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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】無線電力伝送システム及び機械装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/70 20160101AFI20240311BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20240311BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20240311BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20240311BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20240311BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
H02J50/70
H02J50/40
H02J50/10
H05K9/00 F
H01F38/14
H01L21/68 K
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019187799
(22)【出願日】2019-10-11
(65)【公開番号】P2021065014
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】守田 淳
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0140955(US,A1)
【文献】特開2017-200339(JP,A)
【文献】特開2019-004531(JP,A)
【文献】特開2018-054847(JP,A)
【文献】特開2018-093706(JP,A)
【文献】特開2013-149996(JP,A)
【文献】特開2007-123319(JP,A)
【文献】特開2007-115879(JP,A)
【文献】特開2017-139893(JP,A)
【文献】特開2018-038211(JP,A)
【文献】国際公開第2017/149600(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00-50/90
H05K 9/00
H01F 38/14
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に延伸する送電アンテナを備える送電部と、
前記第1の方向に延伸し、かつ前記第1の方向と略直行する第2の方向に前記送電アンテナと対向するように配設される受電アンテナを備える受電部と、
の組を3つ以上含み、
第1の送電アンテナと第2の送電アンテナとは、前記第1の方向及び前記第2の方向それぞれに略直行する第3の方向に離間して配設され、
前記第1の送電アンテナと前記第2の送電アンテナとの間には、導電性を有し、かつ前記第1の送電アンテナと、前記第2の送電アンテナに対向する第2の受電アンテナと、の間を遮蔽するように前記第2の方向に延伸する第1のシールド部材が介在し、
前記第1の送電アンテナと対向する第1の受電アンテナに対して、前記第2の方向に位置するように第3の送電アンテナが配設され、
前記第1の受電アンテナと、前記第3の送電アンテナと、の間が、導電性を有する第2のシールド部材により遮蔽される、
無線電力伝送システム。
【請求項2】
前記第2のシールド部材は、少なくとも第3の方向に延伸し、
当該第2のシールド部材と、前記第1のシールド部材と、が接合される、
請求項に記載の無線電力伝送システム。
【請求項3】
前記第1のシールド部材は、前記第2の方向の厚みが、
前記送電アンテナ及び前記受電アンテナそれぞれの前記第2の方向の厚みと、
前記送電アンテナと前記受電アンテナとの間の前記第2の方向の距離と、
の和以上となるように形成される、
請求項またはに記載の無線電力伝送システム。
【請求項4】
前記第2のシールド部材は、少なくとも前記送電アンテナよりも前記第1の方向の長さが長くなるように形成される、請求項のいずれか1項に記載の無線電力伝送システム。
【請求項5】
前記第1のシールド部材と前記第2のシールド部材とのうち少なくともいずれかは、金属により形成されている、請求項のいずれか1項に記載の無線電力伝送システム。
【請求項6】
前記送電アンテナ及び前記受電アンテナのそれぞれは、導電性を有するシールド部材に対して磁性体を介して配設される、請求項1~5のいずれか1項に記載の無線電力伝送システム。
【請求項7】
前記送電アンテナの駆動に係る送電回路を備え、
前記送電回路は、前記送電アンテナに対して前記第1の方向に隣接するように、前記第2の方向に積層されることで形成される、請求項1~のいずれか1項に記載の無線電力伝送システム。
【請求項8】
前記受電アンテナは、当該第1の方向の長さが前記送電アンテナよりも短くなるように形成される、請求項1~のいずれか1項に記載の無線電力伝送システム。
【請求項9】
前記受電アンテナは、前記送電アンテナと対向する状態を維持しながら前記第1の方向に沿って移動可能に支持される、請求項に記載の無線電力伝送システム。
【請求項10】
