(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】骨切り術前及び骨切り術後用の位置合わせ部材を有する顎矯正外科用インプラントアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/80 20060101AFI20240311BHJP
A61B 17/15 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
A61B17/80
A61B17/15
(21)【出願番号】P 2022525598
(86)(22)【出願日】2020-10-28
(86)【国際出願番号】 US2020057747
(87)【国際公開番号】W WO2021086971
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-06-30
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】524010228
【氏名又は名称】ケイエルエス マーティン, エル.ピー.
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】シンプソン, トラヴィス
(72)【発明者】
【氏名】パテル, タース
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0038414(US,A1)
【文献】米国特許第05306150(US,A)
【文献】中国特許出願公開第106175903(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00-18/00
A61F 2/01
A61F 2/80
A61N 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カスタマイズされた、患者に固有のインプラントアセンブリであって、
移行部によって結合された骨切り術前適合部及び骨切り術後適合部をそれぞれが含む1つ又は複数の骨固定プレートと、
前記1つ又は複数の骨固定プレートの前記骨切り術前適合部及び前記骨切り術後適合部に配置された骨ねじ用開口部と、
繋ぎ部材によって前記1つ又は複数の骨固定プレートに接続された、1つ又は複数の除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレート及び1つ又は複数の除去可能な骨切り術後適合位置合わせプレートと
を含
み、前記1つ又は複数の骨固定プレートのそれぞれでの前記骨切り術前適合部及び前記骨切り術後適合部が、骨表面に接して配置される接触面領域を含み、前記1つ又は複数の除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレート及び前記1つ又は複数の骨切り術後適合位置合わせプレートはそれぞれ、骨表面に接して配置される、前記1つ又は複数の骨固定プレートのそれぞれでの前記骨切り術前適合部及び前記骨切り術後適合部の前記接触面領域よりも大きい接触面領域を含む、インプラントアセンブリ。
【請求項2】
前記1つ又は複数の骨固定プレートに接続された除去可能な切断ガイドを更に含む、請求項1に記載のインプラントアセンブリ。
【請求項3】
前記1つ又は複数の除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレート及び1つ又は複数の骨切り術後適合位置合わせプレートが非平面である、請求項1に記載のインプラントアセンブリ。
【請求項4】
前記1つ又は複数の除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレート及び1つ又は複数の骨切り術後適合位置合わせプレートが非平面である、請求項2に記載のインプラントアセンブリ。
【請求項5】
固定された骨部分に対して固定されていない骨部分を固定して配置するように構成されたカスタマイズされた患者に固有のインプラントアセンブリであって、前記固定されていない骨部分及び前記固定された骨部分は表面形状を有し、前記インプラントアセンブリは、
移行部によって結合された骨切り術前適合部及び骨切り術後適合部をそれぞれが含む1つ又は複数の骨固定プレートと、
前記1つ又は複数の骨固定プレートの前記骨切り術前適合部及び前記骨切り術後適合部に配置された骨ねじ用開口部と、
繋ぎ部材によって前記1つ又は複数の骨固定プレートに接続された、1つ又は複数の除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレート及び1つ又は複数の除去可能な骨切り術後適合位置合わせプレートと
を含み、前記骨切り術前適合部は、前記固定された骨部分の前記表面形状の一部に適合するように構成され、前記骨切り術後適合部は、前記固定されていない骨部分の前記表面形状の一部に対応するように構成され、前記1つ又は複数の除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレートは、前記固定された骨部分の前記表面形状の他の部分に適合するように構成され、前記1つ又は複数の除去可能な骨切り術後適合位置合わせプレートは、前記固定されていない骨部分の前記表面形状の他の部分に適合するように構成される、インプラントアセンブリ。
