(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】抗菌活性を備えた化合物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/137 20060101AFI20240311BHJP
A61K 31/18 20060101ALI20240311BHJP
A61K 31/235 20060101ALI20240311BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240311BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240311BHJP
C07C 215/50 20060101ALI20240311BHJP
C07C 255/07 20060101ALI20240311BHJP
C07C 255/50 20060101ALI20240311BHJP
C07C 311/16 20060101ALI20240311BHJP
C07D 257/04 20060101ALI20240311BHJP
A01N 33/06 20060101ALN20240311BHJP
A01N 33/18 20060101ALN20240311BHJP
A01N 37/02 20060101ALN20240311BHJP
A01N 37/10 20060101ALN20240311BHJP
A01N 41/06 20060101ALN20240311BHJP
A01P 3/00 20060101ALN20240311BHJP
A61K 31/06 20060101ALN20240311BHJP
A61K 31/085 20060101ALN20240311BHJP
A61K 31/12 20060101ALN20240311BHJP
A61K 31/167 20060101ALN20240311BHJP
A61K 31/275 20060101ALN20240311BHJP
A61K 31/343 20060101ALN20240311BHJP
A61K 31/40 20060101ALN20240311BHJP
A61K 31/415 20060101ALN20240311BHJP
A61K 31/4196 20060101ALN20240311BHJP
A61P 33/02 20060101ALN20240311BHJP
C07C 233/65 20060101ALN20240311BHJP
C07C 251/16 20060101ALN20240311BHJP
C07C 311/17 20060101ALN20240311BHJP
C07D 207/34 20060101ALN20240311BHJP
C07D 231/20 20060101ALN20240311BHJP
C07D 249/12 20060101ALN20240311BHJP
C07D 307/90 20060101ALN20240311BHJP
C12N 15/31 20060101ALN20240311BHJP
C07C 251/24 20060101ALN20240311BHJP
【FI】
A61K31/137
A61K31/18
A61K31/235
A61P31/04
A61P43/00 111
C07C215/50
C07C255/07
C07C255/50
C07C311/16
C07D257/04 E
A01N33/06
A01N33/18 B
A01N37/02
A01N37/10
A01N41/06
A01P3/00
A61K31/06
A61K31/085
A61K31/12
A61K31/167
A61K31/275
A61K31/343
A61K31/40
A61K31/415
A61K31/4196
A61P33/02
C07C233/65
C07C251/16
C07C311/17
C07D207/34
C07D231/20
C07D249/12
C07D307/90
C12N15/31 ZNA
C07C251/24
(21)【出願番号】P 2020529180
(86)(22)【出願日】2019-01-08
(86)【国際出願番号】 IB2019050137
(87)【国際公開番号】W WO2019138323
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-11-17
(32)【優先日】2018-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506329269
【氏名又は名称】ザ ホンコン ポリテクニック ユニバーシティ
(73)【特許権者】
【識別番号】504375477
【氏名又は名称】ザ チャイニーズ ユニバーシティー オブ ホンコン
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マ,コン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,シャオ
【審査官】鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-517547(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0079616(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第103787913(CN,A)
【文献】国際公開第2010/123591(WO,A2)
【文献】国際公開第2014/022923(WO,A1)
【文献】国際公開第2005/035121(WO,A2)
【文献】米国特許第02784138(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第02151445(EP,A1)
【文献】Biochemistry,2017年08月07日,Vol.56,p.5049-5052,(Supporting Information p.S1-S10を含む。)
【文献】Elixir Organic Chemistry,2012年,Vol.43,p.6960-6963
【文献】Asian Journal of Chemistry,2013年,Vol.25, No.1,p.59-62
【文献】Chinese Journal of Chemistry,2012年,Vol.30,p.970-978
【文献】European Journal of Medicinal Chemistry,2010年,Vol.45,p.4358-4364
【文献】Crystallography Reports,2016年,Vol.61, No.2,p.239-242
【文献】Dalton Transactions,2011年,Vol.40,p.421-430
【文献】Chemistry Letters,1999年,p.657-658
【文献】Russian Journal of General Chemistry,2008年,Vol.78, No.4,p.567-574
【文献】ChemMedChem,2011年,Vol.6,p.1775-1777
【文献】RN 1967412-90-3,2-[[(3-Ethynylphenyl)amino]methyl]-4-fluorophenol, [online],File REGISTRY(STN),2016年08月05日,[2022年10月14日検索]
【文献】RN 1536944-41-8,Phenol, 2-[[(3-methylphenyl)amino]methyl]-4-nitro-,[online],File REGISTRY(STN),2014年02月04日,[2022年10月14日検索]
【文献】RN 1534535-11-9,Benzonitrile, 4-[[(2-hydroxy-5-nitrophenyl)methyl]amino]-,[online],File REGISTRY(STN),2014年01月31日,[2022年10月14日検索]
【文献】RN 1517408-56-8,2-[[(2-Methylphenyl)amino]methyl]-4-nitrophenol,[online],File REGISTRY(STN),2014年01月12日,[2022年10月14日検索]
【文献】RN 1510764-47-2,Benzonitrile, 2-[[(2-hydroxy-5-nitrophenyl)methyl]amino]-,[online],File REGISTRY(STN),2014年01月03日,[2022年10月14日検索]
【文献】RN 1506930-29-5,3-[[(2-Hydroxy-5-nitrophenyl)methyl]amino]benzonitrile,[online],File REGISTRY(STN),2013年12月30日,[2022年10月14日検索]
【文献】RN 1504544-32-4,2-[[(4-Methylphenyl)amino]methyl]-4-nitrophenol,[online],File REGISTRY(STN),2013年12月26日,[2022年10月14日検索]
【文献】RN 1500350-60-6,2-[[(2-Hydroxyphenyl)amino]methyl]-4-nitrophenol,[online],File REGISTRY(STN),2013年12月22日,[2022年10月14日検索]
【文献】RN 1153919-43-7,2,4-Dichloro-6-[[[2-(1,1-dimethylethyl)phenyl]amino]methyl]phenol,[online],File REGISTRY(STN),2009年06月08日,[2022年10月14日検索]
【文献】RN 1094677-25-4,N-(3-Ethynylphenyl)-2-methoxy-5-nitrobenzenemethanamine,[online],File REGISTRY(STN),2009年01月21日,[2022年10月14日検索]
【文献】RN 1042549-05-2,2-[[(3-Ethynylphenyl)amino]methyl]-4-methoxyphenol,[online],File REGISTRY(STN),2008年08月21日,[2022年10月14日検索]
【文献】RN 1019517-38-4,2-[[(3-Ethynylphenyl)amino]methyl]phenol,[online],File REGISTRY(STN),2008年05月06日,[2022年10月14日検索]
【文献】RN 1019512-40-3,2,4-Dichloro-6-[[(3-ethynylphenyl)amino]methyl]phenol,[online],File REGISTRY(STN),2008年05月06日,[2022年10月14日検索]
