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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】二重瞼形成具
(51)【国際特許分類】
   A45D 44/22 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
A45D44/22 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020099586
(22)【出願日】2020-06-08
(65)【公開番号】P2021192751
(43)【公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】509164418
【氏名又は名称】株式会社アーツブレインズ
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100188743
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】谷山 次郎
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-000394(JP,A)
【文献】特開2009-160275(JP,A)
【文献】特開2009-195410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 44/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
瞼に貼着されて二重瞼を形成するためのテープ部材と、前記テープ部材を前記瞼に対して貼着するためのアプリケータとを有し、前記テープ部材が貼着された前記アプリケータを把持した状態で、該テープ部材を瞼に移転させて貼着させる二重瞼形成具であって、
前記アプリケータは、可撓性を有して軸線方向に延びるシートにより形成されていて、厚さ方向一方側に形成された内面及び厚さ方向他方側に形成された外面と、軸線方向一端側に形成された先端部及び軸線方向他端側に形成された基端部と、を有しており、
前記テープ部材は、厚さ方向一方側に形成された第1面、及び厚さ方向他方側に形成された第2面を有する細長のテープ本体と、前記テープ本体の前記第1面上に設けられて、前記テープ本体の前記瞼への貼着に供される第1粘着剤層、及び前記第2面上に設けられた第2粘着剤層と、により形成されており、
前記アプリケータの前記先端部は、軸線と直交する幅方向に対して細長に形成されていて、長手方向における前記軸線を挟んだ両側に第1端と第2端とを有しており、
前記アプリケータにおける前記先端部の前記内面は、前記第2粘着剤層に対して易剥離性を有しており、
前記テープ部材は、その長手方向の中央を含む少なくとも中間部分が前記アプリケータの前記先端部の前記内面によって支持された状態で、前記先端部の前記内面に前記第2粘着剤層によって貼着されており、
前記アプリケータの前記基端部には、前記アプリケータの前記外面側における前記軸線を挟んだ幅方向の両側から片手の指先で摘まんで把持することにより、前記アプリケータの前記先端部を、前記内面側が凹となるように、湾曲した状態に変形させる把持部が形成されている
ことを特徴とする二重瞼形成具。
【請求項2】
前記把持部は、前記把持部を前記片手の前記指先で摘まむ際に、前記把持部が前記外面側に凸に変形するのを促すことにより、前記指先での把持を補助する把持補助部を有している
ことを特徴とする請求項1に記載の二重瞼形成具。
【請求項3】
前記把持補助部は、軸線方向に延びていて、前記把持部を前記指先で摘まむ際に、前記把持部が前記外面側に山折りとなるように形成された折り補助線である
ことを特徴とする請求項2に記載の二重瞼形成具。
【請求項4】
前記テープ本体の長手方向の長さが、前記アプリケータの前記先端部における前記第1端と前記第2端との間の長さよりも大きく形成されていて、
前記テープ本体の両端部は、前記先端部の前記第1端及び前記第2端の夫々から外方向に延出する一対の延出部を形成している
ことを特徴とする請求項1に記載の二重瞼形成具。
【請求項5】
前記アプリケータは、さらに、その幅方向において、前記先端部の前記第1端及び前記第2端の夫々から外方向に一体に延出した一対の破断除去部を有していて、
前記破断除去部の前記内面も、前記第2粘着剤層に対して易剥離性を有しており、
前記テープ本体の前記一対の延出部は、前記一対の破断除去部の前記内面に対し、前記第2粘着剤層によって貼着されており、
前記一対の破断除去部は、前記先端部の前記第1端及び前記第2端に軸線方向の剪断力を作用させることにより、前記先端部から分断可能に設けられる
ことを特徴とする請求項4に記載の二重瞼形成具。
【請求項6】
前記アプリケータの幅方向の両端には、軸線方向に延びる一対の外側端が形成されていて、
前記二重瞼形成具は、さらに、前記一対の外側端に沿って軸線方向に延びる可撓性のフレーム部を有しており、
前記一対の破断除去部の夫々には、前記フレーム部の先端側の端部が一体に連結され、
前記アプリケータの前記把持部をその前記内面側へと前記フレーム部に対して相対的に移動させることにより、前記フレーム部に繋がる前記一対の破断除去部が、前記アプリケータの前記先端部から分断されるとともに、前記テープ本体における前記一対の延出部の前記第2粘着剤層から剥離される
ことを特徴とする請求項5に記載の二重瞼形成具。
【請求項7】
前記アプリケータは、前記軸線に関して幅方向に対称に形成される
ことを特徴とする請求項6に記載の二重瞼形成具。
【請求項8】
前記アプリケータの前記先端部は、前記アプリケータの幅方向に前記軸線と直角を成して直線状に延び、
前記テープ本体は、その長手方向に延びる一対の側縁が互いに平行を成す直線状に形成されている
ことを特徴とする請求項7に記載の二重瞼形成具。
【請求項9】
前記一対の外側端の夫々は、前記アプリケータの前記基端部側から前記先端部側に進むに従って幅方向外側へ傾く第1外側端を有し、
前記把持部は、前記アプリケータの幅方向において、一対の前記第1外側端で挟まれた区画部分により形成されている
ことを特徴とする請求項8に記載の二重瞼形成具。
