IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッドの特許一覧

特許7451082近視制御のための光学的非同軸ゾーンを有する眼用レンズ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】近視制御のための光学的非同軸ゾーンを有する眼用レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/04 20060101AFI20240311BHJP
   G02C 7/02 20060101ALI20240311BHJP
   A61F 2/16 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
G02C7/04
G02C7/02
A61F2/16
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019007518
(22)【出願日】2019-01-21
(65)【公開番号】P2019128599
(43)【公開日】2019-08-01
【審査請求日】2022-01-14
(31)【優先権主張番号】15/876,595
(32)【優先日】2018-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ノエル・エイ・ブレナン
(72)【発明者】
【氏名】シュ・チェン
(72)【発明者】
【氏名】ジャクリン・ブイ・ヘルナンデス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジェイ・コリンズ
(72)【発明者】
【氏名】ブレット・エイ・デービス
(72)【発明者】
【氏名】ファン・イ
(72)【発明者】
【氏名】デレク・ディーン・ナンキビル
【審査官】中村 説志
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-503769(JP,A)
【文献】特開2016-045495(JP,A)
【文献】特開2017-173826(JP,A)
【文献】特開2017-010031(JP,A)
【文献】国際公開第2013/015743(WO,A1)
【文献】特表2011-530726(JP,A)
【文献】特表2009-511962(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0375949(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0057121(US,A1)
【文献】特表2013-537317(JP,A)
【文献】特表2021-524051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 7/04
G02C 7/02
A61F 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近視の進行の鈍化、遅延、又は、予防のうちの少なくとも1つのための眼用レンズであって、
近視の矯正のための負の度数を有する中心ゾーン、及び
前記中心ゾーンを取り囲む少なくとも1つの処置ゾーンを含み、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記中心ゾーンに対して正の度数を含む度数プロファイルを有し、
前記中心ゾーンと前記少なくとも1つの処置ゾーンとの間に配設された遷移ゾーンを含み、前記少なくとも1つの処置ゾーン、前記遷移ゾーン、及び前記中心ゾーンが、連続した形状を形成し、
前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記中心ゾーンと共通の幾何学的軸を共有する環状構成を有し、前記幾何学的軸を中心に生成された球状トーラスを、前記幾何学的軸を主軸とする直円錐との切片によりスライスした表面形状を有し、
記少なくとも1つの処置ゾーンが前記表面形状を備えることにより、前記処置ゾーンを通過する光線の合焦位置の集合である焦点リングを形成し、
前記焦点リングの合焦位置が網膜面より前記眼用レンズ側であり、前記処置ゾーンを通過する光線の光軸が前記幾何学的軸からずれている、
眼用レンズ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの処置ゾーンが、+0.50D超の近視矯正度数に対する加入度数を含む、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの処置ゾーンが、-10.00D~+15.00Dの光学度数を含む、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項4】
前記中心ゾーンの直径が、2mm~7mmである、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記眼用レンズの中心から4.5mmにある外縁部を有する、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項6】
前記眼用レンズが、コンタクトレンズを含む、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項7】
前記眼用レンズが、眼鏡レンズを含む、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項8】
前記眼用レンズが、眼内レンズ、角膜インレー、又は角膜アンレーを含む、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項9】
1つ又は2つ以上の安定化機構を更に含む、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項10】
近視の進行の鈍化、遅延、又は、予防のうちの少なくとも1つのための眼用レンズであって、
中心ゾーンと、
前記中心ゾーンを取り囲む近視矯正ゾーンであって、前記近視矯正ゾーンが、近視の矯正のための負の度数を示し、前記中心ゾーンが、前記近視矯正ゾーンに対して加入度数を示す、近視矯正ゾーンと、
前記中心ゾーンを取り囲み、かつ前記近視矯正ゾーンから半径方向外方に配設された少なくとも1つの処置ゾーンと、を含み、
前記中心ゾーンと前記近視矯正ゾーンとの間、及び、前記近視矯正ゾーン及び前記少なくとも1つの処置ゾーンとの間に配設された遷移ゾーンを含み、前記少なくとも1つの処置ゾーン、前記遷移ゾーン、前記近視矯正ゾーン、前記遷移ゾーン及び前記中心ゾーンが、連続した形状を形成し、
前記少なくとも1つの処置ゾーンが、正の度数を含む度数プロファイルを有し、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記中心ゾーンと共通の幾何学的軸を共有する環状構成を有し、前記幾何学的軸を中心に生成された球状トーラスを、前記幾何学的軸を主軸とする直円錐との切片によりスライスした表面形状を有し、
記少なくとも1つの処置ゾーンが前記表面形状を備えることにより、前記処置ゾーンを通過する光線の合焦位置の集合である焦点リングを形成し、
前記焦点リングの合焦位置が網膜面より前記眼用レンズ側であり、前記処置ゾーンを通過する光線の光軸が前記幾何学的軸からずれている、眼用レンズ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの処置ゾーンが、+5.00D超の前記近視矯正ゾーンに対する加入度数を含む、請求項10に記載の眼用レンズ。
【請求項12】
前記少なくとも1つの処置ゾーンが、-10.00D~+15.00Dの光学度数を含む、請求項10に記載の眼用レンズ。
【請求項13】
前記中心ゾーンの直径が、3mm~7mmである、請求項10に記載の眼用レンズ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記眼用レンズの中心から4.5mmにある外縁部を有する、請求項10に記載の眼用レンズ。
【請求項15】
前記眼用レンズが、コンタクトレンズを含む、請求項10に記載の眼用レンズ。
【請求項16】
前記眼用レンズが、眼鏡レンズを含む、請求項10に記載の眼用レンズ。
【請求項17】
前記眼用レンズが、眼内レンズ、角膜インレー、又は角膜アンレーを含む、請求項10に記載の眼用レンズ。
【請求項18】
1つ又は2つ以上の安定化機構を更に含む、請求項10に記載の眼用レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンタクトレンズを含む装着型レンズ、インレー及びアンレーを含む移植可能なレンズ、並びに光学部品を備える任意の他のタイプのデバイスなどの眼科用デバイス、より具体的には、近視の進行を鈍化、遅延、又は予防するように設計された眼科用デバイスに関する。本開示の眼用レンズは、加入度数を有する非同軸焦点を有する少なくとも1つの処置ゾーンを含み、それによって近視の進行を予防及び/又は鈍化させる。
【背景技術】
【0002】
コンタクトレンズなどの眼科用デバイスは、現在、近視(近眼)、遠視(遠眼)、老視、及び乱視などの視覚障害を矯正するのに利用されている。しかしながら、適切に設計されているレンズを、視力の向上並びに視覚障害の矯正に利用することができる。
【0003】
視力低下をもたらす一般的な病態は、眼鏡、又は硬質若しくは軟質コンタクトレンズの形態の矯正レンズが処方される、近視及び遠視である。これらの病態は、一般的に、眼の長さと眼の光学成分の焦点との間の不均衡と説明される。近視眼は、網膜面の前で焦点が合い、遠視眼は、網膜面の後で焦点が合う。近視は、典型的には、眼の軸長が、眼の光学成分の焦点距離よりも長くなる、即ち、眼が伸びすぎるゆえに発症する。遠視は、典型的には、眼の光学成分の焦点距離と比較して眼の軸長が短過ぎる、即ち、眼が十分伸びないゆえに発症する。
【0004】
近視は、世界の多くの地域で高い有病率を有する。この病態に関して最も懸念されるのが、高度近視、例えば、5又は6ジオプターを超える(つまり、符号規約によると、<-5.00又は-6.00D)進行の可能性であり、高度近視は、視覚補助具なしでは、機能する能力に劇的に影響を与える。本明細書で使用するとき、尺度Dは、メートルでの、レンズ又は光学システムの焦点距離の反数と定義されるジオプトリー度数である。高度近視は、また、網膜疾患、白内障及び緑内障のリスク増大にも関連している。
【0005】
矯正レンズは、それぞれ、近視を矯正するために網膜面の前から、又は遠視を矯正するために網膜面の後ろから焦点を移すことによって、よりはっきりした像を網膜面に描くように眼の総焦点(gross focus)を変えるために使用される。しかしながら、上記病態への矯正アプローチは、上記病態の原因に対応するのではなく、単に補綴であり、つまり、症状に対応するのみである。
【0006】
大部分の眼は、単純近視、又は単純遠視を有するのではなく、近視性乱視、又は遠視性乱視を有する。焦点の乱視誤差は、点光源の像に、異なる焦点距離で2つの相互に垂直な線として形成させる。前述の議論では、用語「近視」及び「遠視」は、それぞれ、単純近視又は近視性乱視並びに遠視及び遠視性乱視、或いは混合乱視(それらの組み合わせ)を含むように使用される。
【0007】
正視は、無限遠の物体が、水晶体が弛緩した状態で相対的に鮮明に焦点が合っているはっきりした視覚の状態を説明する。成人の正常眼又は正視眼では、遠く及び近くの物体両方からの光は、開口部若しくは瞳孔の中央若しくは近軸領域を通過し、倒立像が感知される網膜面に近い、角膜及び水晶体によって焦点合わせされる。しかしながら、ほとんどの正常眼は、一般に、5.00mmの開口のために約+0.50Dの大きさで正の縦方向球面収差を示すことが観察され、これは、眼が無限遠に焦点を合わせるとき、その周辺で開口又は瞳孔を通過する光線が、網膜面の前にて+0.50Dで焦点を合わせることを意味する。
【0008】
正常な眼の球面収差は、一定でない。例えば、調節(主に誘導される眼の屈折度数の変化だが、内部の水晶体への変化)は、球面収差の正から負への変化を引き起こす。
【0009】
述べたように、近視は、典型的には、眼の過剰な軸方向の伸長、つまり、伸びによって発生する。現在、主として動物研究から、眼の軸方向伸長は、網膜像の質及び焦点に影響される場合があることが一般に認められている。幾つかの異なる実験的パラダイムを利用して様々な異なる動物種に実施した実験は、網膜像の質を変化させて、眼の伸長における一貫した予測可能な変化をもたらすことができることを示してきた。
【0010】
更に、ひよこ及び霊長類の両方の動物モデルにおける網膜像の焦点を、正レンズ(近視焦点ずれ)、又は負レンズ(遠視焦点ずれ)を通してずらすと、課された焦点ずれを埋め合わせるために眼が伸長することと一致する、眼の伸長の(方向及び大きさの観点から)予測可能な変化につながることがわかっている。光学ぼけと関連する眼の長さにおける変化は、強膜の伸長と脈絡膜の厚さの両方の変化によって変化することがわかっている。正レンズのぼけは、近視ぼけを生じさせて、脈絡膜を厚くし、強膜の伸長速度を低下させ、遠視性屈折異常をもたらす。負レンズのぼけは、遠視ぼけを生じさせて、脈絡膜を薄くし、強膜の伸長速度を上昇させ、近視性屈折異常をもたらす。網膜像の焦点ぼけに対応したこれらの眼の伸長の変化は、眼の長さの変化が依然として発生しているとき、視神経が損傷する場合、局所的網膜機構を通して広く媒介されており、焦点ずれが現れることでその特定の網膜領域に局在した眼の伸長を変化させることが実証されてきた。
【0011】
ヒトでは、網膜像の質が眼の伸長に影響を及ぼし得るという概念を裏付ける間接的な証拠と直接的な証拠の両方がある。種々の異なる眼の病態は、その全てが眼瞼下垂症、先天性白内障、角膜混濁、硝子体出血及びその他の眼疾患などの形態視覚の破壊をもたらし、若者の異常な眼の伸長と関連することが見出されており、これは、比較的大きな網膜像の質の変更がヒト被験者の眼の伸長に影響を与えることを示唆する。ヒトの眼の伸長に及ぼすより繊細な網膜の像の変化の影響が、また、ヒトの眼の伸長及び近視発症の刺激をもたらし得るヒトの焦点調節機構における光学的誤差に基づいてこれまで仮定されている。