【文献】RN 199991-31-6,2-[[(3-Hydroxyphenyl)amino]methyl]-4-nitrophenol,[online],File REGISTRY(STN),1998年01月20日,[2022年10月14日検索]
【文献】International Journal of ChemTech Research,2013年,Vol.5, No.1,p.293-298
【文献】ACS Omega,2017年07月25日,Vol.2,p.3839-3857
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体における細菌感染を処置または予防するための医薬組成物であって、
式6の化合物、その薬学的に許容可能な塩、または溶媒和物を含み、
【化1】
式中、R
1が、水素、アセチル、エチニル、カルボキシ、カルボキシメチル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メトキシカルボニル、アミノスルホニル、アミノカルボニル、シアノ、テトラゾリル、ジメチルアミノスルホニルアミノカルボニル、シアノメチル、アセチルアミノスルホニル、メトキシアミノカルボニル、メチルスルホニルアミノカルボニル、T-ブチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、フェニル、
およびトリフルオロメチル
、から成る群から選択され、
R
2が、アセチル
、エチニル、カルボキシ、カルボキシメチル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メトキシカルボニル、アミノスルホニル、アミノカルボニル、シアノ、テトラゾリル、ジメチルアミノスルホニルアミノカルボニル、シアノメチル、アセチルアミノスルホニル、メトキシアミノカルボニル、メチルスルホニルアミノカルボニル、T-ブチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、フェニル、
およびトリフルオロメチル
、から成る群から選択され、
R
3が、ニトロであり、
R
4が、水素、クロロ、ブロモ、フルオロ、シアノ、シアノメチル、カルボキシメチル、メトキシ、またはニトロであり、および
R
5が、ヒドロキシである、医薬組成物。
【請求項2】
前記式6の化合物であって、R
1が、T-ブチル、エチニル、フェニル、シアノメチル、シアノ、カルボキシメチル、メトキシ、フルオロ、クロロ、または、トリフルオロメチルである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記式6の化合物であって、R
4が、ニトロである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記式6の化合物が、以下
[化2-1]、[化2-2]、[化2-3]、[化2-4]に記載される化合物であって、
【化2-1】
【化2-2】
【化2-3】
【化2-4】
その薬学的に許容可能な塩、または溶媒和物から成る群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記式6の化合物が、
下記記載のMC4-84、
【化3】
および
MC4-123、
【化4】
であって、その薬学的に許容可能な塩、または溶媒和物から成る群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
被検体における細菌感染を処置または予防するための医薬組成物であって、
式7の化合物、その薬学的に許容可能な塩、または溶媒和物を含み、
【化5】
R
1が、水素、アセチル、エチニル、カルボキシ、カルボキシメチル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メトキシカルボニル、アミノスルホニル、アミノカルボニル、シアノ、テトラゾリル、ジメチルアミノスルホニルアミノカルボニル、シアノメチル、アセチルアミノスルホニル、メトキシアミノカルボニル、メチルスルホニルアミノカルボニル、T-ブチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、フェニル、
およびトリフルオロメチル
、から成る群から選択され、
R
2が、T-ブチル、エチニル、フェニル、シアノメチル、シアノ、カルボキシメチル、メトキシ、フルオロ、クロロ、または、トリフルオロメチルであり、ならびに
R
4が、水素、ブロモ、フルオロ、シアノ、シアノメチル、カルボキシメチル、メトキシ、またはニトロである、医薬組成物。
【請求項7】
前記細菌感染症が、黄色ブドウ球菌、肺炎連鎖球菌、エンテロコッカス・ファエカリス、または、アシネトバクター・バウマニの感染症である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記細菌感染症が、黄色ブドウ球菌感染症である、請求項6に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2018年1月9日に出願された米国仮出願62/615,418号の利益を主張する。先の出願の全内容および開示は参照によってこの出願に組み入れられる。
【0002】
本出願の全体にわたって、様々な刊行物が引用される。これらの刊行物の全体における開示は、本発明が関係する最先端技術をより十分に記載するために本出願への引用によって本明細書に組み込まれる。
【0003】
この発明は抗菌活性を有する化合物に関する。
【背景技術】
【0004】
グラム陽性の病原体メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)によって引き起こされた感染は、最も深刻な公衆衛生の懸念の1つになった1。MRSAを抑制するのに利用可能な薬学的対抗手段は、バンコマイシン、ダプトマイシン及びリネゾリドに限られるため2、それらに対する抵抗性が既に増している3。従って、MRSAに関連する感染症と戦うための強力且つ特異的な活性を備えた新しい抗菌剤を開発するために、新しい抗生物質の標的を検証する緊急の必要性がある。
【0005】
細菌細胞では、rRNAは、RNA全体の最大80%を含み、及び、rRNAの転写は、タンパク質合成に対する需要を満たすために、細菌増殖速度に正の相関を持つと示されてきた4。rRNA合成は生細胞にとって最も基礎的な必要条件の1つであるが、この過程において顕著な不一致がある。真核細胞では、リボソームの遺伝子は、異なるタイプのRNAポリメラーゼ、すなわち、RNAポリメラーゼI、IIおよび、III5によって転写される。他方、細菌においては、1つだけRNAポリメラーゼがあり、これは、いわゆる「rRNA抗終結複合体」の形成のための多くの伸長因子に関係しており、rRNA遺伝子の効率的な転写を保証する6。
【0006】
NusBおよびNusE(30Sリボソームサブユニットのリボソームタンパク質S10としても知られている)は、rRNA抗終結複合体の形成に関わる、高度に保存された必須の小さな転写因子である7。NusBとNusEの間のタンパク質-タンパク質相互作用は、rRNA転写抗終結複合体の集合における最初の調節工程をあらわす8。一旦、NusB-NusEヘテロダイマーが形成されると、それはboxAと呼ばれるrRNAリーダー配列の領域と相互作用する9。NusB-NusE-boxA複合体のRNAポリメラーゼへの結合の後、他の因子(例えばNusA、NusGなど)が動員され、その中でNusGだけには真核生物ホモログがある10。
【0007】
NusBおよびNusEが細菌細胞の生存にとって不可欠であるため11、本発明は、rRNA合成および細菌細胞増殖の速度を低下させるために、NusB-NusEヘテロダイマー形成の阻害のための化合物を供給する。
【発明の概要】
【0008】
本発明は抗菌活性を備えた化合物を供給する。一実施形態において、本発明は、式1の化合物または薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、またはその溶媒和物を提供し:
【0009】
【化1】
式中:
(1) X
1は、-N=CH-、-CH=N-、-CH=CH-、-NHCH
2-、-CH
2NH、-CH
2CH
2-、-CH
2O-、-O-CH
2、-CH
2-S-、-S-CH
2-、-S(=O)-CH
2-、-S(=O)-NH-、-CH
2-S(=O)-、-NH-S(=O)-、-S(=O)
2-CH
2-、-S(=O)
2-NH、-CH
2-S(=O)
2-、-NH-S(=O)
2-、-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、および、-C(=O)-、から成る群から選択され;および、
(2) R
1-R
5の各々は、水素、ヒドロキシ、ニトロ、アセチル、メチル、エチニル、カルボキシ、カルボキシメチル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メトキシカルボニル、アミノスルホニル、アミノカルボニル、シアノ、テトラゾリル、ジメチルアミノスルホニルアミノカルボニル(dimethylaminosulfonylaminocarbonyl)、シアノメチル、アセチルアミノスルホニル、メトキシアミノカルボニル、メチルスルホニルアミノカルボニル、t-ブチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、フェニル、トリフルオロメチル、および、ベンゾから成る群から独立して選択される。
【0010】
一実施形態において、この発明は、式2の化合物または薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、またはその溶媒和物を提供し:
【0011】
【化2】
式中:
(1) X
1は、-N=CH-、-CH=N-、-CH=CH-、-NH-CH
2-、-CH
2-NH-、-CH
2-CH
2-、-CH
2-O-、-O-CH
2-、-CH
2-S-、-S-CH
2-、-S(=O)-CH
2-、-S(=O)-NH-、-CH
2-S(=O)-、-NH-S(=O)-、-S(=O)
2-CH
2-、-S(=O)
2-NH-、-CH
2-S(=O)
2-、-NH-S(=O)
2-、-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、および、-C(=O)-、から成る群から選択され;および、
(2) R
1-R
