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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】制御装置、補正方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20240311BHJP
   F24F 11/86 20180101ALI20240311BHJP
【FI】
H02M3/155 K
F24F11/86
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017251105
(22)【出願日】2017-12-27
(65)【公開番号】P2019118199
(43)【公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-12-23
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】久原 正和
(72)【発明者】
【氏名】相場 謙一
(72)【発明者】
【氏名】清水 健志
(72)【発明者】
【氏名】林 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 慎一
【合議体】
【審判長】林 毅
【審判官】脇岡 剛
【審判官】稲垣 良一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-041398号公報(JP,A)
【文献】特開2014-150622号公報(JP,A)
【文献】特開2003-169481号公報(JP,A)
【文献】特開2019-062682号公報(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0148396号明細書(US,A1)
【文献】国際公開第2017/037941号(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00- 3/44
H02M 7/42- 7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンバータ回路の負荷である圧縮機モータの回転数が変動する周期に基づいて、前記コンバータ回路が有する複数のスイッチング素子ごとのオン状態とオフ状態とを制御する制御信号を変化させた場合の各周波数成分の割合から算出することにより、入力電流の歪みを測定する歪み測定部と、
前記周期に5以上10以下の何れかの整数を乗算して算出した周期ごとに、前記コンバータ回路に入力される正弦波と前記正弦波を基本波とする高調波成分とを重畳した信号である電圧指令と前記コンバータ回路に供給される電圧との位相差、または前記高調波成分の振幅の一方に対して設定された3つの異なる値について、それぞれ前記制御信号の組を生成し、前記3つの異なる値に対応して生成した前記制御信号の複数の組の中から入力電流波形の歪みが小さい1組の制御信号を特定し、特定した1組の制御信号に基づいて前記スイッチング素子のオン状態とオフ状態とを制御することにより、前記入力電流の歪みを補正する制御信号生成部と、
を備え
前記制御信号の組の生成は、基準となる所定の波形の信号と、前記設定された値について生成された電圧指令とを比較し、比較結果に基づいて、前記複数のスイッチング素子をそれぞれ制御する複数の制御信号を1組として生成するものである、
制御装置。
【請求項2】
前記歪み測定部は、
前記回転数が変動する周期に整数を乗算して算出した周期ごとに入力電流の歪みを測定する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記コンバータ回路の電力に係る変動の周期は、
前記コンバータ回路から供給される電力により回転する前記圧縮機モータの回転数の逆数である、
請求項1または請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記コンバータ回路の電力に係る変動の周期は、
前記圧縮機モータを備える圧縮機におけるシングルロータリの単位時間当たりの振動数の逆数である、
請求項1または請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
コンバータ回路の負荷である圧縮機モータの回転数が変動する周期に基づいて、前記コンバータ回路が有する複数のスイッチング素子ごとのオン状態とオフ状態とを制御する制御信号を変化させた場合の各周波数成分の割合から算出することにより、入力電流の歪みを測定することと、前記周期に5以上10以下の何れかの整数を乗算して算出した周期ごとに、前記コンバータ回路に入力される正弦波と前記正弦波を基本波とする高調波成分とを重畳した信号である電圧指令と前記コンバータ回路に供給される電圧との位相差、または前記高調波成分の振幅の一方に対して設定された3つの異なる値について、それぞれ前記制御信号の組を生成することと、前記3つの異なる値に対応して生成した前記制御信号の複数の組の中から入力電流波形の歪みが小さい1組の制御信号を特定し、特定した1組の制御信号に基づいて前記スイッチング素子のオン状態とオフ状態とを制御することにより、前記入力電流の歪みを補正することと、
を含み、
前記制御信号の組の生成は、基準となる所定の波形の信号と、前記設定された値について生成された電圧指令とを比較し、比較結果に基づいて、前記複数のスイッチング素子をそれぞれ制御する複数の制御信号を1組として生成するものである、
補正方法。
【請求項6】
コンピュータに、
コンバータ回路の負荷である圧縮機モータの回転数が変動する周期に基づいて、前記コンバータ回路が有する複数のスイッチング素子ごとのオン状態とオフ状態とを制御する制御信号を変化させた場合の各周波数成分の割合から算出することにより、入力電流の歪みを測定することと、前記周期に5以上10以下の何れかの整数を乗算して算出した周期ごとに、前記コンバータ回路に入力される正弦波と前記正弦波を基本波とする高調波成分とを重畳した信号である電圧指令と前記コンバータ回路に供給される電圧との位相差、または前記高調波成分の振幅の一方に対して設定された3つの異なる値について、それぞれ前記制御信号の組を生成することと、前記3つの異なる値に対応して生成した前記制御信号の複数の組の中から入力電流波形の歪みが小さい1組の制御信号を特定し、特定した1組の制御信号に基づいて前記スイッチング素子のオン状態とオフ状態とを制御することにより、前記入力電流の歪みを補正することと、
を実行させ
前記制御信号の組の生成は、基準となる所定の波形の信号と、前記設定された値について生成された電圧指令とを比較し、比較結果に基づいて、前記複数のスイッチング素子をそれぞれ制御する複数の制御信号を1組として生成するものである、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、補正方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバータ装置は、さまざまな分野で利用されている。特許文献1には、コンバータ装置を空気調和機に適用し、装置の小型化及び簡素化を図る技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-150622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されているモータ駆動装置では、コンバータ装置におけるリアクトルには、リアクトルの両端の差電圧に応じた電流が流れる。そのため、特許文献1に記載されているモータ駆動装置においては、電源電圧の歪みによって、入力電流の歪みが大きくなってしまう。
【0005】