【0012】
近視発症の危険因子のうちの1つは、精密作業である。このような精密作業中の調節と関連する調節ラグ又は負の球面収差によって、眼は遠視ぼけを経験する場合があり、そして、これによって、上述のように近視の進行が刺激される。その上、この調節システムは、能動的に適応する光学システムであり、入射光学系の輻輳に絶えず反応して、光学デバイス及び作業距離に影響を受ける。近視矯正のための従来の単一視光学設計により、若者の眼は、調節ラグ又は負の球面収差を示し得、それゆえに、遠視焦点ずれが存在し得る。老眼矯正に使用され、より最近では近視制御の目的のために使用されてきた、処置ゾーン内の同軸加入度数を組み込む従来の多焦点設計によると、若者の眼は、近くの物体に対して加入度数を利用し得、かかる物体の像に対する距離部分を通して遠視焦点ずれを受け易い。近視制御は、ユーザが近くを見るために距離補正ゾーンを通して調節するときに最も効果的であり、像平面を網膜に又は網膜の前方に向ける(http://www.gslsymposium.com/getattachment/Posters/Cheng,-Xu-et-al-Impact-of-SCL-for-Myopia-Progression.pdf.aspx参照)。
【0013】
上述された単一視及び多焦点の場合の両方が、継続した近視の進行につながる。近視の進行速度を鈍化させる光学系を設計するための1つの方法は、高加入度数の使用を通して、高プラス信号を網膜に対して利用することである。加入度数は、老眼の矯正又は近視制御等の専用目的を有する光学デバイスのゾーンと近視矯正ゾーンとの間の差である。近視制御に関して、光学デバイスの処置ゾーンでの加入度数は、近視矯正ゾーンの度数と比較してより正(よりプラス)又はより負である。
【0014】
米国特許第6,045,578号は、正の球面収差をコンタクトレンズに付加することにより、近視の進行を低減、又は抑制することとなることを開示している。この方法は、視覚系の球面収差を、眼の長さの伸長を変更することに関連した方向及び角度によって変更することを含み、言い換えれば、正視化を球面収差によって調節することができる。このプロセスにおいて、近視眼の角膜には、レンズの中心から離れると大きくなるジオプトリー度数を有するレンズが装着される。レンズの中心部分に入射する近軸光線は、眼の網膜上に集められ、物体の鮮明な像を生成する。瞳孔の周辺部分に入射する周縁光線は、角膜と網膜との間の平面内に集められ、網膜上に、その像の正の球面収差を生成する。この正の球面収差は、眼の延伸を阻止する傾向がある、眼に対する生理学的効果を及ぼすことで、近視眼がより長く延伸する傾向を軽減する。
【0015】
近視進行速度の最適な鈍化を達成するために必要とされる正の球面収差の水準及び/又はプラス度数は不明瞭であるが、当分野の研究者は、近視の進行を鈍化させる試みにおいて、約+1.50~最大約+4.00Dの正の加入度数の領域を有する複数ゾーン装置の使用を試みてきた。本開示のこれらの複数ゾーン設計を区別する目的のために、これらのデバイスの加入ゾーンは、近視矯正の軸(主軸、共通軸、光軸又は幾何学的軸)と一致する光の焦点を生成し、それゆえに、設計によって「同軸」であるとみなされ得る。(例えば、米国特許第US5929969号、同第US7506983号、同第US7832859号、同第US8240847号)。
【0016】
この方法で、概して、約50%未満の処置結果が得られた。治効は、軸長の変化と比較された試験群のための相対的な軸長の変化及び/若しくは基準からの等価球面屈折度、並びに/又は1年又は所定時間にわたる対照群の等価球面屈折度として定義される。50%超かつ100%に近い有効性を有する近視制御処置への必要性が、依然として残っている。動物における眼球の成長の応答は光学的刺激のパワーに比例するので、直観的に、高プラス度数の処置ゾーンを付加することで、より優れた処置を提供することができるであろう(Wildsoet,Vision Research 1995)によって報告されている通り)。
【0017】
しかしながら、二焦点又は多焦点眼用レンズの分野の一般的常識では、高プラス度数又は高加入度数を有するレンズは、視力及びコントラスト感度への有害効果を有する場合があると推測されている(Ardayaら(Optometry 2004)によって報告されている通り)。更に、Smithら(US7025460)は、老眼のための二焦点又は多焦点レンズ中に通常見出される範囲外の度数への異議を唱えている。Smithらは、「適切な種類の屈折による焦点ぼけは、眼の伸長(又は眼の非伸長)を左右して、レンズ補正の現象において近視(又は再近視化)をもたらすことができるが、屈折異常の量が多い場合、光学的状態が形態覚遮断の現象を変化させる場合があり、そうして近視を生じさせる場合もある、重度の焦点ぼけによるこのような像質の大きな劣化がある、という点に留意することが重要である」と記述している。更に、これは、「相当な視力悪化の前に最大量の相対像面湾曲が生じ、これは近視の効果的な処置のための負の像面湾曲の上限に相当する+3.50D~+4.00Dの等価球面周辺にあり、形態覚遮断近視を生じさせる」と教示する。この意見は、研究者が近視制御のための高プラス処置ゾーンを追求することを阻害してきた。
【0018】
それとは反対に、出願人の研究は、従来の低加入タイプ設計に対して、中心距離ゾーン及び約3.00D超の加入度数を有する高加入処置ゾーンを有する設計を使用して、視力喪失を減少させ、コントラスト感度に有意で付加的な影響を与えないことを示す。また、これは、De Graciaら(OVS 2013)による研究でも裏付けられているが、De Graciaらは、最大4.00Dの加入度数のみ調査をし、この研究を、近視の進行の制御における潜在的利益に関連付けることはなかった。この飛躍的進歩によって、眼科領域設計により、更に視力に悪影響を及ぼすことなく、近視の進行の有意な50%超の遅延を達成することが可能になった。
【0019】
更に、明らかに、はっきりとした遠見視力を提供するための度数に対して有意に高いプラス度数は、より低い加入度数の設計によって発生するような調節の減少をもたらすと予想されておらず、精密作業活動中のはっきりとした視覚のために、被験者はその加入度数にある程度頼ることがあり、これは出願人の研究中に観察された。この減少された調節は、はっきりとした遠見視力(デバイス又は近視矯正ゾーンの距離部分)を提供するためのものである、デバイスの光学ゾーンを通過する光線の結果として遠視焦点ずれにつながり得る。本開示において、被験者は、近見視力矯正のためにレンズの距離部分に対して調節しなければならず、高加入度数処置ゾーンを通して結像する物体は、焦点が十分外れている場合、調節性輻輳系により鮮明にすることができない。
【0020】
近視の進行を鈍化させる他の試みは、レンズのいくつかのゾーンの勾配を示す度数プロファイルを含み得る。様々な方法論が適用されている。いくつかの処置ゾーンは、体系的に変化する同軸焦点が構成される進行性ゾーンであり、例えば、米国特許第US8240847号、同第US8662664号を参照されたい。更に他の設計は、より周辺の網膜近視焦点ずれを生成するように構成される(例えば、米国特許第US7665842号、同第US8684520号を参照されたい)。更に、一部の設計のゾーンは、それらが、事実上、処置ゾーンと矯正ゾーンとを繋げるように設計された機能的な光学目的を有しないゾーンであるため、混合ゾーン又は遷移ゾーンと呼ばれ得る。(例えば、米国特許第US8240847号、同第US8684520号を参照されたい)これらの設計は、本開示に従う際に、リング焦点を生成するように略トロイダル表面の一部分を含むものではない。
【0021】
米国特許出願公開第US2017/0184875号は、「眼に着用されたときに網膜の中央領域から離れて眼に周辺光を導くレンズ本体の光学特徴は、網膜の中央領域から離れて導かれた周辺光が網膜上ではない焦点を有することを更に引き起こす」と考える。それは、「光学特徴が網膜の周辺領域に光を導く性質、網膜の周辺領域上に正確に光を焦点合わせする性質、網膜の周辺領域の正面に光を焦点合わせする性質、網膜の周辺領域の後ろに光を焦点合わせする性質、又はそれらの組み合わせを有し得る」ことを指定する。この特許は、本開示に従う際に、処置ゾーンが、リング焦点を生成するように略トロイダル表面の一部分を含むことを想定していない。
【0022】
当分野における別の例として、R.Griffinの国際公開第WO2012/173891号は、調節ラグ、並びに、焦点深度及び被写界深度の増加をもたらす人工ピンホールの構築を通して近視の進行をもたらす調節ストレスの除去を主張する。Griffinによると、「眼の調節がより緩和された」。
【0023】
ここで図1を参照すると、グラフは、遠見視力を矯正する中心距離ゾーン及び可変プラス度数の周辺ゾーンを組み込む設計を有するデバイスを示す。視力は、徐々に小さくなるスネレン視力表による4択強制選択法を使用して測定した。周辺プラス度数の約+2.00D~+3.00Dへの増加は、老眼者のための多焦点型設計に特有の高コントラスト視力喪失の増加を引き起こす。しかしながら、周辺度数が増加し続けるとき、視力に対する比較影響は、驚くほど改善して横這いになり、したがって約+4.00D~+5.00D超の周辺プラスで、視力喪失は、比較的一定になる。これは、近視制御レンズの設計のために重要であるが、それは、より高いプラス度数が眼の成長より大きな影響を及ぼすことが(動物モデルで)見出されたからである(Wildsoet,Vision Research 1995で報告されている通り)。
【0024】
しかしながら、加入度数設計の更なる最適化には、像質の最適化が必要である。ここで図2を参照すると、レンズの中心から2.25mmの放射状位置を超えた、+5.00D又は+10.00Dの度数を有する度数プロファイルが描かれている。光線は、これらの高加入度数領域を通過し、網膜の前にしっかりと合った焦点を形成する。しかしながら、網膜への連続伝播により、これらの光線は、輪状の焦点ぼけを網膜上に形成する。
【0025】
図3の点像分布関数(point spread function、PSF)断面図に示すように、+5.00D及び+10.00D領域から来る光線は、網膜上に個別のスパイクを形成する。したがって、ある者がこれらの+5.00D又は+10.00D高プラスレンズのうちの1つを通して点光源を見たとき、その者の網膜は、輪状のハローに取り囲まれたピーク信号を受信する。通常、これは、ハローがぼやけすぎてヒトがそれを知覚しないため、ヒトが文字を読む又は物体の細部を解像するとき、問題ではない。それにもかかわらず、これが問題であるのは、人が黒/白エッジを見る場合、PSFのスパイクの存在により、白の背景からのエネルギーが黒に漏れるからである。
【0026】
ここで図4を参照すると、入射瞳径6.00mmで、図2の+5.00D及び+10.00Dの度数プロファイルのための像断面図は、オブジェクト空間における黒/白エッジを有するPSFを畳み込むことによって示される。0.00Dの度数を有するレンズは、白黒の間ではっきりとしたエッジを形成し(0.00mmの位置で)、したがって輪状構造を有しない。他方では、+5.00D及び+10.00D領域を有するレンズは、白黒の間ではっきりとしたエッジを有さず、それによって、黒の背景が完全に黒ではなく、白の背景が完全に白ではない像をもたらす。
【0027】
したがって、改善が必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0028】
本開示は、先行技術の1つ又は2つ以上の欠点に対応し得る、近視の進行の鈍化、遅延、又は予防のうちの少なくとも1つのための眼科用デバイスに関する。
【0029】
一態様によれば、本発明は、近視の進行の鈍化、遅延又は予防のうちの少なくとも1つのための眼用レンズに関する。眼用レンズであって、近視の矯正のための負の度数を有する中心ゾーン、及び中心ゾーンを取り囲む少なくとも1つの処置ゾーンを含み、少なくとも1つの処置ゾーンが、中心ゾーンに対して正の度数を含む度数プロファイルを有し、少なくとも1つの処置ゾーンが、略トロイダル形状の一部分を含む表面形状を有し、少なくとも1つの処置ゾーンが、中心ゾーンと連続表面を形成するように配置されている、眼用レンズ。
【0030】
別の態様によれば、本発明は、近視の進行の鈍化、遅延、又は予防のうち少なくとも1つのための眼用レンズを対象とする。眼用レンズであって、近視の矯正のための負の度数を有する中心ゾーン、及び中心ゾーンを取り囲む少なくとも1つの処置ゾーンを含み、少なくとも1つの処置ゾーンが、中心ゾーンに対して正の度数を含む度数プロファイルを有し、少なくとも1つの処置ゾーンが、中心ゾーンとの共有半径方向中心点を有する環状構成を有し、少なくとも1つの処置ゾーンが、焦点リングを生成し、リング上の無限焦点の各々の場所が、中心ゾーンの幾何学的軸からずれており(「非同軸であり」)、少なくとも1つの処置ゾーンが、中心ゾーンと連続表面を形成するように配置されている、眼用レンズ。
【0031】
また別の態様によれば、本発明は、近視の進行の鈍化、遅延、又は予防のうちの少なくとも1つのための眼用レンズに関する。眼用レンズであって、中心ゾーンと、中心ゾーンを取り囲む近視矯正ゾーンであって、近視矯正ゾーンが、近視の矯正のための負の度数を示し、中心ゾーンが、近視矯正ゾーンに対して加入度数を示す、近視矯正ゾーンと、中心ゾーンを取り囲み、かつ近視矯正ゾーンから半径方向外方に配設された少なくとも1つの処置ゾーンと、を含み、少なくとも1つの処置ゾーンが、近視矯正ゾーンに対して正の度数を含む度数プロファイルを有し、少なくとも1つの処置ゾーンが、中心ゾーンとの共有半径方向軸を有する環状構成を有し、少なくとも1つの処置ゾーンが、焦点リングを生成し、リング上の無限焦点の各々の場所が、中心ゾーンの幾何学的軸からずれており(「非同軸であり」)、少なくとも1つの処置ゾーンが、中心ゾーンと連続表面を形成するように配置されている、眼用レンズ。
【0032】
