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特許7450933低侵襲性心臓補助システムためのセンサヘッド装置およびこのようなセンサヘッド装置を製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】低侵襲性心臓補助システムためのセンサヘッド装置およびこのようなセンサヘッド装置を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/816 20210101AFI20240311BHJP
   A61M 60/13 20210101ALI20240311BHJP
   A61M 60/157 20210101ALI20240311BHJP
   A61M 60/174 20210101ALI20240311BHJP
   A61M 60/523 20210101ALI20240311BHJP
   A61M 60/531 20210101ALI20240311BHJP
【FI】
A61M60/816
A61M60/13
A61M60/157
A61M60/174
A61M60/523
A61M60/531
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020567770
(86)(22)【出願日】2019-06-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 EP2019064780
(87)【国際公開番号】W WO2019234149
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】102018208892.6
(32)【優先日】2018-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520469457
【氏名又は名称】カルディオン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】KARDION GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】シュルブッシュ, トーマス アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】カッセル, ユリアン
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-176719(JP,A)
【文献】特表2017-500932(JP,A)
【文献】特開2001-037728(JP,A)
【文献】米国特許第05827203(US,A)
【文献】特開平11-239617(JP,A)
【文献】特開2009-240348(JP,A)
【文献】特表2015-515429(JP,A)
【文献】特表2019-523110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 60/816
A61M 60/13
A61M 60/157
A61M 60/174
A61M 60/523
A61M 60/531
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓補助システムであって、
血液を送り出すためにカテーテルを介して左心室に送達されるように構成されたポンプと、
センサ担持要素を含むセンサヘッド装置とを含み、
センサ担持要素が、
少なくとも一つのセンサを受けるように構成された少なくとも一つのセンサキャビティ、
少なくとも一つの信号送信機を受けるように構成された少なくとも一つの信号送信機キャビティ、および
外端にテーパーキャップを含み、
前記少なくとも1つのセンサキャビティは鋳造化合物で充填されている、心臓補助システム。
【請求項2】
前記少なくとも一つのセンサキャビティが、前記少なくとも一つの信号送信機キャビティとは異なる方向に開いている、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項3】
前記少なくとも一つのセンサキャビティが、前記センサ担持要素の周りに延びる少なくとも部分的に周方向の溝によって形成された、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項4】
前記センサ担持要素の中央で、前記センサ担持要素がチャネルを含む、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項5】
前記チャネルが円筒形管を有する、請求項に記載の心臓補助システム。
【請求項6】
温度センサおよび/または圧力センサを含む少なくとも一つのセンサ、および/または
超音波素子を含む少なくとも一つの信号送信機をさらに含み、
前記少なくとも一つのセンサおよび/または前記少なくとも一つの信号送信機が、電気導電素子上に配置された、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項7】
前記信号送信機キャビティが、レンズ素子によって少なくとも部分的に覆われ、前記レンズ素子が、シリコーン材料から作製された超音波レンズおよび/またはレンズを含む、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項8】
前記センサ担持要素が熱可塑性材から形成され、および/または前記センサ担持要素が機械加工製造方法で、および/または射出成形部品として製造された、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項9】