5の各々は、水素、ヒドロキシ、ニトロ、アセチル、メチル、エチニル、カルボキシ、カルボキシメチル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メトキシカルボニル、アミノスルホニル、アミノカルボニル、シアノ、テトラゾリル、ジメチルアミノスルホニルアミノカルボニル、シアノメチル、アセチルアミノスルホニル、メトキシアミノカルボニル、メチルスルホニルアミノカルボニル、t-ブチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、フェニル、トリフルオロメチル、および、ベンゾから成る群から独立して選択される。
【0012】
一実施形態において、本発明は、式3の化合物または薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、またはその溶媒和物を提供し、
【0013】
【化3】
式中:
(1) X
1またはYは、-NH-、-CH
2-、-O-、および、-S-、から成る群から選択され;および、
(2) R
1 - R
5の各々は、また、水素、ヒドロキシ、ニトロ、アセチル、メチル、エチニル、カルボキシ、カルボキシメチル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メトキシカルボニル、アミノスルホニル、アミノカルボニル、シアノ、テトラゾリル、ジメチルアミノスルホニルアミノカルボニル、シアノメチル、アセチルアミノスルホニル、メトキシアミノカルボニル、メチルスルホニルアミノカルボニル、t-ブチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、フェニル、トリフルオロメチル、および、ベンゾから成る群から独立して選択される。
【0014】
一実施形態において、本発明は、哺乳動物、魚類または鳥類における細菌感染または原虫感染の処置のために医薬組成物を提供し、該医学組成物は薬学的に許容可能な担体を備えた、治療上有効な量の式1、式2または式3の化合物を含む。
【0015】
一実施形態において、本発明は、哺乳動物、魚類または鳥類における細菌感染または原虫感染を処置する方法を提供し、該方法は前記哺乳動物、魚類または鳥類に治療上有効な量の式1、式2または式3の化合物を投与する工程を含む。
【0016】
一実施形態において、本発明は、式1、式2、または式3の化合物を調製する方法を提供する。
【0017】
定義および略語
以下の用語は、本発明を説明するために使用される。本明細書に述べられる具体的な定義がない限り、本発明を説明することに使用される用語は、当業者によって理解されるようなそれらの共通の意味を与えられる。
【0018】
本明細書で使用されるように、他に示されない限り、用語「処置すること」は、前記用語が適用される障害又は疾病、或いは、そのような障害又は疾病の1つ以上の症状を逆転し、軽減し、それらの進行を阻害し、或いは予防することを意味する。本明細書で使用されるように、用語「処置」は、「処置すること」が直前に定義されるような、処置の作用を指す。
【0019】
本明細書において使用される際は、他に指示がない限り、「細菌感染」、「原虫感染」、および「細菌感染または原虫感染に関連する障害」という用語または句は、以下を含む:肺炎連鎖球菌、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、モラクセラ・カタラーリス、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、エンテロコッカス・フェカーリス、E.フェシウム(E. faecium)、E.カセリフラブス(E. casselflavus)、表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)、S.ヘモリチカス(S.haemolyticus)、またはペプトストレプトコッカス属菌による感染に関連する肺炎、中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎、扁桃腺炎、および、乳様突起炎;化膿連鎖球菌、C群およびG群の連鎖球菌、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)、またはアクチノバチルス・ヘモリティクム(Actinobacillus haemolyticum)による感染に関連する咽頭炎、リウマチ熱、および糸球体腎炎;マイコプラズマ肺炎、レジオネラニューモフィラ菌、肺炎連鎖球菌、インフルエンザ菌、またはクラミジア・ニューモニエによる感染に関連する呼吸器感染症;ベータ・ラクタム、バンコマイシン、アミノグリコシド、キノロン、クロラムフェニコール、テトラサイクリンおよびマクロライドなどの、しかしこれらに限定されない既知の抗菌性物質に耐性のある菌種を含む、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、E.フェカーリス(E.faecalis)、E.フェシウム、E.デュランス(e.durans)によって引き起こされる、心内膜炎と骨髄炎を含む血液と組織の感染症;黄色ブドウ球菌、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(つまり、S.epidermidis、S.hemolyticus、など)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、C群-F群の連鎖球菌(minute-colony streptococci)、緑色連鎖球菌( viridans streptococci)、コリネバクテリウム-ミヌティシムーム(Corynebacterium minutissimum)、クロストリジウム属菌、またはバルトネラ・ヘンゼレ( Bartonella henselae)による感染に関連する、無併発性の皮膚と軟組織の感染症および膿瘍、および産褥熱;黄色ブドウ球菌、コアグラーゼ陰性のブドウ球菌属菌、またはエンテロコッカス属菌による感染に関連する、無併発性の急性の尿路感染症;尿道炎および子宮頚管炎;クラミジア・トラコマーティス(Chlamydia trachomatis)、軟性下疳菌、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)、または、淋菌(Neisserria gonorrheae)による感染に関連する性感染症;黄色ブドウ球菌(食中毒および毒素性ショック症候群)、または、A群、B群、およびC群の連鎖球菌による感染に関連する中毒性疾患;ヘリコバクターピロリによる感染に関連する潰瘍;回帰熱ボレリアによる感染に関連する全身性の発熱症候群;ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)による感染に関連するライム病;クラミジア・トラコマーティス、淋菌、黄色ブドウ球菌、肺炎レンサ球菌、化膿連鎖球菌(S.pyogenes)、インフルエンザ菌、またはリステリア属菌による感染に関連する、結膜炎、角膜炎、および涙嚢炎;鳥型結核菌(Mycobacterium avium)またはマイコバクテリウム・イントラセルラーレ(Mycobacterium intracellulare)による感染に関連する播種性の鳥型結核菌複合体(MAC)疾患;ヒト型結核菌、癩菌、M.パラ結核症、M.カンサシ(M.kansasii)またはM.ケロナエ(M.chelonei)によって引き起こされた感染症;キャンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)による感染と関連する胃腸炎;クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)属菌による感染に関連する腸内原生動物性疾患;緑色連鎖球菌による感染に関連する歯の感染症;百日咳菌による感染と関連する執拗な咳;ウェルシュ菌またはバクテロイド属菌による感染に関連するガス壊疽;および、はヘリコバクターピロリまたはクラミジア・ニューモニエによる感染に関連する状動脈硬化症または心疾患。細菌感染および原虫感染、およびそのような感染に関連する障害は、動物において処置または予防され得るものであり、下記を含む:パスツレラ・ヘモリチカ(P.haemolytica)、パスツレラ・ムルトシダ(P.multocida)、マイコプラズマ・ボビス(Mycoplasma bovis)あるいはボルデテラ属菌による感染に関連するウシの呼吸器疾患;大腸菌あるいは原生動物(つまりコクシジウム、cryptosporidia、etc.)による感染に関連するウシの腸管疾患;黄色ブドウ球菌、連鎖球菌(Strep. uberis)、ストレプトコッカス・アガラクティエ、ストレプトコッカス-ディスガラクティエ、クレブシェラ属菌、コリネ細菌またはエンテロコッカス属菌による感染に関連する乳牛の乳腺炎。アクチノバチルス・プルロ(A.pleuro)、パスツレラ・ムルトシダ、あるいはマイコプラズマ属菌による感染に関連するブタ呼吸器疾患。;大腸菌、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)、サルモネラ菌またはセルプリナ・ハイオディセンテリア(Serpulina hyodysinteriae)による感染に関連するブタの腸疾患;フソバクテリウム属菌による感染に関連するウシの腐蹄症;大腸菌による感染に関連するウシの子宮炎;壊死杆菌(Fusobacterium necrophorum)またはバクテロイデス・ノドサス(Bacteroides nodosus)による感染に関連するウシの趾皮膚炎(cow hairy warts);ウシモラクセラ(Moraxella bovis)による感染に関連するウシの感染性角結膜炎;原生動物(つまりneosporium)による感染性病源体に関連するウシの早流産;大腸菌による感染に関連するイヌおよびネコにおける尿路感染症;表皮ブドウ球菌、S. intermedius、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(coagulase neg. Staphylococcus)またはパスツレラ・ムルトシダによる感染に関連するイヌおよびネコにおける皮膚軟組織感染症;および、アルカリゲネス属菌、バクテロイデス属菌、クロストリジウム属菌、エンテロバクター属菌、ユーバクテリウム、ペプトストレプトコッカス、ポルフィロモナス(Porphyromonas)あるいはプレボテラ(Prevotella)による感染に関連するイヌおよびネコにおける歯或いは口腔の感染症。本発明の方法と調和して処置或いは予防され得る他の細菌感染および原虫感染、そしてそのような感染に関連する障害は、J.P.Sanford et al., “The Sanford Guide To Antimicrobial Therapy、“ 26 th Edition, (Antimicrobial Therapy、 Inc., 1996)において参照される。
【0020】
