(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】液晶表示装置および画像フリーズの検出方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20240311BHJP
B60K 35/00 20240101ALI20240311BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20240311BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240311BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
G09G3/36
B60K35/00
G02F1/133 550
G09G3/20 631V
G09G3/20 650B
G09G3/20 670A
G09G3/20 670B
G09G3/34 J
(21)【出願番号】P 2020066642
(22)【出願日】2020-04-02
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】田中 計哉
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-218380(JP,A)
【文献】特開2009-098581(JP,A)
【文献】特表2010-536059(JP,A)
【文献】特開2016-039508(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1543290(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K35/00-37/06
G02F1/133
G09G3/00-3/08
3/12
3/16-3/26
3/30
3/34-3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示装置における画面フリーズの検出方法であって、
液晶表示部の内部エラーを検出するステップと、
前記内部エラーが検出されたことに応答して前記液晶表示部の画面を第1の画像から当該第1の画像と異なる第2の画像に切替えるステップと、
前記第1の画像のときの前記液晶表示部による第1の消費電流と前記第2の画像のときの前記液晶表示部による第2の消費電流との差が一定以下であるとき画面フリーズであると判定するステップと、
を有する検出方法。
【請求項2】
前記第1の画像は、黒または白であり、前記第2の画像は、白または黒である、請求項1に記載の検出方法。
【請求項3】
前記第1の画像は、前記液晶表示部が現在表示している画像である、請求項1に記載の検出方法。
【請求項4】
検出方法はさらに、
前記第1の画像から
前記第2の画像に画面を切替えるとき、バックライトをオフにするステップを含む、請求項1に記載の検出方法。
【請求項5】
検出方法はさらに、画面フリーズであると判定された場合、バックライトをオフし、前記液晶表示部に黒画面を表示させるステップを含む、請求項1に記載の検出方法。
【請求項6】
検出方法はさらに、表示モード毎の基準消費電流を記憶部に記憶するステップと、
前記液晶表示部の画面に選択された表示モードの画像が表示されたときの消費電流と当該表示
モードに対応する基準消費電流とを比較するステップとを含み、
前記比較するステップにより一定の差が検出されたときに前記切替えるステップおよび前記判定するステップが実施される、請求項1に記載の検出方法。
【請求項7】
液晶表示部と、
前記液晶表示部の内部エラーを検出する内部エラー検出手段と、
前記液晶表示部の消費電流を検出する検出手段と、
前記内部エラー検出手段により内部エラーが検出されたことに応答して前記液晶表示部の画面を第1の画像から
当該第1の画像と異なる第2の画像に切替える画面切替手段と、
前記第1の画像を表示させたときの前記検出手段で検出された第1の消費電流と
前記第2の画像を表示させた
ときの前記検出手段で検出された第2の消費電流と
の差が一定以下であるとき画面フリーズ
であると判定する判定手段とを含む、液晶表示装置。
【請求項8】
前記第1の画像は、黒または白であり、前記第2の画像は、白または黒である、請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記第1の画像は、前記液晶表示部が現在表示している画像である、請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記
