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特許7450947ドラムペダル、ドラムペダル用改造アセンブリ、およびドラムペダルの改造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】ドラムペダル、ドラムペダル用改造アセンブリ、およびドラムペダルの改造方法
(51)【国際特許分類】
   G10D 13/11 20200101AFI20240311BHJP
【FI】
G10D13/11
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021544759
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-18
(86)【国際出願番号】 EP2020052505
(87)【国際公開番号】W WO2020157318
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】BE2019/5058
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】521338592
【氏名又は名称】ドナート コッカ
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】ドナート コッカ
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-091276(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0047060(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10D 13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラムを叩くためのドラムペダルであって、前記ドラムペダルは、
少なくとも1つの脚部を有する支持部と、
前記支持部によって支持された回転シャフトと、
前記回転シャフトに取り付けられ、前記回転シャフトの回転に伴って回転するビーターであって、前記ドラムを叩くように設けられたビーターと、
前記ビーターを前記ドラムに向かって第1方向に回転させる作動機構と、
前記ビーターを前記ドラムから離れるように前記第1方向とは反対の第2方向に回転させる復帰機構と、を備え、
前記ドラムペダルは、少なくとも1つの軸受アセンブリをさらに備え、
前記支持部の前記少なくとも1つの脚部は、前記作動機構と前記少なくとも1つの軸受アセンブリとの間に位置し、
前記少なくとも1つの軸受アセンブリは、軸受と、前記軸受を支持するように設けられた軸受支持部と、前記軸受を収容するように設けられた軸受チャンバと、を含み、前記軸受チャンバは、前記回転シャフトの回転を前記軸受の回転に伝達するように前記回転シャフトに連結されていることを特徴とするドラムペダル。
【請求項2】
前記軸受支持部と前記少なくとも1つの脚部は一体に設けられており、前記軸受支持部(29)は単一の部品として形成されているか、または、前記軸受支持部(19)は2つの部品によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のドラムペダル。
【請求項3】
前記軸受支持部(19,29)の外側部分(19b,29b)は、前記脚部(3)の上方部分内に取り付けられるように設けられているか、または、前記脚部(3)と一体に形成されており、前記軸受支持部(19,29)の内側部分(19a,29a)は、前記内側部分(19a,29a)の外径(D2)と実施的に対応する内径を有する軸受を支持するように設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のドラムペダル。
【請求項4】
前記軸受チャンバは、軸受収容部と回転シャフト収容部とを含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のドラムペダル。
【請求項5】
前記復帰機構は、前記少なくとも1つの軸受アセンブリと係合していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のドラムペダル。
【請求項6】
前記支持部の前記少なくとも1つの脚部は、前記作動機構と前記復帰機構の間に位置することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のドラムペダル。
【請求項7】
前記支持部は、前記作動機構の両側面にそれぞれ設けられた2つの脚部を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のドラムペダル。
【請求項8】
2つの軸受アセンブリを備え、前記支持部の前記2つの脚部は、前記2つの軸受アセンブリの間に位置することを特徴とする請求項7に記載のドラムペダル。
【請求項9】
前記少なくとも1つの軸受アセンブリは、軸受収容部と回転シャフト収容部を有する軸受チャンバを含むことを特徴とする請求項7または請求項8に記載のドラムペダル。
【請求項10】
前記軸受チャンバは、前記軸受の外輪に回転可能に固定されており、例えば、前記軸受チャンバの直径は、前記軸受の外輪の外径に実質的に対応することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のドラムペダル。
【請求項11】
