IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 近江度量衡株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-トレイ、及び敷材 図1
  • 特許-トレイ、及び敷材 図2
  • 特許-トレイ、及び敷材 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】トレイ、及び敷材
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/34 20060101AFI20240311BHJP
   B07C 5/00 20060101ALN20240311BHJP
【FI】
B65D85/34 150
B07C5/00
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019156198
(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公開番号】P2021031151
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000163501
【氏名又は名称】近江度量衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100199761
【弁理士】
【氏名又は名称】福屋 好泰
(72)【発明者】
【氏名】アシェナフィ テセマ アベベ
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-001815(JP,U)
【文献】特開平10-249286(JP,A)
【文献】特開2005-118659(JP,A)
【文献】特開平08-109671(JP,A)
【文献】特開2012-110881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/30-85/48
B65D 81/00-81/17
B65D 23/00-25/56
B07C 1/00-99/00
B65B 25/00-25/24
B65G 47/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
農産物を搬送するトレイであって、
内側に向かって下り勾配に形成され、前記農産物を受ける受部と、
独立気泡構造体を基材とし、当該独立気泡構造体が表面に露出するように前記受部に沿って配置された敷材と、
を備え、
前記受部の中心に貫通穴が形成されており、
前記敷材は、
前記受部の外縁に沿って広がるマット状であり、
前記貫通穴に対応する位置に当該貫通穴よりも狭い開口が形成され、
内周部分には複数の切部が形成され、
外周部分には、前記内周部分の切部と交互になるように複数の切部が形成され、
前記受部に固定される基部と、
前記内周部分に形成された複数の切部によって形成され、前記基部から前記貫通穴の内方まで延出する舌片部と、
を有する、トレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選別施設などにおいて農産物を搬送するトレイ、及びトレイに敷かれる敷材に関する。
【背景技術】
【0002】
農産物の選別施設では、生産者より搬入された農産物を自動で等階級別に箱詰めする選別箱詰システムが用いられている。当該選別箱詰システムは、農産物を搬送する搬送装置と、搬送されてきた農産物の等階級を判定する判定装置と、判定結果に基づいて農産物を等階級別に仕分排出する排出装置と、排出された農産物を箱詰めする箱詰装置と、を備えている。
【0003】
上記選別箱詰システムの搬送装置として、農産物が載置されるフリートレイと、当該フリートレイを搬送するベルトコンベアが知られており、例えば特許文献1には、すり鉢状の傾斜面を有するトレイ本体と、当該傾斜面上に貼り付けられたスポンジ製の受座シートと、を備えたフリートレイが記載されている。
【0004】
上記特許文献1のフリートレイは、受座シート上に農産物が乗せられるため、農産物がトレイ本体に直接触れることがなく、トレイ本体と農産物の間における摩擦による損傷を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-118659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年では、単位時間あたりにより多くの農産物を選別箱詰めすることが望まれている。そのために、搬送装置による農産物の搬送速度を高速化するだけでなく、判定装置による判定速度、排出装置による排出速度、箱詰装置による箱詰速度が高速化されつつある。このように各装置が高速化されつつあるため、搬送される農産物の姿勢をより確実に保持しつつ、搬送時や排出時の衝撃から農産物の損傷を防止するトレイが望まれている。
【0007】
本発明は、搬送される農産物の姿勢を確実に保持しつつ、衝撃から農産物の損傷を防止するトレイ及び敷材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、農産物を搬送するトレイであって、内側に向かって下り勾配に形成され、前記農産物を受ける受部と、独立気泡構造体を基材とし、当該独立気泡構造体が表面に露出するように前記受部に沿って配置された敷材と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記トレイは、前記受部の中心に貫通穴が形成されており、前記敷材は、前記受部に固定される基部と、前記基部から前記貫通穴の内方まで延出する舌片部と、を有することを特徴とする。
【0010】
さらに、前記敷材は、前記受部の外縁に沿って広がり、前記貫通穴よりも狭い開口が形成されたマット状であり、その内周に形成された複数の切部によって前記舌片部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
さらにまた、前記敷材は、前記内周に形成された複数の切部と交互になるように、その外周に複数の切部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は、農産物を搬送するトレイに敷かれる敷材であって、独立気泡構造体を基材とし、当該独立気泡構造体が表面に露出するように前記トレイに形成された内側に向かって下り勾配の受部に沿って配置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、敷材が独立気泡構造体を基材としており、当該独立気泡構造体を表面に露出するように設けられているため、搬送される農産物の姿勢を確実に保持するとともに、衝撃からに損傷を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るトレイの平面図