記鋳造化合物固体またはゲル様シリコーンまたはシリコーンオイルを含む、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項10】
前記少なくとも一つのセンサキャビティが膜によってコートおよび/または被覆され、前記膜がパリレン材料および/または拡散バリアで形成されたフィルムを含む、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項11】
前記センサヘッド装置が、ガイドカニューレの第一の端の遠位に配置され、前記センサヘッド装置が、前記ガイドカニューレの第二の端の近位に配置された前記心臓補助システムのバックエンドに電気的に接続されるように構成された、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項12】
心臓補助システム用のセンサヘッド装置を生成するための方法であって、
カテーテルを介して心臓に送達されるように構成されたセンサ担持要素を形成する工程を含み、
センサ担持要素が、
少なくとも一つのセンサを受けるように構成された少なくとも一つのセンサキャビティ、
少なくとも一つの信号送信機を受けるように構成された少なくとも一つの信号送信機キャビティ、および
外端にテーパーキャップを含み、さらに
前記少なくとも1つのセンサキャビティを鋳造化合物で充填する工程を含む、方法。
【請求項13】
少なくとも一つのセンサを前記センサキャビティ内に挿入する工程、および/または
少なくとも一つの信号送信機を前記形成されたセンサ担持要素の前記少なくとも一つの信号送信機キャビティ内に挿入する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも一つのセンサキャビティが、前記少なくとも一つの信号送信機キャビティとは異なる方向に開いている、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
記鋳造化合物固体またはゲル様シリコーンまたはシリコーンオイルを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも一つのセンサキャビティを膜によってコートおよび/または被覆する工程をさらに含み、前記膜がパリレン材料および/または拡散バリアで形成されたフィルムを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
実行されるとプロセッサに方法を遂行するように指示するインストラクションを含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記方法は、
カテーテルを介して心臓に送達されるように構成されたセンサ担持要素を形成する工程を含み、
センサ担持要素が、
少なくとも一つのセンサを受けるように構成された少なくとも一つのセンサキャビティ、
少なくとも一つの信号送信機を受けるように構成された少なくとも一つの信号送信機キャビティ、および
外端にデーパーキャップを含み、さらに
前記少なくとも1つのセンサキャビティを鋳造化合物で充填する工程を含む、
非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
前記方法が、
少なくとも一つのセンサを前記センサキャビティ内に挿入する工程、および/または
少なくとも一つの信号送信機を前記形成されたセンサ担持要素の前記少なくとも一つの信号送信機キャビティ内に挿入する工程をさらに含む、請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立ク請求項クラスに従った装置または方法から進行する。本発明の主題はまた、コンピュータープログラムである。
【背景技術】
【0002】
埋め込まれた左心室補助システムなどの心臓補助システムは、身体パラメータを検出するための複数のセンサを有し得る。
【0003】
そこから進むと、本発明は、センサまたは信号送信機の統合およびカプセル化の最適化の意味で、センサヘッド装置を改善する目的に基づき、対応する有利な製造方法を指定ことである。
【0004】
このような背景に対して、低侵襲性心臓補助システム用のセンサヘッド装置、心臓補助システム用のセンサヘッド装置を製造するための方法、およびこの方法を使用する装置、ならびに最後に、主たる請求項による対応するコンピュータープログラムが、本明細書に提示されるアプローチで提示される。独立請求項に規定される装置の有利な発展および改善は、従属請求項に列挙された措置によって可能である。
【発明の概要】
【0005】
心臓補助システムのためのセンサヘッド装置の本明細書に提示されるアプローチは、例えば、大動脈弁位置での低侵襲左心室心臓補助システムにおける、センサ技術の統合およびカプセル化の改善に関する。この場合、センサヘッド装置は、例えば、心臓補助システムの供給カニューレの遠位端に配置することができ、少なくとも一つの電子センサおよび/または少なくとも一つの信号送信機、例えば超音波素子のための少なくとも一つのキャビティを有する、例えば、プラグ型のセンサパッケージとして設計される。
【0006】
患者に挿入可能な低侵襲性心臓補助システム用のセンサヘッド装置が提供され、センサヘッド装置は、少なくとも以下の特徴を有する。
センサ担持要素は、少なくとも一つのセンサを収容するための少なくとも一つのセンサキャビティ、および/または少なくとも一つの信号送信機を収容するための少なくとも一つの信号送信機キャビティを有する。
【0007】