【請求項10】
前記一対の外側端は、
一対の前記第1外側端の夫々の先端に繋がって前記先端部側に進むに従って幅方向内側へ傾いて前記先端部の前記第1端及び前記第2端に繋がる第2外側端を有する
ことを特徴とする請求項9に記載の二重瞼形成具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上瞼に擬似的な二重瞼を形成するための二重瞼形成具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、瞼に擬似的な二重を形成するための二重瞼形成用化粧品として、粘着テープを上瞼に貼付する二重瞼形成用テープが知られている。この二重瞼形成用テープは、二重瞼が形成される作用機序により、主として、特許文献1のような、両面粘着テープで上瞼の皮膚同士を折り畳んだ状態で接着させることにより二重瞼の襞を形成するもの(以下、「接着型」という。)と、特許文献2のような、粘着テープを上瞼の皮膚上に貼着して上瞼の皮膚上に硬質な被膜を形成し、上瞼を開いた際に、その被膜の上縁で上瞼の皮膚が折り返されることにより二重瞼の襞が形成されるもの(以下、「被膜型」という。)と、特許文献3のような、テープ部材を伸長させたときの弾性的収縮性を利用して、テープ部材が上瞼にくい込んだ状態とすることにより二重瞼を形成するもの(以下、「伸縮型」という。)とに分類することができ、使用者の瞼の性状や好みに応じて適宜使い分けられている。
【0003】
ところで、このような二重瞼形成用テープのテープ部材は、瞼上において第三者から目立ち難く、且つ使用者に違和感を与えないようにするため、薄くて細く且つ柔軟なものであることが望ましいが、瞼に適用するにあたっては、瞼の目的の位置に皺が寄らないようにして出来るだけ正確に貼り付ける必要性がある。
【0004】
この点につき、上記「伸縮型」のテープは、テープ部材の両端を把持して長手方向に伸長させ、その伸長させたテープ部材をピンと張ったままの状態で瞼に押し当てて貼着するもので、テープ部材を、皺が寄ることなく瞼の目的の位置に容易に貼り付けることができることから、極めて操作性に優れているといえる。
【0005】
その一方で、上記「接着型」及び「被膜型」のテープにおいては、台紙から剥がした上記テープ部材を、指先を用いて、その原形を維持したままの状態で凸曲面から成る瞼に貼り付ける必要性がある。そのため、テープ部材に皺が寄らないようにして、瞼の目的の位置に綺麗に貼り付けることは必ずしも容易ではない。
【0006】
そこで、特許文献4-6においては、このような、テープ部材の原形を維持したままの状態で瞼に貼着するタイプの二重瞼形成用テープに用いるためのアプリケータが提案されている。上記特許文献4では、2本の棒状部材によって略V字状に形成されたスティックをアプリケータとして使用し、その各棒状部材の先端にテープ部材(粘着テープ)の両端部を仮着させた状態で、テープ部材を瞼に貼り付けるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2008-302259号公報
【文献】特開平10-304935号公報
【文献】特許第3277180号公報
【文献】実用新案登録第3154139号公報
【文献】特開2011-188892号公報
【文献】特開2014-076224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このようなスティック状のアプリケータでは、テープ部材を、その両端部を除いた大部分がアプリケータによって支持されていない状態で、先端の開度を調節しながら瞼に貼り付ける必要性がある。そのため、テープ部材に皺が寄らないように、その片面全面を瞼の所望の位置に確実に貼り付けるのは必ずしも容易ではない。
【0009】
それに対して、特許文献5及び6では、アプリケータの先端部に瞼の形状(凸曲面)に対応した凹曲面から成るテープ装着面を形成して、そのテープ装着面にテープ部材を仮着させ、アプリケータを瞼に押し当てることにより、テープ部材を瞼に貼り付けるようになっている。しかしながら、瞼の形状は、個人差があり、また各個人においても体調等によって変化するので、このようなテープ装着面の形状が固定された従来のアプリケータでは、それに適合する瞼の形状の範囲が制限されてしまう。
【0010】
本発明の技術的課題は、瞼に貼着して二重瞼を形成するための二重瞼形成具において、瞼の形状に対する適合性に優れ、瞼に対してテープ部材を皺が寄ることなく綺麗かつ容易に貼着することできる二重瞼形成具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するため、本発明は、瞼に貼着されて二重瞼を形成するためのテープ部材と、前記テープ部材を前記瞼に対して貼着するためのアプリケータとを有し、前記テープ部材が貼着された前記アプリケータを把持した状態で、該テープ部材を瞼に移転させて貼着させる二重瞼形成具であって、前記アプリケータは、可撓性を有して軸線方向に延びるシートにより形成されていて、厚さ方向一方側に形成された内面及び厚さ方向他方側に形成された外面と、軸線方向一端側に形成された先端部及び軸線方向他端側に形成された基端部と、を有しており、前記テープ部材は、厚さ方向一方側に形成された第1面、及び厚さ方向他方側に形成された第2面を有する細長のテープ本体と、前記テープ本体の前記第1面上に設けられて、前記テープ本体の前記瞼への貼着に供される第1粘着剤層、及び前記第2面上に設けられた第2粘着剤層と、により形成されており、前記アプリケータの前記先端部は、軸線と直交する幅方向に対して細長に形成されていて、長手方向における前記軸線を挟んだ両側に第1端と第2端とを有しており、前記アプリケータにおける前記先端部の前記内面は、前記第2粘着剤層に対して易剥離性を有しており、前記テープ部材は、その長手方向の中央を含む少なくとも中間部分が前記アプリケータの前記先端部の前記内面によって支持された状態で、前記先端部の前記内面に前記第2粘着剤層によって貼着されており、前記アプリケータの前記基端部には、前記アプリケータの前記外面側における前記軸線を挟んだ幅方向の両側から片手の指先で摘まんで把持することにより、前記アプリケータの前記先端部を、前記内面側が凹となるように、湾曲した状態に変形させる把持部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