用語「ハロ(halo)」は、本明細書に使用される際は、他に指示がない限り、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを含む。好ましいハロ基はフルオロ、クロロ、および、ブロモである。
【0021】
用語「アルキル」は、本明細書において使用される際、他に指示がない限り、環式、直鎖および/または分岐部分を有する飽和した1価の炭化水素基を含む。アルキル基が、環式部分を含むために、少なくとも3つの炭素原子を含まなければならないことは、理解されるべきである。
【0022】
用語「アルケニル」は、本明細書において使用される際、他に指示がない限り、アルキル鎖中のある点において少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する、上に定義されるようなアルキル基を含む。
【0023】
用語「アルキニル」は、本明細書において使用される際、他に指示がない限り、アルキル鎖の中のある点において少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する、上に定義されるようなアルキル基を含む。
【0024】
用語「アリール」は、本明細書において使用される際、他に指示がない限り、フェニルまたはナフチルなどの、1つの水素を除去することにより芳香族炭化水素から誘導した有機ラジカルを含む。
【0025】
用語「4員から10員の複素環式」は、本明細書において使用される際、他に指示がない限り、O、S、およびNから各々選択された1つ以上の異種原子を含んでいる芳香族および非芳香族複素環基を含み、そこにおいて複素環基はそれぞれその環構造において4から10の原子を持っている。非芳香族複素環基は、その環系内に4個の原子しか備えていない基を含むが、芳香族複素環基は、その環系内に少なくとも5個の原子を備えなければならない。複素環基はベンゾ縮合環系、および1つ以上のオキソ部分と置換された環構造を含む。4員複素環基の例は、アゼチジニル(アゼチジンに由来)である。5員複素環基の例は、チアゾリルであり、10員複素環基の例は、キノリニルである。非芳香族複素環基の例は、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオクサニル、ピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアセピニル、1、2、3、6-テトラヒドロピリジニル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、インドリニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ジオキサニル、1、3-ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3-アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、3H-インドリル、及びキノリジニルである。芳香族複素環基の例としては、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、及びフロピリジニルである。上記の化合物に由来するような前述の基は、可能な場合に、C付加又はN付加であり得る。例えば、ピロールに由来する基は、ピロール-1-イル(N付加)又はピロール-3-イル(C付加)であり得る。
【0026】
本明細書において使用される際、他に指示がない限り、句「薬学的に許容可能な塩」は、式1、式2または式3の化合物に存在しうる、酸性基か塩基性基の塩を含む。本来塩基性である式1、式2または式3の化合物は、様々な無機酸および有機酸により様々な塩を形成することができる。式1、式2または式3のそのような塩基性化合物の薬学的に許容可能な酸付加塩を調製するために使用され得る酸は、無毒な酸付加塩、即ち、酢酸塩、ベンゼンスルホナート(benzenesulfonate)、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、ブロミド、エデト酸カルシウム、カンシル酸(camsylate)塩、炭酸塩、塩酸塩、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸(edislyate)塩、エストレート(estolate)塩、エシレート、こはく酸ジエチル(ethylsuccinate)、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート(glycollylarsanilate)、ヘキシルレゾルシン酸塩(hexylresorcinate)、ヒドラバミン、ヒドロブロミド、塩酸塩、ヨウ化物、イソチオネート(isothionate)、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩(mandelate)、メシル酸塩、硫酸メチル、ムケート(mucate)、ナプシレート(napsylate)、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボネート(embonate))、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロ酸塩(polygalacturonate)、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシレート、トリエチオドード(triethiodode)、および吉草酸塩の塩などの、薬理学的に許容可能なアニオンを含有している塩を形成する酸である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2A】MC4がドッキングされたファーマコフォア(Pharmacophore)モデル。
【
図2B】(E)-2-{[(3-エチニルフェニル)イミノ]メチル}-4-ニトロフェノール(MC4)の化学構造。
【
図3】選択された病原性菌に対するMC4の抗菌活性。略語:MIC、最小阻止濃度;MBC、最小殺菌濃度;ND、測定されず。
【
図4】黄色ブドウ球菌25923細胞におけるDNA、rRNA(16S + 23S)およびタンパク質産生に対する、4分の1最小阻止濃度(MIC)のMC4、リファンピシン(Rif)およびオキサシリン(Oxa)の効果。
【
図5】NusBおよびNusEの部分配列アラインメント。Aaeo:アクイフェックス・アエロリカス(Aquifex aeolicus);Bsub:枯草菌;Ecol:大腸菌(Escherichia coli);Hinf:インフルエンザ菌;Hpyl:ヘリコバクターピロリ;Paer:緑膿菌;Mtub:ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis);Saur:黄色ブドウ球菌;Spne:肺炎連鎖球菌;矢印は、NusBーE相互作用に関与している残基を示す。
【
図6】インシリコスクリーニングから最終選考に残った7つの化合物。MC1,N-{4-[2-(2-ニトロベンゾイル)カルボヒドラゾノイル]フェニル}アセトアミド(CAS no. 679423-05-3);MC2,3-({4-[(1、5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2、3-ジヒドロ-1H-ピラゾル-4-イル)スルファモイル]フェニル}カルバモイル)プロパン酸(CAS no. 253605-53-7);MC3,3-[3-(3-ヒドロキシ-4H-ピラゾル-4-イル)プロピル]-1-(4-メトキシフェニル)チオ尿素(CAS no. 656222-98-9);MC4,(E)-2-[[(3-エチニルフェニル)イミノ]メチル]-4-ニトロフェノール(CAS no. 219140-31-5);MC5,(E)-{アミノ[3-({[4-メチル-5-(トリフルオロメチル)-4H-1、2、4-triazol-3-イル]スルファニル}メチル)フェニル]メチリデン}アミノ N-(4-クロロフェニル)カルバマート (CAS no. 882256-39-5));MC6,N-(4-{[2-(2、4-ジクロロフェノキシ)フェニル]スルファモイル}フェニル)-3、4-ジメトキシベンゼン-1-スルホンアミド(CAS no. 312324-35-9);MC7,メチル4-[(1E)-[(E)-2-{[4-(メトキシカルボニル)-2、5-ジメチル-1H-ピロール-3-イル]メチリデン}ヒドラジン-1-イリデン]メチル]-2、5-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキシラート(CAS no. 883037-11-4))。
【
図7】MC4の10のアナログ。MC4-1,2-ニトロ-6-[(E)-(フェニルイミノ)メチル]フェノール(CAS no. 243981-87-5);MC4-2,2-{[(1E)-(2-ヒドロキシ-3-ニトロフェニル)メチレン]アミノ}-4-メチルフェノール(CAS no. 321726-90-3);MC4-3,1-(3-{[(1E)-(2-ヒドロキシ-5-ニトロフェニル)メチレン]アミノ}フェニル)エタノン(CAS no. 316133-49-0);MC4-4,4-ニトロ-2-[(フェニルイミノ)メチル]フェノール(CAS no. 15667-99-9);MC4-5,2-{(E)-[(3-メチルフェニル)イミノ]メチル}-4-ニトロフェノール(CAS no. 303058-73-3);MC4-6,2-{(E)-[(4-ヒドロキシフェニル)イミノ]メチル}-4-ニトロフェノール(CAS no. 1081780-22-4);MC4-7,2-{(E)-[(4-クロロフェニル)イミノ]メチル}-4-ニトロフェノール(CAS no. 303215-49-8);MC4-8、 2-{(E)-[(3-ヒドロキシフェニル)イミノ]メチル}-4-ニトロフェノール(CAS no. 303215-19-2)。
【
図8A】MC4および枯草菌NusB野性型タンパク質(
図8A)および変異体Y18A、D76A、D81A(それぞれ
図8B-8D)、を使用する等温滴定熱量測定分析のグラフであり、N = 0.988±0.076、Kd = 1.45±0.55μM、ΔH = -7141±939.8cal/mol、およびΔS = -1.81cal/mol/degである。
【
図8B】MC4および枯草菌NusB野性型タンパク質(
図8A)および変異体Y18A、D76A、D81A(それぞれ
図8B-8D)、を使用する等温滴定熱量測定分析のグラフであり、N = 0.988±0.076、Kd = 1.45±0.55μM、ΔH = -7141±939.8cal/mol、およびΔS = -1.81cal/mol/degである。
【
図8C】MC4および枯草菌NusB野性型タンパク質(
図8A)および変異体Y18A、D76A、D81A(それぞれ
