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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】フィルム供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/12 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
B65H19/12 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021040069
(22)【出願日】2021-03-12
(65)【公開番号】P2022139603
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柿沼 賢
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-199358(JP,A)
【文献】特開2002-200805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のフィルムが巻回された原反ロールが装着され、前後に延びるよう水平に設けられた支持シャフトと、
前記支持シャフトの周囲をその上方、下方及び側方から囲み、前面が開口するケース本体と、
前記ケース本体の前面の開口を開閉するよう前記ケース本体の前面に設けられたフロントドアと、を備え、
前記支持シャフトが前記ケース本体の内側から前記ケース本体の下面の前端よりも前に張り出す
フィルム供給装置。
【請求項2】
水平な前後方向の回転軸の回りに鉛直面内で回転する回転盤と、
前記回転盤から前方へ水平に突出するよう前記回転盤に取り付けられ、帯状のフィルムが巻回された原反ロールがそれぞれ装着される複数の支持シャフトと、
前記複数の支持シャフトの周囲をこれらの上方、下方及び側方から囲み、前面が開口するケース本体と、
前記ケース本体の前面の開口を開閉するよう前記ケース本体の前面に設けられたフロントドアと、を備え、
前記複数の支持シャフトが前記ケース本体の内側から前記ケース本体の下面の前端よりも前に張り出す
フィルム供給装置。
【請求項3】
前記ケース本体の上面が前記ケース本体の下面の前端よりも前に張り出し、
前記フロントドアが閉じた状態において、前記フロントドアの上部が前記ケース本体の上面の前端から鉛直に垂下し、前記フロントドアの下部が前記フロントドアの上部から前記ケース本体の下面の前端まで後ろ下がりに傾斜する
請求項1又は2に記載のフィルム供給装置。
【請求項4】
前記ケース本体の下面が、物品を左右方向に搬送する搬送機の上方に設けられている
請求項1から3の何れか一項に記載のフィルム供給装置。
【請求項5】
前記支持シャフトが前記ケース本体の内側から前記ケース本体の側面の前端よりも前に張り出す
請求項1又は4の何れか一項に記載のフィルム供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原反ロールから帯状のフィルムを供給するフィルム供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
包装装置には、原反ロールに巻回された帯状のフィルムを供給するフィルム供給装置が設けられている。包装装置によって包装する内容物の種類が替わった場合、又は供給中のフィルムの残量が少なくなった場合、フィルムを同種又は異種の新たなフィルムに交換することが必要となる。そこで、そのフィルムを新たな原反ロールのフィルムに接合するスプライサーがフィルム供給装置として用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のフィルム供給装置では、鉛直面内で回転する回転盤に4本の水平な支持シャフトが取り付けられ、4体の原反ロールがこれら支持シャフトにそれぞれ装着されている。供給元位置にある供給中の原反ロールのフィルムの残量が少なくなったら、その原反ロールからのフィルムの繰り出しが停止された上で、そのフィルムが待機中の原反ロールのフィルムに接合機によって接合されるとともに、回転盤が回転する。そうすると、待機中の原反ロールが供給元位置に移動し、その後、その原反ロールからフィルムが繰り出される。