【請求項6】
前記1つ又は複数の骨固定プレートに接続された除去可能な切断ガイドを更に含む、請求項
5に記載のインプラントアセンブリ。
【請求項7】
前記1つ又は複数の骨固定プレートのそれぞれでの前記骨切り術前適合部及び前記骨切り術後適合部が
、骨表面に接して配置される接触面領域を含み、前記1つ又は複数の除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレート及び前記1つ又は複数の骨切り術後適合位置合わせプレートはそれぞれ、
骨表面に接して配置される、前記1つ又は複数の骨固定プレートのそれぞれでの前記骨切り術前適合部及び前記骨切り術後適合部の前記接触面領域よりも大きい接触面領域を含む、請求項
5に記載のインプラントアセンブリ。
【請求項8】
前記1つ又は複数の骨固定プレートのそれぞれでの前記骨切り術前適合部及び前記骨切り術後適合部が
、骨表面に接して配置される接触面領域を含み、前記1つ又は複数の除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレート及び前記1つ又は複数の骨切り術後適合位置合わせプレートはそれぞれ、
骨表面に接して配置される、前記1つ又は複数の骨固定プレートのそれぞれでの前記骨切り術前適合部及び前記骨切り術後適合部の前記接触面領域よりも大きい接触面領域を含む、請求項
6に記載のインプラントアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、コンピューター支援の顎矯正手術で使用される骨固定プレート又はインプラント及び切断ガイド、並びにそのような器具を設計、作製及び使用する関連する方法に関し、より具体的には、そのプレート又はインプラントが特定の患者に合わせてカスタマイズされる、患者に固有のそのような器具及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
顎矯正手術は、構造、成長、睡眠時無呼吸、顎関節症、骨格の不調和による不正咬合の問題、又はブレースでは容易に治療できない他の歯列矯正の問題に関係する顎及び顔の状態を矯正するように考案された手術である。通常はこのような手術では、骨を切断して固定された骨部分又は基部の骨部分と、固定されていない骨部分又は分離された骨部分を生成し、分離された又は固定されていない骨部分を所望の骨切り術後の向きで、固定された骨部分に固定するために使用される骨プレート又はインプラントで、固定されていない骨部分を再配置及び再調整して、顎顔面又は同様の変形を矯正する。「骨切り術」という語は、骨の分割又は切除を意味する。骨切り術は、上顎(例えば、ルフォー1型)、下顎(例えば、矢状分割)、又は顎先(例えば、頤形成術)で行われることができる。
【0003】
初期の技術は、骨表面の形状により良く合うように外科医によって操作(すなわち、切断又は曲げ)がされなければならなかった在庫の骨固定プレートを用いた。そのような技術は、良くても骨表面形状への近似をもたらすだけである。
【0004】
現代の顎矯正手術は、コンピューターを利用した設計及び製造技術を利用しており、それによれば外科医又は技術者は、患者の骨表面形状の骨切り術前及び骨切り術後の仮想3Dモデルを作製する。骨切り術前の仮想3Dモデルは、さまざまな電子走査技術を用いて作製され、矯正手術前の骨構造の現在の構成を示す。次に、外科医は技術者と共に、骨切り術前のモデルを仮想的に操作して、矯正された骨構造のための所望の骨切り術後の構成及び配向を作製する。骨切り術の切断をしたり、上顎、下顎又は顎先での骨切り術の位置に印を付けたり、骨固定ねじを受け入れるための孔を開けたりするための1つ又は複数の仮想ガイドがコンピューターシステム内で作製され、次に実物のガイドが、仮想ガイドの仕様に基づいて製造される。同様に、次に1つ又は複数の仮想の骨固定プレートが構成され、実物の骨固定プレートがその仕様から作製される。これにより、実物の骨固定プレートが、固定された骨部分と、骨切り術後に再配置された固定されていない又は分離された骨部分とに取り付けられた時に、それらの骨部分は、所望の骨切り術後の構成で、互いに対して適切に配置される。
【0005】
ガイドは、患者の骨構造の骨切り術前の表面形状又は構成に適合するように設計され、ガイドの内面はその表面形状と一致しているため、外科医はガイドを適切な位置に簡単に配置することができる。次に、外科医は骨切り術の場所に目印をするためにガイドを使用し、ガイドでの開口部を通じて孔の印を付けるか又はドリルで孔を開ける。その孔は、骨部分が望ましい骨切り術後の関係で配置された状態で、固定インプラントを骨部分に固定するために使用される骨ねじを受け入れるように適切に配置される。あるいは、印を付ける目的でガイドを使用するのではなく、骨の切断中に骨切り術の鋸をガイドするための物理的構造を備えたガイドが作製されてもよい。骨固定プレートは、プレートの第1の部分が固定された骨部分の表面形状に適合し、プレートの第2の部分が固定されていない骨部分の表面形状に適合するようにして製作される。移行部は、第1及び第2の適合部を接続し、それにより第2の適合部の配置及び向きは、固定されていない骨部分の適切な再配置及び向きをもたらす。
【0006】