この場合において、好ましくは、前記把持部は、前記把持部を前記片手の前記指先で摘まむ際に、前記把持部が前記外面側に凸に変形するのを促すことにより、前記指先での把持を補助する把持補助部を有している。より好ましくは、前記把持補助部は、軸線方向に延びていて、前記把持部を前記指先で摘まむ際に、前記把持部が前記外面側に山折りとなるように形成された折り補助線である。
【0013】
また、本発明において、好ましくは、前記テープ本体の長手方向の長さが、前記アプリケータの前記先端部における前記第1端と前記第2端との間の長さよりも大きく形成されていて、前記テープ本体の両端部は、前記先端部の前記第1端及び前記第2端の夫々から外方向に延出する一対の延出部を形成している。より好ましくは、前記アプリケータは、さらに、その幅方向において、前記先端部の前記第1端及び前記第2端の夫々から外方向に一体に延出した一対の破断除去部を有していて、前記破断除去部の前記内面も、前記第2粘着剤層に対して易剥離性を有しており、前記テープ本体の前記一対の延出部は、前記一対の破断除去部の前記内面に対し、前記第2粘着剤層によって貼着されており、前記一対の破断除去部は、前記先端部の前記第1端及び前記第2端に軸線方向の剪断力を作用させることにより、前記先端部から分断可能に設けられる。
【0014】
このとき、さらに好ましくは、前記アプリケータの幅方向の両端には、軸線方向に延びる一対の外側端が形成されていて、前記二重瞼形成具は、さらに、前記一対の外側端に沿って軸線方向に延びる可撓性のフレーム部を有しており、前記一対の破断除去部の夫々には、前記フレーム部の先端側の端部が一体に連結され、前記アプリケータの前記把持部をその前記内面側へと前記フレーム部に対して相対的に移動させることにより、前記フレーム部に繋がる前記一対の破断除去部が、前記アプリケータの前記先端部から分断されるとともに、前記テープ本体における前記一対の延出部の前記第2粘着剤層から剥離される。そして、さらにより好ましくは、前記アプリケータは、前記軸線に関して幅方向に対称に形成される。
【0015】
ここで、前記アプリケータの前記先端部は、前記アプリケータの幅方向に前記軸線と直角を成して直線状に延び、前記テープ本体は、その長手方向に延びる一対の側縁が互いに平行を成す直線状に形成されていても良い。また、前記一対の外側端の夫々は、前記アプリケータの前記基端部側から前記先端部側に進むに従って幅方向外側へ傾く第1外側端を有し、前記把持部は、前記アプリケータの幅方向において、一対の前記第1外側端で挟まれた区画部分により形成されていても良い。さらに、前記一対の外側端は、一対の前記第1外側端の夫々の先端に繋がって前記先端部側に進むに従って幅方向内側へ傾いて前記先端部の前記第1端及び前記第2端に繋がる第2外側端を有していても良い。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、瞼に貼着して二重瞼を形成するための二重瞼形成具において、瞼の形状に対する適合性に優れ、瞼に対してテープ部材を皺が寄ることなく綺麗かつ容易に貼着することが可能な二重瞼形成具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る二重瞼形成具を示し、同図(a)は、二重瞼形成具の平面図であり、同図(b)は、二重瞼形成具の正面図であり、同図(c)は、二重瞼形成具の側面図である。
図2】テープ部材が貼着されていない状態を示す二重瞼形成具の正面図である。
図3】テープ部材が貼着され且つ剥離紙及び分離部が取り除かれた状態を示すアプリケータの正面図である。
図4図1(a)のIV-IV矢視に相当する、二重瞼形成具の先端側の拡大断面図である。
図5】アプリケータを分離部から分離する過程を示す二重瞼形成具の斜視図である。
図6】同図(a)は、アプリケータを湾曲させた状態を示す斜視図であり、同図(b)は、把持部を把持してアプリメータを湾曲させた状態を示す斜視図である。
図7】二重瞼形成具の使用方法を示す説明図であり、同図(a)は、閉じた瞼にアプリケータの先端部を押し当てた状態を示す説明図であり、同図(b)は、アプリケータの先端部を瞼に押し当てたままで瞼を開いた状態を示す説明図である。
図8】同図(a)は、アプリケータによってテープ部材を瞼に貼着する過程を説明するための断面図であり、同図(b)は同図(a)のA矢視部分の拡大図である。
図9】瞼に貼着されたテープ部材の第2粘着剤層に瞼が貼着された状態を説明する断面図である。
図10】本発明の第1実施形態に係る二重瞼形成具の第1変形例を示し、同図(a)は、二重瞼形成具の正面図であり、同図(b)は、同図(a)のX-X矢視に相当する部分断面図である。
図11】複数の二重瞼形成具を収容ケースに収容した状態を示す斜視図を示す。
図12】同図(a)は、図11の平面図であり、同図(b)は、同図(a)のXII-XII矢視に相当する断面図である。
図13図11の分解斜視図を示す。
図14】本発明の第1実施形態に係る二重瞼形成具の第2変形例を示し、同図(a)は、二重瞼形成具の正面図であり、同図(b)は、二重瞼形成具の側面図であり、同図(c)は、同図(a)のXIV-XIV矢視に相当する断面図である。
図15図14(c)のXV矢視部分の拡大面である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態に係る二重瞼形成具及びこの二重瞼形成具を用いた二重瞼の形成方法について説明する。また、本明細書において、二重瞼形成具1の図1(b)に示す軸線Jに平行な方向を単に「軸線J方向」と記述し、二重瞼形成具1の軸線Jに対して直交する方向を単に「幅W方向」と記述し、幅W方向及び軸線J方向に対して直交する方向、即ち二重瞼形成具1の厚さ方向を単に「厚さ方向」と記述することがある。また、以下の説明において、軸線J方向の一方側を単に「先端側」と記述し、軸線J方向の他方側を単に「基端側」と記述することがある。また、厚さ方向の一方側を単に「厚さ方向内側」と記述し、厚さ方向の他方側を単に「厚さ方向外側」と記述することがある。
【0019】
[第1実施形態]
<全体構成>
