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特許7450961信用スコア管理方法、管理装置およびプログラム
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  • 特許-信用スコア管理方法、管理装置およびプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】信用スコア管理方法、管理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/40 20120101AFI20240311BHJP
   G06Q 10/06 20230101ALI20240311BHJP
【FI】
G06Q20/40
G06Q10/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022108988
(22)【出願日】2022-07-06
(65)【公開番号】P2024007724
(43)【公開日】2024-01-19
【審査請求日】2022-09-14
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-06
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513120365
【氏名又は名称】森興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 隼人
(72)【発明者】
【氏名】清水 麻生
【合議体】
【審判長】伏本 正典
【審判官】松尾 俊介
【審判官】緑川 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-189580(JP,A)
【文献】特開2022-001969(JP,A)
【文献】特開2003-187077(JP,A)
【文献】特許第7060747(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備える装置が実行する信用スコア管理方法であって、
関連機関における外国人の実績に関する情報を、種類が異なる複数の前記関連機関から取得する実績情報取得ステップと、
前記実績に関する情報に基づいて、前記外国人に対する信用スコアを算出する信用スコア算出ステップと、
前記信用スコアに基づいて、前記実績に関する情報を取得した関連機関とは種類が異なる関連機関における優待サービスを、前記外国人に対して適用するか否かを判定する優待適用判定ステップと、
前記実績に関する情報に基づいて、前記外国人に対する前記信用スコアの性質を評価するステップであり、前記信用スコアの性質について前記関連機関のオペレータから付与される信用サブスコアの値に基づいて、前記信用スコアの性質を評価する性質評価ステップと、
を含み、
前記実績に関する情報を提供する関連機関は、教育機関、企業、および金融機関からなる群より選択される関連機関のうち、種類が異なる少なくとも二つを含み、
前記優待サービスを提供する関連機関は、金融機関、電気通信事業者、および不動産業者からなる群より選択される関連機関であり、前記実績に関する情報を取得した関連機関とは種類が異なる少なくとも一つを含み、
前記優待サービスは、金融機関口座の開設、クレジットカードの発行、資金の融資、電気通信事業者との契約、および住宅の賃貸契約からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記信用スコアの性質は、継続性、忠実性、積極性、思いやり、柔軟性、コミュニケーション能力、および課題解決能力の少なくとも一つを含む、信用スコア管理方法。
【請求項2】
前記信用スコア算出ステップは、前記外国人の家族または親族に関する情報にさらに基づいて、前記信用スコアを算出する、請求項1に記載の信用スコア管理方法。
【請求項3】
前記教育機関における前記実績は、学業成績、出欠記録、表彰、教師からの評価、学費の支弁状況、受講した講座の数、および受講した講座の難易度からなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項1に記載の信用スコア管理方法。
【請求項4】
前記企業における前記実績は、業務成績、勤怠記録、役職、役割、勤務先からの評価、取引先からの評価、顧客からの評価、およびインターンシップでの評価からなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項1に記載の信用スコア管理方法。
【請求項5】
前記金融機関における前記実績は、家賃の支払、水道光熱費の支払、電気通信事業者への料金支払、借入金の返済、クレジットカードでの支払または決済、奨学金の返済、利用している奨学金の種類、学費の支弁状況、および生活費の支弁状況からなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項1に記載の信用スコア管理方法。
【請求項6】
前記実績に関する情報を提供する前記関連機関は、行政機関をさらに含み、
前記行政機関における前記実績は、前記行政機関への届出状況、社会保険への加入状況、および法令の遵守状況からなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項1に記載の信用スコア管理方法。
【請求項7】
前記実績に関する情報を提供する前記関連機関は、前記教育機関、前記企業、前記金融機関、および行政機関以外の団体をさらに含み、
前記団体における前記実績は、受講した講座の数、受講した講座の難易度、取得した資格の数、取得した資格の難易度、我が国への関心度、我が国の理解度、言語能力、留学経費の支弁状況、ボランティア活動への参加、および受賞歴からなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項1に記載の信用スコア管理方法。
【請求項8】
関連機関における外国人の実績に関する情報を、種類が異なる複数の前記関連機関から取得する実績情報取得手段と、
前記実績に関する情報に基づいて、前記外国人に対する信用スコアを算出する信用スコア算出手段と、
