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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】インターホン子機
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20240311BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20240311BHJP
   H04N 23/71 20230101ALI20240311BHJP
【FI】
H04M9/00 D
H04M1/02 G
H04N23/71
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019208152
(22)【出願日】2019-11-18
(65)【公開番号】P2021082920
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 益典
(72)【発明者】
【氏名】水谷 行孝
【審査官】田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-130360(JP,A)
【文献】特開2008-311966(JP,A)
【文献】特開2013-038705(JP,A)
【文献】特開2002-344598(JP,A)
【文献】特開2015-226301(JP,A)
【文献】特開2002-064814(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0250033(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 9/00- 9/10
H04M 1/02
H04N 5/222- 5/257
H04N 23/00
H04N 23/40-23/76
H04N 23/90-23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者を撮像するためのカメラと、居住者を呼び出すための呼出操作部の位置を認識し易くするための発光手段とを備えたインターホン子機において、
前記発光手段の明るさを変更する明るさ制御回路を有し、
前記明るさ制御回路は、前記カメラが生成するゲイン信号を基に輝度を算出する輝度算出部を有し、当該輝度算出部が算出した輝度情報を基に前記発光手段の明るさを制御することを特徴とするインターホン子機。
【請求項2】
人感センサを具備し、当該人感センサの感知動作により前記カメラが起動し、前記明るさ制御回路に信号が出力されることを特徴とする請求項1記載のインターホン子機。
【請求項3】
インターホン子機のハウジングは、一部を前記呼出操作部とした透明或いは半透明のパネルを前面に備えて成り、
前記呼出操作部は、光が乱反射するよう溝加工或いは不透明加工されて成る一方、前記発光手段は前記パネルの端面に配置されて成り、
前記発光手段の発光により、前記溝加工或いは不透明加工された部位が光浮上して呼出操作部の位置が明示され、
溝加工或いは不透明加工された部位が押下操作されると、居住者の呼び出しが成されることを特徴とする請求項1又は2記載のインターホン子機。
【請求項4】
来訪者を撮像するためのカメラと、居住者を呼び出すための呼出操作部の位置を認識し易くするための発光手段とを備えたインターホン子機において、
前記発光手段の明るさを変更する明るさ制御回路を有し、
前記明るさ制御回路は、前記カメラから入手した明るさ情報を基に明るさを制御する一方、
インターホン子機のハウジングは、一部を前記呼出操作部とした透明或いは半透明のパネルを前面に備えて成り、
前記呼出操作部は、光が乱反射するよう溝加工或いは不透明加工されて成る一方、前記発光手段は前記パネルの端面に配置されて成り、
前記発光手段の発光により、前記溝加工或いは不透明加工された部位が光浮上して呼出操作部の位置が明示され、
溝加工或いは不透明加工された部位が押下操作されると、居住者の呼び出しが成されることを特徴とするインターホン子機。
【請求項5】
前記パネルの少なくとも前記溝加工或いは不透明加工された部位に、光蓄積塗料が塗布されて成ることを特徴とする請求項3又は4記載のインターホン子機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関等に設置されて来訪者が居住者を呼び出すためのインターホン子機に関し、特にカメラを備えたインターホン子機に関する。
