歯接合部材からなり、少なくとも1つのインプラント歯接合部材が2つの歯接合部材からなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ガイドの一実施形態の内側を示し、ガイドは頤形成術のガイドとして構成され、一対の歯接合部材を有し、それぞれの歯接合部材は、顔面、近心及び遠心表面で1本の隣接しない歯に接するように構成される。
図2】下顎に配置された図1のガイドの図である。
図3図1の実施形態に類似のガイドの斜視図である。
図4】ガイドの別の実施形態の内側を示し、ガイドは下顎ガイドとして構成され、2本の隣接する歯に接するように構成された歯接合部材を有する。
図5】下顎に配置された図4のガイドの外側の図である。
図6】下顎に配置された図4のガイドの上側の図である。
図7】ガイドの別の実施形態の内側を示し、ガイドは上顎ガイドとして構成され、2本の隣接する歯に接するように構成された歯接合部材を有する。
図8】上顎に配置された図4のガイドの外側の図である。
図9】ガイドの別の実施形態の内側を示し、ガイドは上顎ガイドとして構成され、2本の隣接する歯に隣接し、かつ空隙を横切って第3の歯まで延びるように構成された歯接合部材を有する。
図10】上顎に配置された図9のガイドの図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
概して、本発明は様々な実施形態において、コンピューター支援の顎矯正手術、又は同様の骨修復若しくは骨修正手術で使用される、単独又はキットでのカスタマイズされた外科用ガイド10又は骨固定インプラント50であり、ガイド10又はインプラント50は、、ブリッジ部材12によって接続された、骨適合部材又はプレート13と、位置合わせ又は歯接合部材11とを含む。
【0015】
骨適合部材13は、特定の患者の骨又は組織での所望の配置位置で、その患者の骨表面形状に適合する、コンピューターを利用した設計によって作成及び構成された骨適合内面14を備える。ガイド10の骨適合部材13は、エッジ若しくはスロットなどの骨切り術のマーキング又は切断用の構造32、及び/あるいはドリルガイドの開口33を更に備える。
【0016】
歯接合部材11は、特定の患者の歯91又は隣接する複数本の歯91の露出面の前面及び側面(すなわち、顔面側、近心側及び遠心側)に横方向で隣接する、コンピューターを利用した設計によって作成及び構成された歯適合内面15を備える。一実施形態では、歯接合部材11は、1本の歯91との隣接のための、対向するアーム部材22と、顔面隣接部分23とを備えた略U字形の本体21を含むことができる。他の実施形態では、歯接合部材11は、中央の空隙隣接部分43と、近心隣接部分41と、遠心隣接部分42と、第1及び第2の顔面隣接部分44/45と、場合により喪失歯の空隙を横切って別の歯91に延びる延長部分46とを備えた略W字形の本体40を含むことができる。アーム部材22、中央の空隙隣接部分43、近心隣接部分41、及び遠心隣接部分42は、歯91の後ろ半分を包み込む又は取り囲むことがない大きさ及び構成にされ、それによりこれらの要素が隣接する複数の歯の間の空隙又は窪みの前部にのみ挿入されることができ、骨適合部材13を適切に位置合わせする又は配置するのに十分な距離にある。このようにして、歯接合部材11は1本又は複数本の歯91に隣接するが、その歯91を把持又は保持せず、歯91から容易に外されることができる。
【0017】
ブリッジ部材12は、グリップ又はハンドルとしての役割を果たすように構成されることができる。インプラント50の場合、ブリッジ部材12は、身体適合部材13が骨部分に取り付けられた後で、ブリッジ部材12と歯接合部材11の容易な分離を可能にする大きさ、構成、及び材料にされる。
【0018】
図1から3に頤形成術(顎先)のガイドとして示される、外科用ガイド10の1つの代表的な実施形態では、歯接合部材11は、1本の歯の周りに配置される略U字形又は半円形の本体21を有し、歯接合部材11は、歯冠91の顔面又は頬側(すなわち、正面外側)表面に隣接するように構成された顔面隣接部分23と、歯91の近心面及び遠心面(すなわち、側面)に隣接しかつ接して配置される一対の湾曲した又はフック状のアーム部材22とを有する。アーム部材22及び顔面隣接部分23の組み合わせは、コンピューターを利用した設計により、それが隣接する複数の歯91の表面形状に適合する歯適合内面15を定める。この特徴は、やはりコンピューターを利用した設計によって作成された骨適合内面14と組み合わされて、ガイド10が骨のマーキング又は切断のために適切に配置されることを保証する。
【0019】
図4から7に下顎ガイド10として示される別の実施形態では、ガイド10は、隣接する複数本の歯91に接するように構成されたW字形の本体40を含む歯接合部材11を有する。そのW字形の本体40は一対の歯適合内面15を含み、その一方は近心隣接部分41、第1の顔面隣接部分44及び中央の空隙隣接部分43の組み合わせによって定められ、他方は中央の空隙隣接部分43、第2の顔面隣接部分45及び遠心隣接部分42によって定められる。歯接合部材11は、一対のブリッジ部材12によって骨適合部材13に接続されており、骨適合部材13は、骨適合内面14と、骨切り術のマーキング又は切断用の構造32と、ドリルガイドの開口33とを含む。図5及び6に示されるように、歯接合部材11は、中央の空隙隣接部分43が2本の歯31の間にあるようにして一対の隣接する歯91の前側に隣接し、遠心隣接部分42は最も遠心の歯の遠心側に隣接し、近心隣接部分41は最も近心の歯91の近心側に隣接し、2つの顔面隣接部分44/45は複数の歯91の顔面側表面に適合して隣接する。近心隣接部分41、中央の空隙隣接部分43及び遠心隣接部分42は、配置及び除去が容易になされるように、複数の歯91の間の空隙の半分未満に延びる。歯接合部材11の歯適合内面15と骨適合部材11の骨適合内面14との組み合わせは、更に歯接合部材11、ブリッジ部材12及び骨適合部材13の相対的配置と組み合わされ、すべてが患者の骨及び歯の表面形状に適合するようにコンピューターを利用した設計によって設計及び製造されて、ガイド10の安定して固定された配置を提供する。
