(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】ユニット
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20240311BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20240311BHJP
【FI】
H02K9/19 Z
H02K9/19 A
H02K11/33
(21)【出願番号】P 2023529729
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(86)【国際出願番号】 JP2022021493
(87)【国際公開番号】W WO2022270211
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2023-10-16
(31)【優先権主張番号】P 2021105239
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004141
【氏名又は名称】弁理士法人紀尾井坂テーミス
(72)【発明者】
【氏名】横山 和彦
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-260898(JP,A)
【文献】特表2013-519345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/19
H02K 11/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器と、
モータを収容するモータケースと、
インバータを収容するインバータケースと、を有し、
前記熱交換器は、前記モータケース及び前記インバータケースとは別体の部品で構成され、
軸方向に交差する第1方向視において前記インバータケースは前記熱交換器及び前記モータケースとオーバーラップする部分を有する、ユニット。
【請求項2】
請求項1において、
前記熱交換器は前記モータケースと前記インバータケースとに挟まれた部分を有する、ユニット。
【請求項3】
請求項2において、
前記軸方向および前記第1方向と交差する
第2方向視において前記熱交換器は前記モータケース及び/又は前記インバータケースとオーバーラップするタブを有する、ユニット。
【請求項4】
請求項2において、
前記インバータケースは、前記モータケースと一体形成された部分を有する、ユニット。
【請求項5】
請求項3において、
前記インバータケースは、前記モータケースと一体形成された部分を有する、ユニット。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
前記熱交換器の長手方向は前記インバータケースの長手方向に沿って延在する、ユニット。
【請求項7】
熱交換器と、
モータを収容するモータケースと、
インバータを収容するインバータケースと、を有し、
軸方向と交差する交差方向視において前記インバータケースは前記熱交換器及び前記モータケースとオーバーラップする部分を有し、
前記熱交換器は、前記交差方向において前記インバータケースと前記モータケースに挟み込まれる部分を有する、ユニット。
【請求項8】
請求項1又は請求項7において、
前記熱交換器は、前記モータケースの外壁に設けられた凹部に収容された部分を有する、ユニット。
【請求項9】
請求項1において、
前記第1方向視において前記熱交換器は前記モータケースに対してオフセットしている、ユニット。
【請求項10】
請求項1又は請求項7において、
前記熱交換器の本体部は、直方体形状である、ユニット。
【請求項11】
熱交換器と、
モータを収容するモータケースと、
インバータを収容するインバータケースと、を有し、
軸方向と交差する交差方向視において前記インバータケースは前記熱交換器及び前記モータケースとオーバーラップする部分を有し、
前記熱交換器は、前記モータケースの外壁に設けられた凹部に収容された部分を有する、ユニット。
【請求項12】
熱交換器と、
モータを収容するモータケースと、
インバータを収容するインバータケースと、を有し、
軸方向と交差する交差方向視において前記インバータケースは前記熱交換器及び前記モータケースとオーバーラップする部分を有し、
前記交差方向視において前記熱交換器は前記モータケースに対してオフセットしている、ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、モータおよび動力伝達機構を有するユニットを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユニットでは、回転部材の潤滑、冷却等のためにオイルが用いられる。ユニットには、オイルの冷却のために熱交換器が搭載される。熱交換器は、冷却水等のリキッドとオイルとの熱交換を行うことにより、オイルを冷却する。
【0005】
熱交換器を搭載したユニットにおいて、少なくとも一方向における寸法の縮小に寄与する構造を提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様におけるユニットは、
熱交換器と、
モータを収容するモータケースと、
インバータを収容するインバータケースと、を有し、
前記熱交換器は、前記モータケース及び前記インバータケースとは別体の部品で構成され、
軸方向に交差する第1方向視において前記インバータケースは前記熱交換器及び前記モータケースとオーバーラップする部分を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、熱交換器を搭載したユニットにおいて、少なくとも一方向における寸法の縮小に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、車両に搭載されるユニットを説明するスケルトン図である。
【
図5】
図5は、ユニットにおける冷却水の流れを説明する図である。
【
図6】
図6は、デフケースによるオイルの掻き上げを説明する図である。
【
図7】
図7は、ハウジングに取り付けられたオイルクーラを示す図である。
【
図9】
図9は、オイルクーラの構成を説明する図である。
【
図11】
図11は、オイルクーラの組付けを説明する図である。
【
図12】
図12は、変形例1にかかるユニットを説明する図である。
【
図13】
図13は、変形例2にかかるユニットを説明する図である。
【
図14】
図14は、変形例3にかかるユニットを説明する図である。
【
図15】
図15は、変形例4にかかるユニットを説明する図である。
【
図16】
図16は、変形例5にかかるユニットを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、本明細書における用語の定義を説明する。
「ユニット」は、「モータユニット」、「動力伝達装置」等とも呼ばれる。モータユニットは、少なくともモータを有するユニットである。動力伝達装置は、少なくとも動力伝達機構を有する装置であり、動力伝達装置は、例えば、歯車機構及び/又は差動歯車機構である。モータ及び動力伝達機構を有する装置であるユニットは、モータユニット及び動力伝達装置の双方の概念に属する。
【0010】
「ハウジング」は、モータ、ギア、インバータを収容するものである。ハウジングは1つ以上のケースから構成される。
【0011】
「3in1」とは、モータを収容するモータケースの一部と、インバータを収容するインバータケースの一部とが、一体形成された形式を意味する。たとえば、カバーとケースが1つのケースを構成する場合、「3in1」では、モータを収容するケースとインバータを収容するケースが一体に形成されている。
【0012】
「モータ」は、電動機機能及び/又は発電機機能を有する回転電機である。
【0013】
第1要素(部品、部分等)に接続された第2要素(部品、部分等)、第1要素(部品、部分等)の下流に接続された第2要素(部品、部分等)、第1要素(部品、部分等)の上流に接続された第2要素(部品、部分等)と述べた場合、第1要素と第2要素とが動力伝達可能に接続されていることを意味する。動力の入力側が上流となり、動力の出力側が下流となる。また、第1要素と第2要素は、他の要素(クラッチ、他の歯車機構等)を介して接続されていても良い。
