(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】蓄電池装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/209 20210101AFI20240311BHJP
H01M 50/251 20210101ALI20240311BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240311BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240311BHJP
H02H 5/04 20060101ALI20240311BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240311BHJP
H01M 10/6554 20140101ALN20240311BHJP
H01M 10/613 20140101ALN20240311BHJP
【FI】
H01M50/209
H01M50/251
H01M50/204 401D
H01M10/48 301
H02H5/04
H02J7/00 S
H01M10/6554
H01M10/613
(21)【出願番号】P 2019089261
(22)【出願日】2019-05-09
【審査請求日】2022-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 敦美
(72)【発明者】
【氏名】山崎 修
(72)【発明者】
【氏名】萩原 敬三
【審査官】佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/051393(WO,A1)
【文献】特開2005-235611(JP,A)
【文献】特開2017-143082(JP,A)
【文献】特開2001-185228(JP,A)
【文献】特開2019-060773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 10/42-10/48
H01M 10/52-10/667
H02H 5/04
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に収容され、互いに電気的に接続可能である複数の組電池と、
前記複数の組電池の底面近傍にあり前記筐体を介してグランド電位に接続される部材に熱的に接触しながら
前記組電池の側面に沿って延びる部分が前記組電池から離間するように一筆書き状に延びたラインを含むラインヒートディテクタと、
を備えた蓄電池装置。
【請求項2】
複数の組電池が載置され、前記筐体を介してグランド電位に接続される棚板をさらに備え、
前記ラインヒートディテクタは、
前記棚板の表面における前記複数の組電池の近傍を一筆書き状に延びたラインを含む
請求項1に記載の蓄電池装置。
【請求項3】
複数の組電池がそれぞれ載置され、前記筐体を介してグランド電位にそれぞれ接続される複数の棚板と、
前記複数の棚板のそれぞれの側面に接触する仕切り板と、
をさらに備え、
前記ラインヒートディテクタは、
前記仕切り板の表面における前記複数の棚板の側面近傍を一筆書き状に延びたラインを含む
請求項1に記載の蓄電池装置。
【請求項4】
互いに平面方向に並び、複数の組電池がそれぞれ載置され、前記筐体を介してグランド電位にそれぞれ接続される複数の棚板と、
平面視において前記複数の棚板の間に配され、前記複数の棚板のそれぞれの側面に接触する仕切り板と、
をさらに備え、
前記ラインヒートディテクタは、
前記仕切り板を介して前記複数の棚板に跨って延び、前記複数の棚板のそれぞれの表面における前記複数の組電池の近傍を一筆書き状に延びたラインを含む
請求項1に記載の蓄電池装置。
【請求項5】
互いに高さ方向に並び、複数の組電池がそれぞれ載置され、前記筐体を介してグランド電位にそれぞれ接続される複数の棚板をさらに備え、
前記ラインヒートディテクタは、
前記複数の棚板に跨って延び、前記複数の棚板のそれぞれの表面における前記複数の組電池の近傍を一筆書き状に延びたラインを含む
請求項1に記載の蓄電池装置。
【請求項6】
前記複数の組電池は、複数のブランチにグループ化され、
前記ラインヒートディテクタは、
前記複数のブランチに対応し、それぞれが前記ブランチにおける複数の組電池の近傍の部材に熱的に接触しながら一筆書き状に延びた複数のラインを含む
請求項1に記載の蓄電池装置。
【請求項7】
前記蓄電池装置は、
前記複数の組電池と出力ノードとの間に電気的に接続された出力ラインと、
前記複数のブランチに対応し、それぞれが前記出力ラインと前記ブランチとを電気的に接続する複数のスイッチと、
をさらに備えた
請求項6に記載の蓄電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、蓄電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の組電池が筐体に収容された蓄電池装置では、複数の組電池が互いに電気的に接続されている。このとき、蓄電池装置の利便性を向上することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/051393号