画面切替手段は、前記液晶表示部の画面を切替えるときにバックライトをオフにする、請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
液晶表示装置はさらに、前記判定手段により
画面フリーズであると判定された場合、バックライトをオフし、前記液晶表示部に黒画面を表示させる安全状態表示手段を含む、請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
液晶表示装置はさらに、表示モード毎の基準消費電流を記憶する記憶手段と、
前記液晶表示部の画面に選択された表示モードの画像を表示させたときの消費電流と当該表示モードに対応する基準消費電流とを比較する比較手段とを含み、
前記比較手段により一定の差が検出されたときに前記画面
切替手段および前記判定手段が実施される、請求項7に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関し、特に画像のフリーズの検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インスツルメンツパネル内に配置された速度計、タコメータ、燃料計などの針式メーターは、液晶パネルによるクラスター表示に置換されつつある。クラスター表示には、警告も表示されるため、その機能安全要求が求められる。機能安全要求は、画面フリーズ(表示画面の異常事象)を検出したとき、画面を安全状態(例えば、黒画面)にし、運転者が画面フリーズよって警告に気がつかないことを防止する。
【0003】
液晶表示装置の画面フリーズに関して、例えば、特許文献1の液晶表示装置は、表示データに含まれる検出用信号のフレーム間の変化からフリーズ状態を検出している。また、特許文献2の画像表示システムは、画像情報の変化の有無によりフリーズを検出している。さらに特許文献3の車両用表示装置は、監視用駆動データの変化パターンが制御パターンと異なるとき、異常であると判定し表示制御系の作動状態をリセットしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-267452号公報
【文献】特開2008-252307号公報
【文献】特開2010-237287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1(A)に示すように、運転席の前方には液晶パネルによる液晶表示装置10が設けられる。液晶表示装置10には、
図1(B)に示すように、速度計、タコメータ、燃料計などに加えて、シートベルト着用、ガソリン残量、半ドアなどの警告を表示するための警告灯12を含むクラスターが表示される。液晶表示装置10の画面フリーズが検出されたとき、画面の全体を例えば黒画面の表示にし、運転者に画面異常があったことを通知する。
【0006】
図2は、従来の液晶表示装置の概略構成を示す図である。液晶表示装置10は、液晶パネル20、バックライト22、液晶パネル20を駆動するための液晶駆動回路30、液晶駆動回路30に表示データを供給する画像処理回路40、液晶駆動回路30に電力を供給するLCD電源回路50、バックライト22に電力を供給するバックライト電源回路60、液晶パネル20や液晶駆動回路30の内部エラーを検出するエラー検出部70、各部を制御する制御部80を含む。
【0007】
エラー検出部70は、液晶パネル20や液晶駆動回路30に関連するエラー(異常)を検出すると、内部エラー検出信号ERを制御部80に出力する。制御部80は、内部エラー検出信号ERを受け取ると、画面フリーズが発生したと判定し、バックライト電源回路60にバックライト22への電力供給を停止させる。これにより、液晶パネル20には黒画面が表示され、つまり安全状態の表示となり、ユーザーに画面フリーズが発生したことが知らされる。
【0008】
画面フリーズは、液晶パネル20の画面に表示される画像が停止してしまう事象であり、この事象は、例えば、液晶パネル20の薄膜トランジスタ(TFT)の故障や液晶駆動回路30による薄膜トランジスタへのゲート電圧の異常などによって発生する。一方、エラー検出部70の検出機能には、画面フリーズに直接関係しないエラー(例えば、静電気による高電圧の発生やノイズによる誤作動など)が含まれる。このため、制御部80は、内部エラー検出信号ERから画面フリーズを正確に検出することは難しい。また、内部エラー検出信号ERに応答して画面フリーズの検出が多発すると、制御部80は、その都度、バックライト22への電力供給を停止させ、液晶パネル20が安全状態として黒画面を表示することになり、その結果、液晶パネル20への黒画面の遷移が多すぎ、ユーザーに不快を与えてしまう。
