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特許7450864側刃付きメタルソーと側刃付きメタルソーの製造方法及び加工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】側刃付きメタルソーと側刃付きメタルソーの製造方法及び加工方法
(51)【国際特許分類】
   B27B 33/08 20060101AFI20240311BHJP
   B24D 3/00 20060101ALI20240311BHJP
   B24D 3/06 20060101ALI20240311BHJP
   B24D 5/12 20060101ALI20240311BHJP
   B23D 61/02 20060101ALI20240311BHJP
   B26D 1/14 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
B27B33/08 Z
B24D3/00 340
B24D3/06 B
B24D5/12 Z
B23D61/02 Z
B26D1/14 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022167202
(22)【出願日】2022-09-13
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】522344149
【氏名又は名称】野村 衛
(73)【特許権者】
【識別番号】509153364
【氏名又は名称】伊藤 幸男
(72)【発明者】
【氏名】八尾 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】福原 義也
(72)【発明者】
【氏名】倉茂 周治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敏之
(72)【発明者】
【氏名】岩川 泰三
(72)【発明者】
【氏名】野村 衛
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 幸男
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-260163(JP,A)
【文献】特許第4754260(JP,B2)
【文献】実開平04-019763(JP,U)
【文献】実開平2-90058(JP,U)
【文献】実公昭61-22763(JP,Y2)
【文献】実公平5-18054(JP,Y2)
【文献】特表平10-500362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27B 33/08
B24D 3/00
B24D 3/06
B24D 5/12
B23D 61/02
B26D 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
請求項1記載の側刃付きメタルソーにおいて、円板の側面全周に設けて被切削材の側面切断する小孔群は、1つ乃至複数個の硬球からなる円,四角,星型の何れかのプレス型でメタルソーの側面全周の適所にプレス成形することで、上記側面全周に亘り小孔群を開口させるとともに該小孔群の凸片頂部に切刃を成形することを特徴とする側刃付きメタルソーの製造方法
【請求項3】
請求項2記載の製造方法で造られた側刃付きメタルソーにおいて、小孔群形状は、円、四角、星型等の異形の中から被削材の特性に合わせ選択され、最適切断加工を可能としたことを特徴とする側刃付メタルソーによる加工方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外周縁にスリット(切欠き溝)を有しない丸鋸において、該丸鋸側面に多数の小孔群を設けた側刃付きメタルソーに関し、該メタルソーで被切削材の直線切断から三次元の自由曲線切断等の多彩な切削加工を可能とした丸鋸(側刃付きメタルソー)の新規構成とこの製造方法及び加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、丸鋸により薄板を直線切断や曲線切断する曲線切削加工方法とこの装置及びこの装置用の丸鋸が種々提案されている。