このコンピューター支援の顎矯正手術の方法及び器具は、以前の技術及び器具よりも改善されているが、骨固定プレートの接触部分の面積又は接触面領域を最小化することが最も望ましいので、骨固定プレートの適切な位置については依然として問題がある。多くの場合には、骨固定プレートの接触面領域は、骨ねじ用開口部の直径よりわずかに大きいだけである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、改良された、患者に固有の顎矯正外科用インプラントアセンブリ及びその使用方法であり、それはガイド及び骨プレートの適切な位置がより簡単に達成されることができるように、増大された接触面領域を備えたそのようなアセンブリを提供することによってこの問題に対処する。本発明の目的は、固定された骨部分又は基部の骨部分での骨固定プレートの適切な骨切り術前の配置のための1つ又は複数の除去可能な骨切り術前用の位置合わせプレート部材と、固定されれいない骨部分又は分離された骨部分での骨固定プレートの適切な骨切り術後の配置のための1つ又は複数の除去可能な骨切り術後用の位置合わせプレート部材とを有したアセンブリである、そのような改良された顎矯正外科用インプラントアセンブリ、及びそのようなインプラントアセンブリを使用する方法である。いくつかの実施形態において、骨切り術の印を付けるか又は骨切り術を実施するための切断ガイドを備えたそのようなインプラントアセンブリを提供することが、更なる目的である。
【0008】
コンピューターを利用した設計ステップがなされて、インプラントアセンブリが製造された後に、1つ又は複数の骨切り術前適合位置合わせプレート及び1つ又は複数の骨切り術後適合位置合わせプレートが、1つ又は複数の骨固定プレートを骨組織に装着した後に容易に切断されるような大きさ及び構成の繋ぎ部材によって、1つ又は複数の骨固定プレートに強固に接続されるようにして、患者に固有のインプラントアセンブリが作製される。そのインプラントアセンブリは、1つ又は複数の骨固定プレートの骨切り術前適合位置合わせプレート及び骨切り術前適合部を固定された骨部分に適切に配向し、1つ又は複数の骨固定プレートの骨切り術前適合部を、骨ねじなどの機械的な固定具を用いて固定された骨部分に固定し、インプラントアセンブリから骨切り術前適合位置合わせプレートを除去し、骨切り術の切断をして固定されていない骨部分を生成し、固定されていない骨部分を、1つ又は複数の骨切り術後適合位置合わせプレート及び1つ又は複数の骨固定プレートの骨切り術後適合部に配向及び位置決めし、固定されていない骨部分を、1つ又は複数の骨固定プレートの骨切り術後適合部に骨ねじなどの機械的な固定具を用いて固定し、骨切り術後適合位置合わせプレートをインプラントアセンブリから除去することによって、患者に配置される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
簡単に言えば、本発明は概して、下顎骨、上顎又は顎先などの固定された骨部分又は基部の骨部分から骨切り術によって切り離された固定されていない骨部分を適切に再配置するための、コンピューター支援の顎矯正手術で使用される患者に固有のカスタマイズされたインプラントアセンブリ、及びそのインプラントアセンブリを設計、使用、及び装着する方法である。そのインプラントアセンブリは、骨切り術前適合部、移行部及び骨切り術後適合部を有する1つ又は複数の骨固定プレート又はインプラントと、固定された骨部分への骨固定プレートの骨切り術前適合部の適切な骨切り術前の配置及び固定のための1つ又は複数の除去可能な骨切り術前用の位置合わせプレート部材と、骨固定プレートの骨切り術後適合部への固定されていない骨部分の適切な配置及び固定のための1つ又は複数の除去可能な骨切り術後用の位置合わせプレート部材と、好ましくは、下顎、上顎又は顎先での骨切り術の位置に印を付けるための、又は固定された骨部分から固定されていない骨部分の分離中に骨切り術の鋸をガイドするための切断ガイドとを含む。1つ又は複数の骨固定プレート、1つ又は複数の除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレート、1つ又は複数の除去可能な骨切り術後適合位置合わせプレート及び切断ガイドは、繋ぎ部材によって接続されて、剛性のインプラントアセンブリを形成する。その繋ぎ部材は、インプラントアセンブリが骨組織に取り付けられた後に容易に切断されて、1つ又は複数の除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレート、1つ又は複数の除去可能な骨切り術後適合位置合わせプレート、及び切断ガイドが、1つ又は複数の骨固定プレートから除去されるように、寸法及び構成が小さくされている。
【0010】