そこで、特許文献1に記載されているようなコンバータ装置におけるリアクトルのように、リアクトルの両端の差電圧に応じた電流が流れる回路において、電源電圧の歪みによって生じる入力電流の歪みを低減することのできる技術が求められていた。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決することのできる制御装置、補正方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、制御装置は、コンバータ回路の負荷である圧縮機モータの回転数が変動する周期に基づいて、前記コンバータ回路が有する複数のスイッチング素子ごとのオン状態とオフ状態とを制御する制御信号を変化させた場合の各周波数成分の割合から算出することにより、入力電流の歪みを測定する歪み測定部と、前記周期に5以上10以下の何れかの整数を乗算して算出した周期ごとに、前記コンバータ回路に入力される正弦波と前記正弦波を基本波とする高調波成分とを重畳した信号である電圧指令と前記コンバータ回路に供給される電圧との位相差、または前記高調波成分の振幅の一方に対して設定された3つの異なる値について、それぞれ前記制御信号の組を生成し、前記3つの異なる値に対応して生成した前記制御信号の複数の組の中から入力電流波形の歪みが小さい1組の制御信号を特定し、特定した1組の制御信号に基づいて前記スイッチング素子のオン状態とオフ状態とを制御することにより、前記入力電流の歪みを補正する制御信号生成部と、を備え、前記制御信号の組の生成は、基準となる所定の波形の信号と、前記設定された値について生成された電圧指令とを比較し、比較結果に基づいて、前記複数のスイッチング素子をそれぞれ制御する複数の制御信号を1組として生成するものである
【0008】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様における制御装置において、前記歪み測定部は、前記回転数が変動する周期に整数を乗算して算出した周期ごとに入力電流の歪みを測定するものであってもよい
【0010】
本発明の第の態様によれば、第1の態様または第2の態様における制御装置において、前記コンバータ回路の電力に係る変動の周期は、前記コンバータ回路から供給される電力により回転する前記圧縮機モータの回転数の逆数であってもよい
【0011】
本発明の第の態様によれば、第1の態様または第2の態様において、前記コンバータ回路の電力に係る変動の周期は、前記圧縮機モータを備える圧縮機におけるシングルロータリの単位時間当たりの振動数の逆数であってもよい
【0013】
本発明の第の態様によれば、補正方法は、コンバータ回路の負荷である圧縮機モータの回転数が変動する周期に基づいて、前記コンバータ回路が有する複数のスイッチング素子ごとのオン状態とオフ状態とを制御する制御信号を変化させた場合の各周波数成分の割合から算出することにより、入力電流の歪みを測定することと、前記周期に5以上10以下の何れかの整数を乗算して算出した周期ごとに、前記コンバータ回路に入力される正弦波と前記正弦波を基本波とする高調波成分とを重畳した信号である電圧指令と前記コンバータ回路に供給される電圧との位相差、または前記高調波成分の振幅の一方に対して設定された3つの異なる値について、それぞれ前記制御信号の組を生成することと、前記3つの異なる値に対応して生成した前記制御信号の複数の組の中から入力電流波形の歪みが小さい1組の制御信号を特定し、特定した1組の制御信号に基づいて前記スイッチング素子のオン状態とオフ状態とを制御することにより、前記入力電流の歪みを補正することと、を含み、前記制御信号の組の生成は、基準となる所定の波形の信号と、前記設定された値について生成された電圧指令とを比較し、比較結果に基づいて、前記複数のスイッチング素子をそれぞれ制御する複数の制御信号を1組として生成するものである
【0014】
本発明の第の態様によれば、プログラムは、コンピュータに、コンバータ回路の負荷である圧縮機モータの回転数が変動する周期に基づいて、前記コンバータ回路が有する複数のスイッチング素子ごとのオン状態とオフ状態とを制御する制御信号を変化させた場合の各周波数成分の割合から算出することにより、入力電流の歪みを測定することと、前記周期に5以上10以下の何れかの整数を乗算して算出した周期ごとに、前記コンバータ回路に入力される正弦波と前記正弦波を基本波とする高調波成分とを重畳した信号である電圧指令と前記コンバータ回路に供給される電圧との位相差、または前記高調波成分の振幅の一方に対して設定された3つの異なる値について、それぞれ前記制御信号の組を生成することと、前記3つの異なる値に対応して生成した前記制御信号の複数の組の中から入力電流波形の歪みが小さい1組の制御信号を特定し、特定した1組の制御信号に基づいて前記スイッチング素子のオン状態とオフ状態とを制御することにより、前記入力電流の歪みを補正することと、を実行させ、前記制御信号の組の生成は、基準となる所定の波形の信号と、前記設定された値について生成された電圧指令とを比較し、比較結果に基づいて、前記複数のスイッチング素子をそれぞれ制御する複数の制御信号を1組として生成するものである
【発明の効果】
【0015】
本発明の実施形態による制御装置、補正方法及びプログラムによれば、リアクトルの両端の差電圧に応じた電流が流れる回路において、電源電圧の歪みによって生じる入力電流の歪みを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態によるモータ駆動装置の構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態によるコンバータ制御部の構成を示す図である。
図3】本発明の一実施形態におけるスイッチング信号の生成を説明するための図である。
図4】本発明の一実施形態における電圧指令の生成を説明するための図である。
図5】本発明の一実施形態によるコンバータ制御部の処理フローを示す第1の図である。
図6】本発明の一実施形態によるコンバータ制御部の処理フローを示す第2の図である。
図7】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
本発明の一実施形態によるモータ駆動装置について説明する。
なお、本発明の一実施形態では、コンバータ装置の負荷が一定周期で変動する場合を想定している。 図1は、本発明の一実施形態によるモータ駆動装置1の構成を示す図である。モータ駆動装置1は、交流電源4からの交流電力を直流電力に変換し、その直流電力を三相交流電力に変換して圧縮機モータ20に出力する装置である。モータ駆動装置1は、図1に示すように、コンバータ装置2(リアクトルの両端の差電圧に応じた電流が流れる回路の一例、コンバータ回路の一例)と、インバータ装置3と、を備える。
【0018】
コンバータ装置2は、交流電源4からの交流電力を直流電力に変換してインバータ装置3に出力する装置である。コンバータ装置2は、整流回路5と、スイッチング回路10aと、スイッチング回路10bと、平滑コンデンサ12と、コンバータ制御部15と、入力電流検出部30と、を備える。
整流回路5は、入力端子と、入力側の基準端子と、出力端子と、出力側の基準端子と、を備える。入力側の基準端子の電位は、入力端子における電位の基準となる電位である。出力側の基準端子の電位は、出力端子における電位の基準となる電位である。整流回路5は、交流電源4より入力された交流電力を直流電力に変換し、スイッチング回路10aと、スイッチング回路10bとに出力する。
【0019】
スイッチング回路10aは、平滑コンデンサ12に流れる電流を流し、インバータ装置3に入力される電圧を生成する。スイッチング回路10aは、リアクトル6aと、ダイオード7aと、スイッチング素子8aと、を備える。
【0020】
リアクトル6aは、第1端子と、第2端子と、を備える。
ダイオード7aは、アノード端子と、カソード端子と、を備える。