【0014】
「所定方向視においてオーバーラップする」とは、所定方向に複数の要素が並んでいることを意味し、「所定方向にオーバーラップする」と記載する場合と同義である。「所定方向」は、たとえば、軸方向、径方向、重力方向、車両走行方向(車両前進方向、車両後進方向)等である。
図面上において複数の要素(部品、部分等)が所定方向に並んでいることが図示されている場合は、明細書の説明において、所定方向視においてオーバーラップしていることを説明した文章があるとみなして良い。
【0015】
「所定方向視においてオーバーラップしていない」、「所定方向視においてオフセットしている」とは、所定方向に複数の要素が並んでいないことを意味し、「所定方向にオーバーラップしていない」、「所定方向にオフセットしている」と記載する場合と同義である。「所定方向」は、たとえば、軸方向、径方向、重力方向、車両走行方向(車両前進方向、車両後進方向)等である。
図面上において複数の要素(部品、部分等)が所定方向に並んでいないことが図示されている場合は、明細書の説明において、所定方向視においてオーバーラップしていないことを説明した文章があるとみなして良い。
【0016】
「所定方向視において、第1要素(部品、部分等)は第2要素(部品、部分等)と第3要素(部品、部分等)との間に位置する」とは、所定方向から観察した場合において、第1要素が第2要素と第3要素との間にあることが観察できることを意味する。「所定方向」とは、軸方向、径方向、重力方向、車両走行方向(車両前進方向、車両後進方向)等である。
例えば、第2要素と第1要素と第3要素とが、この順で軸方向に沿って並んでいる場合は、径方向視において、第1要素は第2要素と第3要素との間に位置しているといえる。図面上において、所定方向視において第1要素が第2要素と第3要素との間にあることが図示されている場合は、明細書の説明において所定方向視において第1要素が第2要素と第3要素との間にあることを説明した文章があるとみなして良い。
【0017】
軸方向視において、2つの要素(部品、部分等)がオーバーラップするとき、2つの要素は同軸である。
【0018】
「軸方向」とは、ユニットを構成する部品の回転軸の軸方向を意味する。「径方向」とは、ユニットを構成する部品の回転軸に直交する方向を意味する。部品は、例えば、モータ、歯車機構、差動歯車機構等である。
【0019】
遊星歯車機構の回転要素(例えば、サンギア、キャリア、リングギア等)が他の要素と「固定されている」とは、直接固定されていても良いし、別部材を介して固定されていても良い。
【0020】
「回転方向の下流側」とは、車両前進時における回転方向または車両後進時における回転方向の下流側を意味する。頻度の多い車両前進時における回転方向の下流側にすることが好適である。遊星歯車機構における回転方向の下流側とは、ピニオンギアの公転方向の下流側を意味する。
【0021】
「キャッチタンク」は、オイルが導入されるタンク(コンテナ)の機能を有する要素(部品、部分等)である。タンクの外側からタンクにオイルが供給されることを、「キャッチ」と表現している。キャッチタンクは、たとえばハウジングの少なくとも一部を利用して設けられるか、ハウジングと別体で設けられる。キャッチタンクとハウジングとを一体形成することにより、部品点数削減に寄与する。
【0022】
「クーラント」は冷媒であり、熱交換媒体の一種である。たとえば、「クーラント」は、液体(冷却水等)、気体(空気等)等である。クーラントはオイルを含む概念であるが、本明細書においてオイルとクーラントとが併記されている場合は、クーラントはオイルとは異なる材料で構成されていることを意味する。
【0023】
「熱交換部」は、異なる2つの熱交換媒体(冷媒)間で熱交換を行う要素(部品、部分等)である。2つの熱交換媒体の組合せは、たとえば、オイルと冷却水、冷却水と空気、空気とオイル等がある。熱交換部は、例えば、熱交換器(オイルクーラ)、クーラントの流れる流路、ヒートパイプ、等がある。本件では、熱交換部として、熱交換器(オイルクーラ)を用いると好適である。熱交換器を用いることにより、熱交換効率の向上に寄与することができる。
【0024】
熱交換器(オイルクーラ)は、ハウジングと別体の部品である。熱交換器では、例えば、オイルと冷却水の熱交換が行われる。
【0025】
「車室」は、車両において乗員が乗り込む部屋を意味する。
【0026】
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1は、車両に搭載されるユニットを説明するスケルトン図である。
図2は、ユニットの外観図である。
図3は、ユニットの断面模式図である。
図3は、インバータケースを取り除いた状態を示している。
図4は、遊星減速ギア周りの拡大図である。
図5は、ユニットにおける冷却水の循環システムを示す図である。
図6は、ギアケースのキャッチタンクを説明する図である。
【0027】
図1に示すように、ユニット1は、3in1ユニットとして、モータ2と、モータ2が出力した動力を車両の駆動輪K、Kに伝達する動力伝達機構3と、モータ2の電力変換装置であるインバータ7(
図2参照)を有する。
【0028】
実施の形態では、
図1に示すように、ユニット1は、動力伝達機構3として、遊星減速ギア4(減速歯車機構、遊星歯車機構)、差動機構5(差動歯車機構)および出力軸であるドライブシャフトDA、DBを有する。
ユニット1では、モータ2の回転軸X回りの出力回転の伝達経路に沿って、遊星減速ギア4と、差動機構5と、ドライブシャフトDA、DBと、が設けられている。ドライブシャフトDA、DBの軸線は、モータ2の回転軸Xと同軸であり、差動機構5はモータ2と同軸である。
【0029】
ユニット1では、モータ2の出力回転が、遊星減速ギア4で減速されて差動機構5に入力された後、ドライブシャフトDA、DBを介して、ユニット1が搭載された車両の左右の駆動輪K、Kに伝達される。
ここで、遊星減速ギア4は、モータ2の下流に接続されている。差動機構5は、遊星減速ギア4を介してモータ2の下流に接続されている。ドライブシャフトDA、DBは、差動機構5の下流に接続されている。
【0030】
図2に示すように、ユニット1は、3in1タイプのハウジングとして、モータ2、動力伝達機構3およびインバータ7を収容するハウジングHSを有する。ハウジングHSは、1つ以上のケースから構成される。ハウジングHSは、例えば、モータ2を収容するモータケース10と、動力伝達機構3を収容するギアケース14と、インバータ7を収容するインバータケース17と、を有する。回転軸X方向におけるモータケース10の一端側に、ギアケース14が接合されている。ユニット1を車両に搭載した状態における、モータケース10の重力方向上方にインバータケース17が接合されている。
【0031】
インバータ7は、平滑コンデンサ、パワー半導体素子、ドライバ基板等を備えた電子部品である。インバータ7は、不図示の配線によってモータケース10内のモータ2と電気的に接続されている。
インバータケース17内には、インバータ7を冷却する冷却水CL(
図5参照)が通流する冷却路CP2が形成されている。
【0032】
モータ2は、軸方向視において、差動機構5(差動歯車機構)とオーバーラップする部分を有する(
図3参照)。ここで、「軸方向視において」とは、回転軸X方向から視て、という意味である。なお、「径方向視において」とは、回転軸X方向の径方向から視て、という意味である。
軸方向視において、モータ2は遊星減速ギア4(減速歯車機構)にオーバーラップする部分を有する。
軸方向視において、遊星減速ギア4(減速歯車機構)は差動機構5(差動歯車機構)にオーバーラップする部分を有する。
軸方向視において、遊星減速ギア4(減速歯車機構)はモータ2にオーバーラップする部分を有する。
軸方向視において、差動機構5(差動歯車機構)は遊星減速ギア4(減速歯車機構)にオーバーラップする部分を有する。
軸方向視において、差動機構5(差動歯車機構)はモータ2にオーバーラップする部分を有する。
軸方向視において、モータ2は差動機構5(差動歯車機構)とオーバーラップする部分を有する。
【0033】
