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特許7451008量子回路の決定方法、装置、機器及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】量子回路の決定方法、装置、機器及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06N 10/20 20220101AFI20240311BHJP
【FI】
G06N10/20
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021546756
(86)(22)【出願日】2021-01-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-23
(86)【国際出願番号】 CN2021073639
(87)【国際公開番号】W WO2022077797
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2021-08-10
(31)【優先権主張番号】202011096965.7
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517392436
【氏名又は名称】▲騰▼▲訊▼科技(深▲セン▼)有限公司
【氏名又は名称原語表記】TENCENT TECHNOLOGY (SHENZHEN) COMPANY LIMITED
【住所又は居所原語表記】35/F,Tencent Building,Kejizhongyi Road,Midwest District of Hi-tech Park,Nanshan District, Shenzhen,Guangdong 518057,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100150197
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 直樹
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 士欣
(72)【発明者】
【氏名】▲謝▼ 昌▲諭▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲勝▼誉
【審査官】金田 孝之
(56)【参考文献】
【文献】Harper R. Grimsley et al.,An adaptive variational algorithm for exact molecular simulations on a quantum computer,nature communications,nature,2019年07月08日,10, 3007,Pages 1-9,<DOI: 10.1038/s41467-019-10988-2>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 10/00-10/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子回路の決定方法であって、前記方法は、
初期の確率モデルを構築するステップであって、前記初期の確率モデルのモデルパラメータはp×c個のパラメータを含み、pは回路ユニットの最大数を示し、cは回路ユニットプール中の回路ユニットの総数を示し、前記初期の確率モデルに含まれるp行×c列の行列式の要素は、ターゲット量子回路に含まれる充填対象の位置に、前記回路ユニットプール中に含まれる回路ユニットの確率を充填することを表す、ステップ(201)と、
前記初期の確率モデルを用いた初期のサンプリング方式に従い、初期の回路ユニットプールをK回サンプリングすることによってK個のグループの回路ユニットを選択し、K個の候補量子回路を構成するステップであって、各グループの回路ユニットは、少なくとも1つの回路ユニットを含み、1つの候補量子回路を構成することに用いられ、Kは正の整数である、ステップ(101)と、
前記K個の候補量子回路に対応する性能評価指標を決定するステップであって、前記モデルパラメータに基づく正規項を含めたターゲット関数の演算結果である性能評価指標を決定するステップ(102)と、
前記性能評価指標に基づいて前記サンプリング方式及び前記回路ユニットプール中の回路ユニットを更新して、更新後のサンプリング方式及び更新後の回路ユニットプールを得るステップ(103)と、
前記更新後のサンプリング方式に従い、前記更新後の回路ユニットプールをK回サンプリングすることによってK個のグループの回路ユニットを選択して、K個の候補量子回路を構成するステップ(104)と、
前記ステップ(102)、前記ステップ(103)、前記ステップ(104)をサイクル停止条件が満たされるまでサイクルして実行するステップと、
前記サイクル停止条件が満たされた場合、最後の1回に生成した前記K個の候補量子回路の中に占める同じ該候補量子回路の割合に基づいてターゲット量子回路を決定するステップと
含み、
前記正規項を含めたターゲット関数は、
【数1】
によって表され、p(K =K)はi個目の候補充填位置に第k個の回路ユニットを充填する確率であり、λは該正規項の重みであり、qは回路ユニット中の2ビット量子ゲートの数を表す
量子回路の決定方法。
【請求項2】
前記ステップ(101)は、
前記初期の確率モデルに基づいて、前記初期の回路ユニットプールに対してK回のサンプリングを行い、サンプリングするたびに1グループの回路ユニットを取得して、前記K個のグループの回路ユニットを得るステップ、および、
前記K個のグループの回路ユニットに基づいて、前記K個の候補量子回路を構成するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ(103)は、
前記性能評価指標に基づいて、第1勾配情報及び第2勾配情報を計算するステップであって、前記第1勾配情報は前記モデルパラメータの勾配情報であり、前記第2勾配情報は前記回路ユニットプール中の回路ユニットの回路パラメータの勾配情報である、ステップ(205)、
前記第1勾配情報に基づいて前記モデルパラメータを更新して、更新後の確率モデルを得るステップ(206)、および、
前記第2勾配情報に基づいて前記回路ユニットプール中の回路ユニットの回路パラメータを更新して、更新後の回路ユニットプールを得るステップ(207)を含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ(205)は、
前記ターゲット関数の前記確率モデルのモデルパラメータに対する導関数を、モンテカルロ期待値自動微分に基づいて計算して、前記第1勾配情報を得るステップ、および、
前記ターゲット関数の前記回路ユニットプール中の回路ユニットの回路パラメータに対する導関数を自動微分に基づいて計算して、前記第2勾配情報を得るステップを含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ(102)は、
前記K個の候補量子回路であるU(K,θ)の前記ターゲット関数であるL(U(K,θ))のそれぞれに対応する演算結果を以下の数式に基づいて計算して、K個の演算結果を得るステップ、
【数2】
ここで、θはターゲット関数の回路パラメータであり、αは前記モデルパラメータであり、
および、
前記K個の演算結果に基づいて、前記性能評価指標を得るステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
最後の1回に生成した前記K個の候補量子回路の中からターゲット量子回路を決定する前記ステップは、
最後の1回に生成した前記K個の候補量子回路の中から、生成確率が最も高い候補量子回路を決定するステップ、および、
前記生成確率が最も高い候補量子回路を、前記ターゲット量子回路として決定するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
K個の候補量子回路を構成する前記ステップの後、さらに、
i個目の候補量子回路中のj個目の回路ユニットに対して、前記j個目の回路ユニットの前記回路ユニットプール中での位置及び前記i個目の候補量子回路中での位置に基づき、回路パラメータプール中から前記j個目の回路ユニットの回路パラメータを取得するステップを含み、
前記回路パラメータプール中には前記回路ユニットプール中の各回路ユニットの各充填対象の位置上での回路パラメータが含まれ、iはK以下の正の整数であり、jは正の整数である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
最後の1回に生成した前記K個の候補量子回路の中からターゲット量子回路を決定する前記ステップの後、さらに、
前記ターゲット量子回路の構造を固定して、且つ前記ターゲット量子回路中に含まれる各回路ユニットの回路パラメータを調整するステップ、および、
調整停止条件が満たされた場合、パラメータが最適化調整された後の前記ターゲット量子回路を得るステップを含む請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
各グループの回路ユニット中に含まれる回路ユニットは繰り返し利用可能である請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
量子回路の決定方法であって、前記方法は、
回路ユニットプール中からN個の回路ユニットを選択するステップであって、前記回路ユニットプール中には複数の回路ユニットが含まれ、各回路ユニットは1つのユニタリ行列に対応する等価量子回路であり、Nは1より大きい整数である、ステップ、
前記N個の回路ユニットのそれぞれに対応する回路パラメータを決定するステップであって、前記回路パラメータは前記回路ユニットにより実行される操作を定義することに用いられ、且つ前記回路パラメータは更新可能である、ステップ、および、
前記N個の回路ユニット及び前記N個の回路ユニットのそれぞれに対応する回路パラメータに基づいて、量子回路を構成するステップを含み、
前記N個の回路ユニットのそれぞれに対応する回路パラメータを決定する前記ステップは、
前記N個の回路ユニット中のi個目の回路ユニットに対して、前記i個目の回路ユニットの充填対象の位置に基づき、回路パラメータプール中から前記i個目の回路ユニットの回路パラメータを取得するステップを含み、
前記回路パラメータプール中には前記回路ユニットプール中の各回路ユニットの各充填対象の位置上での回路パラメータが含まれ、iはN以下の正の整数である
量子回路の決定方法。
【請求項11】
前記N個の回路ユニット及び前記N個の回路ユニットのそれぞれに対応する回路パラメータに基づいて、量子回路を構成する前記ステップの後、さらに、
前記量子回路に対応する性能評価指標を決定するステップ、
前記性能評価指標に基づいて、ターゲット勾配情報を計算するステップであって、前記ターゲット勾配情報は前記量子回路の回路パラメータの勾配情報である、ステップ、および、
前記ターゲット勾配情報に基づいて、前記量子回路の回路パラメータを更新して、更新後の量子回路を得るステップを含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記性能評価指標はターゲット関数の演算結果であり、
前記性能評価指標に基づいて、ターゲット勾配情報を計算する前記ステップは、
前記ターゲット関数の前記量子回路の回路パラメータに対する導関数∇θL=∇θL(U(K,θ))を計算して、前記ターゲット勾配情報を得るステップであって、∇θLは前記ターゲット関数であるLの量子回路U(K,θ)の回路パラメータθに対する導関数であるステップを含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記N個の回路ユニット中に含まれる回路ユニットは繰り返し利用可能である請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
コンピュータ機器に適用される量子回路の決定方法であって、前記方法は、
初期の確率モデルを構築するステップであって、前記確率モデルのモデルパラメータはp×c個のパラメータを含み、pは回路ユニットの最大数を示し、cは回路ユニットプール中の回路ユニットの総数を示し、前記初期の確率モデルに含まれるp行×c列の行列式の要素は、ターゲット量子回路に含まれる充填対象の位置に、前記回路ユニットプール中に含まれる回路ユニットの確率を充填することを表す、ステップ(201)と、
前記初期の確率モデルを用いた初期のサンプリング方式に従い、初期の回路ユニットプールをK回サンプリングすることによってK個のグループの回路ユニットを選択し、K個の候補量子回路を構成するステップであって、各グループの回路ユニットは、少なくとも1つの回路ユニットを含み、1つの候補量子回路を構成することに用いられ、Kは正の整数である、ステップ(101)と、
前記K個の候補量子回路に対応する性能評価指標を決定するステップであって、前記モデルパラメータに基づく正規項を含めたターゲット関数の演算結果である性能評価指標を決定するステップ(102)と、
前記性能評価指標に基づいて前記サンプリング方式及び前記回路ユニットプール中の回路ユニットを更新して、更新後のサンプリング方式及び更新後の回路ユニットプールを得るステップ(103)と、
前記更新後のサンプリング方式に従い、前記更新後の回路ユニットプール中をK回サンプリングすることによってK個のグループの回路ユニットを選択して、K個の候補量子回路を構成するステップ(104)と、
前記ステップ(102)、前記ステップ(103)、前記ステップ(104)をサイクル停止条件が満たされるまでサイクルして実行するステップと、
前記サイクル停止条件が満たされた場合、最後の1回に生成した前記K個の候補量子回路の中に占める同じ該候補量子回路の割合に基づいてターゲット量子回路を決定するステップを含み、
前記正規項を含めたターゲット関数は、
【数3】
によって表され、p(K =K)はi個目の候補充填位置に第k個の回路ユニットを充填する確率であり、λは該正規項の重みであり、qは回路ユニット中の2ビット量子ゲートの数を表す
量子回路の決定方法。
【請求項15】
コンピュータ機器に適用される量子回路の決定方法であって、前記方法は、
回路ユニットプール中からN個の回路ユニットを選択するステップであって、前記回路ユニットプール中には複数の回路ユニットが含まれ、各回路ユニットは1つのユニタリ行列に対応する等価量子回路であり、Nは1より大きい整数である、ステップ、
前記N個の回路ユニットのそれぞれに対応する回路パラメータを決定するステップであって、前記回路パラメータは前記回路ユニットにより実行される操作を定義することに用いられ、且つ前記回路パラメータは更新可能である、ステップ、および、
前記N個の回路ユニット及び前記N個の回路ユニットのそれぞれに対応する回路パラメータに基づいて、量子回路を構成するステップを含み、
前記N個の回路ユニットのそれぞれに対応する回路パラメータを決定する前記ステップは、