前記受電アンテナの駆動に係る受電回路を備え、前記受電回路は、前記受電アンテナに対して前記第3の方向に隣接するように、前記第2の方向に積層されることで形成される、請求項に記載の無線電力伝送システム。
【請求項11】
前記受電部は、前記第1の方向に沿って移動可能に支持された駆動部材の少なくとも一部に支持される、請求項9または10に記載の無線電力伝送システム。
【請求項12】
少なくとも第1の方向に沿って移動可能に支持された駆動部材と、
無線電力伝送システムと、
を備え、
前記無線電力伝送システムは、
前記第1の方向に延伸する送電アンテナを備える送電部と、
前記第1の方向に延伸し、かつ前記第1の方向と略直行する第2の方向に前記送電アンテナと対向するように配設される受電アンテナを備える受電部と、
の組を3つ以上含み、
第1の送電アンテナと第2の送電アンテナとは、前記第1の方向及び前記第2の方向それぞれに略直行する第3の方向に離間して配設され、
前記第1の送電アンテナと前記第2の送電アンテナとの間には、導電性を有し、かつ前記第1の送電アンテナと、前記第2の送電アンテナに対向する第2の受電アンテナと、の間を遮蔽するように前記第2の方向に延伸する第1のシールド部材が介在し、
前記第1の送電アンテナと対向する第1の受電アンテナに対して、前記第2の方向に位置するように第3の送電アンテナが配設され、
前記第1の受電アンテナと、前記第3の送電アンテナと、の間が、導電性を有する第2のシールド部材により遮蔽されることを特徴とする機械装置。
【請求項13】
前記機械装置は、半導体露光装置であり、
前記駆動部材は、ウエハを露光位置に移動させるためのステージである、
請求項12に記載の機械装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線電力伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装置内の送電部から受電部へケーブル等を介して行われていた電力供給を、無線電力伝送に置き換えるための技術が考えられている。特許文献1には、モータを動かすための電力を無線で伝送する技術の一例が開示されている。
一方、装置内の送電部から受電部へ電力を伝送する装置の例として、半導体露光装置がある。半導体露光装置では、ウエハを露光位置に移動させるためのステージに対して、ウエハパターンの形成時にステージを微細移動させるためのモータが複数搭載されている場合がある。また、これらのモータを駆動させるために、電力供給等を行うためのケーブルがステージに対して接続されている場合がある。このような構成を有する半導体露光装置においては、ステージの移動に伴いケーブルも動くこととなり、ケーブルによる張力が発生し、ステージの位置決め精度が低下する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-93706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば半導体露光装置における複数のモータのように、複数の駆動対象が存在する場合には、駆動対象ごとに駆動電圧や駆動タイミングが異なる場合がある。また、高い精度での動作が要求される装置においては、駆動電圧に要求される精度が高い。このような状況下で、複数の駆動対象に無線で電力を供給しつつ、複数の駆動対象を個別にかつ高精度に駆動させるための技術が求められている。
【0005】
本発明は上記の問題を鑑み、複数の駆動対象に無線で電力を供給しつつ、複数の駆動対象を個別にかつ高精度に駆動させるための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の無線電力伝送システムは、第1の方向に延伸する送電アンテナを備える送電部と、
前記第1の方向に延伸し、かつ前記第1の方向と略直行する第2の方向に前記送電アンテナと対向するように配設される受電アンテナを備える受電部と、の組を3つ以上含み、第1の送電アンテナと第2の送電アンテナとは、前記第1の方向及び前記第2の方向それぞれに略直行する第3の方向に離間して配設され、前記第1の送電アンテナと前記第2の送電アンテナとの間には、導電性を有し、かつ前記第1の送電アンテナと、前記第2の送電アンテナに対向する第2の受電アンテナと、の間を遮蔽するように前記第2の方向に延伸する第1のシールド部材が介在し、前記第1の送電アンテナと対向する第1の受電アンテナに対して、前記第2の方向に位置するように第3の送電アンテナが配設され、前記第1の受電アンテナと、前記第3の送電アンテナと、の間が、導電性を有する第2のシールド部材により遮蔽される
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の駆動対象に無線で電力を供給しつつ、複数の駆動対象を個別にかつ高精度に駆動させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】無線電力伝送システムの概略的な構成の一例を示した図である。
図2】比較例に係る無線電力伝送システムの概略的な斜視図である。
図3】無線電力伝送システムの構成の一例について説明するための説明図である。
図4】無線電力伝送システムの構成の一例について説明するための説明図である。
図5】無線電力伝送システムの構成の一例について説明するための説明図である。
図6】無線電力伝送システムの概略的な斜視図である。