その代表的な実施例は、特許第5527740号である発明の名称:曲線切削加工装置及び該装置用丸鋸。特許第6150327号である発明の名称:曲線切削加工方法及び曲線切削加工装置他が提供されている。上記の丸鋸と装置及び曲線切削加工方法の構成は、明細書に添付の図1図8に示す。更に、曲線切削加工方法及び曲線切削加工装置は、図1図7とこの作用は図8から図24に説明されている。
【0003】
然し乍ら、上記二つの装置の主体である丸鋸20は、この全周に放射状に切開した多数のスリット22と、この丸鋸20をお椀状(放射状乃至パラボラ状)に湾曲させるために、左右一対のリング状フランジ41,42により丸鋸円盤の略直径の半分周囲を挟み、強制的にドローバー45の進退移動により左右方向に撓ませる構造は、強度疲労と降伏点オーバーで不完全、不安定な復元を招き、多数の放射状のスリット22で分断された外周刃部21,21F,21Rは、分断していて、均等な撓み量(放射状形状)とならず、各刃部の撓み量が微妙にバラバラとなり、最狭な切削幅の直線切断や、特に、正確な曲線切断が保証出来ない。即ち、特許権者が言う、あさりの幅、被加工物の板厚、Z軸の制御などの条件を考慮しながら、丸鋸の回転軸を被加工物に対して所定角度に傾けることによって、丸鋸をお椀状に撓ませて曲線加工する際に、被加工物の製品面を所定の角度や切削幅で切削することに疑問が残る。即ち、任意曲線の切削加工は辛うじて行えても、高精度な製品加工面を要求するユーザーの要求に答えられない他、丸鋸に大きな加工負荷を与えてしまい、その寿命を長期間に渡り保証することが出来ない、と言う根本的な諸問題を抱えている(特許文献1と特許文献2参照。)。
【0004】
上記丸鋸20をお椀状(放射状乃至パラボラ状)に湾曲させるために、左右一対のリング状フランジ41,42により丸鋸円盤の略直径の半分周囲を挟み、強制的にドローバー45の進退移動により左右方向に撓ませる構造において、更なる改良を施すことにより、小さい外力でも精度良く湾曲させることが出来るとともに曲線切断時における刃部の振動(揺れ)を抑えて精度良く曲線切断を行うことが出来る曲線切断用丸鋸が提案されている。その構成は、丸鋸の外周刃部と回転中心部との中腹部に渦巻状(曲線状)に外径方向に多数のスリット105を開口させたものである。これにより、丸鋸の台金を弱い力でも湾曲させた状態で回転させられるから、被加工物を曲線状に切断できる様に改良した丸鋸である(特許文献3参照。)。
【0005】
上記被加工物を曲線状に切断する丸鋸ではないが、丸鋸の円板状の本体の中腹周辺に多数の穴やスリットを明けた丸鋸の意匠権が存在する。この丸鋸の多数の穴は軽量化のためのものであり、スリットは消音化の為である。従って、当該丸鋸の形状(多数の穴とスリット)をヒントにして、本願発明の丸鋸側面に側刃を設けた側刃付きメタルソーの発明に送致するものではない(特許文献4参照。)と(特許文献5参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5527740号公報
【文献】特許第6150327号公報
【文献】特開2013-810号公報
【文献】意匠登録第1413764号公報
【文献】意匠登録第1474685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記各特許文献1~3は、再度、説明すれば、丸鋸20をお椀状(放射状乃至パラボラ状)に湾曲させるために、左右一対のリング状フランジ41,42により丸鋸円盤の略直径の半分周囲を挟ませている。即ち、強制的にドローバー45の進退移動により左右方向に撓ませる構造であるから、任意曲線の切削加工は辛うじて行えても、高精度な製品加工面を要求するユーザーの要求に答えられない他、丸鋸に大きな加工負荷を与えてしまい、強度疲労と降伏点オーバーで不完全、不安定な復元を招き、その寿命を長期間に渡り保証することが出来ない、と言う根本的な諸問題を抱えている。
