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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】液状物塗布ガンモジュール
(51)【国際特許分類】
   B05B 1/00 20060101AFI20240311BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20240311BHJP
   F16K 27/00 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
B05B1/00 Z
B05C5/00 101
F16K27/00 B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020071437
(22)【出願日】2020-04-13
(65)【公開番号】P2021166973
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】513034257
【氏名又は名称】PRIMEdot株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087468
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 一美
(72)【発明者】
【氏名】藤井 秀世
【審査官】大塚 美咲
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-101475(JP,A)
【文献】特開昭47-010482(JP,A)
【文献】特開昭57-071665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00
B05C 5/00
F16K 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ本体と、前記バルブ本体に操作用エアを供給する操作用エア供給路及び液剤を供給する液剤供給路を備えるマニホールドとで構成される液状物塗布ガンモジュールにおいて、
前記マニホールドには前記バルブ本体が落とし込まれる竪孔が縦方向並びに横方向にそれぞれ配列されて複数本設けられる一方、各竪孔に前記バルブ本体が挿入されて定位置で固定されることによって前記マニホールドに対して縦横に多数の前記バルブ本体が搭載されると共に
前記バルブ本体の外周面には内蔵するピストン機構を駆動する操作用エアを導入するための操作用エア導入孔が空けられると共に該操作用エア導入孔と連通する周方向の環状溝が形成され、
かつ前記バルブ本体の外周面には前記バルブ本体内の液剤貯留部に液剤を供給する液剤供給孔が空けられると共に該液剤供給孔と連通する周方向の環状溝が形成され、
前記バルブ本体の前記操作用エア導入孔と前記液剤供給孔とがそれぞれの前記環状溝を介在させて前記マニホールドの前記操作用エア供給路と前記液剤供給路とにそれぞれ連通され
前記操作用エア供給路は各竪孔毎に独立して連通されると共に前記液剤供給路は縦方向あるいは横方向の列毎に複数本の前記竪孔を相互に連通させ、前記操作用エアが、個々に前記マニホールドに形成された前記操作用エア供給路を経て各バルブ本体毎に独立して供給される一方、前記液剤が前記環状溝と前記液剤供給路とによって連通された全ての前記バルブ本体に供給される
ことを特徴とする液状物塗布ガンモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状物塗布ガンモジュールに関するものである。さらに詳述すると、本発明は、エア駆動式の液状物塗布ガンモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
エア駆動のバルブは、接着剤を塗布するものとしては例えばホットメルト自動ガンなどとして知られている。このホットメルト自動ガンは、バルブ本体(ガン)と該バルブ本体を加熱保温するマニホールドとから成り、両部品をボルトによって結合することにより、互いにそれらのフラットな面で接触させている。そして、その接触面においては、ホットメルト通路孔及びエア通路孔が互いに連通し、これら両孔の周囲の接触面にはOリングが取り付けられている。
