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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】抜栓キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 55/02 20060101AFI20240311BHJP
   B65D 51/22 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
B65D55/02
B65D51/22 120
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019103393
(22)【出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2020196502
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100165607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一成
(74)【代理人】
【識別番号】100196690
【弁理士】
【氏名又は名称】森合 透
(72)【発明者】
【氏名】桑原 和仁
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-014514(JP,A)
【文献】特開2018-039568(JP,A)
【文献】特開平09-124060(JP,A)
【文献】特開2018-034822(JP,A)
【文献】特開2018-034851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 55/02
B65D 51/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部に装着される中栓と、
前記中栓に螺合して着脱可能に装着されるオーバーキャップと、を有し、
前記中栓は、前記容器本体内に収容される内容物を注出可能な注出筒を有し、
前記オーバーキャップを周方向一方側に回転させると、前記注出筒内に設けられた栓体が抜脱されて前記注出筒内が開口する抜栓キャップであって、
前記オーバーキャップは、
前記中栓の外周面に螺合する内キャップと、
前記内キャップの径方向外側を周方向に回転可能な外キャップと、を有し、
前記内キャップは、
内キャップ頂壁部と、
前記内キャップ頂壁部の周縁部から下側に延びて前記中栓の外面に螺合する内キャップ外壁部と、
前記内キャップ外壁部の径方向外側に隙間を有して配置されて、前記内キャップ外壁部を周方向に囲む筒状の案内壁部と、を有し、
前記内キャップ外壁部と前記案内壁部との間の前記隙間には、前記内キャップ外壁部及び前記案内壁部を繋ぐストッパ部が設けられ、
前記内キャップ頂壁部には、開栓状態を示す第1表示部が設けられ、
前記外キャップは、
前記内キャップの前記案内壁部の径方向外側に配置されて前記案内壁部の周りを囲む筒状の外キャップ外壁部と、
前記外キャップ外壁部の上端内縁に環状に設けられた前記外キャップ頂壁部と、
前記外キャップ頂壁部の内縁部に垂下設されて前記隙間に挿入される係止板部と、を有し、
前記外キャップ頂壁部には、第2表示部が設けられ、
前記内キャップに対して前記外キャップを周方向一方側に回転させて、前記係止板部が前記ストッパ部に当接すると、前記第1表示部と前記第2表示部とが重なる位置に移動し、
前記外キャップは、前記内キャップに対して周方向一方側に回転して前記第1表示部と前記第2表示部とが重なる位置に移動すると、前記内キャップと一体化して前記内キャップとともに周方向一方側に回転可能であることを特徴とする抜栓キャップ。
【請求項2】
前記隙間には、周方向に所定の間隔を有して配置された一対の前記ストッパ部が複数対設けられ、
複数対の夫々の前記ストッパ部間に1つの前記係止板部が設けられ、
前記外キャップの周方向一方側への回転時に1つの前記係止板部が対応する前記ストッパ部に接触すると、他の前記係止板部が対応する前記ストッパ部に同時に接触する
ことを特徴とする請求項に記載の抜栓キャップ。
【請求項3】
前記外キャップは、前記外キャップ頂壁部から径方向内側へ延びて前記内キャップ頂壁部を覆う延長頂壁部を有し、
前記延長頂壁部に前記第2表示部が設けられ、
前記第2表示部は、前記延長頂壁部を貫通する窓部であり、
前記外キャップが回動して前記第1表示部と前記第2表示部とが前記重なる位置に移動すると、開栓状態を示す前記第1表示部が前記窓部の内側に表示される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の抜栓キャップ。
【請求項4】
前記案内壁部の内面及び前記内キャップの前記内キャップ外壁部の外面の少なくともいずれかには、前記係止板部が前記ストッパ部に接触した状態で、前記係止板部が前記ストッパ部から離れる方向に前記外キャップが回転するのを規制する逆回転防止突起が設けられる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の抜栓キャップ。
【請求項5】