【文献】国際公開第2017/158741号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの実施形態は、利便性を向上できる蓄電池装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施形態によれば、筐体と複数の組電池とラインヒートディテクタとを有する蓄電池装置が提供される。複数の組電池は、筐体に収容される。複数の組電池は、互いに電気的に接続可能である。ラインヒートディテクタは、複数の組電池の底面近傍にあり前記筐体を介してグランド電位に接続される部材に熱的に接触あるいは近接しながら前記組電池の側面に沿って延びる部分が前記組電池から離間するように一筆書き状に延びたライン構造を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる蓄電池装置の外観構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態における蓄電池装置の内部構成を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態における組電池、棚板、及びラインヒートディテクタの構成を示す断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態における組電池、棚板、及びラインヒートディテクタの構成を示す平面図である。
【
図5】
図5は、実施形態の第1の変形例における組電池、棚板、及びラインヒートディテクタの構成を示す側面図である。
【
図6】
図6は、実施形態の第2の変形例におけるブランチ、ラインヒートディテクタ、及び制御回路の構成を示す回路図である。
【
図7】
図7は、実施形態の第2の変形例における組電池、棚板、及びラインヒートディテクタの構成を示す側面図である。
【
図8】
図8は、実施形態の第2の変形例における組電池、棚板、及びラインヒートディテクタの構成を示す側面図である。
【
図9】
図9は、実施形態の第3の変形例における組電池、棚板、及びラインヒートディテクタの構成を示す平面図である。
【
図10】
図10は、実施形態の第4の変形例における仕切り板、及びラインヒートディテクタの構成を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、実施形態の第4の変形例における仕切り板、及びラインヒートディテクタの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる蓄電池装置を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
(実施形態)
実施形態にかかる蓄電池装置は、例えば、ハイブリッド機関車等の車両に用いられる。車両の燃費を向上するためには、例えば、エンジンの効率マップ上抵抗率な、低速・高負荷時に、車両へ所容電力を供給できることが望ましい。このため、蓄電池装置では、限られたスペースに、それぞれが複数の電池セルを含む多数の組電池を直列または並列接続するとともに筐体内に高密度に収納し、エネルギー密度を向上することが望まれる。
【0009】
エネルギー密度が向上され蓄電池装置が大容量のエネルギーを収納する場合、蓄電池装置に対して、あらかじめ万が一起こりうるハザードを想定し低減策を施すことが考えられる。組電池では、複数の電池セルを収容する組電池ケースがエンジニアリングプラスチック等の絶縁体で形成されるが、その所望される定格絶縁電圧が1000Vを超える傾向にある。
【0010】
例えば、低減策を施すべきハザードとして
(1)外部からの電池セルへの過充電、又は、
(2)組電池ケースの絶縁破壊箇所を介した電池セルから外部への地絡
に起因して発生するハザードが挙げられる。
【0011】
(1)は、組電池の状態を監視するBMS(バッテリマネジメントシステム)が健全であれば、BMSが電圧センサと温度センサを備えるCMU(セルモニタリングユニット)との連携で検知できる。しかし、車両衝突等によりBMSとCMUとが機能を喪失した時に検知されない場合、過充電された電池セルの熱暴走を招き火災が発生する可能性がある。このため、(1)に対して、なんらかの別系統での検知方法が求められている。
【0012】
(2)は、蓄電池装置内で組電池が多直列となる場合、地絡検知を電気回路で実現することが困難である。蓄電池装置では、限られたスペースに多数の組電池が高密度に収納されるため、地絡検知回路は、何個も組電池を介して遠く離れて接続されることになり、地絡を電気的に検知できない可能性がある。地絡検知回路の数を増やして組電池毎にその近くに設置するなど大量にバッテリ回路内に設置すれば、地絡の電気的な検知は可能になるが、システムの複雑化、コスト高、装置単位でのエネルギー密度低下を招く可能性がある。
【0013】
絶縁体で形成された組電池ケースの絶縁破壊箇所では、例えば、絶縁破壊モードの中でも中途半端なインピーダンスを伴う短絡が発生し、電荷又は電流通過時に発熱すると考えられる。
【0014】
例えば、外部短絡などが原因で電池セルの過充電が起き、電池セル内が熱暴走へ至る途中の発熱を検知することが考えられる。これにより、(1)の予兆を検知できると期待される。
【0015】