【0009】
本発明は、上記従来の課題を解決し、画面フリーズの検出精度を向上することができる液晶表示装置および画面フリーズの検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る液晶表示装置における画面フリーズの検出方法は、液晶表示部の画面を第1の画像から第2の画像に切替えるステップと、前記第1の画像のときの前記液晶表示部による第1の消費電流と前記第2の画像のときの前記液晶表示部による第2の消費電流とに基づき画面フリーズを判定するステップとを有する。
【0011】
ある態様では、前記第1の画像は、黒または白であり、前記第2の画像は、白または黒である。ある態様では、前記判定するステップは、前記第1の消費電流と前記第2の消費電流との差が一定以下であるとき、画面フリーズと判定する。ある態様では、検出方法はさらに、第1の画像から第2の画像に画面を切替えるとき、バックライトをオフにするステップを含む。ある態様では、検出方法はさらに、前記液晶表示部の内部エラーを検出するステップを含み、前記内部エラーが検出されたときに前記切替えるステップおよび前記判定するステップが実施される。ある態様では、検出方法はさらに、表示モード毎の基準消費電流を記憶部に記憶するステップと、液晶表示部の画面に選択された表示モードの画像が表示されたときの消費電流と当該表示モードに対応する基準消費電流とを比較するステップとを含み、前記比較するステップにより一定の差が検出されたときに前記切替えるステップおよび前記判定するステップが実施される。
【0012】
本発明に係る液晶表示装置は、液晶表示部と、前記液晶表示部の消費電流を検出する検出手段と、前記液晶表示部の画面フリーズを検出する画面フリーズ検出手段とを含み、前記画面フリーズ検出手段は、前記液晶表示部の画面を第1の画像から第2の画像に切替える画像切替手段と、第1の画像を表示させたときの前記検出手段で検出された第1の消費電流と第2の画像を表示させたきの前記検出手段で検出された第2の消費電流とに基づき画面フリーズを判定する判定手段とを含む。
【0013】
ある態様では、前記第1の画像は、黒または白であり、前記第2の画像は、白または黒である。ある態様では、前記判定手段は、前記第1の消費電流と前記第2の消費電流との差が一定以下であるとき、画面フリーズと判定する。ある態様では、前記画像切替手段は、第1の画像から第2の画像に画面を切替えるときにバックライトをオフにする。ある態様では、液晶表示装置はさらに、前記液晶表示部の内部エラーを検出する内部エラー検出手段を含み、前記内部エラー検出手段により内部エラーが検出されたときに画面フリーズ検出手段が実施される。ある態様では、液晶表示装置はさらに、表示モード毎の基準消費電流を記憶する記憶手段と、液晶表示部の画面に選択された表示モードの画像を表示させたときの消費電流と当該表示モードに対応する基準消費電流とを比較する比較手段とを含み、前記比較手段により一定の差が検出されたときに前記画面フリーズ検出手段が実施される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第1の画像から第2の画像に画面を切替え、第1の画像のときの第1の消費電流と第2の画像のときの第2の消費電流とから画面フリーズを判定するようにしたので、従来と比較して画面フリーズの検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】液晶パネルによるクラスターの表示例を示す示である。
【
図2】従来の液晶表示装置の画面フリーズの検出方法を説明する図である。
【
図3】本発明の実施例に係る液晶表示装置の構成を示す図である。
【
図4】サブ画素を構成する薄膜トランジスタと液晶の接続関係を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施例に係る液晶表示装置の画面フリーズ検出機能の構成を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施例に係る画面フリーズ検出機能を動作フローである。