【0003】
従来のバルブは、マニホールドの前面からのみ操作用エアと液剤とが供給される構造であり、各塗布ガンモジュール毎に操作用エアと液剤とが独立して供給される構造とせざるを得ないことから、マルチ化する場合には、マニホールドの前面に横並びに配置してからマニホールドにそれぞれ連結するようにしている(例えば特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭61-150082号公報
【文献】特表平08-505810号公報
【文献】特表2016-511145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構造では、複数の液状物塗布ガンモジュールを備える場合には、マニホールドの一面に並べるように取り付けるしかなく、あるいはマニホールドを間に挟むように複数の液状物塗布ガンモジュールを縦に一列に並べるしかなく、バルブ本体とバルブ本体との間の中心間距離(ピッチ)を狭く設定できない問題がある。また、横並びにだけで無く、縦横にバルブ本体を配置するマルチ構造を採る場合に特にピッチを狭くすることが難しい。
【0006】
しかも、温調してバルブに液剤を供給するマニホールドとバルブ本体とが一面(背中)だけで接触させてボルトで連結する構造であるため、温度を相手に伝えにくい構造となり、温度効率が悪いものとなっている。
【0007】
本発明は、ピッチを狭くしてマルチ化を可能とする液状物塗布ガンモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するための液状物塗布ガンモジュールは、バルブ本体と、バルブ本体に操作用エアを供給する操作用エア供給路及び液剤を供給する液剤供給路を備えるマニホールドとで構成される液状物塗布ガンモジュールにおいて、マニホールドにはバルブ本体が落とし込まれる竪孔が縦方向並びに横方向にそれぞれ配列されて複数本設けられる一方、各竪孔にバルブ本体が挿入されて定位置で固定されることによってマニホールドに対して縦横に多数のバルブ本体が搭載されると共に、バルブ本体の外周面には内蔵するピストン機構を駆動する操作用エアを導入するための操作用エア導入孔が空けられると共に該操作用エア導入孔と連通する周方向の環状溝が形成され、かつバルブ本体の外周面にはバルブ本体内の液剤貯留部に液剤を供給する液剤供給孔が空けられると共に該液剤供給孔と連通する周方向の環状溝が形成され、バルブ本体の操作用エア導入孔と液剤供給孔とがそれぞれの環状溝を介在させてマニホールドの操作用エア供給路と液剤供給路とにそれぞれ連通され、操作用エア供給路は各竪孔毎に独立して連通されると共に液剤供給路は縦方向あるいは横方向の列毎に複数本の竪孔を相互に連通させ、操作用エアが、個々にマニホールドに形成された操作用エア供給路を経て各バルブ本体毎に独立して供給される一方、液剤が環状溝と液剤供給路とによって連通された全てのバルブ本体に供給されるようにしている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の液状物塗布ガンモジュールによれば、液剤並びに操作用エアは環状溝の何れの位置からも、換言すれば360°の任意の位置から導入することができるので、あるいは必要に応じて360°の任意の位置から排出・回収することができるので、マニホールドに形成する液剤供給路と操作用エア供給路とが制約無く自由にレイアウトすることができる。しかも、液剤供給路が共用化できるので、1つのブロックのマニホールドに対して複数のバルブ本体をドロップインさせて装着することを可能とし、バルブのマルチ化が容易である。
【0010】
そして、マルチ化された液状物塗布ガンモジュールによると、バルブ本体の配置間隔も狭くでき、高密度化(集積密度が高められる)が可能となるので、ノズルから吐出される液剤の線と線とのピッチを狭くすることができる。つまり、奥行きのあるブロック・マニホールドにバルブを配置できるので、横一列にしか配置できなかった従来のバルブに比べて、さらに奥行き方向即ち縦横にバルブを配置できるので、吐出ピッチを短くもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の液状物塗布ガンモジュールのシングルタイプの一実施形態を示す斜視図である。