前記信用スコアに基づいて、前記実績に関する情報を取得した関連機関とは種類が異なる関連機関における優待サービスを、前記外国人に対して適用するか否かを判定する優待適用判定手段と、
前記実績に関する情報に基づいて、前記外国人に対する前記信用スコアの性質を評価する手段であり、前記信用スコアの性質について前記関連機関のオペレータから付与される信用サブスコアの値に基づいて、前記信用スコアの性質を評価する性質評価手段と、
を備え、
前記実績に関する情報を提供する関連機関は、教育機関、企業、および金融機関からなる群より選択される関連機関のうち、種類が異なる少なくとも二つを含み、
前記優待サービスを提供する関連機関は、金融機関、電気通信事業者、および不動産業者からなる群より選択される関連機関であり、前記実績に関する情報を取得した関連機関とは種類が異なる少なくとも一つを含み、
前記優待サービスは、金融機関口座の開設、クレジットカードの発行、資金の融資、電気通信事業者との契約、および住宅の賃貸契約からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記信用スコアの性質は、継続性、忠実性、積極性、思いやり、柔軟性、コミュニケーション能力、および課題解決能力の少なくとも一つを含む、信用スコア管理装置。
【請求項9】
コンピュータに、
関連機関における外国人の実績に関する情報を、種類が異なる複数の前記関連機関から取得する実績情報取得機能と、
前記実績に関する情報に基づいて、前記外国人に対する信用スコアを算出する信用スコア算出機能と、
前記信用スコアに基づいて、前記実績に関する情報を取得した関連機関とは種類が異なる関連機関における優待サービスを、前記外国人に対して適用するか否かを判定する優待適用判定機能と、
前記実績に関する情報に基づいて、前記外国人に対する前記信用スコアの性質を評価する機能であり、前記信用スコアの性質について前記関連機関のオペレータから付与される信用サブスコアの値に基づいて、前記信用スコアの性質を評価する性質評価機能と、
を実現させるためのプログラムであり、
前記実績に関する情報を提供する関連機関は、教育機関、企業、および金融機関からなる群より選択される関連機関のうち、種類が異なる少なくとも二つを含み、
前記優待サービスを提供する関連機関は、金融機関、電気通信事業者、および不動産業者からなる群より選択される関連機関であり、前記実績に関する情報を取得した関連機関とは種類が異なる少なくとも一つを含み、
前記優待サービスは、金融機関口座の開設、クレジットカードの発行、資金の融資、電気通信事業者との契約、および住宅の賃貸契約からなる群より選択される少なくとも一つを含み、
前記信用スコアの性質は、継続性、忠実性、積極性、思いやり、柔軟性、コミュニケーション能力、および課題解決能力の少なくとも一つを含む、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外国人の留学生または労働者を取り巻く環境の向上を支援するための信用スコアリングに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、留学や就労を目的として我が国に在留する外国人の数が増大している。これに伴い、外国人の留学生や労働者を対象として取り扱う様々な発明が提案されている。例えば下記特許文献1には、外国人技能実習生の人材情報を提供する装置が開示されている。また例えば下記特許文献2には、外国人就労者と受入希望企業との間での雇用前の就労支援を行う装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-185698号公報
【文献】特開2021-68295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
我が国に居住することになった外国人を取り巻く環境には様々な不便が存在する。例えば、日常生活に必要不可欠となりつつある携帯電話やスマートフォン等を契約する際には、移動体通信事業者(例えば、携帯電話会社)へ、銀行口座やクレジットカードの提示が求められている。そこで銀行に赴き口座を開設しようとすると、今度は銀行と連絡を取ることが可能な電話番号の提供が求められる。また例えば、住宅の賃貸契約をする際には、通常、連帯保証人の捺印や賃貸(家賃)保証会社との契約が求められる。経済のキャッシュレス化に伴いクレジットカードを作成しようとしても、クレジットカード会社の審査は外国人に対して厳しい傾向がある。我が国に居住することになった外国人の留学生または労働者を受け入れるために、彼等/彼女達を取り巻く環境における不便を解消し、環境の向上を支援することが求められている。特許文献1および2に記載の発明はいずれも、このような環境の向上を支援する技術ではない。
【0005】
本発明は、外国人の留学生または労働者を取り巻く環境の向上を支援するための信用スコアリングに関する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明は、例えば以下に示す態様を含む。
【0007】
(項1)
関連機関における外国人の実績に関する情報を、複数の異なる前記関連機関から取得する実績情報取得ステップと、
前記実績に関する情報に基づいて、前記外国人に対する信用スコアを算出する信用スコア算出ステップと、
を含む、信用スコア管理方法。
(項2)
前記信用スコアに基づいて、優待サービスを前記外国人に対して適用するか否かを判定する優待適用判定ステップをさらに含む、項1に記載の信用スコア管理方法。
(項3)
前記優待サービスは、前記関連機関における優待サービスである、項2に記載の信用スコア管理方法。
(項4)
前記優待サービスは、入学試験の実施、入社試験の実施、金融機関口座の開設、クレジットカードの発行、資金の融資、電気通信事業者との契約、奨学金の貸与若しくは給付、および住宅の賃貸契約からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項2に記載の信用スコア管理方法。
(項5)
前記信用スコア算出ステップは、前記外国人の家族または親族に関する情報にさらに基づいて、前記信用スコアを算出する、項1から4のいずれか一項に記載の信用スコア管理方法。
(項6)
前記実績に関する情報に基づいて、前記外国人に対する前記信用スコアの性質を評価する性質評価ステップをさらに含む、項1から5のいずれか一項に記載の信用スコア管理方法。
