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特許7450999シェイクハンド式の卓球用ラケット、および、その取付部品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】シェイクハンド式の卓球用ラケット、および、その取付部品
(51)【国際特許分類】
   A63B 59/42 20150101AFI20240311BHJP
   A63B 102/16 20150101ALN20240311BHJP
【FI】
A63B59/42
A63B102:16
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023172689
(22)【出願日】2023-10-04
【審査請求日】2023-10-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523379029
【氏名又は名称】柘植 俊幸
(74)【代理人】
【識別番号】100167276
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】柘植 俊幸
【審査官】井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-536468(JP,A)
【文献】国際公開第2015/002112(WO,A1)
【文献】特表2003-505618(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0317468(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B59/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェイクハンド式の卓球用ラケットであって、
ラバーによって覆われるラバー領域と、前記ラバー領域より後端側に延び出ている延出領域と、を含む板面を有する平板状の本体板部と、
先端部が前記延出領域に入り込んだ状態で前記本体板部に連結されている、使用者が把持する棒状の把持部と、
前記把持部の先端部に設けられ、前記使用者がシェイクハンド式の持ち方をしたときに、前記使用者の親指が掛けられる凸部と、
を備え、
前記凸部は、前記使用者がシェイクハンド式の持ち方をしたときの前記使用者の親指に添うように、前記本体板部の厚み方向に見たときに前記把持部の中心軸に対して斜め方向に延在している、卓球用ラケット。
【請求項2】
請求項1記載の卓球用ラケットであって、さらに、
前記延出領域における前記把持部の先端部の隣に、前記延出領域を覆うように設けられ、前記ラバー領域よりも厚み方向に突出して、前記延出領域の厚みを増すことにより、前記ラバー領域を覆う前記ラバーの端面に隣接する段差を形成する増厚部と、
を備える、卓球用ラケット。
【請求項3】
請求項記載の卓球用ラケットであって、
前記本体板部の前記板面のうち、前記使用者がシェイクハンド式の持ち方をしたときに、前記使用者の親指が配置される面を第1面とし、前記使用者の人差し指が配置される面を第2面とするとき、
前記増厚部は、少なくとも、前記第1面において前記使用者の親指の下に配置される第1面増厚部を含む、卓球用ラケット。
【請求項4】
請求項記載の卓球用ラケットであって、
前記増厚部は、さらに、前記第2面において前記人差し指の付け根の下に配置される第2面増厚部を含む、卓球用ラケット。
【請求項5】
シェイクハンド式の卓球用ラケットであって、
ラバーによって覆われるラバー領域と、前記ラバー領域より後端側に延び出ている延出領域と、を含む板面を有する平板状の本体板部と、
先端部が前記延出領域に入り込んだ状態で前記本体板部に連結されている、使用者が把持する棒状の把持部と、
前記延出領域における前記把持部の先端部の隣に、前記延出領域を覆うように設けられ、前記ラバー領域よりも厚み方向に突出して、前記延出領域の厚みを増すことにより、前記ラバー領域を覆う前記ラバーの端面に隣接する段差を形成する増厚部と、
を備える、卓球用ラケット。
【請求項6】
請求項5記載の卓球用ラケットであって、
前記増厚部によって形成される段差の高さは、前記ラバーの厚みとほぼ同じである、卓球用ラケット。
【請求項7】
シェイクハンド式の卓球用ラケットに取り付けられる取付部品であって、
前記卓球用ラケットは、ラバーによって覆われるラバー領域と、前記ラバー領域より後端側に延び出ている延出領域と、を含む板面を有する平板状の本体板部と、先端部が前記延出領域に入り込んだ状態で前記本体板部に連結されている、使用者が把持する棒状の把持部と、を備え、
前記取付部品は、前記把持部の先端部の上に配置され、前記使用者が前記卓球用ラケットをシェイクハンド式で持ったときに、前記使用者の親指が掛けられる凸部を有し、
前記凸部は、前記使用者がシェイクハンド式の持ち方をしたときにの前記使用者の親指に添うように、前記本体板部の厚み方向に見たときに前記把持部の中心軸に対して斜め方向に延在するように前記卓球用ラケットに取り付けられる、取付部品。
【請求項8】
請求項7記載の取付部品であって、
前記取付部品は、前記延出領域における前記把持部の先端部の隣に、前記延出領域を覆うように配置されて前記延出領域の厚みを増すことにより、前記ラバー領域を覆う前記ラバーの端面に隣接する段差を形成する増厚部を有する、取付部品。
【請求項9】
請求項記載の取付部品であって、
前記本体板部の前記板面のうち、前記使用者がシェイクハンド式の持ち方をしたときに、前記使用者の親指が配置される面を第1面とし、前記使用者の人差し指が配置される面を第2面とするとき、
前記増厚部は、少なくとも、前記第1面において前記使用者の親指の下に配置される第1面増厚部を含む、取付部品。
【請求項10】
請求項記載の取付部品であって、
前記増厚部は、さらに、前記第2面において前記人差し指の付け根の下に配置される第2面増厚部を含む、取付部品。
【請求項11】
シェイクハンド式の卓球用ラケットに取り付けられる取付部品であって、