図7図6に示す無線電力伝送システムのI-I’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0010】
<第1の実施形態>
以下に、本発明の第1の実施形態について説明する。本実施形態に係る無線電力伝送システムは、磁界、または電力及び磁界の双方を利用して電力を伝送する電磁誘導及び磁界共鳴と称される技術の少なくともいずれかの技術を、モータ等の駆動対象に対する電力の供給に利用する。
また、本実施形態では、半導体露光装置に対して無線電力伝送システムを適用する場合に着目して、当該無線電力伝送システムの特徴について説明を行うが、必ずしも本実施形態に係る無線電力伝送システムの適用先を限定するものではない。具体的には、モータや制御回路等のような駆動対象を複数駆動させ、当該駆動対象への電力伝送を無線化した装置であれば、本実施形態に係る無線電力伝送システムを適用することが可能である。特に、上述した装置のうち、複数の駆動対象それぞれに対する電力供給を個別に制御するような装置については、本実施形態に係る無線電力伝送システムとの親和性が高い。より具体的な一例として、インクジェットプリンタ、ロボット装置、自動搬送車(AGV:Automated guided vehicle)等に対して、本実施形態に係る無線電力伝送システムを適用することも可能である。
【0011】
(概略構成)
図1を参照して、本実施形態に係る無線電力伝送システムの概略的な構成の一例について説明する。図1に示す例では、無線電力伝送システム300は、複数のモータ400を駆動対象として、個々のモータ400に対して無線の伝送路を介して個別に電力を供給する。モータ400は、例えば、半導体露光装置においてステージを移動させるための個々のモータに相当し、それぞれが独立して駆動可能である。なお、半導体露光装置では10個程度のモータが使用されるが、図1に示す例では、3つのモータ400を駆動させるための構成を抜き出して図示している。無線電力伝送システム300は、送電部100と、受電部200とを含む。本実施形態では、無線電力伝送システム300全体が1つの装置内に実装されており、装置内の固定部に送電部100が含まれ、モータ400の動力などにより固定部に対して移動可能な可動部に受電部200が含まれるものとする。ただし、無線電力伝送システム300の実装はこれに限定されない。
【0012】
送電部100は、3つの送電アンテナ101と、送信部102と、コントローラ103と、電源104と、送電回路として機能する3つのSW(Switch)回路106とを含む。受電部200は、3つの受電アンテナ201と、受信部202と、3つの受電回路204と、ゲート駆動回路205と、3つのモータ駆動回路206とを含む。送電部100と受電部200との間は物理的には接続されておらず、個々の送電アンテナ101と、個々の受電アンテナ201と、の間において非接触で、電力を供給するための給電信号が伝送される。そのため、送電アンテナ101及び受電アンテナ201のそれぞれは、例えば、コイル状のアンテナ素子を備えてもよい。
【0013】
電源104は、モータ400を駆動するための電力源である。電源104は、コントローラ103からの制御に基づき、モータ400への給電信号の供給に係る電源電圧を後述する各SW回路106に印可する。
コントローラ103は、各種条件も基づき電源104の動作を制御する。例えば、コントローラ103は、光学センサ等の各種センサによる検知結果に基づき各モータ400の状態(例えば、モータ400の駆動に伴うステージの位置や姿勢等)を監視し、監視結果に応じて電源104による電源電圧の印可に係る動作を制御してもよい。
【0014】
電源電圧の印可に係る動作の制御の一例としては、モータ400の推力を決定する出力電圧振幅値の制御、モータ400の動く向きを決定するモータ印可電圧符号等の制御が挙げられる。
出力電圧振幅値に関する情報は、コントローラ103が電源104に対して制御信号を出力することで電源104に通知される。すなわち、電源104は、コントローラ103から出力される上記制御信号に基づき、電源電圧の出力電圧振幅値が指定された値となるように制御する。
モータ印可電圧符号に関する情報は、コントローラ103が送信部102及び受信部202を介して制御信号をゲート駆動回路205に送信することで通知される。ゲート駆動回路205は、コントローラ103から送信される上記制御信号に基づき、モータ駆動回路206の整流動作を180°反転させることでモータ印可電圧符号を正から負、または負から正に反転させる。
【0015】
ここで、具体的な一例として、正の電圧をモータ400に印可する場合のシステムの基本動作について説明する。
電源104は、コントローラ103からの指示に基づき、各SW回路106に印可する電源電圧の出力電圧振幅値を制御したうえで、出力電圧振幅値が制御された電源電圧を対応するSW回路106に印可する。SW回路106は、所定の周波数のクロック信号の生成器とスイッチング素子とを備えており、当該クロック信号に基づき当該スイッチング素子を駆動することで、印可された電源電圧をスイッチングして交流波形の電圧信号に変換する。この交流波形の電圧信号は、SW回路106から送電アンテナ101に伝送され、送電アンテナ101と受電アンテナ201との間の磁界結合により、送電アンテナ101から受電アンテナ201に伝送される。そして、各受電アンテナ201に伝送された交流波形の電圧信号は、受電アンテナ201から受電回路204に伝送される。