ドラムペダルを請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のドラムペダルに改造するための改造アセンブリであって、前記改造アセンブリは、
回転シャフトと、
軸受と、前記軸受を支持するように設けられた軸受支持部と、前記軸受を収容するように設けられた軸受チャンバと、を含む少なくとも1つの軸受アセンブリと、を備え、
前記軸受アセンブリの前記軸受チャンバは、前記ドラムペダルの支持部の少なくとも1つの脚部が、前記少なくとも1つの軸受アセンブリと前記ドラムペダルの作動機構との間に位置するように、前記回転シャフトの外側端部で前記回転シャフトと係合するように設けられていることを特徴とする改造アセンブリ。
【請求項12】
前記軸受は、前記軸受によって置き換えられる改造されるドラムペダル内の軸受よりも直径が大きいことを特徴とする請求項11に記載の改造アセンブリ。
【請求項13】
前記軸受支持部(19,29)は、外側部分(19b,29b)と、内側部分と、を含む2つの部分(19a,19b,29a,29b)を備え、前記外側部分(19b,29b)は、前記外側部分によって置き換えられるペダルの軸受と同じ寸法を有し、前記内側部分は、新しい軸受を支持するように設けられるとともに、外径(D2)が新しい軸受(18)の内輪の内径に対応することを特徴とする請求項11または請求項12に記載の改造アセンブリ。
【請求項14】
前記軸受支持部(19,29)の内径(D5)は、前記シャフトの直径よりも大きいことを特徴とする請求項13に記載の改造アセンブリ。
【請求項15】
前記復帰機構側に設けられた脚部、前記復帰機構の反対側に設けられた脚部、または両方の脚部に設けられていることを特徴とする請求項11から請求項14のいずれか1項に記載の改造アセンブリ。
【請求項16】
前記軸受アセンブリの前記軸受チャンバと係合するように設けられ、かつ前記ドラムペダルの復帰機構を前記回転シャフトに連結するように設けられた連結部品をさらに備えることを特徴とする請求項11から請求項15のいずれかに記載の改造アセンブリ。
【請求項17】
ドラムペダルを用意し、
請求項11から請求項16のいずれかに記載の改造アセンブリを用意し、
前記ドラムペダルの回転シャフトを前記改造アセンブリの回転シャフトと交換し、
前記ドラムペダルの支持部の少なくとも1つの脚部が前記少なくとも1つの軸受アセンブリと、前記ドラムペダルの作動機構との間に位置するように、前記少なくとも1つの軸受アセンブリを前記回転シャフトの外側端部に取り付けることを含むことを特徴とするドラムペダルの改造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペダルの動作によって、ドラム、特にバスドラムをビーターで叩くドラムペダルに関する。
【背景技術】
【0002】
このような装置は、従来より一般に知られている。ペダルは、一般に、1つまたは2つの脚部を有する支持部を含む。支持部は、支持部の1つまたは2つの脚部の上端部を通って延びる回転可能なシャフトを支持するように設けられている。シャフトには、ドラムを叩くビーターが取り付けられており、ビーターは、ドラムに向かって、そしてドラムから離れるようにシャフトを中心に回転移動可能となっている。ドラムペダルは、ドラムに向かってビーターを移動させる作動機構と、ドラムから離れるようにビーターを移動させる復帰機構とをさらに含む。作動機構は、一般に、フットプレートを含み、フットプレートに加わる押し込み動作が、例えばチェーンを介してシャフトの回転動作に変換され、これにより、ビーターがドラムに向かって移動する。フットプレートに加わる圧力が解除されると、例えばバネとすることができる復帰機構が、ビーターをドラムから離すように構成されている。支持部が2つの脚部を含む場合、これらの脚部は離間され、フットプレートの両側面にそれぞれ配置される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に知られているこのようなドラムペダルは、種々の課題や難点を有している。力によってドラムを叩くには、比較的重くて頑丈なドラムペダルを備えることが有利であり得る。一方で、ドラムペダルが重ければ重いほど、復帰機構で必要な張力が大きくなり、ユーザが腱炎を患うリスクが高くなる。重篤な腱炎の場合、ユーザはドラムの演奏を断念せざるを得なくなることもある。また、ドラムペダルが比較的重いと、ビーターの比較的正確で速い動作が妨げられる場合がある。さらに、このような難点を改善しようとして、ドラムペダルは益々複雑に、例えば、多くの異なる部品を含むようになった。これにより、ペダルは、異なる部品間の調整の影響を受けやすくなったり、製造公差が比較的小さくなったり、製造コストが増加するおそれがある。
【0004】