前記卓球用ラケットは、ラバーによって覆われるラバー領域と、前記ラバー領域より後端側に延び出ている延出領域と、を含む板面を有する平板状の本体板部と、先端部が前記延出領域に入り込んだ状態で前記本体板部に連結されている、使用者が把持する棒状の把持部と、を備え、
前記取付部品は、前記延出領域における前記把持部の先端部の隣に配置され、前記ラバーの端面に隣接する段差を形成する増厚部を有し、
前記増厚部に一体的に連結され、前記把持部の一部を構成する把持部構成部を有する、取付部品。
【請求項12】
シェイクハンド式の卓球用ラケットに取り付けられる取付部品であって、
前記卓球用ラケットは、ラバーによって覆われるラバー領域と、前記ラバー領域より後端側に延び出ている延出領域と、を含む板面を有する平板状の本体板部と、先端部が前記延出領域に入り込んだ状態で前記本体板部に連結されている、使用者が把持する棒状の把持部と、を備え、
前記取付部品は、前記延出領域における前記把持部の先端部の隣に、前記延出領域を覆うように配置されて前記延出領域の厚みを増すことにより、前記ラバー領域を覆う前記ラバーの端面に隣接する段差を形成する増厚部を有する、取付部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シェイクハンド式の卓球用ラケット、および、その取付部品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、卓球用ラケットは、ペンホルダー式とシェイクハンド式とに大きく分類される。ペンホルダー式のラケットは、ペンを持つときのようにグリップに指を掛ける持ち方に適した構成を有し、シェイクハンド式のラケットは、握手するようにグリップを握る持ち方に適した構成を有している。
【0003】
ペンホルダー式であってもシェイクハンド式であっても、卓球の基礎的技術の向上のためには、ラケットを正しい握り方で持つことが重要である。そのため、従来から、卓球用ラケットについては、その持ち方を補助するための種々の技術が提案されている。例えば、下記の特許文献1には、使用者が、ペンホルダー式のラケットを、より安定して強く握ることができるようにするために、ラケットのブレードに、指先の支持部として機能する突出した部位を形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2023-505618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1でも説明されているように、シェイクハンド式のラケットは、棒状のグリップを複数の指で強く握ることができるため、一般的には、ペンホルダー式よりも、ラケットを安定した状態で持ちやすく、初心者にも扱いやすいという認識がある。そのため、シェイクハンド式のラケットについては、これまで、その握り方を補助することについて十分な工夫がなされてこなかった。
【0006】
しかしながら、本発明の発明者は、卓球選手の指導を重ねるうちに、シェイクハンド式の場合には、プレイ中にラケットを持つ手に力が加わりやすく、ラケットに添えた指の位置も変動させやすいため、それが選手のプレイや肉体疲労に影響することを見出した。本開示の技術は、そのような指導の現場で得られた独自の知見に基づくものであり、シェイクハンド式の卓球用ラケットの使用者の持ち方を、より適切に補助できる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の技術は、以下の形態として実現することが可能である。
【0008】
[第1形態]第1形態は、シェイクハンド式の卓球用ラケットとして提供される。第1形態の卓球用ラケットは、ラバーによって覆われるラバー領域と、前記ラバー領域より後端側に延び出ている延出領域と、を含む板面を有する平板状の本体板部と、先端部が前記延出領域に入り込んだ状態で前記本体板部に連結されている、使用者が把持する棒状の把持部と、前記延出領域における前記把持部の先端部の隣りに設けられ、前記ラバー領域よりも厚み方向に突出して、前記ラバー領域を覆う前記ラバーの端面に隣接する段差を形成する増厚部と、を備える。
第1形態のシェイクハンド式の卓球用ラケットによれば、増厚部によって、本体板部の板面にラバーの端面の段差が形成されることを抑制できる。そのため、ラケットと使用者の手との間に隙間が生じることが抑制され、使用者が、より安定した状態でラケットを持つことができるようになる。よって、使用者が、プレイ中に、意識的、又は、無意識的に、ラケットを持つ手に余計な力を加えることが抑制され、プレイ中に使用者の腕の筋肉に余計な負荷が加わることが抑制される。腕に余計な力が加わらなくなることによって、使用者は、腕をより柔軟に動かすことが可能になり、プレイの精度を向上させることができる。また、プレイ後に使用者の腕や肩などに残る疲労を低減させることもできる。
【0009】
[第2形態]上記第1形態に記載の卓球用ラケットであって、前記本体板部の前記板面のうち、前記使用者がシェイクハンド式の持ち方をしたときに、前記使用者の親指が配置される面を第1面とし、前記使用者の人差し指が配置される面を第2面とするとき、前記増厚部は、少なくとも、前記第1面において前記使用者の親指の下に配置される第1面増厚部を含んでよい。
第2形態の卓球用ラケットによれば、第1面増厚部によって、親指の下に、ラバーの端面の段差が生じることを抑制でき、親指と第1面との間に隙間が生じることを抑制できる。そのため、使用者が、プレイ中に親指に力を入れすぎたり、親指の位置を動かしたりすることを抑制できる。よって、使用者のプレイの精度をより向上させることができる。また、プレイ後に使用者の腕や肩などに残る疲労をより一層低減させることができる。
【0010】
[第3形態]上記第1形態、または、第2形態記載の卓球用ラケットにおいて、前記本体板部の前記板面のうち、前記使用者がシェイクハンド式の持ち方をしたときに、前記使用者の親指が配置される面を第1面とし、前記使用者の人差し指が配置される面を第2面とするとき、前記増厚部は、前記第2面において前記人差し指の付け根の下に配置される第2面増厚部を含んでよい。