【0016】
受電回路204は、伝送された電圧信号に応じた電力をモータ駆動回路206に供給する。この際に、受電回路204は、交流波形の電圧信号を直流波形の電圧信号に変換したうえで、当該直流波形の電圧信号をモータ駆動回路206に供給してもよい。
モータ駆動回路206は、受電回路204から供給される電圧信号(電源電圧信号)に基づき、駆動対象となるモータ400を駆動する。この際に、モータ駆動回路206は、ゲート駆動回路205からの制御に基づき、モータ印可電圧符号を反転させることで、モータ400の駆動方向を制御してもよい。
【0017】
SW回路106及び受電回路204は、例えば、インダクタンス及びコンデンサを含む共振電源回路を含むように構成されている。共振電源回路の各素子値は、各種条件に基づき決定される。上記条件には、例えば、送電アンテナ101及び受電アンテナ201それぞれのインダクタンス値及びレジスタンス値、送電アンテナ101と受電アンテナ201との結合係数、及びスイッチング周波数が含まれてもよい。また、上記条件には、例えば、最大電源出力電圧値、最大モータ印可電圧値、及びモータ400のレジスタンス値等が含まれてもよい。
【0018】
電源出力電圧値及びモータ印可電圧値は、コントローラ103による制御に基づきその都度変化するため、用途に応じてあらかじめ決められた電圧範囲において、電源出力電圧値とモータ印可電圧値とが略等しくなるように共振電源回路の各素子値を調整しておく。また、電源出力電圧値とモータ印可電圧値との関係をあらかじめ測定してテーブル化しておき、所望のモータ印可電圧値を得るための電源出力電圧値が指定される構成とすることで、モータ400の駆動を高精度に制御することも可能である。
モータ400の動きを高精度で駆動するうえでは、3つの送電アンテナ101及び受電アンテナ201のそれぞれは、隣接する送電アンテナ101からの干渉の影響を受けずに駆動することが望ましい。モータ駆動に求められる電圧精度としては、例えば、半導体露光装置等の場合には数mV程度の誤差となる。すなわち、このような場合には、隣接する電力システム(例えば、隣接する送電アンテナ101)からの干渉電圧を数mV以内に抑えることが望ましい。
【0019】
(比較例)
ここで、本実施形態に係る無線電力伝送システムの特徴をよりわかりやすくするために、比較例として、図2を参照して、図1に示す送電アンテナ101及び受電アンテナ201の配設方法の一例について説明する。図2は、比較例に係る無線電力伝送システムの概略的な斜視図である。比較例に係る無線電力伝送システムでは、送電アンテナ101及び受電アンテナ201のそれぞれが所定の方向(図2に示すY方向)に沿って平置きされるように配設されている。
【0020】
具体的には、3つの送電アンテナ101は、それぞれが同様の方向に延伸するように長尺状に形成されている。なお、以降の説明では、各送電アンテナ101が延伸する方向を「X方向」とも称する。また、3つの送電アンテナ101が並べて配設される方向を「Y方向」とも称する。X方向とY方向とは略直行する。また、X方向及びY方向それぞれに略直行する方向を便宜上「Z方向」とも称する。また、以降では、3つの送電アンテナ101のそれぞれを、便宜上、送電アンテナ1011、1012、及び1013とも称する。
【0021】
3つの受電アンテナ201は、送電アンテナ101が延伸する方向と略等しい方向に延伸するように長尺状に形成されている。受電アンテナ201が延伸する方向(X方向)の長さは、送電アンテナ101が延伸する方向(X方向)の長さ以下となる。例えば、図2に示す例では、受電アンテナ201は、X方向の長さが、送電アンテナ101のX方向の長さよりも短くなるように形成されている。
このような構成の基で、図2に示す例では、3つの受電アンテナ201は、送電アンテナ101が延伸する方向(X方向)に沿ってスライド移動が可能に支持されている。この際に、3つの受電アンテナ201それぞれが、3つの送電アンテナ101のうち対応する送電アンテナ101と対向する状態が維持された状態で、当該3つの受電アンテナ201がスライド移動する。なお、以降では、3つの受電アンテナ201のそれぞれを、便宜上、受電アンテナ2011、2012、及び2013とも称する。また、送電アンテナ1011と受電アンテナ2011とが結合し、送電アンテナ1011から受電アンテナ2011に交流波形の電圧信号が伝送されるものとする。同様に、送電アンテナ1012と受電アンテナ2012とが結合し、送電アンテナ1013と受電アンテナ2013とが結合するものとする。
【0022】
なお、比較例に係る無線電力伝送システムについてアンテナ間の結合係数を電磁界シミュレーションすると、アンテナ1011及び2011、1012及び2012、並びに1013及び2013のそれぞれの間において、0.3程度であった。また、隣接するレーン間(すなわち、アンテナ1011及び2012間と、アンテナ1012及び2013間)の結合係数は0.009程度であった。この場合には、例えば、アンテナ1011からアンテナ2012に伝わる干渉電圧を回路シミュレーションすると、100mV以上となり、モータ400が誤作動する可能性がある。
【0023】