その後、作業者がフィルムの残量の少なくなった原反ロールを新たな原反ロールに交換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許5883612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、安全性の観点から、支持シャフト及び原反ロールは保護ケース内に収容されている。交換の際には、作業員が保護ケースの扉を開いて、支持シャフトに装着された原反ロールを取り外した後、新たな原反ロールを持ち上げて支持シャフトに装着する。原反ロールが重いことから、原反ロールを支持シャフトの位置にまで持ち上げるには、労力及び力を必要とする。原反ロールを支持シャフトの位置にまで持ち上げられずに、原反ロールを支持シャフトに装着しようとすると、原反ロールが保護ケースの下面の前端に当たってしまう。原反ロールを支持シャフトの位置にまで高く持ち上げたとしても、原反ロールと保護カバーの下面との隙間が狭いが故に、原反ロールを下から支えた手を保護ケースの下面の前端に当ててしまう虞がある。また、原反ロール越しに支持シャフトや保護ケースを視認することが難しいため、原反ロールを支持シャフトに装着するに際して、原反ロールの端面が何かしらに当たった時、原反ロールに当たった物が支持シャフトの先端と保護ケースの下面のどちらなのか視認することが難しく、原反ロールの装着作業が難しい。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、原反ロールの装着作業が容易なフィルム供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、フィルム供給装置が、帯状のフィルムが巻回された原反ロールが装着され、前後に延びるよう水平に設けられた支持シャフトと、前記支持シャフトの周囲をその上方、下方及び側方から囲み、前面が開口するケース本体と、前記ケース本体の前面の開口を開閉するよう前記ケース本体の前面に設けられたフロントドアと、を備え、前記支持シャフトが前記ケース本体の内側から前記ケース本体の下面の前端よりも前に張り出す。
【0008】
また、フィルム供給装置が、水平な前後方向の回転軸の回りに鉛直面内で回転する回転盤と、前記回転盤から前方へ水平に突出するよう前記回転盤に取り付けられ、帯状のフィルムが巻回された原反ロールがそれぞれ装着される複数の支持シャフトと、前記複数の支持シャフトの周囲をこれらの上方、下方及び側方から囲み、前面が開口するケース本体と、前記ケース本体の前面の開口を開閉するよう前記ケース本体の前面に設けられたフロントドアと、を備え、前記複数の支持シャフトが前記ケース本体の内側から前記ケース本体の下面の前端よりも前に張り出す。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、支持シャフトがケース本体51の下面の前端よりも前に張り出すため、原反ロールがケース本体の下面に当たることなく原反ロールを簡単に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】包装システムの正面図である。
図2】フィルム供給装置の正面図である。
図3】フィルム供給装置の正面図である。
図4】フィルム供給装置及び物品供給装置の側面図である。
図5】フィルム供給装置及び物品供給装置の側面図である。
図6】フィルム供給装置及び物品供給装置の側面図である。
図7】変形例のフィルム供給装置及び物品供給装置の側面図である。
図8】変形例のフィルム供給装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には技術的に好ましい種々の限定が付されているところ、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0012】
[1] 包装システムの概要
図1は、包装システムの概略正面図である。
【0013】
包装システムはフィルム供給装置1、物品供給装置70及び包装機80を備える。
フィルム供給装置1は、帯状のフィルム95を包装機80に連続的に供給する。フィルム供給装置1については、後に詳述する。
【0014】
物品供給装置70は、水平な方向に沿って間隔を置いて直列に配列された複数の物品90をそれらの配列方向に搬送して、それら物品90を包装機80に順次供給する搬送機である。物品供給装置70は、例えばベルトコンベヤ又は押送コンベヤである。以下の説明では、物品90の搬送方向を左右方向とし、左右方向に直交する水平な方向を前後方向とする。図1の紙面に対して直交する方向が前後方向である。左右方向および前後方向の両方に直交する上下方向は、重力が働く方向、つまり鉛直方向である。
