(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】地下水水位標高の測定方法、貯水量測定システム及び応用
(51)【国際特許分類】
G01F 23/16 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
G01F23/16
(21)【出願番号】P 2023198602
(22)【出願日】2023-11-22
【審査請求日】2023-11-22
(31)【優先権主張番号】202311498762.4
(32)【優先日】2023-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505072650
【氏名又は名称】浙江大学
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王 旭
(72)【発明者】
【氏名】孫 紅月
【審査官】羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-148757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/00-23/80 等
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下水水位標高の測定方法であって、測定部位にボーリングし且つ透水筒(1)を置き入れ、地下水が透水筒(1)に入るように保証し、導水管(2)の給水口(21)は、透水筒(1)内の液面以下に伸び込み、導水管(2)の排水口(22)は、地上に導かれ、水が排水口(22)から安定的に排出されるようになると、式1の連立方程式によって給水口(21)の水位標高h
aを測量し計算し、
式において、h
a-給水口(21)の水位標高であり、mであり、
h
a1, h
a2-それぞれh
aの計算中間量であり、mであり、
k-計算中間量であり、
e-計算中間量であり、
f-計算中間量であり、
H-測定された自然大気圧が提供可能な最大揚水高さであり、mであり、経験値であり又は測定して記録されるものであり、
h
c-導水管(2)頂部の最大標高であり、mであり、実験パラメータ/測定データであり、
h
b-排水口(22)の水位標高であり、mであり、測定して記録されるものであり、
S
b-導水管(2)の排水口(22)の流速であり、m/sであり、測定して記録されるものであり、
g-重力加速度であり、m/s
2であり、定数であり、
λ-導水管(2)の沿路抵抗係数であり、従来の技術に従って決定され、
C-導水管(2)の長さであり、mであり、実験パラメータであり、
j-導水管(2)の内径であり、mであり、実験パラメータであり、
η-導水管(2)の局所抵抗/損失水頭係数であり、従来の技術に従って決定される、ことを特徴とする地下水水位標高の測定方法。
【請求項2】
導水管(2)の排水口(22)を負圧装置(3)と連通させ、負圧装置(3)を利用して導水管(2)の両端開口間の差圧を作り出し、排水口(22)の出水を誘い且つ圧力を安定化し、水が排水口(22)から安定的に排出されるようになると、負圧装置(3)の示度y
bを記録し、排水口(22)の出水流速S
bを記録し、式2によって給水口(21)の水位標高h
aを測量し計算し、
式において、y
b-負圧装置(3)の圧力安定化値であり、kpaであり、測定して記録されるものであり、
μ-地下水の密度であり、kg/m
3であり、測定して記録されるもの又は定数である、ことを特徴とする請求項1に記載の水位標高測定方法。
【請求項3】
微小液体流速流量計を採用してS
bを検出し、一旦S
bを記録すると、排水口(22)を即座に閉じる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の水位標高測定方法。
【請求項4】
前記透水筒(1)は、同軸多層伸縮スリーブ構造であり、各層スリーブ(11)管壁は、透水穴(12)にゆきわたり、コア層スリーブ(13)末端にテーパー透水石(14)があり、前記スリーブ(11)外壁とテーパー透水石(14)外周は、高浸透性織物により包まれる、ことを特徴とする請求項3に記載の水位標高測定方法。
【請求項5】
前記導水管(2)の内径j≦4mmであり、前記透水穴(12)の孔径は、5mm以下である、ことを特徴とする請求項4に記載の水位標高測定方法。
【請求項6】
ボーリングして透水筒(1)を取り付ける時に、透水石(14)は、地下水液面以下3.5m~6.5mに伸び込み、機器を取り付ける時に導水管(2)の給水口(21)と排水口(22)との間に標高差が存在するように保証する、ことを特徴とする請求項5に記載の水位標高測定方法。
【請求項7】