(項7)
前記関連機関は、教育機関、企業、金融機関、および不動産業者からなる群より選択される少なくとも二つを含む、項1から4のいずれか一項に記載の信用スコア管理方法。
(項8)
前記教育機関における前記実績は、学業成績、出欠記録、表彰、教師からの評価、学費の支弁状況、受講した講座の数、および受講した講座の難易度からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項7に記載の信用スコア管理方法。
(項9)
前記企業における前記実績は、業務成績、勤怠記録、役職、役割、勤務先からの評価、取引先からの評価、顧客からの評価、およびインターンシップでの評価からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項7に記載の信用スコア管理方法。
(項10)
前記金融機関における前記実績は、家賃の支払、水道光熱費の支払、電気通信事業者への料金支払、借入金の返済、クレジットカードでの支払または決済、奨学金の返済、利用している奨学金の種類、学費の支弁状況、および生活費の支弁状況からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項7に記載の信用スコア管理方法。
(項11)
前記関連機関は、行政機関をさらに含み、
前記行政機関における前記実績は、前記行政機関への届出状況、社会保険への加入状況、および法令の遵守状況からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項7に記載の信用スコア管理方法。
(項12)
前記関連機関は、前記教育機関、前記企業、前記金融機関、前記不動産業者、および行政機関以外の団体をさらに含み、
前記団体における前記実績は、受講した講座の数、受講した講座の難易度、取得した資格の数、取得した資格の難易度、我が国への関心度、我が国の理解度、言語能力、留学経費の支弁状況、ボランティア活動への参加、および受賞歴からなる群より選択される少なくとも一つを含む、項7に記載の信用スコア管理方法。
(項13)
関連機関における外国人の実績に関する情報を、複数の異なる前記関連機関から取得する実績情報取得部と、
前記実績に関する情報に基づいて、前記外国人に対する信用スコアを算出する信用スコア算出部と、
を備える、信用スコア管理装置。
(項14)
コンピュータに、
関連機関における外国人の実績に関する情報を、複数の異なる前記関連機関から取得する実績情報取得機能と、
前記実績に関する情報に基づいて、前記外国人に対する信用スコアを算出する信用スコア算出機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、外国人の留学生または労働者を取り巻く環境の向上を支援するための信用スコアリングに関する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る信用スコア管理システムの概略的な構成を模式的に示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る信用スコア管理装置の機能を説明するためのブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る信用スコア管理システムが行う処理の手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明および図面において、同じ符号は同じまたは類似の構成要素を示すこととし、よって、同じまたは類似の構成要素に関する重複した説明を省略する。
【0011】
[信用スコア管理システム]
<システムの概要>
図1は、本発明の一実施形態に係る信用スコア管理システムの概略的な構成を模式的に示す図である。
【0012】
本発明の一実施形態に係る信用スコア管理システム100(以下、単にシステム100とも記載する)は、信用スコア管理装置1と、複数の関連機関装置2と、端末装置3とを備える。信用スコア管理装置1と、複数の関連機関装置2と、端末装置3とは、例えばネットワーク9を介して互いにデータの送受信が可能な態様で、有線または無線により直接的または間接的に接続されている。
【0013】
一実施形態に係るシステム100は、外国人99の留学生または労働者(以下、単に外国人とも記載する)を取り巻く環境の向上を支援するために、外国人99の信用スコアリングを行う。外国人99を取り巻く環境とは、以下に例示する日常的な生活環境以外にも、例えば学習環境(留学環境)や、雇用環境(就労環境)をも含む意味である。
【0014】
信用スコアリングの対象となる外国人99は、教育機関や企業等の様々な関連機関において様々な活動を行う。関連機関には、教育機関や企業以外にも、例えば金融機関や不動産業者、行政機関、および後述する各種団体等が含まれる。このような種々の関連機関のうち、例えば教育機関や企業は、外国人99が様々な活動を行って自身の信用スコアの獲得を行うことを主な目的とした関連機関であり、例えば不動産業者は、外国人99の信用スコアに基づいて、外国人99に対して優待サービスを適用することを主な目的とした関連機関である。
【0015】
外国人99に対する信用スコアリングは、そのような関連機関における外国人99による様々な活動の実績に基づいて行う。関連機関には関連機関装置2が設けられており、関連機関における外国人99による様々な活動の実績に関する情報が、関連機関装置2を介して信用スコア管理装置1に送信される。信用スコア管理装置1は、関連機関装置2を介して取得した、関連機関における外国人99による様々な活動の実績に関する情報に基づいて、外国人99に対する信用スコアを算出する。
【0016】
関連機関における活動の実績とは、例えば、関連機関が教育機関であれば、学業成績や出欠記録、表彰、教師からの評価、学費の支弁状況、受講した講座の数、および受講した講座の難易度などであり、例えば、関連機関が企業であれば、インターンシップやアルバイトでの業務成績や勤怠記録、役職または役割、勤務先からの評価、取引先からの評価、顧客からの評価などである。このような、関連機関における外国人99の様々な活動の実績には、外国人99に対する第三者からの評価が反映されている。