前記N個の回路ユニット中のi個目の回路ユニットに対して、前記i個目の回路ユニットの充填対象の位置に基づき、回路パラメータプール中から前記i個目の回路ユニットの回路パラメータを取得するステップを含み、
前記回路パラメータプール中には前記回路ユニットプール中の各回路ユニットの各充填対象の位置上での回路パラメータが含まれ、iはN以下の正の整数である
量子回路の決定方法。
【請求項16】
量子回路の決定装置であって、前記装置は、回路サンプリングモジュール、回路評価モジュール、パラメータ更新モジュール、及び回路決定モジュールを含み、
前記回路サンプリングモジュールは、初期の確率モデルを構築するステップであって、前記確率モデルのモデルパラメータはp×c個のパラメータを含み、pは回路ユニットの最大数を示し、cは回路ユニットプール中の回路ユニットの総数を示し、前記初期の確率モデルに含まれるp行×c列の行列式の要素は、ターゲット量子回路に含まれる充填対象の位置に、前記回路ユニットプール中に含まれる回路ユニットの確率を充填することを表す、ステップ(201)を実行することと、前記初期の確率モデルを用いた初期のサンプリング方式に従い、初期の回路ユニットプールをK回サンプリングすることによってK個のグループの回路ユニットを選択し、K個の候補量子回路を構成するステップ(101)を実行することとに用いられ、各グループの回路ユニットは、少なくとも1つの回路ユニットを含み、1つの候補量子回路を構成することに用いられ、Kは正の整数であり、
前記回路評価モジュールは、前記K個の候補量子回路に対応する性能評価指標を決定するステップであって、前記モデルパラメータに基づく正規項を含めたターゲット関数の演算結果である性能評価指標を決定するステップ(102)を実行することに用いられ、
前記パラメータ更新モジュールは、前記性能評価指標に基づいて前記サンプリング方式及び前記回路ユニットプール中の回路ユニットを更新して、更新後のサンプリング方式及び更新後の回路ユニットプールを得るステップ(103)を実行することに用いられ、
前記回路サンプリングモジュールは、さらに、前記更新後のサンプリング方式に従い、前記更新後の回路ユニットプールをK回サンプリングすることによってK個のグループの回路ユニットを選択して、K個の候補量子回路を構成するステップ(104)を実行することに用いられ、
前記回路評価モジュールが前記ステップ(102)を実行し、
次いで前記パラメータ更新モジュールが前記ステップ(103)を実行し、
次いで前記回路サンプリングモジュールが前記ステップ(104)を実行する
サイクルを、前記回路評価モジュール、前記パラメータ更新モジュール及び前記回路サンプリングモジュールが、サイクル停止条件が満たされるまでサイクルして実行し、
前記回路決定モジュールは、前記サイクル停止条件が満たされた場合、最後の1回に生成した前記K個の候補量子回路の中に占める同じ該候補量子回路の割合に基づいてターゲット量子回路を決定することに用いられ、
前記正規項を含めたターゲット関数は、
【数4】
によって表され、p(K =K)はi個目の候補充填位置に第k個の回路ユニットを充填する確率であり、λは該正規項の重みであり、qは回路ユニット中の2ビット量子ゲートの数を表す
量子回路の決定装置。
【請求項17】
量子回路の決定装置であって、前記装置は、回路ユニット選択モジュール、回路パラメータ決定モジュール、及び量子回路構成モジュールを含み、
前記回路ユニット選択モジュールは、回路ユニットプール中からN個の回路ユニットを選択することに用いられ、前記回路ユニットプール中には複数の回路ユニットが含まれ、各回路ユニットは1つのユニタリ行列に対応する等価量子回路であり、Nは1より大きい整数であり、
前記回路パラメータ決定モジュールは、前記N個の回路ユニットのそれぞれに対応する回路パラメータを決定することに用いられ、前記回路パラメータは前記回路ユニットにより実行される操作を定義することに用いられ、且つ前記回路パラメータは更新可能であり、
前記量子回路構成モジュールは、前記N個の回路ユニット及び前記N個の回路ユニットのそれぞれに対応する回路パラメータに基づいて、量子回路を構成することに用いられ、
前記回路パラメータ決定モジュールは、前記N個の回路ユニット中のi個目の回路ユニットに対して、前記i個目の回路ユニットの充填対象の位置に基づき、回路パラメータプール中から前記i個目の回路ユニットの回路パラメータを取得することに用いられ、
前記回路パラメータプール中には前記回路ユニットプール中の各回路ユニットの各充填対象の位置上での回路パラメータが含まれ、iはN以下の正の整数である
量子回路の決定装置。
【請求項18】
コンピュータ機器であって、前記コンピュータ機器は、プロセッサと、メモリとを含み、前記メモリ中には少なくとも1つの命令、少なくとも1つのプログラム、コードセット又は命令セットが記憶されており、前記少なくとも1つの命令、前記少なくとも1つのプログラム、前記コードセット又は命令セットは前記プロセッサがロードし、実行することにより請求項1~13のいずれか1項に記載の量子回路の決定方法を実施するコンピュータ機器。
【請求項19】
コンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラム中には、少なくとも1つの命令、少なくとも1つのプログラム、コードセット又は命令セットが記憶されており、前記少なくとも1つの命令、前記少なくとも1つのプログラム、前記コードセット又は命令セットはプロセッサがロードし、実行することにより請求項1~13のいずれか1項に記載の量子回路の決定方法を実施するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例は量子の技術分野に関し、特に量子回路の決定方法、装置、機器及び記憶媒体に関する。
【0002】
本願は2020年10月14日に提出された出願番号が第202011096965.7号、発明の名称が「量子回路の決定方法及び装置」である中国特許出願の優先権を主張しており、その全部の内容は引用により本願に組み込まれている。
本願
【背景技術】
【0003】
量子回路は量子汎用コンピュータの1つの表現であり、相応な量子アルゴリズム/プログラムの量子ゲートモデル下のハードウェア実現を表す。
【0004】
異なる量子コンピューティングタスクに対して、異なる量子回路を構築することで相応なタスクを完了する必要がある。現在既存の量子回路を構築する技術的解決手段は、複雑で効率が低く且つ汎用性が悪いという問題が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本願の実施例は量子回路の決定方法、装置、機器及び記憶媒体を提供している。前記技術的解決手段は以下のとおりである。
【0006】
本願の実施例の一態様によれば、量子回路の決定方法を提供しており、前記方法は、
初期のサンプリング方式に従い、初期の回路ユニットプール中からK個のグループの回路ユニットをサンプリングして、K個の候補量子回路を構成するステップであって、各グループの回路ユニットは、少なくとも1つの回路ユニットを含み、1つの候補量子回路を構成することに用いられ、Kは正の整数である、ステップ、
前記K個の候補量子回路に対応する性能評価指標を決定するステップ、
前記性能評価指標に基づいて前記サンプリング方式及び前記回路ユニットプール中の回路ユニットを更新して、更新後のサンプリング方式及び更新後の回路ユニットプールを得るステップ、
前記更新後のサンプリング方式に従い、前記更新後の回路ユニットプール中からK個のグループの回路ユニットをサンプリングして、K個の候補量子回路を構成するステップ、および、
サイクル停止条件が満たされた場合、最後の1回に生成した前記K個の候補量子回路の中からターゲット量子回路を決定するステップを含む。
【0007】
本願の実施例の一態様によれば、量子回路の決定方法を提供しており、前記方法は、
回路ユニットプール中からN個の回路ユニットを選択するステップであって、前記回路ユニットプール中には複数の回路ユニットが含まれ、各回路ユニットは1つのユニタリ行列に対応する等価量子回路であり、Nは1より大きい整数である、ステップ、
前記N個の回路ユニットのそれぞれに対応する回路パラメータを決定するステップであって、前記回路パラメータは前記回路ユニットにより実行される操作を定義することに用いられ、且つ前記回路パラメータは更新可能である、ステップ、および、
前記N個の回路ユニット及び前記N個の回路ユニットのそれぞれに対応する回路パラメータに基づいて、量子回路を構成するステップを含む。
【0008】
本願の実施例の一態様によれば、量子回路の決定装置を提供しており、前記装置は、回路サンプリングモジュール、回路評価モジュール、パラメータ更新モジュール、及び回路決定モジュールを含み、
前記回路サンプリングモジュールは、初期のサンプリング方式に従い、初期の回路ユニットプール中からK個のグループの回路ユニットをサンプリングして、K個の候補量子回路を構成することに用いられ、各グループの回路ユニットは、少なくとも1つの回路ユニットを含み、1つの候補量子回路を構成することに用いられ、Kは正の整数であり、
前記回路評価モジュールは、前記K個の候補量子回路に対応する性能評価指標を決定することに用いられ、
前記パラメータ更新モジュールは、前記性能評価指標に基づいて前記サンプリング方式及び前記回路ユニットプール中の回路ユニットを更新して、更新後のサンプリング方式及び更新後の回路ユニットプールを得ることに用いられ、
前記回路サンプリングモジュールは、さらに、前記更新後のサンプリング方式に従い、前記更新後の回路ユニットプール中からK個のグループの回路ユニットをサンプリングして、K個の候補量子回路を構成することに用いられ、
前記回路決定モジュールは、サイクル停止条件が満たされた場合、最後の1回に生成した前記K個の候補量子回路の中からターゲット量子回路を決定することに用いられる。
【0009】
本願の実施例の一態様によれば、量子回路の決定装置を提供しており、前記装置は、回路ユニット選択モジュール、回路パラメータ決定モジュール、及び量子回路構成モジュールを含み、
前記回路ユニット選択モジュールは、回路ユニットプール中からN個の回路ユニットを選択することに用いられ、前記回路ユニットプール中には複数の回路ユニットが含まれ、各回路ユニットは1つのユニタリ行列に対応する等価量子回路であり、Nは1より大きい整数であり、
前記回路パラメータ決定モジュールは、前記N個の回路ユニットのそれぞれに対応する回路パラメータを決定することに用いられ、前記回路パラメータは前記回路ユニットにより実行される操作を定義することに用いられ、且つ前記回路パラメータは更新可能であり、
前記量子回路構成モジュールは、前記N個の回路ユニット及び前記N個の回路ユニットのそれぞれに対応する回路パラメータに基づいて、量子回路を構成することに用いられる。
【0010】
本願の実施例の一態様によれば、コンピュータ機器を提供しており、前記コンピュータ機器は、プロセッサと、メモリとを含み、前記メモリ中には少なくとも1つの命令、少なくとも1つのプログラム、コードセット又は命令セットが記憶されており、前記少なくとも1つの命令、前記少なくとも1つのプログラム、前記コードセット又は命令セットは前記プロセッサがロードし、実行することにより上記量子回路の決定方法を実現する。
【0011】
本願の実施例の一態様によれば、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供しており、前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体中には少なくとも1つの命令、少なくとも1つのプログラム、コードセット又は命令セットが記憶されており、前記少なくとも1つの命令、前記少なくとも1つのプログラム、前記コードセット又は命令セットはプロセッサがロードし、実行することにより上記量子回路の決定方法を実現することを特徴とする。
【0012】
本願の実施例の一態様によれば、コンピュータプログラム製品又はコンピュータプログラムを提供しており、該コンピュータプログラム製品又はコンピュータプログラムは、コンピュータ命令を含み、該コンピュータ命令はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体中に記憶されている。コンピュータ機器のプロセッサはコンピュータ読み取り可能な記憶媒体から該コンピュータ命令を読み取り、プロセッサは該コンピュータ命令を実行することにより、該コンピュータ機器に上記量子回路の決定方法を実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本願の実施例が提供する技術的解決手段は以下の有益な効果を含むことができる。
【0014】
異なるタイプの量子回路の設計問題に対して、いずれも本願の技術的解決手段を採用して相応な問題を解決することに用いられる1つのターゲット量子回路を構築することができ、それにより、異なるタイプの量子回路の設計問題を高度に抽象化されて統合され、該解決手段は非常に高い普遍性及び汎用性を有する。
【0015】
また、遺伝的アルゴリズム自体に存在する、計算による消費量が大きく、収束が遅いという欠陥に比べて、本願の技術的解決手段はサンプリングして得られた候補量子回路に対応する性能評価指標を決定して、次に該性能評価指標に基づいてサンプリング方式及び回路ユニットプール中の回路ユニットを同期に更新するだけが必要であり、それにより、性能に比較的優れた候補量子回路を迅速に構成でき、これは計算量を減少させるだけでなく、且つ最終的にターゲット量子回路を決定する効率も向上させる。
【0016】
本願の実施例における技術的手段をより明確に説明するために、以下、実施例の記述において使用される必要がある図面を簡単に紹介する。明らかなように、以下の記述における図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な努力をしない前提下で、これらの図面に基づいて他の図面を獲得することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本願の一実施例が提供する量子回路の決定方法のフローチャートである。
図2】本願の他の実施例が提供する量子回路の決定方法のフローチャートである。
図3】本願の一実施例が提供する可微分量子構造探索アーキテクチャの模式図である。
図4】本願の他の実施例が提供する量子回路の決定方法のフローチャートである。
図5】本願の他の実施例が提供する量子回路の決定方法のフローチャートである。
図6】本願が提供する可微分量子構造探索アーキテクチャを採用して構築したいくつかの量子回路の模式図を例示的に示している。
図7】本願が提供する可微分量子構造探索アーキテクチャを採用して構築したいくつかの量子回路の模式図を例示的に示している。
図8】本願が提供する可微分量子構造探索アーキテクチャを採用して構築したいくつかの量子回路の模式図を例示的に示している。
図9】本願が提供する可微分量子構造探索アーキテクチャを採用して構築したいくつかの量子回路の模式図を例示的に示している。
図10】本願が提供する可微分量子構造探索アーキテクチャを採用して構築したいくつかの量子回路の模式図を例示的に示している。
図11】本願が提供する可微分量子構造探索アーキテクチャを採用して構築したいくつかの量子回路の模式図を例示的に示している。