図2】同モジュールの中央縦断面図である。
図3】同モジュールのマニホールドの中央縦断面斜視図である。
図4】同モジュールのバルブ本体の正面図である。
図5】同モジュールのバルブ本体の上から見た斜視図である。
図6】同モジュールのバルブ本体の下から見た斜視図である。
図7】同モジュールのバルブ本体の中央縦断面斜視図である。
図8】本発明の液状物塗布ガンモジュールのマルチタイプの一実施形態を示す斜視図である。
図9】同マルチタイプモジュールの複数のバルブ本体を横切る中央縦断面図である。
図10】本発明の液状物塗布ガンモジュールのマルチタイプの他の実施形態を示す斜視図である。
図11】同マルチタイプモジュールの下から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。尚、液状物塗布ガンモジュール所謂バルブは、一般的には、鉛直方向(下向き)に液状物を吐出させるように用いられるが、ワーク(被塗物)の形状によっては取付角度を変えて斜め下方に向けて吐出されることもある。しかし、本明細書においては主に下向きに吐出する例を挙げて説明する。したがって、本明細書において、特に断りがない限り、上下方向あるいは長手方向とはバルブを開閉するためのニードルの移動する方向(軸方向)であり、バルブの実際の向きに関係なく、長手方向に移動する場合には昇降あるいは上昇ないし下降と呼ぶ。また、本明細書において、下あるいは先端とは液状物吐出口(ノズル)側を、上あるいは後端とはその反対側の駆動部側をそれぞれ意味するものとする。
【0013】
図1図7に、本発明の液状物塗布ガンモジュールのシングルタイプの一実施形態を示す。この実施形態にかかる液状物塗布ガンモジュールは、バルブ本体1とバルブ本体1に操作用エアを供給する流路(以下、操作エア供給11と呼ぶ)と液剤を供給する流路(以下、液剤供給10と呼ぶ)とを備えるマニホールド(バルブボディとも呼ばれる)2とで構成されている。
【0014】
本実施形態の液状物塗布ガンモジュールは、バルブ本体1がマニホールド2の孔に挿入されて装着が完了されるドロップイン方式であり、マニホールド2にはバルブ本体1が落とし込まれる竪孔が設けられている。竪孔は、バルブ本体1のピストン機構を内蔵する上部の駆動部17が収納される凹部(段部を有する孔)3と、バルブ機構が内蔵される下部の軸部(以下、ドロップインボディ27と呼ぶ)が収納されるほぼストレートな孔部4とを有し、それらの間にバルブ本体1が露出する切り欠き(所謂、逃がし部2d)が形成されている。孔部4には、バルブ本体1のドロップインボディ27が引っ掛けられ位置決めされるための段部4aが形成されている。尚、マニホールド2には、図示されていないが、必要に応じてヒーター機能が備えられる。例えば、加温が必須となるホットメルト接着剤を液剤として適用する場合には、カートリッジヒーター及び温度センサーから成るヒーター機構が内蔵され、加温を必要としない液剤に適用する場合にはヒーター機構は内蔵されない。
【0015】
マニホールド2は、例えばバルブ本体1の駆動部17を収容する凹部3を有する上ブロック2aと、バルブ本体1のドロップインボディ27を貫通させて収容する下ブロック2bと、これらを連結して側面形状コ形を成す1つのブロックとする中央ブリッジ部2cとで構成されている。中央ブリッジ部2cにはバルブ本体1の途中(ドレーンホール44部分)が露出する切り欠きから成る逃がし部2dが形成されて、バルブ本体1の奥側にバルブ本体1と干渉することなく、装置例えば接着剤塗布装置あるいは他の機材・ブロックなどにマニホールド2を取り付けるためのマニホールド止めねじ15を取り付けられる構造とされている。即ち、逃がし部2dの奥のブリッジ部2cにマニホールド止めねじ15を貫通させるめの孔5と座6を備えている。また、マニホールド2の背面には、位置決めピン穴7が例えば上下に2箇所設けられ、所定の位置に傾きなく固定可能とされている。尚、中央ブリッジ部2cの逃がし部2dではバルブ本体1のドレーンホール44が完全に露出するため、液圧部シールの劣化に伴い漏れ出した液剤をエア駆動部側に侵入させることなくバルブ外部に排出させることでピストン部への液剤侵入を防ぎバルブの動作不良等の二次的不具合を防ぐことができる。
【0016】