本発明に係る二重瞼形成具1は、上瞼に擬似的な二重瞼を形成するためのものであり、図1(a)-(c)に示すように、テープ部材10と、アプリケータ30と、フレーム部48とを有する。テープ部材10は、上瞼に貼着されて二重瞼を形成すると共に、その形成された二重瞼を維持するものである。アプリケータ30は、テープ部材10を瞼に貼着して二重瞼を形成するためのものである。フレーム部48は、アプリケータ30の幅方向両側に形成された一対の外側端33に沿って軸線方向に延びている。以下、構成部材ごとに詳細に説明する。
【0020】
(テープ部材)
テープ部材10は、図3及び図4に示すように、テープ本体11と第1及び第2粘着剤層12a,12bとにより形成されていて、第2粘着剤層12bによって、アプリケータ30の先端部38の内面31に貼着されている。テープ本体11は、合成樹脂で形成されていて、幅W方向に細長の長方形状に延びている。そして、そのテープ本体11の厚さ方向内側には第1面11aが形成され、厚さ方向外側には第2面11bが形成されており、該第2面11bは、該第1面11aに沿って延びている。第1面11a及び第2面11bは、テープ本体11と同様に幅方向に細長の長方形状に形成されており、そのため、テープ本体11は、その長手方向に延びる一対の側縁11c、11dが互いに平行を成す直線状に形成されている。
【0021】
テープ本体11の長手方向の両端部には、アプリケータ30の先端部38の第1端38a及び第2端38bの夫々から、該アプリケータ30の幅W方向外側へ延出する一対の延出部10b,10bが形成されている。すなわち、テープ本体11の長手方向の長さLtは、アプリケータ30の先端部38における第1端38aと第2端38bとの間の長さLaよりも大きく形成されている。このとき、テープ本体11の長さLtは、目尻と目頭との間の瞼eの幅方向長さと同じかそれよりも少し短くなるように形成されている(図7(a)参照)。なお、テープ本体11の延出部10b,10bは、正面視において、先端側に進むに従ってテープ本体11の短手方向の幅が小さくなるように傾斜する台形状に形成されている。
【0022】
テープ本体11の第1面11aの全面には、図4に示すように、瞼eへの貼着に供される第1粘着剤層12aが設けられ、テープ本体11の第2面11bの全面には、第2粘着剤層12bが設けられている。本実施形態では、第1粘着剤層12a及び第2粘着剤層12bは、互いに同じ粘着剤を用いて同じ厚さに形成されており、その結果、同じ接着強度を有している。すなわち、後述するように、本実施形態では、第2粘着剤層12bも、瞼eへの貼着に供されるものであり、テープ部材10は、上瞼の皮膚同士を折り畳んだ状態で接着させることにより二重瞼(二重瞼の襞)を形成する、前記「接着型」の二重瞼形成用テープに相当する。それに対して、第2粘着剤層12bの接着強度を第1粘着剤層12aよりも十分に小さくした場合、そのようなテープ部材10は、瞼eの皮膚上に硬質な被膜を形成し、瞼eを開いた際に、その被膜の上縁で瞼eの皮膚が折り返されることにより二重瞼(二重瞼の襞)が形成される、前記「被膜型」の二重瞼形成用テープとすることができる。
【0023】
ここで、このようなテープ本体11を形成する合成樹脂としては、ポリエステル樹脂(例えば、PET樹脂)やポリオレフィン樹脂等を用いることが可能であるが、好ましくは、ポリオレフィン樹脂、より好ましくは、ポリプロピレン樹脂が用いられる。また、第1及び第2粘着剤層12a.12bを形成する粘着剤としては、人体に使用できるものであれば特に限定されないが、好ましくは、医療用のアクリル系粘着剤が用いられる。
【0024】
第1粘着剤層12a上には、該第1粘着剤層12aに対して易剥離性を有する剥離紙14が貼着されている。剥離紙14は、紙製のシートで形成され、テープ部材10の第1面11aの全面(すなわち、第1粘着剤層12aの全面)を覆うように長方形状に形成されている。このため、剥離紙14によって第1面11aに設けられた第1粘着剤層12aの全面を保護することができるとともに、第1面11aから剥離紙14を剥離させると第1粘着剤層12aの全面を露出させることができる。
【0025】
より具体的には、剥離紙14は内面14a及び外面14bを有しており、第1粘着剤層12aに貼着される側の内面14a上には、例えば、フッ素樹脂又はシリコーン樹脂から成る易剥離層が形成されている。このため、剥離紙14はテープ部材10から容易に剥離可能である。ここで、前記外面14bにも前記易剥離層が設けられていても良い。また、剥離紙14は、図1(b)に示すように、テープ本体11の長手方向に延びる一対の側縁11c、11dに対して傾斜した破断線14cにより、その長手方向において2枚に分割されている。本実施形態では、剥離紙14の短手の幅方向中間部に、破断線14cが設けられている。このため、2枚に分割された剥離紙14は、破断線14cの両端に形成された鋭角部分を起点として、テープ部材10から容易に剥離することができる。なお、破断線14cの延びる方向は、側縁11c、11dに対して斜め方向に限られるものではなく、剥離紙14を容易にテープ部材10から剥離することができさえすれば、如何なる方向に延びてもよい。また、この破断線14cは、必ずしも設ける必要性はなく、剥離紙14を1枚のシートで形成してもよい。
【0026】
(アプリケータ)
アプリケータ30は、図1(b)及び図2に示すように、可撓性を有して軸線J方向に延びるシートにより縦長の舌片状に形成されている。また、アプリケータ30は、その厚さ方向内側に形成された内面31と、その厚さ方向外側に形成された外面32と、軸線J方向において、一方の先端側に形成された先端部38及び他方の基端側に形成された基端部39とを有していて、軸線Jに関して幅W方向に対称に形成されている。このとき、該アプリケータ30を形成する材料としては、指先で撓ませることが可能な可撓性の各種シートが好適に用いられるが、本実施形態においては、そのようなシートのうち紙製のシートが用いられている。
【0027】