【0015】
包装機80は、物品90及びフィルム95を物品90の配列方向に搬送するとともに物品90をフィルム95により順次包装することによって、包装物99を順次作製する。図1に示す例では、包装機80がピロー包装機であるが、他の例として、例えばシュリンク包装機、横三方シール包装機又は四方シール包装機であってもよい。ピロー包装機としての包装機80は、物品90の搬送方向の上流から下流に向かって順に、製袋器81、センターシール装置82及びエンドシール装置83を備える。製袋器81は、物品供給装置70及びフィルム供給装置1によって物品90及びフィルム95が供給される箇所に設置されている。製袋器81は、フィルム95の両側部(以下、縦綴じ目という)を重ね合わせるようにして、フィルム95を筒状に丸めることによって物品90をフィルム95で包み込む。物品供給装置70によって製袋器81に供給された物品90はその外側のフィルム95とともに下流へ搬送される。センターシール装置82は、フィルム95の縦綴じ目を連続的にシールする。エンドシール装置83は、フィルム95のうち隣り合う物品90の間の部分を周期的にシールすることによって横綴じ目を形成するとともに、その横綴じ目を切断する。
【0016】
[2] フィルム供給装置
フィルム供給装置1は、オートスプライサーとして機能する。つまり、フィルム供給装置1は、供給中のフィルム95の残量が少なくなったら、そのフィルム95に次のフィルム95を自動的に接合する。そのため、フィルム供給装置1は、供給中のフィルム95が巻回された原反ロール96のみならず、次のフィルム95が巻回された原反ロール96も保持する。
【0017】
以下、図2図5を参照して、フィルム供給装置1について詳細に説明する。ここで、図2及び図3はフィルム供給装置1の正面図であり、図4及び図5はフィルム供給装置1及び物品供給装置70の側面図である。図2では、フィルム供給装置1のフロントドア57が開かれており、図3では、フィルム供給装置1のフロントドア57が閉じられている。図5では、フィルム供給装置1の保護ケース50の内側を見えるようにするために保護ケース50は断面図として示される。
【0018】
図2図5に示すように、フィルム供給装置1は、ガイドローラ10、ドライブローラ12、経路長調整部14、ガイドローラ15、ドライブローラ16(図1参照)、回転盤22、2本の支持シャフト24、2本の誘導ローラ26、2本の折り返しローラ27、2体の留め具28、2体の第1シーラー30、第2シーラー31、筐体40及び保護ケース50を備える。なお、図1では、保護ケース50の内側を視認できるようにするために、保護ケース50の図示を省略する。
【0019】
筐体40は物品供給装置70の後方且つ上方に設置されている。筐体40は内部空間を包囲するように箱状に設けられ、筐体40の前面には円形状の開口41が形成されている。この開口41には、円盤状の回転盤22が嵌め込まれている。回転盤22は、筐体40の開口41の縁に沿って配列されたガイドローラ等によって、回転盤22の幾何重心を通る回転軸の回りに回転可能となって筐体40に支持されている。つまり、回転盤22は、鉛直な面内で回転するように筐体40に取り付けられている。回転盤22は、フィルム95の接合の際に、モータによって回転駆動される。
【0020】
回転盤22には、支持シャフト24が回転盤22の回転軸に関して互いに対称な位置にベアリング等によって自転可能に取り付けられている。そのため、回転盤22が回転すると、支持シャフト24が同一の円軌道に沿って回転盤22の軸周りに公転する。支持シャフト24は、回転盤22の回転軸に対して平行に設けられている。支持シャフト24には、原反ロール96がそれぞれ装着される。支持シャフト24には、原反ロール96を支持シャフト24にロックするロック機構が設けられている。支持シャフト24に装着された原反ロール96が物品供給装置70の上方にあり、原反ロール96の下方において物品90が物品供給装置70によって搬送される。
【0021】
支持シャフト24は、回転盤22を貫通して、筐体40内の動力装置に連結されている。動力装置は、ブレーキ付きモータ及びクラッチ等を有し、支持シャフト24をそれぞれ独立して駆動する。つまり、上側の供給元位置P1にある支持シャフト24は動力装置により駆動されることによって、その支持シャフト24に装着された原反ロール96からフィルム95が連続的に繰り出されるのに対して、下側の待機位置P2にある支持シャフト24は上側の支持シャフト24の駆動中に動力装置から動力が遮断される。上側の原反ロール96からフィルム95が繰り出されている最中に、下側の原反ロール96を新たな原反ロール96に交換して、支持シャフト24に装着し、新たな原反ロール96を待機させることができる。なお、動力装置が2つのモータを有し、支持シャフト24がそれぞれモータによって個別に駆動されてもよい。