また更に別の態様によれば、本発明は、近視の進行の鈍化、遅延、又は予防のうちの少なくとも1つのための眼用レンズに関する。眼用レンズであって、中心ゾーンと、中心ゾーンを取り囲む近視矯正ゾーンであって、近視矯正ゾーンが、近視の矯正のための負の度数を示し、中心ゾーンが、近視矯正ゾーンに対して加入度数を示す、近視矯正ゾーンと、中心ゾーンを取り囲み、かつ近視矯正ゾーンから半径方向外方に配設された少なくとも1つの処置ゾーンと、を含み、少なくとも1つの処置ゾーンが、正の度数を含む度数プロファイルを有し、少なくとも1つの処置ゾーンが、略トロイダル形状の一部分を含む表面形状を有し、少なくとも1つの処置ゾーンが、中心ゾーンと連続表面を形成するように配置されている、眼用レンズ。
【0033】
更に別の態様によれば、本発明は、近視の進行の鈍化、遅延、又は予防のうちの少なくとも1つのための眼用レンズに関する。近視の矯正のための負の度数を有する中心ゾーンであって、中心ゾーンが、その表面に直交し、かつ眼用レンズの中心を通過する主軸を有する、中心ゾーンと、中心ゾーンを取り囲む少なくとも1つの処置ゾーンと、を含み、少なくとも1つの処置ゾーンが、中心ゾーンに対して正の度数を含む度数プロファイルを有し、少なくとも1つの処置ゾーンが、略トロイダル形状の一部分を含む表面形状を有し、少なくとも1つの処置ゾーンが、中心ゾーンと連続表面を形成するように配置され、少なくとも1つの処置ゾーンが、最も内側の光線を処置ゾーンの断面に対して向けて、眼用レンズの装用者の網膜面にある、又はその前側の点で主軸と交差させるように構成された傾斜角を有する、眼用レンズ。
【0034】
別の態様によれば、本発明は、近視の進行の鈍化、遅延、又は予防のうち少なくとも1つのための眼用レンズを対象とする。眼用レンズであって、負の度数を有し、かつ軸上焦点を示す、中心ゾーンと、中心ゾーンを取り囲む少なくとも1つの処置ゾーンと、を含み、少なくとも1つの処置ゾーンが、中心ゾーンに対して加入度数を含む度数プロファイルを有し、少なくとも1つの処置ゾーンが、リング焦点を示し、処置ゾーンの度数プロファイルが、曲線ランプ構成を含む、眼用レンズ。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本開示の上述及び他の特徴と利点は、添付図面に例証されるような、本開示の好ましい実施形態の以下のより詳しい記載から明白となるであろう。
図1】加入度数が周辺ゾーンで増加するときの視力の変化を示すグラフを図示する。
図2】2つのレンズの度数プロファイルを図示し、1つは+5.00Dの処置ゾーンを有し、もう1つは+10.00Dの処置ゾーンを有する。
図3】入射瞳径6.00mmでの図2の度数プロファイルのための点像分布関数の断面図を図示する。
図4】黒及び白エッジに関して図2の度数プロファイルによって作製される像強度の断面を図示する。
図5A】本開示による、少なくとも1つの処置ゾーンを有する眼科用デバイスの一例の概略的表現を図示する。
図5B図5Aの眼科用デバイスの斜視図を図示する。
図5C】トロイダル形状が円錐面によって切断された後のトロイダル形状の一部分を図示する。
図5D】楕円球形状上に配設されたトロイダル形状の一部分を図示する。
図5E】例えば、図5Dの楕円球形状の一部分であり得る、キャップ上に配設されたトロイダル形状の一部分を図示する。
図5F】点焦点をもたらす同心処置ゾーンを図示する。
図5G】リング焦点をもたらす本開示の処置ゾーンを図示する。
図6】本開示による、中心近視矯正ゾーン及び少なくとも1つの処置ゾーンを有する眼科用デバイスの一例を図示する。
図7】本開示による、中心処置ゾーン、近視矯正ゾーン、及び少なくとも1つの処置ゾーンを有する眼科用デバイスの一例を図示する。
図8A】眼科用デバイスの度数プロファイルを図示する。
図8B図8Aの度数プロファイルの注釈付き説明を図示する。
図8C】本開示の眼科用デバイスと関連付けられた同軸及び非同軸の焦点を示す光線図を図示する。
図9A】網膜の方へ正視(又は完全に矯正された)眼を通過する平面波面と関連付けられた光線の図式的表現である。
図9B】網膜の方へ眼を通って進む、+10.00Dの球面波面誤差(図9Aのものに対する)を有する波面と関連付けられた光線の図式的表現である。
図9C】光学システム(光学デバイスに加えて正視眼)を通過する光線の図式的表現であり、光学デバイスが、中心で平面(つまり、0.00D)度数、かつ周辺で+10.00D同軸度数を有する。
図9D】光学システム(光学デバイスに加えて正視眼)を通過する光線の図式的表現であり、光学デバイスが、中心で平面(つまり、0.00D)度数、かつ周辺で+10.00D非同軸度数を有する。
図9E】光学システム(光学デバイスに加えて正視眼)を通過する光線の図式的表現であり、光学デバイスが、中心で平面(つまり、0.00D)度数、かつ周辺で+10.00D同軸度数を有し、この周辺からの光束の中心が、内側かつ中心窩から離れる方を向いて傾斜されている。
図10A】本開示による、眼科用デバイスの焦点リングを示す光線図を図示する。
図10B】本開示による、眼科用デバイスの焦点リング、及び加入度数を有する中心ゾーンを示す光線図を図示する。
図11A】光学システム(光学デバイスに加えて正視眼)を通過する光線の図式的表現であり、光学デバイスが、中心で平面(つまり、0.00D)度数、かつ周辺で+10.00D同軸度数を有し、周辺ゾーンの光束の中心が、非対称様式で内側かつ中心窩から離れる方を向いて傾斜されている。
図11B】光学システム(光学デバイスに加えて正視眼)を通過する光線の図式的表現であり、光学デバイスが、中心で平面(つまり、0.00D)度数、かつ周辺で+10.00D同軸度数を有し、周辺ゾーンの光束の中心が、対称様式で外側かつ中心窩から離れる方を向いて傾斜されている。
図11C】光学システム(光学デバイスに加えて正視眼)を通過する光線の図式的表現であり、光学デバイスが、中心で平面(つまり、0.00D)度数、かつ周辺で+10.00D同軸度数を有し、周辺ゾーンの光束の中心が、非対称様式で外側かつ中心窩から離れる方を向いて傾斜されている。
図12A】本開示による、網膜面の後ろの点に輻輳する、周辺ゾーンを通過する光線を示す眼科用デバイスの焦点リングを示す光線図を図示する。
図12B】本開示による、網膜面の後ろのいずれの点にも輻輳しない、周辺ゾーンを通過する光線を示す眼科用デバイスの焦点リングを示す光線図を図示する。
図13】本開示による、それぞれの眼科用デバイスのうちの2つの度数プロファイルの比較を図示する。
図14A】様々なサンプル光学構成に露出されたヒトの眼の軸長の変化のプロットを図示する。
図14B】様々なサンプル光学構成に露出されたヒトの眼の軸長の変化のプロットを図示する。
図14C】様々なサンプル光学構成に露出されたヒトの眼の軸長の変化のプロットを図示する。
図14D】様々なサンプル光学構成に露出されたヒトの眼の軸長の変化のプロットを図示する。
図15A】本開示による、2つの周辺処置ゾーンを有する眼科用デバイスの度数プロファイルを図示する。
図15B】本開示による、2つの周辺処置ゾーン、及び加入度数を含む中心処置ゾーンを有する眼科用デバイスの度数プロファイルを図示する。
図16A】3つの複数ゾーン試験レンズ及び1つの対照レンズ(市販の単一視ソフトコンタクトレンズ)の間の、1~3日のレンズ投与後、それぞれ、快適さ、視力及び取り扱いに関する心理反応(コンタクトレンズユーザ体験、CLUE(商標)スコアで測定された)の比較プロットを図示し、図16Aは、レンズタイプによるCLUE(商標)スコアのLSM及び95%CIを示す。
図16B】3つの複数ゾーン試験レンズ及び1つの対照レンズ(市販の単一視ソフトコンタクトレンズ)の間の、1~3日のレンズ投与後、それぞれ、快適さ、視力及び取り扱いに関する心理反応(コンタクトレンズユーザ体験、CLUE(商標)スコアで測定された)の比較プロットを図示し、図16Bは、3つの試験レンズの各々と1つの対照レンズとの間のCLUE(商標)視力スコアのLSM差分及び95%CIを示す。
図17A】3つの異なるコントラスト/照明条件下の3つの複数ゾーン試験レンズ及び1つの対照レンズ(市販の単一視ソフトコンタクトレンズ)の間の単眼(A)及び両眼(B)のlogMAR視力の比較プロットを図示する(LSM及び95%CI)。
図17B】3つの異なるコントラスト/照明条件下の3つの複数ゾーン試験レンズ及び1つの対照レンズ(市販の単一視ソフトコンタクトレンズ)の間の単眼(A)及び両眼(B)のlogMAR視力の比較プロットを図示する(LSM及び95%CI)。
図18A】高コントラストの明るい条件下の3つの試験レンズ及び1つの対照レンズの各々の間の単眼(A)及び両眼(B)のlogMAR視力の差の比較プロットを図示する(LSM差分及び95%CI)。
図18B】高コントラストの明るい条件下の3つの試験レンズ及び1つの対照レンズの各々の間の単眼(A)及び両眼(B)のlogMAR視力の差の比較プロットを図示する(LSM差分及び95%CI)。
図19A】高コントラストの暗い条件下の3つの試験レンズ及び1つの対照レンズの各々の間の単眼(A)及び両眼(B)のlogMAR視力の差の比較プロットを図示する(LSM差分及び95%CI)。
図19B】高コントラストの暗い条件下の3つの試験レンズ及び1つの対照レンズの各々の間の単眼(A)及び両眼(B)のlogMAR視力の差の比較プロットを図示する(LSM差分及び95%CI)。
図20A】低コントラストの明るい条件下の3つの試験レンズ及び1つの対照レンズの各々の間の単眼(A)及び両眼(B)のlogMAR視力の差の比較プロットを図示する(LSM差分及び95%CI)。
図20B】低コントラストの明るい条件下の3つの試験レンズ及び1つの対照レンズの各々の間の単眼(A)及び両眼(B)のlogMAR視力の差の比較プロットを図示する(LSM差分及び95%CI)。
【発明を実施するための形態】
【0036】
眼科用デバイスとして、移植可能なデバイス、及び/又はコンタクトレンズなどの装着型デバイスを挙げることができる。従来のコンタクトレンズは、様々な視力の問題を矯正する、特定の形状を有するポリマー構造を含む。
【0037】
典型的な眼の試験の一部として、アイケアの専門家は、患者の屈折異常を矯正するのに必要なコンタクトレンズ処方を決定してもよい。この処方は、コンタクトレンズの屈折力、円柱度数、及び/又は円柱軸を指定してもよく、この処方を、コンタクトレンズの設計を決定する又は選択するのに使用してもよい。
【0038】
少なくとも球面矯正の目的を果たす半径方向に同心の複数ゾーン眼用レンズの光学機能は、ほとんど一般に、前面及び後面に由来する。これらの表面のうちの1つは、本質的に球体又は楕円球体体であってもよい。他の表面は、典型的に、球体又は楕円球体キャップ、次いで、1つ又は2つ以上の曲線部分を有し、これらの各々が、連続表面を形成するように対称に配置されている球体又は楕円球体の切頭体の表面(「ゾーン」)である。ゾーンは、半径方向に同心かつ共通軸を中心として光学的に同軸であり得る。
【0039】
一態様において、各切頭体は、かかる球体又は楕円球体の主軸に直交して、所望される光学度数を達成するために適切なサイズ及び形状の球体又は楕円球体を区分化することによって作製され得る。いくつかの場合において、遷移領域(例えば、光学的に機能不全である)が、個々のゾーンが連続表面を形成することを可能にするために必要とされ得る。近視処置のために、いくつかのゾーンは、一般に、遠見視力を矯正するために専念するゾーンよりも正の波面導関数を生成し、波面導関数は、主軸からの半径方向距離に関して得られる(dW/dr)。共通軸に平行かつゾーンを通過する光線は、各ゾーンの主焦点に入ることになり、これらの焦点は、回転対称ゾーンに対する同軸上に位置することになる。眼用レンズが視力を矯正するために使用されるとき、かつゾーンのうちの1つ又は2つ以上が異なる焦点距離の主焦点を有する場合、眼の網膜で形成される像は、視力の低下につながる、ぼけを生じ得るか、又はゴースト若しくはハローを有し得る。
【0040】
一定の実施形態において、十分な視覚結果が、トロイダル形状(例えば、球状トーラス)に由来する、或いは、複数ゾーンを置き換える場合において、1つ又は2つ以上のトーラスに由来する、表面形状を有するゾーンを調製する(又はレンズの設計されたゾーンを置き換える)ことによって達成され得る。一例として、利用されることになるトロイダル形状の一部分は、トーラス(例えば、球状トーラス)の表面を通る直円錐の表面の形状の切片を作製した後のトーラスに由来し得、錐の主軸が、トーラスが周囲に生成される回転軸と一致する。レンズ表面のトーラス形成部の一部分は、レンズの他のゾーンと連続表面を形成するか、又は個々のゾーンが連続表面を形成することを可能にするように、光学的に機能不全である、遷移領域によって繋げられるように、配置される。本明細書に概説された以外の他の切片(円錐又はその他)もまた、使用され得る。
【0041】
1つ又は2つ以上の設計に対する基礎としてトーラスを使用する1つの利点は、レンズのこの領域を通過する光線が点焦点ではなくリング焦点を形成することである。この光線の分散は、レンズの矯正ゾーンを通過する光線から達成される視覚への影響の減少を結果としてもたらすように配置され得る。かかる設計の有意な利点は、視力への影響が少なく、通常の調節との干渉が最小限に抑えられ、かつハロー効果が低減されることである。より大きな処置ゾーン面積及びより高い加入度数が、結果として利用され得る。像のコントラストの低下は、眼の瞳孔内の処置ゾーンのサイズに比例する。分散された光線の焦点位置は、網膜の前方であり、これは、それでもなお強い近視制御効果を提供する。本発明の「非同軸」焦点に関して言及される際、加入度数は、度数の従来の定義とは対照的に、処置ゾーンを通過する光線の軸に沿った正の度数を意味し、光線が同軸に交差する位置に由来する。
【0042】
本発明によると、眼用レンズは、少なくとも1つの中央ゾーンを取り囲む高加入処置ゾーンを有し、近視の進行を処置、予防、又は鈍化させ、一方でまた、黒/白エッジでの任意のハロー効果を最小限に抑える。
【0043】