図3に示すように、モータケース10は、第1ケース部材11と、第1ケース部材11に外挿される第2ケース部材12と、第1ケース部材11の一端に接合されるカバー部材13を有する。第1ケース部材11は、円筒状の支持壁部111と、支持壁部111の一端111aに設けられたフランジ状の接合部112と、を有している。
支持壁部111はモータ2の回転軸Xに沿わせた向きで設けられている。支持壁部111の内側には、モータ2が収容される。
【0034】
第2ケース部材12は、円筒状の周壁部121と、周壁部121の一端121aに設けられたフランジ状の接合部122と、周壁部121の他端121bに設けられたフランジ状の接合部123と、を有している。
第2ケース部材12の周壁部121は、第1ケース部材11の支持壁部111に外挿可能な内径で形成されている。
第1ケース部材11と第2ケース部材12は、第1ケース部材11の支持壁部111に、第2ケース部材12の周壁部121を外挿して互いに組み付けられている。
【0035】
周壁部121の一端121a側の接合部122は、回転軸X方向から、第1ケース部材11の接合部112に当接している。これら接合部122、112は、ボルト(図示せず)で互いに連結されている。
【0036】
図3に示すように、第1ケース部材11の支持壁部111に、第2ケース部材12の周壁部121が外挿される。モータケース10の下部の、周壁部121と支持壁部111の間にはクリアランスが設けられている。このクリアランスが、クーラントである冷却水CL(
図5参照)が通流する冷却路CP1を形成する。冷却路CP1は、回転軸X方向に沿って延びる。
【0037】
第1ケース部材11の支持壁部111の外周では、冷却路CP1が設けられた領域の両側に、リング溝111c、111cが形成されている。リング溝111c、111cには、シールリング113、113が外嵌して取り付けられている。
これらシールリング113は、支持壁部111に外挿された周壁部121の内周に圧接して、支持壁部111の外周と、周壁部121の内周との間の隙間を封止する。
【0038】
第2ケース部材12の他端121bには、内径側に延びる壁部120(カバー)が設けられている。壁部120は、回転軸Xに直交する向きで設けられている。壁部120の回転軸Xと交差する領域に、ドライブシャフトDAが挿通する開口120aが開口している。
【0039】
壁部120の、モータ2側(図中、右側)の面に、開口120aを囲み、モータ2側に延びる筒状のモータ支持部125が設けられている。
モータ支持部125は、後記するコイルエンド253bの内側に挿入されている。モータ支持部125は、ロータコア21の端部21bに回転軸X方向の隙間をあけて対向している。モータ支持部125の内周には、ベアリングB1が支持されている。モータシャフト20の外周が、ベアリングB1を介してモータ支持部125で支持されている。
【0040】
壁部120の、差動機構5側(図中、左側)の面に、差動機構5側に延びる筒壁部126が設けられている。筒壁部126は、開口120aを囲む筒状であり、筒壁部126の内周には、ベアリングB2が支持されている。ベアリングB2は、後記するデフケース50の筒壁部61を支持する。
【0041】
カバー部材13は、回転軸Xに直交する壁部130と、接合部132とを有する。
第1ケース部材11から見てカバー部材13は、差動機構5とは反対側(図中、右側)に位置している。カバー部材13の接合部132は、第1ケース部材11の接合部112に回転軸X方向から接合されている。カバー部材13と第1ケース部材11は、ボルト(図示せず)で互いに連結されている。この状態において第1ケース部材11は、支持壁部111の接合部122側(図中、右側)の開口が、カバー部材13で塞がれている。
【0042】
カバー部材13では、壁部130の中央部に、ドライブシャフトDAの挿通孔130aが設けられている。
挿通孔130aの内周には、リップシールRSが設けられている。リップシールRSは、図示しないリップ部をドライブシャフトDAの外周に弾発的に接触させている。挿通孔130aの内周と、ドライブシャフトDAの外周との隙間が、リップシールRSにより封止されている。
壁部130における第1ケース部材11側(図中、左側)の面には、挿通孔130aを囲む周壁部131が設けられている。周壁部131の内周には、ドライブシャフトDAがベアリングB4を介して支持されている。
【0043】
接合部132の内径側には、モータ支持部135および接続壁136が設けられている。モータ支持部135は、周壁部131から見てモータ2側(図中、左側)に設けられている。モータ支持部135は、回転軸Xを間隔を空けて囲む筒状を成している。
モータ支持部135の外周には、円筒状の接続壁136が接続されている。接続壁136は、壁部130側(図中、右側)の周壁部131よりも大きい外径で形成されている。接続壁136は、回転軸Xに沿う向きで設けられており、モータ2から離れる方向に延びている。接続壁136は、モータ支持部135と接合部132とを接続している。
【0044】
モータ支持部135の内側を、モータシャフト20の一端20a側が、モータ2側から周壁部131側に貫通している。
モータ支持部135の内周には、ベアリングB1が支持されている。モータシャフト20の外周が、ベアリングB1を介してモータ支持部135で支持されている。
ベアリングB1と隣り合う位置には、リップシールRSが設けられている。
【0045】
接続壁136の内周に、油孔136a、136bが開口している。接続壁136で囲まれた空間(内部空間Sc)に、油孔136aからオイルOLが流入する。内部空間Scに流入したオイルOLは、油孔136bから排出される。リップシールRSは、接続壁136内のオイルOLのモータ2側への流入を阻止するために設けられている。
【0046】
ギアケース14は、周壁部141と、周壁部141におけるモータケース10側の端部に設けられたフランジ状の接合部142と、を有している。周壁部141における接合部142と対向側(図中、左側)の端部には、後記するベアリングB2の支持部145が設けられている。周壁部141は、接合部142に接続する筒壁部141aと、支持部145に接続する傾斜部141c(傾斜面)と、これら筒壁部141aと傾斜部141cとを接続する接続壁部141bとを有する。筒壁部141aと接続壁部141bは、接合部142から段階的に縮径して傾斜部141cに接続する。傾斜部141cは、接続壁部141bから支持部145に向かって内径側に傾斜する。周壁部141の内側に、動力伝達機構3である遊星減速ギア4と差動機構5が収容される。
【0047】
ギアケース14は、モータケース10から見て差動機構5側(図中、左側)に位置している。ギアケース14の接合部142は、モータケース10の第2ケース部材12の接合部123に、回転軸X方向から接合されている。ギアケース14と第2ケース部材12は、ボルト(図示せず)で互いに連結されている。
【0048】
接合されたモータケース10およびギアケース14の内部に形成される空間は、第2ケース部材12の壁部120(カバー)によって、2つに区画される。壁部120のモータケース10側がモータ2を収容するモータ室Saであり、ギアケース14側が動力伝達機構3を収容するギア室Sbである。カバーである壁部120は、ハウジングHSの内部において、モータ2と差動機構5に挟まれる。
【0049】
カバーは、ハウジングHS内に収容された部分を有するものであれば良く、壁部120のように、全体がハウジングHSに収容されていても良い。また、カバーは、たとえば、第2ケース部材12とは別体としても良い。この場合、カバーは、モータケース10とギアケース14で挟んで固定しても良い。なお、カバーの一部がハウジングHS外に露出しても良い。
【0050】
モータ2は、円筒状のモータシャフト20と、モータシャフト20に外挿された円筒状のロータコア21と、ロータコア21の外周を間隔を空けて囲むステータコア25とを、有する。
【0051】
モータシャフト20では、ロータコア21の両側に、ベアリングB1、B1が外挿されて固定されている。
ロータコア21から見てモータシャフト20の一端20a側(図中、右側)に位置するベアリングB1は、カバー部材13のモータ支持部135の内周に支持されている。他端20b側(図中、左側)に位置するベアリングB1は、第2ケース部材12の円筒状のモータ支持部125の内周に支持されている。
【0052】
