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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】設置構造及び設置構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20240311BHJP
   E04B 1/64 20060101ALI20240311BHJP
   E04B 1/00 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
E04H1/12 B
E04H1/12 308
E04B1/64 C
E04B1/00 501H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019162726
(22)【出願日】2019-09-06
(65)【公開番号】P2021042524
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】清水 亨
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-112542(JP,A)
【文献】特開2003-096998(JP,A)
【文献】特許第5870383(JP,B2)
【文献】特開2018-017040(JP,A)
【文献】特開2013-124516(JP,A)
【文献】米国特許第05472466(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
E04B 1/62-1/99
E04B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面が建物本体の開口部が形成された外壁に対向して配置されるとともに、側面の少なくとも一方が前記外壁と入隅部を構成する前記建物本体の側壁に対向して配置される建物外部構築物における設置構造であって、
前記建物外部構築物は、壁部を備え、
前記側壁に隣接する前記壁部と前記側壁との間に設けられ、かつ前記壁部の相対変位に追従可能な設置部材を備え
前記壁部は、前記建物外部構築物の前面に設けられる前面壁部を含み、
前記設置部材は、
前記前面壁部に取り付けられる第1設置部材と、前記側壁に取り付けられる第2設置部材と、を有し、
前記第1設置部材と前記第2設置部材が互いに水平方向に重複して配置されることで、前記前面壁部の水平方向の相対変位に追従可能である、設置構造。
【請求項2】
背面が建物本体の開口部が形成された外壁に対向して配置されるとともに、側面の少なくとも一方が前記外壁と入隅部を構成する前記建物本体の側壁に対向して配置される建物外部構築物における設置構造であって、
前記建物外部構築物は、壁部を備え、
前記側壁に隣接する前記壁部と前記側壁との間に設けられ、かつ前記壁部の相対変位に追従可能な設置部材を備え、
前記建物本体は、前記側壁と出隅部を構成する第2外壁を備え、
前記建物外部構築物の前面は、前記第2外壁よりも前記建物本体の外部側に突出し、
前記壁部は、前記側壁に対向し、前記建物外部構築物の側面に設けられる側面壁部を含み、
前記設置部材は、
前記側面壁部に取り付けられる第1設置部材と、前記第2外壁に取り付けられる第2設置部材と、を有し、
前記第1設置部材と前記第2設置部材が互いに水平方向に重複して配置されることで、前記側面壁部の水平方向の相対変位に追従可能である、設置構造。
【請求項3】
前記設置部材は、前記壁部の相対変位に追従可能に弾性変形する弾性部材で構成される、請求項1又は2に記載の設置構造。
【請求項4】
前記建物外部構築物は、前記建物本体の開口部が形成された外壁との間に介設される介装構造体を備え、前記介装構造体は、前記建物本体の開口部が形成された外壁との間に前記設置部材を備える、請求項1~いずれかに記載の設置構造。
【請求項5】
前記建物外部構築物の支柱の幅は同一である、請求項に記載の設置構造。
【請求項6】
請求項1~いずれかに記載の設置構造を備える、建物外部構築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物外部構築物の設置構造及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅や店舗などの多機能化を図り、利便性、快適性を向上させる目的で設置されるガーデンルームやテラス囲い等の建物外部構築物が知られている。このような建物外部構築物は、例えば建物の屋外側に屋根部と柱とを備えて構成される。