ここで図5A図5Bを参照すると、本開示の一実施形態によるコンタクトレンズ500が図示される。コンタクトレンズ500は、視覚ゾーン502と、外側ゾーン504とを含む。視覚ゾーン502は、第1のゾーン又は中心ゾーン506と、少なくとも1つの周辺ゾーン又は処置ゾーン508とを含む。2つの処置ゾーン508が示されるが、いくつかの処置ゾーンが使用され、かつ中心軸から様々な半径で同心に位置決めされてもよい。特定の実施形態において、レンズの幾何学的中心500から測定されたとき、視覚ゾーン502の直径は、8.00mmになるように選択されてもよく、略円形中心ゾーン506の直径は、4.00mmになるように選択されてもよく、環状の外側処置ゾーン508の境界直径は、5mm及び6.5mmであってもよい。一例として、中心ゾーン506は、近視を矯正し、かつ十分な視力を提供する度数プロファイルを有して構成され得る。かかる度数プロファイルは、負の光学度数を含み得る。更なる例として、少なくとも1つの処置ゾーン508は、近視の進行を処置、予防、又は鈍化させるために構成され得る。少なくとも1つの処置ゾーン508は、焦点リングを生成する表面形状を有するように構成され得、リング上の無限焦点の各々の場所が、中心ゾーン506の幾何学的軸からずれている(「非同軸である」)。処置ゾーン508の光学系は、処置ゾーンを通過する光線が焦点の形状リングに焦点合わせされる必要がないように、収差を含み得る。これに代えて、不鮮明な焦点リングが結果として生じてもよい。一定の態様において、中心ゾーン506は、図7(ゾーン706)に説明されるように、加入度数の領域を含み得る。
【0044】
図5A図5Bは、本開示の例示的な実施形態を図示するにすぎないという点に留意することが重要である。例えば、この例示的な実施形態において、少なくとも1つの処置ゾーン508の外部境界は、視覚ゾーン502の外側縁と必ずしも一致するというわけではなく、他の例示的な実施形態では、一致し得る。外側ゾーン504は、視覚ゾーン502を取り囲んで、レンズ位置決め及び中心化を含め標準的なコンタクトレンズの特徴をもたらす。1つの例示的な実施形態によれば、外側ゾーン504は、眼の上にあるとき、レンズ回転を低減するために1つ又は2つ以上の安定化メカニズムを含み得る。
【0045】
図5A図5Bの様々なゾーンが同心環として図示される。ゾーンは、楕円形状等の任意の適切な円形又は非円形の形状を含み得る。眼の入射瞳径が亜母集団の中で変動したとき、ある種の例示的な実施形態では、レンズ設計を特注生産して、患者の眼の平均瞳孔径に基づいて良好な中心視の矯正(例えば、近視矯正)及び近視に対する治効の両方を達成してもよい、という点に留意することが重要である。更に、瞳孔サイズは小児患者の屈折及び年齢と相関するので、特定の例示的な実施形態では、レンズは、瞳孔サイズに基づいて特定の年齢及び/又は屈折を有する小児分集団の下位グループの方へ更に最適化され得る。本質的に、レンズ設計は、瞳孔径に対して調節又は調整され、中心視の矯正と高加入処置ゾーンから得られたハロー効果の最小化との最適バランスを達成し得る。
【0046】
図5C図5Eを参照すると、処置ゾーン508は、略トロイダル形状の一部分を含む形状を有し得、少なくとも1つの処置ゾーン508は、中心ゾーンを含む連続表面を形成するように配置される。一例として、トロイダル形状の一部分は、トーラス(例えば、球状トーラス)由来であり得、トロイダル形状の一部分を生成するように球状トーラスの表面を通る切片は、トーラスが周囲に生成される回転軸と錐510の主軸が一致する直立円錐表面を含む。
【0047】
図5Fを参照すると、本開示による処置ゾーン508は、点焦点512を結果としてもたらすように構成され得る。図5Gを参照すると、本開示による処置ゾーン508は、リング焦点514を結果としてもたらすように構成され得る。焦点リングの一部分は、処置ゾーン508の光学度数に依存し得る。更に詳細に説明されることになるように、環状処置ゾーン508の焦点は、限定されるものではないが、処置ゾーン508の表面の傾斜、及び処置ゾーン508の光学度数を含む、処置ゾーン508の様々な表面性質の結果であり得る。
【0048】
ここで図6を参照すると、本開示の実施形態による、コンタクトレンズ600の斜視図が図示されている。コンタクトレンズ600は、視覚ゾーン602と、外側ゾーン604とを含む。視覚ゾーン602は、第1のゾーン又は中心ゾーン606、及び少なくとも1つの処置ゾーン608又は周辺ゾーンを含む。特定の実施形態において、レンズ600の幾何学的中心を基準に、視覚ゾーン602の直径は、8.00mmになるように選択されてもよく、略円形中心ゾーン606の直径は、4.00mmになるように選択されてもよく、環状の外側処置ゾーン608の境界直径は、5mm及び6.5mmであってもよい。一例として、中心ゾーン606は、近視を矯正し、かつ十分な視力を提供する度数プロファイルを有して構成され得る。かかる度数プロファイルは、負の光学度数を含み得る。更なる例として、処置ゾーン608は、近視の進行の処置、予防、又は鈍化のための処置ゾーンとして構成され得る。処置ゾーン608は、リング焦点を示す表面形状を有するように構成され得、リング上の無限焦点の各々の場所が、中心ゾーン606の幾何学的軸からずれている(「非同軸である」)。追加の処置ゾーン608が使用されてもよい。
【0049】
一例として、眼用レンズ600は、近視の進行の鈍化、遅延、又は予防のうちの少なくとも1つのために構成され得る。眼用レンズは、近視の矯正のための負の度数を有する中心ゾーン606、及び中心ゾーン606を取り囲む少なくとも1つの周辺ゾーン608(例えば、処置ゾーン)を含み得る。少なくとも1つの処置ゾーン608は、加入度数領域又はゾーンを含む度数プロファイルを有し得る。少なくとも1つの処置ゾーン608は、約-10.00D~約+15.00Dの絶対光学度数を含み得る。少なくとも1つの処置ゾーン608は、処置ゾーン608の光学度数が隣接ゾーン又は中心ゾーン606等の基準ゾーン(例えば、視力矯正ゾーン、近視矯正ゾーン等)よりも正であるように、相対的加入度数を含み得る。一例として、近視矯正ゾーンは、-5.00Dの光学度数を有し得、処置ゾーンは、-3.00Dの光学度数を有し得、したがって、+2.00Dの加入度数を有する。更なる例として、近視矯正ゾーンは、-3.00Dの光学度数を有し得、処置ゾーンは、+5.00Dの光学度数を有し得、したがって、+8.00Dの加入度数を有する。
【0050】
少なくとも1つの処置ゾーン608は、中心ゾーン606と共通の幾何学的軸を共有する環状構成を有し得、少なくとも1つの処置ゾーン608は、焦点リングを示し(つまり、結果としてもたらし)、リング上の無限焦点の各々の場所が、中心ゾーン606の幾何学的軸からずれている(「非同軸である」)。
【0051】
少なくとも1つの処置ゾーン608は、略トロイダル形状の一部分を含む表面形状を有し得、少なくとも1つの処置ゾーン608は、中心ゾーンを含む連続表面を形成するように配置される。一例として、利用されることになるトロイダル形状の一部分は、トーラス(例えば、球状トーラス)の表面を通る直円錐の表面の形状の切片を作製した後のトーラスに由来し得、錐の主軸が、トーラスが周囲に生成される回転軸と一致する。
【0052】
図6は、本発明の例示的な実施形態を示すにすぎないという点に留意することが重要である。例えば、この例示的な実施形態では、少なくとも1つの処置ゾーン608の外部境界は、視覚ゾーン602の外側縁と必ずしも一致するというわけではなく、他の例示的な実施形態では、一致し得る。外側ゾーン604は、視覚ゾーン602を取り囲んで、レンズ位置決め及び中心化を含め標準的なコンタクトレンズの特徴をもたらす。1つの例示的な実施形態によれば、外側ゾーン604は、眼の上にあるとき、レンズ回転を低減するために1つ又は2つ以上の安定化メカニズムを含み得る。
【0053】
ここで図7を参照すると、本開示の実施形態による、コンタクトレンズ700の斜視図が図示されている。コンタクトレンズ700は、視覚ゾーン702と、外側ゾーン704とを含む。視覚ゾーン702は、第1のゾーン又は中心ゾーン706、及び少なくとも1つの周辺処置ゾーン708、並びに中心ゾーン706と少なくとも1つの周辺処置ゾーン708との間に配設された近視矯正ゾーン707を含む。特定の実施形態において、レンズ700の幾何学的中心を基準に、視覚ゾーン702の直径は、8.0mmになるように選択されてもよく、略円形中心ゾーン706の直径は、4.0mmになるように選択されてもよく、環状の外側処置ゾーン708の境界直径は、5mm及び6.5mmであってもよい。一例として、中心ゾーン706は、加入度数を有する度数プロファイルを有して構成され得る。この中心ゾーン706は、近視を処置し十分な視力を提供するために、レンズ700と装用者の網膜面との間に焦点を示すように構成され得る。近視矯正ゾーン707は、中心ゾーン706を取り囲み得、近視に対する遠見視力を矯正する度数プロファイルを有して構成され得る。かかる度数プロファイルは、負の光学度数を含み得る。更なる例として、処置ゾーン708は、近視の進行の処置、予防、又は鈍化のための処置ゾーンとして構成され得る。処置ゾーン708は、表面形状展示品(つまり、結果としてもたらす)焦点リングを有するように構成され得、リング上の無限焦点の各々の場所が、中心ゾーン706の幾何学的軸からずれている(「非同軸である」)。追加の処置ゾーン708が使用されてもよい。少なくとも1つの処置ゾーン708は、中心ゾーン706等の加入度数領域又はゾーンを含む度数プロファイルを有し得る。少なくとも1つの処置ゾーン708は、約-10.00D~約+15.00Dの絶対光学度数を含み得る。少なくとも1つの処置ゾーン708は、処置ゾーン708の光学度数が隣接ゾーン又は中心ゾーン707等の基準ゾーン(例えば、視力矯正ゾーン、近視矯正ゾーン等)よりも正であるように、相対的加入度数を含み得る。一例として、近視矯正ゾーンは、-5.00Dの光学度数を有し得、処置ゾーンは、-3.00Dの光学度数を有し得、したがって、+2.00Dの加入度数を有する。更なる例として、近視矯正ゾーンは、-3.00Dの光学度数を有し得、処置ゾーンは、+5.00Dの光学度数を有し得、したがって、+8.00Dの加入度数を有する。
【0054】
少なくとも1つの処置ゾーン708は、中心ゾーン706と共通の幾何学的軸を共有する環状構成を有し得、少なくとも1つの処置ゾーン708は、焦点リングを示し、リング上の無限焦点の各々の場所が、中心ゾーン706の幾何学的軸からずれている(「非同軸である」)。
【0055】
少なくとも1つの処置ゾーン708は、略トロイダル形状の一部分を含む表面形状を有し得、少なくとも1つの処置ゾーン708は、中心ゾーンを含む連続表面を形成するように配置される。一例として、利用されることになるトロイダル形状の一部分は、トーラス(例えば、球状トーラス)の表面を通る直円錐の表面の形状の切片を作製した後のトーラスに由来し得、錐の主軸が、トーラスが周囲に生成される回転軸と一致する。
【0056】
図7は、本発明の例示的な実施形態を示すにすぎないという点に留意することが重要である。例えば、この例示的な実施形態では、少なくとも1つの処置ゾーン708の外部境界は、視覚ゾーン702の外側縁と必ずしも一致するというわけではなく、他の例示的な実施形態では、一致し得る。外側ゾーン704は、視覚ゾーン702を取り囲んで、レンズ位置決め及び中心化を含め標準的なコンタクトレンズの特徴をもたらす。1つの例示的な実施形態によれば、外側ゾーン704は、眼の上にあるとき、レンズ回転を低減するために1つ又は2つ以上の安定化メカニズムを含み得る。
【0057】
図8Aは、眼科用デバイスの一例の度数プロファイルを図示し、度数プロファイルは、光学特性対眼科用デバイスの中心からの半径方向距離を図示する。示されるように、眼用レンズの中心に配設された、及び/又はそれに隣接する、中心ゾーン802又は領域は、正の光学度数を有する。眼用レンズの表面は、次いで、中心ゾーン802の半径方向外側で負の光学度数を示す。しかしながら、処置ゾーン804は、約1.50mm~2.00mmで図示され、光学度数は、周囲の領域から上昇し、低い負の光学度数を示す。更なる例として、処置ゾーン804は、近視の進行の処置、予防、又は鈍化のための処置ゾーンとして構成され得る。処置ゾーン804は、焦点リングを示す表面形状を有するように構成され得、リング上の無限焦点の各々の場所が、中心ゾーン802の幾何学的軸からずれている(「非同軸である」)。追加の処置ゾーン804が使用されてもよい。少なくとも1つの処置ゾーン804は、共通幾何学的軸を中心ゾーン802と共有する環状構成を有し得る。少なくとも1つの処置ゾーン804は、略トロイダル形状の一部分を含む表面形状を有し得、少なくとも1つの処置ゾーン804は、中心ゾーンを含む連続表面を形成するように配置される。一例として、利用されることになるトロイダル形状の一部分は、トーラス(例えば、球状トーラス)の表面を通る直円錐の表面の形状の切片を作製した後のトーラスに由来し得、錐の主軸が、トーラスが周囲に生成される回転軸と一致する。
【0058】
図8Bは、図8Aの度数プロファイルの注釈付き説明を図示する。示されるように、半径方向幅及び中心ゾーン802の光学度数は、十分な視力を提供しつつ、近視の進行の鈍化、遅延、又は予防を提供するように構成され得る。更なる例として、中心ゾーン802に対する処置ゾーン804の位置は、カスタマイズされ得る。
【0059】
図8Cは、それぞれの光線図812を参照して注釈付きの度数プロファイル810を図示する。光線図812は、本開示の対応によるレンズ設計に関する。示されるように、レンズ設計は、レンズ上の入射光に基づいた特定の光線パターン(例えば、屈折)を示す。一例として、中央同軸処置ゾーン814は、レンズと装用者の網膜面との間に配設される軸上焦点に対する入射光線の輻輳を示す中央加入度数領域を構成することによって生成され得る。1つ又は2つ以上の視力矯正ゾーン816は、網膜面又はその近くの軸上焦点に対する入射光線の輻輳を示すようにレンズを構成することによって生成され得る。非同軸処置ゾーンは、レンズと装用者の網膜面との間に配設される軸外焦点のリングに対する入射光線の輻輳を示す加入度数領域を構成することによって生成され得る。加入度数が、隣接領域及び/又は視力矯正ゾーン816に対する正の光学度数を参照し得ることが理解される。