モータ支持部135、125は、後記するコイルエンド253a、253bの内径側で、ロータコア21の一方の端部21aと他方の端部21bに、回転軸X方向の隙間をあけて対向して配置されている。
【0053】
ロータコア21は、複数の珪素鋼板を積層して形成したものである。珪素鋼板の各々は、モータシャフト20との相対回転が規制された状態で、モータシャフト20に外挿されている。
モータシャフト20の回転軸X方向から見て、珪素鋼板はリング状を成している。珪素鋼板の外周側では、図示しないN極とS極の磁石が、回転軸X周りの周方向に交互に設けられている。
【0054】
ロータコア21の外周を囲むステータコア25は、複数の電磁鋼板を積層して形成したものである。ステータコア25は、第1ケース部材11の円筒状の支持壁部111の内周に固定されている。
電磁鋼板の各々は、支持壁部111の内周に固定されたリング状のヨーク部251と、ヨーク部251の内周からロータコア21側に突出するティース部252と、を有している。
【0055】
本実施形態では、巻線253を、複数のティース部252に跨がって分布巻きした構成のステータコア25を採用している。ステータコア25は、回転軸X方向に突出するコイルエンド253a、253bの分だけ、ロータコア21よりも回転軸X方向の長さが長くなっている。
【0056】
なお、ロータコア21側に突出する複数のティース部252の各々に、巻線を集中巻きした構成のステータコアを採用しても良い。
【0057】
第2ケース部材12の壁部120(モータ支持部125)には、開口120aが設けられている。モータシャフト20の他端20b側は、開口120aを差動機構5側(図中、左側)に貫通して、ギアケース14内に位置している。
モータシャフト20の他端20bは、ギアケース14の内側で、後記するサイドギア54Aに、回転軸X方向の隙間をあけて対向している。
【0058】
モータシャフト20と壁部120の開口120aの間にはリップシールRSが挿入されている。
ギアケース14の内径側には、遊星減速ギア4と差動機構5を潤滑するためのオイルOLが封入されている。
リップシールRSは、ギアケース14内のオイルOLがモータケース10内に流入することを阻止するために設けられている。
【0059】
図4に示すように、モータシャフト20の、ギアケース14内に位置する領域に遊星減速ギア4のサンギア41がスプライン嵌合している。
【0060】
サンギア41の外周には歯部41aが形成されており、歯部41aには段付きピニオンギア43の大径歯車部431が噛合している。
【0061】
段付きピニオンギア43は、サンギア41に噛合する大径歯車部431(ラージピニオン)と、大径歯車部431よりも小径の小径歯車部432(スモールピニオン)とを有している。
大径歯車部431と小径歯車部432は、回転軸Xに平行な軸線X1方向に並んで配置された、一体のギア部品である。
【0062】
小径歯車部432の外周は、リングギア42の内周に噛合している。リングギア42は、回転軸Xを間隔を空けて囲むリング状を成している。リングギア42の外周には、係合歯が設けられ、係合歯が接続壁部141bの内周に設けられた歯部146aにスプライン嵌合している。リングギア42は、回転軸X回りの回転が規制されている。
【0063】
大径歯車部431および小径歯車部432の内径側をピニオン軸44が貫通している。段付きピニオンギア43は、ピニオン軸44の外周にニードルベアリングNB、NBを介して回転可能に支持されている。
【0064】
図3に示すように、差動機構5は、入力要素であるデフケース50(デファレンシャルケース)と、出力要素であるドライブシャフトDA、DB(出力軸)、差動要素である差動歯車セットを有する。詳細な説明は省略するが、デフケース50は、回転軸方向に組み付けられた2つのケース部材から構成しても良い。
【0065】
デフケース50は、遊星減速ギア4の段付きピニオンギア43を支持するキャリアとしても機能する。段付きピニオンギア43は、ピニオン軸44を介して、デフケース50に回転可能に支持されている。
図6に示すように、3つの段付きピニオンギア43は、回転軸X周りの周方向に間隔を空けて配置されている。
【0066】
図3に示すように、デフケース50内には、差動歯車セットとして、傘歯車式のデファレンシャルギアであるピニオンメートギア52と、サイドギア54A、54Bが設けられている。ピニオンメートギア52は、ピニオンメートシャフト51に支持されている。
ピニオンメートシャフト51は、回転軸X上に配置された中心部材510と、中心部材510の外径側に連結されたシャフト部材511を有する。図示は省略するが、複数のシャフト部材511が回転軸X周りの周方向に等間隔で設けられている。シャフト部材511は、デフケース50の径方向に延びる支持孔69に挿通され、支持されている。
【0067】
ピニオンメートギア52は、シャフト部材511の各々に1つずつ外挿され、回転可能に支持されている。
【0068】
デフケース50では、回転軸X方向における中心部材510の一方側にサイドギア54Aが位置し、他方側にサイドギア54Bが位置する。サイドギア54A、54Bは、それぞれデフケース50に回転可能に支持される。
サイドギア54Aは、回転軸X方向における一方側から、ピニオンメートギア52に噛合している。サイドギア54Bは、回転軸X方向における他方側から、ピニオンメートギア52に噛合している。
【0069】
デフケース50の一端側(図中、右側)の中央部には、開口60と、開口60を囲み、モータケース10側に延びる筒壁部61が設けられている。筒壁部61の外周は、ベアリングB2を介して、第2ケース部材12の壁部120に支持されている。
【0070】
デフケース50の内部には、開口60を挿通したドライブシャフトDAが、回転軸X方向から挿入されている。ドライブシャフトDAは、カバー部材13の壁部130の挿通孔130aを貫通し、モータ2のモータシャフト20と、遊星減速ギア4のサンギア41の内径側を回転軸X方向に横切って設けられている。
【0071】
図3に示すように、デフケース50の他端側(図中、左側)の中央部には、貫通孔65と、貫通孔65を囲む筒壁部66が形成されている。筒壁部66に、ベアリングB2が外挿されている。筒壁部66に外挿されたベアリングB2は、ギアケース14の支持部145で保持されている。デフケース50の筒壁部66は、ベアリングB2を介して、ギアケース14で回転可能に支持されている。
【0072】
支持部145には、ギアケース14の開口部145aを貫通したドライブシャフトDBが、回転軸X方向から挿入されている。ドライブシャフトDBは、支持部145で回転可能に支持されている。筒壁部66は、ドライブシャフトDBの外周を支持する軸支持部として機能する。
開口部145aの内周には、リップシールRSが固定されている。リップシールRSの図示しないリップ部が、ドライブシャフトDBに外挿されたサイドギア54Bの筒壁部540の外周に弾発的に接触している。
これにより、サイドギア54Bの筒壁部540の外周と開口部145aの内周との隙間が封止されている。
【0073】
デフケース50の内部では、ドライブシャフトDA、DBの先端部が、回転軸X方向に間隔を空けて対向している。
ドライブシャフトDA、DBの先端部の外周に、デフケース50に支持されたサイドギア54A、54Bがスプライン嵌合している。サイドギア54A、54BとドライブシャフトDA、DBとが、回転軸X周りに一体回転可能に連結されている。
【0074】
この状態においてサイドギア54A、54Bは、回転軸X方向で間隔をあけて、対向配置されている。サイドギア54A、54Bの間に、ピニオンメートシャフト51の中心部材510が位置している。
ピニオンメートギア52は、回転軸X方向の一方側に位置するサイドギア54Aおよび他方側に位置するサイドギア54Bに、互いの歯部を噛合させた状態で組み付けられている。
【0075】
図4に示すように、デフケース50の一端側(図中、右側)の、開口60の外径側に、ピニオン軸44の一端44a側の支持孔62が形成されている。デフケース50の他端側(図中、左側)には、ピニオン軸44の他端44b側の支持孔68が形成されている。
【0076】