【
図7】本発明の第2の実施例に係る画面フリーズ検出機能の構成を示す図である。
【
図8】本発明の第2の実施例に係る画面フリーズ検出機能を動作フローである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の液晶表示装置は、画面フリーズを検出する機能を備え、例えば車両のメーター類を表示するインスツルメンツパネルとして利用される。液晶表示装置は、車両のエンジン制御ユニットと連携して車両の状態(速度、タコメータ、燃料の残量、警告灯)に関する情報を表示したり、車載装置と連携してナビゲーション画面、オーディオ画面や車載カメラで撮像した画面を表示することも可能である。
【実施例】
【0017】
次に、本発明の実施例について説明する。
図3は、本発明の実施例に係る液晶表示装置の構成を示す図である。
図2と同一の構成については同一参照番号を附す。本実施例の液晶表示装置100は、
図2の構成に加えて電流監視部110を備えている。電流監視部110は、LCD電源回路50が液晶駆動回路に供給する電流を監視し、言い換えれば、液晶駆動回路30の消費電流を監視する。電流監視部110は、制御部80からの指示に応じてLCD電源回路50の電流を検出し、検出した電流を制御部80に提供する。制御部80は、後述するように、電流監視部110で検出された消費電流に基づき画面フレーズの有無を判定する。
【0018】
液晶パネル20は、例えば、TFT(Thin Film Transistor)液晶構造から構成される。TFT液晶構造は、複数の薄膜トランジスタがマトリックス状に形成されたTFTアレイ基板を含み、この基板上に、液晶、RGBカラーフィルター、偏光板等が設けられ、アレイ基板の下方に、偏光板、バックライト22等が設けられる。液晶パネル20の画面を構成する1画素は、RGBカラーフィルターのRGBに対応する3つのサブ画素を含み、1つのサブ画素には1つの薄膜トランジスタを含む。
【0019】
液晶駆動回路30は、マトリックス状に配置された複数の薄膜トランジスタの各々を駆動する。
図4に、その一部として2行×2列に配置された薄膜トランジスタを例示する。i行の薄膜トランジスタQ1、Q2の各ゲートには、液晶駆動回路30からの駆動信号線Xiが共通に接続され、j行の薄膜トランジスタQ3、Q4の各ゲートには、液晶駆動回路30からの駆動信号線Xjが共通に接続される。i列の薄膜トランジスタQ1、Q3のドレイン電極にはデータ線Diが共通に接続され、j列の薄膜トランジスタQ2、Q4のドレイン電極にはデータ線Djが共通に接続される。各薄膜トランジスタのソース電極には、液晶素子Caと補助キャパシタCbとが接続される。
【0020】
液晶駆動回路30は、駆動信号線Xi、Xjを介して薄膜トランジスタのゲートを駆動するためのゲート電圧を生成し、かつ画像処理回路40から提供される表示データに対応する電圧を生成し、生成した電圧をデータ線Di、Djを介して薄膜トランジスタのドレイン電極に印加する。例えば、駆動信号線Xiを介してHレベルのゲート電圧が薄膜トランジスタQ1、Q2に印加されると、薄膜トランジスタQ1、Q2がオンし、薄膜トランジスタQ1の液晶素子Caには、データ線Diから表示データに応じた電圧が印加され、薄膜トランジスタQ2の液晶素子Caには、データ線Djから表示データに応じた電圧が印加される。液晶素子Caは、印加される電圧に応じて分子の向きを変え、バックライト22からの光の透過量を可変する。こうして液晶素子Caに印加される電圧に応じて階調表示が制御され、液晶パネル20には表示データに応じた画像が表示される。一方、駆動信号線Xiを介してLレベルのゲート電圧が薄膜トランジスタQ1、Q2に印加されると、薄膜トランジスタQ1、Q2がオフし、薄膜トランジスタQ1、Q2の液晶素子Caには電圧が印加されない。この場合、バックライト22からの光の透過量が完全に遮断され、液晶パネル20の画面には黒が表示される。
【0021】
電流監視部110は、上記したように液晶駆動回路30の消費電流を検出する。1つの態様では、電流監視部110は、液晶駆動回路30がゲート電圧を駆動するときの消費電流を検出する。液晶パネル20に表示データに対応する画像を表示させる場合、全ての薄膜トランジスタがオンするようにHレベルのゲート電圧で駆動するため、これには一定の消費電流が生じする。他方、液晶パネル20の画面の全体を黒で表示する場合、全ての薄膜トランジスタがオフするようにゲート電圧をLレベル(GNDレベル)にするため、この場合には殆ど消費電流が生じない。