前記第1表示部及び前記第2表示部は、文字、図形、記号若しくは色彩又はこれらの結合である
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の抜栓キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栓の開栓状態を視覚的に認識できるようにした抜栓キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
プルリングを引き上げて除去壁部を引き千切って開栓する構成に代わりに、ねじキャップの通常の開栓操作によって簡単に開栓することのできる抜栓キャップが広く用いられている。このような抜栓キャップにおいては、キャップの回転動作に合わせて音が発生する構成を備えることにより、キャップの開栓状態を、キャップの開閉操作したときに生じる音によって使用者に認識させる技術が採用されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-172156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載された発明では、例えば閑静な環境下で使用する場合には有効であるものの、騒音環境下で使用する場合や聴覚障害者等においてはキャップを開閉操作したときに生じる音によって開栓状態を確実に判別することは困難である、という問題がある。
【0005】
また特許文献1に記載された発明は、開閉操作時にのみ音が発生する構成であることから、一度開栓したキャップを戻して再度閉栓状態とした場合にあっては、過去に開栓されたことがあるかを容易に判別することができない、という問題もある。
【0006】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、簡単な構成で過去に開栓状態に設定されたことを視覚的に判別可能な抜栓キャップを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の主たる手段は、容器本体の口部に装着される中栓と、前記中栓に螺合して着脱可能に装着されるオーバーキャップと、を有し、前記中栓は、前記容器本体内に収容される内容物を注出可能な注出筒を有し、前記オーバーキャップを周方向一方側に回転させると、前記注出筒内に設けられた栓体が抜脱されて前記注出筒内が開口する抜栓キャップであって、前記オーバーキャップは、前記中栓の外周面に螺合する内キャップと、前記内キャップの径方向外側を周方向に回転可能な外キャップと、を有し、前記内キャップは、内キャップ頂壁部と、前記内キャップ頂壁部の周縁部から下側に延びて前記中栓の外面に螺合する内キャップ外壁部と、前記内キャップ外壁部の径方向外側に隙間を有して配置されて、前記内キャップ外壁部を周方向に囲む筒状の案内壁部と、を有し、前記内キャップ外壁部と前記案内壁部との間の前記隙間には、前記内キャップ外壁部及び前記案内壁部を繋ぐストッパ部が設けられ、前記内キャップ頂壁部には、開栓状態を示す第1表示部が設けられ、前記外キャップは、前記内キャップの前記案内壁部の径方向外側に配置されて前記案内壁部の周りを囲む筒状の外キャップ外壁部と、前記外キャップ外壁部の上端内縁に環状に設けられた前記外キャップ頂壁部と、前記外キャップ頂壁部の内縁部に垂下設されて前記隙間に挿入される係止板部と、を有し、前記外キャップ頂壁部には、第2表示部が設けられ、前記内キャップに対して前記外キャップを周方向一方側に回転させて、前記係止板部が前記ストッパ部に当接すると、前記第1表示部と前記第2表示部とが重なる位置に移動し、前記外キャップは、前記内キャップに対して周方向一方側に回転して前記第1表示部と前記第2表示部とが重なる位置に移動すると、前記内キャップと一体化して前記内キャップとともに周方向一方側に回転可能であることを特徴とする抜栓キャップ抜栓キャップ、と云うものである。
【0008】
内キャップに対して外キャップを周方向一方側へ回転させて、第1表示部と第2表示部とが重なる位置に移動すると、外キャップは内キャップと一体化して内キャップとともに周方向一方側に回転可能である。また、外キャップ及び内キャップが一体化されたオーバーキャップを周方向一方側に回転させると、栓体が抜脱されて注出筒内が開口する。このため、第1表示部と第2表示部とが重なる位置に移動すると、注出筒内が開口した開栓状態であると判別することができる。
【0010】
この場合、内キャップに対して外キャップを周方向一方側に回転させて、係止板部がストッパ部に当接すると、第1表示部と第2表示部とを重なる位置に移動させることができる。このため、簡単な構成で、第1表示部と第2表示部とを重なる位置に移動させることができる。
【0011】
また、前記隙間には、周方向に所定の間隔を有して配置された一対の前記ストッパ部が複数対設けられ、複数対の夫々の前記ストッパ部間に1つの前記係止板部が設けられ、前記外キャップの周方向一方側への回転時に1つの前記係止板部が対応する前記ストッパ部に接触すると、他の前記係止板部が対応する前記ストッパ部に同時に接触してもよい。
【0012】
