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特許7451127プローブ追跡システム内における追跡ボリュームの拡大
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】プローブ追跡システム内における追跡ボリュームの拡大
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20240311BHJP
   A61B 18/14 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B18/14
【請求項の数】 5
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019181208
(22)【出願日】2019-10-01
(65)【公開番号】P2020054816
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-08-12
(31)【優先権主張番号】62/740,012
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/568,446
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517156539
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel) Ltd.
【住所又は居所原語表記】4 Hatnufa Street, P.O. BOX 275, Yokneam, ISRAEL 2066717
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】タミル・アブラハム・イェリン
(72)【発明者】
【氏名】ファレス・セーフ
(72)【発明者】
【氏名】タミル・デムリ
(72)【発明者】
【氏名】トアム・シェメシュ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・オサドチー
(72)【発明者】
【氏名】ダン・シュテインベルグ
(72)【発明者】
【氏名】シャウル・ハイム・ラズ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・メイデル
(72)【発明者】
【氏名】メナヘム・シェクター
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-102551(JP,A)
【文献】特開2007-061612(JP,A)
【文献】特開2010-082446(JP,A)
【文献】特開2009-034513(JP,A)
【文献】特開2010-115491(JP,A)
【文献】特表2016-510633(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0197111(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/20
A61B 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブ追跡システム内で追跡ボリュームを拡大するためのシステムであって、
互いに対する位置が既知である遠位電極と近位電極を含むプローブと、
複数の導電性チャネルと、
患者の身体の領域で前記患者の皮膚に取り付けられ、前記複数の導電性チャネルにそれぞれ接続された複数の第1の電極と、
前記複数の導電性チャネルのうちの1つに接続されている第2の電極であって、前記プローブの挿入点が前記複数の第1の電極と第2の電極の間となるように前記患者の皮膚に取り付けられる第2の電極と、
プロセッサであって、
前記患者の身体内の第1の位置にある前記プローブの前記遠位電極と前記近位電極のそれぞれの正規化電流値I =I /I と、前記遠位電極と前記近位電極間の距離と、前記第1の位置と、に基づいて、前記正規化電流値と前記遠位電極又は前記近位電極の位置との間の線形関数を算出し、ここで、I は、前記プローブから前記第2の電極を介して前記複数の導電性チャネルのうちの前記1つへ流れる第2の電流の第2の電流値であり、I は、前記プローブから前記複数の第1の電極を介して前記複数の導電性チャネルへそれぞれ流れる複数の第1の電流の複数の第1の電流値と、前記第2の電流値との合計であり、
前記線形関数及び継続的に取得される前記正規化電流値I に基づいて、前記領域と前記第2の電極との間の前記プローブの位置を計算するように構成された、プロセッサと、を備える、システム。
【請求項2】
前記領域は、前記患者の胸郭の少なくとも一部を含み、
前記複数の第1の電極は前記胸郭に取り付けられ、
前記第2の電極は前記患者の大腿部に取り付けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記プローブの前記位置が第1の領域内にあることを確認し、
前記確認に応答して、前記複数の導電性チャネルのうちの前記1つから前記第2の電極を切断するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記遠位電極と前記近位電極の間の、プローブの侵入点から心臓まで延びる軸に沿ったy軸に平行な距離ΔD(t)を見つけ、距離ΔD(t)と、前記遠位電極と前記近位電極間の距離と、に基づいて、前記プローブの前記y軸に対する偏向角度を計算するように更に構成されている、請求項に記載のシステム。
【請求項5】
互いに対する位置が既知である遠位電極と近位電極を含むプローブと、複数の導電性チャネルと、患者の身体の領域で前記患者の皮膚に取り付けられ、前記複数の導電性チャネルにそれぞれ接続された複数の第1の電極と、前記複数の導電性チャネルのうちの1つに接続されている第2の電極であって、前記プローブの挿入点が前記複数の第1の電極と第2の電極の間となるように前記患者の皮膚に取り付けられる第2の電極と、プロセッサと、を備えるシステムにおける、前記プロセッサに、
前記患者の身体内の第1の位置にある前記プローブの前記遠位電極と前記近位電極のそれぞれの正規化電流値I =I /I と、前記遠位電極と前記近位電極間の距離と、前記第1の位置と、に基づいて、前記正規化電流値と前記遠位電極又は前記近位電極の位置との間の線形関数を算出するステップと、ここで、I は、前記プローブから前記第2の電極を介して前記複数の導電性チャネルのうちの前記1つへ流れる第2の電流の第2の電流値であり、I は、前記プローブから前記複数の第1の電極を介して前記複数の導電性チャネルへそれぞれ流れる複数の第1の電流の複数の第1の電流値と、前記第2の電流値との合計であり、
前記線形関数及び継続的に取得される前記正規化電流値I に基づいて、前記領域と前記第2の電極との間の前記プローブの位置を計算するステップと、を実行させる、
コンピュータプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許願は、2018年10月2日出願の米国仮特許出願第62/740,012号の利益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、広義には侵襲的医療処置に関し、具体的にはこうした処置に用いられるプローブのナビゲーションに関する。
【背景技術】
【0003】
その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,456,182号(Bar-Talら)には、患者の身体にガルバニック接触で身体電極を配置することと、身体内の複数の領域に、マッピング電極を有するマッピングツールを配置することと、を含む方法が記載されている。この方法は、場所測定システムを使用して、これらの領域の各々の異なった位置でマッピングツールを追跡することと、各領域に対して、その領域中の異なった位置で身体電極とマッピング電極との間に較正電流のそれぞれのセットを発生させることと、を更に含む。各領域に対して、較正電流のそれぞれのセットと異なった位置との間のそれぞれの関係が導出され、この関係は、異なったそれぞれの関係及び調査ツール電流に応じて調査ツールの場所を決定するのに使用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一部の実施形態により、複数の導電性チャネル及びプロセッサを含むシステムが提供される。プロセッサは、導電性チャネルを介して、(i)患者の身体内にあるプローブから、身体の領域で患者の皮膚に取り付けられている複数の第1の電極を介したそれぞれの第1の電流と、(ii)プローブから、皮膚に取り付けられかつチャネルのうちの1つに接続されている第2の電極を介した第2の電流と、を受信するように構成されている。プロセッサは、第1の電流のそれぞれの第1の電流値、及び第2の電流の第2の電流値を確認し、かつ第1の電流値及び第2の電流値に基づいて、領域と第2の電極との間のプローブの位置を計算するように更に構成されている。