アプリケータ30の先端縁である先端36は、該アプリケータ30の幅W方向に直線状に延びている。そして、該先端36を含む前記先端部38は、幅W方向に対して細長の帯状に形成されていて、その長手方向における軸線Jを挟んだ両側に第1端38aと第2端38bとを有している。本実施形態において、前記先端部38は、アプリケータ30の幅W方向に延びる長方形状に形成されている。また、該アプリケータ30は、その先端部38の第1端38a及び第2端38bの夫々から、アプリケータ30の幅W方向外側に一体に延出された一対の破断除去部37を有している。さらに、該破断除去部37は、後述するフレーム部48とも一体に形成されていて、前記テープ部材10の長手方向の両端部の形状と一致するように台形状に形成されている。すなわち、破断除去部37,フレーム部48及びアプリケータ30は、同じシート(本実施形態では紙製のシート)によって形成され、一枚の同じシートにおいて互いに一体に連結されている。
【0028】
テープ部材10は、図1(b)及び図4に示すように、その長手方向の中央を含む少なくとも中間部分10cがアプリケータ30の先端部38の内面31によって支持された状態で、該先端部38の内面31に第2粘着剤層12bによって貼着されている。本実施形態では、テープ部材10の第2面11bにおける前記一対の延出部10b,10bを除く全面が、第2粘着剤層12bによって、アプリケータ30の先端部38における内面31全体に亘って貼着されている。さらに、テープ部材10の一対の延出部10b,10bは、対応する前記破断除去部37の内面31にそれぞれ貼着されている。すなわち、テープ部材10は、アプリケータ30の先端36に沿って直線状に延びて前記先端部38の内面31及び前記破断除去部37の内面31に貼着されている。
【0029】
ここで、アプリケータ30の先端部38の内面31には、テープ部材10の第2粘着剤層12bに対して易剥離性を有する易剥離部31aが設けられている。そうすることで、第2粘着剤層12bによるテープ部材10とアプリケータ30との接着強度が、第1粘着剤層12aによるテープ部材10と瞼eの皮膚との接着強度よりも弱くなるようにしている。また、該易剥離部31aは破断除去部37の内面31にも設けられており、テープ部材10から破断除去部37が剥離し易くなっている。本実施形態では、易剥離部31aは、アプリケータの内面31の全面及び外面32の全面に設けられている。なお、易剥離部31aは、例えば、内面31及び外面32上に設けられたフッ素樹脂層又はシリコーン樹脂層等の易剥離層によって形成することができる。
【0030】
アプリケータ30の幅W方向両端縁には、図1(b)及び図2に示すように、軸線J方向に沿って延びる一対の外側端33が形成されている。一対の外側端33の夫々は、アプリケータ30の基端側から先端側に進むに従って幅W方向外側へ傾く第1外側端34と、第1外側端34の夫々の先端に繋がって先端側に進むに従って幅W方向内側へ傾いて、前記アプリケータ30の先端部38の第1端38a及び第2端38bに繋がる第2外側端35とを有している。そして、これら一対の第1外側端34及び一対の第2外側端35は、アプリケータ30の軸線Jに関して幅W方向に対称に形成されている。
【0031】
すなわち、第2外側端35は、破断除去部37の幅W方向内側の基端側端部に繋がっている。このため、後述するように、フレーム部48に対してアプリケータ30を引き上げると、前記アプリケータの先端部38の第1端38a及び第2端38bにおいて、破断除去部37,37が破断され、フレーム部48と共にアプリケータ30から分離されるようになっている。また、このアプリケータ30の基端部39は、軸線J方向において、基端縁に行くにしたがって先細(すなわち、徐々に幅が狭くなるように)形成されている。そして、このアプリケータ30における前記基端縁を含む基端部39は、後述のように、瞼eに形成された二重瞼の形や幅を整えるのに用いることができる。
【0032】
さらに、アプリケータ30の基端部39には、図1(b)に示すように、指先(例えば、親指と人差し指)での把持に供される把持部40が形成されている。この把持部40は、アプリケータ30の幅W方向において、一対の第1外側端34で挟まれた区画部分により形成されている。このため、把持部40は、軸線J方向において、基端部側から先端部側へ進むに従って幅が広くなっている。そして、図6(b)に示すように、この把持部40を、アプリケータ30の外面32側における軸線Jを挟んだ幅W方向両側から片手の指先fで摘まんで把持することにより、アプリケータ30の先端部38を、その内面31側が凹となるように、湾曲した状態に変形させることができるようになっている。
なお、本実施形態においては、第1外側端34の軸線J方向長さが、第2外側端35のそれよりも長く形成されているため、把持部40の軸線J方向長さが十分に確保されている。
【0033】
このように、本実施形態においては、一対の外側端33が軸線Jに関して幅W方向に対称に形成されている(すなわち、アプリケータ30が軸線Jに関して幅W方向に対称に形成されている)ので、図6(a)及び図6(b)に示すように、外面32側から把持部40の幅W方向両側を指先fで把持すると、先端部38を軸線Jに関して幅W方向に対称に湾曲させることができる。その結果、テープ部材10も、軸線Jに関してその長手方向(すなわち、アプリケータ30の幅W方向)に対称に湾曲させることができる。
【0034】
また、上述のように、アプリケータ30は、可撓性を有したシート(本実施形態では紙製のシート)によって形成されているため、図7(a)のように、テープ部材10が貼着されたアプリケータ30の先端部38を瞼eの皮膚に押し当てた際に、湾曲した先端部38が、それを押し当てた瞼eの曲面形状に沿うように変形する。すなわち、アプリケータ30の先端部38の湾曲の度合いが、それを押し当てた瞼eの曲面形状に対してより適合するように調節される。また、アプリケータ30の先端部38の湾曲の度合いは、軸線J方向における把持部40を摘む位置や、該把持部40を摘む力を変えることによって、意図的に調節することも可能である。このような構成を有するアプリケータ30によれば、テープ部材10を、瞼eの曲面形状に沿うように湾曲させて、皺を生じさせることなく綺麗かつ容易に瞼eに対して貼着することができる。
【0035】