センサヘッド装置は、例えば、温度センサおよび/または圧力センサおよび/または超音波素子などのセンサアセンブリーを統合または収容するのに役立つ、心臓補助システムの構造要素とすることができる。人工心臓またはVAD(心室支援装置)とも呼ばれる心臓補助システムは、心臓のポンプ性能を増加させるためのポンプ装置を意味すると理解され得る。心臓補助システムは、例えば、カテーテルによって、心腔内または大動脈内に挿入することができる。心臓補助システムは、特に(経皮的)左心室補助システムであり得る。センサ担持要素は、運搬構成要素、その上に、少なくとも一つのセンサおよび/または少なくとも一つの信号送信機が存在し得るか、または配置される、例えば、ハウジング、ラック、および/またはフレームであり得、センサおよび/または信号送信機は、センサ担持要素によって機械的に保護され、しっかりと支持される。センサキャビティは、例えば、センサヘッド装置のセンサ担持要素内に形成され、センサを収容および封入する役割を果たすキャビティ(例えば、正方形もしくは立方形に、または少なくとも部分的に円周方向の溝の形態で形成される)を意味すると理解され得る。センサは、例えば、温度および圧力などの特定の物理変数を、測定される変数として定性的または定量的に検出できる技術的構成要素であり得る。これらの変数は、この場合、物理的効果によって検出され得、例えば、さらなる処理可能な電気信号に変換され得る。信号送信機キャビティは、例えば、センサヘッド装置のセンサ担持要素内に形成され、信号送信機を収容および封入する役割を果たすキャビティ(例えば、正方形または円筒状に形成される)を意味すると理解され得る。信号送信機は、例えば、超音波のための送信機および/または受信機としての超音波素子であり得る。
【0008】
心臓補助システム(例えば、患者に低侵襲で挿入可能な心臓補助システム)用のセンサヘッド装置の本明細書に提示されるアプローチの利点は、特に、心臓補助システムの先端に少なくとも一つの圧力センサおよび/または温度センサの最適化された統合およびカプセル化の可能性を作り出すことにある。心臓補助システムのヘッド領域にアクティブ電子コンポーネントおよびセンサ技術を挿入する、市販されるシステムは現在存在しない。この場合、心臓疾患を有する人の血液温度は、有利には、例えば、統合温度センサによって測定され得る。敗血症は、埋め込まれた心臓補助システムを有する患者において一般的な合併症であるため、発熱性感染は、良好なタイミングで検出され、例えば、血液温度の傾向分析によって早期に治療または予防することができる。(好ましくは気圧)圧力センサの統合およびカプセル化の改善によって、例えば、心臓疾患患者の心室圧を検出することができる。この場合の統合は、例えば、圧力測定値が心臓補助システムのガイドカニューレ内のわずかな陰圧によって改ざんされないように設計される。決定された圧力データは、例えば、心室を虚脱から保護するために、患者の心室圧を測定し、心室圧に基づいてポンプを調節するために使用することができる。この方法で決定される圧力データは、例えば、差圧、すなわち、大動脈圧力から心室圧力を引いた差圧をポンプにわたって決定し、従って、ポンプ、ポンプ性能、またはポンプの機能を監視するためにも使用され得る。
【0009】
一実施形態によれば、センサ担持要素は、センサヘッド装置の延長の長手方向に延在するチャネルを有してもよく、および/または少なくとも一つのセンサキャビティは、少なくとも一つの信号送信機キャビティとは異なる方向に開くことができる。本明細書に提示されるアプローチのこうした実施形態は、こうしたチャネルが、ガイドワイヤがセンサキャビティを備えるセンサキャリアを通して中央にガイドされることを可能にするという利点を提供する。これにより、最適な機械的保護と安全な取り付けが確保される。身体パラメータの非常に正確な測定はまた、キャビティの異なる開口部方向の結果として達成され得る。
【0010】
一実施形態によれば、センサ担持要素は、一つの外端に丸み付きキャップを有し得る。断面において、回転対称センサ担持要素は、代替的または追加的に外壁(例えば、円筒形の外壁)を有することができ、Uおよび/またはEの形状に配置され、および/または内壁(例えば、円筒形の内壁)を持ち、少なくとも一つの内端においてUおよび/またはEの形状に配置され、少なくとも一つの信号送信機キャビティまたはセンサキャビティは、特に、外壁の間、および/または外壁と内壁との間に形成される。本明細書に提示されるアプローチのそのような実施形態は、丸み付きキャップを備えた外端またはマッシュルームヘッドの形状に設計されたセンサヘッド装置の外端が、心臓疾患患者に怪我をさせないため、または例えば、システムの埋め込み中に心臓補助システムが前進したとき良好な滑り特性を確保するために、心臓補助システムを患者に導入するために有利に形成されるという有利さを提供する。この場合、マッシュルームヘッドの形状で設計された外端だけでなく、例えば、ポットの形状で設計された外端も、統合されたセンサに対して機械的保護およびしっかりと固定されたカプセル化を提供し続ける。
【0011】
本明細書に提示されるアプローチのそのような実施形態はさらに、心臓補助システムのガイドカニューレの端部にある一種のストッパーとしてのセンサヘッド装置の実施形態が、製造プロセスが時間とお金を節約するセンサヘッド装置の簡単な製造を可能にするという利点を提供する。
【0012】
一実施形態によれば、センサ担持要素は、その中心に開口部を有することができ、開口部は特に円筒形管を有する。管は、例えば、センサ担持部の全長にわたって開口部に挿入され、かつ/またはその中に形成され得る。本明細書に提示されるアプローチのこうした実施形態は、ガイドワイヤが、例えば、開口部内に、および/または円筒形管内に挿入され得るという利点を提供する。心臓補助システムを心臓疾患患者の左心腔または大動脈に埋め込む場合、ガイドワイヤはまず患者の心室に敷設され得る。心臓補助システムは、その後、ガイドワイヤ上に押し付けられ、ガイドワイヤに沿って端位置に前進され得る。このようにして、心臓補助システムの非常に正確な位置決めを達成することができる。