また、部分的な絶縁材料の絶縁破壊によって、インピーダンスがある状態で地絡電流が装置箱や箱枠を伝ってグランド電位に流れ続け、絶縁材料損失によって発生する発熱を検知することが考えられる。これにより、(2)の予兆を検知できると期待される。
【0016】
そこで、本実施形態では、蓄電池装置において、複数の組電池の底面近傍の部材に熱的に接触しながら一筆書き状に延びたラインを含むLHD(ラインヒートディテクタ)を設けることで、エネルギー密度を確保しながら(1)及び/又は(2)の予兆検知を図る。
【0017】
具体的には、地絡時、中途半端なインピーダンスを伴ったまま短絡電流が流れ発生する温度上昇や、BMSとCMU機能喪失時も万が一の過充電による発熱をLHDで検知する構造を提案する。すなわち、LHDを装置内の組電池の底面近傍に敷設する構造、ひきまわす場所を提案する。複数の組電池が収納されている蓄電池装置では、組電池ケースからインピーダンスをともなう絶縁破壊が起きた場合にこの発熱を輸送、冷却するヒートシンク機能を備える棚板が設けられる。その棚板の上で組電池の底面近傍を通るようにLHDを配線する。これにより、インピーダンスをともなう絶縁破壊時、組電池ケースなどの樹脂が抵抗となって発熱した場合の熱を検知可能な構造を実現できる。この構造では、中途半端な絶縁破壊がモジュール側で発生して、地絡が発生したとき、その電流経路になる組電池の底面近傍にLHDが配置されている。これにより、過充電及び/又は地絡電流による発熱をLHDで検知することで、(1)及び/又は(2)の予兆を検知できる。この結果、(1)及び/又は(2)に起因して発生するハザードの発生を未然に防ぐ対策を取ることができ、蓄電池装置の利便性を向上できる。
【0018】
より具体的には、蓄電池装置1は、ハイブリッド機関車等の車両における運転室の前方又は後方の格納室に収容される。蓄電池装置1は、
図1に示すように箱型で構成され得る。
図1は、蓄電池装置1の外観構成を示す斜視図である。
図1では、蓄電池装置1の収容時の姿勢における鉛直方向をZ方向とし、Z方向に垂直な平面内で互いに直交する2方向をX方向及びY方向とする。
【0019】
蓄電池装置1は、筐体10を有する。筐体10は、天井板11、側板12~18、及び底板19を有する。天井板11は、平面視で略矩形状を有し、蓄電池装置1の内部空間を+Z側から閉塞する。側板12,16は、平面視で互いに相補的な略L形状を有し、蓄電池装置1の内部空間を-X側から閉塞する。側板13,17は、平面視で互いに相補的な略L形状を有し、蓄電池装置1の内部空間を+X側から閉塞する。側板14,18は、平面視でそれぞれ略矩形状を有し、蓄電池装置1の内部空間を-Y側から閉塞する。側板15は、平面視で略矩形状を有し、蓄電池装置1の内部空間を+Y側から閉塞する。底板19は、平面視で略矩形状を有し、蓄電池装置1の内部空間を-Z側から閉塞する。
【0020】
蓄電池装置1の内部は、
図2に示すように構成され得る。
図2は、蓄電池装置1の内部構成を示す分解斜視図である。
【0021】
蓄電池装置1は、フレーム2、隔壁天井板3、側板4~7、複数の組電池20、棚板群30、棚板群40、及び仕切り板50を有する。
【0022】
フレーム2は、天井板11、側板12~18、及び底板19のそれぞれを支持し、筐体10を形成する。フレーム2は、天井板11、側板12~18、及び底板19のそれぞれが嵌め込み可能に構成されていてもよいし、天井板11、側板12~18、及び底板19のそれぞれがネジ止め可能に構成されていてもよい。フレーム2の内側が蓄電池装置1の内部空間となる。
【0023】
隔壁天井板3、側板4、及び側板5は、蓄電池装置1の内部空間における仕切り板50の+Y側の空間を第1の電池部屋と用品部屋とに分ける。仕切り板50の+Y側の空間のうち、隔壁天井板3の+Z側の空間が第1の電池部屋となり、隔壁天井板3の-Z側の空間が用品部屋となる。用品部屋には、蓄電池装置1の管理を行う主回路(図示せず)が収容される。側板6及び側板7は、それぞれ、主回路との配管出し口を備える側板である。仕切り板50の-Y側の空間は、第2の電池部屋となる。
【0024】
複数の組電池20は、筐体10内に収容される。複数の組電池20は、蓄電池装置1の内部空間における第1の電池部屋及び第2の電池部屋に収容される。複数の組電池20は、互いに電気的に接続可能である。k個(例えば、k=28)の組電池20の直列接続がm列(例えば、m=3)で並列接続されることで、正側の出力ノードN(+)と負側の出力ノードN(-)との間に、k×m個の組電池20が互いに電気的に接続可能である(
図6参照)。
【0025】
棚板群30は、第1の電池部屋に収容される。棚板群30は、複数の棚板31~36を含む。各棚板31~36は、X方向を長手方向としてXY方向に延びるとともに、Z方向に互いに離間して並べられている。各棚板31~36の-Y側の側面は、仕切り板50の+Y側の面で支持されている。
【0026】
各棚板31~36は、+Z側の面(表面)上に複数の組電池20が載置される。
図2では、各棚板31~36の表面上に6個の組電池20が載置される場合が例示されている。棚板31~36の表面上では、複数の組電池20がX方向に沿って互いに離間しながら並べられている。各棚板31~36上に並ぶ複数の組電池20は、図示しないバスバー及び/又は導線により互いに電気的に接続され得る。
【0027】
