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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】フィルム位置補正ユニットおよび製袋機
(51)【国際特許分類】
   B31B 70/10 20170101AFI20240311BHJP
   B65H 23/038 20060101ALI20240311BHJP
   B65H 23/26 20060101ALI20240311BHJP
   B65H 23/188 20060101ALI20240311BHJP
   B65B 41/18 20060101ALI20240311BHJP
   B65B 57/00 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
B31B70/10
B65H23/038 Z
B65H23/26
B65H23/188
B65B41/18
B65B57/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020009319
(22)【出願日】2020-01-23
(65)【公開番号】P2021003882
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2019118989
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】506314357
【氏名又は名称】株式会社New IWASHO
(73)【特許権者】
【識別番号】000109200
【氏名又は名称】ダックエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(74)【代理人】
【識別番号】100198247
【弁理士】
【氏名又は名称】並河 伊佐夫
(72)【発明者】
【氏名】高松 博
(72)【発明者】
【氏名】日比野 稔
(72)【発明者】
【氏名】金子 直揮
(72)【発明者】
【氏名】キャスパー セラノ
(72)【発明者】
【氏名】氷上 好孝
(72)【発明者】
【氏名】高城 清次
(72)【発明者】
【氏名】岡本 宏巳
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 啓太
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-024506(JP,A)
【文献】特開2018-043870(JP,A)
【文献】特開平11-043248(JP,A)
【文献】特開2008-044787(JP,A)
【文献】特開2015-107853(JP,A)
【文献】特開2018-199525(JP,A)
【文献】特開2018-039642(JP,A)
【文献】特開2018-177457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 70/10
B65H 23/00
B65B 41/00
B65B 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムから袋又は袋の連続体を製造する製袋機に取り付けられて前記フィルムの位置を補正するユニットであって、
取付部を介して前記製袋機に取り付けられる基台と、
前記基台に支持され、前記フィルムと接触して前記フィルムの搬送経路を規定する1つのガイドローラと、
前記ガイドローラの一端部に連結し該一端部をフィルム搬送方向とは異なる所定の移動方向に移動させる一端部側調整装置と、
前記ガイドローラの他端部に連結し該他端部を前記所定の移動方向に移動させる、前記一端部側調整装置とは別体の他端部側調整装置と、
前記フィルムの位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段から入力された位置情報に基づいて制御信号を出力する制御装置と、
前記制御信号に基づいて、前記一端部側調整装置および前記他端部側調整装置により前記ガイドローラの一端部および他端部を前記所定の移動方向に同量移動させることで、前記ガイドローラ全体を一方向に変位させて前記フィルムのパス長を補正するパス長補正手段と、
前記制御信号に基づいて、前記一端部側調整装置により前記ガイドローラの他端部に対して前記ガイドローラの一端部を前記所定の移動方向に移動させることで、前記ガイドローラの傾きを変化させて前記フィルムの蛇行を補正する蛇行補正手段と、
を備えていることを特徴とするフィルム位置補正ユニット。
【請求項2】
前記位置検出手段として前記フィルムの画像を取得する撮像装置を備え、
前記制御装置は前記撮像装置から入力された画像に基づいて前記制御信号を出力することを特徴とする請求項1に記載のフィルム位置補正ユニット。
【請求項3】
前記撮像装置は、フィルム搬送方向および/またはフィルム幅方向に位置変更可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載のフィルム位置補正ユニット。
【請求項4】
変位可能に構成された前記ガイドローラの、フィルム搬送方向の前側および/または後側に、前記ガイドローラとは異なる高さで前記フィルムを支持する搬送ローラが設けられていることを特徴とする請求項1~の何れかに記載のフィルム位置補正ユニット。
【請求項5】
前記ガイドローラの荷重を検出する荷重検出手段を更に備えていることを特徴とする請求項1~の何れかに記載のフィルム位置補正ユニット。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記位置検出手段からの前記位置情報に基づいて前記ユニット内を通過する前記フィルムのずれ量を算出するずれ量算出部と、
