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特許7451092ガスタービンエンジンのロータに装着された1つまたは複数のブレードを、ロボットシステムを使用して検査、洗浄、および/または補修するためのシステム、ならびに方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】ガスタービンエンジンのロータに装着された1つまたは複数のブレードを、ロボットシステムを使用して検査、洗浄、および/または補修するためのシステム、ならびに方法
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/00 20060101AFI20240311BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20240311BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20240311BHJP
   B23P 6/00 20060101ALI20240311BHJP
   B23Q 17/22 20060101ALI20240311BHJP
   B23Q 17/24 20060101ALI20240311BHJP
   B23Q 1/50 20060101ALI20240311BHJP
   B25J 9/06 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
F01D25/00 V
F01D25/00 R
F01D25/00 X
F02C7/00 A
F02C7/00 D
B08B3/02 F
B23P6/00 Z
B23Q17/22 A
B23Q17/24 C
B23Q1/50 A
B25J9/06 B
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019073235
(22)【出願日】2019-04-08
(65)【公開番号】P2020008019
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】62/655,664
(32)【優先日】2018-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ザカリー・エル・ウォルターズ
(72)【発明者】
【氏名】マックスウェル・イー・ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・イー・フート
【審査官】西山 智宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-049870(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02733307(EP,A1)
【文献】特開2011-125999(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0283654(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 25/00
F02C 7/00
B23Q 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジンのロータ(104)に装着された1以上のブレード(102)を検査及び/又は補修するためのロボットシステム(100)であって、当該ロボットシステム(100)が、
前記1以上のブレード(102)が装着されたロータ(104)に隣接して配設される軌道(110)と、
前記軌道(110)に沿って可動である機械式アーム(108)と、
前記機械式アーム(108)に装着できる複数のツール(128)と、
前記機械式アーム(108)に装着される前記複数のツール(128)のうちの少なくとも1つの位置を前記1以上のブレード(102)の周りで制御するよう構成された、制御器(106)と、
前記ロータ(104)が配設される1以上のローラスタンド(126)と、
前記ロータ(104)と機械的に連動する回転アクチュエータ(112)と、
前記ロータ(104)に隣接して配設された回転センサ(116)と
を備えており、前記回転センサ(116)が、前記ロータ(104)に関連付けられた環状の位置データを提供するよう構成され、
前記複数のツール(128)が、視覚ツール(130)、走査ツール(134)及び/又は補修ツール(180)を含んでおり、
前記機械式アーム(108)が、前記複数のツール(128)のうちの少なくとも1つに装着されるよう構成された連結部をその端部に備えており、