さらに、前記把持部40には、図1(b)及び図6(b)に示すように、把持部40を片手の指先fで摘まむ際に、該把持部40が外面32側に凸に変形するのを促すことにより、指先fでの把持を補助する把持補助部45が設けられている。本実施形態において、この把持補助部45は、把持部40を指先fで摘まむ際に、該把持部40が外面32側に山折りとなるように形成された折り補助線45aによって形成されている。折り補助線45aは、軸線Jに沿って、アプリケータ30の基端側から先端側へと、第1外側端34と第2外側端35とが接続する軸線J方向の位置と略同じ位置まで延びる。このように、アプリケータ30に折り補助線45aを設けることで、把持部40が片手の指先fで把持されると、該把持部40は、前記折り補助線45aを中心として外面32側が山折りとなって折れ曲がる。このため、指先fでのアプリケータ30の把持及びそれに伴う曲げ操作が容易になり、その結果、アプリケータ30の先端部38を、その内面31側が凹状となるように、容易に湾曲させることが可能となる
【0036】
(フレーム部)
アプリケータ30の先端部38の長手方向(幅W方向)両側に設けられた一対の破断除去部37,37には、図2に示すように、一対の外側端33に沿って軸線J方向に延びるフレーム部48の先端側の端部が一体に連結されている。本実施形態において、このフレーム部48は可撓性を有しており、アプリケータ30の先端側に位置する前記一対の破断除去部37,37との連結部分から前記一対の外側端33に沿って延び、該アプリケータ30の基端側を取り囲むようにU字状に形成された枠体49によって形成されている。また、アプリケータ30と同様に該枠体49も、軸線Jに関して幅W方向に対称に形成される。
【0037】
枠体49の外側の輪郭は、正面視において、軸方向に長い長方形状に形成され、枠体49の中央部には、軸方向に延びてアプリケータ30の外形と略同じ形状を有して厚さ方向に貫通する孔部49aが設けられている。枠体49の4隅には、貫通孔49bが設けられている。貫通孔49bには、複数の二重瞼形成具1を重ね合わせた状態で保持するための軸部62(図12(b)参照)が挿通される。なお、枠体49(フレーム部48)は、アプリケータ30の幅W方向において、該アプリケータ30を中央に介在させて2つに分離されていてもよい。この場合には、アプリケータ30の基端側の端部は、二点鎖線で示すように、枠体49の基端側の端部まで延びている。
【0038】
次に、二重瞼形成具1において、アプリケータ30をフレーム部48(枠体49)から分離する手順について説明する。先ず、アプリケータ30の基端部39を指先で持ち、図5に示すように、フレーム部48に対して該基端部39を、前記内面31側に持ち上げるようにして起き上がらせる。そうすると、アプリケータ30が、一対の破断除去部37,37の夫々に繋がる第2外側端35,35の先端間(すなわち、アプリケータの先端部38)を中心に回動して起き上がる。そして、その起き上がらせたアプリケータ30を、さらにフレーム部48に対して90度以上(軸線J方向において、基端部39が先端部38を超える位置まで)回動させて、軸線J方向に引張り力を作用させる。
【0039】
すると、アプリケータ30の先端部38の第1端38a及び第2端38bと、一対の破断除去部37,37との間に軸線J方向の剪断力が作用し、その剪断力により、前記先端部38の第1端38a及び第2端38bで前記破断除去部37,37が破断(切断)されて、アプリケータ30がフレーム部48から分離される。そして、その分離と同時に、テープ部材10における前記破断除去部37に貼付されていた一対の延出部10b,10bが、該破断除去部37から剥離される。その結果、図3に示すように、テープ部材10の長手方向両側部分に配された一対の延出部10b,10bが、アプリケータ30の先端部38の第1端38a及び第2端38bから、該アプリケータ30の幅W方向外側に突出して露出した状態となる。
【0040】
<二重瞼形成具を用いた二重瞼の形成方法>
以下に、各図を参照しながら、二重瞼形成具1を用いた二重瞼の形成方法について説明する。まず、剥離紙14をテープ部材10から剥離して取り除いてから、図5に示すようにして、アプリケータ30をフレーム部48から分離すると同時に、テープ部材10の長手方向両端部に形成された一対の延出部10b,10bを、該フレーム部48と一体に連結された前記破断除去部37,37から剥離する。このとき、剥離紙14をテープ部材10から取り除くタイミングについては、特に、剥離紙14に上記破断線14cが設けられている場合、アプリケータ30をフレーム部48から分離した後であってもよい。このようにしてフレーム部48からアプリケータ30を分離すると、図3に示すように、テープ部材10の第1粘着剤層12aが露出するとともに、該テープ部材10の一対の延出部10b,10bが、アプリケータ30の先端部38の第1端38a及び第2端38bから外方に突出した状態になる。
【0041】
次に、図6(b)に示すように、アプリケータ30の外面32を上側に向けた状態で、その外面32側から把持部40の幅W方向両側を片手の指先fで摘まむことによって、テープ部材10の内面31を凹に湾曲させる。このとき、上述のように、把持部40には把持補助部45としての折り補助線45aが形成されているため、把持部40を片手の指先fで摘む操作によって、該把持部40が前記折り補助線45aを中心として外面32側に山折りされた状態となり、その結果、該把持部40を指先fで容易に把持することが可能となる。また、瞼eの形状や好みに等に応じて、上述のように、軸線J方向における把持部40を摘む把持する位置や、把持部40を摘まむ力を変化させることによって、アプリケータ30の先端部38の湾曲の度合い、すなわちテープ部材10の湾曲の度合いを調節することもできる。
【0042】
続いて、図7(a)に示すように、アプリケータ30の先端部38を、テープ部材10が貼着された内面31を瞼e側に向けて、閉じた瞼eにおける二重瞼の襞を形成したい位置に押し当てる。そうすると、第1粘着剤層12a(図3参照)によって、該テープ部材10におけるテープ本体11の第1面11a全体が、瞼eの表面e1(図8(b)参照)に貼着される。このとき、上述のように、アプリケータ30は、可撓性を有したシートによって形成されているため、テープ部材10が貼着されたアプリケータ30の先端部38を瞼eの皮膚に押し当てた際に、湾曲した先端部38が、それを押し当てた瞼eの曲面形状に沿うように変形する。すなわち、アプリケータ30の先端部38の湾曲の度合いが、それを押し当てた瞼eの曲面形状に対してより適合するように調節される。そのため、瞼eの表面e1に対してテープ部材10を、皺を寄らせることなく、綺麗かつ容易に貼着することができる。