前記荷重検出手段からの荷重情報に基づいて前記フィルムのテンションを算出するテンション算出部と、
これらフィルムのずれ量およびフィルムのテンションに基づいて、前記パス長補正手段および前記蛇行補正手段に対して行う制御の制御データを決定する制御データ決定部と、
を備えていることを特徴とする請求項に記載のフィルム位置補正ユニット。
【請求項7】
請求項1~の何れかに記載のフィルム位置補正ユニットが取り付けられていることを特徴とする製袋機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、製袋機に取り付けられてフィルムのピッチずれおよび蛇行に起因する製品不良の発生を効果的に抑制することができるフィルム位置補正ユニットおよびこれを取り付けた製袋機に関する。
【背景技術】
【0002】
製袋機は、長尺の原反フィルムから繰り出された複数のフィルムを上下に重ね合わせた後、シールおよび切断などの加工を施して袋を製造する。製袋時、袋素材としてのフィルムは、ローラによって搬送されるが、搬送距離が長く、搬送途中でフィルムが幅方向に移動する蛇行が生じ易い。蛇行した状態で製造された袋にあっては、フィルムの印刷柄に合った位置でシールやカットがなされず不良品となってしまう。
【0003】
また袋素材としてのフィルムは、その製造過程で加えられる熱履歴、更には製袋時の送りローラのテンション、ヒートシールの熱(その後の冷却)等によって長手方向に伸縮するため、フィルム上に印刷された1袋分に対応する印刷ピッチが本来の寸法からずれてしまうピッチずれも生じ易い。ピッチずれが生じた状態のままフィルムにシールやカットを施して製袋すると、蛇行の場合と同様に、フィルムの印刷柄に合った位置でシールやカットがなされず不良品となってしまう。
【0004】
このような問題を解決するため、下記特許文献に記載のもののように、フィルムの位置をCCDカメラ等で検出して自動的にフィルムの蛇行およびピッチずれの補正を行う技術も提案されているが、蛇行補正を担う機構と、ピッチずれの補正を担う機構とをそれぞれ個別に製袋機に取り付けなければならず、製袋機への取付作業性に問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-100467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような事情を背景とし、製袋機への取付作業性に優れ、製袋機に取り付けられた状態で、フィルムのピッチずれおよび蛇行に起因する製品不良を効果的に抑制することができるフィルム位置補正ユニットおよびこれを取り付けた製袋機を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
而して本発明のフィルム位置補正ユニットは、フィルムから袋又は袋の連続体を製造する製袋機に取り付けられて前記フィルムの位置を補正するユニットであって、
取付部を介して前記製袋機に取り付けられる基台と、
前記基台に支持され、前記フィルムと接触して前記フィルムの搬送経路を規定するガイドローラと、
前記フィルムの位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段から入力された位置情報に基づいて制御信号を出力する制御装置と、
前記制御信号に基づいて前記ガイドローラ全体を一方向に変位させて前記フィルムのパス長を補正するパス長補正手段と、
前記制御信号に基づいて前記ガイドローラの傾きを変化させて前記フィルムの蛇行を補正する蛇行補正手段と、
を備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明のフィルム位置補正ユニットは、製袋機に取り付けられた状態で、ユニット内を通過するフィルムに対してパス長補正および蛇行補正を施し、これにより、フィルムのピッチずれおよび蛇行に起因する製品不良を効果的に抑制することができる。本発明のフィルム位置補正ユニットは、パス長補正を担う機構および蛇行補正を担う機構が1つのユニット内に収められているため、これらを個別に製袋機へ取り付ける場合に比べ、取り付け作業が容易である。また、フィルムのパス長を補正するための制御およびフィルムの蛇行を補正するための制御がユニット内で完結するため、製袋機への取り付けの際に、製袋機本体の制御装置との接続を省略することができる。
本発明のフィルム位置補正ユニットは、新規の製袋機に予め取り付けておくことも可能であるが、既設の製袋機に後付けする場合に特に好適である。
【0009】
また本発明のフィルム位置補正ユニットでは、前記位置検出手段として、前記フィルムの画像を取得する撮像装置を備え、前記制御装置が前記撮像装置から入力された画像に基づいて前記制御信号を出力するように構成することができる。
フィルムの位置を検出する位置検出手段としては、各種センサを用いることが可能であるが、フィルムに印刷されている図柄を利用してフィルムのピッチおよび蛇行量を算出する場合には、位置検出手段として撮像装置を用いることが好適である。
【0010】
また本発明のフィルム位置補正ユニットでは、前記撮像装置を、フィルム搬送方向および/またはフィルム幅方向に位置変更可能に構成することができる。
このようにすることで、フィルムの仕様や製袋条件に応じて、より高い補正効果が望める位置に撮像装置を設置することができる。
【0011】
また本発明のフィルム位置補正ユニットでは、前記ガイドローラの両端部にそれぞれ調整装置を連結させて、一方の端部と他方の端部をそれぞれ独立して変位可能とし、前記ガイドローラの変位に基づいて、前記フィルムのパス長補正および蛇行補正を行うことができる。