剛性のインプラントアセンブリの大きさ、形状及び構造は、既知の方法での3Dコンピューターを利用した設計及びモデリングによって決定され、それにより患者の骨切り術前の骨構造の仮想3Dモデルが走査技術を用いて最初に作製される。外科医及び/又は技術者は、骨切りの最適な位置と、骨構造の固定された部分から切り離される固定されていない骨部分の適切な再配置を決定して、望ましい術後形態の骨切り術後の仮想3Dモデルを作製する。仮想3Dモデルに基づいて、固定された骨部分に取り付けられる、各骨固定プレートの骨切り術前適合部の適切な大きさ、形状及び構造が、ねじ用開口部の適切な位置と共に決定される。同様に、固定されていない骨部分に取り付けられる、各骨固定プレートの骨切り術後適合部の適切な大きさ、形状及び構造が、ねじ用開口部の適切な位置と共に決定される。更に、固定された骨部分に適合するそれぞれの除去可能な骨切り術前用の位置合わせプレートの適切な大きさ、形状及び構造が決定され、また固定されていない骨部分に適合するそれぞれの除去可能な骨切り術後用の位置合わせプレートの適切な大きさ、形状及び構造が決定される。骨切り術前及び骨切り術後適合位置合わせプレートは、容易に切断される大きさ及び構成の繋ぎ部材によって、1つ又は複数の骨固定プレートに接続される。存在する場合には、切断ガイドの位置及び構成もまた決定され、切断ガイドは、同様に容易に切断される繋ぎ部材によって骨固定プレートに接続される。次に、実物のインプラントアセンブリが、設計仕様に基づいて製造される。
【0011】
顎矯正処置は、1つ又は複数の骨切り術前適合位置合わせプレートを固定された骨部分又は基部の骨部分に適切に配向し、次に1つ又は複数の骨固定プレートのそれぞれでの骨切り術前適合部を、骨ねじ若しくは同様の機械的な固定具を使用して固定された骨部分に固定することによってなされる。骨固定プレートの骨切り術前適合部と組み合わせた1つ又は複数の除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレートは、1つ又は複数の骨固定プレートが、固定された骨部分に適切に配置されることを確実にする。その後に、1つ又は複数の除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレートを、繋ぎ部材を切断することによって、骨固定プレートの骨切り術前用部分から分離する。次に、切断ガイドが存在する場合は、切断ガイドが骨切り術の印を付けるか又は骨切り術を行うために使用され、固定された骨部分から分離された固定されていない骨部分がもたらされる。次に、固定されていない骨部分は、骨ねじ若しくは同様の機械的な固定具を用いて、1つ又は複数の骨固定プレートの骨切り術後適合部に固定される。骨固定プレートの骨切り術後適合部と組み合わせた1つ又は複数の除去可能な骨切り術後適合位置合わせプレートは、骨切り術後適合部が、固定されていない骨部分に適切に配置されることを確実にし、それは固定されていない骨部分が固定された骨部分に対して、固定された強固な方法で適切に配向及び配置されることを確実にする。次に、1つ又は複数の除去可能な骨切り術後適合位置合わせプレートは、1つ又は複数の骨固定インプラントの骨切り術後適合部から分離される。各骨固定プレートの移行部の大きさ、形状、及び構成により、固定された骨部分に対する固定されていない骨部分の適切な再配置がもたらされ、それにより骨再生時に、結合された固定されていない骨部分及び固定された骨部分が、所望の構成及び形態を有する骨構造をもたらす。
【0012】
別のものについて簡潔に言えば、本発明は、移行部によって結合された骨切り術前適合部及び骨切り術後適合部をそれぞれが含む1つ又は複数の骨固定プレートと、1つ又は複数の骨固定プレートの骨切り術前適合部及び骨切り術後適合部に配置された骨ねじ用開口部と、繋ぎ部材によって1つ又は複数の骨固定プレートに接続された、1つ又は複数の除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレート及び1つ又は複数の除去可能な骨切り術後適合位置合わせプレートとを含む、カスタマイズされた患者に固有のインプラントアセンブリである。更に、そのようなインプラントアセンブリは、1つ又は複数の骨固定プレートに接続された除去可能な切断ガイドを更に含み、ここで1つ又は複数の骨固定プレートのそれぞれでの骨切り術前適合部及び骨切り術後適合部は接触面領域を含み、1つ又は複数の除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレート及び1つ又は複数の骨切り術後適合位置合わせプレートはそれぞれ、1つ又は複数の骨固定プレートのそれぞれでの骨切り術前適合部及び骨切り術後適合部の接触面領域よりも大きい接触面領域を含み、1つ又は複数の除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレート及び1つ又は複数の骨切り術後適合位置合わせプレートは非平面であり、及び/又は1つ又は複数の除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレート及び1つ又は複数の骨切り術後適合位置合わせプレートが非平面である。
【0013】