スイッチング素子8aは、第1端子と、第2端子と、第3端子と、を備える。スイッチング素子8aは、第1端子が受ける信号に応じて、オン状態となる期間とオフ状態となる期間とが切り替わることにより、第2端子から第3端子に流れる電流を制御し、スイッチング回路10aに流れる電流の値を変化させる。スイッチング素子8aとしては、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等が挙げられる。スイッチング素子8aが例えばnMOSトランジスタである場合、スイッチング素子8aの第1端子はゲート端子であり、第2端子はソース端子であり、第3端子はドレイン端子である。
【0021】
スイッチング回路10bは、スイッチング回路10aと同様に、平滑コンデンサ12に電流を流し、インバータ装置3に入力される電圧を生成する。スイッチング回路10bは、リアクトル6bと、ダイオード7bと、スイッチング素子8bと、を備える。
【0022】
リアクトル6bは、第1端子と、第2端子と、を備える。
ダイオード7bは、アノード端子と、カソード端子と、を備える。
スイッチング素子8bは、スイッチング素子8aと同様に、第1端子と、第2端子と、第3端子と、を備える。スイッチング素子8bは、第1端子が受ける信号に応じて、オン状態となる期間とオフ状態となる期間とが切り替わることにより、第2端子から第3端子に流れる電流を制御し、スイッチング回路10bに流れる電流の値を変化させる。スイッチング素子8bとしては、電界効果トランジスタ、IGBT等が挙げられる。スイッチング素子8bが例えばnMOSトランジスタである場合、スイッチング素子8bの第1端子はゲート端子であり、第2端子はソース端子であり、第3端子はドレイン端子である。
【0023】
平滑コンデンサ12は、第1端子と、第2端子と、を備える。平滑コンデンサ12は、スイッチング回路10aとスイッチング回路10bの両方から電流を受ける。つまり、インバータ装置3に入力される電圧は、スイッチング回路10aとスイッチング回路10bの両方から平滑コンデンサ12に流れる電流値の総和によって決定される。
【0024】
入力電流検出部30は、入力端子と、出力端子と、を備える。入力電流検出部30は、交流電源4へのリターン電流(以下、「入力電流」と記載)を検出する。入力電流検出部30は、検出した入力電流の情報をコンバータ制御部15に与える。
コンバータ制御部15は、第1入力端子と、第2入力端子と、第1出力端子と、第2出力端子と、を備える。コンバータ制御部15は、第1入力端子を介して、入力電流検出部30から入力電流の情報を受け、入力電流波形を観測する。コンバータ制御部15は、第1出力端子を介してスイッチング回路10aを制御する。また、コンバータ制御部15は、第2出力端子を介して10bを制御する。コンバータ制御部15は、スイッチング回路10aの制御信号Sg1、スイッチング回路10bの制御信号Sg2を変化させたときの入力電流波形から、入力電流波形の歪みが小さい制御信号を特定する。
【0025】
交流電源4は、出力端子と、基準端子と、を備える。交流電源4は、コンバータ装置2に交流電力を供給する。
【0026】
ゼロクロス検出部17は、第1入力端子と、第2入力端子と、出力端子と、を備える。ゼロクロス検出部17は、第1入力端子と、第2入力端子とを介して、交流電源4が出力する電圧のゼロクロス点を検出する。ゼロクロス点は、交流電源4が出力する電圧がゼロボルトを交差する時刻を示し、その時刻がモータ駆動装置1の処理において基準の時刻となる。ゼロクロス検出部17は、セロクロス点の情報を含むゼロクロス信号を生成する。ゼロクロス検出部17は、出力端子を介してゼロクロス信号をコンバータ制御部15に出力する。
【0027】
インバータ装置3は、コンバータ装置2から出力された直流電力を三相交流電力に変換して圧縮機モータ20に出力する装置である。インバータ装置3は、ブリッジ回路18と、インバータ制御部19と、を備える。
ブリッジ回路18は、図1に示すように、入力端子と、第1出力端子と、第2出力端子と、第3出力端子と、基準端子と、を備える。基準端子の電位は、入力端子、第1出力端子、第2出力端子及び第3出力端子のそれぞれにおける電位の基準となる電位である。ブリッジ回路18は、スイッチング素子181、182、183、184、185、186を備える。ブリッジ回路18は、スイッチング素子181と182、スイッチング素子183と184、スイッチング素子185と186のそれぞれが対を成して構成される。スイッチング素子181~186のそれぞれは、第1端子と、第2端子と、第3端子と、を備える。スイッチング素子181~186のそれぞれは、第1端子が受ける信号に応じて、オン状態となる期間とオフ状態となる期間とが切り替わることにより、第2端子から第3端子に流れる電流を制御し、圧縮機モータ20を駆動する三相交流電力を生成し、生成した三相交流電力を圧縮機モータ20に出力する。スイッチング素子181、182、183、184、185、186としては、パワー電界効果トランジスタ、IGBT等が挙げられる。
【0028】
インバータ制御部19は、第1出力端子と、第2出力端子と、第3出力端子と、第4出力端子と、第5出力端子と、第6出力端子と、を備える。インバータ制御部19の第1出力端子は、スイッチング素子181のオン状態となる期間とオフ状態となる期間とを切り替えるゲート駆動信号をスイッチング素子181の第1端子に出力するための端子である。インバータ制御部19の第2出力端子は、スイッチング素子182のオン状態となる期間とオフ状態となる期間とを切り替えるゲート駆動信号をスイッチング素子182の第1端子に出力するための端子である。インバータ制御部19の第3出力端子は、スイッチング素子183のオン状態となる期間とオフ状態となる期間とを切り替えるゲート駆動信号をスイッチング素子183の第1端子に出力するための端子である。インバータ制御部19の第4出力端子は、スイッチング素子184のオン状態となる期間とオフ状態となる期間とを切り替えるゲート駆動信号をスイッチング素子184の第1端子に出力するための端子である。インバータ制御部19の第5出力端子は、スイッチング素子185のオン状態となる期間とオフ状態となる期間とを切り替えるゲート駆動信号をスイッチング素子185の第1端子に出力するための端子である。インバータ制御部19の第6出力端子は、スイッチング素子186のオン状態となる期間とオフ状態となる期間とを切り替えるゲート駆動信号をスイッチング素子186の第1端子に出力するための端子である。なお、図1では、インバータ制御部19の第1~第6出力端子を省略して示している。また、図1では、インバータ制御部19の第1~第6出力端子からブリッジ回路18に出力されるゲート駆動信号をまとめてゲート駆動信号Spwmと示している。インバータ制御部19は、ブリッジ回路18におけるスイッチング素子の開閉を制御する。インバータ制御部19は、例えば、図示していない上位装置から入力される要求回転数指令に基づいて、スイッチング素子181~186のゲート駆動信号Spwmを生成する。インバータ制御部19は、第1~第6出力端子を介して、ゲート駆動信号Spwmをブリッジ回路18に与える。なお、インバータ制御の具体的な手法の例としては、ベクトル制御、センサレスベクトル制御、V/F(Variable Frequency)制御、過変調制御、1パルス制御などが挙げられる。
【0029】
圧縮機モータ20は、スイッチング素子181~186のそれぞれにより生成された三相交流電力により回転する。コンバータ装置2の直接の負荷はインバータ装置3であるが、インバータ装置3は圧縮機モータ20に供給する電力に応じて必要となる電力が変化する。したがって、コンバータ装置2の負荷は、圧縮機モータ20と見ることができる。つまり、コンバータ装置2の負荷がほぼ一定周期で変動する場合とは、圧縮機モータ20の回転数がほぼ一定周期で変動(コンバータ回路の電力に係る変動の一例)する場合である。
【0030】