本発明の目的は、上述した1つまたは複数の課題を解決または軽減することである。本発明は、特に、力の損失なくドラムを比較的正確に叩くことができるとともに、ドラムペダルの部品数および総重量を比較的低く抑えることができる改善されたドラムペダルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的に鑑みて、本発明の第1態様によれば、請求項1の特徴によって特徴づけられるドラムペダルが提供される。特に、ドラムを叩くためのドラムペダルは、少なくとも1つの脚部を有する支持部を備える。この支持部は、例えば、直立した脚部を1つ含む場合にはL字型の形状を有することができ、直立した脚部を2つ含む場合にはU字型の形状を有することができる。ドラムペダルは、上記支持部、特に支持部の少なくとも1つの直立した脚部の上端部によって支持された回転シャフトをさらに備える。回転シャフトは、支持部の平面と同じ平面内で直立した脚部と実質的に交差するように、すなわち、L字型またはU字型の支持部の底部と実質的に平行に延在する。支持部の他の形状も可能である。回転シャフトは、回転シャフト自体の長手方向中心軸を中心に回転するように設けられている。ドラムペダルは、上記回転シャフトに取り付けられたビーターをさらに備える。特に、ビーターの第1端部は、シャフトに固定して取り付けられており、上記シャフトと実質的に交差する平面内でシャフトから延びている。ビーターは、特に、上記シャフトと実質的に交差する上記平面内で、上記回転シャフトの回転に伴って回転するように設けられている。ビーターは、シャフトが回転するとドラムを叩くように設けられている。ドラムペダルは、ビーターをドラムに向かって第1方向に回転させる作動機構をさらに備える。作動機構は、例えば、チェーンまたはバンド等の可撓性部材によって回転シャフトに連結されたフットプレートを有することができ、フットプレートに加わる圧力または押し込み動作が、回転シャフトの第1方向の回転に変換され、これにより、ビーターがドラムに向かって移動してドラムを叩く。作動機構は、例えば、停止時にフットプレートが斜めに配置され、フットプレートの長手方向の第1端部が上記長手方向の第2端部よりも高い位置に位置するように構成されてもよい。この状態において、上記第1端部を回転シャフトに連結することができ、フットプレートの斜めの配置による第1端部と第2端部との高さの差により、フットプレートの第1端部の下向きの動作が可能になり、回転シャフトの第1方向の回転が引き起こされる。作動機構は、一般に、ドラムペダルの実質的に中央、例えば、2つの脚部を有する支持部の場合には2つの脚部の間、または実質的にL字型の1つの脚部を有する支持部の底部の上方に配置することができる。ドラムペダルは、ビーターを第1方向とは反対の第2方向に回転させて、ドラムから離れるように移動させる復帰機構をさらに備える。この復帰機構は、バネまたは他の適切な要素等のプレテンション要素を含むことができ、ビーターの第1方向の動作は、プレテンション要素によって作用する力に対抗して実行される。よって、復帰機構は、作動機構に加わった圧力が解除されると、回転シャフトを実質的に停止した初期位置に戻すように回転させる。本発明によれば、ドラムペダルは、少なくとも1つの軸受アセンブリをさらに備え、支持部の少なくとも1つの脚部は、作動機構と少なくとも1つの軸受アセンブリとの間に位置する。ドラムペダルに軸受アセンブリを設けることにより、回転シャフトの滑らかな回転を改善し、ドラムをさらに正確に叩くことができる。軸受が作動機構または支持部に含まれることがある従来技術のドラムペダルとは異なり、少なくとも1つの軸受アセンブリは、作動機構から離間され、少なくとも1つの脚部が軸受アセンブリと作動機構との間に位置するようにドラムペダルに取り付けられている。換言すると、作動機構が相対的にドラムペダルの中央に配置され、シャフトのほぼ中央で回転シャフトと係合するときには、少なくとも1つの軸受アセンブリは、回転シャフトの中央から離れて、好ましくは回転シャフトの端部のより近くに取り付けられている。少なくとも1つの軸受アセンブリのこのような配置は、二重の利益をもたらすことがわかった。作動機構が軸受を含まなくてもよいので、作動機構をより軽量とすることができる。作動機構が比較的軽量であれば、ビーターの操作に必要な力が小さくなる。また、軸受アセンブリと作動機構を離れて設けることにより、回転シャフトのバランスが改善され、これは、ドラムペダルの使用時における精度の改善に寄与し得る。
【0006】
少なくとも1つの軸受アセンブリは、好ましくは、軸受と、軸受を支持するように設けられた軸受支持部と、軸受を収容するように設けられた軸受チャンバとを含む。軸受支持部は、支持部の少なくとも1つの脚部の上端部内に少なくとも部分的に固定して取り付けられるように構成することができる。軸受支持部は、回転シャフトが軸受支持部を通って延在し、非回転の軸受支持部内で自由に回転するように設けることができる。軸受支持部に取り付けられるように設けられた軸受は、例えば、ころ軸受、より好ましくは、玉軸受とすることができる。軸受チャンバは、軸受と係合するように軸受上に取付可能に構成することができる。これにより、軸受アセンブリの部品数が最少となり、ドラムペダルの設計が簡素化される。
【0007】
軸受チャンバは、回転シャフトの回転を軸受の回転に伝達するように回転シャフトに連結されることが有利である。特に、軸受チャンバを回転シャフトに固定して取り付けて、回転シャフトと軸受チャンバを直接連結することができる。この場合、回転シャフトの回転は、軸受の径方向外側の回転を引き起こす軸受チャンバの回転を意味する。これにより、回転シャフトを回転時に比較的正確にセンタリングし、ビーターの動作精度を改善することができる。これは、1つまたは複数の軸受を含む従来技術のドラムペダルとは異なる。例えば、作動機構や支持部の脚部に軸受を有する従来技術のドラムペダルでは、回転シャフトは軸受の径方向内側で回転し、軸受はシャフトの滑らかな回転を改善することにしか寄与しない。本発明のドラムペダルでは、回転シャフトは、軸受内で直接回転せず、軸受チャンバを介して軸受の外側に回転を伝達し、軸受は回転シャフトのセンタリングに寄与する。シャフトのセンタリングが軸受アセンブリによって少なくとも部分的になされるので、本発明のドラムペダルでは、回転シャフトとシャフトを収容する軸受支持部との間に比較的大きなクリアランスを設けることができる。比較的大きいクリアランスは、より少ない抵抗および摩耗を意味する。回転シャフトの支持点が離間されることによる安定性の改善および回転シャフトのセンタリングの精度により、比較的正確なビートが提供され、比較的滑らかで速い演奏が可能になる。よって、軸受チャンバは、軸受の外輪に回転可能に固定されているとともに、回転シャフトに回転可能に固定されており、回転シャフトの回転により、軸受チャンバと軸受の外輪の回転が引き起こされる。