第3形態の卓球用ラケットによれば、第2面増厚部によって、人差し指の付け根の下に、ラバーの端面の段差が生じることを抑制でき、人差し指と第2面との間に隙間が生じることを抑制できる。そのため、使用者が、プレイ中に人差し指に力を入れすぎたり、人差し指の位置を動かしたりすることを抑制できる。よって、使用者のプレイの精度をより向上させることができる。また、プレイ後に使用者の腕や肩などに残る疲労をより一層低減させることができる。第1増厚部と第2増厚部の両方が設けられていれば、ラケットと使用者の手との間に隙間が生じることがさらに抑制されるため、使用者が、より安定した状態でラケットを持つことができるようになる。よって、より一層高い効果を得ることができる。
【0011】
[第4形態]上記第1形態、第2形態、および、第3形態のいずれかに記載の卓球用ラケットは、前記使用者がシェイクハンド式の持ち方をしたときに、前記使用者の親指が掛けられる凸部が前記把持部の先端部に設けられてよい。
第4形態の卓球用ラケットによれば、凸部が親指の位置決め部として機能するため、使用者は、より適切なラケットの持ち方でプレイすることが容易にできる。また、使用者がプレイ中に親指をラバーから離れる方向側に折り曲げることが凸部によって抑制されるため、ラケット上での親指の配置姿勢が不適切になり、ラケットのコントロール性が低下することを抑制できる。
【0012】
[第5形態]第5形態は、シェイクハンド式の卓球用ラケットとして提供される。第5形態の卓球用ラケットは、ラバーによって覆われるラバー領域と、前記ラバー領域より後端側に延び出ている延出領域と、を含む板面を有する平板状の本体板部と、先端部が前記延出領域に入り込んだ状態で前記本体板部に連結されている、使用者が把持する棒状の把持部と、前記把持部の先端部に設けられ、前記使用者がシェイクハンド式の持ち方をしたときに、前記使用者の親指が掛けられる凸部と、を備える。
第5形態の卓球用ラケットによれば、凸部が親指の位置決め部として機能するため、使用者は、より適切なラケットの持ち方でプレイすることが容易にできる。また、使用者がプレイ中に親指をラバーから離れる方向側に折り曲げることが凸部によって抑制されるため、ラケット上での親指の配置姿勢が不適切になり、ラケットのコントロール性が低下することを抑制できる。
【0013】
[第6形態]第6形態は、シェイクハンド式の卓球用ラケットに取り付けられる取付部品として提供される。前記卓球用ラケットは、前記卓球用ラケットは、ラバーによって覆われるラバー領域と、前記ラバー領域より後端側に延び出ている延出領域と、を含む板面を有する平板状の本体板部と、先端部が前記延出領域に入り込んだ状態で前記本体板部に連結されている、使用者が把持する棒状の把持部と、を備える。第5形態の取付部品は、前記延出領域における前記把持部の先端部の隣りに配置され、前記ラバー領域を覆う前記ラバーの端面に隣接する段差を形成する増厚部を有する。
第6形態の取付部品によれば、ラケットに、延出領域の厚みを増す増厚部を容易に設けることができる。シェイクハンド式の卓球用ラケットに増厚部が設けられれば、本体板部の板面にラバーの端面の段差が形成されることを抑制できる。そのため、ラケットと使用者の手との間に隙間が生じることが抑制され、使用者が、より安定した状態でラケットを持つことができるようになる。よって、使用者が、プレイ中に、意識的、又は、無意識的に、ラケットを持つ手に余計な力を加えることが抑制され、プレイ中に使用者の腕の筋肉に余計な負荷が加わることが抑制される。腕に余計な力が加わらなくなることによって、使用者は、腕をより柔軟に動かすことが可能になり、プレイの精度を向上させることができる。また、プレイ後に使用者の腕や肩などに残る疲労を低減させることもできる。
【0014】
[第7形態]上記第6形態の取付部品において、前記本体板部の前記板面のうち、前記使用者がシェイクハンド式の持ち方をしたときに、前記使用者の親指が配置される面を第1面とし、前記使用者の人差し指が配置される面を第2面とするとき、前記増厚部は、少なくとも、前記第1面において前記使用者の親指の下に配置される第1面増厚部を含んでよい。
第7形態の取付部品によれば、第1面増厚部を第1面側に容易に設けることができる。ラケットの第1面側に第1面増厚部が設けられていれば、親指の下に、ラバーの端面の段差が生じることを抑制でき、親指と第1面との間に隙間が生じることを抑制できる。そのため、使用者が、プレイ中に親指に力を入れすぎたり、親指の位置を動かしたりすることを抑制できる。よって、使用者のプレイの精度をより向上させることができる。また、プレイ後に使用者の腕や肩などに残る疲労をより一層低減させることができる。
【0015】
[第8形態]上記第6形態、または、第7形態に記載の取付部品において、前記本体板部の前記板面のうち、前記使用者がシェイクハンド式の持ち方をしたときに、前記使用者の親指が配置される面を第1面とし、前記使用者の人差し指が配置される面を第2面とするとき、前記増厚部は、前記第2面において前記人差し指の付け根の下に配置される第2面増厚部を含んでよい。
第8形態の取付部品によれば、ラケットの第2面側に第2面増厚部を容易に設けることができる。ラケットに第2面増厚部が設けられていれば、人差し指の付け根の下に、ラバーの端面の段差が生じることを抑制でき、人差し指と第2面との間に隙間が生じることを抑制できる。そのため、使用者が、プレイ中に人差し指に力を入れすぎたり、人差し指の位置を動かしたりすることを抑制できる。よって、使用者のプレイの精度をより向上させることができる。また、プレイ後に使用者の腕や肩などに残る疲労をより一層低減させることができる。第1増厚部と第2増厚部の両方が設けられていれば、ラケットと使用者の手との間に隙間が生じることがさらに抑制されるため、使用者が、より安定した状態でラケットを持つことができるようになる。よって、より一層高い効果を得ることができる。
【0016】
[第9形態]上記第6形態、第7形態、および、第8形態のいずれかに記載の取付部品は、さらに、前記把持部の先端部の上に配置され、前記使用者がシェイクハンド式の持ち方で前記把持部を把持したときに、前記使用者の親指が掛けられる凸部を有してよい。