本実施形態のマニホールド2には、図2及び図3に示すように、操作エア供給11と液剤供給10とを有する。操作エア供給11は、例えば、マニホールド2の上部ブロック2aの背面から穿孔されて、バルブ本体1の駆動部17を収容する凹部3の周壁面に一端が開口され、マニホールド2の背面の開口(ねじ孔9となっている)は盲プラグ16がねじ込まれて塞がれている。そして、この操作用エア供給11には、例えばマニホールド2の天面(頂部)から操作用エア供給11まで穿孔された雌ねじ8にエア供給用継手12をねじ込んで取り付けることで、操作用エアを供給するエアチューブ(図示省略)を装着可能な構造とされている。尚、エア供給用継手12は、エアチューブ及びソレノイドバルブを介して図示していない操作エア発生装置に接続される。
【0017】
また、マニホールド2の下部ブロック2bには、バルブ本体1内の液剤貯留部に液剤を供給する液剤供給用の流路(以下、液剤供給10と呼ぶ)が設けられている。液剤供給10は成分の沈降が起き難い液剤の場合には供給用だけの少なくとも1本存在すれば足りるが、流れが生じていないと固形成分が沈降し易い液剤の場合にはバルブ内での固形成分の沈降を防止するために液剤流入用と液剤還流用との2ルートを形成して液剤を常時循環させる必要がある。
【0018】
例えば、液剤流入用と液剤還流用との2ルートの液剤供給10を形成する場合には、マニホールド2に液剤を供給するチューブを接続するための液剤供給用継手13と液剤を還流させるチューブを接続するための液剤還流用継手14とがねじ込まれてインレットとアウトレットとが形成される。本実施形態の場合、インレットから供給された液剤がバルブ本体内の液剤貯留部を内と外とに二分する筒状の中間壁(以下、循環用パイプ31と呼ぶ)の内側の空間(以下、内側流路32と呼ぶ)に導かれてニードル26に沿って流下すると共に先端のノズル近傍で途切れる循環用パイプ31との下の空間を通って外側の空間(以下、外側流路33と呼ぶ)に流入して上昇し、外側流路33と連通する液剤還流用継手14から外に流れ出るようにして循環路を形成している。勿論、このような循環式の接着剤供給方式を採用する必要が無い場合には、単純に供給した接着剤・液剤がノズルから吐出されるように加圧供給すれば足りる。
【0019】
バルブ本体1は、例えば図2並びに図3図6に示すように、エア駆動で昇降するニードル26とドロップインボディ27の先端のバルブシート30との間でニードルバルブを構成するものであり、エアピストン18の駆動でニードル26を引き上げることにより、ドロップインボディ27の内側のニードル26の周りを囲む空間に貯留される液剤をノズル29から吐出させるものである。バルブ本体1の駆動部17は、ニードル26の上端に備えられたピストン18と、該ピストン18を収納してピストン機構を構成するシリンダ室19と、ピストン18の押し上げ量(移動量)を調整するストローク調整ねじ39と、該ねじ39の移動で圧縮量が変化させられるスプリング41とを内蔵している。ピストン18の底面側に接するシリンダ室19の底面には、操作用エアを導入する操作用エア導入孔20が開口されている。
【0020】
バルブ本体1の外周面には、内蔵するピストン機構を駆動する操作用エア導入孔20が空けられると共に該操作用エア導入孔20と連通する周方向の環状溝21が形成され、かつバルブ本体の外周面にはバルブ本体内の液剤貯留部に液剤を供給する液剤供給孔23が空けられると共に該液剤供給孔23と連通する周方向の環状溝24が形成され、バルブ本体の操作用エア導入孔20と液剤供給孔23とがそれぞれの環状溝21,24を介在させてマニホールド2の操作用エア供給11と液剤供給10とにそれぞれ連通されるように設けられている。
【0021】
本実施形態の場合、操作用エア導入孔20と環状溝21とは同じ位置に配置されている。つまり、操作用エア導入孔20の上を周方向に環状溝21が通過するように形成されている。換言すれば、操作用エア導入孔20は、バルブ本体1の外周面に掘られた周方向の環状溝21の溝底面に開口するように形成されている。また、環状溝21を挟んで上下(軸方向)に操作エア用シール例えばOリング22が配置されて、操作用エアが漏洩しないように設けられている。Oリングは、ドロップイン時に位置ずれを起こさないように、バルブ本体1の外周面に周方向の環状溝を設けて嵌め込まれることで固定されている。したがって、操作用エアは環状溝の何れの位置からも、換言すれば360°の任意の位置から導入することができる。