【0005】
一部の実施形態では、
領域は、患者の胸郭の少なくとも一部を含み、
第1の電極は胸郭に取り付けられ、
第2の電極は患者の大腿部に取り付けられる。
【0006】
一部の実施形態では、プロセッサは、
正規化電流値I=I/Iを計算することであって、Iは第2の電流値であり、Iは第1の電流値と第2の電流値との合計である、ことと、
線形関数をIに適用することによってプローブの位置を計算することと、によって、プローブの位置を計算するように構成されている。
【0007】
一部の実施形態では、プロセッサは、プローブから第1の電極及び第2の電極を介して受信された複数の初期電流に基づいて、線形関数を適用する前に、線形関数を学習するように更に構成されている。
【0008】
一部の実施形態では、このプロセッサは、
プローブの位置が第1の領域内にあることを確認し、
確認に応答して、チャネルのうちの1つから第2の電極を切断するように更に構成されている。
【0009】
一部の実施形態では、プロセッサは、第1の電流値及び第2の電流値に基づいてプローブの偏向角度を計算するように更に構成されている。
【0010】
本発明の一部の実施形態によれば、患者の身体の領域で患者の皮膚に取り付けられ、かつ異なるそれぞれの導電性チャネルに接続される間に、身体内に配設されたプローブからそれぞれの第1の電流を受信して、それにより、第1の電流がチャネル上を通過するように構成された複数の第1の電極を含む、システムが更に提供される。システムは、皮膚に取り付けられている間に、プローブから第2の電流を受信するように構成された第2の電極を更に含む。システムは、プローブが領域と第2の電極との間にある間に、第2の電極をチャネルのうちの特定の1つに接続して、それにより、第2の電流がチャネルのうちの特定の1つ上を通過するように構成されたスイッチを更に含む。
【0011】
一部の実施形態では、スイッチは、第2の電極を第1の電極のうちの特定の1つに短絡させることによって、第2の電極をチャネルのうちの特定の1つに接続するように構成されている。
【0012】
一部の実施形態では、スイッチは、プローブが領域内にある間に、第2の電極を、チャネルのうちの特定の1つの代わりにアブレーション信号発生装置に接続するように更に構成されている。
【0013】
一部の実施形態では、
スイッチは第1のスイッチであり、
システムは、プローブが領域内にあり、第2の電極がチャネルのうちの特定の1つから切断されている間に、第2の電極をアブレーション信号発生装置に接続するように構成された第2のスイッチを更に含む。
【0014】
一部の実施形態では、
第1のスイッチはコンソールの内部に配設され、
第2のスイッチはアブレーション信号発生装置の内部に配設されている。
【0015】
本発明の一部の実施形態によれば、複数の導電性チャネルを介して、(i)患者の身体内にあるプローブから、身体の領域で患者の皮膚に取り付けられている複数の第1の電極を介したそれぞれの第1の電流と、(ii)プローブから、皮膚に取り付けられかつチャネルのうちの1つに接続されている第2の電極を介した第2の電流と、を受信することを含む、方法が更に提供される。この方法は、第1の電流のそれぞれの第1の電流値、及び第2の電流の第2の電流値を確認することと、第1の電流値及び第2の電流値に基づいて、領域と第2の電極との間のプローブの位置を計算することと、を更に含む。
【0016】
本発明の一部の実施形態によれば、患者の身体の領域で患者の皮膚に取り付けられ、かつ異なるそれぞれの導電性チャネルに接続された複数の第1の電極によって、身体内に配設されたプローブからそれぞれの第1の電流を受信し、それにより、第1の電流がチャネル上を通過することを含む、方法が更に提供される。この方法は、皮膚に取り付けられた第2の電極によって、プローブから第2の電流を受信することと、プローブが領域と第2の電極との間にある間に、スイッチを用いて第2の電極をチャネルのうちの特定の1つに接続して、それにより、第2の電流がチャネルのうちの特定の1つ上を通過することと、を更に含む。
【0017】
一部の実施形態では、
領域は、患者の胸郭の少なくとも一部を含み、
第1の電極は胸郭に取り付けられ、
第2の電極は患者の大腿部に取り付けられている。
【0018】
本発明の一部の実施形態によれば、プログラム命令が記憶されている有形の非一時的コンピュータ可読媒体を含む、コンピュータソフトウェア製品が更に提供される。命令は、プロセッサによって読み取られると、プロセッサに、複数の導電性チャネルを介して、(i)患者の身体内にあるプローブから、身体の領域で患者の皮膚に取り付けられている複数の第1の電極を介したそれぞれの第1の電流と、(ii)プローブから、皮膚に取り付けられかつチャネルのうちの1つに接続されている第2の電極を介した第2の電流と、を受信することを行わせる。命令は、プロセッサに、第1の電流のそれぞれの第1の電流値、及び第2の電流の第2の電流値を確認することと、第1の電流値及び第2の電流値に基づいて、領域と第2の電極との間のプローブの位置を計算することと、を更に行わせる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明は、その実施形態の以下の詳細な説明を図面と併せ読むことによって一層十分な理解がなされるであろう。
図1】本発明の一実施形態による、プローブ追跡システムの概略図である。
図2】本発明の一実施形態による、本システムによって追跡されるプローブの遠位部分の概略図である。
図3】本発明の一実施形態による、追跡システムの第1の修正例のための電気接続を示す概略図である。
図4】本発明の一実施形態による、追跡システムの第2の修正例のための電気接続を示す概略図である。
図5】本発明の一実施形態による、追跡システムの第3の修正例のための電気接続を示す概略図である。
図6】本発明の一実施形態による、実験設定の概略図である。
図7】本発明の一実施形態による、設定に使用される遠位プローブの概略図である。
図8】本発明の一実施形態による、設定から得られる結果の概略的グラフである。
図9】本発明の一実施形態による、患者内にあるプローブを追跡する際に実施される工程のフロー図である。
図10】本発明の一実施形態による、フロー図の態様を示す図である。
図11】本発明の一実施形態による、フロー図の態様を示す図である。
図12】本発明の一実施形態による、フロー図の態様を示す図である。
図13】本発明の一実施形態による、フロー図の態様を示す図である。
図14】本発明の一実施形態による、フロー図の態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
概説
一部の侵襲性心臓処置の間では、プローブが、例えば、患者の左又は右大腿静脈を介して患者の身体内に挿入され、続いて心臓まで前進させられる。心臓に到達すると、プローブはマッピング及び/又はアブレーションのために使用され得る。
【0021】
一般に、プローブは、例えば、磁気追跡システム及び/又は高度電流位置(advanced current location)(ACL)システムなどの1つ又は2つ以上の既知の追跡システムを使用して、心臓付近で良好に追跡され得る。しかしながら、これらのシステムは、典型的には、心臓を含む体積などの局所領域内のみでプローブを追跡するように構成され、一般に、局所領域外では、良好な追跡を提供せず、又は更には全く追跡を提供しない。これは、プローブが心臓から比較的遠く離れているとき、プローブを心臓まで前進させる間に問題となり得る。代替的な追跡方法としては、蛍光透視法及び超音波法が挙げられるが、蛍光透視法は電離放射線を使用し、超音波プローブの能力は限定されている。