【0022】
2本の誘導ローラ26、2本の折り返しローラ27、2体の留め具28及び2体の第1シーラー30は、回転盤22に取り付けられている。従って、これら誘導ローラ26、折り返しローラ27、留め具28及び第1シーラー30は回転盤22の回転に伴い公転する。
【0023】
互いに近くに配置された1本の誘導ローラ26、1本の折り返しローラ27、1体の留め具28及び1体の第1シーラー30が1つのセットを構成し、合計2セットある。これらセットが支持シャフト24の近くにそれぞれ配置されている。各セットの折り返しローラ27、第1シーラー30、留め具28及び誘導ローラ26の周方向の位置は、それらと組となる支持シャフト24よりも回転盤22の回転の向き側にあるとともに、もう一方の支持シャフト24よりも回転盤22の回転の反対向き側にある。また、各セットの折り返しローラ27、第1シーラー30、留め具28及び誘導ローラ26は、これらの順に、回転盤22の外周縁に沿って一直線状に配列されている。
【0024】
待機位置P2に位置する原反ロール96のフィルム95は、折り返しローラ27に巻き掛けられて、折り返しローラ27によって第1シーラー30及び留め具28の方へ折り返されている。そのフィルム95が折り返しローラ27から留め具28に架け渡されて、そのフィルム95の先端部がその留め具28に留められている。第1シーラー30が、折り返しローラ27と留め具28との間のフィルム95に対向している。
【0025】
第2シーラー31は、回転盤22の径方向外側、具体的には回転盤22の右上に設置されている。第2シーラー31には、切断刃が設けられている。第2シーラー31及び切断刃は、互いに独立して、回転盤22の外周を横切るように回転盤22の径方向にアクチュエータによって往復駆動される。
【0026】
ガイドローラ10及びドライブローラ12は、回転盤22の径方向外側において、具体的には回転盤22の右上において筐体40の前面に回転可能に取り付けられている。
【0027】
経路長調整部14及びガイドローラ15は、回転盤22の径方向外側に設けられている。具体的には、経路長調整部14がドライブローラ12の右側において筐体40の前面に設けられ、ガイドローラ15が経路長調整部14の右下において筐体40の前面に設けられている。経路長調整部14は、複数の第1ダンサーローラ14a及び複数の第2ダンサーローラ14bを有する。第1ダンサーローラ14aが第2ダンサーローラ14bの下側に配置されている。第1ダンサーローラ14a及び第2ダンサーローラ14bはそれぞれ直動駆動機構によって直線的に上下方向に駆動される。直動駆動機構はエアシリンダ等を有し、ダンサーローラ14a,14bに巻き掛けられたフィルム95の張力が直動駆動機構のエアシリンダによって一定に保たれる。
【0028】
ドライブローラ16は、製袋器81の上方に設けられている。
【0029】
供給元位置P1に位置する原反ロール96から引き出されるフィルム95は、ガイドローラ10の次に順にドライブローラ12、経路長調整部14、ガイドローラ15、ドライブローラ16及び製袋器81に案内されている。経路長調整部14では、フィルム95が第1ダンサーローラ14aと第2ダンサーローラ14bに交互に巻き掛けられている。第1ダンサーローラ14aと第2ダンサーローラ14bが互いに近づくことによって、フィルム95の経路長が短くなる。逆に、第1ダンサーローラ14aと第2ダンサーローラ14bが互いに離れることによって、フィルム95の経路長が長くなる。
【0030】
ドライブローラ16がモータによって回転駆動されると、フィルム95が搬送される。なお、供給元位置P1に位置する原反ロール96と待機位置P2に位置する原反ロール96を識別しやすくするために、後述の供給動作中又は交換動作前に供給元位置P1に位置する原反ロール96の符号にAを付し、後述の供給動作中又は交換動作前に待機位置P2に位置する原反ロール96の符号にBを付す。また、原反ロール96Aのフィルム95の符号にもAを付し、原反ロール96Bのフィルム95の符号にもBを付す。
【0031】
[3] フィルム供給装置の動作
(3-1) 供給動作