【0017】
優待サービスを外国人99に対して適用するか否かの判定は、算出した信用スコアに基づいて行う。信用スコア管理装置1または関連機関装置2は、算出した信用スコアに基づいて、優待サービスを外国人99に対して適用するか否かを判定する。関連機関では、優待サービスの適用に関する判定結果に基づいて、外国人99に対して優待サービスを適用する。
【0018】
関連機関における優待サービスとは、例えば関連機関が金融機関であれば、外国人99単独でのクレジットカードの発行であり、例えば関連機関が不動産業者であれば、外国人99単独での住宅の賃貸契約の締結である。優待サービスを適用しようとする関連機関の企業が例えば携帯電話会社であれば、外国人99に対する優待サービスは、外国人99単独での、携帯電話会社とのスマートフォン等の契約の締結である。携帯電話会社とのスマートフォン等の契約とは、例えば通話契約やデータ通信契約を意味する。
【0019】
このように、関連機関における様々な活動の実績に基づいて、外国人99に対する優待サービスが関連機関において適用されることにより、我が国に居住することになった外国人99を取り巻く環境は向上する。自身の信用スコアが向上することにより、外国人99に対する優待サービスのレベルもさらに向上し、外国人99を取り巻く環境はさらに向上する。
【0020】
関連機関の所在は我が国には限られず、外国人99の母国や我が国以外の国であってもよい。すなわち一実施形態に係るシステム100は、グローバルな信用スコアリングシステムとして機能することができる。
【0021】
例えば、外国人99は我が国に居住する前の段階で、母国の関連機関において信用スコアを予め蓄積することができる。外国人99が我が国に居住を開始した以後は、その母国において予め蓄積しておいた信用スコアも含めたその外国人99の信用スコアに基づいて、優待サービス適用の可否を判定することができ、我が国の関連機関において、我が国に居住する外国人99に対して優待サービスを適用することができる。すなわち外国人99は、母国での実績に基づいて信用スコアを蓄積し、母国で蓄積した信用スコアに基づいて、我が国において優待サービスを享受することが可能となる。
【0022】
また例えば、外国人99は我が国から母国に帰国する前の段階で、我が国の関連機関において信用スコアを蓄積することができる。外国人99が母国に帰国した以後も、我が国において蓄積しておいた信用スコアも含めたその外国人99の信用スコアに基づいて、優待サービス適用の可否を判定することができ、帰国した先の母国において、帰国した外国人99に対して優待サービスを適用することができる。帰国した外国人99に対する優待サービスとは、例えば日系企業への入社試験または就労許可等とすることができる。すなわち外国人99は、我が国での実績に基づいて信用スコアを蓄積し、我が国で蓄積した信用スコアに基づいて、母国に帰国後も優待サービスを享受することが可能となる。信用スコアを母国に持ち帰ることができると表現することもできる。
【0023】
また同様に、外国人99が我が国から母国以外の第三国に在留し、第三国の関連機関において信用スコアを蓄積することもできる。外国人99が第三国に在留している間も、我が国において蓄積しておいた信用スコアも含めたその外国人99の信用スコアに基づいて、優待サービス適用の可否を判定することができ、第三国において外国人99に対して優待サービスを適用することができる。すなわち外国人99は、我が国での実績に基づいて信用スコアを蓄積し、我が国で蓄積した信用スコアに基づいて、第三国に在留している間も優待サービスを享受することが可能となる。信用スコアを第三国に持ち出すことができると表現することもできる。このように、信用スコアは、我が国、外国人99の母国、および第三国において横断的に蓄積することができ、これら国において横断的に蓄積しておいたその外国人99の信用スコアに基づいて、優待サービス適用の可否を判定することができ、これら国において外国人99に対して優待サービスを適用することができる。
【0024】
信用スコア管理装置1は、関連機関における外国人99の実績に関する情報を、複数の異なる関連機関から取得し、取得した実績に関する情報に基づいて、外国人99に対する信用スコアを算出する。関連機関における外国人99の実績に関する情報は、関連機関の例えばオペレータ98が使用する関連機関装置2を介して取得する。
【0025】
また、信用スコア管理装置1は、算出した信用スコアに基づいて、優待サービスを外国人99に対して適用するか否かを判定する。優待サービスの適用に関する判定結果は、関連機関装置2と、任意で端末装置3とに送信される。
【0026】
関連機関装置2は、関連機関における外国人99による様々な活動の実績に関する情報を、信用スコア管理装置1に送信する。システム100は複数の関連機関装置2を備えており、本実施形態では、教育機関や企業等のそれぞれの関連機関に関連機関装置2がそれぞれ設けられている。それぞれの関連機関における外国人99の実績に関する情報は、例えばオペレータ98によりマウスやキーボード等の入力手段を通じて関連機関装置2に入力される。入力された実績に関する情報は、関連機関装置2から信用スコア管理装置1に送信される。
【0027】
端末装置3は、信用スコアリングの対象となる外国人99に使用される端末装置である。外国人99は、信用スコア管理装置1において算出された自己の信用スコアを、例えば端末装置3を介して閲覧することができる。端末装置3は任意の構成である。
【0028】
<ハードウェア構成>
信用スコア管理装置1、関連機関装置2、および端末装置3は、例えば汎用コンピュータやタブレットPC、スマートフォン等を用いて構成することができる。これら信用スコア管理装置1、関連機関装置2、および端末装置3のすべてを汎用コンピュータで構成することができるし、一部をタブレットPCやスマートフォンで構成することもできる。
【0029】
信用スコア管理装置1、関連機関装置2、および端末装置3は、ハードウェアの構成として、データ処理を行うCPU等のプロセッサ(図示せず)と、プロセッサがデータ処理の作業領域に使用する主記憶装置等のメモリ(図示せず)と、データの一時保存に使用するSSD等の補助記憶装置とを備えている。
【0030】