図8B-8D)、を使用する等温滴定熱量測定分析のグラフであり、N = 0.988±0.076、Kd = 1.45±0.55μM、ΔH = -7141±939.8cal/mol、およびΔS = -1.81cal/mol/degである。
【
図8D】MC4および枯草菌NusB野性型タンパク質(
図8A)および変異体Y18A、D76A、D81A(それぞれ
図8B-8D)、を使用する等温滴定熱量測定分析のグラフであり、N = 0.988±0.076、Kd = 1.45±0.55μM、ΔH = -7141±939.8cal/mol、およびΔS = -1.81cal/mol/degである。
【
図9-1】様々な微生物上のMC4アナログの最小阻止濃度を示す。
【
図9-2】様々な微生物上のMC4アナログの最小阻止濃度を示す。
【
図9-3】様々な微生物上のMC4アナログの最小阻止濃度を示す。
【
図9-4】様々な微生物上のMC4アナログの最小阻止濃度を示す。
【
図9-5】様々な微生物上のMC4アナログの最小阻止濃度を示す。
【
図9-6】様々な微生物上のMC4アナログの最小阻止濃度を示す。
【
図9-7】様々な微生物上のMC4アナログの最小阻止濃度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
特定の実施形態に係る以下の説明は、本質において単に典型的であり、且つ、本発明の範囲、その適用、または用途を制限する意図は全くない。
【0029】
本発明は、抗菌活性を有する、式1、式2または式3の化合物に関する。一実施形態において、本来酸性である、式1、式2または式3の化合物は、様々な薬理学的に許容可能なカチオンを備えた塩基性塩を形成することができる。そのような塩の例はアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、具体的にはナトリウムおよびカリウム塩を含む。
【0030】
一実施形態において、式1、式2または式3の特定の化合物は不斉中心を持ち、従って、異なるエナンチオマー型で存在し得る。本発明は、式1、式2または式3の化合物およびそれらの混合物のすべての光学異性体および立体異性体の使用に関する。特に、本発明は、化合物のEとZの両方の異性体を含む。
【0031】
一実施形態において、本発明は、式1、式2または式3の化合物の互変異性体を含む。
【0032】
一実施形態において、本発明は、さらに、アイソトープ標識化合物、及びそれらの薬学的に許容可能な塩を含み、それらは式1、式2または式3の中に記されたものと同一であるが、但し実際は、1つ以上の原子が、自然界で通常見つかる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を持っている原子と置き替えられる。本発明の化合物に組み込まれ得る同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッソ、及び塩素の同位体であり、それぞれ2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、及び36Clなどである。前記同位体及び/又は他の原子の他の同位体を含む、本発明の化合物、そのプロドラッグ、及びそれらの薬学的に許容可能な塩は、本発明の範囲内である。本発明の特定の同位体的に標識された化合物、例えば、3H及び14Cなどの放射性同位体が組み込まれるものは、薬物及び/又は基質組織分布アッセイにおいて役立つ。トリチウム化した、即ち、3H、及び炭素14、即ち14Cの同位体は、調製の容易さ及び検出能のために特に好ましい。更に、重水素、即ち2Hなどの、より重い同位体での置換は、より大きな代謝安定性から結果として生じる特定の治療上の利点、例えば、インビボの半減期の増加又は必要用量の減少をもたらすことができ、従って、幾つかの状況に好ましい場合がある。本発明の式1、式2、または式3の同位体的に標識された化合物およびそのプロドラッグは、一般に、容易に入手可能な同位体的に標識された試薬を、非同位体的に標識された試薬に置換することによって、下記の模式図及び/又は実施例及び調製に開示される手順を実行することによって調製され得る。
【0033】
一実施形態において、この発明は、式1、式2または式3の化合物のプロドラッグを含む医薬組成物、および前記プロドラッグの投薬を介して細菌性感染症を処置する方法もまた包含する。遊離アミノ、アミド、ヒドロキシ、または、カルボキシル基を有する式1、式2または式3の化合物は、プロドラッグへと変換され得る。プロドラッグは、アミノ酸残基、または、2以上(例えば、2、3または4)のアミノ酸残基のポリペプチド鎖が、アミドまたはエステル結合を介して、式1、式2または式3の化合物の遊離アミノ、ヒドロキシ又はカルボン酸基に共有結合される化合物を含む。アミノ酸残基は、限定されないが、一般に3文字の記号で指定される20の天然に存在するアミノ酸を含み、さらに、4-ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、デモシン(demosine)、イソデモシン(isodemosine)、3-メチルヒスチジン、ノルバリン(norvalin)、β-アラニン、ガンマアミノ酪酸、シトルリン、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチン、および、メチオニンスルホンを含んでいる。追加のタイプのプロドラッグも包含される。例えば、遊離カルボキシル基は、アミドまたはアルキルエステルとして誘導体化され得る。Advanced Drug Delivery Reviews、 1996、 19、 115において概説されるように、遊離したヒドロキシ基は、ヘミスクシナート(hemisuccinates)、リン酸エステル、ジメチルアミノアセテート(dimethylaminoacetates)およびホスホリルオキシメチルオキシカルボニル(phosphoryloxymethyloxycarbonyls)を含むが、これらに限定されない基を使用して誘導体化され得る。炭酸塩プロドラッグ、硫酸エステル、およびヒドロキシ基の硫酸エステルと同様に、ヒドロキシ基とアミノ基のカルバマート・プロドラッグも含まれる。(アシルオキシ)メチルと(アシルオキシ)エチルエーテルとしてのヒドロキシ基の誘導体化もまた包含され、ここでアシル基がアミンおよびカルボン酸官能基を含むが、それらに限定されない基と任意に置換される、エーテル、又は、アシル基が上に記載されるようなアミノ酸エステルであり、アルキルエステルであり得る。このタイプのプロドラッグはJ.Med Chem. 1996、 39、 10.の中に記載されている。遊離したアミンもアミド、スルホンアミド、またはホスホンアミドとして誘導体化され得る。これらのプロドラッグ部分はすべて、限定されないが、エーテル、アミンおよびカルボン酸官能基を含む基を取り込む。
【0034】
一実施形態において、本発明の化合物は不斉炭素原子を有し得る。ジアステレオマー混合物は、当業者に既知の方法、例えば、クロマトグラフィーまたは分別再結晶によって、その物理化学的な違いに基づいてその個々のジアステレオマーへと分離可能である。エナンチオマーは、適切な光学活性化合物(例えばアルコール)との反応によってエナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物に転化させることにより、ジアステレオマーを分離することにより、および、個々のジアステレオマーを対応する純粋なエナンチオマーに転化(例えば加水分解)させることにより、分離可能である。ジアステレオマー混合物および、純粋なエナンチオマーを含むそのような異性体はすべて、本発明の一部と見なされる。
【0035】
本来塩基性である、式1、式2または式3のあらゆる化合物は、様々な無機酸および有機酸を伴う幅広く多様な塩類を形成することができる。
【0036】
本来酸性である、式1、式2または式3のあらゆる化合物は、様々な薬学的に許容可能なカチオンを伴って塩基塩類を形成することができる。そのような塩類の例は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、および特にナトリウム塩およびカリウム塩を含む。これらの塩類は従来の技術によって調製され得る。本発明の、薬学的に許容可能な塩基塩類を調製するために試薬として使用される化学的塩基は、式1、式2または式3のあらゆる酸性化合物を伴って、無毒な塩基塩類を形成するものである。そのような無毒な塩基塩類は、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムなどの薬学的に許容可能なカチオンから誘導したものを含む。これらの塩類は、対応する酸性化合物を望ましい薬学的に許容可能なカチオンを含有する水溶液で処置し、および次に、結果として生じる溶液を好適な減圧下で乾燥するまで蒸発させることより調製することができる。あるいは、それらも、酸性化合物のアルカノール溶液と望ましいアルコキシドを共に混合し、および次に、結果として生じる溶液を好適な減圧下で乾燥するまで蒸発させることにより調製され得る。いずれの場合も、試薬の化学量論的量が、反応の完全性および最終生成物の最大収率を確実なものにするために使用される。
【0037】
一実施形態において、細菌感染および原生動物感染の処置または予防において、式1、式2または式3の化合物およびそれらの薬学的に許容可能な塩類と溶媒和物(以下、「活性化合物」)は、経口で、非経口で、局所的または直腸経由で投与され得る。いずれにしろ、処置されている哺乳動物、魚類または鳥類の種、および、上述の薬物に対する個体の反応、さらには、選択された医薬製剤のタイプ及びそうした投与の期間や間隔に依存して、変化は起こり得る。
【0038】
一実施形態において、活性化合物は、単独で、または、薬学的に許容可能な担体または希釈剤と組み合わせて、先に示された経路によって投与される場合があり、および、そうした投与は一回量か複数回量において実施され得る。より詳しくは、該活性化合物は、広く多様な形態で投与され得るのであり、つまり、それらは、錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチ、ハードキャンディー、粉末、噴霧剤、クリーム、軟膏、坐剤、ゼリー、ゲル、ペースト、ローション、膏薬、水性懸濁液、注射溶液、エリキシル剤、シロップ剤などの形態をとる、薬学的に許容可能な不活性の担体と混合される。そのような担体は、固体の希釈剤または充填剤、無菌の水性溶媒および様々な無毒の有機溶媒などを含む。さらに、経口医薬組成物は適切に甘味及び/又は香味を持たせることができる。一般に、活性化合物は、約5.0重量%から約70重量%に及ぶ濃度レベルのそのような剤形の中に存在する。
【0039】