第9形態の取付部品によれば、卓球用ラケットに親指が掛けられる凸部を容易に設けることができる。ラケットに凸部が設けられていれば、凸部が親指の位置決め部として機能するため、使用者は、より適切なラケットの持ち方でプレイすることが容易にできる。また、使用者がプレイ中に親指をラバーから離れる方向側に折り曲げることが凸部によって抑制されるため、ラケット上での親指の配置姿勢が不適切になり、ラケットのコントロール性が低下することを抑制できる。
【0017】
[第10形態]上記第6形態、第7形態、第8形態、および、第9形態のいずれかに記載の取付部品は、前記増厚部に一体的に連結され、前記把持部の一部を構成する把持部構成部を有してよい。
第10形態の取付部品によれば、増厚部と把持部とが一体的に連結されるため、シェイクハンド式の卓球用ラケットを、使用者の手にフィットしやすくすることができる。また、ラケットから増厚部が把持部から分離して脱落することを抑制できる。さらに、増厚部を有する卓球用ラケットの製造を容易化でき、製造効率を高めることができる。
【0018】
[第11形態]第11形態は、シェイクハンド式の卓球用ラケットに取り付けられる取付部品として提供される。前記卓球用ラケットは、前記卓球用ラケットは、ラバーによって覆われるラバー領域と、前記ラバー領域より後端側に延び出ている延出領域と、を含む板面を有する平板状の本体板部と、先端部が前記延出領域に入り込んだ状態で前記本体板部に連結されている、使用者が把持する棒状の把持部と、を備える。第11形態の取付部品は、前記把持部の先端部の上に配置され、前記使用者が前記卓球用ラケットをシェイクハンド式で持ったときに、前記使用者の親指が掛けられる凸部を有する。
第11形態の取付部品によれば、卓球用ラケットに親指が掛けられる凸部を容易に設けることができる。凸部を有するラケットによれば、凸部が親指の位置決め部として機能するため、使用者が、より適切なラケットの持ち方でプレイすることを容易にできるようにできる。また、ラケットに凸部が設けられれうことにより、使用者がプレイ中に親指をラバーから離れる方向側に折り曲げることが抑制されるため、ラケット上での親指の配置姿勢が不適切になり、ラケットのコントロール性が低下することを抑制できる。
【0019】
[第12形態]上記第11形態に記載の取付部品は、前記凸部に一体的に連結され、前記把持部の一部を構成する把持部構成部を有してよい。
第12形態の取付部品によれば、凸部と把持部とが一体的に連結されるため、シェイクハンド式の卓球用ラケットを、使用者の手にフィットしやすくすることができる。また、ラケットから凸部が把持部から分離して脱落することを抑制できる。凸部を有する卓球用ラケットの製造を容易化でき、製造効率を高めることができる。
【0020】
本開示の技術は、シェイクハンド式の卓球用ラケットやその取付部品以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、卓球用ラケットの製造方法や取付部品の製造方法、卓球用ラケットの加工方法、取付部品の加工方法、卓球用ラケットの製造装置、取付部品の製造装置等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態の卓球用ラケットの概略斜視図。
図2】卓球用ラケットの概略平面図。
図3】卓球用ラケットの第1の概略側面図。
図4】卓球用ラケットの第2の概略側面図。
図5】第1面側の補助部を示す概略斜視図。
図6】第1面側の補助部を示す概略平面図。
図7】第2面側の補助部を示す概略斜視図。
図8】シェイクハンド式の持ち方を示す第1の概略図。
図9】シェイクハンド式での持ち方を示す第2の概略図。
図10】ラケット基板の一例を示す概略斜視図。
図11】第2実施形態の第1取付部品を示す概略斜視図。
図12】第2実施形態の第2取付部品を示す概略斜視図。
図13】第3実施形態の卓球用ラケットの第1面側の構成を示す概略斜視図。
図14】第3実施形態の卓球用ラケットの第2面側の構成を示す概略斜視図。
図15】第4実施形態の補助部を示す概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1.第1実施形態:
図1図9を参照し、第1実施形態のシェイクハンド式の卓球用ラケット10の構成を説明する。以下では、卓球用ラケット10を、単に「ラケット10」とも呼ぶ。なお、図1~9では、右利き用の構成が例示されているが、以下に説明する卓球用ラケット10、および、取付部品50a,50bの構成は左利き用に構成されてもよい。後述する第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態、および、他の実施形態においても同様である。
【0023】
1-1.ラケットの概略構成:
まず、図1図4を参照する。図1は、ラケット10の第1面12a側を示す概略斜視図である。図2は、ラケット10の第1面12a側を示す概略平面図である。図3は、ラケット10の概略側面図である。図4は、図3とは反対側のラケット10の側面を示す概略側面図である。
【0024】
図1図4には、ラケット10に関する方向である、X方向、Y方向、および、Z方向を示す矢印が図示されている。X方向、Y方向、および、Z方向は互いに直交する。X方向およびY方向は、ラケット10の打球面に沿った方向であり、X方向は、ラケット10の幅方向に相当し、Y方向はラケット10の長さ方向に相当する。なお、本明細書では、便宜上、ラケット10の長さ方向におけるY方向側を「先端側」、Y方向の反対側を「後端側」と呼ぶ。Z方向は、ラケット10の厚み方向に相当する。X方向、Y方向、および、Z方向を示す矢印は、後に参照する図においても、図1図4に対応するように図示されている。
【0025】
図1~4に示すように、ラケット10は、打球面を構成する板面を有する平板状の本体板部12と、本体板部12の後端部に連結されている棒状の把持部15と、を有する。図2~4に示すように、ラケット10の中心軸CXはY方向に平行である。ラケット10の中心軸CXは、把持部15の中心軸HXと一致する。
【0026】
図1~4に示すように、本実施形態のラケット10には、使用者のシェイクハンド式の持ち方を補助するための補助部20が設けられている。各図では、補助部20に網点のハッチングを付してある。以下では、まず、本体板部12、および、把持部15について説明し、その後に、補助部20について説明する。