前記複数のツール(128)の各々が、前記機械式アーム(108)の端部の前記連結部に装着できるベース(146)を備えていて、前記複数のツール(128)の各々のベース(146)が、迅速なツールの交換を容易にするために同一のものである、ロボットシステム(100)。
【請求項2】
前記回転センサ(116)が、前記ロータ(104)と機械的に連動するエンコーダホイール(118)を備える、請求項1に記載のロボットシステム(100)。
【請求項3】
前記ロータ(104)に隣接して配設された軸方向の移動量センサ(120)をさらに備え、前記軸方向の移動量センサ(120)が、前記ロータ(104)に関連付けられた軸方向の位置データを提供するよう構成される、請求項1に記載のロボットシステム(100)。
【請求項4】
前記軸方向の移動量センサ(120)がレーザ距離センサ(122)を備える、請求項3に記載のロボットシステム(100)。
【請求項5】
前記軌道(110)に隣接して配設されたツールドッキングステーション(136)をさらに備える、請求項1に記載のロボットシステム(100)。
【請求項6】
前記機械式アーム(108)がロボットアーム(108)で構成される、請求項1に記載のロボットシステム(100)。
【請求項7】
ガスタービンエンジンのロータ(104)に装着された1以上のブレード(102)をロボットシステム(100)を用いて検査及び/又は補修するため方法であって、当該方法が、
前記1以上のブレード(102)が装着されたロータ(104)を1以上のローラスタンド(126)上に配設するステップと、
前記ロータ(104)に隣接して軌道(110)を位置付けるステップと、
前記ロータ(104)と機械的に連動する回転アクチュエータ(112)を用いて、前記ロータ(104)を回転させるステップと、
前記ロータ(104)に関連付けられた、環状の位置データを判定するステップと、
前記軌道(110)に沿って機械式アーム(108)を移動させるステップと、
複数のツール(128)のうちの少なくとも1つを、前記機械式アーム(108)に装着するステップと、
前記複数のツール(128)のうちの少なくとも1つの位置を、前記1以上のブレード(102)の周りで制御するステップと
を含んでおり、前記複数のツール(128)が、視覚ツール(130)、走査ツール(134)及び/又は補修ツール(180)を含んでおり、
前記機械式アーム(108)が、前記複数のツール(128)のうちの少なくとも1つに装着されるよう構成された連結部をその端部に備えており、
前記複数のツール(128)の各々が、前記機械式アーム(108)の端部の前記連結部に装着できるベース(146)を備えていて、前記複数のツール(128)の各々のベース(146)が、迅速なツールの交換を容易にするために同一のものである、方法。
【請求項8】
前記ロータ(104)に関連付けられた、軸方向の位置データを判定するステップと
をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のツール(128)のうちの1以上を、前記軌道(110)に隣接して配設されたツールドッキングステーション(136)上に位置付けるステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は全体的にガスタービンエンジンに関し、より詳細には、ガスタービンエンジンのロータに装着された1つまたは複数のブレードを、ロボットシステムを使用して検査、洗浄、および/または補修するためのシステム、ならびに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機またはタービンのブレードなど、ガスタービンエンジンのブレードは、周期的に手作業で検査、洗浄、および補修をされることがある。このプロセスは、時間を浪費し、多大な労働力を要し、かつ危険な可能性があり得る。例えば、ブレードの外形および鋭い刃のために、作業者はスチールメッシュグローブを肘まで着用することがあり、それによって、検査、洗浄、および補修プロセスをより困難にし、かつ時間を浪費することがある。さらに、各ブレードの検査、表面仕上げ、および補修は、人の手による不正確さのため、一貫性のないものとなり得る。
【発明の概要】
【0003】
上記の要求および/もしくは課題のいくつか、または全てが、本開示のいくつかの実施形態によって対処され得る。一実施形態によると、ガスタービンエンジンのロータに装着された1つまたは複数のブレードを、検査、洗浄、および/または補修するためのシステムが開示される。このシステムは、ロータに隣接して配設された軌道と、この軌道に沿って可動である機械式アームと、この機械式アームに装着できるいくつかのツールと、機械式アームに装着されたツールのうちの少なくとも1つの位置を、1つまたは複数のブレードの周りで制御するよう構成される制御器と、を含んでもよい。
【0004】