整流回路5の入力端子は、交流電源4の出力端子と、ゼロクロス検出部17の第1入力端子とに接続される。整流回路5の入力側の基準端子は、交流電源4の基準端子と、ゼロクロス検出部17の第2入力端子と、入力電流検出部30の入力端子とに接続される。整流回路5の出力端子は、リアクトル6aの第1端子と、リアクトル6bの第1端子とに接続される。整流回路5の出力側の基準端子は、スイッチング素子8aの第3端子と、スイッチング素子8bの第3端子と、平滑コンデンサ12の第2端子と、インバータ装置3の基準端子(スイッチング素子182、184、186それぞれの第3端子)とに接続される。
リアクトル6aの第2端子は、ダイオード7aのアノード端子と、スイッチング素子8aの第2端子とに接続される。リアクトル6bの第2端子は、ダイオード7bのアノード端子と、スイッチング素子8bの第2端子とに接続される。
ダイオード7aのカソード端子は、ダイオード7bのカソード端子と、平滑コンデンサ12の第1端子と、インバータ装置3の入力端子(スイッチング素子181、183、185それぞれの第2端子)とに接続される。
スイッチング素子8aの第1端子は、コンバータ制御部15の第1出力端子に接続される。スイッチング素子8bの第1端子は、コンバータ制御部15の第2出力端子に接続される。
コンバータ制御部15の第1端子は、入力電流検出部30の出力端子に接続される。コンバータ制御部15の第2端子は、ゼロクロス検出部17の出力端子に接続される。
スイッチング素子181の第1端子は、インバータ制御部19の第1出力端子に接続される。スイッチング素子182の第1端子は、インバータ制御部19の第2出力端子に接続される。スイッチング素子183の第1端子は、インバータ制御部19の第3出力端子に接続される。スイッチング素子184の第1端子は、インバータ制御部19の第4出力端子に接続される。スイッチング素子185の第1端子は、インバータ制御部19の第5出力端子に接続される。スイッチング素子186の第1端子は、インバータ制御部19の第6出力端子に接続される。
スイッチング素子181の第3端子は、スイッチング素子182の第2端子と、圧縮機モータ20の第1端子とに接続される。スイッチング素子183の第3端子は、スイッチング素子184の第2端子と、圧縮機モータ20の第2端子とに接続される。スイッチング素子185の第3端子は、スイッチング素子186の第2端子と、圧縮機モータ20の第1端子とに接続される。
【0031】
なお、上記のような制御を実現する際に、特許文献1に記載されているように、直流電圧検出部、及び、モータ電流検出部が設けられてもよい。
直流電圧検出部は、ブリッジ回路18の入力直流電圧Vdcを検出する検出部である。
モータ電流検出部は、圧縮機モータ20に流れる各相電流iu、iv、iwを検出する検出部である。モータ電流検出部は、これらの検出値Vdc、iu、iv、iwをインバータ制御部19に入力する。なお、モータ電流検出部は、ブリッジ回路18と平滑コンデンサ12の間の負極側電力線に流れる電流を検出し、この検出信号から各相電流iu、iv、iwを取得するものであってもよい。
【0032】
図2は、コンバータ制御部15の機能ブロック図である。
コンバータ制御部15は、図2に示すように、波形観測部21、制御信号生成部22(制御部の一例)、歪み測定部23、記憶部24を備える。
【0033】
波形観測部21は、ゼロクロス検出部17が検出した交流電源4のゼロクロス点を示すゼロクロス信号をゼロクロス検出部17から受ける。波形観測部21は、入力電流検出部30から入力電流波形を受ける。波形観測部21は、ゼロクロス点を基準として、入力電流波形を観測する。
【0034】
制御信号生成部22は、スイッチング回路10aを制御するための第1スイッチング信号Sg1、及び、スイッチング回路10bを制御するための第2スイッチング信号Sg2を生成する。
具体的には、制御信号生成部22は、図3(a)、(c)に示すように、所定の三角波と電圧指令とを生成する。所定の三角波は、基準となる波形の信号である。電圧指令は、正弦波と正弦波を基本波とする高調波成分とを重畳させた信号である。そして、制御信号生成部22は、三角波と電圧指令とを比較し、その比較結果に基づいて、図3(b)、(d)に示すようなスイッチング素子8aを制御する第1スイッチング信号Sg1及びスイッチング素子8bを制御する第2スイッチング信号Sg2を生成する。
なお、制御信号生成部22は、例えば、図4(a)に示す基本波と3次高調波を重畳させることによって得られる信号について、図4(b)に示すように絶対値をとり、その絶対値を電圧指令とする。ここで、制御信号生成部22は、高調波成分の振幅を基本波の振幅によって正規化している。
この場合の電圧指令Dは、次の式(1)のように表すことができる。
【0035】
【数1】
【0036】
式(1)において、位相差f1tは、電源電圧と電圧指令との位相差を示す。振幅f3sは、3次高調波のサイン成分の振幅を示す。振幅f3cは、3次高調波のコサイン成分の振幅を示す。
なお、ここで示した例は、基本波に重畳させる高調波として3次高調波の場合を示したが、本発明の別の実施形態では、5次高調波、7次高調波、9次高調波のように、任意の奇数次の高調波成分まで重畳されるものであってもよい。
また、系統電圧の歪みは、通常、奇数次の高調波成分のみを含む歪みであるため、奇数次の高調波成分を重畳させているが、本発明の別の実施形態では、偶数次の高調波も重畳させるものであってよい。例えば、外部からの干渉によって偶数次の高調波が重畳されることがわかっている場合などには、基本波に偶数次の高調波成分を重畳させてもよい。
【0037】
歪み測定部23は、制御信号生成部22が位相差f1t、振幅f3s、振幅f3cをパラメータとして電圧指令を変化させたとき、すなわち、第1スイッチング信号Sg1、及び、第2スイッチング信号Sg2を変化させたときに生じる入力電流の歪みを測定する。ここで、歪み測定部23は、コンバータ装置2の負荷の変動周期に5以上10以下の整数の何れかを乗算して算出した周期ごとに、入力電流の歪みを測定する。具体的には、空調機において圧縮機モータ20が20[rps]程度で回転する場合、歪み測定部23は、(1/20[rps])×5倍=0.25[s]の周期で歪みを測定する。また、電流波形の安定時間を考慮すると、5倍よりも10倍の方がより安定したものとなるため、望ましくは、歪み測定部23は、(1/20[rps])×10倍=0.5[s]の周期で歪みを測定する。ただし、実際には、制御周期が長いと全体の調整に時間がかかるため、5~10倍程度で算出した周期で調整するのがよい。そして、コンバータ制御部15が、その算出した周期ごとに入力電流の歪みを補正する。歪み測定部23は、このように算出した周期で入力電流の歪みを測定することで、歪みの測定値が安定させることができ、コンバータ制御部15による入力電流歪みを補正するのに掛かる時間を短くすることができる。このことは、実験により確認されている。なお、歪み測定部23が5倍よりも短い周期で入力電流の歪みを周期的に測定する場合、入力電流の歪みの補正が行われてから実際に安定した入力電流波形となるまでの時間が足りなくなる。その結果、入力電流波形が不安定な状態で次の入力電流の歪みの補正が行われることになり、全体の補正時間が長くなる。また、歪み測定部23が10倍よりも長い周期で入力電流の歪みを周期的に測定する場合、入力電流の歪みの補正が行われてから実際に安定した入力電流波形となった後に調整されない待ち時間が生じてしまう。その結果、全体の補正時間が長くなる。
ここで歪み測定部23が行う入力電流の歪みの測定は、波形観測部21が受けた入力電流波形に基づくものであり、例えば、フーリエ変換して各周波数成分の割合から歪みを算出するものであってもよいし、その他の技術を用いて算出されるものであってもよい。
なお、ここでの歪みは、次の式(2)によって示される歪み率μである。
【0038】
【数2】
【0039】
なお、式(2)において、Iは基本波電流成分、Iは2次高調波電流成分、Iは3次高調波電流成分、Iは4次高調波電流成分である。
そして、制御信号生成部22は、歪み測定部23が測定した入力電流の歪みが最も小さいときのパラメータを用いて電圧指令を生成することにより、入力電流における歪みを打ち消すことができる。
【0040】