【0027】
本体板部12は、ブレードとも呼ばれ、略円盤状の形状を有する。本体板部12の2つの板面をそれぞれ、第1面12a、および、第2面12bと呼ぶ。第1面12aは、いわゆるフォア面に相当し、第2面12bは、いわゆるバック面に相当する。ラケット10を、後に参照する図8および図9に図示されているようなシェイクハンド式の持ち方をしたときに親指が配置される側の面が第1面12aであり、人差し指が配置される側の面が第2面12bである。
【0028】
ラケット10の第1面12aおよび第2面12bにはそれぞれラバーRBが貼られる。ラバーRBは、打球面を覆う樹脂製のシート部材である。ラバーRBの厚みは、例えば、1~4mm程度である。ラバーRBは、ゴムによって構成されるゴム層を有する。ラバーRBは、本体板部12に接着される面にスポンジ層を有していてもよい。ラバーRBの種類は、特に限定されず、いわゆる裏ソフトや、表ソフト、粒高、一枚ラバー、アンチラバーであってよい。ラバーRBの厚みや種類は、第1面12aと第2面12bとで異なっていてもよい。ラケット10に貼られるラバーRBの厚みや種類は使用者によって選択可能である。
【0029】
第1面12aおよび第2面12bはそれぞれ、ラバーRBが配置される先端側のラバー領域13と、ラバー領域13から後端側に延び出ている延出領域14と、を有する。ラバー領域13と延出領域14とは、X方向に沿った直線状の境界によって区切られる。ラバー領域13は、第1面12aおよび第2面12bのおおよそ8~9割程度の面積を占めている。把持部15は延出領域14に連結されている。
【0030】
把持部15は、使用者が把持する部位であり、グリップとも呼ばれる。把持部15は、Y方向に沿った直棒状の構成を有している。また、把持部15は、使用者が複数の指で握りやすいように、X方向を長径とする略長円形状の断面を有している。本実施形態では、把持部15は、後端側ほど太くなる構成を有している。
【0031】
把持部15は、本体板部12の延出領域14に入り込んでいる先端部16を有している。本実施形態では、把持部15の先端部16は、延出領域14のX方向の中央において厚み方向に隆起しており、ラバー領域13との境界まで延びている。
【0032】
図1図3、および、図4に示すように、ラケット10は、ラケット基板18を備える。ラケット基板18の全体は、第2実施形態で参照する図10に図示されている。ラケット基板18は、厚み方向中央に配置される平板な板状の部材であり、本体板部12を構成する部位と、把持部15の厚み方向の中央部を構成する部位と、を有する。ラケット基板18は、例えば、木材の単板によって単相に構成されてもよいし、厚み方向に積層された合板によって複数層で構成されてもよい。合板の層には、木材以外の材料、例えばカーボン等の層が含まれていてもよい。把持部15は、ラケット基板18の把持部15を構成する部位の両面に、半長円形状の断面を有する板状の部材を張り合わせることにより棒状に形成される。
【0033】
なお、ラケット10の使用時には、エッジとも呼ばれる本体板部12の側面に、ラバーRBや本体板部12を保護するためのサイドテープが貼られてもよい。また、把持部15には、グリップテープが巻き付けられてもよい。サイドテープ、グリップテープを使用するか否かや、使用するサイドテープグリップテープの種類は使用者が適宜選択すればよい。
【0034】
1-2.補助部の構成:
図5図9を参照して、ラケット10に設けられた補助部20の構成を説明する。
【0035】
図5は、ラケット10の第1面12a側に設けられた補助部20を示す概略斜視図である。図6は、第1面12a側に設けられた補助部20をZ方向に沿って見たときの概略平面図である。図7は、第2面12b側に設けられた補助部20を示す概略斜視図である。図5図7では、ラケット10にラバーRBが貼られていない状態が図示されている。図8、および、図9はそれぞれ、ラケット10のシェイクハンド式の持ち方を示す概略図である。図8は使用者がシェイクハンド式の持ち方をしたときのラケット10の第1面12a側を示しており、図9は、使用者がシェイクハンド式の持ち方をしたときのラケット10の第2面12b側の状態を示している。
【0036】
本実施形態では、補助部20は、本体板部12の第1面12aおよび第2面12bの延出領域14に設けられている。後述するように、本実施形態では、補助部20は、本体板部12や把持部15に接合される取付部品50a,50bによって構成されている。補助部20は、ラケット10において、使用者の指が直接触れる部位を構成するため、使用者の手に馴染むように全体がなめらかな曲面によって構成されることが好ましい。
【0037】
補助部20は、例えば、木材を切削加工することにより作製される。木材であれば、軽量であり、加工性に優れているため、好適である。また、木材であれば、吸湿性にも優れており、使用者の手にも馴染みやすい。なお、補助部20には、公式の規定等で予め定められた許容範囲内で、一部に粘土や樹脂材料が用いられていてもよい。
【0038】
1-2-1.増厚部:
補助部20は、ラバー領域13の表面よりも厚み方向に突出する増厚部22を有する。増厚部22は、延出領域14において、把持部15の先端部16の幅方向の隣に設けられている。増厚部22は、図5、および、図6に示す第1面12aに設けられている第1面増厚部22aと、図7に示す第2面12bに設けられている第2面増厚部22bと、を有する。
【0039】
図7に示すように、第1面増厚部22aと第2面増厚部22bとは、本体板部12の延出領域14を厚み方向に挟むように設けられている。図8および図9に示すように、使用者がシェイクハンド式でラケット10を持ったときには、第1面増厚部22aは親指の下に配置され、第2面増厚部22bは人差し指の付け根の下に配置される。以下では、第1面増厚部22aと第2面増厚部22bとを特に区別する必要がない場合には、単に、「増厚部22」と呼ぶ。
【0040】