【0013】
一実施形態によれば、センサヘッド装置は、少なくとも一つのセンサ、特に温度センサおよび/または圧力センサとして設計されたセンサ、および/または少なくとも一つの信号送信機、特に超音波を放出および/または受信するための超音波素子または超音波トランスデューサーとして設計された信号送信機を有することができる。代替的にまたは追加的に、少なくとも一つのセンサおよび/または少なくとも一つの信号送信機は、導電素子上に配置され得る。超音波素子はまた、例えば、超音波素子の周りの外壁を省略することができる、それ自体のハウジングを有することができる。この場合、壁は、生体適合性の目的のために、超音波素子の機械的安定化およびカプセル化の両方に使用できる。本明細書に提示されるアプローチのこうした実施形態は、少なくとも一つの超音波素子を心臓補助システムのセンサヘッド装置に組み込むことにより、心臓疾患患者の血液の体積流量測定を可能にするという利点を提供する。
【0014】
一実施形態によれば、信号送信機キャビティは、少なくとも部分的にレンズ素子によって覆われてもよく、レンズ素子は特に超音波レンズとして設計され、および/またはシリコン材料で作製される。本明細書に提示されるアプローチのそのような実施形態は、超音波レンズが、超音波エネルギーの音の形成に使用され、超音波レンズが、さらに超音波素子をしっかりとカプセル化し、超音波レンズが、複数の入口ポートを通って入る心臓疾患患者の血流を伝導することができるという有利さを提供する。
【0015】
一実施形態によれば、センサ担持要素は、熱可塑性材から形成され、かつ/または機械加工製造プロセスで、かつ/または射出成形部品として作製され得る。本明細書に提示されるアプローチのこうした実施形態は、高品質の弾力のある医療製品を、例えば射出成形プロセスによって製造できるという利点を提供する。オリジナルの原材料から完成した射出成形部品への噴出生産により、射出成形プロセスが、例えば、精密部品の製造に使用され得る、迅速で費用効果の高いプロセスとなる。特に、低侵襲性心臓補助システムの製造用など、非常に小さな個々の部品は、正確な製造から利益を得る。原則として、製造を迅速に完了できるように、完成品のさらなる後処理は不要である。
【0016】
一実施形態によれば、センサキャビティは、鋳造化合物で充填されてもよく、鋳造化合物は特に、固体またはゲル様シリコンまたはシリコンオイルを含む。本明細書に提示されるアプローチのこうした実施形態は、例えば、センサキャビティを鋳造化合物で充填することが、センサを血液および機械的損傷から保護し得るという利点を提供する。この場合、鋳造化合物は、正確な圧力測定を継続して可能にするために、圧力センサによって決定される患者の心臓圧力を伝達することができるべきである。鋳造化合物は、例えば、固体および/またはゲル様シリコン、またはシリコンオイルであってもよく、この鋳造化合物は、センサの追加的なカプセル化を必要とする。
【0017】
一実施形態によれば、センサキャビティは、膜および/または拡散バリアによってコートおよび/または被覆されてもよく、膜は、特に、フィルムとして、および/またはガスもしくは蒸気相から分離された層として設計され、および/または拡散バリアは、パリレン材料を含む。センサキャビティを充填するためにシリコンオイルを使用する場合、センサキャビティの表面は、膜、例えば、ポリマーまたはチタンなどの金属から作製された膜によって閉じられる。固体および/またはゲル様シリコンを使用するときは、センサキャビティの表面処理は不要である。しかしながら、シリコンへの水拡散が潜在的に発生するため、シリコンは膨張し得、それによって、例えば、圧力センサの圧力センサ膜に張力を生じさせ、圧力センサの誤差をもたらし得る。従って、固体および/またはゲル様シリコンは、例えば、パリレンベースの水バリアおよび/または拡散バリアで被覆され得る。
【0018】
本明細書に提示されるアプローチは、センサヘッド装置を備えた心臓補助システムをさらに作成し、センサヘッド装置は、ガイドカニューレの一端に配置され、センサヘッド装置は、特に、電気的に接続可能であるか、または接続要素によってガイドカニューレの導電素子に電気的に接続される。本明細書に提示されるアプローチの特別な利点は、こうした実施形態によって、簡単かつ費用効果の高い方法で実現され得る。
【0019】
心臓補助システム用のセンサヘッド装置を製造する方法が提供され、本方法は、少なくとも以下の工程を含む。
【0020】
それは、心臓補助システム用のセンサヘッド装置を製造するために、少なくとも一つのセンサを収容するための少なくとも一つのセンサキャビティ、および/または少なくとも一つの信号送信機を収容するための少なくとも一つの信号送信機キャビティを有するセンサ担持要素を形成することである。
【0021】
一実施形態によれば、本方法は、少なくとも一つのセンサをセンサキャビティ内に、および/または少なくとも一つの信号送信機を形状センサ担持要素の少なくとも一つの信号送信機キャビティに挿入する工程を含み得る。
【0022】
心臓補助システム用のセンサヘッド装置を製造するために本明細書に提示される方法は、例えば、ソフトウェアもしくはハードウェア、または例えば、制御装置内のソフトウェアおよびハードウェアの混合形態で実施することができる。
【0023】
さらに、本明細書に提示されるアプローチは、心臓補助システム用のセンサヘッド装置を製造するために本明細書に提示される方法の変形の工程を、対応する装置で実施、制御、または実装するように設計される装置を生成する。本発明の根底にある目的はまた、装置の形態の本発明のこの設計変形によって、迅速かつ効率的に達成することができる。