【0043】
そして、図7(b),図8(a)及び図8(b)に示すように、閉じた瞼eを開くと、瞼eがアプリケータ30の先端36で折り返されて、瞼eに二重瞼の襞hが形成されるとともに、アプリケータ30の先端部38が襞hの内側に収容された(すなわち、挿入された)状態となる。このとき、アプリケータ30を把持している手とは逆の手の指先で、図8(b)の矢印F1で示すように襞hをその外面h1から押さえて、第1粘着剤層12aを瞼eの表面e1により馴染ませることにより、テープ部材10を該瞼eの表面e1に対してより確実に貼着させることができる。
【0044】
さらに、前記襞hの内側で瞼eの表面e1に貼着されたテープ部材10の前記第2粘着剤層12bからアプリケータ30を剥離して、該襞hの内側からアプリケータ30を取り去る。その際、アプリケータ30の内面31には前記易剥離部(易剥離層)31aが設けられ、しかも、本実施形態では、前記テープ本体11の一対の延出部10b,10bにおいては、第1粘着剤層12aが瞼eの表面e1に貼着されている一方で、第2粘着剤層12bはアプリケータ30に貼着されることなく露出している。そのため、瞼eの表面e1にテープ部材10を貼着させたままの状態で、特にアプリケータ30の先端部38の第1端38a又は第2端38bを起点として、該テープ部材10からアプリケータ30を容易に剥離させることができる。すなわち、瞼eの表面e1に貼着されたテープ部材10からアプリケータ30の先端部38を剥離する操作において、軸線J周りの回転動作を与えることにより、アプリケータ30から瞼eの表面e1へとテープ部材10を容易かつ確実に移転させることができる。
【0045】
そして、このようにしてアプリケータ30から二重瞼の襞hの内側にテープ部材10を移転させると同時に、図9の矢印F2で示すように、再度、襞hをその外面h1から押さえる。そうすることにより、第2粘着剤層12bの全体を襞hの内面h2に対して貼着させることができる。その結果、図9に示すように、二重瞼の襞hの内側において重ね合わされた瞼eの表面e1と襞hの内面h2とが、両面テープとしてのテープ部材10によって相互に固定的に接着され、該瞼eに二重瞼が形成される。このとき、上述にように、アプリケータ30の先細の基端部39側を用いて、その二重瞼の形や幅を整えることもできる。このように、本実施形態のテープ部材10は、上記「接着型」の二重瞼形成用テープに相当するものであるため、襞hの内側において重ね合わされた瞼eの表面e1と襞hの内面h2とは、瞼eの開閉に関わらず、テープ部材10によって常に接着されている。
【0046】
その一方で、テープ部材10において、第2粘着剤層12bの接着強度を第1粘着剤層12aよりも十分に小さくした場合、すなわち、テープ部材10が前記「被膜型」の二重瞼形成用テープに相当する場合には、テープ本体11の第1面11aが第1粘着剤層12aによって瞼eの表面e1に十分な強度で貼着される一方で、その第2面11bについては、第2粘着剤層12bによる襞hの内面h2への接着強度が極めて弱いか、該第2粘着剤層12bが襞hの内面h2に接着しない。そのため、瞼eを閉じた状態(目を閉じた状態)においては、二重瞼の襞hが実質的に消えるが、瞼eを開いた状態(目を開けた状態)においては、その瞼eの表面e1に貼着されたテープ部材10の上縁で、該瞼eの皮膚が折り返されることにより二重瞼の襞hが形成される。
【0047】
このように、本実施形態に係る二重瞼形成具1においては、テープ部材10が先端部38に貼着されたアプリケータ30は、可撓性に優れていていると共に前記把持補助部45を有している。そのため、把持部40を片手の指先fで容易に摘み、それにより、アプリケータ30の先端部38の内面31を容易に凹に湾曲させることができる。また、そのようにして湾曲させたアプリケータ30の先端部38を瞼eの皮膚に押し当てたときには、前記テープ部材10が貼着された該先端部38が、該アプリケータ30の優れた可撓性により、それを押し当てた瞼eの曲面形状に沿うように変形する。すなわち、テープ部材10が貼着された前記先端部38の湾曲の度合いが、それを押し当てた瞼eの曲面形状に対してより適合するように調節される。したがって、この二重瞼形成具1によれば、テープ部材10が前記「接着型」又は「被膜型」の何れの二重瞼形成用テープであるかに関わらず、瞼eの表面e1に対して該テープ部材10を、皺を寄らせることなく、綺麗かつ容易に貼着することができる。
【0048】
(第1変形例)
以下に、図10(a)及び図10(b)を用いて、前記第1実施形態に係る二重瞼形成具1の第1変形例について説明する。ただし、ここでは重複記載を避けるため、原則として、第1実施形態と相違する構成部分についてのみ説明することとし、第1実施形態と同一の構成部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0049】
上記第1実施形態では、図1に示すように、アプリケータ30の軸線J上に形成された1本の折り補助線45aによって、把持補助部45を構成した。しかしながら、この把持補助部45の形態は、このような折り補助線45aに限られるものではなく、例えば、この把持補助部45を、図10(a)及び図10(b)に示すように、アプリケータ30の幅W方向に交互に形成されて軸線J方向に直線状に延びる凹部45b及び凸部45cによって形成してもよい。
【0050】
これら凹部45b及び凸部45cは、例えばエンボス加工等によってアプリケータ30の内面31及び外面32に設けられており、アプリケータ30の基端側の端縁からアプリケータ30の先端側の端縁(すなわち、先端36)まで延びている。
なお、この変形例の場合、アプリケータ30は、透明の合成樹脂によって形成することが好ましいが、より好ましくは透明のポリエステル樹脂やポリオレフィン樹脂、さらにより好ましくは透明のPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂によって形成される。
【0051】