図5、および、図7に示すように、増厚部22は、ラバー領域13を覆うラバーRBの端面に隣接する段差23を形成する。増厚部22が設けられていれば、本体板部12の板面にラバーRBの端面の段差が形成されることが抑制され、ラバーRBの上に配置される使用者の指と本体板部12の延出領域14との間に隙間が生じることが抑制される。
【0041】
ラケット10に第1面増厚部22aが設けられていれば、親指とラケット基板18の延出領域14との間に隙間が形成されることが抑制される。また、ラケット10に第2面増厚部22bが設けられていれば、人差し指の付け根とラケット基板18の延出領域14との間に隙間が形成されることを抑制される。ラケット10に第1面増厚部22aと第2面増厚部22bの両方が設けられていれば、使用者の手と本体板部12の延出領域14との間に隙間が形成されることが、より一層、抑制される。
【0042】
本発明の発明者が卓球の選手の指導をする中で得た知見によれば、使用者の指とラケット10との間の隙間が大きくなると、使用者は、プレイ中に、ラケット10をより安定させようと、指先に加える力を、意識的、または、無意識的に大きくする傾向がある。また、ラケット10を持ったときの指先に加える力が大きくなると、前腕の筋肉がこわばって、腕の関節の可動範囲が狭くなり、使用者がプレイ中に十分なパフォーマンスを発揮できなくなる可能性が高くなる。さらに、プレイ後には、使用者の腕や肩などに重度の筋肉疲労が残る可能性が高くなる。
【0043】
これに対して、ラケット10に増厚部22が設けられ、使用者の指とラケット10の延出領域14との間の隙間が小さくされれば、その分だけ、使用者は、少ない力で、ラケット10を安定した状態で持ちやすくなる。そのため、使用者が、プレイ中に指先に力を余計に加えることを抑制でき、プレイ中に腕がこわばることを抑制できる。よって、使用者は、プレイ中に腕をより柔軟に動かすことが可能になり、プレイの精度を向上させることができる。また、プレイ後に使用者の腕や肩などに残る筋肉疲労を低減させることができる。
【0044】
増厚部22によって形成される段差23の高さは、ラバーRBの厚みとほぼ同じであることが好ましい。このようにすれば、増厚部22とラバーRBとの間に段差が形成されることが抑制できる。よって、使用者が、プレイ中に、ラケット10に添えた指先で、そのような段差に違和感を感じ、無意識的に、指の位置を変えたり、指先に余計な力を加えてしまうことをさらに抑制でき、使用者のプレイの精度を高めることができる。
【0045】
増厚部22は、ラバーRBの端面との間に隙間が形成されないように形成されることが好ましい。増厚部22とラバーRBの端面との間に隙間が生じていると、使用者が指先でその隙間に違和感を感じ、無意識的に、指の位置を変えたり、指先に余計な力を加えてしまったりして、プレイに影響する可能性が高くなるためである。ただし、ラバーRBの端面と、それに隣接する増厚部22の段差23とは完全に接触していなくてもよく、例えば、数mmのわずかな隙間が生じていたとしても許容される。
【0046】
1-2-2.凸部:
図5に示すように、補助部20は、第1面12aの把持部15の先端部16の上に設けられた凸部25を有する。凸部25は、把持部15の先端部16において厚み方向に隆起するように形成されている。図8に示すように、凸部25は、使用者がラケット10をシェイクハンド式で持ったときに、親指を掛ける部位として機能する。
【0047】
図6に示すように、凸部25は、把持部15の先端部16の幅方向全体に渡って形成されており、使用者の親指に添うように、把持部15の中心軸HXに対して斜め方向に延在するように形成されている。図5および図6に示すように、凸部25は、ラバー領域13側に向く第1傾斜面26aと、第1傾斜面26aとは反対側を向く第2傾斜面26bとを有する。また、凸部25には、第1傾斜面26aと第2傾斜面26bとの間に峰部27が形成されている。
【0048】
図5に示すように、第1傾斜面26aは、使用者に違和感を生じさせることなく、親指の腹部が当接し易いように、わずかに後端側に窪んだ湾曲面によって構成されていることが好ましい。また、図6に示すように、峰部27は、親指が当接する方向に窪むように湾曲しながら把持部15の中心軸CXに対して斜め方向に延びていることが好ましい。
【0049】
図6に示すように、ラケット10の厚み方向に見たときに、把持部15の中心軸HXに対する凸部25の傾斜角度は、概ね、30~60°であることが好ましく、40~50°であることがより好ましい。凸部25は、厚み方向に見たときに、峰部27と把持部15の中心軸HXとが交差する交差角度θが30~60°の範囲内であることが好ましく、40~50°の範囲内であることがより好ましい。交差角度θは、峰部27と中心軸HXとの交点を通る峰部27の接線と中心軸HXとの角度のうちの小さい方の角度である。
【0050】
一般に、シェイクハンド式の持ち方でプレイしているときには、親指の位置を動かすことによって、第1面12aで打球を打つフォアのフォームと第2面12bで打球を打つバックのフォームの切り替えや、ラケット10の打球面の角度の調整がしやすくなる。しかしながら、本発明の発明者の知見によれば、ラケット10に添えられた親指が後端側に移動しすぎると、使用者の前腕の筋肉にかかる負荷が大きくなる可能性や、フォアとバックのフォームの切り替えに支障が生じる可能性が高くなる。そのため、ラケット10に凸部25が設けられていれば、プレイ中に使用者が無意識的に親指が後端側に移動しすぎることを抑制できる。よって、そのような前腕の筋肉にかかる負荷を低減できる。また、フォアとバックのフォームの切り替えが阻害されることを抑制できる。
【0051】
凸部25は、使用者の親指が掛けられたときに、峰部27が、親指の幅方向中央あたりに位置する程度の高さを有するように構成されていることが好ましい。凸部25の高さがそれよりも高すぎると、使用者の親指の接触面積が増大し、凸部25が親指から受ける力によってラケット10の打球面の角度が変動しやすくなり、使用者のプレイの精度が低下する可能性が高まるためである。
【0052】