【0022】
この課題に対処するために、本発明の実施形態は、プローブの挿入点付近で患者の身体に連結された追加的マッピング電極によってACLシステムを強化する。追加的マッピング電極によって受信された電流は、プローブが心臓まで前進している間にプローブを追跡するために使用される。本発明の実施形態は、既知の距離によって分離された少なくとも2つの電極、すなわち、互いに対する位置が既知である少なくとも2つの電極を含む任意のプローブと共に使用することができる。
【0023】
より具体的には、プローブを患者内に挿入した直後に電流がプローブ電極に注入され、それに応答して、追加的マッピング電極がプローブ電極から電流を受信する。受信された電流とプローブの侵入点から心臓まで延びる軸に沿ったプローブ電極の位置との間には線形関係が存在することが判明した。したがって、相対的な電極位置が既知である場合には、受信した電流を用いて線形関係を学習することができる。線形関係を学習した後、プローブが患者の脈管構造を通って前進させられる際に追加的マッピング電極によって受信された電流を用いて、上記で参照した一次元において、プローブを追跡するために線形関係が用いられる。
【0024】
システムの説明
以下の説明において、図面中の同様の要素は、同様の数字により識別され、同様の要素は、必要に応じて識別用の数字に文字を添えることにより区別される。
【0025】
ここで、本発明の一実施形態による、プローブ追跡システム20の概略図である図1、及びシステムによって追跡されるプローブ32の概略図である図2を参照する。一部の実施形態では、プローブ32は、カテーテル24の遠位部分である。
【0026】
簡潔及び明瞭にするため、以下の説明は、別途記載のない限り、本明細書では医療従事者と想定されるシステム20のオペレータ22によって医療処置が実施されることを想定し、ここでオペレータはカテーテル24を患者28の左又は右大腿静脈26内に挿入する。処置は、例えば、患者の心臓34の調査及び/又はアブレーションを含み得る。典型的に処置においては、カテーテルは、最初に、プローブ32が患者の心臓34中の又は心臓34に近接した所望の場所に達するまで患者内に挿入される。
【0027】
処置中、本明細書で「皮膚パッチ」、「パッチ」、「皮膚電極」又は「電極」とも称される複数のパッチ電極77が、本明細書でマッピング領域30と称される患者の身体の特定の領域において患者28の皮膚に取り付けられる。典型的には、マッピング領域30は、患者の心臓の少なくとも一部などの患者の胸郭の少なくとも一部を含み、電極77は、患者の胸及び/又は背中の皮膚などの胸郭の皮膚に取り付けられる。例として、本明細書の説明は、患者の心臓の付近の患者28の皮膚に取り付けられた6つのパッチ77を仮定する。
【0028】
システム20は、様々なモジュールを実行することによって本明細書に記載される機能を実行するプロセッサ40を備え、これらのモジュールのそれぞれは、任意の好適なハードウェア及び/又はソフトウェア要素を含み得る。モジュールは電流追跡モジュール37を含み、またこれに加えて、電磁追跡モジュール36及び/又はアブレーションモジュール39を含んでもよい。モジュールの機能について以下でより詳細に述べる。一般に、特定のモジュールの機能は、モジュールによって、又はモジュールを実行することでプロセッサによって実行されると言うことができる。
【0029】
プロセッサ40は典型的にコンソール46に載置されており、コンソール46は、典型的にマウス又はトラックボールなどのポインティングデバイスを含む操作制御部38を備え、オペレータ22はこの操作制御部38を使用してプロセッサと相互作用する。プロセッサ40によって実行された操作の結果は、ディスプレイ48上でオペレータに提示されて、ディスプレイ48は、典型的には、患者28内でプローブ32が取った経路の視覚表現を提示する。
【0030】
一般に、プロセッサ40は、単一のプロセッサとして、又は連携してネットワーク化若しくはクラスタ化されたプロセッサのセットとして、具現化されてもよい。一部の実施形態では、本明細書で説明されるプロセッサ40の機能は、例えば1つ若しくは2つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を使用して、ハードウェア内にのみ実装される。他の実施形態では、プロセッサ40の機能は、少なくとも部分的にソフトウェア内に実装される。例えば、一部の実施形態では、プロセッサ40は、少なくとも中央演算処理装置(CPU)及びランダムアクセスメモリ(RAM)を含むプログラム済みデジタルコンピューティングデバイスとして具現化される。ソフトウェアプログラムを含むプログラムコード、及び/又はデータは、CPUによる実行及び処理のためにRAMに読み込まれる。プログラムコード及び/又はデータは、例えば、ネットワークを介して、電子形態でプロセッサにダウンロード可能である。あるいは又は更に、プログラムコード及び/又はデータは、磁気、光学、又は電子メモリなどの非一時的有形媒体上に提供及び/又は記憶されてもよい。このようなプログラムコード及び/又はデータが、プロセッサに提供されると、本明細書に記載されているタスクを行うように構成されている、機械又は専用コンピュータが実現する。
【0031】
心臓34を含むマッピング領域30におけるプローブ32の経路を追跡するために、本発明の実施形態は、第1の電流ベースの追跡システム21を使用し、また、第2の電磁ベースの追跡システム23も使用することができる。両方のシステムが以下に記載され、また、以下で更に詳細に記載されるように、本発明の実施形態では、第1の追跡システムは、領域30外でプローブ32の追跡を可能にするように修正されている。
【0032】
第1の追跡システム21は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,456,182号(Bar-Talら)に記載されたものと同様の電流測定追跡システムを含む(こうしたシステムの例はACLシステムである)。Biosense Webster(33 Technology Drive,Irvine,CA 92618 USA)によって製造されるCarto(商標)システムも電流測定追跡システムを使用する。電流測定追跡システムは、電流追跡モジュール37の制御を受ける。プローブ32は、図2に示すように、一般にプローブ電極50と称される1つ又は2つ以上のプローブ電極50A、50B、50C、...を有する。第1の追跡システム21では、モジュール37は、追跡される選択された電極50に電流を注入する。電流は、パッチ電極77によって受信され、異なるそれぞれの導電性チャネルを介して電流追跡モジュール37に伝達される。したがって、第1の追跡システム21は、電極77及びモジュール37を備える(本明細書に記載されるパッチ電極77及び他の皮膚電極用の導電性ケーブルは、電極のそれぞれに対して存在するが、明確にするため、図中でケーブルは電極の一部に対してのみ示されている)。
【0033】
所与のプローブ電極50と皮膚パッチ77との間の電流は、とりわけ、電極と各パッチとの間のインピーダンスが電極のパッチからの距離に依存しているため、プローブ電極の場所によって変化する。モジュール37は、パッチ77によって受信されたそれぞれの電流を測定する。これに応答して、モジュール37は、以下に更に説明されるように、各プローブ電極の位置、ひいてはプローブの位置を計算する。プローブの位置を計算することに応答して、モジュール37は、プローブの位置の表示(例えば、ディスプレイ48上の視覚的表示)を生成してもよい。
【0034】
上述したように、皮膚パッチ77はマッピング領域30に位置し、それにより、モジュール37は、電極が領域内に存在するとき、異なるパッチ電流からマッピング領域30内の所与の電極50の場所を決定することができる。
【0035】