【0008】
異なる構成も可能である。軸受支持部と少なくとも1つの脚部を一体に設けることができる。軸受支持部(29)は単一の部品として形成することができ、または軸受支持部(19)は2つの部品によって形成することができる。
【0009】
軸受支持部(19,29)の外側部分(19b,29b)は、脚部(3)の上方部分に取り付けられるように設けられているか、脚部(3)と一体に形成することができ、内側部分(19a,29a)は、内側部分(19a,29a)の外径(D2)と実施的に対応する内径を有する軸受を支持するように設けることができる。軸受支持部の内側部分により、軸受は脚部と同じシャフトに垂直な垂直面内にない点で有利である。さらに、軸受支持部の内側部分は、軸受をあらゆる寸法および種類のものに変更することを可能にする。それぞれの寸法および種類は、演奏者に異なる効果を提供する。軸受支持部内でシャフトが自由に回転可能となるように、軸受支持部の内径がシャフトの直径よりも大きいことのみが要求される。
【0010】
軸受チャンバは、好ましくは、軸受収容部と回転シャフト収容部とを含み得る。特に、軸受チャンバは、軸受に係合して軸受上に嵌るように比較的大きい内径を有する軸受収容部と、回転シャフトがシャフト収容部に比較的ぴったりと収容されるように、比較的小さい内径を有し、雌ほぞまたはほぞ穴を含み得る回転シャフト収容部とを含んでもよい。さらに、固定手段は、回転シャフトに対する軸受チャンバの固定または締結を改善することができる。
【0011】
復帰機構は、少なくとも1つの軸受アセンブリと係合することが好ましい。これにより、軸受は、ビーターがドラムを叩くとき、または作動機構に加わった圧力が解除されたときの慣性モーメントを補償することができる。これによって、改善された比較的早い応答時間およびビーターの比較的正確な復帰動作を得ることができ、比較的速いビートの演奏が可能となる。
【0012】
より好ましくは、支持部の少なくとも1つの脚部は、作動機構と復帰機構の間に位置してもよい。これにより、復帰機構は、作動機構から離間され、作動機構のフットプレートを介してドラムペダルを操作するユーザの足のためにより多くの空間が残される。復帰機構が支持部の脚部によって作動機構から離間されていない従来技術のドラムペダルでは、復帰機構は作動機構のより近くに配置され、ドラムペダルのユーザ、特に、例えばフットプレートによって作動機構を操作するユーザの足の動作が妨げられ得る。
【0013】
支持部は、作動機構の両側面にそれぞれ設けられている2つの脚部を有することが有利である。換言すると、作動機構、または作動機構の少なくとも一部は、支持部の2つの脚部の間に設けられている。このような支持部は、単一の脚部を有する支持部よりもより頑丈で安定した支持部を提供することができる。この場合、回転シャフトは、支持部の両方の脚部、特に各々の脚部の上端部によって支持することができ、回転シャフトは、支持部の一方の脚部から他方の脚部まで延在するか、または、さらに支持部の脚部の一方または両方の上端部を貫通して延在する。
【0014】
ドラムペダルは、好ましくは、2つの軸受アセンブリを備え、支持部の2つの脚部は、2つの軸受アセンブリの間に位置する。軸受アセンブリの離間、および追加の軸受の存在により、回転シャフト両側に設けられた軸受アセンブリは、シャフトの回転をかなり安定させ、ビートの精度および速度を向上させることができる。
【0015】
上述したように、少なくとも1つの軸受アセンブリは、軸受収容部と回転シャフト収容部を有する軸受チャンバを含むことが好ましい。軸受アセンブリは、両方とも軸受、軸受を支持するように設けられた軸受支持部、および軸受を収容するように設けられた軸受チャンバを含み得る。軸受支持部は、支持部の少なくとも1つの脚部の上端部内に少なくとも部分的に固定して取り付けられるように設けることができる。軸受支持部は、回転シャフトが軸受支持部を貫通して非回転の軸受支持部内で自由に回転することができるように構成することができる。軸受支持部に取り付けるように設けられた軸受は、例えば、ころ軸受、より好ましくは、玉軸受とすることができる。軸受チャンバは、軸受と接触して係合するように軸受上に取り付けることができるように構成することができる。軸受チャンバの一方、好ましくは軸受チャンバの両方は、回転シャフトを比較的ぴったりと収容する回転シャフト収容部を含むことができる。2つの軸受チャンバの外径は、好ましくは異なっていてもよく、一方の軸受チャンバは、復帰機構を連結することができる外径が縮径されたピン部を含み得る。外径が縮径されたピン部の内部は、シャフト収容部に対応していてもよい。他方の軸受チャンバは、同一の形状、または2つの異なる内径にもかかわらず単一の外径を有する実質的に円筒形状を有することができる。後者の場合は、シャフト収容部は、外径が縮径されたピン部の内部のシャフト収容部よりも短く設けることができるが、必ずしもこのように設ける必要はない。第2の軸受チャンバには復帰機構との連結部を設ける必要がないので、2つの異なる外径を有する軸受チャンバは不要である。これにより、軸受チャンバの一方を他方よりも小さい部品とすることができ、軽量化や材料および製造コストの削減が可能となる。