図12】本願が提供する可微分量子構造探索アーキテクチャを採用して構築したいくつかの量子回路の模式図を例示的に示している。
図13】本願の一実施例が提供する量子回路構造の決定装置のブロック図である。
図14】本願の他の実施例が提供する量子回路構造の決定装置のブロック図である。
図15】本願の他の実施例が提供する量子回路構造の決定装置のブロック図である。
図16】本願の他の実施例が提供する量子回路構造の決定装置のブロック図である。
図17】本願の一実施例が提供するコンピュータ機器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本願の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、図面に関連付けて本願の実施形態をさらに詳細に記述する。
【0019】
クラウド技術(cloud technology)とは、広域エリアネットワーク又はローカルエリアネットワーク内にハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク等の一連のリソースを統合して、データの計算、
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、処理及び
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を実現するホスティング技術である。
【0020】
クラウド技術は、クラウドコンピューティングのビジネスモデルの応用に基づくネットワーク技術、情報技術、統合技術、管理プラットフォーム技術、応用技術等の総称であり、リソースプールを形成し、必要に応じて使用することができ、柔軟で便利である。クラウドコンピューティング技術は重要なサポートになる。技術ネットワークシステムのバックグラウンドサービスは大量の計算、記憶リソースを必要として、例えば、ビデオウェブサイト、画像ウェブサイト及びより多くのポータルサイトである。インターネット産業の急速な発展及び応用に伴って、将来、各品物はいずれも自分の識別記号がある可能性があり、いずれもバックグラウンドシステムに伝送されて論理処理を行われる必要があり、異なる程度レベルのデータが別々に処理され、様々な業界のデータはすべて強力なシステムによりサポートされる必要があり、クラウドコンピューティングにより実現可能である。
【0021】
クラウド技術は、クラウドコンピューティング、クラウドストレージ、データベース及びビッグデータ等の基本的な技術に関し、クラウド技術に基づいて提供するクラウドアプリケーションは医療クラウド、クラウド・オブ・シングス、クラウドセキュリティ、クラウド通話、プライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウド、クラウドゲーム、クラウド教育、クラウド会議、クラウドソーシャル、人工知能クラウドサービス等を含む。クラウド技術の発展及びクラウド技術の異なる分野での応用に伴って、ますます多くのクラウドアプリケーションが現れる。
【0022】
一般的に言えば、クラウド技術に基づいて構築するシステムは、サーバと、端末とを含む。サーバは独立した物理サーバであってもよく、複数の物理サーバで構成されるサーバクラスタ又は分散システムであってもよく、さらに、クラウドサービス、クラウドデータベース、クラウドコンピューティング、クラウド関数、クラウドストレージ、ネットワークサービス、クラウド通信、ミドルウェアサービス、ドメイン名サービス、セキュリティサービス、CDN(Content Delivery Network、コンテンツデリバリネットワーク)、並びにビッグデータ及び人工インテリジェントプラットフォーム等の基本的なクラウドコンピューティングサービスを提供するクラウドサーバであってもよい。端末はスマートフォン、タブレットコンピュータ、ノートコンピュータ、デスクトップパソコン、スマートスピーカー、スマートウォッチ等であってもよいが、これに制限されない。端末とサーバとの間は有線又は無線通信方式で直接又は間接的に接続することができ、本願はここで制限しない。
【0023】
量子コンピュータ(quantum computer)は、量子力学の原理を利用して計算する1つの機械である。量子力学の重ね合わせ原理及び量子もつれに基づいて、量子コンピュータは比較的高い並列処理能力を有し、古典的なコンピュータで計算しにくいいくつかの問題を解決できる。超伝導量子ビットのゼロ抵抗特性及び集積回路に近い製造プロセスにより、超伝導量子ビットを利用して構築した量子コンピューティングシステムは現在、実用的な量子コンピューティングを実現するために最も有望なシステムの1つとなっている。
【0024】
量子プロセッサとは、量子レベルのコンピュータプロセッサであり、すなわち、量子コンピュータのプロセッサである。量子プロセッサは1つ又は複数の量子チップを含んでもよい。
【0025】
量子チップ(又は超伝導量子チップと呼ばれる)とは、量子コンピュータの中央プロセッサであり、量子コンピュータのコアコンポーネントである。量子チップは、量子回路を基板上に集積することで、量子情報処理の機能を果たす。伝統的なコンピュータの開発史に鑑み、量子コンピュータ研究のボトルネック技術を克服した後、商業化と産業の高度化を実現しようとすると、集積化の道路へ進む必要がある。超伝導システム、半導体量子ドットシステム、マイクロナノフォトニクスシステム、ひいては原子システムやイオンシステムはいずれもチップ化の道路へ進もうとする。発展から見ると、超伝導量子チップシステムは技術的には他の物理システムよりも進んでおり、伝統的な半導体量子ドットシステムも、人々が工夫して探求する目的であり、なぜなら、伝統的な半導体産業の発展はすでに非常に成熟しているためであり、例えば、半導体量子チップがデコヒーレンス時間及び操作精度上に耐障害性量子コンピューティングの閾値を破ると、伝統的な半導体工業の既存の結果を集積して、開発コストを節約することが期待できる。
【0026】
量子コンピュータの優位性に鑑み、未来、クラウド技術に基づいて構築したシステム中に量子コンピュータを使用していくつかの処理及び計算を行うことにより、より良好なサービスを提供できる。
【0027】
本願の技術的解決手段を紹介する前に、まず、本願に係るいくつかの重要な用語を解釈して説明する。
【0028】
1:量子コンピューティング:量子論理の計算方式に基づいて、データを記憶するための基本ユニットが量子ビット(qubit)である。
【0029】
2:量子ビット:量子コンピューティングの基本ユニットである。伝統的なコンピュータでは、0及び1を二進数の基本ユニットとして使用している。異なる点は、量子コンピューティングでは、0及び1を同時に処理でき、システムは0及び1の線形重ね合わせ状態にある可能性があり、すなわち、|Ψ>=α|0+β|0>である。ここで、α、βは、システムの0及び1での複素確率振幅を表す。それらのモッドスクエア|α|、|β|は、それぞれ0及び1にある確率を表す。
【0030】
3:量子回路:量子汎用コンピュータの1つの表現であり、相応な量子アルゴリズム/プログラムの量子ゲートモデル下のハードウェア実現を表す。
【0031】
4:ハミルトニアン:量子システムの全エネルギーを記述する1つのエルミート共役行列である。ハミルトニアンは1つの物理的な用語であり、システムの全エネルギーを記述する1つの演算子であり、通常、Hで表される。
【0032】
5:固有状態:1つのハミルトニアン行列Hに対して、方程式H|Ψ>=E|Ψ>を満たす解はHの固有状態|Ψ>と呼ばれ、固有エネルギーEを有する。基底状態は量子システムのエネルギーが最も低い固有状態に対応する。
【0033】
6:ニューラルネットワークアーキテクチャ探索(Neural Architecture Search、NASと略称):自動機械学習(Auto Machine Learning、AutoMLと略称)中の重要な分野であり、それは強化学習、遺伝的アルゴリズム及び可微分構造探索等の複数の異なる基礎となる技術的解決手段を利用することにより、コンピュータが自動的に探索して性能に優れたニューラルネットワークトポロジー及び構造を構築するという目的を実現する。
【0034】
7:量子アーキテクチャ探索(Quantum Architecture Search、QASと略称):量子回路の構造、モード及び配置を自動的でプログラム的に探索しようとする一連の作業及び解決手段の総称である。伝統的には、量子アーキテクチャ探索の作業は、通常、貪欲アルゴリズム、強化学習又は遺伝的アルゴリズムをそのコア技術として採用する。
【0035】
8:量子古典ハイブリッドコンピューティング:内層では量子回路を利用して計算し、外層では伝統的な古典的なオプティマイザで変分量子回路のパラメータを調節する計算パラダイムであり、量子コンピューティングの優位性を最大限に発揮でき、量子優位性を証明できる可能性がある重要な方向の1つであると考えられる。
【0036】
9:量子近似最適化アルゴリズム(Quantum Approximate Optimization Algorithm、QAOAと略称):1つの特定の量子回路構造仮説であり、このような量子回路によって生成される量子状態はNP(Non-deterministic Polynomial、非決定論的多項式)の完全な組み合わせ数学的最適化問題の結果を近似することに使用でき、典型的な量子古典ハイブリッドコンピューティングパラダイムに属する。このような特定の量子回路の定義は以下の(式1)のとおりである。
【0037】
【数1】
【0038】
そのうち、H、Hはそれぞれmixer及びphaseのハミルトニアンであり、γ、βは変分パラメータである。一般的には、Hは我々が最適化しようとするターゲット関数と同じである。|Ψ>は製造されやすい初期波動関数であり、通常、直積状態(式2)であり、一方、|Ψ>はターゲット状態の波動関数である。PはQAOAにより仮定された配列層の数を表し、Pは大きいほど、断熱近似により近くなり、ターゲット波動関数が理論結果により近くなり、近似効果がより高くなる。
【0039】
【数2】
【0040】
10:最大カット(max cut)問題:1つの、典型的で複雑さがNPの完全グラフ理論組み合わせ最適化問題であり、QAOAアルゴリズムが解決に使用した最も初期の問題でもある。MAX CUTとは、ノード及びエッジ接続を指定したグラフについて、ノードの二分法を見つけることにより、2種類のノードにまたがるエッジ数(又はエッジ重み)の和を最大化にすることを指す。
【0041】
11:NISQ(Noisy Intermediate-Scale Quantum):最近ノイズあり中規模量子ハードウェアであって、量子コンピューティング発展の現在の段階及び研究の重要な方向である。この段階では、量子コンピューティングは今のところ規模及びノイズの制限により、汎用コンピューティングのエンジンとして応用できないが、いくつかの問題において、最も強力な古典的なコンピュータを超える結果を既に実現でき、これは、通常、量子超越性又は量子優位性と呼ばれる。
【0042】
12:量子誤り抑制(Quantum Error Mitigation):量子誤り訂正(Quantum Error Correction)に対応し、NISQ時代でハードウェア下でのリソースコストがより小さい一連の量子誤り低減及びノイズ抑制の解決手段である。完全な量子誤り訂正と比較して必要なリソースは著しく削減し、同時に特定のタスクのみに適用できるが、汎用的な解決手段ではない可能性がある。
【0043】
13:変分-量子-固有値ソルバー(Variational-Quantum-Eigensolver、VQEと略称):変分回路により特定の量子システムの基底状態エネルギーの推定を実現し、典型的な量子古典ハイブリッドコンピューティングパラダイムでもあり、量子化学分野に幅広く応用されている。
【0044】
現在、量子回路を構築する1つの比較的一般的な解決手段は遺伝的アルゴリズムを採用することである。その基本的な手法は、量子回路の一部の回路の構造を固定した後、遺伝的アルゴリズムを採用して次の部分の最適な回路構造を見つけ、上記過程を複数回繰り返すことにより、最終的に完全な量子回路を構成することである。しかし、遺伝的アルゴリズム自体に計算量が大きく、効率が低いという問題が存在するため、量子回路の構築は非常に複雑で効率が低いことを引き起こす。且つ、解決手段の汎用性が比較的悪く、例えば、異なる量子コンピューティングタスクに対して異なる遺伝的アルゴリズムのバリアントを選択する必要がある。
【0045】
本願は量子回路を構築することに用いられる技術的解決手段を提供しており、該技術的解決手段は可微分量子アーキテクチャ探索(Differentiable Quantum Architecture Search、DQASと略称)解決手段(又は可微分量子構造探索アーキテクチャ)と呼ばれることができる。本願が提案した可微分量子構造探索アーキテクチャ下で、異なるタイプの量子回路の設計問題が高度に抽象化されて統合され、それにより、該アーキテクチャは非常に高い普遍性を有し、修正することを必要とせずに複数のサブ分野の重要な問題を解決できる。例えば、該アーキテクチャを採用して構築した量子回路は、量子コンピューティング及び量子情報処理の複数のサブ分野に用いることができ、量子状態の製造、量子回路の設計、量子コンパイル、最適な変分構造探索、及び量子誤り抑制等を含むが、それらに限定されない。該アーキテクチャを採用すると最適な量子回路構造及び回路パラメータを自動的に設計して見つけることができ、それにより多目的、全自動、エンドツーエンドの量子回路の自動設計を実現できる。
【0046】
以下、先ず、本願の技術的解決手段を概略的に説明する。
【0047】
任意の量子回路はいずれも一連のユニタリ行列を積み重ねてなるものとみなされてもよく、すなわち以下の(式3)のとおりである。
【0048】
【数3】
【0049】
そのうち、Uは量子回路を表し、Uは該量子回路Uを構成するi個目のユニタリ行列に対応する等価量子回路を表し、θは該i個目のユニタリ行列に対応する等価量子回路の回路パラメータを表し、例えば、θはゼロから若干の回路パラメータを含んでもよく、i∈[0,p]であり、且つiが整数である。量子回路の回路パラメータは変分パラメータであり、いわゆる変分パラメータとは、量子回路の回路パラメータが更新可能であり(すなわち調整・修正可能である)、それによりオプティマイザで量子回路の回路パラメータを更新でき、それによりターゲット関数を最適化するという目的を達成することを指す。任意の量子回路を一連のユニタリ行列を積み重ねてなるものとみなすことにより、我々の探索解決手段は量子古典ハイブリッドコンピューティングパラダイムの仮想回路探索に制限されず、回路パラメータを含む又はパラメータを含まないより幅広い問題に適用できる。つまり、我々は、同様にこの解決手段で完全に離散した量子ゲート配置の最適な量子回路設計を見つけることができ、回路自体の変分パラメータの存在の有無にかかわらず該解決手段は互換性がある。
【0050】