【0024】
この目的のために、装置は、信号またはデータを処理するための少なくとも一つのコンピューティングユニット、信号またはデータを格納するための少なくとも一つのメモリユニット、センサからセンサ信号を読み取る、またはデータまたは制御信号をアクチュエータに出力するためのセンサまたはアクチュエータへの少なくとも一つのインターフェイス、および/または通信プロトコルに埋め込まれたデータを読み取りまたは出力するための少なくとも一つの通信インターフェイスを有することができる。コンピューティングユニットは、例えば、信号プロセッサ、マイクロコントローラーなどであってもよく、それによってメモリユニットは、フラッシュメモリ、EEPROM、または磁気メモリユニットであり得る。通信インターフェイスは、無線および/または有線でデータを読み取りまたは出力するように設計でき、有線データを読み取りまたは出力することができる通信インターフェイスは、例えば、対応するデータ送信ラインから電気的または光学的に前述のデータを読み取るか、またはそれらを対応するデータ送信ラインに出力することができる。
【0025】
本事例では、装置は、センサ信号を処理し、その関数として、制御信号および/またはデータ信号を出力する電気装置を意味すると理解され得る。装置は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアによって設計され得る、インターフェイスを有することができる。ハードウェアによる設計では、インターフェイスは、例えば、装置のさまざまな機能を含むいわゆるシステムASICの一部とすることができる。しかしながら、インターフェイスが別個の集積回路であるか、または少なくとも部分的に別個の構造要素からなることも可能である。ソフトウェアによる設計では、インターフェイスは、例えば、他のソフトウェアモジュールに加えてマイクロコントローラー上に存在するソフトウェアモジュールであり得る。
【0026】
半導体メモリ、ハードドライブメモリ、または光メモリなどの機械可読キャリアまたは記憶媒体に記憶することができるプログラムコードを有するコンピュータープログラム製品またはコンピュータープログラムは、上記の実施形態の一つによる方法の工程を実行、実施、および/または制御するために使用され、特に、プログラム製品またはプログラムがコンピューターまたは装置上で実行される場合有利である。
【0027】
本明細書に提示されるアプローチの例示的な実施形態は、図面に概略的に示され、以下の記述でより詳細に説明される。図面は、以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、例示的な実施形態による心臓補助システムの概略図である。
図2図2は、例示的な実施形態による心臓補助システムのためのセンサヘッド装置の第一の設計変形の概略図である。
図3a図3aは、例示的な実施形態による心臓補助システムのためのセンサヘッド装置の第二の設計変形の概略図である。
図3b図3bは、例示的な実施形態による心臓補助システムのためのセンサヘッド装置のさらなる設計変形の概略図である。
図3c図3cは、例示的な実施形態による心臓補助システムのためのセンサヘッド装置のさらなる設計変形の概略図である。
図4図4は、例示的な実施形態による、センサヘッド装置のセンサ担持部の概略図である。
図5図5は、例示的な実施形態によるセンサヘッド装置の円筒形超音波素子の概略図である。
図6図6は、例示的な実施形態による心臓補助システム用のセンサヘッド装置を製造する方法の例示的な実施形態のフロー図である。
図7図7は、例示的な実施形態による心臓補助システム用のセンサヘッド装置を生成するための装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の好ましい例示的な実施形態の以下の説明では、さまざまな図に示され、類似の効果を有する要素に対して、同じまたは類似の参照符号が使用され、これらの要素の繰返しの説明は省略される。
【0030】
図1は、例示的な実施形態による心臓補助システム100の概略図を示す。例として、図1は、統合されたセンサヘッド装置105を有する左心室心臓補助システム100を示す。心臓補助システム100は、例として、例えば、左心腔または大動脈などの血管内のカテーテルによる位置決めを容易にするために、実質的に一定の外径および丸みのあるテーパー付端部を有する円筒形の細長い構造を有する。
【0031】
心臓補助システム100、ここでは例として、左心腔への経皮的埋め込みのための左心室心臓補助システム100は、まずセンサヘッド装置105を有する。心臓補助システム100はさらに、そこから心臓疾患患者の血液が心臓補助システム100に入る、複数の入口開口部115を備えた入口ケージ110、ガイドカニューレ120、インペラおよび複数の出口開口部130を備えたインペラーケージ125、カップリングおよびモーターハウジング135、センサ技術、オプションのセンサハブ、および電気的接続フィールドを備えたバックエンド140、ならびに、最後に、心臓補助システム100を外部エネルギー源または外部評価または制御装置に接続するための接続ケーブル145を有す。
【0032】
心臓補助システム100のセンサヘッド装置105は、例として、心臓補助システム100から離れた丸い外端150と、少なくとも一つのセンサキャビティ155内に配置され、センサヘッド装置105の円周方向の溝として設計され得、例えば、心臓疾患患者の圧力および/または温度を測定するために使用されるセンサアセンブリーとを有する。この場合、センサヘッド装置105は、入口ケージ110の内端(図示せず)に配置され、入口ケージ110はまた、ガイドカニューレ120の一体的構成要素として設計され得る。さらに、センサヘッド装置105は、例えば、入口ケージ110の接続要素(図示せず)によって、ガイドカニューレ120の導電素子(図示せず)に電気的に接続することができる。