【0016】
軸受チャンバと軸受の外輪は、回転可能に固定されている。例えば、軸受チャンバの直径は、外輪の外径に実質的に対応していてもよい。軸受チャンバの面と外輪の面の間の密な接触による摩擦により、軸受チャンバと外輪は確実に一緒に回転する。
【0017】
軸受チャンバがシャフトに回転可能に固定されているため、軸受の外輪も軸受チャンバを介してシャフトに回転可能に固定されている。よって、シャフトは、軸受の外輪を案内する一方で、内輪は回転しない。
【0018】
本発明の第2態様によれば、請求項11~16に記載の特徴を有する、ドラムペダルを上述したドラムペダルに改造するための改造アセンブリが提供される。このような改造アセンブリは、上述した1つまたは複数の利点を提供することができる。
【0019】
軸受は、改造されるドラムペダル内でこの軸受によって置き換えられる軸受よりも直径が大きくてもよい。軸受の直径の変更により、ペダルの異なる動的挙動がユーザに提供される点で有利である。
【0020】
軸受支持部(19,29)は、外側部分によって置き換えられるペダルの軸受と同じ寸法を有する外側部分(19b,29b)と、新しい軸受を支持するように設けられ、外径(D2)が新しい軸受(18)の内輪の内径に対応する内側部分とを含む2つの部分(19a,19b,29a,29b)を備えることが有利である。軸受の直径を変更することは容易である。また、異なる種類および/または寸法の軸受を有する改造アセンブリを提供することもできる。この場合、軸受支持部およびチャンバは、軸受の寸法に対応する寸法を有する。
【0021】
軸受支持部(19,29)の内径(D5)は、軸受支持部内でシャフトが自由に回転可能となるようにシャフトの直径よりも大きいことが好ましい。
【0022】
アッセンブリは、復帰機構側に設けられた脚部、復帰機構の反対側に設けられた脚部、または両方の脚部に設けることができる。ここでも異なる形態が可能であり、各形態はペダルを使用するユーザに異なる効果を提供する。
【0023】
本発明の第3態様によれば、請求項11の特徴を有する、ドラムペダルの改造方法が提供される。このような方法は、上述した1つまたは複数の利点を提供することができる。また、改造アセンブリおよびドラムペダルの改造方法を提供することにより、ドラムペダルの限られた数の部品のみを交換すればよく、比較的簡単に実施できるため、本発明は比較的低コストで、比較的速くて正確にドラムを叩くことができる改善されたドラムペダルをユーザに提供することができる。
【0024】
本発明について、例示的な実施形態に係る図面を参照してさらに説明する。対応する要素には、対応する参照符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】ドラムペダルの好適実施形態に係る斜視図である。
図2a】ドラムペダル用改造アセンブリの好適実施形態に係る部分分解図である。
図2b】ドラムペダル用改造アセンブリの好適実施形態に係る軸測投影図である。
図3】単一の部品として提供された軸受支持要素の寸法を示している。
図4】ドラムペダル用改造アセンブリの他の実施形態に係る部分分解図である。
図5】ドラムペダル用改造アセンブリの他の実施形態に係る軸測投影図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明に係るドラムペダル1の好適な実施形態の斜視図を示している。ドラム(図示省略)を叩くためのドラムペダル1は、実質的にU字型の支持部を提供する2つの脚部3を有する支持部2と、上記支持部2、特に各脚部3の上端部3aによって支持された回転シャフト4と、当業者に周知の方法で上記回転シャフト4に取り付けられ、上記回転シャフト4の回転に伴って回転するように設けられたビーター5とを備えており、ビーター5は、ドラムを叩くように設けられている。
【0027】
ドラムペダル1は、さらに、ビーター5をドラムに向かって第1方向7に回転させる作動機構6と、ビーター5をドラムから離れるように第1方向7とは反対の第2方向8に回転させる復帰機構13とを備えている。本実施形態の作動機構6は、例えば、フットプレート9を有し、このフットプレート9は、可撓性部材10、特にチェーンを介して回転シャフト4に連結されている。フットプレート9に加わる圧力または押し込み動作が、回転シャフト4の第1方向7の回転に変換され、これにより、ビーター5がドラムに向かって移動し、ビーター5、特にビーター5のクッション付きの端部11がドラムを叩く。
【0028】
可撓性部材10は、動力伝達要素12を介して回転シャフト4に連結されており、動力伝達要素12は、可撓性部材10を介して回転シャフト4に作用する力のレバーアーム長を延長するために回転シャフト4の直径を局部的に拡大するように構成されている。本発明によれば、動力伝達要素12を、どちらかと言うと大きくて比較的重く、金属製である場合も多い動力伝達要素を有する従来のドラムペダルとは異なり、例えば、プラスチック製またはアルミニウム製の比較的軽量のものとすることができる。作動機構6は、停止時にフットプレート9が斜めに配置され、フットプレート9の長手方向の第1端部9aが上記長手方向の第2端部9bよりも高い位置に位置するように構成することができる。この状態で、上記第1端部9aを回転シャフト4に連結することができ、フットプレート9の斜めの配置による第1端部と第2端部との高さの差により、フットプレート9の第1端部9aの下向きの動作が可能になり、回転シャフト4の第1方向7の回転が引き起こされる。