上記の式で記述した量子回路Uを製造するために、具体的な問題に対してコード化解決手段、すなわち、各プレースホルダーUが一体、何を表すかを設定する必要があり、それは1つの単一ビットゲートであってもよく、1層の量子ゲートであってもよく、又は1つのハミルトニアンの時間依存進化eiHθであってもよい。本願の実施例では、1つの回路ユニットプールを構築して、該回路ユニットプール中には選択可能な複数の回路ユニットが含まれ、各回路ユニットが1つのユニタリ行列回路、すなわち、1つのユニタリ行列の等価量子回路とみなすことができる。任意選択的に、量子コンピューティングタスク中に関する可能性があるいくつかの基本的な操作については、各種の基本的な操作に対して対応する1つの回路ユニットを設計する。例えば、1つの回路ユニットは1つのシングルビット量子ゲートであってもよく、1層の量子ゲートであってもよく、又は1つのハミルトニアンの時間依存進化等であってもよく、本願の実施例はこれについて限定しない。各プレースホルダーUに対して、回路ユニットプール中から1つの回路ユニットを選定して充填し、この選定には重複があり、それにより、各回路ユニットが最終的に構築した量子回路中で再利用できることを確保する。
【0051】
各具体的な量子回路設計タスクに対して、相応しいターゲット関数を指定する必要がある。最も一般的な量子古典ハイブリッドコンピューティングでは、このような最適化問題のパラダイムは、一連の観察値Hの期待値を採用して最適化ターゲットとする。いわゆる観察値(観測量とも呼ばれる)とは、測定により古典的な出力が得られ得るエルミート行列演算子を指す。すなわち、ターゲット関数Lは以下の(式4)のとおりである。
【0052】
【数4】
【0053】
そのうち、Uは我々が探索して構築しようとする量子回路であり、Uは対応する回路行列の転置共役である。より複雑なニーズに対して、最適化ターゲット関数は観察値Hiにより期待されるいくつかの関数であってもよく、このように最適化ターゲットは出力量子状態の期待値及び具体的な分布状況を同時に考慮できる。このとき、より汎用性のターゲット関数Lは以下の(式5)のように表され得る。
【0054】
【数5】
【0055】
そのうち、fi、giは特定タスクに適用できる任意の可微分関数であり、最終的なターゲット関数Lが観察値結果のある変換であることを表す。
【0056】
さらに一般的に、量子機械学習等の他のタスクに対して、ターゲット関数Lは伝統的な教師付き学習と類似する以下の(式6)の形式として定義されてもよい。
【0057】
【数6】
【0058】
そのうち、fi、giは特定タスクに適用できる任意の可微分関数であり、|Ψ>は相応な量子波動関数の入力データセットであり、yはデータセットの相応な量子状態に対応する古典的なラベルであり、通常、0又は1である。
【0059】
汎用ユニタリ行列学習タスクに対して、相応なターゲット関数Lは以下の(式7)のとおりである。
【0060】
【数7】
【0061】
そのうち、φi、Ψiはそれぞれ回路の入力状態及び出力状態に対応する。iは1つだけあり且つ|Ψ>=|0>の特別なケースであれば、量子状態の製造タスクに対応する。このときのターゲット関数が特徴付けるのは入力した簡単な行列積状態|0>が回路Uにより作用された後の出力量子状態及び製造目標状態|φ>の忠実度である。該ターゲット関数を最適化することにより、我々が対応する量子状態を製造する回路を見つけることができる。
【0062】
要するに、計算過程全体は自動微分をサポートするため、この自動微分の特性により可微分量子構造探索アーキテクチャが任意の形式のエンドツーエンド最適化ターゲット関数に対しても効果的にサポートする。回路パラメータ全体の最適化調整に必要な勾配は、すべて最終的なターゲット関数の変化から逆伝播してくることができ、この過程はターゲット関数により定義されたコンポーネントが自動微分可能であるものであればよく、一方、性質に優れた任意の関数はほぼ該要件を満たす。
【0063】
量子回路構造を制御するパラメータを連続領域に嵌め込むために、本願では、量子回路を構成する回路ユニットの選択過程を1つの確率モデルに制御されるものとみなす。この確率モデルpは十分に普遍的なエネルギーモデル又は自己回帰(autoregressive)ネットワークであってもよい。インスタンスでは、最も簡単なレイヤーごとの離散分布を選択して、回路ユニットプール中から回路ユニットを選定して量子回路構造を行う過程を説明することができる。この確率モデルは連続的なパラメータαを有し、それにより該確率モデルp(k,α)中から離散整数の構造パラメータkをサンプリングすることができ、それは対応する量子回路の構造を決める。
【0064】
最後に、エンドツーエンドの最適化ターゲット(式8)は以下の(式9)のとおりである。
【0065】
【数8】
【0066】
【数9】
【0067】
そのうち、p(k,α)は確率モデルを表し、U(K,θ)は構造パラメータkに基づいて構成した候補量子回路を表し、構造パラメータkは若干の離散値を含んでもよく、今回でサンプリングにより取得した回路ユニットを表すことに用いられ、L(U(K,θ))は候補量子回路U(K,θ)に対応するターゲット関数を表す。
【0068】
本願の方法の実施例を紹介して説明する前に、まず、該方法の運行環境を紹介して説明する。本願の実施例が提供する量子回路構造の決定方法は、古典的なコンピュータ(例えば、PC(Personal Computer、パーソナルコンピュータ))により実行・実現されてもよく、例えば、古典的なコンピュータは相応なコンピュータプログラムを実行することで該方法を実現し、古典的なコンピュータと量子コンピュータの混合機器の環境下で実行されてもよく、例えば、古典的なコンピュータによって回路サンプリング、パラメータ更新及び回路選択等のステップを実行し、一方、量子コンピュータによって候補量子回路の対応する性能評価指標(例えばターゲット関数)の決定等のステップを実行し、量子回路を量子コンピュータ上に直接配備して実行する場合、古典的なコンピュータ上に上記量子回路をシミュレートする場合に比較して、相応な性能評定結果は理論的により優れているためである。
【0069】
以下の方法の実施例において、説明の便宜上、各ステップの実行エンティティがコンピュータ機器であることのみを紹介して説明する。理解すべきものとして、該コンピュータ機器は古典的なコンピュータであってもよく、古典的なコンピュータと量子コンピュータを含む混合実行環境であってもよく、本願の実施例はこれに対して限定しない。
【0070】
図1に参照されるように、本願の一実施例が提供する量子回路の決定方法のフローチャートが示されている。該方法の各ステップの実行エンティティはコンピュータ機器であってもよい。該方法は以下のいくつかのステップ(101~105)を含んでもよい。
【0071】
ステップ101:初期のサンプリング方式に従い、初期の回路ユニットプール中からK個のグループの回路ユニットをサンプリングして、K個の候補量子回路を構成するステップであって、Kは正の整数である。
【0072】
回路ユニットプール中には複数の選択可能な回路ユニットが含まれる。本願の実施例において、回路ユニットは量子回路を構成する基本ユニットであり、1つの量子回路は1つ又は複数の回路ユニットを含んでもよい。量子回路は複数の回路ユニットを含む場合、各回路ユニットの間の接続関係は予め定義又は設計されてもよい。1つの例において、1つの量子回路は多層構造であり、各層中には1つの回路ユニットが含まれ、各層の間が順に接続されており、例えば、ある層の回路ユニットの出力結果は、次の層の回路ユニットの入力データとし、且つ該次の層の回路ユニットによってさらに計算又は処理されてもよい。他の例において、1つの量子回路は多層構造であり、各層の中には1つ又は複数の充填対象の位置が含まれ、回路ユニットを充填することに用いられる。同一層の中には複数の充填対象の位置が含まれる場合、各充填対象の位置の間は設定された方式に従い予め接続することができる。
【0073】
任意選択的に、量子コンピューティングタスク中に関する可能性があるいくつかの基本的な操作に対して、各種類の基本的な操作に対して対応する1つの回路ユニットを設計する。例えば、1つの回路ユニットは1つのシングルビット量子ゲートであってもよく、1層の量子ゲートであってもよく、又は1つのハミルトニアンの時間依存進化等であってもよく、本願の実施例はこれに対して限定しない。
【0074】
サンプリング方式とは、回路ユニットプール中から回路ユニットを選択する方式を指す。サンプリングするたびに回路ユニットプール中から1つ又は複数の回路ユニットを選択して、一回のサンプリングにより選択した該1つ又は複数の回路ユニットは1グループの回路ユニットを構成し、すなわち、各グループの回路ユニットは少なくとも1つの回路ユニットを含む。本願の実施例において、各グループの回路ユニットは1つの候補量子回路を構成することに用いられる。また、各グループの回路ユニット中に含まれる回路ユニットは繰り返し利用可能である。またすなわち、上記のサンプリング過程は重複があり、それにより各回路ユニットは最終的に構築した量子回路中に繰り返し利用できることを確保する。
【0075】
例えば、初期の回路ユニットプール中には番号がそれぞれ0、1、2、3、4の5つの回路ユニットが含まれる。初期のサンプリング方式に従い、該初期の回路ユニットプールの中から3回サンプリングして、3つのグループの回路ユニットを取得すると仮定する。1回目のサンプリングにより取得した1グループの回路ユニットは番号が順に2、1、3の3つの回路ユニットを含み、2回目のサンプリングにより取得した1グループの回路ユニットは番号が順に2、1、1の3つの回路ユニットを含み、3回目のサンプリングにより取得した1グループの回路ユニットは番号が順に2、1、4の3つの回路ユニットを含むと仮定する。その後、上記サンプリング結果に従い、3つの候補量子回路を構成する。
【0076】
ステップ102:K個の候補量子回路に対応する性能評価指標を決定する。
【0077】
性能評価指標は候補量子回路の性能を定量的に評価することに用いられるパラメータである。本願の実施例において、K個の候補量子回路の対応する性能評価指標は、該K個の候補量子回路の統合性能又は平均性能を評価することに用いられるパラメータであり、該K個の候補量子回路のそれぞれの性能の全体状況又は平均値状況を反映する。
【0078】
例示的な実施例において、ターゲット関数を採用して上記性能評価指標を特徴付ける。ターゲット関数は構成した量子回路がタスクの最適化ターゲットに達するか否かを計算することに用いられる数学関数である。例えば、上記で紹介したように、異なる量子回路の設計タスクに対して、異なるターゲット関数を対応して設定できる。
【0079】
ステップ103:性能評価指標に基づいてサンプリング方式及び回路ユニットプール中の回路ユニットを更新し、更新後のサンプリング方式及び更新後の回路ユニットプールを得る。
【0080】
性能評価指標はサンプリング方式及び回路ユニットの回路パラメータへの調整を指導することに用いられ、それにより、性能により優れた候補量子回路をサンプリングするようにする。一方では、性能評価指標に基づいてサンプリング方式を更新することで、サンプリング方式を最適化して、回路ユニットプール中からより優れた回路ユニットの組み合わせの解決手段を選択し、他方では、性能評価指標に基づいて回路ユニットプール中の回路ユニットを更新し、例えば、回路ユニットの回路パラメータを更新することで、単一の回路ユニットが示す性能を最適化して、さらに構成した量子回路全体が示す性能の向上に有利である。
【0081】
ステップ104:更新後のサンプリング方式に従い、更新後の回路ユニットプール中からK個のグループの回路ユニットをサンプリングして、K個の候補量子回路を構成する。
【0082】
ステップ104中のサンプリング過程はステップ101中で紹介したサンプリング過程と同じ又は類似し、違いは、サンプリング方式及び回路ユニットプール中の回路ユニットの回路パラメータに更新が生じたことであり、ステップ104中で、更新後のサンプリング方式に従い、更新後の回路ユニットプール中からK個のグループの回路ユニットをサンプリングする。
【0083】
説明すべきものとして、ステップ104中のサンプリング回数とステップ101中のサンプリング回数とは同じであってもよく、異なってもよい。例えば、ステップ104中のサンプリング回数とステップ101中のサンプリング回数は同じである場合、例えば、ステップ101中のKが10に等しく、ステップ104中のKも10に等しい。また、例えば、ステップ104中のサンプリング回数とステップ101中のサンプリング回数は同じではない場合、例えば、ステップ101中のKが10に等しいが、ステップ104中のKが8に等しい。サンプリング方式に対応する確率モデルはこのサイクル過程において収束する傾向があるため、各ラウンドのサンプリング数Kの値を適応的に削減すると、性能を保持すると同時に計算リソースを効果的に節約できる。
【0084】
また、上記ステップ104の後、上記ステップ102~104をサイクルして実行することで、最適化サンプリング方式を持続的に更新し、及び最適化回路パラメータを持続的に更新することで、より優れた候補量子回路を構成して、サイクル停止条件を満たすと、該サイクル過程を停止する。
【0085】
サイクル停止条件とは、予め設定された、上記サイクル過程の停止をトリガーすることに用いられる条件である。例示的には、該サイクル停止条件は、最後の1回に生成したK個の候補量子回路が同じであること、最後の1回に生成したK個の候補量子回路中に閾値数量より大きい同じ量子回路が存在すること、最後の1回に生成したK個の候補量子回路に対応する性能評価指標が設定された指標の要件に一致すること、サイクル過程の実行回数が設定された回数に達すること等のうちの少なくとも1種を含むが、それらに限定されず、本願の実施例はこれに対して限定しない。
【0086】
ステップ105:サイクル停止条件が満たされた場合、最後の1回に生成したK個の候補量子回路の中からターゲット量子回路を決定する。
【0087】
ターゲット量子回路は最後の1回に生成したK個の候補量子回路の中から決定された1つの量子回路であり、該ターゲット量子回路は最後の1回に生成したK個の候補量子回路中から選択されたある量子回路であってもよい。本願の実施例において、ターゲット量子回路は最終的に構成して、ある特定の量子回路の設計タスクを達成することに用いられる量子回路である。
【0088】
例示的な実施例において、最後の1回に生成したK個の候補量子回路の中から、生成確率が最も高い候補量子回路を決定し、該生成確率が最も高い候補量子回路を、ターゲット量子回路として決定する。ある候補量子回路の生成確率は、上記K個の候補量子回路中に占める該候補量子回路の割合であってもよい。例えば、最後の1回に生成した候補量子回路の数が10であり、これらのうち9つの候補量子回路が同じ(量子回路Aとしてマークする)、残りの1つの候補量子回路が他の9つの候補量子回路と異なる(量子回路Bとしてマークする)。そうすると、量子回路Aの生成確率は9/10=0.9であり、量子回路Bの生成確率は1/10=0.1であり、量子回路Aを最終的なターゲット量子回路として選択してもよい。
【0089】