支持孔62、68は、回転軸X方向にオーバーラップする位置に形成される。支持孔62、68は、それぞれ、段付きピニオンギア43を配置する位置に合わせて、回転軸X周りの周方向に間隔を空けて形成される。ピニオン軸44の一端44aが支持孔62に挿入され、他端44bが支持孔68に挿入される。ピニオン軸44は、他端44bが支持孔68に圧入されることで、ピニオン軸44はデフケース50に対して相対回転不能に固定されている。ピニオン軸44に外挿された段付きピニオンギア43は、回転軸Xに平行な軸線X1回りに回転可能に支持されている。
【0077】
図示は省略するが、ギアケース14の内部には、潤滑用のオイルOLが貯留されている。デフケース50が回転軸X回りに回転すると、オイルOLがデフケース50によって掻き上げられる。
詳細な説明は省略するが、デフケース50、ピニオン軸44等には、デフケース50に掻き上げられたオイルOLを導入するための油路、油孔等が設けられている。これによって、ベアリングB2、ニードルベアリングNB等の回転部材にオイルOLが導入されやすくなっている。
【0078】
また、
図6に示すように、ギアケース14内の、デフケース50の上部に、キャッチタンク15が設けられている。キャッチタンク15は、回転軸Xと直交する鉛直線VLを挟んだ一方側(図中、左側)に位置している。キャッチタンク15と、デフケース50の収容部140とは、連通口147を介して連通している。デフケース50によって掻き上げられて飛散したオイルOLの一部は、連通口147からキャッチタンク15内に流入して捕集される。
【0079】
ユニット1を搭載した車両の前進走行時に、モータケース10側から見てデフケース50は、回転軸X周りの反時計回り方向CCWに回転する。
図4に示すように、段付きピニオンギア43の小径歯車部432は、ギアケース14の内周に固定されたリングギア42に噛合している。そのため、段付きピニオンギア43の大径歯車部431は、
図6に示すように、軸線X1回りを時計回り方向に自転しながら、回転軸X周りの反時計回り方向CCWに公転する。
【0080】
キャッチタンク15は、鉛直線VLを挟んだ左側、すなわちデフケース50の回転方向における下流側に位置している。これにより、回転軸X回りに回転するデフケース50で掻き上げられたオイルOLの多くが、キャッチタンク15内に流入できるようになっている。
図3に示すように、キャッチタンク15は、油路151aを介して、リップシールRSとベアリングB2との間の空間Rxに接続している。また、キャッチタンク15は、不図示の油路、配管等を介して、オイルクーラ83(
図5参照)に接続している。オイルクーラ83は、不図示の配管、油路等を介して、接続壁136に形成された油孔136a(
図3参照)に接続している。
【0081】
ギアケース14の周壁部141には、油孔Haが形成されている。油孔Haは、不図示の配管を介して、内部空間Scに形成された油孔136bと接続している。油孔136bを介して内部空間Scから排出されたオイルOLは、油孔Haから再びギア室Sb内部に供給される。
【0082】
図5に示すように、ユニット1には、冷却水CLの循環システム80が設けられている。循環システム80は、前記したモータケース10の冷却路CP1とインバータケース17の冷却路CP2との間で、冷却水CLを循環させる。循環システム80は、さらに、冷却路CP1と冷却路CP2の間に、オイルクーラ83、ウォーターポンプWPおよびラジエータ82を備えており、これらは冷却水CLが通流する配管等で接続されている。
【0083】
ウォーターポンプWPは、冷却水CLを循環システム80内において圧送する。
ラジエータ82は、冷却水CLの熱を放熱して冷却する装置である。
【0084】
オイルクーラ83は、冷却水CLと、オイルOLとの熱交換を行う熱交換器である。オイルクーラ83には、ギアケース14のギア室Sb内に設けられたキャッチタンク15で捕集されたオイルOLが導入される。オイルOLは、冷却水CLとの熱交換により冷却される。冷却されたオイルOLは、モータケース10の油孔136aから内部空間Scに供給される。なお、オイルクーラ83に供給するオイルOLは、キャッチタンク15で捕集されたオイルOLに限定されず、ハウジングHSに適宜設けた別の油路から供給しても良い。また、オイルクーラ83から排出されたオイルOLを、内部空間Scとは別の箇所に供給しても良い。
【0085】
冷却水CLは、インバータケース17内の冷却路CP2およびモータケース10内の冷却路CP1を通流した後に、オイルクーラ83に供給される。冷却水CLは、オイルクーラ83においてオイルOLとの熱交換が行われた後に、ラジエータ82で冷却され、再びインバータケース17の冷却路CP2に供給される。
【0086】
図7は、ハウジングHSに取り付けられたオイルクーラ83を示す図である。
図7は、
図2の紙面奥側から見た状態を示す模式図である。
図8は、
図7のA-A断面の模式図である。
図8では、モータケース10およびインバータケース17の内部は簡略化して示しており、モータ2およびインバータ7の外周を破線で示している。また、オイルクーラ83の本体部830の内部の図示は省略している。
図9は、オイルクーラ83の構成を説明する図である。
図10は、
図7のオイルクーラ83周りの拡大図である。
図10では、凹部90をわかりやすくするために、オイルクーラ83を破線で示している。
図11は、オイルクーラ83の組付けを説明する図である。
【0087】
図7に示すように、オイルクーラ83(熱交換器)は、ハウジングHSのモータケース10の外壁面に配置されている。以降の説明において、ハウジングHSの回転軸Xに沿った方向(
図7の紙面左右方向)を、長手方向という。長手方向および鉛直線VLに直交する方向(
図8の紙面左右方向)を幅方向という。
【0088】
モータ2は円柱状であり、
図8に示すように、回転軸X方向から視て円形を成す。
図8において、モータ2の軸心である回転軸Xを通り、かつ鉛直線VLに直交する水平面Sを示している。モータ2を収容するモータケース10は、水平面Sより上方の部分である上方部101と、下方の部分である下方部105を有する。上方部101はモータ2の水平面Sより上方の外周を囲み、下方部105はモータ2の水平面Sより下方の外周を囲んでいる。
【0089】
モータケース10の下方部105は、回転軸X方向から視て、円形のモータ2の外周に沿った円弧を成している。下方部105には、前記した冷却水CLが通流する冷却路CP1が形成されている。
【0090】
モータケース10の上方部101は、回転軸X方向から視て矩形である。
図7に示すように、上方部101の上端面102には、直方体形状のインバータケース17の下端面171が接合される。すなわち、モータケース10の上方部101は、インバータケース17との連結部として機能する。
【0091】
図8に示すように、モータケース10の上方部101の、幅方向における一方の端部101a側(図中、右側)には、インバータケース17に設けられた冷却路CP2と、モータケース10の下方部105に設けられた冷却路CP1を連通させる連通路WDが設けられている。
【0092】
上方部101の幅方向における他方の端部101b側(図中、左側)には、オイルクーラ83の収容部である凹部90が設けられている。
【0093】
図9に示すように、オイルクーラ83は、直方体形状の本体部830を有する。本体部830は、間隔を空けて平行に設けられた上面部831および底面部832を有する。
図9および
図11に示すように、直方体形状の本体部830において、上面部831および底面部832は4つの側面部833a~833dに接続されている。
【0094】
図9に示すように、側面部833aは、本体部830の長手方向における一端側(図中、右側)に位置し、側面部833bは他端側(図中、左側)に位置する。
図11に示すように、側面部833cは、本体部830の幅方向における一端側(図中、右側)に位置し、側面部833dは他端側(図中、左側)に位置する。
【0095】
図示は省略するが、上面部831、底面部832および側面部833a~833dに囲まれた本体部830の内部空間に、オイルOLの流路と冷却水CLの流路が設けられている。本体部830においてオイルOLと冷却水CLがそれぞれの流路を通流することで、熱交換が行われる。
【0096】
側面部833dには、本体部830にオイルOLを導入するパイプPaと、本体部830からオイルOLを排出するパイプPbが設けられている。側面部833dには、また、本体部830に冷却水CLを導入するパイプPcと、本体部830から冷却水CLを排出するパイプPdが設けられている。