【0029】
作動機構6は、ドラムペダル1の実質的に中央、例えば、実質的にU字型の支持部の2つの脚部3の間に配置することができる。また、可撓性部材10が固定して取り付けられる動力伝達要素12は、回転シャフト4の実質的に中央に配置されることが好ましい。ドラムペダル1は、少なくとも1つの軸受アセンブリ、本好適実施形態では2つの軸受アセンブリ16,17をさらに備えている。
【0030】
支持部2の2つの脚部3は、好ましくは、2つの軸受アセンブリ16,17の間に設けられており、支持部2の各脚部3は、それぞれ作動機構6と対応する軸受アセンブリ16,17との間に位置する。軸受アセンブリ16,17は、それぞれ軸受18と、軸受支持部19と、軸受チャンバ20a,20bとを含む。
【0031】
軸受支持部19は、支持部2の脚部3の上端部3aに部分的に収容されており、軸受支持部が脚部3の上端部3a内で回転不能となるように、例えばネジまたは他の固定手段によって上記脚部3に固定可能である。ペダルは、軸受支持部と一体に形成された脚部を備えてもよい。
【0032】
軸受18は、前記軸受支持部19、特に脚部3の上端部3aから延びる部分に固定されている。
【0033】
軸受チャンバ20a,20bは、軸受を収容する部分が軸受18と係合し、シャフトを収容する部分が回転シャフト4を収容することができるように、軸受18上に取り付けられている。続いて、1つまたは複数のネジまたは他の固定手段によって、回転シャフト4を軸受チャンバ20a,20bに固定することができる。
【0034】
ビーター5をドラムから離れるように第1方向7とは反対の第2方向8に回転させる復帰機構13は、バネ14または他の適切なプレテンション(pre-tensioned)要素を含むことができる。このようなバネ14またはプレテンション要素は、一方の端部が、支持部2に固定して取り付けられ、反対側の端部が、例えば締結要素15を介して回転シャフト4に連結される。ドラムペダル1の本好適実施形態では、締結要素15が軸受アセンブリ16の軸受チャンバ20aに係合していてもよく、軸受チャンバ20aは、締結要素15が軸受チャンバ20aと係合することを可能とするように、外径が縮径されたピン部21を含み得る。フットプレート9に加わる圧力は、可撓性部材10および動力伝達要素12を介して回転シャフト4に伝達され、結果として回転シャフト4が第1方向7に回転し、ドラムに向かってビーター5を移動させる。回転シャフト4の回転は、軸受18の径方向外側(すなわち、軸受18の外輪上)で回転する軸受チャンバ20a,20bの回転も引き起こす。
【0035】
このような作用は、1つまたは複数の軸受が、例えば、作動機構の中央や支持部の脚部に設けられ、回転シャフトが軸受の径方向内側で回転する(つまり、回転シャフトの回転が軸受の内輪を駆動する)従来のドラムペダルとは異なる。従来技術のペダルでは、バネ要素は、例えば、シャフトに直接固定された締結要素によって固定される。
【0036】
図1に示すドラムペダルは、回転シャフト4と軸受支持部19との間に、シャフトを受け入れる比較的大きいクリアランスを提供する。よって、回転シャフト4の直径は、軸受支持部の内径よりも小さいことが好ましい。比較的大きいクリアランスは、抵抗や摩耗が比較的少ないことを意味する。比較的大きいクリアランスは、シャフトの比較的正確なセンタリングによって補償することができる。これは、作動機構および軸受アセンブリの離間と、軸受チャンバ20a,20bが回転シャフト4に連結された状態で、固定された軸受支持部19に取り付けられた軸受18のセンタリング効果とによるものである。
【0037】
回転シャフトの改善された安定性および精度により、比較的正確なビートを提供することができるとともに、比較的速い演奏が可能となる。一方で、ドラムペダル1の操作は、復帰機構13、特にバネ14のプレテンション力に対抗して行われる。
【0038】
復帰機構13と回転シャフト4が、一方の軸受チャンバ、特に外径が縮径されたピン部21を有する軸受チャンバ20aと係合する締結要素15によって連結されており、軸受チャンバ20aが軸受18上で回転するため、従来技術のドラムペダルで生じるシャフト4の回転方向の反転における慣性モーメントの影響を補正することができる。このことによっても、出力および精度を保ちながら、演奏速度を改善することができる。
【0039】
実際、回転シャフトがチャンバを介して軸受の外輪を駆動するように設けられているため、回転シャフトの中心と外輪との距離が長くなるに従ってモーメントが増加する。
【0040】
図2a,図2bは、本発明に係るドラムペダル1用の改造アセンブリの好適実施形態の軸測投影図および部分分解図である。
【0041】
この改造アセンブリは、例えば図1に示す、特に2つの脚部3を有する支持部を備えるドラムペダルに適しているが、単一の脚部のみを有する支持部に使用することもできる。
【0042】
また、改造されるドラムペダルは、従来技術のドラムペダルで往々にしてあるように回転シャフトの中央部ではなく、回転シャフトの外側端部に取り付けられるように設けられた復帰機構を含むことが好ましい。
【0043】
改造アセンブリの本実施形態の全ての部分は、図1に示すドラムペダル1の実施形態に含まれるので、同じ参照符号を用いて対応する部品を示す。
【0044】