【0060】
図9Aを参照すると、正視(又は完全に矯正された)眼910を通過する波面と関連付けられた光線が図示されている。光線は、眼の外側の平面波面(つまり、0.00Dの球面度数)に由来し、眼の光学系、及び網膜912に向かう任意の矯正デバイスを通って進む。図示されているように、システムが波面収差ゼロであると仮定すれば、この波面の光線911は、光軸916に沿って単焦点914で焦点合わせする。これが完全に矯正された眼に対する波面誤差表現であると考慮して、焦点914は、網膜912の黄斑中央に位置している中心窩上にある。中心窩は、鮮明な中心視の要因となる網膜の領域である。
【0061】
これに対し、図9Bにおいて、+10.00Dの球面波面誤差(正視又は完全に矯正された眼に対して)を有する波面からの光線921が、それらが眼、及び眼920の網膜922を向かう任意の光学デバイスを通って進むことになるように、図示されている。図示されているように、+10.00Dの焦点ぼけと予想されるように、波面は、光軸926に沿って、網膜922の前の単点924で焦点合わせする。従来の球面光学系と矛盾せず、レンズの光学系は、主光軸を用いて設計される。光線は、単点、すなわち、この軸上にある焦点に向かって輻輳する。球面波面誤差の量は、図9A及び図9Bにそれぞれ図示する例のように、網膜の中心窩の上又は前で焦点の位置を決定する。これら2つの図は、本発明の詳細がベースとなる際に、基本パラメータ/原理の設定に利用され得る。しかしながら、説明を容易にするために球面屈折誤差のみが示され記載される一方で、本発明は、特定軸での乱視屈折力を含むトーリックレンズに等しく適用可能と理解すべきである。なお、その後に更に詳細に記載されているように、処置ゾーンは、円柱度数及び軸を含んでもよく、更に、高次収差等のより複雑な光学設計を含んでもよい。
【0062】
図9Cは、光学システム(光学デバイスに加えて眼)を通過する、正視眼に対して外部の平面波面に由来する光線を図示し、光学デバイスは、光線が網膜932に向かって眼930を通って進むことになる際に、中心931で平面(つまり、0.00D)の度数、かつ周辺(つまり、「同軸」処置ゾーン)933で+10.00Dの同軸度数を有する。当業者は、図示及び後に続くものがまた、デバイスの中央度数が屈折誤差に対して矯正され、かつ周辺度数が中央度数に対して+10.00D(+10.00D加入)で残る、屈折異常の眼に適用するようにも適合され得ることを理解するであろう。図示されているように、デバイスの中央部分を通過する光線は、主光軸936に沿って単点934で焦点合わせする。これが正視眼の表現であると考慮して、焦点934は、網膜932の中心窩上にある。処置ゾーンを通過する光線933は、+10.00Dの焦点ずれと予想されるように、網膜932の間の単点938で焦点合わせし得る。同心又は非球面多焦点レンズ設計は、通常、共通軸を有する主距離度数及び加入度数の両方を有する。また、これらの用途において、最適な像質を維持するために、加入度数は、通常、約+1.00~+3.00Dの範囲に制限される。したがって、高加入度数は、同軸処置ゾーンのこの配置を用いて機能しない場合があるが、続いて詳細に明らかにされる、非同軸配置が使用される場合がある。
【0063】
図9Dは、光学システム(光学デバイスに加えて眼)を通過する、眼に対して外部の平面波面に由来する光線を図示し、光学デバイスは、光線が網膜942に向かって眼940を通って進むことになる際に、中心941で平面(つまり、0.00D)の度数、かつ周辺(つまり、「非同軸」処置ゾーン)943で+10.00Dの非同軸度数を有する。図示されているように、デバイスの中央部分を通過する光線は、主光軸946に沿って単点944で焦点合わせする。これが正視眼の表現であると考慮して、焦点944は、網膜942の中心窩上にある。処置ゾーンを通過する光線943は、この断面図において、+10.00Dのレンズと予想されるように、網膜942の前の単点948及び949で焦点合わせする。しかしながら、これらの光線の錐は、ここで、光線が中心窩から同一距離の網膜に当たる図9Cに図示されるものとは異なり、中心窩の方に向けられる。処置ゾーンは、ここで、本来の共通光軸946(つまり、光学システムの主軸)とは一致せず、それゆえに、非同軸である、焦点948及び949を有する。非同軸処置ゾーンを通過する光線が、それら自体の軸に沿って網膜942の前の焦点+10.00Dに入ることに留意することが重要である。しかしながら、非同軸処置ゾーンの各々の中心光線は、中心窩で主軸に交差し、それゆえに、度数誤差を個々に有していない。
【0064】
図9Eは、光学システム(光学デバイスに加えて眼)を通過する、眼に対して外部の平面波面に由来する光線を図示し、光学デバイスは、光線が網膜952に向かって眼950を通って進むことになる際に、中心951で平面(つまり、0.00D)の度数、かつ周辺(つまり、「非同軸」処置ゾーン)953で+10.00Dの非同軸度数を有する。図示されているように、デバイスの中央部分を通過する光線は、主光軸956に沿って単点954で焦点合わせする。これが正視眼の表現であると考慮して、焦点954は、網膜952の中心窩上にある。処置ゾーンを通過する光線953は、この断面図において、+10.00Dのレンズと予想されるように、網膜952の前の単点958及び959で焦点合わせする。しかしながら、これらの光線の錐は、ここで、中心窩から対称に離れるように向けられる。重ねて、処置ゾーンは、本来の共通光軸956(つまり、光学システムの主軸)とは一致せず、それゆえに、非同軸である、焦点958及び959を有する。非同軸処置ゾーンを通過する光線が、それら自体の軸に沿って網膜952の前の焦点+10.00Dに入るが、中心光線を中心窩から対称に離れるように向けるために、図9Dの処置ゾーンとは異なる方向又は勾配(つまり、「傾斜」)を有することに留意することが重要である。加えて、処置ゾーン軸は、主軸956に向かって対称に輻輳する。言い換えると、処置ゾーンは、光線を、本来の共通光軸956と交差させて中心窩から等距離で網膜952の周辺区分に向かって、この2次元表現の対称配置で向け、これは、3次元空間の網膜上に、ぼけリングを形成する。
【0065】
上記の各構成の組み合わせがまた、例えば、近視矯正ゾーンとして基礎球面と、網膜の前の光学軸と交差するようにゾーンの中心光線を向ける処置ゾーンと、網膜の後ろの光学軸と交差するようにゾーンの中心光線を向ける処置ゾーンとを含む光学設計が考えられることに留意することが重要である。これらの説明に具現化された原理はまた、複数の処置ゾーンを含むデバイスにも適用され得る。
【0066】
本明細書に組み込まれるものはまた、小児の遠視の軽減のための負の加入度数を有する設計である。ここで、距離矯正ゾーンは、例えば、+0.25~+20.00Dの正の度数を有し得る。デバイスの装着者が、近見又は遠見視力に対するデバイスの加入区分を使用するべきではなく、全視野に対する遠視距離矯正を使用するべきであるという点で、近視制御に適用される同一原理が、ここに適用される。リング焦点の非同軸性質は、ユーザが視力に関して処置領域を通して見るように調節することを防止する。負の加入度数(例えば、-0.25~-20.00D)は、次いで、遠視の程度を軽減するように眼の成長を刺激するように働く。
【0067】
図10Aは、本開示による、眼用レンズの光線図を図示する。示されるように、周辺ゾーン又は処置ゾーン1004は、中心近視矯正ゾーン1002を取り囲んで示される。環状処置ゾーン1004は、略トロイダル形状(例えば、トーラスの一部分)を含み、その断面が図10Aに図示されている。処置ゾーン1004は、焦点リングを結果としてもたらすように構成され、これは、眼用レンズと網膜面との間等の、眼科用デバイスの装用者の網膜面の前に生成される。示されるように、対応する(環を中心として反対の位置)最も内側の光線1008と共に処置ゾーン1004の最も内側の光線1006は、網膜面の後ろである点1009に輻輳するように構成される。
【0068】
図10Bは、本開示による、眼用レンズの光線図を図示する。レンズは、近視のための矯正1016を組み込む。レンズはまた、中央処置ゾーン1012と、中央処置ゾーン1012から半径方向にずらされた周辺処置ゾーン1014も組み込む。処置ゾーン1014は、略トロイダル形状の一部分を含み、その断面が、図10Bに図示されている。中心ゾーン1012は、そのゾーンの加入度数と一致する位置に、同軸点焦点を生成するように構成される表面構造を含んで示される。処置ゾーン1014は、焦点リングを示す(つまり、結果としてもたらす)ように構成され、これは、眼用レンズと網膜面との間等の、眼科用デバイスの装用者の網膜面の前に生成される。1つ又は2つ以上の近視矯正ゾーン1016は、負の光学度数によって構成され得、中心ゾーン1012によって生成された焦点を含むレンズの主軸と同軸である焦点を示し得る。示されるように、処置ゾーン1014は、環状構成を有し、対応する(環を中心として反対の位置)最も内側の光線1018と共に最も内側の光線1017は、網膜面と主軸との交点である点1019に輻輳するように構成される。
【0069】
図11Aは、光学システム(光学デバイスに加えて眼)を通過する、眼に対して外部の平面波面に由来する光線を図示し、光学デバイスは、光線が網膜1102に向かって眼1100を通って進むことになる際に、中心1101で平面(つまり、0.00D)の度数、かつ周辺(つまり、「非同軸」処置ゾーン)1103で+10.00Dの非同軸度数を有する。図示されているように、デバイスの中央部分を通過する光線は、主光軸1106に沿って単点1104で焦点合わせする。これが正視眼の表現であると考慮して、焦点1104は、網膜1102の中心窩上にある。処置ゾーンを通過する光線1103は、この断面図において、+10.00Dのレンズと予想されるように、網膜1102の前であるが、中心窩から対称に離れる、単点1108及び1109で局所点焦点に入る。処置ゾーンは、本来の共通軸(例えば、主光軸1106)と一致せず、それゆえに非同軸である焦点1108を含む焦点リング(又は楕円)、及び本来の共通軸と一致する別の焦点1109である、同軸焦点を作製し得る。処置ゾーンを通過する任意の小束からの光線が、それら自体の軸に沿って焦点合わせすることになり、これらが処置ゾーン内の異なる勾配(傾斜)を有し得ることに留意することが重要である。
【0070】
図11Bは、光学システム(光学デバイスに加えて眼)を通過する、眼に対して外部の平面波面に由来する光線を図示し、光学デバイスは、光線が網膜1112に向かって眼1110を通って進むことになる際に、中心1111で平面(つまり、0.00D)の度数、かつ周辺(つまり、「非同軸」処置ゾーン)1113で+10.00Dの非同軸度数を有する。図示されているように、デバイスの中央部分を通過する光線は、主光軸1116に沿って単点1114で焦点合わせする。これが正視眼の表現であると考慮して、焦点1114は、網膜1112の中心窩上にある。処置ゾーンを通過する光線1113は、この断面図において、+10.00Dのレンズと予想されるように、網膜1112の前の単点1118及び1119で局所点焦点に入る。処置ゾーンは、本来の共通軸(例えば、主光軸1116)と一致せず、それゆえに、非同軸である、焦点1118及び1119を含む焦点リングを作製し得る。処置ゾーンを通過する光線が、それら自体の軸に沿って焦点合わせし、かつ処置ゾーンの中央光線を中心窩から対称に離れて向けるように図9Dの処置ゾーンとは異なる勾配(傾斜)を有するが、依然として網膜1112の前の+10.00Dの局所点焦点を有することに留意することが重要である。加えて、処置ゾーンからの中央光線は、近視矯正ゾーン1114の焦点の後ろに対称に輻輳する。言い換えると、処置ゾーンは、光線が対称様式で眼の外側で本来の主光軸1116に交差するように、光線を向ける。
【0071】
図11Cは、光学システム(光学デバイスに加えて眼)を通過する、眼に対して外部の平面波面に由来する光線を図示し、光学デバイスは、光線が網膜1122に向かって眼1120を通って進むことになる際に、中心1121で平面(つまり、0.00D)の度数、かつ周辺(つまり、「非同軸」処置ゾーン)1123で+10.00Dの非同軸度数を有する。図示されているように、デバイスの中央部分を通過する光線は、主光軸1126に沿って単点1124で焦点合わせする。これが正視眼の表現であると考慮して、焦点1124は、網膜1122の中心窩上にある。処置ゾーンを通過する光線1123は、この断面図において、+10.00Dのレンズと予想されるように、網膜1122の前であるが、中心窩から対称に離れる、単点1128及び1129で局所点焦点に入る。処置ゾーンは、本来の共通軸(例えば、主光軸1126)と一致せず、それゆえに、非同軸である、焦点1128及び1129を含む焦点リング(又は楕円)を作製し得る。処置ゾーンを通過する任意の小束からの光線が、それら自体の軸に沿って焦点合わせすることになり、これらが処置ゾーン内の異なる勾配(傾斜)を有し得ることに留意することが重要である。言い換えると、処置ゾーンは、光線が非対称様式で眼の外側で、本来の共通光軸、例えば、主光軸1126に交差するように、光線を向ける。
【0072】
上記の構成の組み合わせ、例えば、近視矯正ゾーンとして基礎球面と、主光軸と交差するように光線を向ける処置ゾーンと、主光軸の同一側に光線を向ける処置ゾーンとを含む光学設計もまた考えられる。
【0073】
図12Aは、本開示による、眼用レンズの光線図を図示する。示されるように、周辺ゾーン又は処置ゾーン1204は、中心ゾーン1202を取り囲んで示される。環状処置ゾーン1204は、略トロイダル形状の一部分を含み、その断面が、図12Aに図示されている。処置ゾーン1204は、焦点リングを示す(結果としてもたらす)ように構成され、これは、眼用レンズと網膜面との間等の、眼科用デバイスの装用者の網膜面の前に生成される。示されるように、対応する(環を中心として反対の位置)最も内側の光線1208と共に処置ゾーン1204の最も内側の光線1206は、網膜面の後ろである点1209で交差するように構成される。したがって、処置ゾーンを通過する光線の交点が存在する量を表すバイコニック形状の一部は、網膜の後ろに収まる。