別の実施形態によると、ガスタービンエンジンのロータに装着された1つまたは複数のブレードを、検査、洗浄、および/または補修するための方法が開示される。この方法は、ロータに隣接する軌道を位置付けることと、この軌道に沿って機械式アームを移動させることと、いくつかのツールのうちの少なくとも1つを機械式アームに装着することと、ツールの位置を、1つまたは複数ブレードの周りで制御することと、を含んでよい。
【0005】
さらに、別の実施形態によると、ガスタービンエンジンのロータに装着された1つまたは複数のブレードを、検査、洗浄、および/または補修するためのシステムが開示される。このシステムは、ロータに隣接して配設された軌道と、この軌道に沿って可動であるロボットアームと、ツールドッキングステーションに保管されるよう構成され、ロボットアームの端部に装着できるいくつかのツールと、ロボットアームに装着されたツールのうちの少なくとも1つの位置を、1つまたは複数のブレードの周りで制御するよう構成された制御器と、を含んでもよい。
【0006】
本発明の他の実施形態、態様、および特徴は、以下の詳細な説明、添付の図面、および添付の特許請求の範囲から、当業者には明白となるであろう。
【0007】
次に、添付の図面を参照するが、それらは必ずしも縮尺に則っていない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態による、ガスタービンエンジンのロータに装着された1つまたは複数のブレードを、検査、洗浄、および/または補修するための例示的システムを示す図である。
図2】一実施形態による、ガスタービンエンジンのロータに装着された1つまたは複数のブレードを、検査、洗浄、および/または補修するための例示的システムを示す図である。
図3】一実施形態による、ガスタービンエンジンのロータに装着された1つまたは複数のブレードを、検査、洗浄、および/または補修するための例示的システムの一部を示す図である。
図4】一実施形態による、ガスタービンエンジンのロータに装着された1つまたは複数のブレードを、検査、洗浄、および/または補修するための例示的システムの一部を示す図である。
図5】一実施形態による、ガスタービンエンジンのロータに装着された1つまたは複数のブレードを、検査、洗浄、および/または補修するための例示的システムの一部を示す図である。
図6】一実施形態による、ガスタービンエンジンのロータに装着された1つまたは複数のブレードを、検査、洗浄、および/または補修するための例示的システムの一部を示す図である。
図7】一実施形態による、ガスタービンエンジンのロータに装着された1つまたは複数のブレードを、検査、洗浄、および/または補修するための例示的システムの一部を示す図である。
図8】一実施形態による、ガスタービンエンジンのロータに装着された1つまたは複数のブレードを、検査、洗浄、および/または補修するための例示的システムの一部を示す図である。
図9】一実施形態による、ガスタービンエンジンのロータに装着された1つまたは複数のブレードを、検査、洗浄、および/または補修するための例示的システムの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
全てではないが、いくつかの実施形態が示された添付の図面を参照して、以下で例示の実施形態をより詳細に説明する。本開示は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書で説明する実施形態に限定するものと解釈すべきではない。同様の数字は全体を通して同様の要素を指す。
【0010】
本明細書で説明するシステムおよび方法を使用して、ターボ機関のロータに装着された1つまたは複数のブレードを、検査、洗浄、および/または補修してもよい。いくつかの例において、ブレードは圧縮機またはタービンに配設され得る。ブレードを有する任意のデバイスが、ブレードを検査、洗浄、および/または補修するため、本明細書で開示されるシステムならびに方法を利用してよい。ロータもまた、このシステムによって検査、洗浄、および/または補修され得る。いくつかの例において、ターボ機関はガスタービンエンジンであってもよい。任意の工業用ターボ機関が使用され得る。
【0011】
特定の実施形態において、自動化ロボットシステム100を使用して、ロータ104に装着された1つまたは複数のブレード102を、検査、洗浄、および/または補修してよい。システム100の様々な構成要素が、それらの動きを制御するために、少なくとも1つの制御器106と通信してよい。構成要素は、制御器106に配線されるか、または制御器106とワイヤレスで通信してもよい。制御器106は、メモリおよびプロセッサを有する任意の好適な計算デバイスであってよい。制御器106は、システム100の構成要素から分離されてもよく、または制御器106は、システム100の構成要素のうちの1つまたは複数の中に組み込まれてもよい。いくつかの例において、いくつかの制御器106がネットワークを通じて互いに通信して、本明細書で開示するロボットシステムの様々な構成要素を制御してもよい。