供給元位置P1にある支持シャフト24は動力装置により駆動され、その支持シャフト24に装着された原反ロール96Aからフィルム95Aが連続的に繰り出される。その支持シャフト24の駆動中には、ドライブローラ16がモータによって回転駆動され、フィルム95Aが包装機80の製袋器81に連続的に供給される。ここで、経路長調整部14の第1ダンサーローラ14a及び第2ダンサーローラ14bが互いに離れた位置を保つように、ドライブローラ16のモータが定速制御され、原反ロール96Aから繰り出されるフィルム95Aの速度がドライブローラ16によって供給されるフィルム95Aの速度に等しい。なお、待機位置P2にある支持シャフト24は停止されている。
【0032】
(3-2) 交換動作
原反ロール96Aのフィルム95Aの残量が少なくなったら、フィルム供給装置1が交換動作を行う。
【0033】
まず、供給元位置P1にある支持シャフト24が停止されるとともに、回転盤22がモータによって反時計回りに回転駆動される。そのため、フィルム95Aが経路長調整部14から原反ロール96Aの方へ引っ張られるため、経路長調整部14におけるフィルム95Aの経路が短くなり、第1ダンサーローラ14a及び第2ダンサーローラ14bが互いに近づく。この際、ドライブローラ16が駆動されるため、フィルム95Aが経路長調整部14から包装機80の製袋器81に供給される。
【0034】
回転盤22の回転によって下側の誘導ローラ26が第2シーラー31に近づくと、フィルム95Aが誘導ローラ26によって誘導されて、両方のフィルム95A,95Bが互いに重なり合うとともに第1シーラー30が第2シーラー31に対向する。そうすると、回転盤22の回転が一旦停止する。その後、第2シーラー31及び切断刃がアクチュエータによって駆動される。そのため、両方のフィルム95A,95Bが第1シーラー30と第2シーラー31との間に挟まれて接合される。また、フィルム95A,95B同士の接合部分が切断刃によって切断される。この際、ドライブローラ16が駆動されるため、フィルム95Aが経路長調整部14から包装機80の製袋器81に供給される。
【0035】
その後、回転盤22がモータによって反時計回りに回転駆動される。この際、ドライブローラ16が駆動されるため、フィルム95Aが経路長調整部14から包装機80の製袋器81に供給される。そして、待機位置P2にあった原反ロール96Bが供給元位置P1に到達し、供給元位置P1にあった原反ロール96Aが待機位置P2に到達すると、回転盤22の回転が停止する。
【0036】
その後、供給元位置P1に到達した支持シャフト24が高速に駆動され、その支持シャフト24に装着された原反ロール96Bから繰り出されるフィルム95Bの速度が、ドライブローラ16によって供給されるフィルム95Bの速度よりも速い。そのため、ダンサーローラ14a,14bが互いに離れて、経路長調整部14におけるフィルム95Bの経路長が長くなる。こうして、第1ダンサーローラ14a及び第2ダンサーローラ14bの位置が元に戻ると、支持シャフト24の回転速度が減速される。そのため、その支持シャフト24に装着された原反ロール96Bから繰り出されるフィルム95Bの速度がドライブローラ16によって供給されるフィルム95Bの速度に等しくなり、経路長調整部14の第1ダンサーローラ14a及び第2ダンサーローラ14bの位置が所定の位置に保たれる。
【0037】
その後、供給元位置P1に位置した原反ロール96Bからフィルム95Bが繰り出されている際に、作業員が、待機位置P2に位置した原反ロール96Aを新たな原反ロール96に交換する。そして、作業員が新たな原反ロール96のフィルム95を折り返しローラ27によって折り返して、そのフィルム95の先端部を留め具28に留める。なお、原反ロール96の交換については後に詳述する。
【0038】
[4] フィルム供給装置の保護ケース
稼働中の原反ロール96、回転盤22、支持シャフト24、第2シーラー31及び経路長調整部14から作業員を保護するために、保護ケース50が設けられている。保護ケース50について詳細に説明する。
【0039】
保護ケース50は、ケース本体51及びフロントドア57を備える。
【0040】
ケース本体51は筐体40の前に取り付けられており、ケース本体51の下面は物品供給装置70から上方に離れている。
【0041】
ケース本体51は、その前面が開口した直方体又は立方体の前下部分を切り取った形状に成している。そのため、ケース本体51の上面の前後長がケース本体51の下面の前後長よりも長く、ケース本体51の上面がケース本体51の下面の前端よりも前に張り出している。ケース本体51の下面は物品供給装置70から上方に離れている。