この場合、外キャップの周方向一方側への回転時に1つの係止板部が対応するストッパ部に接触すると、他の係止板部が対応するストッパ部に同時に接触するので、外キャップから係止板部を介してストッパ部に伝達される回転力を分散させることができる。
【0013】
また、前記外キャップは、前記外キャップ頂壁部から径方向内側へ延びて前記内キャップ頂壁部を覆う延長頂壁部を有し、前記延長頂壁部に前記第2表示部が設けられ、前記第2表示部は、前記延長頂壁部を貫通する窓部であり、前記外キャップが回動して前記第1表示部と前記第2表示部とが前記重なる位置に移動すると、開栓状態を示す前記第1表示部が前記窓部の内側に表示されてもよい。
【0014】
この場合、外キャップが回動して第1表示部と第2表示部とが重なる位置に移動すると、開栓状態を示す第1表示部が窓部の内側に表示される。このため、開栓状態を示す第1表示部文字を窓部を介して視認することができる。
【0015】
また、前記案内壁部の内面及び前記内キャップの前記内キャップ外壁部の外面の少なくともいずれかには、前記係止板部が前記ストッパ部に接触した状態で、前記係止板部が前記ストッパ部から離れる方向に前記外キャップが回動するのを規制する逆回転防止突起が設けられてもよい。
【0016】
この場合、案内壁部の内面及び内キャップ外壁部の外面の少なくともいずれかに、逆回転防止突起が設けられるので、係止板部がストッパ部から離れる方向に外キャップが回動するのを防止することができる。したがって、中栓が開栓されると、第1表示部と第2表示部とが開栓を示す状態を維持することができる。また、中栓を開栓した後に、第1表示部と第2表示部とが閉栓を示す状態に戻すことができなくなり、不正開栓を未然に防止することができる。
【0017】
また、前記第1表示部及び前記第2表示部は、文字、図形、記号若しくは色彩又はこれらの結合であってもよい。
【0018】
この場合、第1表示部及び第2表示部は、文字、図形、記号若しくは色彩又はこれらの結合であるので、第1表示部及び第2表示部が使用者にとって視認し易いものにすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、簡単な構成により、キャップの開栓状態を視覚的に判別できる抜栓キャップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の抜栓キャップの第1実施形態を示し、図1(a)は抜栓キャップを容器本体に装着した状態を正面方向から見た部分断面図であり、図1(b)は図1(a)のI矢視に示す部分の部分拡大図である。
図2図2(a)は、中栓の正面図であり、図2(b)は、図2(a)のII-II矢視に相当する部分の中栓の断面図である。
図3図3(a)は、図1(a)のI-I矢視に相当する部分のオーバーキャップの断面図であり、図3(b)は、中栓の縦断面図である。
図4図3(a)のIII矢視に相当する部分の部分拡大図である。
図5図5(a)はオーバーキャップの縦断面図であり、図5(b)はオーバーキャップの裏面図である。
図6】オーバーキャップの平面図を示し、図7(a)は第1表示部と第2表示部とが離れた位置にある場合を示し、図7(b)は第1表示部と第2表示部が対向した位置にある場合を示す。
図7図5(a)のV-V矢視に相当する部分のオーバーキャップの部分断面図を示し、図7(a)は、係止板部が第1表示部から離れた位置にある場合であり、図7(b)は、係止板部が第1表示部に接近した場合である。
図8図5(a)のV-V矢視に相当する部分のオーバーキャップの部分断面図を示す。
図9】本発明の抜栓キャップの第2実施形態を示し、抜栓キャップを容器本体に装着した状態を正面方向から見た部分断面図である。
図10】第2実施形態に係わるオーバーキャップの平面図を示し、図9(a)は第1表示部と第2表示部とが離れた位置にある場合を示し、図9(b)は第1表示部と第2表示部が対向した位置にある場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る抜栓キャップについて説明する。本実施形態では、化粧水などの化粧料、シャンプー、リンス、液体石鹸、食品調味料等の内容液を注出可能な抜栓キャップについて説明する。
【0022】
以下の説明において、図面においては、図1(a)に示すキャップ軸Oに沿う方向を「軸方向」と記述し、キャップ軸Oを中心とする径方向を単に「径方向」と記述し、キャップ軸Oの周りを周回する方向を「周方向」と記述する。また、図1(a)に示すように、軸方向のうち、中栓Bに対してオーバーキャップCが位置する方向を「上側」と記述し、その逆側を「下側」と記述する。また、周方向のうち、オーバーキャップCが開栓する方向を「螺脱方向」と記述し、オーバーキャップCが閉栓する方向を「螺着方向」と記述する。
【0023】
[第1実施形態]
本実施形態の抜栓キャップDは、図1(a)に示すように、中栓Bと、オーバーキャップCと、を有する。抜栓キャップDは、合成樹脂材料を使用したインジェクション成形により形成される。中栓Bは、容器本体Aの口部1に装着される。オーバーキャップCは、中栓Bに螺合して着脱可能に装着される。なお、容器本体Aの上部に設けられた口部1の外周面には、口部1に装着される中栓Bの抜け止めを行う係合凹部2が環状に設けられる。以下、構成部材毎に詳細に説明する。
【0024】
<中栓B>