以上のような状況を鑑み、本実施形態に係る無線電力伝送システムでは、送電アンテナ101及び受電アンテナ201の配設方法を工夫することで、隣接する送電アンテナ101からの干渉の影響をより低減している。そこで、以降では、本実施形態に係る無線電力伝送システムの特徴について、特に、送電アンテナ101及び受電アンテナ201の配設方法に着目してより詳しく説明する。
【0024】
(送電アンテナ及び受電アンテナの構成例)
図3は、本実施形態に係る無線電力伝送システムの構成の一例について説明するための説明図であり、特に、送電アンテナ101及び受電アンテナ201が配設された部分の断面図を示している。なお、図3に示す例では、送電アンテナ101は、図2に示す例と同様に、X方向に延伸するように長尺状に形成されているものとする。同様に、受電アンテナ201は、図2に示す例と同様に、X方向に延伸するように長尺状に形成されており、X方向の長さが送電アンテナ101よりも短くなるように形成されている。また、図3に示すX方向、Y方向、及びZ方向は、図2におけるX方向、Y方向、及びZ方向と同様であるものとする。すなわち、図3は、本実施形態に係る無線電力伝送システムのうち、送電アンテナ101及び受電アンテナ201を含む部分をYZ平面で切断した場合の概略的な断面図を示している。
また、以降の説明では、便宜上、図3において、図面の上方向を「+Z方向」とも称し、下方向を「-Z方向」とも称する。また、図面の左方向「+Y方向」とも称し、「右方向」を「-Y方向」とも称する。また、図面の奧側に向けた方向を「+X方向」とも称し、手前側に向けた方向を「-X方向」とも称する。
【0025】
図3に示す例では、3つの送電アンテナ101のそれぞれが、送電アンテナ1011、1012、及び1013として示されている。同様に、3つの受電アンテナ201のそれぞれが、受電アンテナ2011、2012、及び2013として示されている。
【0026】
シールド部材3011は、少なくともX方向及びY方向に延伸する面を有しており、当該面上に、磁性体1112及び1113が配設され、当該磁性体1112及び1113上に送電アンテナ1012及び1013が積層されている。このとき、送電アンテナ1012及び1013のそれぞれは、長尺方向がX方向と略一致するように、Y方向に沿って並べて配設されている。
【0027】
受電アンテナ2012は、送電アンテナ1012に対して+Z方向に位置し、かつ送電アンテナ1012とZ方向に離間して対向するようにシールド部材3013に支持される。具体的には、シールド部材3013は、少なくとも送電アンテナ1012と対向する側(-Z方向)にX方向及びY方向に延伸する面を有しており、当該面状に、磁性体2112が配設され、当該磁性体2112上に受電アンテナ2012が積層されている。このとき受電アンテナ2012は、長尺方向がX方向と略一致するように配設される。
同様に、受電アンテナ2013は、送電アンテナ1013に対して+Z方向に位置し、かつ送電アンテナ1013とZ方向に離間して対向するようにシールド部材3013に支持される。具体的には、シールド部材3013の、送電アンテナ1013と対向する側(-Z方向)の面上に磁性体2113が配設され、当該磁性体2113上に受電アンテナ2013が積層される。
【0028】
送電アンテナ1012及び1013間には、シールド部材3011から+Z方向に延伸するようにシールド部材3012が形成される。このとき、シールド部材3012は、送電アンテナ1012及び受電アンテナ2013間と、送電アンテナ1013及び受電アンテナ2012間と、のそれぞれを遮蔽できる程度のZ方向の長さを有していることが望ましい。より具体的な一例として、シールド部材3012は、+Z方向側の端部が、受電アンテナ2012及び2013それぞれの-Z方向側の面よりも+Z方向側に位置するように形成されることが望ましい。すなわち、シールド部材3012の厚みが、送電アンテナ101及び受電アンテナ201それぞれの厚みと、送電アンテナ101と受電アンテナ201との間の距離と、の和以上となることが望ましい。また、シールド部材3011と、送電アンテナ1012及び1013のそれぞれと、の間は電気的に接続されていない。同様に、シールド部材3013と、受電アンテナ2012及び2013のそれぞれと、の間は電気的に接続されていない。
【0029】
また、受電アンテナ2012の+Z方向側には、間にシールド部材3014が介在するように、送電アンテナ1011が配設されている。具体的には、シールド部材3013の+Z方向側には、少なくとも+Z方向側にX方向及びY方向に延伸する面を有したシールド部材3014が配設されている。シールド部材3014の+Z方向側の面上には、磁性体1111が配設されており、磁性体1111上に送電アンテナ1011が積層されている。
受電アンテナ2011は、送電アンテナ1011に対して+Z方向に位置し、かつ送電アンテナ1011とZ方向に離間して対向するようにシールド部材3015に支持される。具体的には、シールド部材3015の、送電アンテナ1011と対向する側(-Z方向)の面上に磁性体2111が配設され、当該磁性体2111上に受電アンテナ2011が積層される。
【0030】
なお、シールド部材3011~3015のようなシールド部材は、導電性を有していれば素材は特に限定されない。例えば、シールド部材は、金属により形成されていてもよい。シールド部材の形成に使用可能な金属としては、例えば、ステンレス鋼材が挙げられる。もちろん、シールド部材の形成に利用する素材は、導電性を有するものであれば、金属には限定されない。具体的な一例として、導電性の接着剤や樹脂等を利用してシールド部材が形成されてもよい。