【0012】
システム100は、軌道110に配設された機械式アーム(例えばロボットアーム108)を含んでよい。いくつかの例において、ロボットアーム108は6軸ロボットアームであってもよい。ロボットアーム108は、任意の好適なサイズ、形状、または構成であってよい。軌道110は、ロータ104に隣接させて配設してよい。いくつかの例において、軌道110は、ロータ104の軸方向延長と平行であってよく、かつロータ104の軸方向延長の全てまたは一部に沿って延びてよい。軌道110は、任意の好適なサイズ、形状、または構成であってよい。図1および図2に示すように、ロボットアーム108は、1つまたは複数のアクチュエータを介して、軌道110に沿って端部から端部まで、ロータ104に沿った異なる軸方向箇所に移動してよい。この方法において、軌道110はロボットアーム108の7番目の軸として機能し得る。
【0013】
回転アクチュエータ112は、ロータ104と機械的に連動してよい。いくつかの例において、回転アクチュエータ112は、ロータ104と機械的に連動するパワーローラ114を備えてもよい。回転アクチュエータ112は、ロータ104を回転させて、ロータ104に装着されたブレード102を移動させるよう構成され得る。この方法において、回転アクチュエータ112は、制御器106と通信してよい。制御器106は、回転アクチュエータ112を介してロータ104を回転させることによって、かつロボットアーム108を軌道110に沿って移動させることによって、ロータ104に装着されたブレード102のうちの1つまたは複数にロボットアーム108が接近するのを可能にし得る。一旦ロータ104が所定位置の中に回転され、かつロボットアーム108が軌道110に沿って所定位置の中に移動されると、ロボットアーム108はその様々な軸の周りに動き、1つまたは複数のツールを用いてブレード102を検査、洗浄、および/または補修し得る。
【0014】
ブレード102の位置を判定するため、図1図3に示すように、回転センサ116がロータ104に隣接して配設されてもよい。回転センサ116は、ロータ104に関連付けられた環状の位置データを提供するよう構成され得る。この方法において、回転センサ116は、制御器106と通信してよい。いくつかの例において、回転センサ116は、ロータ104と機械的に連動するエンコーダホイール118を含んでよい。回転センサ116は、任意の好適なサイズ、形状、または構成であってよい。ロータ104を、1つまたは複数のローラスタンド126上に配設してもよい。
【0015】
図4および図5に示すように、軸方向の移動量センサ120が、ロータ104に隣接して配設され得る。軸方向の移動量センサ120は、ロータ104に関連付けられた軸方向の位置データを提供するよう構成され得る。この方法において、軸方向の移動量センサ120は、制御器106と通信してよい。いくつかの例において、軸方向の移動量センサ120は、軸方向のレーザセンサ122であってもよい。軸方向のレーザセンサ122は、レーザ124を用いて、ロータ104の回転軸と平行であるロータ104の移動量を追跡し得る。例えば、ローラスタンド126の位置ずれが、ロータ104をいずれかの軸方向に「ずれ」を生じさせることがある。軸方向の移動量を追跡することは、ロボットプログラムを補うために望ましい。
【0016】
図1図2、および図6に示すように、システム100は、ロボットアーム108に装着できるいくつかのツール128を含んでよい。いくつかの例において、以下でより詳細に説明するように、ツール128は、視覚ツール130、洗浄ツール132、および走査ツール134を含んでよい。任意の数またはタイプのツール128が使用され得る。いくつかの例において、ツール128はドッキングステーション136に保管されてもよい。ドッキングステーション136を、ツールがロボットアーム108によって接近され得るように、軌道110に隣接して位置させてよい。いくつかの例において、ドッキングステーション136は、使用していないツール128を保管するためのいくつかのドック140を有する、T型スタンド138を含んでもよい。
【0017】