中栓Bは、図1(a)、図1(b)、図2図3に示すように、容器本体Aの口部1に装着されて上側に天壁9を有する有頂筒状の中栓本体部60と、天壁9に設けられ上側へ突出する注出筒10と、注出筒10の径方向内側に配置されて軸方向に延びて薄肉弱化部14を介して注出筒10に接続される栓体15と、を有する。
【0025】
(中栓本体部60)
中栓本体部60は、中栓本体部60の下側に配置されて環状に形成された外筒5と、外筒5の径方向内側に配置された内筒6と、外筒5及び内筒6の夫々の上端に繋がって周方向に延びるリング状の上壁7と、上壁7の内周端から上側へ延びる筒状のネジ壁部8と、ネジ壁部8の上端から周方向内側へ延びる円形状の天壁9と、を有して構成される。外筒5と内筒6との間には、環状溝となる嵌合凹部4が環状に設けられる。この嵌合凹部4には、口部1が嵌入可能である。
【0026】
尚、嵌合凹部4を形成する外筒5の下端の内周面には、容器本体Aの口部1の外周面に形成された係合凹部2に係合して中栓Bの抜けを防止する係合凸部27が環状に設けられている。
【0027】
(ネジ壁部8、天壁9)
ネジ壁部8は、図2及び図3に示すように、注出筒10が設けられた天壁9の外周縁から下方に延びて円筒状に形成される。ネジ壁部8の外周面には、雄ネジ23が形成される。本実施形態では、雄ネジ23は多条ネジである。天壁9の周縁部には、外周側を陥没させた段差部25が形成される。この段差部25の径方向内側の周方向に180度異なる位置には、上下方向に延びる凸リブからなる音出し突起26が形成される。
【0028】
図2(a)及び図3(a)に示すように、中栓Bの上壁7上には、周方向に略90度の範囲に渡って形成されたストッパー28が設けられる。ストッパー28は、螺脱方向の端部に上下方向に延びる第1当接面28aと、第1当接面28aから螺脱方向と逆方向となる螺着方向の端部側へ向かって螺着方向の端部まで斜め下方へ傾斜する第1傾斜面28bと、を有してなる。
【0029】
(外筒5)
図2(a)及び図3(b)に示すように、外筒5の下側には、外筒5の外周面から径方向内側へ向かって窪んだ切欠き凹部29が環状に形成される。切欠き凹部29の下端には中栓Bを容器本体Aから分離して分別廃棄をするための分別機構30が設けられる。
【0030】
図2及び図3に示すように、分別機構30は、外筒5の下部外周面の所定円弧範囲に渡って軸方向に貫通形成されて成る窓部を介して周方向に環状に設けられた封緘リング32と、この封緘リング32の一方側の端部に設けられた肉薄状の切断部33と、を有して形成される。
【0031】
中栓Bを容器本体Aから取り外す場合には、切断部33を破断して、封緘リング32の一端を外筒5から切り離すと、封緘リング32が径方向外側に展開して、容器本体Aの口部1の外周面に形成された係合凹部2と中栓B側の係合凸部27との係合を解除することができる。したがって、係合凹部2と中栓B側の係合凸部27との係合が解除されて、嵌合凹部4内から口部1が容易に離脱でき、中栓Bを容器本体Aから分離させて分別廃棄することができる。
【0032】
(注出筒10)
注出筒10は、図1(a)及び図3(b)に示すように、円筒状の基部11と、基部11の上端から上方へ向かって拡径して外側に湾曲形成されたリップ部12と、を有して構成される。基部11の下端には容器本体A内に収容される内容物を注出させる注出口10aが備えられる。注出筒10の基部11の下端の内縁部には、栓体15を除去するための薄肉弱化部14が周方向に環状に設けられる。この薄肉弱化部14の内周縁には栓体15が連結される。薄肉弱化部14を破断して栓体15を注出筒10から除去することで、注出口10aが開口する。従って、注出筒10は、容器本体A内に収容される内容物を注出可能である。
【0033】
(栓体15)
栓体15は上端部が閉鎖された有頂筒状である。栓体15の下端には、薄肉弱化部14に連続して繋がるリング状の底壁17が設けられる。栓体15によって注出口10aが閉鎖されている。
【0034】
底壁17は、図1(b)に示すように、栓体15の上側よりも外径が大きい筒状の拡径部20と、拡径部20の上端部に形成されて径方向外側へ突出する環状の第1係着突部21と、拡径部20の下端に形成されて径方向外側へ延びるリング状のフランジ部22と、を有する。フランジ部22の外周端と注出筒10の基部11の内周端との間に、薄肉弱化部14を介して栓体が一体に連結されている。
【0035】
図3又は図4に示すように、栓体15の外周面には縦長状の凹溝から成る切断凹部18が、周方向に等間隔で6箇所形成されている。6箇所の切断凹部18のうち、互いに軸対称となる2箇所の位置に配置された一組の切断凹部18は、他の4箇所の位置に配置された切断凹部18よりも幅広の寸法を有している。
【0036】
尚、本実施形態では、切断凹部18を周方向6箇所の位置に設けた場合を示したが、切断凹部18の個数は6箇所に限らず、栓体15の形状や大きさに合わせて適宜変更することができる。
【0037】
<オーバーキャップC>
オーバーキャップCは、図1(a)、図5(a)、図5(b)に示すように、中栓Bの外周面に螺合する内キャップC1と、内キャップC1の径方向外側の位置にあって周方向に回動可能な外キャップC2と、を有する。
【0038】
(内キャップC1)