【0022】
また、液剤供給孔23は、本実施形態の場合、液剤流入用(液剤導入孔23INと呼ぶ)と液剤還流用(液剤還流孔23OUTと呼ぶ)との2ルートが形成されている。そして、液剤供給孔と環状溝とは同じ位置に配置されている。つまり、液剤導入孔23IN並びに液剤還流孔23OUTの上を周方向に環状溝24がそれぞれ通過するように形成されている。換言すれば、液剤導入孔23IN並びに液剤還流孔23OUTは、バルブ本体1の外周面に掘られた2本の周方向の環状溝24の溝底面にそれぞれ開口するように形成されている。また、液剤導入孔23IN並びに液剤還流孔23OUTのそれぞれの環状溝24を挟んで上下(軸方向)に液剤漏れシール例えばOリング25が配置されて、液剤が漏洩しないように設けられている。Oリング25は、ドロップイン時に位置ずれを起こさないように、バルブ本体1の外周面に周方向の環状溝を設けて嵌め込まれることで固定されている好ましい。したがって、液剤は環状溝の何れの位置からも、換言すれば360°の任意の位置から導入することができると共に360°の任意の位置から排出・回収することができる。尚、本実施形態では、液剤導入孔23INと液剤還流孔23OUTとの間には、厳密な相互の漏れは問題とならない(外部への漏れが発生しない)ためシールを設置していないが、必要に応じて設けられることもある。
【0023】
バルブ本体1は、ピストン機構を内蔵する駆動部17の下に雄ねじ部34を有し、マニホールド2の上部ブロック2aの凹部3の下に設けられた雌ねじ12に雄ねじ部34が螺合されることで、マニホールド2に固定される。したがって、バルブ本体1はマニホールド2の上から凹部3並びに竪孔4にドロップインボディ27から先に挿入してからねじ込むだけで組み付けが完了する。ドロップインボディ27の下端が竪孔4の段部4aに度当たりすることで正確な位置決めが行われる。
【0024】
この実施形態にかかるバルブは、液剤吐出口29とOリングから成る弁座30と備え、ニードルの先端部分を受容するバルブシートアッセンブリ28をドロップインボディ27の先端にねじ込み、ニードル26との間でニードル弁を構成する。
【0025】
このドロップインボディは、ロッド状のドロップインボディ27の内部にエア駆動に上下動するニードル26を収容し、ドロップインボディ27の先端に備えるバルブシートアッセンブリ28との間で、ニードル26の尖端と弁座(バルブシート)30との間でニードルバルブを構成するものである。
【0026】
尚、図中の符号37はニードル26の上端とマイクロアジャスト38との間に介在されて両者との間で点接触してピストン上下動作の衝撃によるマイクロアジャスト調整位置の変位を防止するためのボールである。また、符号39はストローク調整ねじ、40はマイクロアジャストを回転調整する際に用いる六角穴、42は液剤漏れ防止シール、43はマイクロアジャスト遊び防止エラストマーリングである。また、図中、符号を打っていない黒塗りの丸はシールを示す。
【0027】
本実施形態の液状物塗布ガンモジュールによれば、液剤例えば接着剤の吐出に用いられる場合には、操作エアを供給することでピストン18のボール37がマイクロアジャスト38に当接するまでピストン18が押し上られ、バルブを開くことで加圧下にある液剤が吐出される。操作エアの停止(加圧停止・開放)によってスプリング41の力でニードル26を押しさげられてバルブが閉じられることで接着剤の吐出が停止する。マイクロアジャスト38の調整によりバルブ開度を調整する。
【0028】
以上のように構成された本実施形態の液状物塗布ガンモジュールによれば、360°、円周上の任意の位置で操作用エアも液剤も供給できる。このため、1つのブロックのマニホールド2に複数本のバルブ本体1を装着したマルチ化が容易となる。例えば図7及び図8に示すように、複数のバルブ本体1を1つのマニホールド2にドロップイン方式で装着することで簡単にマルチバルブが構成できる。この場合、液剤供給路がそれぞれ共用できるので、単一のブロックから成るマニホールド2にて構成できる。操作用エアは、個々にマニホールド2に形成された操作エア供給11を経て各バルブ本体1のシリンダ室に供給される。尚、図中の符号46は盲プラグである。
【0029】