【0074】
しかしながら、処置ゾーン1204の表面は、図12Bに図示されるように、装用者の網膜面の後ろの光線の輻輳を最小限に抑えるように構成され得る(例えば、光線がレンズによって中央軸又は主軸に向かって、又はそこから離れて向けられるように、傾斜される)。図12Bに示されるように、対応する(環を中心として反対の位置)最も内側の光線1208と共に環状処置ゾーン1204を通過する最も内側の光線1207は、網膜面とレンズの主軸との交点の点1209で輻輳するように構成されている。かかる傾斜制御は、網膜面と網膜面の前との間で主軸と交差する最も内側の光線を構成するために使用され得る。したがって、処置ゾーンを通過する光線の交点が存在する量を表すバイコニック形状の一部は、網膜の後ろに収まらない。これらの光線の輻輳の位置は、処置ゾーン1204が同軸点焦点を生成するように構成されている場合に発生する等の、視力障害を最小限に抑えるように構成されるべきである。
【0075】
処置ゾーン1204の「傾斜」構成を更に図示するために、図13は、それぞれの眼科用デバイスの2つの度数プロファイル間の比較を示し、「傾斜」処置ゾーンは、度数プロファイルにおいて負の度数ディップを最小限に抑える。更に、処置ゾーンの度数プロファイルは、リング焦点をもたらす曲線(例えば、凸状)形状を有し得る。
【0076】
図示的な例として、好ましい結果は、ゼロ角度比較対象に対して+0.035~+0.3215度の傾斜角を使用して達成された。傾斜角は、処置ゾーンの中央(中間環)光線が網膜面と中央軸又は主軸との交点を通過する場所をゼロとして指定される(図12Aにあるように)。傾斜に対する正の方向は、網膜の前で主軸と交差する処置ゾーンの中央(中間環状)光線を結果としてもたらし、これに対して、傾斜に対する負の方向は、網膜の後ろで主軸と交差する処置ゾーンの中央(中間環状)光線を結果としてもたらす。傾斜の他の正の角度及び/又は負の角度が使用され得ることが理解される。
【0077】
更なる例として、特定のレンズ設計が、それらの潜在的近視制御効果を予測するための脈絡膜の厚さモデルを使用して試験された。このモデルにおいて、ヒトの眼が、ある期間、光学構成に露出され、眼の軸長が監視される。脈絡膜の厚さは、調査された短時間にわたる光学的刺激においていずれの変化もなく相対的に一定のままであることになる。近視制御効果を有する見込みの光学構成は、脈絡膜の厚さの増加、及び部分コヒーレンス干渉法によって測定されたときの眼の見かけの軸長の対応する縮小を伴う。反対に、近視の進行を悪化させる見込みの光学構成は、脈絡膜の厚さの低下、及び眼の見かけの軸長の対応する増大を伴う。例えば、Readらは、+3D単一視レンズに対する露出が軸長の見かけの縮小を結果として生じさせ、これに対して、-3Dレンズは、見かけの軸の伸長を結果として生じさせたことを示している(Read SA,Collins MJ,Sander BP.Human optical axial length and defocus.Invest Ophthalmol Vis Sci.2010 Dec;51(12):6262~9.)。動物モデルにおいて、正レンズによる視覚環境の操作は、低度の眼の成長を結果としてもたらし、負レンズによる視覚環境の操作は、高度の眼の成長及び近視を結果としてもたらす。
【0078】
以下に明らかになるように、かつ図14及び図16図20に示されるように、処置ゾーンの度数、サイズ、位置及び傾斜を変化させることによって、様々な設計構成が想起されることに留意することが重要である。
【0079】
非同軸+5D設計(2つのリング)
リング1=+5D非同軸度数、直径1.87~3.43mmのゾーン、+0.109度の傾斜
リング2=+5Dの非同軸度数、直径4.45~9.00mmのゾーン、+0.321度の傾斜
【0080】
非同軸+5D設計(1.00mmの中心+10D領域を有する1つのリング)
リング=+5Dの非同軸度数、直径3.00~4.00mmのゾーン、+0.066度の傾斜
非同軸+2.5D設計(1.00mmの中心+5D領域を有する1つのリング)
リング=+2.5Dの非同軸度数、直径3.00~4.00mmのゾーン、+0.035度の傾斜
【0081】
非同軸+5D~+10D設計(1.00mmの中心+10D領域を有する4つのリング)
リング1=+5D非同軸度数、直径3.00~4.00mmのゾーン、+0.066度の傾斜
リング2=+10Dの非同軸度数、直径6.00~7.00mmのゾーン、+0.131度の傾斜
リング3=+10Dの非同軸度数、直径7.00~8.00mmのゾーン、+0.129度の傾斜
リング4=+10Dの非同軸度数、直径8.00~9.00mmのゾーン、+0.129度の傾斜
【0082】
非同軸+5D設計(1つのリング)
リング=+5Dの非同軸度数、直径3.00~4.00mmのゾーン、+0.066度の傾斜
【0083】
非同軸+7D設計(2つのリング)
リング1=+7Dの非同軸度数、直径3.40~4.80mmのゾーン、+0.132度の傾斜
リング2=+7Dの非同軸度数、直径6.80~8.30mmのゾーン、+0.140度の傾斜
【0084】
非同軸+7D設計(1.20mmの中心+10D領域を有する2つのリング)
リング1=+7Dの非同軸度数、直径2.80~4.00mmのゾーン、+0.111度の傾斜
リング2=+7Dの非同軸度数、直径6.50~8.00mmのゾーン、+0.142度の傾斜
【0085】
一連のレンズ設計の結果が、図14A図14Dに図示される。これらの実験の各々において、+3Dの焦点ずれが、比較対象として使用された。観察され得るように、本開示に説明される光学構成は、+3D焦点ずれに応じて見積もられた近視制御効果と同様又はそれよりも大きい効果を示し得る。これらの実験の結果は、正の度数付き処置ゾーンが、眼の軸長の見かけの縮小を結果としてもたらし得ること、効果が、増加した加入度数によって増大すること、非同軸設計が、近視制御に有効であること、及び傾斜の定義が近視制御を増強し得ることを示す。
【0086】
加えて、以下に示されるように、傾斜角は、中心窩(ゼロ又は正の度数)又はその前で軸と交差する処置領域を通過する全ての光線を有するために、処置ゾーンの中央光線に適用され得る。これは、角度が、ゾーン度数、主軸からのゾーンのずれ、及びまたゾーン幅によって変化することになることを意味する(例えば、ゾーン幅及び/又は局所的に個々の軸度数が増大される場合、より大きな傾斜が必要とされる)。説明されるように、傾斜の程度は、処置ゾーンの中央(中間環)光線が網膜面と中央軸又は主軸との交点を通過する場所をゼロ角度比較対象に対して測定される:
【0087】
図15Aは、眼科用デバイスの一例の従来の度数プロファイルを図示し、度数プロファイルは、光学特性対眼科用デバイスの中心からの半径方向距離を図示する。示されるように、眼用レンズの中心に配設された、及び/又はそれに隣接する、中心ゾーン1502又は領域は、略平坦な光学度数プロファイル1502を有する。この例において、このゾーンは、ゼロ度数を有し、したがって、正視眼に対する例を表すことになるが、このゾーンの度数プロファイル全体が近視屈折誤差を矯正するように調節され得ることが容易に明らかである。第1の処置ゾーン1504は、約1.80mm~2.40mmで図示され、光学度数は、周囲の領域から上昇し、より正の光学度数を示す。第2の処置ゾーン1506は、約3.40mm~4.20mmで図示され、光学度数は、周囲の領域から上昇し、より正の光学度数を示す。従来の度数プロファイルは、レンズの中心からの所与の半径方向距離に対する度数を、レンズ上のその位置を通過する光線が主軸と交差することになる距離の逆数から得る。この値は、処置ゾーンの局所的曲線由来の度数とは異なることになり、かかる度数はまた、それ自体の個々の軸に沿ってゾーンを通過する光線の輻輳の距離の関数でもある。
【0088】
更なる例として、処置ゾーン1504、1506は、近視の進行の処置、予防、又は鈍化のための処置ゾーンとして構成され得る。処置ゾーン1504、1506は、焦点リングを生成する表面形状を有するように構成され得、リング上の無限焦点の各々の場所が、中心ゾーン1502の幾何学的軸からずれている(「非同軸である」)。追加の処置ゾーン1504が使用されてもよい。処置ゾーン1504、1506のうちの少なくとも1つは、中心ゾーン1502と共通の幾何学的軸を共有する環状構成を有し得、処置ゾーン1504、1506のうちの少なくとも1つは、焦点リングを示し(つまり、結果としてもたらし)、リング上の無限焦点の各々の場所が、中心ゾーン1502の幾何学的軸からずれている(「非同軸である」)。少なくとも1つの処置ゾーン1504は、トロイダル形状の一部分を含む表面形状を有し得、処置ゾーン1504、1506のうちの少なくとも1つは、中心ゾーンを含む連続表面を形成するように配置される。一例として、トロイダル形状の一部分は、トーラス(例えば、球状トーラス)由来であり得、トロイダル形状の一部分を生成するように球状トーラスの表面を通る切片は、トーラスが周囲に生成される回転軸と錐の主軸が一致する直立円錐表面を含む。
【0089】
図15Bは、眼科用デバイスの一例の従来の度数プロファイルを図示し、度数プロファイルは、光学特性対眼科用デバイスの中心からの半径方向距離を図示する。示されるように、中心ゾーン1512、又は眼用レンズの中心に配設された、及び/若しくはそれに隣接する領域は、レンズの主軸に沿った焦点を有する(同軸)加入度数を有し、眼科用デバイスのこの例の第1の処置ゾーンである。眼用レンズの表面は、次いで、中心ゾーン1512の半径方向外側の略平坦な光学度数プロファイルを示し、正視眼に対する一例を再び表すことになるが、本明細書の度数プロファイル全体が近視屈折誤差を矯正するように調節され得ることが容易に明らかである。第2の処置ゾーン1514は、約1.40mm~2.00mmで図示され、光学度数は、周囲の領域から上昇し、より正の光学度数を示す。第3の処置ゾーン1516は、約3.30mm~4.00mmで図示され、光学度数は、周囲の領域から上昇し、より正の光学度数を示す。従来の度数プロファイルは、レンズの中心からの所与の半径方向距離に対する度数を、レンズ上のその位置を通過する光線が主軸と交差することになる距離の逆数から得る。この値は、処置ゾーンの局所的曲線由来の度数とは異なることになり、かかる度数はまた、それ自体の個々の軸に沿ってゾーンを通過する光線の輻輳の距離の関数でもある。
【0090】
更なる例として、処置ゾーン1514、1516は、近視の進行の処置、予防、又は鈍化のための処置ゾーンとして構成され得る。処置ゾーン1514、1516は、焦点リングを生成する表面形状を有するように構成され得、リング上の無限焦点の各々の場所が、中心ゾーン1512の幾何学的軸からずれている(「非同軸である」)。追加の処置ゾーン1514が使用されてもよい。処置ゾーン1514、1516のうちの少なくとも1つは、中心ゾーン1512と共通の幾何学的軸を共有する環状構成を有し得、処置ゾーン1514、1516のうちの少なくとも1つは、焦点リングを示し、リング上の無限焦点の各々の場所が、中心ゾーン1512の幾何学的軸からずれている(「非同軸である」)。少なくとも1つの処置ゾーン1514は、トロイダル形状の一部分を含む表面形状を有し得、処置ゾーン1514、1516のうちの少なくとも1つは、中心ゾーンを含む連続表面を形成するように配置される。一例として、トロイダル形状の一部分は、トーラス(例えば、球状トーラス)由来であり得、トロイダル形状の一部分を生成するように球状トーラスの表面を通る切片は、トーラスが周囲に生成される回転軸と錐の主軸が一致する直立円錐表面を含む。
【0091】
図16A図16Bは、3つの複数ゾーン試験レンズ及び1つの市販の単一視ソフト対照レンズの間の、1~3日のレンズ投与後の被験者応答の比較を図示する。試験レンズは、本開示に説明された2つの新規な設計と、同心処置リング、同軸焦点及び+2.00~+2.50Dの光学加入度数を組み込む従来の光学系を有する競合の設計を含んだ。CLUE(商標)スコアが、快適さ、視力及び取り扱いについて取得された。CLUE(商標)は、18~65歳の米国のコンタクトレンズ装用群におけるソフトコンタクトレンズの患者体験属性を評価する、検証された患者報告アウトカム(patient reported outcomes、PRO)アンケートである(Wirth RJ et al.Development of the Contact Lens User Experience:CLUE Scales.Optom Vis Sci.2016;93(8):801~808)。図示されているように、より高いCLUEスコアが望ましい。図16Aは、レンズタイプによるCLUEスコアの最小二乗平均(least squares means、LSM)及び95%信頼区間(confidence intervals、CI)を示し、図16Bは、3つの試験レンズの各々と対照レンズとの間のCLUE視力スコアのLSM差分及び95%CIを示す。CLUE視覚スコアは、全ての3つの複数焦点試験レンズにおいて単一視対照レンズよりも著しく低かった。しかしながら、同軸設計による競合のレンズは、2つの同軸レンズ設計(それぞれ、CLUEスコアが24.1及び13.2減じられた)と比べて最低の視力悪化(CLUEスコアが45.5減じられた)を有した。
【0092】
図17A図17Bは、3つの異なるコントラスト/照明条件下の3つの複数ゾーン試験レンズ及び1つの対照レンズ(市販の単一視ソフトコンタクトレンズ)の間の単眼(A)及び両眼(B)のlogMAR視力の比較プロットを図示する(LSM及び95%CI)。競合の同軸設計が、+2.00~+2.50Dの光学加入度数を有したことに留意することが重要である。
【0093】