各棚板31~36は、熱伝導性を有する金属等を主成分とする材料で形成され得る。各棚板31~36上に並ぶ複数の組電池20の底面は、棚板31~36の表面に熱的に接触している。各棚板31~36は、組電池20から表面側で受けた熱をその裏面から蓄電池装置1の内部空間に放出可能であり、ヒートシンクとして機能し得る。
【0028】
棚板群40は、第2の電池部屋に収容される。棚板群40は、複数の棚板41~48を含む。棚板群40に含まれる棚板41~48の枚数は、棚板群30に含まれる棚板31~36の枚数より多くなっている。各棚板41~48は、X方向を長手方向としてXY方向に延びるとともに、Z方向に互いに離間して並べられている。各棚板41~48の+Y側の側面は、仕切り板50の-Y側の面で支持されている。
【0029】
各棚板41~48は、+Z側の面(表面)上に複数の組電池20が載置される。
図2では、各棚板41~48の表面上に6個の組電池20が載置される場合が例示されている。棚板41~48の表面上では、複数の組電池20がX方向に沿って互いに離間しながら並べられている。各棚板41~48上に並ぶ複数の組電池20は、図示しないバスバー及び/又は導線により互いに電気的に接続され得る。
【0030】
各棚板41~48は、熱伝導性を有する金属等を主成分とする材料で形成され得る。各棚板41~48上に並ぶ複数の組電池20の底面は、棚板の表面に熱的に接触している。各棚板41~48は、組電池20から表面側で受けた熱をその裏面から蓄電池装置1の内部空間に放出可能であり、ヒートシンクとして機能し得る。
【0031】
仕切り板50は、XZ方向に延び、蓄電池装置1の内部空間を第1の電池部屋及び用品部屋と第2の電池部屋とに仕切っている。仕切り板50は、Y方向における棚板群30と棚板群40との間に位置している。
【0032】
仕切り板50は、+Y側の面で棚板群30に含まれる各棚板31~36を支持している。各棚板31~36の-Y側の側面は、仕切り板50の+Y側の面に接触している。各棚板31~36の-Y側の側面は、仕切り板50の+Y側の面に嵌め込み可能に構成されていてもよいし、仕切り板50の+Y側の面にネジ止め可能に構成されていてもよい。
【0033】
仕切り板50は、-Y側の面で棚板群40に含まれる各棚板41~48を支持している。各棚板41~48の+Y側の側面は、仕切り板50の-Y側の面に接触している。各棚板41~48の+Y側の側面は、仕切り板50の-Y側の面に嵌め込み可能に構成されていてもよいし、仕切り板50の-Y側の面にネジ止め可能に構成されていてもよい。
【0034】
図2に示すように、蓄電池装置1では、内部に高密度に複数の組電池20が収納されている。各組電池20は、
図3に示すように構成され得る。各組電池20は、バスバー21、基板22、セパレータ23、組電池ケース24、及び複数の電池セル28を有する。複数の電池セル28は、組電池ケース24に収納されている。組電池ケース24は、エンジニアリングプラスチック等の絶縁体(絶縁樹脂)を主成分とする材料で形成され得る。各電池セル28は、角缶あるいは円筒缶状の形状を有する。複数の電池セル28は、組電池ケース24の底面の上において、セパレータ23を介して絶縁されている。セパレータ23は、絶縁体(絶縁樹脂)を主成分とする材料で形成されている。隣接する2つの電池セル28は、それぞれの上部に正極、負極端子があってバスバー21で互いに電気的に接続されている。バスバー21の組み合わせ、構成によって複数の電池セル28の直並列の接続を構成する。また、基板22の上には、センサ(例えば、電圧センサ、サーミスタなどの温度センサ)及びCMU(セルモニタリングユニット)が実装され、CMUの制御のもとでセンサが電圧やセル温度を検出する。
【0035】
例えば、このように構成された組電池ケース24の底面は、棚板31上に伝熱層(図示せず)を介して設置される。伝熱層は、ギャップフィラー、コンパウンドなど隙間をうめるために柔軟性を有し圧縮可能であるとともに熱伝導性を1[W/m・K]以上に高めた絶縁体(例えば、シリコーン樹脂などの絶縁樹脂)を主成分とする材料で形成されている。伝熱層は、棚板31の表面上に塗布するか貼りつけられ、組電池20と棚板31とを密着させている。棚板31と組電池ケース24との間はボルト締めなどにより固定され得る。また、棚板31は、接地された側板12と物理的につながっており、側板12に熱的に接触している。
【0036】
このような組電池20が、各棚板に複数個、棚板も複数段あれば、数十個以上が蓄電池装置1の内部空間内に高密度に収納される。高密度にエネルギー体が収納される蓄電池装置1においては、あらかじめ起こりうるハザードを想定した構造が望まれる。
【0037】
例えば、中途半端に組電池ケース24等に小さな亀裂が入ったり、組電池ケース24や伝熱層の劣化(絶縁材料の劣化)により、底面から絶縁破等が徐々に始まること等が考えられる。この場合、絶縁材料がある任意のインピーダンスを保ったまま、一定時間、短絡電流が組電池ケース24の底面と棚板31とを通って、接地された側板12へ流れる地絡が発生する可能性がある。地絡発生時の電流経路は、例えば、
図3に点線の矢印で示すようになる。
【0038】
それに対して、
図3に示すように、比較的安価でありかつ検知温度が70℃から100℃程度のLHD(ラインヒートディテクタ)60を、棚板31の表面における組電池20の底面周辺に敷設することで地絡を検知する。