また、本発明の発明者は、実際のプレイで様々な凸部25の形状を試すことにより、凸部25は以下のような構成を有していることがより好ましいことを見出した。図6に示すように、ラケット10を厚み方向に見たときに、凸部25の峰部27は、把持部15の方からラバー領域13に向かって曲線を描きながら延び、ラバー領域13の境界に到達することが好ましい。このとき、ラバー領域13と延出領域14との境界での第2傾斜面26bの幅b、つまり、凸部25の第2傾斜面26b側の側端部と峰部27との間のX方向における幅bが、把持部15の先端部16の幅aの20~40%程度であることがより好ましい。また、幅bは、幅aの25~35%程度であることがさらに好ましい。この凸部25の構成によれば、親指をより適切な位置に配置させることができ、使用者のプレイの精度をより高めることができる。
【0053】
1-2-3.取付部品:
本実施形態では、補助部20は、第1面12aに配置される第1面増厚部22aと凸部25とが一体化された第1取付部品50aと、第2面12bに配置される第2面増厚部22bを構成する第2取付部品50bと、によって構成される。補助部20が取付部品50a,50bによって構成されていれば、既製品のラケットに対して補助部20を容易に後付けできるため、ラケット10の製造が容易化される。また、取付部品50a,50bの交換によって、補助部20を使用者の手により馴染む形状にすること容易にできる。
【0054】
第1面増厚部22aと凸部25とが一体化されている第1取付部品50aによれば、ラケット10に第1面増厚部22aと凸部25を同時に設けることが容易にできる。また、第1面増厚部22aと凸部25とが一体化されていれば、第1面増厚部22aと凸部25との境界に使用者が違和感を生じる部位が形成されることを抑制できる。また、親指からの力を受ける凸部25のみがラケット10から脱落することを抑制できる。
【0055】
1-3.第1実施形態のまとめ:
以上のように、第1実施形態のラケット10によれば、増厚部22や凸部25を含む補助部20によって、プレイ中の使用者のシェイクハンド式の持ち方を適正に補助することができ、使用者のプレイの精度を向上させることができる。また、プレイ後の使用者の筋肉疲労を低減させることができる。さらに、第1実施形態では、補助部20が取付部品50a,50bによって構成されているため、ラケット10に補助部20を容易に設けることができる。
【0056】
2.第2実施形態:
図10図12を参照して、第2実施形態としてのシェイクハンド式の卓球用ラケットの取付部品50Aa,50Abを説明する。図10には、第2実施形態の取付部品50Aa,50Abが取り付けられるラケット基板18の一例が図示されている。図12、および、図13にはそれぞれ、第2実施形態の取付部品50Aa,50Abの一例が図示されている。
【0057】
図10を参照する。第1実施形態でも説明したラケット基板18は、ラケットの本体部を構成する主要部品であり、平板な板状部材によって構成される。ラケット基板18は、本体板部12を構成する第1部位18aと、把持部15の中央部位を構成する第2部位18bと、を有する。
【0058】
第2実施形態では、以下に説明するように、ラケット基板18に取付部品50Aa,50Abが取り付けられることにより、ラケット10が完成する。取付部品50Aa,50Abは、例えば、接着剤などによってラケット基板18に固定される。なお、ラケット10は、その完成後にも、使用者の手に馴染むように、切削加工により、補助部20の形状を修正することが可能である。
【0059】
図11および図12を参照して、第2実施形態の取付部品50Aa,50Abの構成を説明する。図11および図12はそれぞれ、各取付部品50Aa,50Abがラケット基板18に取り付けられる様子が模式的に図示されている。図11および図12では、便宜上、各取付部品50Aa,50Abが固定されるラケット基板18上の領域に斜線ハッチングが付してある。
【0060】
図11を参照する。第1取付部品50Aaは、第1実施形態で説明したのと同様な構成を有する第1面増厚部22aと凸部25とを有する。第1面増厚部22aと凸部25とはX方向に配列された状態で一体的に連結されている。
【0061】
第1取付部品50Aaは、さらに、把持部構成部52を有する。把持部構成部52は、凸部25の後端側に連結されている。把持部構成部52は、半長円形状の断面を有し、Y方向を長手方向とする板状の部位として構成されている。把持部構成部52は、ラケット基板18の第2部位18bを覆うように積層され、図1図9に示された第1実施形態で説明した把持部15の第1面12a側の外側の部位を構成する。
【0062】
図12を参照する。第2取付部品50Abは、第1実施形態で説明したのと同様な構成を有する第2面増厚部22bと、第2面12b側に配置される把持部構成部52と、を有する。第2取付部品50Abは、第2面増厚部22bが把持部構成部52の先端部の側方に連結されて一体化された構成を有している。第2取付部品50Abの把持部構成部52の先端部は、ラバー領域13に向かって下降傾斜する傾斜面を有する。第2取付部品50Abの把持部構成部52は、ラケット基板18の第2部位18bを覆うように積層され、図1図9に示された第1実施形態で説明した把持部15の第2面12b側の外側の部位を構成する。
【0063】
第2実施形態の取付部品50Aa,50Abを用いて構成されたラケットによれば、補助部20と把持部15とが一体化された構成となるため、ラケットからの補助部20の脱落が抑制され、ラケットの耐久性が高められる。また、第2実施形態の取付部品50Aa,50Abによれば、ラケット基板18への固定により、補助部20と把持部15とを同時に形成することができるため、第1実施形態で説明したラケット10と同様な構成を有するラケットを効率よく作製することができる。その他に、第2実施形態の取付部品50Aa,50Abおよびそれを用いたラケットによれば、第1実施形態で説明したのと同様な種々の効果を奏することができる。
【0064】
3.第3実施形態:
図13および図14を参照して、第3実施形態のラケット10Bの構成を説明する。図13は、第3実施形態のラケット10Bの第1面12a側に設けられた補助部20Bの構成を示す概略斜視図である。図14は、第3実施形態のラケット10Bの第2面12b側に設けられた補助部20Bの構成を示す概略斜視図である。
【0065】