また、磁性体1111~1113、2111~2113としては、強磁性体を利用することが可能であり、具体的な一例として、フェライト等を利用することが可能である。また、送電アンテナ101と受電アンテナ201との間の結合係数の条件を満たすことが可能であれば、上記磁性体として利用される素材が適宜変更されてもよい。具体的な一例として、送電アンテナ101と受電アンテナ201との間で伝送する電力信号の周波数がkHz代であれば、パーマロイやセンダスト等の素材を上記磁性体として利用することも可能である。
【0031】
上述の通り、シールド部材及び磁性体を配設し、さらにアンテナを積層する構成とすることで、アンテナ間の干渉を抑制することが可能である。
【0032】
具体的には、受電アンテナ2012と送電アンテナ1011との間には、X方向及びY方向に延伸するように形成されたシールド部材3013及び3014が配設されている。このような構成により、送電アンテナ1011から送信される無線信号による受電アンテナ2012への干渉の影響を抑制することが可能となる。
また、送電アンテナ1012と受電アンテナ2013との間と、送電アンテナ1013と受電アンテナ2012との間と、のそれぞれには、Z方向に延伸するように形成されたシールド部材3012が配設されている。このような構成により、送電アンテナ1012から送信される無線信号による受電アンテナ2013への干渉の影響と、送電アンテナ1013から送信される無線信号による受電アンテナ2012への干渉の影響と、を抑制することが可能となる。
【0033】
また、各アンテナとシールド部材との間には磁性体が配設されている。具体的な一例として、シールド部材3011と送電アンテナ1012との間には磁性体1112が配設されている。このような構成により、アンテナ特性の劣化を防止することが可能となる。
【0034】
図3に示す構成において、送電アンテナ1011及び受電アンテナ2011、送電アンテナ1012及び受電アンテナ2012、並びに送電アンテナ1013及び受電アンテナ2013それぞれの間の結合係数を電磁界シミュレーションすると0.3程度であった。また、送電アンテナ1011と受電アンテナ2012との間の結合係数が3.8E-5であり、干渉電圧の回路シミュレーションに依れば、送電アンテナ1011から受電アンテナ2012に伝わる干渉電圧は20mV程度となる。また、送電アンテナ1013と受電アンテナ2012との間の結合係数が1.8E-5であり、干渉電圧の回路シミュレーションに依れば、送電アンテナ1013から受電アンテナ2012に伝わる干渉電圧は5mV程度となる。
【0035】
以上のように、本実施形態に係る無線電力伝送システムに依れば、所望の電力伝送の性能を劣化させることなく、他の送電アンテナ(例えば、隣接するレーンの送電アンテナ)から送信される信号による干渉の影響を抑制することが可能となる。
【0036】
なお、送電アンテナ1012、1013、及び1011がそれぞれ、「第1の送電アンテナ」、「第2の送電アンテナ」、及び「第3の送電アンテナ」の一例に相当する。同様に、受電アンテナ2012、2013、及び2011がそれぞれ、「第1の受電アンテナ」、「第2の受電アンテナ」、及び「第3の受電アンテナ」の一例に相当する。また、図3に示す例では、X方向、すなわち、各送電アンテナ101及び各受電アンテナ201が延伸する方向が、「第1の方向」の一例に相当する。また、図3に示す例では、Z方向が「第2の方向」の一例に相当し、Y方向が「第3の方向」の一例に相当する。また、シールド部材3012が「第1のシールド部材」の一例に相当し、シールド部材3013及び3014の少なくともいずれかが「第2のシールド部材」の一例に相当する。また、図3に示す例では、送電アンテナ101及び受電アンテナ201の組が3つの場合について示しているが、送電アンテナ101及び受電アンテナ201の組を3つ以上含めばその数は特に限定されない。
【0037】
<第2の実施形態>
以下に、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態に係る無線電力伝送システムでは、金属等のような導電性を有する素材で形成されたシールド部材を設けることで、アンテナ間の干渉を抑制していた。本実施形態では、第1の実施形態に比べてアンテナ間の干渉の抑制効果をさらに向上させることが可能な構成の一例について説明する。なお、本実施形態では、第1の実施形態と異なる部分に着目して説明し、第1の実施形態と実質的に同様の部分については詳細な説明は省略する。
【0038】
例えば、図4は、本実施形態に係る無線電力伝送システムの構成の一例について説明するための説明図であり、特に、送電アンテナ101及び受電アンテナ201が配設された部分の断面図を示している。なお、図4に示す例では、図3に示す例と同様に、送電アンテナ101及び受電アンテナ201はX方向に延伸するように形成され、受電アンテナ201のX方向の長さは送電アンテナ101よりも短いものとする。また、図4に示すX方向、Y方向、及びZ方向は、図3におけるX方向、Y方向、及びZ方向と同様であるものとする。すなわち、図4は、本実施形態に係る無線電力伝送システムのうち、送電アンテナ101及び受電アンテナ201を含む部分をYZ平面で切断した場合の概略的な断面図を示している。