以上のように、異なるタイプの量子回路の設計問題に対しては、いずれも本願の技術的解決手段を採用して、相応な問題を解決することに用いられる1つのターゲット量子回路を構築することができ、それにより、異なるタイプの量子回路の設計問題は高度に抽象化されて統合され、該解決手段は非常に高い普遍性及び汎用性を有する。
【0090】
また、遺伝的アルゴリズム自体に存在する計算による消費量が大きく、収束が遅いという欠陥に比べて、本願の技術的解決手段はサンプリングにより得られた候補量子回路に対応する性能評価指標を決定して、次に該性能評価指標に基づいてサンプリング方式及び回路ユニットプール中の回路ユニットを同期に更新するだけが必要であり、それにより、性能に優れた候補量子回路を迅速に構成でき、これは計算量を減少させるだけでなく、且つ最終的に決定されたターゲット量子回路の効率も向上させる。
【0091】
図2に参照されるように、本願の他の実施例が提供する量子回路の決定方法のフローチャートが示されている。該方法の各ステップの実行エンティティはコンピュータ機器であってもよい。該方法は以下のいくつかのステップ(201~211)を含んでもよい。
【0092】
ステップ201:初期の確率モデルを構築するステップであって、該確率モデルはp×c個のパラメータを含み、そのうち、pは回路ユニットの最大数を示し、cは回路ユニットプール中の回路ユニットの総数を表す。
【0093】
本願の実施例において、確率モデルをサンプリング方式として採用し、回路ユニットプール中から若干のグループの回路ユニットをサンプリング取得する。該確率モデルは1つのパラメータ化された確率モデルであり、それはp×c個のパラメータを含み、そのうち、pは回路ユニットの最大数を示し、cは回路ユニットプール中の回路ユニットの総数を表す。
【0094】
回路ユニットの最大数とは、最終的に構成した、ある特定の量子回路の設計タスクを達成することに用いられるターゲット量子回路中に含まれ得る回路ユニットの最大数である。例えば、回路ユニットの最大数は6である場合、最終的に構成したターゲット量子回路中に含まれる回路ユニットの実際の数が6以下であるべきであり、このような場合、サンプリングするたびに取得した1グループの回路ユニット中に6つの回路ユニットを含んでもよく、6つ以下の回路ユニットを含んでもよい。1つの例において、ターゲット量子回路中に含まれる回路ユニットは特定の数であり、例えば、予め規定されたターゲット量子回路中に含まれる回路ユニットの数が6であれば、サンプリングするたびに取得した1グループの回路ユニット中にいずれも6つの回路ユニットが含まれる。このとき、回路ユニットの最大数が該特定の数であり、該特定の数量はターゲット量子回路の設計層数又は充填対象の位置数に応じて決めることができる。
【0095】
回路ユニットプール中には複数の回路ユニットが含まれる。上記では、任意の量子回路が一連のユニタリ行列を積み重ねてなるとみなせることが既に紹介されており、従って、回路ユニットプール中には複数のユニタリ行列のそれぞれに対応する等価回路を含んでもよい。回路ユニットプールは演算子プール又は他の名称とも呼ばれてもよく、本願の実施例はこれに対して限定しない。
【0096】
本願の実施例において、確率モデルのモデルパラメータがαであると仮定し、αはp×c個のパラメータを含む。例えば、αは1つのp行×c列の行列であるとみなすことができ、行列中の第i行第j列の元素は、ターゲット量子回路のi個目の充填対象の位置に回路ユニットプール中のj個目の回路ユニットの確率を充填することを表し、iはp以下の正の整数であり、jはc以下の正の整数である。
【0097】
ステップ202:初期の確率モデルに基づいて、初期の回路ユニットプールに対してK回のサンプリングを行い、サンプリングするたびに1グループの回路ユニットを取得して、K個のグループの回路ユニットを得る。
【0098】
毎回のサンプリングの過程において、確率モデルP(k,α)のモデルパラメータαに基づいて構造パラメータkを生成して、該構造パラメータkは若干の離散値を含んでもよく、今回のサンプリングにより取得した回路ユニットを表すことに用いられる。例えば、回路ユニットプール中には番号がそれぞれ0、1、2、3、4の5つの回路ユニットが含まれ、構造パラメータkは(2、1、3)を含み、回路ユニットプール中からサンプリングして取得した1グループの回路ユニットは番号が順に2、1、3の3つの回路ユニットを含むことを表す。説明するべきものとして、確率モデルP(k,α)のモデルパラメータαが同じである場合、任意の2回のサンプリングにより生成した構造パラメータkは同じであってもよく、異なってもよい。例えば、前後2回のサンプリングにより生成した構造パラメータkは同じであり、いずれも(2、1、3)であり、また、例えば、前後の2回のサンプリングにより生成した構造パラメータkは異なり、前のものは(2、1、3)であり、後のものは(2、1、4)である。
【0099】
また、回路ユニットプール中の各回路ユニットの回路パラメータの数がlであると仮定すると、1つの回路パラメータプールを維持してもよく、該回路パラメータプール中には回路ユニットプール中の各回路ユニットの各充填対象の位置上での回路パラメータが含まれ、すなわち該回路パラメータプール中にはp×c×l個のパラメータが含まれる。
【0100】
ステップ203:K個のグループの回路ユニットに基づいて、K個の候補量子回路を構成する。
【0101】
サンプリングして取得した各グループの回路ユニットに対して、1つの候補量子回路を対応して構成する。各回路ユニットの間の接続関係は予め定義又は設計されてもよく、本願の実施例はこれに対して限定しない。
【0102】
ステップ204:K個の候補量子回路に対応する性能評価指標を決定するステップであって、該性能評価指標はターゲット関数の演算結果である。
【0103】
ターゲット関数は構成した量子回路がタスク最適化ターゲットに達するか否かを計算することに用いられる数学関数である。例えば、上記で紹介したように、異なる量子回路の設計タスクに対して、異なるターゲット関数を対応して設定してもよい。
【0104】
本願の実施例において、構造パラメータkに基づいて構成した候補量子回路はU(K,θ)であり、該候補量子回路U(K,θ)に対応するターゲット関数はL(U(K,θ))としてマークされると仮定すると、K回のサンプリングを経た後に構成したK個の候補量子回路に対応するターゲット関数(式10)は下記の(式11)で表されてもよい。
【0105】
【数10】
【0106】
【数11】
【0107】
上の式から分かるように、まず、K個の候補量子回路のターゲット関数に対してそれぞれに対応する演算結果を計算し、K個の演算結果を得て、次に、該K個の演算結果に基づいて、性能評価指標(すなわち、ターゲット関数(式10)の演算結果)を得る。該ターゲット関数(式10)の演算結果は該K個の候補量子回路のそれぞれの性能の全体状況又は平均値状況を反映する。
【0108】
ステップ205:性能評価指標に基づいて、第1勾配情報及び第2勾配情報を計算し、そのうち、第1勾配情報は確率モデルのモデルパラメータの勾配情報であり、第2勾配情報は回路ユニットプール中の回路ユニットの回路パラメータの勾配情報である。
【0109】
本願の実施例において、一方では、ターゲット関数の確率モデルのモデルパラメータに対する勾配情報を計算して、第1勾配情報を得て、該第1勾配情報は確率モデルのモデルパラメータを更新することを指導することに用いられ、他方では、ターゲット関数の回路ユニットプール中の回路ユニットの回路パラメータに対する勾配情報を計算して、第2勾配情報を得て、該第2勾配情報は回路ユニットの回路パラメータを更新することを指導することに用いられる。
【0110】
1つの例において、ターゲット関数の確率モデルのモデルパラメータに対する導関数を計算して、第1勾配情報を得る。例示的には、該第1勾配情報を計算することに採用した導関数式は以下の(式12)のとおりである。
【0111】
【数12】
【0112】
そのうち、(式13)はターゲット関数(式10)のモデルパラメータαに対する導関数を表し、式中の他のパラメータは上記の紹介説明を参照することができるが、ここでは詳しく説明しない。
【0113】
【数13】
【0114】
他の例において、ターゲット関数の回路ユニットプール中の回路ユニットの回路パラメータに対する導関数を計算して、第2勾配情報を得る。例示的には、該第2勾配情報を計算することに採用した導関数式は以下の(式14)のとおりである。
【0115】
【数14】
【0116】
そのうち、(式15)はターゲット関数(式10)の回路パラメータθに対する導関数を表し、式中の他パラメータは上記の紹介説明を参照することができるが、ここでは詳しく説明しない。
【0117】
【数15】
【0118】
また、導関数求め方式で第1勾配情報を計算する時、モンテカルロ期待値自動微分の関連技術を利用してもよく、スコア関数(score function)又は再パラメータ化(reparameterization)の方式を含むが、それらに限定されない。例えば、スコア関数を採用する解決手段は、非正規化を含むユニバーサル確率分布モデルに適用できる。導関数求め方式で第2勾配情報を計算する時、数値的には自動微分を利用して導関数を求めることができ、実験的にはパラメータシフト(parameter shift)又は勾配量子回路を直接測定する方法によって量子回路の導関数を計算することができる。
【0119】
ステップ206:第1勾配情報に基づいて確率モデルのモデルパラメータを更新して、更新後の確率モデルを得る。
【0120】
例えば、勾配降下アルゴリズムを採用して確率モデルのモデルパラメータαを更新することで、該確率モデルのモデルパラメータαを持続的に最適化して、それにより、より優れた回路ユニットの組み合わせの解決手段をサンプリングする。
【0121】
ステップ207:第2勾配情報に基づいて回路ユニットプール中の回路ユニットの回路パラメータを更新して、更新後の回路ユニットプールを得る。
【0122】
例えば、勾配降下アルゴリズムを採用して回路ユニットプール中の各回路ユニットの回路パラメータθを更新することで、各回路ユニットの回路パラメータθを持続的に最適化して、それにより、単一の回路ユニットが示す性能を最適化して、さらに構成した量子回路全体が示す性能の向上に有利である。
【0123】
ステップ208:更新後の確率モデルに従い、更新後の回路ユニットプール中からK個のグループの回路ユニットをサンプリングして、K個の候補量子回路を構成する。
【0124】
ステップ209:サイクル停止条件が満たされた場合、最後の1回に生成したK個の候補量子回路の中からターゲット量子回路を決定する。
【0125】
ステップ208~209は図1の実施例中のステップ104~105と同じ又は類似するため、具体的には上記実施例中の紹介説明を参照することができるが、ここでは詳しく説明しない。
【0126】
任意選択的に、本願の実施例が提供する方法はさらに以下のステップ210~211を含み、それにより、ターゲット量子回路の回路パラメータに対するさらなる最適化調整を実現する。
【0127】
ステップ210:ターゲット量子回路の構造を固定して、且つターゲット量子回路中に含まれる各回路ユニットの回路パラメータを調整する。
【0128】
ターゲット量子回路を決定した後、その回路構造(すなわち、回路中に含まれる回路ユニット及び各回路ユニットの間の接続関係)が固定され、必要がある場合、さらに該ターゲット量子回路中に含まれる各回路ユニットの回路パラメータをさらに最適化調整してもよく、それにより、ターゲット量子回路が示す性能をさらに向上させる。
【0129】
例えば、ターゲット関数のターゲット量子回路の回路パラメータに対する勾配情報を計算することにより、同様に勾配降下アルゴリズムを採用してターゲット量子回路の回路パラメータを更新することで、ターゲット量子回路の回路パラメータを持続的に最適化して、それにより、ターゲット量子回路が示す性能を向上させる。
【0130】
ステップ211:調整停止条件が満たされた場合、パラメータが調整・最適化された後のターゲット量子回路を得る。
【0131】
調整停止条件とは、予め設定されたターゲット量子回路の回路パラメータを調整することを停止することをトリガーすることに用いられる条件である。例示的には、該調整停止条件は、ターゲット量子回路の性能評価指標が予め設定した指標に達すること、ターゲット量子回路の回路パラメータの調整回数が設定された回数に達すること等のうちの少なくとも1種を含むが、それらに限定されず、本願の実施例はこれに対して限定しない。
【0132】
本願の実施例において、パラメータが最適化調整された後のターゲット量子回路は最終的に構成され、ある特定の量子回路の設計タスクを達成することに用いられる量子回路である。
【0133】
例示的な実施例において、K個の候補量子回路を構成した後、さらに、i個目の候補量子回路中のj個目の回路ユニットに対して、該j個目の回路ユニットの回路ユニットプール中での位置及びi個目の候補量子回路中での位置に基づき、回路パラメータプール中からj個目の回路ユニットの回路パラメータを取得するステップを含み、そのうち、回路パラメータプール中には回路ユニットプール中の各回路ユニットの各充填対象の位置上での回路パラメータが含まれ、iはK以下の正の整数であり、jは正の整数である。回路パラメータプール中にはp×cグループの回路パラメータが含まれてもよく、第(i、j)グループの回路パラメータは回路ユニットプール中のj個目の回路ユニットがi個目の充填対象の位置上に充填する時の回路パラメータであり、iはp以下の正の整数であり、jはc以下の正の整数である。
【0134】
上記方式により、パラメータバインディングメカニズムを採用して回路ユニットの回路パラメータをその充填対象の位置とバインディングして、このように、新しい候補量子回路を構成した後、回路パラメータプール中から各回路ユニットの回路パラメータを簡単で効率的に取得できる。また、第2勾配情報に基づいて回路ユニットプール中の各回路ユニットの回路パラメータを更新する時、回路パラメータプール中に保存されている回路パラメータを同期に更新する必要があり、それにより、回路パラメータプール中から取得した回路パラメータの正確性を確保する。
【0135】
例示的な実施例において、より安定的なトレーニング過程のために、NAS及びより幅広い機械学習分野の研究に出現するトレーニングテクニックを導入・発展することができ、early stop(早期停止法)、マルチ開始点、回路変分パラメータウォームアップトレーニングを含むが、それらに限定されず、トレーニング認証データセットは、より優れたトレーニング結果の後処理及びグリッド探索、段階的なレイヤーごとのトレーニングという2グループのパラメータを個別にそれぞれ最適化し、モンテカルロ勾配推定時にターゲット関数の移動平均値をベースライン(baseline)として追加することで推定分散を減少させ、回路パラメータにランダムノイズを追加することでエネルギー損失を平滑化し、ターゲット関数に多目的をサポートする正規項及びペナルティ項、小規模なエージェントタスク及び転移学習等を追加する。
【0136】