地下水貯水量モニタリング測定システムであって、地下水測定空間を画定し、モニタリング領域岩土の浸透性、動水勾配と地形勾配を利用して測定空間における測定部位A
iを決定して設計し、すべてのA
iは、三次元測定ドットマトリクスA
3Dを構成し、請求項6に記載の地下水水位標高の測定方法を利用してすべてのA
i点の異なる時間tにおける地下水水位標高データh
aiを測定して収集し、ドットマトリクスA
3Dのデータ集合Dを得、前記集合Dは、ドットマトリクスA
3Dにおける各h
ai及びそれに対応するA
i番号、空間座標、時間を含み、集合Dを利用して地下水測定空間の貯水量特徴データを構築する、ことを特徴とする地下水貯水量モニタリング測定システム。
【請求項8】
前記地下水測定空間の貯水量特徴データは、動的及び/又は静的データ/グラフィックス/モデル/方程式を含む、ことを特徴とする請求項7に記載の地下水貯水量モニタリング測定システム。
【請求項9】
請求項7に記載の地下水貯水量モニタリング測定システムの応用であって、地下水モニタリング早期警報に用いられ、地下水貯水量モニタリング測定システムを利用して地下水特徴変化をモニタリングし、且つ予め設定された条件に従って警告情報を発する、ことを特徴とする応用。
【請求項10】
水質検出装置をさらに含み、地下水水質を検出し、且つ予め設定された条件に従って警告情報を発する、ことを特徴とする請求項9に記載の応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地質環境モニタリング測定技術に関し、特に地下水関連物理変数のモニタリング装置とシステムに関し、地下水環境モニタリング測定技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
地下水水位は、最も一般的で、最も重要な地下水モニタリング要素である。現在、地下水水位に対するモニタリングは、一般的にはいずれも「深く埋める」方式で観測し且つ測定する。地下水位を自動的に測定する計器は、主にフロート式と圧力式という二つを有する。フロート式地下水位計は、一般的にはいずれも5cm~10cmの口径の検層管内で作動することができるが、小さなフロートの水位変化を検知する感度が比較的悪く、水位検知の感度は、極めて地下水の埋め深さが比較的大きく、スパン線が長いなどの客観的な稼働条件の影響を受けやすい。圧力式水位計は、測定精度が前者より高いが、その測定データ品質がモニタリング部位の水の環境の優劣に依存する。土砂含有量が比較的少なく、水質密度が比較的安定的であるなどの有利な条件で測定することによって、結果は、より良い。従来の技術の負圧条件での地下水位の測定装置と方法(ZL2014105963763)、負圧条件での地下水位の可視化測定方法(ZL2014106122303)、超音波負圧に基づく地下水位シール測定装置及びその方法(ZL2015107451162)、真空プリプレス地盤補強領域における水位測定装置と方法(ZL2006100853372)などは、負圧、真空などの技術的特徴を導入することによって上記二種類の測定方案の欠陥を一部克服したが、且つその技術的構想の基本的な特徴を変えなかった。測定装置の主な作動部(測定感知部材など)は、岩土体内部で作動し、且つ技術改良は、常に測定部位のさらなる微細な水位変化をキャプチャして収集することを意図するように努力する。この基本的な特徴は、比較的明らかな技術的欠陥を引き起こし、その一、測定技術の改良が機器の精密化を代償として、装置コストを連続的に高めることしかできないことと、その二、測定感知部材の感度を保証するために、モニタリング部位の選択について岩体地形条件をより考慮する必要があり、重要であるが施工しにくいモニタリングポイントを犠牲する恐れがあることと、その三、外部測定操作の制御可能性が限られることと、その四、地下の主な作動部が点検修理しにくく、一旦破壊されると、放棄するにほかならず、比較的高い機器、施工などの様々なコストを直接にもたらすことと、を含む。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、従来の技術の欠点に対し、測定装置の主な作動部が地上以上にある地下水モニタリング測定技術を提供することである。
【0004】
上記目的を実現するために、本発明は、先ず地下水水位標高の測定方法を提供し、その技術案は、以下のとおりである。
【0005】
地下水水位標高の測定方法は、測定部位にボーリングし且つ透水筒を置き入れ、地下水が透水筒に入るように保証し、導水管の給水口が透水筒内の液面以下に伸び込み、導水管の排水口が地上に導かれ、水が排水口から安定的に排出されるようになると、式1の連立方程式によって給水口の水位標高h
aを測量し計算し、
式において、h
a-給水口の水位標高であり、mであり、
h
a1, h