内キャップC1は、内キャップ頂壁部61と、内キャップ頂壁部61の周縁部から下方へ延びて中栓Bの外面に螺合する内キャップ外壁部62と、内キャップ外壁部62の径方向外側に隙間63を有して配置されて、内キャップ外壁部62を周方向に囲む筒状の案内壁部64と、を有する。
【0039】
内キャップ頂壁部61は、図1(a)及び図6(a)に示すように、中栓Bの注出筒10及び天壁9に対向して配置されて軸方向視において円形状である。内キャップ頂壁部61には第1表示部94が設けられる。
【0040】
本実施形態では、第1表示部94は、内キャップ頂壁部61の周縁部の径方向内側に設けられる。第1表示部94は、三角形状の図形であり、三角形の頂部が内キャップ頂壁部61の外周上に位置している。なお、第1表示部94は、内キャップ頂壁部61の周縁部から内側であれば表示位置は限定されない。
【0041】
(案内壁部64、ストッパ部66)
図5(a)及び図5(b)に示すように、内キャップ外壁部62の径方向外側には、内キャップC1と同軸上に配置された案内壁部64が設けられる。案内壁部64は、内キャップ外壁部62の下端と同一平面上の位置から上方へ延びて内キャップ外壁部62の軸方向中間部の位置まで延びる。内キャップ外壁部62と案内壁部64との間の隙間63には、内キャップ外壁部62及び案内壁部64を繋ぐストッパ部66、66´が複数設けられる。本実施形態では、複数のストッパ部66、66´のうち2つのストッパ部66´は、図7(a)に示すように、キャップ軸Oに対して対向配置され、また2つのストッパ部66もキャップ軸Oに対して対向配置される。周方向に隣接するストッパ部66、66´間の間隔は、図8に示すように、同一間隔d1である。ストッパ部66,66´は、立方体状であって軸方向視において四角状に形成される。ストッパ部66,66´の周方向に向く端面に外キャップC2に設けられた係止板部92が接触する。
【0042】
本実施形態では、ストッパ部66´は、図7(b)に示すように、ストッパ部66´に外キャップC2に設けられた係止板部92が当接することで、外キャップC2と内キャップC1とが螺脱方向の回転に対して一体化する。係止板部92の詳細は後述する。
【0043】
本実施形態では、図8に示すように、内キャップ外壁部62と案内壁部64との間の隙間63には、周方向に所定の間隔d1を有して配置された一対のストッパ部66,66´が2対設けられる。夫々の一対のストッパ部66,66´間の隙間63に一つの係止板部92が配置される。なお、一対のストッパ部66,66´は、2対に限るものではなく、3対以上でもよい。
【0044】
内キャップ頂壁部61の下面には、図1に示すように注出筒10側へ延びて注出筒10の内面に接触する切断筒部43が設けられる。本実施形態では、切断筒部43と内キャップ外壁部62とは同軸上に設けられる。また、切断筒部43と内キャップ外壁部62との間には、図5(a)及び図5(b)に示すように、内キャップ頂壁部61の内面から下方へ延びる音出し部材45が周方向に180度の間隔を有して2箇所設けられる。
【0045】
切断筒部43は、閉栓時に、注出筒10内に挿入されてその内壁に密着して密封する密封筒50と、密封筒50の内周面に形成された縦長状の切断凸部51とからなる。切断凸部51は、図4に示すように、栓体15の外周面に形成された切断凹部18に対して係合可能であり、周方向に等間隔で6箇所形成されている。6箇所の切断凸部51のうち、キャップ軸Oに対し互いに軸対称となる2箇所の位置に配置された一組の切断凸部51は、他の4箇所の位置に配置された切断凸部51よりも幅広の寸法を有している。
【0046】
尚、本実施形態では、切断凸部51が、栓体15に形成された切断凹部18と同数で且つ周方向の計6箇所に設けているが、これらは同数であれば6箇所に限られるものではなく、例えば軸対称2箇所の位置に設ける構成であってもよい。また、切断凸部51と切断凹部18とを合わせて、以下、切断機構65と記す。切断機構65は、切断筒部43と栓体15とを外キャップC2の周方向一方(螺脱方向)側への回動に対して一体化させる。切断機構65の作用については、後述する。
【0047】
また、図1(b)に示すように、切断筒部43の下端の内面には、栓体15に周突設された第1係着突部21を乗り越えて、拡径部20の外周面に嵌合する第2係着突部48が環状に設けられる。
【0048】
内キャップ外壁部62は、図1(a)及び図5(a)に示すように、内面に中栓Bのネジ壁部8に形成されている雄ネジ23に螺合可能な雌ネジ55が設けられる。
【0049】
音出し部材45は、内キャップ頂壁部61の内面から下方へ延びる基部45aと、基部45aの径方向内側から下方へ延びる薄板状の振動片45bと、を有する。振動片45bは板厚方向に弾性変形可能である。音出し部材45は、オーバーキャップCの内キャップC1と外キャップC2とが一体的に周方向に回動する際に、振動片45bの先端が中栓Bの段差部25(図3(b)参照)上に設けられた音出し突起26(図3(a)参照)に当接し、振動片45bを湾曲変形させながら振動片45bが音出し突起26を乗り越えて復元しようとして振動し、この際に例えば「カチッ」という音が発生するように構成されている。
【0050】
(外キャップC2)