あるいは、本発明は、固定された骨部分に対して固定されていない骨部分を固定して配置するように構成されたカスタマイズされた患者に固有のインプラントアセンブリであり、固定されていない骨部分及び固定された骨部分は表面形状を有し、インプラントアセンブリは、移行部によって結合された骨切り術前適合部及び骨切り術後適合部をそれぞれが含む1つ又は複数の骨固定プレートと、1つ又は複数の骨固定プレートの骨切り術前適合部及び骨切り術後適合部に配置された骨ねじ用開口部と、繋ぎ部材によって1つ又は複数の骨固定プレートに接続された、1つ又は複数の除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレート及び1つ又は複数の除去可能な骨切り術後適合位置合わせプレートとを含み、骨切り術前適合部は、固定された骨部分の表面形状の一部に適合するように構成され、骨切り術後適合部は、固定されていない骨部分の表面形状の一部に対応するように構成され、1つ又は複数の除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレートは、固定された骨部分の表面形状の他の部分に適合するように構成され、1つ又は複数の除去可能な骨切り術後適合位置合わせプレートは、固定されていない骨部分の表面形状の他の部分に適合するように構成される。更に、そのようなインプラントアセンブリは、1つ又は複数の骨固定プレートに接続された除去可能な切断ガイドを更に含み、及び/又は、1つ又は複数の骨固定プレートのそれぞれでの骨切り術前適合部及び骨切り術後適合部が接触面領域を含み、ここで1つ又は複数の除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレート及び1つ又は複数骨切り術後適合位置合わせプレートはそれぞれ、1つ又は複数の骨固定プレートのそれぞれでの骨切り術前適合部及び骨切り術後適合部の接触面領域よりも大きい接触面領域を含む。
【0014】
あるいは、顎矯正手術を実施する方法であって、その方法は、
表面形状を有する骨の仮想3Dモデルを作製するステップと、
骨を仮想的に切断して、仮想の固定されていない骨部分及び仮想の固定された骨部分を作製した上記骨の仮想3Dモデルを作製するステップと、
固定された骨部分に対して仮想の骨部分を移動させるステップと、
移行部によって結合された骨切り術前適合部及び骨切り術後適合部をそれぞれが含む1つ又は複数の骨固定プレートと、1つ又は複数の骨固定プレートの骨切り術前適合部及び骨切り術後適合部に配置された骨ねじ用開口部と、繋ぎ部材によって1つ又は複数の骨固定プレートに接続された1つ又は複数の除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレート及び1つ又は複数の骨切り術後適合位置合わせプレートとを含む仮想のインプラントアセンブリを作製するステップと、
仮想のインプラントアセンブリと一致する実物のインプラントアセンブリを作製するステップと、ここで実物のインプラントアセンブリは、移行部によって結合された骨切り術前適合部及び骨切り術後適合部をそれぞれが含む1つ又は複数の骨固定プレートと、1つ又は複数の骨固定プレートの骨切り術前適合部及び骨切り術後適合部に配置された骨ねじ用開口部と、繋ぎ部材によって1つ又は複数の骨固定プレートに接続された1つ又は複数の除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレート及び1つ又は複数の骨切り術後適合位置合わせプレートとを含み、
1つ又は複数の骨固定プレートの骨切り術前適合部及び1つ又は複数の骨切り術前適合位置合わせプレートが骨の表面形状に適合するようにして、実物のインプラントアセンブリを骨に配置するステップと、
1つ又は複数の骨固定プレートの骨切り術前適合部を機械的な固定具で骨に固定するステップと、
インプラントアセンブリから1つ又は複数の骨切り術前適合位置合わせプレートを除去するステップと、
骨切り術を実施して、骨を、固定されていない骨部分と固定された骨部分に分割するステップと、
1つ又は複数の骨固定プレートの骨切り術後適合部及び1つ又は複数の骨切り術後適合位置合わせプレートが、固定されていない骨部分の表面形状に適合するようにして、固定されていない骨部分を配置するステップと、
1つ又は複数の骨固定プレートの骨切り術後適合部を、機械的な固定具で骨に固定するステップと、
インプラントアセンブリから1つ又は複数の骨切り術後適合位置合わせプレートを除去するステップと、
を含む。更に、その方法は、仮想のインプラントアセンブリを作製するステップが、1つ又は複数の骨固定プレートに結合された切断ガイドを作製するステップを含み、実物のインプラントアセンブリを作製するステップが、1つ又は複数の骨固定プレートに結合された切断ガイドを作製するステップを更に含み、更にその方法は、骨切り術を実施するステップの後に切断ガイドを除去するステップを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】上顎の顎矯正再配置に使用されるインプラントアセンブリの代表的な実施形態を示す。その実施形態は、一対の骨固定プレートと、一対の骨切り術前用の位置合わせ部材と、単一の骨切り術後用の位置合わせ部材とを有する。上顎の反対側のために構成された対を成すインプラントアセンブリは示されていない。
【
図2】骨切り術前用の位置合わせ部材と組み合わせて骨固定プレートの骨切り術前適合部を利用して、上顎に適切に配置されたインプラントアセンブリを示す。
【
図3】骨ねじによって上顎に固定された骨切り術前適合部を有し、骨切り術前用の位置合わせ部材がアセンブリから除去されたインプラントアセンブリを示す。
【
図4】固定されていない骨部分をもたらすために、切断ガイド部材間で行われた骨切りを示す。
【
図5】固定された骨部分に対して再配置され、骨固定プレートの骨切り術後適合部に骨ねじで固定された、固定されていない骨部分を示す。骨固定プレートの骨切り術後適合部を、骨切り術後用の位置合わせ部材と組み合わせた構成は、固定された骨部分に対する固定されていない骨部分の適切な再配置を確実にする。