a2-それぞれh
aの計算中間量であり、mであり、
k-計算中間量であり、
e-計算中間量であり、
f-計算中間量であり、
H-測定された自然大気圧が提供可能な最大揚水高さであり、mであり、経験値であり又は測定して記録されるものであり、
h
c-導水管頂部の最大標高であり、mであり、実験パラメータ/測定データであり、
h
b-排水口の水位標高であり、mであり、測定して記録されるものであり、
S
b-導水管の排水口の流速であり、m/sであり、測定して記録されるものであり、
g-重力加速度であり、m/s
2であり、定数であり、
λ-導水管の沿路抵抗係数であり、従来の技術に従って決定され、
C-導水管の長さであり、mであり、実験パラメータであり、
j-導水管の内径であり、mであり、実験パラメータであり、
η-導水管の局所抵抗係数であり、従来の技術に従って決定されることを特徴とする。
【0006】
上記地下水水位標高の測定方法は、連通器原理に基づき、地下水を地上に導いて測定を実施する技術案である。地下水「埋蔵」環境の複雑性のため、連通器原理を利用して地上で地下部位水位に対する測定を実現するには、サイフォン揚程の地上出水流速への影響を考慮する必要がある。本発明の事前の大量の実験研究は、連通器原理を利用して建てられた測定システムにおいて、導水管内の液体流速が導水管の両端開口の液面の高低差により決められず、Hと導水管のサイフォン揚程Hoとの間の差分値、及び導水管の給排水口間の標高差分値の共な影響を受けることを発見した。この影響の分析モデルを確立した基礎上で、本発明は、上記の、従来「深く埋める」方式測定と異なる技術案を提供する。
【0007】
上記地下水水位標高の測定方法は、導水管の給水口の圧力が出水口の圧力より明らかに高い場合に適用できる。いくつかの稼働条件で、機器を取り付けた後に水が自動的に安定的に排出できない場合に、上記測定方法の最適化は、負圧装置を導入することである。具体的には、導水管の排水口を負圧装置と連通させ、負圧装置を利用して導水管の両端開口間の差圧を作り出し、排水口の出水を誘い且つ圧力を安定化し、水が排水口から安定的に排出された後に式2によって給水口の水位標高haを測量し計算する。
【0008】
式において、y
b-負圧装置の圧力安定化値(kpa)であり、測定して記録されるものであり、μ-地下水の密度(kg/m
3)であり、測定して記録されるもの又は定数である。
【0009】
本発明は、さらに技術測定方法では装置の最適化設計を使用し、以下のような態様を含む。
【0010】
透水筒は、同軸多層伸縮スリーブ構造を採用し、各層スリーブ管壁は、透水穴にゆきわたり、透水穴は、できるだけ細密であり、それによって給水擾乱を低減させる。透水筒のコア層スリーブ末端にテーパー透水石がある。各層スリーブ(11)外壁とテーパー透水石外周は、いずれも高浸透性織物により包まれる。導水管の内径は、4mm以下である。
【0011】
測定効果を保証するために、ボーリングして透水筒を取り付ける時に、透水石は、地下水液面以下3.5 m~6.5 mに伸び込み、機器を取り付ける時に導水管の給水口と排水口との間にできるだけ大きな標高差が存在することを保証する。
【0012】
本発明の地下水水位標高の測定方法は、建てられた管路が通じれば測定を実施することができる。管路が満たされ、水が安定的に排出された後に、毎回の測定は、出水量に対して特定の要求がなく、流速を検出すると出水を閉じることができる。そのため、高精度微小液体流速流量計を採用する場合に、極めて細い導水管を使用してもよく、Sb検出を瞬間に完了し、地下水位標高への擾乱が極めて小さく、無視してもよい。
【0013】
上記地下水水位標高の測定方法を基礎として、本発明は、地下水貯水量モニタリング測定システムを同時に提供し、技術案は、以下のとおりである。
【0014】
地下水貯水量モニタリング測定システムは、地下水測定空間を画定し、流域岩土の浸透性、動水勾配と地形勾配を利用して測定空間における測定部位Aiを決定して設計し、すべてのAiが三次元測定ドットマトリクスA3Dを構成し、上記地下水水位標高の測定方法を利用してすべてのAi点の異なる時間tにおける地下水水位標高データhaiを測定して収集し、ドットマトリクスA3Dのデータ集合Dを得、前記集合DがドットマトリクスA3Dにおける各hai及びそれに対応するAi番号、空間座標、時間を含み、集合Dを利用して地下水測定空間の貯水量特徴データを構築することを特徴とする。
【0015】
上記地下水貯水量モニタリング測定システムにおいて、集合Dデータの違いによって、地下水測定空間の貯水量特徴データは、動的及び/又は静的データ/グラフィックス/モデル/方程式などであってもよい。
【0016】
本発明は、上記地下水貯水量モニタリング測定システムの応用方案をさらに提供する。