ロボットアーム108の端部142は、ツール128のうちの少なくとも1つに装着されるよう構成された、連結部を含んでもよい。例えば、ツール128の各々は、ロボットアーム108の端部142に装着できるベースを含んでもよい。ツール128の各々のベースは、迅速なツールの交換を容易にするために同一のものであってよい。この方法において、ツール128をドッキングステーション136から取り外すために、ロボットアーム108は軌道110に沿って移動され、ドッキングステーション136においてツール128の1つに装着され得る。制御器106は、ロボットアーム108の端部142におけるツール128が、ブレード102を検査、洗浄、および/または補修するために使用され得るように、ツール128と通信してもよい。他の例において、ツール128が使用された後に、ツール128を、ドッキングステーション136に再びドッキングさせてよい。例えば、ロボットアーム108は、軌道110に沿って移動され、ドッキングステーション136に隣接して位置付けられてよく、この地点においてツール128を、ドッキングステーション136のドック140の1つに再びドッキングさせてよい。
【0018】
図7に示すように、視覚ツール130は、ベース146から外側に延びたブラケット144を含んでよい。ベース146(すなわちツール交換装置)を、ロボットアーム108の端部142に装着されるよう構成してよい。いくつかの例において、3Dカメラおよびレーザなどの光学デバイス148は、ブラケット144の端部に取り付けてよい。特定の実施形態において、光学デバイス148は写真を撮り、鋭い刃とのコントラストを利用して形状/物体を見出して箇所を特定することができ、一方でレーザはブレード102の形状、方向、角度を識別することができる。ロボットアーム108は、視覚ツール130を使用して、ロータ104上に位置付けられた視覚装置(マーカー)の箇所を特定し、全ての区間におけるブレードのクロック位置を見出してよい。一旦ブレードの位置が見出されると、次にロボットアーム108は、その前に教示された位置を補って、洗浄/走査のプロセスを開始することができる。
【0019】
洗浄ツール132は、ブレード102を洗浄するためにロボットアーム108によって操作され得る機械式エンドエフェクタを含んでもよい。洗浄ツール132は、その全てが本明細書に参照として組み込まれている、2017年2月2日に出願された米国特許出願第15/422,513号で開示された洗浄ツールと類似のものであってよい。いくつかの例において、洗浄ツール132は、端部に装着されたパッド152を伴う2つの細長いアーム150を含んでよい。アーム150は、枢軸156を介して取り付けブロック154に装着され得る。アーム150は、制御器106によって制御することができるI/Oブロック160に接続された、アクチュエータ158によって開閉させることができる。プレート162は、ベース164に取り付けられる。ベース164(すなわちツール交換装置)は、ロボットアーム108の端部142に装着されるよう構成される。I/Oブロック160および空気振動ツール166を、プレート162に取り付けてよい。振動ツール166を、I/Oブロック160を介してロボットアーム108(すなわち制御器106)によってオンまたはオフしてよい。ロボットアーム108がパッド152をブレード102上に位置付けると、アーム150は閉じられて、制御器106を介して振動ツール166を作動させてよい。次にロボットアーム108は、ブレード102の上下に移動してよく、ブレード102のごみを洗浄するまで全ての表面を網羅する。このプロセスは、システム100が視覚ツール130を用いてブレードの位置を見出した後、全てのブレード102において完了され得る。
【0020】
走査ツール134をロボットアーム108によって使用して、ブレードの欠陥を識別して欠陥の箇所を特定してよい。走査ツール134は、ベース170に取り付けられた細長いプレート168を含んでよい。ベース170(すなわちツール交換装置)は、ロボットアーム108の端部142に装着されるよう構成される。いくつかの例において、走査器172(例えばライン走査器)を、プレート168の端部に取り付けてもよい。ロボットアーム108は、走査器172をブレード102に沿って移動させるよう構成され得る。走査器172は、レーザ174を使用してブレードの表面をマッピングするよう構成され得る。走査中に発見された任意の異常は、欠陥の中央箇所およびサイズ、ならびにロータ104上のブレード箇所を識別するためのブレードナンバー、および区間を出力してよい。検出される欠陥として、ブレード102の表面の窪み、縁部欠陥、およびひびを挙げることができる。このプロセスは、ロータ104および/またはブレード102の洗浄後に完了されてよく、全てのブレード102で実行され得る。欠陥は、ブレードを補修するための推奨および/もしくは視覚化を提供するため、ならびに/または、ブレード102を補修するための補修ツールと共に使用するために、ソフトウェアプログラムなどでモデル化することができる。いくつかの例において、欠陥は、ブレードのベールラインのモデルと比較され得る。ブレードおよび/またはロータの組み合わせたままの状態を把握するために、走査器172を使用して、組み合わせ後の検査を実施してよい。