【0042】
このケース本体51は、原反ロール96、支持シャフト24、誘導ローラ26、折り返しローラ27、留め具28、第1シーラー30、ガイドローラ10,12、第1ダンサーローラ14a、第2ダンサーローラ14b及び第2シーラー31の周囲をこれらの上方、下方、左側方及び右側方から囲んでいる。
【0043】
支持シャフト24の長さがケース本体51の下面の前後長よりも長く、支持シャフト24がケース本体51の下面の前端よりも前に張り出している。
【0044】
フロントドア57は、ケース本体51の前面の開口を開閉するようケース本体51の前面に設けられた開き扉、特に両開き扉である。フロントドア57が閉じた状態では、フロントドア57の上部がケース本体51の上面の前端から鉛直に垂下し、フロントドア57の下部はフロントドア57の上部の下端からケース本体51の下面の前端まで後ろ下りに傾斜する。
【0045】
フロントドア57の下部が後ろ下りに傾斜するため、保護ケース50と物品供給装置70との間のスペースが広く、作業員による作業性が高い。例えば、作業員が物品供給装置70上の物品90を容易に取り出したり、物品供給装置70のメンテナンスを容易に行えたりする。
【0046】
フロントドア57は一対の透明な戸体157,257を有する。戸体157はケース本体51の一方の側面の前端にヒンジ58によって揺動可能に連結され、戸体257はケース本体51の他方の側面の前端にヒンジ59によって揺動可能に連結されている。戸体157,257の最大開き角は少なくとも90°であって、より好ましくは180°以上であることが好ましい。最大開き角とは、戸体157,257が閉じた状態から最も開いた状態までの角度をいう。ここで、戸体157の左右の幅は下方に向かって漸増し、戸体257の左右の幅は下方に向かって漸減し、フロントドア57の鉛直な上部は戸体157の上部157a及び戸体257によって構成され、フロントドア57の傾斜した下部は戸体157の下部157bによって構成されている。
【0047】
包装機80の運転中に、下の原反ロール96の交換のために戸体157を開いても、包装機80の運転が継続される。一方、包装機80の運転中に、戸体257を開いた場合、包装機80は停止する。
第2シーラー31及び切断刃が閉じられた戸体257の後ろに配置されているため、下の原反ロール96の交換のために戸体157を開いても、交換作業を安全に行うことができる。
戸体157の左右の幅は下方に向かって漸増するため、戸体157を開くと、交換作業のためのスペースを広く確保することができる。
【0048】
ケース本体51は、シャーシ52、アッパーカバー53、ロアカバー54及びサイドカバー55,56を有する。
【0049】
シャーシ52は、筐体40の前面に取り付けられているとともに、物品供給装置70の上方に配置されている。このシャーシ52の内側には、原反ロール96、支持シャフト24、誘導ローラ26、折り返しローラ27、留め具28、第1シーラー30、ガイドローラ10,12、第1ダンサーローラ14a、第2ダンサーローラ14b及び第2シーラー31が収まっている。
【0050】
シャーシ52は、複数の棒材52aを骨組みすることによって得られる骨組構造体である。ここで、シャーシ52の鉛直な後面は、筐体40の前面に沿って矩形枠状に骨組みされた棒材52aによって矩形状に画定されている。シャーシ52の後面を画定した棒材52aによって囲われた領域は、筐体40の前面及び回転盤22によって閉塞されている。なお、上述のように戸体157,257がそれぞれケース本体51の側面の前端にヒンジ58,59によって連結されているところ、ケース本体51の側面の前端はシャーシ52の棒材52aによって構成されている。
【0051】
シャーシ52の水平な上面は、矩形枠状に骨組みされた棒材52aによって矩形状に画定されている。シャーシ52の水平な下面は、矩形枠状に骨組みされた棒材52aによって矩形状に画定されている。シャーシ52の上面の前後長、つまりシャーシ52の上面の後端52bからシャーシ52の上面の前端52cまでの長さは、シャーシ52の下面の前後長、つまりシャーシ52の下面の後端52dからシャーシ52の下面の前端52eまでの長さよりも長い。
【0052】
シャーシ52の上面の前後長は、回転盤22の表面から支持シャフト24の先端までの支持シャフト24の長さよりも長い。そのため、シャーシ52の上面の前端52cの位置は、支持シャフト24の先端の位置よりも前にある。