【0017】
上記地下水貯水量モニタリング測定システムの応用は、地下水モニタリング早期警報に用いられ、地下水貯水量モニタリング測定システムを利用して地下水特徴変化をモニタリングし、且つ予め設定された条件に従って警告情報を発することを特徴とする。
【0018】
上記応用方案では、地下水モニタリング早期警報は、水質検出装置をさらに含んでもよく、同時に地下水水質を検出し且つ予め設定された条件に従って警告情報を発する機能を実現する。
【0019】
従来の技術と比べ、本発明の有益な効果は、以下のとおりである。(1)本発明の地下水水位測定方法は、従来の「深く埋める」方式で「元の位置で測定する」技術フレームワークと異なる新たな構想である。連通器原理を利用して地上で排水流速によって地下水位標高を測定する問題における測量し計算する必要がある測定された自然大気圧が提供可能な最大揚水高さと導水管のサイフォン揚程との間の差分値、及び導水管の給排水口間の標高差分値が導水管内の液体流速に共に影響を与えるキー技術問題を解決した基礎上で、本発明は、新たな地下水水位測定技術案を提供する。(2)出口流速をモニタリング指標として採用するため、本技術案は、従来の流速検出の成熟した技術を測定システムに導入することによって、比較的低い技術コストで測定精度を向上させることができる。機器精密化程度又は密閉した地下測定の小さな環境を作ることを代償とし、地下部位液面の変動への感度を向上させるという従来の測定技術の改良手段に比べ、本技術案は、明らかな優位性を有する。(3)本技術は、一定程度で地下作動部の機器精度を低減させることができ、それによって取り付け施工条件を緩和することができるとともに、本技術も地上測定操作の制御可能性を補強した。従って、技術全体は、より良い適応性を有する。(4)本技術は、地下作動部の損傷点検修理によるコスト損失を効果的に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】モニタリング領域地下水位モニタリングポイント平面概略図の一例である。
【
図2】地下水貯水量モニタリング測定システム構造概略図の一例である。
【
図3】透水筒外部構造概略図(各層スリーブ伸び出し状態)の一例である。
【
図5】モニタリング領域地下水測定空間の三次元地下水位標高概略図(図において矢印は、地下水位面を示す)の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、図面を結び付けながら、本発明の好ましい実施例をさらに記述する。
【0022】
実施例1
図1~
図5に示すように、本発明方法を用いてある小さな流域のために地下水モニタリングシステム方案を設計し、地下水標高を測定し且つ貯水度を推定するために用いられる。
【0023】
1、流域現場調査及び計器レイアウト
研究された小さな流域(以下でモニタリング領域と称される)は、浙江省奉化市にあり、流域全体は、ラッパ状を呈し、流域面積は、0.17 km2であり、地下水リソースは、豊かである。
【0024】
現場調査によって基本的なデータを取得し、それは、モニタリング領域岩土の浸透性、動水勾配、地形勾配などを含む。基本的なデータに基づいて地形が小さな範囲で相対的に平坦であり、ボーリング施工しやすい部位を測定部位として選択し、ボーリング取り付けレイアウト方法を採用する。現場ボーリング施工条件と水文地質状況に応じて、モニタリング領域が比較的小さく且つ地質構造が比較的単一であるため、ボーリング間隔を20mに設け、該当して地形変化が比較的大きい部位にボーリングポイント(
図1に示す)を増やす。各ボーリングポイントA
iにマークを付け、座標A
(x,y,z)に対応する。すべてのA
iは、三次元測定ドットマトリクスA
3Dを構成する。
【0025】
図2は、地下水貯水量モニタリング測定システム構造概略図であり、
図3は、透水筒構造概略図であり、
図4は、
図3のA-A断面構造概略図である。
【0026】
透水筒(1)は、同軸伸縮スリーブ構造であり、各層スリーブ(11)管壁は、透水穴(12)にゆきわたり、コア層スリーブ(13)末端にテーパー透水石(14)があり、スリーブ(11)外壁とテーパー透水石(14)外周は、高浸透性織物により包まれる。本例では、高浸透性織物についてジオテキスタイルを選ぶ。
【0027】
透水筒(1)をボーリング内に置き、透水石(14)が地下水液面以下3.5 m~6.5 mに伸び込むように保証する。地下水がコア層スリーブ(13)を浸漬させると、導水管(2)を透水筒(1)に伸び込み、給水口(21)は、コア層スリーブ(13)内の液面以下に没する。導水管(2)の排水口(22)を地上に引き、流速測定計(4)に接続する。導水管(2)の給水口(21)と排水口(22)との間に標高差が存在するように保証し、排水口(22)の標高は、できるだけ給水口(21)より低い。本例では、流速測定計(4)は、高精度微小液体流速流量計を選択する。