外キャップC2は、図1(a)及び図5(a)に示すように、内キャップC1の案内壁部64の径方向外側に配置されて案内壁部64の周りを囲む環状の外キャップ外壁部90と、外キャップ外壁部90の上側端に繋がって径方向内側へ延びるとともに内キャップC1の径方向外側を囲む外キャップ頂壁部91と、外キャップ頂壁部91の下側の面から下方へ延びて内キャップ外壁部62と案内壁部64との間の隙間63に挿入される係止板部92と、を有する。
【0051】
外キャップ外壁部90の下部は、中栓Bの外筒5の外側に隙間を有して配置される。外キャップ外壁部90の外面には、滑り止め様のローレット41aが設けられる。外キャップ頂壁部91は、平面視において円環状に形成される。外キャップ頂壁部91の上面は、内キャップC1の内キャップ頂壁部61の上面と同一平面上に位置する。
【0052】
外キャップ頂壁部91には、図6(a)に示すように、第2表示部95が設けられる。本実施形態では、第2表示部95は、三角形状の図形であり、三角形の頂部が内側を向いて配置されている。第2表示部95は三角形状の図形であって第1表示部94の三角形よりも小さい相似形である。なお、第1表示部94及び第2表示部95は三角形状の図形に限るものではない。第1表示部94及び第2表示部95は、四角形状、多角形状、円形状、楕円形状等の図形、文字、記号若しくは色彩又はこれらの結合でもよい。
【0053】
図7(a)に示すように、本実施形態では、内キャップ外壁部62と案内壁部64との間の隙間63に挿入される係止板部92は、軸方向視において、係止板部92の螺着方向側端部がストッパ部66に当接した状態にある。このとき、図6(a)に示すように、第2表示部95と第1表示部94は、周方向に90度離れた位置にある。この状態から外キャップC2を螺脱方向に回転させると、図7(b)に示すように、係止板部92の螺脱方向側端部がストッパ部66´に当接し、図6(b)に示すように、第1表示部94の三角形と第2表示部95の三角形とが径方向において重なる状態に設定される。なお、本実施形態では、係止板部92の螺着方向側端部がストッパ部66に当接した状態にあるときに、第2表示部95と第1表示部94とが周方向に90度離れた位置にある場合を示したが、これに限定されるものではない。
【0054】
前述したように、2対の夫々のストッパ部66,66´間には、図8に示すように、1つの係止板部92が設けられる。本実施形態では、係止板部92は、周方向に180度離れた位置に2つ設けられている。外キャップC2の周方向一方側(螺脱方向側)への回転時に1つの係止板部92が対応するストッパ部66´に接触すると、他の係止板部92が対応するストッパ部66´に同時に接触する。図8に示すように、係止板部92の平面視形状は周方向に延びる隙間63に沿って湾曲する形状である。本実施形態では、2つの係止板部92の周方向長さA1は互いに同一であり、一対のストッパ部66、66´間の周方向長さd1よりも短い。なお、一対のストッパ部66,66´の数および係止板部92の数は2つに限るものではなく、1又は3以上の複数個でもよい。
【0055】
図8に示すように、案内壁部64の内面及び内キャップC1の内キャップ外壁部62の外面の少なくともいずれかには、係止板部92がストッパ部66に接触した状態で、係止板部92がストッパ部66から離れる方向に外キャップC2が回転するのを規制する逆回転防止突起93が設けられる。本実施形態では、逆回転防止突起93は、案内壁部64の内面で且つストッパ部66´から螺着方向に係止板部92の周方向長さA1分だけ離された位置に形成されている。このため、上記接触した状態とすることにより、係止板部92は、ストッパ部66と逆回転防止突起93との間に保持されて、ストッパ部66から離れる方向に係止板部92が回動するのを防止することができる。
【0056】
なお、図8に示す実施形態では、第1表示部94と第2表示部95が径方向に重なる位置にストッパ部66´を設けるとともに、ストッパ部66´から周方向に所定距離を有した位置にストッパ部66を設けたが、第1表示部94と第2表示部95が径方向に重なる位置にのみストッパ部66´を設けてもよい。
【0057】
次に、抜栓キャップDの容器本体Aへの組み付けについて説明する。抜栓キャップDを容器本体Aの口部1に装着するには、オーバーキャップCを中栓Bに打栓して中栓BにオーバーキャップCを組み付けて一体化した後、さらに口部1に中栓Bの嵌合凹部4を打栓して取り付ける。
【0058】
オーバーキャップCを中栓Bに打栓する際には、図3(a)及び図5に示すように、オーバーキャップC側の切断筒部43に形成されている幅広の寸法を有した一組の切断凸部51と、同じく中栓B側の栓体15に形成されている幅広の寸法を有した一組の切断凹部18とを周方向に位置決めした状態で行う。すると、他の4箇所の位置に設けられた切断凹部18と同じく他の4箇所の位置に設けられた切断凸部51同士についても同様に周方向に位置決めされることから、全ての切断凸部51が全ての切断凹部18内に嵌入される。
【0059】