【0003】
上記のような建物外部構築物に関し、特許文献1には、掃き出し窓を設けた建物の外壁とテラスの間に、アルミニウムの柱材と桁材を備える鳥居部材(介装構造体)を外壁の代わりに配置することで、建物の外壁に孔をあけることなく、外部構築物を取り付けることができる発明が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、特許文献1に開示されているような介装構造体を備える建物外部構築物において、屋根部に雪荷重や風荷重が作用することで、建物本体との間にたわみが生じた場合であっても許容して隙間を閉塞できる発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5603920号公報
【文献】特許第5870383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような建物外部構築物を、建物本体の開口部が形成された外壁面と、その他の外壁面により構成される入隅部に設置する場合がある。このような場合に、建物外部構築物とその他の外壁面との間は止水等の目的で被覆する必要があるが、例えばシーリング材により被覆を行った場合、建物外部構築物の屋根部に雪荷重等の荷重が作用することでたわみが生じ、シーリング材が変形する、あるいは剥離する恐れがある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、建物外部構築物を入隅部に設置する場合において、建物外部構築物と、開口部が形成された外壁以外のその他の外壁との間を、建物外部構築物を躯体に固定することなく被覆できる、設置構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、背面が建物本体の開口部が形成された外壁に対向して配置されるとともに、側面の少なくとも一方が前記外壁と入隅部を構成する前記建物本体の側壁に対向して配置される建物外部構築物における設置構造であって、前記建物外部構築物は、垂木を有する屋根部と、前記屋根部を支持する支柱と、を備え、前記垂木のうち前記側壁に対向する端部垂木と前記側壁との間に設けられ、かつ前記屋根部の相対変位に追従可能な設置部材を備える、設置構造に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る建物外部構築物を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る建物外部構築物を示す上面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る建物外部構築物の介装構造体を示す正面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る設置構造の縦断面図である。
図5】本発明の第3、第4実施形態に係る設置構造を示す斜視図である。
図6】本発明の第3、第4実施形態に係る設置構造を示す断面図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る設置構造の施工方法を示す図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る設置構造の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る建物外部構築物Bの概略を示す斜視図である。図2は、第1実施形態に係る建物外部構築物Bを示す上面図である。
【0011】
[建物外部構築物]
まず、本発明の第1実施形態に係る建物外部構築物Bの全体構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る建物外部構築物Bは、テラス囲いであり、背面が建物本体Tの開口部が形成された外壁T1に対向し、側面の一方が、外壁T1と入隅部を構成する側壁T2に対向している。
建物外部構築物Bは、前面壁部1と、屋根部2と、一対の側面壁部3a、3bと、を有する外部構築物B1を備える。また、建物外部構築物Bは、建物本体の外壁T1との間に介設される介装構造体B2を備える。
【0012】
外部構築物B1の前面壁部1は、例えば建物本体Tのサッシ窓等の開口部が形成された外壁T1から所定の間隔で離間し、かつ外壁T1に沿って略平行に配置される。