【0033】
図2は、例示的な実施形態による心臓補助システムのためのセンサヘッド装置105の第一の設計変形の概略図を示す。センサヘッド装置105は、例として、入口ケージ110またはガイドカニューレ120の内端に配置され、センサヘッド装置105は、入口ケージ110の接続要素(図示せず)によって、ガイドカニューレ120の導電素子(図示せず)に電気的に接続される。
【0034】
センサヘッド装置105は、例として、センサヘッド装置105のベース本体を形成するセンサ担持要素205を有する。センサ担持要素205は、例えば、射出成形プロセスにおいて熱可塑性材で作製されるが、代替的に、機械加工製造プロセスでも製造され得る。
【0035】
ここで示されるセンサ担持要素205は、例として、例として二つのセンサ215および220を収容するための、円周方向または少なくとも部分的に円周方向のセンサキャビティ(155および210)(ただし、二つの別個のセンサキャビティ155および210として設計され得る)を有する。センサ担持要素205はさらに、例として、円筒形信号送信機235を収容するための円筒形信号送信機キャビティ(225および230)を有する。センサ215および/または220は、例として、温度センサおよび/または圧力センサであるが、特に気圧絶対圧力センサである。信号送信機235は、例として、超音波素子であって、その上に、一つの例示的な実施形態によれば、例えば、シリコンで作製された超音波レンズなどのレンズ素子245が位置付けられ、レンズ素子245は、信号送信機キャビティ225を少なくとも部分的に覆う。
【0036】
一つの例示的な実施形態によれば、信号送信機キャビティ225は、センサキャビティ155とは異なる方向に開いて、信号送信機キャビティ225は、信号送信機の主ビーム方向がガイドカニューレ120の軸を指すように、心臓補助システムに面する方向に開いている。少なくとも一つのセンサキャビティ155は、例として、少なくとも部分的に円周方向の溝(例えば、センサヘッド装置105の外側表面周りの円周方向の角度330°)として製造され、半径方向に開いている。特に有利な様式で、センサキャビティ155としての溝の壁は、溝が基部よりも外側に向かって幅広になるように設計される。結果として、センサ担持要素205の製造工程で、溝ならびにその中に配設されたセンサ215へのシールとして導入されるシリコンの膨張が、その後、センサ215としてのMEMS素子の張力により少ないものをもたらす。
【0037】
センサ担持要素205は、センサヘッド装置105の長手方向の延長に沿って延びるチャネル270を有し、ここに示されるセンサ担持要素205の第一の設計変形では、チャネル270は、例として、心臓補助システムから離れた丸み付きキャップまたはマッシュルームヘッド形態の外端150で中央で終了する。センサヘッド装置105のマッシュルームヘッド形状の外端150は、心臓疾患患者にいかなる損傷も誘発しないように、またシステムの埋め込み中に心臓補助システムを前進させるときに良好な滑り特性を確保するために丸みを帯びている。
【0038】
その中央では、例として、センサ担持部205は開口部271を有する。この場合、開口部271は、ガイドワイヤ(図示せず)を収容する役割を果たす。心臓補助システムを心臓疾患患者の左心腔内または大動脈内に埋め込む場合、ガイドワイヤはまず患者の心室に敷設される。心臓補助システムは次に、ガイドワイヤ上に押し付けられ、ガイドワイヤに沿って端位置に前進される。
【0039】
信号送信機キャビティの領域でガイドワイヤをガイドするための第一の実施形態では、センサキャリア205は、ガイドワイヤが超音波レンズ245と領域110内の血液との間の接触表面に案内されるように、信号送信機キャビティ内にまで延びる管状の連続体250を含むことができる。第二の実施形態では、小さな管275(例えば、ステンレス鋼、チタン、またはNiTiNolで作られた金属管)が、チャネル270に挿入され、センサ担持部205を通って、それを超えて信号送信機キャビティ225内に延在し、超音波レンズ245と領域110内の血液との間の接触表面に達する。第二の実施形態は、著しく小さい壁厚の利点を有し、信号送信機の中央開口幅の減少をもたらし、これは特に、信号送信機が超音波トランスデューサーとして設計される場合に有利である。
【0040】
外側に向かって、信号送信機キャビティは、例として、センサ担持部205の設計の一部である、シリンダージャケット265によって制限される。円筒形信号送信機235は、結果として、(設計変形に応じて)連続体250または小さな管275上にその中央開口部を有し、信号送信機キャビティ225に挿入されるように設計され得る。250と235または275と235との間のギャップ、ならびに235と265との間のギャップは、例えば、接着剤固定としても同時に機能する、エポキシまたはシリコンによって充填され得る。
【0041】
マッシュルームヘッド形状の外端150は、少なくとも一つのセンサキャビティ155内に配置されるセンサ215、220に対する追加の機械的保護を表す。センサ215および220をウェブ251(例えば、ここでは立方体)の周りに配置するためには、ここに示すセンサヘッド装置105の第一の設計変形において、センサ215および220を可撓性回路基板または薄膜基材上に配置することが必要である。センサ215、220は、例えば、薄膜基材に結合される。センサ215、220の領域では、薄膜基材は曲がってはならないため、補強素子で支持され得るが、特に、基材は円筒形ではなく、角が丸い立方体として設計される。ウェブ251の丸みのある角は、例えば、薄膜基材(ポリイミド金層構造)の曲げ半径を維持する役割を果たす。