【背景技術】
【0002】
玄関等の屋外に設置されて、来訪者が居住者を呼び出すためのインターホン子機は、カメラを備えたものが普及している。カメラを備えることで、室内に設置されたインターホン親機により、居住者は来訪者を映像で確認しながら通話できるため、セキュリティの向上に貢献している。
このようなインターホン子機には、呼出ボタンの位置を認識し易くするために、呼出ボタンに表示灯(発光手段)を設たものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-165694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
呼出ボタンの位置を認識し易くする上記従来の表示灯は、オン/オフ操作を可能とした程度であり明るさの制御はできなかった。そのため、夜間は眩しすぎたり、日中は周囲が明るいことで照明の点灯を視認できず、呼出ボタンのデザインによってはボタン位置が分かりづらい状態が発生した。
この問題を解消するために、周囲の照度を検知して周囲の明るさに応じて表示灯の明るさを変更する制御が考えられるが、そのためには照度センサを必要とするため、コストアップを招く問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、カメラを備えたインターホン子機において、カメラから得る情報を用いることで、照度センサに頼らず呼出操作部の位置を明示する発光手段の明るさを制御できるインターホン子機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、来訪者を撮像するためのカメラと、居住者を呼び出すための呼出操作部の位置を認識し易くするための発光手段とを備えたインターホン子機において、発光手段の明るさを変更する明るさ制御回路を有し、明るさ制御回路は、カメラが生成するゲイン信号を基に輝度を算出する輝度算出部を有し、当該輝度算出部が算出した輝度情報を基に発光手段の明るさを制御することを特徴とする。
この構成によれば、カメラから明るさ情報を得ることで、照度センサを設けること無く発光手段の明るさを周囲の明るさに応じて変更できる。よって、夜間は眩しすぎたり、昼間は呼出操作部を視認しづらくなる状態を無くすことができる。
加えて、ゲイン信号は暗いときは高く、明るい時は低くなる特性を示すため、これとは反比例する輝度値をゲイン信号から算出できる。よって、算出した輝度値により周囲が暗い時は少ない電流で発光し、明るくなると電流を増加させることができるので、明るさ制御を良好に実施できる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、人感センサを具備し、当該人感センサの感知動作によりカメラが起動し、明るさ制御回路に信号が出力されることを特徴とする。
この構成によれば、人感センサを備えることで、カメラは来訪者が現れた時のみ動作し、常時動作しないため省電力とすることができる。そして、必要なときに輝度情報を入手して発光手段を好ましい明るさで発光させることができる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、インターホン子機のハウジングは、一部を呼出操作部とした透明或いは半透明のパネルを前面に備えて成り、呼出操作部は、光が乱反射するよう溝加工或いは不透明加工されて成る一方、発光手段はパネルの端面に配置されて成り、発光手段の発光により、溝加工或いは不透明加工された部位が光浮上して呼出操作部の位置が明示され、溝加工或いは不透明加工された部位が押下操作されると、居住者の呼び出しが成されることを特徴とする。
この構成によれば、パネルの一部が呼出操作部であることが光浮上して明示されるため、従来のように押下操作する専用のボタンを配置しなくとも、来訪者は呼出操作する操作部を認識できる。そのため、デザイン性を拡張でき、全く新しい外観のインターホン子機の作製が可能となる。
【0009】
請求項4の発明は、来訪者を撮像するためのカメラと、居住者を呼び出すための呼出操作部の位置を認識し易くするための発光手段とを備えたインターホン子機において、発光手段の明るさを変更する明るさ制御回路を有し、明るさ制御回路は、カメラから入手した明るさ情報を基に明るさを制御する一方、インターホン子機のハウジングは、一部を呼出操作部とした透明或いは半透明のパネルを前面に備えて成り、呼出操作部は、光が乱反射するよう溝加工或いは不透明加工されて成る一方、発光手段はパネルの端面に配置されて成り、発光手段の発光により、溝加工或いは不透明加工された部位が光浮上して呼出操作部の位置が明示され、溝加工或いは不透明加工された部位が押下操作されると、居住者の呼び出しが成されることを特徴とする。