前面壁部1は、腰壁部4と、腰壁部4の上方の採光壁部11を備える。
【0013】
腰壁部4は、前桁10及び所定の間隔毎に配置される支柱5及び束柱7を用いて設置される。支柱5及び束柱7は、地面を掘削して打設されたコンクリート製の基礎に下端部が埋設され、アンカー棒等により基礎に固定される(図示せず)。腰壁部4の上端には、下枠13が取り付けられる。
【0014】
採光壁部11は、下枠13と、支柱5と、支柱5の上端部に接続して架設された前枠18と、により構成され、ガラス板やポリカーボネート等の光透過性部材で構成された前面パネル6が配置される。
【0015】
前桁10及び束柱7上には大引き(図示せず)が所定の間隔毎に設けられ、更に大引き上にはデッキ材12が配置されて床面が構成される。
【0016】
図2に示すように、本実施形態においては、支柱5の幅W1と奥側支柱5aとの幅W2が略同一に構成されている。これにより、建物外部構築物Bと側壁T2との間に隙間が生じることなく建物外部構築物Bを設置できると共に、デッキ材12により構成される床の収まりも良好となる。
【0017】
外部構築物B1の側面壁部3a、3bの下端部は、支柱5と奥側支柱5aとにそれぞれ両端が接続された妻梁16により構成され、上端部は同様に支柱5と奥側支柱5aとにそれぞれ両端が接続された側枠19から構成される。
建物外部に向けて配置される側面壁部3bは、本実施形態において採光壁部11と同様の光透過性部材で構成されたパネルが配置された、窓や折り戸、扉等により適宜構成される。側面壁部3bにおける、側枠19と屋根部2における端部垂木9bと奥側支柱5aとで囲まれた三角形状の枠内には、光透過性部材により構成されるFIX窓17が配置される。側面壁部3bと対向する他の側面壁部3aは、側壁T2と対向し、パネル等の部材を配置せずに構成できる。なお、他の側面壁部3bの一部が建物外部に通じる部分入隅の場合、適宜、光透過性部材等で構成されたパネル等を他の側面壁部3bに配置してもよい。
【0018】
外部構築物B1の屋根部2は、一端部が前枠18に接続され、他端部が垂木掛け8に接続され、所定の間隔を空けて配設される複数の垂木9と、垂木9同士を連結する中骨材15によって構成される。垂木9は、屋根部2の一端2aに向かうに従い下方に傾斜して配設され、屋根部2全体として一端2aに向かうに従い下方に傾斜する構成となっている。
屋根面を形成する屋根材14としては、採光壁部11や側面壁部3bと同様の光透過性部材で構成されたパネルが配置される。
【0019】
屋根部2の端部に配置される垂木である端部垂木9a、9bのうち、側壁T2に対向する端部垂木9aには、第1設置部材30が設けられる。また、側壁T2には、第1設置部材30と接続される第2設置部材31が設置される。
【0020】
外部構築物B1を構成する支柱5、束柱7、垂木9、端部垂木9a、9b、前桁10、下枠13、妻梁16、前枠18、側枠19等の材質は特に制限されるものではないが、例えばアルミ押出成形によるものが用いられる。
【0021】
(介装構造体)
介装構造体B2は、図1及び図3に示すように、一対の縦材20と、一対の縦材20の上端部同士を連結する横材21からなる枠体22を備え、枠体22は、建物本体Tの外壁T1に沿って立設されている。このような介装構造体B2を設けることで、建物本体Tの外壁T1に凹凸がある場合においても、外壁T1と介装構造体B2との間に適宜塞ぎ材等を設け、介装構造体B2に外部構築物B1を接続して建物外部構築物Bを構成することができる。
【0022】
図3に示すように、枠体22は、地盤を掘削し、砕石23を敷設すると共に打設されたコンクリート製の基礎24に、縦材20の下端部が埋設されて構築される。
この際、縦材20の下端部を基礎24の下端まで埋設させることが好ましい。これにより、枠体22は強固に固定支持される。
【0023】
枠体22を構成する一対の縦材20及び横材21の材質としては、特に制限されるものではないが、外部構築物B1における部材と同様、例えばアルミ押出成形によるものが用いられる。
【0024】
本実施形態に係る介装構造体B2と外壁T1との間に、設置構造を設けてもよい。この場合、以下で説明する第1実施形態に係る第1設置部材30及び第2設置部材31と同様の構成の部材を、介装構造体B2の横材21及び外壁T1に設けることができる。又は、第2実施形態に係る第1設置部材30と同様の構成の部材を、介装構造体B2の横材21に設けることができる。これにより、建物外部構築物Bを外壁T1に固定することなく、外壁T1との間を被覆し、止水できる。