記憶部24は、コンバータ制御部15が行う処理に必要な種々の情報を記憶する。例えば、記憶部24は、歪み測定部23の測定結果を記憶する。
【0041】
次に、本発明の一実施形態によるモータ駆動装置1の処理について説明する。
ここでは、図5及び図6に示すコンバータ制御部15の処理フローについて説明する。
なお、図5及び図6に示すコンバータ制御部15の処理は、入力電流が流れているときに行う処理である。また、コンバータ装置2の負荷である圧縮機モータ20の回転数が一定周期で変動するものであり、特に記載していない場合であっても、歪み測定部23は、圧縮機モータ20の回転数の逆数に5以上10以下の整数の何れかを乗算して算出した周期ごとに、入力電流の歪みを測定する。そして、制御信号生成部22は、歪み測定部23による測定の周期ごとに、第1スイッチング信号Sg1及び第2スイッチング信号Sg2を生成して入力電流の歪みを補正するものである。
【0042】
コンバータ制御部15は、図5に示すように、パラメータである位相差f1tを設定するステップS1の処理を行う。このステップS1の処理は、図6に示す処理フローのように行われる。具体的には、位相差f1tを設定するステップS1の処理は、以下に示すステップS11a~S27aの処理である。
【0043】
制御信号生成部22は、位相差f1t、振幅f3s、振幅f3cについて電圧指令の初期パラメータを生成する(ステップS11a)。なお、位相差f1tの初期パラメータを位相値f1t1、振幅f3sの初期パラメータを振幅f3s1、振幅f3cの初期パラメータを振幅f3c1とする。また、このときの初期パラメータ位相値f1t1、振幅f3s1、振幅f3c1の組み合わせをパラメータParam1とする。制御信号生成部22は、パラメータParam1について生成された第1スイッチング信号Sg1をスイッチング回路10aに、生成された第2スイッチング信号Sg2をスイッチング回路10bに出力する。制御信号生成部22は、パラメータParam1の値を歪み測定部23に出力する。
【0044】
波形観測部21は、入力電流検出部30から入力電流を受ける(ステップS12a)。波形観測部21は、入力電流の値を歪み測定部23に出力する。
【0045】
歪み測定部23は、制御信号生成部22からパラメータParam1の値を受ける。また、歪み測定部23は、波形観測部21から入力電流の値を受ける。歪み測定部23は、入力電流の値に基づいて、入力電流の歪みを測定する(ステップS13a)。歪み測定部23は、入力電流の歪みの測定結果とパラメータParam1とを関連付けて記憶部24に記憶する(ステップS14a)。歪み測定部23は、制御信号生成部22に測定の完了を通知する。
【0046】
制御信号生成部22は、歪み測定部23から測定の完了の通知を受けると、パラメータである振幅f3s1、振幅f3c1を変えずに、位相差f1t1よりも位相差f1tの最小設定幅Δf1tだけ大きい値に設定した位相差f1t2について電圧指令を生成する(ステップS15a)。この場合のパラメータである位相差f1t2、振幅f3s1、振幅f3c1の組み合わせをパラメータParam2とする。制御信号生成部22は、パラメータParam2について生成された第1スイッチング信号Sg1をスイッチング回路10aに、生成された第2スイッチング信号Sg2をスイッチング回路10bに出力する。制御信号生成部22は、パラメータParam2の値を歪み測定部23に出力する。
【0047】
波形観測部21は、入力電流検出部30から入力電流を受ける(ステップS16a)。波形観測部21は、受けた入力電流の値を歪み測定部23に出力する。
【0048】
歪み測定部23は、制御信号生成部22からパラメータParam2の値を受ける。また、歪み測定部23は、波形観測部21から入力電流の値を受ける。歪み測定部23は、入力電流の値に基づいて、入力電流の歪みを測定する(ステップS17a)。歪み測定部23は、この入力電流の歪の測定結果とパラメータParam2とを関連付けて記憶部24に記憶する(ステップS18a)。歪み測定部23は、制御信号生成部22に測定の完了を通知する。
【0049】
制御信号生成部22は、歪み測定部23から測定の完了の通知を受けると、パラメータである振幅f3s1、振幅f3c1を変えずに、位相差f1t1よりも最小設定幅Δf1tだけ小さい値に設定した位相差f1t3について電圧指令を生成する(ステップS19a)。この場合のパラメータである位相差f1t3、振幅f3s1、振幅f3c1の組み合わせをパラメータParam3とする。制御信号生成部22は、パラメータParam3について生成された第1スイッチング信号Sg1をスイッチング回路10aに、生成された第2スイッチング信号Sg2をスイッチング回路10bに出力する。制御信号生成部22は、パラメータParam3の値を歪み測定部23に出力する。
【0050】
波形観測部21は、入力電流検出部30から入力電流を受ける(ステップS20a)。波形観測部21は、受けた入力電流の値を歪み測定部23に出力する。
【0051】
歪み測定部23は、制御信号生成部22からパラメータParam3の値を受ける。また、歪み測定部23は、波形観測部21から入力電流の値を受ける。歪み測定部23は、入力電流の値に基づいて、入力電流の歪みを測定する(ステップS21a)。歪み測定部23は、この入力電流の歪の測定結果とパラメータParam3とを関連付けて記憶部24に記憶する(ステップS22a)。歪み測定部23は、制御信号生成部22に測定の完了を通知する。
【0052】
制御信号生成部22は、歪み測定部23から測定の完了の通知を受けると、記憶部24からパラメータParam1、パラメータParam2、パラメータParam3のそれぞれに関連付けられた入力電流の歪みの測定結果を読み出す。制御信号生成部22は、パラメータParam1についての入力電流の歪みを第1の入力電流の歪み、パラメータParam2についての入力電流の歪みを第2の入力電流の歪み、パラメータParam3についての入力電流の歪みを第3の入力電流の歪みとして、記憶部24に書き込む。制御信号生成部22は、第1~第3の入力電流の歪みの測定結果を比較し、第1の入力電流の歪みが最小であるか否かを判定する(ステップS23a)。
制御信号生成部22は、第1の入力電流の歪みが最小であると判定した場合(ステップS23aにおいてYES)、つまり、3つの異なる位相差f1t1、f1t1-Δf1t、f1t1+Δf1tのうち中間の値(この場合、位相差f1t1)を用いたときに歪みが極小値をとると判定した場合、固定値として設定するパラメータとして第1の入力電流の歪みが得られるパラメータ(この場合、パラメータParam1)を設定し(ステップS24a)、パラメータである振幅f3sを設定する処理へ進める。
【0053】
また、制御信号生成部22は、第1の入力電流の歪みが最小でないと判定した場合(ステップS23aにおいてNO)、第2の入力電流の歪みが最小であるか否かを判定する(ステップS25a)。
制御信号生成部22は、第2の入力電流の歪みが最小であると判定した場合(ステップS25aにおいてYES)、固定値として設定するパラメータとして第2の入力電流の歪みが得られるパラメータ(この場合、パラメータParam2)を、例えば、記憶部24に書き込むことにより設定し(ステップS26a)、パラメータである振幅f3sを設定する処理へ進める。
【0054】
また、制御信号生成部22は、第2の入力電流の歪みが最小でないと判定した場合(ステップS25aにおいてNO)、固定値として設定するパラメータとして第3の入力電流の歪みが得られるパラメータ(この場合、パラメータParam3)を設定し(ステップS27a)、パラメータである振幅f3sを設定する処理へ進める。
【0055】
次に、コンバータ制御部15は、図5に示す、パラメータである位相差f3sを設定するステップS2の処理を行う。ステップS2の処理は、ステップS1の処理において設定された振幅f3s以外のパラメータを変えずに、パラメータである振幅f3sを設定する処理である。図5に示すステップS2の処理は、図6に示す処理フローのように行われる。具体的には、振幅f3sを設定するステップS2の処理は、以下に示すステップS11b~S27bの処理である。