【
図6】術後の位置合わせ部材及び切断ガイドが除去されたアセンブリを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面は、例示、実施可能及び説明の目的で提示されていることを理解されたい。図面は、本発明の代表的な実施形態を提示するものであり、本発明の範囲及び定義に関して限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、用語「インプラントアセンブリ」は、一体的な剛性の一要素の部材として形成された複数の構成要素の組み合わせを定義し、その構成要素は、外科処置の異なる段階で互いに分離可能である。インプラントアセンブリ10は、インプラントアセンブリ10が患者に適切に配置された時に、骨又は組織の隣接する表面形状に対応して一致する適合表面を有する、カスタマイズされた患者に固有の器具である。インプラントアセンブリ10は、下顎の前部が下顎の後部から分離されて再配置される下顎変形の矯正、又は顎先の前部が顎先の後部から分離されて再配置される顎先変形の矯正、及び/又は上顎の前部が上顎の後部から分離されて再配置される上顎変形の矯正などの様々な顎矯正処置において有用である。説明と議論を容易にするために、本発明は、包括的な記載と、上顎変形の矯正に関する代表的な実施形態の両方に関して説明される。
【0017】
本発明は概して、
図1に示されるような、下顎、上顎若しくは顎先などの、固定された骨部分又は基部の骨部分31から骨切り術によって切り離された固定されていない骨部分32を適切に再配置するためのコンピューター支援の顎矯正手術で使用される患者に固有のカスタマイズされたインプラントアセンブリ10、あるいはインプラントアセンブリ10を設計、使用、及び装着する方法である。インプラントアセンブリ10は、骨切り術前適合部21、移行部24及び骨切り術後適合部22を有する1つ又は複数の骨固定プレート又はインプラント20と、固定された骨部分31への骨固定プレート20の骨切り術前適合部21の適切な骨切り術前の配置及び固定のための1つ又は複数の除去可能な骨切り術前用の位置合わせプレート部材11と、骨固定プレート20の骨切り術後適合部22への固定されていない骨部分32の適切な位置決め及び固定のための1つ又は複数の除去可能な骨切り術後用の位置合わせプレート部材12と、好ましくは、下顎、上顎若しくは顎先での骨切り33の位置に印を付けるための又は固定されていない骨部分32から固定された骨部分31の分離中に骨切り術の鋸をガイドするための切断ガイド部材13とを含む。1つ又は複数の骨固定プレート20と、1つ又は複数の除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレート11と、1つ又は複数の除去可能な骨切り術後適合位置合わせプレート12と、切断ガイド13は、繋ぎ部材14によって接続されて剛性のインプラントアセンブリを形成する。1つ又は複数の骨固定プレート20から、1つ又は複数の除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレート11、1つ又は複数の除去可能な骨切り術後適合位置合わせプレート12及び切断ガイド13を除去するために、繋ぎ部材14は、インプラントアセンブリ10が骨組織に取り付けられた後に容易に切断されるように、寸法及び構成が小さくされている。
【0018】
骨切り術前適合位置合わせプレート11及び骨切り術後適合位置合わせプレート12は、それらの内面に十分な接触面領域を提供し、それらのプレートは、それらの厚さよりも著しく大きい長さ及び幅の寸法を有する(すなわち、用語「プレート」は、その標準的な定義での意味で使用され、幅の寸法が厚さの寸法と実質的に等しいバー又はロッドを除外する。)。最も好ましくは、骨切り術前適合位置合わせプレート11及び骨切り術後適合位置合わせプレート12の接触面領域は、骨固定プレート20の骨切り術前適合部21及び骨切り術後適合部22の接触面領域よりも大きい。骨切り術前適合位置合わせプレート11及び骨切り術後適合位置合わせプレート12の内側接触面は、コンピューター支援の設計及び製造を用いて決められて製作され、接触領域に亘って骨部分31又は32の表面形状に対応するか又は一致する。骨切り術前適合位置合わせプレート11及び骨切り術後適合位置合わせプレート12は非平面であり、骨部分31又は32のエッジを受け入れるための窪み若しくは孔が形成されてもよい。
【0019】
骨固定プレート20は、骨切り術前適合部21及び骨切り術後適合部22を含み、そのそれぞれが、コンピューター支援の設計及び製造を用いて決められて製作されて、接触領域に亘って骨部分31又は32の表面形状に対応又は一致する内側接触面を有する。骨切り術前適合部21及び骨切り術後適合部22は、移行部24によって強固に結合され、コンピューターを利用した設計及び製造を用いて構成及び製作され、
図3に示されるように骨切り術前適合部21は、ねじ用開口部23を通って挿入された骨ねじ若しくは同様の機械的な固定具15で、固定された骨部分31に固定され、骨切り術後適合部22の所望の位置及び向きが得られる。
【0020】