【0025】
なお、介装構造体B2と外部構築物B1との間は、垂木掛け8を横材21に密着させ、あるいは垂木掛け8の先端部を横材21に埋め込んで構成することにより被覆される。
【0026】
[設置構造]
次に、本発明の実施形態に係る設置構造について説明する。
【0027】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る設置構造は、端部垂木9aに設けられる第1設置部材30と、側壁T2に設置される第2設置部材31により構成される。
【0028】
図4は、端部垂木9aとその上面に設けられる第1設置部材30及び、側壁T2に設置される第2設置部材31を示す縦断面図である。図4に示すように、端部垂木9aの上面には屋根部を構成する屋根材14が接続され、下端には側面壁部を構成する部材3が接続されている。
【0029】
第1設置部材30は、略帯状に形成される本体部30dと、本体部30dに対して略垂直に屹立するフィン部30bと、を備える。本体部30dは、ビス等の固定具30aにより端部垂木9aの上面に当接して固定される。本体部30dと端部垂木9aとの隙間には、シーリング材40が充填される。
フィン部30bの先端には、後述する第2設置部材の係合爪31cと係合可能な係合爪30cが形成されている。また、第1設置部材30の端部は、被覆部材で被覆されている(図4の二点鎖線部)。
なお、本実施形態において、フィン部30bと側壁T2との間には隙間が存在するが、フィン部30bは側壁T2に当接していてもよい。
【0030】
第2設置部材31は、略帯状に形成される本体部31bを有し、本体部31bの上端部はビス等の固定具31aにより建物本体Tの側壁T2に固定されている。本体部31bの上端部と側壁T2との隙間には、シーリング材41が充填される。また、第2設置部材31の端部は、被覆部材で被覆されている(図4の二点鎖線部)。
【0031】
本体部31bの下端部には、第1設置部材の係合爪30cと係合可能な係合爪31cが形成されている。また、本体部31bの中央付近にはヒンジ構造を有する屈曲部32が形成されている。
【0032】
なお、第1設置部材30及び第2設置部材31の材質としては特に制限されるものではないが、外部構築物B1や介装構造体B2における部材と同様、例えばアルミ押出成形によるものが用いられる。
【0033】
次に、第1実施形態に係る設置構造の、屋根部の相対変位に追従可能な構成について説明する。
図4(A)は、屋根材14及び端部垂木9a等により構成される、建物外部構築物Bの屋根部が変位していない状態を示す状態図であり、図4(B)は、屋根部に積雪等の荷重が加わり、下方向に距離Mだけ変位した状態を示す状態図である。
【0034】
図4(A)に示すように、屋根部が変位していない状態においては、第1設置部材30におけるフィン部30bは、第2設置部材31により被覆され、フィン部30bの先端部は、第2設置部材31の本体部31bの内面の上端付近と略当接し、第2設置部材31における本体部31bの先端部は、第1設置部材の本体部30dと略当接している。すなわち、第1設置部材30と、第2設置部材31との接続箇所は、上下方向に重複して配置される。
【0035】
図4(B)は、屋根部に積雪等の荷重が加わり、屋根部が距離Mだけ下方に変位した状態を示す。この状態においては、第1設置部材30におけるフィン部30bの先端付近が第2設置部材31により被覆され、フィン部30bの先端に形成された係合爪30cと、第2設置部材の本体部31bの先端に形成された係合爪31cとは近接するか互いに係合して接続される。
【0036】
このように、第1設置部材におけるフィン部30bは、第2設置部材31により被覆されているため、第1設置部材と第2設置部材の隙間から水が浸入した場合においても、第1設置部材30と側壁T2との間に水が浸入することがなく、建物外部構築物Bと側壁T2との間を被覆し、止水できる。
【0037】
また、第1設置部材30と、第2設置部材31との接続箇所は、上下方向に重複して配置されるため、屋根部が下方に変位した場合においても追従可能であり、互いの係合爪30c及び31cによる接続が外れない限り、建物外部構築物Bと側壁T2との間を被覆し、止水を維持することができる。