皮膚パッチ77に加えて、本発明の実施形態は、本明細書で「追加的マッピング電極」と称される別のマッピング電極を利用する。一部の実施形態では、追加的マッピング電極は、典型的にはプローブの挿入点がパッチ70と電極77との間にあるように患者28の皮膚に取り付けられる、余分の皮膚パッチ70である。例えば、パッチ70は、患者の大腿部の皮膚の、プローブが患者の大腿静脈内に挿入される点より下に(即ち下方に)取り付けられ得る。あるいは、プローブが患者の腕の橈側皮静脈又は別の静脈内に挿入される場合、パッチは、挿入点に対して遠位方向の腕の皮膚に、即ち、挿入点と患者の手との間に取り付けられてもよい(一部の実施形態では、少なくとも30cmの距離が、パッチ70を最も近い電極77から分離する)。電極77と同様に、余分の皮膚パッチ70は、皮膚に取り付けられている間にプローブから電流を受信するように構成される。これらの電流が第1の追跡システム21によって使用される方法を以下で説明する。
【0036】
実装されるとき、第2の追跡システム23は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,690,963号(Ben-Haimら)に記載されるもの、及びBiosense-Websterにより製造されるCarto(商標)システムにおいて使用されているものと同様の電磁追跡システムを含む。電磁追跡システムは、電磁追跡モジュール36の制御を受ける。電磁追跡システムは、複数の磁場発生装置を含み、本明細書では3セットの発生装置66を含むように想定され、各セットが3つの直交コイルを含んでおり、それにより、複数の発生装置は合計9つのコイルを含む。発生装置66は、患者28の下の周知の場所に設置され、周知の場所は発生装置の基準系を定義している。モジュール36は、とりわけ、発生装置によって生成された交番磁場の振幅及び周波数を制御する。
【0037】
交番磁場は、プローブ32内に位置するコイルと相互作用してコイル内に交流起電力(EMF)を発生させ、EMFは追跡モジュール36によって信号として受信される。モジュールは、受信した信号を分析し、この分析から、画定された基準系内のプローブコイルの場所及び配向を決定することができる。
【0038】
典型的には、第1の追跡システムによる、又は両方の追跡システムによる追跡は、例えば、プローブを表すアイコンを患者28の画像に組み込むことによって、並びに、任意選択的に、プローブが取った経路の表示によって、ディスプレイ48上に視覚的に提示される。
【0039】
アブレーションモジュール39は、オペレータ22によって選択された心臓34の領域にRF電力を送達する高周波(RF)発生装置41と通信する。オペレータ22は、アブレーション電極を備えるアブレーションプローブを領域に位置決めすることによって、領域を選択する。プローブ32、及び電極50のうちの1つをアブレーションプローブ及びアブレーション電極として使用してもよいが、明確さのために、本明細書の説明は、アブレーション電極72を有する別個のアブレーションプローブ74の使用を想定する(図3、4、及び5は、プローブ74及び電極72を示す)。
【0040】
RF電力のレベル、及びRF電力が送達される期間は、オペレータ22によって制御部38を使用して設定されてもよい。発生装置41によってアブレーション電極72を介して患者に送達されるRF電力からの電流は、本明細書ではRF不関電極とも呼ばれるリターン電極80を介して発生装置に戻る。リターン電極80は、患者28の皮膚に、典型的には患者の下背部の皮膚に取り付けられる。一部の実施形態では、以下で更に説明されるように、リターン電極80は、追加的マッピング電極として、余分のパッチ70の代わりに使用される。
【0041】
電流追跡モジュール37は、図3を参照して以下で更に説明するように、電流がパッチ電極から受信されるそれぞれのチャネルと共に、電流が電極50に注入されるそれぞれのチャネルと通信する。電磁追跡モジュール36は、誘導されたEMFがプローブ32内のコイルから受信されるチャネルと共に、発生装置制御信号が発生装置66に送信されるチャネルと通信する。
【0042】
上述したように、本発明の実施形態は、第1の追跡システムを修正して、領域30外でのプローブ32の追跡を可能にする。本明細書の以下に記載される修正のそれぞれは、プローブがマッピング領域30と追加的マッピング電極との間にある間、追加的マッピング電極を、パッチ電流が受信されるチャネルのうちの特定の1つに接続する。追加的マッピング電極を介してチャネルのうちの特定の1つを通る電流に基づいて、プロセッサ40はプローブの位置を計算する。
【0043】
第1の修正例
図3は、本発明の実施形態による、第1の追跡システム21の第1の修正例21Aのための電気接続を示す概略図である。図では、患者28は円及び楕円として概略的に示され、患者に取り付けられたパッチ電極77は、患者の前面で3つのパッチ77A、77B、77C、並びに患者の背面で3つのパッチ77D、77E、及び77Fとして識別されている。
【0044】
各パッチ77は、異なるそれぞれの導電性チャネルに接続されており、それにより、各パッチは、その受信した電流をチャネルのうちの異なるそれぞれの1つに通す。例として、図3は、総称的にチャネルC77と呼ばれる6つのチャネルC77A、C77B、C77C、C77D、C77E、及びC77Fを示す(電極77AはチャネルC77Aに、電極77BはチャネルC77Bに、などのように接続されている)。各チャネルは、1つ若しくは2つ以上のワイヤ(又は「線」)、ポート、又はソケットなどの任意の好適な導電性要素を含んでもよい。各チャネルは、コンソール46(図1)の外部及び/又は内部に配置されてもよい。例として、本明細書の図は、チャネルC77がコンソール46内の電気インターフェース35に属すると仮定する。
【0045】
プローブ32及びアブレーションプローブ74は縮尺どおりに描かれていないが、図3は、アブレーション電極72が領域30内にあり、プローブ32が領域外にあると仮定する。しかしながら、システム21及びその修正例は、プローブ74の存在及び機能に依存しない。
【0046】
第1の修正例では、システム21は、余分のパッチ電極70を患者28の皮膚に取り付けることによって修正される。余分のパッチは、典型的には、カテーテル24の患者28への挿入点と領域30との間、かつ典型的には挿入点よりも下である、患者上の予想経路に近い点で患者に取り付けられる。したがって、挿入点が左又は右大腿静脈であり、プローブ経路がこれらの静脈のいずれかに沿って続くことが予想される場合、余分のパッチ70は患者の下腿部に取り付けられてもよい。
【0047】
余分のパッチ70は、導電線71によってチャネルC77のうちの1つにガルバニック接続される。例えば、線71は、システム21のパッチ電極77のうちの1つの代わりに、パッチ70をチャネルのうちの1つに接続することができる。あるいは、図3に示すように、線71は、パッチ70を、本明細書では例として電極77Cであると仮定されるシステム21のパッチ電極77のうちの1つにガルバニック接続して(又は「短絡させて」)もよい。
【0048】
一部の実施形態では、線71は、閉鎖されて、したがって、少なくともプローブがマッピング領域30と電極70との間にある間は電極70の接続を維持するように構成されたスイッチ73を含む。提供される場合、スイッチ73は、以下で説明されるように、プロセッサ40によって、又はオペレータ22によって開閉され得る。明確さのために、別途記載のない限り、以下の説明では、スイッチ73は存在しないものと仮定される。
【0049】
第1の修正例21Aは、上述のように接続された電極77及び余分のパッチ電極70を含むことが理解されるであろう。第1の修正例21Aは、プローブ32上の電極50のいずれかを追跡することができるが、簡潔にするために、以下に記載される場合を除き、説明は、電極50Cのみが追跡されるものと仮定する。
【0050】
余分のパッチ電極70の追加は、電極50Cに注入された電流からの単流をチャネルC77Cに提供する「スプリットパッチ(split patch)」を形成する。単流はパッチ70及び77Cから導出され、とりわけ、2つのパッチに対する電極50Cの位置決めに依存する。したがって、この電流を測定することで、以下で詳細に説明されるように、領域30外の電極50Cの位置の表示が提供される。
【0051】
第1の修正例21Aの利点は、電極70によって提供される追加の追跡機能が、導電性チャネルの追加を必要とせず、むしろ、電極70が既存のチャネルに単に接続されていることである。
【0052】
第2の修正例