第3実施形態のラケット10Bの構成は、第1実施形態で説明した補助部20の代わりに、第3実施形態の補助部20Bを有している点以外は、第1実施形態で説明したラケット10とほぼ同じである。第3実施形態の補助部20Bの構成は、凸部25が省略されている点以外は、第1実施形態の補助部20とほぼ同じである。
【0066】
第3実施形態のラケット10Bでは、補助部20Bとして、凸部25が設けられておらず、第1面増厚部22aと第2面増厚部22bのみが設けられている。第1面増厚部22aは、取付部品50Baの後付けによって構成され、第2面増厚部22bは、取付部品50Bbの後付けによって構成されている。
【0067】
第3実施形態のラケット10Bによれば、第1面増厚部22aと第2面増厚部22bが設けられていることにより、使用者がより安定してラケット10Bを持つことができる。そのため、プレイ中に、使用者が、ラケット10Bに添えられた指先に余計な力を加えることが抑制され、ラケット10Bを持つ腕の筋肉がこわばることを抑制できる。よって、使用者のプレイの精度を高めることができ、使用者のプレイ後に残る筋肉疲労を低減させることができる。その他に、第3実施形態のラケット10B、および、取付部品50Ba,50Bb
によれば、上記の各実施形態で説明した種々の効果を奏することができる。
【0068】
4.第4実施形態:
図15は、第4実施形態としてのラケット10Cが有する補助部20Cの構成を示す概略斜視図である。
【0069】
第4実施形態のラケット10Cの構成は、第1実施形態で説明した補助部20の代わりに、第4実施形態の補助部20Cを有している点以外は、第1実施形態で説明したラケット10とほぼ同じである。また、第4実施形態の補助部20Cは、増厚部22を有しておらず、凸部25のみを有している点以外は、第1実施形態で説明した補助部20とほぼ同じである。補助部20Cは、ラケット10Cに取り付けられる取付部品50Cによって構成される。補助部20Cの凸部25の構成は、第1実施形態で説明した凸部25の構成とほぼ同じである。
【0070】
第4実施形態のラケット10Cによれば、補助部20Cとしての凸部25を有することにより、プレイ中に使用者が無意識的に親指が後端側に移動しすぎることを抑制できる。よって、そのような前腕の筋肉にかかる負荷を低減できる。また、フォアとバックのフォームの切り替えが阻害されることを抑制できる。また、第4実施形態の取付部品50Cによれば、後付けによって、ラケット10Cに凸部25を簡易に設けることができる。その他に、第4実施形態のラケット10C、および、取付部品50Cによれば、上記の各実施形態で説明した種々の効果を奏することができる。
【0071】
5.他の実施形態:
本開示の技術は、上記の各実施形態の構成や各実施形態中で他の実施形態として説明した構成に限定されることはなく、例えば、以下のように改変することも可能である。以下に説明する他の実施形態はいずれも、上記の実施形態と同様に、本開示の技術を実施するための形態の一例として位置づけられる。
【0072】
・他の実施形態1:
上記の第1実施形態、第3実施形態、および、第4実施形態において、補助部20,20B,20Cは、後付の取付部品によって構成される代わりに、ラケット基板18の一部として構成されてもよい。つまり、補助部20,20B,20Cは、ラケット基板18が作製される際に、ラケット基板18の一部として一体的に作製されてもよい。
【0073】
・他の実施形態2:
上記の第1実施形態、第2実施形態、および、第3実施形態において、増厚部22と凸部25とは互いに分離した別々の取付部品によって構成されてもよい。また、上記の第2実施形態において、把持部構成部52は、補助部20を構成する取付部品から分離した別の部品として作製されてもよい。上記の第2実施形態において、把持部構成部52は、例えば、先端側の半分のみで構成されるなど、一部が省略された構成を有していてもよい。
【0074】
・他の実施形態3:
上記の第1実施形態、第2実施形態、および、第3実施形態において、第1面増厚部22aと第2面増厚部22bのうちの少なくとも一方が省略されてもよい。また、上記の第1実施形態、第2実施形態、および、第3実施形態において、増厚部22は、右利きの使用者にも左利きの使用者にも対応できるように、把持部15の先端部16の両隣に形成されていてもよい。
【0075】
・他の実施形態4:
上記の第3実施形態、および、第4実施形態において、取付部品50Ba,50Bb,50Cは、第2実施形態の取付部品50Aaと同様に、凸部25と把持部15の一部とが一体化された構成を有していてもよい。また、上記第4実施形態において、ラケット10Cの第2面12b側に、第2面増厚部22bが設けられてもよい。
【符号の説明】
【0076】
10,10B,10C…卓球用ラケット、12…本体板部、12a…第1面、12b…第2面、13…ラバー領域、14…延出領域、15…把持部、16…先端部、20,20B,20C…補助部、22…増厚部、22a…第1面増厚部、22b…第2面増厚部、23…段差、25…凸部、26a…第1傾斜面、26b…第2傾斜面、27…峰部、18…ラケット基板、18a…第1部位、18b…第2部位、50a,50b,50Aa,50Ab,50Ba,50Bb,50C…取付部品、52…把持部構成部、CX,HX…中心軸、RB…ラバー

【要約】
【課題】シェイクハンド式の卓球用ラケットの使用者の持ち方を適切に補助できる技術を提供する。
【解決手段】シェイクハンド式の卓球用ラケットは、ラバーによって覆われるラバー領域と、前記ラバー領域より後端側に延び出ている延出領域と、を含む板面を有する平板状の本体板部と、先端部が前記延出領域に入り込んだ状態で前記本体板部に連結されている、使用者が把持する棒状の把持部と、前記延出領域における前記把持部の先端部の隣りに設けられ、前記ラバー領域よりも厚み方向に突出して、前記ラバー領域を覆う前記ラバーの端面に隣接する段差を形成する増厚部、または、前記使用者がシェイクハンド式の持ち方をしたときに前記使用者の親指が掛けられる凸部、の少なくとも一方と、を備える。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15