一実施形態において、経口投与のために、微結晶性セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムおよびグリシンなどの様々な賦形剤を含んでいる錠剤が、デンプン(および好ましくはトウモロコシ、じゃがいもまたはタピオカデンプン)、アルギン酸および特定の複雑なケイ酸塩などの様々な崩壊剤を伴って、ポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチンおよびアラビアゴムなどの顆粒結合剤と共に使用され得る。加えて、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクなどの平滑剤は、成形の目的にしばしば非常に有用である。同様のタイプの固形組成物がゼラチン・カプセル剤における充填剤として使用されてもよい;この関係における好ましい材料には、ラクトースまたは乳糖も、高分子量ポリエチレングリコールと同様に含まれる。水性懸濁液および/またはエリキシル剤が経口投与に所望されるとき、活性化合物は様々な甘味剤または香味剤、着色料または色素と混合され、および所望されるならば、乳化剤および/または懸濁化剤も、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、またはそれらの組み合わせなどの希釈剤と共に使用されてもよい。
【0040】
一実施形態において、非経口投与のために、ゴマ油かピーナッツ油のいずれか、または水性のプロピレングリコールに入った活性化合物の溶液が使用され得る。必要に応じて、および最初に希釈剤が等張で与えられた場合、水溶液は適切に(好ましくは8を超えるpHに)バッファーされなければならない。これらの水溶液は静脈内注射の目的に適している。油性溶液は関節内、筋肉内、および皮下への注射の目的に適している。無菌条件下における、これらのすべての溶液の調製は、当業者に知られている標準の製薬技術によって容易に遂行される。
【0041】
他の実施形態において、本発明の活性化合物を局所的に投与することもまた可能であり、これは標準の製薬技術によるとクリーム、ゲル、ペースト、膏薬などによってなされ得る。
【0042】
一実施形態において、活性化合物は、ウシまたは家庭動物などの人間以外の動物への投与のために、動物の飼料に入れて、または水薬組成物として経口で投与され得る。
【0043】
一実施形態において、活性化合物は、小型単層小胞、大型単層小胞、および多層小胞などのリポソーム送達システムのかたちでも投与され得る。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンなどの様々なリン脂質から形成することができる。
【0044】
一実施形態において、活性化合物も目標が定められる薬物担体として可溶性ポリマーと結合され得る。そのようなポリマーは、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェニル、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミド-フェノール、またはパルミトイル残基(palmitoylresidues)で置換されたポリエチレンオキシドポリリンを含むことができる。更に、活性化合物は、薬剤の制御放出を達成することにおいて有用なある種の生分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマー、ポリエプシロンカプロラクトン(polyepsilon caprolactone)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル(polyorthoesters)、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン(polydihydropyrans)、ポリシアノアクリレート(polycyanoacrylates)、およびヒドロゲルの、架橋性または両親媒性のブロックコポリマー に結合され得る。
【0045】
一実施形態では、本発明は、式1の化合物、その薬学的に許容可能な塩、または溶媒和物を提供し、
【0046】
【化4】
式中:
(1) X
1は、-N=CH-、-CH=N-、-CH=CH-、-NH-CH
2-、-CH
2-NH-、-CH
2-CH
2-、-CH
2-O-、-O-CH
2-、-CH
2-S-、-S-CH
2-、-S(=O)-CH
2-、-S(=O)-NH-、-CH
2-S(=O)-、-NH-S(=O)-、-CH
2-S(=O)-、-NH-S(=O)-、-S(=O)
2-CH
2-、-S(=O)
2-NH-、-CH
2-S(=O)
2-、-NH-S(=O)
2-、-C(=O)-NH-、および、-C(=O)-から成る群から選択され;および、
(2) R
1-R
5の各々は、水素、ヒドロキシ、ニトロ、アセチル、メチル、エチニル、カルボキシ、カルボキシメチル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メトキシカルボニル、アミノスルホニル、アミノカルボニル、シアノ、テトラゾリル、ジメチルアミノスルホニルアミノカルボニル、シアノメチル、アセチルアミノスルホニル、メトキシアミノカルボニル、メチルスルホニルアミノカルボニル、t-ブチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、フェニル、トリフルオロメチル、および、ベンゾから成る群から独立して選択される。
【0047】
一実施形態において、本発明は、限定されないが、以下を含む化合物を提供する:
【0048】
【0049】
一実施形態では、本発明は、次のものを含み、これらに限定されない化合物を提供する:
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
一実施形態において、本発明は、細菌性か原虫性の感染症の処置または予防のための、化合物を含む、医薬組成物を供給する。
【0058】
一実施形態において、組成物は、錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチ、ハードキャンディー、粉末、分無罪、クリーム、軟膏、坐剤、ゼリー、ゲル、ペースト、ローション、膏薬、水性懸濁液、注射溶液、エリキシル剤、シロップ剤などの形態をとる。
【0059】
一実施形態において、医薬組成物は、化合物の5重量%から70重量%を含む。
【0060】
一実施形態において、細菌感染症または原虫感染症は、エンテロコッカス・フェカーリス、黄色ブドウ球菌、肺炎杆菌、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)、緑膿菌、汚物腸内菌、大腸菌および肺炎連鎖球菌から成る群から選択される微生物によって引き起こされる。
【0061】
一実施形態において、本発明は、化合物を上記微生物と接触させる工程を含む、微生物におけるNusB-NusEの相互作用を阻害する方法を提供する。
【0062】
一実施形態において、NusBは、NusB E81、NusB Y18およびNusB E75から選択され、および、NusEはNusE H15、NusE D19およびNusE R16から選択される。
【0063】
一実施形態において、微生物は、エンテロコッカス・フェカーリス、黄色ブドウ球菌、肺炎杆菌、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)、緑膿菌、汚物腸内菌、大腸菌および肺炎連鎖球菌から成る群から選択される。
【0064】
一実施形態において、本発明は、被検体における細菌感染症または原虫感染症を処置または予防する方法を提供し、該方法は、上記被検体に治療上有効な量の化合物を投与する工程を含む。
【0065】
一実施形態において、化合物は経口か、非経口か、局所的か、直腸の経路を通って投与される。
【0066】
一実施形態において、微生物は、エンテロコッカス・フェカーリス、黄色ブドウ球菌、肺炎杆菌、アシネトバクター・バウマニ、緑膿菌、汚物腸内菌、大腸菌および肺炎連鎖球菌から成る群から選択される。
【0067】
一実施形態において、NusBはNusB E81、NusB Y18およびNusB E75から選択され、および、NusEはNusE H15、NusE D19およびNusE R16から選択される。
【0068】
一実施形態において、本発明は、式2の化合物、その薬学的に許容可能な塩、または溶媒和物を提供し、
【0069】
【化7】
式中:
(1) X
1は、-N=CH-、-CH=N-、-CH=CH-、-NH-CH
2-、-CH
2-NH-、-CH
2-CH
2-、-CH
2-O-、-O-CH
2-、-CH
2-S-、-S-CH
2-、-S(=O)-CH
2-、-S(=O)-NH-、-CH
2-S(=O)-、-NH-S(=O)-、-S(=O)
2-CH
2-、-S(=O)
2-NH-、-CH
2-S(=O)
2-、-NH-S(=O)
2-、-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、および、-C(=O)、から成る群から選択され;および、
(2) R
1-R
5の各々は、水素、ヒドロキシ、ニトロ、アセチル、メチル、エチニル、カルボキシ、カルボキシメチル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メトキシカルボニル、アミノスルホニル、アミノカルボニル、シアノ、テトラゾリル、ジメチルアミノスルホニルアミノカルボニル、シアノメチル、アセチルアミノスルホニル、メトキシアミノカルボニル、メチルスルホニルアミノカルボニル、t-ブチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、フェニル、トリフルオロメチル、および、ベンゾから成る群から独立して選択される。
【0070】
一実施形態において、化合物は、以下からなる群から選択される:
【0071】
【0072】
一実施形態において、本発明は、式3の化合物、その薬学的に許容可能な塩、または溶媒和物を提供し、
【0073】
【化9】
式中:
(1)X
1およびYの各々は、-NH-、-CH
2-、-O-および-S-から成る群から独立して選択され;および、
(2) R
1-R
5の各々は、水素、ヒドロキシ、ニトロ、アセチル、メチル、エチニル、カルボキシ、カルボキシメチル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メトキシカルボニル、アミノスルホニル、アミノカルボニル、シアノ、テトラゾリル、ジメチルアミノスルホニルアミノカルボニル、シアノメチル、アセチルアミノスルホニル、メトキシアミノカルボニル、メチルスルホニルアミノカルボニル、t-ブチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、フェニル、トリフルオロメチル、および、ベンゾから成る群から独立して選択される。
【0074】
一実施形態において、化合物は、
【0075】
【実施例1】
【0076】