更に、上記特許文献4と5は、単に、丸鋸の側面周囲に多数の穴を開けて軽量化を図り、また、スリットで消音化を図った技術的手段とその解決に過ぎない。
【0008】
本発明は、上記特許文献1~5における諸々の技術的問題点に鑑みて、新規に技術開発を行ったものあり、身幅が狭く薄いため側刃の付与が困難な丸鋸(メタルソー)において、自由曲線切断と切り屑排出能力と丸鋸の耐久性を飛躍的に向上させた新技術の各種丸鋸(側刃付きメタルソー)の開発に成功した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するべく、本発明の側刃付きメタルソーは、円板の外周面には被切削材を直線切断する切刃を備えるとともに、当該外周には切欠溝が無いメタルソーにおいて、上記メタルソーの円板の側面全周に下し金のごとく切刃を備えた小孔群を回転軸芯方向となる両側面方向から貫通開設されており、上記小孔群の突出片頂部には、上記メタルソーの回転軸方向に一致する切刃が凸設されており、上記メタルソーは、被切削材に対する左右方向への加工圧力に対応して回転軸芯の左右に撓むとともに弾性復元力を有する構成とした。
【0010】
上記側刃付きメタルソーの製造方法は、円板の側面全周に設けて被切削材の側面切断する小孔群は、1つ乃至複数個の硬球からなる円,四角,星型の何れかのプレス型でメタルソーの側面全周の適所にプレス成形することで、上記側面全周に亘り小孔群を開口させるとともに該小孔群の凸片頂部に切刃を成形することを特徴とした。
【0011】
上記側刃付きメタルソーの加工方法は、上記製造方法で造られた側刃付きメタルソーにおいて、小孔群形状は、円、四角、星型等の異形の中から被削材の特性に合わせ選択し、最適切断加工を可能としたことを特徴とした
【発明の効果】
【0019】
本発明の側刃付きメタルソーは、丸鋸の外周面に被切削材を直線切断する切刃を備えたメタルソーであって、上記メタルソーの側面全周に屑排出用の小孔群を開設し、当該小孔群突出片に切刃を凸設したから、メタルソーの加工方向性とその種類は、回転軸直交制御(工具外周面での加工)方向への加工と、回転軸方向への加工制御(工具側面方向への加工)、即ち、直線及び任意曲線切断加工やジグザグ加工等々の多彩な加工手段が適用できる効果が発揮される。
【0023】
本発明は、メタルソー側面全周に設けた切粉排出用の小孔群は、1つ乃至複数個の硬球又はプレス型の円、四角、星型異形でメタルソーの側面全周の適所に衝撃又はプレスして側面を切刃成形に開口させ、該開口する凸片頂部を切刃に成形するから、各種の被切削材の特性に応じた小孔群の最適形状が得られ、その切削作用を最良の条件に適合できる。
【0027】
本発明は上記製造方法で造られた側刃付きメタルソーにおいて、切刃と貫通穴からなる小孔群形状は、円、四角、星型等の異形の中から被削材の特性に合わせて選択できる。また、これにより常に、最適切断加工を選択可能となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】従来の切断及び研削の実施形態図で、切削工具と研削工具の分類図である。
図2】本発明の側刃付きメタルソーで、従来のメタルソーと下し金との結合融合からなる概念図である。
図3】本発明の第1,第2実施形態を示し、側刃付きメタルソーの側面図と断面図と側刃の拡大図である。
図4】本発明の第1,第2実施形態の側刃付きメタルソーの製造工程を示し、穴加工とこの穴に側刃を付ける工程図である。
図5】下し金の形状に対する下ろし状態の説明図である。
図6】本発明の第3実施形態を示し、側刃に替えて砥粒とした側刃付きメタルソーの側面図と断面図である。
図7】本発明の第4実施形態を示し、側刃付きメタルソーの側面に開けられた各種小群を放射状に配列した部分図である。