関連機関装置2、および端末装置3は、ハードウェアの構成としてマウスやキーボード等の入力装置(図示せず)と、表示装置(図示せず)とをさらに備えている。これら入力装置および表示装置は、一体化されてタッチパネル式の表示装置として実現してもよい。
【0031】
[信用スコア管理装置]
図2は、本発明の一実施形態に係る信用スコア管理装置の機能を説明するためのブロック図である。
【0032】
信用スコア管理装置1は、機能ブロックとして、実績情報取得部11と、信用スコア算出部12と、優待適用判定部13と、情報提示部14とを備えている。これら各機能ブロック11,12,13,14は、集積回路等を用いてハードウェアとして実装することができる。或いは、これら各機能ブロック11,12,13,14は、信用スコア管理装置1のプロセッサが、信用スコア管理プログラムを信用スコア管理装置1の主記憶装置に読み出して実行することにより、ソフトウェアとして実装することもできる。
【0033】
一実施形態に係る信用スコア管理装置1では、実績情報データ41、信用スコアデータ42、優待適用データ43、家族親族情報データ44、信用スコア管理プログラム等が、補助記憶装置19に適宜記憶されている。
【0034】
実績情報取得部11は、関連機関における外国人99の実績に関する情報を関連機関から取得する。外国人99に対する第三者からの評価を適切に反映するために、実績に関する情報は複数の異なる関連機関から取得する。例えば実績に関する情報は、外国人99が在学する教育機関(例えば、日本語学校)と、外国人99がアルバイト勤務している企業(例えば、アルバイト先の企業や店舗)とから取得する。取得した実績に関する情報は、例えば実績情報データ41として補助記憶装置19に記憶する。
【0035】
信用スコア算出部12は、関連機関から取得した実績に関する情報に基づいて、外国人99に対する信用スコアを算出する。信用スコアの算出は、例えば表1に示すスコアテーブルに基づいて算出することができる。信用スコアを算出する方法は、スコアテーブルを用いる例示する方法に限らず、人物をスコアリングする公知の様々な方法を用いることができる。外国人99について算出した信用スコアは、例えば信用スコアデータ42として補助記憶装置19に記憶する。
【表1】
優待適用判定部13は、算出した信用スコアに基づいて、優待サービスを外国人99に対して適用するか否かを判定する。優待を提供するか否かの判定は、例えば予め設定しておいた信用スコアの閾値に基づいて行うことができる。優待サービスの適用に関する判定結果は、例えば優待適用データ43として補助記憶装置19に記憶する。
【0036】
情報提示部14は、関連機関装置2または端末装置3に種々の情報を提示する。例えば情報提示部14は、関連機関装置2からの送信要求に応じて、外国人99の優待適用データ43を関連機関装置2に送信する。関連機関装置2では、受信した優待適用データ43に基づいて、外国人99に対して優待サービスを適用する。また例えば情報提示部14は、端末装置3からの閲覧要求に応じて、外国人99の信用スコアデータ42を端末装置3に送信する。信用スコアリングの対象となる外国人99は、端末装置3を介して自己の信用スコアを閲覧することができる。
【0037】
[関連機関装置]
関連機関装置2は、例えば教育機関や企業等のそれぞれの関連機関に設けられている。関連機関装置2は、関連機関において例えばオペレータ98により操作される。関連機関装置2には、関連機関における外国人99の実績に関する情報が入力される。関連機関装置2には、外国人99に対する優待サービスの適用に関する判定結果である、外国人99の優待適用データ43が、信用スコア管理装置1から送信される。関連機関装置2が設けられた関連機関では、外国人99の優待適用データ43に基づいて、外国人99に対して優待サービスを適用する。
【0038】
好ましくは、関連機関は、教育機関、企業、金融機関、および不動産業者からなる群より選択される少なくとも二つを含む。教育機関は、例えば語学学校、職業訓練学校(例えば、職業能力開発校)、専門学校、高等学校、大学等の、教育を受けることができる種々の学校または組織を含む。企業は、営利を目的とする民間企業または私企業に限らず、国若しくは地方公共団体が保有する公企業や、私企業および公企業が合わさった公私混合企業をも含む。金融機関は、都市銀行、地方銀行、信用金庫、農業協同組合、漁業協同組合、労働金庫等の、預貯金を取扱う銀行に限らず、証券金融会社や、保険会社、共済団体、公的金融機関をも含む。
【0039】
より好ましくは、関連機関は行政機関をさらに含む。行政機関とは、例えば外国人の出入国を管理する法務省や、国民健康保険制度を管理する厚生労働省等を意味する。行政機関は、国により設立されるものに限らず、地方公共団体により設立されるものや、法令により設立されるものも含む。
【0040】
行政機関における外国人99による活動の実績とは、例えば、行政機関への届出状況、社会保険への加入状況、および法令の遵守状況からなる群より選択される少なくとも一つを含む。行政機関への届出とは、例えば在留資格の届出である。社会保険への加入状況とは、例えば国民健康保険への加入状況や、各種年金への加入状況である。法令の遵守状況とは、例えば入管法(出入国管理及び難民認定法)の遵守状況である。
【0041】
さらに好ましくは、関連機関は各種団体をさらに含む。各種団体とは、教育機関、企業、金融機関、不動産業者、および行政機関以外の団体を意味する。各種団体は、例えば、資格認定団体、語学検定団体、留学支援組織、ボランティア団体、および他の様々な任意団体を含む。
【0042】
各種団体における外国人99による活動の実績とは、例えば、取得した資格の数、取得した資格の難易度、我が国への関心度、我が国の理解度、言語能力、留学経費の支弁状況、ボランティア活動への参加、および受賞歴からなる群より選択される少なくとも一つを含む。
【0043】
優待サービスは、例えば、入学試験の実施、入社試験の実施、金融機関口座の開設、クレジットカードの発行、資金の融資、電気通信事業者との契約、奨学金の貸与若しくは給付、および住宅の賃貸契約の締結からなる群より選択される少なくとも一つを含むことができる。
【0044】
[処理手順]
図3は、本発明の一実施形態に係る信用スコア管理システムが行う処理の手順を説明するためのフローチャートである。
【0045】