従来、抗菌活性を備えた小さな化学分子の阻害剤は、細菌性のRNAポリメラーゼと必須ハウスキーピング転写開始因子σとの相互作用を標的とする、合理的な設計およびファーマコフォアに基づく仮想スクリーニングにより特定された12。同様のアプローチを使用して、MRSAを含む黄色ブドウ球菌株に対する抗菌活性を有する、細菌のrRNA合成への阻害剤は特定された。
【0077】
細菌性のrRNA転写複合体は、Nus転写因子の一式、NusA、NusB、NusE、およびNusGを備えたRNAポリメラーゼ伸長複合体
13の結晶構造に基づいてモデル化された(
図1A)。NusGは、そのN末端ドメインを介してRNAポリメラーゼの中央の裂け目に結合し
14、そのC末端ドメインはNusEと相互作用し
15、そのことがNusB-NusE-boxA部分複体をRNAポリメラーゼの下流面につなぎ留める(
図1A)。NusAは、BoxAシーケンスのすぐ下流のRNAへの結合と一貫して
17、RNA出口チャネル付近のRNAポリメラーゼに結合する(
図1A)
16。RNAポリメラーゼ・Nus因子とrRNAの間の相互作用は、新たに生じた転写の急速かつ適切な折りたたみを促進して、拘束ループを生じさせるのであり、そのことは、RNAポリメラーゼ・Nus因子複合体がrRNA合成においてシャペロンの役割を果たし得るという従来の生化学の観察とも一致している
18。このアセンブリは、終結因子RhoがrRNA転写にアクセスするのを阻害し、急速な細菌細胞増殖の間に比較的大きなrRNAオペロンの完全な転写を保証する役割を持つ可能性もある
19。最近報告された、ファージ・タンパク質λN依存転写抗転写終結複合体の構造情報もまた、本発明において使用されるrRNA転写複合体モデルの構造情報に類似している
20。
【0078】
公表された大腸菌NusB-NusEヘテロダイマーの結晶構造の調査(Protein Data Bank (PDB) entry 3D3B)(
図1B)
21は、NusEがα-ヘリックスを18%だけ含み、主にヘリックス2との相互作用を介してNusBに結合することを明らかにしている(
図1B)
22。水素結合相互作用が、NusB E81とNusE H15、NusB Y18とNusE D19、およびNusB E75とNusE R16の間に生じ(
図1B、拡大図;大腸菌アミノ酸残基ナンバリング)、それらは、原核細胞にわたって高度に保存されている(
図5(矢印))。加えて、アクイフェックス・アエロリカス(Aquifex aeolicus)のNusB-NusE相互作用に関する核磁気共鳴調査は、さらに同様の相互作用を溶液において確認した
23。
【0079】
NusB-NusEヘテロダイマー共結晶(PDBエントリー3D3B)
22についての構造情報はファーマコフォア・モデル(
図2A)を作成するために使用された。ファーマコフォア・モデルは、上に述べたように、NusBとNusEの間の主な水素結合を模倣するために、2つの水素供与体(ピンク)、1つの受容体(緑)、および大腸菌残基NusB L22とNusE V26の間の1つの保存された疎水的相互作用(シアン、
図2A)を含んでいた。相互作用に加えて、一連の除外領域(グレー)は、NusBの上で結合部位を形成する浅いポケット内での位置的な不一致を最小限にするために付け加えられた。その後、最終的なファーマコフォア・モデルが、すべての要求される形質をマッピングするためにBiovia DS4.5を使用して作成された
24。ファーマコフォア・モデルが、NusBに結合することの原因である、NusEタンパク質における重要なアミノ酸残基の特性に基づいて設計されたとき、理論上、このファーマコフォア・モデルにドッキング可能である理想的な小分子は、NusBに結合でき且つNusB-NusE相互作用に対して阻害する活性を実証できるに違いない。
【0080】
ファーマコフォア・モデルに基づいて、mini-Maybridge ライブラリとEnamine 抗菌ライブラリを組み合わせることにより構築された仮想の化合物ライブラリを使用したインシリコのスクリーニングが行われた
25。最初の仮想スクリーニングからの上位50のヒットは、ファーマコフォア・モデルおよび視覚的に調査された化合物のエネルギーが最小限に抑えられた配座に対して再マッピングされた。ファーマコフォアに対する適合の乏しい化合物は取り除かれた。その結果、7つの化合物(
図6)が、最初にウェットラボ試験の対象として絞り込まれた。
【0081】
市中感染したMRSAの株USA300に対する7つの化合物の抗菌活性が最初にスクリーニングされた。評価されたアナログのうち、MC4(
図2B)は、64μg/mLの最小阻止濃度(MIC)で生育阻害効果を実証することが分かった(
図3)。266.3の分子量で、MC4が光学データ記録のための光学層における金属錯体染料を形成するためにのみ役に立つことが報告された
26。その後、病原体の代表的な菌株のパネルに対するMC4の抗菌活性がテストされた。MC4は、他の試験された病原体よりも、MRSAを含む黄色ブドウ球菌株に対して好ましい抗菌活性を実証し、MICは黄色ブドウ球菌の対照菌株25923に対しては8μg/mLと低く、および医療施設で得られたMRSA・ST239に対しては16μg/mLと低かった(
図3)。加えて、MC4は、5-フルオロウラシル(表1)に比較して、哺乳動物細胞株に対する著しい細胞毒性を示さなかった。
【0082】
MC4処理による指数的生長の間に黄色ブドウ球菌ATCC 25923細胞における高分子のレベルが分析された。MC4、リファンピシンおよびオキサシリンは4分の1 MICレベルで加えられたが、それらは黄色ブドウ球菌ATCC 25923細胞の成長率に干渉しなかった。
図4に示されるように、どの処置も、作用機序によってプレビューされたように、DNAレベルに影響しなかった。対照細胞では、主なrRNA(16S + 23S)のレベルはRNAの全体の約78%だった(
図4)
4。リファンピシンは、先の観察(
図4)と一致して、rRNAレベルの減少を生じさせた
27。MC4はrRNAレベルの著しい減少を示し、それはリファンピシンで試験した細胞(
図4)より低くなった。更に、MC4の処置はタンパク質レベルの著しい減少につながったが、一方、リファンピシンは、恐らくリボソーム生産の減少したレベルの結果として、タンパク質合成能力に影響するこの効果を示さなかった。オキサシリンで処置された細胞は、対照細胞のものよりわずかに高いrRNAとタンパク質産生のレベルを示した。
【0083】
最後に、分子レベルにおいてMC4の作用機序を確立するために、酵素結合免疫吸着定量法に基づいたインビトロの阻害アッセイが、MC4によるNusB-NusEヘテロダイマーの形成の阻害を評価するために遂行された
24。精製されたNusBは96ウェルプレートをコーティングするために使用され、および、GSTタグ付けされたNusEは、プローブとして使用された。MC4は、~34.7±0.13μMのIC50でNusB-NusE相互作用の陽性の阻害を示した。一連のMC4アナログをさらにテストすることにより(
図7)、Biovia DS4.5のFitScoreにより予想されたように、NusB E81とNusE H15、NusB Y18とNusE D19、および、NusB E75とNusE R16の間の相互作用をターゲットとする分子における3つの官能基が、NusB-NusE結合の阻害には必須だったことが分かった(表3)。フェニル・アセチレン基のフェノールへの変化で、対応するMC4アナログのIC50値は増加し、その一方、この終端の三重結合の欠失またはメチルもしくはクロリドによる置換は、IC50の減少を引き起こした。p-ニトロフェノールがo-ニトロフェノールに変えられた時、IC50値は、恐らくNusB Y81との結合相互作用へのフェノール基の関与が原因で増加した(表3)。これらの結果は、本発明において使用されるファーマコフォア・モデルを確証し、イミンおよびp-ニトロフェノールの反応性がMC4の活性の一因とならないことを実証した。
【0084】
MC4とNusBの間の相互作用も生物物理学的に定量化された。先の報告は、等温滴定熱量測定(ITC)により測定されたように、NusBが、1μM以下のKdでNusEに1:1の比率で結合することを実証した
21。同様の実験では、MC4が、一部位結合モードで1.45±0.55μMのKdで、NusBに特異的に結合することが見出された(
図8A)。MC4のNusEへの結合(図示せず)、または、MC4と、NusEの結合の原因である3つのアミノ酸残基(Y18A、D76AおよびD81A)がアラニンに変化したNusBの変異体の間の結合は、ITCによって検出することができなかった(
図8B-D)。これらの結果はともに、NusB-NusEヘテロダイマー形成の阻害が、設計されたように、MC4とNusBの間の特定の相互作用を通じて達成されることを示唆する。標的評価として、また構造に基づくリード最適化として、さらなる実験が、MC4と複合したNusBの構造を解決するために遂行されるだろう。
【0085】
処置不可能な抗生物質抵抗性の感染症の社会に対する潜在的な影響は深遠であり、および、新薬の標的を特定することに緊急のニーズがある28。従来、細菌のリボソームそれ自体(30Sおよび50Sサブユニットの両方)は、タンパク質合成を阻害する抗生物質のために最も一般に利用される標的の1つだった29。最近の創薬研究は、mRNAの末端に停止したリボソームをレスキューすることの阻害が抗菌活性を生じるという発見を検証した30。リボソームが急速な成長/増殖と正の相関を持つこと、および、真核生物と原核生物の間のrRNA転写機構の大きな違いに鑑みれば、rRNA合成の阻害が細胞増殖および/または生存性に対して主要な影響を及ぼすことが期待できると仮定するのは魅力的である。この仮説は、多くの抗癌薬がrRNAの合成または成熟を阻害することを示す最近の発見により強化される31。
【0086】
この研究では、生物学的な証明が後に続くファーマコフォアに基づいたインシリコスクリーニングが、潜在的な新しい抗生物質のリードの特定に対して使用された。細菌細胞内のrRNAの合成のために使用される高度に発展的な複合体の形成のために要求される転写因子NusBとNusEの間の不可欠の相互作用が標的とされた。絞り込まれた候補の化合物の1つ(MC4)は、哺乳動物細胞株に対する著しい毒性を伴わずに、MRSAを含む黄色ブドウ球菌株に対する特異的な活性を示した。この化合物は、細菌性のrRNA合成を標的とすることを目指した、抗菌活性を有する最初のものに似ている。rRNA転写/処理、リボソーム生物発生、および黄色ブドウ球菌の毒性に対するMC4の詳細な影響は、現在調査中である。MC4は分子レベルにおいてNusB-NusE相互作用を特異的に阻害すると示されたが、細菌細胞に対するあらゆる可能な標的外の影響もこれから解明される。NusBとNusEが細菌において高度に保存されるため、MC4が他の病原体よりも黄色ブドウ球菌に対して好ましい抗菌活性を有する理由をさらに調査する必要がある。