【0022】
また、他の態様では、電流監視部110は、液晶駆動回路30が表示データに対応する電圧を駆動するときの消費電流を検出するようにしてもよい。薄膜トランジスタのドレイン電極に印加される電圧は、表示データに応じて異なるため、表示色によってドレイン電極に印加する電圧を駆動するときの消費電流が異なる。例えば、液晶パネルの画面に白を表示させる場合、バックライトの光の透過量が最大となるような電圧を生成し、黒を表示させる場合には、バックライトの光の透過量が最小となるような電圧する。液晶パネルの画面に白と黒を表示させるときの電圧差は最大となり、そのときの消費電流差が最大となる。
【0023】
制御部80は、ハードウエアおよび/またはソフトウエアにより液晶表示装置100の動作を制御する。制御部80は、画像処理回路40、LCD電源回路50、バックライト電源回路60等の制御を行う。また、制御部80は、エラー検出部70からの内部エラー検出信号ERに基づきエラー処理を行う。本実施例では、制御部80は、液晶表示装置100の表示制御に加えて、画面フリーズを検出する機能を備える。
【0024】
図5に、本発明の第1の実施例に係る画面フリーズ検出機能の構成を示す。画面フリーズ検出機能200は、LCDエラー検出部210、画面切替部220、消費電流検出部230、画面フリーズ判定部240および安全状態表示部250を含んで構成される。
【0025】
LCDエラー検出部210は、エラー検出部70からの内部エラー検出信号ERを受け取り、LCD内部にエラーが発生したことを示すエラーコードをレジスタ等の格納する。エラー検出部70は、液晶パネル20や液晶駆動回路30等のLCDの内部エラーを検出する。本実施例では、エラー検出部70により検出された内部エラーの全てを画面フリーズと判定しない。従って、LCDエラー検出部210は、内部エラー検出信号ERを受信しても、この時点でバックライト電源回路60の電力供給を停止させず、バックライト22をオフさせない。
【0026】
画面切替部220は、LCDエラー検出部210によりLCDの内部エラーが検出されると、液晶パネル20の画面を切替える。画面切換部220は、例えば、液晶パネル20の画面に黒を表示させ、次に、黒の画面を白に切替える。この順序は、反対でもよく、白の画面から黒の画面に切替えてもよい。画面切替部220は、液晶パネル20に黒の画面を表示させる場合、液晶駆動回路30が駆動するゲート電圧を全てLレベル(GND)にさせる。別な態様では、ゲート電圧を全てHレベルに駆動して薄膜トランジスタをオンさせ、画像処理回路40から黒を表す表示データを液晶駆動回路30に供給し、液晶素子がバックライト22からの光の透過量を完全に遮断するようにしてもよい。
【0027】
画面の切替え時間は、ユーザーの支障とならないように短時間で行われることが望ましい。液晶パネル20の画面の表示が、例えば1秒間に30枚のフレームを用いて行われるならば、画面切替部220は、黒画面のフレームと白画面のフレームの2つフレームを画面の切替えに割り当てることができる。但し、黒画面と白画面は、1フレームよりも多いフレーム数であってもよいし、黒画面と白画面とが必ずしも連続して表示されなくてもよい。さらに画面の切替えの影響を軽減するため、画面切替部220は、画面切替えの際にバックライト電源回路60による電力供給を停止させ、バックライト22をオフし、見た目上、黒画面が表示されるようにしてもよい。
【0028】
消費電流検出部230は、画面切替部220による画面の切替えと同期するタイミングで黒画面を表示させたときの消費電流と白画面を表示させたときの消費電流を電流監視部110に検出させる。
【0029】
画面フリーズ判定部240は、電流監視部110によって検出された黒画面を表示させたときの消費電流と白画面を表示させたときの消費電流とを比較し、その差分が一定以下であるとき、あるいは変化がないとき、画面フリーズと判定する。上記したように、黒画面を表示させるために薄膜トランジスタの全てをオフにした場合(ゲート電圧をGNDにした場合)、その消費電流は、白画面を表示させるために薄膜トランジスタの全てをオンにしたとき(ゲート電圧をHレベルに駆動)の消費電流よりも小さい。液晶パネル20の画面の切替えが正常であるならば、黒画面と白画面との間には一定の消費電流の差が生じるはずである。もし、黒画面と白画面との間の消費電流の差が一定以下であれば、液晶駆動回路30の故障等によりゲート電圧が正常に生成されていないか、あるいは薄膜トランジスタの故障等により薄膜トランジスタが正常に動作しておらず、画面フリーズが発生していると考えられる。