【0042】
一つの例示的な実施形態によれば、少なくとも一つのセンサキャビティ155は、血液および機械的損傷からセンサ215、220を保護するために鋳造化合物で充填される。この場合、鋳造化合物は、固体および/またはゲル様シリコン、あるいはシリコンオイルであり得る。この場合、鋳造化合物は、センサ215または220による正確な圧力測定を継続して可能にするために、患者の心臓圧力を伝達することができるべきである。
【0043】
図3aは、例示的な実施形態による心臓補助システム100のためのセンサヘッド装置105の第二の設計変形の概略図を示す。センサヘッド装置105は、例として、ガイドカニューレ120または入口ケージ110の内端に配置され、センサヘッド装置105は、入口ケージ110の接続要素(ここには表示されていない)によって、ガイドカニューレ120の導電素子(ここに図示せず)に電気的に接続される。より狭い意味では、導電素子は、例えば、センサヘッド装置205の全ての構成要素にわたって貼り付けることによって、後端部140からセンサヘッド装置105まで、完全に一片でレイアウトされる。
【0044】
センサヘッド装置105は、例として、センサヘッド装置105のベース本体を形成するセンサ担持要素205を有する。センサ担持要素205は、例えば、射出成形プロセスにおいて熱可塑性材で作製されるが、代替的に、機械加工製造プロセスでも製造され得る。
【0045】
ここで示されるセンサ担持要素205は、例として、二つのセンサキャビティ155および210、または上述の詳細ですでに説明したように、一つのセンサ215または220をそれぞれ収容するためのセンサキャビティ155として、少なくとも部分的に円周方向の溝を有する。センサ担持要素205はさらに、例として、信号送信機235を収容するための信号送信機キャビティ225を有する。センサ215および/または220は、例として、温度センサおよび/または圧力センサであるが、特に気圧絶対圧力センサである。信号送信機235は、例として、超音波素子であって、その上に、一つの例示的な実施形態によれば、シリコンで作製された超音波レンズなどのレンズ素子245が位置付けられ、レンズ素子245は、信号送信機キャビティ225および230を少なくとも部分的に覆う。
【0046】
一つの例示的な実施形態によれば、信号送信機キャビティ225は、センサキャビティ155が少なくとも部分的に周方向の溝によって形成されていない場合、センサキャビティ155または二つのセンサキャビティ155および210とは異なる方向に開いており、信号送信機キャビティ225または二つの信号送信機キャビティ225または230は、心臓補助システムに面する方向に開いている。第一のセンサキャビティ155は、例として、心臓補助システムから離れた方向に開いており、センサキャビティ155は、従って、信号送信機キャビティ225に対して90°オフセットする方向に開いている。
【0047】
センサ担持要素205は、センサヘッド装置105の長手方向の延長に沿って延びるチャネル270を有し、ここに示されるセンサヘッド装置105の第一の設計変形におけるチャネルは、ウェブ状の連続体250を通って、センサキャビティの表面252または信号送信機235の表面またはオプションの超音波レンズの表面246まで延びる。図示されていない実施形態では、溝270が薄い壁で設計され得るように、ウェブ様連続体250は、小さな管275(例えば、小さな金属管)によって形成され得る。心臓補助システムから離れた外端150に例として、位置付けられたセンサキャビティ155は、U字形状の断面を有する外壁を有し、またはウェブ形状の連続体250を使用する時に、E字形状の外壁310を有することができる。一つの例示的な実施形態によれば、センサ215、220を収容するためのセンサキャビティ155または一つのセンサキャビティ155、210はそれぞれ、外壁310とウェブ様連続体250または小さな管275との間に形成される。従って、外端150のこの設計変形は、例としてポット形状を有する。チャネル270の内端260への連続はまた、ウェブ250によって、または小さな管275として実施され得る。そこにある信号送信機キャビティには、U字型の断面を持つ壁があり、または、ウェブ250を使用する場合、E字型の壁があり、信号送信機235を収容するための信号送信機キャビティ225は、一つの例示的な実施形態による、内壁265のそれぞれの対の間に形成される。
【0048】
ここに示されるセンサヘッド装置105の設計変形の利点は、センサ215および220が、例えば、円形回路基板320に事前に取り付けられ得ることであり、代替の例示的な実施形態では、信号送信機235はまた、円形回路基板上に事前に取り付けられ得る。
【0049】
一つの例示的な実施形態によれば、センサキャビティ155または二つのセンサキャビティ155、210は、血液および機械的損傷からセンサ215、220を保護するために鋳造化合物で充填される。この場合、鋳造化合物は、固体および/またはゲル様シリコン、あるいはシリコンオイルであり得る。この場合、鋳造化合物は、センサ155および210による正確な圧力測定を継続して可能にするために、患者の心臓圧力を伝達することができるべきである。
【0050】