ステップS1(実績情報取得ステップ)において、関連機関における外国人99の実績に関する情報を関連機関から取得する。実績に関する情報は、複数の異なる関連機関から取得する。信用スコア管理装置1は、外国人99の実績に関する情報を関連機関から取得する度に、外国人99に関する実績情報データ41のレコードを更新する。
【0046】
ステップS2(信用スコア算出ステップ)において、関連機関から取得した実績に関する情報に基づいて、外国人99に対する信用スコアを算出する。
【0047】
ステップS3(優待適用判定ステップ)において、算出した信用スコアに基づいて、優待サービスを外国人99に対して適用するか否かを判定する。
【0048】
ステップS4(判定結果提示ステップ)において、外国人99に対する優待サービスの適用に関する判定結果を提示する。判定結果は例えば関連機関装置2に送信され、関連機関において判定結果が提示される。
【0049】
ステップS5(優待サービス適用ステップ)において、それぞれの関連機関において、外国人99に対する優待サービスを適用する。関連機関が例えば金融機関であれば、関連機関装置2は、金融サービスを提供する自社の顧客情報サーバにおいて、外国人99に対して例えばクレジットカードの発行を許可する旨の情報を記録する。これにより、信用スコアリングの対象となる外国人99が、関連機関の金融機関においてクレジットカードの発行を申請すると、金融機関は、自社のサーバに記録されている外国人99の顧客情報に基づいて、外国人99に対するクレジットカードの発行を許可し、これにより、外国人99に対して優待サービスが適用される。
【0050】
以上、本発明によると、外国人の留学生または労働者を取り巻く環境の向上を支援するための信用スコアリングに関する技術を提供することができる。一実施形態に係る信用スコア管理システム100によると、関連機関における様々な活動の実績に基づいて、外国人99の信用スコアリングを行うことが可能となり、関連機関における様々な活動の実績に基づいて、外国人99に対する優待サービスを関連機関において適用することが可能となる。このように、関連機関における様々な活動の実績に基づいて、外国人99に対する優待サービスが関連機関において適用されることにより、我が国に居住することになった外国人99を取り巻く環境は向上する。
【0051】
一実施形態に係る信用スコア管理システム100によると、それぞれの関連機関は、外国人99の信用スコアに応じた優待サービスを、外国人99に提供することができる。信用スコアのレベルが増大すると、関連機関が提供する優待サービスも向上し、外国人99は、我が国の国民と同等のサービスを関連機関から享受することが可能となる。例えば、我が国に居住することになった当初は信用スコアが低く、金融機関によるサービスの適用を受けることができない外国人99であっても、教育機関や企業等の関連機関における種々の活動または実績を通じて、或る一定以上の信用スコアを蓄積した外国人99に対しては、例えば金融機関のクレジットカード会社において与信金額の増額を可能とすることができ、さらに高い信用スコアを蓄積した外国人99に対しては、例えばローンによる資金の融資を可能とすることができる。
【0052】
[その他の形態]
以上、本発明を特定の実施形態によって説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。
【0053】
上記実施形態では、関連機関のうち金融機関は、例えばクレジットカードの発行を許可するといった、外国人99に対して優待サービスを適用することを主な目的とした関連機関であるが、金融機関の主な目的は、優待サービスを適用することのみに限定されない。例えば外国人99の信用スコアが長期にわたって蓄積されて、例えば当初よりも高い信用スコアに達した場合には、信用スコア管理装置1は、さらに金融機関における外国人99の実績に基づいて、信用スコアを算出することができる。この場合、金融機関における外国人99の実績は、家賃の支払、水道光熱費の支払、電気通信事業者への料金支払、借入金の返済、クレジットカードでの支払または決済、奨学金の返済、利用している奨学金の種類、学費の支弁状況、および生活費の支弁状況からなる群より選択される少なくとも一つを含むことができる。これにより、外国人99は、自身の信用スコアをより高いレベルに増大させ、より高いレベルの優待サービスを享受することが可能となる。
【0054】
上記実施形態では、優待サービスを外国人99に対して適用するか否かの判定は、信用スコア管理装置1の優待適用判定部13が行っているが、優待サービスの適用に関する判定を行う主体は、信用スコア管理装置1に限定されない。例えば他の実施形態では、信用スコア管理装置1の優待適用判定部13を、それぞれの関連機関装置2に設けてもよい。例えば信用スコア管理装置1の情報提示部14が、外国人99の信用スコアデータ42をそれぞれの関連機関装置2に送信する。それぞれの関連機関装置2では、受信した信用スコアデータ42に基づいて、優待サービスを外国人99に対して適用するか否かを判定する。この際、優待サービスを適用するか否かの判定基準は、それぞれの関連機関装置2において独自に設定することができる。
【0055】
上記実施形態では、外国人99に対する信用スコアは、関連機関から取得した、外国人99の実績に関する情報に基づいて算出しているが、信用スコアの算出に用いる情報はこれに限定されない。外国人99に対する信用スコアは、外国人99の家族または親族に関する情報にさらに基づいて算出してもよい。この場合、信用スコア管理装置1は、例えば外国人99の家族または親族に関する情報として、外国人99の家族親族情報データ44を補助記憶装置19に予め記憶しておけばよい。家族または親族に関する情報は、例えば、配偶者または扶養家族の情報、および我が国に居住する親族の情報等である。一例として、家族または親族に関するこれら情報は、例えば家族または親族の支弁能力に関する情報とすることができる。家族親族情報データ44は、例えば関連機関装置2のオペレータ98により入力されてもよいし、例えば端末装置3を介して外国人99自身により入力されてもよい。
【0056】