なお、第2設置部材におけるヒンジ構造を有する屈曲部32により、係合爪31cが形成された本体部31bの下端部が、側壁T2から離隔する方向に移動することが許容されるため、係合爪30cと係合爪31cとの係合状態を好ましく維持できると共に、屋根部に過剰な変位が生じた際の設置部材の破損を防止できる。
【0038】
また、第2設置部材31には建物外部構築物Bの荷重が加わらず、固定具31aによる固定は第2設置部材31自体の荷重を支える為に必要な強度で足りる。これにより、建物外部構築物Bを側壁T2に固定することなく、建物外部構築物Bの屋根部2と、側壁T2との間を被覆し、止水できる。
【0039】
(第1実施形態の設置構造の施工方法)
図7は、第1実施形態に係る設置構造の施工方法を示す斜視図である。
図7(A)に示すように、まず、建物外部構築物Bの端部垂木9aの上面に、第1設置部材30の本体部30dを載置し、ビス等の固定具を用いて固定することで第1設置部材30を設置する。端部垂木9aは、屋根部2の先端に向かうに従い下方向に傾斜しているため、第1設置部材30も同様に、屋根部2の先端に向かうに従い下方向に傾斜して載置される。
【0040】
次に、図7(A)の矢印部で示すように、第2設置部材31を、上方から第1設置部材30に向けて移動させる。そして、図7(B)に示すように、第2設置部材31の本体部31bの下端部を、第1設置部材30の本体部30dに載置させることで第2設置部材31の位置決めを行う。そして、第2設置部材31を、側壁T2にビス等の固定具を用いて取り付け固定する。なお、第1設置部材30の形状に応じて、第2設置部材31を端部垂木9a等、屋根部2を構成する部材に載置することもできる。
【0041】
通常は、傾斜して設置される第1設置部材30に対して、一定の重複部分を有するように第2設置部材を接続して施工しなければならないことから、施工のためには測定等の作業を要するが、上記方法により、傾斜して設置される第1設置部材30に対して接続される第2設置部材31を、容易に位置決めして側壁T2に固定できる。
【0042】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る設置構造は、端部垂木9aと側壁T2との間に設けられる設置部材30により構成される。本実施形態に係る設置部材30は、屋根部2の相対変位に追従可能に弾性変形する弾性部材である。
図8は、端部垂木9aと、その上面に設けられる第2実施形態に係る設置部材30を示す縦断面図である。本実施形態において、端部垂木9aと側壁T2との間には所定の間隔(隙間H)が空いている。
【0043】
第2実施形態に係る設置部材30は、図8に示すように、弾性部材で構成された本体部30eを有し、下端部30fが、固定部材33によって端部垂木9aに固定され、上端部30f’が固定部材34によって側壁T2に固定されている。
【0044】
第2実施形態に係る設置部材30を構成する弾性部材としては、特に制限されず、ゴム、板バネ、コイルバネ、蛇腹構造を有する部材等、弾性変形可能な部材を用いることができる。
【0045】
固定部材33は、ビス等の固定具33aによって端部垂木9aに固定され、レール状の係合部33bを有する。係合部33bには、設置部材30の下端部30fが係合して固定される。
固定部材34についても同様に、ビス等の固定具34aによって側壁T2に固定され、レール状の係合部34bに、設置部材30の上端部30f’が係合して固定される。
【0046】
第2実施形態に係る設置部材30は、弾性部材で構成された本体部30eを有するため、端部垂木9a等により構成される屋根部が積雪等の荷重により変位した場合においても、本体部30eが当該変位に追従して弾性変形することで、建物外部構築物Bと側壁T2との間の被覆を維持することができる。
また、側壁T2に固定される固定部材34には、建物外部構築物Bの荷重が直接加わらないため、建物外部構築物Bを側壁T2に固定することなく、建物外部構築物Bと側壁T2との間の被覆を維持することができる。
【0047】
(第3実施形態)
図5(A)、図6(A)に示す第3実施形態に係る設置部材について以下説明する。
図5(A)、図6(A)に示す設置部材は、図5(A)に示す建物外部構築物Bに設けられる。本実施形態に係る建物外部構築物Bは、上記説明した第1実施形態に係る建物外部構築物Bと同様のテラス囲いである。建物外部構築物Bの前面には、壁部としての前面壁部1が設けられる。前面壁部1の前面側には、屋根部の雨水を排水するための雨樋50が設けられる。
雨樋50は、竪樋51と、カバー部材52と、軒樋53と、を含む。