その中心では、例として、センサ担持要素205はチャネル270を有し、円筒形管275は、例として、チャネル270内に位置する。管275(小さな管とも呼ぶことができる)は、センサヘッド装置105の全長にわたって開口部271に挿入され、かつ/または開口部271内に形成され得る。この場合、開口部271または円筒形管275は、ガイドワイヤ(図示せず)を収容する役割を果たす。心臓補助システムを心臓疾患患者の左心腔内または大動脈内に埋め込む場合、ガイドワイヤはまず患者の心室に敷設される。心臓補助システムは次に、ガイドワイヤ上に押し付けられ、ガイドワイヤに沿って端位置に前進される。
【0051】
図3bは、例示的な実施形態による心臓補助システム100のためのセンサヘッド装置105のさらなる設計変形の概略図を示す。図3aに示すセンサヘッド装置105の設計変形とは対照的に、チャネル270または開口部271を形成するために、センサ担持要素205の中央部分に挿入される小さな円筒形管275が、図3bに示す設計変形に提供される。この場合、小さな管275は、センサ担持要素205への挿入後、小さな管275がプレスフィットによってセンサ担持要素205内に保持され得るように、センサ担持要素205の開口部の直径よりも大きい直径を有する。
【0052】
図3cは、例示的な実施形態による心臓補助システムのためのセンサヘッド装置のさらなる設計変形の概略図を示す。図3cに示すセンサ担持要素205は、例えば、図3aの図で用いられるように、一体部品または一体片構成要素としてここに示される。
【0053】
図4は、例示的な実施形態によるセンサヘッド装置105のセンサ担持部205の概略図を示す。例として、センサ担持部205は、ここに示す図のいくつかの部分で実現される。従って、例えば、ポリエーテルエーテルケトンなどの熱可塑性で作製された射出成形部品として、センサ担持部205の単純な成形品取り出しが可能である。この場合、射出成形部品またはセンサ担持要素205は、ウェブ251を備えたマッシュルームキャップ形状の外端150のみを含み、例えば、金属材料でできている円筒形管275は、センサ担持部205の中央に形成されたチャネル270に挿入される。管275は、例として、センサ担持部205の全長にわたってチャネル270内に挿入され、例として、ガイドワイヤ(図示せず)を収容する役割を果たす。一つの例示的な実施形態によれば、センサキャビティ155または一つのセンサキャビティ155および210はそれぞれ、ウェブ251の上下のマッシュルームキャップから離れた側に形成され、前述のセンサキャビティ155(またはセンサキャビティ155および210それぞれ)は、少なくとも一つのセンサを収容する役割を果たす。センサ担持部205の個々の部品は、例として、生体適合性接着剤によって一緒に接合され得る。
【0054】
図5は、例示的な実施形態によるセンサヘッド装置105のセンサ担持要素205上に押し込まれる円筒形超音波素子235の概略図を示す。例として、ここに示す超音波素子235は、管275に押し込むために提供される開口部を有する。この場合、管275は、内部から超音波素子235のカプセル化を確保するために、超音波素子235の領域内のセンサ担持要素の開口部に挿入される。超音波素子235は、例として、必要なバッキング層およびインピーダンス適合層を有する圧電素子であってもよく、および/または気密封止素子であり得る。超音波素子235は、例として、円形回路基板上に配置され、この場合、超音波素子235がガイドカニューレの方向を指すように、センサヘッド装置内に組み込まれ、その中に封入される。従って、超音波素子235は、ガイドカニューレまたは心臓補助システム全体の円筒形状に最適に組み込まれ、かつ安全に封入される。
【0055】
図6は、例示的な実施形態による心臓補助システム用のセンサヘッド装置を生成するための方法600の例示的な実施形態のフローチャートを示す。
【0056】
方法600の工程610において、心臓補助システム用のセンサヘッド装置を生成するために、少なくとも一つのセンサを収容するための少なくとも一つのセンサキャビティ、および/または少なくとも一つの信号送信機を収容するための少なくとも一つの信号送信機キャビティを有するセンサ担持要素が形成される。方法600の工程620では、最後に、少なくとも一つのセンサが、センサキャビティに挿入され、および/または少なくとも一つの信号送信機が、形成されたセンサ担持要素の少なくとも一つの信号送信機キャビティに挿入される。
【0057】
図7は、例示的な実施形態による心臓補助システム用のセンサヘッド装置を生成するための装置700のブロック図を示す。この場合、装置700は、対応するユニットでセンサヘッド装置を製造するための方法の工程を実行および/または制御するように設計される。
【0058】
従って、装置700は、形成ユニット710および挿入ユニット720を有する。形成ユニット710は、この場合、心臓補助システム用のセンサヘッド装置を生成するために、少なくとも一つのセンサを収容するための少なくとも一つのセンサキャビティ、および/または少なくとも一つの信号送信機を収容するための少なくとも一つの信号送信機キャビティを備えたセンサ担持要素を形成するように設計される。挿入ユニット720は、最後に、少なくとも一つのセンサを、少なくとも一つのセンサキャビティ内に、および/または少なくとも一つの信号送信機を、形成されたセンサ担持要素の少なくとも一つの信号送信機キャビティ内に挿入するように設計される。
【0059】
例示的な実施形態が、第一の特徴と第二の特徴との間に「および/または」の接続詞を含む場合、一実施形態による例示的な実施形態が、第一の特徴および第二の特徴の両方を含み、別の実施形態によれば、第一の特徴のみまたは第二の特徴のみのいずれかを含むことを意味するとして理解されるべきである。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6
図7