この構成によれば、カメラから明るさ情報を得ることで、照度センサを設けること無く発光手段の明るさを周囲の明るさに応じて変更できる。よって、夜間は眩しすぎたり、昼間は呼出操作部を視認しづらくなる状態を無くすことができる。
加えて、パネルの一部が呼出操作部であることが光浮上して明示されるため、従来のように押下操作する専用のボタンを配置しなくとも、来訪者は呼出操作する操作部を認識できる。そのため、デザイン性を拡張でき、全く新しい外観のインターホン子機の作製が可能となる。
【0010】
請求項5の発明は、請求項3又は4に記載の構成において、パネルの少なくとも溝加工或いは不透明加工された部位に、光蓄積塗料が塗布されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、光蓄積塗料を塗布した部位は外部の光源によっても光り易く、視認し易い。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カメラから明るさ情報を得ることで、照度センサを設けること無く発光手段の明るさを周囲の明るさに応じて変更できる。よって、夜間は眩しすぎたり、昼間は呼出操作部を視認しづらくなる状態を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るインターホン子機の一例を示す回路ブロック図である。
図2】インターホン子機の斜視図である。
図3】インターホン子機の正面図である。
図4】インターホン子機の右側面図である。
図5】明るさ制御の流れを示す動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係るインターホン子機の一例を示す回路ブロック図である。インターホン子機1は図1に示すように、来訪者を撮像するカメラ11、カメラ11の撮像映像を処理する映像処理部12、呼出信号を出力させる呼出スイッチ13、マイク14a及びスピーカ14bを備えた通話部14、人感センサ15、後述する呼出操作部を明示させるためのLED16、LED16を制御するLED制御部17、インターホン子機1を制御する子機CPU18、図示しないインターホン親機と通信する子機IF19等を備えている。
【0014】
カメラ11は、撮像素子11aと撮像素子11aが出力するアナログ信号を調整するアナログ信号処理回路(AFE(Analog Front End))11bを備えている。
呼出スイッチ13は呼出操作部を介して操作され、来訪者によって呼出操作部が押下操作されたらオン動作し、子機CPU18において呼出信号が生成される。
【0015】
LED制御部17は輝度算出部17aを具備し、カメラ11のAFE11bからゲイン情報を入手して輝度算出部17aが輝度を算出し、LED16の明るさが制御される。ゲイン信号は、暗い時は高くなり明るい時は低くなり、輝度とは反比例する特性を示すため、この信号を基に輝度が算出される。
【0016】
図2はインターホン子機1の斜視図を示し、図3は正面図、図4は右側面図を示している。図示するように、インターホン子機1のハウジング4は、ハウジング本体2と前面に設けられた大きなパネル3とにより構成されている。パネル3はアクリル製の透明な板体で、ハウジング本体2前面の8割以上を覆う広さで形成されている。
ハウジング本体2のパネル3を配置するエリアは一段低く形成され、取り付けたパネル3の前面とハウジング本体2の露出する上部2aの全面とは面一になるよう形成されている。
【0017】
パネル3の中央となるハウジング本体2の前面には、呼出スイッチ13が配置され、パネル3は呼出スイッチ13の先端部に当接するよう配置されている。このパネル3は、後方に僅かに移動可能にハウジング本体2に対して取り付けられており、前方からの押下操作を受けるとパネル3が後方に移動して、呼出スイッチ13がオン動作するよう取り付けられている。
【0018】
また、カメラ11、人感センサ15が、ハウジング本体2の上部2aの前面に配置され、マイク14aは側部に配置されている。更に、ハウジング本体2のパネル3背部には、スピーカ14bが配置されている。
そして、ハウジング本体2の上部2a中央下部となる段部の内部には、パネル3の側部である上辺から内部を照らすLED16が配置されている。