図4は、本発明の一実施形態による、第1の追跡システム21の第2の修正例21Bのための電気接続を示す概略図である。以下に説明する差異を除き、修正例21Bの動作は修正例21A(図3)の動作と概ね同様であり、両方の修正例で同じ参照番号によって示される要素は構造及び動作が概ね同様である。
【0053】
修正例21Aとは対照的に、修正例21Bに余分のパッチ電極70は存在しない。むしろ、修正例21Bでは、リターン電極80は、リターン電極がRF発生装置41に接続されていないときにチャネルのうちの1つに接続されることによって、追加的マッピング電極として機能する。例えば、第1の構成にあるスイッチ82は、例えば、電極80を、本明細書では電極77Cであると仮定される電極77のうちの1つに短絡させて、それにより、不関電極がRF発生装置41のリターンから切断されることによって、不関電極80をチャネルのうちの1つにガルバニック接続してもよい。第1の構成を図4に示す。
【0054】
第1の構成では、RF発生装置41のリターンが不関電極から切断されるため、RF発生装置は動作不能であり、アブレーション電流はアブレーション電極72から伝達されない。加えて、接続された不関電極及びパッチ77Cはスプリットパッチとして機能して、電極50Cに注入された電流からチャネルC77Cに単流を供給する。第1の実施形態に関しては、単流は、とりわけ、不関電極80及びパッチ77Cに対する電極50Cの位置決めに依存し、この電流を測定することによって、領域30外における電極50Cの位置の表示が提供される。
【0055】
スイッチ82の第2の構成では、スイッチは、不関電極80をRF発生装置41のリターンに接続し、それにより、不関電極はチャネルC77Cから切断される。この構成では、RF発生装置41は動作可能であり、電極72にアブレーション電流を送達することができる。
【0056】
一般に、スイッチ82は、プローブがマッピング領域30とリターン電極80との間にあるときに第1の構成にあり、プローブがマッピング領域内にあるときに第2の構成にある。スイッチ82は、手動で、又はプロセッサ40によって操作されてもよい。
【0057】
第2の修正例21Bの利点は、余分の電極を必要としないことである。更に、第1の修正例21Aの場合と同様に、追加の導電性チャネル、又はRF発生装置に対する変更は必要ない。
【0058】
第3の修正例
図5は、本発明の一実施形態による、第1の追跡システム21の第3の修正例21Cのための電気接続を示す概略図である。以下に説明する差異を除き、修正例21Cの動作は修正例21A及び21B(図3及び4)の動作と概ね同様であり、3つの修正例で同じ参照番号によって示される要素は構造及び動作が概ね同様である。
【0059】
第3の修正例21Cは、追加の追跡機能がリターン電極80によって提供されるという点で、第2の修正例21Bと同様である。しかしながら、リターン電極80のガルバニック接続を制御する単一のスイッチの代わりに、2つのスイッチがこの接続を制御し、第1のスイッチ86がチャネルへの接続を制御し、第2のスイッチ88がRF発生装置への接続を制御する。
【0060】
一部の実施形態では、図5に示すように、第1のスイッチ86は、コンソールの電気インターフェース35の内部に配設され、「アイドリングスイッチ」と呼ばれることがある第2のスイッチ88は、RF発生装置41の内部に配設される。したがって、RF発生装置41が典型的にコンソールの内部にあることを考慮すると、スイッチの両方がコンソールの内部にあってもよい。こうした実施形態では、リターン電極80はパッチ77Cに接続されず、スイッチはプロセッサ40によって制御される。
【0061】
第3の修正例21Cの動作の2つの状態が存在する。第1の状態では、RF発生装置がいかなるアブレーション電力も提供せず、かつそのリターン線が不関電極80から隔離されるように、第2のスイッチ88は開かれている。更に、第1の状態では、第1のスイッチ86は、不関電極とチャネルC77Cとの間にガルバニック接続が存在するように閉じられている。この第1の状態では、不関電極80がパッチ77Cを効果的に置き換え、また、不関電極の位置のために、電極50の追跡は、不関電極と領域30との間で実施され得る。
【0062】
第3の修正例21Cの動作の第2の状態では、アブレーション電力が電極72に提供され得るように、アイドリングスイッチ88は閉じられている。また、第2の状態では、不関電極とチャネルC77Cとの間にガルバニック接続が存在しないように、第1のスイッチ86は開かれている。第2の状態では、5つの接続されたパッチ77A、77B、77D、77E、及び77Fから受信した電流に基づいて、領域30における電極50の追跡を実施することができる。
【0063】
第2の修正例21Bの場合と同様に、第3の修正例21Cは、余分の電極を全く必要としない。更に、外部スイッチではなく内部スイッチを設けることにより、オペレータによるシステムの利用を簡略化することができる。
【0064】
追跡技術の概論
上述のように、プローブがマッピング領域30と追加的マッピング電極との間にある間、追加的マッピング電極からの電流を含む複数の電流がチャネルC77を介して受信される。チャネルを通過した後、電流は、典型的にはコンソール46内に位置するアナログ-デジタル(A/D)変換回路を通過する(図1)。電流は、ノイズ除去回路、及び/又は任意の他の好適な回路を更に通過してもよい。デジタル化された信号は、プロセッサ40によって実行される電流追跡モジュール37(図1)によって受信される。上記を鑑みると、特許請求の範囲を含む本願の文脈では、プロセッサは、プロセッサが信号をその生の形態で受信しない場合であっても、パッチのうちの1つを介して信号を受信すると言うことができることに留意されたい。
【0065】
それぞれの受信された電流に対し、電流追跡モジュール37は、電流の値を確認(又は「測定」)する。以下に詳細に記載されるように、電流値に基づいて、電流追跡モジュールは、マッピング領域と追加的マッピング電極との間のプローブの位置を計算する。一部の実施形態では、プロセッサは、電流値に基づいて、プローブの偏向角度も計算する。
【0066】
典型的には、プローブの位置は、マッピング領域と追加的マッピング電極の領域との間に延びる軸に沿って、一次元で計算される。例えば、マッピング領域が患者の胸郭にあり、追加的マッピング電極が患者の大腿部に取り付けられる実施形態では、プロセッサは、患者の上下軸に沿ったプローブの位置を計算することができる。
【0067】
上記にかかわらず、一部の実施形態では、プローブの位置は、複数の追加的マッピング電極からの電流値に基づいて、2つ以上の次元で計算される。例えば、2つの余分の皮膚パッチ70は、1つは患者の右大腿部、もう1つは患者の左大腿部の、患者の皮膚の挿入点より下方に連結されてもよい。続いて、2つの余分の皮膚パッチからの信号に基づいて、プローブの位置が、患者の上下軸に沿って、また更に患者の外内軸(lateral-medial axis)に沿って計算され得る。第2の余分の皮膚パッチは、第1の修正例21Aに従ってパッチ77の別の1つ(パッチ77Bなど)に、又は余分の専用チャネルC77にガルバニック接続されてもよい。
【0068】
下記で更に説明するように、プロセッサは、典型的には、(i)プローブ電極に注入される電力に関して正規化電流値I=I/Iを計算することであって、Iは、追加的マッピング電極からの電流の値であり、I(すなわち「Itotal」)は電流の値の合計である、ことと、(ii)線形関数をIに適用することと、によって、各プローブ電極の位置を計算する。続いて、プローブ電極のうちのいずれかの位置をプローブの位置として取得してもよく、あるいは、プローブの位置を、それぞれのプローブ-電極位置の平均として画定してもよい。
【0069】
プローブの位置を追跡することによって、プロセッサは、いつプローブの位置がマッピング領域30内にあるかを確認することができる。プローブがマッピング領域に到達したことを確認するのに応答して、プロセッサは、例えば、スイッチ73(図3)、又はスイッチ82(図4)、又はスイッチ86及び88(図5)を制御することによって、追加的マッピング電極をチャネルC77Cから切断することができる。
【0070】
線形関数を適用する前に、プロセッサは、典型的には、電極77及び追加的マッピング電極を介してプローブから受信した初期電流に基づいて、線形関数を学習する。
【0071】