より具体的に説明すると、透明の合成樹脂製シートにエンボス加工によって形成された前記把持補助部45としての凹部45b及び凸部45cは、軸線Jに対して平行に、アプリケータ30の幅方向に等間隔かつ交互に形成されている。これら凹部45b及び凸部45cの断面形状は、台形状であり、その深さdはアプリケータ30の肉厚tよりも大きく形成されている。このため、アプリケータ30の外面32側から把持部40を把持することで、軸線J方向に延びる複数の凹部45b及び凸部45cによって、アプリケータ30を内面31側が凹となるように容易に湾曲させることができる。なお、図10(a)に示すように、本第1変形例においても、前記第1実施形態と同様の折り補助線45aを、前記把持補助部45の一部として、さらに追加して形成してもよい。
【0052】
また、これら凹部45b及び凸部45cは、アプリケータ30の先端部38にも形成されている。そうすることにより、これら凹部45b及び凸部45cで前記易剥離部31aを構成し、アプリケータ30の先端部38に対するテープ部材10の第2粘着剤層12bの接着強度をより弱くすることができる。そのため、アプリケータ30を用いてテープ部材10を瞼eに貼着させるにあたって、前記先端部38からのテープ部材10の剥離性をさらに向上させることができる。なお、本第1変形例において易剥離部31aは、凹部45b及び凸部45cと前記易剥離層との双方によって構成されていても良い。さらに、本第1変形例においては、アプリケータ30は透明な合成樹脂材料で形成されているため、アプリケータ30の先端部38に貼着されたテープ部材10を瞼eに貼着する際に、その瞼eを、アプリケータ30を通じて他方の目で目視しながら作業を行うことができる。
【0053】
(収容ケース60)
次に、前述した二重瞼形成具1を複数収容可能な収容ケース60について、図11図12及び図13を参照しながら説明する。収容ケース60は、底板61と上板64との間に、複数の二重瞼形成具1を重ね合わせた状態で挟持するものである。前記底板61及び上板64は、紙製や合成樹脂製のシートで形成されている。前記底板61の4隅には軸部62が、該底板61の厚さ方向内側に向けて立設され、該底板61には、U字状に切り込まれて厚さ方向に貫通した切り込み線61bが設けられている。そして、この切り込み線61bの内側部分(押し上げ部61a)が、図12(b)に示すように、底板61の厚さ方向内側に向けて押し上げ可能になっている。このとき、この押し上げ部61aは、後述するように、該収容ケース60に二重瞼形成具1を収容した状態において、アプリケータ30の基端部39(把持部40)が配される位置に形成されている。
【0054】
前記上板64は、二重瞼形成具1の枠体49(フレーム部48)と略同様なU字形状を有し、上板64の4隅には、軸部62が挿通される貫通孔64aが形成されている。また、上板64の内側には、平面視において、先端側の一端が開口すると共に、前記アプリケータ30の外形と相似形で、その外形よりも僅かに大きく形成された孔部64bが貫設されている。
【0055】
このような構成を有する収容ケース60に前記二重瞼形成具を収容するにあたっては、複数の二重瞼形成具1を重ね合わせた状態で、底板61に設けられた軸部62をこれら二重瞼形成具1及び前記上板64の貫通孔49b,64aに挿通させる。そして、上板64から突出する軸部62の先端をカシメる(潰して拡径させる)ことにより、底板61と上板64との間に複数の二重瞼形成具1を挟持させる。このような状態で、底板61の押し上げ部61aを、底板61の厚さ方向内側に押し上げると、重ね合わされた複数の二重瞼形成具1のアプリケータ30の基端部39が押し上げられる。このため、収容ケース60に収容されたアプリケータ30を、前記上板64の孔部64bから前記基端部39を指先で摘むことにより、容易に取り出すことができる。
【0056】
(第2変形例)
以下に、図14(a)-(c)及び図15を用いて、前記第1実施形態に係る二重瞼形成具1の第2変形例について説明する。ただし、ここでも重複記載を避けるため、原則として、第1実施形態と相違する構成部分についてのみ説明することとし、第1実施形態と同一の構成部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0057】
上記第1実施形態に係る二重瞼形成具においては、図1に示すように、アプリケータ30及び枠体49(フレーム部48)の外面32,49cが、他の部材よって何ら支持されていない。しかしながら、図14(a)-(c)及び図15に示すように、アプリケータ30及び枠体49(フレーム部48)の外面32,49cが、基材シート51によって支持されていてもよい。この場合、基材シート51は、PET樹脂等の合成樹脂製であって、枠体49の外面49cの全面に対して粘着剤層52によって貼着される。
【0058】
また、アプリケータ30及び枠体49の夫々の外面32、49cの全面には、易剥離部(易剥離層)31aが設けられている。この易剥離部31aは、例えば、フッ素樹脂層又はシリコーン樹脂層によって形成することができる。このため、基材シート51の粘着剤層52からアプリケータ30を容易に剥離すると共に、該粘着剤層52によって基材シート51に保持された枠体49から該アプリケータ30を容易に分離することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 二重瞼形成具
10 テープ部材
10b 延出部
10c 中間部分
11 テープ本体
11a 第1面
11b 第2面
11c、11d 側縁
12a 第1粘着剤層
12b 第2粘着剤層
14 剥離紙
30 アプリケータ
31 内面
31a 易剥離部
32、49c 外面
33 外側端
34 第1外側端
35 第2外側端
36 先端
37 破断除去部
38 先端部
38a 第1端
38b 第2端
39 基端部
40 把持部
45 把持補助部
45a 折り補助線
45b 凹部(把持補助部)
45c 凸部(把持補助部)
48 フレーム部
49 枠体
49a 孔部
51 基材シート
e 瞼
e1 瞼の表面
h 襞
h1 襞の外面
h2 襞の内面
f 指先
J 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15