このようにすることで、共通のガイドローラでパス長補正および蛇行補正が可能となり、部品点数の削減およびユニットの小型化を図ることができる。
【0012】
また本発明のフィルム位置補正ユニットでは、変位可能に構成された前記ガイドローラの、フィルム搬送方向の前側および/または後側に、前記ガイドローラとは異なる高さで前記フィルムを支持する搬送ローラを設けておくことができる。
【0013】
また本発明のフィルム位置補正ユニットでは、ガイドローラの荷重を検出する荷重検出手段を更に設けておくことができる。このようにすることで、ユニット内を通過するフィルムのテンションに関する情報を取得することができる。
【0014】
ここで本発明のフィルム位置補正ユニットでは、前記制御装置に、前記位置検出手段からの前記位置情報に基づいて前記ユニット内を通過する前記フィルムのずれ量を算出するずれ量算出部と、前記荷重検出手段からの荷重情報に基づいて前記フィルムのテンションを算出するテンション算出部と、これらフィルムのずれ量およびフィルムのテンションに基づいて、前記パス長補正手段および前記蛇行補正手段に対して行う制御の制御データを決定する制御データ決定部と、を設けることができる。このようにすることで、フィルムのテンションを考慮した補正制御を行なうことができる。
【0015】
ところでフィルム位置補正ユニットが取り付けられる製袋機では、フィルムの送りと停止が交互に繰り返される。フィルムの送りが停止された時、フィルム位置補正ユニットのガイドローラが止まりきらずに慣性により回転すると、ガイドローラの近くに位置するフィルムに部分的な弛みや引っ張りが作用し、フィルム位置補正ユニットによる位置補正精度の悪化が懸念される。このため本発明のフィルム位置補正ユニットでは、前記ガイドローラの回転を抑制する回転抑制手段を更に設けておくことができる。
【0016】
ここで本発明のフィルム位置補正ユニットでは、前記回転抑制手段を、前記ガイドローラに回転抵抗を付与する回転抵抗調整部を含んで構成することができる。
【0017】
本発明の製袋機は、上記本発明のフィルム位置補正ユニットが取り付けられていることを特徴とするものである。本発明の製袋機によれば、フィルムのピッチずれおよび蛇行に起因する製品不良を効果的に抑制することができる。
【0018】
ここで、本発明の製袋機では、前記フィルムを熱溶着するシールバーを保持するシール台の、フィルム搬送方向の前側および/または後側の位置に、前記フィルム位置補正ユニットが取り付けられており、前記フィルム位置補正ユニット内を通過する前記フィルムのパス長を補正することで、前記シール台を前記フィルム搬送方向に沿って移動させることなく、前記フィルムに対するシール位置を補正可能に構成することができる。
従来の製袋機では、フィルムが長尺方向に伸縮した際、フィルムの変化に応じてシール台をフィルム搬送方向に沿って移動させる作業が行われていたが、本発明のフィルム位置補正ユニットは、ユニット内を通過するフィルムのパス長を補正することで、フィルムの伸縮分を吸収することができるため、従来の製袋機にて行われていたシール台を移動させる作業を行うことなく、シール位置の補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態のフィルム位置補正ユニットの斜視図である。
図2】同実施形態のフィルム位置補正ユニットの正面図である。
図3】(a)は同実施形態のフィルム位置補正ユニットの側面図、(b)はフィルム搬送部の概略構成図である。
図4】(a)はパス長を補正するためのガイドローラの動きを示した図、(b)は蛇行を補正するためのガイドローラの動きを示した図である。
図5】ずれ量算出部の動作説明図である。
図6図5に続くずれ量算出部の動作説明図である。
図7】同実施形態のフィルム位置補正ユニットが取り付けられた製袋機の概略構成を示した図である。
図8】フィルム位置補正ユニットが後付けされる製袋機の要部を拡大して示した図で、(a)は取付け前、(b)は取付け後の状態を示している。
図9】本発明の他の実施形態のフィルム位置補正ユニットの正面図である。
図10】ガイドローラの荷重を検出するロードセルおよびその周辺部を取り出して示した側面図である。
図11】本発明の更に他の実施形態のフィルム位置補正ユニットの要部を示した図である。
図12図11のフィルム位置補正ユニットのガイドローラをその周辺部とともに示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。図1および図2に示す第1実施形態のフィルム位置補正ユニット1は、製袋機に取り付けられて、袋素材としての帯状のフィルムFの位置を自動で補正するものである。なお、フィルムFは軟質であり、ここではプラスチックとするが、素材は問わず、金属製や紙製であってもよいし、それらの複合材であってもよい。
【0021】
以下の説明においては、製袋機に取り付けられた状態での上下を、フィルム位置補正ユニット1における上下とする。
【0022】
フィルム位置補正ユニット1は、基台4と、フィルム搬送部6と、位置検出手段としての撮像装置8と、制御装置としてのコンピュータ10と、を備えている。
【0023】
基台4は細長い板状の部材で、その下面に下向きに延びる一対の板状の脚部5,5が一体に取り付けられている。図2に示すように、フィルム位置補正ユニット1を製袋機に取り付ける際には、製袋機(例えば図7に示す製袋機70)の架台71に、基台4の長手方向の端部が載置され、脚部5と架台71との当接によりフィルム位置補正ユニット1の長手方向(図中左右方向)の位置が規定される。なお、脚部5には、基台4と製袋機の架台71とを固定する際に用いられる固定用ボルトを挿通させる貫通孔5aが形成されている(図1参照)。本例においては、基台4の長手方向の端部および脚部5が取付部を構成している。