【0097】
パイプPa、Pb、Pc、Pdは、側面部833dから突出して設けられている。なお、パイプPa、Pb、Pc、Pdを設ける位置は図示の例に限定されず、本体部830の内部に形成する流路の配置等に応じて、側面部833dに適宜配置することができる。
【0098】
側面部833dの上端と下端には、板状のタブ835が設けられている。タブ835は、側面部833dに接合する接合部835aと、接合部835aに接続する先端部835bとを備える。先端部835bは、接合部835aから鉛直線方向に延び、側面部833dの外方に突出する。
側面部833dの上端に設けられたタブ835は、側面部833dの鉛直線VL方向上方に突出する。側面部833dの下端部に設けられたタブ835は、側面部833dの鉛直線VL方向下方に突出する。タブ835の先端部835bには、ボルトの挿通孔835cが形成されている。タブ835は、側面部833dの上端および下端の、長手方向における両端側に設けられている。側面部833dには、4つのタブ835が設けられている。
【0099】
図8に示すように、モータケース10の上方部101に設けられた凹部90は、オイルクーラ83の本体部830を収容する。凹部90は、直方体形状の本体部830に整合した形状を有する。凹部90は、上方部101の外壁を、端部101b側(図中、左側)から端部101a側(図中、右側)に向けて、幅方向に切り欠いて設けられる。鉛直線VL方向において、凹部90は、上方部101の水平面S近傍の位置から、インバータケース17の下端面171に接合された上端面102にまで至る。そのため、
図10に示すように、凹部90の構成する面の中で、上壁面91は、インバータケース17の下端面171によって構成される。凹部90の底壁面92は、上壁面91に対して間隔を空けて平行に設けられている。
【0100】
図10および
図11に示すように、凹部90は、上壁面91および底壁面92を接続する3つの側壁面94a、94b、94cを有する。
図10に示すように、側壁面94aは凹部90の長手方向における一端側に位置し、側壁面94bは他端側に位置する。
図11に示すように、側壁面94cは、凹部90の幅方向における一端側(図中、右側)に位置する。凹部90の長手方向における一端側(図中、左側)には、開口部93が設けられている。オイルクーラ83の本体部830は、開口部93から凹部90の内部に収容される。
【0101】
図11に示すように、凹部90に収容されたオイルクーラ83の本体部830は、その長手方向が、モータケース10およびインバータケース17の長手方向に沿って延在するように配置される。本体部830の底面部832が、凹部90の底壁面92に対向する。すなわち、オイルクーラ83は、モータケース10とインバータケース17とに挟まれた形で配置される。
【0102】
図11に示すように、本体部830の側面部833cは、凹部90の側壁面94cに対向する。本体部830の側面部833dは、凹部90の開口部93に位置する。すなわち、本体部830は、側面部833dがモータケース10の外部に面した状態で凹部90に収容される。
【0103】
図7に示すように、側面部833dに突出して設けられたパイプPa、Pb、Pc、Pdおよびタブ835は、開口部93からモータケース10の外部に張り出す。
図11に示すように、本体部830の上端部に設けられたタブ835の先端部835bは、開口部93の鉛直線VL方向上方に延び、インバータケース17の外壁に対向する。
図11に示すように、先端部835bの挿通孔835cを挿通させたボルトBを、インバータケース17の外壁に螺入させることで、タブ835はインバータケース17に固定される。
【0104】
本体部830の下端部に設けられたタブ835の先端部835bは、開口部93の鉛直線VL方向下方に延び、モータケース10の外壁に対向する。先端部835bの挿通孔835cを挿通させたボルトBを、モータケース10の外壁に螺入させることで、タブ835はモータケース10に固定される。
【0105】
オイルクーラ83の本体部830は、タブ835を介して、上側がインバータケース17に固定され、下側がモータケース10に固定される。タブ835は、オイルクーラ83をボルトB(締結具)でインバータケース17およびモータケース10に取り付ける際の、座面として機能する。
【0106】
パイプPaは、不図示の配管、油路等を介して、ギアケース14に設けられたキャッチタンク15(
図3参照)に接続する。パイプPbは、不図示の配管、油路等を介して、接続壁136の油孔136a(
図3参照)に接続する。パイプPcは、不図示の配管、油路等を介して、モータケース10内の冷却路CP1に接続する。パイプPdは、不図示の配管等を介して、ラジエータ82(
図5参照)に接続する。
【0107】
かかる構成のユニット1の作用を説明する。
図1に示すように、ユニット1では、モータ2の出力回転の伝達経路に沿って、遊星減速ギア4と、差動機構5と、ドライブシャフトDA、DBと、が設けられている。
【0108】
図3に示すように、モータ2が駆動されて、ロータコア21が回転軸X回りに回転すると、ロータコア21と一体に回転するモータシャフト20を介して、遊星減速ギア4のサンギア41に回転が入力される。
【0109】
遊星減速ギア4では、サンギア41が、モータ2の出力回転の入力部となっており、段付きピニオンギア43を支持するデフケース50が、入力された回転の出力部となっている。
【0110】
図4に示すように、サンギア41が入力された回転で回転軸X回りに回転すると、段付きピニオンギア43(大径歯車部431、小径歯車部432)が、サンギア41側から入力される回転で、軸線X1回りに回転する。
ここで、段付きピニオンギア43の小径歯車部432は、ギアケース14の内周に固定されたリングギア42に噛合している。そのため、段付きピニオンギア43は、軸線X1回りに自転しながら、回転軸X周りに公転する。
【0111】
ここで、段付きピニオンギア43では、小径歯車部432の外径が大径歯車部431の外径よりも小さくなっている。
これにより、段付きピニオンギア43を支持するデフケース50が、モータ2側から入力された回転よりも低い回転速度で回転軸X回りに回転する。
そのため、遊星減速ギア4のサンギア41に入力された回転は、段付きピニオンギア43により、大きく減速されたのちに、デフケース50(差動機構5)に出力される。
【0112】
図3に示すように、デフケース50が入力された回転で回転軸X回りに回転することにより、デフケース50内で、ピニオンメートギア52と噛合するドライブシャフトDA、DBが回転軸X回りに回転する。これによりユニット1が搭載された車両の左右の駆動輪(図示せず)が、伝達された回転駆動力で回転する。
【0113】
ギア室Sbの内部には、潤滑用のオイルOLが貯留される。ギア室Sbにおいては、モータ2の出力回転の伝達時に、オイルOLが、回転軸X回りに回転するデフケース50により掻き上げられる。
図3および
図4に示すように、掻き上げられたオイルOLにより、サンギア41と大径歯車部431との噛合部と、小径歯車部432とリングギア42との噛合部と、ピニオンメートギア52とサイドギア54A、54Bとの噛合部とが潤滑される。
【0114】
図6に示すように、デフケース50は、回転軸X周りの反時計回り方向CCWに回転する。
ギアケース14の上部には、キャッチタンク15が設けられている。キャッチタンク15は、デフケース50の回転方向における下流側に位置しており、デフケース50で掻き上げられたオイルOLの一部が、キャッチタンク15内に流入する。
【0115】
図3に示すように、キャッチタンク15に流入したオイルOLの一部は、油路151aを介して、リップシールRSとベアリングB2との間の空間Rxに供給され、ベアリングB2を潤滑する。
【0116】
キャッチタンク15に流入したオイルOLの一部は、不図示の油路、配管等を介してオイルクーラ83のパイプPaから本体部830(
図9参照)に導入される。オイルクーラ83の本体部830には、パイプPcを介して、冷却路CP1(