竪樋51は、支柱5に沿って上下方向に延びて配置される略円筒形状の筒体であり、内部に雨水が流通する流路54を有する。竪樋51は、支柱5に固定されると共に、周囲をカバー部材52で被覆される。竪樋51及びカバー部材52の上端部は軒樋53に連結される。竪樋51の下端部には、雨水を外部に排出する排水口が設けられる(図示省略)。
軒樋53は、前枠18に沿って略水平方向に延在し、前枠18に固定され、又は前枠18と一体に形成される。軒樋53は、上方に開口する略C字状の断面形状を有する。
屋根部を伝ってくる雨水は、軒樋53で受け止められ、竪樋51の流路54に流入し、排水口から外部に排出される。
【0048】
本実施形態に係る設置部材は、前面壁部1と、側壁T2との間に設けられる。設置部材は、図5(A)に示すように、カバー部材52に沿って上下方向に延びて配置され、カバー部材52の前面に当接して固定される第1設置部材30Aと、第1設置部材30Aと接続され、上下方向に延びて側壁T2に設置される第2設置部材31Aにより構成される。
なお、第1設置部材30Aは、カバー部材52以外の前面壁部1の前面側に設けられる他の部材、例えば支柱5に固定して配置してもよい。
第1設置部材30Aと、第2設置部材31Aの上端は、支柱5の上端と略同一の高さとなるように配置される。なお、支柱5の上端及び端部垂木9aの先端部は、外力による変位が少ないことが見込まれる箇所であるため、シーリング材等により被覆できる。
第1設置部材30Aと、第2設置部材31Aの下端は、例えば、外部構築物B1の床面より下方の任意の位置となるように配置できる。
【0049】
図6(A)は、本実施形態に係る設置部材を示す横断面図であり、カバー部材52とその前面に設けられる第1設置部材30A及び、側壁T2に設置される第2設置部材31Aを示す。図6(A)に示すように、本実施形態において、支柱5及びカバー材52は、側壁T2に略当接している。
第1設置部材30A及び、第2設置部材31Aは、第1実施形態に係る第1設置部材30及び、第2設置部材30とそれぞれ同様の構成を有し、建物外部構築物Bの前面壁部1側から、建物本体Tの外壁T1側に向かう水平方向に互いに重複する接続箇所を有する。
これにより、図6(A)に示すように、建物外部構築物Bの前面壁部1側から風圧等の外力が加わり、図6(A)の矢印方向に前面壁部1が変位した場合においても、第1設置部材30A及び第2設置部材31Aは水平方向に互いに重複する接続箇所を有するため、変位に追従可能であり、建物外部構築物Bと側壁T2との間を被覆し、止水を維持できる。
また、第1実施形態に係る設置部材と同様に、建物外部構築物Bを側壁T2に固定することなく、建物外部構築物Bの前面壁部1と、側壁T2との間を被覆し、止水できる。
【0050】
(第4実施形態)
次に、図5(B)、図6(B)に示す第4実施形態に係る設置部材について以下説明する。
図5(B)、図6(B)に示す設置部材は、図5(B)に示す建物外部構築物Bに設けられる。本実施形態に係る建物外部構築物Bは、上記説明した第1実施形態に係る建物外部構築物Bと同様のテラス囲いを構成する。建物外部構築物Bの前面壁部1には、上記第3実施形態と同様に、支柱5及び、支柱5に沿って上下方向に延びて配置される雨樋50が設けられる。
図5(B)に示すように、建物本体Tは、側壁T2と出隅部を構成する第2外壁としての外壁T3を備える。そして、建物外部構築物Bの前面である前面壁部1は、外壁T3よりも建物本体Tの外部側に突出している。
【0051】
側壁T2に対向する建物外部構築物Bの側面には、壁部としての側面壁部3aが設けられる。側面壁部3aの、出隅部と近接する箇所には、上下方向に延びて方立5bが配置される。方立5bの上端は、端部垂木9aと接続される。側面壁部3aの、建物外部に通じる箇所は、支柱5と方立5bの間の箇所及び、側枠19と端部垂木9aとの間に設けられるFIX窓17aである。これらの箇所には、例えば光透過性部材により構成されるパネルが配置される。
【0052】
本実施形態に係る設置部材は、側面壁部3aと、側壁T2との間に設けられる。設置部材は、図5(B)に示すように、方立5bに沿って上下方向に延びて配置され、方立5bに当接して固定される第1設置部材30Bと、第1設置部材30Bと接続され、上下方向に延びて外壁T3に設置される第2設置部材31Bにより構成される。
なお、第1設置部材30Bは、方立5b以外の側面壁部3aに設けられる他の部材に固定して配置してもよい。