【0024】
一方、基台4の上面には枠状部材12が取り付けられている。枠状部材12は、底枠部13、左右一対の側枠部14,15および上枠部16を備え、正面視で四角形状をなしており、各枠部で囲まれた内側の空間にフィルム搬送部6が設けられている。
【0025】
フィルム搬送部6は、基台4の長手方向に沿って配設され上下方向に変位可能なガイドローラ20と、ガイドローラ20の搬送方向の上流側(後側)にて位置固定の第1搬送ローラ21と、ガイドローラ20の搬送方向の下流側(前側)にて位置固定の第2搬送ローラ22と、を備え、フィルム位置補正ユニット1内を通過するフィルムFの搬送経路を規定する。
【0026】
ガイドローラ20は、両端の近傍部位が枠状部材12の底枠部13および/または基台4に立設された四角柱部材24,24で挟まれて、フィルム搬送方向(前後方向)への移動が規制されるとともに、四角柱部材24,24の対向する側面に案内されて上下方向に変位可能とされている。これに対し、第1搬送ローラ21および第2搬送ローラ22は、四角柱部材24と一体に取り付けられた支持板25に位置固定状態に取り付けられ、ガイドローラ20とは異なる高さでフィルムFを支持するように構成されている。なお、これらのローラ20,21,22は何れも軸心周りに回転可能とされている。
【0027】
フィルム位置補正ユニット1は、図3(a)に示すように、第1搬送ローラ21および第2搬送ローラ22の頂部の高さを、隣接する製袋機側のローラ73と合わせるように、製袋機に取り付けられる。
フィルム位置補正ユニット1では、図3(b)に示すように、フィルムFが第1搬送ローラ21の上部、ガイドローラ20の下部、および第2搬送ローラ22の上部でそれぞれ接するように架け渡された状態で、ユニット1内でのフィルムFのパス長が規定される。なお、ここでのフィルムのパス長とは、第1搬送ローラ21から第2搬送ローラ22までの搬送経路に沿ったフィルムFの長さである。
【0028】
図2に示すように、本例では、ガイドローラ20を変位させるための手段として3つの調整装置30,33,39が設けられている。これら調整装置としては、内部に図示を省略するモータ、ネジ軸およびネジナットを備え、ネジ軸の回転運動を直線運動に変換し、出力側の部材を直線的に移動させるアクチュエータを採用することができる。
【0029】
第1調整装置30は、側枠部14に取り付けられ、出力側のスライド部材31を上下方向にスライド移動させる。このスライド部材31には第2調整装置33が取り付けられている。第2調整装置33は下向きに突出させた出力軸34を有し、出力軸34を上下方向に移動可能とされている。第2調整装置33の出力軸34の先端には、連結金具35が取り付けられており、連結金具35がピン36を介してガイドローラ20の一端部に連結されている。
【0030】
また、第3調整装置39は、側枠部15に取り付けられ、出力側のスライド部材40を上下方向にスライド移動させる。スライド部材40の下端には連結金具41が取り付けられており、連結金具41がピン42を介してガイドローラ20の他端部に連結されている。第1調整装置30、第2調整装置33および第3調整装置39は、それぞれコンピュータ10に接続され、コンピュータ10からの制御信号に基づいて作動する。
【0031】
このように構成されたフィルム位置補正ユニット1によれば、図4(a)に示すように、第1調整装置30のスライド部材31および第3調整装置39のスライド部材40を同量だけ上方向にスライド移動させることで、ガイドローラ20全体を上方に変位させてフィルムFのパス長を短くする方向に補正することができる。また、スライド部材31およびスライド部材40を同量だけ下方向にスライド移動させることで、ガイドローラ20全体を下方に変位させてフィルムFのパス長を長くする方向に補正することができる。即ち、本例ではガイドローラ20のそれぞれの端部に連結された第1調整装置30および第3調整装置39がフィルムFのパス長を補正するパス長補正手段を構成する。本例では、ガイドローラ20の上下方向の変位によりフィルムFのパス長を60mm以上調整できるように構成されている。
【0032】
また、図4(b)に示すように、第2調整装置33の出力軸34を上方向に移動させると、ガイドローラ20の他端側のピン42を支点にガイドローラ20の一端側が上方向に揺動し、ガイドローラ20が左上方向に傾くため、ガイドローラ20の下部に接触した状態で搬送されるフィルムFを図中右方向に移動させることができる。また、出力軸34を下方向に移動させガイドローラ20を左下方向に傾けることで、フィルムFを逆方向(図中左方向)に移動させることができる。即ち、本例では、ガイドローラ20の一端部に連結された第2調整装置33がフィルムFの蛇行を補正する蛇行補正手段を構成する。
【0033】
次に撮像装置8は、フィルム搬送方向の下流側、且つ、フィルムFの上面側に配置され、撮像装置8を通過するフィルムFに対して垂直方向から撮影領域を撮影してフィルムFの上面の画像を取得する。撮像装置8はコンピュータ10と接続されており、取得した画像データをコンピュータ10に出力する。なお、本例では撮影領域に対して近距離から照明光を照射するLED光源9が併せて配設されている。
【0034】
撮像装置8は、図1に示すように、取付ブラケット44および固定具46を介して枠状部材12の上枠部16の上面に取り付けられている。上枠部16の上面および取付ブラケット44には、固定具46を嵌入させるガイド溝17および45がそれぞれ形成されており、固定具46による固定位置を、ガイド溝17および45に沿ってそれぞれフィルム幅方向およびフィルム搬送方向に変更することで、撮像装置8による撮影領域を適宜変更することが可能とされている。