回転シャフト4は、例えば、軸の中央部4aに実質的に六角形の断面を有し、回転シャフト4の端部は、実質的に円形の断面を有し得る。これにより、ビーター5は、比較的安定して回転シャフト4に固定することができ、断面形状によって回転シャフト4に固定されるビーター5の滑りが防止される。作動機構6、特に作動機構6の動力伝達要素12にも同じことが言え、シャフトの断面が実質的に円形の場合よりも回転シャフト4をより良好に把持する。六角形の代わりに、回転シャフトの中央部を他の実質的に多角形形状に設けてもよい。
【0045】
回転シャフトの端部4bの実質的に円形の断面は、逆に、回転シャフト4の滑らかな回転を改善することができる。
【0046】
回転シャフト4は、端部4bがドラムペダル1の支持部2の少なくとも1つの脚部3の1つまたは2つの端部3aを通って延在することができる長さ、例えば約150mm~約220mmの範囲の長さ、例えば実質的に190mmの長さを有することが好ましく、この範囲は、現在商品化されている支持部の幅の範囲をほぼ包含する。従来技術のドラムペダルの回転シャフトは、通常はドラムペダルの支持部を超えて延在しないので、上記長さは、交換される回転シャフトの長さよりも長い可能性がある。
【0047】
このような回転シャフトの実質的に円形の直径を有する部分の直径は、回転シャフトを本発明の改造アセンブリの回転シャフト4などの他の回転シャフトによって比較的簡単に交換することができるように、一般に約8mm以下であり、例えば約5mm~約8mmである。
【0048】
本実施形態の改造アセンブリは、さらに、1つまたは2つの軸受アセンブリ16,17を備える。少なくとも1つの軸受アセンブリ16,17は、軸受18、軸受18を支持するように設けられた軸受支持部19、および軸受18を収容するように設けられた軸受チャンバ20を含む。本実施形態では、軸受支持部19は、内側部分19aと、内側部分19aを少なくとも部分的に収容する外側部分19bとの2つの部品から形成可能である。代わりに、軸受支持部19は、一体の部品として形成することもできる。
【0049】
2つの部品の場合、または外側部分と内側部分を有する単一部品の場合、内側部分19aは、回転シャフトが内側部分19a内で回転可能となるよう回転シャフトを収容するように設けられている。よって、内側部分の内径は、摩擦を防止するために回転シャフトの直径よりも大きいことが有利である。
【0050】
外側部分19bは、少なくとも部分的に、好ましくは実質的に全体としてドラムペダル1の支持部2の少なくとも1つの脚部3の上端部3a内に収容されるように構成されている。
【0051】
外側部分19bは、脚部3の上方部分3aに嵌るように比較的大きな弾性を有する必要があり得るため、例えば合成材料によって形成可能である。一方、内側部分19aは、例えば、金属製とすることができ、合成材料よりも固くてもよい。
【0052】
内側部分19aを少なくとも部分的に収容可能な外側部分19bは、上記上端部3aに固定して取り付けられるように設けられている。内側部分19aは、外側部分19bから部分的に延在し、この延在する部分は、軸受18を支持するように設けられている。
【0053】
軸受18は、玉軸受であることが好ましいが、他の適切な種類の軸受であってもよい。少なくとも1つの軸受アセンブリ16,17は、軸受チャンバ20をさらに含む。
【0054】
この改造アセンブリの実施形態では、2つの軸受チャンバ20a,20bは、外形が異なる。第1軸受チャンバ20aは、軸受18を収容する部分の外径よりも小さい外径を有するピン部21を備える。第2軸受チャンバは、上記ピン部を備えていない。第1軸受チャンバ20aと第2軸受チャンバ20bは、共に軸受収容部と回転シャフト収容部を有し、回転シャフトは雌ほぞ23に収容される。
【0055】
回転シャフト4は、続いて、例えば、軸受チャンバ20a,20bを径方向に貫通するネジなどの1つまたは複数の固定手段24によって軸受チャンバ20a,20bに固定して連結することができる。つまり、ピン部を備えていない軸受チャンバ20bでは、ピン部21を備える軸受チャンバ20aよりも長い固定手段が必要となる。回転シャフト4が軸受チャンバ20a,20b内で回転するのを防ぎ、かつ軸受チャンバ20a,20bが回転シャフト4と共に回転するのを可能にする他の固定手段を使用することもできる。
【0056】
改造アセンブリは、さらに、ドラムペダルの復帰機構を少なくとも1つの軸受アセンブリ16,17、特にピン部21を有する軸受チャンバ20aに連結するように構成された締結要素15を備え得る。これにより、締結要素の寸法を、改造アセンブリの軸受アセンブリ16の軸受チャンバ20aのピン部21の外径に適合させることができる
【0057】
上述したように、軸受支持部は、一体に形成することもできる。図3は、単一片として形成されたこのような軸受支持部を示している。第1実施形態と同様に、外側部分29bは、従来のペダルの脚部の上端部に設置された玉軸受と置き換わるように構成されており、従って、置き換えられる玉軸受と同じ寸法を有することが好ましい。よって、外側部分19b,29bの直径D1は、置き換えられる玉軸受の外径と実質的に同一である。当該技術のペダルは、例えば、22mmの外径を有する玉軸受を含む。
【0058】
内側部分19a,29aは、軸受18を支持するように設けられている。従って、内側部分19a,29aの直径D2は、軸受18の内径、つまり内輪18aの直径に実質的に対応する。
【0059】
軸受18は、脚部13の外側に設けることが有利である。換言すると、軸受18は、脚部の延長線上ではなく、脚部に垂直で脚部と交差する平面とは異なる、シャフトに垂直な垂直面上に設けられることが有利である。
【0060】