本明細書に記載される追跡技術の理論的基礎を説明するために、ここで図6~8を参照する。図6は、本発明の一実施形態による、実験設定の概略図であり、図7は、本発明の一実施形態による、設定に使用される遠位プローブの概略図であり、図8は、本発明の一実施形態による、設定から得られる結果の概略的グラフである。
【0072】
本発明の実施形態によって実行される追跡を検証するために、発明者らは、第1の構成で第2の修正例21Bの要素をブタ128に適用した。したがって、6つのパッチ77がブタの皮膚に取り付けられ、加えて、不関電極80がブタに取り付けられ、パッチ77Cにガルバニック接続された。別途記載のない限り、本明細書に記載される実験設定は、カテーテル24と概ね同様のカテーテルの遠位部分であるプローブ132がブタ128内に挿入されたことを想定する。
【0073】
ブタ内でプローブ132を追跡するために、3軸コイルセンサー90を既知の位置でプローブ内に組み込み、電磁追跡システム23を使用してセンサの位置を追跡した。上述したように、システム23は、プロセッサ40によって実行される磁気発生装置66及び電磁追跡モジュール36(図1)を使用して、センサ90内の信号を誘導し、信号を分析し、分析された信号からセンサの位置を見つける(電磁追跡モジュールは、発生装置制御チャネル43を介して発生装置に制御信号を伝達する)。位置は、発生装置66によって画定された基準系94内で見出され、基準系は、正のy軸が上方向にブタの長手方向軸と平行し、かつ同じ方向であると想定される直交軸を有する(ブタの長手方向軸はヒト患者の上下軸に類似する)。
【0074】
実験設定のため、プローブ132は円筒形であり、5対の双極電極92、すなわち、10個の電極92A1、92A2、92B1、92B2、...92E1、及び92E2を備えており、電極92A1は最遠位の電極であり、電極92E2は最近位のものである。プローブ132に沿った電極の位置及び間隔を測定し、この間隔は実験中に一定のままであった。
【0075】
最初に、電気絶縁性シース96を、ブタの大腿静脈内に数ミリメートル挿入した。プローブ132をシース内に挿入し、プロセッサ40によって実行された電流追跡モジュール37(図1)が、プローブの10個の電極92にそれぞれの電流を注入した。
【0076】
実験中、電流追跡モジュール37は、パッチ77C及び不関電極80からチャネルC77C、IC77Cによって受信された電流を測定した。この測定された電流から、以下に説明するとおり、不関電極80によって受信された電流を推定した。
【0077】
モジュール37は、モジュール内のそれぞれのチャネルによって受信されたパッチ77A、77B、77D、77E、及び77Fからの5つの電流を測定して、これらのパッチの全電流を見つけた。続いて、モジュールは、チャネルC77Cによって受信された電流を加算して、モジュール37によって受信された全電流、Itotalを見つけた。続いて、チャネルC77Cに対する正規化電流を、以下の比Iとして計算した。
【0078】
【数1】
【0079】
典型的には、領域30内のプローブの場合、チャネルC77C内の電流(すなわち、パッチ77Cからの電流)は、パッチ77A、77B、77D、77E、及び77Fからの電流のそれぞれに実質的に等しく、したがって、Iは約
【0080】
【数2】
すなわち約17%である。これを超える任意の値は、不関電極からの正規化電流の推定値を与える。
【0081】
図8は、プローブ132がブタ128の大腿静脈を通って移動するときの、10個の電極92のそれぞれ対センサ90の測定位置に対する正規化電流Iの概略グラフである。上述のように、センサ90の位置は、電磁追跡モジュール36を使用して測定され、測定された位置はセンサのy値であった。
【0082】
グラフは、電極92の全て又はいくつかがシース内にあったときの状態に対応する第1の領域A、及び全ての電極がシースから出たときの状態に対応する第2領域Bの2つの区分に分割されている。
【0083】
グラフは、プローブがシースの遠位端に近づくにつれて、各電極92からの正規化電流が、約50%である最大電流まで増加することを示す。シースから出ると、各正規化電流は最大電流から減少した。
【0084】
グラフから明らかなように、領域Bでは、電極92からの正規化電流は、プローブが追加の追加的マッピング電極から離れて移動するにつれて単調に減少した。これもグラフから明らかなように、測定されたy値に対する正規化電流の変化は直線状である。
【0085】
したがって、グラフの各線は、以下の等式によって表すことができ、
=m・y+b (2)
式中、mは、I対yのグラフの勾配であり、
bは、I対yのグラフの垂直軸切片である。
【0086】
上記の実験は、上記の第2の修正例に基づく構成に対して実施されたが、本発明者らは、y値に対する電流の線形変化は、本明細書に記載の他の修正例でも保たれることを確認した。
【0087】
プローブの追跡
上記の実験は、正規化電流が、上下軸に沿ったプローブの位置と共に直線的に変化することを実証する。以下に記載されるように、プロセッサ40は、電磁追跡システムを使用すらせずにこの線形関係を学習し、続いて、学習した線形関係を使用してプローブを追跡するように構成される。
【0088】
概論として、等式(2)は以下のように書き換えられてもよく、
【0089】
【数3】
式中、Mは、y対Iのグラフの勾配に対応する等式(3)のパラメータであり、
Bは、y対Iのグラフの垂直軸切片に対応する等式(3)のパラメータであることに留意されたい。
【0090】
したがって、図9のフロー図を参照して以下で説明するように、プロセッサ40は、等式(3)の形態で式を定式化して、プローブ32上の電極のそれぞれについて、Iの測定値からyの値を計算することができる。
【0091】
等式(3)は、各電極に対するy位置と正規化電流との間の線形関係であることに留意されたい。本開示及び特許請求の範囲において、y位置などの第1の変数と正規化電流などの第2の変数との間に線形関係が存在する場合、第1の変数の変化と対応する第2の変数の変化との間に一定の比が存在する。例えば、等式(3)は、一定の比Mを有する。
【0092】
図9は、本発明の一実施形態による、患者内にあるプローブを追跡する際に実施される工程のフロー図であり、図10~14は、本発明の一実施形態による、フロー図の態様を示す図である。明確にするために、フロー図は、カテーテル24のプローブ32が患者28内に挿入されている状態で、第1の修正例21A(図3)の構成が実施されるものと仮定する。以下に別途記載のない限り、第1の修正例21Aは、パッチ70がパッチ77Cに常にガルバニック接続されるように、スイッチ73を含まないものと仮定される。例として、プローブ32は、3つの電極50A、50B、50Cを含み、電極50Aが最遠位の電極であり、電極50Cが最近位の電極であるものと仮定される。しかしながら、本発明の実施形態では、プローブは、2つ、又は3つを超える電極を有してもよいことが理解されるであろう。
【0093】
プローブ32は円筒形であると仮定され、患者28に挿入する前に、電極50Aと50Bとの間、及び電極50Bと電極50Cとの間の距離が測定され、図11に示すように、DAB及びDBCとして記録される。最近位の電極と最遠位の電極との間の距離、(DAB+DBC),ΔDも記録される。加えて、閾値電流Ithreshの値をプロセッサ40に入力する(Ithreshの意義は下記で説明する)。一実施形態では、500μAの電流が各電極50に注入される処置の場合、Ithreshは450μAに設定される。しかしながら、当業者は、必要以上の実験を行うことなくIthreshの他の好適な値を公式化することができるであろう。以下に説明するように、フロー図の工程を実施する際、プロセッサは、等式(3)においてM及びBの値を計算する。
【0094】
第1の工程100では、オペレータ22は、短いシースを患者28の大腿静脈内に挿入し、続いてプローブ32をシース内に挿入する。続いて、プロセッサ40は、チャネルC77に受信された電流の測定を開始し、電極50A、50B、及び50Cのそれぞれの正規化電流を計算する。最初に、正規化電流は、図8のグラフの領域Aに示されるように増加する。
【0095】