【0035】
本例では、フィルムFの幅方向に2つの撮像装置8A,8Bが設けられており、一方の撮像装置8AがフィルムFの一方の端部を含む領域を撮影し、他方の撮像装置8BがフィルムFの他方の端部を含む領域を撮影する。また撮像装置8としては、フィルムの全幅に及ぶ画像を取得可能なラインセンサを用いることも可能である。
【0036】
なお、撮像装置8およびLED光源9の構成はこれに限定されるものではなく、例えばLED光源9を、透過用光源としてフィルムFを挟んで撮像装置8とは反対側に設けて、撮像装置8にてフィルムFの上面に印刷された印刷柄およびフィルムFの下面に印刷された印刷柄を撮影することも可能である。また撮像装置8を取付ブラケット44から分離可能に構成し、取付ブラケット44の長さの制限を受けることなくフィルム位置補正ユニット1から離れた位置で、フィルムFの画像を取得するように構成することも可能である。
【0037】
次にコンピュータ10は、図2に示すように、ずれ量算出部50と制御データ決定部52とを備え、調整装置30,33,39に制御信号を送ってガイドローラ20の姿勢を制御する。ずれ量算出部50および制御データ決定部52は、CPUなどのプロセッサとすることができる。この場合、ずれ量算出部50および制御データ決定部52は、ROM等に記憶された制御プログラムをCPUなどのプロセッサが実行することにより実現される。
【0038】
ずれ量算出部50は、フィルムFに印刷されたマーク(図柄)の画像データ(位置情報)に基づいてフィルム搬送方向のピッチずれ量およびフィルム幅方向のずれ量(蛇行量)を算出する。
これらずれ量の算出方法の一例を以下で説明する。ここでは、フィルム位置補正ユニット1が製袋機に取り付けられており、フィルム位置補正ユニット1の撮像装置8Aで撮影されたフィルムFのマーク60と、撮像装置8Bで撮影されたマーク61を用いて、ずれ量を算出するものとする。
【0039】
ずれ量を算出するためには、図5(a)に示す基準となるデザインデータをコンピュータ10の記憶部54に記憶させる。基準となるデザインデータは、袋の外形およびずれ量算出に用いるマークの情報を含むものである。
次に、図5(b)に示すように、フィルムFに印刷された2つのマーク60,61にそれぞれ代表点60a、61aを設定するとともに、線分60a61aの中点を基準点P1とする。
【0040】
製袋が開始され、フィルムFの画像が撮像装置8A、8Bにより撮影され、その画像データが順次コンピュータ10に送られると、ずれ量算出部50は、得られた画像62(図6(a)参照)内で、マーク60,61と最も相関の高いデータ配列を有するマーク相当領域60′,61′を求めて、それぞれの代表点の座標に相当する代表相当点60a′,61a′を求め、さらに線分60a′61a′の中点を基準相当点P1′として求める(図6(b)参照)。このようにして得られた基準相当点P1′を基準点P1と比較した際のy方向(フィルム搬送方向と直交する方向)のずれ量を蛇行量S1として算出する。また、図6(c)に示すように、x方向(フィルム搬送方向)に連続する基準相当点P1′間の距離L′を求め、この距離L′を基準データと比較した際のずれ量をピッチずれ量S2として算出する(このようなずれ量の算出方法は、例えば特開2002-63566号公報等に記載されている)。
【0041】
次に、制御データ決定部52について説明する。制御データ決定部52は、ずれ量算出部50にて算出されたずれ量S1,S2に基づいて各調整装置30,33,39に対する制御データを決定する。制御データ決定部52では、ずれ量算出部50にて算出されたずれ量S2が許容範囲を超えた場合、第1調整装置30および第3調整装置39に対して出力するフィルムFのパス長を補正するための制御データを決定することができる。この場合、第1調整装置30および第3調整装置39に対する制御データ(スライド部材31,40の移動方向および移動量に相当)は同じ内容である。
【0042】
また制御データ決定部52は、ずれ量算出部50にて算出されたずれ量S1が許容範囲を超えた場合に、第2調整装置33に対して出力するフィルムFの蛇行を補正するための制御データを決定することができる。
【0043】
そしてコンピュータ10が、制御データ決定部52にて決定された、第1調整装置30および第3調整装置39に対する制御データに基づく制御信号、第2調整装置33に対する制御データに基づく制御信号を各調整装置に向けて出力することで、ガイドローラ20の姿勢制御が行なわれる。なお、制御データ決定部52において、制御データを決定するためのルールは適宜変更可能である。
【0044】
次に、本発明のフィルム位置補正ユニット1が取り付けられる製袋機について説明する。図7に示すように製袋機70は、1袋分に対応する印刷ピッチで反復印刷された印刷柄を有する長尺状のフィルムFに対し、所定数袋分に対応するフィルムFの長尺方向に沿った長さ毎に処理(ここでは、シール及びカット)を行うものである。製袋機70は、送り手段72を備え、また各処理部としての縦シール装置74、縦冷却装置75、横シール装置76、横冷却装置77、カッタ80を備えている。
【0045】
送り手段72は、原反フィルムGが巻かれた原反ロールの中心に水平方向に沿って挿通されて、原反ロールから原反フィルムGを繰り出す繰出し軸81と、繰出された原反フィルムGをその幅方向が鉛直方向となるように方向転換させる斜め45°に傾斜したターンバー82と、原反フィルムGをその幅方向の中央で切断して2枚の基材フィルムF1、F2とするスリット刃83と、基材フィルムF1、F2の各々を幅方向が水平方向となるように方向転換する一対のターンバー84,84と、基材フィルムF1、F2を連続から間欠送りに変換するため、上下にそれぞれ複数設けられたダンサローラ85と、一対のニップローラ90,91と、その下流側に設けられた一対のニップローラ92,93と、更にその下流側に設けられた一対のニップローラ94,95と、を備えている。送り手段2は、上述したもの以外にも、原反フィルムG、基材フィルムF1、F2、フィルムFを送るための複数のローラを有している。