【0021】
いくつかの例において、図8に示すように、走査ツール134は、レーザ178を狭い空間の中に導くためのミラー176を含んでもよい。すなわちミラー176は、ブレード102同士間の狭い空間の中に適合させるよう構成されてよく、それによってセンサパッケージが、それ自体では届かない場所に向かい、さらに、適切な正確さを伴うデータを送信することが可能となり得る。
【0022】
図9は、1つまたは複数のブレードの欠陥を補修するために、ロボットアーム108に装着され、かつロボットアーム108によって使用され得る、補修ツール180を示す。特定の実施形態において、補修ツール180は混成ツールなどであってもよい。いくつかの例において、補修ツール180をドッキングステーション136にドッキングさせてよい。補修ツール180は、ベース184に取り付けられた細長いプレート182を含んでよい。ベース184(すなわちツール交換装置)は、ロボットアーム108の端部142に装着されるよう構成される。いくつかの例において、回転ツール186(例えばストーンビットまたはバービットを伴う空気回転ツール)は、細長いプレート182の端部に取り付けられてもよい。本明細書では、任意の好適な補修ツールを使用してもよい。回転ツール186は、細長いプレート182のライン上にあってよく、または90°の角度がついていてもよい。回転ツール186を、細長いプレート182に対して任意の好適な角度で配設してもよい。ロボットアーム108は、回転ツール186をブレード102に沿って移動させるよう構成され得る。回転ツール186は、ブレードの表面の1つまたは複数の欠陥を補修する(例えば調整する)ために使用するよう構成され得る。
【0023】
使用中、制御器106(またはネットワークを介して互いに通信する、いくつかの制御器)は、システム100の様々な構成要素の移動量を制御し得る。例えば、回転アクチュエータ112は、ブレード102を所望の箇所および向きに位置付けるために、ロータ104を移動させる。ロボットアーム108は軌道110に沿って移動し、ドッキングステーション136に保管されたツール128のうちの1つを装着してよい。いくつかの例において、ロボットアーム108を視覚ツール130に装着させてよい。ブレード102の箇所を確認するために、視覚ツール130を、ロボットアーム108によって各々のブレード102の周りを移動させてよい。次にロボットアーム108は、視覚ツール130をドッキングステーション136に再びドッキングさせ、洗浄ツール132を装着してよい。ロボットアーム108は、ブレード102を洗浄するために、各々のブレード102の周りで洗浄ツール132を操作してよい。次にロボットアーム108は、洗浄ツール132をドッキングステーション136に再びドッキングさせ、走査ツール134を装着してよい。ロボットアーム108は、ブレード102の欠陥を検出するためにブレード102をデジタルマッピングするよう、各々のブレード102の周りで走査ツール134を操作してよい。別のツール128(例えば補修ツール180)をドッキングステーション136に保管してよく、欠陥を修正/補修するためにロボットアーム108によって使用され得る。
【0024】
実施形態を、構造的特徴および/または方法論的行為に特化した言葉で説明してきたが、本開示は、必ずしも説明した特定の特徴または行為に限定されるものではないことを、理解されたい。むしろ、特定の特徴および行為は、実施形態を実施する例示的な形態として開示される。
【0025】
最後に、代表的な実施態様を以下に示す。
[実施態様1]
装着された1つまたは複数のブレード(102)を有するロータ(104)に隣接して配設された、軌道(110)と、
軌道(110)に沿って可動である、機械式アーム(108)と、
機械式アーム(108)に装着できる、複数のツール(128)と、
機械式アーム(108)に装着された複数のツール(128)のうちの少なくとも1つの位置を、1つまたは複数のブレード(102)の周りで制御するよう構成された、制御器(106)と
を備える、システム(100)。
[実施態様2]
ロータ(104)に隣接して配設された回転センサ(116)をさらに備え、回転センサ(116)は、ロータ(104)に関連付けられた環状の位置データを提供するよう構成される、実施態様1に記載のシステム(100)。
[実施態様3]
回転センサ(116)は、ロータ(104)と機械的に連動するエンコーダホイールを備える、実施態様2に記載のシステム(100)。
[実施態様4]
ロータ(104)に隣接して配設された軸方向の移動量センサ(120)をさらに備え、軸方向の移動量センサ(120)は、ロータ(104)に関連付けられた軸方向の位置データを提供するよう構成される、実施態様1に記載のシステム(100)。
[実施態様5]