【0053】
シャーシ52の下面の前後長は、回転盤22の表面から支持シャフト24の先端までの支持シャフト24の長さよりも短い。そのため、シャーシ52の下面の前端52eの位置は、支持シャフト24の先端の位置よりも後ろにある。
【0054】
透明なアッパーカバー53は、シャーシ52の上面を画定した棒材52aにネジ等により貼り付けられている。これにより、シャーシ52の上面を画定した棒材52aによって囲われた領域は、アッパーカバー53によって閉塞されている。アッパーカバー53の前後長は、回転盤22の表面から支持シャフト24の先端までの支持シャフト24の長さよりも長い。そのため、アッパーカバー53の前端の位置は、支持シャフト24の先端の位置よりも前にある。
【0055】
透明なロアカバー54は、シャーシ52の下面を画定した棒材52aにネジ等により貼り付けられている。これにより、シャーシ52の下面を画定した棒材52aによって囲われた領域は、ロアカバー54によって閉塞されている。ロアカバー54の前後長は、回転盤22の表面から支持シャフト24の先端までの支持シャフト24の長さよりも短い。そのため、ロアカバー54の前端の位置は支持シャフト24の先端の位置よりも後ろにあり、支持シャフト24はロアカバー54の前端よりも前に張り出している。
【0056】
透明なサイドカバー55はシャーシ52の一方の側面を画定した棒材52aにネジ等により貼り付けられ、透明なサイドカバー56はシャーシ52の他方の側面を画定した棒材52aにネジ等により貼り付けられている。
【0057】
[5] 原反ロールの交換
まず、作業員がフロントドア57を開く。具体的には、包装機80の運転中は戸体157を開く。
次に、待機位置P2の原反ロール96と支持シャフト24のロックを解除する。原反ロール96を前方に引いて、支持シャフト24から原反ロール96を取り外す。
【0058】
次に、図6に示すように、新たな原反ロール96を持ち上げて、その原反ロール96の中心孔を支持シャフト24の先端に引っ掛ける。ここで、ケース本体51の下面の前後長が支持シャフト24の長さよりも短く、支持シャフト24の先端がケース本体51の下面の前端よりも前にあるため、原反ロール96の中心軸を前下がりに傾けた状態で原反ロール96を持ち上げても原反ロール96がケース本体51の下面に当たらない。そのため、図6に示すように、原反ロール96の前部分を高く持ち上げずとも、原反ロール96の中心孔に支持シャフト24の先端を引っ掛けることができる。
【0059】
その後、原反ロール96の前部分を持ち上げて、原反ロール96の中心孔を支持シャフト24と同軸にする。この際、原反ロール96の中心孔が支持シャフト24の先端に支えられているため、原反ロール96の前部分を軽い力で持ち上げることができる。
【0060】
その後、原反ロール96を後ろに押し込んで、支持シャフト24を原反ロール96の中心孔に差し込む。そして、ロック機構により原反ロール96を支持シャフト24にロックする。
【0061】
[6] 有利な効果
ケース本体51の下面の前後長が支持シャフト24の長さよりも短く、支持シャフト24がケース本体51の下面の前端よりも前に張り出すため、原反ロール96がケース本体51の下面に当たることなく原反ロール96を簡単に装着することができる。
【0062】
フロントドア57の下部が後ろ下りに傾斜するため、保護ケース50と物品供給装置70との間のスペースが広い。そのため、そのスペースを利用して、メンテナンスや物品90の取り出し等の作業を行いやすい。
【0063】
保護ケース50のアッパーカバー53、ロアカバー54、サイドカバー55,56及びフロントドア57が透明であるため、保護ケース50の内側を視認することができる。保護ケース50越しに物品供給装置70上の物品90を照明したり、視認したりすることができる。なお、保護ケース50のアッパーカバー53、ロアカバー54、サイドカバー55,56及びフロントドア57の全てが透明であったが、これらのうち少なくともロアカバー54が透明であればよい。
【0064】
[7] 変形例
フィルム供給装置1の各構成要素を以上の実施形態から変更してもよい。以上の実施形態からの変更点について以下に説明する。以下に説明する2以上の変更点は、可能な限り組み合わせて適用してもよい。
【0065】