そのうち、比較的重要なのは正規項の追加であり、確率モデルのモデルパラメータは各回路ユニットのサンプリング回数及び確率を決めるため、モデルパラメータに基づく相応な正規項を定義でき、それにより、あるタイプの回路ユニット(例えば、シングルビット量子ゲート)を奨励し、すなわち、該タイプの回路ユニットのサンプリング回数及び確率を向上させ、又は、あるタイプの回路ユニット(例えば2ビット量子ゲート)を抑制し、すなわち、該タイプの回路ユニットのサンプリング回数及び確率を低減させることができる。例えば、以下の正規項をターゲット関数L中に追加し、正規項を追加した後のターゲット関数LはΔLとして表され得る(式16)。
【0137】
【数16】
【0138】
そのうち、cは回路ユニットプール中の回路ユニットの数を表し、pは充填対象の位置の数であり、p(K=K)はi個目の候補充填位pに第k個の回路ユニットを充填する確率であり、λは該正規項の重みであり、qは回路ユニット中の2ビット量子ゲートの数を表す。
【0139】
上記したカスタマイズされた正規項導入方式は、回路ユニットのサンプリングの柔軟性及び制御可能性を向上させ、それにより、最終的に構成した量子回路が示す性能の向上に有利であり、且つその量子ノイズレベルを下げる。
【0140】
以上のように、本願の実施例が提供する技術的解決手段は、量子回路の探索領域を連続空間に広げ、それにより自動微分及び確率的勾配降下が可能になり、これは計算リソースの消耗量を大幅に減少させ、同時に収束性もより確実に確保される。
【0141】
また、パラメータ最適化過程において、本願は第1勾配情報及び第2勾配情報を計算することにより、上記2種の勾配情報に基づいてモデルパラメータ及び回路パラメータを同時に最適化でき、多目的のパラメータ最適化解決手段を実現し、量子回路構築効率の向上に有利である。
【0142】
以下、図3に関連付けて、本願の実施例が提供する可微分量子構造探索アーキテクチャの完全な構造を紹介して説明する。該可微分量子構造探索アーキテクチャによって、ある特定の量子回路の設計タスクを達成することに用いられる1つのターゲット量子回路を探索して構築すると仮定する。そのうち、回路ユニットプール31中には複数の選択可能な回路ユニット、例えば、図に示される回路ユニット1、2、3等が含まれる。確率モデルp(k,α)に基づいて回路ユニットプール31中からバッチ式でサンプリングしてK個のグループの回路ユニットを取得して、K個の候補量子回路を構成する。パラメータプール32は量子回路の回路パラメータを記憶することに用いられる。構成した各候補量子回路中の各回路ユニットの回路パラメータに対しては、パラメータプール32中から取得されてもよい。また、ターゲット関数Lによって候補量子回路の性能を評定して、K個の候補量子回路の全体性はターゲット関数(式17)を採用して評定されてもよい。ターゲット関数(式17)の確率モデルのモデルパラメータαに対する勾配情報(式18)、及びターゲット関数(式17)の回路ユニットプール31中の回路ユニットの回路パラメータθに対する勾配情報(式19)を計算して、上記2つの勾配情報に基づいて、それぞれモデルパラメータα及び回路パラメータθを更新する。
【0143】
【数17】
【0144】
【数18】
【0145】
【数19】
【0146】
その後、更新後の確率モデルに従い、更新後の回路ユニットプール中からK個のグループの回路ユニットをサンプリングして、K個の候補量子回路を構成する。上記過程をサイクルして実行し、サイクル停止条件が満たされた場合、最後の1回に生成したK個の候補量子回路の中から、生成確率が最も高い候補量子回路を、最終的なターゲット量子回路として選択する。
【0147】
図4に参照されるように、本願の他の実施例が提供する量子回路の決定方法のフローチャートが示されている。該方法の各ステップの実行エンティティはコンピュータ機器であってもよい。該方法は以下のいくつかのステップ(401~403)を含んでもよい。
【0148】
ステップ401:回路ユニットプール中からN個の回路ユニットを選択するステップであって、回路ユニットプール中には複数の回路ユニットが含まれ、各回路ユニットは1つのユニタリ行列に対応する等価量子回路であり、Nは1より大きい整数である。
【0149】
回路ユニットプール中には複数の選択可能な回路ユニットが含まれる。本願の実施例において、回路ユニットは量子回路を構成するための基本ユニットであり、1つの量子回路は1つ又は複数の回路ユニットを含んでもよい。量子回路は複数の回路ユニットを含む場合、各回路ユニットの間の接続関係は予め定義又は設計されてもよい。1つの例において、1つの量子回路は多層構造であり、各層中には1つの回路ユニットが含まれ、各層の間が順に接続されており、例えば、ある層の回路ユニットの出力結果は、次の層の回路ユニットの入力データとし、且つ該次の層の回路ユニットによってさらに計算又は処理されてもよい。他の例において、1つの量子回路は多層構造であり、各層の中には1つ又は複数の充填対象の位置が含まれ、回路ユニットを充填することに用いられる。同一層の中には複数の充填対象の位置が含まれる場合、各充填対象の位置の間は設定された方式に従い予め接続することができる。
【0150】
任意選択的に、量子コンピューティングタスク中に関する可能性があるいくつかの基本的な操作に対して、各種類の基本的な操作に対して対応する1つの回路ユニットを設計する。例えば、1つの回路ユニットは1つのシングルビット量子ゲートであってもよく、1層の量子ゲートであってもよく、又は1つのハミルトニアンの時間依存進化等であってもよく、本願の実施例はこれに対して限定しない。
【0151】
本願の実施例において、回路ユニットを粒度として量子回路を分割し、1つの量子回路は複数の回路ユニットをある接続方式に従い接続してなるものであってもよい。従って、ある量子コンピューティングタスクを完了することに用いられる量子回路を構築するために、回路ユニットプール中から若干の回路ユニットを選択することができる。
【0152】
可能な実施形態において、あるサンプリング方式に従い、回路ユニットプール中からN個の回路ユニットを選択する。サンプリング方式とは、回路ユニットプール中から回路ユニットを選択する方式を指す。サンプリングするたびに回路ユニットプール中からN個の回路ユニットを選択し、一回のサンプリングにより選択した該N個の回路ユニットは1グループの回路ユニットを構成し、すなわち、各グループの回路ユニットはN個の回路ユニットを含む。また、N個の回路ユニット中には含まれる回路ユニットは繰り返し利用可能である。すなわち、上記のサンプリング過程は重複があり、それにより、各回路ユニットは最終的に構築した量子回路中に繰り返して利用できることを確保する。
【0153】
例示的な実施例において、上記サンプリング方式は確率モデルであってもよく、確率モデルによってサンプリングして回路ユニットを取得する方式については、上記実施例中の紹介説明を参照することができるが、ここでは詳しく説明しない。
【0154】
ステップ402:N個の回路ユニットのそれぞれに対応する回路パラメータを決定するステップであって、回路パラメータは回路ユニットにより実行される操作を定義することに用いられ、且つ回路パラメータは更新可能である。
【0155】
1つの回路ユニットにとって、該回路ユニットは対応する回路パラメータを有し、該回路パラメータは該回路ユニットにより実行される操作を定義することに用いられる。すなわち、1つの回路ユニットにより実行される操作は、該回路ユニットの構造と関係があることに加えて、該回路ユニットの回路パラメータとも関係がある。ステップ401において、回路ユニットプール中からN個の回路ユニットを選択した後、各回路ユニットの構造は決定されており、次にステップ402によって各回路ユニットの回路パラメータを取得する。
【0156】
本願の実施例において、回路ユニットの回路パラメータは変分パラメータであり、すなわち、回路ユニットの回路パラメータは更新可能(すなわち調整及び修正可能)であり、それにより、必要がある場合、該回路ユニットの回路パラメータを更新することで、該回路ユニットが示す性能を向上させることができる。
【0157】
例示的な実施例において、1つの回路パラメータプールを維持でき、該回路パラメータプール中には回路ユニットプール中の各回路ユニットの各充填対象の位置上での回路パラメータが含まれる。上記N個の回路ユニット中のi個目の回路ユニットに対しては、該i個目の回路ユニットの充填対象の位置に基づき、回路パラメータプール中から該i個目の回路ユニットの回路パラメータを取得する。上記方式によって、パラメータバインディングメカニズムを採用して回路ユニットの回路パラメータとその充填対象の位置とをバインディングして、このように、量子回路を構成する時、回路パラメータプール中から各回路ユニットの回路パラメータを簡単で効率的に取得できる。
【0158】
ステップ403:N個の回路ユニット及び該N個の回路ユニットのそれぞれに対応する回路パラメータに基づいて、量子回路を構成する。
【0159】
N個の回路ユニット及び該N個の回路ユニットのそれぞれに対応する回路パラメータを得た後、量子回路を構成し、該量子回路中には上記N個の回路ユニットが含まれ、且つ該量子回路の回路パラメータは上記N個の回路ユニットのそれぞれに対応する回路パラメータを含む。また、各回路ユニットの間の接続関係は予め定義又は設計されてもよく、本願の実施例はこれに対して限定しない。
【0160】
例示的な実施例において、図5に示すように、上記ステップ403の後にさらに以下のステップを含む。
【0161】
ステップ404:量子回路に対応する性能評価指標を決定する。
【0162】
性能評価指標とは量子回路の性能を定量的に評価することに用いられるパラメータである。例示的な実施例において、ターゲット関数を採用して上記性能評価指標を特徴付ける。ターゲット関数は構成した量子回路がタスク最適化ターゲットに達するか否かを計算することに用いられる数学関数である。例えば、上記で紹介したように、異なる量子回路の設計タスクに対して、異なるターゲット関数を対応して設定できる。
【0163】
ステップ405:性能評価指標に基づいて、ターゲット勾配情報を計算するステップであって、該ターゲット勾配情報は量子回路の回路パラメータの勾配情報である。
【0164】
本願の実施例において、ターゲット関数の量子回路の回路パラメータに対する勾配情報を計算することにより、ターゲット勾配情報を得て、該ターゲット勾配情報は量子回路の回路パラメータを更新することを指導することに用いられる。
【0165】
1つの例において、ターゲット関数の量子回路の回路パラメータに対する導関数を計算することにより、ターゲット勾配情報を得る。例示的には、該ターゲット勾配情報を計算することに採用した導関数式は以下のとおりである。
【0166】
θL=∇θL(U(K,θ))
【0167】
そのうち、∇θLはターゲット関数Lの量子回路U(K,θ)の回路パラメータθに対する導関数を表す。
【0168】
ステップ406:ターゲット勾配情報に基づいて、量子回路の回路パラメータを更新して、更新後の量子回路を得る。
【0169】
例えば、勾配降下アルゴリズムを採用して量子回路の回路パラメータを更新して、それにより、各回路ユニットの回路パラメータを持続的に最適化して、それにより量子回路全体が示す性能を向上させる。
【0170】
本願の実施例において、ターゲット関数は可微分関数であるため、導関数求め方式で相応な勾配情報を計算でき、それにより、勾配降下アルゴリズムを採用して回路パラメータを更新して最適化できるようになり、それにより量子回路の性能を持続的に向上させる。
【0171】
以上のように、本願の実施例が提供する技術的解決手段は、量子回路を一連のユニタリ行列に対応する等価量子回路を積み重ねてなるものとみなすことにより、量子回路を1つずつの回路ユニットに分割し、回路ユニットプールを構築することで選択可能な回路ユニットを提供し、該回路ユニットプール中から回路ユニットを選択して量子回路を構築し、可微分量子アーキテクチャ探索を実現し、普遍性が高く且つ汎用性がある量子回路の構築解決手段を提供する。
【0172】
また、量子回路中には含まれる各回路ユニットの回路パラメータは更新可能であるため、回路パラメータを更新(すなわち調整)することにより量子回路が示す性能を向上させることができる。さらに、量子回路に対応するターゲット関数は可微分関数であるため、導関数求め方式で相応な勾配情報を計算して、それにより勾配降下アルゴリズムを採用して回路パラメータを更新して最適化できるようになり、それにより量子回路の性能を持続的に向上させる。
【0173】
また、遺伝的アルゴリズムを採用して量子回路を構築する場合と比較して、遺伝的アルゴリズムは段階的に最適な局所の一部の回路構造を探索するため、最終的に構築した完全な量子回路に全体的に最適ではないという問題が存在することを引き起こし、本願は完全な量子回路構造を構成した後、回路パラメータを更新するため、最終的に該完全な量子回路を全体的に最適化する回路パラメータを見つけることができ、従って、性能がより優れる。
【0174】
説明するべきものとして、本実施例中に詳細に説明されていない細部に対しては、上記他の実施例中の紹介説明を参照してもよい。
【0175】
以下、本願が提供する可微分量子構造探索アーキテクチャを具体的な量子回路の設計問題に応用する実験ケースを紹介して説明する。ここで、それぞれ3つの種類の問題を考慮して、可微分量子構造探索アーキテクチャの応用及び将来性を示す。
【0176】
ケース1:GHZ(GreenbergerHorne-Zeiling)量子状態の製造及びBell状態の回路設計。
【0177】
以下の例において、用いた演算子プール及びコード化解決手段はシングルビット及び2ビット量子ゲートであり、量子ゲートの種類及び位置する量子ビットの行により演算子プールの構成が決められる。
【0178】
GHZ量子状態とは、(式20)に定義される。
【0179】
【数20】
【0180】
このような状態は、すなわち、有名なシュレーディンガーの猫の状態であり、理論及び量子情報の実践においていずれも大幅に応用されている。本願が提供する可微分量子構造探索アーキテクチャは、対応する量子状態の製造回路を自動的に設計できる。そのターゲット関数は量子回路の出力状態と理論GHZ状態との内積である。トレーニングのゲート数pを徐々に小さく調整し且つ性能を確保する方式で探索することにより、必要な量子ゲートが最も少ない条件に一致する製造回路を見つけることを確保でき、具体的な回路は図6に示されている。そのうち、パラメータπ/2は完全にアーキテクチャが自分で学習するものである。
【0181】
Bell状態とは2ビットで構成される4つの直交するエンタングル状態を指し、量子テレポーテーション状態及び圧縮コード化のいずれにも重要な役割を果たす。相応な量子回路はそれぞれ4つの異なる測定された基底状態を対応するコード化されたBell状態のエンタングル状態にマッピングすべきである。従って、該問題は1つの完全な回路学習の問題であり、単一の量子状態の製造ではない。目標状態の内積又は観測量XX、ZZの期待値はいずれもターゲット関数として使用でき、同時に4つの異なる入力状態評定を合計ターゲット関数として使用する必要がある。自動探索により得られた具体的な回路は図7に示されている。この例において、該アーキテクチャは離散したパラメータなし演算子プールのみを利用し、すなわち、可変回路パラメータがない。
【0182】
ケース2:量子誤り抑制(quantum error mitigation)。