【0039】
図4図3と比較するとわかるように、本実施形態では第1の実施形態に比べてシールド部材3012がさらに+Z方向に延伸し、シールド部材3012とシールド部材3014とが接合されている。すなわち、図4に示す例では、送電アンテナ1012及び受電アンテナ2012と、送電アンテナ1013及び受電アンテナ2013と、の間が、シールド部材3012のより隙間なく遮蔽されている。これにより、第1の実施形態に比べて、送電アンテナ1012と受電アンテナ2013との間の干渉の影響と、送電アンテナ1013と受電アンテナ2012との間の干渉の影響と、を更に抑制する効果を期待することが可能となる。
【0040】
具体的には、図4に示す例における送電アンテナ1013と受電アンテナ2012との間の結合係数を、図3に示す例と同様に電磁界シミュレーションすると、6.4E-6となり、図3に示す例に比べてより低くなっている。また、干渉電圧の回路シミュレーションに依れば、送電アンテナ1013から受電アンテナ2012に伝わる干渉電圧は1mV程度となり、図3に示す例に比べてより低くなっている。
【0041】
また、図5は、本実施形態に係る無線電力伝送システムの構成の他の一例について説明するための説明図であり、特に、送電アンテナ101及び受電アンテナ201が配設された部分の断面図を示している。なお、図5に示す例では、図4に示す例と同様に、送電アンテナ101及び受電アンテナ201はX方向に延伸するように形成され、受電アンテナ201のX方向の長さは送電アンテナ101よりも短いものとする。また、図5に示すX方向、Y方向、及びZ方向は、図4におけるX方向、Y方向、及びZ方向と同様であるものとする。すなわち、図5は、本実施形態に係る無線電力伝送システムのうち、送電アンテナ101及び受電アンテナ201を含む部分をYZ平面で切断した場合の概略的な断面図を示している。
【0042】
図5に示す例では、シールド部材3011及び3014は、Y方向の幅が、各送電アンテナ101及び各受電アンテナ201が配設された領域のY方向の幅よりも広くなるように形成されている。すなわち、Y方向の範囲に着目した場合に、各送電アンテナ101及び各受電アンテナ201それぞれが配設された範囲が、シールド部材3011及び3014それぞれが形成された範囲に包含されることとなる。このような構成により、第1の実施形態に比べて、送電アンテナ1011と受電アンテナ2012との間の干渉の影響を更に抑制する効果を期待することが可能となる。
【0043】
具体的には、図5に示す例における送電アンテナ1011と受電アンテナ2012との間の結合係数を、図3に示す例と同様に電磁界シミュレーションすると、8.75E-6となり、図3に示す例に比べてより低くなっている。また、干渉電圧の回路シミュレーションに依れば、送電アンテナ1011から受電アンテナ2012に伝わる干渉電圧は1mV程度となり、図3に示す例に比べてより低くなっている。このように、アンテナの幅よりもシールド部材の幅がより広くなるように当該アンテナ及び当該シールド部材を形成することで、アンテナ間のさらなる干渉抑制の効果を期待することが可能となる。
【0044】
なお、各送電アンテナ101及び各受電アンテナ201は、FR4(Flame Retardant Type 4)等のような誘電体基板に形成されてもよいし、リッツ線等のような銅線がコイル状に巻かれたアンテナとして形成されてもよい。また、各送電アンテナ101及び各受電アンテナ201は、フレキシブル基板等のように、折り曲げ可能に形成されていてもよい。これらについては、第1の実施形態に係る無線電力伝送システムにおいても同様である。
【0045】
<第3の実施形態>
以下に、本発明の第3の実施形態について説明する。本開示の各実施形態に係る無線電力伝送システムでは、アンテナのみに限らず、SW回路106と、受電回路204及びモータ駆動回路206(以下、「受電側回路」とも称する)と、についても駆動対象(例えば、モータ等)の数量に応じた数が設けられる。そのため、受電側回路の配設方法に応じて、例えば、SW回路間の干渉や、受電側回路間の干渉等が発生する可能性がある。また、受電側回路の配設に関して、省スペース化が求められる場合もある。そこで、本実施形態では、SW回路や受電側回路の実装方法の一例について説明する。
【0046】
図6は、本実施形態に係る無線電力伝送システムの概略的な斜視図(鳥瞰図)である。また、図7は、図6に示す無線電力伝送システムのI-I’断面図である。
【0047】
図6及び図7では、3つの送電アンテナ101それぞれに対して個別にSW回路106が接続されている。具体的には、送電アンテナ1011、1012、及び1013に対して、SW回路1061、1062、及び1063がそれぞれ接続されている。各SW回路106は、対応する送電アンテナ101の近傍に配設されるように、当該送電アンテナ101と同様に積層して形成される。
具体的な一例として、SW回路1061は、送電アンテナ1011に対して-X方向側に隣接するように、Z方向に積層されて形成される。同様に、SW回路1062及び1063は、それぞれ送電アンテナ1012及び1013に対して-X方向側に隣接するように、Z方向に積層されて形成されて形成される。
このような構成より、SW回路106間の干渉を抑制し、かつ省スペース化を実現することが可能となる。
【0048】