図18A図18Bは、高コントラストの明るい条件下の3つの試験レンズ及び1つの対照レンズの各々の間の単眼(A)及び両眼(B)のlogMAR視力の差の比較プロットを図示する(LSM差分及び95%CI)。全ての3つの試験レンズは、20/20(0.00logMAR)視力よりも良好であった(単眼及び両眼の両方)。単眼のlogMAR視力は、平均において、非同軸+5D、非同軸+7D及び競合の同軸設計について、それぞれ、対照レンズよりも0.07、0.04及び0.05logMARだけ悪く、これらは、約半分~1ラインだけ悪い。両眼のlogMAR視力は、平均において、非同軸+5D、非同軸+7D及び競合の同軸設計について、それぞれ、対照レンズよりも0.08、0.05及び0.07logMARだけ悪く、これらは、対照レンズよりも約半分~1ラインだけ悪い。
【0094】
図19A図19Bは、高コントラストの暗い条件下の3つの試験レンズ及び1つの対照レンズの各々の間の単眼(A)及び両眼(B)のlogMAR視力の差の比較プロットを図示する(LSM差分及び95%CI)。単眼のlogMAR視力は、平均において、非同軸+5D、非同軸+7D及び競合の同軸設計について、それぞれ、対照レンズよりも0.10、0.05及び0.12logMARだけ悪く、これらは、対照レンズよりも約半分~1ラインだけ悪い。両眼のlogMAR視力は、平均において、非同軸+5D、非同軸+7D及び競合の同軸設計について、それぞれ、対照レンズよりも0.05、0.03及び0.06logMARだけ悪く、これらは、対照レンズよりも1ラインの約半分だけ悪い。
【0095】
図20A図20Bは、低コントラストの明るい条件下の3つの試験レンズ及び1つの対照レンズの各々の間の単眼(A)及び両眼(B)のlogMAR視力の差の比較プロットを図示する(LSM差分及び95%CI)。競合の同軸設計が、+2.00~+2.50Dの光学加入度数を有したことに留意することが重要である。単眼のlogMAR視力は、平均において、非同軸+5D、非同軸+7D及び競合の同軸設計について、それぞれ、対照レンズよりも0.13、0.08及び0.13logMARだけ悪く、これらは、対照レンズよりも約1ライン~1ラインと半分だけ悪い。両眼のlogMAR視力は、平均において、非同軸+5D、非同軸+7D及び競合の同軸設計について、それぞれ、対照レンズよりも0.08、0.06及び0.08logMARだけ悪く、これらは、対照レンズよりも約半分~1ラインだけ悪い。
【0096】
非同軸+7D設計は、対照レンズと比較した3つのレンズの中でもCLUE(商標)スコア及びlogMAR視力(全ての3つのコントラスト/照明条件下の単眼及び両眼の両方)における最小の悪化を示した。視力は、非同軸+5Dと競合の同軸設計との間で同様であったが、競合のレンズに対するCLUE(商標)スコアは、より悪かった。従来の同軸光学系による競合の設計が、+2.00~+2.50Dのみの光学加入度数を有したことに留意されたい。
【0097】
これらの結果は、本発明の利点を示す。従来の光学系による、以前の近視制御設計は、視力を悪化させるという点で、近視制御の有効性において制限される。本発明の例示的な実施形態は、近視の進行の鈍化により効果的であり得るが、視力への影響も少ない。
【0098】
現在利用可能なコンタクトレンズは、依然として、視力矯正の費用効果の高い手段である。近視若しくは近目、遠視若しくは遠目、乱視、及び、老眼、すなわち、遠近調節する水晶体の能力の損失を含めて、視覚障害を矯正するために、薄いプラスチックレンズが目の角膜にかぶせられて装着される。コンタクトレンズは、多様な形態で入手可能であり、様々な機能性をもたらすべく多様な材料から製造されている。
【0099】
終日装用ソフトコンタクトレンズは、通常、酸素透過性を得るために水と組み合わされた軟質のポリマー材料から製造される。終日装用ソフトコンタクトレンズは、1日使い捨て型であっても、連続装用の使い捨て型であってもよい。1日使い捨て型のコンタクトレンズは通常、1日装用され、次いで捨てられるが、連続装用又は頻回交換使い捨て型のコンタクトレンズは通常、最大で30日の期間にわたって装用される。着色ソフトコンタクトレンズは、種々の機能性をもたらすために種々の材料を使用する。例えば、識別用着色コンタクトレンズは、落としたコンタクトレンズを発見する際に装用者を支援するために、明るい色合いを生かし、強調用着色コンタクトレンズは、装用者の生来の眼色を強調することを意図した半透明の色合いを有し、着色カラーコンタクトレンズは、装用者の眼の色を変化させることを意図した、より暗く不透明な色合いを備え、光フィルタリング着色コンタクトレンズは、特定の色を強調する一方で他の色を弱めるように機能する。硬質ガス透過性ハードコンタクトレンズは、シロキサン含有ポリマーから製造されるものであるが、軟質コンタクトレンズよりも硬質であり、したがって、その形状を保ち、より耐久性の高いものである。二重焦点コンタクトレンズは、老眼である患者専用に設計されるものであり、軟質及び硬質の両方の種類で入手可能である。トーリックコンタクトレンズは、乱視を有する患者専用に設計され、同様にソフト及びハードの両方の種類で入手可能である。上記の様々な態様を組み合わせたコンビネーションレンズ、例えばハイブリッドコンタクトレンズもまた入手可能である。
【0100】
本開示のレンズ設計は、任意数の材料から形成された任意数の異なるコンタクトレンズ中に組み込まれてもよい、という点に留意することが重要である。具体的には、本開示のレンズ設計は、1日使い捨て型のコンタクトレンズ、硬質ガス透過性コンタクトレンズ、二焦点コンタクトレンズ、トーリックコンタクトレンズ、及びハイブリッドコンタクトレンズを含む、本明細書に記載されたコンタクトレンズのいずれかを利用してもよい。更に、本開示をコンタクトレンズに関して説明しているが、本開示の概念は、眼鏡レンズ、眼内レンズ、角膜インレー及びアンレーにおいて利用され得ることに留意することが重要である。
【0101】
ここで図示及び説明した実施形態は、最も実用的で好適な実施形態と考えられるが、当業者であれば、ここに図示及び開示した特定の設計及び方法からの変更はそれ自体当業者にとって自明であり、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく使用できることは明らかであろう。本発明は、記載し例証した特定の構成に限定されないが、添付の特許請求の範囲に含まれ得る全ての修正と一貫するように構成されているべきである。更に、繰り返し使用されている用語「comprising」は、用語「comprising」の使用によって、そのような用語に対して本明細書で裏付けが見出されるように、「から本質的になる」及び/又は「からなる」を含み得る。
【0102】
〔実施の態様〕
(1) 近視の進行の鈍化、遅延、又は、予防のうちの少なくとも1つのための眼用レンズであって、
近視の矯正のための負の度数を有する中心ゾーン、及び
前記中心ゾーンを取り囲む少なくとも1つの処置ゾーンを含み、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記中心ゾーンに対して正の度数を含む度数プロファイルを有し、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、略トロイダル形状の一部分を含む表面形状を有し、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記中心ゾーンと連続表面を形成するように配置されている、眼用レンズ。
(2) 前記略トロイダル形状の前記一部分が、トーラス(例えば、球状トーラス)の表面を通る直円錐の表面の形状の切片を作製した後の前記トーラスに由来し得、前記錐の主軸が、前記トーラスが周囲に生成される回転軸と一致する、実施態様1に記載の眼用レンズ。
(3) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、装用者の眼の網膜面の後ろでの焦点の生成を最小限に抑えるように構成されている、実施態様1に記載の眼用レンズ。
(4) 前記少なくとも1つの処置ゾーンの入射面が、装用者の眼の網膜面の後ろでの焦点の生成を最小限に抑えるように構成されている、実施態様3に記載の眼用レンズ。
(5) 前記中心ゾーンと前記少なくとも1つの処置ゾーンとの間に配設された遷移ゾーンを更に含み、それにより、前記少なくとも1つの処置ゾーン、前記遷移ゾーン、及び前記中心ゾーンが、連続表面を形成する、実施態様1に記載の眼用レンズ。
【0103】
(6) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、+0.50D超の前記近視矯正度数に対する加入度数を含む、実施態様1に記載の眼用レンズ。
(7) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、約-10.00D~約+15.00Dの光学度数を含む、実施態様1に記載の眼用レンズ。
(8) 前記中心ゾーンの直径が、約2mm~約7mmである、実施態様1に記載の眼用レンズ。
(9) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記中心ゾーンと共通の幾何学的軸を共有する環状構成を有し、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、焦点リングを生成し、前記リング上の無限焦点の各々の場所が、前記中心ゾーンの前記幾何学的軸からずれている(「非同軸である」)、実施態様1に記載の眼用レンズ。
(10) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記レンズの中心から約4.5mmにある外縁部を有する、実施態様1に記載の眼用レンズ。
【0104】
(11) ハロー効果が、最小限に抑えられている、実施態様1に記載の眼用レンズ。
(12) 前記眼用レンズが、コンタクトレンズを含む、実施態様1に記載の眼用レンズ。
(13) 前記眼用レンズが、眼鏡レンズを含む、実施態様1に記載の眼用レンズ。
(14) 前記眼用レンズが、眼内レンズ、角膜インレー、又は角膜アンレーを含む、実施態様1に記載の眼用レンズ。
(15) 1つ又は2つ以上の安定化機構を更に含む、実施態様1に記載の眼用品。
【0105】
(16) 近視の進行の鈍化、遅延、又は、予防のうちの少なくとも1つのための眼用レンズであって、
近視の矯正のための負の度数を有する中心ゾーン、及び前記中心ゾーンを取り囲む少なくとも1つの処置ゾーンを含み、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記中心ゾーンに対して正の度数を含む度数プロファイルを有し、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記中心ゾーンとの共有半径方向中心点を有する環状構成を有し、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、焦点リングを生成し、前記リング上の無限焦点の各々の場所が、前記中心ゾーンの前記幾何学的軸からずれており(「非同軸であり」)、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記中心ゾーンと連続表面を形成するように配置されている、眼用レンズ。
(17) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、装用者の眼の網膜面の後ろでの焦点の生成を最小限に抑えるように構成されている、実施態様16に記載の眼用レンズ。
(18) 前記少なくとも1つの処置ゾーンの入射面が、装用者の眼の網膜面の後ろでの焦点の生成を最小限に抑えるように構成されている、実施態様17に記載の眼用レンズ。
(19) 前記中心ゾーンと前記少なくとも1つの処置ゾーンとの間に配設された遷移ゾーンを更に含み、それにより、前記少なくとも1つの処置ゾーン、前記遷移ゾーン、及び前記中心ゾーンが、連続表面を形成する、実施態様16に記載の眼用レンズ。
(20) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、+5.00D超の加入度数を含む、実施態様16に記載の眼用レンズ。
【0106】
(21) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、約-10.00D~約+15.00Dの光学度数を含む、実施態様16に記載の眼用レンズ。
(22) 前記中心ゾーンの直径が、約3mm~約7mmである、実施態様16に記載の眼用レンズ。
(23) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記中心ゾーンと共通の幾何学的軸を共有する環状構成を有し、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、焦点リングを示し、前記リング上の無限焦点の各々の場所が、前記中心ゾーンの前記幾何学的軸からずれている(「非同軸である」)、実施態様16に記載の眼用レンズ。
(24) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記レンズの中心から約4.5mmにある外縁部を有する、実施態様16に記載の眼用レンズ。
(25) ハロー効果が、最小限に抑えられている、実施態様16に記載の眼用レンズ。
【0107】
(26) 前記眼用レンズが、コンタクトレンズを含む、実施態様16に記載の眼用レンズ。
(27) 前記眼用レンズが、眼鏡レンズを含む、実施態様16に記載の眼用レンズ。
(28) 前記眼用レンズが、眼内レンズ、角膜インレー、又は角膜アンレーを含む、実施態様16に記載の眼用レンズ。
(29) 1つ又は2つ以上の安定化機構を更に含む、実施態様16に記載の眼用品。
(30) 近視の進行の鈍化、遅延、又は、予防のうちの少なくとも1つのための眼用レンズであって、
中心処置ゾーンと、
前記中心ゾーンを取り囲む近視矯正ゾーンであって、前記近視矯正ゾーンが、近視の矯正のための負の光学度数を示し、前記中心ゾーンが、前記近視矯正ゾーンに対して加入度数を示す、近視矯正ゾーンと、