【0046】
フィルムFは、原反ロールから繰り出された基材フィルムF1、F2が、ニップローラ90,91により上下に重ね合わされて形成される。
【0047】
このように構成された製袋機70では、各ニップローラは、同期して間欠駆動しながらフィルムFを搬送し、フィルムFが間欠停止したとき、横シール装置76、カッタ80などの処理部が、シールやカットといった処理を行う。このため、各処理部間の距離(フィルムFのパス長に相当)は、袋の1袋分の長さの整数倍に設定されている。
【0048】
本実施形態のフィルム位置補正ユニット1は、このような製袋機70の任意の場所に取り付けることが可能である。製袋機70上流側の位置に取り付けて、基材フィルムF1および/またはF2の位置補正を行うことも可能であるし、また製袋機70の下流側の位置に取り付けて、フィルムFの位置補正を行うことも可能である。
【0049】
図7に示すように、横冷却装置77とカッタ80の間にフィルム位置補正ユニット1を設けた場合には、後段に位置するカッタ80におけるカット位置不良を抑制することができる。
【0050】
図8は、図7の例とは異なる位置にフィルム位置補正ユニット1Bを後付けした場合を示している。図8(a)において、101は上横シールバー、102は下横シールバーで、これらシールバーは上下に対向配置され、フィルムFを構成する基材フィルムF1、F2を互いにヒートシール(熱溶着)する。100は、上横シールバー101および下横シールバー102を保持するシール台である。シール台100は、図7で示す製袋機70の横シール装置76を構成する。
また、105は上横冷却バー、106は下横冷却バーで、熱溶着された部位での過度な熱溶着を防止するとともに外観を良好にするためシール部を冷却する。104は、上横冷却バー105および下横冷却バー106を保持する冷却台である。冷却台104は、図7で示す製袋機70の横冷却装置77を構成する。
【0051】
シール台100および冷却台104には、フィルム搬送方向に沿って、シール台100、冷却台104を移動させるための移動手段(図示省略)が設けられている。例えば、袋素材としてのフィルムFが長尺方向に伸縮した場合には、フィルムFの図柄に対するシール位置がずれてしまうため、オペレーターがハンドル(図示省略)を操作して、重量物であるシール台100や冷却台104の位置を調整する作業が必要であった。
【0052】
このような場合において、図8(b)に示すように隣接するシール台100および冷却台104の間に、それぞれフィルム位置補正ユニット1Bを後付けすれば、ユニット1B内を通過するフィルムFのパス長を補正することで、フィルムFの伸縮分を吸収することができ、フィルムFの図柄に対するシール位置のずれを防止できる。即ち、オペレーターによるシール台100および冷却台104を移動させる作業を不要とすることができる。なお、フィルム位置補正ユニット1Bは、ガイドローラ20が搬送ローラ21,22よりも上方に配置されている点が上記フィルム位置補正ユニット1と異なっている。
【0053】
以上のように、本実施形態のフィルム位置補正ユニット1は、製袋機に取り付けられた状態で、ユニット1内を通過するフィルムFに対してパス長補正および蛇行補正を施し、これにより、フィルムFのピッチずれおよび蛇行に起因する製品不良を効果的に抑制することができる。本実施形態のフィルム位置補正ユニット1は、パス長補正を担う機構および蛇行補正を担う機構が1つのユニット内に収められているため、製袋機への取り付けが容易である。また、フィルムFのパス長を補正するための制御およびフィルムFの蛇行を補正するための制御がユニット内で完結するため、製袋機への取り付けの際に、製袋機本体の制御装置との接続を省略することできる。このため、本実施形態のフィルム位置補正ユニット1は、既設の製袋機に後付けする場合に特に好適である。
【0054】
また本実施形態のフィルム位置補正ユニット1は、位置検出手段としてフィルムFの画像を取得する撮像装置8を備え、制御装置としてのコンピュータ10が撮像装置8から入力された画像データに基づいて制御信号を出力するように構成されており、フィルムFに印刷されている図柄を利用してフィルムFのピッチおよび蛇行量を算出するのに好適である。
【0055】
また本実施形態のフィルム位置補正ユニット1は、撮像装置8が、フィルム搬送方向およびフィルム幅方向に位置変更可能に構成されており、フィルムFの仕様や製袋条件に応じて、より高い補正効果が望める位置に撮像装置8を設置することができる。
【0056】
また本実施形態のフィルム位置補正ユニット1は、ガイドローラ20の一方の端部に第1調整装置30,第2調整装置33を、他方の端部に第3調整装置39を連結して、ガイドローラ20の一方の端部と他方の端部をそれぞれ独立して変位可能とし、ガイドローラ20の変位に基づいて、フィルムFのパス長補正および蛇行補正を行うように構成されている。このようにすることで、部品点数の削減およびユニット1の小型化を図ることができる。
【0057】
本実施形態のフィルム位置補正ユニットは、製袋機の任意の場所に取り付けることが可能であるが、図8に示すように、フィルムFを熱溶着するシールバー101,102を保持するシール台100の、フィルム搬送方向の前側および後側の位置に、フィルム位置補正ユニット1Bを取り付けて、フィルム位置補正ユニット1B内を通過するフィルムFのパス長を補正すれば、シール台100をフィルム搬送方向に沿って移動させることなく、フィルムFに対するシール位置の補正を行うことができる。