図3は、組電池20、棚板31、及びLHD(ラインヒートディテクタ)60の構成を示す断面図である。
【0039】
前記のようなハザードでは、BMS(バッテリモニタリングシステム)から組電池に設けられた電圧センサによって容量低下を検知することも考えられるが、本実施形態では、LHD60での別系統からの検知によって、蓄電池装置1全体でロバストな保護系を提案する。LHD60は、たとえば電池セル28がなんらかの原因で、外部短絡などによる過充電状態に対するシステムの保護が無くなり、温度が上昇していった場合を想定して、たとえば熱暴走手前の75℃~90℃の温度を検知するように構成され得る。これにより、LHD60で地絡発生の予兆を検知できる。
【0040】
LHD60は、2本の信号線61,62と絶縁被覆63とを有する(
図6参照)。2本の信号線61,62は、一端が抵抗素子71を介して互いに電気的に接続されているとともに、一端及び他端の間の部分が絶縁被覆63で互いに電気的に絶縁されている。絶縁被覆63は、検知温度(例えば、70℃~90℃)に対応した溶融温度を有する熱溶融性の樹脂を主成分とする材料で形成され得る。2本の信号線61,62は、他端側からバイアス(電圧又は電流)が印加されている。また、2本の信号線61,62の他端における電位差は、電圧計72で測定され、その測定結果が制御回路70(例えば、主回路の一部)でモニタされる。2本の信号線61,62間では、例えば周囲の温度が検知温度(例えば、70℃~100℃)に達すると、絶縁被覆63が溶けて2信号線61,62間が短絡して通電する。これに応じて、2信号線61,62間の電位が変わる(例えば、閾値より低下する)ことで、周囲の温度が検知温度(例えば、70℃~90℃)に上昇したことを検知し得る。これにより、たとえば短絡電流が流れる場所の傍にLHD60があれば、熱暴走がはじまりつつある組電池20の絶縁破壊箇所近傍の発熱による温度上昇を検知可能であるし、地絡電流に伴う発熱による温度上昇も検知可能となる。
【0041】
図3に点線の矢印で示すような電流経路にインピーダンスが残った状態で短絡電流が流れるとその周囲は70℃~90℃でLHD60が検知可能な温度相当となることから、LHD60は、組電池20底面周囲に
図4に示すように敷設する。
図4は、組電池20、棚板31,41、及びLHD(ラインヒートディテクタ)60の構成を示す平面図である。
【0042】
LHD60は、組電池の底面近傍の部材(棚板31,41)に熱的に接触しながら一筆書き状に延びたラインを含む。仕切り板50は、XY平面視において、棚板31と棚板41との間に配され、各棚板31,41の側面に接触する。LHD60は、仕切り板50を介して棚板31と棚板41とに跨って延びている。LHD60は、棚板31の表面における複数の組電池20の近傍を一筆書き状に延び、その後、貫通孔51を通って棚板41へと延び、棚板41の表面における複数の組電池20の近傍を一筆書き状に延びている。貫通孔51は、仕切り板50の+Y側の面と-Y側の面とを連通する。これにより、少なくとも同じZ高さに配置された複数の組電池について、過充電による熱暴走の予兆、及び/又は、地絡の予兆を一括して検知できる。
【0043】
以上のように、本実施形態では、蓄電池装置1において、複数の組電池20の底面近傍の部材に熱的に接触しながら一筆書き状に延びたラインを含むLHD(ラインヒートディテクタ)60を設ける。例えば、LHD60は、仕切り板50を介して棚板31と棚板41とに跨って延びるとともに、各棚板31,41の表面における複数の組電池20の近傍を一筆書き状に延びる。これにより、熱暴走がはじまりつつある組電池20を温度検知することが可能であり、地絡電流による周囲温度上昇の検知が可能である。また、組電池20毎に検知回路を追加する場合に比べて、検知のためのスペースを大幅に節約することができるので、組電池20の配置スペースを容易に確保できる。これにより、エネルギー密度を確保しながら、過充電による熱暴走の予兆、及び/又は、地絡の予兆を検知できる。したがって、過充電及び/又は地絡に起因して発生するハザードの発生を未然に防ぐ対策を取ることができ、蓄電池装置1の利便性を向上できる。
【0044】
また、本実施形態では、LHD60の検知温度(例えば、70℃~90℃)が蓄電池装置1における火災発生時の温度より低い温度となっている。これにより、LHD60は、過充電による蓄電池の熱暴走の予兆、及び/又は、地絡の予兆を検知できることに加えて、火災の予兆を検知できる。したがって、火災の発生を未然に防ぐ対策を取ることができ、この観点からも、蓄電池装置1の利便性を向上できる。
【0045】
なお、
図4に示すLHD60の敷設構造は、同じZ高さを有する棚板の組(棚板31,41の組、棚板32,42の組、・・・、棚板36,46の組)ごとにもうけられてもよい。このとき、棚板47,48は、それぞれ、単独で、LHD60が一筆書き状に敷設されてもよい。これにより、Z高さごとに組電池20の過充電による熱暴走の予兆、及び/又は、地絡の予兆を検知できる。
【0046】
あるいは、LHD60の敷設構造は、同じY位置にある棚板ごと、すなわち棚板群30,40ごとに設けられてもよい。LHD60は、
図5に示すように敷設されてもよい。