切断ガイド13は、1つの又は、骨切り33を生じるために骨切り術の鋸が挿入及びガイドされることができる間隙を定めるように間隔を置いて配置された2つの細長い本体を含む。切断ガイド13は、固定された骨部分31でのインプラントアセンブリ10の適切な位置決めを支援する適合部材として形成されても、形成されなくてもよい。
【0021】
インプラントアセンブリ10は、剛性構造であり、1つ又は複数の骨固定プレート20と、1つ又は複数の除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレート11と、1つ又は複数の除去可能な骨切り術後適合位置合わせプレート12と、切断ガイド13とが、繋ぎ部材14によって接続されて剛性のインプラントアセンブリを形成する。繋ぎ部材14は、1つ又は複数の骨固定プレート20から、1つ又は複数の除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレート11、1つ又は複数の骨切り術後適合位置合わせプレート12及び切断ガイド13を除去するために、インプラントアセンブリ10が骨組織に取り付けられた後に容易に切断されるように、寸法及び構成が小さくされている。繋ぎ部材13は、最も好ましくは、切断器具によって容易に切断されるように比較的細い寸法の長いロッド又はバーの形状に設計及び形成され、繋がれた構成要素に隣接して直径の小さいネック部を備えてもよい。
【0022】
剛性のインプラントアセンブリ10の大きさ、形状及び構造は、既知の方法での3Dコンピューターを利用した設計及びモデリングによって決定され、それにより患者の術前の骨構造の仮想3Dモデルが、走査技術を用いて最初に作製される。外科医及び/又は技術者は、骨切り33の最適な位置と、骨構造の固定された部分31から切り離される固定されていない骨部分32の適切な再配置を決定して、望ましい術後形態の骨切り術後の仮想3Dモデルを作製する。仮想3Dモデルに基づいて、固定された骨部分31に取り付けられる、各骨固定プレート20の骨切り術前適合部21の適切な大きさ、形状及び構造が、ねじ用開口部23の適切な位置と共に決定される。同様に、固定されていない骨部分32に取り付けられる、各骨固定プレート20の骨切り術後適合部22の適切な大きさ、形状及び構造が、ねじ用開口部23の適切な位置と共に決定される。更に、固定された骨部分31に適合するそれぞれの除去可能な骨切り術前用の位置合わせプレート11の適切な大きさ、形状及び構造が決定され、また固定されていない骨部分32に適合するそれぞれの除去可能な骨切り術後用の位置合わせプレート22の適切な大きさ、形状及び構造が決定される。骨切り術前及び骨切り術後適合位置合わせプレート11/12は、容易に切断される大きさ及び構成の繋ぎ部材14によって、1つ又は複数の骨固定プレート20に接続される。存在する場合には、切断ガイド13の位置及び構成も決定され、切断ガイド13は、同様に容易に切断される繋ぎ部材14によって骨固定プレート20に接続される。次に、実物のインプラントアセンブリ10が、設計仕様に基づいて製造される。
【0023】
顎矯正手術は、
図2に示されるように、1つ又は複数の骨固定プレート20の1つ又は複数の骨切り術前適合位置合わせプレート11及び骨切り術前適合部21を、固定された骨部分又は基部の骨部分31に適切に配向及び配置することによって行われる。次に、1つ又は複数の骨固定プレート20のそれぞれでの骨切り術前適合部21は、骨ねじ若しくは同様の機械的な固定具15を用いて、固定された骨部分31に固定される。骨固定プレート20の骨切り術前適合部21と組み合わせた1つ又は複数の骨切り術前適合位置合わせプレート11は、1つ又は複数の骨固定プレート20が、固定された骨部分31に適切に配置されることを確実にする。次に、1つ又は複数の除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレート11は、
図3に示されるように、繋ぎ部材14を切断することによって、骨固定プレート20の骨切り術前用部分21から分離される。次に、切断ガイド13が存在する場合には、それを用いて骨切り33の印を付けるか又は骨切り33を実施し、
図4に示されるように、固定された骨部分31から切り離された固定されていない骨部分32をもたらす。切断ガイド13は、繋ぎ部材14を切断することによって、骨固定プレート20から除去される。次に、固定されていない骨部分32を、1つ又は複数の骨固定プレート20の骨切り術後適合部22に、骨ねじ若しくは同様の機械的な固定具15で固定する。骨固定プレート20の骨切り術後適合部22と組み合わされた1つ又は複数の除去可能な骨切り術後適合位置合わせプレート12は、骨切り術後適合部22が、固定されていない骨部分32に適切に配置されることを確実にし、それは
図5に示されるように、固定された強固な方法で、固定された骨部分31に対して、固定されていない骨部分32が適切に配向及び配置されることを確実にする。その後に、1つ又は複数の除去可能な骨切り術後適合位置合わせプレート12が、
図6に示されるように、繋ぎ部材14を切断することによって、1つ又は複数の骨固定インプラント20の骨切り後の適合部22から分離される。各骨固定プレート20の移行部24の大きさ、形状、及び構成は、固定された骨部分31に対する固定されていない骨部分32の適切な再配置をもたらし、それにより骨再生時に、結合された固定されていない及び固定された骨部分31/32が、所望の術後構成及び形態を有する骨構造をもたらす。