図8】本発明の第5実施形態を示し、側刃付きメタルソーの側面に開けられた各種小孔群を放射状溝とした部分図である。
図9】本発明の各側刃付きメタルソーによる各加工方法の切断作用図である。
図10】本発明の側刃付きメタルソーと従来メタルソーとの各種加工方法の優劣作用図である。
図11】本発明の側刃付きメタルソーの側面加工と、従来メタルソーを変形加工する斜視図である。
図12】従来メタルソーをパラボラ変形させた切断作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図1図12を参照して本発明の中枢部となる側刃付きメタルソーの各実施例と、この発明の構成要部を適用した各実施例と、従来実施例を順次に説明する。
【実施例
【0030】
図1は、従来の各切削工具と各研削工具の代表例を示す。切削工具となるサイドカッターK1は、外周の刃が台金よりも幅広寸法とし、シャフトのキー溝加工用であり、メタルソーMSは、外周のみに鋸歯Cがあるだけで、板材等の直線切断のみ可能。研削工具において、金網砥石(トリノス)Tは、外周と両側面に砥粒が電着されているから、板材に対する直線研削と側面方向研削ができる。また、レジノイドLは外周面にのみ砥粒が電着されているから、直線研削のみ可能である。
【0031】
本発明は、図2において、メタルソーMSの側面1に側刃1aを付けた、即ち、側刃付きメタルソーM1としたものであるものの、ただ単に、基板1に側刃1aを付けただけの発想では、板材に対して丸鋸を側面方向に切り進めると、切粉の排出作用が得られず、たちまち、加工不良を来す。
そこで、本願発明者らは、下し金具OKの作用原理に求めた。それは図5において、基板1の壁面を削り上げて突起Cを群生させたわさび用の下し金J1では、擦り下ろしたわさびが基板14上に集められる。この突刃Cと基板1では、側刃付きメタルソーM1には不向きで、切断した切粉の排出作用が全くない。そこで、大根用の下し金J1では、大きな丸穴Hを明け、この突起円縁に突刃Cを並設させている。この下し金J2で大根他を擦り下ろすと、削られた大根繊維が、丸穴Hから下方の受皿(図示なし)に切り屑として排出落下して集められる。
即ち、本発明の側刃付きメタルソーM1は、大根用の下し金J2をメタルソーMSの側面に採用した全く新規な側刃付きメタルソーM1である。
【0032】
続いて、上記下し金J2を適用した各種の側刃付きメタルソーM1~M9について、図3図8で開示し、図9図12で、その特性及び作用・効果をパラボラ型に強制変形させられる従来のメタルソーMSと対比して説明する。
先ず、図3(a)の第1実施態様において、側刃付きメタルソーM1は、円板10の外周面10aに被切削材(図示なし)を直線又は曲線に切断する切刃C1を備えた側刃付きメタルソーM1であって、上記メタルソーの円板の側面10bの外周側の片側全周又は両側の側面には、下し金のごとく切刃C2を備え、この穴内に切粉排出用の小孔群h1・・を貫通開設させている。即ち、当該小孔群h1・・の突出片頂部h2に切刃C2を凸設させてなる。尚、小孔群h1・・の窪み空間h3は、切断した切粉Xを集め外部へ排出する機能を果たすように形成している。
【0033】
更に、細述すれば、上記側刃付きメタルソーM1の側面10bに切刃C2を備えた切粉排出用の小孔群h1・・は、回転軸方向Oである片側面方向(第1実施態様)又は両側面方向(第2実施態様)から貫通開設されており、当該メタルソーの片側面10b又は両側面10bから開口させた上記小孔群h1・・の各突出片頂部h2には、当該メタルソーの回転軸方向Oに一致する無数の切刃C2を凸設してなる。尚、上記側刃付きメタルソーM1は、図3(b)の如く、外周刃の幅より側面肉厚を狭くした(イ)と、面一とした(ロ)とにおいても、適用される。尚、図3において、符号Nは、小孔群h1・・に変えて、放射状溝Nとした時の側面10bに備える切刃C2の周辺構成を示している。
【0034】