【0058】
次に、本発明の第2実施形態に係るフィルム位置補正ユニット1Cについて説明する。このフィルム位置補正ユニット1Cは、ガイドローラ20の荷重を検出する荷重検出手段を備えている点が、前記第1実施形態のフィルム位置補正ユニット1と異なっている。フィルム位置補正ユニット1Cの構成各部のうち、基台4、フィルム搬送部6、撮像装置8など第1実施形態に係るフィルム位置補正ユニット1の構成と共通する構成については同じ符号を用いて示すとともに、その説明を省略する。
【0059】
図9に示すように、本例ではガイドローラ20の一方(図中左側)の端部と他方(図中右側)の端部に、それぞれ荷重検出手段としてのロードセル111,115が設けられている。
【0060】
図10は、ガイドローラ20の一方の端部に設けられたロードセル111およびその周辺部を取り出して示した側面図である。図10に示すように、ガイドローラ20の一方の端部と第2調整装置33の出力軸34とを連結する連結金具は、出力軸側連結金具120とガイドローラ側連結金具122とに分離され、これら出力軸側連結金具120とガイドローラ側連結金具122との間にロードセル111が介設されている。
ロードセル111は棒状を成しており略水平に配置された状態で、ロードセル111の一端側は出力軸側連結金具120に固定され、ロードセル111の他端側はガイドローラ側連結金具122に固定されている。
ロードセル111は、図示を省略するA/D変換器を介してコンピュータ140に接続されており、ロードセル111により検出されたガイドローラ20の一方の端部における荷重情報がコンピュータ140に送信される。
【0061】
以上、ロードセル111について説明したが、図9に記載の、ガイドローラ20の他方の端部に設けられたロードセル115についても基本的には同様である。
ガイドローラ20の他方の端部と第3調整装置39のスライド部材40とを連結する連結金具は、スライド部材側連結金具130とガイドローラ側連結金具132とに分離され、これらスライド部材側連結金具130とガイドローラ側連結金具132との間にロードセル115が介設されている。
ロードセル115は、図示を省略するA/D変換器を介してコンピュータ140に接続されており、ロードセル115により検出されたガイドローラ20の他方の端部における荷重情報がコンピュータ140に送信される(図10参照)。
なお本例では、荷重検出手段としてロードセルを用いたが、一般に知られた他の荷重センサを荷重検出手段として用いることも可能である。
【0062】
コンピュータ140は、図10に示すように、ずれ量算出部50、制御データ決定部152、記憶部154のほか、テンション算出部156を備えている。
テンション算出部156は、ロードセル111,115からの荷重情報に基づいてユニット内を通過するフィルムFのテンションを算出する。ガイドローラ20単体の重量は既知である一方、ガイドローラ20全体を変位させた場合には、フィルムFに生じたテンションに応じてロードセル111,115からの荷重情報の値が変化することから、一定条件下でガイドローラ20全体を変位させた場合の荷重情報の値の変化の大きさをフィルムFのテンションとして規定することができる。
【0063】
記憶部154には、制御データを決定するためのルールが、フィルムFのテンションの値に応じて複数記憶されている。
制御データ決定部152では、テンション算出部156で算出されたフィルムFのテンションの値に応じたルールを記憶部154の中から選択し、かかるルールに基づいて、ずれ量算出部50にて算出されたずれ量S1,S2に応じた各調整装置30,33,39に対する制御データを決定する。
【0064】
このように構成されたフィルム位置補正ユニット1Cでは、フィルムのテンションを考慮した補正制御を行なうことができる。
フィルムFの素材は様々である。例えば、フィルムFが柔らかく伸びやすい素材の場合と伸び難い素材の場合とでは、同じようにガイドローラ20を変位させた場合でも、蛇行補正およびピッチ補正の効果が異なる場合がある。本実施形態のフィルム位置補正ユニット1Cでは、フィルムFのテンションの値に応じて、制御データを決定するためのルールを選択することで、フィルムFの性状(伸び易さ)を反映させた制御を行うことができる。
なお、制御データを決定するためのルールの具体的な内容は適宜設定することができる。例えば、算出されたテンションの値が大きく、すなわちフィルムFが伸び難い場合には、蛇行補正およびピッチ補正の両方を実行するルールを選択し、これとは反対に算出されたテンションの値が過度に小さく、すなわちフィルムが非常に伸び易い場合には、蛇行補正のみを実行するルールを選択する、といったことも可能である。
【0065】
次に、本発明の第3実施形態に係るフィルム位置補正ユニット1Dについて説明する。このフィルム位置補正ユニット1Dは、ガイドローラ180の回転を抑制する回転抑制手段を備えている点が、第1実施形態のフィルム位置補正ユニット1と異なっている。フィルム位置補正ユニット1Dの構成各部のうち、基台4、フィルム搬送部6、撮像装置8など第1実施形態に係るフィルム位置補正ユニット1の構成と共通する構成については同じ符号を用いて示すとともに、その説明を省略する。
【0066】
図11に示すように、フィルム位置補正ユニット1Dのフィルム搬送部6は、基台4の長手方向に沿って配設され上下方向に変位可能なガイドローラ180と、ガイドローラ180の搬送方向の上流側(後側)にて位置固定の第1搬送ローラ21と、ガイドローラ180の搬送方向の下流側(前側)にて位置固定の第2搬送ローラ22と、を備えている。