【0183】
ここでは、量子コンピューティング中に常に発生した量子フーリエ変換の回路コンポーネント及び仮定された量子ノイズモデルを利用することにより、可微分量子アーキテクチャ探索解決手段の量子誤り訂正分野での潜在的な応用を示す。3ビット及び4ビットシステム上に、量子フーリエ変換回路を充填することにより、出力状態の忠実度の向上を実現する。
【0184】
ここで採用した量子誤り抑制戦略は以下のとおりである。量子回路中のギャップにシングルビット量子ゲートが充填され、それによりそれらの量子ゲートの集合が単位行列を与える。このように量子回路に対応する行列を変えない前提下で、待機ビットの減衰ノイズを効果的に削減でき、且つより抑制されにくいコヒーレントノイズを簡単なパウリノイズに転化できる。該戦略に適応して、我々が用いた回路設計コード化解決手段は異なるタイプの単一ビットゲートで構成される演算子プールV及び探索深さpが元の回路ギャップ位置の数に等しいプレースホルダーUである。例えば、3ビット量子フーリエ変換回路に対して、p=6であり、一方、4ビット回路に対して、p=12である。
【0185】
この誤り訂正効果の比較ベースラインは対応な連続ギャップ中に1に相当する量子ゲートを充填しようとするものであり、我々は、本アーキテクチャは忠実度がこの知識ベースの常識解決手段よりも高い回路を探索できることを発見する。実際には、可微分量子アーキテクチャ探索は量子回路中のある長距離相関を効果的に感知でき、それにより単一のギャップに対しても非恒等の充填を行うことができ、それにより忠実度のさらなる向上を実現する。
【0186】
具体的には、3ビット量子フーリエ変換回路に対して、オリジナル回路、エキスパート回路及びアーキテクチャが自動的に設計した回路に対応する忠実度はそれぞれ0.33、0.55及び0.6である。一方、4ビット量子フーリエ変換回路に対して、オリジナル回路、エキスパート回路及びアーキテクチャが自動的に設計した回路に対応する忠実度はそれぞれ0.13、0.41及び0.45である。本アーキテクチャが自動的な設計を完了した誤り訂正回路による量子ノイズへの抑制は人間のエキスパートによる回路設計よりも優れていることが分かる。このような自動化回路設計は全く任意の事前知識にも依存せず、ゼロから生成したものである。(対応する量子誤り訂正設計及び具体的な忠実度の値は仮定された量子ノイズモデルに決められ、本例で用いた量子ノイズモデルは以下のとおりである。各列の量子ゲートのギャップに対して、p=0.02のビット反転ノイズが存在するが、各量子回路空孔に対して、p=0.2のビット反転ノイズが存在する。)
【0187】
3ビット及び4ビットのオリジナル回路に対して、本アーキテクチャが発見した誤り訂正回路はそれぞれ図8~11に示されている。そのうち、誤り訂正回路中の灰色量子ゲートは、可微分量子構造探索アーキテクチャがトレーニングされた後、インテリジェントに充填した結果である。
【0188】
ケース3:QAOAタイプの回路立体配置探索。
【0189】
QAOAは非常に重要な量子古典ハイブリッドコンピューティングパラダイムであり、且つ比較的強い物理的意義及び量子アニーリングとの関連を有する。従って同じ深さ、同じ回路パラメータの場合、近似能力がより強い量子回路配置を見つけることは、重要な応用価値(量子優位性を示すために使用する)及び理論的意義(量子アニーリングにおける重要な概念と交差して比較し、かつ理解するために使用する)を有する。このような問題において、エンドツーエンドの環境で採用したのは典型的なMAX CUT組み合せ最適化問題であり、一方、演算子プールはハミルトニアン時間依存進化層と一般的なシングルビット量子ゲート層とを組み合わせる戦略を用いる。最も簡単な場合、考慮される演算子にはHadamardゲート層、シングルビットx、y、z回転層(それはeiHθに相当し、そのうち、H=Σ、XはY、Z演算子に置換してもよい)及び(式21)の層が含まれる。
【0190】
【数21】
【0191】
そのうち、ijは問題中の図のエッジを表す。我々は、それらの基本的なコンポーネントをそれぞれH-layer、rx-layer、ry-layer、rz-layer、zz-layerと呼ぶ。ただし、xx-layer及びyy-layerは上記基本的なコンポーネントで構成してもよく、従って、冗長項である。一方、エンドツーエンドのターゲット関数の設定は伝統的なQAOAと同じであり、MAX CUTに対応するハミルトニアンの量子回路の出力状態上での期待値である。
【0192】
該アーキテクチャにより、立体配置及び対応するパラメータを見つけることができ、それにより、相応な量子回路構造がある分布で発生したグラフインスタンスのバッチに同時に適用でき、例えばregular graphである。このように見つけた量子回路構造は、同じ解決手段で異なる図を可能な限り近似する最適解である。我々は、自動的に探索することでQAOAの同じレイアウト、すなわちH-layer、zz-layer、rx-layer、zz-layer、rx-layerを得ることができ、図12に示すとおりである。つまり、図の範囲が比較的広く、且つ層の数が比較的少ない場合、該アーキテクチャは、QAOAの交互配置が確かに近似される効果が最適である選択であることを示し、これは、該アーキテクチャが強い適用性を有することに加えて、一定の理論探索の機能も備えることも示している。
【0193】
上記のように、本願が提供する可微分量子構造探索アーキテクチャは多様な量子コンピューティング及び量子情報の問題中、特に様々な場合の量子回路の自動化設計に幅広く応用できる。このようなエンドツーエンドの可微分設計は、任意の回路構造への仮定にも依存しないため、これは量子回路の設計により多くの可能性をもたらす。理論的には、この方法は量子プログラミング、微分プログラミング及び確率プログラミング等の新しいプログラミングパラダイムを組み合わせ、且つ既存の知識の蓄積を超える潜在的で効率的な量子構造を探索できる。実践的には、このアーキテクチャは量子状態製造、量子回路分解及びコンパイル、量子誤り訂正、変分量子アーキテクチャ探索のいずれにも良好な性能及び優れた結果を示している。可微分方法論及びアーキテクチャ自体の高度の汎用性は、該解決手段が簡潔で効率的であることを確保すると同時に、実際の量子ハードウェアのネイティブ量子ゲート、接続トポロジー及びノイズ特徴等を同時に考慮に入れることができる。
【0194】
具体的には、本願が提供する可微分量子構造探索アーキテクチャが以下の内容及び効果を実現可能であることを証明できる実証例は既にある。
【0195】
1:マルチビットGHZ量子状態の製造回路を自動的に設計する。
【0196】
2:指定された量子回路の離散ゲート分解を自動的に実現して、Bell状態マッピング回路の設計を完了する。
【0197】
3:量子フーリエ変換回路上において所定の量子誤り抑制を実現して、従来のエキスパート経験を超える誤り訂正戦略を見い出した。
【0198】
4:MAX CUT組み合わせ最適化問題の環境のみにより、QAOAの配置構造を量子回路解の仮設として自発的に見つけ、且つ具体的な問題において、性能がより優れたハミルトニアンサブブロック配置方式を探索できる。
【0199】
全体的に、本願が提供する技術的解決手段は他の解決手段と比較して以下の優位性を有する。
【0200】
1:汎用性:我々は、初めて、量子アーキテクチャ探索という重要な問題を完全に要約して抽象化し、且つ完全に汎用的なエンドツーエンド解決手段を初めて提案した。
【0201】
2:計算効率:該解決手段は最初の可微分量子回路の自動設計解決手段であるため、それにより、該解決手段は、計算リソース、例えば、より少ない時間、ハードウェア等を消費するだけで、他の解決手段と類似し又はそれよりも著しく優れた結果を得ることができる。
【0202】
3:多目的:該解決手段は複数のターゲットを同時に最適化できるため、ハードウェアを使いやすくし、量子誤り訂正等を考慮してアーキテクチャ全体をより適切に嵌め込むことができる。
【0203】
4:従来の知識経験を超える結果:該アーキテクチャを具体的な量子コンピューティング問題に応用して、我々は任意の分野の技術知識の仮定にも依存せず、単に機械学習のみに依存して既存の知識の蓄積に達し又はこれを超える一連の結果を取得し、該解決手段の大きな潜在力を示している。
【0204】
本願の技術的解決手段は、この段階で適応性がより高い量子回路設計の加速に有利である。NISQ時代量子ハードウェアの典型的な欠点は、コヒーレンス時間が短く且つ量子ノイズが大きいことであり、それに対応して、我々は、量子ハードウェア自体の具体的な特徴を十分に考慮する場合、量子回路の深さ、及び2ビット量子ゲートの数を最大限に減少させる必要がある。2ビット量子ゲートは常にシングルビット量子ゲートよりも大きなノイズを有するため、性能を確保すると同時に2ビット量子ゲートの数を減少させると、量子ノイズの影響を効果的に緩和できる。本願が提供する可微分量子構造探索アーキテクチャは、この多目的の回路設計問題をより効果的に解決でき、それにより量子コンピューティングの商用的応用において優位性を取得する。
【0205】
また、中短期内で量子ハードウェア評定に応用する可能性があり、実際の生産中の応用としては、可微分量子アーキテクチャ探索により支援されたVQE又はQAOA仮定最適化を含み、それにより、我々はより少ない量子リソースを利用してより優れた結果を取得することができ、その対応する製品は組み合わせ最適化問題又は量子化学の基底状態エネルギーシミュレートを解決することに用い得る。同時に、可微分量子アーキテクチャ探索は量子コンパイル技術スタック及び量子誤り抑制において設計の潜在力を効果的に発揮することもでき、それにより、量子ノイズに対して相応な回路をより安定化させる。
【0206】
以下は本願の装置実施例であり、本願の方法実施例を実行することに用いることができる。本願の装置実施例中において掲示されていない細部については、本願の方法実施例を参照されたい。
【0207】
図13に参照されるように、本願の一実施例が提供する量子回路の決定装置のブロック図が示されている。該装置は上記方法例を実現する機能を有し、前記機能はハードウェアにより実現されてもよく、ハードウェアにより相応なソフトウェアを実行することで実現されてもよい。該装置は上記で紹介したコンピュータ機器であってもよく、コンピュータ機器中に設置されてもよい。図13に示すように、該装置1300は、回路サンプリングモジュール1310と、回路評価モジュール1320と、パラメータ更新モジュール1330と、回路決定モジュール1340とを含んでもよい。
【0208】
回路サンプリングモジュール1310は、初期のサンプリング方式に従い、初期の回路ユニットプール中からK個のグループの回路ユニットをサンプリングして、K個の候補量子回路を構成することに用いられ、そのうち、各グループの回路ユニットは、少なくとも1つの回路ユニットを含み、1つの候補量子回路を構成することに用いられ、Kは正の整数である。
【0209】
回路評価モジュール1320は、前記K個の候補量子回路に対応する性能評価指標を決定することに用いられる。
【0210】
パラメータ更新モジュール1330は、前記性能評価指標に基づいて前記サンプリング方式及び前記回路ユニットプール中の回路ユニットを更新して、更新後のサンプリング方式及び更新後の回路ユニットプールを得ることに用いられる。
【0211】
前記回路サンプリングモジュール1310は、さらに前記更新後のサンプリング方式に従い、前記更新後の回路ユニットプール中からK個のグループの回路ユニットをサンプリングして、K個の候補量子回路を構成することに用いられる。
【0212】
回路決定モジュール1340は、サイクル停止条件が満たされた場合、最後の1回に生成した前記K個の候補量子回路の中からターゲット量子回路を決定することに用いられる。
【0213】
例示的な実施例において、図14に示すように、前記回路サンプリングモジュール1310は、モデル構築ユニット1311と、回路サンプリングユニット1312と、回路構造ユニット1313とを含む。
【0214】
モデル構築ユニット1311は、初期の確率モデルを構築することに用いられ、前記確率モデルはp×c個のパラメータを含み、そのうち、pは回路ユニットの最大数を示し、cは前記回路ユニットプール中の回路ユニットの総数を示す。
【0215】
回路サンプリングユニット1312は、前記初期の確率モデルに基づいて、前記初期の回路ユニットプールに対してK回のサンプリングを行い、サンプリングするたびに1グループの回路ユニットを取得して、前記K個のグループの回路ユニットを得ることに用いられる。
【0216】
回路構造ユニット1313は、前記K個のグループの回路ユニットに基づいて、前記K個の候補量子回路を構成することに用いられる。
【0217】
例示的な実施例において、図14に示すように、前記パラメータ更新モジュール1330は、勾配計算ユニット1331と、モデルパラメータ更新ユニット1332と、回路パラメータ更新ユニット1333とを含む。
【0218】
勾配計算ユニット1331は、前記性能評価指標に基づいて、第1勾配情報及び第2勾配情報を計算することに用いられ、そのうち、前記第1勾配情報は前記確率モデルのモデルパラメータの勾配情報であり、前記第2勾配情報は前記回路ユニットプール中の回路ユニットの回路パラメータの勾配情報である。
【0219】
モデルパラメータ更新ユニット1332は、前記第1勾配情報に基づいて前記確率モデルのモデルパラメータを更新して、更新後の確率モデルを得ることに用いられる。
【0220】
回路パラメータ更新ユニット1333は、前記第2勾配情報に基づいて前記回路ユニットプール中の回路ユニットの回路パラメータを更新して、更新後の回路ユニットプールを得ることに用いられる。
【0221】
例示的な実施例において、前記性能評価指標はターゲット関数の演算結果である。前記勾配計算ユニット1331は、前記ターゲット関数の前記確率モデルのモデルパラメータに対する導関数を計算して、前記第1勾配情報を得て、前記ターゲット関数の前記回路ユニットプール中の回路ユニットの回路パラメータに対する導関数を計算して、前記第2勾配情報を得ることに用いられる。
【0222】
例示的な実施例において、前記性能評価指標はターゲット関数の演算結果である。前記回路評価モジュール1320は、前記K個の候補量子回路の前記ターゲット関数のそれぞれに対応する演算結果を計算して、K個の演算結果を得て、前記K個の演算結果に基づいて、前記性能評価指標を得ることに用いられる。
【0223】
例示的な実施例において、前記回路決定モジュール1340は、最後の1回に生成した前記K個の候補量子回路の中から、生成確率が最も高い候補量子回路を決定し、前記生成確率が最も高い候補量子回路を、前記ターゲット量子回路として決定することに用いられる。
【0224】
例示的な実施例において、図14に示すように、前記装置1300は、i個目の候補量子回路中のj個目の回路ユニットに対して、前記j個目の回路ユニットの前記回路ユニットプール中での位置及び前記i個目の候補量子回路中での位置に基づき、回路パラメータプール中から前記j個目の回路ユニットの回路パラメータを取得することに用いられるパラメータ取得モジュール1350をさらに含む。そのうち、前記回路パラメータプール中には前記回路ユニットプール中の各回路ユニットの各充填対象の位置上での回路パラメータが含まれ、iはK以下の正の整数であり、jは正の整数である。