上記側刃付きメタルソーM1の片側面全周又は両側面全周(図3図4は片側面全周のみを図示する)に、切刃C2を備えた切粉排出用の小孔群h1・・の製造方法は、図4に開示する。即ち、側刃付きメタルソーM1において、側面全周10bに設ける切粉排出用の小孔群h1・・は、1つ乃至複数個の硬球B1又はプレス型(図示なし)の円h1、楕円h4、四角h5、星型h6等の異形でメタルソーの側面全周の適所に衝撃作用又はプレス打抜き作用により側面に切刃成形させる。しかして、例えば、任意形状(円型)の小孔群h1・・を開口させ、該開口する小孔群h1・・の各凸片頂部h2には切刃C2が成形されている。
【0035】
上記小孔群h1・・の各窪み部h3には、被削材に対する切断時に発生する切屑Xが一時的に溜められ、側刃付きメタルソーM1の高速回転力で、即座に外部へ排出される。尚、上記切刃C2は、耐磨耗性を高めるために、焼入れ処理等の適宜な施工が行われる。更に、当該側刃付きメタルソーM1が側面方向の切断加工時には、当該側刃付きメタルソーは、被切削材(図示なし)に対する加工圧力に対応して撓むとともに弾性復元力を発生させる弾性材の柔軟性を有する素材が採用されている。
【0036】
続いて、図6に、本発明の第3実施形態となる側刃付きメタルソーM8を示す。上記第1,2実施形態において、円板10の外周面10aに被切削材を直線又は曲線に切断する切刃C1と、両側面の切刃C2に替えて砥粒Gとした側刃付きメタルソーM8である。即ち、上記側刃付きメタルソーを構成する円板の外周面に付設した切刃及び上記メタルソーの上記円板の側面に設けた小孔群の突出片頂部又は放射状溝の角部に設けた切刃C2に替えて、ダイヤモンドやCBNからなる超砥粒を電着してなる側刃付きメタルソーM8である。
【0037】
続いて、図7は、本発明の第4実施形態となる側刃付きメタルソーM2~M4を示す。この実施例は、上記第1実施形態~第3実施形態における小孔群h1・・に替えて、円板「基板」10の厚さを5mm以下の薄板10a,10b,10Cとし、この円板に、三角孔H2と、長方形孔H3と、星形孔H4とにしたものである。即ち、メタルソーM2~M4の身幅が狭く薄く例えば5mm以下の時は、サイドカッターのように側刃の成形が困難であるから、小孔群の貫通穴となる頂部(角部、隅部)の切刃片で加工可能と成し、5mm以下の側面切削加工を可能とした実施例である。
【0038】
更に、図8は、本発明の第5実施形態となる側刃付きメタルソーM5~M7を示す。この実施例は、上記第1実施形態~第3実施形態における小孔群h1・・に替えて、円板「基板」1の厚さを5mm以下の薄板10a,10b,10Cとし、この円板の外周面に開口する放射状溝Nを回転軸芯方向Oである片側面方向から貫通開設し、この放射状溝Nの角部には、当該メタルソーの回転軸方向に一致する切刃Cを設けている。
即ち、メタルソーM5~M7の身幅が狭く薄く例えば5mm以下の時は、サイドカッターのように側刃の成形が困難であるから、小孔群の貫通穴となる頂部の切刃又は放射状溝の切刃で加工可能と成し、5mm以下の側面切削加工を可能とした実施例である。
【0039】
上記各側刃付きメタルソーM1~M8の各実施形態において、図9図12により、その作用を説明する。
先ず、図9において、従来のメタルソーMSでは、携帯式の電動鋸切り機の回転軸SにメタルソーMSが取付けられて使用される。この時、回転軸Sに対して、直角方向に直線加工が限定される。その理由はメタルソーMSの側面に「切刃」が無いので、回転軸方向には、切削加工できはないが、常識である。即ち、切刃があるメタルソーMSの外周方向「回転軸に対して直角方向のみ直線加工」に限定する。
【0040】
これに対して、図9において、本発明の側刃付きメタルソーM1~M8によると、丸鋸円板M1~M8の外周に設けた切刃C1と、片側乃至両側面に設けた小孔群h1・・の貫通穴とこの突出片頂部の切刃C2、又は小孔群に替えて放射状溝Nの縁部に切刃C2を備えている。しかして、図9(a)の如く、4方・8方の球体方向に対して、直線切断が出来る。更に、図9(b)の如く、回転軸Sの方向に対してジグザグさせた「ジグザク切断加工」と、回転軸Sを上側首振りや下側首振りすると、側刃付きメタルソーM1~M8が上下二方向への円弧軌跡で切断加工が変幻自在に出来る。