上記した実施形態での処理に加えて、以下に例示的に説明するように、信用スコア管理装置1はさらに、機能ブロックとして信用スコア性質評価部15を備え、関連機関における外国人99の実績に関する情報(実績情報データ41)に基づいて、外国人99に関して信用スコアの性質を評価することもできる。信用スコアの性質は、例えば、継続性、まめさ(忠実性)、積極性、思いやり、柔軟性、コミュニケーション能力、および課題解決能力の少なくとも一つを含むことができる。
【0057】
例えば関連機関が企業であり、外国人99が関連機関の企業にインターンシップやアルバイト等の形態により勤務している場合を一例として説明する。以下の説明では、信用スコア管理装置1が信用スコアの性質を評価するために、関連機関装置2には、次に例示する種々の機能が予め実装されているものとする。信用スコアの性質を評価する際に用いる機能としては、例えば、外国人99の勤務シフトを管理する機能、端末装置3を介して外国人99とチャット通信する機能、外国人99の履歴書を作成する機能、外国人99に対してアンケートを行い回答を回収する機能、および、関連機関装置2を介して複数の端末装置3同士で外国人99がお礼(例えば、「いいね!」のサインを端末装置3の画面に表示)を言い合える機能等がある。
【0058】
継続性の評価について、評価する方法の一例を説明する。関連機関装置2には勤務シフト管理機能が実装されており、外国人99は端末装置3を介して関連機関装置2に接続することにより、インターンシップやアルバイトの勤務シフトの希望日を入力することや、出退勤の打刻を行うことができる。このような勤務シフトの入力や出退勤の打刻を、外国人99が端末装置3を介して日々継続して行うことにより、信用スコア管理装置1は、関連機関における外国人の実績に関する情報(実績情報データ41)として、日々継続して入力された外国人99のインターンシップやアルバイトでの勤怠記録(打刻時間のタイムスタンプを含む)を、関連機関装置2を介して取得する。信用スコア管理装置1は、外国人99による継続性が反映されている、取得した勤怠記録に基づいて、外国人99に関する信用スコアの性質として、外国人99に関して日々の業務に関する継続性を評価することができる。
【0059】
まめさ(忠実性)の評価について、評価する方法の一例を説明する。関連機関装置2にはチャット通信機能が実装されており、外国人99は、端末装置3を介して、関連機関装置2を利用する例えば企業側のオペレータ98から受信したチャットメッセージに対して、回答メッセージを返信をすることができる。信用スコア管理装置1は、関連機関における外国人の実績に関する情報(実績情報データ41)として、外国人99に関するチャットメッセージの送受信記録(タイムスタンプを含む)を、関連機関装置2を介して取得する。信用スコア管理装置1は、メッセージの回答に要した時間すなわち外国人99によるまめさ(忠実性)が反映されている、取得したチャットメッセージの送受信記録に基づいて、外国人99に関する信用スコアの性質として、外国人99のまめさ(忠実性)を評価することができる。
【0060】
積極性の評価について、評価する方法の一例を説明する。関連機関装置2には履歴書作成機能が実装されており、外国人99は、端末装置3を介して関連機関装置2に自己の履歴書データを作成する。信用スコア管理装置1は、関連機関における外国人の実績に関する情報(実績情報データ41)として、外国人99の履歴書データを関連機関装置2を介して取得する。信用スコア管理装置1は、外国人99による積極性が反映されている、取得した履歴書データの内容(例えば、記載されている文章の量の多さ)に基づいて、外国人99に関する信用スコアの性質として、外国人99の積極性を評価することができる。
【0061】
思いやりの評価について、評価する方法の一例を説明する。関連機関装置2には外国人99同士がお礼を言い合える機能が実装されており、他の外国人からお礼を受け取った回数が外国人99毎に記録されている。信用スコア管理装置1は、関連機関における外国人の実績に関する情報(実績情報データ41)として、外国人99がお礼を受け取った回数に関するデータ(お礼受取回数データ)を、関連機関装置2を介して取得する。信用スコア管理装置1は、外国人99が有する他者への思いやりが反映されている、取得したお礼受取回数データに基づいて、外国人99に関する信用スコアの性質として、外国人99が有する他者への思いやりを評価することができる。
【0062】
柔軟性の評価について、評価する方法の一例を説明する。関連機関装置2には勤務シフト管理機能が実装されており、外国人99の勤務シフトのデータが保存されている。外国人99は端末装置3を介して関連機関装置2に接続することにより、勤務先から提案される勤務シフトの変更について、承認または拒否をすることができる。勤務シフトのデータには、勤務先の都合によって勤務シフト変更の提案を受けて、その提案を外国人99が了承した回数に関するデータ(勤務シフト変更承認回数データ)が含まれている。信用スコア管理装置1は、関連機関における外国人の実績に関する情報(実績情報データ41)として、外国人99の勤務シフト変更承認回数データを、関連機関装置2を介して取得する。信用スコア管理装置1は、外国人99が有する物事への柔軟性が反映されている、取得した勤務シフト変更承認回数データに基づいて、外国人99に関する信用スコアの性質として、外国人99が有する物事への柔軟性を評価することができる。
【0063】
コミュニケーション能力の評価について、評価する方法の一例を説明する。関連機関装置2にはチャット通信機能が実装されており、外国人99は、端末装置3を介して、関連機関装置2を利用する例えば企業側のオペレータ98との間で、または、例えば同じ企業に勤務している他の外国人99との間で、チャットメッセージの送受信を行うことができる。信用スコア管理装置1は、関連機関における外国人の実績に関する情報(実績情報データ41)として、外国人99に関するチャットメッセージの送受信記録(メッセージの送受信回数を含む)を、関連機関装置2を介して取得する。信用スコア管理装置1は、メッセージの送受信回数すなわち外国人99のコミュニケーション能力が反映されている、取得したチャットメッセージの送受信記録に基づいて、外国人99に関する信用スコアの性質として、外国人99のコミュニケーション能力を評価することができる。
【0064】