【0020】
更に別の実施形態が図7及び8に示され、それはこの場合には上顎ガイド10である。それは下顎ガイド10と構造的に類似しており、ブリッジ部材12によって接続された歯接合部材11及び骨適合部材13を含む。ガイド10は、隣接する複数の歯91に接するように構成されたW字型の本体40を含む歯接合部材11を有する。W字型の本体40は1対の歯適合表面15を含み、その一方は近心隣接部分41、第1の顔面隣接部分44及び中央の空隙隣接部分43の組み合わせによって定められ、他方は中央の空隙隣接部分43、第2の顔面隣接部分45及び遠心隣接部分42によって定められる。歯接合部材11は、一対のブリッジ部材12によって骨適合部材13に接続されており、骨適合部材13は、骨適合内面14と、骨切り術のマーキング又は切断用の構造32と、ドリルガイドの開口33とを含む。歯接合部材11は、中央の空隙隣接部分43が2本の歯31の間にあるようにして一対の隣接する歯91の前側に隣接し、遠心隣接部分42は最も遠心の歯の遠心側に隣接し、近心隣接部分41は最も近心の歯91の近心側に隣接し、2つの顔面隣接部分44/45は複数の歯91の顔面側表面に適合して隣接する。近心隣接部分41、中央の空隙隣接部分43及び遠心隣接部分42は、配置及び除去が容易になされるように、複数の歯91の間の空隙の半分未満に延びる。歯接合部材11の歯適合内面15と骨適合部材11の骨適合内面14との組み合わせは、更に歯接合部材11、ブリッジ部材12及び骨適合部材13の相対的配置と組み合わされ、すべてが患者の骨及び歯の表面形状に適合するようにコンピューターを利用した設計によって設計及び製造されて、ガイド10の安定して固定された配置を提供する。
【0021】
図9及び10は、ガイド10の別の実施形態を示し、この場合には図7及び8に示された上顎ガイドと同様の上顎ガイドを示している。この実施形態では、歯接合部材11は、隣接する複数の歯91に接するように構成されたW字型の本体40を備えた歯接合部材11を含む。W字型の本体40は1対の歯適合表面15を含み、その一方は近心隣接部分41、第1の顔面隣接部分44及び中央の空隙隣接部分43の組み合わせによって定められ、他方は中央の空隙隣接部分43、第2の顔面隣接部分45及び遠心隣接部分42によって定められ、更に近心隣接部分41から延びた延長アーム46を含み、その延長アーム41は隣接ショルダー47で終わる。この実施形態は、1本又は複数本の歯が喪失した状況に適しており、ガイド10をより安定させるために、隣接ショルダー47が次に近い歯91に隣接することができるようにして、延長アーム46は空隙を横切る。
【0022】
骨固定インプラント50は、骨適合部材13及び歯接合部材11が、それぞれ骨適合内面14及び歯適合内面15を有するようにして、ガイド10と同様の方法でコンピューター支援法によって設計及び製造され、1つ又は複数のブリッジ部材12によって接続される。違いは、インプラント50の骨適合部材12は、患者の骨部分への骨適合部材13の固定前に骨切りが行われているため、骨切り術のマーキング又は切断用の構造を備えていないことである。取り付けられた後に、ブリッジ部材12及び歯接合部材11は、骨適合部材13から切断されるか、さもなければ骨適合部材13から分離されて、除去される。
【0023】
プラスチックガイドのスプリント部分と比較しての、歯接合部材11の小さくされた構造により、本発明のガイド10を、例えばチタンなどのより剛性の高い材料で製造する必要がある。
【0024】
ガイド10を使用するために、外科医は、骨適合部材が上顎、下顎、又は顎先の骨表面に配置されるようにして、1つ又は複数のクラウンに、1つ又は複数の歯接合部材11を配置する。外科医は、マーキング/切断エッジ31を使用して骨切り術の位置をマークし、更に骨ねじを受ける穴の位置をマークするか、あるいはドリルガイドの開口33を使用してドリルで穴を開ける。あるいは、外科医は最初にドリルガイドの開口33を使用してマークするかドリルで穴を開け、次にマーキング/切断エッジ31を使用して骨切り術を実施する。その後にガイド10が患者から取り外され、骨部分が所望の形態に再配置され、固定インプラント50が骨部分に取り付けられる。ブリッジ部材12及び歯接合部材11は、骨適合部材13から切断されるか、さもなければ骨適合部材13から分離されて、除去される。
【符号の説明】
【0025】
10 外科用ガイド
11 位置合わせ又は歯接合部材
12 ブリッジ部材
13 骨適合部材又はプレート
14 骨適合内面
15 歯適合内面
21 本体
22 アーム部材
23 顔面隣接部分
31 マーキング/切断エッジ
32 骨切り術のマーキング又は切断用の構造
33 ドリルガイドの開口
40 本体
41 近心隣接部分
42 遠心隣接部分
43 中央の空隙隣接部分
44 第1の顔面隣接部分
45 第2の顔面隣接部分
46 延長部分、延長アーム
47 隣接ショルダー
50 骨固定インプラント
91 歯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10