退出工程102では、プロセッサは、全てのパッチ77について合計された、電極50A、50B、及び50Cの全てからの電流が、いつ閾値電流Ithreshよりも大きくなったかを記録する。この時点で、プロセッサは、全てのプローブ電極がシースから退出したと仮定する。この点に到達したという表示は、例えば、図10に示されるように、ディスプレイ48上の患者の一般図124上にマーカ120を位置決めするプロセッサによって、オペレータ22に提供され得る。
【0096】
全電流がIthreshを超えると、プロセッサは、最遠位の電極50Aの正規化電流値Idistal、及び最近位の電極50Cの正規化電流値Iproximalを記録する。プロセッサはまた、任意の中間電極、この場合、本明細書ではI50Bと称される電極50Bの正規化電流値を記録する。この時点で、プローブはy軸と位置合わせされていると仮定され、その原点は、簡明さのために、図11に示すように最近位電極(シースの遠位端に隣接する)に配置されてもよい。
【0097】
続いて、プロセッサは、等式(4)を用いて等式(3)の勾配Mの値を計算し、
【0098】
【数4】
式中、
ΔDは、最遠位の電極50と最近位の電極50との間の距離である。
【0099】
等式(4)からのパラメータMの値を使用して、プロセッサは、以下の表Iの3つの等式を最も満たすBの値を求める。あるいは、プロセッサは、表Iの等式のサブセットに基づいてBの値を求めてもよい。
【0100】
【表1】
【0101】
継続追跡工程104では、オペレータ22がプローブ32を大腿静脈内へと更に押し込む際に、プロセッサ40は、IN50C、IN50B、及びIN50Aの値を継続的に測定する。工程104中の任意の所与の時間インスタンスtにおける測定値から、プロセッサは、上記のように導出されたM及びBの値を用いた等式(3)を使用して、電極50のそれぞれのy位置であるy50C、y50B、及びy50Aの値を計算する(各電極のy位置は、シースからの電極の距離を示す)。プロセッサは、等式(5)によって与えられるように、y50C、y50B、及びy50Aの値を平均して、選択された時点でのプローブの平均y位置ymean(t)を見つける。
【0102】
【数5】
【0103】
プローブの位置が、選択された時点でymean(t)の値に達したという表示は、図12に示すように、プロセッサが患者の一般図上でマーカ120をymean(t)に対応する位置まで移動させることによってオペレータ22に提供され得る。
【0104】
明確さのため、本明細書の説明は、プロセッサ40が方程式の形態で線形関係を使用すると仮定しているが、当業者であれば、プロセッサは、ルックアップテーブルなどの他の形態の線形関係を使用してもよく、そのような線形関係は全て本発明の範囲内に含まれると想定されることが理解されよう。したがって、例えば、正規化電流を所与とすると、プロセッサは、等式(3)を使用してy位置を明確に計算するのではなく、ルックアップテーブル内の対応するy位置をルックアップすることができる。線形関係の方程式、ルックアップテーブル、又は他の表現は、「線形関数」と称され得る。
【0105】
また、工程104において、プロセッサは、図13に示すように、工程102で画定されたy軸に対するプローブの偏向角度(又は「偏向」)θを継続的に確認する。プロセッサは、任意の所与の時間tにおいて、等式(6)によって与えられる、最近位の電極と最遠位の電極との間のy軸に平行な距離ΔD(t)を見つける。
ΔD(t)=y50C-y50A (6)
【0106】
続いて、プロセッサは、等式(7)に従って、この距離をΔDの値(電極50C及び50Aでの初期測定値から既知である)と比較して、偏向θを見つける。
【0107】
【数6】
【0108】
第1の比較工程106では、プロセッサは、偏向θが、一部の実施形態では45度に設定される予め設定された閾値を超えるかどうかをチェックする。予め設定された値を超えた場合、プロセッサは、警告工程108でオペレータ22に、プローブ32が大腿静脈からずれている可能性がある(例えば、プローブが大腿静脈と連通する静脈内に誤って前進させられている)と警告を発することができる。一実施形態では、警告は視覚的通知を含む。例えば、プロセッサは、図14に示すように、マーカ120を異なるマーカ130に置き換えることができる。警告を受信すると、オペレータ22は、偏向θが予め設定された値を超えないように、プローブを操作してもよい。典型的には、警告を発行した後、プロセッサは、第1の比較工程106を繰り返し実施し、プローブの向きに対する必要な補正が行われるまで後続の警報を発行する(例えば、マーカ130を表示し続けることによって)。
【0109】
第1の比較工程106が負を返すと、すなわち、偏θ向が予め設定された値を超えない場合、フロー図の制御は第2の比較工程112に進み、ここでプロセッサは、プローブ32が領域30(図1)内にあるか否かをチェックする。プローブ32が領域30内にあるか否かをチェックすることは、限定されるものではないが、パッチ電極77上の電流をパッチ77C上の電流と比較して観察すること(例えば、パッチ77C上の電流とその他のパッチのうちの1つとの間の差異が所定の閾値未満であると観察すること)、及び/又は1つ若しくは2つ以上の電極50上に心電図(ECG)信号が存在すると検知すること(マッピング領域30が心臓を含むと仮定して)、及び/又はプローブ32が磁気センサを有する場合は磁気位置を使用することなどの任意の好適な方法によってであってよい。
【0110】
第2の比較工程112が負を返す場合、すなわち、プローブ32が心臓マッピング領域30内にない場合、フロー図の制御は工程104に戻る。
【0111】
第2の比較工程112が正を返す場合、すなわち、プローブ32が領域30内にある場合、オペレータ22に対して、プローブが心臓マッピング領域内にあるという表示がディスプレイ48上に提示され得る。更に、フロー図の最終工程116では、プロセッサ40は、プローブの(一次元的)y位置の追跡を中止し、その代わりに、電流ベースの追跡システム21を用いて、全ての電極パッチ77からの電流を使用してプローブの(三次元的)位置を追跡することができる。
【0112】
スイッチ73が線71(図3)内に存在する場合、これは工程100~112の間に閉じられ、制御が最終工程116に進むと開かれる。スイッチ73の開閉は、オペレータ22によって手動で、及び/又はプロセッサ40によって自動的に実施されてもよい。
【0113】
図9のフロー図に関する上記の説明は、明確さのため、修正例21Aがプローブの追跡を可能にするために実施されることを想定しているが、当業者であれば、修正例21B又は21Cがプローブの追跡のために実施される場合、説明を準用して修正することが可能であろう。
【0114】
本発明が、本明細書上に具体的に示されて記載されたものに限定されない点が、当業者により理解されよう。むしろ、本発明の実施形態の範囲は、本明細書上に記載されている様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに、上記の説明を一読すると当業者には想起されると思われる、従来技術には存在しない特徴の変更例及び改変例を含む。参照により本特許出願に援用される文献は、これらの援用文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部とみなすものとする。
【0115】
〔実施の態様〕
(1) プローブ追跡システム内で追跡ボリュームを拡大するためのシステムであって、
複数の導電性チャネルと、
プロセッサであって、
前記導電性チャネルを介して、(i)患者の身体内にあるプローブから、前記身体の領域で前記患者の皮膚に取り付けられている複数の第1の電極を介したそれぞれの第1の電流と、(ii)前記プローブから、前記皮膚に取り付けられかつ前記チャネルのうちの1つに接続されている第2の電極を介した第2の電流と、を受信し、
前記第1の電流のそれぞれの第1の電流値、及び前記第2の電流の第2の電流値を確認し、かつ
前記第1の電流値及び前記第2の電流値に基づいて、前記領域と前記第2の電極との間の前記プローブの位置を計算するように構成された、プロセッサと、を備える、システム。
(2) 前記領域は、前記患者の胸郭の少なくとも一部を含み、
前記第1の電極は前記胸郭に取り付けられ、
前記第2の電極は前記患者の大腿部に取り付けられている、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記プロセッサは、