【0041】
更に、上記切断時において、上記側刃付きメタルソーM1~M8によると、片側乃至両側面に設けた小孔群h1・・の貫通穴と、この頂部の切刃C2、又は小孔群に替えて放射状溝Nの縁部に切刃C2を備えているから、木材やプラスチック材他の被切削材に対しての切削時に発生する切削屑は、一旦は小孔群h1・・の貫通穴内や放射状溝N内に、閉じ込め貯められるも、被切削材から側刃付きメタルソーM1~M8が外れる回転領域において、空中に遠心力で放出される。また、切削液や切削空気を小孔群h1・・や放射状溝N内に噴射すると、側刃付きメタルソーM1~M8の冷却・潤滑作用と、貫通穴の小孔群h1・・内や放射状溝内に貯まる切粉・切削屑Xを積極的に排出できる作用,効果が発揮される。
【0042】
続いて、図10で、本発明の各側刃付きメタルソーM1~M8とメタルソーMSとの対比について、「応力集中」「切れ刃」「研削焼け」を「側方・曲線」加工時の刃先比較を検証する。メタルソーMSは、被切削材となる板材Wに対する「側方・曲線加工」時は「大きな応力集中が発生する」。また、切削も「外周一列の切れ刃のみ」で、切削能力が劣る。更に、研削焼けについても、側刃が無く激しい摩擦熱で研削焼けを発生させる。
その一方、側刃付きメタルソーM1~M8では、「側方・曲線」加工時において、小孔群h1・・の貫通穴や放射状溝Nにより、側方の押し圧に対して、側刃付きメタルソーの側方への撓みが容易となり、「応力集中」が無いか僅少となる。また、側刃付きメタルソーM1~M8(トリノスTでも)において、全面が切れ刃を備えているから、全方向の切削が可能である。この結果として、「研削焼け」は微小・僅少となる。
【0043】
更に、図11図12において、上記メタルソーMSによる曲線切断を行う時に起きる弊害を説明する。図11の(b)のメタルソーMSにおいて、(a)の如く、変形加工(曲がり加工)を行うには、お椀(パラボラ状)に変形させて行う。このお椀(パラボラ状)に変形すると、図12の(a)(b)の如く、変形力F1又はF2の如く、手前湾曲K1又は奥方湾曲K2が起きる迄に湾曲させると、このパラボラ状のメタルソーMSは、加工面と接触しないための隙間(パックテーパー)を出っ張りが埋めてしまうので、隙間が隙間とならず、切断部への冷却液の侵入・注入が困難になり、切断作用を低減してしまう。更に、湾曲度を必要以上に起こす加工方法を採用すると、強度疲労と降伏点オーバーで不完全,不安定な復元を招いて不良品となる。更に、身幅が狭く薄いために切粉排出効率が悪いと言う数々の問題が発生してしまう。
【0044】
以上の如く、従来のメタルソーMSによる曲線切断には、根本的な問題点が残存しているが、本発明の各側刃付きメタルソーM1~M8による直線切断を始め自由な曲線切断が合理的に行えるための構成と作用効果を、再度、整理して列記する。
【0045】
「1」は、本発明は、丸鋸の外周面に被切削材を直線切断する切刃を備えた側刃付きメタルソーにおいて、上記側刃付きメタルソーの側面全周に切り屑排出用の小孔群を開設し、当該小孔群の突出片に切刃を凸設してなるから、側刃付きメタルソーの加工方向性とその種類は、回転軸直交制御(工具外周面での加工)方向への加工と、回転軸方向への加工制御(工具側面方向への加工)、即ち、直線及び任意曲線切断加工やジグザグ加工等々の多彩な加工手段が適用できる効果が発揮される。
「2」は、側刃付きメタルソーの両側面に開口された上記小孔群の各突出片頂部又は放射状溝の角部には、当該メタルソーの回転軸方向に一致する切刃を凸設してなるから、直線及び任意曲線切断加工やジグザグ加工等々の多彩な加工手段が適用できることは、勿論のこと、メタルソーの両側面方向の切削加工が可能となる効果が得られる。
「3」は、側刃付きメタルソーが側面方向の切断加工時には、当該側刃付きメタルソーは、被切削材に対する加工圧力に対応して撓むとともに弾性復元力を発生させる弾性材の柔軟性を有するから、側刃付きメタルソーが多少の過負荷状態となっても、破損する危険性が回避でき、安全な切削加工が可能となる効果が得られる。