軸方向の移動量センサ(120)は、レーザ距離センサ(122)を備える、実施態様4に記載のシステム(100)。
[実施態様6]
ロータ(104)と機械的に連動する回転アクチュエータ(112)をさらに備える、実施態様1に記載のシステム(100)。
[実施態様7]
軌道(110)に隣接して配設されたツールドッキングステーション(136)をさらに備える、実施態様1に記載のシステム(100)。
[実施態様8]
機械式アーム(108)はロボットアーム(108)で構成される、実施態様1に記載のシステム(100)。
[実施態様9]
機械式アーム(108)は、その端部において、複数のツール(128)のうちの少なくとも1つに装着されるよう構成された連結部を備える、実施態様1に記載のシステム(100)。
[実施態様10]
複数のツール(128)の各々は、機械式アーム(108)の端部における連結部に装着できるベース(146)を備える、実施態様9に記載のシステム(100)。
[実施態様11]
複数のツール(128)は、視覚ツール(130)、洗浄ツール(132)、および走査ツール(134)を含む、実施態様1に記載のシステム(100)。
[実施態様12]
装着された1つまたは複数のブレード(102)を有するロータ(104)に隣接する軌道を位置付けることと、
機械式アーム(108)を軌道(110)に沿って移動させることと、
複数のツール(128)のうちの少なくとも1つを、機械式アーム(108)に装着することと、
複数のツール(128)のうちの少なくとも1つの位置を、1つまたは複数のブレード(102)の周りで制御することと
を含む、方法。
[実施態様13]
ロータ(104)に関連付けられた環状の位置データを判定することをさらに含む、実施態様12に記載の方法。
[実施態様14]
ロータ(104)に関連付けられた軸方向の位置データを判定することをさらに含む、実施態様12に記載の方法。
[実施態様15]
ロータ(104)と機械的に連動する回転アクチュエータ(112)を用いて、ロータ(104)を回転させることをさらに含む、実施態様12に記載の方法。
[実施態様16]
軌道(110)に隣接して配設されたツールドッキングステーション(136)の、複数のツール(128)のうちの1つまたは複数を位置付けることをさらに含む、実施態様12に記載の方法。
[実施態様17]
装着された1つまたは複数のブレード(102)を有するロータ(104)に隣接して配設された、軌道(110)と、
軌道(110)に沿って可動である、ロボットアーム(108)と、
ツールドッキングステーション(136)に保管されるよう構成され、ロボットアーム(108)の端部に装着できる、複数のツール(128)と、
ロボットアーム(108)に装着された複数のツール(128)のうちの少なくとも1つの位置を、1つまたは複数のブレード(102)の周りで制御するよう構成された、制御器(106)と
を備える、システム(100)。
[実施態様18]
ロータ(104)に隣接して配設された回転センサ(116)をさらに備え、回転センサ(116)は、ロータ(104)に関連付けられた環状の位置データを提供するよう構成される、実施態様17に記載のシステム(100)。
[実施態様19]
ロータ(104)に隣接して配設された軸方向の移動量センサ(120)をさらに備え、軸方向の移動量センサ(120)は、ロータ(104)に関連付けられた軸方向の位置データを提供するよう構成される、実施態様1に記載のシステム(100)。
[実施態様20]
ロータ(104)と機械的に連動する回転アクチュエータ(112)をさらに備える、実施態様1に記載のシステム(100)。
【符号の説明】
【0026】
100 システム
102 ブレード
104 ロータ
106 制御器
108 ロボットアーム、機械式アーム
110 軌道
112 回転アクチュエータ
114 パワーローラ
116 回転センサ
118 エンコーダホイール
120 軸方向の移動量センサ
122 軸方向のレーザセンサ、レーザ距離センサ
124 レーザ
126 ローラスタンド
128 ツール
130 視覚ツール
132 洗浄ツール
134 走査ツール
136 ドッキングステーション、ツールドッキングステーション
138 T型スタンド
140 ドック
142 端部
144 ブラケット
146 ベース
148 光学デバイス
150 アーム
152 パッド
154 取り付けブロック
156 枢軸
158 アクチュエータ
160 I/Oブロック
162 プレート
164 ベース
166 振動ツール
168 プレート
170 ベース
172 走査器
174 レーザ
176 ミラー
178 レーザ
180 補修ツール
182 プレート
184 ベース
186 回転ツール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9