正規化電流値I=I/Iを計算することであって、Iは前記第2の電流値であり、Iは前記第1の電流値と前記第2の電流値との合計である、ことと、
線形関数をIに適用することによって前記プローブの前記位置を計算することと、
によって、前記プローブの前記位置を計算するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記プロセッサは、前記プローブから前記第1の電極及び前記第2の電極を介して受信された複数の初期電流に基づいて、前記線形関数を適用する前に、前記線形関数を学習するように更に構成されている、実施態様3に記載のシステム。
(5) 前記プロセッサは、
前記プローブの前記位置が第1の領域内にあることを確認し、
前記確認に応答して、前記チャネルのうちの前記1つから前記第2の電極を切断するように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0116】
(6) 前記プロセッサは、前記第1の電流値及び前記第2の電流値に基づいて前記プローブの偏向角度を計算するように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(7) プローブ追跡システム内で追跡ボリュームを拡大するためのシステムであって、
患者の身体の領域で前記患者の皮膚に取り付けられ、かつ異なるそれぞれの導電性チャネルに接続されている間に、前記身体内に配設されたプローブからそれぞれの第1の電流を受信して、それにより、前記第1の電流が前記チャネル上を通過するように構成された複数の第1の電極と、
前記皮膚に取り付けられている間に、前記プローブから第2の電流を受信するように構成された第2の電極と、
前記プローブが前記領域と前記第2の電極との間にある間に、前記第2の電極を前記チャネルのうちの特定の1つに接続して、それにより、前記第2の電流が前記チャネルのうちの前記特定の1つ上を通過するように構成されたスイッチと、
を備える、システム。
(8) 前記スイッチは、前記第2の電極を前記第1の電極のうちの特定の1つに短絡させることによって、前記第2の電極を前記チャネルのうちの前記特定の1つに接続するように構成されている、実施態様7に記載のシステム。
(9) 前記スイッチは、前記プローブが前記領域内にある間に、前記第2の電極を、前記チャネルのうちの前記特定の1つの代わりにアブレーション信号発生装置に接続するように更に構成されている、実施態様7に記載のシステム。
(10) 前記スイッチは第1のスイッチであり、
前記システムは、前記プローブが前記領域内にあり、前記第2の電極が前記チャネルのうちの前記特定の1つから切断されている間に、前記第2の電極をアブレーション信号発生装置に接続するように構成された第2のスイッチを更に備える、実施態様7に記載のシステム。
【0117】
(11) 前記第1のスイッチはコンソールの内部に配設され、
前記第2のスイッチは前記アブレーション信号発生装置の内部に配設されている、実施態様10に記載のシステム。
(12) プローブ追跡システム内で追跡ボリュームを拡大するための方法であって、
複数の導電性チャネルを介して、(i)患者の身体内にあるプローブから、前記身体の領域で前記患者の皮膚に取り付けられている複数の第1の電極を介したそれぞれの第1の電流と、(ii)前記プローブから、前記皮膚に取り付けられかつ前記チャネルのうちの1つに接続されている第2の電極を介した第2の電流と、を受信することと、
前記第1の電流のそれぞれの第1の電流値、及び前記第2の電流の第2の電流値を確認することと、
前記第1の電流値及び前記第2の電流値に基づいて、前記領域と前記第2の電極との間の前記プローブの位置を計算することと、
を含む、方法。
(13) 前記領域は、前記患者の胸郭の少なくとも一部を含み、
前記第1の電極は前記胸郭に取り付けられ、
前記第2の電極は前記患者の大腿部に取り付けられている、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記プローブの前記位置を計算することが、
正規化電流値I=I/Iを計算することであって、Iは前記第2の電流値であり、Iは前記第1の電流値と前記第2の電流値との合計である、ことと、
線形関数をIに適用することによって前記プローブの前記位置を計算することと、
を含む、実施態様12に記載の方法。
(15) 前記プローブから前記第1の電極及び前記第2の電極を介して受信された複数の初期電流に基づいて、前記線形関数を適用する前に、前記線形関数を学習することを更に含む、実施態様14に記載の方法。
【0118】
(16) 前記プローブの前記位置が第1の領域内にあることを確認することと、
前記確認に応答して、前記チャネルのうちの前記1つから前記第2の電極を切断することと、
を更に含む、実施態様12に記載の方法。
(17) 前記第1の電流値及び前記第2の電流値に基づいて前記プローブの偏向角度を計算することを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(18) プローブ追跡システム内で追跡ボリュームを拡大するための方法であって、
患者の身体の領域で前記患者の皮膚に取り付けられ、かつ異なるそれぞれの導電性チャネルに接続された複数の第1の電極によって、前記身体内に配設されたプローブからそれぞれの第1の電流を受信して、それにより、前記第1の電流が前記チャネル上を通過することと、
前記皮膚に取り付けられた第2の電極によって、前記プローブから第2の電流を受信することと、
前記プローブが前記領域と前記第2の電極との間にある間に、スイッチを用いて前記第2の電極を前記チャネルのうちの特定の1つに接続して、それにより、前記第2の電流が前記チャネルのうちの前記特定の1つ上を通過することと、
を含む、方法。
(19) 前記領域は、前記患者の胸郭の少なくとも一部を含み、
前記第1の電極は前記胸郭に取り付けられ、
前記第2の電極は前記患者の大腿部に取り付けられている、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記第2の電極を前記チャネルのうちの前記特定の1つに接続することは、前記第2の電極を前記第1の電極のうちの特定の1つに短絡させることによって、前記第2の電極を前記チャネルのうちの前記特定の1つに接続することを含む、実施態様18に記載の方法。
【0119】
(21) 前記プローブが前記領域内にある間に、前記スイッチを用いて、前記第2の電極を、前記チャネルのうちの前記特定の1つの代わりにアブレーション信号発生装置に接続することを更に含む、実施態様18に記載の方法。
(22) 前記スイッチは第1のスイッチであり、
前記方法は、前記プローブが前記領域内にあり、前記第2の電極が前記チャネルのうちの前記特定の1つから切断されている間に、第2のスイッチを用いて、前記第2の電極をアブレーション信号発生装置に接続することを更に含む、実施態様18に記載の方法。
(23) 前記第1のスイッチはコンソールの内部に配設され、
前記第2のスイッチは前記アブレーション信号発生装置の内部に配設されている、実施態様22に記載の方法。
(24) プログラム命令が記憶されている有形の非一時的コンピュータ可読媒体を備えるコンピュータソフトウェア製品であって、前記命令は、プロセッサによって読み取られると、前記プロセッサに、
複数の導電性チャネルを介して、(i)患者の身体内にあるプローブから、前記身体の領域で前記患者の皮膚に取り付けられている複数の第1の電極を介したそれぞれの第1の電流と、(ii)前記プローブから、前記皮膚に取り付けられかつ前記チャネルのうちの1つに接続されている第2の電極を介した第2の電流と、を受信することと、
前記第1の電流のそれぞれの第1の電流値、及び前記第2の電流の第2の電流値を確認することと、
前記第1の電流値及び前記第2の電流値に基づいて、前記領域と前記第2の電極との間の前記プローブの位置を計算することと、を行わせる、
コンピュータソフトウェア製品。
図1
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図10
図11
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図14