【0067】
フィルム位置補正ユニット1D内を通過するフィルムFは、第1搬送ローラ21の上部、ガイドローラ180の下部、および第2搬送ローラ22の上部でそれぞれ接するように架け渡される。
【0068】
本例では、ガイドローラ180の下方にニップローラ190が配設されている。図12に示すように、ニップローラ190は軸体192により保持され、ガイドローラ180の右端部および左端部の2箇所(フィルムFと接触しない位置)においてガイドローラ180の下面に圧接している。また、ニップローラ190は軸体192に対して回転可能に構成され、ガイドローラ180が回転した際には、ガイドローラ180の回転に従動して回転する。このニップローラ190は、ガイドローラ180に回転抵抗を付与するもので、第1の回転抵抗調整部195を構成する。このとき付与する回転抵抗の程度は、ニップローラ190の押圧力(押し付け力)を変化させることで調整可能である。
なお、本例のニップローラ190はフィルムFと接触しない位置に設けたものであるが、場合によってはニップローラ190をフィルムFと接触する位置に配置したり、更にはガイドローラ180の全面と圧接可能な長さに亘って配置することも可能である。
【0069】
また本例では、ガイドローラ180が軸体182に対して回転可能に構成されるとともに、ガイドローラ180の図中右側(図12参照)には、ガイドローラ180に回転抵抗を付与する第2の回転抵抗調整部200が設けられている。
第2の回転抵抗調整部200は、ガイドローラ180の端面181に当接する当接部材202と、ばね部材204と、ばね部材204を保持するばね受け部材206とを備えている。
【0070】
ばね受け部材206は環状を成し軸体182に外嵌し、軸体182の軸方向の所定の位置で固定される。ばね部材204は当接部材202とばね受け部材206との間で圧縮状態で配置され、当接部材202は、ばね部材204の弾力に基づいてガイドローラ180の端面181に対して圧接状態とされる。このように構成された第2の回転抵抗調整部200は、ガイドローラ180が回転した際に、ガイドローラ180に回転抵抗を付与する。このとき付与する回転抵抗の程度は、ばね部材204の圧縮の程度を変化させることで調整可能である。
これら第1の回転抵抗調整部195および第2の回転抵抗調整部200は、ガイドローラ180の回転を抑制するものであり、本発明の回転抑制手段を構成する。
【0071】
フィルム位置補正ユニットが取り付けられる製袋機では、フィルムFの送り動作と停止動作が交互に繰り返される。フィルムFの送りが停止された時、フィルム位置補正ユニットのガイドローラ180が慣性により回転すると、図11で示すように、ガイドローラ180の上流側に位置するフィルムFaは引っ張られ、またガイドローラ180の下流側に位置するフィルムFbには弛みが生じて、フィルム位置補正ユニットによる位置補正精度の悪化が懸念される。
しかしながら本実施形態のフィルム位置補正ユニット1Dでは、ガイドローラ180の回転を抑制する回転抑制手段として、第1の回転抵抗調整部195および第2の回転抵抗調整部200が設けられており、フィルムFの送りが停止された時にガイドローラ180が慣性により回転することを抑制することが可能である。
【0072】
以上本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【0073】
例えば、(1)フィルムの位置を検出する位置検出手段は、撮像装置に換えて光電センサ等を用いることも可能である。
【0074】
(2)本実施形態では、パス長補正手段としての第1調整装置と蛇行補正手段としての第2調整装置とを個別に設けているが、これらを共通の1つの調整装置で構成することも可能である。またガイドローラの変位方向として、上下方向以外の方向を採用することも可能である。
【0075】
(3)本発明のフィルム位置補正ユニットでは、ガイドローラの、フィルム搬送方向の前側および/または後側に、搬送ローラを備えていない構成とすることも可能である。
【0076】
(4)本発明のフィルム位置補正ユニットでは、第2実施形態で開示された荷重検出手段、第3実施形態で開示された第1の回転抵抗調整部および第2の回転抵抗調整部を適宜組み合わせて採用することも可能である。
【0077】
(5)本実施形態の製袋機は、シールと冷却とカットという3つの処理を順次行うものであったが、これら3つの処理を全て行う製袋機でなくても、本発明は適用可能である。例えば、カッタを備えず、シールと冷却とを行ったフィルムを個別の袋に切断せずに(すなわち袋の連続体として)そのまま巻き取り、他の機械により個別の袋に切断する製袋機や、逆に、シール装置や冷却装置を備えず、既にシールされたフィルムの切断のみ行う製袋機にも、本発明は適用可能である。また、製袋機を、パンチ(孔開け)装置を備えるものとしてもよく、冷却装置を備えないものとしてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1,1B,1C,1D フィルム位置補正ユニット
4 基台
8,8A,8B 撮像装置(位置検出手段)
10,140 コンピュータ(制御装置)
20,180 ガイドローラ
21,22 搬送ローラ
30 第1調整装置
33 第2調整装置
39 第3調整装置
50 ずれ量算出部
52,152 制御データ決定部
156 テンション算出部
70 製袋機
F フィルム
F1,F2 基材フィルム
100 シール台
101,102 シールバー
111,115 ロードセル(荷重検出手段)
195 第1の回転抵抗調整部
200 第2の回転抵抗調整部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12