【0225】
例示的な実施例において、図14に示すように、前記装置1300は、前記ターゲット量子回路の構造を固定して、且つ前記ターゲット量子回路中に含まれる各回路ユニットの回路パラメータを調整することに用いられるパラメータ調整最適化モジュール1360であって、調整停止条件が満たされた場合、パラメータが最適化調整された後の前記ターゲット量子回路を得るパラメータ調整最適化モジュール1360をさらに含む。
【0226】
例示的な実施例において、各グループの回路ユニット中に含まれる回路ユニットは繰り返し利用可能である。
【0227】
以上のように、異なるタイプの量子回路設計問題に対して、いずれも本願の技術的解決手段を採用して、相応な問題を解決することに用いられる1つのターゲット量子回路を構築することができ、それにより、異なるタイプの量子回路設計問題が高度に抽象化されて統合され、該解決手段は非常に高い普遍性及び汎用性を有する。
【0228】
また、遺伝的アルゴリズム自体に存在する計算による消費量が大きく、収束が遅いという欠陥に比べて、本願の技術的解決手段はサンプリングにより得られた候補量子回路に対応する性能評価指標を決定して、次に該性能評価指標に基づいてサンプリング方式及び回路ユニットプール中の回路ユニットを同期に更新するだけが必要であり、それにより、性能に優れた候補量子回路を迅速に作製でき、これは計算量を減少させるだけでなく、且つ最終的に決定されたターゲット量子回路の効率も向上させる。
【0229】
図15に参照されるように、本願の他の実施例が提供する量子回路の決定装置のブロック図が示されている。該装置は上記方法例を実現する機能を有し、前記機能はハードウェアにより実現されてもよく、ハードウェアにより相応なソフトウェアを実行することで実現されてもよい。該装置は上記で紹介したコンピュータ機器であってもよく、コンピュータ機器中に設置されてもよい。図15に示すように、該装置1500は、回路ユニット選択モジュール1510と、回路パラメータ決定モジュール1520と、量子回路構成モジュール1530とを含んでもよい。
【0230】
回路ユニット選択モジュール1510は、回路ユニットプール中からN個の回路ユニットを選択することに用いられ、前記回路ユニットプール中には複数の回路ユニットが含まれ、各回路ユニットは1つのユニタリ行列に対応する等価量子回路であり、Nは1より大きい整数である。
【0231】
回路パラメータ決定モジュール1520は、前記N個の回路ユニットのそれぞれに対応する回路パラメータを決定することに用いられ、前記回路パラメータは前記回路ユニットにより実行される操作を定義することに用いられ、且つ前記回路パラメータは更新可能である。
【0232】
量子回路構成モジュール1530は、前記N個の回路ユニット及び前記N個の回路ユニットのそれぞれに対応する回路パラメータに基づいて、量子回路を構成することに用いられる。
【0233】
例示的な実施例において、前記回路パラメータ決定モジュール1520は、前記N個の回路ユニット中のi個目の回路ユニットに対して、前記i個目の回路ユニットの充填対象の位置に基づき、回路パラメータプール中から前記i個目の回路ユニットの回路パラメータを取得することに用いられ、そのうち、前記回路パラメータプール中には前記回路ユニットプール中の各回路ユニットの各充填対象の位置上での回路パラメータが含まれ、iはN以下の正の整数である。
【0234】
例示的な実施例において、図16に示すように、前記装置1500はさらに、評価指標決定モジュール1540と、勾配情報計算モジュール1550と、回路パラメータ更新モジュール1560とを含む。
【0235】
評価指標決定モジュール1540は、前記量子回路に対応する性能評価指標を決定することに用いられる。
【0236】
勾配情報計算モジュール1550は、前記性能評価指標に基づいて、ターゲット勾配情報を計算することに用いられ、前記ターゲット勾配情報は前記量子回路の回路パラメータの勾配情報である。
【0237】
回路パラメータ更新モジュール1560は、前記ターゲット勾配情報に基づいて、前記量子回路の回路パラメータを更新して、更新後の量子回路を得ることに用いられる。
【0238】
例示的な実施例において、前記性能評価指標はターゲット関数の演算結果である。前記勾配情報計算モジュール1550は、前記ターゲット関数の前記量子回路の回路パラメータに対する導関数を計算して、前記ターゲット勾配情報を得ることに用いられる。
【0239】
例示的な実施例において、前記N個の回路ユニット中に含まれる回路ユニットは繰り返し利用可能である。
【0240】
以上のように、本願の実施例が提供する技術的解決手段は、量子回路をユニタリ行列に対応する一連の等価量子回路を積み重ねてなるものとみなすことにより、量子回路を1つずつの回路ユニットに分割し、回路ユニットプールを構築することで選択可能な回路ユニットを提供し、該回路ユニットプール中から回路ユニットを選択して量子回路を構築し、可微分量子アーキテクチャ探索を実現し、普遍性が高く且つ汎用性がある量子回路構築解決手段を提供する。
【0241】
説明するべきものとして、上記実施例が提供する装置は、その機能を実現する時、上記各機能モジュールの分割のみを例にして説明したが、実際の応用において、必要に応じて上記機能を異なる機能モジュールに割り当てて完了させてもよく、すなわち機器の内部構造を異なる機能モジュールに分割して、それにより、上記で記述したすべて又は一部の機能を完了する。また、上記実施例が提供する装置及び方法実施例は共通発想に属し、その具体的な実現過程は方法実施例に詳しく記載されているため、ここでは詳しく説明しない。
【0242】
図17に参照されるように、本願の一実施例が提供するコンピュータ機器の構造ブロック図が示されている。該コンピュータ機器は上記実施例が提供する量子回路の決定方法を実施することに用いることができる。該コンピュータ機器が古典的なコンピュータであることを例とする。
【0243】
該コンピュータ機器1700は処理ユニット(例えば、CPU(Central Processing Unit、中央プロセッサ)、GPU(Graphics Processing Unit、グラフィックスプロセッシングユニット)及びFPGA(Field Programmable Gate Array、フィールドプログラマブルゲートアレイ)等)1701と、RAM(Random-Access Memory、ランダムアクセスメモリ)1702及びROM( Read-Only Memory、リードオンリーメモリ)1703を含むシステムメモリ1704と、システムメモリ1704と中央処理ユニット1701を接続するシステムバス1705とを含む。該コンピュータ機器1700は、サーバ内の各デバイスの間に情報を伝送することを助ける基礎入力/出力システム(Input Output System、I/Oシステム)1706と、オペレーティングシステム1713、アプリケーションプログラム1714及び他のプログラムモジュール1715を記憶することに用いられる大容量記憶機器1707とをさらに含む。
【0244】
該基礎入力/出力システム1706は、情報を表示することに用いられるディスプレイ1708と、ユーザーが情報を入力することに用いられる、例えばマウス、キーボードのような入力機器1709とを含む。そのうち、該ディスプレイ1708及び入力機器1709はいずれもシステムバス1705に接続された入力出力制御装置1710によって中央処理ユニット1701に接続される。該基礎入力/出力システム1706は入力出力制御装置1710をさらに含んでもよく、キーボード、マウス、又は電子スタイラス等の複数の他の機器からの入力を受信して処理することに用いられる。似たように、入力出力制御装置1710はディスプレイスクリーン、印刷機又は他のタイプの出力機器への出力をさらに提供する。
【0245】
該大容量記憶機器1707はシステムバス1705に接続された大容量記憶制御装置(図示せず)によって中央処理ユニット1701に接続される。該大容量記憶機器1707及びそれに関連するコンピュータ読み取り可能な媒体はコンピュータ機器1700に不揮発性記憶を提供する。つまり、該大容量記憶機器1707はハードディスク又はCD-ROM(Compact Disc Read-Only Memory、コンパクトディスク読み出し専用メモリ)ドライバ等のコンピュータ読み取り可能な媒体(図示せず)を含んでもよい。
【0246】
一般性を失うことなく、該コンピュータ読み取り可能な媒体はコンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含んでもよい。コンピュータ記憶媒体はコンピュータ読み取り可能な命令、データ構成、プログラムモジュール又は他のデータ等の情報を記憶することに用いられる任意の方法又は技術で実現した揮発性及び不揮発性、リムーバブル及び非リムーバブル媒体を含む。コンピュータ記憶媒体はRAM、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory、消去可能読み取り専用メモリ)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory、電気的消去可能読み取り専用メモリ)、フラッシュメモリ又は他の固体状態記憶技術、CD-ROM、DVD(Digital Video Disc、高密度デジタルビデオ光ディスク)又は他の光学記憶、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶又は他の磁気記憶機器を含む。もちろん、当業者であれば分かるように、該コンピュータ記憶媒体は上記いくつかの種類に限定されない。上記システムメモリ1704及び大容量記憶機器1707はメモリと総称してもよい。
【0247】
本願の実施例によれば、該コンピュータ機器1700はさらにインターネット等のネットワークによってネットワーク上の遠隔コンピュータに接続して運行できる。すなわち、コンピュータ機器1700は該システムバス1705上に接続されたネットワークインタフェースユニット1711によってネットワーク1712に接続でき、又は、さらにネットワークインタフェースユニット1711を使用して他のタイプのネットワーク又は遠隔コンピュータシステム(図示せず)に接続できる。
【0248】
前記メモリは少なくとも1つの命令、少なくとも1つのプログラム、コードセット又は命令セットをさらに含み、該少なくとも1つの命令、少なくとも1つのプログラム、コードセット又は命令セットはメモリ中に記憶されており、且つ配置することにより1つ又は1つ以上のプロセッサにより実行され、それにより上記量子回路の決定方法を実現する。
【0249】
1つの例示的な実施例において、さらにコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供しており、前記記憶媒体中には少なくとも1つの命令、少なくとも1つのプログラム、コードセット又は命令セットが記憶されており、前記少なくとも1つの命令、前記少なくとも1つのプログラム、前記コードセット又は命令セットはプロセッサに実行される時に上記量子回路の決定方法を実現する。
【0250】
任意選択的に、該コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、ROM(Read-Only Memory、リードオンリーメモリ)、RAM(Random-Access Memory、ランダムアクセスメモリ)、SSD(Solid State Drives、ソリッドステートドライブ)又は光ディスク等を含んでもよい。そのうち、ランダムアクセスメモリはReRAM(Resistance Random Access Memory、抵抗ランダムアクセスメモリ)及びDRAM(Dynamic Random Access Memory、ダイナミックランダムアクセスメモリ)を含んでもよい。
【0251】
1つの例示的な実施例において、さらにコンピュータプログラム製品又はコンピュータプログラムを提供しており、前記コンピュータプログラム製品又はコンピュータプログラムはコンピュータ命令を含み、前記コンピュータ命令はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体中に記憶されている。コンピュータ機器のプロセッサは前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体から前記コンピュータ命令を読み取り、前記プロセッサは前記コンピュータ命令を実行することで、前記コンピュータ機器に上記量子回路の決定方法を実行させる。
【0252】
理解すべきものとして、本明細書中に言及されている「複数」とは2つ又は2つ以上を指す。「及び/又は」は、関連対象の関連関係を記述し、3つの関係が存在する可能性があることを示し、例えば、A及び/又はBは、Aが単独に存在する、A及びBが同時に存在すること、Bが単独に存在することの3つの状況を示すことができる。文字「/」は、一般的に、前後関連対象が「又は」の関係であることを示す。また、本明細書中に記述されたステップの番号は、ステップの間の可能な実行順番を例示的に示すものに過ぎず、いくつかの他の実施例において、上記ステップは番号の順序で実行しなくてもよく、例えば、2つの異なる番号のステップは同時に実行したり、又は2つの異なる番号のステップは図示と反対の順序で実行したりしてもよく、本願の実施例はこれに対して限定しない。
【0253】
上記は本願の例示的な実施例に過ぎず、本願を限定することに使用されず、本願の精神及び原則内に行った任意の修正、均等物への置換、改良等であれば、すべて本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0254】
1 回路ユニット
1300 装置
1310 回路サンプリングモジュール
1311 モデル構築ユニット
1312 回路サンプリングユニット
1313 回路構造ユニット
1320 回路評価モジュール
1330 パラメータ更新モジュール
1331 勾配計算ユニット
1332 モデルパラメータ更新ユニット
1333 回路パラメータ更新ユニット
1340 回路決定モジュール
1350 パラメータ取得モジュール
1360 パラメータ調整最適化モジュール
1500 装置
1510 回路ユニット選択モジュール
1520 回路パラメータ決定モジュール
1530 量子回路構成モジュール
1540 評価指標決定モジュール
1550 勾配情報計算モジュール
1560 回路パラメータ更新モジュール
1700 コンピュータ機器
1701 中央処理ユニット
1704 システムメモリ
1705 システムバス
1706 出力システム
1707 大容量記憶機器
1708 ディスプレイ
1709 入力機器
1710 入力出力制御装置
1711 ネットワークインタフェースユニット
1712 ネットワーク
1713 オペレーティングシステム
1714 アプリケーションプログラム
1715 プログラムモジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17