(1) 上記実施形態では、フロントドア57が左右の両開き扉である。それに対して、フロントドア57が左又は右の片開き扉、下の片開き扉、上の片開き扉又は上下の両開き扉であってもよい。フロントドア57が下の片開き扉又は上下に両開き扉である場合、下側の戸体が最も開いた時には、下側の戸体が垂下した状態である。
【0066】
(2) 上記実施形態では、回転盤22に取り付けられる支持シャフト24の数が2本である。それに対して、支持シャフト24の数が3本以上であってもよい。この場合、1本の誘導ローラ26、1本の折り返しローラ27、1体の留め具28及び1体の第1シーラー30からなるセットの数が支持シャフト24の数に等しい。
【0067】
(3) 上記実施形態では、上下の原反ロール96の位置の入れ替えの時に、及び、フィルム95の接合の時に、フィルム95の供給が停止しないように経路長調整部14が設けられている。それに対して、経路長調整部14が設けられていなくてもよく、この場合、位置入れ替え時及び接合時には、フィルム95の供給が一時停止される。
【0068】
(4) 上記実施形態では、フィルム95の自動接合のために、誘導ローラ26、折り返しローラ27、留め具28、第1シーラー30及び第2シーラー31が設けられている。それに対して、誘導ローラ26、折り返しローラ27、留め具28、第1シーラー30及び第2シーラー31が設けられていなくてもよく、この場合、原反ロール96の位置入れ替え後に作業者がフィルム95を接合する。
【0069】
(5) 上記実施形態では、支持シャフト24が駆動されることによってフィルム95が繰り出される。それに対して、支持シャフト24が駆動されずにブレーキによって制動された上で、フィルム95がドライブローラによって引き出されるものとしてもよい。
【0070】
(6) 上記実施形態では、戸体157の下部157bが後ろ下がりに傾斜している。それに対して、図7に示すように、戸体157の下部157bが上部157aと面一になるように鉛直に設けられ、戸体157の下面部としてのフランジ157cが、下部157b及び上部157aからなる前面部の下端から後方に張り出していてもよい。戸体157が閉じた状態では、フランジ157cがケース本体51の下面と面一になっており、戸体157の前面部の下端とケース本体51の下面の前端との間がフランジ157cによって塞がれている。ここで、図7は、保護ケース50を破断した状態で示したフィルム供給装置1の側面図である。
【0071】
(7) 包装機80の運転中における原反ロール96の交換或いは装着の作業の際に、必要に応じて、作業者が回転盤22を回転させて、作業者自身の身長に合わせて、支持シャフト24の位置を調整してもよい。回転盤22の回転の際には、原反ロール96からのフィルム95の繰り出し速度を増減するよう調整する。これにより、フィルム95の弛みを防止しつつ、経路長調整部14から包装機80へのフィルム95の供給が継続される。
【0072】
(8) 図8の上面図に示すように、ケース本体51は、その前面が開口した直方体又は立方体の前下部分及び前左部分を切り取った形状に成していてもよい。そのため、ケース本体51の上面及び右側面をそれぞれ構成するアッパーカバー53及びサイドカバー56の前後長は、ケース本体51の下面及び左側面をそれぞれ構成するロアカバー54及びサイドカバー55の前後長よりも長く、アッパーカバー53及びサイドカバー56は、ロアカバー54及びサイドカバー55の前端よりも前に張り出している。フロントドア57の左部、具体的には戸体157の左部157dが左に向かって後方に傾斜している。
【0073】
また、ロアカバー54及びサイドカバー55の前後長は、回転盤22の表面から支持シャフト24の先端までの支持シャフト24の長さよりも短い。そのため、ロアカバー54及びサイドカバー55の前端の位置は支持シャフト24の先端の位置よりも後ろにあり、支持シャフト24はロアカバー54及びサイドカバー55の前端よりも前に張り出している。
【0074】
原反ロール96の交換或いは装着の作業の際に、作業者が回転盤22を回転させて、作業者自身の身長に合わせて、支持シャフト24の位置を上げて、サイドカバー55に近づける。こうした場合、原反ロール96がケース本体51の左側面の前端に当たることなく原反ロール96を支持シャフト24に簡単に装着することができる。
【符号の説明】
【0075】
1…フィルム供給装置
22…回転盤
24…支持シャフト
50…保護ケース
51…ケース本体
57…フロントドア
70…物品供給装置(搬送機)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8