前記中心ゾーンを取り囲み、かつ前記近視矯正ゾーンから半径方向外方に配設された少なくとも1つの処置ゾーンと、を含み、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記近視矯正ゾーンに対して正の度数を含む度数プロファイルを有し、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記中心ゾーンとの共有半径方向軸を有する環状構成を有し、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、焦点リングを生成し、前記リング上の無限焦点の各々の場所が、前記中心ゾーンの前記幾何学的軸からずれており(「非同軸であり」)、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記中心ゾーンと連続表面を形成するように配置されている、眼用レンズ。
【0108】
(31) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、装用者の眼の網膜面の後ろでの焦点の生成を最小限に抑えるように構成されている、実施態様30に記載の眼用レンズ。
(32) 前記少なくとも1つの処置ゾーンの入射面が、装用者の眼の網膜面の後ろでの焦点の生成を最小限に抑えるように構成されている、実施態様31に記載の眼用レンズ。
(33) 前記中心ゾーンと前記少なくとも1つの処置ゾーンとの間に配設された遷移ゾーンを更に含み、それにより、前記少なくとも1つの処置ゾーン、前記遷移ゾーン、及び前記中心ゾーンが、連続表面を形成する、実施態様30に記載の眼用レンズ。
(34) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、+5.00D超の加入度数を含む、実施態様30に記載の眼用レンズ。
(35) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、約-10.00D~約+15.00Dの光学度数を含む、実施態様30に記載の眼用レンズ。
【0109】
(36) 前記中心ゾーンの直径が、約3mm~約7mmである、実施態様30に記載の眼用レンズ。
(37) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記中心ゾーンと共通の幾何学的軸を共有する環状構成を有し、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、焦点リングを示し、前記リング上の無限焦点の各々の場所が、前記中心ゾーンの前記幾何学的軸からずれている(「非同軸である」)、実施態様30に記載の眼用レンズ。
(38) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記レンズの中心から約4.5mmにある外縁部を有する、実施態様30に記載の眼用レンズ。
(39) ハロー効果が、最小限に抑えられている、実施態様30に記載の眼用レンズ。
(40) 前記眼用レンズが、コンタクトレンズを含む、実施態様30に記載の眼用レンズ。
【0110】
(41) 前記眼用レンズが、眼鏡レンズを含む、実施態様30に記載の眼用レンズ。
(42) 前記眼用レンズが、眼内レンズ、角膜インレー、又は角膜アンレーを含む、実施態様30に記載の眼用レンズ。
(43) 1つ又は2つ以上の安定化機構を更に含む、実施態様30に記載の眼用品。
(44) 近視の進行の鈍化、遅延、又は、予防のうちの少なくとも1つのための眼用レンズであって、
中心処置ゾーンと、
前記中心ゾーンを取り囲む近視矯正ゾーンであって、前記近視矯正ゾーンが、近視の矯正のための負の度数を示し、前記中心ゾーンが、前記近視矯正ゾーンに対して加入度数を示す、近視矯正ゾーンと、
前記中心ゾーンを取り囲み、かつ前記近視矯正ゾーンから半径方向外方に配設された少なくとも1つの処置ゾーンと、を含み、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、正の度数を含む度数プロファイルを有し、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、略トロイダル形状の一部分を含む表面形状を有し、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記中心ゾーンと連続表面を形成するように配置されている、眼用レンズ。
(45) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、装用者の眼の網膜面の後ろでの焦点の生成を最小限に抑えるように構成されている、実施態様44に記載の眼用レンズ。
【0111】
(46) 前記少なくとも1つの処置ゾーンの入射面が、装用者の眼の網膜面の後ろでの焦点の生成を最小限に抑えるように構成されている、実施態様45に記載の眼用レンズ。
(47) 前記中心ゾーンと前記少なくとも1つの処置ゾーンとの間に配設された遷移ゾーンを更に含み、それにより、前記少なくとも1つの処置ゾーン、前記遷移ゾーン、及び前記中心ゾーンが、連続表面を形成する、実施態様44に記載の眼用レンズ。
(48) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、+5.00D超の加入度数を含む、実施態様44に記載の眼用レンズ。
(49) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、約-10.00D~約+15.00Dの光学度数を含む、実施態様44に記載の眼用レンズ。
(50) 前記中心ゾーンの直径が、約3mm~約7mmである、実施態様44に記載の眼用レンズ。
【0112】
(51) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記中心ゾーンと共通の幾何学的軸を共有する環状構成を有し、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、焦点リングを示し、前記リング上の無限焦点の各々の場所が、前記中心ゾーンの前記幾何学的軸からずれている(「非同軸である」)、実施態様44に記載の眼用レンズ。
(52) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記レンズの中心から約4.5mmにある外縁部を有する、実施態様44に記載の眼用レンズ。
(53) ハロー効果が、最小限に抑えられている、実施態様44に記載の眼用レンズ。
(54) 前記眼用レンズが、コンタクトレンズを含む、実施態様44に記載の眼用レンズ。
(55) 前記眼用レンズが、眼鏡レンズを含む、実施態様44に記載の眼用レンズ。
【0113】
(56) 前記眼用レンズが、眼内レンズ、角膜インレー、又は角膜アンレーを含む、実施態様44に記載の眼用レンズ。
(57) 1つ又は2つ以上の安定化機構を更に含む、実施態様44に記載の眼用品。
(58) 近視の進行の鈍化、遅延、又は、予防のうちの少なくとも1つのための眼用レンズであって、
近視の矯正のための負の度数を有する中心ゾーンであって、前記中心ゾーンが、その表面に直交し、かつ前記眼用レンズの中心を通過する主軸を有する、中心ゾーンと、
前記中心ゾーンを取り囲む少なくとも1つの処置ゾーンと、を含み、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記中心ゾーンに対して正の度数を含む度数プロファイルを有し、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、略トロイダル形状の一部分を含む表面形状を有し、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記中心ゾーンと連続表面を形成するように配置され、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、最も内側の光線を前記処置ゾーンの断面に対して向けて、前記眼用レンズの装用者の網膜面にある、又はその前側の点で前記主軸と交差させるように構成された傾斜角を有する、眼用レンズ。
(59) 前記傾斜角が、前記網膜面と前記処置ゾーンの一致点焦点を表す前記主軸上の点との間の点で前記主軸と交差するように、前記最も内側の光線を向けるように構成されている、実施態様58に記載の眼用レンズ。
(60) 前記略トロイダル形状の前記一部分が、トーラス(例えば、球状トーラス)の表面を通る直円錐の表面の形状の切片を作製した後の前記トーラスに由来し得、前記錐の主軸が、前記トーラスが周囲に生成される回転軸と一致する、実施態様58に記載の眼用レンズ。
【0114】
(61) 前記中心ゾーンと前記少なくとも1つの処置ゾーンとの間に配設された遷移ゾーンを更に含み、それにより、前記少なくとも1つの処置ゾーン、前記遷移ゾーン、及び前記中心ゾーンが、連続表面を形成する、実施態様58に記載の眼用レンズ。
(62) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、+5.00D超の近視矯正度数に対する加入度数を含む、実施態様58に記載の眼用レンズ。
(63) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、約-10.00D~約+15.00Dの光学度数を含む、実施態様58に記載の眼用レンズ。
(64) 前記傾斜角が、前記処置ゾーンの前記光学度数に依存する、実施態様63に記載の眼用レンズ。
(65) 前記中心ゾーンの直径が、約3mm~約7mmである、実施態様58に記載の眼用レンズ。
【0115】
(66) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記中心ゾーンと共通の幾何学的軸を共有する環状構成を有し、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、焦点リングを示し、前記リング上の無限焦点の各々の場所が、前記中心ゾーンの前記幾何学的軸からずれている(「非同軸である」)、実施態様58に記載の眼用レンズ。
(67) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記レンズの中心から約4.5mmにある外縁部を有する、実施態様58に記載の眼用レンズ。
(68) ハロー効果が、最小限に抑えられている、実施態様58に記載の眼用レンズ。
(69) 前記眼用レンズが、コンタクトレンズを含む、実施態様58に記載の眼用レンズ。
(70) 前記眼用レンズが、眼鏡レンズを含む、実施態様58に記載の眼用レンズ。
【0116】
(71) 前記眼用レンズが、眼内レンズ、角膜インレー、又は角膜アンレーを含む、実施態様58に記載の眼用レンズ。
(72) 1つ又は2つ以上の安定化機構を更に含む、実施態様58に記載の眼用品。
(73) 近視の進行の鈍化、遅延、又は、予防のうちの少なくとも1つのための眼用レンズであって、
負の度数を有し、かつ軸上焦点を示す、中心ゾーンと、
前記中心ゾーンを取り囲む少なくとも1つの処置ゾーンと、を含み、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記中心ゾーンに対して加入度数を含む度数プロファイルを有し、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、リング焦点を示し、前記処置ゾーンの前記度数プロファイルが、曲線ランプ構成を含む、眼用レンズ。
(74) 略トロイダル形状の一部分が、トーラス(例えば、球状トーラス)の表面を通る直円錐の表面の形状の切片を作製した後の前記トーラスに由来し得、前記錐の主軸が、前記トーラスが周囲に生成される回転軸と一致する、実施態様73に記載の眼用レンズ。
(75) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、装用者の眼の網膜面の後ろでの焦点の生成を最小限に抑えるように構成されている、実施態様73に記載の眼用レンズ。
【0117】
(76) 前記少なくとも1つの処置ゾーンの入射面が、装用者の眼の網膜面の後ろでの焦点の生成を最小限に抑えるように構成されている、実施態様75に記載の眼用レンズ。
(77) 前記中心ゾーンと前記少なくとも1つの処置ゾーンとの間に配設された遷移ゾーンを更に含み、それにより、前記少なくとも1つの処置ゾーン、前記遷移ゾーン、及び前記中心ゾーンが、連続表面を形成する、実施態様73に記載の眼用レンズ。
(78) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、+5.00D超の近視矯正度数に対する加入度数を含む、実施態様73に記載の眼用レンズ。
(79) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、約-10.00D~約+15.00Dの光学度数を含む、実施態様73に記載の眼用レンズ。
(80) 前記中心ゾーンの直径が、約3mm~約7mmである、実施態様73に記載の眼用レンズ。
【0118】
(81) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記中心ゾーンと共通の幾何学的軸を共有する環状構成を有し、前記少なくとも1つの処置ゾーンが、焦点リングを示し、前記リング上の無限焦点の各々の場所が、前記中心ゾーンの前記幾何学的軸からずれている(「非同軸である」)、実施態様73に記載の眼用レンズ。
(82) 前記少なくとも1つの処置ゾーンが、前記レンズの中心から約4.5mmにある外縁部を有する、実施態様73に記載の眼用レンズ。
(83) ハロー効果が、最小限に抑えられている、実施態様73に記載の眼用レンズ。
(84) 前記眼用レンズが、コンタクトレンズを含む、実施態様73に記載の眼用レンズ。
(85) 前記眼用レンズが、眼鏡レンズを含む、実施態様73に記載の眼用レンズ。
【0119】
(86) 前記眼用レンズが、眼内レンズ、角膜インレー、又は角膜アンレーを含む、実施態様73に記載の眼用レンズ。
(87) 1つ又は2つ以上の安定化機構を更に含む、実施態様73に記載の眼用品。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B