【0030】
安全状態表示部250は、画面フリーズ判定部240が画面フリーズと判定した場合、バックライト電源回路60の電力供給を停止させ、バックライト22をオフし、液晶パネル20に安全状態として黒画面を表示させる。一方、画面フリーズでない判定された場合には、バックライト22をオフすることなく液晶パネル20による表示が継続される。
【0031】
次に、本実施例の画面フリーズ機能の動作フローを
図6に示す。液晶表示装置100の動作開始に伴い画面フリーズ検出機能200が動作を開始する。LCDエラー検出部210は、エラー検出部70の内部エラー検出信号ERを監視し、LCDの内部にエラーが発生したか否かを検出する(S100)。LCDの内部エラーが検出されると、画面切替部220は、液晶パネル20に黒画面を表示させ(S110)、消費電流検出部220は電流監視部110に黒画面を表示したときの消費電流を検出させる(S120)。次に、画面切替部210は、黒画面から白画面へ画面の切替えを行い(S130)、電流監視部110に白画面を表示したときの消費電流を検出させる(S140)。次に、画面フリーズ判定部240は、黒画面の消費電流と白画面の消費電流とを比較し(S150)、その差分が一定より大きければ画面フリーズはしていないと判定し、そのまま画像表示を継続させる。他方、差分が一定以下であれば画面フリーズしていると判定し(S160)、その判定結果を受けて安全状態表示部250はバックライト電源回路60からの電力供給と停止させ、バックライト22をオフし、安全状態の黒画面を表示させる(S170)。
【0032】
このように本実施例によれば、LCDの内部エラーが検出された場合、黒画面と白画面の画面切替えをしたときの消費電流の差から画面フリーズを判定するようにしたので、画面フリーズの検出精度を高めることができる。その結果、画面フリーズの誤検出を減少させ、不必要な安全状態の表示が多発することを抑制することができる。
【0033】
上記実施例では、エラー検出部70によるLCDの内部エラーが検出されたときに、画面フリーズ検出機能200が実施されるようにしたが、これは一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。本実施例の画面フリーズ検出機能200は、エラー検出部70のエラー検出動作とは無関係に実施されるようにしてもよい。例えば、画面フリーズ検出機能200は、予め決められたスケジュールに従い実施されるようにしてもよいし、液晶表示装置が動作中に定期的に実施されるようにしてもよい。
【0034】
また上記実施例では、画面切替部220は、黒画面から白画面、または白画面から黒画面への画面切替えを行う例を示したが、薄膜トランジスタのゲート電圧の駆動による消費電流の差を利用する場合には、切替える画面は、白画面以外の他の任意の色の画面であってもよく、さらに画面に表示される色は一色である必要はない。つまり、黒画面の表示以外を表示する場合には、薄膜トランジスタが動作されるため、何を表示させてもゲート電圧の駆動による消費電流は一定である。
【0035】
さらに、薄膜トランジスタのゲート電圧の駆動による消費電流の差を利用するのではなく、表示データに対応する電圧を駆動するための消費電流の差を利用する場合には、画面の切替えは、黒画面以外の他の任意の色の画面であってもよい。黒画面の表示と白画面の表示のときで消費電流の差が最も大きくなるが、これ以外にも消費電流の差を容易に検出することができるのであれば、他の表示色の画面の切替えであってもよい。
【0036】
さらに上記実施例では、画面切替部220が画面面切替えのための黒画面と白画面とを用意したが、これに限らず、液晶パネル20が現在表示している画像から白画面または黒画面等への他の画面への切替えを行うものであってもよい。例えば、
図1(B)に示すようなメーター類が表示されているとき、このメーター類の画面から黒画面または白画面への切替えを行うようにしてもよい。この場合、メーター類が表示されているときの消費電流と切替えられた黒画面または白画面の消費電流の差に基づき画面フリーズが判定される。なお、
図1(B)に示すメーター類を表示する画面は、一般に背景を黒で表示するため、切替える画面は、消費電流差が大きくなる白画面または明るい画面が望ましい。