図5は、実施形態の第1の変形例における組電池20、棚板31~36、及びLHD(ラインヒートディテクタ)60の構成を示す側面図である。例えば、LHD60は、棚板群30に含まれる複数の棚板31~36に跨って延び、各棚板31~36の表面における複数の組電池20の近傍を一筆書き状に延びる。すなわち、LHD60は、棚板31の表面における複数の組電池20の近傍を-X方向に延び、棚板31から棚板32まで-Z方向に延びる。LHD60は、棚板32の表面における複数の組電池20の近傍を+X方向に延び、棚板32から棚板33まで-Z方向に延びる。LHD60は、棚板33の表面における複数の組電池20の近傍を-X方向に延び、棚板33から棚板34まで-Z方向に延びる。LHD60は、棚板34の表面における複数の組電池20の近傍を+X方向に延び、棚板34から棚板35まで-Z方向に延びる。LHD60は、棚板35の表面における複数の組電池20の近傍を-X方向に延び、棚板35から棚板36まで-Z方向に延びる。LHD60は、棚板36の表面における複数の組電池20の近傍を+X方向に延びる。図示しないが、同様に、LHD60は、棚板群40に含まれる複数の棚板41~48に跨って延び、各棚板41~48の表面における複数の組電池20の近傍を一筆書き状に延びる。これにより、Y位置ごとに組電池20の過充電による熱暴走の予兆、及び/又は、地絡の予兆を検知できる。
【0047】
あるいは、
図4に示すLHD60の敷設構造と
図5に示すLHD60の敷設構造とが組み合わされてもよい。例えば、LHD60は、棚板31,41については
図4に示す敷設構造と同様に敷設し、棚板32~36については
図5に示す敷設構造と同様に敷設し、棚板42~48については
図5に示す敷設構造と同様に敷設してもよい。
【0048】
あるいは、複数の組電池20が複数のブランチBR-1~BR-mにグループ化される場合、LHD60-1~60-mの敷設構造は、ブランチBRごとに設けられてもよい。ブランチBRは、組電池20の直列あるいは並列接続で蓄電池装置1から見た電気的な最小切り離し可能単位であってもよい。たとえば、
図6に示すように、k個の組電池20-1~20-kの直列接続ごとに1ブランチとして扱い、その両端と出力ラインLout(+),Lout(-)との間にスイッチSW1,SW2を電気的に接続する。
【0049】
図6に示す回路構成では、ブランチBR内の任意の組電池20が故障した場合、ブランチBR単位で蓄電池装置1から電気的に切り離され遮断される。このとき、LHD60-1~60-mは、ブランチBRごとに用意してもよい。LHD60-1~60-mは、ブランチBR-1~BR-mに対応する。各LHD60は、2本の信号線61,62と絶縁被覆63とを有する。2本の信号線61,62は、一端が抵抗素子71を介して互いに電気的に接続されているとともに、一端及び他端の間の部分が絶縁被覆63で互いに電気的に絶縁されている。絶縁被覆63は、検知温度(例えば、70℃~90℃)に対応した溶融温度を有する熱溶融性の樹脂を主成分とする材料で形成され得る。2本の信号線61,62は、他端側からバイアス(電圧又は電流)が印加されている。また、2本の信号線61,62の他端における電位差は、電圧計72で測定され、その測定結果が制御回路70(例えば、主回路の一部)でモニタされる。モニタ結果によりあるブランチBR内の組電池20が故障したことが示される場合、制御回路70は、故障した組電池20を含むブランチBRの両端のスイッチSW1,SW2をオン状態からオフ状態に遷移させる(
図6に実線で示す状態から点線で示す状態へ遷移させる)。これにより、故障した組電池20を含むブランチBRが蓄電池装置1から電気的に切り離され遮断される。
【0050】
例えば、k=28、m=3である場合、LHD60-1~60-3は、
図7及び
図8に示すように敷設され得る。LHD60-1は、ブランチBR-1における複数の組電池20の近傍の部材に熱的に接触しながら一筆書き状に延びる。すなわち、LHD60-1は、棚板31の表面における6個の組電池20の近傍を-X方向に延び、棚板31から棚板32まで-Z方向に延びる。LHD60-1は、棚板32の表面における6個の組電池20の近傍を+X方向に延び、棚板32から棚板33まで-Z方向に延びる。LHD60-1は、棚板33の表面における6個の組電池20の近傍を-X方向に延び、棚板33から棚板34まで-Z方向に延びる。LHD60-1は、棚板34の表面における6個の組電池20の近傍を+X方向に延び、棚板34から棚板35まで-Z方向に延びる。LHD60-1は、棚板35の表面における4個の組電池20の近傍を-X方向に延びる。
【0051】
LHD60-2は、ブランチBR-2における複数の組電池20の近傍の部材に熱的に接触しながら一筆書き状に延びる。すなわち、LHD60-2は、棚板35の表面における2個の組電池20の近傍を-X方向に延び、棚板35から棚板36まで-Z方向に延びる。LHD60-2は、棚板36の表面における6個の組電池20の近傍を+X方向に延び、仕切り板50における貫通孔52を通って棚板45へと延びる。LHD60-2は、棚板45の表面における2個の組電池20の近傍を-X方向に延び、棚板45から棚板46まで-Z方向に延びる。LHD60-2は、棚板46の表面における6個の組電池20の近傍を+X方向に延び、棚板46から棚板47まで-Z方向に延びる。LHD60-2は、棚板47の表面における6個の組電池20の近傍を-X方向に延び、棚板47から棚板48まで-Z方向に延びる。LHD60-2は、棚板48の表面における6個の組電池20の近傍を+X方向に延びる。