有利なことに、軸受支持要素19,29のおかげで、軸受18の内輪の直径は、回転シャフト4の直径よりも大きければどのような寸法に設けてもよい。また、有利なことに、実質的に大きい軸受を設けることができる。これは、シャフトの慣性モーメントが増加する点で有利であり、足によるペダルの駆動に影響する。従って、既存のペダルに異なる寸法の軸受を用いて、それぞれの種類の軸受によって異なる効果を提供することができる。よって、ミュージシャンは、単にドラムペダルに異なる軸受を用いることで、異なる状況、または音楽の種類等にペダルの特性を簡単に適合させることができる。
【0061】
各種類の軸受に対して、軸受18の内輪18aの内径と同じ外径D2を有する異なる軸受支持要素19,29と、軸受の外輪18bの外径に実質的に対応する直径を有する異なるチャンバ20aとを設ける必要がある。
【0062】
従って、軸受支持要素29の直径D2によって新しい軸受の直径が決まる。玉軸受18の内径は、例えば25mmとすることができ、玉軸受の外径は、例えば37mmとすることができる。本発明では、元の軸受と新しい軸受18との間の接続部として作用する軸受支持部29の内側部分29aにあらゆる種類および寸法の軸受18を使用することができる。
【0063】
さらに、軸受支持部29は、シャフト4の周りに取り付けられるように構成されている。しかし、シャフト4は、軸受支持部29内で自由に回転する必要がある。従って、軸受支持部29の内径D5は、シャフト4がペダルに取り付けられた際に軸受支持部と接触しないように、シャフト4の直径よりも大きくなければならない。図5は、このような軸受支持部とシャフト4の直径の差を示している。
【0064】
図4に記載のように、軸受18は、内輪18aを介して軸受支持部29の内側部分29aに取り付けられるように構成されている。
【0065】
図2aを参照して説明すると、軸受チャンバ20aは、軸受チャンバの軸受収容部が軸受18と係合し、シャフト収容部が回転シャフト4を収容することができるように、軸受18上に取り付けられるように構成されている。回転シャフト4は、続いて、回転時に互いを駆動するように軸受チャンバ20aに固定することができる。これにより、回転シャフトの回転がチャンバの回転を引き起こし、チャンバの回転がさらに軸受18の外輪18bの回転を引き起こす。よって、回転シャフト4の回転時に軸受18の内輪18aは回転しない。
【0066】
回転シャフト4の回転時に軸受チャンバ20aを回転させるには、軸受チャンバを回転シャフトに回転可能に固定する必要がある。種々の固定手段が使用可能であり、参照として示す図2aでは、チャンバは、チャンバに固定された、回転シャフトの直径に実質的に対応する縮径された内径23を有する部分、すなわち、ピン部21を備える。雌ほぞ部分23は、回転シャフトの回転によってチャンバの回転が引き起こされるように、シャフトを収容するようにおよび/またはシャフトに回転可能に固定されるように構成されている。
【0067】
回転シャフト4は、中間要素12の回転を引き起こすように設けられたシャフトの部分4aと同様に、少なくともチャンバに回転可能に固定されるように設けられた部分に、例えば多角形部分などの非円形部分をさらに有してもよい。
【0068】
シャフトは、上述した非円形部分を全長にわたって有することもできる。上述したように、回転シャフトが軸受支持部19,29内で確実に自由に回転できるようにすることが重要である。
【0069】
ペダルが停止位置に確実に戻るようにするために、好ましくは、復帰機構13がチャンバ20aに固定される。復帰機構は、例えば、図1に示すとともに上述した締結要素15によって、例えば、参照として図2aに示すように、ピン部21に固定することができる。
【0070】
図4図5に示した実施形態では、軸受38は、当該技術のペダルの軸受、すなわち、脚部3の上部に取り付けられたデフォルトの軸受に対応している。ペダルの動作を改善または変更するためには、2つの軸受のうち1つのみを変更すれば足りる。軸受38の内輪は、従来技術のペダルのように回転シャフト4の回転時に回転する。回転シャフトの端部に設けられたねじを介して、回転シャフト4の端部をドラムペダル1のフレームに固定するためにナット31が設けられている。
【0071】
従って、2つの軸受28,38のうち1つのみを交換することができる。復帰機構13と同じ側(通常はペダルの右側)に位置する軸受が交換可能であることを示したが、反対側、すなわち、復帰機構とは反対側に位置する軸受を交換し、ペダルの元の復帰機構13を残すこともできる。各形態は、それぞれ異なる種類の音および効果をユーザに提供する。
【0072】
明瞭で簡潔な説明のために、特徴部を同じ実施形態または異なる実施形態の一部として説明したが、本発明の範囲は説明した特徴部の全てまたは一部の組合せを有する実施形態を含み得る。なお、開示した実施形態は、異なっていると説明している場合は別として、同一または同様の構成要素を有する。
【0073】
請求項において、かっこで囲んだ参照符号は、請求項を限定するものと解釈すべきではない。“comprising”は、請求項に記載した以外の特徴またはステップが含まれることを除外しない。さらに、“a”、“an”は、「1つのみ」に限定解釈すべきではなく、「少なくとも1つ」を意味するように使用されており、複数を除外しない。特定の構成が異なる請求項に記載されていることは、このような構成の組合せを有利に使用できないことを示していない。当業者には、多くの変形例が明らかであろう。このような変形例は、全て以下の請求項によって定められる本発明の範囲に含まれる。
図1
図2a
図2b
図3A
図3B
図3C
図4
図5