【0028】
水が各モニタリングポイントの排水口(22)から自然に安定的に排出できるかどうかをテストする。水が安定的に排出できるモニタリングポイントを甲類ポイントに分け、他を乙類ポイントに区別する。
【0029】
2、モニタリングポイント地下水位標高測定
各モニタリングポイントの地下水位標高を測定し、ここで、甲類ポイントは、測定方案甲に適用でき、乙類ポイントは、測定方案乙に適用できる。以下では、それぞれ甲乙の二種類のポイントのうちの各一つのモニタリングポイントを例として甲乙の二つの測定方案の測定プロセスを記述する。専門説明以外、同一種類のポイント測定方法は、同じである。
【0030】
2.1測定方案甲
サンプルの甲モニタリングポイントに対し、各種類のデータを収集する。ここで、導水管の沿路抵抗係数λは、従来の技術に従って計算して決定され(経験によって決定される)、導水管の局所抵抗係数ηは、実際に測定して決定され、排水口の流速Sbは、水が排水口から安定的に排出される状態で測定される。各パラメータを式1の連立方程式に代入して計算する(g=9.8m/s2)。関連データは、表1に示す。
【0031】
2.2測定方案乙
サンプルの乙モニタリングポイントに対し、導水管(2)の排水口(22)を負圧装置(3)と連通させる。負圧装置(3)を調節して導水管(2)の両端開口間の差圧を作り出し、排水口(22)の出水を誘い、負圧を安定化する。水が排水口(22)から安定的に排出されるようになると、負圧装置(3)の示度yb、排水口(22)の出水流速Sbを記録する。他のデータ収集方法は、2.1部分と同じである。
【0032】
各パラメータを式2に代入して計算する(g=9.8 m/s2)。関連データは、表1に示す。
【0033】
表1 サンプルの甲、サンプルの乙モニタリングポイント地下水標高測定関連データ
【0034】
3、流域地下水位標高三次元図を描く
ドットマトリクスA3DにおけるすべてのAi点の地下水水位標高データhaiを収集し、ドットマトリクスA3Dの地下水データ集合Dを得る。集合Dは、各モニタリングポイントAiの地下水標高値hai、各Aiの番号、空間座標、測定時間tなどのデータを含み、モニタリング領域地下水特徴を記述する。
【0035】
集合Dを利用して地下水測定空間の貯水量特徴データを構築し、具体的には以下のとおりである。各モニタリングポイントA
iの地下水位標高データh
aiに対して補間計算を行い、モニタリング領域地下水測定空間の地下水位標高三次元図を取得する。
図5は、モニタリング領域地下水測定空間の三次元地下水位標高概略図であり、図における矢印は、地下水位面を示す。異なる時間に各A
iのh
ai値を収集することによって、モニタリング領域地下水測定空間における地下水動的モデルを確立することができる。三次元モデルに基づいてモニタリング領域地下水測定空間における地下水貯水量を測量し計算することができる。
【0036】
4、地下水貯水量モニタリング測定システムの早期警報機能拡張
地下水貯水量モニタリング測定システムにおいて、上位コンピュータ内にモニタリング閾値条件を追加し、各項リアルタイムモニタリングデータ又は予備計算値と閾値とを比べ、地下水変化に対して予備評価を行い且つ予め設定された条件に従って必要がある時に早期警報信号を発することができる。水質検出ユニットを追加することによって、さらに地下水水質の安全性を検出し、同様に予め設定された条件に従って必要がある時に早期警報信号を発することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 透水筒
11 スリーブ
12 透水穴
13 コア層スリーブ
14 透水石
2 導水管
21 給水口
22 排水口
3 負圧装置
4 流速測定計
5 地下水位液面
6 土体/土層
【要約】 (修正有)
【課題】地下水水位標高の測定方法、貯水量測定システム及び応用を開示する。
【解決手段】本発明の一側面による、地下水水位標高の測定方法によれば、測定部位にボーリングして透水筒を置き入れ、地下水が透水筒に入るように保証し、導水管の給水口は、筒内の液面以下に伸び込み、排水口は、地上に導かれ、安定的な排水流速を検出し、式によって給水口の水位標高を測量し計算する。本発明の他の一側面による地下水貯水量モニタリング測定システムは、水位モニタリングポイント行列をレイアウトし、すべての点の地下水水位標高及び関連データを測定して収集し、地下水測定空間の貯水量特徴データを構築する。本発明は、地上流速を利用して地下水位標高を測定し、新たな地下水水位測定技術案であり、技術的適応性が高く、地上水モニタリング技術改良方向を変えることができる。
【選択図】
図2