「4」は、側刃付きメタルソーを構成する円板の外周面に付設した切刃及び上記側刃付きメタルソーの上記円板の側面に設けた小孔群の突出片頂部又は放射状溝の角部に設けた切刃に替えて、ダイヤモンドやCBNからなる超砥粒を電着したから、撓みのある研削砥石としての新規な撓み特性を発揮し、従来の砥石のごとく、外部からの衝撃が有っても破損しない耐久性が得られる。
「5」は、側刃付きメタルソーの側面全周に設けた切粉排出用の小孔群は、1つ乃至複数個の硬球又はプレス型の円、四角、星型異形でメタルソーの側面全周の適所に衝撃又はプレスして側面を切刃成形に開口させ、該開口する凸片頂部を切刃に成形するから、各種の被切削材の特性に応じた小孔群の最適形状が得られ、その切削作用を最良の条件に適合できる。
「6」は、側刃付きメタルソーの側面全周に設けた切粉排出用の放射状溝は、側刃付きメタルソーの側面全周の適所に衝撃又はプレスによる切り欠き溝加工により切刃成形に開口させ、該開口する放射状溝の角部を切刃に成形するから、各種の被切削材の特性に応じた小孔群の最適形状が得られ、その切削作用を最良の条件に適合できる。
「7」は、側刃付きメタルソーの凸片頂部の切刃で被削材を削り取り、切り屑を貫通穴内に一旦貯めて加工面の外に排出し、
「8」は、側刃付きメタルソーにおいて、放射状溝の角部の切刃で被削材を削り取り、切り屑を各放射状溝内に一旦貯めて加工面の外に排出するから、切断して出来上がる切り屑を詰まらせないから、スムーズにして低負荷状態で被削材を効率良く削り取りできる。
「9」は、側刃付きメタルソーの身幅が狭く薄く例えば5mm以下の時は、サイドカッターのように側刃の成形が困難でも、小孔群の貫通穴となる頂部の切刃又は放射状溝の切刃で加工可能と成し、5mm以下の側面切削加工を実現可能とする効果がある。
「10」は、「5」記載の製造方法で造られた側刃付きメタルソーにおいて、切刃と貫通穴の小孔群形状は、円、四角、星型等の異形の中から被削材の特性に合わせ選択でき
「11」のメタルソーは、放射状溝形状は、直溝、円弧溝の異形の中から被削材の特性に合わせ選択できるから、常に、最適切断加工を選択可能となる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の側刃付きメタルソーM1~M8は、主に木材や合性樹脂板等の切断加工が容易な被切削材を主体としているが、アルミ材や比較的切削加工が容易な金属材料等の切断加工にも適用できる。更に、側刃付きメタルソーM1~M8は、基本的に携帯用鋸切り機に取付けて、使用されるが、自在クイル付きのマシニングセンター、門型マシン他、首振り自在ロボットの手首に取り付けての使用も可能である。
【符号の説明】
【0047】
M1~M8 側刃付きメタルソー
MS 従来のメタルソー
1 側面
1 基板
1a 側刃
1a,1b,1C 薄板
C1 切刃
C2 切刃
C3 切刃
F1,F2 変形力
K1,K2 手前湾曲,奥方湾曲
N 放射状溝
h1 小孔群(円)
h2 突出片頂部
h3 窪み空間
h4 楕円
h5 四角
h6 星型
S 回転軸
10b 片側面,両側面
O 回転軸方向
OK 下し金
X 切粉
W 被切削材
【要約】
【課題】丸鋸(メタルソー)において、該丸鋸側面に側刃を設けた側刃付きメタルソーとし、該メタルソーで被切削材の直線溝切断から三次元の自由曲線切断等の多彩な切削加工を可能とした丸鋸(側刃付きメタルソー)と、この製造方法と加工方法に関する
【解決手段】丸鋸(メタルソー)の外周面に被切削材Wを直線切断する切刃Cを備えたメタルソーM1~M9において、上記メタルソーの側面全周に切粉排出用の小孔群h1・・を開設し、当該小孔群の突出片頂部h2に切刃C2を凸設してなる側刃付きメタルソーM1とした。
【選択図】図3
図1
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