課題解決能力の評価について、評価する方法の一例を説明する。関連機関装置2にはアンケート機能が実装されており、関連機関装置2を利用する例えば企業側のオペレータ98から企業に勤務する外国人99へ、端末装置3を介して、例えば生活や業務に関するアンケートを行うことができる。外国人99は、アンケートに対する回答として、例えば生活や業務に関する改善提案を関連機関装置2に返信することができる。改善提案を含むアンケートの回答に関するデータは、関連機関装置2に保存される。信用スコア管理装置1は、関連機関における外国人の実績に関する情報(実績情報データ41)として、外国人99による改善提案を含むアンケートの回答に関するデータを、関連機関装置2を介して取得する。信用スコア管理装置1は、外国人99の課題解決能力が反映されている、取得した改善提案を含むアンケートの回答に関するデータに基づいて、外国人99に関する信用スコアの性質として、外国人99の課題解決能力を評価することができる。
【0065】
このように、信用スコア管理装置1はさらに、関連機関における外国人99の実績に関する情報(実績情報データ41)に基づいて、外国人99に関して信用スコアの性質を評価することができる。例示する態様では、信用スコア管理装置1が信用スコアの性質を評価しているが、評価を行う主体は信用スコア管理装置1に制限されない。例えば信用スコアデータ42とは別に、外国人99に関する信用スコアの性質として、例えば、継続性、まめさ(忠実性)、積極性、思いやり、柔軟性、コミュニケーション能力、および課題解決能力のそれぞれについて信用サブスコアを付与し、それぞれの性質について付与されたそれぞれの信用サブスコアの値に基づいて、信用スコアのそれぞれの性質を評価してもよい。信用サブスコアの付与は、例えば、継続性や積極性等のそれぞれの性質について、例えば関連機関装置2を利用する教育機関側または企業側のオペレータ98が行ってもよい。
【0066】
例えば関連機関が教育機関であり、外国人99が関連機関の教育機関に在学している場合を一例として説明する。例えば継続性については、外国人99が例えばクラブ活動に継続して参加している場合、継続性の信用サブスコアをオペレータ98が外国人99に関して付与することにより、オペレータ98は外国人99に関する継続性を評価することができる。
【0067】
同様に、例えばまめさ(忠実性)については、外国人99が例えば年賀状等の季節毎の挨拶状を他者に送っている場合、オペレータ98は、まめさ(忠実性)の信用サブスコアを付与することにより、外国人99のまめさ(忠実性)を評価することができる。例えば積極性については、外国人99が例えばボランティア活動のリーダー役に立候補した場合、オペレータ98は、積極性の信用サブスコアを付与することにより、外国人99の積極性を評価することができる。例えば思いやりについては、外国人99が例えば体調が悪いまたは怪我をしたクラスメイトを保健室または医療機関へ連れていった場合、オペレータ98は、思いやりの信用サブスコアを付与することにより、外国人99が有する他者への思いやりを評価することができる。例えば柔軟性については、外国人99が例えば学習方法のアドバイスを聞き入れた場合、オペレータ98は、柔軟性の信用サブスコアを付与することにより、外国人99が有する物事への柔軟性を評価することができる。例えばコミュニケーション能力については、外国人99が例えば説明を受けている際にメモを取っていた場合、オペレータ98は、コミュニケーション能力の信用サブスコアを付与することにより、外国人99のコミュニケーション能力を評価することができる。例えば課題解決能力については、外国人99が例えば生活や業務に関するアンケートにおいて改善提案を書いて回答していた場合、オペレータ98は、課題解決能力の信用サブスコアを付与することにより、外国人99の課題解決能力を評価することができる。
【0068】
上記実施形態では、端末装置3は、信用スコアリングの対象となる外国人99に使用される端末装置3であり、外国人99は端末装置3を介して自己の信用スコアを閲覧することができるが、外国人99の信用スコアを閲覧可能な装置は端末装置3に制限されない。例えば信用スコアに閲覧可能端末の項目をさらに設けておき、外国人99が端末装置3を介して閲覧を承認した、例えば外国人99の家族または親族が所有するスマートフォン等の端末装置を介して、外国人99の家族または親族が、外国人99の信用スコアを閲覧可能としてもよい。自己の信用スコアを閲覧することが可能な端末の承認は、例えば外国人99が端末装置3を介して閲覧要求を承認することにより行うことができる。外国人99の家族または親族が居住する地域も外国人99の母国に限られず、我が国や、母国以外の第三国であってもよい。
【0069】
また、外国人99の家族または親族が閲覧可能な外国人99のデータとしては、例示する信用スコアに限らず、関連機関における外国人99の実績に関する情報とすることもできる。このような、外国人99の家族または親族が閲覧可能な、関連機関における外国人99の実績に関する情報としては、例えば関連機関が教育機関である場合は、学業成績や出欠記録等とすることができ、例えば関連機関が企業である場合は、業務成績や勤怠記録等とすることができる。
【0070】
上記実施形態では、信用スコア管理装置1は一体の装置として実現されているが、信用スコア管理装置1は一体の装置である必要はなく、CPU等のプロセッサ、主記憶装置等のメモリ、SSD等の補助記憶装置等が別所に配置され、これらが互いにネットワークで接続されていてもよい。
【0071】
上記実施形態では、信用スコア管理装置1を構成する各機能ブロック11~14の処理は単一のプロセッサで処理されているが、これら各機能ブロックの処理は単一のプロセッサで処理される必要はなく、複数のプロセッサで分散して実行されてもよい。信用スコア管理装置1を構成する各機能ブロック11~14は、一部または全部が、ネットワーク9を介して接続される別のサーバ装置(図示せず)においてクラウド化されていてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 信用スコア管理装置
2 関連機関装置
3 端末装置
9 ネットワーク
11 実績情報取得部
12 信用スコア算出部
13 優待適用判定部
14 情報提示部
15 信用スコア性質評価部
19 補助記憶装置
98 関連機関のオペレータ
99 外国人の留学生または労働者
100 信用スコア管理システム
図1
図2
図3