このような状態に設定した上で打栓を行って、オーバーキャップCを中栓Bに押し込むと、図1(a)に示すように、オーバーキャップC側の内キャップC1の内キャップ外壁部62に形成されている雌ネジ55が、中栓B側のネジ壁部8に形成されている雄ネジ23を摺接しながら下方に乗り越え、オーバーキャップC側の内キャップ外壁部62を中栓B側のネジ壁部8に嵌合させることができる。これにより、抜栓キャップDをオーバーキャップCが中栓Bに一体的に組み付くセット初期状態にすることができる。
【0060】
この際、図1(b)に示すように、内キャップC1側の切断筒部43の第2係着突部48が、中栓B側の栓体15に形成されている第1係着突部21を下方に乗り越えるため、切断筒部43を拡径部20に嵌合させることができる。尚、この際には、図3(a)及び図5(a)に示すように、内キャップ外壁部62の下端に形成されているクサビ状凹部56が、中栓Bの上壁7に形成されているストッパー28に当接し、雄ネジ23(図2参照)と雌ネジ55とは螺合が完了した状態に設定される。
【0061】
オーバーキャップCが中栓Bに組み付いたセット状態にある抜栓キャップDは、嵌合凹部4を内容物が充填された容器本体Aの口部1の上に載せた状態で打栓することにより取り付けられる。
【0062】
次に、抜栓キャップDの使用について説明する。
抜栓キャップDを容器本体Aに取り付けた直後のセット初期状態にある抜栓キャップは、図6(a)に示すように、オーバーキャップCの内キャップC1の上面に設けられた第1表示部94と外キャップC2の上面に設けられた第2表示部95とは周方向に位置ずれした位置にある。
【0063】
抜栓キャップDを開栓するには、まず外キャップC2のローレット41aを把持した状態で、図6(a)のセット初期状態から外キャップC2を螺脱方向(開栓方向、半時計回り方向)に回転させる。すると、図7(a)及び図7(b)に示すように、外キャップC2側の係止板部92が、隙間63内を螺脱方向に移動して係止板部92の螺脱方向側端部がストッパ部66´に当接する(図7(a)参照)。このとき、図6(b)に示すように、第1表示部94と第2表示部95とは径方向に重なる位置に配置される。このように、第1表示部94及び第2表示部95は、外キャップC2及び内キャップC1の上面に設けられているので、第1表示部94及び第2表示部95を、視覚を通じて認識することができる。
【0064】
また、第1表示部94及び第2表示部95が径方向に重なる位置に配置されると、図7(a)に示すように、係止板部92がストッパ部66´に当接した状態になるので、さらに外キャップC2を螺脱方向に回転させると後述するように開栓状態とすることが可能となる。このため、本実施例では、2つの三角形が径方向に重なる状態であれば、使用者は抜栓キャップDが開栓状態にあると認識することがきる。
【0065】
またこのときには、逆回転防止突起93が係止板部92の螺脱方向と反対側の端部に当接するため、係止板部92はストッパ部66と逆回転防止突起93との間に保持(ロック)される。
【0066】
更に外キャップC2を回転させると、係止板部92がストッパ部66´に接触しているため、ストッパ部66´を介して、これが設けられた内キャップC1に回転力が伝達されて、内キャップC1を一緒に回転させることができる。これと同時に、切断筒部43の内周面に形成された切断凸部51を介して、これに嵌合している栓体15の切断凹部18に回転力が伝達されるため、栓体15を一緒に回転させることができる。この回転により、オーバーキャップCは、雄ネジ23と雌ネジ55とのネジ送り作用によって上方に移動するとともに、切断筒部43の第2係着突部48が栓体15の拡径部20の外周面に嵌合しているので、オーバーキャップCの回転に伴って栓体15を上方に引き上げる。
【0067】
オーバーキャップCの回転が進むと、栓体15に加わる回転力と引き上げ力との相互作用により、薄肉弱化部14が破断して注出筒10の下端内側に注出口10aが開口する。さらに外キャップC2の回転を進めると、薄肉弱化部14に沿って注出筒10の基部11の内周端と栓体15のフランジ部22の外周端との間が完全に分離する。分離した栓体15は、底壁17の第1係着突部21と係合する切断筒部43の第2係着突部48に係着された状態で引き上げられるため、栓体15を外キャップC2の切断筒部43内に移行させた状態で取り除くことができる。
【0068】
また外キャップC2の回転が進むと、外キャップC2と一体的に回転する内キャップC1側の振動片45bの先端が、中栓B側の音出し突起26に当接し、さらに回転が進むと、振動片45bが湾曲変形しながら音出し突起26を乗り越え、この際に振動片45bが復元して振動することで音を発生させる。よって、使用者は視覚に加えて発生する音によっても抜栓キャップDが開栓状態に設定されたと判別することが可能となる。
【0069】
そして、オーバーキャップCを螺脱させて取り除き、中栓Bを完全に露出させることにより、注出口10a及び注出筒10を介して内容物を注出させることがきる。
【0070】
内容物を注出した後、再びオーバーキャップCを中栓Bに装着させて螺合させると、内キャップC1側の切断筒部43が注出筒10の内周に密着するため、容器内を再度密封状態に設定することができる。また外キャップC2を螺着方向に回転させても係止板部92がストッパ部66´と逆回転防止突起93との間に保持(ロック)される状態が維持され、第1表示部94と第2表示部95とが対向する位置関係に変化が生じることはない。このため、対向する位置関係にある第1表示部94及び第2表示部95を視認することが可能となることから、使用者は抜栓キャップDが開栓状態にあることを視覚的に容易に判別することができる。