【0056】
制御信号生成部22は、ステップS1の処理において設定された位相差f1t、振幅f3s、振幅f3cを初期パラメータとして電圧指令のパラメータを生成する(ステップS11b)。なお、説明の都合上、ステップS1の処理において設定された位相差f1tを位相値f1t1、ステップS1の処理において設定された振幅f3sを振幅f3s1、ステップS1の処理において設定された振幅f3cを振幅f3c1とする。また、このときの初期パラメータ位相値f1t1、振幅f3s1、振幅f3c1の組み合わせをパラメータParam1とする。制御信号生成部22は、パラメータParam1について生成された第1スイッチング信号Sg1をスイッチング回路10aに、生成された第2スイッチング信号Sg2をスイッチング回路10bに出力する。制御信号生成部22は、パラメータParam1の値を歪み測定部23に出力する。
【0057】
波形観測部21は、入力電流検出部30から入力電流を受ける(ステップS12b)。波形観測部21は、入力電流の値を歪み測定部23に出力する。
【0058】
歪み測定部23は、制御信号生成部22からパラメータParam1の値を受ける。また、歪み測定部23は、波形観測部21から入力電流の値を受ける。歪み測定部23は、入力電流の値に基づいて、入力電流の歪みを測定する(ステップS13b)。歪み測定部23は、入力電流の歪みの測定結果とパラメータParam1とを関連付けて記憶部24に記憶する(ステップS14b)。歪み測定部23は、制御信号生成部22に測定の完了を通知する。
【0059】
制御信号生成部22は、歪み測定部23から測定の完了の通知を受けると、パラメータである位相差f1t1、振幅f3c1を変えずに、振幅f3s1よりも振幅f3sの最小設定幅Δf3sだけ大きい値に設定した振幅f3s2について電圧指令を生成する(ステップS15b)。この場合のパラメータである位相差f1t1、振幅f3s2、振幅f3c1の組み合わせをパラメータParam2とする。制御信号生成部22は、パラメータParam2について生成された第1スイッチング信号Sg1をスイッチング回路10aに、生成された第2スイッチング信号Sg2をスイッチング回路10bに出力する。制御信号生成部22は、パラメータParam2の値を歪み測定部23に出力する。
【0060】
波形観測部21は、入力電流検出部30から入力電流を受ける(ステップS16b)。波形観測部21は、受けた入力電流の値を歪み測定部23に出力する。
【0061】
歪み測定部23は、制御信号生成部22からパラメータParam2の値を受ける。また、歪み測定部23は、波形観測部21から入力電流の値を受ける。歪み測定部23は、入力電流の値に基づいて、入力電流の歪みを測定する(ステップS17b)。歪み測定部23は、この入力電流の歪の測定結果とパラメータParam2とを関連付けて記憶部24に記憶する(ステップS18b)。歪み測定部23は、制御信号生成部22に測定の完了を通知する。
【0062】
制御信号生成部22は、歪み測定部23から測定の完了の通知を受けると、パラメータである位相差f1t1、振幅f3c1を変えずに、振幅f3s1よりも最小設定幅Δf3sだけ小さい値に設定した振幅f3s3について電圧指令を生成する(ステップS19b)。この場合のパラメータである位相差f1t1、振幅f3s3、振幅f3c1の組み合わせをパラメータParam3とする。制御信号生成部22は、パラメータParam3について生成された第1スイッチング信号Sg1をスイッチング回路10aに、生成された第2スイッチング信号Sg2をスイッチング回路10bに出力する。制御信号生成部22は、パラメータParam3の値を歪み測定部23に出力する。
【0063】
波形観測部21は、入力電流検出部30から入力電流を受ける(ステップS20b)。波形観測部21は、受けた入力電流の値を歪み測定部23に出力する。
【0064】
歪み測定部23は、制御信号生成部22からパラメータParam3の値を受ける。また、歪み測定部23は、波形観測部21から入力電流の値を受ける。歪み測定部23は、入力電流の値に基づいて、入力電流の歪みを測定する(ステップS21b)。歪み測定部23は、この入力電流の歪の測定結果とパラメータParam3とを関連付けて記憶部24に記憶する(ステップS22b)。歪み測定部23は、制御信号生成部22に測定の完了を通知する。
【0065】
制御信号生成部22は、歪み測定部23から測定の完了の通知を受けると、記憶部24からパラメータParam1、パラメータParam2、パラメータParam3のそれぞれに関連付けられた入力電流の歪みの測定結果を読み出す。制御信号生成部22は、パラメータParam1についての入力電流の歪みを第1の入力電流の歪み、パラメータParam2についての入力電流の歪みを第2の入力電流の歪み、パラメータParam3についての入力電流の歪みを第3の入力電流の歪みとして、記憶部24に書き込む。制御信号生成部22は、第1~第3の入力電流の歪みの測定結果を比較し、第1の入力電流の歪みが最小であるか否かを判定する(ステップS23b)。
制御信号生成部22は、第1の入力電流の歪みが最小であると判定した場合(ステップS23bにおいてYES)、つまり、3つの異なる振幅f3s1、f3s1-Δf3s、f3s1+Δf3sのうち中間の値(この場合、振幅f3s1)を用いたときに歪みが極小値をとると判定した場合、固定値として設定するパラメータとして第1の入力電流の歪みが得られるパラメータ(この場合、パラメータParam1)を、例えば、記憶部24に書き込むことにより設定し(ステップS24b)、パラメータである振幅f3cを設定する処理へ進める。
【0066】
また、制御信号生成部22は、第1の入力電流の歪みが最小でないと判定した場合(ステップS23bにおいてNO)、第2の入力電流の歪みが最小であるか否かを判定する(ステップS25b)。
制御信号生成部22は、第2の入力電流の歪みが最小であると判定した場合(ステップS25bにおいてYES)、固定値として設定するパラメータとして第2の入力電流の歪みが得られるパラメータ(この場合、パラメータParam2)を設定し(ステップS26b)、パラメータである振幅f3cを設定する処理へ進める。
【0067】
また、制御信号生成部22は、第2の入力電流の歪みが最小でないと判定した場合(ステップS25bにおいてNO)、固定値として設定するパラメータとして第3の入力電流の歪みが得られるパラメータ(この場合、パラメータParam3)を設定し(ステップS27b)、パラメータである振幅f3cを設定する処理へ進める。
【0068】
次に、コンバータ制御部15は、図5に示す、パラメータである位相差f3cを設定するステップS3の処理を行う。ステップS3の処理は、ステップS2の処理において設定された振幅f3c以外のパラメータを変えずに、パラメータである振幅f3cを設定する処理である。図5に示すステップS3の処理は、図6に示す処理フローのように行われる。具体的には、振幅f3cを設定するステップS3の処理は、以下に示すステップS11c~S27cの処理である。
【0069】
制御信号生成部22は、ステップS2の処理において設定された位相差f1t、振幅f3s、振幅f3cを初期パラメータとして電圧指令のパラメータを生成する(ステップS11c)。なお、説明の都合上、ステップS2の処理において設定された位相差f1tを位相値f1t1、ステップS2の処理において設定された振幅f3sを振幅f3s1、ステップS2の処理において設定された振幅f3cを振幅f3c1とする。また、このときの初期パラメータ位相値f1t1、振幅f3s1、振幅f3c1の組み合わせをパラメータParam1とする。制御信号生成部22は、パラメータParam1について生成された第1スイッチング信号Sg1をスイッチング回路10aに、生成された第2スイッチング信号Sg2をスイッチング回路10bに出力する。制御信号生成部22は、パラメータParam1の値を歪み測定部23に出力する。