【0024】
上述したように、本発明は、上顎、下顎及び顎先での変形の矯正に適用される。図は、インプラントアセンブリ10の一実施形態及び本発明の方法を示しており、それはこの例では、上顎の再形成に使用される上顎用インプラントアセンブリ10である。図は、1つのインプラントアセンブリ10を示しており、対を成す又は第2のインプラントアセンブリ10が上顎の反対側に提供され、第2の骨切り33が、固定されていない骨部分32として上顎の前部を切り離すために行われるであろうことが理解される。
【0025】
したがって、この例では、本発明は、奇形の上顎骨から骨切り33によって分離された固定されていない骨部分32を適切に再配置するためのコンピューター支援の顎矯正手術で使用されるインプラントアセンブリ10であり、インプラントアセンブリ10は、骨固定プレート20の骨切り術前適合部21に配置された、骨ねじ15を受け入れるための骨固定用開口部23と、上顎の固定された骨部分31へのインプラントアセンブリの適切な骨切り術前の配置及び固定のために、繋ぎ部材14によって骨切り術前適合部21に接続された2つの除去可能な骨切り術前用の位置合わせプレート部材11と、骨固定プレート20の骨切り術後適合部22に配置された、骨ねじ15を受け入れるための骨固定用開口部23と、骨固定プレート20の骨切り術後適合部22への固定されていない骨部分32の適切な位置決め及び固定のための、繋ぎ部材14によって骨固定プレート20の骨切り術後適合部22に接続された除去可能な骨切り術後用の位置合わせ部材12と、上顎での骨切り術の位置に印を付けるための又は後部の固定された骨部分31からの前部の固定されていない骨部分32の分離中に骨切り術の鋸をガイドするための、2つの横方向に延びるバーを含む切断ガイド13とを含む。
【0026】
インプラントアセンブリ10の大きさ、形状及び構造は、3Dコンピューターモデリングによって決定され、そこでは上顎の仮想3Dモデルが作製され、次に外科医又は技術者は、骨切り33の最適な位置及び固定されていない骨部分32の適切な再配置を決定し、その後に骨切り術後の3Dモデルが作製される。3Dモデルに基づいて、上顎の固定された骨部分31に取り付けられる骨固定プレート20の骨切り術前適合部21の適切な大きさ、形状及び構造が、ねじ用開口部23の適切な位置と共に決定される。同様に、上顎の固定されていない骨部分32に取り付けられる、骨固定プレート20の骨切り術後適合部22の適切な大きさ、形状及び構造が、ねじ用開口部23の適切な位置と共に決定される。切断ガイド13の位置及び形状もまた決定される。更に、上顎の固定された骨部分31に取り付けられる、除去可能な骨切り術前用の位置合わせプレート11の適切な大きさ、形状及び構造が決定され、また上顎の固定されていない骨部分32に取り付けられる、除去可能な骨切り術後用の位置合わせプレート12の適切な大きさ、形状及び構造が決定される。それにより、
図1に示されるような剛性のインプラントアセンブリが製造されて、
図2に示されるように上顎に適切に配置される。除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレート11は、インプラントアセンブリ10が、上顎の固定された部分31に適切に配置されることを確実にする。
【0027】
そして、骨固定プレート20の骨切り術前適合部21を、骨ねじ15を用いて上顎の固定された部分31に固定することによって、顎矯正処置が行われる。次に、
図3に示されるように、除去可能な骨切り術前適合位置合わせプレート11が、骨固定プレート20の骨切り術前適合部21から分離される。その後に
図4に示されるように、切断ガイド13を用いて骨切り33を実施し、固定されていない骨部分32を上顎から分離する。次に
図5に示されるように、骨部分32は、骨固定プレート20の骨切り術後適合部22に骨ねじ15で固定され、除去可能な骨切り術後用の位置合わせプレート12は、固定されていない骨部分32が、骨固定プレート20の骨切り術後適合部22に適切に配置されることを確実にする。その後に、
図6に示されるように、除去可能な骨切り術後用の位置合わせプレート12は、骨切り術後適合部22から分離される。骨固定プレート20の大きさ、形状、及び構成は、上顎の固定された骨部分31に対し、固定されていない骨部分32の適切な再配置をもたらし、それにより骨再生時に、結合された固定されていない及び固定された骨部分31/32が、所望の術後構成を有する上顎をもたらす。
【0028】
上記の特定の要素及びステップの均等物及び置換は、当業者にとって明らかであり得、したがって本発明の真の範囲及び定義は、特許請求の範囲に記載されるものであることが理解される。
【符号の説明】
【0029】
10 インプラントアセンブリ
11 骨切り術前用の位置合わせプレート部材
12 骨切り術後用の位置合わせプレート部材
13 切断ガイド部材
14 繋ぎ部材
15 骨ねじ
20 骨固定プレート又はインプラント
21 骨切り術前適合部
22 骨切り術後適合部
23 骨固定用開口部、ねじ用開口部
24 移行部
31 固定された骨部分又は基部の骨部分
32 固定されていない骨部分
33 骨切り