図5参照)を通流した後の冷却水CLが導入される。オイルクーラ83の本体部830において、オイルOLと冷却水CLの熱交換が行われることで、オイルOLが冷却される。冷却されたオイルOLは、パイプPbを介して本体部830から排出される。冷却水CLは、パイプPdを介して本体部830から排出され、不図示の配管等を介してラジエータ82(
図5参照)に供給される。
【0117】
本体部830から排出されたオイルOLは、不図示の配管等を介して、接続壁136に形成された油孔136aから内部空間Sc(
図3参照)に供給される。内部空間Scに供給されたオイルOLは、ベアリングB4を潤滑し、油孔136bから排出される。油孔136bから排出されたオイルOLは、不図示の配管等を介して、油孔Haからギア室Sb内に供給される。
【0118】
前記したように、実施の形態におけるユニット1は、3in1ユニットである。
図7に示すように、ハウジングHSにおいて、インバータケース17はモータケース10に接合され、一体に形成されている。インバータケース17は、回転軸Xの径方向視において、モータケース10とオーバーラップしている。
【0119】
図8に示すように、直方体形状のインバータケース17に接合されるモータケース10の上方部101は、回転軸X方向から視て矩形である。一方、モータケース10に収容されたモータ2は回転軸X方向から視て円形である。そのため、上方部101の外壁とモータ2の外周との間にはクリアランスが生じる。実施の形態では、このクリアランスの部分に、オイルクーラ83を収容する凹部90を設けている。
【0120】
凹部90に収容された状態で、インバータケース17は、鉛直線VL方向(重力方向)から視て、オイルクーラ83およびモータケース10とオーバーラップする。凹部90は、モータケース10の外壁を切り欠いて設けられ、モータケース10の外壁と、インバータケース17の下端面171とから構成されるため、オイルクーラ83は、モータケース10とインバータケース17に挟まれて配置される。これにより、オイルクーラ83は、モータケース10およびインバータケース17から大きく突出することなく配置され、ユニット1の寸法の縮小に寄与する。
【0121】
オイルクーラ83の収容部である凹部90は、モータケース10の外壁を切り欠いて形成している。本体部830は凹部90内に収容されるが、側面部833dに設けられたタブ835とパイプPa、Pb、Pc、Pdは凹部90の開口部93(
図11参照)から外部に突出している。
【0122】
図11に示すように、側面部833dの上端に設けられたタブ835の先端部835bは、側面部833dから鉛直線VL方向上方に突出して、インバータケース17の外壁に幅方向で対向する。側面部833dの下端に設けられたタブ835の先端部835bは、側面部833dから鉛直線VL方向下方に突出して、インバータケース17の外壁に幅方向で対向する。
鉛直線VL方向(重力方向)および回転軸Xに交差する交差方向、すなわち、幅方向から視て、オイルクーラ83は、タブ835の先端部835bにおいて、モータケース10またはインバータケース17とオーバーラップする。
【0123】
モータケース10またはインバータケース17に対向するタブ835の先端部835bをボルトBの座面とし、ボルトBの挿通孔835cを設けることで、タブ835をモータケース10またはインバータケース17の外壁にボルトBで容易に固定することができる。
【0124】
側面部833dに設けられたパイプPa~Pdが開口部93から突出することで、配管等を取り付けやすくなる。ユニット1の設置作業を容易にすることができる。
【0125】
以上の通り、実施の形態にかかるユニット1は、以下の構成を有する。
(1)ユニット1は、
オイルクーラ83(熱交換器)と、
モータ2を収容するモータケース10と、
インバータ7を収容するインバータケース17と、を有する。
所定方向視である鉛直線VL方向視(重力方向視)において、インバータケース17はオイルクーラ83及びモータケース10とオーバーラップする部分を有する。
【0126】
このように構成することで、オイルクーラ83を搭載したユニット1において少なくとも一方向における寸法の縮小に寄与する。
具体的には、インバータケース17がモータケース10に接合された3in1ユニットにおいて、モータケース10の上方部101の外壁面を切り欠いて凹部90を設け、オイルクーラ83の本体部830を収容する。これによって、鉛直線VL方向視(重力方向視)においてオイルクーラ83の本体部830は、インバータケース17およびモータケース10とオーバーラップする。オイルクーラ83が、モータケース10およびインバータケース17から大きく突出することなく配置される。これによって、ユニット1の少なくとも回転軸X方向の寸法の縮小に寄与する。
【0127】
(2)オイルクーラ83は、モータケース10とインバータケース17とに挟まれた部分を有する。
【0128】
オイルクーラ83を収容する凹部90は、モータケース10の外壁面を切り欠いて設けられる。凹部90の上壁面91は、インバータケース17の下端面171によって構成される(
図10、
図11参照)。凹部90の底壁面92および側壁面94a、94b、94cは、モータケース10の外壁面によって構成される。すなわち、オイルクーラ83の本体部830は、モータケース10とインバータケース17とに挟まれて配置される。このように構成することで、オイルクーラ83が、モータケース10およびインバータケース17から大きく突出することなく配置されるため、ユニット1の寸法の縮小に寄与する。
【0129】
(3)所定方向(鉛直線VL方向)と交差する幅方向(交差方向)視において、オイルクーラ83はモータケース10及び/又はインバータケース17とオーバーラップするタブ835を有する。
【0130】
オイルクーラ83にこのようなタブ835を設け、たとえば、タブ835に挿入孔を設けてボルトB等の締結具の座面とすることで、オイルクーラ83をモータケース10およびインバータケース17に容易に固定することができ、オイルクーラ83の組付け性を向上させることができる。
なお、タブ835を締結具の座面とする代わりに、または座面とすると共に、外壁面に締結させるストッパとして構成しても良い。
いずれの場合も、オイルクーラ83はタブ835を介してモータケース10及び/又はインバータケース17に締結されていると言える。
【0131】
(4、5)インバータケース17は、モータケース10と一体形成された部分を有する。
【0132】
いわゆる3in1ユニットにおいては、インバータケース17とモータケース10との連結部が存在する。たとえば、モータケース10の上方部101が、インバータケース17との連結部である。インバータケース17は、モータケース10と一体形成された部分として、連結部を有する。この連結部の一部を除去した空間(凹部90)を利用してオイルクーラ83を配置することで、オイルクーラ83をモータケース10とインバータケース17とに挟まれた構造にしやすくなる。
【0133】
(6)オイルクーラ83の長手方向は、インバータケース17の長手方向に沿って延在する。
これによって、オイルクーラ83の長手方向が、インバータケース17から大きく突出することが低減されるため、ユニット1の寸法の縮小に寄与する。
【0134】
オイルクーラ83を、所定方向視においてモータケース10およびインバータケース17にオーバーラップするように配置する態様は、実施の形態の態様に限定されない。以下に、変形例を説明する。
【0135】
(変形例1)
図12は、変形例1にかかるユニットを説明する図である。
以降の変形例で用いる図は、オイルクーラ83の配置を説明するための模式図である。ハウジングHSは簡略化して、モータケース10およびインバータケース17のみを模式的に示している。オイルクーラ83はハッチングを付して示している。
【0136】
図12に示すように、変形例1では、オイルクーラ83は、モータケース10内に配置されている。図示は省略するが、モータケース10内にオイルクーラ83を収容する収容室を設けても良い。
【0137】
変形例1においても、実施の形態と同様に、オイルクーラ83を、回転軸X方向から視て矩形の上方部101と、円形のモータ2の間に形成されるクリアランスに配置している。このクリアランスを有効に活用するために、オイルクーラ83は、三角柱形状としても良い。ここで、オイルクーラ83の、回転軸X方向から視て円形のモータ2の外周に対向する面は、円弧状としても良い。
【0138】