【0087】
抗菌の新しい標的として、細菌のrRNA合成機構における転写因子間の必須のタンパク質-タンパク質相互作用が検証された。例えばNusE-NusG間の、細菌のrRNA転写に関与する他の重要なタンパク質-タンパク質相互作用、NusE-RNAポリメラーゼ複合体間もまた、抗菌の新しい標的としての可能性を持つかもしれない32。この研究は、MC4が、および、可能性としてはより包括的なスクリーニングによって他の化合物が、細菌性のrRNA合成を標的とする、将来の新しい抗菌のリード分子として発展するための、構造最適化の方法を補強する。
【0088】
材料と方法
菌株および化学薬品。次の細菌菌株がこの研究において微量希釈(microdilution)アッセイのために使用された:エンテロコッカス・フェカーリスATCC 29212、クレブシェラ肺炎杆菌ATCC 700603、アシネトバクター・バウマニATCC 19606、緑膿菌PA01、汚物腸内菌ATCC 13047、大腸菌ATCC 25922、尋常変形菌ATCC 6380、および黄色ブドウ球菌USA300、ATCC25923、ATCC29213、ST22、ST30、ST45、ST59、ST239、JE-2、BAA44。大腸菌株DH5α(Gibco BRL)はこの研究においてクローニングのために使用され、および、BL21(DE3)pLysS33はタンパク質の過剰生産のために使用された。微量希釈アッセイにおいて使用される5-フルオロウラシル、リファンピシンおよび他の抗生物質は、SigmaAldrichから購入された。化合物MC1-7はMolPortから購入された。
【0089】
分子モデリング。抗転写終結複合体のモデルが、サーマス・サーモフィルス転写伸長複合体(PDB:2O5I)34、大腸菌RNAポリメラーゼ-NusG複合体(PDB:5tbz)35、boxA RNAと複合したアクイフェックス・アエロリカス(Aquifex aeolicus)NusB-E(PDB: 3R2C)36、ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)NusA C-末端ドメインRNA複合体(PDB: 2ASB)37;を含む多くの公開された結晶構造を、大腸菌NusE:NusG-CTD複合体(PDB: 2KVQ)38、および、枯草菌(B. subtilis)NusA N-末端ドメイン(PDB: 2MT4)39の溶液NMR構造も同様に、統合することにより構築された。構造の照合はUCSF ChimeraイメージのMatchMaker機能を使用して、遂行された40。画像はUCSF Chimeraで生成された。
【0090】
従来記載されたように、ファーマコフォア設計および仮想スクリーニングは遂行された41。
【0091】
抗菌活性試験。微量希釈アッセイは、the Clinical & Laboratory Standards Instituteの推奨に従って遂行された42。試験された化合物および対照の抗生物質の2倍段階希釈(serial 2-fold dilutions)は、256μg/mlから0.5μg/mlまで作られた。ジメチルスルホキシド(DMSO)は、陰性対照として含まれた。
【0092】
この研究において、細胞毒性アッセイは、A549肺癌およびヒト表皮角化細胞株(HaCaT)を除き、従来詳述されたように遂行された43。
【0093】
DNA、タンパク質およびrRNAの定量化。1/4 MICレベルのMC4、オキサシリン、およびリファンピシンは、LB培地における、初期の対数増殖期(OD595 = 0.2)にある黄色ブドウ球菌株ATCC 25923に加えられ、その後、それは中期の対数増殖期(OD595 = 0.5)まで育成された。DNAおよびタンパク質の定量化のために、1mlの細胞が収穫され、および、13000g/minの3分間の遠心分離の前に、10mg/mlのリゾチーム+ 0.5mg/mlのリソスタフィンを用いて室温で1時間処置された。上澄み液は廃棄され、および、細胞は600μlのNuclei Lysis Solution(Promega / Genomic DNA Purification Kit)に5分間溶解し、その後、弱い超音波処理を行った。DNAの量は、Qubit dsDNA BR (広帯域/broad range)を用いて定量化し、および、タンパク質はNanoOrange(登録商標)Protein Quantitation Kit (ThermoFisher)を用いて定量化された。rRNA定量化のために、1mlの培養物が集められ、および、RNA全体がRNeasy Mini Kit (Qiagen)を用いて抽出される前に、RNAProtect(Qiagen)を用いて処置された。デオキシリボヌクレアーゼI(DNase I)処置は、TURBO DNA-free Kit (ThermoFisher)を用いて遂行された。抽出されたRNAはAgilent 2100の分析、および、RNA全体のパーセンテージとしての主要なrRNA(16S + 23S rRNAの合計)のレベルにさらした。値は各処置群で横断的に比較された。全ての実験を繰り返し行った。
【0094】
プラスミド構築。クローニング・工程はすべて大腸菌DH5αにおいて行なわれた。この研究において使用され且つ構築されたプラスミドは、DNA塩基配列決定により確認され、表2に挙げられる。枯草菌(B. subtilis) NusBはプライマー5’-AAAGGAGATCTAGACATGAAAGAAGA-3’(SEQ ID NO:1)および精製された枯草菌染色体DNAからの5’TTTTCTGGTACCCTATGATTCCC-3’(SEQ ID NO:2)を使用して、増幅された。nusB突然変異体は、突然変異体プライマー5’-CTTTGCAGGCACTAgcTCAAATTGATGTC-3’(SEQ ID NO:3)および5’GACATCAATTTGAgcTAGTGCCTGCAAAG-3’(F15A)(SEQ ID NO:4)、5’-GAATTGGAAGCTCGATgcGATTGCCAATG-3’(SEQ ID NO:5)および5’-CATTGGCAATCgcATCGAGCTTCCAATTC-3’(R70A)(SEQ ID NO:6)、および、5’GATTGCCAATGTTGcCCGTGCGATTTTGC-3’(SEQ ID NO:7)および5’-GCAAAATCGCACGGgCAACATTGGCAATC-3’(D75A)(SEQ ID NO:8)を使用するPCR スプライシング44によって作られた。アンプリコンはXbaIとAcc65Iを用いてカットされ、および、pNG130、pNG1178、pNG1179、およびpNG1180(表2)をそれぞれ生産するために、同様にカットされたpETMCSIII(表2)に挿入された。枯葉菌(B. subtilis) nusEは、枯草菌染色体DNAからのプライマー5’-AAGGAGGGTCTAGAATGGCAAAAC-3’(SEQ ID NO:9)および5’CTATATTTTAGGTACCAAGTTTAATTT-3’(SEQ ID NO:10)を使用して増幅され、およびpNG896をもたらすためにpNG651のNdeIとAcc65Iの部位へ連結された(表2)。
【0095】
タンパク質の過剰生産および精製。枯葉菌NusB(野性型と突然変異体)およびNusE-GSTはプラスミド(表2)から過剰生産され、および、前述されたものと同様のアプローチを使用して精製された45。精製されたタンパク質は、20mMのKH2PO4、150mMのNaCl、30%のグリセロール、pH 7.8へと透析され、および80℃において保存された。
【0096】
ELISAに基づくアッセイ。これらのアッセイは、NusBがNUNC MaxiSorp(登録商標)96-ウェルのプレートをコーティングするために使用され、および、GSTタグを付けられたNusEがプローブとして使用された以外は、前述のように遂行された41。
【0097】
等温熱量滴定(ITC)。前述のように、ITC実験が遂行された41。化合物試験のために、DMSOの中で構築された50mMのストックは、ITC緩衝液(50mM KH2PO4、150mM NaCl、pH 7.4)の中で500μMに希釈された。タンパク質はすべてITC緩衝液へ透析され、および、緩衝液ミス・マッチを最小限にするために同じ濃度のDMSO(1%v/v)が補われた。MC4は、その後、陰性対照として、ITC緩衝液において1%のDMSOを使用して、前述のように、50μM のNusB野性型および突然変異体に対して滴定された41。
【0098】
表1.ヒト細胞株に対するMC4の細胞毒性(CC50)
【0099】
【0100】
表2.この研究において使用された、および作成された株とプラスミド。
【0101】
【0102】
表3.MC4および予想された特性におけるアナログとIC50の比較。
【0103】
【実施例2】
【0104】
MC4アナログ
さらなるMC4アナログの構造が以下に提示され、共に
図9において9つの微生物に対するそれらの最小阻止濃度が示される(EFAE 19433:エンテロコッカス・フェカーリス ATCC 19433;SAUR 25923:黄色ブドウ球菌 ATCC 25923;SAUR 29213:黄色ブドウ球菌 ATCC 29213;KPNE 700603:肺炎杆菌 ATCC 700603;ABAU 19606:アシネトバクター・バウマニ ATCC 19606;PAER 27853:緑膿菌 ATCC 27853;ECLO 13047:汚物腸内菌 ATCC 13047;ECOL 25922:大腸菌 ATCC 25922;SPNE 49619:肺炎連鎖球菌ATCC 49619)。
【0105】
化合物の抗菌活性はCLSIガイドライン(1)に従い培養液微量希釈により測定された。試験培地はカチオンを調整されたMueller-Hintonブロス(MH)であった。2倍段階希釈は、256μg/mlから始まり0.0625μg/mlまでの試験済みの化学薬品に対して遂行され、および、細菌細胞接種材料は1ml当たりおよそ5×105 CFUに調節された。結果は37℃での20時間のインキュベーションの後に取得された。MICは視認できる成長がない抗生物質の最低の濃度として定義された。実験は二通り遂行された。
【0106】
【0107】
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【0109】
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【0111】
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【0113】
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【0116】
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