【0070】
波形観測部21は、入力電流検出部30から入力電流を受ける(ステップS12c)。波形観測部21は、入力電流の値を歪み測定部23に出力する。
【0071】
歪み測定部23は、制御信号生成部22からパラメータParam1の値を受ける。また、歪み測定部23は、波形観測部21から入力電流の値を受ける。歪み測定部23は、入力電流の値に基づいて、入力電流の歪みを測定する(ステップS13c)。歪み測定部23は、入力電流の歪みの測定結果とパラメータParam1とを関連付けて記憶部24に記憶する(ステップS14c)。歪み測定部23は、制御信号生成部22に測定の完了を通知する。
【0072】
制御信号生成部22は、歪み測定部23から測定の完了の通知を受けると、パラメータである位相差f1t1、振幅f3s1を変えずに、振幅f3c1よりも振幅f3cの最小設定幅Δf3cだけ大きい値に設定した振幅f3c2について電圧指令を生成する(ステップS15c)。この場合のパラメータである位相差f1t1、振幅f3s1、振幅f3c2の組み合わせをパラメータParam2とする。制御信号生成部22は、パラメータParam2について生成された第1スイッチング信号Sg1をスイッチング回路10aに、生成された第2スイッチング信号Sg2をスイッチング回路10bに出力する。制御信号生成部22は、パラメータParam2の値を歪み測定部23に出力する。
【0073】
波形観測部21は、入力電流検出部30から入力電流を受ける(ステップS16c)。波形観測部21は、受けた入力電流の値を歪み測定部23に出力する。
【0074】
歪み測定部23は、制御信号生成部22からパラメータParam2の値を受ける。また、歪み測定部23は、波形観測部21から入力電流の値を受ける。歪み測定部23は、入力電流の値に基づいて、入力電流の歪みを測定する(ステップS17c)。歪み測定部23は、この入力電流の歪の測定結果とパラメータParam2とを関連付けて記憶部24に記憶する(ステップS18c)。歪み測定部23は、制御信号生成部22に測定の完了を通知する。
【0075】
制御信号生成部22は、歪み測定部23から測定の完了の通知を受けると、パラメータである位相差f1t1、振幅f3s1を変えずに、振幅f3c1よりも最小設定幅Δf3cだけ小さい値に設定した振幅f3c3について電圧指令を生成する(ステップS19c)。この場合のパラメータである位相差f1t1、振幅f3s1、振幅f3c3の組み合わせをパラメータParam3とする。制御信号生成部22は、パラメータParam3について生成された第1スイッチング信号Sg1をスイッチング回路10aに、生成された第2スイッチング信号Sg2をスイッチング回路10bに出力する。制御信号生成部22は、パラメータParam3の値を歪み測定部23に出力する。
【0076】
波形観測部21は、入力電流検出部30から入力電流を受ける(ステップS20c)。波形観測部21は、受けた入力電流の値を歪み測定部23に出力する。
【0077】
歪み測定部23は、制御信号生成部22からパラメータParam3の値を受ける。また、歪み測定部23は、波形観測部21から入力電流の値を受ける。歪み測定部23は、入力電流の値に基づいて、入力電流の歪みを測定する(ステップS21c)。歪み測定部23は、この入力電流の歪の測定結果とパラメータParam3とを関連付けて記憶部24に記憶する(ステップS22c)。歪み測定部23は、制御信号生成部22に測定の完了を通知する。
【0078】
制御信号生成部22は、歪み測定部23から測定の完了の通知を受けると、記憶部24からパラメータParam1、パラメータParam2、パラメータParam3のそれぞれに関連付けられた入力電流の歪みの測定結果を読み出す。制御信号生成部22は、パラメータParam1についての入力電流の歪みを第1の入力電流の歪み、パラメータParam2についての入力電流の歪みを第2の入力電流の歪み、パラメータParam3についての入力電流の歪みを第3の入力電流の歪みとして、記憶部24に書き込む。制御信号生成部22は、第1~第3の入力電流の歪みの測定結果を比較し、第1の入力電流の歪みが最小であるか否かを判定する(ステップS23c)。
制御信号生成部22は、第1の入力電流の歪みが最小であると判定した場合(ステップS23cにおいてYES)、つまり、3つの異なる振幅f3c1、f3c1-Δf3c、f3c1+Δf3cのうち中間の値(この場合、振幅f3c1)を用いたときに歪みが極小値をとると判定した場合、固定値として設定するパラメータとして第1の入力電流の歪みが得られるパラメータ(この場合、パラメータParam1)を、例えば、記憶部24に書き込むことにより設定する(ステップS24c)。
そして、制御信号生成部22は、図5に示すステップS1、ステップS2、ステップS3のすべてのステップでパラメータParam1が設定されたか否かを判定するステップS4の処理へ進める。
【0079】
また、制御信号生成部22は、第1の入力電流の歪みが最小でないと判定した場合(ステップS23cにおいてNO)、第2の入力電流の歪みが最小であるか否かを判定する(ステップS25c)。
制御信号生成部22は、第2の入力電流の歪みが最小であると判定した場合(ステップS25cにおいてYES)、固定値として設定するパラメータとして第2の入力電流の歪みが得られるパラメータ(この場合、パラメータParam2)を設定する(ステップS26c)。
そして、制御信号生成部22は、図5に示すステップS1、ステップS2、ステップS3のすべてのステップでパラメータParam1が設定されたか否かを判定するステップS4の処理へ進める。
【0080】
また、制御信号生成部22は、第2の入力電流の歪みが最小でないと判定した場合(ステップS25cにおいてNO)、固定値として設定するパラメータとして第3の入力電流の歪みが得られるパラメータ(この場合、パラメータParam3)を設定する(ステップS27c)。
そして、制御信号生成部22は、図5に示すステップS1、ステップS2、ステップS3のすべてのステップでパラメータParam1が設定されたか否かを判定するステップS4の処理へ進める。
【0081】
制御信号生成部22は、ステップS4の処理において、ステップS1、ステップS2、ステップS3のうちの少なくとも1つのステップでパラメータParam1が設定されていないと判定した場合、ステップS1の処理に戻す。
また、制御信号生成部22は、ステップS4の処理において、ステップS1、ステップS2、ステップS3のすべてのステップでパラメータParam1が設定されたと判定した場合、処理を完了する。
制御信号生成部22は、設定した位相差f1t、振幅f3c、振幅f3sをパラメータとして電圧指令を生成する。
【0082】
なお、図5及び図6を用いて説明した本発明の一実施形態によるモータ駆動装置1の処理において、入力電流は、自然数回分の入力電流の測定結果を平均化することで、ノイズや圧縮機モータ20にかかる負荷変動の影響を減らすことができる。
【0083】
以上、本発明の一実施形態によるモータ駆動装置1について説明した。
本発明の一実施形態によるモータ駆動装置1において、制御信号生成部22(制御部)は、リアクトル6a、6bの両端の差電圧に応じた電流が流れるコンバータ回路において流れる当該電流を制御する第1スイッチング信号Sg1、及び、第2スイッチング信号Sg2(制御信号)を生成する。歪み測定部23は、制御信号生成部22が生成する複数の第1スイッチング信号Sg1、及び、第2スイッチング信号Sg2(制御信号)についてコンバータ回路に流れる電流の歪みを測定する。
こうすることで、モータ駆動装置1は、制御信号生成部22、リアクトル6a、6bの両端の差電圧に応じた電流が流れるコンバータ回路を、生成した第1スイッチング信号Sg1、及び、第2スイッチング信号Sg2(制御信号)で制御することが可能になり、電源電圧の歪みによって生じる入力電流の歪みを低減することができる。