なお、オイルクーラ83は三角柱形状に限られず、たとえば、円柱形状または直方体形状のオイルクーラ83をモータケース10の内部に配置しても良い。また、オイルクーラ83は、上方部101の端部101b側に配置される例のみに限定されない。たとえば、モータケース10内の、モータ2の鉛直線VL方向上方において、端部101a側から端部101b側に延在するように、オイルクーラ83を配置しても良い。
【0139】
変形例1においても、実施の形態と同様に、オイルクーラ83は、所定方向である鉛直線VL方向視(重力方向視)において、モータケース10およびインバータケース17にオーバーラップする。これにより、ユニット1の少なくとも回転軸X方向の寸法の縮小に寄与する。
【0140】
(変形例2)
図13は、変形例2にかかるユニットを説明する図である。
図13に示すように、変形例2では、オイルクーラ83を、モータケース10とインバータケース17の間に配置している。オイルクーラ83は、モータケース10の上端面102と、インバータケース17の下端面171とに接合される。変形例2では、インバータケース17は、オイルクーラ83を介してモータケース10に接続される。
なお、変形例2では、インバータケース17の冷却路CP2(
図3参照)と、モータケース10の冷却路CP1(
図3参照)を接続するための配管を、別途設けても良い。
【0141】
変形例2においても、実施の形態と同様に、オイルクーラ83は、所定方向である鉛直線VL方向視(重力方向視)において、モータケース10およびインバータケース17にオーバーラップする。また、オイルクーラ83は、モータケース10とインバータケース17に挟み込まれる。これにより、ユニット1の少なくとも回転軸X方向の寸法の縮小に寄与する。
【0142】
なお、モータケース10の上端面102に凹部90を設けて、凹部90内にオイルクーラ83を配置しても良い。
【0143】
(変形例3)
図14は、変形例3にかかるユニットを説明する図である。
図14に示すように、変形例3では、インバータケース17の一部が、長手方向においてモータケース10に対してオフセットして配置されている。オイルクーラ83は、インバータケース17のオフセット部分の鉛直線VL方向下方において、モータケース10に隣接して配置される。すなわち、オイルクーラ83は、インバータケース17に対して鉛直線VL方向視(所定方向視)においてオーバーラップする部分と、モータケース10に対して回転軸X方向視(所定方向視)においてオーバーラップする部分を有する。
【0144】
このように、オイルクーラ83を、インバータケース17のモータケース10からオフセットする部分にオーバーラップするように配置することで、オイルクーラ83をインバータケース17から大きく突出することがなく配置することができ、ユニット1の寸法の縮小に寄与する。
【0145】
(変形例4)
図15は、変形例4にかかるユニットを説明する図である。
図15では、モータケース10は簡略化して直方体として図示している。
図15に示すように、変形例4では、インバータケース17の一部が、幅方向においてモータケース10に対してオフセットして配置されている。オイルクーラ83は、インバータケース17のオフセット部分の鉛直線VL方向下方において、モータケース10に隣接して配置される。すなわち、オイルクーラ83は、インバータケース17に対して鉛直線VL方向視(所定方向視)においてオーバーラップする部分と、モータケース10に対して鉛直線VL方向および回転軸X方向に交差する幅方向視(所定方向視)においてオーバーラップする部分を有する。
【0146】
このように、オイルクーラ83を、インバータケース17のモータケース10からオフセットする部分にオーバーラップするように配置することで、オイルクーラ83をインバータケース17から大きく突出することがなく配置することができ、ユニット1の寸法の縮小に寄与する。
【0147】
(変形例5)
図16は、変形例5にかかるユニットを説明する図である。
図15では、モータケース10は簡略化して直方体として図示している。
実施の形態では、モータケース10の幅方向における端部101b(
図8参照)に、オイルクーラ83を収容する凹部90を設ける例を説明したが、これに限定されない。
図16に示すように、凹部90は、モータケース10の回転軸X方向における端部101cに設けても良い。
【0148】
変形例5においても、実施の形態と同様に、オイルクーラ83は、所定方向である鉛直線VL方向視(重力方向視)において、モータケース10およびインバータケース17にオーバーラップする。また、オイルクーラ83は、モータケース10とインバータケース17に挟み込まれる。これにより、ユニット1の少なくとも回転軸X方向の寸法の縮小に寄与する。
【0149】
さらなる変形例として、たとえば、モータケース10の下方にオイルクーラ83を配置しても良い。また、たとえば、インバータケース17の上方にオイルクーラ83を配置しても良い。この場合も、オイルクーラ83は、所定方向である鉛直線VL方向視(重力方向視)において、モータケース10およびインバータケース17にオーバーラップするため、ユニット1の少なくとも回転軸X方向の寸法の縮小に寄与する。
【0150】
本発明のある態様において、動力伝達機構3は、例えば、歯車機構、環状機構等を有する。
歯車機構は、例えば、減速歯車機構、増速歯車機構、差動歯車機構(差動機構)等を有する。
減速歯車機構及び増速歯車機構は、例えば、遊星歯車機構、平行歯車機構等を有する。
環状機構は、例えば、無端環状部品等を有する。
無端環状部品等は、例えば、チェーンスプロケット、ベルトとプーリ等を有する。
【0151】
差動機構5は、例えば、傘歯車式のデファレンシャルギア、遊星歯車式のデファレンシャルギア等である。
差動機構5は、入力要素であるデファレンシャルケースと、出力要素である2つの出力軸と、差動要素である差動歯車セットと、を有する。
傘歯車式のデファレンシャルギアにおいて、差動歯車セットは傘歯車を有する。
遊星歯車式のデファレンシャルギアにおいて、差動歯車セットは遊星歯車を有する。
【0152】
ユニット1は、デファレンシャルケースと一体回転するギアを有する。
例えば、平行歯車機構のうちのファイナルギア(デフリングギア)は、デファレンシャルケースと一体に回転する。例えば、遊星歯車機構のキャリアとデファレンシャルケースとが接続している場合、ピニオンギアがデファレンシャルケースと一体に回転(公転)する。
【0153】
例えば、モータ2の下流に減速歯車機構が接続されている。減速歯車機構の下流に差動歯車機構が接続されている。即ち、モータ2の下流には、減速歯車機構を介して差動歯車機構が接続されている。なお、減速歯車機構に替えて増速歯車機構としても良い。
シングルピニオン型の遊星歯車機構は、例えば、サンギアを入力要素とし、リングギアを固定要素とし、キャリアを出力要素とすることができる。
ダブルピニオン型の遊星歯車機構は、例えば、サンギアを入力要素とし、リングギアを出力要素とし、キャリアを固定要素とすることができる。
シングルピニオン型又はダブルピニオン型の遊星歯車機構のピニオンギアは、例えば、ステップドピニオンギア、ノンステップドピニオンギア等を用いることができる。
ステップドピニオンギアは、ラージピニオンおよびとスモールピニオンとを有する。例えば、ラージピニオンをサンギアに噛合させると好適である。例えば、スモールピニオンをリングギアに嵌合させると好適である。
ノンステップドピニオンギアは、ステップドピニオンギアではない形式である。
【0154】
本実施形態では、本発明のある態様におけるユニット1を車両に搭載する例を説明したが、この態様に限定されない。本発明は、車両以外にも適用することができる。また、本実施形態において複数の実施例、変形例が記載されている場合は、これらを任意に組み合わせても良い。
【0155】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。発明の技術的な思想の範囲内で、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0156】
1 :ユニット
2 :モータ
7 :インバータ
10 :モータケース
17 :インバータケース
83 :オイルクーラ(熱交換器)
835 :タブ
VL :鉛直線