【0071】
[第2実施形態]
次に、本発明に係る抜栓キャップDの第2実施形態について説明する。第2実施形態では、前述した第1実施形態との相違点のみについて説明し、第1実施形態と同一態様部分については同一符号を付してその説明は省略する。図9に示すように、外キャップC2は、外キャップ頂壁部91から径方向内側へ延びて内キャップ頂壁部61を覆う延長頂壁部91aを有する。外キャップC2は、内キャップC1の外側を覆うように装着されて内キャップC1に対して周方向に摺動可能である。図10(a)及び図10(b)に示すように、延長頂壁部91aには第2表示部95が設けられる。第2表示部95は、延長頂壁部91aを貫通する窓部95aである。
【0072】
第2表示部95となる窓部95aは、図10(a)及び図10(b)に示すように、延長頂壁部91aの外周縁の内側に位置して周方向に延びる長孔状に形成される。窓部95aの周縁部は上側から下側に進むに従って内側に傾斜する傾斜面96を有する。この傾斜面96によって、使用者による窓部の視覚的認識を容易にすることができる。
【0073】
第1表示部94は、本実施形態では、内キャップ頂壁部61の周縁部の内側に設けられ、「開栓済」という文字である。第1表示部94は、開栓状態であることを認識できればよく、「OPEN」の文字でもよい。
【0074】
次に、本発明に係わる第2実施形態の抜栓キャップDの使用について説明する。
抜栓キャップDを容器本体Aに取り付けた直後の初期状態にある抜栓キャップは、図10(a)に示すように、外キャップC2側に設けられた窓部95aと内キャップC1の上面に表示された第1表示部94である文字とは周方向に位置ずれした位置にあり、窓部95aを通じて内部の第1表示部94である文字を認識することができない。
【0075】
抜栓キャップDを開栓するには、まず外キャップC2の外周壁41のローレット41aを把持した状態で、図10(a)のセット初期状態から外キャップC2を螺脱方向(開栓方向、半時計回り方向)に回転させる。すると、図10(b)に示すように、外キャップC2に形成された窓部95aと内キャップC1に設けられた第1表示部94の文字とが上下方向に重なる位置に配置されるため、この窓部95aを介して内キャップC1の上面に表示されている文字を、視覚を通じて認識することができる。本実施形態では、窓部95aを介して「開栓済」の文字を認識することができるため、使用者は抜栓キャップDが開栓状態にあることを認識することがきる。
【0076】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、オーバーキャップを回転させることで中栓側の栓体を切断して注出口を形成する抜栓キャップの分野における用途展開をさらに広い領域で図ることができる。
【0078】
例えば、上記実施例では、閉栓終了後の回転を止めるために、中栓B及びオーバーキャップCにストッパー28及びクサビ状凹部56を設けた構成、及び音出し突起26と音出し部材45による音出し機構を有する構成を示して説明したが、使用者は、表示部3cによってオーバーキャップCの閉栓状態に至ったことを知ることができるため、ストッパー28及びクサビ状凹部56を有しない構成とすることもできるし、または音出し機構を有しない構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0079】
A : 容器本体
B : 中栓
C : オーバーキャップ
C1 : 内キャップ
C2 : 外キャップ
D : 抜栓キャップ
O : キャップ軸
1 : 口部
2 : 係合凹部
4 : 嵌合凹部
5 : 外筒
6 : 内筒
7 : 上壁
8 : ネジ壁部
9 : 天壁
10 : 注出筒
10a: 注出口
11 : 基部
12 : リップ部
14 : 薄肉弱化部
15 : 栓体
17 : 底壁
18 : 切断凹部
20 : 拡径部
21 : 第1係着突部
22 : フランジ部
23 : 雄ネジ
25 : 段差部
26 : 音出し突起
27 : 係合凸部
28 : ストッパー
28a: 第1当接面
28b: 第1傾斜面
29 : 切欠き凹部
30 : 分別機構
32 : 封緘リング
33 : 切断部
41a: ローレット
42 : 傾斜面
43 : 切断筒部
45 : 音出し部材
45a: 基部
45b: 振動片
48 : 第2係着突部
50 : 密封筒
51 : 切断凸部
55 : 雌ネジ
56 : クサビ状凹部
58 : 振動片
60 : 中栓本体部
61 : 内キャップ頂壁部
62 : 内キャップ外壁部
63 : 隙間
64 : 案内壁部
65 : 切断機構
66、66´ : ストッパ部
67 : 外周
90 : 外キャップ外壁部
91 : 外キャップ頂壁部
91a: 延長頂壁部
92 : 係止板部
93 : 逆回転防止突起
94 : 第1表示部
95 : 第2表示部
95a: 窓部
96 : 傾斜面
97 : 内周
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10