図2】(a)上記トレイに農産物を載置した場合の断面図、(b)上記トレイに小径の農産物を載置した場合の断面図
図3】本発明の実施形態に係る敷材の平面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係るトレイおよび敷材を図面に基づいて説明する。
【0016】
本実施形態に係るトレイ1は、図1および図2に示すように、農産物Wの選別箱詰施設において用いられる所謂フリートレイであって、生産者より搬入された農産物Wが一つずつトレイ1に収容され、ベルトコンベア等によって搬送される。当該搬送過程において、農産物Wを乗せたトレイ1は、当該農産物Wの等階級を判定する判定装置(不図示)、判定された等階級ことに仕分排出する排出装置(不図示)、及び仕分排出されたトレイ1上の農産物Wを箱詰する箱詰装置(不図示)へと搬送される。
【0017】
上記のトレイ1は、トレイ本体10に敷材3が設けられた構成となっている。トレイ本体10は、光の透過を防ぐべく黒色の樹脂により成形されており、底部12、内壁部14、外壁部16、及び斜面部18を有している。底部12は、ベルトコンベアの搬送面に安定して接触するよう平坦に形成されており、収容される農産物Wの直径よりも大きな円形に形成されている。当該底部12の中心には円形の穴が開設されており、当該穴の縁、すなわち底部12の内周には、上方に延出する円筒状の内壁部14が形成されている。当該内壁部14および底部12の穴によって、トレイ本体10を上下に貫通する貫通穴20が形成されており、当該貫通穴20は判定装置において光学的に農産物Wの内部品質を判定するために用いられる。
【0018】
底部12の外周には、内壁部14よりもさらに上方に延出する外壁部16が形成されている。この外壁部16と内壁部14の間には、外壁部16の上部から内側(内壁部14の上部)に向かって下り勾配に形成されたすり鉢状の斜面部18が形成されており、当該斜面部18上に農産物Wが載置される。このように斜面部18は農産物Wを受ける受部として機能している。
【0019】
敷材3は、トレイ本体10上に敷かれ、トレイ本体10と載置される農産物Wの間に介在する。図3に示すように、敷材3それ自体は、独立気泡構造体であるポリエチレンフォームやゴムスポンジを基材とする厚みが3mm~5mmのマット状の部材であり、円形に形成されている。このマット状の敷材3の全体に渡って、微小気泡がそれぞれ独立して形成された独立気泡構造となっている。また、敷材3の中心には、トレイ本体10の貫通穴20よりも若干狭い円形の開口30が形成されている。
【0020】
上記敷材3の内側部分および外側部分には複数の切部32,34がその周囲に沿って等間隔で形成されている。本実施形態では、内周部分および外周部分の各々に12個の切部32,34が形成されている。内周部分の切部32は、内周端36から外周端38に向かって放射状に切れた部分であって、内周端36からV字形に形成された切欠40と、当該切欠40の先端から線状に延出した切目42と、から構成されている。外周部分の切部34は、外周端38から内周端36(開口30の中心)に向かって切れた部分であって、外周端38から帯状に延び、その先端が丸く形成された切欠44から構成されている。これら内周部分および外周部分に形成された複数の切部32,34は交互に(内周の切目42の延長線が外周の隣り合う2つの切部34の中間になるように)形成されている。
【0021】
上記の敷材3がトレイ本体10に敷かれる際には、外周部分の切部34によって区切られた扇状部46の裏側に接着剤が塗布され、当該扇状部46が斜面部18に固定される。このように、複数の扇状部46は斜面部18に固定される基部として機能している。また、内周部分の切部32によって形成された舌片部48は、その先端がトレイ本体10の貫通穴20の内方まで延出している。
【0022】
本実施形態のトレイ1に対して、トマトなどの球形状の農産物Wが載置されると、図2(a)に示すように、敷材3は農産物Wの重みによって、農産物Wの形に沿って変形する。また、図2(b)に示すように、サイズの小さな農産物Wが載置された場合には、敷材3の舌片部48の先端部が撓みながら農産物Wを支持する。ここで、本実施形態では、基材である独立気泡構造体の表面が露出するように設けられているので、その表面に形成されている微小な凹凸により生じる静止摩擦によって、姿勢を保ったままで農産物Wを保持することが可能となる。また、排出装置によってトレイ1が排出される際など、トレイ1に衝撃が生じる場合であっても、独立気泡構造体による保持力が発揮されるだけでなく、その衝撃が緩和され農産物Wの損傷を防止することが可能となる。
【0023】
また、本実施形態のトレイ1は、敷材3の舌片部48が貫通穴20の内方まで延出しているので、サイズの小さな農産物Wも、載置された姿勢を保ったままで保持することが可能となる。
【0024】
また、本実施形態では、敷材3の外周および内周に複数の切部32,34が形成されており、これらの切部32,34が開いたり閉じたりすることで、様々な形状、サイズの斜面部に適合して取り付けることが可能となる。
【0025】
なお、上記の実施形態では、フリートレイを例にして説明したが、本発明はフリートレイに限定されず、搬送装置に連結されたトレイに用いても構わない。
【0026】
また、上記の実施形態では、トレイ本体10はすり鉢状の斜面部18を有しているが、トレイ本体は、内側に向かって下り勾配の階段状の斜面部を有するものであっても構わない。
【0027】
また、上記の実施形態では、マット状の敷材3の厚みが3mmから5mmであるとしたが、当該厚みよりも薄い敷材や、厚い敷材であっても構わない。
【0028】
また、上記の実施形態では、敷材3を独立気泡構造体のみで形成していたが、傾斜面18側に配される裏面全面に、布材などの他のシート材が接合された態様であっても構わない。
【0029】
本願発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【符号の説明】
【0030】
1 … トレイ
3 … 敷材
18 … 斜面部(受部)
20 … 貫通穴
30 … 開口
32 … 切部
34 … 切部
46 … 扇状部(基部)
48 … 舌片部



図1
図2
図3