【0052】
LHD60-3は、ブランチBR-3における複数の組電池20の近傍の部材に熱的に接触しながら一筆書き状に延びる。すなわち、LHD60-3は、棚板41の表面における6個の組電池20の近傍を-X方向に延び、棚板41から棚板42まで-Z方向に延びる。LHD60-3は、棚板42の表面における6個の組電池20の近傍を+X方向に延び、棚板42から棚板43まで-Z方向に延びる。LHD60-3は、棚板43の表面における6個の組電池20の近傍を-X方向に延び、棚板43から棚板44まで-Z方向に延びる。LHD60-3は、棚板44の表面における6個の組電池20の近傍を+X方向に延び、棚板44から棚板45まで-Z方向に延びる。LHD60-3は、棚板45の表面における4個の組電池20の近傍を-X方向に延びる。
【0053】
このように、LHD60が、ブランチBRごとに用意され、制御回路70で個別にモニタされる。これにより、ブランチBRごとに組電池20の過充電による熱暴走の予兆、及び/又は、地絡の予兆を検知でき、ブランチBRごとに過充電及び/又は地絡に起因して発生するハザードの発生を未然に防ぐ対策を取ることができる。例えば、過充電及び/又は地絡の予兆を示す組電池20を含むブランチBRを出力ラインLout(+),Lout(-)から電気的に切り離すことができる。
【0054】
あるいは、LHD60-1~60-mの敷設構造がブランチBRごとに設けられる場合、各LHD60は、XY平面視において、各組電池20を囲むように一筆書き状に延びてもよい。LHD60は、
図9に示すように敷設されてもよい。
図9は、実施形態の第3の変形例における組電池20、棚板31,41、及びLHD(ラインヒートディテクタ)60-1,60-3の構成を示す平面図である。
【0055】
LHD60-1は、ブランチBR-1(
図6参照)に対応しており、棚板31の表面において、複数の組電池20の間を蛇行しながら棚板31の一端・他端間を往復して一筆書き状に延びる。すなわち、LHD60-1は、1つ目の組電池20の+Y側を-X方向に延び、組電池20間を-Y方向に延び、2つ目の組電池20の-Y側を-X方向に延び、組電池20間を+Y方向に延びる。LHD60-1は、3つ目の組電池20の+Y側を-X方向に延び、組電池20間を-Y方向に延び、4つ目の組電池20の-Y側を-X方向に延び、組電池20間を+Y方向に延びる。LHD60-1は、5つ目の組電池20の+Y側を-X方向に延び、組電池20間を-Y方向に延び、6つ目の組電池20の-Y側を-X方向に延び、組電池20間を+Y方向に延びる。LHD60-1は、6つ目の組電池20の+Y側を+X方向に延び、組電池20間を-Y方向に延び、5つ目の組電池20の-Y側を+X方向に延び、組電池20間を+Y方向に延びる。LHD60-1は、4つ目の組電池20の+Y側を+X方向に延び、組電池20間を-Y方向に延び、3つ目の組電池20の-Y側を+X方向に延び、組電池20間を+Y方向に延びる。LHD60-1は、2つ目の組電池20の+Y側を+X方向に延び、組電池20間を-Y方向に延び、1つ目の組電池20の-Y側を+X方向に延びる。図示しないが、同様に、LHD60-1は、各棚板32~35の表面において、複数の組電池20(例えば、棚板32~34では6個の組電池20、棚板35では4個の組電池20)の間を蛇行しながら棚板31の一端・他端間を往復して一筆書き状に延びる。棚板間では、
図7と同様に敷設されてもよい。
【0056】
LHD60-3は、ブランチBR-3(
図6参照)に対応しており、棚板41の表面において、複数の組電池20の間を蛇行しながら棚板41の一端・他端間を往復して一筆書き状に延びる。すなわち、LHD60-3は、1つ目の組電池20の+Y側を-X方向に延び、組電池20間を-Y方向に延び、2つ目の組電池20の-Y側を-X方向に延び、組電池20間を+Y方向に延びる。LHD60-3は、3つ目の組電池20の+Y側を-X方向に延び、組電池20間を-Y方向に延び、4つ目の組電池20の-Y側を-X方向に延び、組電池20間を+Y方向に延びる。LHD60-3は、5つ目の組電池20の+Y側を-X方向に延び、組電池20間を-Y方向に延び、6つ目の組電池20の-Y側を-X方向に延び、組電池20間を+Y方向に延びる。LHD60-3は、6つ目の組電池20の+Y側を+X方向に延び、組電池20間を-Y方向に延び、5つ目の組電池20の-Y側を+X方向に延び、組電池20間を+Y方向に延びる。LHD60-3は、4つ目の組電池20の+Y側を+X方向に延び、組電池20間を-Y方向に延び、3つ目の組電池20の-Y側を+X方向に延び、組電池20間を+Y方向に延びる。LHD60-3は、2つ目の組電池20の+Y側を+X方向に延び、組電池20間を-Y方向に延び、1つ目の組電池20の-Y側を+X方向に延びる。図示しないが、同様に、LHD60-3は、各棚板42~45の表面において、複数の組電池20(例えば、棚板42~44では6個の組電池20、棚板45では4個の組電池20)の間を蛇行しながら棚板41の一端・他端間を往復して一筆書き状に延びる。棚板間では、
図8と同様に敷設されてもよい。
【0057】