また、3つの受電アンテナそれぞれに対して個別に受電側回路(受電回路204及びモータ駆動回路206)が接続されている。具体的には、受電アンテナ2011、2012、及び2013に対して、受電側回路2041、2042、及び2043がそれぞれ接続されている。各受電側回路は、対応する受電アンテナ201の近傍に配設されるように、当該受電アンテナ201と同様に積層して形成される。
具体的な一例として、受電側回路2041は、受電アンテナ2011に対して+Y方向側に近接するように、Z方向に積層されて形成される。同様に、受電側回路2042は、受電アンテナ2012に対して+Y方向側に近接するように、Z方向に積層されて形成される。また、受電側回路2043は、受電アンテナ2013に対して-Y方向側に近接するように、Z方向に積層されて形成される。
このような構成より、受電アンテナ201ごとに形成される受電回路204及びモータ駆動回路206を含む受電側回路間における干渉を抑制し、かつ省スペース化を実現することが可能となる。
上述した実施形態によれば、複数の駆動対象に応じた数の電力伝送用のモジュールを設けることで、複数の駆動対象に無線で電力を供給しつつ、複数の駆動対象を個別にかつ高精度に駆動させることができる。具体的な一例として、無線での電力伝送のためのアンテナや、当該アンテナの駆動回路(送電回路及び受電回路)が、電力伝送用のモジュールの数量分設けられる。また、半導体露光装置等のような高い精度での動作が要求される装置において、複数のアンテナ間や複数の回路間における干渉の発生を抑制する仕組みを導入することで、駆動電圧の制御の精度を高めることができる。
また、無線電力伝送システムの適用先となる各種装置には小型化が要求される場合もある。例えば、半導体露光装置においてはステージ周辺の実装スペースが制限されている。このような場合にも、上述した実施形態を適用することで、無線電力伝送システム自体を小型化することができ、その結果、適用先の装置の小型化も実現できる。
なお、無線電力伝送システムを小型化することで、アンテナ、送電回路、及び受電回路等が配設されるスペースが制限され、各アンテナや各回路が配設される間隔もより短くなるため、複数のアンテナ間における干渉の影響がより顕在化しやすくなる。しかしながら、上述した実施形態によれば、無線電力伝送システム内におけるアンテナ間及び回路基板間の干渉を抑制できるため、無線電力伝送システムを小型化しつつ、駆動対象を高精度に駆動させることができる。
【0049】
<その他の実施形態>
上述した各実施形態では、長尺状の送電アンテナ101と、送電アンテナ101上を移動可能に支持された当該送電アンテナ101よりも長さの短い受電アンテナ201と、の間で電力伝送が行われる場合の構成の一例について説明した。一方で、同構成はあくまで一例であり、本実施形態に係る無線電力伝送システムの技術思想を逸脱しない範囲であれば、一部の構成が適宜変更されてもよい。
例えば、送電アンテナ101と受電アンテナ201との形状が略等しくてもよい。より具体的な一例として、送電アンテナ101と受電アンテナ201とが、長尺方向の長さが略等しくなるように形成されてもよい。
また、上述した実施形態では、送電アンテナ101及び受電アンテナ201が直線状に延伸するように形成される場合の一例について説明した。一方で、無線電力伝送システムを送電アンテナ101及び受電アンテナ201が延伸する方向に直行する平面で切断した場合の断面図が、図3図4図5、及び図7に示す断面図と略等しい構成を示していれば必ずしも無線電力伝送システムの構成は限定されない。具体的な一例として、送電アンテナ101及び受電アンテナ201のうち少なくともいずれかが、リングの円周に沿って延伸するように形成されていてもよいし、多角形の各辺に沿って延伸するように形成されてもよい。
【0050】
また、上述した各実施形態では、無線電力伝送システム内におけるアンテナ間及び回路基板間の干渉の抑制に着目して、当該無線電力伝送システムの構成の一例について説明した。一方で、本実施形態に係る無線電力伝送システムに依れば、隣接する他の制御回路や通信基板から発生する電磁波等による干渉の影響をも抑制する効果を期待することが可能である。
【0051】
また、前述したように、本実施形態に係る無線電力伝送システムの適用先は、半導体露光装置には限定されない。具体的な一例として、インクジェットプリンタ、ロボット装置、及び自動搬送車等のような所望の駆動対象を備える機械装置であれば本実施形態に係る無線電力伝送システムを適用することが可能である。具体的な一例として、送電アンテナ101が延伸する方向に移動可能に支持された駆動部材に対して受電部200(特に、受電アンテナ201)が支持される構成とすることが可能であれば、本実施形態に係る無線電力伝送システムを適用することが可能である。また、駆動対象についてもモータには限定されず、駆動対象に応じて少なくとも一部の構成が適宜変更されてもよい。具体的な一例として、図1に示すモータ駆動回路206に相当する構成が、駆動対象に応じて適宜変更されてもよい。
【符号の説明】
【0052】
100 送電部
200 受電部
300 無線電力伝送システム
400 モータ
1011、1012、1013 送電アンテナ
2011、2012、2013 受電アンテナ
3011、3012、3013、3014、3015 シールド部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7