【0037】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。第2の実施例では、液晶表示装置100が、複数の表示モードを備え、ユーザー等の指示に応じて各表示モードの切替えを行う機能を備えている。
【0038】
図7は、第2の実施例に係る画面フリーズ検出機能200Aの構成を示す図であり、第2の実施例は、表示モード識別部260および基準消費電流記憶部270をさらに包含する。表示モード識別部260は、液晶パネル20の表示モードを識別する。表示モードは、例えば、ナビゲーション機能が実行されたときに道路地図等を表示するナビゲーションモード、車載カメラで撮像した道路周辺の画像を表示するカメラモード、オーディオ再生機能が実行されたときに再生画面等を表示するオーディオモードである。これらの表示モードは、
図1(B)に示すメーター類の画像に加えて、それらの画像を表示する。例えば、ナビゲーションモードであれば、メーター類に加えてナビゲーション画面が表示される。
【0039】
基準消費電流記憶部270は、各表示モードが正常に動作しているときの基準消費電流値を予め記憶部に記憶する。例えば、ナビゲーションモードのときの基準消費電流、カメラモードのときの基準消費電流、オーディオモードのときの基準消費電流が記憶される。
図1(B)に示すようなメーター類を含む画面は、表示色が固定されるため、基準消費電流は概ね一定である。これらの基準消費電流は、製品毎にバラツキ等があるので、製品毎に消費電流を実測し、その実測値に基づき基準消費電流を決定することが望ましい。
【0040】
図8に、第2の実施例による画面フリーズ検出機能の動作フローを示す。先ず、基準消費電流記憶部270は、表示モード毎の基準となる消費電流を記憶部に記憶する(S200)。次に、消費電流検出部230により現在の液晶パネルに表示されている表示画面による消費電流が検出され(S210)、次に、表示モード識別部260により現在の表示画面の表示モードが識別される(S220)。画面フリーズ判定部240は、表示モードが識別されると、該当する表示モードの基準消費電流を記憶部から読出し(S230)、読み出した基準消費電流と検出した消費電流とを比較し(S240)、消費電流の差分が一定以上ある場合には、画面表示異常の可能性があると判定し(S250)、引き続き第1の実施例のときの検出を実施する(S260)。すなわち、画面フリーズ判定部240は、現在の表示画面を他の画面へ切替え、切替えられた画面の消費電流を検出し、ステップS210で検出された消費電流との差分から画面フリーズの有無を判定する。
【0041】
本実施例によれば、予め用意された基準消費電流と実際に表示された画面の消費電流とに基づき画面表示異常の可能性があると判定した場合に、第1の実施例のように画面の切替えを行いその消費電流差から画像フリーズを判定するようにしたので、画面フリーズの検出精度を向上させることができる。
【0042】
また、第2の実施例においても、内部エラー検出部70の内部エラー検出信号ERの発生を条件に画面フリーズを判定するようにしてもよい。例えば、表示モードの消費電流との差分が一定以上であり、かつ内部エラー検出信号ERによる内部エラーが発生したときに、第1の実施例のように画面の切替えを行いその消費電流差から画面フリーズを判定するようにしてもよい。
【0043】
次に、第2の実施例の変形例について説明する。制御部80は、液晶駆動回路30が正常に動作するときの正常設定値を予め記憶部に記憶する。エラー検出部70は、LCDの内部エラーを検出すると、液晶駆動回路30のレジスタの内容を正常設定値からエラーコードに書換える。制御部80は、
図8のステップS200~S250の動作を実施し、画面表示異常の可能性があると判定された場合(S250)、液晶駆動回路30のレジスタの内容を読出し、読み出した内容が正常設定値と異なる場合には、ステップS260の動作を行うようにしてもよい。このような方法は、エラー検出部70が故障によりエラー検出信号ERを制御部80へ通知できないような場合に有効である。
【0044】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
20:液晶パネル 22:バックライト
30:液晶駆動回路 40:画像処理回路
50:LCD電源回路 60:バックライト電源回路
70:エラー検出部 80:制御部
100:液晶表示装置 110:電流監視部