【0084】
なお、本発明の一実施形態では、コンバータ制御部15は、歪みの極小値を算出する例を示したが、本発明の別の実施形態では歪みの最小値を算出するものであってもよい。本発明の別の実施形態では、コンバータ制御部15は、例えば、取り得るパラメータのすべてについて入力電流歪みを測定し、歪みの最小値を特定するものであってもよい。また、コンバータ制御部15は、別の方法によって歪みの最小値を特定するものであってもよい。
また、本発明の一実施形態においてコンバータ制御部15が歪みの極小値を特定する方法は、上記の方法に限定するものではない。本発明の一実施形態においてコンバータ制御部15が歪みの極小値を特定する方法は、ニュートン法など別の方法を用いるものであってもよい。
【0085】
なお、本発明の一実施形態では、歪み(歪み率μ)を算出する例を示したが、本発明の別の実施形態では歪みの代わりに次の式(3)に示す総合力率PFを用いるものであってもよい。
【0086】
【数3】
【0087】
式(3)において、符号φは、交流電源4における電圧と電流の位相差である。このように総合力率を用いる場合、力率cosφを含めて入力電流を低減するように調整することができる。これは、コンバータ装置2の入力の有効電力VIcosφが、コンバータ装置2の動作に係わらず、インバータ装置3により決定するため、コンバータ装置2の力率がよくなると、コンバータ装置2の入力の無効電力VIsinφが減り、有効電力と無効電力の二乗和平方根である皮相電力VIも低減するという考えに基づくものである。
【0088】
なお、本発明の一実施形態では、交流電源4を単相の電源として例を示したが、本発明の別の実施形態では交流電源4は三相の電源であってもよい。交流電源4が三相の電源である場合、基本波に重畳させる高調波成分を(6n-1)次と(6n+1)次の高調波(ただし、nは1以上の整数)とすればよい。
【0089】
なお、本発明の一実施形態では、歪み測定部23は、圧縮機モータ20の回転数の逆数に5以上10以下の何れかの整数を乗算して算出した周期ごとに、入力電流の歪みを測定し、制御信号生成部22は、歪み測定部23による測定の周期ごとに、第1スイッチング信号Sg1及び第2スイッチング信号Sg2を生成して入力電流の歪みを補正するものとして説明した。しかしながら、本発明の別の実施形態では、歪み測定部23は、圧縮機におけるシングルロータリの単位時間当たりの振動数(コンバータ回路の電力に係る変動の一例)の逆数に5以上10以下の整数の何れかを乗算して算出した周期ごとに、入力電流の歪みを測定し、制御信号生成部22は、歪み測定部23による測定の周期ごとに、第1スイッチング信号Sg1及び第2スイッチング信号Sg2を生成して入力電流の歪みを補正するものであってもよい。なお、シングルロータリの単位時間当たりの振動数は、圧縮機モータ20の回転数に応じた振動数となるものである。また、本発明の別の実施形態では、歪み測定部23は、系統電源側の電圧の周波数変動(コンバータ回路の電力に係る変動の一例)の逆数に5以上10以下の何れかの整数を乗算して算出した周期ごとに、入力電流の歪みを測定し、制御信号生成部22は、歪み測定部23による測定の周期ごとに、第1スイッチング信号Sg1及び第2スイッチング信号Sg2を生成して入力電流の歪みを補正するものであってもよい。なお、系統電源側の電圧の周波数変動の逆数(50[Hz]、60[Hz])は、圧縮機モータ20の回転数の逆数(20~[rps])とオーダーが同等であるため、系統電源側の電圧の周波数変動、圧縮機モータ20の回転数変動及びシングルロータリの単位時間当たりの振動数が同時に発生した場合であっても、歪み測定部23は、それらの逆数に5以上10以下の何れかの整数を乗算して算出した周期ごとに、入力電流の歪みを測定し、制御信号生成部22は、歪み測定部23による測定の周期ごとに、第1スイッチング信号Sg1及び第2スイッチング信号Sg2を生成して入力電流の歪みを補正することができる。
【0090】
なお、本発明の各実施形態における記憶部24、その他の記憶部は、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、記憶部24、その他の記憶部は、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。
【0091】
なお、本発明の実施形態における処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0092】
本発明の実施形態における記憶部24や記憶装置(レジスタ、ラッチを含む)のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、記憶部24や記憶装置のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。
【0093】
本発明の実施形態について説明したが、上述のコンバータ制御部15、インバータ制御部19、その他の制御装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータの具体例を以下に示す。
図6は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ50は、図6に示すように、CPU60、メインメモリ70、ストレージ80、インターフェース90を備える。
例えば、上述のコンバータ制御部15、インバータ制御部19、その他の制御装置のそれぞれは、コンピュータ50に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ80に記憶されている。CPU60は、プログラムをストレージ80から読み出してメインメモリ70に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU60は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ70に確保する。
【0094】
ストレージ80の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ80は、コンピュータ50のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース90または通信回線を介してコンピュータ50に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ50に配信される場合、配信を受けたコンピュータ50が当該プログラムをメインメモリ70に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ80は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0095】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、発明の範囲を限定しない。これらの実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、種々の省略、種々の置き換え、種々の変更を行ってよい。
【符号の説明】
【0097】
1・・・モータ駆動装置
2・・・コンバータ装置
3・・・インバータ装置
4・・・交流電源
5・・・整流回路
6a、6b・・・リアクトル
7a、7b・・・ダイオード
8a、8b・・・スイッチング素子
10a、10b・・・スイッチング回路
12・・・平滑コンデンサ
15・・・コンバータ制御部
17・・・ゼロクロス検出部
21・・・波形観測部
22・・・制御信号生成部
23・・・歪み測定部
24・・・記憶部
30・・・入力電流検出部
50・・・コンピュータ
60・・・CPU
70・・・メインメモリ
80・・・ストレージ
90・・・インターフェース
Lp・・・正極母線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7