【0019】
またパネル3は、呼出スイッチ13の前面となる中央に、呼出操作部であることを示すシンボルマークMが刻設されている。シンボルマークMは、レーザー加工により溝加工されて形成され、パネル3の側面から照射されたLED16の光が乱反射するよう加工されている。この加工により、形成されたシンボルマークMが発光して前方から光浮上して見える。
【0020】
このように、パネル3の一部が呼出操作部であることが光浮上して明示されるため、従来のように押下操作する専用のボタンを配置しなくとも、来訪者は呼出操作する操作部を認識できる。そのため、デザイン性を拡張でき、全く新しい外観のインターホン子機の作製が可能となる。
また、透明のパネル3の特定部位を光浮上させて使用するこのような形態の場合、パネル3の表面全体に光蓄積塗料を塗布しても良く、夜間にはLED16に加えて外部からの光によってもパネル3が光るため、インターホン子機1の場所、更には呼出操作部の場所を認識し易い。
尚、光蓄積塗料の塗布する部位は、シンボルマークMの形成部位だけでも視認し易くなり有効である。
【0021】
上記の如く構成されたインターホン子機1は以下のように動作する。但し、呼出操作を実施した後の動作、即ち図示しないインターホン親機に呼出信号及びカメラ11の撮像映像が送信され、居住者による通話操作を受けて通話部14を使用して居住者と通話する動作は従来と同様であるため説明を省略する。ここでは、LED16の発光動作を中心に説明する。
【0022】
図5はLED16の明るさ制御の流れを示すフロー図であり、この図に基づいて説明する。まず近くに人物がいない待ち受け状態では、カメラ11及びLED16はオフ状態である。この状態で、来訪者がインターホン子機1に近づいてきたら、人感センサ15が来訪者を感知(S1)する。この感知動作を受けて、子機CPU18の制御によりカメラ11が起動する。即ち、撮像素子11a及びAFE11bが起動する(S2)。
【0023】
カメラ11の起動により、LED制御部17はLED16の制御を開始する。AFE11bは、RGB信号に加えてゲイン信号を出力するため、このゲイン信号をLED制御部17が入手してLED16の明るさが制御される。
ゲイン信号を入手したLED制御部17は、輝度算出部17aがゲイン信号を基に輝度を算出し(S3)、算出した輝度情報によりLED16の明るさを制御する制御信号が生成される(S4)。
こうして算出された制御信号によりLED16が駆動(S5)され、周囲が暗い時はLED16は暗く発光し、周囲が明るくなると明るく発光動作する。
【0024】
このように、カメラ11から明るさ情報としてゲイン情報を入手してLED16を制御することで、照度センサを設けること無くLED16の明るさを良好に制御できる。よって、夜間は明るさを抑制して眩しくなる状態を無くすことができるし、明るい時は輝度を上げて呼出操作部を視認し易くでき、明るさ制御を良好に実施できる。
また、人感センサ15を備えることで、カメラ11は来訪者が現れた時のみ動作し、常時動作しないため省電力とすることができるし、必要なときにLED16を好ましい明るさで発光させることができる。
更に、輝度とは反比例する特性を示すゲイン信号から輝度を算出して、周囲が暗い時は少ない電流で発光し、明るくなると電流を増加させることができるので、明るさ制御を良好に実施できる。
【0025】
尚、上記実施形態では、パネル3をハウジング本体2の前面の8割以上を覆う大きさとしたが50%程度でも良く、パネル3を大きく形成してその一部を従来の呼出ボタンの作用を持たせることで、デザインの幅が広がる。
また、パネル3を透明パネルとしているが、色付きの半透明パネルであっても良く、LED16の光が透過すれば良い。
更に、呼出操作部を示すシンボルマークMを溝加工により形成しているが、孔を穿設して形成しても良いし、曇りガラスのように不透明加工して形成しても良い。
また、パネル3は、周囲側部を前面に対して直角にカットした単純な端面としているが、周囲側面に傾斜を持たせても良く、例えば45度にカットすればパネル3の周囲も光浮上し、高級感が生まれる。
【符号の説明】
【0026】
1・・インターホン子機、2・・ハウジング本体、3・・パネル、4・・ハウジング、11・・カメラ、11a・・撮像素子、13・・呼出スイッチ、15・・人感センサ、16・LED(発光手段)、17・・LED制御部(明るさ制御回路)、17a・・輝度算出部、18・・子機CPU、M・・シンボルマーク(呼出操作部)。
図1
図2
図3
図4
図5