さらに、図9及び図10に示すように、奥行き側にもバルブ本体1をドロップインさせて、1つのマニホールドブロックに対して縦横に多数のバルブ本体1を搭載できる。例えば、図9及び図10には、15×7の総数105個のバルブが配列された実施形態を示している。しがって、縦横の各バルブ本体1から吐出される液剤の線が重ならないように、マニホールドブロックを斜めに配置すれば、吐出された液剤の線を細かいピッチで形成できる。この場合も、上述のマルチガンと同様に、液剤供給路がそれぞれ共用できるので、単一のブロックから成るマニホールド2にて構成できる。操作用エアは、個々にマニホールド2に形成された操作エア供給11を経て各バルブ本体1のシリンダ室に供給される。
【0030】
そして、マルチ化された液状物塗布ガンモジュールによると、バルブ本体の配置間隔も狭くでき、高密度化(集積密度が高められる)が可能となるので、ノズルから吐出される液剤の線と線若しくはドットとドットとのピッチを狭くすることができる。つまり、奥行きのあるブロック・マニホールドにバルブを配置できるので、横一列にしか配置できなかった従来のバルブに比べて、さらに奥行き方向即ち縦横にバルブを配置できるので、吐出ピッチを短くもできる。しかも、マルチ化ができれば、被吐出面に対して移動方向に対して斜めに配置することでさらにノズルから吐出される液剤の線と線若しくはドットとドットとのピッチを狭くすることができる。
【0031】
さらに、バルブ本体をマニホールドで包み込むような構造であるため、360°から温められるので、加熱保温効率が良くなる。
【0032】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では溶融ホットメルト接着剤の吐出の例を挙げて主に説明したが、これに限られるものではなく、回路基板に電子部品等を実装するとき等の接着剤やシリコーン樹脂液などの液状物を塗布、吐出する場合にも適用できることはいうまでもない。
【0033】
また、上述の実施形態では、バルブ本体1の外周面に開口する操作用エア導入孔の上を通過するように環状溝が形成されている(換言すれば、環状溝の溝底に操作用エア導入孔が穿孔されている)が、これに特に限られず、マニホールド2側の操作用エア供給11が開口する位置を通過するように環状溝がバルブ本体1の外周面に形成され、この環状溝とバルブ本体1の操作用エア導入とが異なる位置に形成される場合にはこれらを連通溝(軸方向の溝)で繋ぐようにしても良い。同様に、液剤供給路と環状溝との関係も、マニホールド2側の液剤供給路が開口する位置を通過するように環状溝がバルブ本体1の外周面に形成され、この環状溝とバルブ本体1の液剤導入孔とが異なる位置に形成される場合にはこれらを連通溝(軸方向の溝)で繋ぐようにしても良い。
【0034】
さらに、環状溝とマニホールド2側の操作用エア導入とが異なる位置に形成される場合には、バルブ本体1の外周面に開口する操作用エア導入孔の上を通過するように環状溝に対してマニホールド2側の操作用エア供給11の開口を連通溝(軸方向の溝)で繋ぐようにしても良い。同様に、液剤供給路と環状溝との関係も、マニホールド2側の液剤供給路が開口する位置を通過するように環状溝がバルブ本体1の外周面に形成され、この環状溝とバルブ本体1の液剤導入孔とが異なる位置に形成される場合にはこれらを連通溝(軸方向の溝)で繋ぐようにしても良い。つまり、環状溝とバルブ本体1の外周面に開口する操作用エア導入孔とマニホールド2の凹部の内周面に開口する操作用エア導入とが必ずしも同じ円周上に配置されていなくとも良いし、環状溝がこれらと同じ円周上に配置されていなくとも良い。
【符号の説明】
【0035】
1 バルブ本体
2 マニホールド
10 液剤供給
11 操作用エア供給
12 操作用エア供給用継手
13 液剤用継手(IN)
14 液剤用継手(OUT)
17 駆動部
18 ピストン
19 シリンダ室
20 操作用エア供給孔
21 環状溝(操作用エア供給孔用)
22 操作エア用シール
23 液剤供給
23IN 液剤供給IN
23IN 液剤供給OUT
24 環状溝(液剤供給路用)
25 液剤漏れシール(Oリング)
26 ニードル
27 ドロップインボディ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11