第1設置部材30Bと、第2設置部材31Bの上端は、端部垂木9aの上端と略同一の高さとなるように配置される。なお、端部垂木9aの上端部は、外力による変位が少ないことが見込まれる箇所であるため、シーリング材等により被覆できる。
第1設置部材30Bと、第2設置部材31Bの下端は、例えば、外部構築物B1の床面より下方の任意の位置となるように配置できる。
【0053】
図6(B)は、方立5bと、方立5bに当接して設けられる第1設置部材30B及び、外壁T3に設置される第2設置部材31Bを示す横断面図である。図6(B)に示すように、本実施形態において、方立5bは、側壁T2に略当接している。
第1設置部材30B及び、第2設置部材31Bは、第1実施形態に係る第1設置部材30及び、第2設置部材30とそれぞれ同様の構成を有し、建物本体Tの側壁T2に対向して配置される側面壁部3a側から、建物外部に向けて配置される側面壁部3b側に向かう水平方向に互いに重複する接続箇所を有する。
これにより、図6(B)に示すように、外部構築物B1の側面壁部3a側から風圧等の外力が加わり、図6(B)の矢印方向に側面壁部3aが変位した場合においても、第1設置部材30B及び第2設置部材31Bは水平方向に互いに重複する接続箇所を有するため、変位に追従可能であり、建物外部構築物Bと側壁T2との間を被覆し、止水を維持できる。
また、第1実施形態及び第2実施形態に係る設置部材と同様に、建物外部構築物Bを側壁T2や外壁T3に固定することなく、建物外部構築物Bの側面壁部3aと、側壁T2との間を被覆し、止水できる。
【0054】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0055】
本発明の実施形態に係る設置構造を、止水を目的とするものとして説明したが、これに限定されない。設置構造は、防塵、防虫、保温、保冷等、他の目的を有するものであってもよい。
【0056】
本発明の実施形態に係る建物外部構築物Bを、建物本体Tにおける開口部が形成された外壁T1に背面が対向し、側面の一方が外壁T1と入隅部を構成する側壁T2に対向して配置されるものとして説明したが、この構成に限定されない。建物外部構築物Bは、外壁T1と入隅部を構成するその他の外壁と対向していてもよい。すなわち、三方向で建物本体Tの外壁と対向していてもよい。この場合、上記その他の外壁と建物外部構築物Bとの間にも、本発明の設置構造が設けられる。
【0057】
本発明の実施形態に係る設置構造が設けられる建物外部構築物Bを、テラス囲いとして説明したが、これに限定されない。建物外部構築物Bは、サンルームやバルコニー、ガーデンルーム等であってもよい。また、カーポート、オープンテラス等のサイドスルータイプの建物外部構築物の屋根部に、本発明の設置構造を設けてもよい。
【0058】
本発明の第1実施形態に係る設置構造の説明において、第1設置部材30を端部垂木9aに対して固定具30aで接続される別部材として説明したが、この構成に限定されない。第1設置部材30は、端部垂木9aと一体として形成されるものであってもよい。
【0059】
本発明の第1実施形態に係る設置構造の説明において、端部垂木9aと側壁T2との間は隙間を有しない構成となっているが、この構成に限定されない。第2実施形態のように、端部垂木9aと側壁T2との間に隙間が空いていてもよい。
【0060】
本発明の第1実施形態に係る第2設置部材31を、屈曲部32を有するものとして説明したが、この構成に限定されない。第2設置部材31は、屈曲部32を設けずに構成することもできる。
【0061】
本発明の第2実施形態に係る設置部材30を、端部垂木9a及び側壁T2に固定されるものとして説明したが、これに限定されない。例えば設置部材30をゴム等の弾性部材により形成し、設置部材30を端部垂木9a又は側壁T2のうちいずれかに固定し、屋根部2が変位した場合においても密着状態を維持できるように構成することもできる。
【0062】
本発明の第2実施形態に係る設置部材30は、屋根部2と側壁T2との間だけでなく、前面壁部1又は側面壁部3aと側壁T2との間に設けることもできる。
【符号の説明】
【0063】
T 建物本体
T1 外壁
T2 側壁
T3 第2外壁
B 建物外部構築物
B2 介装構造体
1 前面壁部(壁部)
2 屋根部
3a 側面壁部
5 支柱
9 垂木
9a 端部垂木
30 設置部材(第1設置部材、設置構造)
31 第2設置部材(設置構造)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8