このような構成によっても、ブランチBRごとに組電池20の過充電による熱暴走の予兆、及び/又は、地絡の予兆を検知でき、ブランチBRごとに過充電及び/又は地絡に起因して発生するハザードの発生を未然に防ぐ対策を取ることができる。
【0058】
あるいは、LHD60の敷設位置を仕切り板50としてもよい。LHD60は、
図10及び
図11に示すように敷設されてもよい。
図10は、実施形態の第4の変形例における仕切り板50、及びLHD(ラインヒートディテクタ)60の構成を示す斜視図であり、仕切り板50における+Y側の面に対応している。
図11は、実施形態の第4の変形例における仕切り板50、及びLHD(ラインヒートディテクタ)60の構成を示す斜視図であり、仕切り板50における-Y側の面に対応している。
【0059】
外部短絡、地絡いずれのモードも、組電池20の温度上昇を底面近傍に近接した位置で検知できれば良いので、仕切り板50側に、一筆書きでLHD60を貼り付けることなどにより敷設する。このとき、LHD60の線の位置は組電池20底面近傍に近接した位置にすればよい。
【0060】
仕切り板50は、
図10に示す+Y側の面に、棚板群30に含まれる複数の棚板31~36(
図2参照)の-Y側の側面が熱的に接触している。LHD60は、+Y側の面における複数の棚板31~36の側面近傍を一筆書き状に延びる。仕切り板50の+Y側の面では、各棚板31~36の-Y側の側面が接触する接触領域31a~36aが点線で囲って示されている。LHD60は、接触領域31a~36aの近傍を一筆書き状に延びる。
【0061】
仕切り板50は、
図11に示す-Y側の面に、棚板群40に含まれる複数の棚板41~48(
図2参照)の+Y側の側面が熱的に接触している。LHD60は、-Y側の面における複数の棚板41~48(
図2参照)の側面近傍を一筆書き状に延びる。仕切り板50の-Y側の面では、各棚板41~48の+Y側の側面が接触する接触領域41a~48aが点線で囲って示されている。LHD60は、接触領域41a~48aの近傍を一筆書き状に延びる。
【0062】
例えば、
図10に示すように、LHD60は、接触領域36aの-Z側を-X方向に延び、接触領域36aから接触領域35aまで+Z方向に延びる。LHD60は、接触領域35aの-Z側を+X方向に延び、接触領域35aから接触領域34aまで+Z方向に延びる。LHD60は、接触領域34aの-Z側を-X方向に延び、接触領域34aから接触領域33aまで+Z方向に延びる。LHD60は、接触領域33aの-Z側を+X方向に延び、接触領域33aから接触領域32aまで+Z方向に延びる。LHD60は、接触領域32aの-Z側を-X方向に延び、接触領域32aから接触領域31aまで+Z方向に延びる。LHD60は、接触領域31aの-Z側を+X方向に延び、接触領域31aから貫通孔51を通って接触領域41aまで-Y方向に延びる。
【0063】
また、
図11に示すように、LHD60は、接触領域41aの-Z側を-X方向に延び、接触領域41aから接触領域42aまで-Z方向に延びる。LHD60は、接触領域42aの-Z側を+X方向に延び、接触領域42aから接触領域43aまで-Z方向に延びる。LHD60は、接触領域43aの-Z側を-X方向に延び、接触領域43aから接触領域44aまで-Z方向に延びる。LHD60は、接触領域44aの-Z側を+X方向に延び、接触領域44aから接触領域45aまで-Z方向に延びる。LHD60は、接触領域45aの-Z側を-X方向に延び、接触領域45aから接触領域46aまで-Z方向に延びる。LHD60は、接触領域46aの-Z側を+X方向に延び、接触領域46aから接触領域47aまで-Z方向に延びる。LHD60は、接触領域47aの-Z側を-X方向に延び、接触領域47aから接触領域48aまで-Z方向に延びる。LHD60は、接触領域48aの-Z側を+X方向に延びる。
【0064】
このように、LHD60は、仕切り板50の表面における複数の棚板31~36,41~48の側面近傍を一筆書き状に延びる。これによっても、熱暴走がはじまりつつある組電池20を温度検知することが可能であり、地絡電流による周囲温度上昇の検知が可能である。また、組電池20毎に検知回路を追加する場合に比べて、検知のためのスペースを大幅に節約することができるので、組電池20の配置スペースを容易に確保できる。これにより、エネルギー密度を確保しながら、過充電による熱暴走の予兆、及び/又は、地絡の予兆を検知できる。したがって、過充電及び/又は地絡に起因して発生するハザードの発生を未然に防ぐ対策を取ることができ、蓄電池装置1の利便性を向上できる。
【0065】
また、この構成においても、LHD60の検知温度(例えば、70℃~90℃)が蓄電池装置1における火災発生時の温度より低い温度となっている。これにより、LHD60は、過充電による熱暴走の予兆、及び/又は、地絡の予兆を検知できることに加えて、火災の予兆を検知できる。したがって、火災の発生を未然に防ぐ対策を取ることができ、この観点からも、蓄電池装置1の利便性を向上できる。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1 蓄電池装置、 10 筐体、 20 組電池、 31~36,41~48 棚板、 50 仕切り板、 60,60-1~60-m LHD(ラインヒートディテクタ)、 BR,BR-1~BR-m ブランチ、 Lout(+),Lout(-) 出力ライン、 N(+),N(-) 出力ノード。